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<p><strong>トリノホシ ~Aerial Planet~</strong></p>
<p>part41-86~95,106</p>
<hr /><dl><dt>86 :<font color="#008000"><strong>トリノホシ~Aerial
Planet~</strong></font>:2008/08/24(日) 13:30:11 ID:BnvHA6/90</dt>
<dd>未解決一覧からトリノホシを。<br /><br />
【1章・故郷への長い旅】<br />
惑星コニウス・ブルーは、白鳥座のデネブから20光年離れた距離に位置する未開の惑星である。<br />
地表の98%を海に覆われているこの惑星では、わずかに点在する島々の陸地に独自の生態系が発展していた。<br />
コニウス・ブルーで最も多く見られる生物は、四つの眼と一対の翼を持つ地球の鳥に似た生き物たちだ。<br />
地球人の目から見れば、そこは大海原に棲む鳥の星である。<br /><br />
少年ヒューゴー・ラマンスキー(ヒュー)は、異星生物学者の父デヴィッド博士、<br />
子供の頃からの親友であるサポートAIのカール(姿はなく、通信ブレスレットに搭載されたプログラム)<br />
とともに、宇宙船ペリカン号に乗ってコニウス・ブルーへと向かっていた。<br /><br />
しかし、着陸間際に宇宙船は小惑星と接触事故を起こす。<br />
ヒューは脱出ポッドに入っていたため難を逃れ、コニウス・ブルーの小さな島のひとつに着陸することができた。<br />
ポッドに積まれていた食料と、着ていた宇宙服の生命維持システムのおかげで<br />
しばらくは生存に困ることはなさそうだったが、通信設備の故障のため救援を呼ぶことができない。<br />
何より、墜落時にブリッジにいた父の生存は絶望的と思われた。<br /><br />
カールはヒューを励まし、ポッドに積まれていた高性能グライダーで<br />
試しに空を飛んで憂さ晴らしをしてはどうかと言う。<br />
父が惑星研究の際に移動手段として用いていたため、今回の航行中にも積まれていたのだ。<br />
カールから操縦を教わりながらおっかなびっくり空を飛ぶヒュー。<br /><br />
初フライトと着陸に成功したヒューに、カールはどこからも救援が望めないことを語る。<br />
この惑星に居住しているのは、惑星調査基地に住むわずか6名の研究者のみで、<br />
どこへ墜落したかも定かでない行方不明者を助けられる人員も設備も彼らは持っていない。<br />
加えて調査基地の位置する場所は、不時着現場から見てほぼ星の裏側にあたる。<br /><br />
ヒューが生存する道は、自力で調査基地まで向かうことただひとつである。<br />
カールはそのためにグライダーの操縦を勧めたのだった。<br />
ただし、前述した通りこの星は地表の98%が海であり、陸地がほとんどないため<br />
正確な地図のない状態でやみくもに飛んでいれば、やがて陸地を見失って遭難してしまう。<br /><br />
カールはヒューの父が残した調査記録を元に、気流を読んで島から島へと渡る渡り鳥を見つけ<br />
彼らの群れに加わることで、道に迷わずに移動することができるだろうと予測した。<br />
鳥たちを観察するうち、運良く一羽の渡り鳥を助けることに成功したヒューは<br />
鳥の発する友好的な声を録音し、これを利用して作った大きな群れと共に次の島へと旅立つ。<br /><br /></dd>
<dt>87 :<a href="mailto:sage"><strong>トリノホシ~Aerial
Planet~</strong></a>:2008/08/24(日) 13:30:33 ID:BnvHA6/90</dt>
<dd>【2章・指さす空の向こうに】<br />
嵐に見舞われてようやく次の島にたどりついたヒューは、渡り鳥の群れとはぐれてしまっていた。<br />
しかもグライダーのハッチを施錠し忘れ、積んでいた荷物を全て落としてしまう。<br />
これまではポッドに積まれていた携帯食パックのおかげで食料に困ることもなかったが、<br />
今後はこの惑星ので食料を調達して飢えをしのがなければならない。<br />
ぬるぬるした何か、クモのような生物といったグロイ物体も生きるためにはあえて食べるしかない。<br />
もちろん中には毒のある物もあり、間違って食べれば逆に体力を消耗することになる。<br /><br />
渡り鳥を探しつつ、島を散策して食物探しに励むヒュー。<br />
長期保存が利く携帯食料と異なり、島で採取した食料は日が経てば傷み、腐ってしまう。<br />
次の島へ渡るまでには何日も空を飛び続けなくてはならないため、<br />
渡り鳥探しと平行して保存食の調達が必要になった。<br /><br />
ヒューはカールの勧めで、晴れた日に食物を乾燥させて次々と保存食を作る。<br />
生で食べられない食材を、宇宙服に付いているバーナーで焼くことも覚えた。<br />
島にいた川魚を食べる鳥たちに鵜飼いの要領で魚を捕らせることなどにも成功するうち<br />
最初の島で見かけた渡り鳥を再び見つけ、彼らと合流することができた。<br /><br /><br />
【3章・竜の森を越えて】<br />
また渡り鳥たちと別れ、新たな島の西岸にたどり着いたヒュー。<br />
今度の島は東西に長い形をしており、渡り鳥を見つけて次の島へ行くには<br />
中央の深い森を抜けて東へたどり着く必要がある。<br /><br />
ところが島を探索しはじめてほどなく、突然上空を巨大な生き物が高速で横切っていった。<br />
父のラマンスキー博士がこの惑星で一度見たという、「竜」ではないかとヒューは直感する。<br />
ドラゴンに超高空を旅する鳥、と夢のようなことばかり話す父を内心軽蔑していた彼は<br />
それが実在していると知り、竜を探したいという思いが芽生える。<br /><br />
既に巨大な生き物は姿を消していたので、気を取り直して東の森へと向かうと<br />
森の上空に突然黒い鳥の群れが大量に現れ、一斉にグライダーを攻撃してきた。<br /><br />
そのまま飛んでいればひとたまりもないため、引き返して黒い鳥への対策を立てることにする。<br />
父の研究記録によれば、この島に生息するクジラのような大きな鳥は、<br />
羽根が針のように細かく尖っているために攻撃的な鳥から危害を加えられないらしい。<br />
また、島の岩場で偶然一羽だけはぐれていた、お腹をすかせた黒い鳥の子供を助けたことで<br />
黒い鳥の友好の声を手に入れることにも成功する。<br /><br />
黒い鳥の縄張りを抜けると、ヒューは先ほどの生き物の羽音のようなものを耳にする。<br />
「竜」が近くにいるのではないかと考え、カールの制止を振り切って音の方へ飛んでいくヒュー。<br />
すると生き物が不意に全貌を現した。それはファンタジーの世界に登場するドラゴンではなく、<br />
鋭い顎とグライダーのような翼を持つムカデのようなグロテスクな姿をしていた。<br /><br />
凶暴性を発揮して凄まじい早さでグライダーを追ってくる竜から命からがら逃げ切り、何とか着陸に成功する。<br />
体が並外れて大きいため、地面に姿を隠していればそこまでは追ってこられないらしい。<br />
森にいた黒い鳥は、あの竜から巣を守るために攻撃的になっていたのかとヒューは複雑な思いを抱える。<br />
しかし彼らにはどうすることもできない。竜が姿を消した隙を見計らい、さらに次の島へと渡る。<br /><br /></dd>
<dt>88 :<a href="mailto:sage"><strong>トリノホシ~Aerial
Planet~</strong></a>:2008/08/24(日) 13:30:53 ID:BnvHA6/90</dt>
<dd>【4章・空白の島】<br />
次にヒューがやってきた島は、一本の草も生えていない岩場だらけの不毛の地で<br />
おまけに常に突風と雷雨に見舞われているという最悪の場所だった。<br />
カールが惑星調査団のデータをもとに作った簡易地図上でも<br />
この島だけはほとんど情報がなく、事前にどんな島かを知ることができなかったのだった。<br /><br />
さらに、島の上空を飛んでいると、前の島にいた竜が再び姿を現して襲いかかってきた。<br />
幸いグライダーの高度を下げ、島のあちこちにある渓谷に姿を隠せばやりすごせるようだが<br />
雨と強風で操縦もままならない中の低空飛行は大変な危険が伴う。そして食料も見当たらない。<br /><br />
絶望しかけるヒューだが、たどり着いた岩場のひとつで、偶然鳥の姿を見つける。<br />
その鳥が食べていたものをよく見ると、岩にそっくりな形をしたキノコであることがわかった。<br />
食料の心配がなくなり、また島で初めて鳥の姿を見かけたことでヒューは元気を取り戻す。<br />
また、この島は低気圧の通り道なため、非常に長い時間嵐に見舞われているが<br />
数日に一度決まった周期で嵐が止み、晴れ間が訪れることをカールが発見した。<br /><br />
竜と遭遇する危険はあるが、次の島に向かうためには一度島の上空へと高く昇り<br />
岩場を抜けて北側の渓谷にたどり着かなければならない。<br />
わずかな晴れ間をぬって、できるだけ多くの鳥を島から連れて逃がしてやろうと考えるヒュー。<br />
ところが飛行中、突然グライダーのアクセルがきかなくなったり<br />
ヒューが話しかけてもカールが返事をしないという奇妙なことが起きはじめる。<br /><br />
実はヒューのグライダーは、嵐の衝撃などによって内部のコアチップが破損し、<br />
既に上昇や加速を行うことができない、旅をするための飛行に耐えない状態になっていた。<br />
カールが飛行中に返事をしなかったのは、会話するためのメモリを操縦に割り振り、<br />
自分の処理能力を使ってグライダーの制御に専念していたためだったのである。<br /><br />
これ以上先の島に進むためには、グライダーのチップを交換するしかない。<br />
カールは自分に積まれている同型のコアチップを移植して、グライダーを修理しろとヒューに言う。<br />
そのためにはチップを初期化しなければならない。カールは「消える=死ぬ」ことになる。<br /><br />
だがヒューは共倒れになるとわかっていても、友達であるカールを犠牲にはできなかった。<br />
このままグライダーの機能が低下し、それを補うために一切会話をすることができなくなったとしても<br />
カールは彼にとって大事な親友だったのである。<br /><br /></dd>
<dt>89 :<a href="mailto:sage"><strong>トリノホシ~Aerial
Planet~</strong></a>:2008/08/24(日) 13:31:15 ID:BnvHA6/90</dt>
<dd>【5章・瓶の中の手紙】<br />
動力を失いかけた状態で無理な飛行に臨んだため、グライダーは方向を見失って墜落する。<br />
ヒューは海に落ち、意識を失った状態でかろうじて島に流れ着いたらしい。<br /><br />
カールはグライダーの制御をするため、既に視覚モジュールを廃棄していた。<br />
センサーで外部入力してやらなければ何も見えない状態になっていた彼のために<br />
ヒューは上空へ昇り、太陽の位置を確認してカールに現在地を確認してもらうことにした。<br />
するとグライダーは当初予定していたルートを大幅に外れており、<br />
おそらく鳥が渡ることすら不可能なほど周囲から孤立した島に流れ着いていたことがわかった。<br /><br />
しかしヒューは偶然、巨大な白い鳥が島の中央にある火山の頂へ向かっているのを発見する。<br />
カールによれば、その鳥は高い山で稀に見かけられるストリーマーと呼ばれる鳥で<br />
高空をジェット気流に乗り、星の裏側まで飛ぶことすらあるという。<br />
その鳥の助けを借りて島を脱出するため、上昇気流の助けを借りながら<br />
ヒューは機能の低下していくグライダーで何とか火山の頂上付近にたどり着く。<br />
そこには先ほど見つけた白い鳥、ストリーマーが一羽、羽根を休めていた。<br /><br />
「カール! やったんだぜ、俺達!」そう話しかけたヒューに、だがもうカールは答えなかった。<br />
飛行中、ついにグライダーの機能は致命的に低下し、リンク制御できる限界を超えていたのである。<br />
カールは自分のメモリ全てを破棄してグライダーに明け渡していた。<br />
「旅を続けてくれ、そして地球へ帰るんだ」という、ヒューに宛てられたメールだけが残されていた。<br /><br />
ストリーマーがカールの通信ブレスレットを気にしているようなので、<br />
ヒューはそれを親友の抜け殻だと語り、鳥の脚に付けてやった。<br />
空が凄まじい嵐で荒れ狂う中、ストリーマーはヒューについてこいと誘うように鳴く。<br />
意を決したヒューは、鳥と共に超高空をただひたすら飛び続けた。<br /><br /><br /><br />
【6章・旅の再開】<br />
ストリーマーの助けを借り、本来のルートからはかなり外れたものの<br />
ヒューは基地へ向かうことが可能な島のひとつに着陸することができた。<br />
だがここからは、カールの助けなしに独りで旅を続けなければならない。<br /><br />
島でまた新たな種類の大きな渡り鳥を発見したヒューは、<br />
父の研究データから、その大きな鳥が別の種類の鳥と行動を共にする習性があると知り<br />
2種類の鳥を集めて群れを作ることに成功。再び次の島へと渡る。<br /><br /></dd>
<dt>90 :<a href="mailto:sage"><strong>トリノホシ~Aerial
Planet~</strong></a>:2008/08/24(日) 13:32:27 ID:BnvHA6/90</dt>
<dd>【7章・静寂の楽園】<br />
気候の良い群島に到着したヒューだが、不思議なことに島の上空には一羽の鳥も見当たらない。<br />
どうやら島の周囲に生息する無数の巨大な羽虫が鳥を補食しているせいで、<br />
鳥たちはみな飛ぶことができず、陸地に隠れて暮らしているようだ。<br /><br />
いくつかの島に点在していた旧調査基地の廃墟を発見したヒューは<br />
父・ラマンスキー博士の調査資料を手がかりに、この群島周辺でかつて父があの「竜」と遭遇したことを知る。<br />
襲ってくる羽虫はこの島で繁殖した竜の幼生ではないかと推測を立て、<br />
岩場に産みつけられていた大量の卵を取り除くヒュー。<br />
これまで羽虫の数に圧されていた肉食の鳥が、数の減った羽虫を一斉に補食しはじめたため<br />
次第に羽虫が減り、鳥の姿が空に見られるようになってきた。<br />
ヒューはその中に新たな渡り鳥を見つけ、彼らと共に北を目指す。<br /><br /><br />
【8章・クラッシュ・ポイント】<br />
新たな島を上空から探索していた際、ヒューは島に不自然な直線上の焼け跡が数多くあるのを発見する。<br />
そのひとつに降り立って探索してみると、そこにはヒューと父親が乗っていた宇宙船の残骸があった。<br />
父を探して他の焼け跡を探索しようとした時、突然空を赤いグライダーが飛んでいくのを目撃し<br />
慌ててヒューはその後を追いかける。<br /><br />
グライダーの操縦者はエミリーという少女だった。<br />
宇宙船の墜落で消息不明になったヒュー父子を捜すために調査基地からやってきたのだという。<br />
高飛車な態度を取るエミリーに、植民星タウ・セチ出身の彼女に対する差別心もあり反発してしまうヒュー。<br />
(タウ・セチはまだ技術が未熟な時代に入植された星であるため、住民は体に様々なインプラントを施し<br />
成人しても大きくならない体や、機械パーツのように自由に取り替え可能な臓器を持っている。<br />
また、エミリーのような幼い年齢でも成人として認められているので、地球人から見ると奇異に映るらしい)<br /><br />
ともあれ父・ラマンスキー博士の消息を探して二人で焼け跡の探索を行うが、博士の姿は見当たらない。<br />
調査していない高台にも破片があるのではと推測したエミリーは、グライダーにリミッターが施されているため<br />
高度を上げられないヒューを残して独りで高台へと昇っていってしまう。<br /><br />
ヒューがなかなか戻ってこないエミリーを心配し、上昇気流を利用して高台に昇ってみると<br />
エミリーは宇宙船の残骸の周辺に発生した火山ガスにやられて倒れていた。<br />
幸いにも体内に埋め込まれている生命維持システムのおかげで命に別状はないようだ。<br />
ブリッジの残骸の中に父の姿はなかったが、周囲に残っていた靴跡を見たエミリーは<br />
別ルートで父子を捜索していた同僚のジェレミー博士が、おそらく先に父を見つけて回収したのだろうと語る。<br /><br />
数日前に落雷の影響でセンサーが故障し、エミリーの地図が使えなくなってしまったとのことなので<br />
ヒューはこれまで通り、渡り鳥を探して彼らと共に島を渡ることを提案する。<br /><br />
島を離れる直前、噂で聞いている印象と随分違うとエミリーはヒューに言う。<br />
博士が仕事で長く家を空け、研究に没頭して家庭を顧みないことへの寂しさから<br />
これまでヒューは父親に反発し、父の仕事にも興味を示そうとしなかった。<br />
しかし、実際にコニウス・ブルーの生態系に触れ、博士の研究資料に何度も助けられてきたヒューは<br />
いつしかこの惑星の鳥たちを愛する気持ちが芽生え、同時に父の思いを理解していたのである。<br /><br /></dd>
<dt>91 :<a href="mailto:sage"><strong>トリノホシ~Aerial
Planet~</strong></a>:2008/08/24(日) 13:33:19 ID:BnvHA6/90</dt>
<dd>【9章・反目のふたり】<br />
研究施設のある島まであと一歩というところまでたどり着いた二人。<br />
先へ進むためには高山を越える必要があるため、エミリーは自分のグライダーと<br />
ヒューのグライダーをリンクし、高度リミッターを外そうと試みる。<br />
それが成功して喜ぶのも束の間、あの「竜」が姿を現して二人に襲いかかってきた。<br /><br />
それをやり過ごして高山の麓へ向かうと、なんとまたしても別の竜が襲いかかってきた。<br />
二匹目の竜の攻撃を受けて内臓を傷つけられたエミリーは飛べなくなってしまう。<br /><br />
体内の医療マシンが彼女の治療をする間、ヒューはカールが残してくれたデータ復旧プログラムから<br />
父とエミリーの祖父であるフェルドマン博士の通信記録を見つける。<br />
エミリーの両親は、地球から来たモラルのない人間が起こした無謀運転による海難事故で亡くなっていた。<br />
物心つく前に親を殺された彼女は、地球人に対して強い反発と憎悪を抱くようになり<br />
行く先々で地球人と衝突したあげく、僻地のコニウス・ブルーに左遷されていたのだった。<br />
エミリーを理解したヒューは、彼女に「助けにきてくれて、見つけてくれてありがとう」と心を開く。<br /><br />
傷の癒えたエミリーとヒューは、南にいた竜を北の山の麓へ誘導し、二匹の竜を同士討ちさせようと思いつく。<br />
うまくおびき寄せることに成功した二人は、竜達が争っている隙をついて<br />
山間に吹き込む強い上昇気流に乗り、最後の島へと渡るのだった。<br /><br /></dd>
<dt>92 :<a href="mailto:sage"><strong>トリノホシ~Aerial
Planet~</strong></a>:2008/08/24(日) 13:33:35 ID:BnvHA6/90</dt>
<dd>【10章・白銀のゴール】<br />
高山を越えるとそこは北の果て、海に浮かぶ凍土の世界であった。<br />
ところどころに湧いているらしい温水のおかげでわずかに休めそうな灌木の茂みはあるものの、<br />
食料らしき物は何も取れそうにないため、エミリーはヒューに持っていた携帯食を分け与える。<br /><br />
しかし途中で運悪くブリザードが発生し、強風と雪に阻まれて二人は離ればなれになってしまった。<br />
吹雪の中を飛ぶ鳥を頼りに何とかブリザードを抜けることができたヒュー。<br />
幸いエミリーとの通信も回復し、彼女から基地の通信圏内にいることを教わったことで<br />
とうとう基地にいた人々と連絡を取ることができた。<br />
だがそれも束の間、エミリーが高山にいた竜にまたしても襲撃されているのを知り、急いで彼女を助けに戻る。<br /><br />
基地へ向かうルートは、高山にも匹敵する垂直に切り立った氷壁に阻まれているため<br />
上昇気流に乗ってこの壁を飛び越えるか、壁に一カ所だけ開いたクレバスを抜けるかの<br />
どちらかのルートをとらなければならないという。<br />
だが前者は竜の襲撃を、後者は風向きが絶えず変わる強い風をしのがなければ抜けられない。<br /><br />
いずれの道も父が残していた記録が突破口となった。<br />
周辺に生息する、体を風船のように膨らませて身を守る鳥の力を借りれば竜の攻撃を防げ、<br />
真夜中にほんの数時間だけ強風が止む隙を見計らえば風に翻弄されず進むことができる。<br /><br />
氷壁を越えて基地の目前までやってきた二人に、竜が後方から執念深く追いすがってくる。<br />
エミリーが囮にした自分のグライダーを竜もろとも自爆させ、<br />
間一髪脱出した彼女を空中でヒューのグライダーが受け止めることで<br />
二人を何度も苦しめた竜を遂に倒すことができた。<br /><br />
基地で二人は父の同僚ジェレミーとエミリーの祖父フェルドマン教授の出迎えを受ける。<br />
墜落地点でジェレミー博士に救助されていたヒューの父は、<br />
半死半生で未だ意識の戻らない状態ながらも、かろうじて一命を取り留めていた。<br />
驚いたことに父の傍らには、かつてヒューがストリーマーに託したカールの通信ブレスレットがあった。<br />
ヒューと別れた後、墜落地点にやってきたストリーマーの脚に息子のブレスレットを見つけて、<br />
父は生きる気力を取り戻したのだろうとジェレミー博士は語った。<br /><br />
一年後、ヒューは回復した父とエミリーに付き添われ、初めて降り立った島の脱出ポッドを訪れた。<br />
カールが墜落時、ポッドの操縦をするために自分のバックアップを取っていたことを<br />
父から聞いたヒューは、長く眠りについていた親友を迎えに再び島へやってきたのだった。<br />
「おはよう、カール」<br />
「……ああ。おはよう、ヒュー」<br />
ヒューの長い旅は、こうして終わりを迎えた。<br /><br /></dd>
<dt>93 :<a href="mailto:sage"><strong>トリノホシ~Aerial
Planet~</strong></a>:2008/08/24(日) 13:34:05 ID:BnvHA6/90</dt>
<dd>【超あらすじ】<br />
少年ヒューは宇宙船が墜落して未開の惑星に不時着したが、未開すぎて助けが来ないので<br />
鳥を手なずけながら人がいる所まで高性能グライダーで飛んでいくことにした。<br />
途中デカイ昆虫に襲われたり相棒のサポートAIが犠牲になったり<br />
自分を捜しにきた女の子と合流したり色々あったが何とか人のいる所まで着くことができた。<br />
一緒に墜落して行方不明だった親父とサポートAIも奇跡的に助かった。<br />
めでたしめでたし。<br /><br />
【Bルート】<br />
2章で別の種類の渡り鳥と一緒に東へ向かうといきなり6章へ飛ぶ(やっぱりカールは犠牲になる)。<br />
大体の話はAルートと一緒だが、父親は墜落現場で既に死亡していることがわかる。<br />
カールも父親がいないので脱出ポッドで休眠したまま放置。<br /><br />
【Cルート】<br />
4章でカールの言う通りチップをグライダーに移植するといきなり9章へ飛ぶ。<br />
AとBのルートだと凍土でエミリーが携帯食料を分けてくれるが、ひとりぼっちで食料も見つからないため<br />
餓死寸前まで追いつめられたヒューは、最後の手段として鳥を捕まえて食べることになる。<br />
ラストで追いかけてくる竜は、基地を見つけたヒューが「もうこれ必要ないや」と<br />
宇宙服に内蔵されていた生命維持用の液体を排出したところ、<br />
その中のナノマシンの一つが竜に致命的な毒であったらしく、それに当たって死んでしまった。<br />
自分も鳥を食べて生き延びたため、他のルートと違ってヒューが竜に「ごめんな」と謝る。<br />
やっぱり父親とカールは助からない。<br /><br />
以上です。<br /></dd>
</dl>
<p><strong>トリノホシ ~Aerial Planet~</strong></p>
<p>part41-86~95,106</p>
<hr /><dl><dt>86 :<font color="#008000"><strong>トリノホシ~Aerial
Planet~</strong></font>:2008/08/24(日) 13:30:11 ID:BnvHA6/90</dt>
<dd>未解決一覧からトリノホシを。<br /><br />
【1章・故郷への長い旅】<br />
惑星コニウス・ブルーは、白鳥座のデネブから20光年離れた距離に位置する未開の惑星である。<br />
地表の98%を海に覆われているこの惑星では、わずかに点在する島々の陸地に独自の生態系が発展していた。<br />
コニウス・ブルーで最も多く見られる生物は、四つの眼と一対の翼を持つ地球の鳥に似た生き物たちだ。<br />
地球人の目から見れば、そこは大海原に棲む鳥の星である。<br /><br />
少年ヒューゴー・ラマンスキー(ヒュー)は、異星生物学者の父デヴィッド博士、<br />
子供の頃からの親友であるサポートAIのカール(姿はなく、通信ブレスレットに搭載されたプログラム)<br />
とともに、宇宙船ペリカン号に乗ってコニウス・ブルーへと向かっていた。<br /><br />
しかし、着陸間際に宇宙船は小惑星と接触事故を起こす。<br />
ヒューは脱出ポッドに入っていたため難を逃れ、コニウス・ブルーの小さな島のひとつに着陸することができた。<br />
ポッドに積まれていた食料と、着ていた宇宙服の生命維持システムのおかげで<br />
しばらくは生存に困ることはなさそうだったが、通信設備の故障のため救援を呼ぶことができない。<br />
何より、墜落時にブリッジにいた父の生存は絶望的と思われた。<br /><br />
カールはヒューを励まし、ポッドに積まれていた高性能グライダーで<br />
試しに空を飛んで憂さ晴らしをしてはどうかと言う。<br />
父が惑星研究の際に移動手段として用いていたため、今回の航行中にも積まれていたのだ。<br />
カールから操縦を教わりながらおっかなびっくり空を飛ぶヒュー。<br /><br />
初フライトと着陸に成功したヒューに、カールはどこからも救援が望めないことを語る。<br />
この惑星に居住しているのは、惑星調査基地に住むわずか6名の研究者のみで、<br />
どこへ墜落したかも定かでない行方不明者を助けられる人員も設備も彼らは持っていない。<br />
加えて調査基地の位置する場所は、不時着現場から見てほぼ星の裏側にあたる。<br /><br />
ヒューが生存する道は、自力で調査基地まで向かうことただひとつである。<br />
カールはそのためにグライダーの操縦を勧めたのだった。<br />
ただし、前述した通りこの星は地表の98%が海であり、陸地がほとんどないため<br />
正確な地図のない状態でやみくもに飛んでいれば、やがて陸地を見失って遭難してしまう。<br /><br />
カールはヒューの父が残した調査記録を元に、気流を読んで島から島へと渡る渡り鳥を見つけ<br />
彼らの群れに加わることで、道に迷わずに移動することができるだろうと予測した。<br />
鳥たちを観察するうち、運良く一羽の渡り鳥を助けることに成功したヒューは<br />
鳥の発する友好的な声を録音し、これを利用して作った大きな群れと共に次の島へと旅立つ。<br /><br /></dd>
<dt>87 :<a href="mailto:sage"><strong>トリノホシ~Aerial
Planet~</strong></a>:2008/08/24(日) 13:30:33 ID:BnvHA6/90</dt>
<dd>【2章・指さす空の向こうに】<br />
嵐に見舞われてようやく次の島にたどりついたヒューは、渡り鳥の群れとはぐれてしまっていた。<br />
しかもグライダーのハッチを施錠し忘れ、積んでいた荷物を全て落としてしまう。<br />
これまではポッドに積まれていた携帯食パックのおかげで食料に困ることもなかったが、<br />
今後はこの惑星の食料を調達して飢えをしのがなければならない。<br />
ぬるぬるした何か、クモのような生物といったグロイ物体も生きるためにはあえて食べるしかない。<br />
もちろん中には毒のある物もあり、間違って食べれば逆に体力を消耗することになる。<br /><br />
渡り鳥を探しつつ、島を散策して食物探しに励むヒュー。<br />
長期保存が利く携帯食料と異なり、島で採取した食料は日が経てば傷み、腐ってしまう。<br />
次の島へ渡るまでには何日も空を飛び続けなくてはならないため、<br />
渡り鳥探しと平行して保存食の調達が必要になった。<br /><br />
ヒューはカールの勧めで、晴れた日に食物を乾燥させて次々と保存食を作る。<br />
生で食べられない食材を、宇宙服に付いているバーナーで焼くことも覚えた。<br />
島にいた川魚を食べる鳥たちに鵜飼いの要領で魚を捕らせることなどにも成功するうち<br />
最初の島で見かけた渡り鳥を再び見つけ、彼らと合流することができた。<br /><br /><br />
【3章・竜の森を越えて】<br />
また渡り鳥たちと別れ、新たな島の西岸にたどり着いたヒュー。<br />
今度の島は東西に長い形をしており、渡り鳥を見つけて次の島へ行くには<br />
中央の深い森を抜けて東へたどり着く必要がある。<br /><br />
ところが島を探索しはじめてほどなく、突然上空を巨大な生き物が高速で横切っていった。<br />
父のラマンスキー博士がこの惑星で一度見たという、「竜」ではないかとヒューは直感する。<br />
ドラゴンに超高空を旅する鳥、と夢のようなことばかり話す父を内心軽蔑していた彼は<br />
それが実在していると知り、竜を探したいという思いが芽生える。<br /><br />
既に巨大な生き物は姿を消していたので、気を取り直して東の森へと向かうと<br />
森の上空に突然黒い鳥の群れが大量に現れ、一斉にグライダーを攻撃してきた。<br /><br />
そのまま飛んでいればひとたまりもないため、引き返して黒い鳥への対策を立てることにする。<br />
父の研究記録によれば、この島に生息するクジラのような大きな鳥は、<br />
羽根が針のように細かく尖っているために攻撃的な鳥から危害を加えられないらしい。<br />
また、島の岩場で偶然一羽だけはぐれていた、お腹をすかせた黒い鳥の子供を助けたことで<br />
黒い鳥の友好の声を手に入れることにも成功する。<br /><br />
黒い鳥の縄張りを抜けると、ヒューは先ほどの巨大生物の羽音らしきものを耳にする。<br />
「竜」が近くにいるのではないかと考え、カールの制止を振り切って音の方へ飛んでいくヒュー。<br />
すると生き物が不意に全貌を現した。それはファンタジーの世界に登場するドラゴンではなく、<br />
鋭い顎とグライダーのような翼を持つ、ムカデのようなグロテスクな姿をしていた。<br /><br />
凶暴性を発揮して凄まじい早さでグライダーを追ってくる竜から命からがら逃げ切り、何とか着陸に成功する。<br />
体が並外れて大きいため、地面に姿を隠していればそこまでは追ってこられないらしい。<br />
森にいた黒い鳥は、竜から巣を守るために攻撃的になっていたと気付いたヒューは複雑な思いを抱える。<br />
しかし彼らにはどうすることもできない。竜が姿を消した隙を見計らい、さらに次の島へと渡る。<br /><br /></dd>
<dt>88 :<a href="mailto:sage"><strong>トリノホシ~Aerial
Planet~</strong></a>:2008/08/24(日) 13:30:53 ID:BnvHA6/90</dt>
<dd>【4章・空白の島】<br />
次にヒューがやってきた島は、一本の草も生えていない岩場だらけの不毛の地で<br />
おまけに常に突風と雷雨に見舞われているという最悪の場所だった。<br />
カールが惑星調査団のデータをもとに作った簡易地図上でも<br />
この島だけはほとんど情報がなく、事前にどんな島かを知ることができなかったのだった。<br /><br />
さらに、島の上空を飛んでいると、前の島にいた竜が再び姿を現して襲いかかってきた。<br />
幸いグライダーの高度を下げ、島のあちこちにある渓谷に姿を隠せばやりすごせるようだが<br />
雨と強風で操縦もままならない中の低空飛行は大変な危険が伴う。そして食料も見当たらない。<br /><br />
絶望しかけるヒューだが、たどり着いた岩場のひとつで、偶然鳥の姿を見つける。<br />
その鳥が食べていたものをよく見ると、岩にそっくりな形をしたキノコであることがわかった。<br />
食料の心配がなくなり、また島で初めて鳥の姿を見かけたことでヒューは元気を取り戻す。<br />
また、この島は低気圧の通り道なため、非常に長い時間嵐に見舞われているが<br />
数日に一度決まった周期で嵐が止み、晴れ間が訪れることをカールが発見した。<br /><br />
竜と遭遇する危険はあるが、次の島に向かうためには一度島の上空へと高く昇り<br />
岩場を抜けて北側の渓谷にたどり着かなければならない。<br />
わずかな晴れ間をぬって、できるだけ多くの鳥を島から連れて逃がしてやろうと考えるヒュー。<br />
ところが飛行中、突然グライダーのアクセルがきかなくなったり<br />
ヒューが話しかけてもカールが返事をしないという奇妙なことが起きはじめる。<br /><br />
実はヒューのグライダーは、嵐の衝撃などによって内部のコアチップが破損し、<br />
既に上昇や加速を行うことができない、旅をするための飛行に耐えない状態になっていた。<br />
カールが飛行中に返事をしなかったのは、会話するためのメモリを操縦に割り振り、<br />
自分の処理能力を使ってグライダーの制御に専念していたためだったのである。<br /><br />
これ以上先の島に進むためには、グライダーのチップを交換するしかない。<br />
カールは自分に積まれている同型のコアチップを移植して、グライダーを修理しろとヒューに言う。<br />
そのためにはチップを初期化しなければならない。カールは「消える=死ぬ」ことになる。<br /><br />
だがヒューは共倒れになるとわかっていても、友達であるカールを犠牲にはできなかった。<br />
このままグライダーの機能が低下し、それを補うために一切会話をすることができなくなったとしても<br />
カールは彼にとって大事な親友だったのである。<br /><br /></dd>
<dt>89 :<a href="mailto:sage"><strong>トリノホシ~Aerial
Planet~</strong></a>:2008/08/24(日) 13:31:15 ID:BnvHA6/90</dt>
<dd>【5章・瓶の中の手紙】<br />
動力を失いかけた状態で無理な飛行に臨んだため、グライダーは方向を見失って墜落する。<br />
ヒューは海に落ち、意識を失った状態でかろうじて島に流れ着いたらしい。<br /><br />
カールはグライダーの制御をするため、既に視覚モジュールを廃棄していた。<br />
センサーで外部入力してやらなければ何も見えない状態になっていた彼のために<br />
ヒューは上空へ昇り、確認した太陽の位置をもとに、カールに現在地を調べてもらうことにした。<br />
するとグライダーは当初予定していたルートを大幅に外れており、<br />
おそらく鳥が渡ることすら不可能なほど周囲から孤立した島に流れ着いていたことがわかった。<br /><br />
しかしヒューは偶然、巨大な白い鳥が島の中央にある火山の頂へ向かっているのを発見する。<br />
カールによれば、その鳥は高い山で稀に見かけられるストリーマーと呼ばれる鳥で<br />
高空をジェット気流に乗り、星の裏側まで飛ぶことすらあるという。<br />
その鳥の助けを借りて島を脱出するため、上昇気流の助けを借りながら<br />
ヒューは機能の低下していくグライダーで何とか火山の頂上付近にたどり着く。<br />
そこには先ほど見つけた白い鳥、ストリーマーが一羽、羽根を休めていた。<br /><br />
「カール! やったんだぜ、俺達!」そう話しかけたヒューに、だがもうカールは答えなかった。<br />
飛行中、ついにグライダーの機能は致命的に低下し、リンク制御できる限界を超えていたのである。<br />
カールは自分のメモリ全てを破棄してグライダーに明け渡していた。<br />
「旅を続けてくれ、そして地球へ帰るんだ」という、ヒューに宛てられたメールだけが残されていた。<br /><br />
ストリーマーがカールの通信ブレスレットを気にしているようなので、<br />
ヒューはそれを親友の抜け殻だと語り、鳥の脚に付けてやった。<br />
空が凄まじい嵐で荒れ狂う中、ストリーマーはヒューについてこいと誘うように鳴く。<br />
意を決したヒューは、鳥と共に超高空をただひたすら飛び続けた。<br /><br /><br /><br />
【6章・旅の再開】<br />
ストリーマーの助けを借り、本来のルートからはかなり外れたものの<br />
ヒューは基地へ向かうことが可能な島のひとつに着陸することができた。<br />
だがここからは、カールの助けなしに独りで旅を続けなければならない。<br /><br />
島でまた新たな種類の大きな渡り鳥を発見したヒューは、<br />
父の研究データから、その大きな鳥が別の種類の鳥と行動を共にする習性があると知り<br />
2種類の鳥を集めて群れを作ることに成功。再び次の島へと渡る。<br /><br /></dd>
<dt>90 :<a href="mailto:sage"><strong>トリノホシ~Aerial
Planet~</strong></a>:2008/08/24(日) 13:32:27 ID:BnvHA6/90</dt>
<dd>【7章・静寂の楽園】<br />
気候の良い群島に到着したヒューだが、不思議なことに島の上空には一羽の鳥も見当たらない。<br />
どうやら島の周囲に生息する無数の巨大な羽虫が鳥を補食しているせいで、<br />
鳥たちはみな飛ぶことができず、陸地に隠れて暮らしているようだ。<br /><br />
いくつかの島に点在していた旧調査基地の廃墟を発見したヒューは<br />
父・ラマンスキー博士の調査資料から、この群島周辺でかつて父があの「竜」と遭遇したことを知る。<br />
襲ってくる羽虫はこの島で繁殖した竜の幼生ではないかと推測を立て、<br />
岩場に産みつけられていた大量の卵を取り除くヒュー。<br />
これまで羽虫の数に圧されていた肉食の鳥が、数の減った羽虫を一斉に補食しはじめたため<br />
次第に羽虫が減り、鳥の姿が空に見られるようになってきた。<br />
ヒューはその中に新たな渡り鳥を見つけ、彼らと共に北を目指す。<br /><br /><br />
【8章・クラッシュ・ポイント】<br />
新たな島を上空から探索していた際、ヒューは島に不自然な直線上の焼け跡が数多くあるのを発見する。<br />
そのひとつに降り立って探索してみると、そこにはヒューと父親が乗っていた宇宙船の残骸があった。<br />
父を探して他の焼け跡を探索しようとした時、突然空を赤いグライダーが飛んでいくのを目撃し<br />
慌ててヒューはその後を追いかける。<br /><br />
グライダーの操縦者はエミリーという少女だった。<br />
宇宙船の墜落で消息不明になったヒュー父子を捜すために調査基地からやってきたのだという。<br />
高飛車な態度を取るエミリーに、植民星タウ・セチ出身の彼女に対する差別心もあり反発してしまうヒュー。<br />
(タウ・セチはまだ技術が未熟な時代に入植された星であるため、住民は体に様々なインプラントを施し<br />
成人しても大きくならない体や、機械パーツのように自由に取り替え可能な臓器を持っている。<br />
また、エミリーのような幼い年齢でも成人として認められているので、地球人から見ると奇異に映るらしい)<br /><br />
ともあれ父・ラマンスキー博士の消息を探して二人で焼け跡の探索を行うが、博士の姿は見当たらない。<br />
調査していない高台にも破片があるのではと推測したエミリーは、グライダーにリミッターが施されているため<br />
高度を上げられないヒューを残して独りで高台へと昇っていってしまう。<br /><br />
ヒューがなかなか戻ってこないエミリーを心配し、上昇気流を利用して高台に昇ってみると<br />
エミリーは宇宙船の残骸の周辺に発生した火山ガスにやられて倒れていた。<br />
幸いにも体内に埋め込まれている生命維持システムのおかげで命に別状はないようだ。<br />
ブリッジの残骸の中に父の姿はなかったが、周囲に残っていた靴跡を見たエミリーは<br />
別ルートで父子を捜索していた同僚のジェレミー博士が、おそらく先に父を見つけて回収したのだろうと語る。<br /><br />
数日前に落雷の影響でセンサーが故障し、エミリーの地図が使えなくなってしまったとのことなので<br />
ヒューはこれまで通り、渡り鳥を探して彼らと共に島を渡ることを提案する。<br /><br />
島を離れる直前、噂で聞いている印象と随分違うとエミリーはヒューに言う。<br />
博士が仕事で長く家を空け、研究に没頭して家庭を顧みないことへの寂しさから<br />
かつてのヒューは父親に反発し、父の仕事にも興味を示そうとしなかった。<br />
しかし、実際にコニウス・ブルーの生態系に触れ、博士の研究資料に何度も助けられてきた彼は<br />
いつしかこの惑星の鳥たちを愛し、そして同時に父の思いを理解していたのである。<br /><br /></dd>
<dt>91 :<a href="mailto:sage"><strong>トリノホシ~Aerial
Planet~</strong></a>:2008/08/24(日) 13:33:19 ID:BnvHA6/90</dt>
<dd>【9章・反目のふたり】<br />
研究施設のある島まであと一歩というところまでたどり着いた二人。<br />
先へ進むためには高山を越える必要があるため、エミリーは自分のグライダーと<br />
ヒューのグライダーをリンクし、高度リミッターを外そうと試みる。<br />
それが成功して喜ぶのも束の間、あの「竜」が姿を現して二人に襲いかかってきた。<br /><br />
それをやり過ごして高山の麓へ向かうと、なんとまたしても別の竜が襲いかかってきた。<br />
二匹目の竜の攻撃を受けて内臓を傷つけられたエミリーは飛べなくなってしまう。<br /><br />
体内の医療マシンが彼女の治療をする間、ヒューはカールが残してくれたデータ復旧プログラムから<br />
父とエミリーの祖父であるフェルドマン博士の通信記録を見つける。<br />
エミリーの両親は、地球から来たモラルのない人間が起こした無謀運転による海難事故で亡くなっていた。<br />
物心つく前に親を殺された彼女は、地球人に対して強い反発と憎悪を抱くようになり<br />
行く先々で地球人と衝突したあげく、僻地のコニウス・ブルーに左遷されていたのだった。<br />
エミリーを理解したヒューは、彼女に「助けにきてくれて、見つけてくれてありがとう」と心を開く。<br /><br />
傷の癒えたエミリーとヒューは、南にいた竜を北の山の麓へ誘導し、二匹の竜を同士討ちさせようと思いつく。<br />
うまくおびき寄せることに成功した二人は、竜達が争っている隙をついて<br />
山間に吹き込む強い上昇気流に乗り、最後の島へと渡るのだった。<br /><br /></dd>
<dt>92 :<a href="mailto:sage"><strong>トリノホシ~Aerial
Planet~</strong></a>:2008/08/24(日) 13:33:35 ID:BnvHA6/90</dt>
<dd>【10章・白銀のゴール】<br />
高山を越えるとそこは北の果て、海に浮かぶ凍土の世界であった。<br />
ところどころに湧いているらしい温水のおかげでわずかに休めそうな灌木の茂みはあるものの、<br />
食料らしき物は何も取れそうにないため、エミリーはヒューに持っていた携帯食を分け与える。<br /><br />
しかし途中で運悪くブリザードが発生し、強風と雪に阻まれて二人は離ればなれになってしまった。<br />
吹雪の中を飛ぶ鳥を頼りに何とかブリザードを抜けることができたヒュー。<br />
幸いエミリーとの通信も回復し、自分が基地の通信圏内にいることを教えてもらったおかげで<br />
とうとう基地にいた人々と連絡を取ることができた。<br />
だがそれも束の間、エミリーが高山にいた竜にまたしても襲撃されているのを知り、<br />
急いで彼女を助けに戻る。間一髪救出に成功し、二人は一時的に竜の追跡を逃れた。<br /><br />
基地へ向かうルートは、高山にも匹敵する垂直に切り立った氷壁に阻まれているため<br />
上昇気流に乗ってこの壁を飛び越えるか、壁に一カ所だけ開いたクレバスを抜けるかの<br />
どちらかのルートをとらなければならないという。<br />
だが前者は竜の襲撃を、後者は風向きが絶えず変わる強い風をしのがなければ抜けられない。<br /><br />
いずれの道も父が残していた記録が突破口となった。<br />
周辺に生息する、体を風船のように膨らませて身を守る鳥の力を借りれば竜の攻撃を防げ、<br />
真夜中にほんの数時間だけ強風が止む隙を見計らえば風に翻弄されず進むことができる。<br /><br />
氷壁を越えて基地の目前までやってきた二人に、竜が後方から執念深く追いすがってきた。<br />
エミリーが囮にした自分のグライダーを竜もろとも自爆させ、<br />
間一髪脱出した彼女を空中でヒューのグライダーが受け止める。<br />
二人を何度も苦しめた竜は遂に倒れた。<br /><br />
基地で二人は父の同僚ジェレミーとエミリーの祖父フェルドマン教授の出迎えを受ける。<br />
墜落地点でジェレミー博士に救助されていたヒューの父は、<br />
半死半生で未だ意識の戻らない状態ながらも、かろうじて一命を取り留めていた。<br />
驚いたことに父の傍らには、かつてヒューがストリーマーに託したカールの通信ブレスレットがあった。<br />
ヒューと別れた後、墜落地点にやってきたストリーマーの脚に息子のブレスレットを見つけて、<br />
父は生きる気力を取り戻したのだろうとジェレミー博士は語った。<br /><br />
一年後、ヒューは回復した父とエミリーに付き添われ、初めて降り立った島の脱出ポッドを訪れた。<br />
カールが墜落時、ポッドの操縦をするために自分のバックアップを取っていたことを<br />
父から聞いたヒューは、長く眠りについていた親友を迎えに再び島へやってきたのだった。<br />
「おはよう、カール」<br />
「……ああ。おはよう、ヒュー」<br />
ヒューの長い旅は、こうして終わりを迎えた。<br /><br /></dd>
<dt>93 :<a href="mailto:sage"><strong>トリノホシ~Aerial
Planet~</strong></a>:2008/08/24(日) 13:34:05 ID:BnvHA6/90</dt>
<dd>【超あらすじ】<br />
少年ヒューは宇宙船が墜落して未開の惑星に不時着したが、未開すぎて助けが来ないので<br />
鳥を手なずけながら人がいる所まで高性能グライダーで飛んでいくことにした。<br />
途中デカイ昆虫に襲われたり相棒のサポートAIが犠牲になったり<br />
自分を捜しにきた女の子と合流したり色々あったが何とか人のいる所まで着くことができた。<br />
一緒に墜落して行方不明だった親父とサポートAIも奇跡的に助かった。<br />
めでたしめでたし。<br /><br />
【Bルート】<br />
2章で別の種類の渡り鳥と一緒に東へ向かうといきなり6章へ飛ぶ(やっぱりカールは犠牲になる)。<br />
大体の話はAルートと一緒だが、父親は墜落現場で既に死亡していることがわかる。<br />
カールも脱出ポッドで休眠したまま放置。<br /><br />
【Cルート】<br />
4章でカールの言う通りチップをグライダーに移植するといきなり9章へ飛ぶ。<br />
AとBのルートだと凍土でエミリーが携帯食料を分けてくれるが、ひとりぼっちで食料も見つからないため<br />
餓死寸前まで追いつめられたヒューは、最後の手段として鳥を捕まえて食べることになる。<br />
ラストで追いかけてくる竜は、基地を見つけたヒューが「もうこれ必要ないや」と<br />
宇宙服に内蔵されていた生命維持用の液体を排出したところ、<br />
その中のナノマシンの一つが竜に致命的な毒であったらしく、それに当たって死んでしまった。<br />
自分も鳥を食べて生き延びたため、他のルートと違ってヒューが竜に「ごめんな」と謝る。<br />
やっぱり父親とカールは助からない。<br /><br />
以上です。<br /></dd>
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