フライハイトクラウディア

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<p><strong>フライハイトクラウディア</strong></p> <p>part64-386~399</p> <hr /><dl><dt>386 :<a href="mailto:sage"><b>フライハイトクラウディア 1</b> ◆lj5erOnLIg</a> :2013/01/25(金) 13:16:59.87 ID:f+ntCcsx0</dt> <dd>軍事大国カイゼルシュルト、魔法国家セントミラ、機械文明が発達したルセムルクなど大小の国家が存在する空の世界、クラウディア。<br /> 主人公レイナスはカイゼルシュルト軍の少尉であり、王の命令を受けて親友でもありライバルでもある同期のロナード、上司のドモラ中尉と共にバーデルゼンへの侵攻を開始していた。<br /> レイナスとロナードがまずは先兵として隊を率いて上陸し、司令塔制圧にかかっていた。それも時間の問題だと思われていた頃、後続部隊としてバーデルゼンの島付近に控えていたドモラ隊は、カイゼルシュルト王より突然の命令変更を言い渡される。<br /> それはバーデルゼンの全ての兵士、及び全ての市民を抹殺せよという信じがたいものだった。<br /><br /><br /> その頃レイナスはバーデルゼンの兵士に猛攻を仕掛け、ついに司令塔へ乗り込む。司令塔には避難した民間人もいる。<br /> レイナスは部下に、たとえ戦争であっても無力な民間人を斬るために軍人になったわけではない、と民間人には手を出さないよう命令して司令室を目指す。<br /> 屋上の司令室には司令官のがルボアが待ち受けていた。どうにかガルボアを倒し、司令塔の制圧を完遂する。<br /> しかし屋上へと出たレイナスが目にしたのは、司令塔へ避難していた民間人の累々たる死体だった。<br /> 誰がこんな事を、と憤るレイナスの耳に女性の悲鳴が突き刺さる。<br /> 駆けつけた先にいたのは、今まさに女性を斬り伏せるロナードの姿だった。<br /> 思わず詰め寄るレイナスに、ロナードは冷めた目を向ける。そこにロナード隊の兵が本船より受けた命令の変更をレイナスに伝える。<br /> 『バーデルゼンの全ての兵士、及び全ての市民を抹殺せよ』<br /><br /></dd> <dt>387 :<a href="mailto:sage"><b>フライハイトクラウディア 1</b> ◆lj5erOnLIg</a> :2013/01/25(金) 13:19:19.99 ID:f+ntCcsx0</dt> <dd>激高するレイナスは、いくら本船からの命令であっても聞けないと叫ぶ。その時、ロナードの冷たい刃が振り下ろされる。<br /> ロナードは本気でレイナスを斬ろうとしていた。<br /> 咄嗟に応戦するが、とても勝ち目はない。<br /> 周りの兵士達は謀反だ! 反逆者だ! とレイナスを追い立て、ロナードにとどめを刺すように言う。しかしロナードの手はすぐに動こうとはしなかった。<br /> レイナスはその隙をついてどうにか塔の中に飛び込むと、ここからの脱出を試みる。<br /> しかし塔の外に出たレイナスを、ドモラが待ち構えていた。<br /> レイナスは思わずドモラに叫ぶ。<br /> 「ドモラ中尉! なぜあんな命令を!」<br /> 「陛下のご命令だ……。レイナス……、それ以上邪魔をすれば反逆罪だぞ」<br /> 反逆者となれば軍から追われる立場になるのは必至。<br /> しかしレイナスは己の信念を貫くことを選ぶ。<br /> 「何もしていない民間人を殺すことはできません!」<br /> 若き部下の覚悟を見たドモラは自らも戦斧を抜くと、部下達に命じる。<br /> 「反逆者レイナスを捕まえろ!」<br /><br /><br /> 同時刻、カイゼルシュルトのバーデルゼン侵攻に偶然巻き込まれた商人ベルンハイムと同乗者のニアは、負傷した街の人々の救助にかかっていた。<br /> そこに追手から命からがら逃げてきたレイナスがやって来る。足取りもおぼつかず、その場に倒れてしまうレイナスを、ニアは渋る船長を押し切って助けるのだった。<br /><br /></dd> <dt>388 :<a href="mailto:sage"><b>フライハイトクラウディア 1</b> ◆lj5erOnLIg</a> :2013/01/25(金) 13:22:22.26 ID:f+ntCcsx0</dt> <dd><レイナス回想><br /> 士官学校時代、レイナスとロナードは親友と同時にライバルであり何かと張り合うことが多かった。<br /> 今日の試験課題は、遺跡から火石を持ち帰るというものでありチーム戦となる。士官学校の講師も務めるドモラは遺跡へ向かうルートで、炎食の渓谷を使うことは禁ずることを命じる。<br /> そうして試験は始まった。<br /> レイナスはチームを率いるリーダーであり、ロナードも同じ立場――。<br /> 前回の試験では負けたが、今度は勝つ。レイナスはロナードに俺達のチームの力を見せてやると告げて出発する。<br /> <回想終了><br /><br /><br /> 目覚めるとそこはエアシップ――エアベルンの中だった。船長のベルンハイムとニアに状況を説明され、改めてレイナスは、自分が反逆者という立場になったことを認識する。<br /> 「どうして……助けてくれたんだ? 俺は……罪のない人々を手に掛けた軍の兵士だ……」<br /> 「あなたには罪のない人々は殺せない……。当たってる?」<br /> ニアが船長を押し切ってまでレイナスを助けたのは、直感的にそう感じたからだった。<br /> 優しさと強さを同時に持ち、己の信念を貫く――。<br /> そこに部屋を出ていたベルンハイムが大慌てで戻ってくる。<br /> 魔獣(=モンスター)が船を襲っているというのだ。<br /> 争乱に巻き込まれたおかげで積荷を壊され、船にまで損害が及んだことを嘆くベルンハイムは、肉体労働で返せと言っていたが、どうやら早速役に立てそうだ。<br /><br /></dd> <dt>389 :<a href="mailto:sage"><b>フライハイトクラウディア 1</b> ◆lj5erOnLIg</a> :2013/01/25(金) 13:29:19.27 ID:f+ntCcsx0</dt> <dd>盛大に改行をミスりました。すみません。<br /> この投稿から改善しています。<br /><br /> (以下続き)<br /> 魔獣を追い払い、エアベルンは修理のために魔法大国セントミラヘ向かう。しかしカイゼルシュルトが他国へ<br /> 侵攻している影響で警戒態勢にあるセントミラから警備隊が出てくる。ベルンハイムの機転により入港を<br /> 果たしたレイナス達を、セントミラに雇われた傭兵のハントが出迎えた。<br /> 船から出てきたニアを鼻の下を伸ばして迎えるハントだったが、レイナスが出てきた瞬間に銃を向ける。<br /> レイナスはまだカイゼルシュルト軍の軍服を着たままだったのだ。<br /> 「カ、カイゼルシュルト軍だ! 取り押さえろ!」<br /> ハントは愛用のクリスタル銃を構え、警備隊と共にレイナスを捕える。レイナスとベルンハイムは気絶させられ<br /> セントミラ城の地下牢獄へ、ニアはどこかへと連れて行かれるのだった。<br /> ひんやりとした牢獄でレイナスが目を覚ますと、そこにはベルンハイムだけだった。鉄柵の向こう側では獄卒が<br /> 見張っている。そこに更にハントがやって来て、ニアがいないことを気にするが、獄卒は傭兵などには<br /> 教えられないと退ける。<br /> そこで再びベルンハイムが機転を利かせる。船にある金の延べ棒を渡すから取引をしようと言うのだ。<br /> 獄卒は300本貰うことを引き換えに、ニアがどうなったか教える。<br /> ニアはヴァイスという人物が直々に調べることになっていた。<br /> 「調べる?」<br /> 「陛下が何かをお探しらしい。今頃、裸にひんむかれて……」<br /> と、そこでハントが突然牢の中に入ってくる。その手にはレイナスの剣と、ベルンハイムの小型爆弾があった。<br /> 獄卒は慌てるが、ハントは獄卒に銃を向けて雄叫びをあげる。<br /> 「……気が変わった。女の子を裸にひんむくだって!? ぜってぇ許さん!」<br /> 獄卒を叩きのめして牢から出たレイナスとベルンハイムはハントに礼を言うが、どうやらハントはフェミニストらしく、<br /> 可愛い女性のためと思えば、国のひとつぐらい潰してやるぜ。と笑う。<br /> しかし具体的なニアの居場所は分からない。ひとまずヴァイスという人物を探すことにするが、<br /> 他の獄卒や兵士達に見つかってしまう。<br /> 「今度は脱走者扱いか……」<br /> レイナスは溜息をつきつつ、剣を構えるのだった。<br /> その時、牢獄の隅でその様子を伺う者がいた。細身の女性と部下らしき者だ。どうやらレイナスのことを<br /> 知っているようだが、接触せずにしばらく泳がせておくことにする<br /> 「私は弾薬庫の仕掛けを準備する。お前達は船に戻れ」<br /> 部下達が去った後、女性は笑みを口元に浮かべた。<br /> 「ふふ……。やるわね、レイナス」<br /><br /></dd> <dt>390 :<a href="mailto:sage"><b>フライハイトクラウディア 1</b> ◆lj5erOnLIg</a> :2013/01/25(金) 13:32:16.38 ID:f+ntCcsx0</dt> <dd>厳戒態勢が敷かれているセントミラ城をこのまま突破していくのは困難とみたハントは、<br /> 倒した兵士の服と鎧を拝借して変装することを思いつく。<br /> 一方セントミラ城の王の間では、セントミラ王とヴァイスが、ニアに事情を聞いているところだった。<br /> 王はバーデルゼンが全滅したことをニアから聞かされ驚きを隠せず、ヴァイスは強硬なまでの<br /> カイゼルシュルトの侵攻には何かあるはずと考えを巡らせる。<br /> しばらく考えを巡らせていたヴァイスだったが、やがて王に向き直ると、<br /> 「エアゲートと何か関係があるのかも知れません。調査を急がせてはいただけないでしょうか?」<br /> 王もそれに同意したその時、三人のセントミラ兵が王の間に駆け込んでくる。牢獄から脱獄した者が<br /> ヴァイスを探して城内に侵入したというのだ。<br /> 「……私を?」<br /> 訝しむヴァイス。その言葉を三人は聞き逃さなかった。<br /> 「あんたがヴァイスか。陛下、申し訳ありませんが……ヴァイス殿を人質にさせていただきます」<br /> 変装を解いたハントがヴァイスを手早く拘束し、レイナスとベルンハイムがニアを保護する。<br /> ヴァイスを抱えたハントは最後にセントミラ王に一礼するとそのまま王の間を飛び出していった。<br /> しかし王は、よりにもよってヴァイスを人質にとった脱走者達に哀れみと同情を隠せずにいた。そこへ別の兵士が<br /> 飛び込んでくる。<br /> カイゼルシュルト軍が大型空中戦艦ヴァルハイトを従えて、セントミラ国境を越えたというのだ。<br /><br /></dd> <dt>391 :<a href="mailto:sage"><b>フライハイトクラウディア 1</b> ◆lj5erOnLIg</a> :2013/01/25(金) 13:35:10.51 ID:f+ntCcsx0</dt> <dd>一方レイナス達は追手をどうにかかわしてエアベルンへ辿り着く。だが離陸した彼らの前に現れたのは、セントミラ国境を<br /> 越えてやって来たカイゼルシュルト軍だった。反逆者を見つけたカイゼルシュルトは、こちらにも攻撃を仕掛けてくる。<br /> どうすべきか判断を迫られるレイナス。<br /> 「ここはセントミラに加勢しよう! このままセントミラが攻撃されるのを、黙って見ているわけにはいかない」<br /> ここでもレイナスは自分の身より信念を貫くことを決めたのだ。<br /> それを見て、ヴァイスが協力を申し出る。<br /> 「手伝いましょうか? あなた達がカイゼルシュルトを叩くのなら、今は味方です」<br /> 魔法も少々使えますのでと不敵に微笑むヴァイスに、ハントがはっと声をあげる。<br /> 「まさか、お前……雷光のヴァイスか?」<br /> 「ハント・ザ・マジックスナイパーに名前を覚えられているとは、身に余る光栄ですね」<br /> ヴァイスは雷魔法の練達者として名を馳せるセントミラの若き宮廷魔術師であり、ハントは魔銃と呼ばれる特殊な<br /> クリスタル銃を扱う百戦錬磨のスナイパーだった。<br /> レイナスの剣技、ハントの魔銃、ヴァイスの雷魔法、ニアの施術(=治癒術)で次々と相手を蹴散らしていく。<br /> 一方、本作戦の指揮を執っていたドモラは、エアベルンにヴァルハイトを近付けるよう指示する。自らも戦斧を振るって<br /> 戦おうというのだ。そしてその後ろでは、ロナードが寡黙に佇んでいた。<br /><br /></dd> <dt>392 :<a href="mailto:sage"><b>フライハイトクラウディア 1</b> ◆lj5erOnLIg</a> :2013/01/25(金) 13:37:48.64 ID:f+ntCcsx0</dt> <dd>やがてセントミラ本隊も出撃し、このまま優勢になるかと思われたがセントミラの武器庫が爆破され、戦況は<br /> 再び混乱する。さらにドモラのヴァルハイトがついにエアベルンに迫る。<br /> レイナス達は巨大な戦斧を振るうドモラに苦戦するが、どうにか凌ぐ。だが次に現れた相手に、レイナスは<br /> 仲間を下がらせ一人で剣を構えた。<br /> ロナードである。<br /> 「これは俺達の問題だ……。絶対に手を出すな……。<br /> 親愛なる我が友よ……。せめて俺の手で、眠らせてやる」<br /> しかしロナードは強かった。レイナスは再びロナードの剣に追い詰められてしまう。<br /> それなのに、とどめを刺せというドモラの怒号が飛んでも、ロナードはレイナスにとどめを刺そうとはしなかった。<br /> 今がチャンスとベルンハイムがエアベルンを撤退させる。ドモラも即座に追おうとするが、そこにセントミラ上空に<br /> 赤い閃光弾が放たれた。それはセントミラの勝利を示していた。<br /> こうしてカイゼルシュルト軍はセントミラより撤退していった。<br /> エアベルン船内ではレイナスがニアに施術を受けていた。どうにかカイゼルシュルト軍を追い払えたことに安堵する<br /> 面々だったが、ヴァイスの表情は険しい。彼はロナードの首筋に、ある痣を見つけたのだ。それは彼が調べている<br /> 『エアゲート』に関連していた。<br /> ヴァイスはレイナス達に聞いてほしい話があると言って、もう一度王に会うよう頼む。<br /> 一方、ドモラはカイゼルシュルトに帰還し、カイゼルシュルト王に報告へ向かっていた。だが王はそれに対して<br /> 何を言うでもなくただ一言「神の塔へ行け」と虚ろな目で告げる。しかも今回はロナードではなく、最近カイゼル<br /> シュルトに姿を現した謎の人物、ザマを連れて行けというのだ。<br /> 怪しげに笑うザマを薄気味悪く思いながらも、ドモラは神の塔へ向かう。<br /><br /></dd> <dt>393 :<a href="mailto:sage"><b>フライハイトクラウディア 1</b> ◆lj5erOnLIg</a> :2013/01/25(金) 13:43:58.88 ID:f+ntCcsx0</dt> <dd>セントミラ城にて、レイナス、ニア、ハント、ベルンハイムの四人は再び王に謁見する。<br /> そこで話されたのは、エアゲートという突如空に現れた穴のことだった。それは最近カイゼルシュルト領の上空に現れ、<br /> そこから少しずつ未知の魔獣が現れているというのだ。<br /> エアゲートは昔にも存在しており、その時はある装置によって封印された。今なぜそのエアゲートが現れたのかは<br /> 分からないが、その装置に何らかの障害が発生したものと考えられる。<br /> よってカイゼルシュルトとバーデルゼンに、セントミラは協力を仰ぐが、その直後にバーデルゼンはカイゼルシュルトにより<br /> 全滅させられ、セントミラも襲撃を受けることとなった。<br /> 自分も参加した作戦にそんな裏が隠されていたとは知らず、ただ驚くしかないレイナス。カイゼルシュルトがエアゲートと<br /> 何か関係しているのは明白だった。<br /> 「我々は何が起きようとしているのか突き止めたいのです……。そのためには、みなさんの協力が不可欠です」<br /> 国がおかしくなった原因がそこにあるなら協力しない手はない。レイナスは快く引き受ける。<br /> しかし肝心の装置がどこにあるかは分からない。まずはそこから調べる必要があるかと思われたが、<br /> 「神の……塔……」<br /> そう呟いたのはニアだった。神の塔とはプテリュクスにある機械の塔で、前時代の遺物である。<br /> なぜその場所に装置があることを知っているのか不審に思うヴァイスだったが、ニアはそれを語ろうとはしなかった。ただ、<br /> 自分は味方である。信じてほしいと言うだけで。<br /> こうしてハントとヴァイスを新たに仲間に加え、レイナスはプテリュクスの神の塔へ向かう。<br /> しかしその道中、エアベルンをエアゲートが襲う。あわや吸い込まれるかとなったその時、ニアが転送魔法を使うと言う。<br /> だがそれはクラウディアには存在しないはずの魔法だった。ヴァイスの制止をはねのけ、ニアは魔法を発動させる。<br /><br /></dd> <dt>394 :<a href="mailto:sage"><b>フライハイトクラウディア 1</b> ◆lj5erOnLIg</a> :2013/01/25(金) 13:46:43.23 ID:f+ntCcsx0</dt> <dd>レイナスは夢でかつての自分を見た。あの士官学校での試験、レイナスは禁止されていた炎食の渓谷を通っていた。<br /> しかしあまりにも強すぎる魔獣達に苦戦を強いられ、レイナスを含め全員が疲労困憊していた。もう限界だという部下を、<br /> 俺達の絆があれば乗り越えられると進むレイナスに非難があがる。もうついていけないと、一人が逃げたのを始め、<br /> 次々に逃げ出しついにレイナスは一人炎食の渓谷へ取り残されてしまった。<br /> ハントの声に目を覚ましたレイナスは、自分がプテリュクスの街近くにある森にいることに気付く。だがニアやヴァイス、<br /> ベルンハイムの姿はない。さらには、周辺を調べたハントによるとドモラの戦艦を見つけたというのだ。<br /> カイゼルシュルトも神の塔へ向かっていることを悟ったレイナスは、自分達もそこへ向かうことにする。<br /> 森を抜けた先のプテリュクスの街でヴァイスと再会し、神の塔へ着いたレイナスは中に入る。しかしそこにはいくつもの死体と<br /> 夥しい量の血だまりがあった。そしてその中にニアが立ち尽くしていた。<br /> 呆然と振り返るニア、疑問を募らせるヴァイス。しかしレイナスとハントはまったく気にせずニアとの再会を喜ぶ。<br /> 魔獣や制御不能となったセキュリティロボット、数々のドアロックを解除してついには最上階にある装置に辿り着く。<br /> だがそこには既にドモラがいた。さらにザマが装置を完全に壊し、レイナス達の前に姿を現す。<br /> 「ザ、ザマ……!」<br /> 「クックックッ……。こんなところでお会いするとは……」<br /> 初対面のはずのザマをニアは知っていた。さらにカイゼルシュルトに関わっているのか問う。<br /> するとザマは笑いながら自分がカイゼルシュルト王を操り、国全体を動かしていることを話す。憤るレイナスは、ザマを<br /> 倒せば王は元に戻るというニアの言葉に、彼に剣を向ける。しかしザマはドラゴンを召喚し、この場から消えてしまう。<br /> このままドラゴンと戦うしかないのかと思われたが、タイミングよくベルンハイムがエアベルンで現れる。ドモラの協力の<br /> もとレイナス達は神の塔から脱出する。その直前、ドモラはレイナスに告げる。<br /> 「あいつも……操られているぞ……」<br /> ロナード――。レイナスの脳裏に親友の姿が浮かぶ。<br /><br /></dd> <dt>395 :<a href="mailto:sage"><b>フライハイトクラウディア 1</b> ◆lj5erOnLIg</a> :2013/01/25(金) 14:07:12.69 ID:f+ntCcsx0</dt> <dd>無事に空へ脱出した一行だったが、ヴァイスがニアを問い詰める。エアゲートを封印していた装置のありかや、ザマを<br /> 知っていたこと、クラウディアには存在しないはずの魔法を使ったことなど、あまりにも疑問点が多すぎる。<br /> いつ裏切るか分からないと問い詰めるヴァイスと、ニアを信じるハントは一触即発の状態になる。<br /> そこにレイナスの、ニアが裏切るわけないだろ! という声が響く。<br /> 「ニアはもう……仲間だから……」<br /> 誰にだって知られたくないことがある。しかしそれは裏切りではなく、仲間に嫌われたくないだけとレイナスは言う。<br /> ハントはもともとそんなものは気にしない。<br /> それまで詰問していたヴァイスはそんな二人に、単純な人達だと言いながらも、自分もレイナス達の仲間に入りたくなったと<br /> 本音を口にする。レイナスはそんなヴァイスにも、もう仲間だと告げるのだった。<br /> こうして絆も深まった一行は、ザマを倒すためにカイゼルシュルトへ向かう。<br /><br /></dd> <dt>396 :<a href="mailto:sage"><b>フライハイトクラウディア 1</b> ◆lj5erOnLIg</a> :2013/01/25(金) 14:11:30.09 ID:f+ntCcsx0</dt> <dd>カイゼルシュルト軍の陽動をベルンハイムが引き受け、レイナス達は城壁から城内に侵入する。<br /> 侵入したそこには、ザマが待ち構えていた。<br /> その隣には、親友ロナードの姿も――。<br /> ザマはレイナスとロナードを殺し合わせようというのだ。<br /> 手を貸そうとする仲間を制して、レイナスは一人ロナードと対峙する。<br /> 「お前はずっと気付いてくれるのを待っていたんだな……」<br /> レイナスとロナードの剣が交差する。ロナードの長刀から激しい剣撃が繰り返され、レイナスは受けるので精一杯だった。<br /> しかし今度こそ親友を救いたいという思いが届いたのか、ロナードの剣に迷いが生じ始める。<br /> やがて冷たい光を宿していたロナードの瞳に、正気の光が見えた。自らの意思でザマに施された術を解いたのだ。<br /> しかしそれを見たザマは、使えない人形に用は無い、とロナードを吹っ飛ばしてレイナス達の前に自ら立ちはだかる。<br /> ついにザマとの直接対決である。<br /> 一方吹き飛ばされたロナードは壁に叩き付けられ気を失っていた。その中でザマに術を施された時のことを思い出し、<br /> ようやく覚醒する。<br /> 目の前で親友レイナスがザマと戦っている姿を見て状況を把握したロナードは、窮地のレイナスを助けるために<br /> 戦いの渦中に身を投じる。<br /> ロナードの助けもあって、レイナス達は苦戦の末どうにかザマを倒すことができた。しかしザマは謎の言葉を残す。<br /> 「お前達は何も分かっていない。やがて変化が起きる……。全ての事象は……我々が下すのだ……」<br /> ザマの亡骸を後にして、レイナス達は玉座へ急ぐ。そこにはザマの術が解けたものの気を失っている王が倒れていた。<br /> ずっと赤い世界の夢を見ていたという王に、おそらくエアゲートの中の世界ではないかと推測するヴァイス。<br /> レイナスは魔獣を葬って欲しいという王の願いを託される。<br /> 「カイゼルシュルトの名にかけて世界を頼んだぞ!」<br /><br /></dd> <dt>397 :<a href="mailto:sage"><b>フライハイトクラウディア 1</b> ◆lj5erOnLIg</a> :2013/01/25(金) 14:13:30.77 ID:f+ntCcsx0</dt> <dd>その時カイゼルシュルト上空に以前に見た時よりさらに大きさを増したエアゲートが出現する。そこからは<br /> 見たこともない魔獣がどんどん溢れていた。<br /> あまりの大きさに絶句する一行に、ついにニアが口を開く。<br /> 「みんなに話したいことがあるの……」<br /> ニアによると、エアゲートはエルディアという別世界に繋がっているという。エアゲートの先は、元は魔獣研究所だった<br /> アルペイトケイヴ。そこに、フューゼという魔獣を生み出す魔獣が現れ、エルディアの人々は生み出されたその魔獣と<br /> 何年も戦い続けているというのだ。フューゼには何度も戦いを挑んだがその度に敗北してきた。<br /> その話を聞いたレイナスは仲間を振り返る。何も言わずとも全員解っていた。<br /> ロナード、ハント、ヴァイス、そしてニア。全員で、クラウディアとエルディアのために、フューゼを倒すことを決意する。<br /><br /><br /> エルディアは赤い大地がどこまでも続く荒れた世界だった。そこに天高くアルペイトケイヴがそびえ立っていた。レイナス、<br /> ロナード、ニア、ハント、ヴァイスの五人はついにそこに降り立つ。<br /> 中は壁や床が奇妙に脈打ち、まるでひとつの生き物のようだった。手強い魔獣や入り組んだ通路を抜け、一行は<br /> ついに最下層に辿り着く。<br /> フューゼは三つの顔を持つ巨大な魔獣だった。想像を絶する相手に思わずたじろぐ仲間を鼓舞し、レイナスは<br /> 世界を守るために剣を抜く。<br /> からくもフューゼを倒したレイナス達を、突然の揺れが襲う。あまりの激戦にアルペイトケイヴが崩れようとしているのだ。<br /> 急いでエアベルンに戻ろうとするが、フューゼは完全には倒れていなかった。しかし応戦していては逃げ遅れてしまう。<br /> ヴァイスは咄嗟にニアと協力して転送魔法を発動させる。しかしその寸前で、ロナードはただ一人、フューゼに<br /> 止めを刺すために魔法陣から離れるのだった。レイナスの呼ぶ声虚しく、ロナードの姿は消えた。<br /> エアベルンの甲板へ無事に脱出できたレイナス達を見て、ベルンハイムはすぐにこの場を離れようと言うが、<br /> レイナスはアルペイトケイヴを見つめる。<br /> 「あいつが待ってる……」<br /> レイナスはニアの制止を振りきって再びアルペイトケイヴに降り立つ。<br /> 「みんな、ありがとう……」<br /><br /></dd> <dt>398 :<a href="mailto:sage"><b>フライハイトクラウディア 1</b> ◆lj5erOnLIg</a> :2013/01/25(金) 14:14:55.61 ID:f+ntCcsx0</dt> <dd>最下層ではロナードが満身創痍で倒れていた。そこにレイナスが駆け寄る。助からないことを知っていて<br /> なぜ助けに来たと問うロナードに、レイナスは『あの時』のことを話し始める。<br /> それは士官学校の試験で遺跡に火石を取りに行った時のことだ。禁止されていたルートを行ったことで、<br /> レイナスの仲間は全員逃げ出した。<br /> 友情、信頼、絆。現実の前では何の意味も持たないことを、レイナスはとっくに解っていた。だが認めたくなくて、<br /> 知るのが怖くて、友人や仲間に見捨てられることに怯えて必死に強がっていたのだ。<br /> そして――、そんな自分が嫌いだった。<br /> あそこで死を覚悟していたあの時に、ロナードは来た。<br /> 汗と魔獣の返り血で全身ぐっしょりで、体中傷だらけになりながらロナードは事も無げにこう言った。<br /> 「レイナスじゃないか。こんな所で何やってるんだ」<br /> と。<br /> 昔話から戻ったレイナスはロナードに言う。<br /> 「だから来たのさ……。同じことを言いにね」<br /> 「……馬鹿だな」<br /> 死を前にしているとは思えない笑い声が二人の間に響く。<br /> その時、突如二人の前にフードをかぶった三人の人間が現れる。3種植合成種だとか、空の者だとか、<br /> E.B.Sだとかいう単語を口にする者達にレイナスは警戒心を露わにするが、三人はまったく意に介さない。<br /> さらにアルネウスの光やファルバナなど聞いたこともない単語が飛び交う。<br /> やがてリーダーらしき男が何かを言うと、レイナスとロナードの足元に魔法陣が浮かぶ。それは転送魔法の<br /> 魔法陣だった。<br /> 一瞬の後に、レイナスとロナードはアルペイトケイヴから消える。<br /> 甲板ではレイナスとロナードをどうにか救えないのか、しかし何もできないことを悔やむニアとハント、ヴァイスの<br /> それぞれの姿があった。<br /> そこに空間が歪み、レイナスとロナードが現れる。<br /> 二人の無事と再会を喜ぶニア、ハント、ヴァイスにレイナスは笑顔を向ける。<br /> 「みんな……。ただいま……」<br /><br /></dd> <dt>399 :<a href="mailto:sage"><b>フライハイトクラウディア 1</b> ◆lj5erOnLIg</a> :2013/01/25(金) 14:19:51.36 ID:f+ntCcsx0</dt> <dd>以上です<br /> 少々ツッコミどころがあるストーリーだったり、消化不良な点があったりしますが<br /> 10年近く前のモバイルゲームなので致し方ないとご容赦ください<br /> シリーズ化していて、現在4まで出ています。3で1から続く話は終わって、<br /> 4はまったく別の独立したストーリーになっています<br /><br /></dd> </dl>

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