ラストスタンド

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<p><strong>ラストスタンド</strong></p> <p>part59-209,211,212,214~227</p> <hr /><dl><dt>209 :<font color="#008000"><b>ゲーム好き名無しさん</b></font>:2011/11/14(月) 00:05:01.84 ID:Pmn5wKlu0</dt> <dd>おお!ヴァイツブレイドが!!ということでこちらは同じくリクエストにあったWSの隠れた名作、<br /> 「ラストスタンド」を!こちらも大長編になっちまいますが、お付き合いよろ。<br /> イラスト買いした自分が大森葵(キャラクターデザイン、シナリオアドバイザー)先生のファンになった思い出の作品でもあります。<br /><br /> プロローグ:<br /> 悠久の昔、突如として現われた「魔王」なる支配者は世界に破壊と混乱をもたらした。<br /> しかし、人と亜獣達は英雄王ロワの元に力を合わせ、魔王を封印した。<br /> その代償として、国王は命を落とし、また、ロワの双子の王子アレクと王女レイリー、<br /> そして執事オブライトの3人は魔王の最後の力により、永遠に歳をとらない呪いに囚われてしまった。<br /> 時は流れ、人々はロワ王の残した「クルゼの護り」の元に長く続いた平和に戦いを忘れ、<br /> 英雄王とその子孫のことも人々から忘れ去られていった。<br /><br /> 英雄王の末裔アレクらはその後何百年も呪いを解く手段を求めていたが、未だ見つからないままであった。<br /> その頃、世間では再び亜獣が凶暴化し始めていた。<br /> 何か良くないことが起こりつつあるということで、王子達は城で亜獣の研究に打ち込んでいたが、<br /> 西のほうから邪悪な気配がこの国に押し寄せ、城のふもとの街も亜獣の襲撃にさらされ始めた。<br /> オブライトは、「最後の戦い」の後に先王が各地に奉じた「クルゼの護り」が崩壊しつつあるのではないかと<br /> 推測した。<br /> 街を守る戦士たちが窮地に陥るのを見過ごすことができないアレクとレイリーはたまらず街に駆けつけていった。<br /> オブライトの持ってきた武器を得た戦士達は亜獣たちを蹴散らすも、最後の一匹がアレクに向かってきた。<br /> が、オブライトが見たこともない強力な魔法で一撃で亜獣を葬った。<br /> そんな魔法が使えるなんて知らなかったよ、と不思議がるアレクであったが、<br /> オブライトはとにかく無我夢中でやったのでよく覚えていないと答えた。そもそも彼は「最後の戦い」以前の記憶がなぜか<br /> すっぱり抜け落ちている出自のはっきりしない人間なのであった。<br /><br /></dd> <dt>211 :<font color="#008000"><b>ゲーム好き名無しさん</b></font>:2011/11/14(月) 00:07:16.19 ID:Pmn5wKlu0</dt> <dd>第1部<br /> アレクはこの件以降仲間になった戦士達を組織して軍団を作り、各地を亜獣の脅威から守るべく進撃を開始する。<br /> キャッスルロワを襲ってきた亜獣のリーダーを倒すと、死体から見たこともない石が出てきた。<br /> 調べてみようとしたところ、そこへ現われたのは自称絶世の美女のセクシー悪魔お姉さんレジーナ。<br /> 色々と訳知り顔の彼女はオブライトにもなにやら因縁があるようである。<br /> 彼女が言うにはその石こそ「クルゼの護り」のカケラである「クルゼの秘石」であり、<br /> 現在世界中に眠っている秘石を亜獣たちに奪われると大変なことになるかもよ、と去って行った。<br /><br /> とりあえず城に戻ってきたアレクとオブライトは、レイリーにも秘石を見せてみた。<br /> レイリーは秘石が気に入ったようなので、集めた秘石はレイリーに預けておくことになった。<br /> 秘石集めと平行して石に関する情報も調べてはみたが、ロワ王も秘石のことは誰にも秘密にしていたらしく、<br /> 何の手がかりも城には残っていなかった。<br /> ただ…レイリーはこの石を見ているとなんだか不安になる、と様子がおかしい。<br /> 不安要素を抱えたままのアレクたちだったが、休むまもなく今度は「亜獣を指揮する額に痣のある男」<br /> の出現が報告された。<br /> オブライトはその男に覚えがあるという。かつての戦いで魔王側について戦った「人将シェイバン」ではないかと。<br /> アレクはそんなはずはないと断言した。シェイバンはロワ王に倒され死んだはずだし、仮に生きていたとしても<br /> 最後の戦いは何百年も昔のことなのだから。<br /> だが、一連の事件を振り返ったオブライトは、自分達の知らないところで<br /> 巨大な謀が進行しているのではないかという予感がしていた。<br /><br /> ロワマウントで待ち受けていたのはやはりシェイバン本人であった。<br /> 恨みを晴らすべく蘇ったシェイバンは、自らの目的は秘石の力で魔王デジルを復活させることだと言った。<br /> 秘石が何故必要になるんだ?と問うアレクに、貴様らはミナウから何も聞かされていないのか?<br /> と怪訝そうにアレクにもよく分からない返事を返すシェイバン。<br /> シェイバンを退けるも、取り逃がしてしまい、謎は結局謎のままに。<br /> 城に戻ってきたレイリーにシェイバンを取り逃がしたことを話すと、<br /> 「アレクも情けないわね。私がいればあんな奴、やっつけられたのに」<br /> と予想外な返答を返してきた。なんだか性格が変わってる。<br /> 戦いを嫌っていたはずなのに「今度の戦いには自分も連れて行って」とまで言う有様。<br /> ともあれ、集めた4つの秘石を並べてみると、秘石は急に青い光を放ち始めた、<br /> そしてレイリーは光に取り込まれ、秘石共々どこかへ消え去ってしまった。<br /> 突然の超展開に呆然とするアレクらの元に現われたのはレジーナ。<br /> これはどういうことだと詰め寄るアレクに、レジーナは力の源であるクルゼの秘石を心の弱い者が持つと<br /> 心を奪われてしまうのだと言った。<br /> レイリーの不安は事実だったのだ。<br /> あの石はどういうものなのだ、というオブライトの問いに彼女は、今の秘石は一部に過ぎず、<br /> 全部を集めると「クルゼの護り」の本質も見えてくるはずだと言って去って行った。<br /> とにかく秘石がレイリーの元にある以上、秘石を集めていけばレイリーを探すことにもなるということで<br /> 秘石を集める進軍を再開した。<br /> 秘石は城の地下からオブライトが見つけてきたという封印のローブで覆うことで力を抑えることに。<br /><br /></dd> <dt>212 :<font color="#008000"><b>ゲーム好き名無しさん</b></font>:2011/11/14(月) 00:10:11.66 ID:Pmn5wKlu0</dt> <dd>第2部<br /> 現われたのはこれまたかつて「最後の戦い」に参加した竜将フォルス。ロワ王の片腕として戦い、<br /> 王の盾となって命を落としたという彼がなぜ生きてここにいるのか?<br /> レイリーのことを知っている様子のフォルスに戦いを挑むも、圧倒的な力で叩き潰されるアレクたち。<br /> 弱すぎてつまらぬと吐き捨てるフォルスには以前の正義感にあふれた彼の面影はなかった。<br /><br /> ウレンガー国を解放した際に巨大な門を発見した。これこそが魔王を封印した闇の地へ続くウレンガーの門だ。<br /> 石化した2匹の龍による封印は現在は完璧なようだが、シェイバンが魔王の復活を狙っている以上、<br /> 必ずここに現われるはずと踏んだアレクはここを監視し続けるよう命じる。<br /> 「今度会った時こそ、この手で息の根を止めてやる…!」<br /> なにやら物騒な発言をするアレクに、オブライトは王子までもが秘石に心を奪われているのではと危惧する。<br /> ハーフォーにおいて、ついにフォルスとの再戦を迎える。<br /> 一縷の望みをかけて必死にフォルスを説得するアレク。フォルスも、何か様子がおかしい。<br /> 「俺の…俺の体から出て行け!」<br /> 何かに耐えるように暴れるフォルスを勇士達が食い止め、<br /> 深手を負って倒れたフォルスの体内から、クルゼの秘石が飛び出した。と、同時にフォルスは正気を取り戻した。<br /> 今までの行いを詫びるフォルスに、何があったのかを尋ねたが、復活するまでのことはよく憶えていないとのこと。<br /> だが、シェイバンの事を尋ねると、やはりフォルスを秘石の力で蘇らせたのはシェイバンらしいということは分かった。<br /> レイリーのことも聞いてみたかったが、重傷のフォルスに無理はさせられないのでひとまず城に戻って話しを聞こうという<br /> オブライトの提言に従い、話を打ち切って帰ろうとする3人。<br /> これからは少しでも王子の助けになりたいというフォルスだったが、その背後からシェイバンの魔法が襲った。<br /> 所詮頭の悪いトカゲなど役にはたたんかと吐き捨てるシェイバンを、怒りも露ににらみつけるアレクであったが、<br /> シェイバンは意にも介さず新しい部下を紹介しようと言う。それは…レイリー。<br /> レイリーに何をするつもりだ!と詰め寄るアレクだが、シェイバンはいずれ分かる事だと言い、秘石を回収し<br /> レイリーと共に去っていった。<br /> そしてフォルスは、力になれなかったことを詫びつつ、「秘石は人の邪悪な心を封じ込める。しかし…」<br /> と言い残し、死んだ。優しき亜獣の英雄は、もう帰ってこない。<br /> こうして大陸を解放したものの、衝撃的な事件が立て続けに起こり、アレクは失意の日々を送っていた。<br /> 悲劇の元凶は、やはりクルゼの秘石しかありえない。<br /> 世界に平和をもたらすものだと信じていたクルゼの秘石。しかし、それは間違いだったのか?<br /> 秘石の強大な力には様々な面がある。<br /> 今まで恩恵を受けてきた護りの力、そしてレイリーの心を奪った邪悪な力。そして死者を蘇らせる力…<br /> レイリーが奴らの手に落ちたのは秘石を集めたせいなのか?<br /> 知らなかったとはいえ自分は結局奴らの手助けをしただけなのか?<br /> マイナス思考ばかり先走るアレクに、オブライトは悔やんでも仕方ありますまい、<br /> 我々が動かずともあの者たちは秘石を集め魔王の復活を成し遂げるでしょう。<br /> その前に我々が出来ることを為すのです。と励ました。<br /> アレクはふとレジーナのことを思い出した。秘石の持つ邪悪な力についても知っている彼女なら、あるいは…<br /> そのころ、地方を偵察していた勇士たちが、西方で時空のゆがみを発見した。<br /> こちら側にはとても行けそうにないとのことなので、アレクは北へ向かうことにした。<br /><br /></dd> <dt>214 :<font color="#008000"><b>ゲーム好き名無しさん</b></font>:2011/11/14(月) 00:13:42.80 ID:Pmn5wKlu0</dt> <dd>第3部<br /> 秘石を集め、クルゼの護りを復活させることを目指すアレク達であったが、<br /> アレクの様子がなにやらおかしい。レイリーのように秘石の力の影響を受けているようなのだ。<br /> この力があればシェイバンどころか魔王だって倒せるなどと発作的に言い出す<br /> アレクはなにやらやさぐれた性格に変化しつつあった。<br /><br /> 5個目の秘石を手に入れたアレクの前に、捜し求めていたレジーナが現われた。<br /> 秘石の影響でやさぐれモードのアレクは知ってる事を残らず吐けとレジーナを脅迫するが、<br /> レジーナは相変わらず飄々とした態度でとぼけるのみ。冷静さを完全に失ったアレクが元はと言えばお前が原因だ!<br /> シェイバンの居所を教えろ!奴さえ倒せば全てカタが付くと怒鳴りまくっていると、レジーナは一つだけなら答えてあげるという。<br /> オブライトは秘石について知りたい様子だが、アレクはシェイバンの居所をとにかく教えてくれと言った。<br /> レジーナはシェイバンの城は東のはずれの島にある、レイリーもそこにいるはずよ、と教えてくれた。即座に東の島に出立するアレク。<br /> そんなアレクを見送りつつ、レジーナは<br /> 「シェイバンがやられたらおもしろくなくなっちゃうけど、ま、あいつらの思い通りになるよりはいいかもね」<br /> と意味ありげにほくそ笑んだ。<br /><br /> 6個目の秘石を手に入れた際、アレクは今頃になってオブライトが秘石の影響を全く受けていないことに<br /> 気がついた。これにはなにか理由があるのか?<br /><br /> 8個の秘石を揃えたアレクは、ついにゲラルースにおいてシェイバンを追い詰めた。<br /> 秘石を賭けた両者の戦いは、アレクたちに軍配が上がり、レイリーも正気を取り戻し奪還に成功した。<br /> だが……<br /> 「いや……まだだ……このままでは終わらぬ!」<br /> 「あぶない!アレク!」<br />  シェイバンが最後の力で放った秘石の力から、レイリーは身を挺してアレクを守り、直撃を受けた。<br />  その様子を見届けたシェイバンは、これで我が野望ー魔王の復活ーは達成されると高笑いを残し、息絶えた。<br /> 同時に、レイリーから凄まじい力が放たれ、アレクとオブライトを跳ね飛ばした。<br /> 様子の一変したレイリーは、近寄ろうとするアレクに魔法の弾丸を浴びせ、いずこかへと去っていった<br /> 「レイリー……レイリーーーー!!!」<br />  喜びもつかの間に、再び妹を失ったアレクの悲痛な叫びをもってこの戦いは終わった。<br /><br />  シェイバンを倒したものの、フォルスも、そしてレイリーも取り戻すことは出来なかった。<br /> 僕たちは結局何も取り戻す事が出来ないのか、と苛立つアレクから、また黒い波動があふれ出てきてきた。<br /> どうにか発作は収まったものの、心を蝕む秘石の力は次第に強さを増してきている。<br /> 状況はより悪化しているかのようだった。<br /> アレクは、レイリーが南の地に渡ったという報告を受け、急ぎその地へと進軍を開始した。<br /><br /></dd> <dt>215 :<font color="#008000"><b>ラストスタンド</b></font>:2011/11/14(月) 00:23:46.51 ID:Pmn5wKlu0</dt> <dd>タイトル入れ忘れてました。すいません。あと、割り込んでしまったアマガミの人もごめんなさい。では続きを<br /> 第4部<br /> アレクの前に現われたのは、やはりクルゼの秘石であった。思えばなにもかもこの秘石から始まったことだった。<br /> 「なにが『クルゼの護り』だ!不幸な事が起きるばっかりじゃないか!」<br />  秘石に八つ当たりをするアレクの様子に、オブライトはふと、かつて魔王との戦いにおいて<br /> アレクの父ロワ王もまた謎の力に心を乱されていたということを思い出した。英雄と呼ばれるロワ王も秘石の力から逃れる事はできなかった。<br /> だが、そうなるとオブライトだけが何の影響も受けないのがますます謎だ。<br /> 「年寄りには効かないのかな?」<br /> 「何をおっしゃいます。王子だってもう何百年と生きていらっしゃるでしょう。」<br />  と軽く流したオブライトだが、やはり自分が影響を受けない理由は分からないままだった。<br /> オブライトがロワ家の執事となる前には何をしていたかをアレクは尋ねるが、相変わらず思い出せないとだけ答えるオブライト。<br /> ただ、自身の過去については最近妙に引っ掛かるらしい。<br />  戦いを続けるアレクの前に、レイリーが現われ、秘石を奪い去っていった。<br /> 行く手を阻むようなら殺すとアレクを冷たくあしらうレイリーの様子はまるでシェイバンの写し身であった。<br /> もはやアレクにもレイリーを元に戻す手立ては思いつかなかった。<br /> 魔王の復活を見過ごすわけにはいかない、だが、それはレイリーと戦うことを決断しなければならないのか。<br /> アレクの苦悩は更に深まり、それと共に秘石による精神の侵食は更に進んでいくのであった。<br />  キキの国を解放した際、オブライトはふと、この国のある島に見憶えがないかとアレクに尋ねてくる。<br /> 憶えはないとアレクは答えたが、オブライトは何かが気になって仕方がないようだ。<br /> その島、キセノラルに渡ってみたが、そこにあるのはうち捨てられて久しい古城があるだけであった。<br /> その古城に何かなつかしいものを感じたオブライトは、後ろ髪を引かれる思いで島を後にした。<br />  セヴァ島でアレクの前に再びレジーナが現われた。<br /> レジーナは不機嫌そうに、「兄妹揃って人の家の庭先をウロウロと!」と愚痴をこぼしていた。<br /> この島は何百年も昔からの彼女のものらしい。ここに来ていたレイリーは既に追い払った後で、<br /> アレクも追い出しにかかるレジーナだが、アレクはとにかく秘石の秘密だけでも教えてくれないかと懇願した。<br /> オブライトは言った。自分達はクルゼの秘石こそがクルゼの護りであると思っていたが、<br /> 実際のところ、秘石は関わったものを次々に不幸にしていく不吉な代物であった。<br /> そんなものが平和の護りであるとは考えられない。一体石の本性とは何なのか?<br /> レジーナはそんなオブライトに呆れた顔でほんとに何も覚えてないのね、と言った。<br /> どうやら教える気にはなってくれないようだ。<br />  相も変わらず遊び半分のレジーナに、やさぐれ状態のアレクはついに本気でキレた。<br /> 「もういい、オブライト。こんなやつの話をまともに聞いていた僕らがバカだった。もう手のひらでの上で踊らされるのはまっぴらだ!<br /> こうなったら力づくで叩きのめしてお前の身体に聞いてやる……!!」<br />  いきなりの王子の過激発言にオブライトは開いた口がふさがらない様子だが、レジーナは<br /> 「たくましいセリフだこと……ボウヤにできるのかしら?」<br /> と、まだ余裕綽綽であった。それに対してアレクは感情の昂ぶりに呼応するように起こった秘石の力の発作に苦しみながらも、攻撃を指示した。<br /> 「た、叩きのめしてやる……僕らが……正義だ!」<br />  だが、レジーナはひとしきり適当に戦うと……うざったそうに翼をひとふりした。<br /> それと同時にアレクを苦しめていた発作は急に消え去り、やさぐれていたアレクは正気に戻った。攻撃をとりやめ、詫びて去ろうとするアレク。<br /> レジーナは彼らを呼びとめ、シェイバンやフォルスを蘇らせた黒幕は冥界の王クラーヌではないかと告げた。<br /> また、大陸の北西のかつて「最後の戦い」のあった周辺の時空のゆがみ「冥界の狭間」が冥界に繋がっているとも。<br /> そしてクラーヌはそこにいるらしい。<br /> 冥界の狭間は既に以前の進攻のさなかに発見済みだ。そこへ入って帰ってきた者はいないというが、<br /> 「そこへ行く事で全てがわかるのなら…行くよ!」<br />  と、アレクは決然とそう言い放ち、冥界遠征を開始するのであった。そんな彼は知る由もなかった<br /> 「ほんと…単純ね。これでまたしばらくは、楽しめるわ。ふふふふ…」<br />  というレジーナのほくそ笑みを…<br /><br /></dd> <dt>216 :<font color="#008000"><b>ラストスタンド</b></font>:2011/11/14(月) 00:25:55.03 ID:Pmn5wKlu0</dt> <dd>第5部<br />  ついにアレク達は冥界に進攻し、待ち受ける死者の軍団を蹴散らし橋頭堡を築いた。<br /> その際、戦利品として敵の死者達のリーダーが持っていた石版を手に入った。<br /> オブライトはこれが「冥界邪説」の断片ではないかと言った。<br /> 冥界邪説、それは冥界の王が集めた全ての死者の声、すなわちこの世の全てを記したといわれるもので、<br /> 「最後の戦い」の記録もこの文書によって後世に伝えられたと言われている。<br /> この石版に記されているもののうち唯一オブライトに解読できたのは、<br /> 「邪悪の名に封じられし意思…その力を世界に降らす…」という一文だけだった。<br /> 解釈として考えられるのは封印される邪悪=魔王の意思が最後の力を世界に降らす、というものだが、<br /> まだよくわからないのでアレクはとりあえず石版を持っていくことにした。<br /> 秘石のことが記された石版も見つかるかもしれない。<br /> 次に現われた敵将もまた冥界邪説の一部を持っていた。それに記されているのは<br /> 「あまねしものには表裏あり…光さす影には闇が生まれる。」<br /> というもの。これではまるで謎かけだ。<br /> 「こんな石版が何の役に立つっていうんだ!冥界邪説がなんだ!叩き割って粉々にしちゃえばいいんだ!」<br /> と、また過激発言のアレク。<br /><br /> 次なる拠点、ケルシーを制圧したが、この地はかつて「最後の戦い」の時の軍事拠点で、<br /> 魔王との決戦に赴いたロワ王をレイリーとオブライトの3人で待った場所だった。<br /> その時の思い出を回想するうち、オブライトはこの地で魔王軍が乱入して危機に陥ったことを思い出した。<br /> アレクは、その時に魔物を撃退したのはオブライトだったと言ったが、オブライトは全く覚えていないとのこと。<br /> だが、アレクの記憶によると、その時魔王の亡霊のようなものが現われ、辺りが黒い霧に包まれ、<br /> オブライトが魔法でそれを打追い払ったはずだった。<br /> そしてその時から魔王は封印されて世界から邪悪な気は消えたが、同時にアレクらは歳を取らなくなった。<br /> 今にして思えばあれこそが魔王の呪いだったのかもしれない。<br /><br /> 次のダントで手に入った石版に記されていた一文は「地に散りばめられし力はその影を隠し、うつろな平和を呼ぶ」というもの。<br /> この「力」とは、クルゼの護りのことではないかと考えられた。では、「影」とは。<br /> アレクは邪悪を隠すという意味にとったが、オブライトは何か不吉なイメージを感じ取った。<br /><br /> そして次の石版を手に入れた時、その予感が正しかった事が証明された。<br /> 「隠されし影は消えることなくやがて放たれ、影は人の心を飲み込む。」<br /> 人の心を飲み込む影、これは「クルゼの秘石」のことではないだろうか。影が放たれるというのはクルゼの護りの崩壊のことか?<br /> オブライトの推論はこうだ。秘石は人々の邪心を飲み込む魔の石で、ロワ王は恐怖と混沌を呼ぶその石を封じることによって<br /> 世界に平和をもたらす「クルゼの護り」と変えたのだと。<br /> 続きの文章が書かれた石版も見つかった。「放たれし影は次なる依り代を選び、力に支配されし依り代は新たな闇となる」<br /> その依り代というのはレイリーのことなのではないか、レイリーは新たな闇、魔王となるのではないか?<br /> 高まる不安に落ち着きを失い、また発作を起こすアレク。オブライトはこの続きの石版を捜し求めるのであった。<br /> そして冥界の最果てフィグラにおいて、ついに最後の石版が発見された。<br /> 「世界に悲しみが満ち、分かたれし闇が一つになるとき暗黒が再び世界を飲み込む」<br />  つまり秘石が一つに集まる時、魔王が復活するということだ。逆を言えば、それさえ阻止すれば魔王の復活は<br /> 防げるとも考えられる。まだ我々にも勝機があります。と、オブライトは言った。<br /> 「レイリーを…魔王復活の犠牲になんかさせてなるものか…!」<br /> もはや限界寸前ながらも、アレクは決意を胸に、ついに冥王クラーヌの待ち受ける冥界の中心、ゲソンへと駒を進めた。<br /><br /></dd> <dt>217 :<font color="#008000"><b>ラストスタンド</b></font>:2011/11/14(月) 00:28:53.74 ID:Pmn5wKlu0</dt> <dd> 生者がここに何のようだと頭に直接語りかけてくるクラーヌに、シェイバンとフォルスを復活させたのはお前なのかと尋ねたところ、<br /> 復活は破壊と混沌を呼び、世界に死を呼ぶことを望んだシェイバンの意思であり、<br /> 自分は手を貸したに過ぎないと答えた。<br /> アレクは言い逃れだと一蹴し、魔王の復活も結局はお前が黒幕かと怒りを露にするが、<br /> クラーヌは怒りに身を任せるのは滅びの道、貴様にはそれがふさわしいとアレクをあざ笑い、攻撃を仕掛けてきた。<br /> アレクはそれを撃退し、改めてクラーヌに全てを話すよう詰め寄った。<br /> 「……すべては定められし事…恨みは死者をも蘇らせ…世界の混沌を呼び覚ました…だが…それもクルゼの意思…」<br />  クルゼ、やはりそれが世界の破滅を望んだ全ての元凶なのか。<br /> 「闇の意思は人の生み出したもの…魔王もまた人から生まれいでしもの…人の生み出した邪悪によって世界は死に飲み込まれるのだ…」<br />  アレクは「クルゼ」の正体も気にはなったが、今もっとも差し迫っているのはレイリーを救い、魔王の復活を阻止することだ。<br /> その方法を尋ねると、クラーヌはクルゼに勝つことだと答えた。そしてそれは己自身との戦いでもあると。<br /> 「心を…闇に染めるがいい…その時こそ…」<br />  運命は既に決し、全ては闇に覆われるとクラーヌはアレクをあざ笑いつつ姿を消した。<br /> 冥府の王であるクラーヌは死を超えた存在。ただ、帰るのみ…<br /><br />  クラーヌがいなくなり、ここに用のなくなったアレクらは元の世界に戻る術を探すも、困った事に元に戻る道が見つからない。<br /> さ迷うアレクは、ふと自分を呼ぶ声を聞いた。オブライトではない。<br /> それは…遠い昔に別れたアレクの父、ロワ王であった。<br /> 思いがけず亡霊となった父と再会を果たしたアレクが今の窮状を説明したところ、<br /> ロワ王は頷き、秘石を封印したときからいずれこのような事が起こるのではないかと思っていたと答えた。<br /> クルゼの秘石とは魔王の力の源であり、デジルを封印してもなおその力は消えず、人の心を蝕み続けた。<br /> そこでロワ王は密かに秘石を砕き、二度と目覚めぬように世界の各地に封印した。それが「クルゼの護り」だった。<br /> (つまり護りとは秘石そのものではなく、その封印を指したもの)<br /> 自分達が不甲斐ないせいでシェイバン達によって封印が破られたのかとうなだれる二人に、<br /> ロワ王はアレクに対してはシェイバンたちがおらずとも封印の効力は次第に弱まり、<br /> いずれは破られたはずだったのだとなだめ、<br /> オブライトには、そうやってすぐ自分を責めるところが昔からのお前の悪い癖だと釘をさした。<br /> そう、「あの時」も責任を感じたオブライトが自らの記憶を消したのだと。<br /> そして秘石が魔王の復活を果たそうとしている今、その失われた記憶だけが頼りでもある。<br /> アレクは今もっとも求めるもの、すなわちレイリーを救う術を尋ねたところ、<br /> 秘石に心を奪われたとはいえ二人は血を分けた双子。心の奥底では通じ合っているはず。<br /> レイリーの心に耳を傾け、彼女の心を閉ざす邪念を振り払うのだ、とロワ王は答えた。<br /> 自分にそれが出来るのか。アレクに確信はないが、やるしかないことは確かだ。<br /> 最後に王は、アレクとレイリーの元に二分されている秘石が全て揃う時、秘石は元の姿、秘球へと戻る。<br /> その時こそアレクたちの力が試されると告げた。<br /> デジルは邪悪な心に呑まれて魔王を生み出してしまった。だから、アレクは心の邪悪に打ち勝たねばならない。<br /> 「自分に勝つのだ…アレク。最後はお前自身が自分で答えを出す以外に道はない」<br />  そしてロワ王は現世に戻る道を示し、消えていった。<br /><br /></dd> <dt>218 :<font color="#008000"><b>ラストスタンド</b></font>:2011/11/14(月) 00:30:36.90 ID:Pmn5wKlu0</dt> <dd>元の世界に帰還したアレクらは、ひとまずクラーヌとロワ王に告げられたことを整理してみた。<br /> 結局クラーヌの目的は冥界の王として、より多くの死者を冥界に連れて行くことだろうとオブライトは推測した。<br /> 秘石の力により世が乱れ、魔王が復活すればそれこそ思うツボというものだろう。そして父の最後の言葉、「自分に勝つこと」。<br /> 秘石を集めるたびに闇にいざなうその力は大きくなっていき、次第に耐えられなくなってきている。<br /> ならば結集した秘石の邪念はどれほどのものになるのか。自分はそれに耐えられるのか。<br /> 不安がるアレクに、オブライトは誰しも心の一番弱い部分である怒りや悲しみに打ち勝つべく戦っていると諭した。<br /> だが、アレクの不安はむしろますます強まっていった。レイリーに抗う力はまだ残っているのだろうか?<br /> ひょっとしたら、もう手遅れなのかもしれない。<br /> そう弱音をはくアレクを、王子が信じないで誰が助けられるのかとオブライトは叱咤した。<br /> 「…王子は気づいていないかもしれませんが、レイリー様は見かけよりずっと強いお方ですよ。<br />  王女が心を奪われたのは心の弱みを突かれたから…王子がその傷を癒してさしあげるのです。」<br /> それでもアレクの気は晴れなかった。もしレイリーを元に戻すことが出来なければ、彼女と戦う事が自分にできるのか。<br /> 考えがまとまらず、アレクはいったん城に戻って休む事に。<br /> その帰路の途上、オブライトは一人王子の下を離れ、以前気になっていたキセノラルの古城を調べてみる事に。<br /> その中に飾られていたのは、二人の男の描かれた絵であった。<br /> その絵を目にした時、オブライトの失われていた記憶は一気に蘇ってきた。<br /> 「私は…ここでラウリ兄さんと研究を…ラウリ…『ラウリ・クルゼ』…!?<br />  私の名は…ミナウ。ミナウ…クルゼ。…『ミナウ・クルゼ』!?<br />  そんな…バカな!それではあの秘石は…魔王は……!!」<br /> 「やっと思い出したようね。」<br />  現われたのはレジーナ。<br />  その昔、ラウリ・ミナウの兄弟は人の意思を魔力に変える研究をしていた。<br /> だが、後一歩の所で行き詰った二人は悪魔の力を借りて研究を完成させた。その悪魔こそ、レジーナだった。<br /> だが、完成した「クルゼの秘石」は人の邪心を飲み込み果てしなく増大する、悪魔の魔道器だった。<br /> 最初からお前が仕組んだ事か!お前のせいで兄さんは秘石に取り込まれて…!とキレるオブライトだったが、<br /> レジーナはあれは自分にとっても想定外の事態だったとすっとぼけた。<br /> 秘石に邪心が集まるのは、それだけ人の負の感情が強いということ。<br /> (つまり秘石は基本的にありとあらゆる感情を満遍なく吸収するものだったが、<br /> 負の感情の比率がはるかに高かったため、最終的にその集合体みたいになってしまった)<br /> 「あなたのお兄さんだって、心の底ではそうありたいと思っていたから、自分から秘石に取り込まれたんじゃない?」<br />  オブライトはレジーナの言葉に何も反論できないままだった。<br /> レジーナは、ミナウがまだ思い出していない秘石の力の封印術を思い出すようにと頼んだ。<br /> かつてミナウは戦火の中ロワ王と出会い、その元で秘石の封印を完成させたが、その後同じ過ちを繰り返さないよう<br /> 秘石も魔王も封印に関しても、全ての記憶を抹消した。<br /> だが、今のままではいずれ魔王は復活し、クラーヌの思い通りに世界は滅亡することになる。<br /> それはレジーナにとっては気にくわないし、そもそも世界がなくなってしまったら面白い事が出来なくなるので、<br /> 面白ければそれでおKという性格のレジーナは、とりあえず今のところは人間側に協力する立場を取るとのこと。<br /> オブライトにとって、レジーナは秘石を産み出した恨み骨髄の相手であり、面白かろうはずはなかったが、<br /> 結局はレジーナの言葉に従う他に道はないように思われた。<br /><br /></dd> <dt>219 :<font color="#008000"><b>ラストスタンド</b></font>:2011/11/14(月) 00:32:41.80 ID:Pmn5wKlu0</dt> <dd>一方、城に一人残されたアレクの元に、封印の地ウレンガーにレイリーが軍を率いて現われたという報が届いた。<br /> 即座に封印の門に急行したアレクの前に、レイリーが現われた。<br /> 「言ったはずだ…今度我らの邪魔をした時は殺すと!」<br />  冷徹に言い放ったレイリーに、アレクはお前はレイリーじゃない、<br /> 昔からおとなしくて争い事が嫌いだったレイリーが、兄を殺そうとするような真似をするわけがない、と言ったが、返ってきたのは意外な言葉だった。<br /> 「お前はいつもそうだ…私の事など何もわからないくせに、何もかも知ったような口を聞くな!」<br />  激昂と共に魔法でアレクを叩きのめすレイリー。<br /> 「私がいつもどんな思いでいたかわかるまい。<br />  同じ双子でありながら、力がないばかりにいつもお前の影に立たされていた…<br />  私は力が欲しかった…お前をねじ伏せ何もかも自由に出来る力が…!秘石は私の願いを叶えてくれたのだ。」<br /> 堰を切ったように言葉を紡ぐレイリーに、アレクは傷つきながらも懸命ににじり寄った。<br /> 今の言葉こそ、今までずっと押し隠してきたレイリーの本当の気持ちだという確信があったから。<br /> ずっと守りたかった。だが、本当はずっと傷つけてきたのか?<br /> 「レイリー…それが…君の本当の気持ちなのか?<br />  …ごめんよ。レイリーは優しくて、いつも僕を大事にしてくれたから…君の辛さに気付いてあげることができなかった。<br />  でも…このまま君を放っておくことはできないよ」<br /> 「ならばどうする…私を倒せるのか?」<br /> 「戦う事でしかレイリーを救えないのなら……」<br />  アレクはついに決断し、戦いが始まった。<br />  勇士達との死闘の末に膝をついたレイリーから、獣じみた咆哮と共に黒き力が放たれた。<br /> 慌てて駆け寄ろうとするアレク。<br /> 「レイリー…!僕の声が…聞こえるね。君ひと…りでは…だめかもしれないけど、ぼ…僕が力を貸してあげるから…<br />  一緒に…戦ってあげるから…こいつを…心の中から…追い出すんだ!」<br /> 秘石の邪心に苦しみながらもレイリーを抱きしめ、懸命に呼びかけるアレク。<br /> 「レイリーの身体から…出て行けーーーーー!!」<br />  アレクの叫びに呼応するかのように、レイリーの身体から溢れ出した暗黒は、彼女の持っていた秘石、<br /> 更にアレクの持っていた秘石の全てと結合し、一つの石となった。<br /> そしてそれは封印の門へ向かって飛び去り、同時に門の結界は凄まじい閃光と共に破られた。<br /> 大きく開かれたウレンガーの門を呆然と眺めるアレクだったが、レイリーの呼ぶ声にようやく我に返った。<br /> 「アレク…ごめんなさい……」<br />  そう言って気を失ったレイリーを連れ、ひとまずアレクは城に帰った。<br /><br /> 長き時を経て、今度こそアレクはレイリーを取り戻すことができた。<br /> だが、アレクはまだ全てが終わったわけではないという予感があった。アレクとレイリーという依り代から秘石が切り離され、<br /> 魔王の復活はひとまず阻止されたが、一方で一つになった秘石は更に力を増し、あのウレンガーの封印すら破壊してみせた。<br /> 何十年と続いた戦乱の末に世界は荒れ、そして秘石は集まって一つとなった。<br />  「世界に悲しみが満ち、分かたれし闇が一つになるとき暗黒が再び世界を飲み込む」<br /> 冥界邪説の言葉が正しければ、戦いはまだ終わってなどいない。むしろこれからが本当の始まりかもしれない。<br /> 謎を解く鍵は、秘石が飛び去っていった門の先の「封印の地」にある。<br /> オブライトは未だに戻ってこないが、アレクはレイリーを城に残し、魔王の封じられたというその地へ進軍を開始した。<br /><br /></dd> <dt>220 :<font color="#008000"><b>ラストスタンド</b></font>:2011/11/14(月) 00:36:19.96 ID:Pmn5wKlu0</dt> <dd>第6部<br /> 封印の地においてアレクたちを出迎えたのはこれまでの比ではないほど強力な亜獣たちの軍勢だった。<br /> この強さは秘石の、いや魔王の力が及んでいるせいなのか?と驚くアレクだったが、更に驚くような事態が。<br /> 瀕死の亜獣のリーダーが、人間の言葉でアレクに話しかけてきたのだ<br /> 「魔王の復活はもうあとわずか……ゆくがいい…そして魔王の復活にその身を捧げるがいい…」<br />  薄笑いを浮かべつつ、息絶える亜獣。不吉な予感は当たっていたのだろうか?<br /> 次に現われた亜獣のボスも、一度は死んだと思われながらも、急に復活し、アレクに襲い掛かってきた。<br /> 辛うじて撃退したものの、亜獣の体からは謎の光点が現われ、いずこかへと飛び去っていった。<br /> 追い討ちをかけるかのごとく、亜獣はアレクを挑発するかのように語りかけてきた<br /> 「英雄気取りで魔王退治か…正義のためなら血を分けた妹にさえ剣を向ける…ご立派な王子殿だ…<br />  王女は苦しみ、さまよっているぞ。お前にはその姿は見せないだろうがな…」<br /> 「だ、黙れーっ!!」<br />  最も痛いところを抉られ、逆切れするしかできないアレクから再び黒き波動があふれ出てきた。<br /> レイリーを救った時に全て振り払ったはずの秘石の邪念がいまだに残っていたことに愕然とするアレク。<br /> 再び精神の侵食に襲われ苦しみもがきながらも進撃を続けるアレクに、亜獣達は語りかける。<br /><br /> 「お前はその手でいったいどれだけの命を奪ってきた?どれだけの仲間を死なせた?」<br /> 「や、やめろ…」<br /><br /> 「見るがいい、自分の身体を…血で真っ赤ではないか…お前の周りには無数の怨念が取り巻いているぞ。」<br /> 「所詮お前も魔王と変わりないではないか…お前には闇の世界がふさわしい…」<br /> 「うるさい、消えろおおおっ!!」<br /><br /> 「今更お前達があがいてももう遅い…デジルの封印は解かれた…あとひとつ…すべてがそろった時真の再生はなされ、<br />  世界は暗黒の絶望に覆われるのだ…」<br /> 「ぼ…僕らが止めてみせる!」<br /><br /> 「くく…お前達が争い…秘石を集めてくれたおかげで、秘石は力を取り戻した…<br />  お前達のしてきたことが…最後は世界の破滅を招くのだ…フフフ…」<br /><br /> そんな中、アレクは亜獣を魔法で倒しているオブライトの姿を見かけた。何かを探してさ迷っている様子で、<br /> 逃げるように去っていったオブライトの後を追おうとしたものの、その前にレジーナが現われ彼を呼び止めた。<br /> 彼女は女のカンでレイリーに何かあるかもしれないと思ったので一度城に戻ってみるようアレクに忠告した。<br /> 慌てて城に戻っていったアレクだが、レイリーも含め、何事もなかった。<br /> (アレクは知らなかったが、レジーナはアレクを引き返させて時間稼ぎがしたかっただけ)<br /><br /></dd> <dt>221 :<font color="#008000"><b>ラストスタンド</b></font>:2011/11/14(月) 00:38:33.89 ID:Pmn5wKlu0</dt> <dd>無駄な回り道をさせられたアレクは、共に城にやってきたレジーナに何もなかったじゃないか!と文句を言ったものの、<br /> 「あ~ら、だから胸騒ぎって言ったじゃない。それとも、何かあったほうがよかったのかしら?」<br /> と相変わらずのらくらと追求をかわすレジーナ。<br /> そんな二人の漫才を見たレイリーは羽が生えてる!と目を丸くしていた。よく考えたらレイリーはまだレジーナに<br /> 会ったことはないのだ。この人、誰?と尋ねるレイリーに、前に話していた知り合いだよ、と答えたアレクだが、それをさえぎり、<br /> 「あらぁ、前はワタシにあんなに夢中だったのに…王女サマが帰ってきたらもう用済みなのかしら?」<br />  と余計な爆弾を放り込むレジーナ。(一時期血眼でレジーナを捜していたから、あながち嘘じゃないのだが)<br /> 「アレクあなた…」<br /> 「バ、バカ、何変なこと考えてるんだよ!僕はただ秘石の秘密を聞こうと…」<br /> 「…スケベ!」<br />  嫉妬も露に顔を背けるレイリー。(セクシーお姉さんのレジーナに対してレイリーは永遠の10歳)<br /> 一方レジーナは、アレクがそんな痴話喧嘩を繰り広げているうちにこっそり帰ろうとしたものの、アレクに気が付かれて呼び止められた。<br /> もう少し聞きたいことがある、とアレクは、封印の地でレジーナが現われる直前に見かけたオブライトの事を尋ねた。<br /> レジーナは、オブライトが何かを探して封印の地をうろついているのは見かけたが、それ以上は知らないと答えたが、<br /> なにか隠してないか?というアレクの追求に、初めてややうろたえた様子で逃げるように去っていった。<br /> それはやはりなにか隠していることがあるということを盛大にアピールするかのような態度で、<br /> オブライトとレジーナにはなにかつながりがある、ということに薄々気づくアレクであった。<br />  ともあれ、魔王の復活は近い。再び戦いを続けようと出発しようとするアレクだったが、<br /> レイリーは自分も一緒に行くといって聞かなかった。まだ体調が万全とはいえないレイリーを連れ出すことを一度は拒否したアレクだが、<br /> 「…またそうやって私を置いていくの?」<br /> と、レイリーは見憶えのある冥い目をしつつ言った。まさかレイリーもまだ秘石の影響が…と怖気立つアレクだったが…<br /> 「ウ・ソ(はあと)」<br />  とレイリー。<br /> 「アレクがうらやましかったのは本当…でも、それ以上に自分のことが嫌だったの。<br />  だって、私って意気地なしで、何かあるといつもアレクを頼って、アレクの影に隠れてばかりいたんだもの。そんな自分を変えたかった。<br />  一人でどんどん先に進めるアレクがうらやましくて…もっと、アレクに頼らなくてもいいように強くなりたかった。<br />  そんな気持ちを秘石に取り込まれたのかもしれない…」<br />  アレクと戦った時に、アレクが私を支えてくれて、ちょっぴりだけど強くなれたような気がするの。だから…お願い。今度は私も一緒に戦わせて…!」<br /> アレクは、レイリーの目に確固たる決意を見て取った。<br /> 「…わかったよ。一緒に行こう…!」<br />  ここに、兄妹は共に手を取り合い、魔王に立ち向かうこととなった。<br />  立ちふさがる亜獣達は、相変わらずアレクを挑発するような言葉を投げかけ、アレクは秘石の力に<br /> 蝕まれ、消耗していくが、レイリーはそんなアレクを懸命に励まし、支えた。<br /> 「アレク…つらい事も…私と半分なら我慢できるでしょ?私が支えてあげるから…負けないで!」<br /> 「アレク…もう少しよ。きっとデジルに近づいているから…頑張って。私がついてるわ。」<br />  そんな折、ある亜獣が言った。<br /> 「何も知らぬという事は幸せなことだな…貴様らの執事はなぜ居なくなったのだ?<br />  貴様らを見限って姿を消したのではないのか…?」<br /> 「そ…そんなことがあるものか!」<br /> 「奴とデジルの関係を知ってもそんな口がきけるかな…?」<br />  しかし亜獣は、それ以上しゃべる前にレジーナの魔法によって息の根を止められ、アレクがオブライトの真相を知る事はなかった。<br />  これがオブライトとの約束だからとそそくさと姿を消したレジーナに、アレクの疑惑は募るのであった。<br /><br /></dd> <dt>222 :<font color="#008000"><b>ラストスタンド</b></font>:2011/11/14(月) 00:42:31.25 ID:Pmn5wKlu0</dt> <dd> 封印の地の奥深くに辿りついた頃、ようやくオブライトが帰ってきた。オブライトは、封印の方法を探すべく、世界中を巡っていたらしい。<br /> そして、秘石の封印の方法は既に見つかり、準備も進めている所だという。<br /> 強大な亜獣がひしめくこの封印の地の最深部にこうもあっさり来ることができるのはなぜか?どうして黙って準備をしていたのか?<br /> 疑問は多々あるが、オブライトは秘石のことは自分に任せてとにかく王子達はデジルとの戦いに全力を尽くすようにと言った。<br /> アレクはそんなオブライトに、本当は記憶が戻っているのではないか?と疑念をぶつけたが、<br /> オブライトはただ、全てが終わったら何もかもお話ししますとしか答えなかった。<br /> アレクはまだオブライトに対する疑惑をぬぐう事ができなかったが、レイリーは<br /> 「オブライトの過去に何があったとしても、これからもずっと変わらないでいてくれるの?」<br />  という言葉に、迷いなくはいと答えたオブライトを信じることを決断した。<br /> レイリーは、アレクに何も悩むことはないわよ、全てをオブライトに任せればいいと言い、妹の言葉にアレクもオブライトを最後まで信じることを決意した。<br />  アレクはいよいよ魔王の待ち受ける最後の地、ラム・ロンに駒を進めた。並み居る敵を蹴散らし、<br /> 辿りついたデジルの側にはあのクルゼの秘石があった。そしてそれは、デジルに吸収されていった。<br /> 「貴様達のおかげで我は力を取り戻した…礼を言うぞ…だがまだ力が足りぬ…<br />  我が野望を阻む憎きロワの一族をことごとく食らい…我は真の復活を成し遂げるのだ…」<br /> 悠然と構えるデジルであったが、アレクに恐れた様子はなかった。<br /> 今、彼には長き時を戦い抜き、鍛え上げられた多くの仲間がいるのだから。魔王の前に進み出た選ばれし勇士達に向かい、アレクは言った<br /> 「ゆけ!これが僕たちの…『ラストスタンド』だ!!」<br />  号令一下、最後の戦いが始まった。敵は、全ての人の邪念を取り込んだ魔王、対するは、長き時を戦い抜いた全ての戦士達の希望を背負った「最後に立ちし者」。<br /> 勝ったのは…「ラストスタンド」だった。<br /> 「一度ならず二度までも…何故貴様は私を裏切り…私に仇なすのだ…『ミナウ』よ。我が同胞でありながら…なぜ憎きロワに味方する…!?」<br />  オブライトに向かいそう言ったデジル。その言葉の意味することを知らないアレクは怪訝そうにオブライトを見たが、オブライトは<br /> 「私は私…オブライトはロワ家と共にあります。」<br />  と、はっきり答えた。<br /> 「『ミナウ』よ…」<br /> 「…『ラウリ』…あなたが野心を抱き、闇に心を落とさなければ…邪悪な力で世界を血に染めたりしなければ…<br />  私は…これ以上あなたに悪業を積ませたくはありません。」<br /> デジルの身体は急速に崩れ始めた<br /> 「まさか…こんなことが…なぜ私が…秘…石は…依り代…を…この私を…捨てると…いうのか…」<br /> デジルの体は跡形もなく消え去った。後に残されたのは、無傷の秘石だった。オブライトはアレクたちを<br /> 脱出させ、単身秘石の封印に取り掛かった。<br /> 「オブライト…戻ってくる…わよね?」<br /> 「絶対…戻って来るんだぞ!」<br /> 「必ず…!」<br /> アレクたちが脱出してしばらくたつと、背後で爆発音が轟いた。<br /> オブライトは無事なのかと気が気ではないアレクたちだったが、オブライトは無傷で帰ってきた。<br /> 「封印はなりました。帰りましょう。」<br />  事も無げにそう言ったオブライトと共にアレクたちは城へ帰ったが、城に戻った時、オブライトの姿はいつのまにか消えていた。<br /> 黙って姿を消したオブライトを探すうちに、レイリーはオブライトの部屋から置き手紙を発見した。<br /><br /> 「アレク様…それにレイリー様。ご心配をかけて申し訳ありません。私にはまだ…最後にやり残した事があるのです。<br />  私自身の過去に決着をつけるために、全てを終えて再び王子達の元へ戻ることができたなら、真実を全てお話します。<br />  もし戻らなかった時は、ロワ王の墓所に隠したもう一通の手紙をお読み下さい。<br />  デジルは倒れました。お二人にかけられていたデジルの呪いも解けていることでしょう。<br />  王子と王女の成長した姿を見られないのは残念です…いや、成長した姿を見るために必ず帰ります。<br />  長い戦いで荒廃した世界を再建することは容易ではありませんが、お二人ならきっとなしとげる事が出来るでしょう。<br />  願わくばお二人の未来と新しい世界に幸多からんことを……」<br /><br /></dd> <dt>223 :<font color="#008000"><b>ラストスタンド</b></font>:2011/11/14(月) 00:46:17.43 ID:Pmn5wKlu0</dt> <dd>ノーマルED(全ての国を解放していない場合)<br /> レイリーは、墓所の手紙が気になるようだが、、アレクはやめておこうと言った。<br /> 「オブライトは必ず帰ってくるって言っている…ならオブライトの帰りを待とうよ。<br /> オブライトは今までだって、約束を破ったことは一度もなかったじゃないか。きっと…帰ってくるよ」<br /> 「…そうね…そうよね。オブライトの帰りを信じて…」<br /> 「それまでに…みんなで頑張って元の平和な世界を取り戻そう。」<br /> 「きっと、私たちがいい男といい女になってて、帰ってきたオブライトびっくりするわよ。」<br /> 「ははっ…そうだね」<br />  こうして長き戦いは終わり、世界は復興の歴史を刻み始めた。<br /> ただし、執事オブライトの消息はその後の歴史書にはどこにも記されてはいなかった<br /><br /> トゥルーED<br /> レイリーと二人でオブライトの行方、それに「やり残したこと」について話していると、<br /> アレクは急にまた闇の力の発作に苦しみ始めた。秘石は封印されたのではなかったのか?<br /> 更に、そこへウレンガー門からオブライトらしき人物が一人で向かったという報告がなされた。<br /> アレクとレイリーはすぐに封印の地へと急行した。<br /> 封印の地の最深部では、オブライトが秘石と対峙していた。<br /> 「兄さん…今こそ…我らの過ちを正しましょう。<br />  お前は人の悪意が生み出した闇の結晶…今ここで、お前が帰るべき闇に戻してやろう…!」<br /> 秘石は、抵抗するかのように激しく揺らいだが、オブライトは一分たりとも揺るがなかった。<br /> 「私の心を操ろうとしても無駄だ…お前のことは誰よりもこの私が知っている…!お前はここで滅びるのだ!」<br />  だが、そこへアレクとレイリーが現われた。<br /> 「お、王子…なぜここに…」<br /> 「それはこっちのセリフだよ!」<br /> 「秘石は完全に封印されたんじゃなかったの!?」<br />  二人は、オブライトの元に駆け寄ろうとしたが、オブライトは、いけない!と血相を変えた。<br /> 「こちらへ来てはいけません!秘石が…」<br />  だが、手遅れだった。<br /> 「ツギなるヨリシロがマイおリタ……今コソわガ再生ノとキ……!!」<br />  アレクの元に飛来した秘石から上がった歓喜の声、それはあろうことかデジルのそれであった。<br /> 「やはり…最後に秘石が選んだ依り代は王子だったのか…」<br />  天をあおぐオブライト。秘石の邪念は最初からアレクとレイリーを依り代に選んでいたのだ。<br />  二人が戦いあえば、お互いの心はより傷つき心の闇をひろげてゆく…それが秘石の狙いだったのだ。<br /> アレクとレイリーだけが秘石の力の影響を受け、やがてアレクが集中的に闇の力に狙われた真相はこういうことだった。<br /> 秘石がある限り過ちは繰り返される。そこでオブライトは最後の戦いで一時的な封印を施し、<br /> 秘密裏に秘石の完全破壊を目論んだものの、このような事態を招いてしまった。<br /> 私が甘かった、とオブライトはため息をついた。<br /> 「そしておマエノ心の闇をモットヒロゲルのダ…デジルガソウシだヨウニ…闇に心ヲシズメロ…!!」<br />  秘石が力を放出すると共に、消え去ったはずのデジルは再び復活してしまった。<br /><br /></dd> <dt>224 :<font color="#008000"><b>ラストスタンド</b></font>:2011/11/14(月) 00:47:37.28 ID:Pmn5wKlu0</dt> <dd>「お前…なんかの…好きにさせるか…!」<br />  ねじ伏せてやる!と斬りかかるアレクだが、デジルは更にアレクを挑発してきた。<br /> 憎しみが高まると共にアレクの体からあふれる闇は更に力を増す。それでもなお戦おうとするアレクだが、<br /> それを止めたのはレイリーだった。怒りに身を任せてはいけない、と気づいたアレクは、<br /> この場を耐える事にしたが、その間にもデジルはアレクを更に挑発するようなことをいってのけた。<br /> 「私はお前の父や同胞を殺し、妹と殺し合いをさせた憎き存在。憎いであろう…?」<br />  負けるか!とデジルの攻撃を受け止めるアレクだが、いつまでも耐えられるものではない。<br /> いったいどうすれば…と弱音を吐くアレクに、あと少しで秘石を破壊するための結界が完成します、<br /> それまで耐えてくださいというオブライトの声が届いた。<br /> その声に勇気付けられたアレクは、苦しみながらもお前の手は分かっている、とデジルの挑発を払いのけたが、<br /> ならばとデジルはレイリーに攻撃をかけてきた。吹き飛ばされたレイリーを振り返るアレクだが、<br /> レイリーは傷つきながらも懸命に呼びかけた<br /> 「私は大丈夫…私もがんばるから…アレク、負けないで!」<br /> 「うん!」<br />  その言葉に、アレクは敢然とデジルに向き直った。<br /> 「貴様トてイツカハ疲れ倒レる…どこまで耐えられる…?」<br />  更に攻撃を繰り返すデジルだったが、アレクは邪念に負けぬように心を奮い立たせ、それを受け止めた。<br /> どういうことだ、とついにデジルも困惑を見せ始めた。<br /> と、オブライトが後は私にお任せください!!と前に進み出た。<br /> 「ミナウ…オマエが居なけレバ…わが野望がここまで、邪魔される事はなかったものを…憎き弟よ…」<br />  呪いの言葉を吐くデジルに、ようやくアレクもオブライトの真実に気づいた。<br /> オブライトは今まで隠していたことをアレクたちに詫びつつ、自分たちが秘石を作った張本人であること、<br /> そして魔王デジルが秘石の実験台となった兄ラウリの成れの果てであることをアレクらに明かした。<br /> 「ラウリ兄さんはもうこの世にはいない…ふくれあがった貴様の魔力に飲み込まれ、<br /> 忌まわしき魔王と成り果てた時に、既に死んだのです…!兄の過ちは二度とくりかえしません。」<br /> そしてオブライトはデジルに取り付いた。秘石を、二度と復活できぬよう滅ぼすために。<br /> 「ラウリ兄さん…力を…私に力を貸してくれ…!!」<br />  祈るように兄の名を口にするとオブライトは更に力を込めた。<br /> 「オブライト、やめろーっ!!」<br /> オブライトの覚悟を悟ったアレクは悲痛な叫びを上げる上げるが、オブライトは止めなかった。<br /> デジル、いやクルゼの秘石は最後の抵抗を見せるも、オブライトには秘石の邪念は一切効かない。<br /> それどころか、取り付いたオブライトから逃げる事もできなかった<br /> 「思えば …『最後の戦い』の時は封印の術が未完成で、秘石を完全に破壊する事ができなかったために、今このようなことに…<br /> だが今度は違う。二度と再生できぬよう私と共に完全に消し去ってやる!」<br /> 「ヤ…メ…ロォォ……ッ!!」<br /> 「ロワ様……今こそ…王の元へ…」<br />  最後にそう呟き、オブライトと秘石は跡形もなく消え去った。後には、アレクの悲痛な絶叫だけがあった…<br /><br /></dd> <dt>225 :<font color="#008000"><b>ラストスタンド</b></font>:2011/11/14(月) 00:48:36.82 ID:Pmn5wKlu0</dt> <dd> 城に戻ったアレク達の元に、オブライトが墓所に隠していた手紙が届けられたが、アレクはもうそれは必要ないと言った。<br /> 未だオブライトを失った悲しみから泣き続けているレイリーにアレクは言った。<br /> 「泣くなよレイリー。レイリーは強くなるって決めたんだろ?父上やオブライトを心配させないように僕らがしっかりしなきゃ…」<br /> デジルを倒し、秘石はなくなったが、世界に平和を取り戻す道のりはまだ始まったばかりだ。<br /> 「レイリー…これからもずっと二人で力を合わせて頑張ろうよ。」<br /> 「えっ?」<br />  意外そうな顔をしたレイリーに、アレクはもしかして嫌なの?と慌てたが、レイリーは急に吹き出した。<br /> 途惑うアレクに、レイリーは<br /> 「だって…アレクったら、あんまり当たり前のこと言うんだもん。」<br /> 「あっ、そ、そっか…そうだよな。はははは…」<br />  二人の笑い声が、城に響くのであった。<br />  そして、そんな二人の様子をこっそり見ていた者が。レジーナだ。<br /> 「あーおもしろかったワ。さぁて…今度は何をして遊ぼうかしら?<br />  とりあえず…王子さまがイイ男になったら、誘惑しにこよっと。」<br /><br /> 遠き過去の願いは、永き時を隔て、多くの人々の勇気と二人の兄妹の努力によって叶えられた。<br /> 永遠の平和として…<br /><br /></dd> <dt>226 :<font color="#008000"><b>ラストスタンドまとめ</b></font>:2011/11/14(月) 00:51:23.15 ID:Pmn5wKlu0</dt> <dd>以上でラストスタンド終了です。長レスお付き合いありがとうございました。<br /> なお、短くまとめるとこうです。<br /><br /> 主人公の王子様は外見10歳、実はウン百歳(もっとも精神的成長あんまりなし)。<br /> お父さんが魔王を封印した際に呪いをかけられて妹と執事もろとも歳を取らなくなってしまいました。<br /> 長い時が過ぎ、平和を保証するはずの「クルゼの護り」が壊れて亜獣という魔物が暴れるようになったので<br /> 勇士達を組織し各地を平定しますが、その過程で妹は失踪した挙句敵に洗脳されるわ自分は闇の力に精神を<br /> 蝕まれるわといろいろ大変な目に。その原因が各地で見つかる「秘石」にあるようなので、<br /> その謎を調べる過程で、実は秘石は執事が昔兄と共同研究で作った「人の精神を魔力に変える石」であり、<br /> 魔王というのは秘石が蓄えた邪念に飲み込まれた執事の兄の成れの果てだったことが判明。<br /> 長き時を経て鍛え上げた最強の精鋭部隊「ラストスタンド」により魔王を倒し、<br /> 執事は自ら犠牲となり秘石と魔王を消滅させ、主人公と妹は普通の人間に戻れました。<br /><br /></dd> <dt>227 :<font color="#008000"><b>ラストスタンド追記</b></font>:2011/11/14(月) 00:53:58.94 ID:Pmn5wKlu0</dt> <dd>追記その1:<br /> このゲームのストーリーをつらつら書きつれてまいりましたが、実のところ本当の主人公はアレクたちでは<br /> ありません。本当の主役は百年以上にわたる長き戦いに関わった多くの勇士たちで、<br /> 彼らの紡ぐドラマはプレイヤーの数だけ存在するといっても過言ではありません。<br /> 最初期を支え、後進を見出し育てた者たち、<br /> 地道に経験を重ね、最後まで現役として戦い抜いたベテラン達、<br /> そのベテランの背中を追いかけ、彼らを越えていった若き天才、<br /> 山の賑わいで入れてみたら、大化けした人(僧侶とかの後衛キャラに多い)<br /> 戦士としての夢に破れ、戦場の指揮官や新人スカウトとして名を成した者。<br /> あるいは泣かず飛ばずで年老いていき、リストラされて忘れ去られた者。<br /> そういった数々の成長と世代交代のドラマの積み重なった先に<br /> 「ラストスタンド」が魔王に立ち向かうクライマックスがあるのです。<br /> (要するにこのゲーム、システムが単純な「サカつく」ファンタジー版と考えればおK)<br /><br /> 追記その2:<br /> このゲームのキャラクターデザインを担当し、他にもキャラ設定、シナリオアドバイザーなど大きく関わったのは<br /> 漫画家の大森葵先生ですが、このゲームの後私は大森先生の代表作「ソニックウィザード」<br /> 及び「ファントムウィザード」、更に後には現在連載中の「ソウルガジェット」を読む機会に恵まれました。<br /> そして「闇の力に翻弄される悲運の兄妹(相思相愛)」って大森先生的には馬鹿一設定なんだなあ、<br /> と思った次第であります。レイリーに萌えられた方は一読推奨。<br /><br /></dd> </dl>

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