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「おっさん~宿、二人部屋宜しく~」
「あいよ」
この季節、日が落ちるのも大分早い。
先ほどまでは夕陽が見えたというのにあっという間に暗くなっている。
夕闇の中、街の中を俺たち。
そ、つまり、俺、ジグと隣の相棒、リュオ。
俺は、精霊術師(エレメンタラー)って、精霊の力を借りて炎とか、風とかでバーンってやっつける後衛で、
リュオの方は、拡大術師(エンハウンサー)ってこいつも魔術師。
自分の体を、金属に置換したり、筋力をオーガにも負けないぐらいの物にしたり…
何にせよ、頼りになる相棒だ。
──つまり、俺達は、世に言う冒険者なわけ。
さっきのゴブリン退治もその一環。
あんな程度俺達にかかればどうってことはない。
そこそこ大きな街道沿いに位置するこの街の冒険者の宿、というやつは、この時間ともなれば
仕事終わりの冒険者達で喧騒に包まれている。
依頼を失敗し落胆するもの、かと思えば成功して宴会を催す者。
悲喜交々、様々な人々が居る中。

相変わらずぶっきらぼうなリュオを他所に、俺は宿帳に自分の名前を書いて手続きを済ませる。
「ジグート・フルート…っと…あ、そうだ。昼間受けた依頼だけど、きっちりこなしてきたよ。ま、俺らにかかりゃ楽勝だね♪…ねー、リュオ?」
俺は緩く尻尾をふりながら言って、リュオの方を向く。
それを冷たい目付きで見返してくるリュオ。
まだ、怒っている様だ。…後でちゃんと言わないとなぁ。
宿屋のおっさんは、少し苦笑した様に笑うと、「確認しておくよ、明日には払えるだろうさ」と言って、サインを確認して、俺が代金を出す。
俺たちは、簡単に一回の酒場で食事をとって、二階の指定された部屋へと入る。
今日は疲れたから早く寝たい…とこ、だけど。

「……──」
やっぱり、だ。
部屋に入って荷物を置くや否や、リュオが俺にくっついてくる。
心なしか、黒い耳が垂れ下がっている。
こういうときは、なんていうか、くっつきたいっていう感じのようだけど。
此処のところ野宿続きで、落ち着けなかったから、あんまりイチャイチャできなかった…
まぁ、その、そういう関係。
「あはは、解ったから…とりあえず、先に水浴びよ?」
俺はちょっと苦笑して、水場を指すけれど、内心は嬉しい。
とりあえず、身体は汚れて居るし、まずは水でも浴びようと、リュオに先に入るから、と言って俺は水場の方へと歩いていく。