[457p]樹氷の君 〜凍てついた魔女〜


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女は男の子を庇う様にして雪原をゆく
かじかむ手足 凍えそうな身体
それでも弱音一つ吐かずに歩く
彼女は母親だから…

醜きは人の世 迫害の歴史は繰り返す
都合の悪いことは 全て他人のせいにしたいのだ
暗い時代の犠牲者 災いを引き受ける者
生贄という名の救世主…

追われるようにして 樹氷の森を抜け
辿りついたのは 氷の城
女の身体は 既に限界を超えていた…

「この子だけでも生きて欲しい…」

忌み嫌われた 魔女の力
その最期の力を振り絞り
命の灯を息子に託した…

激しい吹雪の中 佇む二つの影
凍ってしまった女の氷骸と 決して凍らない少年
彼は 母の命と引き換えに
凍てつく樹氷の王となった…

「生きて欲しい…」

それは 愛という名の呪縛
その想いは今も彼を縛る
朧気な記憶の中 優しく微笑む人
その温もり触れたくて 今日もまたひとり…

生きることに 特別な意味など無いだろう
全ては消え往く運命 と知りながら
それでも終わり往くモノは永遠を望む…

彼は今日もまたひとり…