かまいたちの夜×3 三日月島事件の真相 (Part2? > 3)

「かまいたちの夜×3 三日月島事件の真相 (Part2/3)」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る

かまいたちの夜×3 三日月島事件の真相 (Part2/3) - (2020/02/23 (日) 20:35:25) のソース

<p><strong>かまいたちの夜×3三日月島事件の真相</strong>(Part2/3) ページ容量上限の都合で3分割されています。</p>
<p>
Part26-163~168,294~298,301~304、Part27-95~101、Part28-277~284・403~411、part29-33~46・52、part30-188~196</p>
<hr />
<dl>
<dt>163 :<a href="mailto:sage"><strong>かまいたちの夜×3</strong>◆l1l6Ur354A</a>:2006/10/23(月)18:15:46ID:95mp6Fx90</dt>
<dd>(透編の*1の地点から再開。啓子の鍵ではなく本物のマスターキーのことについて考える)<br />
<br />
なら、管理人室に入ることができる本物のマスターキーは誰が持っているのだ?<br />
……犯人?<br />
マスターキーを手に入れ、別の部屋の鍵に「マスター」タグを付け替えて管理人室に<br />
かけておく。別の部屋の鍵とは、言うまでもなく犯人自身の部屋の鍵だ。<br />
なぜなら宿泊室以外の鍵はすでに片付けられていたのだから、付け替えられるのは宿泊室の鍵しかない。<br />
こうすれば、犯人は自由に本物のマスターキーを使えることになる。<br />
当然「マスター」のタグが付いた鍵では、管理人室を開けることは出来ない。<br />
では、「マスター」のタグがついた鍵はどこの鍵なのか?<br />
そして啓子がそれを受け取るまでにタグの付け替えが出来たのは誰だったのか……?<br />
そうか。ぼくには分かった。犯人は……。(名前入力)<br />
春子さんだ。<br />
彼女にとって不都合なことが起きてしまったため、苦肉の策としてある大胆なトリックを使って<br />
皆の目をあざむこうとした。<br />
あるものを、別のものに見せかけたのだ。透はそのトリックの状況を目にしていたにもかかわらず、<br />
ほんの些細なカモフラージュによって気づかなかった。<br />
春子が偽装をほどこしたのは……。<br />
(トリック入力。へや、にごうしつ、さんごうしつのどれでもいい)<br />
パズルのピースがきれいにはまった。管理室の件も啓子が偽のマスターキーで自分の部屋に出入り<br />
できていたこともこれで説明がつく。<br />
真理や俊夫が管理室を開けられないマスターキーに疑念を抱き出したので、透は皆にマスターキーが<br />
本物かどうか検証することを提案する。<br />
啓子に鍵を託された春子が啓子の部屋とその隣の部屋を開けたことで、透の推理が正しいことが証明された。<br />
啓子が持ってた鍵はマスターキーではなく、犯人がマスターキーを持っていたということが。<br />
透がそれを口にすると、いくぶん興奮気味に美樹本が身を乗り出してどういうことだと問いかけてくる。<br />
それに反して次第に気分が重くなりながら、透は言った。啓子の部屋が2つあったとは意外だった、と。<br />
その瞬間、春子がはっとしたのを透は見逃さなかった。<br />
部屋が2つとはどういう意味だと不機嫌そうに訊ねる俊夫に、透は説明する。<br />
啓子がなくした鍵と管理人室にかかっていたマスターキーが同じものとは思えないが、この鍵をもらって<br />
からも自分の部屋に出入りしていた。この前提が間違っていないとなると、答えは1つしかない。<br />
啓子の部屋は、鍵をなくす前と後で交換されたのだ。<br />
春子だけは驚かず、半ば諦めたように透を見つめているだけだった。そこからは何の感情も読み取れない。<br />
交換? と訊く真理に、透は続ける。啓子の本来の部屋は2号室、とするとおそらく今の部屋は3号室。<br />
空き部屋にお札がはってあるし、部屋がいくつも並んだ上で廊下が湾曲していたのでは1つくらいずれても<br />
なかなか気づかない。3号室は本来春子の部屋、ということは今は4号室にいることになる。<br />
みんなが一斉に春子を振り返るが、春子は相変わらずただ黙って透を見つめていた。<br />
一体誰が、なんでそんなややこしいことを。まさか、と俊夫は春子と透を見比べながら訊ねる。<br />
透はさらに続ける。啓子が鍵をなくしたことは犯人の誤算。しかも『マスター』のタグのついた鍵を<br />
香山が啓子に渡してしまったので犯人は慌てたのだ。すでに犯人はマスターキーをすり替えていたのだから。<br />
すり替えられたマスターキーで啓子の部屋が開けられなければマスターキーじゃないことがすぐにバレる。<br />
そうなると本物はどこに行ったんだということになり、犯人の計画がおじゃんになってしまう。<br />
それを先回りして防ぐただ1つの方法が、啓子の部屋と2号室の看板を、すり替えられた鍵と合う部屋に<br />
移してしまうことだった。すなわち、3号室に。<br />
 </dd>
<dt>164 :<a href="mailto:sage"><strong>かまいたちの夜×3</strong>◆l1l6Ur354A</a>:2006/10/23(月)18:16:23ID:95mp6Fx90</dt>
<dd>そこで美樹本が疑問を発する。『マスター』のタグの付いたキーが3号室の鍵だというのなら、どうして<br />
今隣の部屋まで開けることができたのかと。<br />
説明します、と透は春子から啓子の鍵を借りる。春子は表情を変えずに透を見つめ返していたが、やがて<br />
観念したように鍵を手渡してくれた。<br />
透は借りた鍵と自分の鍵を手の中で重ね、みんなに見えるように胸の高さに掲げた。<br />
こうしておいて『マスター』のタグを手の外に出し、あたかもその鍵を使うように見せかけて、<br />
手の中にタグを隠した本物のマスターキーで鍵を開けていたのだ。<br />
喉をつまらせたように黙り込んだ俊夫は、やがておずおずと訊いてきた。<br />
「……じゃあ……まさか君は春子さんが……?」<br />
「そうです。香山さんを殺したのは、春子さんだと思います。――そうですよね、春子さん?」<br />
絞り出すように透が言うと、春子に全員の視線が集まる。それを春子は何気なさそうに1つ1つはね返して<br />
いたが、ゆっくりと一巡してからふっとため息をつくように笑いを漏らした。<br />
やっぱり無理だった。啓子が鍵をなくしたときに中止するべきだったかもしれない、と。<br />
嘘だと言ってください、と真理が青ざめた表情で叫ぶ。<br />
春子はすまなそうに真理を見て、透の言った通りだと言った。<br />
一体どうして春子が香山を殺したのか。その点だけは透にもわからなかった。<br />
2人の仲は決して悪そうには見えなかった。離婚したことを知らなければ普通の夫婦だと思ったことだろう。<br />
なのに一体なぜ?<br />
結局お金だ、と春子は言った。莫大な財宝がここにあると聞いて心が動いたのだと。<br />
あるかどうかもわからない財宝目当てに香山を、いやこの館にいる全員を殺そうとした――<br />
それが春子の正体だというのだろうか? この人に本当にそんなことができたというのだろうか?<br />
自分で推理したこととはいえ、透には信じられなかった。<br />
そこに俊夫が口を挟む。俊夫が香山の返事がないので2階まで戻ってきたとき、春子は2階にいた。<br />
香山を殺した後、いつどうやって2階にあがったというのだ。<br />
普通にあがったと答える春子に、それは変だと透。香山と透は一緒に地下から戻り、香山は自分の部屋へ、<br />
透は2階へと別れた。2階ロビーには啓子がいて、しばらく透もそこにいた後に物置部屋の前に行ったら<br />
春子がいた。それから香山の死体を発見するまで、ずっと透は春子と一緒にいたのだ。<br />
一体いつ、春子は透を追い抜いて1階から物置部屋の前まで行ったというのか?<br />
やはり何かおかしい。春子はやはり犯人ではないのでは……?<br />
もういいじゃないですか、無駄な抵抗はしないから警察を呼んでください、という春子は、何かを隠して<br />
いるように思えた。誰かをかばって嘘をついているのだろうか?<br />
そこへ物置部屋に上がる方法ならあるじゃないか、と俊夫が言い出した。あの部屋には窓がある。例えば<br />
あらかじめ物置部屋の窓からロープを垂らしておいて、香山を殺した後に玄関から出てよじ登るとか。<br />
そうして誰かに姿を見せてアリバイ作りに利用しようとしたのではないか。<br />
本当にそんなことをしたのかと春子に問うが、だんまりを決め込んだのか、春子はその後何も質問には<br />
答えてくれなかった。<br />
<br />
本土からやってきた警察の船に乗り、透たちは三日月島を離れた。逮捕された春子は裁判にかけられ、<br />
いくつかの疑問点は解消されなかったものの、本人が罪を認めている以上は些細なことだとされてしまった。<br />
<br />
ぼくはもう「シュプール」に行くことはなくなり、真理とも疎遠になってしまった。<br />
どこかでボタンを掛け間違えてしまった……そんな思いが拭えぬまま、ぼくは日々を過ごしている。<br />
ぼくは間違っていなかったはずだ。<br />
そう自分に言い聞かせながら。<br />
<br />
                終<br />
<br />
          No.19 物言わぬ容疑者<br />
 </dd>
<dt>165 :<font color="#008000"><strong>名無しさん@お腹いっぱい。</strong></font>:2006/10/23(月)18:17:14ID:95mp6Fx90</dt>
<dd>(俊夫編の*3の地点から再開。透編で推理を進めたので俊夫編も変化する。<br />
ただし、透の推理部分は透編とほぼ一緒なので割愛、春子がもういいから警察を呼んでくれという場面から)<br />
<br />
何かを隠そうとしている、俊夫にはそう思えた。<br />
春子は本当に俊夫や透の目を盗んで2階に上がれたのだろうか?<br />
おぼろげながら、俊夫の頭の中にある仮説が浮かんでくる。香山を殺したのは、春子じゃない。<br />
透が推理したのは真相の半分、その先にまだ何かがあるはずだ。<br />
確かにマスターキーを持っていたのは春子だ。だから、共犯者がいるということになる。<br />
俊夫は春子の様子を窺いながら自分の推理を披露していく。透もさすがにそこまで考えていなかったようで、<br />
驚いた様子で俊夫を見返してくる。いいのか、シリーズ主人公。<br />
おそらく共犯者は男だ。鍵とタグを繋いでいる鎖はかなり固く、俊夫でさえペンチを使って取り外せるか<br />
どうかわからない。春子のマスターキーは誰かがタグの付け替えに協力した可能性が高いだろう。<br />
全員の視線がおそるおそるある人物に止まる。この中で最も力のありそうな男――美樹本に。<br />
悪い冗談はやめてくれ、と本気で訴える美樹本を見つめ、俊夫は言った。<br />
「いや、共犯者はあんたじゃない」<br />
見かけは野蛮そうだが人殺しなんてできる人間じゃない。それに透でもなければもちろん俊夫でもない。<br />
脅かすな、と美樹本は渋い顔をして息を吐く。<br />
香山が殺されたと思われる直後、そして島に着いたときに俊夫が見た、あのコートの人物。近くで確かめた<br />
わけではないがおそらく男と思われるあの人物こそ、春子の共犯者に違いない。<br />
春子は共犯者の存在が仄めかされても眉ひとつ動かさずにだんまりを決め込んで俊夫の話を聞いている。<br />
彼女の反応からは何も窺うことはできなかった。<br />
さっき探したときは見つけられなかったが、多分男はまだ館の中に隠れている。逃げ出した後だとしても、<br />
そうとはっきりするまでは安心できないだろう。<br />
だが、広い館の中を無闇に探すわけにはいかない。下手をすると反対に襲われる危険だってある。<br />
ここはやはり朝になるのを待つべきなのかもしれないが、俊夫はすぐにもあの男を見つけて正体を暴きたい<br />
気持ちでいっぱいだった。「かまいたちの夜」の田中に似たあの男に、みどりの事故に繋がる何かがある<br />
ような気がしてならなかったのだ。<br />
俊夫は男が隠れていそうなところを考え、可能性として考えられる1つの答をみんなに告げた。<br />
それは自分たちが見つけられないような場所、たとえば隠し部屋のようなものがどこかにあるのではないか。<br />
そんなあるのかないのかわからないものをどうやって見つけるのかと言われたが、心当たりはあった。<br />
あの男が走り去っていった食堂だ。あそこに隠し部屋があるのかもしれない。<br />
突飛で曖昧な憶測だと自分でも思ったが、俊夫は自分1人でも調べに行くつもりだった。<br />
そんな心を察してかみんなで行ってみようと真理が提案し、反対する者もなく全員で食堂に移動する。<br />
春子はずっと口を噤んだまましたがっていた。<br />
線香の香りが微かに漂う食堂内を探すが、秘密のスイッチのようなものも何も見つからない。<br />
当てが外れてしまったのか……。<br />
俊夫は考える。隠し部屋の存在を知っていそうな人物はいないだろうか?<br />
たとえばこの館の構造に詳しい人物ならどうだろうか。俊夫の知る限りではこの館を造った岸猿家の<br />
血を引く今日子とその弟の村上つとむあたりなら何かを知っているかもしれない。<br />
しかし今日子はハーバーで、村上はそれを見届けるために湖のそばの丘の上で、それぞれ津波に飲まれた。<br />
生きていれば何かの情報を得られたかもしれないが……。<br />
 </dd>
<dt>166 :<font color="#008000"><strong>名無しさん@お腹いっぱい。</strong></font>:2006/10/23(月)18:17:51ID:95mp6Fx90</dt>
<dd>そのとき俊夫はふと思った。……そういえば、死体があるじゃないか。<br />
直接隠し部屋のありかに繋がるわけではないが、この謎を明らかにすることで春子から何か聞きだせる<br />
かもしれない。<br />
地下水路にあった死体は誰なのか。そう訊くと、春子は痛みでも感じたように顔をしかめた。<br />
知りません、と返ってくるが、明らかに嘘をついている。<br />
じゃあ俺が教えてあげましょう、と俊夫。あれは菱田喜代という網曳村の女性だと。<br />
それは今日子の偽名では、と訝しげに訊く透に、俊夫は説明した。<br />
去年のあの事件の直前に行方不明になっていた実在の老婆、菱田喜代の名を今日子は騙ってたのだ。<br />
おそらく実際にこの三日月館を管理してもらっていたのだろう。<br />
そして去年の事件の際に、村上か今日子がこの三日月島のどこかに誘拐・監禁した。<br />
化けている間に誰かに見られては困るからなのか、何かを聞き出したかったのか、最初から殺すつもりだった<br />
のか、それはわからない。でも結局彼女はあの水路で死ぬことになった。<br />
あの地下室に監禁されていたわけではない。あそこに入る鍵は「シュプール」のワインセラーの棚の下で<br />
埃をかぶっていた今日子の死後、。元々は今日子のものだったはずのあの鍵を使えた人間は誰もいない。<br />
あの死体は水路を流されてきたのだ。去年の事件のときに今日子が作動させた水路の仕掛けは、その時以来<br />
動いていない。喜代はあのとき水路にいたとしか考えられないだろう。つまり、湖の小屋近くの水路に。<br />
あの地下室は水路の仕掛けをメンテナンスするための部屋だろう。湖側にも同じような地下室があっても<br />
おかしくはない。喜代がそこに監禁され、外から鍵をかけられていたとしたら。<br />
縛られた縄を何とかほどき、水路へと出る方法を発見して逃げ出した。しかし、運悪くそのときに<br />
水路の仕掛けが作動してしまったのだ。そして何らかの理由で喜代は地下室に戻ることができなくなった――<br />
俊夫の言葉に聞き入りながら、みんなその恐ろしい光景を想像していたに違いない。<br />
湖からの大量の放水に、急斜面の水路を一気に押し流される老婆――<br />
格子に引っ掛かったときには、すでに絶命していただろう。<br />
俊夫の頭に湖の小谷野場景が浮かぶ。あの場所で転がり落ちた、みどりの結婚指輪。<br />
あの時はみどりのことしか考えられなかったが、今はそのことに別の意味を見出すことができる。<br />
あの小屋は荒れ果ててはいたが内部はほとんど損壊していなかった。つまり、あの津波を乗り切っていたのだ。<br />
<br />
1年前の大津波にも耐えた湖の小屋。<br />
湖の小屋の地下室に監禁された菱田喜代。<br />
この島の建物の構造に詳しい、隠し部屋の存在を知っている誰か。<br />
これらはある1人の人物を中心点にして、それぞれが放射状に繋がっているのだ。<br />
俊夫たちが死んでいると思っていたその人物こそ春子の共犯者であり、あのコートの男なのだ。<br />
それは……(名前入力)<br />
俊夫は透に問う。1年前の事件で津波が来たとき、小林夫妻の他にもう1人館に向かわなかった人物が<br />
いたのを覚えているか、と。<br />
<br />
村上つとむ。<br />
今日子の生き別れの弟である彼なら、館同様に湖の小屋が津波の被害から逃れることを知っていても<br />
不思議ではない。<br />
 </dd>
<dt>167 :<font color="#008000"><strong>名無しさん@お腹いっぱい。</strong></font>:2006/10/23(月)18:18:28ID:95mp6Fx90</dt>
<dd>喜代のために、きっと地下室には食糧や最低限の必需品が用意してあったのだろう。<br />
(俊夫編冒頭、指輪が落ちた場面で缶詰などのゴミが床に散乱しているのが見える)<br />
村上はしばらくそれで食いつなぎ、人目がなくなったのを確認してから島を脱出したのだ。<br />
実在するか分からない財宝のために春子が香山を殺すとは思えない。しかし、岸猿家の血を引く村上なら<br />
財宝が単なる噂かどうかわかっていたはずだ。実在するとわかっているから香山を殺して鍵を奪ったのだ。<br />
そうですよね、と言われても春子は何も答えない。<br />
何故香山を殺したと嘘をついたのか。自分で手を下したわけではないが、春子に罪がないわけではない。<br />
計画者がどちらかはわからないが、春子がマスターキーを盗んで村上が香山を殺す手伝いをしたのだ。<br />
春子が否定しないのを見て、みんなそれが真実だと悟った。<br />
しかし、まだ疑問は残る。論理的に辿り着いた結論ではあったが、去年ここへ来なかった春子と村上が<br />
一体いつ知り合い、どうして共謀するようになったのか。<br />
春子が口を噤んで答えない以上、村上本人を捕まえるしかない。<br />
もう1度徹底的に調べるしかないかという美樹本に、俊夫はどこにいるか見当がついていると答えた。<br />
それはこの食堂だ。1年前に食堂に亜希の遺影やらミニカーを置いたのは村上だが、一瞬にして消えて<br />
出てこなかったのはなぜか?<br />
俊夫は物置部屋で嗅いだ線香の匂いを思い出す。衣服から漂っていたのではない、あれは食堂から<br />
漂っていたものだったのだ。<br />
主の席の後ろにあるのは……暖炉。三日月館に煙突はなく、装飾用の暖炉だ。<br />
つまり、暖炉と真上の物置部屋は繋がっている。隠し部屋というのはそこのことだ、。<br />
春子は少しも動揺していない。本当に村上がそこに隠れているのなら少しくらい動揺していいはずなのだが、<br />
そんな様子は微塵も見せなかった。推理が間違っているのか、それともただの虚勢なのか……。<br />
しばらくみんな黙っていたが美樹本が調べてみようと決然と言った。<br />
もし俊夫の推理通り村上が食堂と物置部屋の間に隠れていて自由に1階と2階とを行き来しているのだと<br />
すれば、挟み撃ちにするしかない。<br />
二手に分かれ、美樹本が物置部屋の前で騒ぎ出し、俊夫たちが食堂に隠れて待ち受けることにした。<br />
真理たち女性陣には、春子を応接室で見ててくれと言っておく。流石に見張れとは言いにくい。<br />
それでも真理はわかったという表情で頷いてくれた。<br />
女の子たちだけで見晴らせるのも心配だが、村上を捕まえるのを邪魔されても困る。<br />
俊夫と透はテーブルの下に隠れた。そろそろだと思ったとき、美樹本の怒鳴り声がかすかに食堂まで<br />
聞こえてくる。<br />
相当派手にやっているらしく、壁を叩き鳴らす音に続いて何かが落ちたり倒れたりする音も聞こえてくる。<br />
と、暖炉の中の暗がりに靴が、靴を履いた足が見えた。<br />
陰に隠れ息をひそめていると、かすかな靴音が近づいてくる。<br />
2メートルくらいの距離に近づいたと判断した瞬間、俊夫はナイフを構えながら躍り出た。<br />
「……さっきのは俺を追い出すためだったのか。参った。降参だよ」<br />
「――やっぱりお前だったのか」<br />
痩せこけ無精髭に覆われた顔は一見では村上と分かりにくいが、よく見ると1年前の彼の面影が残っていた。<br />
俊夫の後ろに透が控えているのを見た村上は、逃げられそうにもないと諦めたように手近な椅子にどっかりと<br />
腰を下ろした。<br />
「――なぜ分かったんだ? 喋ったのか……彼女が」<br />
「じゃあ認めるのか、香山さんを殺したことを!」<br />
「……ああ。そうだ」<br />
 </dd>
<dt>168 :<a href="mailto:sage"><strong>かまいたちの夜×3</strong>◆l1l6Ur354A</a>:2006/10/23(月)18:20:04ID:95mp6Fx90</dt>
<dd> すみません、途中でクッキーが消えてしまいました。<br />
<br />
 ここからは真相が語られるために長くなるので一旦切ります。<br />
<br />
 前回の啓子編、ちょっと訂正。<br />
誤)何故鍵の検証のときに啓子の鍵で2号室も3号室も(本当は3号室と4号室)開けられたのか?<br />
正)何故鍵の検証のときに啓子の鍵で1号室も2号室も(本当は2号室と3号室)開けられたのか?<br />
 開けたのは「隣の開き部屋」なので、開けたのはおそらく1号室(2号室)かと。<br />
 </dd>
<dt>294 :<a href="mailto:sage"><strong>かまいたちの夜×3</strong>◆l1l6Ur354A</a>:2006/11/07(火)23:54:10
ID:88O4HUkN0</dt>
<dd>村上は運良く生き延びたが元の生活に戻るわけにはいかなかった。いっそ津波で本当に死んだ方がよかったと<br />
思えるほど苦しい生活が続いている。だから金が、岸猿家の財宝がいるのだという。<br />
菱田喜代を例の水路の仕掛けの整備室に閉じ込めた件もあっさり認めたが、殺したことは否定した。<br />
仕掛けが作動すれば水路と整備室を遮断する防水扉が自動的に閉まるようになっている。喜代はたまたま<br />
そのときに水路に出ていて整備室に戻れず流されていったのだろう。<br />
気の毒に、と悪びれることなく村上は言う。そもそも喜代も財宝目当てにこの島に通っていたクチだった。<br />
苦しい生活を送っている中で村上は香山が館を買い取ったと知り、ずっと財宝を手に入れられないかと<br />
窺っていた。透がどれだけ探しても見つからなかったという地下室の鍵を持ってきたときは小躍りしたそうだ。<br />
そう語る村上はとても以前とは似ても似つかぬ野卑で乱暴な口調だった。これが本性なのか、1年の間に<br />
置かれた環境のせいで人格が変わってしまったのか。<br />
岸猿家の財宝については、村上が養子に出された分家でもみんな知っていることだったらしい。迷信深い連中<br />
だったので、祟りを恐れて手を出さなかったようだ。<br />
馬鹿にするように言った村上だったが、ここまで貧困に喘ぐまで財宝のことを考えなかったのだから、案外<br />
村上自身も祟りを恐れていたのではないかと俊夫は思った。<br />
続いて春子との関係を尋ねると、そもそも春子こそが生き別れだった今日子と村上を引き合わせたのだという。<br />
今日子に生き別れの弟がいると知って、力になれないかと調査会社に依頼して村上を見つけ出したのだ。<br />
そして3人は知り合い、時々会っていた。2人だけで会うこともあったという。そんなとき春子が香山と<br />
別居を決意、香山が春子を捨てて夏美をとったことでそれなりに傷ついていた春子を慰めているうちに……<br />
所謂「そういう関係」になったのだ。<br />
自慢げに言う様子に無性に腹が立った俊夫だったが、そこでふと違和感を覚えた。何か重要なことを<br />
言い落としている感じがする。<br />
一昨年、「シュプール」に来た時点では香山はまだ春子と一緒だった。<br />
そして去年の事件のとき、香山は夏美と再婚していた……。<br />
電撃のようにある仮説が俊夫の脳裡に走る。春子は、河村亜希も調査会社に探させていたのではないか?<br />
ぎくりとして目を逸らす、それは肯定の証だ。<br />
春子が亜希を見つけ、今日子を驚かせようと「シュプール」へと誘ったのだ。<br />
あの夜、本当は感動の対面が行われるはずだったのだ。<br />
村上に確認しようとすると、背後から春子の声がした。そこには美樹本や女性陣全員が揃っている。<br />
いつまでも音沙汰がないので痺れを切らして見に来たらしい。<br />
春子は今日子に恩返しをしたかっただけだった。香山が仕事に夢中で家にもろくに帰らなかった頃、<br />
春子はいくつも習い事をして寂しさを誤魔化そうとして、かえって虚しい想いに囚われるばかりだったという。<br />
そんなとき寂しさを紛らわしてくれたのが今日子であり、彼女の優しい言葉で春子は救われていた。<br />
……だから、唯一親身になって相談に乗ってくれた今日子のために何かをしてあげたかったのだ。<br />
村上と再会できたとき、今日子は本当に喜んでいたという。調査会社にまで頼んだかいがあったと、春子も<br />
嬉しかった。だから今日子の娘が見つかったとわかったとき、その再会の場に居合わせたかったのである。<br />
まさか、あんな痛ましいことになるとは思いも寄らず――<br />
今日子は亜希を見つけて呼び寄せたのが春子だとは知らなかった。調査会社にかかったお金のこともあり、<br />
わざわざ言ったら負担に感じるだろうと。村上のときも彼が今日子を見つけたということにしたのだった。<br />
亜希にもそうしてもらうつもりであり、そしてあんなことの後ではなおさら言えるはずもなかった。<br />
俊夫はまっすぐに立っていられなくなり、テーブルに手を突いた。<br />
俊夫の気持ちなどわからない透は、顔色が悪いと不思議そうに訊ねてくる。<br />
……これですべてのピースが埋まった。運命の連鎖の引き金を最初に引いたのは春子だった――<br />
 </dd>
<dt>295 :<a href="mailto:sage"><strong>かまいたちの夜×3</strong>◆l1l6Ur354A</a>:2006/11/07(火)23:54:45
ID:88O4HUkN0</dt>
<dd>お前は知ってたんじゃないのか、と村上に問う。亜希を春子が呼んだということを。<br />
事故の話を今日子から聞いてもしやと思い、春子に聞いたらあっさり認めた、と村上。全て知っていて、<br />
今日子には黙っていた。その上で復讐の手伝いをしていたのだ。全ての罪をみどり1人になすりつけて。<br />
亜希が死んだのはみどりがはねたからで、他の誰の責任でもない。ましてや善意で生き別れの親子を会わせて<br />
やろうとした春子に一体何の罪があるんだ、と村上。<br />
全くの正論で俊夫は言い返すことはできなかったが、騙されていたという思いは拭えなかった。<br />
俊夫は春子に今日子と村上がこの館で何をしようとしていたのかをしっていたんじゃないかと問うが、<br />
春子は激しく首を振って否定した。2人が亜希を殺した犯人を見つけだそうとしていたことは分かっていたが、<br />
自分たちで殺そうとしていた挙句に無関係の人間まで巻き添えにするとは思ってもみなかったのだ。<br />
春子もまたこの1年間、いやその前からずっと苦しんでいた。よかれと思ってしたことが悲惨な結果を生み、<br />
そのことで今日子が犯罪者となり、死んでいくのを止めることができなかった。後悔してもしきれないだろう。<br />
だったら何故香山を殺す手伝いをしたのか。それは、春子はただ鍵を盗むだけだと聞いていたからだった。<br />
香山の死体発見の驚きようと、今の告白。どれも演技であるとは思えない。<br />
俺だって最初から殺すつもりだったわけじゃない、あんなにあっけなく死ぬとは思わなかったと罪の意識など<br />
微塵も感じていない様子で村上が嘘ぶく。<br />
部屋に鍵をかけたのは、村上が部屋から出て2階に身を隠すまでの時間稼ぎだったという。<br />
春子は続ける。自分が亜希をシュプールに呼ばなければこんなことにはならなかったという思いは消えない。<br />
亜希の死がたくさんの人の死を招き、今日子まで……終わらない悪夢を見るようだった。<br />
死んだと思った村上が生還したとき、春子は彼にできるかぎりのことをしてやろうと思った。<br />
今日子や亜希にしてあげられなかった分まで。<br />
今日子と血が繋がっているということだけで、春子は村上を助けてやろうとしたのだ。<br />
村上は追悼のために皆で島に集まると知ると、自分も島に行くと言い出した。財宝が必ずあるはずだと。<br />
事件の後島に隠れていた間にもそれらしいところを捜してみたが見つけられなかった。もしかしたら島に<br />
集まった誰かが手がかりを掴んでいるかもしれない……そう考えた。<br />
館内を動き回りやすいようにマスターキーを手に入れてくれと言われたが、島では合鍵は作れない。<br />
それで仕方なく春子の部屋とマスターキーのタグを入れ替えておいたのだ。<br />
幸い皆が来る前にそれを行う時間があったが、啓子が鍵をなくしたことで春子は慌てることになった。<br />
啓子の部屋の荷物を隣の部屋へ移したのは村上だった。部屋を1つずつずらすなど無理だろと思ったが、<br />
案外気づかないものだったらしい。実際気づいたのは透だけで、啓子も含めて誰も変だとおもわなかった。<br />
俊夫は春子に問う。村上が香山を殺すとは思わなかったと言うが、香山が殺されてからも事件の真相を<br />
話そうとしなかったのはどうしてなのかと。<br />
春子は答える。殺すとまでは思わなかったとはいえ、手を貸したのは事実。落ちるのならどこまでも一緒に<br />
落ちていこう、それが自分の運命なのだと思ったのだ、と。<br />
あの書置きを残したのは春子だろうと指摘すると、春子は目を逸らした。村上は?と眉を寄せる。<br />
春子は多分こう思ったのだ。香山を殺した村上なら、他のみんなも邪魔だと殺してしまうかもしれないと。<br />
それを食い止めるためにあのメッセージで警戒するように伝えようとしたのだ。<br />
村上とどこまでも一緒に落ちていこうと思っていながら、結局犯罪者にはなりきれない。それが春子の正体だ。<br />
その言葉が春子をどれほど傷つけるのか、俊夫には十分分かっていた。それでも言わずにはいられない。<br />
犯罪者は1人で十分なのだから。<br />
飼い犬に手を噛まれたってやつか、と村上がふてぶてしく笑う。<br />
透が真理に耳打ちし、真理は2人を縛るためのロープを取りに食堂を出て行った。<br />
警察に引き渡すまで、この2人を拘束しておくのは当然のことだ。<br />
だが、俊夫にはまだ解き明かさなければならない謎が残っていた。<br />
 </dd>
<dt>296 :<a href="mailto:sage"><strong>かまいたちの夜×3</strong>◆l1l6Ur354A</a>:2006/11/07(火)23:55:20
ID:88O4HUkN0</dt>
<dd>俊夫は村上を憎悪を込めて睨みつけた。<br />
俊夫は去年村上のことを今日子のためならなんでもする、姉さん思いの憎めないやつかと思っていた。<br />
……たった1年で、人はこんなに変わるものなのか?<br />
今日子の復讐を手伝う振りして、ほんとは単に岸猿家の財宝が欲しかっただけじゃないのか。<br />
もしかしたら、くだらない復讐計画を今日子に吹き込んでいいように操ったのでは?<br />
何を馬鹿なことを言ってるんだ、と村上の顔が強ばる。去年死んだ連中は村上とは縁もゆかりもない。<br />
財宝は気になってたが、必要もない犯罪を犯すほど馬鹿じゃない、と。<br />
確かに今日子が殺した者たちは村上とは関係ない。……だが、今日子自身は違う。村上と同じ岸猿家の末裔だ。<br />
もし莫大な財宝が見つかり、こっそり独り占めにできなかった場合……ライバルは少ない方がいい。<br />
そう考えても不思議じゃない。<br />
俊夫は本当にそんなことを信じて喋っていたわけではない。なんとか村上に全責任を押し付けられないかと<br />
思いつくまま適当に口にしていただけだった。<br />
しかし、村上の顔色がみるみるどす黒く変わっていくのを見て背筋が凍りついた。まさか――<br />
俊夫は声の震えを押し隠し、続ける。今日子にとっては長年会いたいと思っていた弟だが、村上にとっては<br />
もはや他人同然。そんな彼女のせいで分け前が減るのは我慢できなかったのではないか。<br />
何も答えずこちらを睨みつけているその態度が、返答だった。<br />
こいつがすべての元凶だったのだ――<br />
確かに亜希の死の責任はみどりにある。しかし、その後の数々の事件まで背負い込む必要はなかったのだ。<br />
ここに1つの明確な悪意が存在していたことを知れば、少しは気持ちも軽くなるのではないだろうか――<br />
ふいに透が声を上げる。考え事をしていたせいで、俊夫は村上が可奈子に向かって走り出したときにすぐには<br />
反応できなかった。<br />
村上は可奈子の腕を掴んで引き寄せ、こめかみに拳銃を突きつけていた。可奈子はこの島から出たら離して<br />
やるから、それまでじっとしていろという。<br />
村上は船長から送迎船の鍵を奪い、船長を湖の小屋の地下室に閉じ込めていたのだ。<br />
(俊夫編の最初で見たコートの男と船長の場面は、その直前と思われる)<br />
お前が館を出たら警察に連絡する、向こうに着いたら警官が待ち構えているぞと言うと、ならば人質は<br />
ずっと必要だな、と可奈子を引きずるようにして食堂の入り口に後ずさっていく。<br />
と、そこにロープを持ってきた真理がいた。村上もその存在を忘れていたのだろう。はっとして銃口が<br />
逸れた瞬間を見逃さなかった美樹本は、弾かれたように飛び出した。<br />
慌てて拳銃を美樹本に向け直して引き金を引き、銃声が辺りに響く。<br />
足を撃たれた美樹本はよろけて尻餅をつき、可奈子は「洋介!」と叫んで駆け寄った。<br />
最後まで邪魔しやがって、と村上が立ち上がれない美樹本に銃を向けると、その前に可奈子が立ち塞がる。<br />
どけ、と村上は床を撃つ。一瞬可奈子の身体が縮こまるが、すぐに元の毅然とした態度に戻り美樹本を守る。<br />
脅しは1度きりだという村上は今にも可奈子を撃ちそうだが、おそらく視界の端に俊夫を捉えているだろう。<br />
ちょっとでも動けば間違いなく発砲する。<br />
俊夫が何もできないでいると、村上の背後へ透がロープを手にして近づきだした。<br />
透がロープをかけるのが早いか、それとも村上が拳銃を撃つ方が先か……。<br />
 </dd>
<dt>297 :<a href="mailto:sage"><strong>かまいたちの夜×3</strong>◆l1l6Ur354A</a>:2006/11/07(火)23:55:57
ID:88O4HUkN0</dt>
<dd>そのとき、啓子が叫んだ。<br />
「可奈子、あぶない! 逃げて!」<br />
その叫び声で村上が振り向く。まずい、と俊夫は咄嗟に1歩踏み出した。<br />
乾いた破裂音が響き、透が崩れ落ちる。<br />
なおも引き金を引こうとしていた村上に、俊夫は無我夢中で飛びかかった。<br />
村上の手から拳銃を弾き飛ばし、何度も顔面を殴りつける。村上が意識を失い体重を預けてきたところで<br />
ようやく手を止めた。<br />
赤く染まった透の胸元を、懸命に両手で押さえながら真理が透の名を叫ぶ。<br />
しかし反応はない。<br />
くそっ、どうしてこんな事に――<br />
<br />
選択を誤らなければ、結果は違っていただろうに。<br />
透くんの名前を呼び続ける真理ちゃんを、俺はなすすべもなく見つめていた。<br />
<br />
<br />
                終<br />
<br />
          No.48 無慈悲な銃声<br />
 </dd>
<dt>298 :<a href="mailto:sage"><strong>かまいたちの夜×3</strong>◆l1l6Ur354A</a>:2006/11/08(水)00:02:58
ID:TKiY+yIb0</dt>
<dd>一旦ここで切ります。続きは今夜書き上げられたら今夜、無理ならば明日投下します。<br />
ちなみに今回の分は1回も選択肢が存在しなかったりします……。<br />
<br />
補足。流れとしては<br />
<br />
春子、今日子から弟と娘の存在を聞く<br />
 ↓<br />
春子、調査会社を使い村上を見つけ出す<br />
 ↓<br />
村上と今日子が再会<br />
 ↓<br />
春子、調査会社を使い亜希を見つけ出す<br />
 ↓<br />
亜希をシュプールに行かせる。春子も再会場面を見るためにシュプールへ。<br />
 ↓<br />
みどりの事故発生<br />
 ↓<br />
香山と春子、別居<br />
 ↓<br />
春子、村上と「そういう関係」に<br />
 ↓<br />
かまいたちの夜2の事件発生<br />
 ↓<br />
村上が生還<br />
 ↓<br />
香山が供養の話を持ち出す<br />
<br />
 といった感じです。<br />
 </dd>
<dt>301 :<a href="mailto:sage"><strong>かまいたちの夜×3</strong>◆l1l6Ur354A</a>:2006/11/08(水)01:07:28
ID:TKiY+yIb0</dt>
<dd>(啓子編の*4の地点から再開)<br />
<br />
今春子さんが持っているあの鍵では、その部屋は開けられない。なのに一体どうして――<br />
その疑問は、春子の手元の動きですぐに解けた。なるほど、そういうことか――<br />
これで納得したかと言うと、透が突然意外なことを言い出した。今のでマスターキーだと証明されたのではなく<br />
啓子が持ってた鍵はマスターキーではなく、犯人がマスターキーを持っていたということがわかったのだ、と。<br />
どういうことだと啓子が訊こうとしたことを美樹本が先に口にする。<br />
透には犯人が誰なのか分かったのだ。そして、啓子の部屋が2つあったとは意外だった、と。<br />
部屋が2つとはどういう意味だと不機嫌そうに訊ねる俊夫に、透は説明する。<br />
その後も透の説明は長々と続き、結局犯人は春子だという結論に落ちついた。<br />
春子も観念して香山殺しを自供した。<br />
ところがそこへ、俊夫が疑問を投げかけた。<br />
俊夫が香山の返事がないので2階まで戻ってきたとき、春子は2階にいた。<br />
香山を殺した後、いつどうやって2階にあがったというのだ。<br />
普通にあがったと答える春子に、それは変だと透。香山と透は一緒に地下から戻り、香山は自分の部屋へ、<br />
透は2階へと別れた。2階ロビーには啓子がいて、しばらく透もそこにいた後に物置部屋の前に行ったら<br />
春子がいた。それから香山の死体を発見するまで、ずっと透は春子と一緒にいたのだ。<br />
一体いつ、春子は透を追い抜いて1階から物置部屋の前まで行ったというのか?<br />
俊夫は言った。香山を殺したのは春子じゃない。共犯者がいるのだ、と。<br />
今度は俊夫の説明が長々と続いた。<br />
俊夫が言うには、この館にはコートの男がいて、その人が春子の共犯者らしい。<br />
そして、食堂に隠し部屋があって、そこに潜んでいるのだという。<br />
啓子たちは食堂へ移動し、隠し部屋を探した。<br />
しかし……。<br />
何も見当たらなかったようだ。<br />
その後、俊夫は水路の死体が菱田喜代とか、死体が水路を通って流れてきたとか、コートの男とは<br />
関係ないことばかり話している。<br />
俊夫の推理もここまで、と思ったら、<br />
俊夫が透に1年前の事件で津波が来たとき、小林夫妻の他にもう1人館に向かわなかった人物が<br />
いたのを覚えているか、と問い、透は「村上、ですか?」と答えた。<br />
俊夫は、村上が一年前の津波から逃れ、まだ生きていて、春子と協力して香山を殺害した、と力説する。<br />
なかなか良い推理だ。<br />
その後、隠し部屋にいた村上は食堂に姿を現し、今回の事件に関することが洗いざらい告白された。<br />
村上も春子も逃亡する意志はないように見えたが、念のため、真理が2人をしばるロープを取りに行く。<br />
(省略されました。実際もこんな調子でかっ飛ばされるので詳細を読むには透編か俊夫編を見てください)<br />
 </dd>
<dt>302 :<a href="mailto:sage"><strong>かまいたちの夜×3</strong>◆l1l6Ur354A</a>:2006/11/08(水)01:07:59
ID:TKiY+yIb0</dt>
<dd>事件は解決した。でも、このどたばたのおかげで何も目的を果たせなかったばかりかなんだか美樹本と<br />
可奈子の仲が以前より深まったように見える。とんだとばっちりだ。<br />
島を出て2人と別れてしまう前に、何か打つ手はないかと考えていたそのとき。<br />
可奈子――!<br />
啓子の目に飛び込んできたのは、可奈子の腕を掴んで引き寄せ、拳銃を突きつけている村上の姿だった。<br />
何とかしなきゃと思いつつ、啓子はただ硬直する。<br />
村上は可奈子はこの島から出たら離してやるから、それまでじっとしていろという。彼は船の鍵を持っていた。<br />
お前が館を出たら警察に連絡する、向こうに着いたら警官が待ち構えているぞという言葉に対して、村上は<br />
ならば人質はずっと必要だな、と可奈子を引きずるようにして食堂の入り口に後ずさっていく。<br />
と、ロープを持ってきた真理がどういうこと、と小さく声を上げた。村上がはっとして銃口が逸れた瞬間、<br />
      ○(☆Д☆美) キラーン<br />
それを見逃さなかった美樹本は、弾かれたように飛び出した。<br />
銃声が響き、美樹本に可奈子が駆け寄る。どこか撃たれたようだ。<br />
村上が立ち上がれない美樹本に銃を向けると、その前に可奈子が立ち塞がった。どけ、と村上は床を撃つ。<br />
可奈子、危ない、逃げて――啓子は心の中で叫んだ。声にしようにも喉がうまく震えてくれない。<br />
啓子は足がすくんで動けず、ただ懸命に祈った。<br />
(お願い! 誰か助けて!)<br />
でも、その願いもむなしく――<br />
村上が撃った銃弾が可奈子の髪をかすめた。それでも可奈子は逃げようとしなかった。<br />
透がロープで村上の首を絞め、後ろに倒れこんでく。俊夫が拳銃を蹴り飛ばし、2人がかりで押さえ込む。<br />
振り向くと、可奈子は自分のスカートを引き裂き、美樹本の撃たれた太腿に縛り付けている。<br />
可奈子って、あんなことができるほど逞しい人だっただろうか?<br />
もうあそこにいるのは、あたしが知っている可奈子じゃないのかもしれない。<br />
可奈子を助けるために啓子は何もできなかった。自分の身が可愛かった。美樹本のように後先考えずに彼女を<br />
助けに行けなかった。<br />
完敗だ。<br />
可奈子は美樹本と一緒になるのが多分幸せだろう。<br />
――末永くお幸せにね。<br />
心の中で呟き、あたしにはこれがお似合いとポケットの中から激辛ポテトチップス「暴れん坊男爵」を<br />
取り出し口いっぱいに頬張ってむしゃむしゃと食べ始めた。<br />
辛い。<br />
本当に辛い。辛くてぽろぽろと涙が出てきたけど、啓子は食べるのをやめなかった。<br />
 </dd>
<dt>303 :<a href="mailto:sage"><strong>かまいたちの夜×3</strong>◆l1l6Ur354A</a>:2006/11/08(水)01:08:45
ID:TKiY+yIb0</dt>
<dd>「なんや、こんなところにおったんか」<br />
そのとき、啓子は一瞬我が目を疑った。<br />
我々はこの男を知っているッ! いや、この出っ腹とこの頭の薄さを知っているッ!!<br />
「香山さん!」<br />
 イキテマスタ         ナ、ナンダッテー!!<br />
(香´∀`)ノ ∑(・Д・;透(゚∀゚;真(゚Д゚:俊(゚A゚;春)<br />
       ∑(‘Д‘;啓(゚ー゚;可(`Д´;美&lt;`Д´;村&gt;<br />
<br />
そこには、死んだと思っていた香山の姿があった。さりげなく頭からの出血をタオルか何かで押えている。<br />
「あ、悪霊退散!」<br />
 ⊂(香´∀`) 彡 ガッ☆透・Д・)ノ<br />
<br />
「あほ。悪霊はな、わしが退治したんじゃ」<br />
生きてたの? と、両手首を縛られた春子が驚きと安堵が入り混じったような声をあげる。<br />
ちなみに村上は胴と足をぐるぐる巻きにされていた。<br />
そう簡単に死んでたまるか、という香山に、美樹本は仮死状態だったのか、と呟いた。<br />
「それだけやない。えらいことがあったんや。――お前ら、何も気いつかんかったんか?」<br />
香山は言うが、啓子たちには何のことかさっぱりわからず呆然とするだけだった……。<br />
<br />
(選択画面の香山が三角巾を取る。これは1回限定のある意味貴重な画像)<br />
 </dd>
<dt>304 :<a href="mailto:sage"><strong>かまいたちの夜×3</strong>◆l1l6Ur354A</a>:2006/11/08(水)01:11:00
ID:TKiY+yIb0</dt>
<dd>キリがいいので今度こそここまでです。<br />
啓子編だろうと透編だろうと俊夫編だろうと、香山登場まで行くと<br />
続も終も何も出ずにセーブ→キャラ選択画面へと移行します。<br />
 </dd>
<dt>95 :<a href="mailto:sage"><strong>かまいたちの夜×3</strong>◆l1l6Ur354A</a>:2006/12/09(土) 03:25:01
ID:tNWTOJrR0</dt>
<dd>香山編・21:00<br />
<br />
(……セイちゃん……助けて……セイちゃん……)<br />
夏美の声が聞こえる。呪いを解けるのは香山だけだ、呪いを解いて自分たちを助けてくれ、と。<br />
もう時間がない――そこで香山は目が覚めた。三日月館の自分の部屋で。<br />
誰かに後頭部を殴られたことを思い出し、痛む傷口にそっと手をやる。だが、傷もなければ血もついていない。<br />
夢だったのか? いや、それにしては殴られた感触が後頭部にありありと残っている。<br />
と、突然後ろから「夢やない……」という声が聞こえた。<br />
「そこか!」 と振り向きざまに相手の脳天に空手チョップを炸裂させる香山。しかし効果はなかった!<br />
まるで香山の動きを読んでいたかのように、真剣白刃取りで受けとめられていたのだ。<br />
なかなかできる相手のその正体とは――<br />
「な、な、夏美!」<br />
なんと、そこにいたのは夏美だった!<br />
夏美に抱きついた香山だったが、その身体まるで死んだ人間のように冷たい。<br />
あたりまえだ、幽霊なのだから。<br />
だが、どうして幽霊の夏美を見ることができて、しかも触れたのか?<br />
状況がわかってないみたいやな、と夏美はおかしそうに笑いながら香山の頭に手を乗せる。<br />
彼女の指し示す先には、横たわったもう1人の香山の姿があった。あ、わしや。<br />
頭から盛大に血を流し、白目を剥いて畳に倒れてるその姿はどう見ても死んでます、ありがとうございました。<br />
ようやく事態が飲み込めてきた香山は、えらいしょぼい大往生だなあと呟く。<br />
しかし、夏美によると香山はNDE――ニア・デス・エクスペリエンス――臨死体験の状態になっているだけ、<br />
要は幽体離脱状態なのだという。<br />
早く身体に戻らなければ本当に死んでしまうのだが、夏美は多分戻れない、と怖いことを口にした。<br />
彼女も死ぬ寸前に霊体になったが、邪気が邪魔して身体に戻れずにそのまま体細胞が壊れてしまったのだ。<br />
となるとこのまま死んでしまうのを待つしかないというのか?<br />
一体どこのどいつがわしの頭を殴りつけよったんじゃ、見つけたら高速地獄車をお見舞いしたる。<br />
そのホシは夏美の口からあっさりと挙がった。実は生きてた村上……というか、岸猿伊右衛門の仕業なのだと。<br />
この島には伊右衛門の呪いがかかっており、伊右衛門に殺された者ばかりかこの島で命を落とした者はみんな<br />
成仏できずにさまよっているのである。まるで結界みたいになってて閉じこめられているのだ。<br />
財宝を誰にも渡さんという執着心が、米の一粒骨のひとかけらさえもこの島から出すまいとしているらしい。<br />
去年の事件も、実は島に満ち溢れる伊右衛門の邪気が今日子たちの心を狂わせた結果だったらしい。<br />
無事に島から抜け出した者も呪いからは逃れられず、みんな少しずつ不幸になっていく。<br />
可奈子が周囲の人間に追い詰められたのも、俊夫がダメ人間になっていったのも、<br />
香山の「浪速のド根性焼き」がうまくいかないのもみんなそのせいだったのだ。<br />
結界を破りみんなを成仏させること。そうしなければ呪いは永久に続いていく。<br />
だから夏美は香山の夢の中でうったえ、封印と祈祷の力で伊右衛門の力を弱らせようとしたのだが、<br />
伊右衛門の方がうわてだった。村上を操り、香山を殺そうとしたのだ。<br />
夏美は殴られる最後の瞬間に香山の頭が動くように念じ、かろうじて香山は死なずに済んだものの……。<br />
 </dd>
<dt>96 :<a href="mailto:sage"><strong>かまいたちの夜×3</strong>◆l1l6Ur354A</a>:2006/12/09(土) 03:25:34
ID:tNWTOJrR0</dt>
<dd>だが、香山を殺そうとしたということは封印や祈祷に効果があり、伊右衛門が弱っている証拠だ。<br />
館のどこかに結界を作り出してる何かがあるはず。それを壊せば伊右衛門の力も弱まるはずだ。<br />
しかし夏美たちは結界のせいで自由に館を探れない。かといって、普通の人間には結界も邪気も感じられない。<br />
では、どっちつかずの状態の香山だったら? 伊右衛門の力も及ばないかもしれない。<br />
「せやけど、商人はあんまり攻撃力ないで?」<br />
「魔法も使われへんし……」<br />
「装備できるもんもかなり少ない……」<br />
それは別のゲームの話です。<br />
と、その時激しくドアが叩かれた。透たちが香山を心配して部屋にやってきたのだ。<br />
死体が見つかったらえらい騒ぎになる。それ以前に、ドアを破られたら困る。いくらすると思ってるんだ。<br />
あとできっちり弁償してもらおうと思ってると、ついに透たちが部屋に入って香山の死体を見つけてしまった。<br />
透が香山の身体に駆け寄り、揺さぶる。あかん、ヘヤーが乱れる……!<br />
もう1人の香山の頭髪をかばっても通り抜けてしまうだけで、セットされた頭頂部の毛がはらはらと<br />
崩れていくのをただ見つめることしかできなかった。<br />
勝手に話を進めていく透たちに犯人は村上だと叫んでみるも、聞こえるはずがない。<br />
香山の身体にすがる春子の呟きに、香山は春子が村上の仲間だったと知り、複雑な思いで見つめていた。<br />
早く伊右衛門を倒して生き返らなければ。こうしている間にも身体はどんどん死んでいっている。<br />
下手すれば真夜中まで持たないかもしれない。わしが死んだら何人の社員が路頭に迷うと思うんや。<br />
香山は夏美を連れて外へ出た。生きているときの習慣か、普通に歩ける。ドアも開いていたら通りやすいが、<br />
そうでないと通り抜けるのには結構コツがいるらしい。時間に余裕があれば試してみたいところだが。<br />
それどころじゃなかったのは、廊下にはボロ切れ同然の服を着た餓鬼のような連中が大勢いたからだ。<br />
うろついていたり、壁にもたれて眠っているように見えたりするそれらの連中は、伊右衛門に殺された者だ。<br />
長い間囚われているうちに魂まですり減ってしまったらしい。手伝うどころか話もできない。<br />
このままではいずれ夏美も香山もあんなふうになってしまうだろう。気力も死にたての頃と比べて萎えている。<br />
そんなふうになってしまうことも恐ろしかったが、こんな連中がうじゃうじゃいることに気づかずにのほほんと<br />
していたこともゾッとする。<br />
とりあえず香山の祈祷と札のおかげで今まで行けなかった場所に行けるようになったらしい。<br />
まずはそこで仲間と合流だ、と夏美はずんずんと廊下を進み、地下への階段を降り始める。<br />
ついさっき透と降りたときには感じなかった異様な雰囲気と嫌な感じ。昨日まではこんなものではなく、<br />
誰もここへは入れなかった。入れるようになったのは伊右衛門の邪気が弱まっている証拠だ。<br />
階段を降りきると、セイちゃん連れてきたで、と声を上げる。<br />
暗がりの奥から現れ、少し恥ずかしそうに挨拶したその男は、なんと正岡慎太郎だった。<br />
香山が最も嫌うタイプのキザな男――大坂では「いきり」と言う――である上に夏美の過去を知ってて<br />
利用しようとした男。こんなやつと仲間だと?<br />
正岡も殺されたんだから、もう昔のことは忘れたって、と夏美。<br />
確かに悲惨な殺され方をした挙句に間違いで殺されたのだから、情けないし可哀想な気もしなくもない。<br />
そもそも去年あの島にいた者は多かれ少なかれ伊右衛門の影響を受けていたのだから、正岡とて<br />
そう悪い人間でもないらしい。どうも信用ならないが。<br />
 </dd>
<dt>97 :<a href="mailto:sage"><strong>かまいたちの夜×3</strong>◆l1l6Ur354A</a>:2006/12/09(土) 03:26:09
ID:tNWTOJrR0</dt>
<dd>祈祷が止まってしまったせいで、邪気がさっきよりも強まっているようだ。香山のあんな祈祷でも<br />
効果があったのだから、あの祈祷師の実力はなかなかのものだろう。<br />
邪気が強いのはあの辺りだ、と正岡が指差した先には透と見つけたあの扉があった。本当の死人には邪気が<br />
邪魔して扉が見えなくなっているらしく、夏美と正岡にはそれが見えない。<br />
それどころか、近づくだけで身体が腐っていくような感じがするという。<br />
辛そうな2人をみて自分が頑張るしかないと、香山はその扉の中に入ろうとした。が、取っ手は掴めない。<br />
夏美から通り抜けるコツを聞いて試すも弾かれてしまう。<br />
「祝優勝!」と道頓堀に飛び込む要領で宙を舞ったが、勝利の雄叫びも身体も扉に跳ね返されてしまった。<br />
それからも試行錯誤を繰り返すも、どうやっても中に入ることはできない。<br />
だがそこに香山を殺した犯人を捜して3バカ(透・俊夫・美樹本)がやってきた。<br />
彼らは地下室を調べまわると、あとはここしかないと扉を開ける。<br />
その途端、中に充満していたらしい邪気が一気に溢れ出した。3バカは気づかずに降りていったが。<br />
開けられたままの扉の裏には、血で何かの呪詛が書かれていた。このせいで入れなかったらしい。<br />
入るのは今のうちだ、と香山は鼻をつまんで飛び降りた。夏美と正岡はこの先には来れない。<br />
声だけは聞こえるはずだが、ますます濃密になる邪気の中を1人で進まなければならないようだ。<br />
さっきは押しても引いても開かなかった扉を3バカがあけると、その奥からこれまでとは比べものにならない<br />
邪気が、大勢の怒りや悲しみ、恨みの混じった気が怒涛のように押し寄せてきた。<br />
そこは地獄のような光景だった。一階で見たような霊たちがさらに魂をすり減らしたなれの果てなのか、<br />
まるでムンクの「叫び」のような霊体がそこら中を浮遊している。<br />
「助けてくれ……」「もう解放してくれ……」「いやだ……」<br />
悲しみ、怒り、そして絶望。いろんな人間の共通の強い念が固まりとなってぶつかってきた。<br />
どうやらこの辺に結界の中心がありそうだ。<br />
そうこうしているうちに、3バカが白骨化した遺体を発見した。その途中には老婆がうずくまっている。<br />
3バカが気づいていないということはこれも霊らしい。どっかで見た気がするが。<br />
途端にひらめいた。キヨだ。しかし声をかけると今日子とは似ても似つかないしゃがれ声が返ってきた。<br />
彼女は菱田喜代。今日子が化けたキヨの、本物だ。<br />
村上に湖の小屋に連れ込まれ、水路を伝って逃げようとしたのがいけなかった。途中で水がぶわーっと<br />
来たのだ。もうぶわーっと。結界の内側からも外へ出られなかったらしく、ずっとうろうろしていたらしい。<br />
今なら扉が開いてるし、外には仲間がいるからそっちに行け、と香山はキヨに言う。<br />
「……あ、あんたは……?」<br />
「わしは伊右衛門の結界を壊しに来たんや。――みんなを解放するためにな」<br />
自分で言っておきながらなかなかいい響きだ。キヨには後光が差してるように見えたかもしれない。<br />
と思って見ると、キヨは調査を終えた3バカと共に小部屋に入っていくところだった。<br />
「聞けよ!」<br />
扉が閉められてしまったが、この身体なら後でなんとでもなるはずだ。格子をすり抜け、さらに奥へと向かう。<br />
邪気は明らかに水路の奥へ進むほど濃さを増していく。見上げると、大きな穴が地上に向かって伸びていた。<br />
泉の底だ。噴水みたいな装飾は修復時に取り除かれ、今は空まで筒抜けになっている。<br />
そこから差し込むわずかな月明かりの中で香山は見た。無数のしゃれこうべが、泉を形作っていたのだ。<br />
 </dd>
<dt>98 :<a href="mailto:sage"><strong>かまいたちの夜×3</strong>◆l1l6Ur354A</a>:2006/12/09(土) 03:27:51
ID:tNWTOJrR0</dt>
<dd>その瞬間、なぜか香山にはわかった。伊右衛門は自分の死後、三日月館を自分の墳墓にしたのだ。<br />
いわばピラミッド。前方後円墳。上円下方墳。<br />
それまで殺した奴、生きてた奴、みんなまとめて自分の墓の生贄にした。そのピラミッドの中心がこの泉だ。<br />
このどこかに伊右衛門が埋葬されているに違いない。<br />
伊右衛門は泉の底にいる、と夏美に声をかけたその時、黒い影が大蛇のように伸びてきて香山を見下ろした。<br />
貴様は何だ。死人ではないな、と低く腹に響くような声が言う。これが伊右衛門の怨霊のようだ。<br />
香山は名乗ろうとしたが、影が襲い掛かろうとする気配を見せたので慌てて夏美に教わった九字を切る。<br />
「家内安全商売繁盛……いや、これはちがう気がするなあ。どう?」<br />
しかし伊右衛門は答えなかった。もう一度唱えなおす。<br />
「寿限無寿限無五劫の擦り切れ海砂利水魚の水行末雲来末風来末食う寝る所に住む所やぶらこうじの<br />
ぶらこうじパイポパイポパイポのシューリンガンシユーリンガンのグーリンダイグーリンダイの<br />
ポンポコピーのポンポコナーの長久命の長助」<br />
長い! 長すぎる! 九字や。九の字や。そこんとこを踏まえてもう一度。<br />
「臨兵闘者皆陣……」<br />
伊右衛門の影が苦痛にみじろぎしたように見えた。ここまでは合ってるようだ。続きを唱える。<br />
「レツ・ザイ・ゼン?」<br />
影が呻き声を上げる。よし! いける! このまま押し切るで!<br />
「臨・兵・闘・者・皆・陣・裂・在・前!」<br />
あやふやではあったが効き目はあったのか、影は身をよじって香山から遠ざかる。<br />
さっき下手糞な祈祷をしていたやつか、と影は腕のようなものを生やし香山の身体に巻きつかせた。<br />
ニシキヘビのようにきつく巻きつき、どんどん締め付けてくる。<br />
香山はポケットから割引券を取り出した。割引券をやるからやめてくれ。<br />
何%引きだ、と腕のようなものが一気に緩められる。<br />
10%だと答えると、30%! とさっきよりもきつく締め付けてきた。<br />
15%だと香山。25%! と影。18%と香山。23%! と影。なんちゅうがめつい男や。<br />
20%でどうや! これ以上は死んでもまからん! 20%……と影は悩み始めた。<br />
その時、鈴を鳴らすような夏美の声がどこからか響いてきた。<br />
『オン・マユラ・キランデイ・ソワカ……オン・マユラ・キランデイ・ソワカ……』<br />
同時に泉のあたりから微かな光が溢れ出す。夏美の声に男の声、老婆の声が重なり光は強さを増した。<br />
溢れ出す光を嫌がるように、影はそこから離れようとする。<br />
と、誰かが水門を開いたのか湖の方向から地鳴りのような音が響いてきた。<br />
濁流の勢いに乗せて伊右衛門の影にぶちかましをかけると、その腕は香山に巻きついたままもがきながら<br />
泉を飛び出し、龍のように高く空に伸び上がる。三日月館を見下ろすほどに上がったとき、それは見えた。<br />
光り輝く星の形――巨大な巨大な光の五芒星が泉を中心にして三日月館の中庭にあった。<br />
 </dd>
<dt>99 :<a href="mailto:sage"><strong>かまいたちの夜×3</strong>◆l1l6Ur354A</a>:2006/12/09(土) 03:28:51
ID:tNWTOJrR0</dt>
<dd>水晶玉を置いた各部屋から光が伸び、五芒星を形作っているのだ。しかし、一部が消えかかっている。<br />
「……オン・マユラ・キランデイ・ソワカ……」<br />
夏美が、正岡が、キヨが、屋根の上に立って印を結んでいる。<br />
伊右衛門の本体が大量の水と共に泉から出てきたかと思うと、腕の一振りで光の五芒星を砕いてしまった。<br />
部屋を替えるために村上が札を貼り替えたせいで、気のバランスが崩れ魔法陣が不完全になっていたのだ。<br />
せめて、あと二人いたら……。<br />
うつけどもが、とぎゅうっと身体を締め付けられ、気が遠のく。<br />
あかん、あかんもうあかん、あかんしか出てこん。今度こそほんまに死ぬ。<br />
「……オン・マユラ・キランデイ・ソワカ……」<br />
その時、また新たな真言が聞こえてきた。<br />
「……オン・マユラ・キランデイ・ソワカ……」<br />
「……オン・マユラ・キランデイ・ソワカ……」<br />
屋根の上に男一人と女一人が新たに加わり、一心不乱に真言を唱えている。今日子と小林だ。<br />
津波で死んだ二人もこの結界にいたことを夏美は知らなかった。<br />
殺人者としての負い目から、夏美たちの前に出てこれなかったらしい。<br />
一瞬の驚きから立ち直り、夏美、正岡、キヨも再び真言を唱和する。五人の姿が少しずつ輝き始めた。<br />
香山も声を合わそうとしたが、キランデイの部分が思い出せず単に邪魔になりそうだ。<br />
全身が光に包まれた五人の姿はもはや人の形ではなく、五本の光柱となっていた。<br />
次の瞬間、その柱から二本ずつ、腕のように光が伸びていき、繋ぎ合わされる。五芒星の完成だ。<br />
伊右衛門は苦しみ始め、香山の身体を放す。泉から死者どもが我も我もと昇り伊右衛門の身体にしがみついた。<br />
蟻でも払うように死者を薙ぎ払うが、続々と昇ってくる彼らにてこずり、動きが鈍くなる。<br />
だが、これだけではまだ倒せない。泉の底のどこかに伊右衛門の力の源があるはずだ。それを破壊すれば……。<br />
頭から急降下し、伊右衛門をよけて泉へ突っ込む。伊右衛門の影は底の石から生えているように見えた。<br />
この泉より下に、何かある。精神を集中し、えいやっとばかりに泉の底を突き抜けた。<br />
飛び出した先にあった小部屋には、鎧兜と金銀細工、美術品らしき巻物に刀剣の数々が所狭しと<br />
積み上げられていた。これが岸猿家の財宝か。<br />
部屋の中心には薄汚れた頭蓋骨が鎮座している台があった。部屋中に黒い煙のような邪気が漂っている。<br />
この頭蓋骨が、伊右衛門――この部屋自体が、死んでまでも財宝を手放したくない伊右衛門の柩なのだろう。<br />
はよ壊して、もううちらの力では持ちこたえらへん、と夏美。<br />
九字を切り、不動明王の真言を唱える。そうすればしゃれこうべは破壊できる。<br />
『いい? ノウマク・サンマンダ・バサラダン・カン!』「脳膜ワンダバダバ……サラダ館?」<br />
『ちゃう! ノウマク・サンマンダ・バサラダン・カン!』「ノーマーク・サラマンダー・バンサンカン?」<br />
ボケを繰り返している場合ではない。伊右衛門が香山の前に姿を現し、財宝を守るように覆い被さる。<br />
大丈夫や――多分。こいつの力は相当弱まっとる。落ち着いて間違えないように九字を切った。<br />
「臨……兵……闘……者……皆……えーと……陣……裂……在……それから……前!」<br />
印を結んだ指先に何かが宿ったように、眩しい光を放ち始めた。<br />
「ノウマク・サンマンダ・バサラダン・カン!」<br />
香山の手から、光の剣のようなものが伸びていく。これは一体何のゲームだ。<br />
香山はその剣を、大きく振りかぶって頭蓋骨目がけて振り下ろした。<br />
 </dd>
<dt>100 :<a href="mailto:sage"><strong>かまいたちの夜×3</strong>◆l1l6Ur354A</a>:2006/12/09(土) 03:29:54
ID:tNWTOJrR0</dt>
<dd>頭蓋骨を守ろうと伊右衛門が伸ばした影を切り裂き、光の剣は頭蓋骨に当たった。爆発したかと思うような<br />
衝撃とともに、頭蓋骨は粉々に砕け散る。<br />
伊右衛門の黒い影が断末魔の叫びを上げながら身をよじり、悶え、そして拡散する剣の光と打ち消しあう<br />
ようにして消えていく。<br />
これまでずっと重しのようにのしかかっていた邪気が晴れていくのを感じ、香山は中庭まで浮上した。<br />
泉からまっすぐに、巨大な光の柱が天を貫いていた。その柱の中を無数の死者が昇っていく。<br />
何百、何千という死者――<br />
「セイちゃん……ありがとう」<br />
見上げると、夏美や小林たちが浮かんでいた。香山は見事に伊右衛門を倒したのだ。<br />
はよ身体に戻って、うちらはもう行かんと。その言葉にはっとなる。夏美も蘇るわけにはいかないのか?<br />
死んだ人間は生き返らない。今度こそ、本当にさよならなのだ。<br />
わしもお前と一緒に行こかな、と香山。だが、香山はみんなにこのことを説明しなければならないし、<br />
死んだら悲しむ人が大勢いる。そういうわけにはいかないのだ。<br />
元気でな、と夏美はゆっくりと上昇し死者の流れに加わる。お前もな、と叫び返したときにはもう光の柱に<br />
飲まれてどこにいるかわからなくなっていた。<br />
小林や今日子たちも軽く手を振ってその柱に消える。やがて光の柱は細くなり、消えていった。<br />
ふと気がつくと、香山は天井を見上げていた。瞬きをすると同時に頭ががんがん痛む。<br />
身体に戻った。た助かったのだ。しかし怪我の手当てをしてもらわないと結局死んでしまうかもしれない。<br />
這いずるように管理室を出て、誰かいないかと叫ぶ。<br />
「なんや、こんなところにおったんか」<br />
「香山さん!」<br />
「あ、悪霊退散!」<br />
「あほ。悪霊はな、わしが退治したんじゃ」<br />
「えらいことがあったんや。――お前ら、何も気いつかんかったんか?」<br />
香山が言うと、彼らは困惑した様子で顔を見合わせた。<br />
――まさか、これまでのことは全部夢やっちゅうことは……ないやろな?<br />
 </dd>
<dt>101 :<a href="mailto:sage"><strong>かまいたちの夜×3</strong>◆l1l6Ur354A</a>:2006/12/09(土) 03:30:58
ID:tNWTOJrR0</dt>
<dd>今回はここまで。<br />
本来はこの後終章が入りスタッフロールが流れます。が、金の栞後にエピローグが追加されるので、<br />
順番を変えてピンクシナリオ→バッドエンド集→犯人編→エピローグという順で書いていきます。<br />
 </dd>
<dt>277 :<a href="mailto:sage"><strong>かまいたちの夜×3</strong>◆l1l6Ur354A</a>:2007/02/10(土) 13:05:42
ID:DmO0UkVc0</dt>
<dd>先に出来てる分だけ投下しておきます。<br />
<br />
前回も書いたように、金の栞後にエピローグに追加があるので後に回し、ピンクの栞シナリオにいきます。<br />
1度もバッドエンドに引っ掛からずにいけるシナリオですが、あえて全部引っかかってみます。<br />
ちなみに本編では3バカとは呼ばれていませんが、ピンクシナリオのこいつらは3バカに相応しいので。<br />
<br />
(エピローグ・スタッフロール後、ピンクの栞出現。エフェクトは2のと一緒)<br />
(主人公選択画面、透のがピンクの背景に)<br />
 </dd>
<dt>278 :<a href="mailto:sage"><strong>かまいたちの夜×3</strong>◆l1l6Ur354A</a>:2007/02/10(土) 13:06:20
ID:DmO0UkVc0</dt>
<dd>東京のとある喫茶店にて美樹本と待ち合わせをしていた香山は美樹本に問う。「霊の写真」を見せてくれと。<br />
美樹本のアシスタントになった可奈子が持ってきた写真には、三日月館を背景に霊がうようよと写っていた。<br />
しかも全員女である。おまけにシルエットじゃなくてイラストである。シルエット同様青いけど。<br />
撮影や現像の失敗では断じてない、本物の霊の写真である。<br />
やっぱり夏美の言うとおりだった、と香山。美樹本と可奈子しか知らないはずのこの写真のことを知っていた<br />
のは、年が明けてからずっと夏美が夢で訴えてくるからだという。<br />
岸猿伊右衛門はかなりの色狂いで、あの館の中に自分だけの色町をつくるのが夢だったらしい。<br />
その夢は実現せずに亡くなったが、夢を捨て切れなかった伊右衛門は亡くなる間際に館に呪いをかけたのだ。<br />
その呪いは自ら死霊として館に留まりつづけ、美女の魂を館に集めるというとんでもないもの。<br />
そのためあそこで死んだ夏美は成仏できず、あの館に囚われたままになっている。<br />
館に囚われた魂はやがて伊右衛門の従順な奴隷になってしまう。香山はそうなる前に夏美を助けたいのだ。<br />
館の地下には伊右衛門の墓があり、呪いの元凶である伊右衛門のしゃれこうべを壊せば呪いは解ける。<br />
墓までの道は迷路になっていて、伊右衛門の傀儡となった女の霊たちが侵入者の煩悩を利用して誘惑し、<br />
殺してしまう。その誘惑を振り切れるのは美樹本しかいない、と香山。<br />
香山には煩悩は捨てられないし、体力的にも頼りにならない。美樹本なら体力もあるし、それに……。<br />
「香山さん、もしかして……」<br />
美樹本の言葉に香山は大きく頷く。なんもかんも知ってるで、と。<br />
香山は報酬としてお好み焼きチェーン『浪速のど根性焼き』のプレミアムチケットを取り出した。<br />
しかし可奈子がそれを止めた。駄目といったら駄目だと、美樹本を連れて店を出て行ってしまう。<br />
ちゃっかりプレミアムチケットは奪っていった可奈子に、香山はいい嫁になるなと思った。<br />
美樹本が駄目なら他を当たるしかないが正攻法では断られるだろう。香山は作戦を変更することにした。<br />
<br />
場面は俊夫側に移り、本編同様シリアスな空気が続く。<br />
しかし、かかってきた電話の向こうの透の様子は本編とは違いやけに鼻息が荒かった。<br />
香山から電話があり、三日月館に女の子がたくさんいる男だけのパラダイスを作ったから、プレオープンとして<br />
透と俊夫を招待したいから俊夫も誘ってくれと頼まれたらしい。<br />
俊夫の中で三日月島のイメージが変わってゆく。<br />
青い海、さんさんと降り注ぐ太陽、白い砂浜にあふれる女の子、その中で男の幸せを噛み締める俊夫……。<br />
透は下手な嘘をつきつつ自分は行くと言っている。もちろんみどりさんには内緒にするから――<br />
みどり? そうだ、俺にはみどりが……。<br />
正気に戻りかけた俊夫に対し、透は香山がいろんなサービスを用意しているだのなんだのと誘惑の台詞を<br />
投げかける。揺れる俊夫。でもみどりが……。<br />
ふと、視界に結婚指輪が入った俊夫は、目を覚ましその誘惑を振り切った。みどりを裏切ることは出来ない。<br />
その気持ちを察してくれた透が電話を切る。これでいい。これでいいんだ。これでいいはずなんだ。<br />
しかし、俊夫の頭の中では、ある二文字がぐるぐると回っていた。<br />
……そう、『後悔』という二文字が。<br />
(スポットライトの下で携帯を前に頭を抱えて蹲る俊夫の図。目、覚めてねえ)<br />
 </dd>
<dt>279 :<a href="mailto:sage"><strong>かまいたちの夜×3</strong>◆l1l6Ur354A</a>:2007/02/10(土) 13:06:54
ID:DmO0UkVc0</dt>
<dd>透が到着した三日月館は、ピンク色の濃い霧が立ち込めていた。<br />
初めて見たときは有害物質でも燃やしているのかと勘違いするほどだ。<br />
香山は野暮用があって遅れるから、先に行っておいてくれと言っていた。迎えがいるから心配はいらんと。<br />
霧の中に見えた人影に、あれが迎えかなと思いながら近づくと、それは美樹本だった。<br />
透が1人でここに来ると香山に聞いて、心配になって慌ててクルーザーを飛ばしてきたらしい。<br />
と、そこに汗だくになりながら走ってくる男の姿。……俊夫だった。<br />
君は来ないんじゃなかったのか、と何となく美樹本が不服そうに言う。<br />
俊夫曰く、ちょっと予定がキャンセルになって暇をもてあましたから供養がてらに来た。<br />
別に変な期待をしてるわけじゃない。全然違う。誤解してもらっちゃ困る。<br />
完全に期待しているのが見え見えだ。<br />
俊夫は美樹本に可奈子がいるのにあんたことこんなところに来ていいのかと聞く。しかし美樹本は否定した。<br />
自分にそんな気はない。マネージャーのつもりで雇ったのに最近では私生活まで意見されて参っている。<br />
今回も最初はうるさいくらい行くなと言われたが急に何も言わなくなった。多分気持ちをわかってくれたんだ。<br />
だから、誤解しないでくれよ……と、美樹本は透に向かって言った。<br />
そんな微妙に噛みあわない3バカを出迎えたのは夏美だった。<br />
え? 夏美さん!?<br />
「……ひええっ! ど、どうか安らかに成仏してください!」<br />
透は地面にふれ伏して手を合わせた。俊夫も隣で腰を抜かしている。<br />
……あんたら、本編のかっこよさはどこに置いてきた。<br />
その成仏をするためにあんたらが呼ばれたんやないの、と夏美。<br />
香山に聞いてはいたけどさすがに本人を目の前にすると驚く、と美樹本。<br />
もしかして夏美のそっくりさんか、と透。<br />
「そんなわけないやろ」<br />
違うらしい。<br />
よく見ると夏美の洋服が透けている。しかも身体まで透けていた。本物のオバケだ!<br />
って、シルエットじゃわかりません。<br />
「そうか、分かった。あんたら、セイちゃんから何も聞いてないんやな」<br />
と、ここでネタばらし。実はここ、男のパラダイスではなくではなくお化け屋敷なのである。<br />
それにしてもこの透、がっかりである。<br />
女の子なんて最初から嘘だったのか……と透が呟くと、夏美は女の子ばっかりだと告げる。<br />
しかも全員べっぴんさん。……幽霊だけど。<br />
幽霊だろうがなんだろうが女の子にはちがいない。こうなったらちょっとでも元を取って帰ろう。<br />
俊夫は後悔したくないと、美樹本は危ない目に遭うかもしれないのに放っておけないと、館に入ることを決心。<br />
かくして3バカは館に突入することになった。<br />
どんな誘惑があっても自分の煩悩と下半身に従ったらいけない、と忠告すると、夏美は3バカの背中を押す。<br />
3バカは夏美が開けた扉の先の漆黒の闇の中に勢いよく吸い込まれていった。<br />
 </dd>
<dt>280 :<a href="mailto:sage"><strong>かまいたちの夜×3</strong>◆l1l6Ur354A</a>:2007/02/10(土) 13:07:59
ID:DmO0UkVc0</dt>
<dd> -煩悩迷宮 地下1階-<br />
<br />
落ちた先はレトロ感漂う3D迷路のダンジョンだった。懐かしい不思議のペンション編のBGMが流れる。<br />
「透くん、武器と防具は装備してるか? 持っていても装備しないと効果がないからな」<br />
「装備するも何もそんなもの持ってませんよ」<br />
「“持たずに入る”派か……男らしいな」<br />
そんな会話をしながら通路を進むと、竹薮に出た。なんでダンジョンの中に竹薮が?<br />
と、竹薮の中に『あたしのピンクなところを見てください』というエッチなグラビアが表紙の本が落ちていた。<br />
竹薮にエロ本とは怪しすぎるという美樹本に対し、透は竹薮にエロ本はつきものだと言い、俊夫も同意した。<br />
そうじゃなくて、ここに竹薮があること自体がおかしい、と美樹本。<br />
それはそうだけど竹薮にエロ本があるのは変じゃない、と透。同意する俊夫。<br />
A:エロ本を拾う<br />
B:無視して通り過ぎる<br />
<br />
>エロ本を拾う<br />
美樹本を押しのけエロ本を拾う。すぐさま俊夫が覗き込んできた。<br />
君たちはこの程度の誘惑にも耐えられないのかと美樹本が嘆くが、何かの手がかりがあるかもしれないと透。<br />
手がかりがあるかもしれないから1ページずつゆっくり調べた方がいいんじゃないかね透氏(うじ)、と俊夫。<br />
そうですね、俊夫氏(うじ)、と透。<br />
しばしバカ2人のエロ本チェックタイムが続く。そしてついにマル秘袋とじまでやってきた。しかも未開封だ。<br />
慎重にミシン目を開けて袋とじをめくった、次の瞬間!<br />
背後で美樹本が白目を剥いて倒れていた。俊夫もその場にゆっくりと崩れ落ちる。その首には針のようなものが<br />
つきささっていた。<br />
嫌な予感がして逃げようとしたが、極めて不自然な前屈みの体勢で上手く走れるはずがない。<br />
転んでうつぶせに倒れた透の背後に何者かの気配が降り立った。<br />
エロ本なんて卑怯だぞ、と透がわめくが、恥ずかしい格好のまま死ぬがいいと喉を切り裂かれてしまった。<br />
<br />
                終<br />
<br />
            No.81 エロ本の罠<br />
<br />
>無視して通り過ぎる<br />
無視して通り過ぎようとした3バカの前に、黒い影が立ち塞がる。それはくのいちだった。<br />
相変わらずシルエットのように青いイラストだ。<br />
くのいちは戦闘開始にありがちなエフェクトで戦闘画面に入ると青いイラストからカラーイラストに変わって<br />
襲い掛かってきた! なんかどっかで見たウィンドウ配置だ! 本当に何のゲームだ。<br />
くのいちの攻撃! くのいちは春香の術を使った!<br />
透はゆうわくされてめろめろになった! 俊夫もゆうわくされてめろめろになった!<br />
美樹本には効果がなかった!<br />
ミキモト  トオル   トシオ<br />
A:攻撃  ゆうわく  ゆうわく<br />
B:防御<br />
 </dd>
<dt>281 :<a href="mailto:sage"><strong>かまいたちの夜×3</strong>◆l1l6Ur354A</a>:2007/02/10(土) 13:09:02
ID:DmO0UkVc0</dt>
<dd>>防御<br />
美樹本は身を守った!<br />
くのいちの攻撃! くのいちは吹き矢を使った!<br />
美樹本は毒にやられて動けなくなった!<br />
パーティは全滅しました。<br />
<br />
                終<br />
<br />
              No.82 毒矢<br />
<br />
>攻撃<br />
美樹本の攻撃! 美樹本はくのいちの首筋に手刀を叩き込んだ。<br />
くのいちを倒した!<br />
「……いやあ、意外と大したことのない霊でしたね。ねえ俊夫さん」<br />
「そうだな。色気なかったし」<br />
「お前らが言うな!」<br />
そして3バカは階段を下に降りていった。<br />
<br />
 -煩悩迷宮 地下2階-<br />
今度は通路の突き当たりに『桃色クリニック』と看板が出された建物があった。<br />
これは罠だと美樹本が主張するが、俊夫は診療項目とか診療時間とかが書いてあって、ご利用料金とか<br />
サービスタイムとかじゃないからこれはいかがわしいお店じゃないごく普通の診療所だと反論。他に道もない。<br />
透もあんな店、いや診療所になんか興味ないけどあそこを通らないと降りられないというのなら仕方ないと、<br />
さらに俊夫もはっきりいってああいう店、いや診療所はむしろ嫌いだけどこの際我慢しようと続ける。<br />
美樹本はそんな2人に疑惑のまなざしを向けていたが、やがて諦めたように溜め息をついた。<br />
『桃色クリニック』の入り口をくぐった3バカを出迎えたのはナース姿の女の子だった。<br />
今日はどうしましたか、との問いに、実は最近頭が重くって、と透。そうじゃないだろ! と美樹本が<br />
突っ込むも、俊夫に後ろから羽交い絞めにされて引き留められた。<br />
そんな彼らの前に現れた女医に、若くてキュートなナースも知性派の大人の女性である女医も捨てがたいと透。<br />
女医はそんな透に一日人間ドックコースと入院コースを提示してきた。<br />
触診などを女医に、浣腸などをナースにやってもらえると知り、透は悩む……。<br />
A:やっぱり最初は人間ドックから。<br />
B:もちろん入院コース!<br />
C:どっちにも興味はない。<br />
<br />
>やっぱり最初は人間ドックから。<br />
騙されちゃいけないと叫ぶ美樹本とそれを押さえる俊夫を置いて人間ドックに入る透。<br />
尿検査、そしてレントゲンを終えて検査台を降りようとした透を、美人放射線技師が止めた。<br />
ナースが、美人放射線技師が透の身体に触れてくる……。<br />
「かかったわね」<br />
透の体はいつのまにか検査台に革ベルトで縛り付けられていた。<br />
「……さては、罠だったのか! くっそー、何て巧妙な……」<br />
「どこがよ!」<br />
3人同時に突っ込まれた。心なしか遠くで美樹本の突っ込んでいる声も聞こえたような気がした。<br />
あなたの煩悩まみれの魂はきっと伊右衛門様の飢えを満たしてくれることでしょう、と女医たち。<br />
こんなはずじゃなかったのに……。<br />
<br />
                終<br />
<br />
            No.83 女医の罠<br />
 </dd>
<dt>282 :<a href="mailto:sage"><strong>かまいたちの夜×3</strong>◆l1l6Ur354A</a>:2007/02/10(土) 13:10:13
ID:DmO0UkVc0</dt>
<dd>>もちろん入院コース!<br />
早まるんじゃない、と騒ぐ美樹本を無視して透は個室に入院した。<br />
専用トイレもついた、差額ベッド代をたくさん取られそうな部屋だ。<br />
そこへカミソリと浣腸を持ったナースがやってきて、あんなことこんなことされるがままになる透。<br />
もう死んでもいい、なんて思いながらナースに差し出されたマスクを顔につけて息を吸うと、<br />
意識はあるのに指先1つ動かせなくなってしまった。<br />
そして数人のナースにより手術室に運ばれた透は、そのまま開腹手術を受けることになってしまった。<br />
身体はぴくりとも動かないのに麻酔はまったく効いていない。そのままメスがへその下に押し当てられる。<br />
「ぎゃああああああああああああ!」<br />
<br />
                終<br />
<br />
            No.84 開腹手術<br />
<br />
>どっちにも興味はない。<br />
よく言った、さあこんなところはさっさと脱出するんだと、いつの間にか下への階段を見つけていた美樹本が<br />
透と俊夫を手招きする。<br />
しかし、女医たちはそれを許さなかった。<br />
<br />
ナースがあらわれた!<br />
女医があらわれた!<br />
美人放射線技師があらわれた!<br />
ナースの攻撃! 「お薬の時間でーす」<br />
透は薬を飲んだ! 透は媚薬を飲まされてゆうわくされた!<br />
女医の攻撃! 女医は俊夫に注射を打った!<br />
俊夫は眠ってしまった!<br />
美人放射線技師の攻撃! 美人放射線技師は放射線を放った!<br />
美樹本は放射線をかわした!<br />
ミキモト  トオル   トシオ<br />
A:攻撃  ゆうわく  すいみん<br />
B:防御<br />
<br />
>防御<br />
美樹本は身を守った!<br />
美人放射線技師の攻撃! 美人放射線技師は放射線を放った!<br />
放射線は防御できない! 美樹本はガンに冒された!<br />
パーティは全滅しました。<br />
<br />
                終<br />
<br />
             No.85 放射線<br />
 </dd>
<dt>283 :<a href="mailto:sage"><strong>かまいたちの夜×3</strong>◆l1l6Ur354A</a>:2007/02/10(土) 13:11:14
ID:DmO0UkVc0</dt>
<dd>>攻撃<br />
美樹本の攻撃! 美樹本はナースに往復ビンタを食らわした!<br />
ナースは泣き崩れた。<br />
女医の攻撃! 女医はメスを投げた!<br />
美樹本はメスをかわした!<br />
美人放射線技師の攻撃! 美人放射線技師は色気を放った!<br />
美樹本には効果がなかった!<br />
(再度攻撃と防御の選択肢が出てくるが、この戦闘は防御を選ぶと必ず放射線エンド)<br />
美樹本の攻撃! 美樹本は女医の腕をひねりあげ耳元で囁いた!<br />
女医は唇を噛んだ。<br />
美人放射線技師の攻撃! 美人放射線技師は色気を放った!<br />
美樹本には効果がなかった!<br />
美樹本の攻撃! 美樹本は美人放射線技師の腹を殴った!<br />
美人放射線技師は意識を失った。<br />
三人の霊を倒した。<br />
「……いやあ、意外と大したことない霊でしたね。ねえ俊夫さん」<br />
「そうだな。服着てたし」<br />
「お前らが言うな!」<br />
そして3バカは下への階段を降りていった。<br />
 </dd>
<dt>284 :<a href="mailto:sage"><strong>かまいたちの夜×3</strong>◆l1l6Ur354A</a>:2007/02/10(土) 13:13:44
ID:DmO0UkVc0</dt>
<dd>以上、地下2階まで。3階以降は夜にでも。<br />
余談ですが戦闘シーンは△ボタンを使うことも読み飛ばすことも逆に戻ることも出来ません。<br />
バッドエンドになったらその階の最初から戻ってやり直し、読み飛ばしても戦闘直前までしか飛びません。<br />
<br />
……そして、敵のイラストのせいで本編とは別の意味で家族の前じゃやれません。<br />
 </dd>
<dt>403 :<a href="mailto:sage"><strong>かまいたちの夜×3</strong>◆l1l6Ur354A</a>:2007/02/10(土) 23:06:46
ID:DmO0UkVc0</dt>
<dd> -煩悩迷宮 地下3階-<br />
<br />
今度の通路の突き当たりは左右に分かれており、正面の壁に「←18歳以上 18歳未満→」と書かれていた。<br />
俊夫はためらうことなく「18歳以上」へと進む。しかし美樹本は「18歳未満」へ行こうとしていた。<br />
「美樹本さん、どっち行くんですか。あなた、三十過ぎてるでしょう」<br />
「ん? これは敵の年齢じゃないのか」<br />
自分の年齢ですよ、インターネットなどでよくあるでしょう、と透に突っ込まれ、美樹本はデジタル関係は<br />
苦手だと照れくさそうに言う。<br />
でも透は童顔だし18歳以下に見える。身分証明書出せって言われたりするだろ? と、からかうように俊夫。<br />
ビデオを借りるときのつらさはこの2人にはわかるまい、と透は思った。<br />
その髪型がいけないんだという俊夫は自分の髪型(ポニテ)を勧めたが透は断った。<br />
そういえば俊夫はずっと同じ髪型だが、こだわりがあるらしく変えるつもりはないらしい。<br />
そんなことより先を急ごうと、3バカは「18歳以上」の道へと進んだ。<br />
その通路の突き当りには鉄の扉があり、そこから波の音が聞こえてくる。<br />
「こんなところで波の音がするか、普通」<br />
「あきらかに敵の罠ですね」<br />
「罠だな。18歳以上の罠だ」<br />
俊夫が目を細めた。<br />
戻ってもう1つの道を行くにしても、向こうにも罠があるだろう。<br />
「あるだろうな。18歳未満の罠が」<br />
俊夫が目を細めた。<br />
とりあえずこの先に行って様子をみてみることにした。<br />
今まで以上に協力な罠が用意されているはずだから気をつけろ、と美樹本。<br />
エロ本やクリニックなんてめじゃないでしょう、と透。<br />
なんせ18歳以上の罠だからな……と、厳しい表情で目を細めた俊夫。<br />
扉を開け放つ。輝く太陽、澄んだ空。青い海、白い砂浜。海辺でたわむれる水着の女性たち。<br />
そして……「ようこそ! パラダイス三日月」の看板。<br />
「ふざけてるよな。こんな看板で俺達が油断する訳ないだろう。なあ、透くん」<br />
美樹本が怒りをあらわにした。<br />
「まったく。ふざけてますよね、俊夫さん」<br />
「ほんと、ふざけてるよな」<br />
透はあらかじめはいていた海水パンツに着替えた。俊夫はふんどし一丁になる。<br />
かま2の官能編バッドエンドといい、この人ふんどしデフォですか。<br />
「言ってることと違うだろ!」<br />
そんな3バカの元へ、ビーチボールを持った巨乳の女の子が一緒に遊ばないかと声をかけてきた。<br />
と、ビーチマットにうつぶせに寝そべっていた女の子からもサンオイルを塗ってくれないかと話しかけられる。<br />
「ねえ、ビーチボールは?」<br />
「ねえ、オイル塗ってくれないの?」<br />
A:ビーチボールで遊ぶ<br />
B:サンオイルを塗る<br />
C:無視する<br />
 </dd>
<dt>404 :<a href="mailto:sage"><strong>かまいたちの夜×3</strong>◆l1l6Ur354A</a>:2007/02/10(土) 23:07:17
ID:DmO0UkVc0</dt>
<dd>>ビーチボールで遊ぶ<br />
嬉しい、とビーチボールの女の子が透にしがみついてきた。シルエットとイラストの共演は実にミスマッチ。<br />
早速始めるわよ、と女の子はビーチボールを頭上に掲げ、なぜか透の頭頂に振り下ろされた。<br />
透の体はまっすぐ砂浜に埋め込まれ、頭頂がずきずきと痛む。どういうこと?<br />
続いていくわよ、と彼女はまたビーチボールを頭上に掲げた。<br />
「そ~れっ!」<br />
<br />
                終<br />
<br />
           No.86 ビーチボール<br />
<br />
>サンオイルを塗る<br />
透は彼女の隣に膝を落とし、背中の紐を外してサンオイルを手に取った。<br />
いよいよその背中にオイルを塗ろうと手を伸ばしてきたとき、突然ポツリと何かが肩に落ちる。<br />
見上げるといつのまにか黒い雨雲が広がっていた。<br />
楽しみは肌を焼くだけじゃない、そこにパラソルがあるから自分たちが周りから見えなくなるくらいに<br />
深く地面に刺してくれ、と女の子。<br />
誘惑されるがままに透は素早くパラソルを広げ、サンオイルを塗ることなく真っ黒になった。<br />
<br />
                終<br />
<br />
              No.87 落雷<br />
<br />
>無視する<br />
2人の誘惑を何とか振り切ると、女性の悲鳴が聞こえてきた。<br />
あたりを見回すと、海の中に肩までつかった女の子が見えた。足でもつったのか?<br />
無視しろ、あれも罠だと美樹本。<br />
けど助けを求めている女性を放っておいていいのか、と男らしい反論をする俊夫。<br />
一応何があったのか訊いてみませんか、大したことなかったらスルーで、と透。<br />
「そうだな。18歳未満のネタだったら無視しよう」<br />
「そうじゃないだろ!」<br />
海辺にかけよって声をかけると、どうやら水着を流されてしまったらしい。<br />
一緒に探してくれという女の子に、透は二つ返事で承諾した。だが俊夫は早まるなと透の肩を強い力で掴む。<br />
今まで君のことを誤解していたようだと感心する美樹本に、俺だって学習しますよと返す俊夫。<br />
そして俊夫は女の子に訊いた。流された水着は上か下か。<br />
女の子が両方だと答えると……気がつくと俊夫はすでに海に飛び込んでいた。<br />
俊夫さん、ずるいですよ! と透も潜水しながら彼女の下に向かう。しかし何かがおかしい。<br />
彼女の足が妙に太いのだ。……いや、あれは足ではない。足ひれだ!<br />
「くっそー、騙された!」<br />
ビーチにいた連中を大方片付けた美樹本がすぐに追いかけてくる。<br />
 </dd>
<dt>405 :<a href="mailto:sage"><strong>かまいたちの夜×3</strong>◆l1l6Ur354A</a>:2007/02/10(土) 23:08:05
ID:DmO0UkVc0</dt>
<dd>人魚があらわれた!<br />
人魚の攻撃! 人魚は招喚のメロディを奏でた!<br />
ビーチボールの女性があらわれた!<br />
サンオイルの女性があらわれた!<br />
ビーチボールの女性の攻撃! 透を胸の谷間に押し込んだ!<br />
透はゆうわくされた!<br />
サンオイルの女性の攻撃! サンオイルの女性はオイルを放った!<br />
俊夫はすべって頭をうった! 俊夫は気絶した!<br />
ミキモト  トオル   トシオ<br />
A:攻撃  ゆうわく  きぜつ<br />
B:防御<br />
C:道具<br />
<br />
>攻撃<br />
美樹本の攻撃! サンオイルの女性は攻撃をかわした!<br />
サンオイルの女性の攻撃! サンオイルの女性はオイルを放った!<br />
サンオイルは美樹本の目に入った! 美樹本は目潰し状態で動けない!<br />
パーティは全滅しました。<br />
<br />
                終<br />
<br />
             No.88 目潰し<br />
<br />
(この戦闘に限り、攻撃も防御も同結果)<br />
>道具<br />
A:薬草<br />
B:カメラ<br />
>カメラ<br />
美樹本はカメラを使った!<br />
「残念だなあ、メイクが落ちてなければ完璧なのに」<br />
サンオイルの女性は逃げ出した!<br />
ビーチボールの女性の攻撃! 美樹本を胸の谷間に押し込んだ!<br />
美樹本には効果がなかった!<br />
人魚の攻撃! 人魚は誘惑のメロディを奏でた!<br />
美樹本には効果がなかった!<br />
美樹本はカメラを使った!<br />
「君は完璧だ。……むだ毛がなければね」<br />
ビーチボールの女性は逃げ出した!<br />
人魚は消音のメロディを奏でた!<br />
人魚は何も聞こえなくなった!<br />
美樹本はカメラを使った!<br />
美樹本は無言でシャッターをきった。<br />
美樹本は無言でシャッターをきった。<br />
美樹本は無言でシャッターをきった。<br />
美樹本は人魚の足ひれを指さした! 足ひれにはフジツボがついていた!<br />
人魚はしまったとばかりに美樹本を見た。<br />
美樹本は大きな溜息をついて首を横に振った。<br />
人魚は逃げ出した!<br />
三人の霊を倒した!<br />
「……いやあ、意外と大したことない霊でしたね。ねえ俊夫さん」<br />
「そうだな。結局、下は見えなかったし」<br />
「お前らが言うな!」<br />
お約束のやり取りと共に3バカは下へと降りていった。<br />
 </dd>
<dt>406 :<a href="mailto:sage"><strong>かまいたちの夜×3</strong>◆l1l6Ur354A</a>:2007/02/10(土) 23:09:24
ID:DmO0UkVc0</dt>
<dd>こうして3バカが攻略した階数は26階。倒した霊の数は50人以上。<br />
さすがに美樹本にも疲労が浮かぶが、透と俊夫はぴんぴんしている。<br />
そして不思議のダンジョンのお約束、27階に辿り着いた。BGMも不思議のペンション最下層のものになる。<br />
今までとの空気の違いに最下層であることを感じた透たちは今までの道のりを思い返した。<br />
ほどけそうなヒモパンでベリーダンスを踊る女、ファスナーをおろしてと頼むボンテージの女、<br />
裸にエプロンだけつけて、みそ汁をつくる女……。<br />
14階の『口の中でさくらんぼを結ぶ女』には参った、と俊夫。透は20階の『和服の未亡人』らしい。<br />
美樹本は、と話をふるも、俺が満足するわけないだろ、ときっぱりと言われた。<br />
カメラマンという仕事柄、今まで一体どれだけおいしい思いをしてきたのだろうか。<br />
地下道を進むと、小さな部屋に辿り着いた。正面と左右それぞれの壁に扉があり、扉には文字が書かれている。<br />
透は正面の扉の文字を見た。『イエモンノシャレコウベ、アリマス』<br />
ここですよ、と透は2人に声をかけるが、俊夫は右の扉に書かれた文字をじっと見つめていた。<br />
その扉には、『ポニーテール、アリマス』<br />
俊夫は語る。自分の髪型はポニーテール、みどりもポニーテール。<br />
みどりに惹かれた理由の1つに彼女がポニーテールだったからということもあって、みどりと離れてからは<br />
ポニーテールの女性を見かけても耐えてきたが、それももう限界だという。<br />
罠でもいい、これだけは譲れないと俊夫は右の扉を開けて中に入っていってしまった。<br />
慌てて美樹本を呼ぶと、美樹本は左の扉の文字を凝視している。<br />
『ショタ、アリマス』<br />
ショタってなんだ? と疑問符を浮かべる透に、残念な話をしなきゃいけないようだ、と美樹本。<br />
自分は透を守るためにこれまでずっと頑張ってきたが、透はちっとも振り向いてくれない。<br />
ここいらが潮時だ、この扉の先に行く、と美樹本。<br />
ショタって何ですかと言いながら止めようとする透だったが、俺だって癒されたいんだと左の扉を開けて<br />
中に入っていってしまった。<br />
これは孔明……じゃない、伊右衛門の罠だ。おそらく2人はもう帰ってこない。<br />
透は行くしかない、と正面の扉を開けて中に入った。<br />
そこは息が詰まるほどの邪気が溢れかえり、部屋の中心には小さくすすけた頭蓋骨が鎮座している。<br />
透はその伊右衛門の頭蓋骨の真上で両手を組み、一気に振り下ろした。<br />
邪気のようなものが黒い煙のように収束し、天井へと吸い込まれていく。終わったのだ。<br />
透は階段を上り、館の1階へと出てきた。館内は以前と同じ姿を取り戻している。<br />
ロビーへ向かい、外へ出ようと扉に手をかけたとき、背後から透を呼ぶ聞き覚えのある声がした。<br />
真理だった。香山から電話があり、全部聞いて慌てて追いかけてきたのだ。<br />
真理の瞳から涙があふれる。香山の嘘に騙されるなんて、本当にバカよ、と。<br />
ごめん、と謝る透に、真理は言った。私じゃダメか、と。<br />
「透はパラダイスを手に入れられなかったけど……世界で一番小さい、透だけのパラダイスをつくってあげる。<br />
それじゃ……ダメ?」<br />
透は何て答えたらいいかわからなかった。真理は透の首にそっと手を回す。そしてゆっくりと目を閉じた。<br />
A:ぼくはためらった。<br />
B:何もためらう理由はない。<br />
 </dd>
<dt>407 :<a href="mailto:sage"><strong>かまいたちの夜×3</strong>◆l1l6Ur354A</a>:2007/02/10(土) 23:10:34
ID:DmO0UkVc0</dt>
<dd>>何もためらう理由はない。<br />
真理の前で男を見せるチャンスだ、と瞳を閉じてそっと唇を重ねる。<br />
唇の味は特殊な味だった。意外に粉っぽく、彼女の舌には思っていたよりボリューム感がある。<br />
「……ん?」<br />
真理じゃなかった。透がキスしていた相手は頭蓋骨だったのだ。骸骨は透の頭をしっかり掴みこんでいた。<br />
どす黒く濁った霊気が身体にじわじわと侵入し、透は伊右衛門の新しい依り代となるのだった。<br />
<br />
                終<br />
<br />
           No.89 新たな依り代<br />
<br />
>ぼくはためらった。<br />
心配してくれるのは嬉しいが、とても真理とは思えないしおらしさだ。普段なら絶対にこんな展開にならない。<br />
その時、廊下の奥からドタドタと足音が聞こえてきた。<br />
「どこだ伊右衛門! ばかにしやがって。なにがポニーテールだ。馬のケツの剥製じゃないか!」<br />
「どこだ透くん! 俺が悪かった。やっぱり俺には君しかいない! 俺を許してくれ! 俺を癒してくれ!」<br />
そう叫びながら現れたのは言うまでもなく俊夫と美樹本だった。<br />
よかった無事だった、と声をかけた透を見て、2人は目を見開いた。<br />
「み、みどり!? 透くん、彼女となにをしてるんだ!?」<br />
(透に抱きつくみどり←俊夫ビジョン)<br />
「と、透くんが二人!? まさか、大盛りプレイか!?」<br />
(透に抱きつく透←美樹本ビジョン)<br />
「みどり!」<br />
「W透くん!」<br />
目の前の人間が真理しか見えない透には2人とも何を言っているのかがわからない。<br />
それにダブル透って? 今日の美樹本はずっとおかしい。そもそもショタって何?<br />
混乱する透に真理が強引に迫ってくる。させるか! と俊夫、だったら俺にしてくれよ! と美樹本。<br />
2人が透たちに向かって走ってきて……。<br />
トイレのスッポンのような音(@かま1・Oの喜劇編)が聞こえ、美樹本が真理(彼的には透)にキスをした。<br />
勝手に手が動き、美樹本を殴り倒す透。と、真理の顔色が変わっていく。<br />
「ぐっ、んぐっ……な、なんだこれは? これは人間の精気じゃない……これは……だ、男色の気だ」<br />
それは真理の声ではなかった。<br />
「うう、気持ち悪い。体中が男色の気で侵されていく」<br />
真理の身体から黒い光がいくつも飛び出し、断末魔の悲鳴を上げた。<br />
 </dd>
<dt>408 :<a href="mailto:sage"><strong>かまいたちの夜×3</strong>◆l1l6Ur354A</a>:2007/02/10(土) 23:11:41
ID:DmO0UkVc0</dt>
<dd>……目を開けると、そこは三日月館の中庭だった。<br />
ようやった、ほんまにご苦労さん、と香山と夏美が満面の笑みを浮かべながら3バカに声をかけた。<br />
3バカの健闘ぶりをずっと陰ながら見守っていたのだ。<br />
さっきのが最後の試練であり、それぞれにとって1番誘惑されたい人の姿に化けて誘惑しに来たのだ。<br />
透には真理、俊夫にはみどり、そして美樹本には……。<br />
ちょっと待ってくれ、俺にはそんな趣味はないと顔をしかめる美樹本に、どうやら治ったようだと香山。<br />
さっきまで美樹本が透を想っていたのは本当だったが、伊右衛門がそれを吸い取ってしまったのだ。<br />
どうやらさっきのことを覚えていない美樹本はどうやって吸い取ったのかわかっていなかった。<br />
知らないほうがいいと香山は誤魔化す。それよりも、あのまま放っておいたら美樹本は精気まで吸い取られる<br />
ところだったのだが、透が突き飛ばしたおかげでそうはならずに済んだのだ。<br />
これはうちからのお礼や、と夏美からのキスを受け取る美樹本、透、俊夫、香山。<br />
これで成仏できる、と夏美の身体がさらに透明になっていく。夏美の名を叫んで抱きしめた香山の腕の中に、<br />
もう夏美の姿はなかった。<br />
香山は改めて3バカに礼を言うと、君らにも内緒のプレゼントがあると言い出した。<br />
今度こそ正真正銘、男にとってのパラダイスだと。<br />
香山は玄関のドアノブに手をかけた。<br />
「じゃあ、新生三日月館で堪能したってや――これがわしからのプレゼントや!」<br />
<br />
        ( ゚ー゚#み)( ゚∀゚#真)( ゚ー゚#可)<br />
<br />
      ∑(・Д・;透(゚Д゚:俊(`Д´;美)<br />
<br />
「真理!」「みどり!」「可奈子!」<br />
それぞれの伴侶(仮)が硬く険しい表情で立ちはだかっていた。明らかに生還を祝う雰囲気ではない。<br />
まさか、本当のことを言ったのでは……と香山に問う。<br />
夏美の最後の願いで、本当の男女は真実と向きあわなければいけないと言っていたというのだ。<br />
真実を知ることが幸せとは限らないでしょう、と涙ながらに訴える透に、何か隠し事でもあるの、と真理。<br />
どうしてここに、と問う俊夫に、服役態度がいいから仮出所できた、とみどり。<br />
俊夫に会いたい一心で頑張ってきたのに、香山の嘘にほいほいと騙されるなんてと怒り心頭だ。<br />
香山は嘘をつかない、約束どおり彼の趣味を変えてくれたから、と可奈子。<br />
ショタ趣味がなくなって、もう美樹本との間に障害なんてないのだ。<br />
彼女たちがずいっと1歩踏み込む。3バカはずずっと1歩後ろに下がる。<br />
「あ、あの真理……ごめん!」<br />
「み、みどり……ゆるしてくれ!」<br />
「可奈子……俺はまだ独りでいたいんだ!」<br />
そして3バカは全力で逃げ出した。<br />
「待ちなさいっ!」<br />
彼女たちが般若の形相で追いかけてくる。<br />
ぼくたち6人は沈み行く夕日の中をどこまでも走っていた。<br />
香山がしみじみと呟いた。<br />
「若いって、ええもんやな……」<br />
<br />
            おしまい<br />
<br />
(完扱いで、No.90 若いって、ええな)<br />
 </dd>
<dt>409 :<a href="mailto:sage"><strong>かまいたちの夜×3</strong>◆l1l6Ur354A</a>:2007/02/10(土) 23:14:41
ID:DmO0UkVc0</dt>
<dd>以上、ピンクシナリオでした。立ちはだかる敵の具体的な描写だの<br />
誘惑に負けた場合のあれやこれやの描写だの、戦闘時の美樹本の言葉攻めだの、<br />
結構はぶいてあります。そこだけ見ると本当に何のゲームやら。<br />
<br />
この「おしまい」を見ることで、やはりかま2と同じエフェクトで黒の栞が出現します。<br />
一見すると変化した部分はないのですが……。<br />
<br />
次の予定はバッドエンド集となります。各エンド数行程度のさらっとしたものにする予定。<br />
そしてその後、犯人編に。<br />
 </dd>
<dt>33 :<a href="mailto:sage"><strong>かまいたちの夜×3</strong>◆l1l6Ur354A</a>:2007/02/25(日) 04:11:57
ID:oTNKeSed0</dt>
<dd>かま3のバッドエンド集いきます。<br />
<br />
ナンバーとエンド名、エンドに行く簡単な条件、エンドの簡単な内容に()内で多少の補足。<br />
すでにストーリー部分で触れたエンドについては省略します。<br />
また、第2の事件以降は色々と展開が大きく変わるので長くなっていますがご容赦を。<br />
なお、No.1~10が香山編、No.11~36が透編、No.37~60が俊夫編、No.61~78が啓子編です。<br />
 </dd>
<dt>34 :<a href="mailto:sage"><strong>かまいたちの夜×3</strong>◆l1l6Ur354A</a>:2007/02/25(日) 04:12:55
ID:oTNKeSed0</dt>
<dd>No.1 ほな来年<br />
No.11 また来年<br />
No.37 俺は帰る<br />
No.61 何しに来たんだろ<br />
<br />
条件:俊夫編の最初から3番目までの選択肢をひたすらネガティブな方に。<br />
<br />
島に来てからひたすらネガティブ思考の俊夫は、自分が無駄足を踏んでいるような気がして仕方がなかった。<br />
ネガティブ極まった俊夫は自分がいなくても関係ないだろうと勝手に帰ってしまう。<br />
全員が集まらないと供養の意味がないと、香山はまた来年に集まりなおすことに決めた。<br />
何しに来たんだろう、という思いを各々に残して。<br />
<br />
(基本は下の選択肢。船長との会話は「帰れ」と言ってるように聞こえたで)<br />
<br />
<br />
No.2 バナナの呪い<br />
No.12 真理一筋?<br />
No.38 なぜバナナが……<br />
No.62 早く港に……<br />
<br />
条件:俊夫編で思ったことを口に出しまくる。<br />
<br />
啓子、美樹本、透に対して思ったことを口に出しまくった結果、3人を怒らせてしまった俊夫。<br />
怒った3人は次々に帰ってしまい、供養が台無しになったと怒る香山は祈祷師のルアビーコ竹馬……じゃなくて<br />
ケマルーア彦田に電話をかけ、呪いをかける方法を教わる。<br />
かくして俊夫は透が怒りに任せて貪ったバナナの皮を踏んづけて転んで頭を打つという呪いにかかるのだった。<br />
ちなみに俊夫が思ったように、美樹本のクルーザーの運転は本当にヘタだったようだ。<br />
<br />
(……と言いかけたが~3連を全部口に出せばよし)<br />
<br />
<br />
No.3 財宝に目が眩んで……<br />
No.13 オムレツ一筋<br />
No.39 働け俊夫さん<br />
No.63 フードファイター啓子<br />
<br />
条件:香山編で財宝を諦めない。<br />
<br />
ケマルーア彦田に忠告されても宝を諦めようとしなかった香山は、諦めないとこんな不幸な目に遭うと様々な<br />
事柄をケマルーア彦田に聞かされ、怯えるあまり祈祷をも中止して島から逃げ帰っていった。<br />
その後真理と音信不通になった透は無駄に上手くなったオムレツ作りの腕を生かしてオムレツチェーンを展開、<br />
香山の「浪速のド根性焼き」と対立する。<br />
そして啓子が「浪速のド根性焼き」のチェーンを渡り歩いて食べまくったのが決定打となり、香山は破産。<br />
依然としてニートの俊夫にまで借金の電話を申し込むほどに落ちぶれてしまったのだった。<br />
<br />
(ケマルーアじゃなくて業者に電話すると見れないので注意)<br />
 </dd>
<dt>35 :<a href="mailto:sage"><strong>かまいたちの夜×3</strong>◆l1l6Ur354A</a>:2007/02/25(日) 04:13:28
ID:oTNKeSed0</dt>
<dd>No.4 TDLの失敗<br />
No.14 TDLって……<br />
No.40 TDLでデート<br />
No.64 新たな恋?<br />
<br />
条件:透編で「うち来んか」に同意した後、考え直す。<br />
<br />
香山の携帯のアラームから派生した就職話に同意しかけて断った透はあることを思いつく。<br />
それは三日月島のリゾートアイランド計画だった。その名もTDL(T食べてんか・D道頓堀・Lランド)。<br />
島の中に昭和後期の時代の大阪を凝縮したこのTDLは……もちろん失敗し、3日で潰れるのだった。<br />
一方みどりと別れた俊夫はバイト先のコンビニで啓子と再会、各地を一緒に食べ歩く仲となったのだった。<br />
<br />
(定番の「うち来んか」。今までとは違い1度引き受けてから断るで辿り着くのがポイント)<br />
<br />
<br />
No.5 扉さえ開けば……<br />
No.16 しばしの別れ<br />
No.42 なぜ玄関が?<br />
No.66 大福餅は涙味<br />
<br />
条件:啓子編で部屋に戻ってしまった可奈子と美樹本を追いかける。<br />
<br />
とにかく美樹本と2人きりにはさせられないと俊夫の制止を聞かずに可奈子を追っていった啓子は、<br />
2階のロビーでとあることに気がついた。<br />
可奈子と美樹本も引き連れて自信満々に下に降りていった啓子は今から玄関を開けると宣言、九字を切り<br />
見事に扉を開けてしまう。何故開いたのかは啓子は教えてくれなかった。<br />
啓子はこれであの人も自分を見てくれる……と思ったのだが、相変わらず可奈子と美樹本はべったり。<br />
当てが外れ、大福餅を頬張るのだった。<br />
一方香山たちは3バカが来ないので地下の扉を開けられず、それ以上先に進めなかったのだった。<br />
<br />
(追いかけただけでは駄目。とにかく2人きりを阻止する方向で)<br />
<br />
<br />
No.6 伊右衛門のツッコミ<br />
No.7 伊右衛門の丸呑み<br />
No.8 九字が切れずに……<br />
<br />
条件:香山編で九字を間違えまくる。<br />
<br />
九字をちゃんと覚えていなかった香山。最初の6文字すら思い出せずに「わかるやろ、普通!」と伊右衛門から<br />
キツいツッコミを喰らって昇天したり、残りの3文字がわからずに頭から丸呑みにされたりと、とにかく<br />
伊右衛門によってやられてしまうのだった。<br />
<br />
(とにかく間違え続ければいい。最初以外は普通にやろうと思っても間違えたりする)<br />
<br />
<br />
No.9 切り捨てたはずが……<br />
<br />
条件:香山編でしゃれこうべではなく亡霊に切りかかる。<br />
<br />
これは一体何のゲームだ、と思うような光の剣で伊右衛門の亡霊に切りかかった香山だったが、怨念の元を<br />
断てなかったために復活した亡霊により惜しくもやられてしまうのだった。<br />
<br />
(最後の2択なので簡単に見れます)<br />
 </dd>
<dt>36 :<a href="mailto:sage"><strong>かまいたちの夜×3</strong>◆l1l6Ur354A</a>:2007/02/25(日) 04:14:23
ID:oTNKeSed0</dt>
<dd>No.10 皆に何があった?<br />
<br />
条件:他3編で1人でも死者が出ている状態で香山編を終わらせる。<br />
<br />
見事伊右衛門を倒し、館のむくわれない魂たちは無事に成仏していった。<br />
しかし香山は知らなかった。館内で新たなむくわれない魂が生まれてしまったことに……。<br />
<br />
(とにかく他3人が正解ルートから外れていればこれに)<br />
<br />
<br />
No.17 犯人に間違われ<br />
No.43 地下室でコートの男に……<br />
No.67 全て計画通りに<br />
<br />
条件:俊夫編で地下水路の死体(本物キヨ)をもう少し調べようとする。<br />
<br />
死体が気になった俊夫は1人その場に残って死体を調べ、服の裏に「菱田喜代」の文字を発見。<br />
他にはもう手がかりはないと地下まで戻ってくるが、そこに潜んでいたコートの男によって殺されてしまう。<br />
透は帰りが遅い俊夫を心配して地下に様子を見に行き俊夫の遺体を発見、少し遅れてきた美樹本に犯人と<br />
間違えられてそのまま地下に閉じ込められてしまった。<br />
再び地下の扉が開けられたとき、すでに惨劇は完結していた。<br />
「生き残った2人」の証言により、透は一連の事件の犯人として逮捕されてしまうのだった。<br />
<br />
(2択なので簡単に見れます)<br />
<br />
<br />
No.18 啓子ちゃんが犯人だ<br />
No.44 犯人よ地下室で眠れ<br />
No.68 あたしじゃない!<br />
<br />
条件:透編で啓子が鍵を失くしたことは嘘だと疑い、春子が鍵を開けるのを見守らない。<br />
<br />
啓子は2号室の鍵など失くしておらず、マスターキーとタグを入れ替えていたのだと考えた透は、<br />
マスターキーの検証中にその推理を披露。啓子は必死に自分じゃないと訴えるが地下に閉じ込められてしまう。<br />
あとは朝が来るのを待てばいい。そう思いながら一同は眠りについた……。<br />
<br />
(鍵の推理時には啓子の鍵に着目。あるいは犯人入力で直に啓子を入力する)<br />
<br />
<br />
No.19 物言わぬ容疑者<br />
No.45 労働の日々<br />
No.69 キャンディに八つ当たり<br />
<br />
条件:透編で最初の推理に成功した場合は必ずNo.19を見ることになる。<br />
   あるいは俊夫編で共犯者の正体や隠れ場所を指摘するのに失敗。<br />
<br />
透編は本文参照。<br />
俊夫は離婚届に判を押し、日雇いの肉体労働の日々を送る。<br />
啓子は目的が何も果たせなかったことに、一体自分は何をしに来たのかと思いながら帰りの船で舐めていた<br />
キャンディを噛み砕いた。<br />
<br />
(犯人が春子だと指摘した後に推理失敗すると基本は全部これ)<br />
 </dd>
<dt>37 :<a href="mailto:sage"><strong>かまいたちの夜×3</strong>◆l1l6Ur354A</a>:2007/02/25(日) 04:15:18
ID:oTNKeSed0</dt>
<dd>No.20 村上は何処に<br />
No.46 村上を捜していれば……<br />
No.70 うらめしい帰還<br />
<br />
条件:俊夫編で村上の居場所の見当をつけられない。<br />
<br />
共犯者が村上だとわかってもその居場所がわからないため、一同は真相に辿り着けなかった。<br />
いるかどうかもわからない男の捜索を警察は渋り、無事生還は果たせたものの、一同の心にはしこりが残る。<br />
ちゃんと村上を捜していれば……と。<br />
<br />
(見つけるのを諦めたり食堂以外を指摘すればよし)<br />
<br />
<br />
No.21 俊夫さんを襲った凶弾<br />
No.47 死という解放<br />
No.71 ドラマのような幕引き<br />
<br />
条件:透編で、村上を捕まえた後に村上の沈黙を答と受け取る。<br />
<br />
透は村上の沈黙を前にその態度の裏を見抜けなかった。村上は銃を抜き、目の前にいる俊夫に発砲する。<br />
その後すぐに村上は取り押さえられたが、銃弾は俊夫を貫いていた。まるでドラマのようだ、と思う啓子。<br />
透は後悔する。何とかなったはずだ。もっと早くに拳銃に気付けていれば……。<br />
俊夫は薄れ行く意識の中で、これでいい、と思った。自分が死ねばみどりは重荷から解放されるのだ、と。<br />
<br />
(俊夫・啓子編の初期状態ではここは回避されている。最短ルートだとここの透編は見ないので忘れがち)<br />
<br />
<br />
No.22 村上に撃たれ……<br />
No.48 無慈悲な銃声<br />
No.72 撃たれるのはあたし<br />
<br />
条件:俊夫編で推理に完全に成功した場合は必ずNo.48を見ることになる。<br />
   あるいは啓子編で可奈子に向けられた銃口に声を上げる。<br />
<br />
俊夫編は本文参照。<br />
透は真理の声を遠くに聞きながら絶命、啓子は自分が声をあげたせいで透が撃たれたのを目の当たりにし、<br />
本来だったら撃たれるのはあたしだったのに、と思う。あたしが撃たれればよかったのだ、と。<br />
<br />
(ポケットを探ったり祈れば回避。声を出した場合のみこれに)<br />
<br />
<br />
No.23 救われると信じて<br />
No.49 罪と償い<br />
No.73 涙の暴れん坊男爵<br />
<br />
条件:香山編で伊右衛門退治に失敗(No.6~9)する。<br />
<br />
(推理完全成功時の、香山登場場面から先がないまま終わるだけ)<br />
 </dd>
<dt>38 :<a href="mailto:sage"><strong>かまいたちの夜×3</strong>◆l1l6Ur354A</a>:2007/02/25(日) 04:19:54
ID:oTNKeSed0</dt>
<dd>No.24 暗闇の中ドアノブが<br />
<br />
条件:俊夫編で美樹本の死体の鎌を抜き、透編で真理と2人っきりになった際に俊夫の方が好きなのかと誤解、<br />
   「だけど君がその目で~」→「とにかく信じてくれないか」と選択。<br />
<br />
応接室で2人っきりになったが、俊夫が好きなのではと誤解した透により真理は怒って出て行ってしまう。<br />
しかし血相を変えてすぐに真理は戻ってきた。食堂で美樹本の胸に鎌を突き立てる俊夫を見たのだという。<br />
続いてやってきた俊夫により美樹本の死を知らされ、透は食堂で美樹本の死を確認。<br />
他の皆を呼びに行くからと食堂に俊夫を残して出て行き、ドアを封じて閉じ込めてしまった。<br />
応接室に残りの全員が集まるが、真理が今更ながらに俊夫は犯人ではないかもと言い出したりして嫌な雰囲気に<br />
包まれてしまう。<br />
結局可奈子、啓子、春子が応接室を出て行き、真理も部屋に戻って透は俊夫を見張ることにした。<br />
そしてそのまま子の刻になり、俊夫が犯人だということが証明されてしまう。<br />
透は食堂のドアがしっかりと封じられていることを確認してから真理の元に戻り、物置部屋から出られないか<br />
を確認しに行く。マスターキーを持つ啓子と共に物置部屋に向かった透が見たものは、血溜まりに横たわる春子と<br />
ナイフを持った俊夫だった。<br />
透は慌てて啓子を置いて真理の部屋に逃げ込むが、そこで停電が発生。部屋の鍵をかけるも、マスターキーの<br />
存在を思い出し、そして暗闇の中でもったいつけるようにキーを差し込み回す音が聞こえてくるのだった。<br />
<br />
<br />
No.25 食堂で……<br />
<br />
条件:俊夫編で美樹本の死体の鎌を抜き、透編で真理と2人っきりになった際に俊夫の方が好きなのかと誤解、<br />
   「だけど君がその目で~」→「君だって怪しくないとは~」→「食堂の扉~」と選択。<br />
<br />
透の言葉に真理が、そして女性陣全員が部屋に戻ってしまった。<br />
残された透は食堂前で俊夫を見張り、子の刻を迎える。そしてそこに真理が現れた。<br />
どう考えても俊夫が犯人とは思えないという真理の言葉を聞いた透は、本人に聞けばいいとドアをノックする。<br />
しかし俊夫の返事はなく、嫌な予感がした透はドアを開けたが俊夫は中にはいなかった。<br />
と、そのとき廊下から何かが壊れるような重い音が聞こえ、振り向いた透がそこで見たものは……。<br />
<br />
<br />
No.26 犯人の声は……<br />
<br />
条件:俊夫編で美樹本の死体の鎌を抜き、透編で真理と2人っきりになった際に俊夫の方が好きなのかと誤解、<br />
   「だけど君がその目で~」→「君だって怪しくないとは~」→「自分の部屋~」と選択。<br />
<br />
透の言葉に真理が、そして女性陣全員が部屋に戻ってしまった。透も部屋に戻る。<br />
12時になり例の予告状を思い出した透は、全員の無事を確認しに廊下に出た。<br />
そこで停電になり、暗がりに誰かの気配を感じた透は俊夫が食堂から抜け出したのではと思い逃げ出した。<br />
どこかの部屋に逃げ込もうとした透だったがどの部屋も開いていない。とうとう突き当りにまで追い詰められた。<br />
透の眉間に鋭い衝撃が走り、最後にとてもよく知っている声が透の耳に聞こえてきた。<br />
<br />
(俊夫を閉じ込めてもこれら以外の選択肢だと食堂から解放し、通常の応接室パターン(水没ルート)へ)<br />
 </dd>
<dt>39 :<a href="mailto:sage"><strong>かまいたちの夜×3</strong>◆l1l6Ur354A</a>:2007/02/25(日) 04:20:35
ID:oTNKeSed0</dt>
<dd>No.50 格納庫で何者かに<br />
No.74 最後の大仕事<br />
<br />
条件:俊夫編で美樹本の死体の鎌を抜き、透編で真理と2人っきりになった際に俊夫の方が好きなのかと誤解、<br />
   「だけど君がその目で~」の後、「……ごめん、言い過ぎた」以外を選択。<br />
<br />
透に犯人と誤解されて食堂に閉じ込められた俊夫は暖炉の隠し通路に気付き、2階へと上がる。<br />
念のため折り畳みナイフを手にしながら物置部屋に出ると、そこには春子が血の海に横たわっていた。<br />
春子は何かを言おうとしたが事切れてしまい、そこを透と啓子に見られてしまう。<br />
逃げ出した2人を慌てて追うも、啓子が逃げ込んだ彼女の部屋からは返事はない。<br />
とにかく隠し通路のことだけでも伝えようとした俊夫は真理の部屋に向かう途中で2階ロビーの隠し部屋の<br />
存在に気付く。だがその部屋の中に入りぶら下がっていたチェーンに手をかけた瞬間、後頭部を強打され……。<br />
<br />
応接室を出て行き部屋に戻った啓子の下に、マスターキーを借りに透がやってきた。<br />
透に鍵を渡したくない啓子は彼について物置部屋へと向かう。<br />
そこにはいないはずの俊夫の姿があった。透は慌てて逃げ出し、啓子もその場を一目散に逃げ出した。<br />
もう悪あがきはやめて静かにして欲しい、と啓子は思う。あたしには最後の大仕事がまだ残っているのだから。<br />
<br />
(50、74共に透編で24、25、26のどれになっているかで細部が変わる。これは24のパターン)<br />
<br />
<br />
No.27 消えた犯人<br />
No.51 コートの男は?<br />
No.75 さよなら、美樹本さん<br />
<br />
条件:第2の事件後に俊夫編で食堂の隠し通路を発見し、その後透編で香山の部屋を捜索する。<br />
<br />
俊夫編は本文参照。<br />
犯人はついに見つからず、一同は島を後にする。<br />
透は消えた犯人は香山に渡した例の鍵で岸猿家の財宝を見つけたのではという妄想にとりつかれ、<br />
啓子は可奈子と寄り添いながら支えあって2人で生きていこうと誓った。<br />
<br />
(最初に俊夫編で第2の事件後に隠し通路を発見した時は必ずこれになります)<br />
<br />
<br />
No.28 共犯者はどこへ<br />
No.52 探索と逃避<br />
No.76 妄想わたあめ<br />
<br />
条件:第2の事件後に俊夫編で食堂の隠し通路を発見し、その後透編でみんなの鍵を確認する。<br />
   この状態で啓子編で推理を失敗すればこれになる。<br />
<br />
透編は本文参照。<br />
俊夫は共犯者のコートの男を捜すことに躍起になっていた。こうしている間だけ現実から逃避出来るからだ。<br />
一方犯人として地下室に閉じ込められた啓子は、空腹のあまりわたあめの幻覚を見る……。<br />
<br />
(最初に透編で隠し通路発見後にみんなの鍵を確認すると必ずこれになります)<br />
 </dd>
<dt>40 :<a href="mailto:sage"><strong>かまいたちの夜×3</strong>◆l1l6Ur354A</a>:2007/02/25(日) 04:21:38
ID:oTNKeSed0</dt>
<dd>No.29 疑心と生還<br />
No.53 謎多き結末<br />
No.77 元の日常へ<br />
<br />
条件:第2の事件後に食堂の隠し通路を発見し、その後透編でみんなの鍵を確認する。<br />
   この状態で啓子編で推理に成功すればこれになる。<br />
<br />
啓子編は本文参照。春子が犯人ということで事件は解決した。<br />
しかし、コートの男のことも春子の動機も何もかも謎に包まれたままだった。<br />
春子の沈黙とコートの男の行方が知れないことで全ては闇に葬られ、晴れぬ疑心を抱いたまま一同は生還する。<br />
<br />
(啓子の推理は失敗すると全て28、52、76になります)<br />
<br />
<br />
No.78 ロープを見上げて<br />
<br />
条件:第2の事件後、食堂で一切推理をせずに応接室に移動する。<br />
<br />
応接室から自分の部屋に戻ってきた啓子。<br />
まさかこんなことになるなんて……と天井を見上げる。<br />
そこには先が輪になったロープがぶら下がっていた……。<br />
<br />
(第2の事件後に応接室に行ってしまうと74のときを除き啓子は全部これになります)<br />
<br />
<br />
No.30 なぜ俊夫さんが……?<br />
No.54 透くんと刺し違える<br />
<br />
条件:透編で美樹本の部屋を捜索時に部屋に戻る春子を送ってやる。<br />
<br />
春子を部屋まで送った透は途中で可奈子の部屋の前を通りがかり声をかけた。しかし返事はない。<br />
啓子の部屋にでもいるのだろうかと啓子の部屋を訪ねるも同様だった。<br />
だが不吉な予感を感じた透は啓子の部屋に入る。そこには誰もいなかった。<br />
鍵を開けっ放しのままどこに行ったのかと考えた透は、嫌な予感がして春子の部屋に飛び込んだが誰もいない。<br />
と、そこに血塗れのコートと風切り鎌がドアから放り込まれ、閉められた。犯人がドアのすぐ外にいる……!<br />
透は俊夫たちに危険を知らそうと思ったが、外に出たら殺される。<br />
そうこうしているうちに真理の悲鳴が聞こえ、透は鎌を手に取るとドアノブを掴んで押し開けた。<br />
……そこにはナイフを構えた俊夫がかっと目を見開いて立っていた。<br />
透が俊夫に鎌を振り下ろすのと、俊夫が透の胸にナイフを突き刺したのは、ほぼ同時だった。<br />
<br />
透が春子を部屋まで送っていき、俊夫と真理は2人っきりになった。<br />
真理は俊夫が何か隠していると、何か探しているように見えるという。もしもそれが見つかったなら、<br />
もう過去を振り返るのは止めてほしいと。<br />
そのまま2人共沈黙して透が帰るのを待つが、あまりに遅いので2人は部屋を出て行った。<br />
春子の部屋の前まで来たとき、床に黒い染みがついていることに気付く。その染みは物置部屋に続いていた。<br />
折り畳みナイフを手にドアを開けると、そこには春子の死体があった。<br />
真理に死体を見せないように庇いながら、俊夫は透の行方を捜す。<br />
床の血痕に靴跡があることに気付いた俊夫は、それが物置部屋から春子の部屋に続いているのを見て犯人が<br />
春子の部屋にいることを確信し、ナイフを握り締めながら春子の部屋の前まで移動した。<br />
春子の部屋のドアが勝手に開くと、そこには血塗れの鎌を手にした透が立っていた。<br />
透が俊夫に鎌を振り下ろすのとほぼ同時に、俊夫は透の胸にナイフを突き刺した。<br />
<br />
(春子を送る選択肢を選べばいいだけです)<br />
 </dd>
<dt>41 :<a href="mailto:sage"><strong>かまいたちの夜×3</strong>◆l1l6Ur354A</a>:2007/02/25(日) 04:22:34
ID:oTNKeSed0</dt>
<dd>No.31 長い夜の始まり<br />
No.55 物陰からの一撃<br />
<br />
条件:俊夫編で美樹本の部屋から2階のロビーに移動した際に可奈子たちの様子を見に行く。<br />
<br />
俊夫は可奈子たちの様子を見に、透たちをロビーに残して1人西側の廊下へと向かった。<br />
可奈子の部屋の前で声をかけるも返事はない。春子はついさっき別れたばかりなので1つ隣の啓子の部屋に<br />
向かう。やはりこちらも返事はない。黙ってないで返事ぐらいしてほしいものだ。<br />
俊夫がノブを回そうとしたとき、物置部屋から音が聞こえてきた。<br />
胸騒ぎがして春子の部屋を開けると、そこには春子は不在だった。どこに行ったのか?<br />
物置部屋だ。俊夫は急いで物置部屋のドアを回すが開かない。<br />
もう駄目かと思いつつもがちゃがちゃやっていると、今度はすんなりとドアが開いた。<br />
警戒しつつ部屋に入ると、コートを着た何者かが横たわっているのが見えた。<br />
その正体を探ろうと近づいたところで、物陰から何かが飛び出し、俊夫の額の真ん中に重い衝撃が走った。<br />
<br />
俊夫が西側の廊下に消え、透は真理とまた2人っきりになった。<br />
「冬休みも手伝いに来てくれるよね?」という真理の言葉に、何が何でも真理を守ろうと透は誓う。<br />
そのとき、西側の廊下からドアを叩くようなけたたましい音が響いてきた。<br />
俊夫の身に何かあったのかと、透は真理と共に西側の廊下を走る。<br />
ドアを確認しつつ奥へ向かうと、物置部屋のドアがわずかに開いているのが目に入った。<br />
飛び込むように入ったその部屋で、2人はナイフを手にし額から大量の血を流す俊夫と、鎌を手にし<br />
喉をざっくりと切られている春子が折り重なって倒れている姿を目撃する。<br />
そして俊夫のポケットには、こんな紙切れがはみだしていた。<br />
<br />
        ツギハ オマエダ<br />
<br />
    長い夜は始まったばかりだった――<br />
<br />
(見るのは簡単。紙切れは無論俊夫が美樹本の死体の傍で見つけたもの)<br />
 </dd>
<dt>42 :<a href="mailto:sage"><strong>かまいたちの夜×3</strong>◆l1l6Ur354A</a>:2007/02/25(日) 04:23:24
ID:oTNKeSed0</dt>
<dd>No.32 真理だけでも<br />
No.56 春子さんの部屋で<br />
<br />
条件:子の刻になり水没し始めた際、透編で流された真理を追い俊夫編でそれを見送る。<br />
<br />
何事もなく12時を迎えた。だが自分たちは生きている。やはりあの予告状はハッタリだったのだろうか。<br />
そのとき金属の軋むような音が聞こえ、玄関扉から水が染み出ているのを見て俊夫ははっとなった。<br />
瞬間、扉の外がどうなっているのかがわかり戦慄を覚える。<br />
<br />
        ツギハ オマエダ<br />
<br />
俊夫は声をあげて透と真理を階段の方へと促した。<br />
激しい爆発音のような音が聞こえ、俊夫は死に物狂いで階段めがけてジャンプする。<br />
津波のような水に脚をとられそうになりながらも階段の手すりに掴まり、踏ん張る。<br />
なんとか水から逃れると俊夫は透と真理を探し、すぐ傍の手すりに掴まる透の手を引っ張った。<br />
その透のもう一方の手から、真理が切り離されたように離れていく。<br />
体重が1人分減ったおかげでなんとか透を引き上げられたが、透は俊夫の手を引き剥がして濁流に身を投じた。<br />
<br />
今真理を助けられるのは自分しかいない。透は真理の名を叫びながら水に流されていく。<br />
流されるままに食堂に入ると、行き止まりのために水は渦を巻いて勢いをなくしていた。<br />
真理は絶対にここにいるはずだと、息を吸い込み水の中へと潜る。<br />
指先にかすめたその手を握ると、向こうも握り返してきた。透は真理の体を抱き寄せて水面に顔を出す。<br />
真理の顔は紙のように白くなり、息も苦しげだった。もう駄目だから透だけでも戻って、と真理は訴える。<br />
だが透は絶対に真理を見捨てるものかと、大きく息を吸い込んで食堂の入り口めざして泳ぐ。<br />
流れは落ち着いていたが、着衣である上に真理を抱えているので前進するのはかなりつらい。<br />
ほんの少し流れがきつくなるだけであっけなく後ろに戻され、一進一退している間にも水位は上がっていく。<br />
真理はほとんど意識を失いかけ、透も前に進むどころか留まることもできなくなっていた。<br />
2人は水の中へと沈んでいく。最後の息を吐き出し、流れ込んだ水にむせかえりながら、透はもう助からない<br />
と現実を受け入れた。……でも、真理だけは。<br />
透は真理の手をほどき、奇跡が起きることを祈った。<br />
<br />
俊夫は次第に上がる水かさに踊場に避難する。<br />
真理を思う透の気持ちが痛いほどわかるだけに自分の無力さが情けない。<br />
万に一つの望みでも透が真理を助けられると信じながら、俊夫は階段を駆け上がった。<br />
突如館が闇に包まれる。ペンライトと折り畳みナイフを取り出し、俊夫は他の皆の安否を探りにいった。<br />
まず向かった可奈子の部屋で、俊夫は可奈子の首吊り死体を発見する。<br />
正視できずにすぐに部屋を出、今度は春子の部屋のドアを開けた。<br />
と、その瞬間に脳天に衝撃が走る。意識を失う直前、ライトで浮かび上がったコートの人物の、その顔は――<br />
<br />
(2人に声をかけず、俊夫だけさっさと階段にダッシュしても細部が変わるだけでこちらになります)<br />
 </dd>
<dt>43 :<a href="mailto:sage"><strong>かまいたちの夜×3</strong>◆l1l6Ur354A</a>:2007/02/25(日) 04:24:10
ID:oTNKeSed0</dt>
<dd>No.33 二人で一緒に<br />
No.57 光に向かって泳いだ<br />
<br />
条件:透編で水没時に俊夫の手を振り切り、俊夫編で透を追って飛び込む。合流後1階の見取り図を探す。<br />
<br />
流されていった真理を追って自ら濁流に身を投じた透に、俊夫も反射的にその後を追って水に飛び込んだ。<br />
このまま全員水に飲まれて死ぬのがオチだが、あの必死の透を見過ごすことは出来ない。<br />
流されるままに食堂に入り、俊夫は透と、そして真理と合流する。<br />
水位はどんどん増している。今や天井のシャンデリアまでも飲み込もうとしていた。<br />
なんとかしてここから出なければならない。<br />
すると、見取り図を撮影した写真が近くに浮かんでいるのが見えた。一縷の希望を抱き、俊夫は非常口の<br />
ようなものがないかと目を走らせる。<br />
しかしそれは2階の見取り図だった。1階の見取り図がないか探すが、そう都合よくはいかない。<br />
とにかく戻って階段まで泳ぎ着けばなんとかなるかもしれないと、3人は食堂の入り口に向かって泳いだ。<br />
水が天井近くまで満たされているせいで流れはゆるく、これならいけそうだ。<br />
だが、なんとスポーツ万能であるはずの真理は泳げなかった。透が真理を抱えてのろのろと前進する。<br />
あのペースでは2人共階段に辿り着けはしないと、俊夫は引き返して真理たちに手を貸した。<br />
透と俊夫は2人で真理を挟むようにして1階のロビーを目指すが、おかしいくらいに前に進まない。<br />
冷水が予想以上に体力を奪っていたのだ。真理は2人に自分を置いて先に行けと促すが、透は断固拒否した。<br />
そのとき館内が真っ暗になった。進むべき方向さえも一瞬にしてわからなくなる。<br />
真理の身体が沈んでいこうとするのを、透はなんとか押し上げようとした。しかし、今度は透の身体が沈む。<br />
俊夫の身体も真理に引きずられるように沈んでいく。<br />
<br />
透は俊夫に声をかけるがもう返事はない。見捨てたか、あるいは――<br />
透は最後の力を振り絞り、真理の身体をしっかりと抱きしめた。離さない。絶対に離さない――<br />
<br />
二、三度水を飲み気が遠くなった俊夫は、どこかで誰かが自分の名を呼んでいるのが聞こえた。<br />
――みどり? みどりなのか?<br />
俊夫の目の前に光が見えた。その光の向こうにみどりが立っている。待っていてくれたのだ。<br />
俊夫はその光に向かって、真っ直ぐ泳いでいった。<br />
<br />
(こちらには2人に逃げろと促さないといけません)<br />
 </dd>
<dt>44 :<a href="mailto:sage"><strong>かまいたちの夜×3</strong>◆l1l6Ur354A</a>:2007/02/25(日) 04:24:51
ID:oTNKeSed0</dt>
<dd>No.34 真理の手を握って<br />
No.58 闇に浮かぶ顔<br />
<br />
条件:透編で水没時に俊夫の手を振り切り、俊夫編で透を追って飛び込む。合流後2階の見取り図を凝視。<br />
<br />
2階の見取り図を眺めた俊夫は、暖炉の隠し通路に思い当たった。暖炉の中の窪みに身体を入れ、床を蹴って<br />
一気に上昇する。透と真理も俊夫の後を追った。<br />
水から出た先のその空間は3人も入るとぎゅうぎゅうだったが、とりあえずそこで一息つく。<br />
隠し通路があったとなると、今までの考えを改めなければならない。が、その前にここから出なければ。<br />
壁を探ると、他とは違う部分があった。力を込めて押すと、壁はずるずると音を立ててゆっくりと動き出す。<br />
その先にあったのは物置部屋だった。壁だと思っていたのは物置部屋の棚だったのだ。<br />
他の皆の無事を確認しようとドアに向かって進んだとき、3人は喉から血を流す春子を発見した。<br />
春子は口をぱくぱくさせて何かを訴えようとしたが音にはならず、やがて事切れた。<br />
自分たちの知らない誰かが館に潜んでいて、無差別殺人を繰り返している……。<br />
とにかく皆と合流しなければ、と3人は物置部屋を後にした。<br />
物置部屋と2号室の間に2つドアがあることに不思議に思いつつも啓子の部屋に向かう。<br />
……そこには、首を吊る啓子の姿があった。自殺したのだろうか。だが、何故……?<br />
啓子がこれなら、と慌てて可奈子の部屋を訪れると、そこにはまったく同じ光景が広がっていた。<br />
もしかしたら美樹本の後を追ったのかもしれないが……そう考えたとき、不意にあたりが真っ暗になる。<br />
すぐ近くでどさりと音がした。真理がいたほうからだ。俊夫はペンライトの光をそちらに向ける。<br />
透は真理に駆け寄った。うつぶせに倒れたその背中に血が滲んでいる。真理の返事はない。<br />
<br />
やったのは俊夫でも透でもない。他のみんなはもういない……。<br />
そのとき何者かの気配を感じた俊夫がそちらにライトを向けた瞬間、脳天に衝撃が走った。<br />
意識を失う瞬間、コートの人物の顔がライトに浮かび上がるのを見た。その顔は――<br />
<br />
あの浸水を生き延びたと喜んだのも束の間、腕の中で息を引き取ろうとしている真理に透は愕然とした。<br />
気がつくと真理を照らしていたはずの光はなくなっている。俊夫は一体……。<br />
闇の中、誰かがこっちに歩いてくるのがわかった。ひゅっと風を切る音が聞こえ、胸に衝撃が走る。<br />
その誰かは透の胸に突き刺さったものを引き抜き、透の脇を通り過ぎて行った。<br />
透は手探りで傍らに倒れている真理の手を見つけ、しっかりと掴んだ。微かに、握り返してくる力を感じた。<br />
<br />
  ――透。<br />
<br />
  真理の声を聞いたような気がした。<br />
<br />
(33、57同様、先に見捨てると透を追えません)<br />
 </dd>
<dt>45 :<a href="mailto:sage"><strong>かまいたちの夜×3</strong>◆l1l6Ur354A</a>:2007/02/25(日) 04:26:08
ID:oTNKeSed0</dt>
<dd>No.34 真理の手を握って<br />
No.35 ぼくは真理を殺した<br />
No.59 その顔は<br />
<br />
条件:透編で水没時に真理を追わず、2階の廊下から歩いてくる人影を犯人だと思う。<br />
<br />
今目の前にいる人影が香山や美樹本、そして真理を死に追いやった犯人に違いないと思った透は、ナイフを<br />
構えてその人物に飛び掛った。ナイフの刃が肉に突き刺さる感触があり、そして透はその顔を見るまでもなく<br />
弱弱しい声を洩らしてしまった。<br />
ここまで近づけば、顔を見なくても、長年一緒にいた人の匂いはわかるのだ。<br />
透は一緒に倒れこむようにして真理の身体を抱きとめる。どうして真理がここに……?<br />
真理の首が透の胸にもたれかかり、それきりぐったりと動かなくなってしまった。<br />
闇の中、誰かの足音が近づいてくる。俊夫か、春子か、いや今度こそ犯人か。<br />
そんなことはもうどうでもよい。真理を強く抱きしめながらゆっくり目を閉じると、風を切る音が聞こえた。<br />
<br />
透の腕の中に倒れこむ真理の手から、くしゃくしゃになった紙がこぼれ落ちた。2階の見取り図の写真だ。<br />
この見取り図に何かの答があるかもしれないが、いくら見てもわからない。<br />
だが真理が物置部屋の方向からここにやってきたのも重要な意味があると思った俊夫は、真理のことは透に<br />
任せて廊下の奥へと進んだ。突き当りまで来ると、物置部屋の扉が開いているのがわかる。<br />
ここにきて自分が武器を持っていないことに気がついた俊夫だったが、もう引き返すつもりはなかった。<br />
ゆっくりと部屋に入ると、春子が倒れているのが目に入った。俊夫は慌てて春子に駆け寄る。<br />
春子は口をぱくぱくさせて何かを訴えようとしたが、すぐに事切れた。<br />
そのとき俊夫は背後に誰かが立つ気配を感じた。ライトを向けた瞬間、脳天に衝撃が走る。<br />
意識を失う瞬間に浮かび上がって見えた、コートの人物の顔は――<br />
<br />
(ここまで来ると俊夫が毎回同じなんですが)<br />
<br />
<br />
No.36 なぜ生きてるんだ?<br />
No.60 まさかの顔<br />
<br />
条件:透編で水没時に真理を追わず、2階の廊下から歩いてくる人影を春子と思う。<br />
<br />
透編は本文参照。<br />
<br />
透の腕の中に倒れこんだ真理の手には、くしゃくしゃになった紙が乗っていた。2階の見取り図の写真だ。<br />
気絶した真理のことは透に任せ、俊夫は真理の発した「物置部屋」「春子さん」のことが気になって<br />
物置部屋へと向かった。2階に来れたの理由はわからないが、真理はあそこから来たのは間違いない。<br />
ゆっくりと部屋に入ると、春子が倒れているのが目に入った。俊夫は慌てて春子に駆け寄る。<br />
春子は口をぱくぱくさせて何かを訴えようとしたが、すぐに事切れた。<br />
そのとき俊夫は背後に誰かが立つ気配を感じた。ライトを向けた瞬間、脳天に衝撃が走る。<br />
意識を失う直前に、俊夫はコートの人物の顔がライトで浮かび上がるのを見た。<br />
<br />
       その顔は――<br />
<br />
(ちなみにその顔言ってますがどのパターンもプレイヤーは見れません)<br />
<br />
No.80は真相編の完「三日月島事件の真相」、No.81~90は番外編になります。<br />
番外編は前回で全部触れたので省略。<br />
 </dd>
<dt>46 :<a href="mailto:sage"><strong>かまいたちの夜×3</strong>◆l1l6Ur354A</a>:2007/02/25(日) 04:28:34
ID:oTNKeSed0</dt>
<dd>エンディングは全部で90、ここまでで89です。<br />
<br />
残り1つ、No.79こそが所謂「犯人編」。<br />
<br />
次回はこの犯人編と、犯人編を踏まえた上での本編や各エンドの簡単な解説、<br />
そしてその次にエピローグという順になります。<br />
 </dd>
<dt>52 :<a href="mailto:sage"><strong>かまいたちの夜×3</strong>◆l1l6Ur354A</a>:2007/02/25(日) 15:35:13
ID:oTNKeSed0</dt>
<dd>うっかりエンディングを1つ飛ばしてしまいました。<br />
自分でも1番最後に見たやつだっただけに失念していたようです。<br />
<br />
No.15 キューピッド俊夫<br />
No.41 俺はキューピッド<br />
No.65 世界一周<br />
<br />
条件:俊夫編で夕食後に啓子と2人きりになった際、「大切な人?」と聞き返し、<br />
   啓子編の同場面で「ただの失恋~」を選択。<br />
<br />
啓子は失恋という形で大切な人を失くしたという話を聞いた俊夫は、取り返しのつく失恋と自分や香山の立場を<br />
一緒にしてほしくはないと思い、啓子を連れて美樹本の部屋に向かう。<br />
お前がはっきりしないから啓子が傷つくんだ、と俊夫が美樹本を責めると、美樹本は己の態度を反省。<br />
なんと本当に好きなのは啓子の方だと告白、そのままの勢いで2人はクルーザーで世界一周することに。<br />
可奈子ならわかってくれるという美樹本に対し、なんだか夢を見ているようだと現実味の薄い啓子。<br />
一方それを見ていた透は俊夫に頼んで、真理に対してまったく同じことをしてもらう。<br />
かくして俊夫はキューピッドの称号を得るのだった。<br />
<br />
<br />
他には抜けてない……はず。<br />
 </dd>
<dt>188 :<a href="mailto:sage"><strong>かまいたちの夜×3</strong>◆l1l6Ur354A</a>:2007/04/23(月) 15:36:41
ID:303v6+4d0</dt>
<dd>2つの完と87個の終が埋まっても、フローチャート上からは決して見つからない最後の1つ。<br />
なのにエンディングリストを見ると埋まっている最後の1つ。<br />
その最後の1つの上にカーソルを合わせると、エンディングタイトルではなく1つの指示が。<br />
それに従いボタンを押すと……。<br />
 </dd>
<dt>189 :<a href="mailto:sage"><strong>かまいたちの夜×3</strong>◆l1l6Ur354A</a>:2007/04/23(月) 15:37:35
ID:303v6+4d0</dt>
<dd>8月15日 23:45<br />
<br />
ある部屋の中で、コートの人物が帽子を深く被っている。<br />
美樹本の部屋から自分の部屋に帰ると言い出した春子はちらりとある部屋を見てから一目散に物置部屋に<br />
駆け出した。<br />
その部屋から出てきたコートの人物は春子を追い物置部屋に入る。<br />
誰も殺さないと約束したのにどうして美樹本まで、と春子はその人物に声をかけるが、コートの中の人が<br />
違うことに誰なの、と驚きの声を上げる。<br />
変装用の帽子にサングラス、そしてマスクを剥ぎ取ったのは、啓子だった。<br />
そんなに驚かないでください、あたしのほうがよっぽどびっくりしてるんですから。<br />
そう微笑みかけると春子は顔を引きつらせてじりっと後退った。<br />
春子のやったことも、もう1人の男・村上のことも、全部わかっていると啓子。<br />
春子は馬鹿なことを言ってないで殺人鬼が隠れているかもしれないから早く部屋に戻った方がいいと忠告する<br />
が、啓子はそれはもう大丈夫だと言い放つ。どうして自分がこのコートを着ているのかわからないのかと。<br />
「殺人鬼って、こんなコートを着てるんでしょ?」<br />
動揺するも何を言ってるのかわからないと言う春子に、啓子は最初から説明した。<br />
<br />
夕食後。<br />
隣の部屋からノックの音が聞こえたあの時。最初の違和感はそこだった。<br />
どうして自分の部屋に入るのにノックが必要なのか?<br />
だから啓子は部屋に遊びにいっていいか訊いたのだ。<br />
返ってきた答えは、荷物の整理が終わっていないからというもの。いくらそうでも、鍵までかけて他の人に<br />
入れないようにするなんて春子らしくない。もしかしたら他に誰かいるから今は手が離せないのではないか。<br />
そう思って部屋の扉で聞き耳を立てた啓子に、信じられない会話が飛び込んできた。<br />
どこかで聞いた声が、部屋の入れ替えを済ませたこと、岸猿家の財宝のこと、マスターキーのことなどを春子と<br />
話し合っている。春子はその声の主を「つとむさん」と呼んだ。<br />
その時啓子は自分の鍵がマスターキーじゃなかったこと、部屋の交換の計画を知った。<br />
会話の相手も1年前にやたら騒がしかったから声を覚えていた村上だとわかったし、どうやって村上が生きて<br />
いたのかも想像はついた。ただ、どうやって春子と村上が知り合ったのかは想像つかないけれども。<br />
何も答えない春子に、啓子は興味ないから答えなくてもいいと切り捨てる。<br />
<br />
<br />
啓子はあのあと物置部屋に向かう2人の後ろ姿をこっそり見ていた。<br />
そしてこのことを誰かに言わなきゃと思い、美樹本の部屋に向かう。<br />
しかしカメラのメンテナンス中だと断られ、結局2人のことは言わなかった。というか聞いてもらえなかった。<br />
でも啓子の本当の目的は別にあったからよかったのだ。<br />
 </dd>
<dt>190 :<a href="mailto:sage"><strong>かまいたちの夜×3</strong>◆l1l6Ur354A</a>:2007/04/23(月) 15:38:27
ID:303v6+4d0</dt>
<dd>香山の部屋から戻ってきた村上は先に物置部屋にいた春子にマスターキーを返し、春子が部屋から出ると村上は<br />
中から鍵をかけてずっとここに潜んでいた。一方の春子は、丁度そこにやってきた透とロビーに向かう。<br />
その時啓子は自分の部屋がどこの部屋に入れるかどうかを春子に訊いていた。<br />
あのときの春子の表情が面白いくらい変わったのを、啓子はよく覚えている。<br />
<br />
<br />
それからすぐ香山の死体が発見された。春子はまさかこんなことになるなんて思ってなかったのだろう。<br />
啓子もまさか香山が殺されるなんて思わなかったが。<br />
春子は言う。まさか村上がただ地下室の鍵を奪うためだけに香山を殺すなんて思わなかったと。<br />
でも、どこか村上に対して不信感も持っていた。村上の目に、狂気というか執念というか、得体の知れない<br />
恐怖を感じた。もしかしたら香山を殺してしまうかもしれない……そんな胸騒ぎもあった。<br />
だから春子は村上と2人で管理室に行き、村上が香山から鍵を奪うために押入れに隠れた後、メモ帳に<br />
メッセージを残したのだ。<br />
『ネノコクマデニ ココカラ タチサレ』<br />
あれを見て香山が皆を連れて逃げてくれれば……春子はそう思ったのだが、香山には伝わらなかった。<br />
啓子もそのメッセージなら見たと言う。透と俊夫が管理室から出て行った後のことだ。<br />
俊夫は懐中電灯も持たずにどうやって丘の上まで行くつもりなんだろうと思った啓子は追いかけて渡そうと<br />
思ったけれどもやめた。啓子は玄関が開かないことを知っている。すぐに戻ってくるに決まっているからだ。<br />
その時、ふとそのメモが目に留まった。村上が書いたのかと思ったが、すぐに春子だと考え直す。<br />
どちらにしても啓子にはそのメッセージは都合が悪い。だから書き直したのだ。<br />
みんなが館から出て行くのにはまだ早すぎるのだ。あの人が啓子のことを受け入れていないのだから。<br />
だから、もっと使えるメッセージに書き直すことにしたのだ。<br />
<br />
『ネノコクマデニ<br />
 ココカラ タチサレ』<br />
        ↓<br />
『ネノコクマデニ ミナシヌ<br />
 ココカラ タチサノレコトハ<br />
 デキヌ』<br />
<br />
こっちの方が断然いいでしょ? と啓子。玄関が開かなくなり、本当に誰も出られなくなったのだから。<br />
 </dd>
<dt>191 :<a href="mailto:sage"><strong>かまいたちの夜×3</strong>◆l1l6Ur354A</a>:2007/04/23(月) 15:39:27
ID:303v6+4d0</dt>
<dd>玄関が開かなくなった理由は玄関の防壁が下ろされたからだとすぐにわかった。<br />
2階のロビーにいたとき、透が啓子に真理の居場所を聞いて彼女の部屋に向かっていった直後、啓子は<br />
三日月館の見取り図を眺めていた。そして2階のロビー、階段の脇あたりに部屋みたいなものが書かれている<br />
のに気がついたのだ。薄く横長のそこは人が泊まれる大きさではない。では、何のためのスペースなのか?<br />
透が意気消沈しながら廊下の奥に消えた直後、啓子はその位置に存在していたドアに近づいてみた。<br />
そこにもお札は貼ってあったが、誰かに剥がされたのか扉の上の壁にだけ貼り付いてぶら下がっているだけだ。<br />
札をよけて扉を開け中を覗いてみると、そこには錆びついた大きなチェーンがぶら下がっていた。<br />
そこにあった装置は玄関の防壁を下ろすためのものだったのだ。春子はその存在を知らなかったし、全員を<br />
逃がそうとした春子が下ろすはずはない。だとしたら誰が防壁を下ろしたのか、もうわかるはずだ。<br />
春子も薄々そうじゃないかとは思っていたという。だから会って話を聞きたかったのだが、なかなか会う<br />
チャンスは巡ってこない。そうこうしているうちに美樹本まで殺され……。<br />
これ以上犠牲者を増やすわけにはいかない、と春子はこの物置部屋にやってきた。訊きたいことは山ほどあった<br />
のだ。なのに、村上はここにいない。<br />
春子さんだって本当は分かってるんでしょう? と啓子。村上がやろうとしたのは皆殺しだったということを。<br />
それで村上を? と春子。美樹本が殺されたから……。<br />
啓子はその問いかけを無視し、続ける。村上は防水壁を下ろして皆を閉じ込めた。<br />
閉じ込めて一人ひとり殺していくよりも、もっと手っ取り早くてとんでもないいい方法があるのだ。<br />
そう、1年前にこの館を水没させた例の仕掛けだ。<br />
玄関の防壁はその仕掛けの水が館内に浸入するのを防ぐためにある。だが、その防壁を開いてしまったら?<br />
当然水は館に浸水し、1階は水没してしまう。全員が1階にいるときにそれを行えばあっという間に皆殺しだ。<br />
それで財宝の存在を知っている者を全て殺し、排水後にゆっくりと財宝を探そうと思ったのだろう。<br />
信じられない、と春子が呟く。あるかどうかもはっきりしない財宝のためにそこまでするなんてと。<br />
その独り言のような呟きには激しい苛立ちが含まれていた。<br />
啓子の言葉を否定しつつも、村上ならやりかねないという思いも少なからずあったのだろう。<br />
香山を殺された悔しさもあるのかもしれない。<br />
この人は根っからの悪人というわけでもないんだな、と啓子は思った。<br />
村上は変わってしまった、と啓子。あの岸猿家の鍵を手に入れて財宝の存在を確信したときから。<br />
財宝を独り占めするために、春子も含め、全員を殺そうとしたのだ。<br />
でたらめだ、と何もかも拒絶するかのように春子は首を横に振る。<br />
嘘だと思うのなら窓から外を見ればいいと啓子は促す。中庭には水がたっぷりと溜まっているはずだ。<br />
長い沈黙の後、春子はよろよろと窓に歩み寄った。そして力一杯窓枠を押し上げた。<br />
すべてが嘘であってほしい。馬鹿な小娘の戯言に違いない――そんな妄信が春子を動かしたように見えた。<br />
しかし窓の外の光景は春子の信じるそれとはまったく違うものだった。窓のすぐ傍まで水が来ている。<br />
啓子は棚に置いてあった鎌を手に取り、春子の耳元でささやいた。<br />
「ね? 本当だったでしょ?」<br />
 </dd>
<dt>192 :<a href="mailto:sage"><strong>かまいたちの夜×3</strong>◆l1l6Ur354A</a>:2007/04/23(月) 15:40:15
ID:303v6+4d0</dt>
<dd>春子から奪い取った本物のマスターキーで啓子はそのドアを開けた。<br />
可奈子はぐっすりと眠っている。水のコップは空になっていた。ちゃんと飲んでくれたのだ。<br />
俊夫と美樹本が争った後で可奈子と話した際、啓子は彼女に気づかれないようにコップに薬を流し込んでいた。<br />
自分のために持ってきていた睡眠薬を。<br />
物置部屋から持ってきたロープを鎌で半分に切り分け、その一方を可奈子の身体の下にくぐらせる。<br />
<br />
――あたしの作った、あのメッセージ。<br />
皆があれを見て騒ぎが大きくなってたら、ここまでやる必要はなかったのに。<br />
誰も死なずに済んだかもしれないのに。<br />
……ごめんね、可奈子。<br />
ちょっと苦しいかもしれないけど……すぐ楽にしてあげるから。<br />
<br />
――終わった。<br />
美樹本が死んですべてが終わった。<br />
こんなかたちではあるけど、啓子が焦がれる想いで過ごした1年間に終止符がついた。<br />
自分が望んだ結末とはまるっきり違ったけれど、これはこれで運命だったのだと思うしかない。<br />
……まさか、こんなことになるなんてね……。<br />
<br />
啓子はロープの真下に椅子を置き、その上に立ってわっかを首にかけた。<br />
 </dd>
<dt>193 :<a href="mailto:sage"><strong>かまいたちの夜×3</strong>◆l1l6Ur354A</a>:2007/04/23(月) 15:42:27
ID:303v6+4d0</dt>
<dd>しばらくして、どたどたと何人かの足音。<br />
啓子に呼びかける俊夫の声と、そんな、と愕然とする透の声。<br />
2人が部屋の前から移動するのを見計らって、ロープの輪から慎重に首を抜く。<br />
脇の下で胸を1周するように縛っておいたロープの結び目をほどき、床に着地する。<br />
クローゼットに入れておいたコートを羽織り、鎌を手に取る。<br />
ドアを少し開け、その隙間から廊下を覗き見る。<br />
ほとんど真っ暗だが明かりとりの窓から漏れる月明かりにより数歩分ぐらいは見渡せた。<br />
俊夫のものらしき足音が物置部屋の方へ消えていく。<br />
その不在に気づき俊夫を呼ぶ透に、足音を忍ばせて近づく。<br />
月明かりの中にひざまづいて真理を抱える透の姿が浮かぶ。<br />
「あんた……なんで生きてるんだ……」<br />
にっこり微笑んで頷いてやると透の顔が驚愕と恐怖の入り混じったものに歪む。<br />
その額に狙いを定め、力を込めて鎌を振り下ろす。次は真理の胸めがけて――<br />
物置部屋に向かい、振り返った俊夫の額に狙いを定め、鎌を振り下ろす。<br />
春子の死体に折り重なるようにして俊夫が床に崩れる。<br />
「……仲良く逝きなさい。村上さんも待ってるわよ……」<br />
<br />
<br />
啓子は可奈子の部屋から出ると、早足で美樹本の待つロビーに向かった。<br />
話は済んだかい、という美樹本に、啓子は涙目でぶんぶんと首を横に振る。<br />
一生懸命止めたのだけれど、もうこれ以上呪われた島にいたくないと可奈子が荷物をまとめて物置部屋へ<br />
行ってしまった。窓からなら外に出られるから……。<br />
その話が終わらないうちに美樹本は駆け出していた。啓子もその後を追う。<br />
美樹本は物置部屋のドアノブをがちゃがちゃと回しながら声を張り上げ、可奈子に呼びかける。<br />
体当たりでドアを破ろうとしたとき、鍵の外れる音がした。安堵の息を洩らすとドアに歩み寄り、中へ入る。<br />
美樹本のくぐもった声が、ドアの外にいる啓子にも聞こえてきた。<br />
そっと中を覗くと、美樹本が村上に背後から首をワイヤーで絞められていた。<br />
さすがの美樹本も不意を突かれて太刀打ちできなかったのだろう。やがて床にくずれおちた。<br />
ぜいぜいと肩で息をしながら、村上はワイヤーをほどいて投げ捨てた。<br />
そして美樹本の死体を引き摺り、どこかへと隠そうとする。啓子の侵入にはまるで気づいていない。<br />
投げ捨てられたワイヤーを拾い、村上に駆け寄って彼が美樹本にやったようにその首にワイヤーを巻きつけた。<br />
美樹本との格闘で相当体力を消耗していたのか、村上はあっけなく動かなくなった。<br />
別に恨みはないけれど、この人には死んでもらうしかない。<br />
不用意に動き回ってもし透たちに捕まりでもすればそこで事件が終わってしまう。<br />
殺人鬼は殺人鬼として、最後まで誰にも捕まることなく生き続けてもらわなければならないのだ。<br />
啓子は村上の着衣を脱がし、力いっぱいその身体を持ち上げて窓から外へ押し出した。<br />
自分の部屋に戻ると、すぐにコートやマスクを脱いでクローゼットに片付けた。<br />
そしてベッドに倒れこむようにして横になる――<br />
 </dd>
<dt>194 :<a href="mailto:sage"><strong>かまいたちの夜×3</strong>◆l1l6Ur354A</a>:2007/04/23(月) 15:43:33
ID:303v6+4d0</dt>
<dd>「……仲良く逝きなさい。村上さんも待ってるわよ……中庭でぷかぷか浮かびながらね」<br />
鎌についた指紋を丁寧に拭き取った後、俊夫の手に握らせた。<br />
返り血に染まったコートを窓から投げ捨て、可奈子の部屋へと向かう。<br />
首からまずロープを外し、上着を脱がせ、腕の下に巻きつけたロープをほどくと、可奈子の身体は落下した。<br />
壁際の床に座らせ、自分もその隣に座る。可奈子の髪を優しく撫でながら、その耳元に囁きかける。<br />
「……ねえ、可奈子……。もうあたしたち二人だけになっちゃったよ……でも大丈夫。可奈子のことはあたしが<br />
守ってあげるから……必ずあたしが守ってあげるから……」<br />
<br />
美樹本が現れるまでは、啓子たちはとても幸せだった。<br />
可奈子が会社を休みがちになり、啓子はそんな可奈子のお見舞いに行った。<br />
1週間に1度が3日に1度に、やがてそれが毎日になった。<br />
可奈子のために買い物に行き、可奈子と一緒にご飯を食べ、テレビを見た。<br />
啓子は可奈子の拠り所で、可奈子は啓子の生き甲斐だった。<br />
とうとう啓子が可奈子への本当の気持ちを打ち明けたとき、彼女はそれを拒まなかった。<br />
あの時の可奈子の気持ちは、決して一時の気の迷いなんかではなかったはずだと啓子は信じていた。<br />
甘美な時間だった。<br />
でも可奈子は突然啓子の前からいなくなり、偶然美樹本と楽しそうに歩いているのを見つけたときは<br />
口から心臓が飛び出すかと思った。<br />
だけど……。<br />
<br />
啓子は村上を物置部屋の窓から外へ押し出した。<br />
……ん?<br />
いいものみっけ。(窓の風切り鎌を手に取る啓子)<br />
<br />
だけど……もう……。<br />
<br />
よいしょ。(美樹本の死体を引き摺る)<br />
よいしょ。(美樹本の死体を例の隠し通路から暖炉の下へ運ぶ)<br />
えい。(美樹本の胸に鎌を突き立てる)<br />
……これでよし。(「ツギハオマエダ」の紙を置く)<br />
<br />
だけど……もう……大丈夫……。<br />
目を覚ました可奈子は、姿を見せない殺人鬼に怯え、そして別の意味でも目を覚ましてくれるはずだ。<br />
もう、可奈子が頼れるのは、あたししかいないのだから。<br />
<br />
              愛してるわ――<br />
               可奈子。<br />
<br />
                終<br />
<br />
          No.79 あたしの可奈子<br />
 </dd>
<dt>195 :<a href="mailto:sage"><strong>かまいたちの夜×3</strong>◆l1l6Ur354A</a>:2007/04/23(月) 15:44:52
ID:303v6+4d0</dt>
<dd>犯人篇まとめ。<br />
啓子が愛していたのは可奈子で、去年の事件とそれによる周囲の奇異の目に参っていた可奈子と一時親密な仲に<br />
発展していた。しかし可奈子は啓子の元を去り、美樹本のところに行ってしまう。<br />
啓子はなんとか可奈子と話し合いたいと思い、今回の供養に参加することにした。<br />
村上と春子の計画に気づいた啓子は、香山の死を機にそれに便乗して可奈子を美樹本から取り戻す計画をする。<br />
美樹本と俊夫が争った後可奈子と2人きりになるチャンスを得た啓子は可奈子にすべてを諦めたフリをして<br />
警戒を解き、こっそりと睡眠薬を入れた水を飲むように誘導する。<br />
部屋から出た啓子は美樹本に嘘をついて物置部屋に誘導し村上に美樹本を殺させ、村上をも殺す。<br />
村上の死体は外に投げ捨て、美樹本の死体は暖炉の隠し通路から食堂に運び、部屋に戻って騒ぎを待つ。<br />
美樹本の死体を発見し一同がバラバラになった後、村上を問い詰めに物置部屋に来た春子を殺害して<br />
本物のマスターキーを入手し、可奈子の部屋へ。<br />
睡眠薬で眠った可奈子をロープで首を吊ったように見せかけ、自分も自室で同様にして誰かが来るのを待つ。<br />
やがて子の刻になり、防水壁に気づいた透たちがそれを上げてしまったことで水が1階に流れ込み、停電発生。<br />
暗闇の中でペンライトの明かりのみで首を吊っている可奈子を、そして啓子を見た透と俊夫は美樹本の死という<br />
きっかけがあるためにすっかり2人が自殺したものだと思い込む。<br />
2人が部屋から去った後ロープを外した啓子は村上のコートを羽織り、残った透たち3人を殺害。<br />
啓子は全ての証拠を消した後可奈子の部屋に舞い戻り、彼女のロープを外して彼女が目覚めるのを待つ。<br />
<br />
・キューピッド俊夫エンドでは可奈子→美樹本→啓子→可奈子という一方通行が発生。<br />
・玄関を開けて生還エンドでは例の防壁の装置のドアの前で何かに気づいたそぶりを見せているが、おそらく<br />
そこで気づいたのは防壁の存在ではなく「これ開けちゃえばいいんじゃ」ということ。<br />
・透が犯人に間違われるエンドで「生き残った2人」は可奈子と啓子。俊夫を殺害したのは地下室に潜んでいた<br />
村上だが、他は透が閉じ込められている間に啓子が皆殺しに。要は透と俊夫のいない犯人篇が行われていた。<br />
・マスターキー検証中に啓子が犯人だと指摘するエンドでは、おそらく村上の皆殺し完遂。<br />
・美樹本死亡後に村上がどこにもいないのは、すでに死体となって中庭に浮いているため。水が抜けた際に<br />
流されていったと思われる。<br />
・透と俊夫刺し違いエンドでは、透が春子の部屋にいるのに気づいた啓子が透を閉じ込め、わざと血の痕を<br />
残して俊夫をそこに誘導したものと思われる。<br />
・長い夜の始まりエンドの物音は啓子による春子殺害か春子が窓を開けた音。横たわるコートを着た何者かは<br />
おそらく春子。<br />
・しつこい「その顔は」は当然啓子の顔。<br />
・犯人篇での透と俊夫のルートはNo.36 なぜ生きてるんだ?とNo.60 まさかの顔。<br />
 </dd>
<dt>196 :<a href="mailto:sage"><strong>かま3書いてる奴</strong></a>:2007/04/23(月)
15:47:53 ID:303v6+4d0</dt>
<dd>以上、犯人篇まで。<br />
次回エピローグ+1レス要約で全て完結となります。<br />
 </dd>
</dl>
<p> </p>
<hr />
<div align="right"><a href="//www8.atwiki.jp/storyteller/pages/892.html">&gt;&gt;Part3</a></div>