3年B組金八先生 伝説の教壇に立て!

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3年B組金八先生 伝説の教壇に立て! - (2022/10/13 (木) 14:35:02) のソース

<p><strong>3年B組金八先生 伝説の教壇に立て!</strong></p>
<p>
ミサキ、ヒカル、シオミがメインで関わるシナリオ:part56-299~304,307~313,317,321~329,337~341,343~351</p>
<p>雪也のシナリオ:part56-393~396</p>
<hr />
<dl class="thread">
<dt> </dt>
<dt>299 :<a href="mailto:sage"><b>ゲーム好き名無しさん</b></a>:2011/05/04(水) 16:32:31.48
ID:e9C5HqSY0</dt>
<dd>(PS2)3年B組金八先生 伝説の教壇に立て! 完全版を投稿します。<br />
<br />
全体の大きな流れというのはないので、<br />
リクエストにある、ミサキ、ヒカル、シオミがメインで関わるシナリオだけを書きます。<br />
<br />
 </dd>
<dt>300 :<a href="mailto:sage"><b>3年B組金八先生 伝説の教壇に立て!</b></a>:2011/05/04(水)
16:35:07.39 ID:e9C5HqSY0</dt>
<dd>よく出てくる生徒と先生をリストにしておく。<br />
わかんなくなったら見てください。<br />
<br />
メイン教師陣<br />
<br />
【主人公♂】<br />
金八先生の推薦で3-B代用教員として赴任。元教師の塾講師。教壇に戻るのは5年振り。<br />
以前居たクヌギ中学校で、ある事件に巻き込まれて辞職して以来、教師に戻ることを拒んでいた。<br />
金八先生の影響か、若いのに下駄ばき。<br />
<br />
【金八先生】<br />
説明不要の金八先生。入院中の割に元気。<br />
お見舞いに行くとアドバイスをくれるが本編には絡んでこない。<br />
<br />
【りん子先生♀】<br />
主人公のクラスの副担任。助手役として主人公を助けてくれる、熱血新米教師。<br />
おっちょこちょいだが、真剣に生徒と向き合う姿勢を持っている、人気の先生。<br />
<br />
【校長♀】<br />
品のいいおばさん。悪い人ではないが、事無かれ主義のうえ中々のタヌキ。<br />
<br />
【教頭♂】<br />
分りやすい嫌な奴。生徒を学校への貢献度で判断し、何かと主人公と問題児を追放したがる。<br />
<br />
【小須田先生♂】<br />
分りやすい嫌な奴。教頭の腰ぎんちゃくのゴマすりおじさん。<br />
<br />
【高峰先生♂】<br />
塾講師出身の敏腕教師。腕は確かで、意欲もあるが、生徒を学力で評価しすぎる嫌いがある。<br />
憧れの君の娘であるミサキを、普通の学力まで引き上げようとして補習などの世話を焼いている。<br />
ミサキからは非常に信頼されている。<br />
 </dd>
<dt>301 :<a href="mailto:sage"><b>3年B組金八先生 伝説の教壇に立て!</b></a>:2011/05/04(水)
16:36:19.60 ID:e9C5HqSY0</dt>
<dd>メイン生徒達<br />
<br />
【月山美咲♀】<br />
元気一杯で、天真爛漫な娘。だが、精神的に幼稚で学力が非常に低い。<br />
ませた幼児のような言動は中学生には受け入れられず、クラスから浮いている。<br />
理解者は幼い頃からの友達数人しかおらず、他に友人がいない。<br />
自分でもその事がわかっていて、「ミサキはバカだから」という口癖がついてしまっている。<br />
幼さと、妙な色気を併せ持つ危うい少女。<br />
<br />
【中島光♀】<br />
二つくくりににメガネ、強い正義感と責任感。才色兼備の委員長。<br />
ミサキの親友であり、ギンペイ、シオミの昔馴染みでもある。<br />
主人公と面識がある。2人を結ぶものは、5年前クヌギ中学で起きたある事件のようだが…<br />
<br />
【伊吹銀平♂】<br />
札付きの問題児。ここらへんで喧嘩最強の漢。強面だが、人情に篤い。<br />
ヒカル、ミサキ、シオミとは昔馴染み。<br />
<br />
【塩見慶一郎♂】<br />
ニヒルな一匹狼。終始めんどくさそうにしており、行事への参加意欲も全くない。<br />
ヒカル、ミサキ、ギンペイとは昔馴染み。美形だが年上好みで彼女は居ない。<br />
<br />
【桧山太陽♂】<br />
不登校の秀才。自室に引きこもり、定期試験のみ参加する。<br />
この中学から、名門校開栄へ進学してくれる大切な人材である為、<br />
教頭と両親の意向で、不登校が黙認されている。<br />
<br />
その他<br />
【御法川実♂】<br />
りん子先生の元彼。ちょっと尊大な敏腕ライター。<br />
428~封鎖された渋谷で~にスピンオフで出演している。金八ではチョイ役だが、428では主役陣の一人。<br />
 </dd>
<dt>302 :<a href="mailto:sage"><b>3年B組金八先生 伝説の教壇に立て!</b></a>:2011/05/04(水)
16:37:52.88 ID:e9C5HqSY0</dt>
<dd>【プロローグ】<br />
季節は4月、土手の上から中学校を見下ろしていた主人公は、元気な少女に声をかけられる。<br />
「ここ、ミサキのお気に入りの場所なんだ!」<br />
ミサキは、クラスメイトを見つけて、「おっはよーー!!!」と叫ぶ。<br />
2人には聞こえなかったが、土手下の女生徒達は<br />
「まーたやってるよ」「朝からほんっとウザいな…」と呟いていた。<br />
<br />
主人公は入院した金八先生に推薦されて、サクラ中学3-Bに、5年振りに教師として赴任した。<br />
副担任のりん子先生をパートナーに、一年間代用教員として勤務することになる。<br />
生徒たちは今時の子らしく、授業中に携帯電話をいじり、親しい友達以外の生徒には無関心。<br />
引きこもりの生徒も一人いて、幸先のいいスタートは言い難いのだった。<br />
<br />
<br />
【4月・美咲&太陽】「ようこそ3年B組へ!」<br />
<br />
3-Bは一人欠けている。引きこもりの桧山太陽だ。<br />
太陽は学年トップの秀才で、それ故に不登校を許可されているらしい。<br />
家庭訪問をするが、母親に門前払いを食う。<br />
教頭も太陽の機嫌を損ねることを嫌い、主人公の干渉を嫌がる。<br />
<br />
太陽の母や高峰先生が言うように、勉強ができるなら、学校は必要ないのだろうか…?<br />
金八先生の助言で、太陽の友達を探す。<br />
しかし、クラスのほとんどの生徒たちは太陽に無関心だった。彼には友達が一人もいないのだろうか…<br />
<br />
・各日の終わりに、夜、燃えるゴミ置場の前に佇む少女が写り込む。<br />
髪はおろされていて、誰なのか識別できない。<br />
<br />
5年前クヌギ中にいた元女生徒にバッタリ会う。<br />
「また先生になったんですね、一生記憶に残るようないい先生になってくださいね」と言われる。<br />
<br />
休日、ミサキが主人公の家に勉強を教わりにやって来た。<br />
「だって、ミサキバカだから、普通に勉強してもわからないんだもん。」<br />
と嘆くミサキを、主人公はファミレスに連れていき、勉強を教える。<br />
「そーだ、先生に勉強教えてもらってるってメールしよう!先生が来てから、毎日報告してるんだ!<br />
…あ、返事きたきた!<br />
”新しい先生ヒマなんだね、ヒマな先生は教える能力低いよ”…だって!<br />
口が悪いでしょ?でも根はすごくやさしいんだ。」<br />
メル友の事を嬉しそうに喋るミサキ。<br />
「学校に来てない子だから、先生はまだ会ったことないと思うよ。<br />
名前はね、太陽くん ていうの。」<br />
 </dd>
<dt>303 :<a href="mailto:sage"><b>3年B組金八先生 伝説の教壇に立て!</b></a>:2011/05/04(水)
16:38:18.49 ID:e9C5HqSY0</dt>
<dd>翌日学校で、廊下を歩く主人公の耳に女生徒達の大声が飛び込んできた。<br />
「見て見てこの点数、5点だって!」<br />
「ミサキぃ、このテスト100点満点だよ?10点じゃないよぉ?」<br />
主人公が教室に入ると、ミサキが机に突っ伏して泣いており、回りを3人の女生徒が取り囲んでいた。<br />
ヒカルと主人公が仲裁に入るが、3人娘は悪びれない。<br />
「見ちゃったんですけどぉ、先生ミサキにファミレスで勉強教えてましたよね。<br />
休みの日とは言え、どーかと思います」<br />
「でも、先生たちにこんだけエコヒイキされててこの点でしょぉ?<br />
本当は勉強する気なんてないんじゃないの?」<br />
<br />
突っ伏していたミサキが不意に呟いた<br />
「レミちゃん、ミサキの事ウザいんだよね。マミちゃんもだよね。クミちゃんも…<br />
ごめんね、バカは学校来ちゃダメだよね…」<br />
うろたえる3人娘を残して、ミサキは飛び出して行ってしまった。<br />
ヒカルと二人で追いかけると、ミサキは近所の橋の上で川を眺めていた。<br />
<br />
2人でミサキを慰めているうちに、太陽の話になる。ミサキと太陽が初めて会ったのはここらしい。<br />
太陽は体調不良で私立受験を失敗し、ミサキはまたテストで一ケタを取った時の事だった。<br />
差はLv99程あるが、同じ境遇の身。「勉強だけが全てじゃないよ」と励ますミサキに、<br />
太陽は「でも僕は勉強しかしてこなかったから、他に何もないんだ」と返したという。<br />
涙を流す太陽に、ミサキはハンカチを渡した。<br />
そして二人は友達になり、太陽が引きこもりになっても、メールを通じて友情は続いている。<br />
<br />
さっき3人娘にからかわれた事をメールしたら、そんな学校に行かなくていいと返って来たらしい。<br />
ミサキは「そんなことない。優しい先生や友達もいるよ」ともう一度返す。<br />
太陽からの返事には<br />
「そんな先生いる訳ない。もしいるなら、僕はこんな檻の中にいない」と書いてあった。<br />
<br />
4月END<br />
 </dd>
<dt>304 :<a href="mailto:sage"><b>ゲーム好き名無しさん</b></a>:2011/05/04(水) 16:39:29.59
ID:e9C5HqSY0</dt>
<dd>とりあえずここまでです。<br />
投稿してから気付きましたが、<br />
美咲とミサキ、表記ゆれしていてすみません。同一人物です。<br />
今後ミサキに統一します。</dd>
</dl>
<dl class="thread">
<dt>307 :<a href="mailto:sage"><b>3年B組金八先生 伝説の教壇に立て!</b></a>:2011/05/04(水)
23:24:46.45 ID:e9C5HqSY0</dt>
<dd>【5月・美咲&太陽】 「大人は判ってくれない」<br />
<br />
深夜、パトロール中の大森巡査は、放火の瞬間を目撃する。<br />
暗い神社の中、少女が一人逃げて行った。<br />
翌日、サクラ中学でも職員朝礼で放火魔への注意が喚起される。<br />
<br />
その日、主人公はりん子先生と一緒に太陽の家へ家庭訪問に行った。<br />
迷惑がる母親を退け、部屋の前まで押し掛ける。<br />
母親すら何年も入っていないという室内に、太陽が主人公を迎え入れてくれた。<br />
“自分には今の環境が最適なんです。ミサキちゃんは友達だけど、メールで十分です。”<br />
薄暗い部屋の中、太陽はそう話した。<br />
嫉妬した太陽の母が学校に抗議し、教頭から太陽に関わることを禁止される。<br />
<br />
ミサキの母が主人公に挨拶に来る。<br />
未亡人のシングルマザーで、きれいな人。<br />
高峰先生の学生時代からの憧れの君。<br />
「君の娘なんだ、やれば絶対できるに決まってる。僕に任せておいてくれ」と大見栄を切る高峰先生。<br />
<br />
以前から高峰先生は毎日ミサキに補習を行っているのだが、成果は中々見えない。<br />
「ミサキ、そろそろちゃんとした形で僕とお母さんを喜ばせてくれ。<br />
明日の数学の小テストで、100点中30点取ってみろ。<br />
30点取れなければ、補習はもう打ち切りだ。」<br />
そう言って去っていく高峰先生。残されたミサキは主人公に、<br />
「どうしよう先生、ミサキは5点の女なのよー!30点なんて絶対無理だよう」と弱音を吐く。<br />
<br />
ミサキは深刻に悩んでいるが、高峰先生は、<br />
「ああでも言わないとミサキが本気を出さないと思いましてね。<br />
30点取れなくても補習を打ち切ったりしませんからご心配なく。」<br />
と主人公に耳打ちする。ツンデレってやつですね、わかります。<br />
<br />
翌日、主人公は指導室に呼び出された。<br />
追い詰められたミサキは、高峰先生と母を喜ばせたい一心で、カンニングに手を出したのだった。<br />
高峰先生はミサキをなじり、放課後の補習はしばらく中止だと言い残して出て行ってしまった。<br />
打ちひしがれるミサキには気の毒だが、母親にこの一件を報告する。<br />
母親はショックを受け、ミサキも深く傷つく。<br />
<br />
翌晩、主人公は交番に呼び出される。<br />
学校の駐車場で不審火が出て、たまたま近くを散歩していたミサキが補導されてしまったらしい。<br />
教頭の腰巾着小須田先生は、ミサキがカンニングの件を逆恨みしてやったんだろうと責めつける。<br />
心のダメージが限界に達してしまったのだろう。<br />
あれ程何があっても楽しそうに登校していたミサキが、学校に来なくなってしまった。<br />
部屋に引きこもり、母親とも口を聞かないという。<br />
教頭はこれをチャンスに、主人公を免職させようとする。<br />
3日以内に放火の疑いを晴らせないと、ゴールデンウィーク明けにクビになってしまう。<br />
 </dd>
<dt>308 :<a href="mailto:sage"><b>3年B組金八先生 伝説の教壇に立て!</b></a>:2011/05/04(水)
23:26:27.55 ID:e9C5HqSY0</dt>
<dd>一方太陽は、ミサキからのメールにいつもと違うものを感じて、苦しんでいた。<br />
きっとミサキは泣いているのに、メールではハンカチを渡してあげることもできない。<br />
太陽は決意し、外に出て、本当の放火犯を探し始めた。<br />
<br />
太陽の頭脳が、はじめて勉強以外の為に回転を始める。<br />
今まで放火の起きた場所と、その範囲、特徴を分析して、次の現場を推測。<br />
山を張って、夜に公園を見張ることにした。<br />
ミサキは、太陽が自分の為に外に出た事を知り、自分も部屋から出て、太陽と共に見張りをする。<br />
主人公も付き合う内に、ある晩大森巡査にまたミサキが補導されかけた。<br />
揉めていると、公園奥の方から、煙が立ち上った。<br />
皆で駆けつけると、女性が一人ビクリと立ち上がった。<br />
4月に主人公を応援してくれた、元女子生徒だった。<br />
<br />
疑いが晴れて、3人で家路につく。太陽は、明日からはまた引きこもりに戻ると言った。<br />
外に出るのが怖いと言う太陽に、主人公は「上を見れば空がある、横を見れば友達がいる」と言う。<br />
<br />
GWが明けて、事件解決に6日かかった主人公は辞表を提出する。<br />
教頭は大喜びで受理しようとするが、その時りん子先生が駆け込んでくる。<br />
「外を見てください!」<br />
校庭を、2人の生徒が歩いてくる。<br />
<br />
3-Bの窓辺で、生徒たちが噂している<br />
「あれ誰?」<br />
「あ、ミサキ来たんだ」<br />
「ちがうよ、その横!」<br />
「誰って、あれは…」<br />
<br />
辞表届は校長に却下され、教頭は窓を見てたまげている。<br />
<br />
「ミサキ、おはよー!」<br />
「太陽くんひさしぶりー!」<br />
「はやくしないとHRはじまっちゃうよー」<br />
5月上旬、3-Bはやっと全員揃ったのだった。<br />
 </dd>
<dt>309 :<a href="mailto:sage"><b>3年B組金八先生 伝説の教壇に立て!</b></a>:2011/05/04(水)
23:29:21.13 ID:e9C5HqSY0</dt>
<dd>続けて6月もミサキと太陽のシナリオです。<br />
この次がシオミのシナリオ、<br />
最後にヒカルのシナリオ前後篇で終了の予定です。<br />
 </dd>
<dt>310 :<a href="mailto:sage"><b>3年B組金八先生 伝説の教壇に立て!</b></a>:2011/05/04(水)
23:31:11.93 ID:e9C5HqSY0</dt>
<dd>6月【ミサキ&太陽】「たったひとつの冴えたやり方」<br />
<br />
サクラ中学3年生一同、修学旅行で沖縄へ。<br />
しかし、初日に高峰先生が「強化合宿」をやると言い出した。<br />
強制ではなく自主参加だが、希望者はツアーや自由行動をキャンセルし、<br />
ホテルで行われる高峰の講義&自習に毎日参加するというもの。<br />
<br />
内申点に影響は無いと言われるが、それでも気になるのが受験生の心情。<br />
友達が行くと言えば、自分は行かないとも言いにくい。<br />
そんなこんなで、ほとんどの生徒が、勉強漬けの3泊4日を選んでしまう。<br />
<br />
ミサキはもちろん、勉強会なんかに出る気はない。せっかくの沖縄なのだ!<br />
しかも、引きこもりを克服したばかりのボーイフレンド、太陽と一緒の旅行なのだ。<br />
太陽も、ミサキと一緒に沖縄観光を楽しむつもりでいる。<br />
<br />
B組のツアー参加者は、その2人を入れてもたったの5人。<br />
大人びていて周囲に流されない久住あい、成績優秀で温厚な美少年白石雪也、勉強嫌いで根性曲りの岩木竜二。<br />
ガイドさんは一度ドタキャンした関係で都合がつかず、辛うじてバスが借りられただけ。<br />
なんか味気ない道中、ミサキをガイドを買って出る。<br />
明るくノリのいいミサキのガイドさん。しかし哀しいかな知識がまるで無い。<br />
ちんぷんかんぷんなガイドに3人が呆れると、太陽がそっとアシストし始めた。<br />
<br />
予習してきたとはにかむ太陽は、沖縄の名所や、その歴史と由来にまで詳しかった。<br />
太陽の知識量と整然とした話しぶりに、「桧山は天才様だからなぁ」と、嫉妬厨の竜二が絡む。<br />
しかし他の二人にやっつけられて、和気あいあいとツアーは進んだ。<br />
<br />
3年になってから不登校を脱した太陽は、正直クラスに馴染めておらず、<br />
ミサキと一緒にいるところしか見かけなかった。<br />
だが、この旅行で太陽はクラスメイト3人と少しずつ馴染んでいく。<br />
<br />
名所巡りを一通り終えて、一行はツアーに含まれてたある民家を訪ねる。<br />
そこには、地獄と称される沖縄戦の生存者のおばぁがいて、その体験を語ってくれるそうだ。<br />
人数が少ないことを詫びて、縁側でおばぁの話を聞く。<br />
 </dd>
<dt>311 :<a href="mailto:sage"><b>3年B組金八先生 伝説の教壇に立て!</b></a>:2011/05/04(水)
23:33:18.68 ID:e9C5HqSY0</dt>
<dd>戦時中、学校は閉鎖され、おばぁ達女学生は、包帯の巻き方と注射の仕方だけ教わって戦場に出された。<br />
電灯もなく、空襲で焼けた荒地で、星だけが綺麗だった。<br />
おばぁには仲良しの女の子がいた。頭のいい子で、星座をたくさん教えてくれた。<br />
よく二人で星を眺め、戦争が終わったら勉強教えてねと笑い合っていた。<br />
そして地上戦が始まった。銃声、爆音、悲鳴の中二人で手を繋いで走った。<br />
しかしその子が怪我をして、二人は部隊からはぐれて洞窟に隠れた。<br />
「足が…足が熱い…もうダメだよう……」<br />
外には米軍がいて、「我々ハアナタタチヲ助ケニ来タデース」と投降を呼びかけている。<br />
<br />
「自決しよう。」<br />
その子が言う。今まで手当をしてきた兵隊たち、その無残な死に様は目に焼き付いている<br />
あんな風に酷く死んでいくなら、一撃で死なせてほしいとその子が言う。<br />
「お願い、一緒に死んで…」<br />
震える手で手榴弾が差しだされる。<br />
<br />
「不思議なもんだねぇ、その子は望み通り即死だったさ」<br />
その後の米軍の爆撃でその子は死に、自決の機を逃したおばぁは助かった。<br />
「当時は、アメリカ軍に投降したらスパイ行為だって、日本軍に禁止されててね<br />
軍から自決用に配られた手榴弾や青酸カリで、みんな死んでしまってたの。<br />
平和な時代に産まれてたらね…。戦争で皆かけがえの無い時間を失ってしまったさ。」<br />
<br />
おばあのを家を辞した生徒達は、バスで一団になって話をしている。<br />
「かけがえのない時間」はまさに今だ。補習なんかやってる場合じゃない。<br />
みんなもおばあの話を聞くべきだ、と子供たちの意見は一致する。<br />
<br />
ホテルに帰った主人公は、りん子と一緒に高峰を説得に行く。<br />
しかし高峰先生は、普段目をかけているミサキと、<br />
期待していた天才太陽が参加しなかったことで意地になっていて<br />
補習を取りやめようとはしない。<br />
ミサキは、それでも一人諦めていないが、高峰先生のことをフォローする。<br />
「でもね先生、高峰先生を悪く思わないでね。<br />
みんなが受験に負けないようにって、高峰先生はみんなの為にがんばってるの。<br />
だからミサキもがんばるんだ。高峰先生とは違うやり方だけど、ミサキもみんなの為にがんばる。<br />
絶対、思い出に残る修学旅行にするんだ!」<br />
<br />
翌日も、ミサキは高峰先生を説得しに行ったのだが…<br />
「一人で遊びに行くのは構わん、だがお前と桧山(太陽)はちがうんだぞ!<br />
お前は桧山の足をひっぱってるんだ!<br />
まったく、お前は勉強はできないが、バカではないと思ってたんだが。」<br />
高峰先生の言葉に、ミサキは駆けて行ってしまう。<br />
「追いかけなきゃ」と言う太陽を、「いつものことだ」と高峰先生がいなす。<br />
 </dd>
<dt>312 :<a href="mailto:sage"><b>3年B組金八先生 伝説の教壇に立て!</b></a>:2011/05/04(水)
23:34:23.05 ID:e9C5HqSY0</dt>
<dd>「受験がそんなに大事ですか?」<br />
太陽の言葉に、高峰先生は答える。<br />
「学歴が全てだとは言わん。<br />
だが、いい学校にいけば、人生の選択肢は広がる。<br />
桧山、お前には特にそうだ。<br />
これは、お前にこそ受けて欲しい補習なんだぞ!」<br />
<br />
「あんなミサキちゃんをほっといて、さぞかし素晴らしい選択肢なんですよね。<br />
やっぱりボクは、学校になんか来るんじゃなかった!!!!」<br />
太陽もまた走り去ってしまい、そして高峰先生は依怙地になってしまう。<br />
行方がわからなくなってしまった二人を探して、<br />
主人公と非補習組の3人は走りまわる。<br />
<br />
途中で、太陽と合流する事は出来た。<br />
「大変なんです!!ミサキちゃんが…!」<br />
沖縄の町を駆けていくミサキを太陽は追いかけたが、<br />
ミサキは性質の良くないDQNの集団にぶつかってしまった。<br />
止めに入った太陽は殴り飛ばされ、ミサキはその集団に連れ去られたという。<br />
<br />
この人数ではとても探しきれない。<br />
りん子と共に、一度ホテルに戻る。<br />
補習中の部屋に駆け込み、一緒にミサキを探してほしいと頼む主人公を、高峰先生ははねつける。<br />
「こちらも手一杯なんです。そちらは先生たちにおまかせします。<br />
それにしても、ミサキがこれほどバカだったとは…。」<br />
意地になってそう呟く高峰先生に、主人公が言葉を叩きつける。<br />
「頑張る生徒を認めてやれない、アンタが一番バカだろう?」<br />
生徒達に仲間を見捨てさせる、それが生徒の為になるのか?<br />
そういう指導をする為に、わざわざ教師になったのか?<br />
<br />
高峰先生は押し黙り、壁を向く。<br />
「先生方の出した問題は簡単だ。<br />
こんな問題も解けんような生徒には、引き続き補習を続行する。」<br />
高峰先生の言葉に、生徒たちは続々と席を立った。<br />
<br />
人海戦術で、携帯で連絡を取り合いながらミサキを探す。<br />
程なく、お嬢様の美智子が、廃倉庫に入っていくDQNを見つけた。<br />
連絡を受けて集まったDQNの仲間だとしたら、<br />
この中に相当数のDQNが…<br />
ここにいる生徒は、男子だけだと4人しかいない。<br />
しかも内3人は、元引きこもりの太陽、華奢な雪也、チビの健太だ。<br />
それ以前に生徒を危険な目にあわすには…。<br />
しかし、太陽の強い意志で、一斉に踏み込むことになる。<br />
 </dd>
<dt>313 :<a href="mailto:sage"><b>3年B組金八先生 伝説の教壇に立て!</b></a>:2011/05/04(水)
23:36:26.39 ID:e9C5HqSY0</dt>
<dd>が、中から急に扉が開いた。<br />
出てきたのは、どうやら無事なミサキと、高峰先生だった。<br />
「ホテルの地元民のスタッフさんに、暴走族の溜り場を聞いたんですよ。<br />
先生も、相当慌てていたようですね?」<br />
実にスマートな解決法だ。しかし何故かおでこが汚れている。<br />
<br />
「高峰先生が助けてくれたの!方法?えっとね…土下座で。<br />
先生、入って来るなり土下座して…<br />
気持ち悪がられるぐらい、何度も何度も土下座して…<br />
向こうも何か白けちゃったみたいで…。」<br />
高峰先生も、暴走しがちで意地っ張りなだけで、基本はいい先生なのだ。<br />
<br />
翌日、生徒たちを乗せたバスが続々と出発していく。<br />
B組も全員乗り込んで出発するが、やはりバスガイドさんは都合がつかなかった。<br />
「いるじゃない、バスガイドならうってつけの人が。」<br />
久住の推薦で、ミサキと太陽がバスガイドを務めることになり、<br />
快晴の沖縄にミサキの明るい声が響いたのだった。<br />
<br />
高峰先生は今回の件を反省しているらしく、直接詫びに来る。<br />
「ミサキにも色々教えられました。やはり頭のいい生徒です。<br />
そういう訳だからミサキ、東京に戻ったらお前は補習だ。<br />
頭はいいんだから、成績だって上げてみせろ。」<br />
ひええ~と呻くミサキの隣には、太陽もいた。<br />
「桧山、お前もだからな。」<br />
高峰先生の言葉に、太陽は笑顔で「はい」と頷いたのだった。<br />
<br />
&lt;6月終&gt;</dd>
</dl>
<dl class="thread">
<dt>317 :<a href="mailto:sage"><b>ゲーム好き名無しさん</b></a>:2011/05/05(木) 17:05:06.76
ID:iiymYMs20</dt>
<dd><a href="http://toki.2ch.net/test/read.cgi/gsaloon/test/read.cgi/gsaloon/1299906128/312" target="_blank" rel="noreferrer noopener">&gt;&gt;312</a><br />
健太って言う名前が唐突に出てきてる気がする<br />
 </dd>
<dt>321 :<a href="mailto:sage"><b>ゲーム好き名無しさん</b></a>:2011/05/06(金) 10:42:53.91
ID:L2aOgqxb0</dt>
<dd><a href="http://toki.2ch.net/test/read.cgi/gsaloon/test/read.cgi/gsaloon/1299906128/317" target="_blank" rel="noreferrer noopener">&gt;&gt;317</a><br />
脇役生徒の言動は基本省き、<br />
必要な時には、どんな生徒なのか一言加えて出そうと思います。<br />
現役アイドルのあやかとか、あやか親衛隊長の太郎とか。<br />
でも、もう他の生徒の出番はないかもしれません。<br />
<br />
イケメン塩見のシナリオ行きます。<br />
 </dd>
<dt>322 :<a href="mailto:sage"><b>3年B組金八先生 伝説の教壇に立て!</b></a>:2011/05/06(金)
10:44:22.66 ID:L2aOgqxb0</dt>
<dd>【12月・塩見】「汚れつちまつた悲しみに」<br />
<br />
休日、りん子先生は昔の恋人とバッタリ会う。<br />
新聞社で働く、御法川実というライターだ。(後に428にスピンオフ。)<br />
溌剌として仕事がうまくいっている様子の彼に、<br />
りん子先生は何故か教師をやっていることを言い出せなかった。<br />
<br />
朝の職員朝礼で教頭から、教師と生徒の恋愛を戒める説教が入る。<br />
その説教はドラマに影響された物だが、実際に過去クヌギ中で事件が起きている。<br />
5年前、クヌギ中で女子生徒が一人自殺した。<br />
表向き、原因は受験ノイローゼということにはなっているが、<br />
その生徒は教師と恋愛関係にあったと言われている。<br />
<br />
休日、りん子先生と鉢合わせた。<br />
りん子先生は、「教師とは何か?自分は教師に向いているのか?」とこの頃悩んでいる。<br />
話しながらりん子先生を送っていくと、塩見がアパートの前に立っていた。<br />
塩見は、主人公もいるのを見ると帰ってしまった。<br />
この頃塩見も何か思い悩んでいる様子で心配だ。<br />
帰りに、怪しい風体の男が、りんこ先生のアパートの周りをうろついているのを見かける。<br />
りん子先生は、その翌日から体調不良で欠勤が続く。<br />
<br />
心配してお見舞いに行くと、変なメールが来たと相談された。<br />
寝起きのりん子を窓外から撮影した写真が添付され、<br />
「昼も夜もあなたを想っています。自分を罪人のように感じながら」と書かれていた。<br />
アパート周りをしつこくうろついていた、怪しい男の仕業だろうか。<br />
ストーカーが怖くて外に出られないりん子を、主人公は毎日送り迎えすることにした。<br />
<br />
りん子先生と二人で登校していると、塩見に出くわした。<br />
また塩見は何も話さず行ってしまう。<br />
その日返ってきた模擬テストで、塩見が白紙提出していたのが分かった。<br />
それは塩見が得意なはずの英語だった。英語担任のりん子は心配する。<br />
聞いてみれば、他の教科でも塩見は授業を脱走したり妨害したりしているらしい。<br />
<br />
担任と副担任として、主人公とりん子は塩見と面談する。<br />
りん子の熱心な説得を、塩見は適当に流し、返事だけは素直に帰っていく。<br />
しかし翌日、塩見は運動場中に石灰でミステリーサークルを描き、<br />
「ベントラー!ベントラー!宇宙人が来たぞ!!!」と大騒ぎをする。<br />
<br />
塩見は、決してこんな事をするタイプではない。<br />
ニヒルで冷めていて、口数は少ないが寸鉄釘を刺す。自分のペースを崩さない奴だったはずだ。<br />
彼は何故こんな自暴自棄な振る舞いをするのか?<br />
受験くらいでうろたえる子ではないように思える。<br />
あの日、呼び止めてでも、何を話しに来たのか聞くべきだったとりん子先生は悔やむ。<br />
 </dd>
<dt>323 :<a href="mailto:sage"><b>3年B組金八先生 伝説の教壇に立て!</b></a>:2011/05/06(金)
10:45:16.81 ID:L2aOgqxb0</dt>
<dd>所業が目に余る塩見を、教頭が保健室登校などで隔離したがる。<br />
りん子先生は却下し、理由も無くあんな事をする子ではないと主張する。<br />
教頭は、苦々しく呟く。<br />
「いい加減気付きなさい。生徒はね、裏切るんだよ。」<br />
<br />
晩に、りん子先生宅の周りをウロウロしているストーカーを見つけた。<br />
捕まえてみると、なんとりん子先生のお隣さんだった。<br />
「かまいたちの夜」の激レア限定品、真理ちゃんストラップを落としてしまい、必死で日夜探していたのだ。<br />
これでストーカー説はなくなり、主人公も送り迎えのお役御免…<br />
と思ったが、それなら一体メールは誰が送ってきたのだろう?<br />
二人でりん子の部屋の前まで行くと、誰かが居る。<br />
塩見が暗がりから二人を睨んでいた。すぐに踵を返して消えてしまう。<br />
<br />
翌日、塩見は学校を欠席した。<br />
ヒカルとギンペイが電話しても塩見は出ず、家庭訪問しても門前払いされた。<br />
その晩、主人公は何となくりん子の家の前を通る。すると、そこには塩見とりん子が居た。<br />
塩見はすぐに帰ってしまったが、りん子は話ができて満足そうだ。<br />
「明日迎えに行くから、一緒に学校行こうね。」<br />
そう約束したと、りん子は嬉しそうにしていた。<br />
翌日、二人は学校に来なかった。<br />
<br />
リン子は無断欠勤、塩見はリン子が迎えに来てから所在不明。<br />
職員室は騒ぎになり、主人公は二人を探しに街に出る。<br />
町はずれの廃ビルに近づくと、話し声がする。ブルーシートの隙間から覗くと二人が居た。<br />
リン子先生はパイプ椅子に縛りつけられ、塩見はその前でうなだれている。<br />
「ずっとこうしてようよ…。こうしてられたら、俺は満足なんだ…」<br />
「先生!」りん子先生がこちらに気づいて叫び、塩見が手で目を覆い呻く。<br />
「なんでいつもそばにいるんだよ!!先に出会ったのは俺なのに!<br />
英語の成績だってよかったろ。俺頑張ったんだぜ!<br />
それに変な男がいたから毎日見張った。<br />
それでも俺の気持ちに気づいてくれなかったから、俺は…!」<br />
 </dd>
<dt>324 :<a href="mailto:sage"><b>3年B組金八先生 伝説の教壇に立て!</b></a>:2011/05/06(金)
10:46:18.10 ID:L2aOgqxb0</dt>
<dd>「そんなにいっぱいサイン出してくれてたんだね。<br />
塩見君を追い詰めたのは私だった…私ほんとにダメ教師だね。<br />
私、教師として…教師として…」<br />
りん子先生は目に涙を溜めて自分を責める。主人公は<br />
「教師であることに囚われるな。人として彼に向き合え。」と言った。<br />
りん子先生は、キッと顔を上げると、塩見に手枷を外すように言った。<br />
自由になったりん子は、塩見を思いっきり張り飛ばした。<br />
「私に教師として君を叱る資格は無い。でも一人の女としては言える。<br />
塩見、力づくなんて最低よ!!!」<br />
<br />
この事は、3人だけの秘密にしようとりん子先生が言う。<br />
「さ、学校いこ?」<br />
<br />
その日の放課後、日暮れすぎ。残業しているのは主人公とりん子だけだった。<br />
「教頭は、生徒は裏切るって言ってましたよね。<br />
私、裏切られるのも教師の仕事の内だと思うんです。<br />
裏切られても、裏切られても、私は最後まで生徒を信じていきたいんです。」<br />
ゴタゴタを抜けて気づいたが、今日はクリスマスイブだ。<br />
りん子は元彼に電話をかけ、デートを断る。<br />
そして明かりを消し、アルコールランプをつけて、冷蔵庫からビールとおつまみを出して…<br />
職員室の中、二人でイブを祝ったのだった。<br />
 </dd>
<dt>325 :<a href="mailto:sage"><b>3年B組金八先生 伝説の教壇に立て!</b></a>:2011/05/06(金)
11:09:04.55 ID:L2aOgqxb0</dt>
<dd>&lt;12月終&gt;<br />
<br />
この塩見シナリオは、正直?って感じです。<br />
普段は、ニヒルでめんどくさがり屋だけど、<br />
友達のピンチには黙って体張る熱い奴です。<br />
<br />
他に塩見が関わるのは、<br />
【6月・ギンペイ】「勝手にしやがれ」<br />
修学旅行先の沖縄で、ギンペイが警察に捕まってしまう。<br />
ギンペイは無闇に暴力をふるう男ではないはずなのに。<br />
ギンペイの前に、昔の知り合いだと言う少女が現れたと言う事が分かるが…。<br />
というお話。<br />
<br />
【10月・複数人】「決戦!激戦!体育祭!!」<br />
かつて、伝説のドリームチームと謳われた一組の騎馬がいた。<br />
彼らは体育祭にて数多の栄光を残し、クラス替えによって分かたれた。<br />
しかしその武勇は語り継がれ、今なおファンも多いのである。<br />
3-Bの塩見とギンペイも、その騎馬の一員だった。<br />
残るメンバーは3-Cで、今年の体育祭にクラスを指導して強い騎馬戦チームを準備している。<br />
その3-Cから挑戦を受け、更に「C組に負けたら、セクハラ野郎と忌み嫌われている担任関原先生とりん子先生がデートする」<br />
という条件がついてしまう。<br />
りん子の奔走で、やる気のない塩見とギンペイもどうにか参加させ<br />
ドリームチームの欠員に、「ドリームチームの大ファン」太郎が入り…<br />
というお話。<br />
<br />
長くなるし、メインではないので省きます。<br />
 </dd>
<dt>326 :<a href="mailto:sage"><b>3年B組金八先生 伝説の教壇に立て!</b></a>:2011/05/06(金)
11:12:59.51 ID:L2aOgqxb0</dt>
<dd>最後は、ゲームのメインともいえるヒカルのシナリオです<br />
1周目ではグッドエンド止まり<br />
周回で手に入る「千春の日記」の使用でベストへ行けます。<br />
<br />
※「死と乙女」<br />
ウィーンの画家エゴン・シーレが描いた絵。<br />
恋人と抱き合う自分を描いた絵だが、<br />
シーレの姿は死神として描かれ、少女はそれに暗い顔で抱きついている。<br />
<br />
<br />
【1月・ヒカル】『Tod und Madchen  Erster Teil(死と乙女 第一部)』<br />
<br />
月の光だけを頼りに、男は憑かれたように絵筆を走らせる。<br />
狂騒的なオペラが響く中、描かれている絵はねじくれたような自画像。<br />
取り囲む同じようなキャンバスの中に、一つだけ少女がモチーフのものがある。<br />
憔悴しきった美しい少女が、絶望に瞳を虚ろにさせ俯いている絵だった。<br />
<br />
<br />
サクラ中で美術教師が退職し、ウィーン帰りの元美術教師が後任に雇われた。<br />
「桐谷です…。教職につくのは6年ぶりになります…。<br />
おや、久しぶりだね。君とこんな所で再会するとは。」<br />
その顔を見た瞬間、主人公に忘れられない記憶がフラッシュバックする。<br />
屋上のフェンス越しに、少女が泣きそうな顔で微笑む。<br />
そのまま彼女は後ろに倒れていく。長い髪が重力に一瞬取り残されなびく。<br />
そして彼女は視界から消える。6年前から続く悪夢。<br />
その日の朝礼で、桐谷が生徒に挨拶した。<br />
皆が引きあげていく中、ヒカルは険しい顔で桐谷を見つめて動かない。<br />
そのヒカルに近づくと、桐谷は微笑んだ。<br />
「また会えたね。」<br />
<br />
主人公は桐谷を追いかける。彼は屋上にいた。<br />
彼に纏わる記憶は、ほとんど屋上のものだけが灼きついている。<br />
「ウィーンから帰ってきた甲斐があったよ。<br />
君は忘れてしまったかな?冬月千春のことを。<br />
また楽しくやらせてもらうよ。クヌギ中の時のようにね。」<br />
<br />
高峰先生が美術室に桐谷を訪ねるのに出くわす。<br />
「モチーフは自画像ですか?エゴンシーレがお好きなようだ。」と高峰は見抜く。<br />
エゴン・シーレ。<br />
ウィーン表現主義の画家。彼の関心の対象は自分であり、表現は内部へ内部へと向かった。<br />
デフォルメされ、身をよじり、内面の欲望と苦悩を剥きだした自画像を多く描く。<br />
退廃と官能、エロスとタナトスをテーマに掘り下げ、<br />
あらゆる物は生きながら死んでいるという言葉を残した。<br />
 </dd>
<dt>327 :<a href="mailto:sage"><b>3年B組金八先生 伝説の教壇に立て!</b></a>:2011/05/06(金)
11:16:33.86 ID:L2aOgqxb0</dt>
<dd>ヒカルは桐谷に刺々しい態度で接し、親友のミサキを桐谷に近づけさせなかったが<br />
人懐こいミサキは、ヒカルの監視をすり抜けて桐谷と仲良くなっていった。<br />
桐谷は、ミサキといる時はジェントルでウィットに富み、いかにも大人の男という素振りだ。<br />
主人公もミサキを気にかける。明るい彼女にも悩みがあった。<br />
ヒカルと太陽は、同じ開栄高に進学する。ミサキの頭ではどうしても無理な学校だ。<br />
大事な2人に置いていかれる寂しさが、ミサキを少し依怙地にさせているのかもしれなかった。<br />
<br />
ヒカルは、桐谷が来てから、目に見えて暗くピリピリしている。<br />
校内には、桐谷を信奉する者も出始めた。<br />
桐谷の父親は文部科学省の高官であり、本人にも人を捕える屈折した魅力と話術がある。<br />
桐谷の紹介で、真学受験会という受験コンサルタントが学校と提携に食い込んでくる。<br />
実は、真学受験会は裏口入学を斡旋する仲介業者。しかしそれを暴く手立ては無い。<br />
学校にブースが置かれ、受験に不安を持つ生徒が次々に入会していく。<br />
<br />
ミサキを大事にしている高峰先生や、ヒカルの幼馴染シオミとギンペイは、桐谷を胡散臭く思っている。<br />
しかしヒカルは暗く、ミサキは桐谷の事で説教する高峰先生を鬱陶しく思い始めている。<br />
ミサキはすっかり桐谷と親しくなり、突然開栄へ志望校を切り替えた。<br />
桐谷を信じ込み、真学受験会に通い、誰の忠告も受け付けない。<br />
「ミサキ、もうバカはイヤなの!」<br />
<br />
高峰先生に問い詰められても、桐谷は動じない。<br />
「私の目的?絵を描くことですよ。」<br />
事態はどんどん悪化していく。<br />
ミサキとヒカルが大喧嘩をした。ミサキが、「桐谷先生のことが好き」と言ったからだ。<br />
猛烈に反対するヒカルに耳を貸さず、ミサキは桐谷にベッタリ依存している。<br />
<br />
そして事件が起きた。<br />
高峰先生が、ミサキと腕を組んでラブホテル街を歩いている所を激写され、退職処分を受けたのだ。<br />
高峰先生は、絶対に生徒に下心を持つ男ではない。彼は骨の髄まで有能な教師だ。<br />
証拠はないが、可能性は一つしかない。ミサキが高峰を罠にハメたのだろう。<br />
ミサキも、そんな事をする少女ではなかったはずだった。<br />
裏でミサキを操った人物がいる。<br />
父のように慕っていた高峰先生に、ミサキが二度と顔向けできなくなるような事をやらせた悪魔が。<br />
母親の表情も暗く、「もう自分の娘だと思いたくありません」と零す。<br />
<br />
ミサキは学校に来なくなった。<br />
太陽はミサキを信じて、悪い噂を流す連中と戦っている。<br />
ヒカルは、桐谷との対決に赴く。<br />
<br />
「何が目的なの!?ミサキをどうするつもり!?」<br />
「私は、君との約束を果たしに来た。」<br />
ヒカルは一瞬考え込み、何かに思い当たると、瞳に恐怖を浮かべて逃げ出した。<br />
6年前のあの日――飛び降り自殺した姉のお葬式に、桐谷は来ていた。<br />
幼いヒカルを見下ろし、微笑んでこう言った。<br />
「次は君を描こう。」<br />
 </dd>
<dt>328 :<a href="mailto:sage"><b>3年B組金八先生 伝説の教壇に立て!</b></a>:2011/05/06(金)
11:20:48.09 ID:L2aOgqxb0</dt>
<dd>主人公の元に、塩見とギンペイが報告に来る。<br />
ニヒルと強面の一匹狼二人が、ヒカルの為に毎日ミサキの家に通い続け、<br />
今日やっとインターホン越しに話ができたと言う。<br />
何であんなことやったんだと問う二人に、ミサキは泣きながら答えた。<br />
「好きだったの、桐谷先生が。先生、バカなミサキにとっても優しかったの。<br />
先生の言う通りにしたら、何もかもうまくいくっていうから……<br />
先生が、自分と付き合いたいなら良い高校行ってほしいって…<br />
その為には、高峰先生が邪魔だって…。」<br />
ギンペイが扉を叩き吠える。<br />
「お前高峰の恩を忘れたんかよ!?」<br />
「そんなことないよっ…桐谷先生、ミサキが開栄行ったら、高峰先生も喜ぶから大丈夫だって…」<br />
塩見が扉に手を付き溜息をつく。<br />
「お前、桧山が好きなんじゃなかったのか。」<br />
「わかんないよ…最初は太陽くんと同じ学校行きたいって思ったから…<br />
でも、それより、桐谷先生にほめられたいって思うようになって…」<br />
ミサキは泣きじゃくり、ギンペイは俯く。<br />
「バカヤロウ!!」<br />
<br />
満月の夜、ヒカルは美術室へ向かっていた。<br />
桐谷に、“私を疑うのなら、夜に来たらいいものを見せよう”と言われて、忍びこんだのだ。<br />
美術室には内側から簡単な錠がかかっていて開かない。<br />
覗き窓から、ミサキが立っているのが見える。<br />
<br />
「先生、ミサキのこと捨てないよね…?」<br />
親友のヒカルを罵り、慕っていた高峰先生を陥れ、案じてくれた担任を欺き<br />
好き合っていた太陽を裏切り、唯一の家族母に見限られて、幼馴染たちに自分のした事を打ち明けてしまった。<br />
もう桐谷以外には何も残っていない。<br />
桐谷はのんびりと椅子に座り、冷笑したまま答えない。<br />
「ミサキが死んだら、ずっとミサキを忘れないでいてくれるの?」<br />
持ちあがった右手には、果物ナイフが握られている。<br />
 </dd>
<dt>329 :<a href="mailto:sage"><b>3年B組金八先生 伝説の教壇に立て!</b></a>:2011/05/06(金)
11:21:21.29 ID:L2aOgqxb0</dt>
<dd>ヒカルは絶叫し、扉を激しく揺すり続ける。<br />
ミサキは左手首を掻き切り、床に崩れ落ちて見えなくなった。<br />
錠を吹き飛ばし、ヒカルはミサキにかけよって抱き起こす。<br />
桐谷は準備室へと歩き去り、ヒカルの悲鳴が室内に残る。<br />
<br />
桐谷は、狂気に目玉を飛び出させながら、今録音したヒカルの絶叫をヘッドホンで繰り返し聴き続け<br />
木炭でキャンバスに下絵を描いていく。<br />
ヒカルが扉を開き、よろめいたように戸口に縋り、ミサキを見つめた瞬間。<br />
憔悴した美しい少女が、絶望に凍りついた瞬間の表情を抽出して表現していく。<br />
<br />
その頃りん子は、夜の公園で、主人公に電話をしていた。<br />
真学受験会が、献金による裏口入学の仲介をしていること、首謀者が桐谷であることを突き止めたのだ。<br />
興奮して声高に喋るりん子に、誰かがぶつかる。りん子が倒れ、血染めの包丁が落ちる。<br />
<br />
病院に搬送されたミサキに付き添ったヒカルは、鏡を見てメガネを取り、髪を下ろした。<br />
こうすると、自殺した姉にそっくりだった。<br />
<br />
<br />
&lt;1月終&gt;2月に続く。</dd>
</dl>
<dl class="thread">
<dt>337 :<a href="mailto:sage"><b>3年B組金八先生 伝説の教壇に立て!</b></a>:2011/05/07(土)
21:43:04.20 ID:3qsP9NQm0</dt>
<dd>【2月・ヒカル】『Tod und Madchen Zweiterr Teil(死と乙女 第二部)』<br />
<br />
激動の一夜だった。<br />
りん子を発見したギンペイから連絡を受け、<br />
救急車に同乗した主人公は、校長からミサキ自殺未遂の連絡を受けた。<br />
桐谷が来てから、全てが壊れていく。<br />
桐谷の毒が回っているかのように、日常が崩壊していくのだ。<br />
6年前のように…。<br />
<br />
その桐谷は、満月の美術室で筆を置き呟いた。<br />
「まだ、足りない…。」<br />
<br />
夜が明けて、りん子とミサキは命に別条が無い事が確認された。<br />
ヒカルはメガネを取り髪を下ろしたまま登校している。<br />
そして主人公と屋上で話し合った。<br />
ヒカルは、自殺した冬月千春の妹だ。両親が離婚しているから姓が違う。<br />
まだ新任だった主人公は、千春と元から知り合いで、「お兄ちゃん」と慕われていた。<br />
千春は、桐谷に恋をして、ミサキのように追い詰められ自殺した。<br />
それを、主人公は知っている。でもそれを暴く手立てがない。<br />
ヒカルは、「私がお姉ちゃんの敵を取る」と息巻いている。<br />
<br />
りん子の元彼御法川が、りん子が調べていたことを継いで事件を追うと申し出た。<br />
凄腕ライターが味方についたからには、そっちは任せておける。<br />
主人公がミサキの見舞いに行くと、そこにヒカルも居た。<br />
<br />
ミサキは「ひどいよ、ヒカルちゃん。」と暗く呟く。<br />
桐谷が少し前に来て、言い置いていったというのだ。<br />
“中島ヒカルの事が好きになったからもう別れよう”と。<br />
「ヒカルちゃんのせいだよぉ!私の気持ち知ってるくせに先生に近づいて!<br />
先生に捨てられるくらいなら、わたし何度だって死んでやる!!!」<br />
怪我した手をベッドに打ちつけながらミサキが泣きじゃくる。<br />
バカで幼稚で、幼い心をいつも悲しい程の劣等感で一杯にしているミサキ。<br />
このままなら、彼女は同じことを繰り返し、いつか本当に死んでしまうだろう。<br />
<br />
美術室に桐谷を問い詰めに行った主人公は、そこで絵を見せられる。<br />
少し単純化して表現された冬月千春の絵だった。<br />
憔悴し、暗い瞳は虚ろに彷徨っている。<br />
傍らの描きかけの絵はヒカルだ。<br />
何かに縋るように立ち、今にも叫び出しそうな顔をしている。<br />
「一時つまらない怒りなど忘れ、この絵の圧倒的な力を感じてみたまえ。<br />
生と死、希望と絶望、世の中のものは相反する二つの物でできている。<br />
希望と生命に溢れた15歳の少女が、絶望に追い詰められ<br />
暗い死へと抱擁されていく様が、僕の永遠のテーマなんだ。」<br />
要するに、エゴン・シーレ厨のマジキチロリコンサイコ、という話。<br />
 </dd>
<dt>338 :<a href="mailto:sage"><b>3年B組金八先生 伝説の教壇に立て!</b></a>:2011/05/07(土)
21:44:08.98 ID:3qsP9NQm0</dt>
<dd>塩見がギンペイを怒鳴りつけているところに出くわす。<br />
ギンペイは、刺されたりん子を発見した時に、包丁を見つけたらしい。<br />
「きり…や…」りん子の呟きに、桐谷が犯人だと思ったギンペイは、<br />
桐谷を問い詰める為にその包丁を持ち帰った。<br />
しかし、花火職人であるギンペイの祖父の仕事に、圧力がかかり始めた。<br />
祖父を尊敬しているギンペイは身動きできなくなり、<br />
この件の表舞台から退こうとしているのだった。<br />
塩見もまた、無関係なネット詐欺騒動にうまくはめられ、<br />
脅迫犯と間違われて、セクハラ関原にバットで頭を割られている。<br />
幸い軽傷だったものの、危ういところだった。<br />
高峰先生も、学校を追われてから荒れに荒れ、<br />
泥酔してゴミ捨て場に倒れこんでいるところを目撃されている。<br />
<br />
ヒカルの周りの人たちが、桐谷の操る糸に絡め取られていく。<br />
そうやってヒカルを絶望へ追い詰めていくのが桐谷の目的だ。<br />
現にヒカルは、友人たちに危険が及んでいることを深刻に危惧している。<br />
とにかく、包丁は主人公が預かり、御法川を通じて警察に提出する。<br />
<br />
御法川とヒカルと主人公は、りん子から伝えられた協力者に会う。<br />
6年前クヌギ中にいた、菊川という元教師だ。<br />
彼は千春の自殺直前にクヌギ中を辞めていたが、<br />
りん子の求めに応じて、真学受験会の話を聞かせてくれたのだった。<br />
だが、千春と桐谷のことになると歯切れが悪い。<br />
「あなたもショックだったでしょう?<br />
当時のことは、あんたの方がよくご存じのはずだ。」<br />
主人公にそう言って元教師は去って行った。<br />
3人で今の状況について話し合う。<br />
桐谷がやっていることは、どれも証拠は無く法にも触れていない。<br />
記事にしたくても無理なのだと言う。<br />
「死人でも出れば、センセーショナルに叩くことは可能だがな…」<br />
青ざめるヒカルに、慌てて御法川が謝る。<br />
<br />
ミサキが2度目の自殺未遂を起こした。<br />
刃物は全て隠されていたが、夕飯で使ったフォークで手首を掻き切ったのだ。<br />
ミサキの母も、娘とうまく接する事が出来ず憔悴している。<br />
「私もどうしていいのかわからなくて。<br />
こんな時、高峰先生がいてくれたら…。」<br />
<br />
病院を辞した後、ヒカルが主人公に呟く。<br />
「もうやだ…。私、もう誰の死ぬ所も見たくないよ…。」<br />
ヒカルは、主人公を撒いて桐谷に会いに行く。<br />
「一体何がしたいの?<br />
私はどうしたらいいのよ?」<br />
桐谷は、「君はただ生き続ければいい。周囲を犠牲にしてね」と返した。<br />
 </dd>
<dt>339 :<a href="mailto:sage"><b>3年B組金八先生 伝説の教壇に立て!</b></a>:2011/05/07(土)
21:46:30.26 ID:3qsP9NQm0</dt>
<dd>ヒカルをおいて美術室を出た桐谷は、主人公に出くわす。<br />
「芸術家は、何故作品を作ると思います?<br />
自分の中にある物を作品として表現しないと、自分が破裂してしまうんですよ。<br />
私は今、救われつつある…。」<br />
<br />
教頭から報せを受け、主人公が駆けつけると、<br />
ヒカルは屋上のフェンスの向こうにいた。<br />
主人公の呼びかけに答えず、<br />
ヒカルは、携帯からミサキの留守電に電話をかける。<br />
「”はーい、ミサキでーす!今ちょっと電話に出られないから、<br />
メッセージを残して下さい!よろしくナリ!」<br />
「あ…もしもしミサキ、私ヒカル。どう?少しは元気出た?<br />
こないだ言い損ねたんだけど、人を好きになるっていいよね。<br />
私はまだ誰かに本気で恋したことはないけど、<br />
きっと、魔法にかかったみたいに好きになっちゃうんだろうね。<br />
…怒らないで聞いてね?<br />
ミサキは、悪い魔法使いに魔法をかけられちゃったんだよ。<br />
だから、私がその魔法を解いてあげる。<br />
ミサキは、私の大事な友達。それは何があっても変わらない。<br />
変わらないから…。元気でね。」<br />
<br />
通話を切ったヒカルは、主人公を振りかえり、<br />
「さようなら」と呟いた。<br />
 </dd>
<dt>340 :<a href="mailto:sage"><b>3年B組金八先生 伝説の教壇に立て!</b></a>:2011/05/07(土)
21:48:57.82 ID:3qsP9NQm0</dt>
<dd>ここで、千春の日記の封印が解けていない場合。<br />
<br />
ヒカルは、この屋上と垂直に面した別校舎でこちらを見ている桐谷を睨む。<br />
「私は絶望なんかしてない。<br />
あなたの思い通りになったわけじゃない。」<br />
そして、すっと前に倒れるように、屋上から落ちていく。<br />
<br />
主人公は、下駄を脱ぎ散らしてフェンスを飛び登り、<br />
落ちるようにしてヒカルの手を掴んだ。<br />
ヒカルの体が落下を止めて、ブラリとぶら下がる。<br />
そこから数秒、主人公は不安定な体勢で屋上縁にしがみついていたが、<br />
耐えきれず、ヒカルともども屋上から落下した。<br />
飛び交う生徒の悲鳴の中、落ちていく主人公はヒカルの頭を抱き込む。<br />
<br />
主人公が目を覚ますと、そこは病室だった。<br />
途中木に引っかかって芝生に落ちたことで、何とか軽傷で済んだらしい。<br />
ヒカルも、軽い骨折で同じ病院に入院していた。<br />
ミサキもヒカルの自殺未遂で、ようやく目を覚ました。<br />
「ごめんね、ヒカルちゃん…ミサキまたバカしちゃった。<br />
ヒカルちゃんがウソついてるわけないって、気付けるはずだったのに…<br />
ミサキ、もう桐谷先生のこと忘れる。<br />
でも、本当に、桐谷先生のことが好きだったんだよ…」<br />
泣きじゃくるミサキを抱きしめるヒカル。<br />
<br />
御法川が主人公を訪ねてくる。<br />
「これはもう記事にするとかいうレベルじゃないな!<br />
今ある証拠全てかき集めて、あいつを告発だ!」<br />
お得意の指差しポーズで宣言する御法川。<br />
そのまま校長室まで進軍していくが、<br />
証拠が足りず、というか全てはこちら側の証言しか決め手が無く、<br />
校長にあまり相手にされず終わってしまう。<br />
 </dd>
<dt>341 :<a href="mailto:sage"><b>3年B組金八先生 伝説の教壇に立て!</b></a>:2011/05/07(土)
21:50:43.23 ID:3qsP9NQm0</dt>
<dd>千春の日記解放の場合。<br />
<br />
千春の死は、主人公に深い傷を残した。<br />
主人公は、その傷を千春の記憶と共に封印していた。<br />
しかし桐谷の言葉に、主人公は千春の死と向き合う覚悟をする。<br />
彼女の死と向きあい、乗り越えなければ、ヒカルを本当に救うことはできない。<br />
<br />
<br />
第0話「untitled」<br />
6年前。<br />
主人公は教師になりたてで、4月に初出勤した。<br />
土手にたたずむ主人公に、少女が声をかけた。<br />
「お兄ちゃん!なにボーっとしてるの?<br />
今日から先生でしょ?しっかりしなきゃ♪」<br />
妹の様に親しくしてる少女、冬月千春だった。<br />
<br />
「ねぇお兄ちゃん、この学校にはね、秘密があるんだ…。」<br />
千春の脳裏に明滅する断片的なシーン。<br />
割られた石膏像、死ねと書き殴られた黒板、一人を取り囲む少女たち、桐谷の目。<br />
少女の手で刃を出されるカッター、破かれた教科書、一人ポツンと座る少女、机の上に置かれた花瓶。<br />
「でも、お兄ちゃんが来てくれたから、もう大丈夫だね。」<br />
千春は振り返ってにっこり微笑んだ。<br />
「ねっ先生?」<br />
<br />
屋上にぼんやり佇む千春。<br />
脳裏をよぎるのは、水を抜かれ死んだ金魚、蹴飛ばされるゴミ箱、床に突き倒される自分。<br />
主人公が屋上に入ってきて、振り返る千春。<br />
「お兄ちゃん、学校には慣れた?女子にからかわれたりしてない?」<br />
主人公に笑いかけながら<br />
「なんでもない、なんでもない…」と自分に言い聞かせていた。<br />
<br />
職員会議で、ある教師が真学受験会のパンフレットを机に叩きつけ吠えた。<br />
「あんな男に学校をいいようにされていいんですか!?」</dd>
<dt>343 :<a href="mailto:sage"><b>3年B組金八先生 伝説の教壇に立て!</b></a>:2011/05/07(土)
21:55:31.32 ID:3qsP9NQm0</dt>
<dd>主人公は、桐谷と割に親しくしていた。<br />
いや、桐谷が主人公に親しく近づいてきた。<br />
「人の心が壊れる時には音が出るのを知っていますか?<br />
クリスタルを弾くような音だ。キィン。<br />
いい音ですよ。」<br />
<br />
キィン。ゴミ捨て場に、泥酔した男が倒れ込む。<br />
職員会議で桐谷を告発した男であり、<br />
6年後主人公達にそれを語ることになる元教師、菊川だった。<br />
<br />
「じゃあ、私どうしたらいんですか?」<br />
夕暮れの美術室で、絵を描く桐谷に千春が問いかける。<br />
立ち上がった桐谷は、すれ違いざま千春に呟く。<br />
「腐りながら生きていけ。」<br />
キィン。千春は立ち尽くす。<br />
<br />
目まぐるしく回転する主人公の記憶。<br />
屋上への階段を駆け上る時の視界。「大変です!3年の冬月千春さんが…!」<br />
フェンス越しに微笑む千春。「お兄ちゃん…ううん、先生は悪くないから。」<br />
取り囲む報道陣の声。「噂されている不正入学の件とは無関係なんですか!?」<br />
桐谷の薄い微笑み。「残念ですよ。でも、もう一人いるんだ。」<br />
千春の遺影。「お姉ちゃんを守ってくれなかったの!?」<br />
<br />
「お兄ちゃん、お願いがあるの。<br />
これ、持ってて欲しいんだ。」<br />
生前、千春から渡されたピンク色の日記帳。<br />
しかし、主人公はそれを開くことが出来なかった。<br />
あれから6年、封印してきた千春の日記。<br />
主人公は、それと向きあい、ページをめくる。<br />
<br />
<br />
日記解放状態でヒカル自殺未遂を迎え<br />
「さようなら」と言われたタイミングで、千春の日記を見せると展開が変わる。<br />
<br />
「2月8日<br />
私のかわいい妹へ。<br />
この日記をあなたが読んでいるという事は、<br />
あなたは今悩んだり迷ったりしているのでしょう。<br />
私も今、迷っています。多分私は、最低の形で結論を出すことになるでしょう。<br />
だけどヒカル、あなたは私のようにならないで。<br />
悩んで、迷って、生きてください。」<br />
<br />
「…お姉ちゃんにそんなこと言われても説得力無いよ!<br />
じゃあ、なんで死んじゃったの!?」<br />
ヒカルは、別校舎からこちらを見つめる桐谷を睨む。<br />
桐谷だけが真相を知っているのだ。</dd>
</dl>
<dl class="thread">
<dt>345 :<a href="mailto:sage"><b>3年B組金八先生 伝説の教壇に立て!</b></a>:2011/05/07(土)
22:05:51.28 ID:3qsP9NQm0</dt>
<dd>「私は絶望なんかしていない。<br />
あなたの思い通りになったわけじゃない。」<br />
フェンスをよじ登った主人公が、ヒカルの隣に降り立つ。<br />
ヒカルは主人公に抱きつき、主人公もヒカルを抱きしめた。<br />
「お兄ちゃん、ありがとう…」<br />
そう呟いたヒカルの声に、千春の声が重なって聞こえた気がした。<br />
<br />
翌日、校長室に呼び出された主人公は、「自主退職勧告」を申し渡された。<br />
理由は、「主人公の指導方針が、中島ヒカルの自殺未遂を引き起こした」というもの。<br />
校長はこちらを見ず、教頭も納得のいっていない顔だ。<br />
<br />
校長室を辞した主人公は、職員室で教頭に話しかけられた。<br />
「恐らくあの男の圧力だろう…。<br />
しかしキミ、辞めるにしたって、急なことだから色々準備があるんじゃないか?<br />
そう3日位は必要だろう。その3日で、あの男を追い落としたまえ。<br />
それしか、キミがこの学校に残る手立てはないぞ。」<br />
教頭のデレを頂き、桐谷失墜の為行動を始める。<br />
<br />
<br />
ミサキの元には、高峰先生がお見舞いに来ていた。<br />
「高峰先生、ごめんなさい…」<br />
「いいんだ。もう、忘れなさい。<br />
私はね大学生の頃、お前のお母さんが好きだったんだ。<br />
でも、男女の仲っていうのは、テストみたいに勉強したらうまくいくもんじゃなくってなぁ…」<br />
「先生、それじゃあ…」<br />
「ふられたよ。でもふられたからって相手のことを嫌いになれるわけじゃないだろう。<br />
お母さんから、ミサキのことを頼むって言われた時は、複雑だったよ。<br />
嬉しいような、辛いような…。でも一つだけはっきりしてたのは、<br />
お前を見捨てない。必ず立派に卒業させてやる、ってことだった。<br />
まぁ、あまりの出来の悪さに頭を抱えたけどなぁ。」<br />
高峰先生は、思い出し笑いに顔をほころばせた。<br />
「そして、お前の面倒を見ているうちに、私は変わった。<br />
学校はもっと楽しい場所でいい。お前がそう教えてくれたんだ。<br />
私は、ミサキのおかげで、本当の教師になれたんだよ。<br />
だから、謝らなくていい。私がお礼を言いたいくらいなんだ。」<br />
「高峰先生…本当にごめんなさい、ごめんなさい……」<br />
泣きじゃくるミサキを、高峰先生がなだめる。<br />
二人はまた、以前の親子の様な関係にきっと戻れるだろう。<br />
 </dd>
<dt>346 :<a href="mailto:sage"><b>3年B組金八先生 伝説の教壇に立て!</b></a>:2011/05/07(土)
22:06:53.68 ID:3qsP9NQm0</dt>
<dd>りん子先生の所にも、3年B組一同がお見舞いに来ていた。<br />
しばらく和気あいあいと再会を楽しんだところで、<br />
りん子先生がふと真面目な顔をした。<br />
「ねぇ皆、真学受験会に通っている子多いよね?<br />
推薦入学の話とかされなかった?」<br />
該当する生徒達が、顔を見かわす。<br />
「お父さんが、そんな話されたって言ってた。」<br />
「うちも、お母さんに電話かかってきた。」<br />
「うまい話だなって思ったッすよ。」<br />
「うちも。そんなんで開栄いけるなんて、超ラッキーじゃんって思った。」<br />
<br />
「そんな…」りん子先生が顔を曇らせる。<br />
<br />
「思ったけどぉ、自分の力で受験したいじゃん?<br />
せっかくがんばってきたんだからさ。それなりに。」<br />
「てゆーかぁ、お金払って無理めの学校行ったって、<br />
後から苦労するの目に見えてるしぃ」<br />
「つーかうちにそんな金あるわけないっつーの!」<br />
「バカで結構!バカはバカなりにがんばるんっすよ!」<br />
<br />
3-Bはそれぞれ、自分の意見をしっかり持ち、<br />
状況に流されず自分の判断で裏口入学を断っていた。<br />
りん子は感動し、涙を流す。<br />
生徒たちは、オーバーだと笑ってりん子をからかう。<br />
けれど彼らが普通のことだと笑い飛ばしたその心のありようが、<br />
本当に尊い、素晴らしいものなのだ。<br />
<br />
裏口入学をほのめかされた保護者の一部は、警察に通報していた。<br />
警察はだいぶ前から真学受験会をマークしており、<br />
その日経営者が詐欺罪で逮捕された。<br />
その一部始終に、御法川と主人公も居合わせていた。<br />
しきりに、「桐谷にいわれてやっていただけだ」と主張する経営者の発言を、<br />
御法川が録音していた。<br />
これで、校長に直訴して桐谷を退職させられる。<br />
<br />
しょっぴかれていく経営者に御法川が問いかける。<br />
「りんを刺したのはお前か?」<br />
「冗談じゃない。指示はされたが、そんな危ない橋は渡ってないよ。」<br />
刑事達がこの男をマークしていた為、それは確からしい。<br />
桐谷も、あの晩はヒカルと一緒にいた。<br />
<br />
とにかく、御法川と共に校長室に乗り込み、録音を再生した。<br />
さしもの校長も、桐谷に謹慎処分を下した。<br />
桐谷はうろたえず、中二と美大生の若気の至りを煮詰めたような教師観を語りだす。<br />
「ふん。そんな言い草が世間様に通用するかな?<br />
この事は記事にさせてもらう。お前をさばくのは法ではなく、人だ!!」<br />
お得意の指差しポーズで桐谷に宣告する御法川。<br />
桐谷は笑い、「私も報道被害者の仲間入りか。」とうそぶいて去って行った。<br />
 </dd>
<dt>347 :<a href="mailto:sage"><b>3年B組金八先生 伝説の教壇に立て!</b></a>:2011/05/07(土)
22:11:21.35 ID:3qsP9NQm0</dt>
<dd>主人公のクビは撤回され、卒業までB組を見届けられるようになった。<br />
しかしりん子先生を刺した犯人はまだわかっていない。<br />
御法川の推理する所によると、<br />
桐谷が学校内であらゆる物事を操る時、<br />
自分の手は汚さず、息のかかった教師に実行を命じるらしい。<br />
だから、桐谷に抱き込まれている教師がサクラ中にもいるはずだという言う。<br />
そいつが怪しいとにらんだ御法川は、主人公にテープレコーダを託す。<br />
世間話に乗じて、先生たちの話を聞いて来いという訳だ。<br />
<br />
サクラ中には個性豊かな教師が沢山いる。<br />
話を一通り聞いて回り、御法川にテープを聞いてもらう。<br />
「くさい。ものすごくくさいぞ。<br />
アンタも気付いたな?」<br />
<br />
二人で校長室に乗り込む。<br />
そこには、退院の挨拶に来たりん子先生もいた。<br />
「校長、りんを刺したのはあなただ。<br />
おおかた、あなたが桐谷と組んで不正入学の斡旋もやってたんだろう。」<br />
校長は先程の世間話で、<br />
「やはり桐谷が怪しいと思いますよ。<br />
りん子先生が菊川に会いに行ったから、口封じがしたかったんでしょう。」<br />
と口をすべらせた。<br />
しかし、りん子先生が菊川さんの名前を伝えたのは、<br />
御法川、主人公とそれを経由したヒカルだけだ。<br />
警察にすら、名前を伏せていた。<br />
菊川さんの名前を聞けるのは、刺される直前のりん子の会話を聞いていた人間だけだ。<br />
<br />
校長は犯行を認めた。<br />
「金の為じゃないわ。私は愛するサクラ中を守りたかった。<br />
桐谷の問題が外に漏れたら、サクラ中はおしまいよ。<br />
私はいつだって生徒のことを考えてきた。<br />
不正入学だって、いいランクの高校に行きたいと言う生徒の気持ちに応えただけよ」<br />
人のいいオバサンの顔を脱いだ校長は、低い声で話す。<br />
りん子は、3-Bの皆が不正入学を断ったことを誇りに思っていると反発する。<br />
<br />
「せっかく最高の高校に行けるチャンスだって言うのに、<br />
ダメね、2流の子は。あんたたちみんな大馬鹿よ。」<br />
校長に、主人公は言葉を叩きつけた。<br />
「馬鹿で結構。」<br />
生徒達に教えてもらった言葉だ。<br />
「不器用でも、正しい生き方を選ぶ。<br />
そんな生徒たちは俺の誇りだ!!」<br />
 </dd>
<dt>348 :<a href="mailto:sage"><b>3年B組金八先生 伝説の教壇に立て!</b></a>:2011/05/07(土)
22:12:31.97 ID:3qsP9NQm0</dt>
<dd>校長は背を向け、語り始めた。<br />
「教師になって、良かったことなんて一つも無かった。<br />
地味な仕事の繰り返しで、人から評価されることなんてほとんどない。<br />
生徒が何か問題を起こしたら、真っ先に矢面に立たされる。<br />
そんな事を何十年も続けて、やっと校長になれた。<br />
だから何としても守りたかったのよ。私の学校を。<br />
…学校を去るのは私のようね。あなたをもう少し早く退職処分にしていれば…。」<br />
<br />
学校を去っていく桐谷と、学校へ向かうヒカルがすれ違う。<br />
「絵は、未完成のまま終わることになったよ。<br />
だが、いずれ戻って来る。<br />
君に子供が生まれて、その子が15歳になったら、ていうのはどうだい?」<br />
ヒカルは無視して学校へと歩いていく。<br />
<br />
もうすぐ3月。<br />
3-Bが卒業する前に、サクラ中はもとのサクラ中に戻っていくことが出来る。<br />
千春の日記は、最後の数ページが切り取られていた。<br />
死に向かう最後の月日の記録。<br />
それを誰にも読まれたくなかったのなら、もういい。<br />
ヒカルに向けて千春が書いたメッセージさえあれば、<br />
それでヒカルは前を向いて歩いて行ける。<br />
6年続いた物語は、幕を閉じた。<br />
 </dd>
<dt>349 :<a href="mailto:sage"><b>3年B組金八先生 伝説の教壇に立て!</b></a>:2011/05/07(土)
22:14:51.18 ID:3qsP9NQm0</dt>
<dd>「12月24日 晴れ<br />
今まで生きてきてこんなにうれしい事はなかった。<br />
先生も私のことを好きだと言ってくれた。<br />
これからどんなに辛いことがあっても、<br />
今日の事を思い出せば、私はきっと頑張っていける。」<br />
<br />
「1月22日 くもり<br />
友達の態度が変わった。<br />
イスやカバンを隠されたりした。」<br />
<br />
スーツケースを提げた桐谷は、道路に面したバス停で、<br />
切り取られたページの束を読み返していた。<br />
<br />
「1月25日 くもり<br />
先生が私の姿を描きたいと言った。<br />
絶望する私の姿を描きたいと言った。あんまりだと思った。<br />
でも少し考え方を変えてみると、私は先生に必要とされているともいえる。<br />
先生が絵を描くには、私が絶対に必要なのだ。<br />
悲しくて、嬉しい。」<br />
<br />
6年前、キィンと音を立てた千春の心。<br />
それでも、千春は微笑んでいた。<br />
 </dd>
<dt>350 :<a href="mailto:sage"><b>3年B組金八先生 伝説の教壇に立て!</b></a>:2011/05/07(土)
22:16:58.83 ID:3qsP9NQm0</dt>
<dd>「2月2日 晴れ<br />
私が先生を守る。<br />
私が黙っている限り、真学受験会のことや桐谷枠の実態は誰にもわからない。<br />
日記に書いた裏口入学に関することは、全部破り捨てます。」<br />
<br />
「2月15日 晴れ<br />
今日はきれいな青空が広がっています。<br />
最後に先生に手紙を出そうかとも思ったけど、<br />
この日記のページをそのまま送った方が、私が先生をどう思っていたか伝わると思いました。<br />
先生は、死と絶望をテーマにしていると言っていましたね。<br />
それって、同時に生と希望をテーマにしているように思えます。<br />
私で、先生の絵を完成させてください。<br />
そして、私はあなたの光になります。<br />
暗闇を照らす、月の光のように。」<br />
<br />
その時、突然の強風に日記のページ達が宙を舞った。<br />
桐谷は一瞬何もかも忘れ、飛びゆく紙片に追いすがる様に、前に踏み出した。<br />
閃光の後に戻って来た現実は、クラクションと迫るトラックを伴っていた。<br />
<br />
脳裏に古い記憶が蘇る。<br />
荷物やカバンの乗った後部座席に座る、幼い桐谷。<br />
助手席からふりかえった、母の笑顔。<br />
千春に瓜二つの…。<br />
<br />
横たわった桐谷の目は、最後に青空を見ていた。<br />
「下劣な、空だ…。」<br />
<br />
&lt;2月終&gt;<br />
 </dd>
<dt>351 :<a href="mailto:sage"><b>ゲーム好き名無しさん</b></a>:2011/05/07(土) 22:24:45.45
ID:3qsP9NQm0</dt>
<dd>これで終わりです。<br />
最後の日記は、文字に起こすとなんか感じが違いますね…。<br />
実際は、千春の慈愛に満ちた優しい声で朗読されます。CV沢城みゆき</dd>
</dl>
<hr />
<dl>
<dt>393 :<a href="mailto:sage"><b>ゲーム好き名無しさん</b></a>:2011/05/10(火) 21:11:31.47
ID:yWMuZ9Wd0</dt>
<dd>【9月・白石雪也】『僕と犬の楽園』<br />
<br />
白石雪也は、勉強の良くできる生徒だ。<br />
人柄もよく、温厚で礼儀正しい美少年。<br />
教師がありがたがるような、手のかからない落ち着いた生徒だった。<br />
しかし、夏休み明けの実力テストが採点され、高峰先生から報告が来た。<br />
白石雪也の成績が、目に見えて落ちているというのだ。<br />
高峰担当の数学だけでなく、全教科まんべんなく不出来だった。<br />
本来、私立開栄高を狙える実力があるだけに、教師間でも問題になる。<br />
<br />
主人公が休日に土手を通ると、雪也が犬を連れているのに出会った。<br />
「シェリーっていうんです。かわいいでしょう?最近飼うようになったんです。」<br />
グレートピレネーだろう。真っ白で大きい、つぶらな瞳の犬だ。<br />
細身の幸也が連れていると、まるでシロクマのように見える。<br />
「先生、犬爺って知ってますか?<br />
 近所の変なおじいさんで、捨て犬をたくさん拾ってきて庭で飼ってるんです。<br />
 シェリーはその犬爺からもらったんですよ。」<br />
<br />
犬爺は、この町でも有名な嫌われ者だ。<br />
庭に捨て犬を沢山保護しているが、手が回らないのか、<br />
野良イヌを庭に集めただけの様な状態になっている。<br />
騒音、臭いがひどく近所の風当たりは厳しい。<br />
犬爺が犬の餌を求めてゴミ箱を漁るのを嫌がり、飲食店は犬爺に残り物をあげている。<br />
そんな状態で、一体何故犬爺は犬を集めるのか…。<br />
雪也もそれはわからないが、犬爺のおかげでシェリーと会えたことを感謝していると言う。<br />
「このシェリーだって元は捨て犬だったんだ。<br />
 もう絶対、寂しい思いはさせません。シェリーは僕の大切な友達なんだから。」<br />
<br />
雪也の母親が、学校を訪ねてきた。<br />
「御存知の通り、雪也の志望校は開栄一本です。<br />
 でも今度のテストでは、目を疑うような点数ばかりで…。」<br />
何か勉強が手につかないようなことがあるのではないか、と聞かれたが、<br />
まだ学期も始まったばかりで、特に思い当たることはない。<br />
「…とすると…。わかりました。御心配をおかけしました。」<br />
<br />
犬爺の家を偵察に行くと、雪也に会った。<br />
幸也は時々、犬爺を訪ねて犬の世話を手伝っているらしい。<br />
「雪也、こんなとこに来ちゃいかん。先生と一緒に帰れ。」<br />
犬爺は、雪也が評判の悪い自分の所に来るのを心配しているようだ。<br />
<br />
雪也に実力テストの事を尋ねる。<br />
「テスト前、僕シェリーの看病をしてたんです。<br />
 シェリーは人間で言うともうおじいちゃん。ちょっとした風邪も中々治らなくて。<br />
 母さんには勉強しなさいって言われたけど、僕はこれでよかったと思ってます。」<br />
雪也はシェリーをとても大事にしている。<br />
夕方にはよく、シェリーを連れて散歩している雪也を見かけた。<br />
 </dd>
<dt>394 :<a href="mailto:sage"><b>ゲーム好き名無しさん</b></a>:2011/05/10(火) 21:14:56.58
ID:yWMuZ9Wd0</dt>
<dd>「シェリー?シェリー!」<br />
夜道を歩いていて雪也の声を聞いた主人公は、彼の家の前で足を止めた。<br />
庭で、雪也がシェリーを探している。<br />
「母さん、シェリー知らない?」<br />
「あらあら、先生がせっかく来て下さったのに、この子ったら犬の話なんかして。<br />
 先生、雪也は捨て犬を貰って以来、朝晩必ず世話を続けてたんですよ。<br />
 決めたことはきちんとやり通す、芯の強い子なんです。<br />
 そこのところを内申書にも…」<br />
「母さん!!シェリーはどこなの!?」<br />
シェリーの犬小屋は、もぬけの空だ。<br />
「犬の世話はもう十分やったでしょう?これからは受験勉強に専念して欲しいのよ。<br />
 開栄に受かったら、もっと立派な血統書つきの犬を買ってあげるから。」<br />
母親の笑顔を、幸也は呆然と見つめた。<br />
「何を言ってるか分からないよ。シェリーはどこなの?」<br />
「……保健所です。近所に大きな野良犬がいて困ると言って、引き取ってもらいました。<br />
 受験の追い込みがもう始まってるのよ!余所見をしている暇はないの。<br />
 雪也の為を思ってやった事なんだから、母さんの気持ちもわかって?」<br />
青ざめた雪也は、信じられない物を見たように後ずさり、駆け去った。<br />
主人公は雪也を見失ってしまう。<br />
<br />
翌朝、雪也の母親から学校に苦情の電話が来た。<br />
あれから息子が、家に帰って来ないというのだ。<br />
成績のいい生徒を最優先する、という理念の教頭の命令で、<br />
主人公は他の業務を置いて雪也を探すことになる。<br />
<br />
見当をつけて犬爺の家に行くと、雪也はそこにいた。<br />
雪也は保健所に入れてもらえず、犬爺を頼って愛護センターを回ろうとしていた。<br />
主人公もとりあえず同行してみる。<br />
3人は、檻の並ぶ保管室へ通してもらった。<br />
檻には、新規、一日目、二日目、三日目と札があり、三日目の檻の横にはガス室がある。<br />
安楽死ではない。炭酸ガスで窒息死させられ、そのままダストシュートを通って焼却炉へ行くのだ。<br />
引っ越すから、小犬が生まれたけど飼えないから、吠えるから、噛むから、齢を取ったから。<br />
様々な理由で、年間30万頭の犬が殺処分されている。<br />
そして同時に、年間30万頭の犬がブリーダーから市場へ出回る。<br />
そうして人間の周りの犬の数は、均等に保たれているのだ。<br />
<br />
雪也のシェリーは、そこにはいなかった。<br />
雪也は、「母親の顔は見たくない」と言い、犬爺の元に居候するつもりのようだ。<br />
愛護センターを巡る二人と別れ、主人公は学校へ戻る。<br />
<br />
教師として、雪也を家に連れ戻さなければいけないのだが…<br />
「母さんのことはもういいです。<br />
 ここは、傷ついた犬達が最後にたどりつく、犬の楽園なんだ。<br />
 僕はシェリーを見つけて、ここで犬爺と暮らす。そう決めたんです。」<br />
雪也は頑なに家に帰ることを拒む。<br />
 </dd>
<dt>395 :<a href="mailto:sage"><b>3年B組金八先生 伝説の教壇に立て!</b></a>:2011/05/10(火)
21:20:29.95 ID:yWMuZ9Wd0</dt>
<dd>「あの子を責めんでやってくれ。<br />
 ワシのような形で犬を飼う事も、また人間のエゴの行く末だと、あの子はまだ知らんのだ。」<br />
雪也を犬爺の元に置いておくのが、雪也の為になるとは思えない。<br />
近隣の全ての保護施設を探したがシェリーは見つからなかった。<br />
雪也は学校に行かず、日中からゴミ箱を漁って犬の餌を集めている。<br />
「母さんの所には戻りません。あの人は自分が悪いって認めない人だから。<br />
 おばあちゃんにだけは頭が上がらないんですけどね。隣町に住んでるんです。」<br />
<br />
翌日、幸也から電話で助けを求められた。<br />
犬爺の家へ行くと、二人は近隣住民に取り囲まれていた。<br />
「こっちは犬の臭いと鳴き声で夜も眠れないんだぞ!!」<br />
「ちょっとあなた、あの子の先生なの?こんなことやめさせてよ!!」<br />
犬を処分しろと喚き立てる人垣に、犬爺はホースで水を撒き追い払った。<br />
雪也はスカっとしたようだが、犬爺は複雑な顔をしている。<br />
<br />
「雪也、犬の幸せって何かのう?」<br />
「人間と一緒に楽しく暮らすこと、かな?って、僕がそうしたいだけなんだけど。」<br />
「それじゃ、ここの犬達の暮らしとはずいぶん違うのう?<br />
 いいんじゃよ。答えが皆一緒である必要はない。それぞれの答えを探せばいいんじゃ。<br />
 もうお前がここにいる必要はない。<br />
 わしの真似をしとらんで、雪也は雪也の答えを探しなさい。」<br />
<br />
膠着状態の白石親子の問題を打破する為、<br />
主人公は雪也の祖母の家を訪ねてみることにした。<br />
「雪也の担任の先生ですね?あら、どうなさったんですか?<br />
 ハトが豆鉄砲を食らったような顔をして。」<br />
おばあさんと一緒に出てきたのは、元気な姿のシェリーだった。<br />
主人公はこれまでの成り行きを説明した。<br />
「まぁ…。私は娘に犬を預かってと言われただけなんですけど、そんなことが…。<br />
 あの娘も、子供のころは大の動物好きだったんですよ。」<br />
おばあさんが見せてくれたアルバムには、<br />
少女のころの白石母が、大きなピレネー犬と一緒に駆けている写真があった。<br />
「メリーと言いまして、娘の大の親友だったんです。<br />
 メリーが死んた時は、それこそ何日も食事ものどを通らない有様で。」<br />
<br />
「一つ、先生に無理なお願いを申しあげていいでしょうか?」<br />
シェリーが生きていることを、白石母から雪也へ直接言わせてほしいのだと言う。<br />
そうでなければ、親子の溝を埋めることは難しいだろう。<br />
「そうでなければ、問題の本当の解決にはならないと思うんです。<br />
 大変なご迷惑をおかけしますが、何卒よろしくお願い致します。」<br />
 </dd>
<dt>396 :<a href="mailto:sage"><b>3年B組金八先生 伝説の教壇に立て!</b></a>:2011/05/10(火)
21:22:04.75 ID:yWMuZ9Wd0</dt>
<dd>町に帰ってみると、白石母が、犬爺宅へ雪也を連れ戻しに来ていた。<br />
激昂している白石母に、メリーの思い出の事をぶつけてみた。<br />
白石母は、本当のことを話してくれた。<br />
「お母さん、メリーを病気で亡くした時、本当に悲しくてね。<br />
 こんなに辛い思いをするくらいなら、メリーと出会わなければよかった、とまで思った。<br />
 シェリーは老犬よ。いつ死ぬか分からない。<br />
 シェリーが死んだらあなた、悲しんで受験勉強が手につかなくなるでしょう。<br />
 そうなる前にと、シェリーを隠したの。おばあちゃんに預けてあるわ。」<br />
<br />
雪也はシェリーと再会し、抱きしめた。<br />
しかし、このままシェリーと犬爺の元へ帰ると言って聞かない。<br />
「高校なんて僕には必要ない!僕は犬達を助けて暮らすんだ!」<br />
そう言い張る雪也に、主人公は言葉をかける。<br />
「本気で犬を救いたいんなら、自分なりの答えを探し出せ。」<br />
犬爺の真似事を雪也が続けた所で、どうともなりはしないのだ。<br />
<br />
「僕は、檻の中で殺処分を待つ犬達を救いたいんだ…。」<br />
「だったら、なおさら本気で勉強しなきゃいけないねぇ。」<br />
雪也の祖母が微笑んでそう言った。<br />
「獣医になるのもいい。政治家になって法律を変えるのもいい。<br />
 やれる事はきっと色々あるはずだよ。<br />
 目的が決まっていれば、おのずと行きたい学校も決まって来る筈だよ。」<br />
雪也は考え込み、シェリーを撫でる。<br />
「…わかりました。先生、僕は僕なりの、犬の楽園を探します。」<br />
<br />
夕焼けの中、雪也は愛護センターの前にシェリーと佇んでいた。<br />
シェリーを抱きしめ、中にいる犬の為に詫びる。<br />
「ごめんね、皆。僕はまだ本当に無力で、皆を助けてあげることが出来ない。<br />
 でも、いつか必ず…。」<br />
幸也は立ち上がり、シェリーと一緒に駆けて行った。<br />
写真の中の、母とメリーと同じように。<br />
<br />
&lt;9月終&gt;<br />
 </dd>
</dl>