ダーククロニクル

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''ダーククロニクル'' >>16-193~194・197・199~201・230~231・238・240~241・264~266.272~273 ---- 193 ダーククロニクル sage 2005/06/23(木) 16:16:27 ID:dcT6fMVB そんじゃ書きます でも、うちのパソは暑がりで調子悪いんで少しずつ上げることになりそうです 主な登場人物 ユリス…主人公。発明好きの少年。父に譲られた「赤い石」を持つ モニカ…もう一人の主人公。未来世界のレイブラント王の娘。      父の形見の「青い石」を持つ エイナ…ユリスの母親。ユリスが幼いころに家を出て消息不明      父は何か知っているようだが教えてくれない ギルトーニ…グリフォン大帝の部下。モニカにとっては父の仇 グリフォン大帝…闇の支配者と呼ばれる謎の人物、詳細不明 注意:この作品は「時間」がテーマになってますが 「タイムパラドックス」がどうとかいう突っ込みは無しの方向で願います 194 名無しさん@お腹いっぱい。 sage 2005/06/23(木) 16:18:01 ID:dcT6fMVB 第1章 外の世界へ ある日、パームブリンクスの町に暮らす少年ユリスが サーカスを見に行った事からこの物語は始まる。 ユリスの首には、つい最近父親からもらった赤い石の首飾りが下がっていた。 ふとした事でユリスは、サーカステント内でサーカス団長ポルカスと パームブリンクス町長ニードのこんな会話を聞いてしまった。 ポルカス「『石』はまだ見つからないのですか?」 ニード「…もう町中探した、しかしそんな『石』があるなんて話は…」 ポルカス「言い訳は聞きたくありません。       町の外がどうなっているのか、知られてもいいというのですか?」 ニード「…!それだけはやめてくれ!そんなことになったら大混乱が起こる。     『石』探しどころではなくなってしまう。 ポルカス「…分かりました。でもあまり長くは待てませんよ。」 ニード「…本当にこの町にその『石』があるって言うのか?」 ポルカス「それは間違いありません。」 そのとき、ユリスはポルカスに見つかってしまい、思わず逃げ出した。 ポルカスはユリスの首飾りに気付き、「フフフ…ついに見つけましたよ。」と ユリスに追っ手を差し向けた。 なんとか追っ手をまいて地下水道に逃げ込んだユリス。 その地下水道を秘密基地にしていた友人ドニーによれば、 町の外の水源から水を引いているこの地下水道を通れば町の外に出られるらしい。 「町の外がどうなっているのか」というポルカスの言葉が気になっていたユリスは 地下水道を通って町の外へ出てみることにした。 ポルカスが差し向けた巨象「リンダちゃん」や からくりマシーン「ハロウィーン」などを退けつつ地下水道を進んでいくユリス。 ちょうどその頃、ユリスから話を聞いた職工スターブルはニード町長を問い詰めていた。 町長の話は、驚くべきものであった。 今のままでいいのかと言うスターブルの言葉に動かされたニードは 町の外を見せないようにと廃止していた「バース鉄道」を再開することを決めた。 地下水道を抜けたユリスの目の前に、ちょうど「バース壱号」が到着。 これに乗って外の世界を旅するぞというスターブルについて バース壱号に乗り込んだユリス。 ユリスは、スターブルからニード町長が隠していたことを聞いた。 10年ほど前に、世界は突如として滅び、 地上に残ったのはパームブリンクスの町だけだったのだ。 グリフォン大帝なる人物がやったことらしいのだが詳細は不明。 そんな現状を打破するべく、バース鉄道で世界をめぐって何か方法を探す旅をするのだ、と。 快調にとばすバース壱号だったが、不意に振動が襲った。 外を見てみると、ポルカスが武装バギーに乗って追ってきていた。 ユリスは爆弾を投げつけて武装バギーを破壊するが、 ポルカスは全身にダイナマイトを巻きつけた姿で迫ってきた。 「爆弾投げてみなさい、ほら、ほら」 戸惑うユリスの前に、突然、剣を持った少女が現れてポルカスを成敗した。 これが、未来からやってきた少女モニカとの出会いだった。 197 ダーククロニクル sage 2005/06/23(木) 18:50:11 ID:dcT6fMVB 第2章 よみがえる大長老 バース壱号は「シャーロットの森」で停車した。線路が岩でふさがれていたのだ。 「ちょうどいいわ、ここでやることがあるから」と言ってモニカは列車を降りた。 モニカは100年後の世界からやってきた。 100年後の世界もグリフォン大帝により滅亡の危機を迎えていた。 種を蒔けば花が咲く。つまり花が咲くには種が蒔かれなければならない。 この場合、「種を蒔くこと」を「花」の「起源点」と呼ぶ。 グリフォンは、自分に逆らい得る者は、起源点を消すことによって歴史から抹消していった。 そして、このシャーロットの森には「大長老ジュラク」と呼ばれる神木の起源点があるはずだったが グリフォンによって抹消されてしまった。 モニカは、それを元に戻そうというのである。 この森に住むファブリース族は、建物や森を作り出す不思議な力を持っている。 ぜひとも起源点を復活させるのに協力して欲しいのだが、 共に暮らしていたホーリーという女性を探しに森に入った仲間が戻らないと無理だといわれて ユリスとモニカはファブリースの仲間を探しに森に入った。 いろいろあって、ファブリースの仲間を連れ帰ってきた2人。 2人は、続いてホーリーの探索も頼まれた。 それと引き換えに、ファブリースたちが起源点の復活に力を貸してくれることになった。 いろいろやっているうちに、ジュラクの起源点復活に成功した二人は 2人が持つ赤と青の石「アトラミリア」の力を使って100年の時を越える。 ジュラクは、輪廻転生を繰り返して過去の記憶を持っているといわれている。 しかし、ジュラクにグリフォン大帝のことを問うが、よくわからないと言われてしまった。 仕方ないので、とりあえず現代に戻ってホーリーという女性の探索を続けた。 森の奥で「七色蝶」という魔物に襲われ、これを撃退すると 七色蝶は女性の姿になった。 ホーリーとは七色蝶が人の姿をとっているときの名だったのだ。 昔、蜘蛛の巣にとらわれた自分を助けてくれたファブリースに恩を返そうと ともに暮らすようになり、彼女もその暮らしに満足していたのだが ある時からグリフォンの悪しき思念に影響され、魔物としての凶暴性が煽られるようになり、 ファブリースに危害を加えてしまう前に彼らの前から姿を消したのであった。 ホーリーは、もう彼らの元へは戻れないと、ファブリース宛の手紙を2人に預けて森の奥へと消えていった。 その手紙を読んだファブリースたちは涙に暮れながら、以後も2人の旅に同行することを約束してくれた。 そして再び未来世界のジュラクに会いに行くと、グリフォンのことを思い出したという。 グリフォンは、遠い過去の人物であり、花が好きだという。 しかし、あまりにも昔のことで、どれくらい過去のことかはよくわからない、 だが大賢者クレストならばわかるかも知れない、と言われた。 大賢者クレストは、未来世界における最高賢者であり、 月のクリスタルを用いた大占星術で世の中のすべてを見通す力を持つ。 しかし、ジュラクと同様にグリフォンによって抹消されてしまっている。 ならば、ジュラクを復活させたのと同様にクレストも復活させよう、という結論に達した二人。 ちょうどそのころ、バース鉄道の線路が職人たちの手で復旧された。 次の目的地は「てんびん谷」。 未来で「ステラ寺院」が建立される場所であり、クレストの起源点もそこにある。 というわけで、バース壱号に乗っててんびん谷へと向かう2人であった。 199 名無しさん@お腹いっぱい。 sage 2005/06/23(木) 19:17:19 ID:miyrWwgv >195 忘れてました。 シナリオ2のアウトマップイベントで子供を助ければEDが変わります。 変わるといっても子供が助けに来る、最後のテロップが少し変わるぐらい。 200 ダーククロニクル sage 2005/06/24(金) 10:39:22 ID:p/u2z3sv 第3章 星になった賢者 バース壱号はてんびん谷の停留所へ到着した。 またしても線路がふさがっているので復旧作業が開始。 ユリスとモニカは列車を降りててんびん谷へ向かうと、 一軒の家が建っていた。2人はその家に入ってみることにした。 そこにいた、しゃべるフクロウのシローザにクレストの事を尋ねると クレストはすでに亡くなってしまったという。 残されたクレストの弟子リンは病に倒れて明日をも知れない状態。 リンを救うために現在と未来、二つの世界を奔走した2人は リンの病を治すことに成功した。 しかし、目を覚ましたリンは、クレストの死を覚えていなかった。 記憶をなくしているのだ。 だが、リンの記憶はクレスト救出の重要な鍵を握っている。 とにかく、リンを連れてクレスト終焉の地、月の灯台へ向かうことになった。 道中、ヨルダの谷と呼ばれる場所に差し掛かると、リンに憑いていた魔物が姿を現した。 人の思い出を食らう魔物、メムイータ。こいつのせいでリンは記憶をなくしていたのだ。 メムイータを倒すと、リンはすべてを思い出した。 昔、このヨルダの谷で、クレストはリンに「賢者」になる夢を語ってくれた。 こんな話だった。 クレストが幼いころ、彼の住んでいた村を野盗が襲ったが、 たまたまその町に滞在していた魔道士がそれを退けた。 クレストは魔道士にこう尋ねた。「あなたがおとぎ話に出てくる賢者さまなの?」 魔道士は答えた。私は賢者とは程遠い存在だと。 賢者というのは、そこにいるだけで人々を救うことが出来る者を言うのだと。 その話に感銘を受けたクレストは、ただそこにいるだけで人を救えるような人物、 「賢者」になる事が生涯の夢となる。 そんなクレストは、月の灯台で海を照らしていた「月のクリスタル」を守ろうとしてその命を散らした。 彼を救うには、月の灯台が襲われたその時に戻る必要がある。 そこで登場するのが、未来世界の道具屋で手に入れた「星の砂時計」。 使った者の思いが最も強く残る時まで時間を巻き戻せるという魔法のアイテム。 リンが月の灯台跡でそれを使うと、3人は時を遡った。月の灯台が襲われたまさにその時に。 リンを灯台の外に残し、ユリスとモニカは灯台に踏み込んだ。 201 ダーククロニクル sage 2005/06/24(金) 10:40:05 ID:p/u2z3sv 月の灯台を襲ったのは、モニカの父の仇ギルトーニが指揮する飛空軍艦デスアーク。 機を見てデスアークに飛び移ったモニカはギルトーニに戦いを挑む。 月の灯台に残ったユリスは、過去のリンを邪悪な炎から守るべく奮闘する。 2人の戦いは、同時に始まった。 モニカの剣にギルトーニが膝をついた時、突然デスアークが体勢を崩した。 クレストが月のクリスタルの力を用いてデスアークに攻撃を仕掛けたのだ。 ギルトーニは月のクリスタルへの砲撃を指示。 クレストは、月のクリスタルを守る盾となって瀕死の重傷を負う。 クレストの攻撃でかなりのダメージを負った軍艦デスアークは去っていった。 クレストは、自分の夢を愛弟子リンに託してこの世を去った。 リンはクレストのなきがらを抱きかかえて呟いた。 「あのね…私にとってはとっくに…先生は賢者さまなんだよ。  一緒にいるだけで、私、救われてた…  先生…見守っててね。私、なってみせるよ。先生がなりたかった伝説の賢者さまに…」 元の時間に戻ったユリスとモニカは、結局クレストを救えなかったと落ち込むが、 そんな2人にリンはこう言った。 「きっと、未来は変わったよ。」 彼女の表情からは、師の夢を自分が叶えるのだという強い決意が見て取れた。 リンと別れた2人は、未来世界のステラ寺院を訪れた。 そこで2人を出迎えたのは、大賢者クレストという名の老婆。 リンだった。夢叶って賢者となった彼女は、師の名を継いだのだ。 リン改め大賢者クレストはさっそくグリフォンの居場所を占い始めた。 グリフォン大帝がいるのは1万年前。そこから、この時代に悪しき思念を飛ばしている。 その思念は、元から悪しき心を持つものたちに同調し、グリフォンに協力しているのだ。 グリフォンを倒すには1万年前へ行くしかない。 しかし、2人の持つアトラミリアではせいぜい100年程度の時を超えるのが精一杯だ。 それに、アトラミリアは本来そんな使い方をするものではないのだとクレストおばばは言う。 1万年の時空跳躍…そんなことが果たして可能なのかわからないが 「ルナ研」の連中ならば、あるいは方法を見つけられるかもしれない。 ルナティック・ウィズダム研究所、通称ルナ研。 未来世界で最高の研究機関であるが、例によって歴史から抹消されてしまった。 というわけで、次の目的地はルナ研の起源点、ベニーティオ海岸。 2人は、バース鉄道でベニーティオ海岸へ向かうのであった。 賢者になったリンは強くなった。 きっと、クレストは星になってリンのことをずっと見守ってくれているのだろう。 リンにとっては、クレストこそがたった一人の賢者さまなのだから。今も昔も、これからも… 230 ダーククロニクル sage 2005/06/25(土) 12:34:29 ID:Tw8mXuyB 第4章 さよなら、シグー バース壱号はベニーティオ停車場に停まった。 橋が落ちていて例によって立ち往生のバース壱号。 海岸に出た2人は、海岸の洞窟から「鳴き声」のようなものを聞いて 様子を見に行った。 そこにいたのは、シーグラという海竜の子供と、 それを手当てする少年だった。 少年の名はパウ。シーグラの子の名はシグー。パウが名づけたらしい。 群れからはぐれてひとりぼっちになっていたシグーをパウが保護したのだが 数日前に不注意からシグーが怪我をした。 手当てをしようにも、人間の薬はシーグラには効き目がない。 パウは、シーグラの群れに会ってシーグラの薬をもらうために出かけてしまい、 ユリスとモニカは半ば強引にシグーの様子を見ることになってしまった。 しかし、シグーはパウを追って洞窟を出て行ってしまった。 2人はシグーの後を追った。 なんとかシグーに追いついたが、シグーは正気をなくしていた。 その頭には、ヘルメットのようなものがつけられている。 何者かに操られているのだ。 そこに現れたパウと一緒に一時撤退。 未来へ飛び、復活途上のルナ研で知恵を貸してもらい 操られたシグーを正気に戻す事に成功。 結局、シグーの薬はユリスとモニカが探しに行く事になった。 シーグラの翻訳機をルナ研で借り、それを使ってシーグラたちと交渉、 薬を譲ってもらった2人はパウとシグーの元に戻った。 シグーの怪我は無事に治った。しかし喜びもつかの間。 飛空軍艦デスアークがシーグラの村の方向へ飛んでいくのを目撃した。 村を襲うつもりなのは間違いない。ユリスとモニカはシーグラの村へと急いだ。 シーグラの村に着くや否や、シーグラの群れに囲まれてしまった2人。 シーグラたちの頭にはシグーのときと同じヘルメットがつけられていた。 そして、そこに現れたのはギルトーニの部下、Dr.ジャミング。 シーグラたちを操っているのは、そしてシグーを操ったのもこいつの仕業だ。 ジャミングを倒すと、そこにパウとシグーがやってきた。 シーグラは渡り竜。季節によってその住む場所を変える。 そして、ちょうど今がシーグラの移動の時期なのだ。 シグーは仲間たちとともに去っていった。パウに後ろ髪を引かれる思いで。 それから、シグーは毎年ベニーティオの海岸に現れてはパウの姿を探すようになった。 20年後。シーグラの新しい長老シグーは 大量の「ルナストーン」をベニーティオ海岸に運んできた。 ルナストーンには、人の思考力を飛躍的に向上させる力がある。 その力によって、ルナティック・ウィズダム研究所、通称ルナ研は完成することとなる。 231 ダーククロニクル sage 2005/06/25(土) 12:35:19 ID:Tw8mXuyB シグーの件が一段落して、100年後のルナ研にやってきた2人。 そこで、所長のDr.チャップに1枚の設計図を見せられた。 列車型時空間跳躍装置「イクシオン」。 これが完成すれば1万年前に行くことも可能だという。 所長は、イクシオンの開発責任者を呼び出した。「ジャミング博士!」 その名に驚く2人。 実はこのジャミング博士という人物は、2人の邪魔をしたDr.ジャミングの孫であった。 Drジャミングは二人に倒されてから改心。 研究に没頭して、音を利用した飛空技術「空調和」を完成させたのだ。 そして、その技術はイクシオンにも生かされているという。 その話を聞いていたモニカは不思議そうな顔で言った。 自分の知る歴史では、空調和技術は完成していなかったはずだと。 ユリスとモニカの旅は、グリフォンによって一度壊された歴史を再構築してきた。 そして、それは以前のものとは少し違ってきているのだ。 ユリスは言った。モニカの知る歴史が真実の歴史とは限らないと。 そして、こうも言った。グリフォンさえも、真実の歴史を作るために必要な存在なのかもしれない。 しかし、それをモニカに力いっぱい否定されて黙ってしまった。 その時、反乱軍本部が攻撃を受けているという通信が入った。 「エイナに繋げ!」所長が飛ばしたその声に、ユリスは反応した。 (エイナ?!…母さんの名だ。) そして映し出された、通信機の向こう側にいる人物は、まさしくユリスの母だった。 エイナもユリスに気づいたが、状況が状況のためゆっくり話している時間はなかった。 窮地に陥った反乱軍だが、移動要塞「パズノス」が復活すれば反撃の糸口となる。 当然のことながらグリフォンに消されていたパズノスを復活させるべく、 ユリスとモニカはパズノスの起源点のあるガンドール火山へと向かうことになる。 「母さん…待ってて。必ず僕が助ける!」 238 ダーククロニクル sage 2005/06/25(土) 22:56:54 ID:7b8a4gXr 第5章 決戦!過去と未来と バース鉄道に乗って2人はガンドール火山のふもと、ヘイム・ラダへとやってきた。 そこは、火の粉の雨が絶え間なく降り注ぐ荒野と化していた。 その時、上空を軍艦デスアークが火山方面へ飛んでいくのを目撃。 この火の雨はギルトーニの仕業に違いない。 2人は火山を登っていった。 山頂に到着すると、そこには巨大な装置が置かれていた。 これが火の雨を降らせているのだ。 その装置「ファイアースコール」を破壊すると、そこにデスアークが出現。 「ファイアースコールを破壊したか…目障りな奴らめ、死ね!」 デスアークの攻撃をかいくぐり、モニカは艦に飛び移る。 その間もユリスは艦に向けて攻撃を続けた。 モニカとギルトーニの勝負は今回もモニカが優勢だった。 しかし、その時、艦が大きく揺れ、 体勢を崩したモニカにギルトーニが当て身を入れた。 その一撃でモニカは気を失ってしまった。 艦はさらに体勢を崩し、ついに火口へと墜落していった。 モニカとギルトーニを乗せたまま…。 ユリスは単身、モニカを救うために火口へと降りていった。 デスアークの墜落地点には、気を失ったままのモニカ、 そしてギルトーニが待ち構えていた。 1対1の勝負はユリスの勝利に終わった。 「なぜお前はそこまでして戦おうとするのだ…」 「お前たちが母さんを苦しめてる。お前を倒さないと母さんが危険なんだ。」 目を覚ましたモニカがギルトーニに斬りかかった。それをかわして、 「…お前もそんなに私が憎いか。そうだったな、私はお前の父の仇だったな。」  …同じだよ、お前たちも、私も…。  …私にも人並みに母親はいたのだ。」 ギルトーニは自分の過去を語りだした。 彼は、魔族の父と人間の母の間に生まれた子だった。 父が病で他界すると、彼と母親は人間たちに迫害されるようになった。 住んでいた村を追われた2人は、放浪の旅を余儀なくされた。 彼の母親は、時には盗みを働いてまで彼に食料を与えてくれたのだという。 しかし、いつしか彼の母親も病に倒れた。 「自分の守るべきものを探しなさい…それを見つけるまで、旅を終えてはいけません…」 そう言い残して母親はこの世を去った。 「…私の旅はいつ終わってしまったのか…。母の言いつけを何一つ守れていない…。  私には、守るべきものなど…なかった。  お前たちにはあるのだな、守るべきものが…。  …私も、お前たちの旅の行く末を見届けたくなった。  さらばだ…」 240 ダーククロニクル sage 2005/06/25(土) 23:16:00 ID:7b8a4gXr ギルトーニが立ち去ろうとしたその時、どこからともなく声が響いた。 「裏切りは許さないよ… 君は、僕の仲間なんだろう?  そこでそいつらを殺してくれないと…困るんだ…」 ギルトーニは突然苦しみだし、炎の魔人へと変貌した。 2人は、正気を失った魔人ギルトーニを倒すしかなかった。 「…残念だ…どうやら、お前たちの旅の行方、見届けられそうにないな…  母に会ったら、伝えよう…  私の旅の最後に出会った、お前たちの事を……」 ギルトーニは息を引き取った。 モニカは呟いた。「…わたし、グリフォン…許せない…!」 ユリスも同じ気持ちだった。 場面は変わって、未来世界。 ついに、反乱軍の切り札パズノスは復活した。今こそ反撃の時である。 グリフォンが山ひとつ潰して作り出したゴーレムの大群が、 パズノスの砲撃によってあっさりと一掃された。 パズノスのブリッジからそれを見ていたユリスは、ただただ驚くばかりだった。 そこに、ユリスの母エイナが現れた。 エイナは、今までのいきさつ、そしてなぜユリスの前から姿を消したのかを話しはじめた。 241 ダーククロニクル sage 2005/06/25(土) 23:23:07 ID:7b8a4gXr 力を秘めた石「アトラミリア」。 それは、黄色く輝く「太陽の石」、青く輝く「月の石」、赤く輝く「大地の石」の3つ存在する。 そして、太陽の石はグリフォンの手にある。 自ら所有者を選ぶといわれているアトラミリアがなぜグリフォンを選んだのかは不明だが グリフォンが石の力を使えるのは事実。 それに対抗するには、こちらにもアトラミリアが必要だと考えた反乱軍はそれを探した。 そして、まず月の石を見つけ出した。その所有者はレイブラント王だった。 王から石を譲り受けようとした反乱軍だったが、反乱軍の誰一人として石に触れることはできなかった。 そこで、王に護衛をつけたのだが、王は暗殺されてしまった。 しかし、月の石はグリフォンの手に渡ることを拒み、モニカを新たな所有者と定めた。 残る大地の石は、ついに未来世界では発見されなかった。 しかし、未来世界から数えて115年前、ジラードという青年が持っていることが判明し、 ジラードの身を守るべく、エイナが彼の元に赴いた。 そして、いつしか2人は愛し合うようになり、ユリスが生まれたのだ。 その後の5年間はあっという間に過ぎた。 しかし、未来世界でのグリフォンとの戦いが激化し、エイナは未来へ帰らざるを得なくなってしまった。 それを聞いたユリスは話は理解したが、感情的には、勝手に消えた母を許せなかった。 「そんなだったら…最初から僕らの時代に来なければよかったじゃないか!」 ルナ研から、イクシオンが完成したという知らせが入った。 ユリスは、これから死地へ赴くというのに、エイナと挨拶を交わす気にはなれなかった。 ルナ研に移動したユリスとモニカは、イクシオンに乗り込んだ。 イクシオンは時を超える。ついに、来るべき時が来る。 264 ダーククロニクル sage 2005/06/27(月) 02:38:01 ID:rfYbNLzu 第6章 ふたつの時代、重なるとき… ユリスとモニカは1万年の時を超え、 今、グリフォンの城の前にいる。 空を見上げると、そこには、月が1つしかなかった。 2人の知る時代では、空に輝く月は2つあるのに。 1万年という時間は、空の様子をも変えてしまったのだろうか? 城に入った2人を出迎えたのは、年端も行かない少年だった。 「…ここまで来るとはね。」 まさか、この少年がグリフォン大帝なのか? 「…君たちの言うグリフォンは、僕で間違いないよ。」 その姿とは裏腹に、激しい攻撃を仕掛けてくるグリフォンを何とか倒した。 しかし、倒れたグリフォンに近付こうとしたその時。 突然グリフォンが起き上がり、2人はアトラミリアを奪われてしまった。 倒れたふりをしていただけだったのだ。 グリフォンが3つのアトラミリアの力を解放すると、彼は翼を持つ巨人へと変貌した。 グリフォンは、アトラミリアの本来の存在理由を語り始めた。 アトラミリアは、世界を滅ぼす石なのだ、と。 古代人は、未来の人間たちを恐れた。 いつか、星そのものに害をなす存在となるのではないかと。 人間は、英知と欲望を併せ持つ恐るべき生物だからだ。 そんな人間が、アトラミリアの力を知ったら必ず争いが起こる。 そして、3つの石が1人の手に集まったとき、古代人の仕掛けた罠 「ほろびのしくみ」が発動するようになっているのだ。 そして今、3つの石はグリフォンの手にある。 間もなく、「ほろびのしくみ」は発動するだろう。 そんなことしたら自分もただじゃすまないと問われ、グリフォンは答えた。 無論、自分も「ほろびのしくみ」に飲み込まれるだろう。 だが、人間が滅びさえすればそれでいいのだと。 「だが、それをただ待つのもつまらん。  『ほろびのしくみ』が動き出す前に、私自ら人間を滅ぼしてやろう!」 グリフォンは、3つの石の力をもって城を浮かび上がらせ、 さらに、1万年の時を超えて城をユリスの時代へと移動させると 城から光線を放ち、周囲に向けて攻撃を開始した。 急激な状況の悪化に、ユリス達は一時撤退を余儀なくされた。 265 ダーククロニクル sage 2005/06/27(月) 02:38:37 ID:rfYbNLzu イクシオンに乗って脱出したユリス達は、エイナによってとある遺跡へと誘導された。 グリフォンの居城「月花宮殿」に対抗できるのはパズノスしかない。 パズノスをユリスの時代へ召喚するのだ。 そのための方法が、ここ、カザロフストーンヘンジにある。 土、風、水、火。4つの宝珠をこの地に納めたとき、 クロノユニオン(共有時空)が発生し、パズノスを現代に呼ぶことが可能となる。 4つの宝珠のある場所は、森。谷。海。そして、山。 星の封印を施された扉の向こうにあるはず。 エイナのその話を聞いたユリスとモニカには心当たりがあった。 シャーロットの森。 てんびん谷。 ベニーティオ海岸。 ガンドール火山。 それぞれの場所で、星の封印を目撃したことがあったからだ。 ストーンヘンジに隠されていた「星のカギ」を手に、 再度各地を巡って4つの宝珠を手に入れた2人は、 それをストーンヘンジの祭壇に納めた。 その時、ストーンヘンジの上空に共有時空が発生し、 パズノスがこの時代へと召喚された。 グリフォンからの攻撃をものともしないパズノスは、 決戦兵器「ペズローダー・キャノン」を発射。 それを受けた月花宮殿は推進力を失い、墜落していった。 その様子をストーンヘンジから見ていた2人は叫んだ。 ユリス「やった!」 モニカ「まって!まずい!」 月花宮殿の落下先にはパームブリンクスの町がある! その時、パズノスのブリッジにいたエイナが叫んだ。 「ギガントモードを使います!」 266 ダーククロニクル sage 2005/06/27(月) 02:40:21 ID:rfYbNLzu 「ギガントモード…なんですか、それは!?」 そう聞き返したのは、パズノスの指揮官ドナ・ホーンだった。 ドナはパズノスの設計段階から関わっていた。 その彼すら知らないパズノスの機能。 そう。歴史は以前とは少し変わっているのだ。 モニカが空調和技術の完成を知らなかったように、 ドナもまた、ギガントモードの事を知らなかったのである。 そして、エイナの指揮によってギガントモードは発動された。 ユリス「パズノスが…変形する!」 パズノスは巨大人型ロボット「パズノス・ギガント」へと変形した。 パズノス・ギガントは月花宮殿の落下地点に先回りし、 墜落する宮殿を受け止め、そしてそれを投げ飛ばした! それを見て、ユリスは大興奮。 モニカは、ただただ唖然としていた。 宮殿は、無人の荒野へと落下した。 前回はしてやられたが、今度こそグリフォンと決着をつける! ユリスとモニカは、地に落ちた宮殿へと突入した。 272 ダーククロニクル sage 2005/06/27(月) 19:54:34 ID:rfYbNLzu 第7章 花の宮殿 月花宮殿に足を踏み入れた2人の前に、謎の女性が現れた。 女性は、アンドレアと名乗った。 「あなた方はこれから、サンと戦うのですね。」 サン…? もしかしてグリフォンの事だろうか? アンドレアという女性は語り続けた。 サンは本当は優しい子なのだと。 彼は、自分の役目を見失っているのだと。 元の優しいサンに戻してあげて欲しいと。 ユリスとモニカは宮殿の奥へと足を運んでいった。 至る所で、サンとアンドレアの思い出がよみがえる。  衛兵が、庭園に忍び込んだ少年を捕まえ、アンドレアに突き出した。  花が好きだから庭園の花を見ていたんだという少年。  アンドレアは、その少年を庭園の花の世話係として宮殿に置く事にした。  名を問われても答えられなかったその少年に、アンドレアは「サン」という名前を与えた。  天に輝く太陽と同じように、庭園の花に愛情を注いで欲しいと。  栽培室では、太陽の花がたくさん育てられていたが、  そのうちの一輪がなぜか折れてしまった。  アンドレアは折れた花を自室に飾ることにし、  サンもそれに賛成するが、サンはどこか後ろめたそうな態度だった。  アンドレアの部屋にて。  「アンドレア…ごめんよ。その花折ったの…、ボクなんだ。」  しかし、アンドレアはサンを責めはしなかった。  この花は折られたことで、サンの心に何か大切な事を伝えてくれたはず。  それが、この花の役目だったのだと。  「それに…この花はわたしにも、サンは優しい子なんだって教えてくれたよ。」  そうしてサンはアンドレアを慕うようになっていく。 ついにグリフォンの元へたどり着いた2人。 グリフォンは激しい攻撃を立て続けに繰り出してくる。 その戦闘の最中もなお、サンとアンドレアの思い出を垣間見る2人。  3つのアトラミリアを手にした者は、星の力を手にする…  その伝説に突き動かされた人間たちの争いは激化し、  ついに月花宮殿も巻き込まれてしまう。  アンドレアはサンを逃がし、自らは宮殿に残った。  この宮殿と共に生き、共に死ぬのが自分の役目なのだと。  アンドレアに助けられ、荒野にたった一人残されたサン。  人間が3つのアトラミリアを揃えた時、  月が落ちてきて世界は滅びてしまったのだ。  そして彼は、2人の穏やかな生活を踏みにじった人間を憎む。  自分たち2人以外、誰もいなければよかったのに、と。 グリフォンはついに膝をついた。 彼も本当は気づいていたのだ。間違っているのは自分のほうだという事に。 アンドレアの幻を目にした彼は、優しいサンへと戻っていく… 273 ダーククロニクル sage 2005/06/27(月) 19:55:12 ID:rfYbNLzu その時。 サンの中に潜んでいた悪意の化身ダークエレメントが姿を現した。 それと時を同じくして、古代人の罠「ほろびのしくみ」がついに動き出した。 空に輝いていた青い月が、地上へと落下してきたのだ。 ユリスとモニカは力を合わせてダークエレメントを打ち倒した。しかし… 「私を倒したところで、『ほろびのしくみ』は止まらぬ。  どちらにしても、あの月が落ちれば人間は滅ぶ。  先に行って待っているよ、闇の世界でな。ハハハハハハ…」 そんな言葉を残して、ダークエレメントは消滅した。 その時、サンが立ち上がって歩み出た。 「思い出したよ…ボクがやらなければいけない事。  ボクは…星の番人なんだ。  古代人は、ボクの祖先に、『しくみ』を解除する方法を伝え、その記憶に鍵をかけた。  いつか、『ほろびのしくみ』が必要なくなったとき、このボクがそれを解除する。  それが…ボクの役目。  青い月よ!お前の役目は終わった!大地へと還るがいい!!」 サンが叫んだそのとき、青い月は爆発し、跡形もなく消滅した。  「アンドレア…これで、いいんだよね。  これでもう…ボク、アンドレアのところに行っても…いいんだよね。」 (おめでとう…サン。あなたは、立派にやり遂げた…。) サンは、アンドレアの元へと旅立っていった。 夜空に輝くたった一つの白い月を見上げて、ユリスとモニカは語り合った。 「サンも本当は優しい子だったんだね。」 「うん。グリフォン大帝なんて、最初からいなかったんだよ。  あれは、僕たち人間の悪い心が生み出した幻の怪物だったんだよ、きっと…」 全てが終わり、未来から来た人たちは元の時代へと帰っていく。 モニカとの別れ、そして…母エイナとの別れ。 きっと、もう二度と会うことはないだろう。でもユリスは泣かなかった。 彼は、この旅で強くなったのだ。母親との別れを受け入れられるくらいに… ユリスは未来の母にあてて手紙を書いた。 この旅のことが長々とつづられたその手紙は、こう結ばれていた。  僕は、僕の時代で元気にやっていきます。  母さんも、どうかお元気で。  さようなら。       未来の母さんへ     ユリス おしまい
''ダーククロニクル'' >>16-193~194・197・199~201・230~231・238・240~241・264~266・272~273 ---- 193 ダーククロニクル sage 2005/06/23(木) 16:16:27 ID:dcT6fMVB そんじゃ書きます でも、うちのパソは暑がりで調子悪いんで少しずつ上げることになりそうです 主な登場人物 ユリス…主人公。発明好きの少年。父に譲られた「赤い石」を持つ モニカ…もう一人の主人公。未来世界のレイブラント王の娘。      父の形見の「青い石」を持つ エイナ…ユリスの母親。ユリスが幼いころに家を出て消息不明      父は何か知っているようだが教えてくれない ギルトーニ…グリフォン大帝の部下。モニカにとっては父の仇 グリフォン大帝…闇の支配者と呼ばれる謎の人物、詳細不明 注意:この作品は「時間」がテーマになってますが 「タイムパラドックス」がどうとかいう突っ込みは無しの方向で願います 194 名無しさん@お腹いっぱい。 sage 2005/06/23(木) 16:18:01 ID:dcT6fMVB 第1章 外の世界へ ある日、パームブリンクスの町に暮らす少年ユリスが サーカスを見に行った事からこの物語は始まる。 ユリスの首には、つい最近父親からもらった赤い石の首飾りが下がっていた。 ふとした事でユリスは、サーカステント内でサーカス団長ポルカスと パームブリンクス町長ニードのこんな会話を聞いてしまった。 ポルカス「『石』はまだ見つからないのですか?」 ニード「…もう町中探した、しかしそんな『石』があるなんて話は…」 ポルカス「言い訳は聞きたくありません。       町の外がどうなっているのか、知られてもいいというのですか?」 ニード「…!それだけはやめてくれ!そんなことになったら大混乱が起こる。     『石』探しどころではなくなってしまう。 ポルカス「…分かりました。でもあまり長くは待てませんよ。」 ニード「…本当にこの町にその『石』があるって言うのか?」 ポルカス「それは間違いありません。」 そのとき、ユリスはポルカスに見つかってしまい、思わず逃げ出した。 ポルカスはユリスの首飾りに気付き、「フフフ…ついに見つけましたよ。」と ユリスに追っ手を差し向けた。 なんとか追っ手をまいて地下水道に逃げ込んだユリス。 その地下水道を秘密基地にしていた友人ドニーによれば、 町の外の水源から水を引いているこの地下水道を通れば町の外に出られるらしい。 「町の外がどうなっているのか」というポルカスの言葉が気になっていたユリスは 地下水道を通って町の外へ出てみることにした。 ポルカスが差し向けた巨象「リンダちゃん」や からくりマシーン「ハロウィーン」などを退けつつ地下水道を進んでいくユリス。 ちょうどその頃、ユリスから話を聞いた職工スターブルはニード町長を問い詰めていた。 町長の話は、驚くべきものであった。 今のままでいいのかと言うスターブルの言葉に動かされたニードは 町の外を見せないようにと廃止していた「バース鉄道」を再開することを決めた。 地下水道を抜けたユリスの目の前に、ちょうど「バース壱号」が到着。 これに乗って外の世界を旅するぞというスターブルについて バース壱号に乗り込んだユリス。 ユリスは、スターブルからニード町長が隠していたことを聞いた。 10年ほど前に、世界は突如として滅び、 地上に残ったのはパームブリンクスの町だけだったのだ。 グリフォン大帝なる人物がやったことらしいのだが詳細は不明。 そんな現状を打破するべく、バース鉄道で世界をめぐって何か方法を探す旅をするのだ、と。 快調にとばすバース壱号だったが、不意に振動が襲った。 外を見てみると、ポルカスが武装バギーに乗って追ってきていた。 ユリスは爆弾を投げつけて武装バギーを破壊するが、 ポルカスは全身にダイナマイトを巻きつけた姿で迫ってきた。 「爆弾投げてみなさい、ほら、ほら」 戸惑うユリスの前に、突然、剣を持った少女が現れてポルカスを成敗した。 これが、未来からやってきた少女モニカとの出会いだった。 197 ダーククロニクル sage 2005/06/23(木) 18:50:11 ID:dcT6fMVB 第2章 よみがえる大長老 バース壱号は「シャーロットの森」で停車した。線路が岩でふさがれていたのだ。 「ちょうどいいわ、ここでやることがあるから」と言ってモニカは列車を降りた。 モニカは100年後の世界からやってきた。 100年後の世界もグリフォン大帝により滅亡の危機を迎えていた。 種を蒔けば花が咲く。つまり花が咲くには種が蒔かれなければならない。 この場合、「種を蒔くこと」を「花」の「起源点」と呼ぶ。 グリフォンは、自分に逆らい得る者は、起源点を消すことによって歴史から抹消していった。 そして、このシャーロットの森には「大長老ジュラク」と呼ばれる神木の起源点があるはずだったが グリフォンによって抹消されてしまった。 モニカは、それを元に戻そうというのである。 この森に住むファブリース族は、建物や森を作り出す不思議な力を持っている。 ぜひとも起源点を復活させるのに協力して欲しいのだが、 共に暮らしていたホーリーという女性を探しに森に入った仲間が戻らないと無理だといわれて ユリスとモニカはファブリースの仲間を探しに森に入った。 いろいろあって、ファブリースの仲間を連れ帰ってきた2人。 2人は、続いてホーリーの探索も頼まれた。 それと引き換えに、ファブリースたちが起源点の復活に力を貸してくれることになった。 いろいろやっているうちに、ジュラクの起源点復活に成功した二人は 2人が持つ赤と青の石「アトラミリア」の力を使って100年の時を越える。 ジュラクは、輪廻転生を繰り返して過去の記憶を持っているといわれている。 しかし、ジュラクにグリフォン大帝のことを問うが、よくわからないと言われてしまった。 仕方ないので、とりあえず現代に戻ってホーリーという女性の探索を続けた。 森の奥で「七色蝶」という魔物に襲われ、これを撃退すると 七色蝶は女性の姿になった。 ホーリーとは七色蝶が人の姿をとっているときの名だったのだ。 昔、蜘蛛の巣にとらわれた自分を助けてくれたファブリースに恩を返そうと ともに暮らすようになり、彼女もその暮らしに満足していたのだが ある時からグリフォンの悪しき思念に影響され、魔物としての凶暴性が煽られるようになり、 ファブリースに危害を加えてしまう前に彼らの前から姿を消したのであった。 ホーリーは、もう彼らの元へは戻れないと、ファブリース宛の手紙を2人に預けて森の奥へと消えていった。 その手紙を読んだファブリースたちは涙に暮れながら、以後も2人の旅に同行することを約束してくれた。 そして再び未来世界のジュラクに会いに行くと、グリフォンのことを思い出したという。 グリフォンは、遠い過去の人物であり、花が好きだという。 しかし、あまりにも昔のことで、どれくらい過去のことかはよくわからない、 だが大賢者クレストならばわかるかも知れない、と言われた。 大賢者クレストは、未来世界における最高賢者であり、 月のクリスタルを用いた大占星術で世の中のすべてを見通す力を持つ。 しかし、ジュラクと同様にグリフォンによって抹消されてしまっている。 ならば、ジュラクを復活させたのと同様にクレストも復活させよう、という結論に達した二人。 ちょうどそのころ、バース鉄道の線路が職人たちの手で復旧された。 次の目的地は「てんびん谷」。 未来で「ステラ寺院」が建立される場所であり、クレストの起源点もそこにある。 というわけで、バース壱号に乗っててんびん谷へと向かう2人であった。 199 名無しさん@お腹いっぱい。 sage 2005/06/23(木) 19:17:19 ID:miyrWwgv >195 忘れてました。 シナリオ2のアウトマップイベントで子供を助ければEDが変わります。 変わるといっても子供が助けに来る、最後のテロップが少し変わるぐらい。 200 ダーククロニクル sage 2005/06/24(金) 10:39:22 ID:p/u2z3sv 第3章 星になった賢者 バース壱号はてんびん谷の停留所へ到着した。 またしても線路がふさがっているので復旧作業が開始。 ユリスとモニカは列車を降りててんびん谷へ向かうと、 一軒の家が建っていた。2人はその家に入ってみることにした。 そこにいた、しゃべるフクロウのシローザにクレストの事を尋ねると クレストはすでに亡くなってしまったという。 残されたクレストの弟子リンは病に倒れて明日をも知れない状態。 リンを救うために現在と未来、二つの世界を奔走した2人は リンの病を治すことに成功した。 しかし、目を覚ましたリンは、クレストの死を覚えていなかった。 記憶をなくしているのだ。 だが、リンの記憶はクレスト救出の重要な鍵を握っている。 とにかく、リンを連れてクレスト終焉の地、月の灯台へ向かうことになった。 道中、ヨルダの谷と呼ばれる場所に差し掛かると、リンに憑いていた魔物が姿を現した。 人の思い出を食らう魔物、メムイータ。こいつのせいでリンは記憶をなくしていたのだ。 メムイータを倒すと、リンはすべてを思い出した。 昔、このヨルダの谷で、クレストはリンに「賢者」になる夢を語ってくれた。 こんな話だった。 クレストが幼いころ、彼の住んでいた村を野盗が襲ったが、 たまたまその町に滞在していた魔道士がそれを退けた。 クレストは魔道士にこう尋ねた。「あなたがおとぎ話に出てくる賢者さまなの?」 魔道士は答えた。私は賢者とは程遠い存在だと。 賢者というのは、そこにいるだけで人々を救うことが出来る者を言うのだと。 その話に感銘を受けたクレストは、ただそこにいるだけで人を救えるような人物、 「賢者」になる事が生涯の夢となる。 そんなクレストは、月の灯台で海を照らしていた「月のクリスタル」を守ろうとしてその命を散らした。 彼を救うには、月の灯台が襲われたその時に戻る必要がある。 そこで登場するのが、未来世界の道具屋で手に入れた「星の砂時計」。 使った者の思いが最も強く残る時まで時間を巻き戻せるという魔法のアイテム。 リンが月の灯台跡でそれを使うと、3人は時を遡った。月の灯台が襲われたまさにその時に。 リンを灯台の外に残し、ユリスとモニカは灯台に踏み込んだ。 201 ダーククロニクル sage 2005/06/24(金) 10:40:05 ID:p/u2z3sv 月の灯台を襲ったのは、モニカの父の仇ギルトーニが指揮する飛空軍艦デスアーク。 機を見てデスアークに飛び移ったモニカはギルトーニに戦いを挑む。 月の灯台に残ったユリスは、過去のリンを邪悪な炎から守るべく奮闘する。 2人の戦いは、同時に始まった。 モニカの剣にギルトーニが膝をついた時、突然デスアークが体勢を崩した。 クレストが月のクリスタルの力を用いてデスアークに攻撃を仕掛けたのだ。 ギルトーニは月のクリスタルへの砲撃を指示。 クレストは、月のクリスタルを守る盾となって瀕死の重傷を負う。 クレストの攻撃でかなりのダメージを負った軍艦デスアークは去っていった。 クレストは、自分の夢を愛弟子リンに託してこの世を去った。 リンはクレストのなきがらを抱きかかえて呟いた。 「あのね…私にとってはとっくに…先生は賢者さまなんだよ。  一緒にいるだけで、私、救われてた…  先生…見守っててね。私、なってみせるよ。先生がなりたかった伝説の賢者さまに…」 元の時間に戻ったユリスとモニカは、結局クレストを救えなかったと落ち込むが、 そんな2人にリンはこう言った。 「きっと、未来は変わったよ。」 彼女の表情からは、師の夢を自分が叶えるのだという強い決意が見て取れた。 リンと別れた2人は、未来世界のステラ寺院を訪れた。 そこで2人を出迎えたのは、大賢者クレストという名の老婆。 リンだった。夢叶って賢者となった彼女は、師の名を継いだのだ。 リン改め大賢者クレストはさっそくグリフォンの居場所を占い始めた。 グリフォン大帝がいるのは1万年前。そこから、この時代に悪しき思念を飛ばしている。 その思念は、元から悪しき心を持つものたちに同調し、グリフォンに協力しているのだ。 グリフォンを倒すには1万年前へ行くしかない。 しかし、2人の持つアトラミリアではせいぜい100年程度の時を超えるのが精一杯だ。 それに、アトラミリアは本来そんな使い方をするものではないのだとクレストおばばは言う。 1万年の時空跳躍…そんなことが果たして可能なのかわからないが 「ルナ研」の連中ならば、あるいは方法を見つけられるかもしれない。 ルナティック・ウィズダム研究所、通称ルナ研。 未来世界で最高の研究機関であるが、例によって歴史から抹消されてしまった。 というわけで、次の目的地はルナ研の起源点、ベニーティオ海岸。 2人は、バース鉄道でベニーティオ海岸へ向かうのであった。 賢者になったリンは強くなった。 きっと、クレストは星になってリンのことをずっと見守ってくれているのだろう。 リンにとっては、クレストこそがたった一人の賢者さまなのだから。今も昔も、これからも… 230 ダーククロニクル sage 2005/06/25(土) 12:34:29 ID:Tw8mXuyB 第4章 さよなら、シグー バース壱号はベニーティオ停車場に停まった。 橋が落ちていて例によって立ち往生のバース壱号。 海岸に出た2人は、海岸の洞窟から「鳴き声」のようなものを聞いて 様子を見に行った。 そこにいたのは、シーグラという海竜の子供と、 それを手当てする少年だった。 少年の名はパウ。シーグラの子の名はシグー。パウが名づけたらしい。 群れからはぐれてひとりぼっちになっていたシグーをパウが保護したのだが 数日前に不注意からシグーが怪我をした。 手当てをしようにも、人間の薬はシーグラには効き目がない。 パウは、シーグラの群れに会ってシーグラの薬をもらうために出かけてしまい、 ユリスとモニカは半ば強引にシグーの様子を見ることになってしまった。 しかし、シグーはパウを追って洞窟を出て行ってしまった。 2人はシグーの後を追った。 なんとかシグーに追いついたが、シグーは正気をなくしていた。 その頭には、ヘルメットのようなものがつけられている。 何者かに操られているのだ。 そこに現れたパウと一緒に一時撤退。 未来へ飛び、復活途上のルナ研で知恵を貸してもらい 操られたシグーを正気に戻す事に成功。 結局、シグーの薬はユリスとモニカが探しに行く事になった。 シーグラの翻訳機をルナ研で借り、それを使ってシーグラたちと交渉、 薬を譲ってもらった2人はパウとシグーの元に戻った。 シグーの怪我は無事に治った。しかし喜びもつかの間。 飛空軍艦デスアークがシーグラの村の方向へ飛んでいくのを目撃した。 村を襲うつもりなのは間違いない。ユリスとモニカはシーグラの村へと急いだ。 シーグラの村に着くや否や、シーグラの群れに囲まれてしまった2人。 シーグラたちの頭にはシグーのときと同じヘルメットがつけられていた。 そして、そこに現れたのはギルトーニの部下、Dr.ジャミング。 シーグラたちを操っているのは、そしてシグーを操ったのもこいつの仕業だ。 ジャミングを倒すと、そこにパウとシグーがやってきた。 シーグラは渡り竜。季節によってその住む場所を変える。 そして、ちょうど今がシーグラの移動の時期なのだ。 シグーは仲間たちとともに去っていった。パウに後ろ髪を引かれる思いで。 それから、シグーは毎年ベニーティオの海岸に現れてはパウの姿を探すようになった。 20年後。シーグラの新しい長老シグーは 大量の「ルナストーン」をベニーティオ海岸に運んできた。 ルナストーンには、人の思考力を飛躍的に向上させる力がある。 その力によって、ルナティック・ウィズダム研究所、通称ルナ研は完成することとなる。 231 ダーククロニクル sage 2005/06/25(土) 12:35:19 ID:Tw8mXuyB シグーの件が一段落して、100年後のルナ研にやってきた2人。 そこで、所長のDr.チャップに1枚の設計図を見せられた。 列車型時空間跳躍装置「イクシオン」。 これが完成すれば1万年前に行くことも可能だという。 所長は、イクシオンの開発責任者を呼び出した。「ジャミング博士!」 その名に驚く2人。 実はこのジャミング博士という人物は、2人の邪魔をしたDr.ジャミングの孫であった。 Drジャミングは二人に倒されてから改心。 研究に没頭して、音を利用した飛空技術「空調和」を完成させたのだ。 そして、その技術はイクシオンにも生かされているという。 その話を聞いていたモニカは不思議そうな顔で言った。 自分の知る歴史では、空調和技術は完成していなかったはずだと。 ユリスとモニカの旅は、グリフォンによって一度壊された歴史を再構築してきた。 そして、それは以前のものとは少し違ってきているのだ。 ユリスは言った。モニカの知る歴史が真実の歴史とは限らないと。 そして、こうも言った。グリフォンさえも、真実の歴史を作るために必要な存在なのかもしれない。 しかし、それをモニカに力いっぱい否定されて黙ってしまった。 その時、反乱軍本部が攻撃を受けているという通信が入った。 「エイナに繋げ!」所長が飛ばしたその声に、ユリスは反応した。 (エイナ?!…母さんの名だ。) そして映し出された、通信機の向こう側にいる人物は、まさしくユリスの母だった。 エイナもユリスに気づいたが、状況が状況のためゆっくり話している時間はなかった。 窮地に陥った反乱軍だが、移動要塞「パズノス」が復活すれば反撃の糸口となる。 当然のことながらグリフォンに消されていたパズノスを復活させるべく、 ユリスとモニカはパズノスの起源点のあるガンドール火山へと向かうことになる。 「母さん…待ってて。必ず僕が助ける!」 238 ダーククロニクル sage 2005/06/25(土) 22:56:54 ID:7b8a4gXr 第5章 決戦!過去と未来と バース鉄道に乗って2人はガンドール火山のふもと、ヘイム・ラダへとやってきた。 そこは、火の粉の雨が絶え間なく降り注ぐ荒野と化していた。 その時、上空を軍艦デスアークが火山方面へ飛んでいくのを目撃。 この火の雨はギルトーニの仕業に違いない。 2人は火山を登っていった。 山頂に到着すると、そこには巨大な装置が置かれていた。 これが火の雨を降らせているのだ。 その装置「ファイアースコール」を破壊すると、そこにデスアークが出現。 「ファイアースコールを破壊したか…目障りな奴らめ、死ね!」 デスアークの攻撃をかいくぐり、モニカは艦に飛び移る。 その間もユリスは艦に向けて攻撃を続けた。 モニカとギルトーニの勝負は今回もモニカが優勢だった。 しかし、その時、艦が大きく揺れ、 体勢を崩したモニカにギルトーニが当て身を入れた。 その一撃でモニカは気を失ってしまった。 艦はさらに体勢を崩し、ついに火口へと墜落していった。 モニカとギルトーニを乗せたまま…。 ユリスは単身、モニカを救うために火口へと降りていった。 デスアークの墜落地点には、気を失ったままのモニカ、 そしてギルトーニが待ち構えていた。 1対1の勝負はユリスの勝利に終わった。 「なぜお前はそこまでして戦おうとするのだ…」 「お前たちが母さんを苦しめてる。お前を倒さないと母さんが危険なんだ。」 目を覚ましたモニカがギルトーニに斬りかかった。それをかわして、 「…お前もそんなに私が憎いか。そうだったな、私はお前の父の仇だったな。」  …同じだよ、お前たちも、私も…。  …私にも人並みに母親はいたのだ。」 ギルトーニは自分の過去を語りだした。 彼は、魔族の父と人間の母の間に生まれた子だった。 父が病で他界すると、彼と母親は人間たちに迫害されるようになった。 住んでいた村を追われた2人は、放浪の旅を余儀なくされた。 彼の母親は、時には盗みを働いてまで彼に食料を与えてくれたのだという。 しかし、いつしか彼の母親も病に倒れた。 「自分の守るべきものを探しなさい…それを見つけるまで、旅を終えてはいけません…」 そう言い残して母親はこの世を去った。 「…私の旅はいつ終わってしまったのか…。母の言いつけを何一つ守れていない…。  私には、守るべきものなど…なかった。  お前たちにはあるのだな、守るべきものが…。  …私も、お前たちの旅の行く末を見届けたくなった。  さらばだ…」 240 ダーククロニクル sage 2005/06/25(土) 23:16:00 ID:7b8a4gXr ギルトーニが立ち去ろうとしたその時、どこからともなく声が響いた。 「裏切りは許さないよ… 君は、僕の仲間なんだろう?  そこでそいつらを殺してくれないと…困るんだ…」 ギルトーニは突然苦しみだし、炎の魔人へと変貌した。 2人は、正気を失った魔人ギルトーニを倒すしかなかった。 「…残念だ…どうやら、お前たちの旅の行方、見届けられそうにないな…  母に会ったら、伝えよう…  私の旅の最後に出会った、お前たちの事を……」 ギルトーニは息を引き取った。 モニカは呟いた。「…わたし、グリフォン…許せない…!」 ユリスも同じ気持ちだった。 場面は変わって、未来世界。 ついに、反乱軍の切り札パズノスは復活した。今こそ反撃の時である。 グリフォンが山ひとつ潰して作り出したゴーレムの大群が、 パズノスの砲撃によってあっさりと一掃された。 パズノスのブリッジからそれを見ていたユリスは、ただただ驚くばかりだった。 そこに、ユリスの母エイナが現れた。 エイナは、今までのいきさつ、そしてなぜユリスの前から姿を消したのかを話しはじめた。 241 ダーククロニクル sage 2005/06/25(土) 23:23:07 ID:7b8a4gXr 力を秘めた石「アトラミリア」。 それは、黄色く輝く「太陽の石」、青く輝く「月の石」、赤く輝く「大地の石」の3つ存在する。 そして、太陽の石はグリフォンの手にある。 自ら所有者を選ぶといわれているアトラミリアがなぜグリフォンを選んだのかは不明だが グリフォンが石の力を使えるのは事実。 それに対抗するには、こちらにもアトラミリアが必要だと考えた反乱軍はそれを探した。 そして、まず月の石を見つけ出した。その所有者はレイブラント王だった。 王から石を譲り受けようとした反乱軍だったが、反乱軍の誰一人として石に触れることはできなかった。 そこで、王に護衛をつけたのだが、王は暗殺されてしまった。 しかし、月の石はグリフォンの手に渡ることを拒み、モニカを新たな所有者と定めた。 残る大地の石は、ついに未来世界では発見されなかった。 しかし、未来世界から数えて115年前、ジラードという青年が持っていることが判明し、 ジラードの身を守るべく、エイナが彼の元に赴いた。 そして、いつしか2人は愛し合うようになり、ユリスが生まれたのだ。 その後の5年間はあっという間に過ぎた。 しかし、未来世界でのグリフォンとの戦いが激化し、エイナは未来へ帰らざるを得なくなってしまった。 それを聞いたユリスは話は理解したが、感情的には、勝手に消えた母を許せなかった。 「そんなだったら…最初から僕らの時代に来なければよかったじゃないか!」 ルナ研から、イクシオンが完成したという知らせが入った。 ユリスは、これから死地へ赴くというのに、エイナと挨拶を交わす気にはなれなかった。 ルナ研に移動したユリスとモニカは、イクシオンに乗り込んだ。 イクシオンは時を超える。ついに、来るべき時が来る。 264 ダーククロニクル sage 2005/06/27(月) 02:38:01 ID:rfYbNLzu 第6章 ふたつの時代、重なるとき… ユリスとモニカは1万年の時を超え、 今、グリフォンの城の前にいる。 空を見上げると、そこには、月が1つしかなかった。 2人の知る時代では、空に輝く月は2つあるのに。 1万年という時間は、空の様子をも変えてしまったのだろうか? 城に入った2人を出迎えたのは、年端も行かない少年だった。 「…ここまで来るとはね。」 まさか、この少年がグリフォン大帝なのか? 「…君たちの言うグリフォンは、僕で間違いないよ。」 その姿とは裏腹に、激しい攻撃を仕掛けてくるグリフォンを何とか倒した。 しかし、倒れたグリフォンに近付こうとしたその時。 突然グリフォンが起き上がり、2人はアトラミリアを奪われてしまった。 倒れたふりをしていただけだったのだ。 グリフォンが3つのアトラミリアの力を解放すると、彼は翼を持つ巨人へと変貌した。 グリフォンは、アトラミリアの本来の存在理由を語り始めた。 アトラミリアは、世界を滅ぼす石なのだ、と。 古代人は、未来の人間たちを恐れた。 いつか、星そのものに害をなす存在となるのではないかと。 人間は、英知と欲望を併せ持つ恐るべき生物だからだ。 そんな人間が、アトラミリアの力を知ったら必ず争いが起こる。 そして、3つの石が1人の手に集まったとき、古代人の仕掛けた罠 「ほろびのしくみ」が発動するようになっているのだ。 そして今、3つの石はグリフォンの手にある。 間もなく、「ほろびのしくみ」は発動するだろう。 そんなことしたら自分もただじゃすまないと問われ、グリフォンは答えた。 無論、自分も「ほろびのしくみ」に飲み込まれるだろう。 だが、人間が滅びさえすればそれでいいのだと。 「だが、それをただ待つのもつまらん。  『ほろびのしくみ』が動き出す前に、私自ら人間を滅ぼしてやろう!」 グリフォンは、3つの石の力をもって城を浮かび上がらせ、 さらに、1万年の時を超えて城をユリスの時代へと移動させると 城から光線を放ち、周囲に向けて攻撃を開始した。 急激な状況の悪化に、ユリス達は一時撤退を余儀なくされた。 265 ダーククロニクル sage 2005/06/27(月) 02:38:37 ID:rfYbNLzu イクシオンに乗って脱出したユリス達は、エイナによってとある遺跡へと誘導された。 グリフォンの居城「月花宮殿」に対抗できるのはパズノスしかない。 パズノスをユリスの時代へ召喚するのだ。 そのための方法が、ここ、カザロフストーンヘンジにある。 土、風、水、火。4つの宝珠をこの地に納めたとき、 クロノユニオン(共有時空)が発生し、パズノスを現代に呼ぶことが可能となる。 4つの宝珠のある場所は、森。谷。海。そして、山。 星の封印を施された扉の向こうにあるはず。 エイナのその話を聞いたユリスとモニカには心当たりがあった。 シャーロットの森。 てんびん谷。 ベニーティオ海岸。 ガンドール火山。 それぞれの場所で、星の封印を目撃したことがあったからだ。 ストーンヘンジに隠されていた「星のカギ」を手に、 再度各地を巡って4つの宝珠を手に入れた2人は、 それをストーンヘンジの祭壇に納めた。 その時、ストーンヘンジの上空に共有時空が発生し、 パズノスがこの時代へと召喚された。 グリフォンからの攻撃をものともしないパズノスは、 決戦兵器「ペズローダー・キャノン」を発射。 それを受けた月花宮殿は推進力を失い、墜落していった。 その様子をストーンヘンジから見ていた2人は叫んだ。 ユリス「やった!」 モニカ「まって!まずい!」 月花宮殿の落下先にはパームブリンクスの町がある! その時、パズノスのブリッジにいたエイナが叫んだ。 「ギガントモードを使います!」 266 ダーククロニクル sage 2005/06/27(月) 02:40:21 ID:rfYbNLzu 「ギガントモード…なんですか、それは!?」 そう聞き返したのは、パズノスの指揮官ドナ・ホーンだった。 ドナはパズノスの設計段階から関わっていた。 その彼すら知らないパズノスの機能。 そう。歴史は以前とは少し変わっているのだ。 モニカが空調和技術の完成を知らなかったように、 ドナもまた、ギガントモードの事を知らなかったのである。 そして、エイナの指揮によってギガントモードは発動された。 ユリス「パズノスが…変形する!」 パズノスは巨大人型ロボット「パズノス・ギガント」へと変形した。 パズノス・ギガントは月花宮殿の落下地点に先回りし、 墜落する宮殿を受け止め、そしてそれを投げ飛ばした! それを見て、ユリスは大興奮。 モニカは、ただただ唖然としていた。 宮殿は、無人の荒野へと落下した。 前回はしてやられたが、今度こそグリフォンと決着をつける! ユリスとモニカは、地に落ちた宮殿へと突入した。 272 ダーククロニクル sage 2005/06/27(月) 19:54:34 ID:rfYbNLzu 第7章 花の宮殿 月花宮殿に足を踏み入れた2人の前に、謎の女性が現れた。 女性は、アンドレアと名乗った。 「あなた方はこれから、サンと戦うのですね。」 サン…? もしかしてグリフォンの事だろうか? アンドレアという女性は語り続けた。 サンは本当は優しい子なのだと。 彼は、自分の役目を見失っているのだと。 元の優しいサンに戻してあげて欲しいと。 ユリスとモニカは宮殿の奥へと足を運んでいった。 至る所で、サンとアンドレアの思い出がよみがえる。  衛兵が、庭園に忍び込んだ少年を捕まえ、アンドレアに突き出した。  花が好きだから庭園の花を見ていたんだという少年。  アンドレアは、その少年を庭園の花の世話係として宮殿に置く事にした。  名を問われても答えられなかったその少年に、アンドレアは「サン」という名前を与えた。  天に輝く太陽と同じように、庭園の花に愛情を注いで欲しいと。  栽培室では、太陽の花がたくさん育てられていたが、  そのうちの一輪がなぜか折れてしまった。  アンドレアは折れた花を自室に飾ることにし、  サンもそれに賛成するが、サンはどこか後ろめたそうな態度だった。  アンドレアの部屋にて。  「アンドレア…ごめんよ。その花折ったの…、ボクなんだ。」  しかし、アンドレアはサンを責めはしなかった。  この花は折られたことで、サンの心に何か大切な事を伝えてくれたはず。  それが、この花の役目だったのだと。  「それに…この花はわたしにも、サンは優しい子なんだって教えてくれたよ。」  そうしてサンはアンドレアを慕うようになっていく。 ついにグリフォンの元へたどり着いた2人。 グリフォンは激しい攻撃を立て続けに繰り出してくる。 その戦闘の最中もなお、サンとアンドレアの思い出を垣間見る2人。  3つのアトラミリアを手にした者は、星の力を手にする…  その伝説に突き動かされた人間たちの争いは激化し、  ついに月花宮殿も巻き込まれてしまう。  アンドレアはサンを逃がし、自らは宮殿に残った。  この宮殿と共に生き、共に死ぬのが自分の役目なのだと。  アンドレアに助けられ、荒野にたった一人残されたサン。  人間が3つのアトラミリアを揃えた時、  月が落ちてきて世界は滅びてしまったのだ。  そして彼は、2人の穏やかな生活を踏みにじった人間を憎む。  自分たち2人以外、誰もいなければよかったのに、と。 グリフォンはついに膝をついた。 彼も本当は気づいていたのだ。間違っているのは自分のほうだという事に。 アンドレアの幻を目にした彼は、優しいサンへと戻っていく… 273 ダーククロニクル sage 2005/06/27(月) 19:55:12 ID:rfYbNLzu その時。 サンの中に潜んでいた悪意の化身ダークエレメントが姿を現した。 それと時を同じくして、古代人の罠「ほろびのしくみ」がついに動き出した。 空に輝いていた青い月が、地上へと落下してきたのだ。 ユリスとモニカは力を合わせてダークエレメントを打ち倒した。しかし… 「私を倒したところで、『ほろびのしくみ』は止まらぬ。  どちらにしても、あの月が落ちれば人間は滅ぶ。  先に行って待っているよ、闇の世界でな。ハハハハハハ…」 そんな言葉を残して、ダークエレメントは消滅した。 その時、サンが立ち上がって歩み出た。 「思い出したよ…ボクがやらなければいけない事。  ボクは…星の番人なんだ。  古代人は、ボクの祖先に、『しくみ』を解除する方法を伝え、その記憶に鍵をかけた。  いつか、『ほろびのしくみ』が必要なくなったとき、このボクがそれを解除する。  それが…ボクの役目。  青い月よ!お前の役目は終わった!大地へと還るがいい!!」 サンが叫んだそのとき、青い月は爆発し、跡形もなく消滅した。  「アンドレア…これで、いいんだよね。  これでもう…ボク、アンドレアのところに行っても…いいんだよね。」 (おめでとう…サン。あなたは、立派にやり遂げた…。) サンは、アンドレアの元へと旅立っていった。 夜空に輝くたった一つの白い月を見上げて、ユリスとモニカは語り合った。 「サンも本当は優しい子だったんだね。」 「うん。グリフォン大帝なんて、最初からいなかったんだよ。  あれは、僕たち人間の悪い心が生み出した幻の怪物だったんだよ、きっと…」 全てが終わり、未来から来た人たちは元の時代へと帰っていく。 モニカとの別れ、そして…母エイナとの別れ。 きっと、もう二度と会うことはないだろう。でもユリスは泣かなかった。 彼は、この旅で強くなったのだ。母親との別れを受け入れられるくらいに… ユリスは未来の母にあてて手紙を書いた。 この旅のことが長々とつづられたその手紙は、こう結ばれていた。  僕は、僕の時代で元気にやっていきます。  母さんも、どうかお元気で。  さようなら。       未来の母さんへ     ユリス おしまい

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