※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

知也(2)

著者不明

「何だよ、怖いのか? 兄貴如きが、怖いのかよ?」
「そっ、そんなことない!」

 そう挑発すれば、弟はカッとしたのか、すぐさまそう返してきた。
 尊敬できない兄に怯えている自分が許せないのだろう、その耳が赤く染まっていた。

「へぇ……怖くないんだ?」

 弟との距離を詰めていく。
 一歩一歩、そのたびに、弟の表情に含まれる怯えが強くなるのが分かった。

 目の前まで来たとき、弟はそのつんとした唇を僅かにふるわせ、俺を見上げていた。
 じっとこちらを見つめるその様は、行き場を無くした獲物のようで、俺の加虐心をそそる。

 軽くその細い肩を叩くと、弟はいとも簡単に後ろへ倒れ込んだ。
 そこには俺のベッドがある。
 くしゃくしゃにまるまった布団の上へ倒れ込んだ弟は、怯える小動物の目をしていた……。


「兄貴……」

 弟の口からこぼれた言葉は、珍しく弱々しく、よけいに俺の感情を高ぶらせる。
 まだ発育途上の弟は、ほっそりとした体をベッドに投げ出して、じっと俺の動向を探っている。
 まるで期待しているようにも見えるその無防備さに、俺は思わず唾を飲んだ。

 肩に手を掛け体重を載せると、その重さと痛みに弟の表情が歪む。
 痛いよ……とか細い声が聞こえた気がしたが、俺はそれが聞こえなかったふりをして、もう片方の肩もベッドに押しつけた。
 完全にベッドに縫いつけられた弟は、驚きの眼差しで俺を見ている。
 無駄に生意気で知識の豊富なこいつは、俺のやろうとしていることに気づいているのかも知れなかった。
 けれど、それが現実と結びつかずに脳内でオーバーヒートを起こしているのだろう。
 それならば好都合だと、俺は弟の足の間に自分の足を割り込ませ、そこを無理矢理に開いてやった。

「……! な、やめろよ兄貴!」

 自分の取らされた体制に、弟は声を荒げた。
 無理矢理に開脚された両足は、閉じようとして力を込めてくるが、
 さすがに小学生に力負けする俺でもない。
 逆に、開ける限界まで、その足を開いてやった。

「どうしたんだよ。兄貴如きに勝てないのか?」

 そう言ってやると、弟は悔しそうにその顔を歪めた。