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となりの兄弟

written by 72ポインツ(*´ω`)

「…また同じ場所だ。」

迷子…少年の頭に不吉な二字熟語が浮かんだ。
さっきから、同じ場所を行ったり来たり…疲れた。
「お兄ちゃんのために、どんぐりいっぱい集めたのにな…ぐすん。」
肩には少年の体の大きさほどもある袋をかついでいる。
少年の言葉通りならば、中身はどんぐりなのだろう。
「おうちどこかなぁ…」
少年がまた家を目指して歩き始めた時、ふと後ろに視線を感じた

振り返ってみるとそこには。
おさげ髪で帽子を被り、真ん丸い目。
そして、自分の何倍もあるその体、、

「やばい!人間だ!!」
捕まったら、何をされるかわからない。
少年は、一目散に走りだした。
人間の少女は、笑いながら追って来ている。
これはやばい。
食べられたくない、捕まりたくない。
その一心で、ひたすら走った。
走って、走って、走りまくった。

どれくらい走ったのだろう。ふと、見覚えのある場所に出た。
「あの木は…!おうちだ!」
陰っていた少年の心に光が差した。
おうちに行けば…お兄ちゃんが居る。
今日あった出来事をいっぱい話そう。どんぐりをつまみに。
木の根元の滑り台を滑り降り、我が家へ辿り着いた。
兄は、いつもの場所で眠りについていた。
少年の顔に笑みが浮かぶ。
「お兄ちゃん、今日はね、こんな事があったよ。どんぐりもいっぱいとってきたんだよ、ほら…あれ?」
…ない。
中身が、ない。
袋の底を見ると、穴が開いている。
やってしまった。
全部落としてしまったのだ。
少年は、今にも泣きだしそうな顔をしている。
「せっかく…集めたのに…ひっく」
少年が大粒の涙を目に溜め、零れ落ちそうになった瞬間だった。
寝ていた兄が、こう言った。
「お疲れさま、疲れただろう?今は寝て、夜にまた拾いに行こうね。」
少年は兄の優しい言葉に泣き止んだ。
と、同時に、今までの疲れがどっと出てきた。
あっという間に眠りに落ちてしまった。
「お兄ちゃん…むにゃむにゃ。」
夜にはきっと、沢山の木の実を集められるだろう。
眠りについた少年の顔は、とても穏やかだった。