FRAGILE ~さよなら月の廃墟~

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FRAGILE ~さよなら月の廃墟~」(2009/05/17 (日) 00:16:18) の最新版変更点

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<p><strong>FRAGILE</strong>(フラジール)<strong> ~さよなら月の廃墟~</strong></p> <p>part45-362~373,375~382,386</p> <hr /><dl><dt>362 :<a href="mailto:sage"><b>FRAGILE</b> ◆l1l6Ur354A</a>:2009/05/15(金) 05:55:29 ID:x5giWo3G0</dt> <dd>FRAGILE(フラジール)~さよなら月の廃墟~<br /><br /> ※解説<br /> ジャンルは廃墟探索RPG<br /> 登場する廃墟は昭和30年代っぽいレトロな雰囲気<br /> 昭和30年代に人類が滅亡して、それから何十年も経っている、といった感じ<br /><br /><br /> 短い夏が終わる頃<br /> 一緒に暮らしていたおじいさんが死んだ<br /> 長い間一緒にいたのに、ぼくはおじいさんの名前を知らない<br /> 夕暮れ、家の前の庭に、小さな穴を掘って、おじいさんをそこに埋めた<br /> それから、ぼくは<br /> 本当に、ひとりぼっちになった<br /><br /><br /> 一.<br /><br /> おじいさんが暮らしていた天文台の中は、暗かった<br /> ぼくは壁にあるハンドルを回した<br /> 天窓が開いて、月明かりが入って、少し明るくなった<br /> あっ、自己紹介がまだだった<br /> ぼくは、セト、だよ<br /> おじいさんが残した物がないかどうか、調べてみよう<br /> ベッドの上に懐中電灯があったから、右手で持った<br /> ちなみに左手には武器を持ってる<br /> ぼくはお箸は左手で持つんだ<br /> だから武器は左手<br /> 探索を続けよう<br /> 本がたくさん置いてある資料室の中へ入る<br /> 机の上に、おじいさんが書き残した手紙があった<br /> 封筒に、セトへ、って書いてある<br /> さっそく読んでみる<br /><br /> お前がこれを読んでいるころには<br /> もう私はいないのだろう<br /> 生きることも、死ぬことも、私にとって大した意味は無かった<br /> そもそも生きる資格など無かったのだ<br /> ただ長い間、日々を無為に過ごし、終わりを目の前にして<br /> 初めてこんな気持ちになるとは<br /> お前と過ごした日々そのものが私にとっての宝石だった<br /> なぜもっと親しく言葉をかけなかったかと、今になって後悔している<br /> 愚かな私を許してほしい<br /> ここから東へ向かうと、大きな赤い鉄塔が建っている<br /> そこにはお前以外の誰かが生き残っているかも知れない<br /> 私が死んだら、東へ向かうのだ<br /> 今までありがとう、セト<br /><br /><br /></dd> <dt>363 :<a href="mailto:sage"><b>FRAGILE</b> ◆l1l6Ur354A</a>:2009/05/15(金) 05:57:27 ID:x5giWo3G0</dt> <dd>手紙のそばに、不思議な青い石があった<br /> ぼくは、青い石を、おじいさんの写真が入ったロケットに入れて、首からさげた<br /> そしてぼくは、東へ向かった<br /><br /> 旅の途中で出会った人たちは、みんな、さわろうとするとすり抜けてしまった<br /> その人たちは、思念体、とか、幽霊、とかいう人たちなんだって<br /> 青い石を手にしてから、ぼくは、そういう人たちが見えるようになっていた<br /><br /> 夜、開けた場所にやってきた<br /> 遠くに赤い鉄塔(どう見ても東京タワーですね)が見える<br /> 舗装された交差点は大きな水たまりになっていて、蓮の花が浮かんでいた<br /> そこに彼女がいた<br /> 銀色の髪の女の子<br />  だれ?<br /> 女の子はぼくに驚いて仰向けに転んだ<br />   死んでないよね?<br /> ぼくは、目を閉じたままの女の子の側に行って屈んで、頬にさわった<br /> その頬は暖かかった<br /> この子はちがう、すり抜けない<br />  あっ、さわった<br /> 女の子は目を覚ました<br />   うん、あの、生きてるかなって思って<br />   あの、ぼくは<br /> 名前を言おうとしたぼくから逃げるように、女の子は地下鉄の駅へを続く階段を降りていった<br />   待ってよ<br /> ぼくも急いで後を追った<br /><br /> .。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+.<br /> 私がまだ十五歳だった、あの夏の終わり<br /> 私たちは黄色に光る塔の下で出会った<br /> それは、ひとりぼっちだった私の世界を大きく変え<br /> そして彼女と一緒にいた束の間の時は、私自身を大きく変えた<br /> 今でも昨日のことのように思い出すことが出来る<br /> 夏の名残を残した息苦しい空気<br /> 風の中なびく彼女の銀の髪<br /> 白くて丸い月<br /> .。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+.<br /><br /><br /><br /><br /></dd> <dt>364 :<a href="mailto:sage"><b>FRAGILE</b> ◆l1l6Ur354A</a>:2009/05/15(金) 05:58:54 ID:x5giWo3G0</dt> <dd>二.<br /><br /> 階段を降りたけど、彼女の姿は見当たらない<br /> 代わりに変な声がする<br />  助けてください<br />  このままでは機能停止してしまいます<br /> 声のする部屋へ入ってみる<br /> 声の主は機械だった<br /> 背中に背負うのにちょうどいい感じにストラップがついている<br />  私はパーソナルフレーム、通称PFです<br />  私が安全な旅をナビゲートいたします<br /> 女の人の声で、PFはしゃべった<br />   うん、こちらこそよろしく<br /> ぼくはPFを背中に背負った<br /> PFに、銀の髪の女の子を探していることを話した<br /> PFは、女の子は地下商店街に行ったのではないかと予測した<br /> でも、地下商店街に行くには鍵を探さなければいけないらしい<br /> とにかく改札口のあるフロアまで降りていく<br /> そこには、紙でできた、鳥を象ったものが落ちていたので拾った<br /> それは折り鶴というものだと、PFが教えてくれた<br /> それから、たき火が出来る場所を見つけた<br /> たき火はせーぶぽいんととかいうものなんだって<br /> 体力も回復できるし、拾ったアイテムに残った残留思念を読むことができる<br /> ぼくは、折り鶴をたき火にかざして、残留思念を読み取った<br /> その折り鶴は、お母さんが小さな女の子にあげたものらしかった<br /> だけど、女の子は迷子になってしまって、お母さんが探しているうちに、終わりが来たらしい<br /> 終わりっていうのはなんだかわからないけど、それがあったから、みんないなくなってしまったんだろう<br /><br /> 地下鉄の改札からホームに出て線路に下りる<br /> 線路沿いに歩くと、地上に出た<br /> 空が赤い<br /> 朝焼けだった<br />  赤くて、綺麗ですね<br /> ぼくはしばらく、PFと一緒にその景色に見とれた<br /> さらに線路をたどると、線路は途中でなくなっていた<br /> その先には倉庫があった<br /> PFが、倉庫の中には地下商店街の鍵があると予測した<br /> 倉庫の中に入ると、女の子の幽霊が姿を現した<br /> 女の子から、かくれんぼ勝負を持ちかけられたのでつきあうことにした<br /> 鬼はぼくだ<br /> 勝負に勝つと、女の子は地下商店街の鍵をくれた<br /> ぼくは女の子に折り鶴を渡した<br /> 女の子は喜んだ<br /> やっぱりこの子のものだったんだ<br /> お母さんの幽霊が女の子を迎えに来た<br /> ふたりは手をつないで、天に昇っていった<br /><br /><br /></dd> <dt>365 :<a href="mailto:sage"><b>FRAGILE</b> ◆l1l6Ur354A</a>:2009/05/15(金) 06:01:15 ID:x5giWo3G0</dt> <dd>地下鉄の駅まで戻って、鍵でシャッターを開けて、地下商店街に行く<br /> 結構広い<br /> 隅から隅まで探したけど、銀色の髪の女の子はいなかった<br /> 地上への出口に着いたとき、PFがしゃべり出した<br />  バッテリーの残量がありません<br />  どうやら、ご同行できるのはここまでのようです<br /> どういうこと?<br /> ぼくは混乱した<br /> PFを背中から下ろした<br /> PFのランプが消えかかっている<br />  私はお役に立てませんでしたでしょうか<br />   ううん、いてくれて助かったよ<br />  そうですか、それならよかったです<br />  あなたいらっしゃらなければ、私はあの崩れた駅の中で一人、機能停止していた事でしょう<br />  ほんの少しの間でしたがご一緒できてとてもうれしかった<br />  データベースの中にはあなたにお伝えしなければならないことがたくさんあるのですが<br />  ひとつだけ・・・ありがとう<br />  そういえばあなた様のお名前をお聞きするのを忘れて<br /> PFのランプが完全に消えた<br />   ぼくの名前は、セト、だよ<br /> PFは死んでしまった<br /> PFから落ちたねじをロケットにしまった<br /> ぼくは、穴を掘って、PFを埋めた<br /><br /> .。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+.<br /> 夢を見た<br /> 聞き覚えのある声が私を呼んでいる<br /> 私が歩くたび<br /> 心配そうに、楽しそうに話しかけてくれるあの声<br /> 一緒に見た赤い空<br /> 強い風に飛んでいくたくさんの雲<br /> ふたりでいた宝石のような限定された時間<br /> また一緒にいたいなどという願いは永久に叶わないことは解っている<br /> それでも生きている者は生き続けなければならない<br /> 死んだ者は土の中でただ死に続ける<br /> .。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+.<br /><br /><br /><br /></dd> <dt>366 :<a href="mailto:sage"><b>FRAGILE</b> ◆l1l6Ur354A</a>:2009/05/15(金) 06:02:08 ID:x5giWo3G0</dt> <dd>三.<br /><br /> 地上に出る<br /> そこは誰もいない遊園地だった<br /> いや、ひとりだけ、男の子がいた<br /> ぼくと同じくらいの年かな<br /> 黒くてかっこいい、軍服みたいなのを着ている<br />  まず自分から名乗るのが礼儀ってもんだろ<br />   ぼくは、セト、だよ<br />  俺様はクロウだ<br />   ねぇ、クロウ・・・<br />  気安く話しかけんな<br /> クロウはちょっと意地悪な性格らしい<br /> 気が付くと、クロウにロケットを取られてしまっていた<br />   返してよう!大切なんだよ!<br />  ほらほら!返してほしかったらつかまえてみな!<br /><br /> それからクロウを追いかけて遊園地じゅうを駆けまわった<br /> ジェットコースターのレーンを渡って行ったりもした<br /> やっとクロウに追いついた<br />  そんなに大切なものなのか?これ<br />  よーし、中を見てやれ<br /> もうちょっとでクロウをつかまえられると思ったとき、ぼくは落とし穴に落ちた<br /> 落ちた先は地下道だった<br /> 途中の部屋に海賊の本が落ちていたので、拾って読んだ<br /><br /> 気安く話しかけんな、と海賊は言った<br /> (中略) <br /> また会えるかな、と私は海賊に言った<br /> 会えるさ、なんてったって俺たちは友達だからな、と海賊は答えた<br /><br /><br /></dd> <dt>367 :<a href="mailto:sage"><b>FRAGILE</b> ◆l1l6Ur354A</a>:2009/05/15(金) 06:05:33 ID:x5giWo3G0</dt> <dd>どうやら、クロウはこの本を読んだことがあって、海賊の真似をしているみたいだ<br /> 地下道を抜けて、壊れた観覧車の前へ出た<br /> クロウは、ロケットをちらつかせながら、観覧車の真ん中の辺りに登っていた<br />   返してよう<br /> クロウは足を滑らせた<br /> 落ちてメリーゴーランドの屋根を突き破った<br /> 慌ててクロウに駆け寄った<br /> 目を開かない<br />   クロウ、死んじゃったの?<br />   返事をしてよ<br /> ぼくは泣き出した<br />  あーもう、うるさいなー<br />  そんなピーピー泣くなっつーの<br />  俺なんか生まれてこの方一回も泣いたことがないんだぜ<br /> クロウは起き上がった<br /> どうやらどこも怪我していないみたいだ<br />   よかった、生きてたんだね<br />  お前の勝ちだ<br /> クロウからロケットを返してもらった<br />  俺、お前の大事なもの見ちゃったからさ、俺のを見せてやるよ<br /> 古ぼけた写真だった<br />   これ、クロウ?<br /> 病院のようなところで、検査着を着ている子供の頃のクロウ<br /> 隣には白衣を着たおじさんが写っている<br />  俺、本当のこと言うと、子供の頃のこととかぜんぜん覚えてないんだよ<br />  だから、この写真に写ってるところに行けば、なんかわかると思ってさ<br />  結構長い間探してんだぜ<br />   ぼくは銀色の髪の女の子を探してるんだ<br />   見かけたこと無いかな<br /> クロウはしばらく考えた後、答えた<br />  しらね<br />  あー、まてまて、ときどき、ホテルの方で生意気な女に会うんだ<br />  ひょっとしたら、そいつがなんか知ってるかもしれないな<br />   うん、じゃあ、その人に会いに行ってみるよ<br />  おうよ<br />  俺は、写真の場所を探しに行くぜ<br />  なんかお互いとんだ道草だったな<br /><br /><br /></dd> <dt>368 :<a href="mailto:sage"><b>FRAGILE</b> ◆l1l6Ur354A</a>:2009/05/15(金) 06:15:26 ID:x5giWo3G0</dt> <dd>ぼくは海賊の本の内容を思い出して、言った<br />   あの、また、会えるかな<br />  おうよ、会えるさ<br />  なんてったって、俺たちは友達だからな<br />  そうだ、友達と言えば、プレゼントを交換するもんだぜ<br />  っつっても、俺はお前の物を取って、さんざんいじわるしたから・・・<br /> クロウは指から指輪を外して、ぼくに差し出した<br />  これ、やるよ<br />  お前のロケットに入れとけよ<br /> それはドクロの指輪だった<br /> ぼくはそれを受けとった<br />  うん、ありが・・・<br /> ありがとう、と言いかけたぼくの口を、クロウの唇がふさいだ<br /> ゆっくり三つ数える間、そのまま<br /> クロウの唇が離れると、ぼくは慌てて尻もちをついた<br />  それから、友達ってキスしたりするんだぜ<br />  本で読んだんだ<br /> クロウは、なんでもない調子で言った<br />   キスって・・・ぼく、初めてで・・・<br />  じゃあ、俺様はお前の、いっとう最初の、友達だ<br />   うん、友達だね<br />   じゃあ、行くよ<br />  ああ、またな<br /><br /> .。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+.<br /> 自分がひとりぼっちだと感じているとき<br /> 他の誰かも、ひとりぼっちだって思って<br /> きっとそんな奴は、今だって世界中にごまんといるんだ<br /> ほんの少し、秘密を見せ合えば、友達になれるのに<br /> ほんの少し、ほんのちょっと<br /> 私は君の秘密を今まで誰にも話していない<br /> これからも、永遠に守り続ける<br /> 約束する<br /> 傾いた観覧車から覗く、青い月に誓って<br /> .。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+.<br /><br /><br /><br /></dd> <dt>369 :<a href="mailto:sage"><b>FRAGILE</b> ◆l1l6Ur354A</a>:2009/05/15(金) 06:16:08 ID:x5giWo3G0</dt> <dd>四.<br /><br /> 遊園地を出てしばらく、山道を歩くと、ホテルに着いた<br /> ホテルの中に入ると、女の人の声がする<br /> こっちに来たらダメよ、とか言っている<br /> クロウが言っていた生意気な女なのだろうか<br /> 声をたどって、三階の301号室のドアを開ける<br />  だからダメだって言ったのに<br /> ぼくより少し年上の女の人の幽霊がプカプカと浮かんでいた<br /> 眼帯をしていて、いかにも怪我してますっていう感じだった<br /> そして、ベッドの上には、同じ格好の女の人が横たわっていた<br /> ぼくは、その女の人をシーツで覆ってやった<br />  人間って、まだ生き残ってたのね<br />  しぶといわねぇ<br /> 女の人の幽霊はぼくを見て驚いている<br />  あれ、そのロケット<br />   うん、おじいさんのだよ<br />  生きてたのね<br />  今も元気なの?<br />   死んじゃった<br /> そう言うと女の人はがっかりしたようだった<br />  ま、しょうがないか<br />  あれから、ずいぶん経ってるもんね<br /> ぼくは女の人に、銀の髪の女の子を探していることを説明した<br />  その子のこと、あたし、知ってるかも<br />   本当?どうすれば会えるの?<br />  知らないわよ<br />  自分でなんとかしなさいよ、男の子でしょ<br />  決めた、あたし、あなたについていってあげる<br />  あたしは、サイ<br />  よろしくね<br />  勘違いしないでよ、暇つぶしよ、暇つぶし<br /> こうしてサイがついてくることになった<br /><br /><br /></dd> <dt>370 :<a href="mailto:sage"><b>FRAGILE</b> ◆l1l6Ur354A</a>:2009/05/15(金) 06:17:52 ID:x5giWo3G0</dt> <dd>201号室の前に行くと、和服を着た女の子の幽霊が立ちはだかった<br />  ここから先は通さないから<br /> サイが言うには、この子は一度言い出したら聞かない、強情な子なんだって<br />  お星さまがほしいな<br />  たぶん、地下商店街にあったと思う<br /> 女の子のいうとおり、地下商店街に戻る<br /> クリスマスツリーが倒れていて、星の飾りが落ちていたので拾う<br /> 女の子の元に星の飾りを持って行く<br />  無理だよう<br />  あんな高いところのお星さまを取れっこないよう<br /> 女の子はぼくを信じようとはしない<br />  今度はお月様がほしいな<br /> 遊園地に戻って月の飾りを見つける<br /> 壁にしっかり取り付けられているように見えたけど、引っ張ったら簡単に外れた<br /> 女の子のもとに月の飾りを持っていく<br />  嘘だよう<br />  あんなに固いのに取れっこないよう<br /> 女の子はまたぼくを信じない<br />  じゃあ、無くした指輪を見つけてきて<br />  たぶん、レストランに落ちてると思う<br /> ホテルの三階のレストランには、恐ろしい思念体がいた<br /> 思念体を倒したあと、指輪が落ちているのを見つけた<br /> 小さな宝石が入った指輪だった<br /><br /> 指輪を女の子の元へ持っていく<br /> この指輪は、間違いなく女の子のものらしい<br /> 今度こそ、女の子はぼくを信じてくれた<br />  どうしてわたしのこと信じたの<br />   信じたいから<br />  信じたい、か<br />  あの人のようなことを言うじゃないか<br />  わたしはチヨ、だよ<br />  お入り<br /> ぼくとサイは201号室に入った<br /> そこにはチヨと同じ格好のおばあさんがいた<br /> チヨは、おばあさんが指輪を取り返したい気持ちが形になったものらしかった<br />  本当に見つけてくれたのね<br />  ありがとうねぇ<br /> おばあさんはそう言った<br /><br /><br /></dd> <dt>371 :<a href="mailto:sage"><b>FRAGILE</b> ◆l1l6Ur354A</a>:2009/05/15(金) 06:19:56 ID:x5giWo3G0</dt> <dd>チヨは語りだした<br />  あなたもいつか、旅が終わる日が来るでしょう<br />  心を震わせる冒険を終えて、家路につく日が<br />  でも、そのあともずっとずっと毎日は続いていくの<br />  うんざりするくらい長く、退屈な毎日が続いていくのよ<br />  新しいことは本当に何も起きない<br />  朝日を見て、夕日を見て、タダそれを繰り返していく毎日<br />  そのとき、初めて気が付くのさ<br />  やわらかな木漏れ日、草原を渡る風<br />  仲間たちとの他愛も無い会話がどんなに素敵な宝物だったか<br />  そして、心は風に吹かれて、吹かれて、吹かれて・・・<br />  石のように固く、冷たくなってしまう<br />  でもわたし、この指輪を見れば思い出せるのよ<br />  懐かしいあの人の笑った顔<br />  ごつごつして、でも長くて綺麗な指<br />  だからずっと欲しかった、取り戻したかった<br />  わたしはもう、きっと長くはないのでしょう<br />  でもあなたには、たくさんの明日が待っているのよ<br />  お行きなさいな<br />  そして、生きて、生きて、いつか終わりが来る日まで<br />  うーんと生きてね<br /> おばあさんは棚の上を指差した<br />  そこの・・・<br />  わたしのつけてるかんざしと同じ、ブローチ<br />  それ、持っていってくれないかね<br /> ぼくは、花の形の小さなブローチを受け取った<br />   うん、可愛い花だね<br />   ありがとう<br />  指輪、取ってきてくれて、ありがとうね<br />  わたしのこと信じてくれて、ありがとうね<br /> 行きましょう、と、サイがぼくを促す<br /> でも、ぼくはまだ去りがたかった<br />  この人はもう助からないわ<br />  それに、あなたには明日があるんだって言われたでしょ<br /> ぼくは201号室を後にした<br /><br /> .。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+.<br /> 年老いた瞳にはやんちゃな少年が棲んでいる<br /> 窪んだ猜疑の目の中に おびえた少女が立っている<br /> 人が長い年月で出会う、怒りや、憎しみ、怖れ<br /> でも裏切られても、どこかで信じたいのだ<br /> 自分を信じて欲しいように、誰かを<br /> 先か後かは関係ない<br /> 私は、誰かを信じる<br /> そして誰かが私を信じてくれることを、信じる<br /> .。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+.<br /><br /><br /><br /></dd> <dt>372 :<a href="mailto:sage"><b>FRAGILE</b> ◆l1l6Ur354A</a>:2009/05/15(金) 06:20:42 ID:x5giWo3G0</dt> <dd>五.<br /><br /> ホテルの屋上にて、昼ごろ<br /> 蝉の大合唱が聞こえる<br />  ねぇ、前から聞きたかったんだけど、あなた、あの子に会ってどうするの<br /> サイがぼくにそう尋ねた<br />   わからない、わからないけど<br />   あそこにさ、白い月が見えるよね<br />   それがとても綺麗で、でもどんなに綺麗だと思っても<br />   そのことを誰にも言えないと、ぼくの中でその想いは泡みたいに消えてしまう<br />   本当に綺麗だと思ったかどうかさえ怪しくなってしまう<br />   だからぼくは、ぼくの話を聞いてうなずいてくれる誰かに、そばにいてほしい<br />   たくさんの言葉を重ねなくても、一言、そうだねって言ってくれる人に、そばにいてほしいんだ<br /> ぼくがそう言うのを聞いて、サイは笑った<br />  ふーん、そう<br />  恥ずかしげもなくさらっと言うわね<br />  ま、そういうところもかわいいかも<br /><br /> 猫の鳴き声が聞こえる<br /> 猫はぼくを誘っているようだった<br /> 猫についていく<br /> ホテルの裏庭にあるマンホールから中に入って、共同溝へ<br /> 共同溝には猫が何匹かいる<br /> また猫についていって、共同溝から細い通路に入ってしばらく進む<br /> 鉄格子のある部屋に着いた<br /> 鉄格子の向こうには銀色の髪の女の子がいた<br /> 鉄格子の手前は猫たちの集会だ<br />   あのときはごめん<br /> ぼくは女の子に謝った<br />  いいよ、悪い人じゃないってわかるもの<br /> 猫たちは女の子になついているようだった<br />  名前は?<br />   セト<br />  短いね、セト<br /> そのとき、どこからともなく男の人の声がした<br />  もうすぐグラスケイジが起動する<br />  戻れ!<br /> その声にはじかれるように、女の子は鉄格子の向こうに行ってしまった<br /> 猫の集会もそれで終わりになった<br /><br /><br /></dd> <dt>373 :<a href="mailto:sage"><b>FRAGILE</b> ◆l1l6Ur354A</a>:2009/05/15(金) 07:07:02 ID:x5giWo3G0</dt> <dd>女の子を追って、貯水槽を抜けて外へ<br /> そこはダムの上だった<br /> 水の力で発電するのだと、サイが教えてくれた<br /> エレベーターに乗って下へ降りていく銀の髪の女の子の姿を見た<br /> ダムに沿って作られたキャットウォークを進みながら下へと降りて、発電所へ入った<br /> 発電所の中の小部屋には、壊れた人形たちの残骸が積み上がっていた<br /> 壁には穴がいくつか開いていた<br /> この部屋はたぶん、ダストシュートに捨てられた人形たちの終着点なんだろう<br /> その人形たちの中に、クロウがいた<br />   クロウ!<br /> ぼくはクロウに駆け寄った<br />  よく俺がどれかわかったな<br />  もうバッテリーが切れかかってるみたいだ<br />  カッコ悪いぜ<br />  俺は人間なんかじゃない<br />  ここに捨ててある人形と同じだ<br /> ぼくはクロウに抱きついて、泣いた<br />   でも、君はぼくの友達だよ<br />  人間じゃない<br />   友達だよ<br /> とうとうクロウが折れた<br />  ああ、友達だ<br />  泣けるってなんだかうらやましいな<br />  イットウサイショノ、オレサマノ、トモダチダ<br />  ありがとうな、セト<br /> クロウは動かなくなった<br />  もう、機能停止したわ<br /> サイがそう言うけどぼくは否定した<br />  違うよ、死んだんだ<br /><br /> .。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+.<br /> 傷つき、疲れ、倒れこみ<br /> 暗闇をじっと見つめてしまうとき<br /> 暗闇に魅入られてしまうとき<br /> ふいに笑い声がする<br /> 不思議で、意地悪で、やさしい、あの声が、私を呼ぶ<br /> 共に過ごした日々は遠く<br /> 流れていく雲のように記憶は形を変えても<br /> 目を閉じればすぐに思い出せる<br /> 懐かしい、君の横顔<br /> .。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+.<br /><br /><br /><br /></dd> <dt>375 :<a href="mailto:sage"><b>FRAGILE</b> ◆l1l6Ur354A</a>:2009/05/15(金) 09:04:26 ID:x5giWo3G0</dt> <dd>六.<br /><br /> 発電所の奥の、機械が置いてある部屋に来た<br /> この機械は無線機だとサイが教えてくれた<br /> 適当にダイヤルを回すと、人の声が聞こえてくる<br /> 誰か返事してください、とか、君はどこにいるの、とか言っている<br />   ぼくはここにいるよ<br /> ひょっとして、生きているのは、ぼくひとりだけじゃないかって思ってたんだ<br /><br /> 発電所を出てダムに戻る<br />  ねぇ、本当に、本当に、あの子に会いたいの?<br /> サイがそう聞いてきたけど、答えはもちろん決まってる<br />  わかったわ、本気なのね<br />  だったら、あの子の居場所を教えてあげる<br />  鉄格子があった部屋、覚えてる?<br />  猫が集会してたところ、あそこから研究所に行けるわ<br />  きっと、研究所にあの子はいる<br /> 鉄格子の部屋に戻った<br />  1004よ、暗証番号<br />  誕生日らしいわよ<br />  ああ、もう、意外とロマンチストなんだから<br /> 鉄格子のドアの電子ロックに番号を入力すると、ドアは開いた<br /><br /> 研究所に行く道の途中、背後で扉がロックされた<br /> 行く手は瓦礫の山になっている<br /> どうやら閉じ込められたようだった<br />  ねぇ、昔のこと、ちょっと話していいかな<br /> サイが話す<br />  昔ね、偉い科学者の人が、話さなくてもお互いの心がわかるようになる力が、<br />  もともと人間に備わっていることを発見したの<br />  きっと、ずっと昔、人はそういう力でわかりあっていたのかもね<br />  それでね、たくさんの頭のいい科学者の人が相談して、<br />  みんなに、もう一度その力を持たせれば、世界中がもっと良くなるかもっていう結論になったの<br />  その頃、世界は戦争(第二次世界大戦のことですね)とか、<br />  大きなこと、小さなこと、いろんなことで対立したり、ケンカしたりで、<br />  みんないい加減うんざりしてたから、もう全世界的に大賛成ってことになって、<br />  グラスケイジ計画っていうのを考えたの<br />  グラスケイジっていう機械を使って、信号を発信して、<br />  みんなの頭の中の共感性能力、つまり、自然とお互いわかりあえる能力を発現させようとしたの<br />   それから、どうなったの?<br />  誰もが新しい時代の幕開けを信じて、信じて、信じて、微笑みながら眠りに就いて<br />  次の日、目を覚ました人は誰もいなかったの<br />  みんな、眠りに就いて、そのまま死んでしまったのよ<br />   もう一度、それが起こるんだね<br />  そう<br /><br /></dd> <dt>376 :<a href="mailto:sage"><b>FRAGILE</b> ◆l1l6Ur354A</a>:2009/05/15(金) 09:05:14 ID:x5giWo3G0</dt> <dd> そして、あの子は触媒になるの<br />   触媒?<br />  あの子の心を透して、世界中の人たちの心をつなぐのよ<br />  うまく行けば、だけど<br />   うまくいかなかったら?<br />  今度こそ本当に、この星には誰もいなくなるわ<br />  あのね、そういうあたしも触媒だったのよ<br />   どうしてサイは触媒になったの?<br />  えっ、知らないわよ<br />  割と普通に暮らしてたんだけどね<br />  知らないうちにあたしに決まってたの<br />  ヘンな施設に連れてこられて、毎日いろんな実験させられて、<br />  でもみんなちっとも優しくないの<br />  でもね、研究室の中に、ひとりだけ優しい男の子がいたんだ<br />  その子はね、あたしに時々、チョコレートとか飴玉をくれるのよ<br />  それでね、大丈夫って聞いてくれて、それから、ありがとうって言ってくれたんだ<br />   そっか<br />   その人とサイは友達だったんだね<br />  もう!この子ったら・・・<br />  あたしとシンは友達っていうんじゃなくて、どっちかというと<br /> サイの話は猫の声に遮られた<br /> 猫がいるということは、ここは密室ではないということだ<br /> 探してみると、瓦礫の隙間に狭い通路が延びているのが見つかった<br /> 這っていけばなんとかいけそうだ<br /><br /><br /></dd> <dt>377 :<a href="mailto:sage"><b>FRAGILE</b> ◆l1l6Ur354A</a>:2009/05/15(金) 09:06:01 ID:x5giWo3G0</dt> <dd>研究所に着いた<br /> そこは病院のようでもあった<br /> クロウが持っていた写真に写っていた場所のようだった<br /> 研究所の奥に進む<br /> 途中に歩くだけで体力が減る部屋とか、モーションセンサーがある部屋があった<br /> 一番奥の、丸くて広い部屋に、シンが待っていた<br /> シンはメガネをかけた若い男の人だ<br /> 足元を見ると床から浮いている<br /> けど幽霊とも違う<br /> 後から聞いた話だけど、シンはAIっていって、人格だけをコピーしてて実体が無いんだって<br /> 上を見上げると、高いドーム状の天井に、青く光る不思議な鳥かごのようなものが取り付けられていた<br /> あれがグラスケイジだろうか<br /> 奥の方には、透明なカプセルに入れられて寝かされている、銀の髪の女の子がいる<br />  お前が付いていながら、ここまで進入を許すとはどういうことだ、サイ<br /> シンとサイは知り合いだった<br />  グラスケイジを再起動させて、どうするつもりなの<br /> サイはシンに尋ねた<br />  お前が知る必要は無い<br />  言葉とは本当に不自由なものだな、サイ<br />  お前なら私を理解してくれると思っていたのだが<br />  人類には足かせが多すぎる<br />  不完全な肉体など消去するべきなのだ<br />  計画を妨害するものは排除しなければならない<br /> シンは青い不思議な結晶を手にして、襲い掛かってきた<br /> シンを倒して、シンは消えたように見えるけど、<br /> サイが言うには、AIの本体を壊さない限りはまた復活するんだって<br /> そんなことより、女の子だ<br /> ぼくはカプセルを開けて、彼女の頬にさわった<br /> 暖かい<br />  さわった<br /> 女の子は目を覚ました<br /> そのとき地震が起こった<br /> これはグラスケイジが起動しようとしているせいらしい<br />  シンの行った場所ならわかると思う<br /> 彼女はそう言った<br /><br /><br /><br /></dd> <dt>378 :<a href="mailto:sage"><b>FRAGILE</b> ◆l1l6Ur354A</a>:2009/05/15(金) 09:07:21 ID:x5giWo3G0</dt> <dd>七.<br /><br /> 女の子の言った通りに、黄昏の塔のふもとに来た<br /> この塔の上にシンがいるらしい<br /> あ、黄昏の塔っていうのは、おじいさんの手紙にあった赤い鉄塔のことだよ<br />   みんなはここで待ってて<br /> 女の子とサイに言う<br />  あ、ちょっと待ってて、動かないで<br /> サイの唇がぼくのおでこに押し当てられる<br />  おまじないよ<br />  幽霊のあたしがおまじないって言うのもヘンかしら<br />  無事に戻ってくるのよ<br />  それから、シンを止めて、セト<br />   うん、わかってる<br /> ぼくはふたりをふもとに残して、階段をグルグルと昇っていった<br /> 途中で、PFの、クロウの、チヨの励ましの声が聞こえてきた<br /> もしかしたら気のせいかもしれないけど、でも、たしかに聞こえたんだ<br /><br /> 第一展望台の上に、満月をバックにシンがいた<br /> やっぱり青い結晶を持っている<br /> あれがAIの本体らしい<br /> ぼくが持っている青い石と関係があるのかな<br /> 前より強くなっていたシンだったけど、倒すことが出来た<br /> 銀の髪の女の子とサイがいつの間にか来ていた<br />   どうして世界を滅ぼそうとするの<br /> ぼくはシンに聞いた<br />  拒絶されたからだ<br />  私は人類共感性拡張実験の開発者として、密かに自ら最初の被験者となった<br />  その結果、言葉に頼ること無く、周囲の思考や感情が読み取れるようになった<br />  だが、私の周りの人間は、言葉の裏に悪意を潜ませていたのだ<br />  そして考えていることは、自分、自分、自分だ<br />  他者への共感など、自己への偏愛にたやすく押しつぶされてしまう<br />  世界は憎しみで満ち溢れている<br />  人類は偽りの社会を形成しているに過ぎなかったのだ<br />  世界は、自己という牢獄の中に閉じ込められた、さもしい獣たちが悪意を抱えて群れている地獄だった<br />  私の両親ですら、私を怪物と嫌悪して・・・<br />  私は誰からも理解されず、愛されもせずに<br />  それを終わらせて、何が悪い<br /><br /></dd> <dt>379 :<a href="mailto:sage"><b>FRAGILE</b> ◆l1l6Ur354A</a>:2009/05/15(金) 09:08:20 ID:x5giWo3G0</dt> <dd>サイが進み出て言う<br />  あたしは違う!<br />  あたしはただ、あなたのそばにいたかっただけ<br />  あなたの近くで、あなたを見ていたかっただけなの<br />  ひとりぼっちだったあたしに、ぎこちなく微笑んでくれたり<br />  頑張って、って言ってくれたり<br />  こっそりあなたがお菓子をくれるとき、<br />  あなたの大きくて、でも痩せた手が、あたしの手に触れるとき、あたしがどんなにうれしかったか<br />  シン、あたしはあなたを<br />  アイシテイル<br /> シンは驚いた表情をしている<br />  どうして気が付かなかったのか・・・<br />  やっぱり、こういう大事なことって、言葉にしないとダメなのね<br /> シンは、AIの本体である青い結晶を下に投げ捨てた<br /> サイとシンは、手を取り合って空中に浮かんでいる<br />  結晶コンピュータは投げ捨てた<br />  じきに我々は消える<br />  我々がいなくなれば、グラスケイジが起動することはないだろう<br /> 最後に、サイの声が聞こえた<br />  あのね、本当にありがとう、セト<br /> ふたりは消えた<br /><br /><br /> .。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+.<br /> それから私たちは一緒に旅をして<br /> それから、何度目かの夏が過ぎて<br /> 私は、本当にひとりになった<br /> 本当に、ひとりになった<br /> .。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+..。゚+.<br /><br /><br /> ぼくと女の子は塔から降りて来た<br />  すごーい、月がもうまんまるだね<br /> 女の子ははしゃいでいる<br />   あのさ、まだ君の名前を聞いてなかったと思うんだ<br />  レン<br /> 彼女は答えた<br />   まだ、世界には生き残った人がいるんだ<br />   その人たちを探そう<br /> ぼくは彼女の手を握った<br />  ありがとう、セト、ここにいてくれて<br />   レン、ここにいてくれて、ありがとう<br /> ぼくはしっかりと言葉にして、言った<br /><br /> -了-<br /><br /><br /><br /><br /></dd> <dt>380 :<a href="mailto:sage"><b>FRAGILE</b> ◆l1l6Ur354A</a>:2009/05/15(金) 09:10:56 ID:x5giWo3G0</dt> <dd>※補足<br /> ・おじいさん=シンと考えるとかなりの辻褄が合うので、この説が有力です<br />  おじいさんの若い頃の人格を移したのがシンでしょう<br />  そうすると、青い石はやっぱり結晶コンピュータと関係があるでしょうね<br />  ちなみにキャスト表を見るとおじいさんとシンの声優は同じでした<br /> ・.。゚+..。゚+..。で囲ったところはセトの回想らしい<br />  キャスト表を見ると セト(青年)となっているけど、セトと同じ声優でした<br /><br /></dd> <dt>381 :<a href="mailto:sage"><b>ゲーム好き名無しさん</b></a>:2009/05/15(金) 10:15:44 ID:58z0RflhO</dt> <dd>乙。<br /> おじいさん=シンだとすると若い頃の不始末セトに丸投げかよ。<br /> ちなみにグラスケイジ計画が起きたの何年前ぐらい?<br /><br /></dd> <dt>382 :<a href="mailto:sage"><b>FRAGILE</b> ◆l1l6Ur354A</a>:2009/05/15(金) 11:17:33 ID:x5giWo3G0</dt> <dd><a href="http://jfk.2ch.net/test/read.cgi/gsaloon/test/read.cgi/gsaloon/1237578582/381" target="_blank">&gt;&gt;381</a><br /> 不明としか言いようが無い<br /> 全体的に説明不足<br /> 雰囲気さえ良ければ細けぇことはいいんだよ(AA略<br /> という製作者の声が聞こえてきそうです<br /><br /> 上にあるとおり、廃墟の壊れ具合からして数十年は経ってると予測<br /> サイがおじいさんが死んだと聞いて仕方ないと思うくらいには時間が過ぎていると思ってくれ<br /><br /></dd> <dt>386 :<a href="mailto:sage"><b>ゲーム好き名無しさん</b></a>:2009/05/15(金) 18:49:26 ID:bnfU48GP0</dt> <dd><a href="http://jfk.2ch.net/test/read.cgi/gsaloon/test/read.cgi/gsaloon/1237578582/381" target="_blank">&gt;&gt;381</a><br /> 電撃のインタビューによると、おじいさん=シンらしい<br /> ttp://news.dengeki.com/elem/000/000/148/148898/<br /><br /></dd> </dl>

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