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「そろそろ下校の時刻だね」
 生徒会長の湯崎が言った。
「…ああ、そうだな」
 俺は立ち上がって生徒会室の黒板を消す。
 湯崎と副会長である俺は、遅くまで残って文化祭に向けての仕事をしていた。
「進藤君が手伝ってくれて助かったよ。ありがと」
 湯崎の微笑みに、俺はドキッとする。
 女の子のような可愛らしいルックス、優しくて嫌味のない性格のおかげで、湯崎は女子の圧倒的な支持によって生徒会長になった。
 そして、そんな湯崎に俺もまた魅了されてしまったんだ。彼に近づきたくて、柄でもなく生徒会にまで入った。
 そのかいあって、今はこうして湯崎と二人だけでいられる。でも、そこから先の勇気が、出ない。
 五時半になると下校の時間を知らせるチャイムが鳴る。湯崎といられる時間も終わりだ。
 ……放課後がずっと続けばいいのに。
 そう思った瞬間、俺の意識は急に遠くなっていった。

「……藤君、どうしたの?ぼーっとして」
「え……?」
 俺は湯崎に呼ばれてわれに返った。なんだ?俺どうしたんだ?
「しっかりしてよ、これから文化祭のステージのプログラム作るんだから」
 湯崎がふふっと笑う。
「それは、さっき作らなかったか?」
「え?まだだよ」
 おかしいな、確かについさっき話し合って決めたはずなんだけど。
 時計を見ると、まだ四時になるかならないかの時間だった。あれ、俺がボケてるだけか?
 そのとき、窓の外を消防車や救急車のサイレンがけたたましい音を上げて通り過ぎていった。
「火事かな?結構大きいのかも」
 ……あのサイレンも聞いた覚えがある。なんか気になるなぁ。
 腑に落ちないながらも、俺は生徒会の仕事をこなしていった。