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息が上がってきたりくは、口ではぁはぁと呼吸するのが恥ずかしく、
必死で鼻から大きく空気を吸った。
そうすると、りくに覆いかぶさるように胸に触れているあきとの匂いを嗅ぐような格好になってしまう。
あきとは、草の匂いと土の匂いがした。
お日様の匂いと、汗の匂い。
夏の少年の匂いがした。
その泥臭いすえた匂いに、すでに走っていた動悸が、よりいっそう早くなる。
りくは、薄暗い室内に自分の鼓動が響いているのではないかと心配になった。
その間にも、あきとの手は鎖骨の下あたりにターゲットを移している。
子ども特有の体温の高い手は、しっとりと汗ばんでいる。
その手が、徐々に乳首に近づいていることに、りくは気付いた。
一度意識してしまうと、そこに急に神経が集中したように、
ひどく敏感になってしまうようだった。
期待とも恐怖ともつかない不思議な予感がゾクゾクと背筋を這い登り、
りくは必死で唇を噛みしめた。

「ここですか?」
「……」
「ここ?」
「……っ…」
「りくにぃ?」
兄の反応がないことを不審に思い、あきとはりくの顔を覗き込むと、
りくは眉根をよせ苦しそうな顔をしていた。
その瞳は天井を凝視し、決してあきとと目を合わせようとしない。
瞳孔がゆらゆらと揺れ、怒っているようにも泣き出しそうにも見えた。
「りくにぃ、怒ってるの?」
不安になり問いかけてみるが、兄は答えようとしない。
「泣きたいの?」
暗がりの中、濡れて光るりくの瞳がやけに綺麗に思えて、
あきとは無性に舐めてみたい衝動に駆られた。
舌を出してりくの目に口を寄せる。
りくが反射的に目を閉じたため、瞼にキスをするような格好になる。
「っあ、あっくん…!?」
驚いてあげたりくの声に、あきとは嬉しくてたまらなくなった。