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「リノ、どうした」
 私はピアノの伴奏を止めて言った。
「このアリアは神の愛に感謝する歌だ。それなのに、お前は神様に文句を言っているように聞こえるぞ」
 星の瞬きのような、と評されたリノの歌だが、このところどうものりが悪い。
「……すみません先生」
 翡翠色の瞳を伏目がちにしてリオが謝る。
「責めてるんじゃない。なにか悩みでもあるのかい?」
「先生……ぼくもそのうち、この音楽学校から追い出されちゃうんでしょうか」
「なんだいきなり」
「このまえ、クルトがここを出て行きましたよね。クルトが声変わりしちゃったから、追い出されたんじゃないかって、みんな噂してるんです」
 確かに、優秀な歌い手だったクルトは、声変わりを機にここを離れた。
「あの子は、声楽とは別の道を進むことを決断して、少年合唱団から去っていったんだよ」
「でも、みんなぼくの高音域の声が素敵って言ってくれてるのに」
 リノはうつむき肩を震わせる。
「この声が出なくなっちゃったら……やっぱり歌を続けられないんじゃないかと思って……」
 そうか。リノもそろそろ思春期だったな。それで不安になったのだろう。
「心配するな。君の素質は声変わりくらいでだめになるものじゃない」
「でもっ、でもっ!ここを出たらぼく、身よりもないし、それに、大好きな先生とも会えなくなっちゃう!」
 がばっと私に抱きついて泣き出すリノ。私は彼の黄金に輝く髪をそっとなでてやった。
「バカだな」
 リノのおでこに軽く口付ける。
「せっかく天使がこの腕の中に飛び込んできてくれたのに、私がみすみす逃すわけがないだろう?」

「大人になんて、なりたくない」
 ひとしきり泣いて、落ち着いたリノがつぶやいた。
「子供のままでいられたら、先生とずっといっしょにいられるのに」 
「そんなに子供のままでいたいかい?」
「あ……先生……」
 私はリノのズボンの中に手を入れた。パンツの中を指でまさぐる。
 すべすべした下腹に、ほんのわずかではあるが、明らかに産毛ではない毛が生えていた。
 なるほど、これが気になったんだな。
 リノが目を閉じ、キスをせがむように唇を突き出す。
 私はキスをしてやったが、舌は入れなかった。しびれを切らして、リノの方から舌を出してくる。
 私の口の中で小さな舌がチロチロと動き回る。
 天上の歌を奏でる唇と舌で愛される喜びは並大抵のものではない。
 今にもむしゃぶりつきたいほどであるが、それでも自制して、リノのしたいようにさせる。