「ダメ…僕……男の子だよぉ……あ…んっ…」のまとめ

愁と明文【2】

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愁と明文(2)

明文の手が直に触れて、その動きが変わる度に愁がぴくっと反応する。すでに、シャツは殆ど着ていなくて、汗に明文の唾液が少しずつ混じっていった。
「あっ……。」
平凡すぎるくらいの反応にも、明文は痛いくらいだったが、じっと堪えそのまま上半身を刺激する。
「あ…あっ、そっそこ、やっ……。」
明文は刺激を止めた。
あえぎ声が途切れた部屋には、2人の、はぁはぁと上がりかけた息の音だけが響いた。
「もっと……し……て……。」
途切れ途切れだが、今度は目を逸らさずに、愁の方からはっきりとねだった。実は、明文はこれを待っていたりする。
「下も脱がせて欲しいの?」
そして、いつもの意地悪な質問。それに、愁は頷き、雰囲気はいよいよといった感じだ。明文は、もう我慢の限界だ。目の前には、汗で濡れた愁がいる。目を閉じれば、ただその先のことだけ広がって……。とても、我慢のできる状態じゃなかった。
「ごめん。い……入れたい。」
明文のごめん、など何ヶ月ぶりなんだろう。と、一瞬思ったが、愁はさっきと同じように躊躇うことなく頷いた。

明文のソレもある程度濡れていたが、そう簡単に入るはずもなく、ただ、あてがうばかりだったが、少しずつ愁から漏れる淫らな声で明文のは硬さを増していた。
「あ……、あきぃ。」
いかにも、欲しいを言わんばかりの顔と声。それに、ふっと見とれた瞬間に先の、ほんの先だがグッと押し込まれた。瞬間、愁は初めてのときのあの痛みを思い出す。
「あぁあ……いっ痛い!」
思わず愁の口から漏れる。
慣らせてから入れれば良かったものの、どちらの頭にも今の欲望を満たすことしかなく、そんなこと少しも考えなかった。
「ご、ごめん。」
明文も気付いたように謝る。愁は痛みを堪えて少し笑った。
「だ、大丈夫だから。つづけて……。」
声が震えて、いかにも痛そうないい方だったが、それが、いまの愁の精一杯の愛情なのかもしれない。
明文はゆっくりと体重をかけていった。ゆっくりと。
元々、愁は天性の受けというか、なんとなく中性的である感じだった。事実、体は受けることに慣れてくるのも早かった。繋がっている所をジワジワと濡らしていった。そして、次第に心地良さも生まれてくる。少し2人の声が戻ってきた。
「あ……んっ…。」
そんな激しい動きはしていないものの、2人は確実に快楽の頂点までスピードを上げていた。
良く見ると、汗以外のものでも、そこら辺どろどろだったが、やっぱり2人は気付かずに、先に進む。
「あっ…やっ……、んっ。」
はたから見ていると、愁は感じているようにしか見えない。が、実際は酷く痛いのを我慢しているのではないだろうか。と、明文が罪悪感を覚えた。
「あっ、あっ、………………。」
明文が見たときにはそれが、なんと言っているか分からなかったが、すぐに愁が言いなおした。
「す、好きぃ。あきぃ。」
それが、快楽から出た言葉ではなく本音であることは確かだった。それはきちんと、明文に届いて、また絶頂へのスピードを早めた。
「ちょっ……と、お……れヤバ……かも。」
ボソッと呟いて、身を震わせた。
愁は少しぐったり気味に、薄く目を開けて横たわっている。明文はふぅと息を付いて、下の方に目をやった。そこからは、自分の出したものが少しずつもれていて、それが先にイってしまって恥ずかしい、と心底明文に思わせた。
ゆっくりと、腰を引き、それが外れる瞬間、穴からはどろっと溢れて、愁は声をあげた。
明文は、愁がイっていないことに気付いたけれど、愁は「もういいから」と言って、眠ってしまった。

明文はあまり良い気持ちではなかった。今回の事で、それなりの快感は得たし、愁の本音も聞けたので、申し分なくてもいいはずなのだが。
眠りに就いている愁の少し茶色がかった髪の毛にちょっと触れて、ごめん。と一言呟いた。明文は自分を責めていた。自分が足りないから……愁の理想に遠いから、浮気させてしまった。なのに、それを責めて……。と。
愁を見送るときもお互いに、あまり言葉を交わさずに別れた。

帰り道、愁も少し暗い感じだった。終ってからの明文がおかしい、と思っていた。なんとなく自分のせいだと分かっていて、自分を責めずにいられなかった。何で、浮気なんかしたんだろう……。もっと愛情って表現できるはずなのに……。夢中になって欲しいから浮気なんて……。
自分が夢中にならないと相手もなってくれない。そう、気付いたときには遅かった。そして、それを後悔した。

2人は高校も一緒だったが、よりが戻ることはなさそうだ。――皮肉なものだ。もっと愛して欲しいから浮気して、それを後悔する少年と浮気は自分のせいだと責めるもう1人の少年。お互いに愛し合っているのに、罪悪感から近づけない2人……。
でも、2人は待っている。あの少し乱暴なキスを。可愛く頬を染める姿を。
   THE END

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