プロローグ1 「ゆらぎの街のアリス」

「プロローグ1 「ゆらぎの街のアリス」」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

プロローグ1 「ゆらぎの街のアリス」」(2006/09/02 (土) 13:15:27) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

プロローグ1 「ゆらぎの街のアリス」<br> <hr width="100%" size="2"> <br> 場所:西暦20XX年…六本木<br> <br> 零児「…ああ、了解した。このまま俺たちは渋谷に向かう。<br>    段取りはいつも通りで…ああ、頼む」<br> <br> 電話を切る零児。<br> <br> 零児「行くぞ、シャオムゥ…渋谷だ」<br> シャオムゥ「やれやれ…また出動かいな。それも渋谷…"ゆらぎ"かの?」<br> 零児「いつもの事さ。そう…あの日から、何も変わっていない」<br> シャオムゥ「あの時も渋谷じゃったの。そして、今また『閉鎖都市指定』とはのう」<br> 零児「………」<br> シャオムゥ「あれから10年か。そりゃぬしもデカくなるわけじゃ。<br>    あの頃は、もう少しかわいげがあったんじゃがのう」<br> 零児「…懐かしんでる場合か。それから大きなお世話だ。それに"あの時"は…」<br> シャオムゥ「ほれほれ、そんな顔をするでない。10年…もう昔の話じゃ」<br> 零児「そうだな。もう感傷に浸れる歳でもない、か。<br>    さあ、今日はやる事が多いぞ。<br>    渋谷の調査を終えたら、すぐにアメリカ統合戦略軍のエージェントと合流だ」<br> シャオムゥ「はぁ?そんなんと組んで、ウチの組織はなにしようっちゅうんじゃ?<br>    アメリカン合同こんにゃく軍?」<br> 零児「アメリカ統合戦略軍…U.S.STRATCOMだ」<br> シャオムゥ「問題なのはそんな名前とちゃうぞ。<br>    わしらの組織…『森羅』はいわゆる裏の機関じゃぞ。<br>    それがここ最近、どうして…」<br> 零児「…上からの命令だ。<br>    俺達が表舞台に出なかった理由は、"奴ら"もまた、裏の世界にいたからだ。<br>    だが、ここ最近の"奴ら"の動きは、世界規模で活発になっている。<br>    …世界中で目撃例が確認され始めた今…」<br> シャオムゥ「ふく…皆まで言わんでも、わかっとるわ。<br>    わしらもコソコソ陰でやっとる場合とちゃう…っちゅう事じゃろ」<br> 零児「そこまでわかってるなら文句を言うな。いくぞ。待ち合わせに遅れる」<br> シャオムゥ「…ウチの組織も人使いが荒すぎじゃ。ストライキ起こしたろか」<br> 零児「やるのは勝手だが、給料をカットされるだけだぞ」<br> シャオムゥ「ふふん。無計画な若造のぬしと違って、わしにはヘソクリがあるのじゃ。<br>    ダテに長くは勤めておらんて」<br> 零児「そいつは重畳。<br>    …ああ、ベッドの下に隠してあった金がそうなら、俺が回収したぞ」<br> シャオムゥ「な…なにゃアーーッ!?」<br> 零児「…もっとマシな隠し場所を考えろ。中学生か、おまえは」<br> シャオムゥ「回収すなッ!いくらあったと思っとんのじゃ!」<br> 零児「任務が済んだら返してやる。おまえはすぐにサボろうとするからな。<br>    仕事を一つこなすごとに、少しずつ返すというのもありか」<br> シャオムゥ「人をアシカかオットセイみたいに扱うな。<br>    …まったく、最近の若いモンは年寄りに対しての…」<br> 零児「口よりも体を動かせ。いくぞ」<br> <br> <br> 場所:超未来…貨客船、エルザ艦内<br> <br> シオン「KOS-MOS、調子はどう?」<br> KOS-MOS「筐体そのものに異常はありません、シオン」<br> シオン「でも、ここ最近…側頭葉のノイズが頻繁に検出されてるのよね」<br> KOS-MOS「自律行動自体に影響はありませんが」<br> シオン「う~ん…まあ、そうなんだけど…」<br> アレン「気にしすぎですよ、主任。<br>    ここ最近、原因不明の空間歪曲なども起こっている事ですし<br>    …KOS-MOSにもそういう時がありますって」<br> シオン「あのね、アレン君。<br>    …ただでさえこの子には、私達が把握できていない…ブラックボックスが<br>    存在しているのよ?<br>    何でもかんでも"原因不明"で片付けるのは良くないわ」<br> アレン「そ…そうですけど…」<br> M.O.M.O.「あの、KOS-MOSさん…具合が悪いんですか?」<br> シオン「あくまでデータ上はね。でもこの子…自分からはそういう事、言わないのよね…。<br>    "潜って"みるしかないか」<br> アレン「主任、なにもここでやらなくてもいいんじゃないですか?<br>    貨客船の設備じゃ、詳細なデータは録れませんし…第ニミルチアに到着してから<br>    でも遅くはないかと」<br> シオン「潜るわ」<br> アレン「しゅに~ん…」<br> M.O.M.O.「潜るって…エンセフェロン・ダイブですか…?<br>    KOS-MOSさんの意識領域に直接アプローチを?」<br> シオン「そうよ、モモちゃん。本人のことは本人に確認するのが一番よ」<br> アレン「ですから主任、何もこんな所でやらなくても…」<br> シオン「非局所的連結(インターコネクション)を開始するわ。<br>    アレン君、接続補助(バックアップ)、お願いね?」<br> アレン「…はぁ…わかりました」<br> シオン「KOS-MOS、じゃあ一度眠ってもらうわね。<br>    エンセフェロン内で、また会いましょう」<br> KOS-MOS「了解しました。…お休みなさい、シオン」<br> シオン「よくできました。…お休み、KOS-MOS」<br> <br> 再び西暦20XX年…日本、渋谷<br> <br> 春麗「待ちなさい!」<br> キャミィ「………」<br> 春麗「…言葉はわかるわね?ここ、渋谷は先日『閉鎖都市指定』受けた地域よ。<br>    一般人の立ち入りは禁止されているわ」<br> キャミィ「………」<br> 春麗「それ以前に…あなた達が"あの組織"の構成員だという事もわかっているのよ!<br>    過去、一度壊滅したはずの…『秘密結社シャドルー』のね!<br>    話を聞かせてもらうわ。あの男…ベガがどうなったのかを…!」<br> キャミィ「………」<br> ユーニ「任務遂行の妨げと判断…速やかな排除を提案します」<br> ユーリ「提案:同意」<br> キャミィ「かまう事はない。…我々の任務を忘れるな。<br>    日本政府直属の特務機関『シンラ』…それ以外には目もくれるな。行くぞ」<br> ユーニ「了解しました」<br> ユーリ「任務:了解」<br> <br> 立ち去るキャミィ達。<br> <br> 春麗「あ!待ちなさいッ!<br>    (『閉鎖都市指定』を受けた渋谷…各地で頻発する"怪物騒ぎ"、<br>    そして『シャドルー』…。一体どこに接点が…?<br>    何が始まろうとしているの?)」<br> <br> <br> 渋谷に到着した零児とシャオムゥ。<br> <br> シャオムゥ「人っ子一人おらん街か。これはこれで風情がるの。<br>    服とか買う時も、並ばずに済むぞ?」<br> 零児「おまえの話には風情がないな。大体、店自体がやってないだろ。<br>    それに…この雰囲気で買い物などする気になるか?」<br> シャオムゥ「…ヘンじゃな、そう言われると、おかしな空気じゃ」<br> 零児「ああ、妖気が混じってる。"奴ら"、おそらく仕掛けてくるぞ」<br> シャオムゥ「強いっちゅうても、たかが知れておる。ま、出てくるとしても格下じゃな」<br> <br> 宣言どおり、格下の妖怪が現れる。<br> <br> シャオムゥ「お、出おったな。<br>    カマイタチか…やっぱ下級の妖物じゃの。<br>    わしが直接手を下すほどの相手でもない。ほれほれ零児、片付けてしまわんか」<br> 零児「なんだと?」<br> シャオムゥ「わしは朝メシがまだでの。後ろで油揚げ定食を食っとるから、<br>    終わったら教えるんじゃぞ」<br> <br> 零児達に向かってくるカマイタチ。<br> <br> 零児「ちっ、間を詰められたか。おい、シャオムゥ」<br> シャオムゥ「じゃ、そういうわけで」<br> 零児「…こいつらを倒したら、例のヘソクリ、少し返してやろうと思っていたんだがな。<br>    嫌だというなら仕方ない。俺一人で何とかするさ」<br> シャオムゥ「さぁて!やっちゃるけえのう!<br>    わしがおるからには、大船に乗ったつもりでおれ、零児!」<br> 零児「…わかりやすい奴だな。<br>    どうも街の雰囲気がおかしい。さっさと片付けて、調査を続けるぞ」<br> <br> 零児とシャオムゥの連携業でカマイタチを一掃する。<br> <br> シャオムゥ「ま、ざっとこんなもんじゃな。さあ零児!わしのヘソクリを返さんか!」<br> 零児「…自分一人で戦ったような顔をするな。わかった、本部に戻ってから…」<br> シャオムゥ「……待て」<br> 零児「ほう、殊勝だな。いらないのか?」<br> シャオムゥ「いや、待ての意味がちゃうわ!」<br> 零児「わけがわからん。<br>    …ん…!?」<br> シャオムゥ「やっと気づいたか。案外鈍いの。<br>    雰囲気がおかしいと言うとったのはぬしじゃぞ?」<br> 零児「ああ。…"奴ら"が現れる時とは違う…。なんだ…?」<br> <br> そこへ未知の生命体が出現する。<br> <br> ゴブリン「………」<br> <br> 零児「ちっ、新手か…!しかし…。<br>    今のは…"ゆらぎ"なのか?本部の情報とは違うぞ?」<br> シャオムゥ「…しかも、見た事のない連中じゃな。<br>    ほれほれ、新顔なら挨拶の一つくらいせんか」<br> <br> ゴブリン「………」<br> <br> 零児「フッ、礼儀は知らんらしいな。ならばこっちの挨拶は…こいつだ」<br> <br> 敵に間合いを詰め、銃弾を叩き込む零児。だが弾は敵の体をすり抜けてしまう。<br> <br> 零児「…なに…!?」<br> シャオムゥ「弾が通り抜けおったのか!?<br>    …っちゅう事は、実体のない霊体の類か。<br>    こら零児!弾丸をケチるでない!」<br> 零児「おまえじゃあるまいし、そんなセコいマネをするか。<br>    『対霊体処理』の済んだ弾丸を使ってる。<br>    なんだ、こいつらの…ここにいないような…違和感は。<br>    "ゆらぎ"から生まれた…新種か…!?しかも、触れる事ができないとなると…」<br> <br> ゴブリン「………」<br> <br> シャオムゥ「…じゃが、こやつらは石畳をしっかりと踏みしめておるな」<br> 零児「ふん、ならば俺達にも触れられる道理か。<br>    …シャオムゥ、最悪の場合…一度撤収するぞ」<br> <br> ゴブリン「………」<br> <br> シャオムゥ「かぁ~、情けない!<br>    この10年!わしは、ぬしをそんな子に育てた覚えはないぞ!」<br> 零児「うるさい。おまえは少し踏みしめられてろ」<br> シャオムゥ「だいたいじゃな、そんなにサクっと撤退できるなら、一目散にやっとるわ」<br> 零児「なんだと?おい、まさか…新たな"ゆらぎ"が!?」<br> <br> 新たな"ゆらぎ"が起き、渋谷に転送されてきたシオン、KOS-MOS、M.O.M.O.。<br> <br> 零児「……!?」<br> シオン「…うう…こ、ここは…」<br> KOS-MOS「シオン、お怪我はありませんか?」<br> シオン「大丈夫。それに…ここはあなたのエンセフェロン内よ。<br>    怪我という表現は、身体に物理的な損害が加わった場合に用いる言葉で、この場合には…」<br> M.O.M.O.「あ、あの…シオンさん…」<br> シオン「え!?モ…モモちゃん?<br>    なぜあなたまで、KOS-MOSのエンセフェロン内に?」<br> <br> 零児「化け物じゃない…?民間人…?」<br> シャオムゥ「ふむ。メガネ、無表情、ロリ…いろいろ取りそろえて来おったのう」<br> 零児「おい!渋谷は完全閉鎖地区だぞ!こんな所で何をやってる!」<br> シオン「え?え!?ちょ、ちょっと…KOS-MOS!」<br> KOS-MOS「ここは仮想空間ではなく…現実の世界です」<br> シオン「それってどういう事…!?」<br> KOS-MOS「…ですから、先程の私の言動は、<br>    この状況下においては適切であったと考えられます」<br> シオン「そこはいいから!」<br> M.O.M.O.「じゃ、じゃあここは…ドコなんですか?」<br> シオン「ど、どこって言われても…」<br> 零児「何を言い争っているんだ…?おい!」<br> <br> KOS-MOS達を見つけて反応するモンスター達。<br> ゴブリン「……!」<br> <br> シオン「グノーシス…!そんな!」<br> シャオムゥ「なになに?…『モウ ガマン デキナイ』」<br> 零児「おまえ、わかるのか!?」<br> シャオムゥ「いゆあ、たぶんそういうニュアンスかと…」<br> 零児「ちっ、言ってろ!おい、ここは危険だ!避難するんだ!」<br> シオン「そんな、ここはエンセフェロン内じゃ…」<br> 零児「さっきからわけのわからない事を!<br>    こいつらには攻撃が効かない!守ってやれないんだ!民間人は下がれ!」<br> KOS-MOS「お心遣い、感謝します。<br>    シオン…ヒルベルトエフェクトを使用します」<br> シオン「え!?待って、KOS-MOS!<br>    不確定な状況下では、危険すぎるわ!」<br> KOS-MOS「…現在の状況の方が危険であると判断します」<br> M.O.M.O.「シオンさん!私達だけじゃなく、この人達も危ない目にあってしまいます!」<br> シオン「………」<br> 零児「(さっきから、一体何の事を話しているんだ?)」<br> <br> ゴブリン「……!」<br> シャオムゥ「え~と、『モウ ガマン シナイ』」<br> <br> シオン「くっ…!KOS-MOS、ヒルベルト発動…!」<br> KOS-MOS「了解しました。ヒルベルトエフェクト、展開します」<br> <br> KOS-MOSが働きかけることで、実体化したモンスター達。<br> <br> シャオムゥ「な、なんじゃ!?」<br> ゴブリン「……!!!??」<br> シャオムゥ「お?半透明な感じがなくなりおった?」<br> 零児「攻撃…なのか?」<br> M.O.M.O.「違います…あの…虚数空間に干渉するための装備です」<br> 零児「は…?虚数…空間?」<br> KOS-MOS「正確には、限定知覚領域発生装置の事を指します。<br>    虚数領域への干渉可能範囲を拡大、<br>    実在事象からグノーシスにアプローチするための…」 <br> 零児「わけのわからん敵に、わけのわからん装置の説明か」<br> シオン「KOS-MOS、ちょっと黙って!<br>    物理的に触れられるようになったんです!だから!」<br> シャオムゥ「ほほう、それが本当ならすごいのう。<br>    …とうか、ぬしら何者なんじゃ?」<br> 零児「間違いなく、この化け物と関係がある人間らしいな」<br> シオン「…はい…」<br> 零児「そいつは重畳。<br>    まず片付ける!話はその後にゆっくり聞かせてもらうぞ」<br> ゴブリン「………!!!」<br> <br> KOS-MOS達の協力を得、ゴブリンと戦っていると、別の場所に人影が現れる。<br> <br> 零児「なにっ!?」<br> キャミィ「………」<br> ユーニ「………」<br> ユーリ「…目標:発見」<br> シャオムゥ「また民間人が紛れこんで来おったのか?<br>    あの食い込み…どっかのコンパニオン?<br> 零児「いや、身のこなしを見る限り…素人じゃない」<br> ユーニ「…ターゲット、目視します。サンプルデータと98%一致」<br> ユーリ「目標:確認」<br> キャミィ「…『シンラ』のエージェント、アリス・レイジ…情報通りだな。<br>    隣の小さいのは?」<br> ユーニ「サンプルデータを100%一致。"センコ"シャオムゥと確認」<br> キャミィ「では、作戦を開始する。私は本部へ向かい、あの方と合流する。<br>    『シンラ』のエージェント二人をこの街で足止めしつつ、<br>    データのサンプリングを行え」<br> ユーニ「特殊エネルギー感知。<br>    サンプルデータの存在しない、不特定多数の固体に関してはいかがいたしますか」<br> キャミィ「…任意で排除しろ」<br> <br> 立ち去るキャミィ。<br> <br> ユーニ「了解。サンプリング開始、第一種戦闘態勢へ移行」<br> ユーリ「任務:了解。モード移行:応戦態勢」<br> シャオムゥ「ハイレグの一人、逃げおったぞ?」<br> 零児「…よく聞き取れなかったが、俺達の事を言っていた?」<br> KOS-MOS「『シンラ』と呼称される組織、ないし団体の構成員である"アリス・レイジ"…。<br>    "センコ・シャオムゥ"という人物の情報収集が目的のようです。<br>    足止め…という言葉から、それ以外にも何かしらの目的が存在すると考えられます」<br> シャオムゥ「ほ~、耳がいいのう!<br>    …っちゅうか、仙狐(せんこ)…わしの正体を知っとる連中じゃと?」<br> 零児「(『森羅』の名前まで?…どういう事だ)」<br> M.O.M.O.「こ、怖い女の人達…こっちに来ます!」<br> シオン「え? え!?」<br> 零児「ちっ、どこぞの敵対組織か!<br>    俺達以外はすべて敵だと思え!やられるぞ!」<br> <br> ユーリ、ユーニが迫ってくるが、その背後から春麗が現れる。<br> <br> 春麗「待ちなさいっ!」<br> ユーニ「………」<br> ユーリ「………」<br> 零児「今度はなんだ!?」<br> シャオムゥ「千客万来、満員御礼じゃのう」<br> 春麗「え…!?ちょっとあなた達!ここは閉鎖都市指定を受けた場所なのよ!<br>    何をやってるのッ!」<br> 零児「それはこっちの台詞だッ!そいつらは誰だ!そしてあんたは!」<br> 春麗「私は春麗…ICPOシャドルー特別捜査官、春麗よ」<br> 零児「シャドルー…?シャドルーだと!?」<br> <br> ユーニ「任務遂行の妨げと判断、速やかに排除」<br> ユーリ「判断:同意。対象物:排除」<br> シャオムゥ「なるへそ。秘密結社シャドルー…そこの強化兵士らしいの」<br> 零児「過去壊滅したシャドルーが、なぜ俺達を狙う?」<br> KOS-MOS「対象は明らかな敵意を持っています。迎撃を行うべきと判断しますが?」<br> シャオムゥ「…状況がわかってないのに強気だのう、この娘」<br> <br> ゴブリン「………」<br> <br> 春麗「閉鎖都市らしく、化け物も出てきてるのね。それも相手にしないと…」<br> <br> 春麗も戦闘に参加し、ユーリ、ユーニを追い詰める。<br> <br> ユーニ「被害甚大…残りLP0.55…回復まで約180秒…」<br> ユーリ「ミッション:遂行困難。」<br> ユーニ「サンプリング52%で中断…ユーリと共に帰投します」<br> <br> 撤退するユーニ、ユーリ。<br> <br> 春麗「あ、待ちなさいッ!」<br> 零児「おい、深追いはするな!」<br> 春麗「そうはいかないわ!」<br> <br> ユーニ達の後を追う春麗。<br> <br> 零児「おいっ!」<br> シャオムゥ「あわただしいのう。もうちこっと、情報を知りたかったが…」<br> <br> 残るゴブリンも全て倒す。<br> <br> 零児「…今ので終わったようだな」<br> シャオムゥ「ふむ。今度こそ、おかしな感じはせんな」<br> KOS-MOS「半径1kmの索敵は終了しています。<br>    グノーシス、生体反応…ともにありません」<br> 零児「なに?それが本当なら重畳だが…」<br> M.O.M.O.「チョウジョウ…?」<br> KOS-MOS「データベース検索。<br>    "極めて喜ばしい事" "満足である事"を指す、古代語だと思われます」<br> 零児「な、なんだこの娘…さっきから…」<br> シャオムゥ「ほう…この娘、からくりのようじゃぞ。<br>    なるほど、シャドルーっ子達の会話が聞き取れたのも、そういう理由か」<br> 零児「からくり…ロボットだと?」<br> シオン「あの…」<br> 零児「…聞きたい事が山ほどあるが、あんたも状況がわかっていない…という顔だな」<br> M.O.M.O.「ここは…どこなんですか?私達は…これからどうしたら…」<br> 零児「心配するな、お城ちゃん。悪いようにはしない」<br> シャオムゥ「とりあえず、次の行動を決めんとな」<br> 零児「ああ。あんた…ええと」<br> シオン「ウヅキです。シオン・ウヅキ。<br>    この子が百式レアリエンのモモちゃん…。<br>    そして、こっちがアンドロイドのKOS-MOSです」<br> 零児「(アンドロイド…?)<br>    俺は有栖零児。こっちの小さいのがシャオムゥだ。<br>    …ある組織から派遣されてきた<br> シオン「ある…組織…?ええと…『シンラ』とかいう…」<br> シャオムゥ「まあ立ち話もなんじゃし、ほれ、そこらの茶店かゲーセンにでも<br>    忍び込んでじゃな…」<br> 零児「忍び込むな。それにここは完全閉鎖地区だ。<br>    …いつまでもウロウロしているわけにはいかない。<br>    本部に連れて行くしかないだろうな」<br> シャオムゥ「そこでこってり尋問じゃ。にひひ」<br> シオン「(…本部…?それに…この女の子も…普通の人間とは…何か違う)」<br> シャオムゥ「それにしても…どう思う?零児。<br>    なにやら、おかしな事になってきたのう」<br> 零児「ああ。"奴ら"の跳梁、『シャドルー』、新しい『敵』<br>    …そしてアンドロイドにその飼い主か」<br> シャオムゥ「国際警察機構の捜査官とかいうのも出て来おったしの」<br> 零児「………。<br>    ("ゆらぎ"は、ますます大きくなってきているという事か…。<br>    10年前の…"あの日"と同じ、か)」<br> <br>
プロローグ1 「ゆらぎの街のアリス」<br> <hr width="100%" size="2"> <br> 場所:西暦20XX年…六本木<br> <br> 零児「…ああ、了解した。このまま俺たちは渋谷に向かう。<br>    段取りはいつも通りで…ああ、頼む」<br> <br> 電話を切る零児。<br> <br> 零児「行くぞ、シャオムゥ…渋谷だ」<br> シャオムゥ「やれやれ…また出動かいな。それも渋谷…"ゆらぎ"かの?」<br> 零児「いつもの事さ。そう…あの日から、何も変わっていない」<br> シャオムゥ「あの時も渋谷じゃったの。そして、今また『閉鎖都市指定』とはのう」<br> 零児「………」<br> シャオムゥ「あれから10年か。そりゃぬしもデカくなるわけじゃ。<br>    あの頃は、もう少しかわいげがあったんじゃがのう」<br> 零児「…懐かしんでる場合か。それから大きなお世話だ。それに"あの時"は…」<br> シャオムゥ「ほれほれ、そんな顔をするでない。10年…もう昔の話じゃ」<br> 零児「そうだな。もう感傷に浸れる歳でもない、か。<br>    さあ、今日はやる事が多いぞ。<br>    渋谷の調査を終えたら、すぐにアメリカ統合戦略軍のエージェントと合流だ」<br> シャオムゥ「はぁ?そんなんと組んで、ウチの組織はなにしようっちゅうんじゃ?<br>    アメリカン合同こんにゃく軍?」<br> 零児「アメリカ統合戦略軍…U.S.STRATCOMだ」<br> シャオムゥ「問題なのはそんな名前とちゃうぞ。<br>    わしらの組織…『森羅』はいわゆる裏の機関じゃぞ。<br>    それがここ最近、どうして…」<br> 零児「…上からの命令だ。<br>    俺達が表舞台に出なかった理由は、"奴ら"もまた、裏の世界にいたからだ。<br>    だが、ここ最近の"奴ら"の動きは、世界規模で活発になっている。<br>    …世界中で目撃例が確認され始めた今…」<br> シャオムゥ「ふく…皆まで言わんでも、わかっとるわ。<br>    わしらもコソコソ陰でやっとる場合とちゃう…っちゅう事じゃろ」<br> 零児「そこまでわかってるなら文句を言うな。いくぞ。待ち合わせに遅れる」<br> シャオムゥ「…ウチの組織も人使いが荒すぎじゃ。ストライキ起こしたろか」<br> 零児「やるのは勝手だが、給料をカットされるだけだぞ」<br> シャオムゥ「ふふん。無計画な若造のぬしと違って、わしにはヘソクリがあるのじゃ。<br>    ダテに長くは勤めておらんて」<br> 零児「そいつは重畳。<br>    …ああ、ベッドの下に隠してあった金がそうなら、俺が回収したぞ」<br> シャオムゥ「な…なにゃアーーッ!?」<br> 零児「…もっとマシな隠し場所を考えろ。中学生か、おまえは」<br> シャオムゥ「回収すなッ!いくらあったと思っとんのじゃ!」<br> 零児「任務が済んだら返してやる。おまえはすぐにサボろうとするからな。<br>    仕事を一つこなすごとに、少しずつ返すというのもありか」<br> シャオムゥ「人をアシカかオットセイみたいに扱うな。<br>    …まったく、最近の若いモンは年寄りに対しての…」<br> 零児「口よりも体を動かせ。いくぞ」<br> <br> <br> 場所:超未来…貨客船、エルザ艦内<br> <br> シオン「KOS-MOS、調子はどう?」<br> KOS-MOS「筐体そのものに異常はありません、シオン」<br> シオン「でも、ここ最近…側頭葉のノイズが頻繁に検出されてるのよね」<br> KOS-MOS「自律行動自体に影響はありませんが」<br> シオン「う~ん…まあ、そうなんだけど…」<br> アレン「気にしすぎですよ、主任。<br>    ここ最近、原因不明の空間歪曲なども起こっている事ですし<br>    …KOS-MOSにもそういう時がありますって」<br> シオン「あのね、アレン君。<br>    …ただでさえこの子には、私達が把握できていない…ブラックボックスが<br>    存在しているのよ?<br>    何でもかんでも"原因不明"で片付けるのは良くないわ」<br> アレン「そ…そうですけど…」<br> M.O.M.O.「あの、KOS-MOSさん…具合が悪いんですか?」<br> シオン「あくまでデータ上はね。でもこの子…自分からはそういう事、言わないのよね…。<br>    "潜って"みるしかないか」<br> アレン「主任、なにもここでやらなくてもいいんじゃないですか?<br>    貨客船の設備じゃ、詳細なデータは録れませんし…第ニミルチアに到着してから<br>    でも遅くはないかと」<br> シオン「潜るわ」<br> アレン「しゅに~ん…」<br> M.O.M.O.「潜るって…エンセフェロン・ダイブですか…?<br>    KOS-MOSさんの意識領域に直接アプローチを?」<br> シオン「そうよ、モモちゃん。本人のことは本人に確認するのが一番よ」<br> アレン「ですから主任、何もこんな所でやらなくても…」<br> シオン「非局所的連結(インターコネクション)を開始するわ。<br>    アレン君、接続補助(バックアップ)、お願いね?」<br> アレン「…はぁ…わかりました」<br> シオン「KOS-MOS、じゃあ一度眠ってもらうわね。<br>    エンセフェロン内で、また会いましょう」<br> KOS-MOS「了解しました。…お休みなさい、シオン」<br> シオン「よくできました。…お休み、KOS-MOS」<br> <br> 再び西暦20XX年…日本、渋谷<br> <br> 春麗「待ちなさい!」<br> キャミィ「………」<br> 春麗「…言葉はわかるわね?ここ、渋谷は先日『閉鎖都市指定』受けた地域よ。<br>    一般人の立ち入りは禁止されているわ」<br> キャミィ「………」<br> 春麗「それ以前に…あなた達が"あの組織"の構成員だという事もわかっているのよ!<br>    過去、一度壊滅したはずの…『秘密結社シャドルー』のね!<br>    話を聞かせてもらうわ。あの男…ベガがどうなったのかを…!」<br> キャミィ「………」<br> ユーニ「任務遂行の妨げと判断…速やかな排除を提案します」<br> ユーリ「提案:同意」<br> キャミィ「かまう事はない。…我々の任務を忘れるな。<br>    日本政府直属の特務機関『シンラ』…それ以外には目もくれるな。行くぞ」<br> ユーニ「了解しました」<br> ユーリ「任務:了解」<br> <br> 立ち去るキャミィ達。<br> <br> 春麗「あ!待ちなさいッ!<br>    (『閉鎖都市指定』を受けた渋谷…各地で頻発する"怪物騒ぎ"、<br>    そして『シャドルー』…。一体どこに接点が…?<br>    何が始まろうとしているの?)」<br> <br> <br> 渋谷に到着した零児とシャオムゥ。<br> <br> シャオムゥ「人っ子一人おらん街か。これはこれで風情がるの。<br>    服とか買う時も、並ばずに済むぞ?」<br> 零児「おまえの話には風情がないな。大体、店自体がやってないだろ。<br>    それに…この雰囲気で買い物などする気になるか?」<br> シャオムゥ「…ヘンじゃな、そう言われると、おかしな空気じゃ」<br> 零児「ああ、妖気が混じってる。"奴ら"、おそらく仕掛けてくるぞ」<br> シャオムゥ「強いっちゅうても、たかが知れておる。ま、出てくるとしても格下じゃな」<br> <br> 宣言どおり、格下の妖怪が現れる。<br> <br> シャオムゥ「お、出おったな。<br>    カマイタチか…やっぱ下級の妖物じゃの。<br>    わしが直接手を下すほどの相手でもない。ほれほれ零児、片付けてしまわんか」<br> 零児「なんだと?」<br> シャオムゥ「わしは朝メシがまだでの。後ろで油揚げ定食を食っとるから、<br>    終わったら教えるんじゃぞ」<br> <br> 零児達に向かってくるカマイタチ。<br> <br> 零児「ちっ、間を詰められたか。おい、シャオムゥ」<br> シャオムゥ「じゃ、そういうわけで」<br> 零児「…こいつらを倒したら、例のヘソクリ、少し返してやろうと思っていたんだがな。<br>    嫌だというなら仕方ない。俺一人で何とかするさ」<br> シャオムゥ「さぁて!やっちゃるけえのう!<br>    わしがおるからには、大船に乗ったつもりでおれ、零児!」<br> 零児「…わかりやすい奴だな。<br>    どうも街の雰囲気がおかしい。さっさと片付けて、調査を続けるぞ」<br> <br> 零児とシャオムゥの連携業でカマイタチを一掃する。<br> <br> シャオムゥ「ま、ざっとこんなもんじゃな。さあ零児!わしのヘソクリを返さんか!」<br> 零児「…自分一人で戦ったような顔をするな。わかった、本部に戻ってから…」<br> シャオムゥ「……待て」<br> 零児「ほう、殊勝だな。いらないのか?」<br> シャオムゥ「いや、待ての意味がちゃうわ!」<br> 零児「わけがわからん。<br>    …ん…!?」<br> シャオムゥ「やっと気づいたか。案外鈍いの。<br>    雰囲気がおかしいと言うとったのはぬしじゃぞ?」<br> 零児「ああ。…"奴ら"が現れる時とは違う…。なんだ…?」<br> <br> そこへ未知の生命体が出現する。<br> <br> ゴブリン「………」<br> <br> 零児「ちっ、新手か…!しかし…。<br>    今のは…"ゆらぎ"なのか?本部の情報とは違うぞ?」<br> シャオムゥ「…しかも、見た事のない連中じゃな。<br>    ほれほれ、新顔なら挨拶の一つくらいせんか」<br> <br> ゴブリン「………」<br> <br> 零児「フッ、礼儀は知らんらしいな。ならばこっちの挨拶は…こいつだ」<br> <br> 敵に間合いを詰め、銃弾を叩き込む零児。だが弾は敵の体をすり抜けてしまう。<br> <br> 零児「…なに…!?」<br> シャオムゥ「弾が通り抜けおったのか!?<br>    …っちゅう事は、実体のない霊体の類か。<br>    こら零児!弾丸をケチるでない!」<br> 零児「おまえじゃあるまいし、そんなセコいマネをするか。<br>    『対霊体処理』の済んだ弾丸を使ってる。<br>    なんだ、こいつらの…ここにいないような…違和感は。<br>    "ゆらぎ"から生まれた…新種か…!?しかも、触れる事ができないとなると…」<br> <br> ゴブリン「………」<br> <br> シャオムゥ「…じゃが、こやつらは石畳をしっかりと踏みしめておるな」<br> 零児「ふん、ならば俺達にも触れられる道理か。<br>    …シャオムゥ、最悪の場合…一度撤収するぞ」<br> <br> ゴブリン「………」<br> <br> シャオムゥ「かぁ~、情けない!<br>    この10年!わしは、ぬしをそんな子に育てた覚えはないぞ!」<br> 零児「うるさい。おまえは少し踏みしめられてろ」<br> シャオムゥ「だいたいじゃな、そんなにサクっと撤退できるなら、一目散にやっとるわ」<br> 零児「なんだと?おい、まさか…新たな"ゆらぎ"が!?」<br> <br> 新たな"ゆらぎ"が起き、渋谷に転送されてきたシオン、KOS-MOS、M.O.M.O.。<br> <br> 零児「……!?」<br> シオン「…うう…こ、ここは…」<br> KOS-MOS「シオン、お怪我はありませんか?」<br> シオン「大丈夫。それに…ここはあなたのエンセフェロン内よ。<br>    怪我という表現は、身体に物理的な損害が加わった場合に用いる言葉で、この場合には…」<br> M.O.M.O.「あ、あの…シオンさん…」<br> シオン「え!?モ…モモちゃん?<br>    なぜあなたまで、KOS-MOSのエンセフェロン内に?」<br> <br> 零児「化け物じゃない…?民間人…?」<br> シャオムゥ「ふむ。メガネ、無表情、ロリ…いろいろ取りそろえて来おったのう」<br> 零児「おい!渋谷は完全閉鎖地区だぞ!こんな所で何をやってる!」<br> シオン「え?え!?ちょ、ちょっと…KOS-MOS!」<br> KOS-MOS「ここは仮想空間ではなく…現実の世界です」<br> シオン「それってどういう事…!?」<br> KOS-MOS「…ですから、先程の私の言動は、<br>    この状況下においては適切であったと考えられます」<br> シオン「そこはいいから!」<br> M.O.M.O.「じゃ、じゃあここは…ドコなんですか?」<br> シオン「ど、どこって言われても…」<br> 零児「何を言い争っているんだ…?おい!」<br> <br> KOS-MOS達を見つけて反応するモンスター達。<br> ゴブリン「……!」<br> <br> シオン「グノーシス…!そんな!」<br> シャオムゥ「なになに?…『モウ ガマン デキナイ』」<br> 零児「おまえ、わかるのか!?」<br> シャオムゥ「いゆあ、たぶんそういうニュアンスかと…」<br> 零児「ちっ、言ってろ!おい、ここは危険だ!避難するんだ!」<br> シオン「そんな、ここはエンセフェロン内じゃ…」<br> 零児「さっきからわけのわからない事を!<br>    こいつらには攻撃が効かない!守ってやれないんだ!民間人は下がれ!」<br> KOS-MOS「お心遣い、感謝します。<br>    シオン…ヒルベルトエフェクトを使用します」<br> シオン「え!?待って、KOS-MOS!<br>    不確定な状況下では、危険すぎるわ!」<br> KOS-MOS「…現在の状況の方が危険であると判断します」<br> M.O.M.O.「シオンさん!私達だけじゃなく、この人達も危ない目にあってしまいます!」<br> シオン「………」<br> 零児「(さっきから、一体何の事を話しているんだ?)」<br> <br> ゴブリン「……!」<br> シャオムゥ「え~と、『モウ ガマン シナイ』」<br> <br> シオン「くっ…!KOS-MOS、ヒルベルト発動…!」<br> KOS-MOS「了解しました。ヒルベルトエフェクト、展開します」<br> <br> KOS-MOSが働きかけることで、実体化したモンスター達。<br> <br> シャオムゥ「な、なんじゃ!?」<br> ゴブリン「……!!!??」<br> シャオムゥ「お?半透明な感じがなくなりおった?」<br> 零児「攻撃…なのか?」<br> M.O.M.O.「違います…あの…虚数空間に干渉するための装備です」<br> 零児「は…?虚数…空間?」<br> KOS-MOS「正確には、限定知覚領域発生装置の事を指します。<br>    虚数領域への干渉可能範囲を拡大、<br>    実在事象からグノーシスにアプローチするための…」 <br> 零児「わけのわからん敵に、わけのわからん装置の説明か」<br> シオン「KOS-MOS、ちょっと黙って!<br>    物理的に触れられるようになったんです!だから!」<br> シャオムゥ「ほほう、それが本当ならすごいのう。<br>    …とうか、ぬしら何者なんじゃ?」<br> 零児「間違いなく、この化け物と関係がある人間らしいな」<br> シオン「…はい…」<br> 零児「そいつは重畳。<br>    まず片付ける!話はその後にゆっくり聞かせてもらうぞ」<br> ゴブリン「………!!!」<br> <br> KOS-MOS達の協力を得、ゴブリンと戦っていると、別の場所に人影が現れる。<br> <br> 零児「なにっ!?」<br> キャミィ「………」<br> ユーニ「………」<br> ユーリ「…目標:発見」<br> シャオムゥ「また民間人が紛れこんで来おったのか?<br>    あの食い込み…どっかのコンパニオン?<br> 零児「いや、身のこなしを見る限り…素人じゃない」<br> ユーニ「…ターゲット、目視します。サンプルデータと98%一致」<br> ユーリ「目標:確認」<br> キャミィ「…『シンラ』のエージェント、アリス・レイジ…情報通りだな。<br>    隣の小さいのは?」<br> ユーニ「サンプルデータを100%一致。"センコ"シャオムゥと確認」<br> キャミィ「では、作戦を開始する。私は本部へ向かい、あの方と合流する。<br>    『シンラ』のエージェント二人をこの街で足止めしつつ、<br>    データのサンプリングを行え」<br> ユーニ「特殊エネルギー感知。<br>    サンプルデータの存在しない、不特定多数の固体に関してはいかがいたしますか」<br> キャミィ「…任意で排除しろ」<br> <br> 立ち去るキャミィ。<br> <br> ユーニ「了解。サンプリング開始、第一種戦闘態勢へ移行」<br> ユーリ「任務:了解。モード移行:応戦態勢」<br> シャオムゥ「ハイレグの一人、逃げおったぞ?」<br> 零児「…よく聞き取れなかったが、俺達の事を言っていた?」<br> KOS-MOS「『シンラ』と呼称される組織、ないし団体の構成員である"アリス・レイジ"…。<br>    "センコ・シャオムゥ"という人物の情報収集が目的のようです。<br>    足止め…という言葉から、それ以外にも何かしらの目的が存在すると考えられます」<br> シャオムゥ「ほ~、耳がいいのう!<br>    …っちゅうか、仙狐(せんこ)…わしの正体を知っとる連中じゃと?」<br> 零児「(『森羅』の名前まで?…どういう事だ)」<br> M.O.M.O.「こ、怖い女の人達…こっちに来ます!」<br> シオン「え? え!?」<br> 零児「ちっ、どこぞの敵対組織か!<br>    俺達以外はすべて敵だと思え!やられるぞ!」<br> <br> ユーリ、ユーニが迫ってくるが、その背後から春麗が現れる。<br> <br> 春麗「待ちなさいっ!」<br> ユーニ「………」<br> ユーリ「………」<br> 零児「今度はなんだ!?」<br> シャオムゥ「千客万来、満員御礼じゃのう」<br> 春麗「え…!?ちょっとあなた達!ここは閉鎖都市指定を受けた場所なのよ!<br>    何をやってるのッ!」<br> 零児「それはこっちの台詞だッ!そいつらは誰だ!そしてあんたは!」<br> 春麗「私は春麗…ICPOシャドルー特別捜査官、春麗よ」<br> 零児「シャドルー…?シャドルーだと!?」<br> <br> ユーニ「任務遂行の妨げと判断、速やかに排除」<br> ユーリ「判断:同意。対象物:排除」<br> シャオムゥ「なるへそ。秘密結社シャドルー…そこの強化兵士らしいの」<br> 零児「過去壊滅したシャドルーが、なぜ俺達を狙う?」<br> KOS-MOS「対象は明らかな敵意を持っています。迎撃を行うべきと判断しますが?」<br> シャオムゥ「…状況がわかってないのに強気だのう、この娘」<br> <br> ゴブリン「………」<br> <br> 春麗「閉鎖都市らしく、化け物も出てきてるのね。それも相手にしないと…」<br> <br> 春麗も戦闘に参加し、ユーリ、ユーニを追い詰める。<br> <br> ユーニ「被害甚大…残りLP0.55…回復まで約180秒…」<br> ユーリ「ミッション:遂行困難。」<br> ユーニ「サンプリング52%で中断…ユーリと共に帰投します」<br> <br> 撤退するユーニ、ユーリ。<br> <br> 春麗「あ、待ちなさいッ!」<br> 零児「おい、深追いはするな!」<br> 春麗「そうはいかないわ!」<br> <br> ユーニ達の後を追う春麗。<br> <br> 零児「おいっ!」<br> シャオムゥ「あわただしいのう。もうちこっと、情報を知りたかったが…」<br> <br> 残るゴブリンも全て倒す。<br> <br> 零児「…今ので終わったようだな」<br> シャオムゥ「ふむ。今度こそ、おかしな感じはせんな」<br> KOS-MOS「半径1kmの索敵は終了しています。<br>    グノーシス、生体反応…ともにありません」<br> 零児「なに?それが本当なら重畳だが…」<br> M.O.M.O.「チョウジョウ…?」<br> KOS-MOS「データベース検索。<br>    "極めて喜ばしい事" "満足である事"を指す、古代語だと思われます」<br> 零児「な、なんだこの娘…さっきから…」<br> シャオムゥ「ほう…この娘、からくりのようじゃぞ。<br>    なるほど、シャドルーっ子達の会話が聞き取れたのも、そういう理由か」<br> 零児「からくり…ロボットだと?」<br> シオン「あの…」<br> 零児「…聞きたい事が山ほどあるが、あんたも状況がわかっていない…という顔だな」<br> M.O.M.O.「ここは…どこなんですか?私達は…これからどうしたら…」<br> 零児「心配するな、お嬢ちゃん。悪いようにはしない」<br> シャオムゥ「とりあえず、次の行動を決めんとな」<br> 零児「ああ。あんた…ええと」<br> シオン「ウヅキです。シオン・ウヅキ。<br>    この子が百式レアリエンのモモちゃん…。<br>    そして、こっちがアンドロイドのKOS-MOSです」<br> 零児「(アンドロイド…?)<br>    俺は有栖零児。こっちの小さいのがシャオムゥだ。<br>    …ある組織から派遣されてきた<br> シオン「ある…組織…?ええと…『シンラ』とかいう…」<br> シャオムゥ「まあ立ち話もなんじゃし、ほれ、そこらの茶店かゲーセンにでも<br>    忍び込んでじゃな…」<br> 零児「忍び込むな。それにここは完全閉鎖地区だ。<br>    …いつまでもウロウロしているわけにはいかない。<br>    本部に連れて行くしかないだろうな」<br> シャオムゥ「そこでこってり尋問じゃ。にひひ」<br> シオン「(…本部…?それに…この女の子も…普通の人間とは…何か違う)」<br> シャオムゥ「それにしても…どう思う?零児。<br>    なにやら、おかしな事になってきたのう」<br> 零児「ああ。"奴ら"の跳梁、『シャドルー』、新しい『敵』<br>    …そしてアンドロイドにその飼い主か」<br> シャオムゥ「国際警察機構の捜査官とかいうのも出て来おったしの」<br> 零児「………。<br>    ("ゆらぎ"は、ますます大きくなってきているという事か…。<br>    10年前の…"あの日"と同じ、か)」<br> <br>

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: