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聖夜

72ポインツ(*´ω`)

「お兄ちゃん…」

少年は、待っていた。
いや、少年と呼ぶには少し語弊があるかもしれない。
決して年令的なものではなく。
プラチナの髪にエメラルドグリーンの瞳、雪のように白い肌。
そして…背中には白銀に輝く小さな翼。

そう、彼は人で言う天使という存在なのだろう。

その天使の少年は、待っていた。
高い高い雲の上で、仕事に行った兄の帰りを。
毎年この日になると、天使は忙しい。
サンタを信じる子供だとか、永遠の愛を誓う恋人だとか…
そのすべての人間に、平等に『幸せ』を運ばなければならない。
彼の兄もまた、その重要な仕事を担う役割を持った天使だった。

「お兄ちゃん、遅いなぁ…」
時刻は、地上でいうところの0時前。
そろそろ日付が変わる。
「今日はお仕事頑張って、一緒にあそぶって約束したのに…」
天使の少年の心は、不安でいっぱいだった。
何か良くない事があったのかなぁ、それとも、僕とあそぶのがいやなのかなぁ…
不安は悲しみに変わり、少年の目からは涙が溢れる。
涙は結晶になり、そして地上に降り注ぐ。
聖なる夜に。少年の翼の色と同じ、白い白い、小さな雪のかたまりとなって…


「メリークリスマス」
どのくらい泣いていたのだろう。
少年が泣き伏せていた顔をあげると、そこにはおだやかな顔をした天使が居た。
「お前の涙のおかげで、たくさんの人が幸せになったよ。
おかげで、仕事が早く終わった。
って言っても、予定より大分遅れてしまったけど…ごめんな」
少年は無言で首を横に振り、兄へと抱きつく。
「お帰りなさい、お兄ちゃん。」
「ただいま、いい子で待ってたんだね。ご褒美だよ…」
そう言って、少年に優しいキスをする。

時刻は、1時を少しまわったところだ。
地上にはまだ雪が降り、暖かい笑い声と静かな静寂に包まれている。
何処かで、小さな子供が呟いた。
「サンタさん、来ますように…」
それを聞いた天使の少年はこう返す。
「いい子で待っていれば、きっと幸せな事が起こるよ…」

Happy Merry X'mas....