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「玻璃ノ薔薇」(2020/02/23 (日) 20:42:05) の最新版変更点
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<strong>玻璃ノ薔薇(ガラスノバラ)<br /></strong>part24-279・281~284、>>26-45~48・94~96・122~125・157~161</p>
<hr /><dl><dt>279 :<a href="mailto:sage"><b>玻璃ノ薔薇</b></a>:2006/08/17(木)23:45:43ID:g/0BBAV/0</dt>
<dd>登場人物と第一の殺人まで書きます。<br /><br />
はじめに、『キネマ屋敷連続殺人事件』について<br /><br />
「新世界キネマ社」の創設者であり、東京郊外の「キネマ屋敷」に隠遁していた映画王・<br />
芳野堂伝衛門が、昭和4年10月22日、書斎で青酸カリの入ったワインを飲んで死んでいた。<br />
屋敷に一族が集まるが、3日間で5人が殺される事件に発展。<br />
犯人は見つからず、事件は迷宮入りしてしまった。<br /><br /></dd>
<dt>281 :<a href="mailto:sage"><b>玻璃ノ薔薇 登場人物</b></a>:2006/08/17(木)23:56:13ID:g/0BBAV/0</dt>
<dd>影谷貴史(かげたにたかし) 主人公。天涯孤独の新聞記者。<br />
片桐尚美(かたぎりなおみ) 行動的な大学院生。祖父の手帳を持って、貴史を訪ねてきた。<br /><br />
芳野堂伝衛門(よしのどうでんえもん) 新世界キネマ社の会長。晩年は豪邸にひきこもっていた。<br />
芳野堂絢子(あやこ) 伝衛門の後妻。実家の再興のため嫁いできた。部屋に閉じこもりがち。<br /><br />
芳野堂偉雄(ひでお) 伝衛門の長男。キネマ社の社長。高圧的なところがある。<br />
芳野堂貴子(たかこ) 伝衛門の長女。キネマ社の看板女優。華やかな美女。<br />
芳野堂加奈絵(かなえ) 伝衛門の次女。女優にあこがれるが才能は無い。意地がわるい。<br />
芳野堂茉莉絵(まりえ) 伝衛門の三女。寄宿舎で暮らす学生。清楚だが思いつめた感じ。<br /><br />
芳野堂蓉子(ようこ) 偉雄の妻。夫と心が通わず悩んでいる。<br />
芳野堂偉哉(ひでや) 偉雄の息子。おとなしい子供。伝衛門を慕っていた。<br />
芳川虚彦(よしかわきよひこ) キネマ社専属の監督。貴子との婚約を機に、助監督から出世した。<br />
野々村海道(ののむらかいどう) 銀座の映画館の弁士。加奈絵の婚約者。<br /><br />
蜂谷國男(はちやくにお) 古くから働く執事。慇懃無礼な性格。<br />
六条喜久代(ろくじょうきくよ) 古くから働くメイド。厳格な婦人。亡くなった百合絵を敬愛する。<br />
島田松之助(しまだまつのすけ) 古くから働く庭番。へんくつな老人。伝衛門と同郷のよしみで雇われた。<br />
伊原遼次(いはらりょうじ) 知らせを受けてやってきた刑事。やる気がなさそう?<br />
片桐光太郎(かたぎりこうたろう) 二日目から応援に来る刑事。尚美の祖父にあたる。無口。<br /><br />
沢松艶子(さわまつつやこ) 貴子と張り合う、キネマ社の看板女優。虚彦を訪ねてくる。<br />
高瀬水穂(たかせみずほ) 新人女優。艶子を慕って訪ねてくる。<br />
ナオミ 水商売風の赤いドレスの女。片桐刑事を訪ねてくる。<br /><br />
芳野堂緋沙子(ひさこ) 故人。伝衛門の最初の妻。偉雄と貴子を生んだ。<br />
芳野堂百合絵(ゆりえ) 故人。伝衛門の二番目の妻。加奈絵と茉莉絵を生んだ。<br /><br /></dd>
<dt>282 :<a href="mailto:sage"><b>玻璃ノ薔薇</b></a>:2006/08/18(金)00:03:39ID:g/0BBAV/0</dt>
<dd>2003年秋<br />
主人公・影谷貴史は新聞記者。<br />
20世紀の未解決事件特集として「キネマ屋敷連続殺人事件」を記事にしたところ、片桐尚美という<br />
若い女性が訪ねてきた。<br />
「刑事だった祖父・片桐光太郎が遺した手帳に、事件のことが書かれていたんです」<br />
古く読みづらい手帳を持って、荒れはてた屋敷跡に入った二人は、突然発生した空間のゆがみに<br />
吸い込まれ、伝衛門の死亡直後の屋敷へとタイムスリップしてしまった。<br /><br />
昭和4年10月22日<br />
貴史が意識をとりもどすと、そこは豪奢な書斎だった。<br />
暖炉の上にあった新聞の日付を見て、自分が過去の時代にいることに気がついた貴史。<br />
古びていたはずの手帳は新しくなっていて、中には貴史の顔写真と、ガラスでできた<br />
薔薇の花のパズルの写真、そして光太郎が書いたらしい文字があった。<br />
『10月24日 彼はこれを残して忽然と消えてしまった どこへ行ってしまったのか<br />
彼は一体何者なのか……』<br /><br />
2日後に自分は消える?それまでに事件を解決し、尚美さんを見つけて現代に帰らなくては…。<br /><br />
ふいに、丸眼鏡チョビ髭の男が書斎に入ってきた。男は執事の蜂谷と名乗った。<br />
そのとき貴史の手が白く光りだし、蜂谷にかざすとその心の中を映像として見ることができた。<br />
蜂谷は貴史のことを「伝衛門が20年ぶりに招いた隠し子・七瀬和弥」だと思い込んでいる?<br />
「和弥様はこの部屋で旦那様の死体をご覧になり、ショックで気絶されたのです」<br /><br />
タイムスリップしてから貴史には、物の残留思念や、目の前の人間の心の中を<br />
透視できる能力が備わってしまったようだ。<br /><br />
蜂谷の後ろに、尚美のうっすらとした幻があらわれた。助けを求めながらさまよい歩いている。<br />
しかし、貴史の声は届かず、触れることもできない。蜂谷には尚美の姿自体が見えていないようだ。<br />
尚美は、ずれた次元に迷い込んでしまっている…。<br /><br />
部屋の中には、白く光る小さなカケラがいくつか落ちていて、手にとると尚美の想いが伝わってくる。<br />
過去に飛ばされた時の衝撃で散らばってしまった、尚美の心のカケラのようだ。<br />
屋敷の中でできるだけこのカケラを集めることで、尚美を救えるかもしれない。<br /><br /></dd>
<dt>283 :<a href="mailto:sage"><b>玻璃ノ薔薇</b></a>:2006/08/18(金)00:08:58ID:g/0BBAV/0</dt>
<dd>一階の書生室を貸してもらうことに。引き出しを調べると、ガラスでできた未完成のパズルを見つけた。<br />
「これがそろった時、自分は消える…」とつぶやく貴史。<br />
その時、頭の中に重々しい男の声がひびいた。「和弥…私の想いがわかるか…私の心を知れ…」<br /><br />
何もなかったはずの机の上に、顔の半分を隠せる形の仮面があらわれた。<br />
伝衛門は後年、顔にケガをして、仮面を愛用していたという。これがそうなのだろうか?<br />
手にとると、仮面は白く光り、薔薇の花びらのようなガラス片に変わった。さっそくパズルにはめこむ。<br /><br />
伝衛門死亡の知らせを受けて、刑事や、伝衛門の子供たちとその関係者が屋敷に集まることになった。<br /><br />
伝衛門と最初の妻・緋沙子の間に生まれた長男・偉雄(キネマ社の現社長)、<br />
同じく長女・貴子(キネマ社専属の看板女優)。<br />
伝衛門と二番目の妻・百合絵との間に生まれた次女・加奈絵(女優志望)、<br />
同じく三女・茉莉絵(寄宿舎で暮らす女学生)。<br /><br />
ほかに、偉雄の妻・蓉子、偉雄の息子・偉哉、貴子の婚約者・虚彦(キネマ社専属の監督)、<br />
加奈絵の婚約者・海道(映画館の弁士)、刑事・伊原。<br /><br />
また、普段からこの屋敷で暮らしているのは、<br />
伝衛門の三番目の妻・絢子、さきほどの執事・蜂谷、メイド・喜久代、庭番の老人・松ノ助の四人だ。<br /><br />
貴史は、「伝衛門の隠し子・七瀬和弥」になりすまして、情報を集めることにした。<br /><br /></dd>
<dt>284 :<a href="mailto:sage"><b>玻璃ノ薔薇</b></a>:2006/08/18(金)00:19:15ID:hAMbW5dj0</dt>
<dd>伊原刑事は、伝衛門の死は他殺ではないかと疑っていた。<br />
「遺書もなく、隠し子を呼んでおいて自殺とはおかしい…。誰かがワインに毒を?」<br /><br />
刑事の部屋からテラスに出ると、庭番の松之助が農具をふりあげて襲ってきた。<br />
刑事が止めてくれたが、松之助は「七瀬和弥」のことを憎んでいるのだろうか。<br /><br />
メイドの喜久代から、貴子様・加奈絵様・茉莉絵様にあいさつするようにと言われ、<br />
二階へ上がるとすぐに、次女・加奈絵と、その婚約者の海道に出会った。<br />
加奈絵はプライドが高く、貴史の身なりを軽蔑しているようだ。<br /><br />
長女・貴子は華やかだが気の強い美女。父の後妻・絢子のことを疑っていた。<br />
伝衛門が顔に怪我をした後、絢子は屋敷に住んでいた家族を全員追い出したとか。<br />
貴子はその他にも気がかりなことがあるらしい。3歳の時に事故で死んだ母の記憶…。<br /><br />
三女・茉莉絵は清楚な感じの学生だが、「お父様は悪魔に殺されたんです」と不気味につぶやく。<br /><br />
伝衛門の後妻・絢子は部屋に閉じこもっていた。一族や使用人たちからつらく当たられ<br />
心細いようだ。それに、伝衛門のことについても何かおびえている。<br />
「主人の遺体が地下食料庫にちゃんと安置されているか見てきてほしい」と頼まれた。<br /><br />
夜になって、キネマ社の看板女優を名乗る艶子という美女が、虚彦に会いにきた。<br />
野心が強く、新作映画「人形」の主演になった貴子をねたんでいるようだ。<br /><br />
「人形」は、キネマ社の第一作目の映画で、妻を愛するあまり嫉妬に狂った男が<br />
妻を殺害してしまう話。かつて貴子の母・緋沙子が演じたこの作品を、貴子主演でリメイクするらしい。<br />
伝衛門はこのリメイクに強く反対していたらしいが…。<br /><br />
深夜、鍵をこっそり拝借して、地下の食料庫に降りる。棺を開けると中には伝衛門の遺体が。<br />
伝衛門の目が開いた!?と見えた次の瞬間、庫内に火が投げ込まれ、出口が外側から塞がれてしまう。<br />
必死に火を消して脱出すると、目の前の椅子で貴子が死んでいた……。<br /><br /></dd>
<dt>45 :<a href="mailto:sage"><b>名無しさん@お腹いっぱい。</b></a>:2006/10/03(火)23:13:46ID:DVhjagaO0</dt>
<dd>長らく放置していた玻璃ノ薔薇の続きを書きます。<br /><br />
エンディング分岐を全部見たものの、色々とわからないことが多く。<br />
ミスリードか、語らぬが花というやつか、たんに自分の読解力がなさすぎるのか…。<br />
ともかくそのまま書いていきます。<br /><br /></dd>
<dt>46 :<a href="mailto:sage"><b>玻璃ノ薔薇</b></a>:2006/10/03(火)23:18:57ID:DVhjagaO0</dt>
<dd>10月23日<br />
未明。全員が食堂に集められ、貴子の死が伝えられた。お互いを探るように見まわす人々。<br />
1階の浴室前を通ると、浴槽に顔を押し付けられる貴子の幻が見える。<br />
貴子は自殺や事故ではなく、ここで殺されたのだろうか?<br />
その時、何者かに後ろから首をしめられる。ふりほどいたが、逃げられてしまった。<br /><br />
朝、部屋を出て広間に入ると、茉莉絵がピアノを弾いていた。そこに姉の加奈絵がやってきて、<br />
「汚い手でお母様のピアノにさわらないで!」と茉莉絵をののしる。<br />
加奈絵は、茉莉絵のせいで、二人の母・百合絵が死んだと思っているようだ。<br />
いつのまにかピアノの上に仮面があらわれ、手にとるとバラのピースに変わった。<br /><br />
茉莉絵は、「昨日、死んだはずのお父様が庭を歩いているのを見たんです」と相談してくる。<br />
昨夜の食料庫での出来事といい、伝衛門が生きているとでもいうのだろうか。<br /><br />
庭に出ると、伊原刑事と、今朝から応援にきたという刑事・片桐光太郎が話していた。<br />
この片桐こそが、尚美さんの祖父で、あの手帳の主のようだ。<br />
伊原が「あの男が、七瀬和弥だ」と貴史の方に顎をしゃくり、片桐も「七瀬、和弥…」とつぶやいている。<br />
なんとなく険悪な空気を感じる。<br /><br />
庭番の松之助も、会話はしてくれるようになったものの、相変わらず貴史を疑っている。<br />
昨日よりも前にたびたび、この屋敷を調べまわる貴史の姿を見ているというのだ。<br /><br />
虚彦は、貴子を利用してのしあがるつもりが、失ってはじめて愛していたことに気がついた…<br />
と落ち込んで、『人形』の撮影もとりやめようとしていた。<br />
「貴子が自殺するはずがない。しかし、庭園に咲く曼珠沙華を見たときから様子がおかしかった。<br />
お母様の死は事故なんかではない、思い出したくないことを思い出した、と言っていた。」<br /><br />
貴子の母・緋沙子が使っていた部屋を調べると、家具や小物に宿る残留思念が見える。<br />
(「あの子がいないの」「あの男のしわざか」「あの子は帰ってこない、私のせいなの、ゆるして…」<br />
「曼珠沙華の花」「剣を握る手」「あなた、やめて」「貴子、こないで」「お母様!いやぁぁ!」)<br /><br /></dd>
<dt>47 :<a href="mailto:sage"><b>玻璃ノ薔薇</b></a>:2006/10/03(火)23:23:34ID:DVhjagaO0</dt>
<dd>階段下で絢子の悲鳴。気を取られた貴史は後ろから何者かに殴られかけ、また取り逃がしてしまった。<br />
絢子は床に落ちている仮面を見てふるえていた。仮面には血が…。<br /><br />
そこへメイドの喜久代が来て、「無念をかかえた旦那様の霊魂がただよっている」と絢子をおどかす。<br />
喜久代は伝衛門の前妻・百合絵を今でも盲目的に敬愛しており、後妻の絢子を憎んでいるようだ。<br />
取り乱した絢子はつぶやく。<br />
「もしかしたら私があの人を…あの人、死ななければならないと言ったの…私…わからない…」<br /><br />
正午 高瀬水穂という緊張感のない新人女優が艶子を訪ねてくる。<br /><br />
片桐は何かを知っているのか、謎めいたことを言っている。<br />
「伝衛門は死を予感していたのではないか。伝衛門は七瀬和弥に殺された 私はそう思っている」<br /><br />
屋敷の別館で、タングラムという図形パズルで遊んでいる偉哉少年と話す。<br />
一緒にタングラムを解いてやると、うちとけて色々な話をしてくれるように。<br />
偉雄・蓉子・偉哉の一家が滞在するこの別館では、かつて火事があり、松之助が火を消したそうだ。<br />
加奈絵は別館が嫌いで絶対に来ないとか。<br /><br />
松之助に火事のことを聞く。伝衛門の二番目の妻・百合絵が生きていたころ、<br />
別館は百合絵と、まだ赤ん坊だった茉莉絵が使っていた。伝衛門の長期出張中に<br />
火事が起き、松之助が二人を助けたとのことだ。<br /><br />
本館に戻って、二階の行けなかった部屋を調べると、艶子が花瓶で頭を殴られて死んでいた…。<br />
なぜか部屋の外の縁側にも花瓶の破片がおちていた。<br /><br /></dd>
<dt>48 :<a href="mailto:sage"><b>玻璃ノ薔薇</b></a>:2006/10/03(火)23:30:43ID:DVhjagaO0</dt>
<dd>全員が食堂に集められ、艶子の死が伝えられた。やはり貴子の死も他殺では?と不安になる人々。<br />
「さっさと遺言を公開しないからだ!!」と偉男が蜂谷に食ってかかる。<br />
伝衛門は生前、「自分が死んだら屋敷に一族をあつめ、3日経ったら遺言を公開するように」<br />
と言い残していたらしい。<br />
伊原が全員に部屋を出るなと命じて解散させるが、当然、無視して調査を続けることにする。<br /><br />
別館に行くと、偉雄一家の仲がギクシャクしていた。<br />
蓉子は、昔の夫はやさしかったけれど、今はお互いに理解しあえない…と嘆いている。<br />
となりの部屋の偉雄は、壷を落として手をケガした、と苛立っている。<br />
ここでも伝衛門の仮面を見つけた。<br /><br />
偉哉の話では、この別館にはあかずの間があるそうだ。<br />
絢子に頼まれた伝衛門が、百合絵の遺品をしまいこみ封じたらしい。<br />
書斎で見つけた鍵を使ってあかずの間に入ると、百合絵の肖像画、赤ん坊のおもちゃ、<br />
スポイト壜を見つけた。この壜は青酸カリの…?<br /><br />
夕方、ナオミという女が片桐をたずねてきた。「刑事を辞めたのにこんなところへ飛びこんで」と<br />
片桐を責めているのが聞こえてしまった。<br /><br />
茉莉絵は部屋に閉じこもっていた。「昨日の晩、階段を下りていく悪魔を見たんです。<br />
悪魔は愛するものの姿を借りて忍びこんでくる、とお父様におそわったことがあるの。」<br />
悪魔の姿は貴史お兄様そのものだった、でもその瞳はおそろしい光を放っていた、という茉莉絵。<br />
急に激しい頭痛がした貴史はその場を立ち去った。<br /><br /></dd>
<dt>94 :<a href="mailto:sage"><b>玻璃ノ薔薇</b></a>:2006/10/08(日)23:52:22ID:9bjttqax0</dt>
<dd>さらに一族の人間関係を探る貴史。<br />
伊原刑事に会うと、「うろつくなと言ったはずだ。いったい何を探っている?」と疑われる。<br />
貴史も疑問をぶつける。「伊原さん、あなたは何もしていない。まるで殺人を待っているかのようだ」<br /><br />
片桐刑事に会う。「皆、百合絵が自殺したことについて語りたがらない」と言う片桐に<br />
貴史は「あなたも自分のことを語らない。あなたがくる前から僕はあなたを知っていた」と話す。<br />
片桐は「ここで私と会う前から、連続殺人がおきることを知っていたのか?」と問いかけてきた。<br /><br />
南庭園で松之助に会った。ここからは艶子の部屋の縁側がよく見える。<br />
松之助は艶子が殺された時間、縁側にスーツ姿の男がいるのを目撃したそうだ。<br />
というわけで、艶子殺しに関して、貴史への疑いは解いてくれた。<br />
しかし肝心のスーツの男については、「同郷のよしみで雇ってくれた旦那様への恩がある。<br />
この家から人殺しを出したくないから、これ以上は話さない」と口を閉ざしてしまった。<br /><br />
東庭園には海道がいた。北と南の庭園にある2体の女性像は、伝衛門が亡くなった二人の妻の魂を<br />
鎮めるために作ったそうだ。ここ東庭園には子供像があるが、この子は誰なんだろう?と首を傾げている。<br />
「加奈絵は一人にしてほしいそうだ。僕が本当に加奈絵を愛しているかって?<br />
…いつかは僕のことを話すよ、でも今はそのときじゃない」<br /><br />
加奈絵を探すと、彼女は一人北庭園に佇んでいた。<br />
伝衛門にもらった思い出のフランス人形を探しているそうだ。<br />
屋敷内から見つけ出した人形(服が少し焦げている)を渡してやると、加奈絵の心の中が透けて見える。<br />
(「お母様は私のもの…茉莉絵さえいなければ…」「倒れる燭台」「火の粉を浴びるフランス人形」)<br /><br />
夜になって、蓉子が夫を探しにきた。「メイドが、あなたと一緒にいたと言うから…」そんな覚えはない。<br />
庭の古井戸のそばで猫が鳴いているので蓋を開けると、偉雄の絞殺死体が押し込められていた。<br /><br />
一同が集められ、偉雄の死が伝えられた。蓉子と偉哉は悲しみのあまり部屋に篭ってしまったようだ。<br /><br /></dd>
<dt>95 :<a href="mailto:sage"><b>玻璃ノ薔薇</b></a>:2006/10/08(日)23:56:07ID:9bjttqax0</dt>
<dd>解散して広間を歩いていると、茉莉絵がひとり書斎から出てくるのを見かける。<br />
「加奈絵お姉さまから聞いたわ。お姉さまの大切なものを見つけてくれたって。<br />
お兄様は私だけでなく加奈絵お姉さまにもやさしいのね。私も探してほしい宝物があるのに」<br />
すねた顔の茉莉絵が去った後、また伝衛門の仮面があらわれ、薔薇のピースを手にいれた。<br /><br />
書斎に入ると、ソファの上に『黒蝶の村』という小説を見つけた。伝衛門と松之助の故郷のことだろうか。<br />
本の間に、影谷竹弥という人物に宛てて書かれた古いハガキがはさまっていた。<br /><br />
『あなたが村を出てから長い時が過ぎました。私はあなたの父の魂が鎮まることを<br />
祈る日々を送っております。竹弥様、どうかこの母のことはお忘れください。すべては<br />
あなたが私を守るためになさったこと。あの人がどうしてああなってしまったのかは<br />
今もわからぬことですが、…(残りは読めない)』<br /><br />
配膳室では伊原刑事が胸を押さえて苦しそうにうめいていた。なにか持病を抱えていそうな様子だ。<br />
貴史に気がつくと平然をよそおって、「偉雄を殺した犯人は、力のある若い男だろう」などと話す。<br /><br />
夜、執事室のドアが細く開いている。中で蜂谷がなにかを読んでいたが、貴史の視線に気づくと<br />
ドアを閉めてしまった。<br /><br />
刑事の部屋の前に行くと、伊原と片桐の声がする。「俺には時間がない」と言う伊原に<br />
片桐は「しかし、あの男はあなたが捜している和弥ではない」と話す。驚く伊原。<br /><br />
深夜。テラスに誰かがいる?しかし、また激しく頭が痛み、部屋に戻って休むことにする。<br />
眠りの中で貴史は、自分が茉莉絵の首を絞めている悪夢を見る…。<br /><br /></dd>
<dt>96 :<a href="mailto:sage"><b>玻璃ノ薔薇</b></a>:2006/10/09(月)00:08:05ID:M9iQygKm0</dt>
<dd>10月24日<br />
朝、絢子の部屋を訪ねる。絢子は貴史に心を開きつつあるようだ。<br />
「どうしてあの人が仮面を付けるようになったかわかってるの…?」と意味ありげに聞かれたが、<br />
見張るように隣室で待っていた蜂谷が「奥様の言うことは取り合わないように」と念を押してくる。<br /><br />
縁側で茉莉絵と会う。すこしは機嫌を直してくれたようで、昨日は書斎で宝物のオルゴールを<br />
探していたのだと話してくれた。<br />
しかしそこに加奈絵がきたので、茉莉絵は逃げるようにいなくなってしまった。<br /><br />
加奈絵は妹を憎む理由と、幼い頃に自分が犯した罪を語った。<br />
「茉莉絵が生まれると、お母様は自分に似ている茉莉絵ばかりをかわいがって、<br />
二人で別館で暮らしはじめた。<br />
私が生まれた時に女優を辞めることになったので、私のことはきらっていた。」<br />
やがて幼い加奈絵は、嫉妬心から別館への放火という罪を犯す。<br />
それでもなお百合絵は茉莉絵をかばったが、のちに茉莉絵は母にひどいこと?をして死に追いやったという。<br />
茉莉絵の部屋を調べればあの子のことがわかる…。そうささやいて、加奈絵も去っていった。<br /><br />
茉莉絵の部屋を探すと、宝石箱を見つけた。中に入っていたのは蓉子の指輪だった。<br />
蓉子に渡すと、「茉莉絵は母の死がきっかけで心を病み、盗癖や虚言癖がついてしまったのでは<br />
ないか」と教えてくれた。<br /><br />
海道は、『人形』の台本を見つけだして調べていた。<br />
「脚本の貝原一平という男が気になる。台本の名前の所が黒く塗りつぶされていたが、<br />
伝衛門会長がやったのだろうか?」<br />
唐突に、加奈絵との婚約を解消すると言い出す海道。最初から別の目的があっての婚約だったようだ。<br /><br />
百合絵の死のいきさつが気になる。松之助に尋ねるが、老人は話を拒否して逃げてしまった。<br />
その心の中には、赤い瓶と茉莉絵の映像が見えた。やはり茉莉絵がかかわっているのか?<br />
松之助を捜して庭園を回ると、なぜか芝生の上に赤い瓶が落ちていた。貴史が拾おうと屈んだ瞬間、<br />
二階から大量のレンガが降ってきた。転がって避けたものの、当たったら確実に死んでいただろう。<br /><br />
夜。絢子の部屋を訪ねると、「オルゴールを茉莉絵に渡してほしい」と託された。<br />
これは、かつて茉莉絵が伝衛門の誕生日に贈った物。<br />
伝衛門は盗品などいらぬ!!と激怒したが、その後、茉莉絵を傷つけてしまった…と後悔して<br />
オルゴールを大切にしていたそうだ。<br /><br />
部屋を出ると蜂谷が、伊原が呼んでいたと伝えにくる。しかしどこにも姿がない。<br />
探し回ると、厨房の調理台の下から伊原のネクタイがはみ出している。<br />
調理台の中には、伊原の刺殺死体が押しこまれていた…。<br /><br /></dd>
<dt>122 :<a href="mailto:sage"><b>玻璃ノ薔薇</b></a>:2006/10/20(金)21:57:35ID:iWA9DyYF0</dt>
<dd>全員が食堂に集められ、伊原の死が伝えられた。「遺言状はまだなの?」蓉子と加奈絵が蜂谷に迫る。<br />
蜂谷によると、今日の3時に、伝衛門の信頼する代理人が、遺言状を届けにくるそうだ。<br /><br />
解散して廊下に出ると、虚彦と水穂が話し合っていた。連続殺人に嫌気がさし、屋敷を出たいと言う虚彦。<br />
水穂はそんな虚彦に「艶子さんが殺されたわけを知りたい」と留まることを主張する。<br /><br />
広間では蓉子・偉哉母子が肩を落としていた。伝衛門は私たちには何も遺してくれないはず…と<br />
夫を亡くして先行きに不安を感じている蓉子。逆に偉哉はしっかりしはじめていた。<br />
「和弥さんを信じてるけど、お父様を殺したのは誰か知っているなら教えてほしいの」<br /><br />
刑事部屋には片桐とナオミがいた。片桐は「艶子を殺したのは偉雄だ」という。<br />
そして、「貴子や偉雄、伊原を殺したのは同一人物だ」と。それは誰か?と聞くと、<br />
片桐は「君にはわかってい…」と言いかけ、苦しそうに頭を押さえて出て行ってしまった。<br />
その心の中には、包丁を持った貴史の姿が…。<br /><br />
「光太郎は、三年前の事件を思い出すとああなってしまうの」ナオミは語り始めた。<br />
三年前、刑事だった片桐は、とある猟奇事件の容疑者を追いつめたが、寸前で<br />
その若い男の無実の訴えを信じて逃がしてやった。<br />
しかし男はその後すぐに、次の事件を起こした。被害者は、片桐の上司の妻。<br />
「でも、どうして私にそんなことを聞くの?あなたが七瀬和弥なら、すべて知っているはずよ」<br />
片桐の上司=伊原刑事 犯人の若い男=七瀬和弥 ということか…と貴史は理解した。<br /><br />
偉雄の部屋を調べると、キネマ社の裏帳簿が隠してあった。中には多額の使途不明金が記されている…。<br />
偉雄は艶子と言い争う姿を何人かに目撃されていた。艶子はこのことで偉雄をゆすっていた?だから…<br /><br />
虚彦と水穂に裏帳簿を見せると、二人は艶子の死の真相を察し、ショックを受ける。<br />
伝衛門、貴子、偉雄、艶子。<br />
たくさんのキネマ社関係者が死んでしまったが、会社を建て直さなければ、と二人は屋敷を去っていった。<br /><br />
大事な話があるというので偉哉の部屋を訪ねる。<br />
「お父様が艶子さんを殺したんだね…でもお母様には言わないで」と言う偉哉。<br />
貴史は、自分は本当は七瀬和弥ではなく影谷貴史という名前であることと、70年以上先の未来から<br />
きたことを打ち明け、ガラスの薔薇のパズルを完成させれば元の世界に帰れるらしい、ということも話した。<br /><br />
貴史の言うことを信じる、という偉哉。<br />
「この嵌め絵は、お祖父様がフランスで買ってきた、願いがかなうというパズル。でもいつの間にかピースが<br />
なくなって、お祖父様は完成させることができなかったんだ。」<br />
偉哉も、伝衛門が偉哉だけに教えてくれたという屋敷の秘密を打ち明けてくれた。<br />
二階のどこかにある秘密の扉を開けると、誰も知らない隠し部屋に行けるらしい。<br />
真相の解明を貴史に託して、蓉子・偉哉母子も屋敷を去っていった。<br /><br /></dd>
<dt>123 :<a href="mailto:sage"><b>玻璃ノ薔薇</b></a>:2006/10/20(金)21:59:31ID:iWA9DyYF0</dt>
<dd>書斎に行くと蜂谷がぼうっと佇んでいた。どうも様子がおかしい。「和弥様…私はあなたの言うとおりに…」<br />
(ワインをグラスにそそぐ蜂谷の幻) 蜂谷はふらふらと書斎から出ていった。<br /><br />
広間に出ると、男女の客が来ていた。伝衛門の友人の息子で、銀座で出版社の社長をやっているという<br />
小笠原潤吾と、その秘書の中谷タエだ。二人は伝衛門の遺言状を届けにきたという。<br /><br />
潤吾は食堂で執事からこれまでの出来事を聞き、まもなく貴史の部屋を訪問してきた。<br />
貴史を見て、『和弥』が無事だったことを喜ぶ潤吾。<br />
なぜかというと、若いころ書生として伝衛門に雇われ、この部屋で生活していたという潤吾は、<br />
和弥の生まれた時のこともよく知っているそうなのだ。<br />
なんと和弥とは、伝衛門と緋沙子との間に生まれた、貴子の双子の弟だったとか…。<br />
(庭園の子供像の幻が見える)<br />
ところが和弥は幼いころに失踪し、夫妻が手をつくして捜したが見つからなかった。<br />
貴子は弟の存在を知らなかったようだ。なぜ伝衛門は和弥の存在を隠したのだろう?<br /><br />
遺言状の内容は、『財産はすべて妻・絢子に譲る もし相続できない場合は そのすべては<br />
わが子 七瀬和弥に贈る』というものだった。<br />
しかしここで潤吾から残念な知らせが。<br />
伝衛門は3年前に財産を株に変え、今の大暴落で紙切れ同然……。<br /><br />
潤吾と別れ食堂に行くと、喜久代がうつろな表情で、食卓にセッティングされたナイフを見つめていた。<br />
(百合絵の幻「あの人に殺されてしまうの…助けて喜久代」「百合絵様は私がお守りします」<br />
刃物を手にする喜久代の幻)<br />
お屋敷はどうなるのか…私は今まで何を守ってきたのでしょう…。喜久代はふらふらと食堂を出て行った。<br /><br />
テラスにいたタエと話す。彼女はじつは秘書ではなく、銀座のマネキンガールだそうだ。<br />
タエは片桐とナオミのことを、銀座のカフェのマスターと女給でしょ?と話す。<br />
以前、伝衛門が潤吾に「片桐がどんな人か見てきてくれ」と依頼し、タエも一緒に見に行ったとか。<br /><br /></dd>
<dt>124 :<a href="mailto:sage"><b>玻璃ノ薔薇</b></a>:2006/10/20(金)22:02:21ID:iWA9DyYF0</dt>
<dd>北庭園には松之助がいた。赤い瓶を突きつけ、百合絵の自殺のわけを問いつめる。<br />
「旦那様が長く家を留守にしているうち、百合絵さまは心を病み、旦那様に殺されるのではと<br />
思いこむようになった。<br />
そしてむごいことに、幼い茉莉絵様に、どうやって旦那様を殺そうか、毎晩聞かせるようになった。<br />
茉莉絵様から助けを求められたわしは、旦那様のグラスに毒を入れようとした百合絵様を止めた。<br />
しかし翌日、百合絵様は茉莉絵様の手を握りしめながら、その赤い瓶の毒を飲んで死んだのじゃ。<br />
茉莉絵様はなにも悪くない」<br /><br />
「松之助さんは優しいんですね」といたわる貴史に、松之助は心を動かされたのか<br />
「艶子を手にかけたであろう偉雄を殺して、全ての罪をかぶろうとした」と白状した。<br />
しかし、一足先に誰かが偉雄を殺してしまったという。<br />
「わしの役目はもう終わった…。旦那様がなぜあんたを呼び寄せたか、わかったような気がするよ」<br />
そういって松之助は屋敷を去っていった。<br /><br />
茉莉絵は悪くなかった。その長い苦しみを取り除いてやらなければ。<br />
茉莉絵の部屋に行き、絢子から預かっていたオルゴールを返す。<br />
伝衛門がこれを大切に持っていたこと、お母さんの死はきみのせいじゃないよ、と話すと<br />
茉莉絵は嬉しそうに「お父様がお兄様を呼び寄せたわけがわかった気がする」とつぶやいた。<br /><br />
つづいて加奈絵の部屋に。<br />
茉莉絵、絢子、貴子をねたみ、女優の夢も婚約者も失ってしまった自分を悲観する加奈絵。<br />
貴史が「茉莉絵はずっと苦しんできた、絢子が継ぐ遺産は紙切れ同然、貴子は夢を叶えたが死んだ。<br />
あなたには、あなたの言葉を待っている妹がいる」と説得すると、加奈絵は自分のあやまちを認めた。<br />
「海道が話があるそうだから行ってあげて」と言い残し、加奈絵は茉莉絵のもとへ向かった。<br /><br />
海道は自分の素性を語りはじめた。<br />
海道の父は脚本家で、妻子持ちでありながら、自分が脚本を手がけた「人形」の主演女優<br />
(つまり緋沙子)と愛しあってしまった。<br />
やがて緋沙子が夫(伝衛門)との間に双子を生むと、嫉妬から双子の片割れを誘拐し、行方をくらました。<br />
しかし、伝衛門はなぜか事件を表ざたにせず、二年後に緋沙子が死ぬとすぐ、若い女と再婚。<br />
それを聞いた海道の母は、海道を預けてどこかへ働きに…(ここで喜久代の映像が)。<br />
成長した海道は、伝衛門を調べるために、加奈絵と婚約して屋敷にやってきたのだった。<br />
ところが時すでに遅く、伝衛門は死んでしまっていた…。<br /><br />
書斎にあった小説『黒蝶の村』は、海道が持ち去って調べていたようだ。あらためて内容を読む。<br />
『…この村では数年に一度、体に蝶の形のアザを持つ者が生まれる。その者はいずれ狂気に犯され<br />
一番愛する者を殺してしまうという言い伝えが…』<br /><br /></dd>
<dt>125 :<a href="mailto:sage"><b>玻璃ノ薔薇</b></a>:2006/10/20(金)22:06:07ID:iWA9DyYF0</dt>
<dd>広間に再び、尚美の姿が現れる。心のカケラを集めたせいか、こちらの言葉が通じるようになっている!<br />
薔薇のパズルのことを話し、「今夜12時、広間に来てくれ!いっしょに帰ろう!!」と叫ぶ貴史。<br />
「わかったわ!」嬉しそうにうなずいて尚美は消えた。<br />
薔薇のピースはあと一つ、今夜中に必ず見つけ出す、と心に誓う貴史。<br /><br />
二階の空き部屋に人影が。ベランダに出て調べていると、背後から刃物を持った人影に襲われる。<br />
何とか避けたものの、手すりに頭をぶつけて気を失ってしまった。<br />
目をさますと片桐が見おろしていた。「伊原をやったのは君か?」<br />
「僕じゃない。七瀬和弥だ。僕は七瀬和弥じゃない。そしてあなたも刑事じゃない。」<br /><br />
片桐は伊原のことを話し始めた。<br />
伊原の妻が七瀬和弥に襲われてから、伊原は変わってしまった。捜査で賄賂を受けとるように…。<br />
廃人同然となった妻の治療費かと思われたが、妻が死んだあともそれは続いた……。<br />
貴史が「伊原さんは、和弥への復讐を手伝わせるために片桐さんを呼んだのか?」と聞くと<br />
「それだけじゃない」と言って片桐は去った。<br /><br />
茉莉絵の部屋では、加奈絵・茉莉絵の姉妹が初めてなごやかに語り合っていた。<br />
茉莉絵の話では、オルゴールの中に、手紙が隠されていたそうだ。<br />
あて名は伝衛門、差出人は、七瀬和弥……。<br />
『私を屋敷に迎えて下さるとのこと、うれしくありがたく存じます。あの震災の夜、私のアザを<br />
覚えていてくださった父上と再会を果たせたのは幸いなことです。今日、私は父上と私の<br />
秘密を知りました。私たちはなんと心躍る宿命の星の元に生まれているのでしょうか(略)』<br /><br />
海道と話す。「母は、夫と自分の運命を狂わせた女がなぜ死んだのか見たかったのだろう。<br />
自分を裏切った夫への復讐心もあったのかも…。だから、百合絵さんのことも自分のことのように<br />
思えたんだろう」<br />
二階の納戸の中に、隠し扉を見つけた。その先の部屋には、スクリーンに映る百合絵の姿を<br />
一心に見つめる喜久代がいた。声をかけようとすると、海道に止められる。<br />
「この人の時間は止まったままだ。…一緒にこの屋敷を出よう」海道は母の肩を抱えるようにして去った。<br /><br />
広間に行くとナオミがいた。「光太郎が刑事を辞めたのは、伊原のことがあっただけではなく、<br />
犯人を追い詰め、絶望させることに快感を感じるようになった自分が怖くなったから」<br />
(鉈をふりかぶる片桐の幻)<br /><br />
蜂谷の留守を見はからって執事室を調べると、伝衛門の手記があった。<br />
『和弥が生まれた時、その手のアザをみて、あの村で見た父親のアザを思い出し身震いした。<br />
だから和弥がいなくなった時、悲しみながらも安堵した。しかし再び私の前に現れるとは…。<br />
このままにしておく訳にはいかない。和弥が全てを崩壊させる前に、この手で……』<br /><br />
刑事の部屋に行き、片桐に、和弥から伝衛門への手紙を見せる。<br />
伝衛門は息子・和弥を葬るために屋敷へ招き寄せたのだ…と悟った片桐。<br />
貴史はあたりを見回した。「本物の七瀬和弥はこの屋敷のどこかに潜み、僕たちをじっと見ている……」<br /><br /></dd>
<dt>157 :<a href="mailto:sage"><b>玻璃ノ薔薇</b></a>:2006/10/22(日)23:17:56
ID:fFd69p8Q0</dt>
<dd>これまで一人思い悩んでいた絢子が全てを語りだした。<br />
伝衛門は、震災の混乱の中で顔半分にケガをし、傷が癒えると蝶の形の跡が残った。<br />
その時を境に伝衛門は他人に心をとざし、仮面で傷跡を隠し、そして子供たちは屋敷を追いだされた。<br />
伝衛門は「やがて自分には狂気が訪れる。和弥を亡き者にしたら、この薬で私を…」<br />
そう言って、絢子に毒薬を渡したのだった。<br />
今は絢子は、伝衛門に嫁ぐ前の恋人が迎えに来てくれると信じ、ただ待ち続けている。<br />
「私は裏切っていない…ただあの人が忘れられないだけ…あの人は私をここから救ってくれる…」<br />
まるでお守りのようにペンダントを握り締め、つぶやき続ける絢子。<br />
伝衛門への複雑な感情や、結婚のため一方的に別れてしまった恋人への罪悪感、<br />
屋敷に閉じこもり続けたことなどで、精神を限界まですりへらしてしまったようだ。<br /><br />
絢子の部屋のクローゼットは、隠し部屋の扉になっていた。この先に奴が…。<br /><br />
薄暗い階段を手探りでのぼると、テーブルと椅子だけが置かれた殺風景な小部屋があり、<br />
椅子に蜂谷が身じろぎもせず腰掛けていた。<br />
その後ろから、貴史とそっくりな男、本物の七瀬和弥があらわれた。<br />
(キツい紫色の服に白い前髪、前傾姿勢でユラユラ。顔の造作以外はまったく似ていませんが…)<br /><br />
和弥の姿を見たとたん、貴史は激しく苦しみだす。<br />
「苦しいか?もうすぐお前も楽になる、こいつのように」<br />
ダンッ!!と蜂谷の手の甲をナイフで串刺しにする。しかし蜂谷はまるで蝋人形のように動かない。<br />
「ドッペルゲンガーの話を知っているか?見るといずれ死ぬという」<br />
うずくまってしまった貴史を見てあざ笑う和弥。<br />
「人が苦しんで死ぬ姿が楽しくてたまらない。震災のどさくさにまぎれて、何十人も殺してやった。<br />
その時俺を止めたのが伝衛門だったが、手の甲にあるアザを見て息を呑んだ。<br />
野垂れ死んでいて欲しかったんだろうが、死んだのは俺を連れ出したマヌケな育ての親さ!」<br /><br />
和弥は一方的にしゃべり続ける。<br />
「伝衛門の父親は、狂って妻を殺そうとした。伝衛門は母をかばい、父を殺して村を出た。<br />
そしておびえながら生きてきた。なぜ狂気を恐れる?なぜ狂気を楽しまない?<br />
伝衛門は俺を恐れ、呼び寄せたが、俺は絢子と蜂谷を意のままにして父上を楽にしてやった。」<br />
貴史は叫ぶ。「違う!伝衛門が恐れたのはお前じゃない、自分の血、自分の宿命だ!」<br /><br />
「お前が現れたときは驚いたが、楽しくなると思った。……お前はどこからきた?」<br />
刃物を振りかざし、何度も貴史に切りつける和弥。次第に追い詰められる貴史。<br />
その時、ゆっくりと階段を上ってくる人影が。手に鉈を提げた片桐だ。<br />
振り向いた和弥の絶叫が響く………。<br /><br /></dd>
<dt>158 :<a href="mailto:sage"><b>玻璃ノ薔薇</b></a>:2006/10/22(日)23:20:52
ID:fFd69p8Q0</dt>
<dd>床に横たわる和弥を前に立ちつくす貴史と片桐。<br />
ナオミの悲鳴が聞こえたので、階下の絢子の部屋にもどると<br />
ナオミの指さす先で、絢子が椅子に座ったままこと切れていた。その手から、彼女が<br />
いつもお守りのように握り締めていたペンダントがすべり落ちる。<br />
床に落ちた弾みで蓋が開くと、中には片桐の顔写真が入っていた。<br />
その場にひざまずき、無言で絢子の手を取り、頬をよせる片桐。<br />
貴史がペンダントを拾い上げると、光を放ちながら最後の薔薇のピースへと変わった。<br /><br />
深夜12時、広間で待つ貴史の前に、約束どおり尚美が現れた。<br />
尚美の姿はもはや透けてはおらず、駆け寄った二人はしっかりと手を握り合った。<br />
ナオミの目の前で、最後のピースをパズルにはめ込む。完成したパズルが白く強く輝き、<br />
その光に包みこまれるようにして、貴史と尚美の姿は忽然と屋敷から消えた。<br /><br /><br />
気がつくと貴史は、屋敷跡の廃墟にたたずんでいた。振りむけば尚美がいる。<br />
貴史は尚美の肩に手をかけ、安堵の笑顔であたりを見回す二人。<br /><br />
その足元には、薔薇色のガラスの破片が、光を反射して輝いていた…。<br /><br /></dd>
<dt>159 :<a href="mailto:sage"><b>玻璃ノ薔薇</b></a>:2006/10/22(日)23:28:29
ID:fFd69p8Q0</dt>
<dd>これでベストエンド(終幕1)まで終了です。<br />
読み返したら、「という」が多過ぎで自分で笑いましたが…<br /><br />
ともかく残りバッドエンドと1レスまとめ行きます。<br /><br /></dd>
<dt>160 :<a href="mailto:sage"><b>玻璃ノ薔薇</b></a>:2006/10/22(日)23:29:36
ID:fFd69p8Q0</dt>
<dd>終幕2<br />
隠し部屋で、和弥が貴史に襲いかかる!しかし片桐は現れず、画面は暗転。<br />
ナオミの悲鳴が聞こえ、階下に降りると絢子が死んでいた。<br />
(省略)<br />
パズルを完成させて現代に戻ってきた二人。<br />
微笑みあい、貴史は尚美の肩に手をかけ、…その手の甲には蝶の形のアザがあった。ニヤリと笑う口元…。<br /><br />
終幕3<br />
深夜12時、広間で再会し、パズルを完成させた貴史と尚美は光に包まれる。<br />
気がつくと、屋敷跡の廃墟に立っていた。しかし振りむいた先に尚美の姿はなかった。<br />
「尚美さん!…尚美…さん…? どうして、こんなことに…」<br /><br />
終幕4<br />
隠し部屋で、和弥の長い口上をきいた貴史は「お前には愛するものはいないのか!?」<br />
と問いかけるが、和弥は「俺の人生に愛などという言葉はない!!」と刃物を振り下ろしてくる。<br />
そして…仰向けに倒れ動かなくなった貴史。和弥の狂ったような笑い声がひびく…。<br /><br /></dd>
<dt>161 :<a href="mailto:sage"><b>玻璃ノ薔薇 1レスまとめ</b></a>:2006/10/22(日) 23:35:11
ID:fFd69p8Q0</dt>
<dd>新聞記者・影谷貴史は、女子大生・片桐尚美の依頼で、彼女の祖父が捜査にあたったという<br />
昭和初期の迷宮入り事件「キネマ屋敷連続殺人事件」を調べるため屋敷に向かった。<br />
しかし突然白い光に巻き込まれ、事件発生時の屋敷にタイムスリップ。尚美もずれた次元に飛ばされてしまった。<br />
屋敷では当主の芳野堂伝衛門が毒殺されたところで、貴史は行方不明とされていた伝衛門の息子・<br />
和弥になりすまし、調査をしながら元の時代に帰る方法を探すことにした。<br /><br />
尚美の祖父・片桐刑事が後世に遺した手帳によると、屋敷内に散らばるガラスの薔薇の破片を集め、<br />
パズルを完成させた時、再び白い光が現れて貴史の姿が消えたらしい。<br />
ガラスの薔薇の破片、そしてタイムスリップの衝撃で屋敷内に散らばってしまった尚美の心のカケラ、<br />
この二つを集めながら、まずは芳野堂一族の人間関係を紐解いていく貴史。<br />
やがて捜査にやってきた伊原刑事・片桐刑事は「和弥」について何か知っているらしく、腹の探りあいになるが<br />
まもなく伝衛門の長女・貴子、そのライバル女優・艶子、伝衛門の長男・偉男の三人が次々と殺害され、<br />
伊原刑事までもが死体となって発見された。<br />
庭師他の証言により、艶子殺しの犯人は、会社の裏帳簿を握られて脅迫されていた偉男と推測された。<br />
だがその偉男を殺した犯人は誰なのか。闇にまぎれ、貴史にそっくりな男が歩き回っている?<br /><br />
謎に包まれていた伝衛門の過去を探るうち、その故郷の黒蝶村に伝わる逸話にたどり着いた貴史。<br />
この村では、まれに体に蝶のアザを持つ者が生まれ、その者はやがて狂気の殺人鬼に変貌してしまうという。<br />
まず伝衛門の父が狂気に侵され、やむなく父を殺して村を出た伝衛門もまた顔に現れたアザに怯えていたのだ。<br />
さらに伝衛門の手記や、和弥から伝衛門へ宛てた手紙が見つかった。<br />
呪われた血は、伝衛門の息子である本物の「和弥」にも受け継がれていた…。<br />
幼い頃に母の不倫相手に誘拐され、消息不明のはずだった和弥だが、震災の夜に父と運命的な再会を<br />
果たし、父とは正反対に、己の体のアザを喜び、無差別殺人を日常的に行っていたことがわかった。<br />
大きな事件を次々に起こし、追跡する片桐刑事を欺いて逃れ、さらに伊原刑事の妻をも惨殺していた和弥。<br />
死の間際に息子を呼び寄せたという伝衛門は、息子を自ら葬るつもりが、返り討ちに遭ってしまったのだろう。<br />
そして和弥は屋敷の隠し部屋に潜み、貴子や偉男、伊原を殺害し、人々が恐れおののく様子を楽しんでいたのだ。<br /><br />
和弥は屋敷の人々を利用して、自在に裏で動き回っていた。<br />
夫が伝衛門の妻と不倫したがゆえに家庭崩壊し、執念で屋敷に入り込んだメイドの喜久代…実家の再興のため<br />
に恋人・片桐の元を去り、伝衛門の後妻に入るしかなかった絢子…実直すぎる執事・蜂谷…<br />
彼らの弱りきった心の隙に付け入り、手駒として操っていた和弥だったが、隠し部屋を暴かれ、ついに貴史の前に<br />
姿をあらわす。<br />
ドッペルゲンガーに遭遇したかのように激しく苦しむ貴史。間一髪、片桐が鉈で応戦し、和弥の息の根を止めた。<br /><br />
その頃階下では、思い悩み疲れ果てた絢子が短い生涯を終えていた。<br />
彼女が握っていた恋人の写真入りのペンダントが、最後のガラスの薔薇の破片に変わる。<br />
伝衛門が揃えることができなかったという「願いを叶える薔薇のパズル」がついに完成した。<br />
白い光に包まれ、手を取り合って現代に帰還した貴史と尚美。<br />
その足元でガラスの薔薇の破片がキラキラと輝いていた。<br /><br /></dd>
</dl>
<p><strong>玻璃ノ薔薇(ガラスノバラ)</strong><br />
part24-279・281~284、>>26-45~48・94~96・122~125・157~161</p>
<hr />
<dl>
<dt>279 :<a href="mailto:sage"><b>玻璃ノ薔薇</b></a>:2006/08/17(木)23:45:43ID:g/0BBAV/0</dt>
<dd>登場人物と第一の殺人まで書きます。<br />
<br />
はじめに、『キネマ屋敷連続殺人事件』について<br />
<br />
「新世界キネマ社」の創設者であり、東京郊外の「キネマ屋敷」に隠遁していた映画王・<br />
芳野堂伝衛門が、昭和4年10月22日、書斎で青酸カリの入ったワインを飲んで死んでいた。<br />
屋敷に一族が集まるが、3日間で5人が殺される事件に発展。<br />
犯人は見つからず、事件は迷宮入りしてしまった。<br />
</dd>
<dt>281 :<a href="mailto:sage"><b>玻璃ノ薔薇 登場人物</b></a>:2006/08/17(木)23:56:13ID:g/0BBAV/0</dt>
<dd>影谷貴史(かげたにたかし) 主人公。天涯孤独の新聞記者。<br />
片桐尚美(かたぎりなおみ) 行動的な大学院生。祖父の手帳を持って、貴史を訪ねてきた。<br />
<br />
芳野堂伝衛門(よしのどうでんえもん) 新世界キネマ社の会長。晩年は豪邸にひきこもっていた。<br />
芳野堂絢子(あやこ) 伝衛門の後妻。実家の再興のため嫁いできた。部屋に閉じこもりがち。<br />
<br />
芳野堂偉雄(ひでお) 伝衛門の長男。キネマ社の社長。高圧的なところがある。<br />
芳野堂貴子(たかこ) 伝衛門の長女。キネマ社の看板女優。華やかな美女。<br />
芳野堂加奈絵(かなえ) 伝衛門の次女。女優にあこがれるが才能は無い。意地がわるい。<br />
芳野堂茉莉絵(まりえ) 伝衛門の三女。寄宿舎で暮らす学生。清楚だが思いつめた感じ。<br />
<br />
芳野堂蓉子(ようこ) 偉雄の妻。夫と心が通わず悩んでいる。<br />
芳野堂偉哉(ひでや) 偉雄の息子。おとなしい子供。伝衛門を慕っていた。<br />
芳川虚彦(よしかわきよひこ) キネマ社専属の監督。貴子との婚約を機に、助監督から出世した。<br />
野々村海道(ののむらかいどう) 銀座の映画館の弁士。加奈絵の婚約者。<br />
<br />
蜂谷國男(はちやくにお) 古くから働く執事。慇懃無礼な性格。<br />
六条喜久代(ろくじょうきくよ) 古くから働くメイド。厳格な婦人。亡くなった百合絵を敬愛する。<br />
島田松之助(しまだまつのすけ) 古くから働く庭番。へんくつな老人。伝衛門と同郷のよしみで雇われた。<br />
伊原遼次(いはらりょうじ) 知らせを受けてやってきた刑事。やる気がなさそう?<br />
片桐光太郎(かたぎりこうたろう) 二日目から応援に来る刑事。尚美の祖父にあたる。無口。<br />
<br />
沢松艶子(さわまつつやこ) 貴子と張り合う、キネマ社の看板女優。虚彦を訪ねてくる。<br />
高瀬水穂(たかせみずほ) 新人女優。艶子を慕って訪ねてくる。<br />
ナオミ 水商売風の赤いドレスの女。片桐刑事を訪ねてくる。<br />
<br />
芳野堂緋沙子(ひさこ) 故人。伝衛門の最初の妻。偉雄と貴子を生んだ。<br />
芳野堂百合絵(ゆりえ) 故人。伝衛門の二番目の妻。加奈絵と茉莉絵を生んだ。<br />
</dd>
<dt>282 :<a href="mailto:sage"><b>玻璃ノ薔薇</b></a>:2006/08/18(金)00:03:39ID:g/0BBAV/0</dt>
<dd>2003年秋<br />
主人公・影谷貴史は新聞記者。<br />
20世紀の未解決事件特集として「キネマ屋敷連続殺人事件」を記事にしたところ、片桐尚美という<br />
若い女性が訪ねてきた。<br />
「刑事だった祖父・片桐光太郎が遺した手帳に、事件のことが書かれていたんです」<br />
古く読みづらい手帳を持って、荒れはてた屋敷跡に入った二人は、突然発生した空間のゆがみに<br />
吸い込まれ、伝衛門の死亡直後の屋敷へとタイムスリップしてしまった。<br />
<br />
昭和4年10月22日<br />
貴史が意識をとりもどすと、そこは豪奢な書斎だった。<br />
暖炉の上にあった新聞の日付を見て、自分が過去の時代にいることに気がついた貴史。<br />
古びていたはずの手帳は新しくなっていて、中には貴史の顔写真と、ガラスでできた<br />
薔薇の花のパズルの写真、そして光太郎が書いたらしい文字があった。<br />
『10月24日 彼はこれを残して忽然と消えてしまった どこへ行ってしまったのか<br />
彼は一体何者なのか……』<br />
<br />
2日後に自分は消える?それまでに事件を解決し、尚美さんを見つけて現代に帰らなくては…。<br />
<br />
ふいに、丸眼鏡チョビ髭の男が書斎に入ってきた。男は執事の蜂谷と名乗った。<br />
そのとき貴史の手が白く光りだし、蜂谷にかざすとその心の中を映像として見ることができた。<br />
蜂谷は貴史のことを「伝衛門が20年ぶりに招いた隠し子・七瀬和弥」だと思い込んでいる?<br />
「和弥様はこの部屋で旦那様の死体をご覧になり、ショックで気絶されたのです」<br />
<br />
タイムスリップしてから貴史には、物の残留思念や、目の前の人間の心の中を<br />
透視できる能力が備わってしまったようだ。<br />
<br />
蜂谷の後ろに、尚美のうっすらとした幻があらわれた。助けを求めながらさまよい歩いている。<br />
しかし、貴史の声は届かず、触れることもできない。蜂谷には尚美の姿自体が見えていないようだ。<br />
尚美は、ずれた次元に迷い込んでしまっている…。<br />
<br />
部屋の中には、白く光る小さなカケラがいくつか落ちていて、手にとると尚美の想いが伝わってくる。<br />
過去に飛ばされた時の衝撃で散らばってしまった、尚美の心のカケラのようだ。<br />
屋敷の中でできるだけこのカケラを集めることで、尚美を救えるかもしれない。<br />
</dd>
<dt>283 :<a href="mailto:sage"><b>玻璃ノ薔薇</b></a>:2006/08/18(金)00:08:58ID:g/0BBAV/0</dt>
<dd>一階の書生室を貸してもらうことに。引き出しを調べると、ガラスでできた未完成のパズルを見つけた。<br />
「これがそろった時、自分は消える…」とつぶやく貴史。<br />
その時、頭の中に重々しい男の声がひびいた。「和弥…私の想いがわかるか…私の心を知れ…」<br />
<br />
何もなかったはずの机の上に、顔の半分を隠せる形の仮面があらわれた。<br />
伝衛門は後年、顔にケガをして、仮面を愛用していたという。これがそうなのだろうか?<br />
手にとると、仮面は白く光り、薔薇の花びらのようなガラス片に変わった。さっそくパズルにはめこむ。<br />
<br />
伝衛門死亡の知らせを受けて、刑事や、伝衛門の子供たちとその関係者が屋敷に集まることになった。<br />
<br />
伝衛門と最初の妻・緋沙子の間に生まれた長男・偉雄(キネマ社の現社長)、<br />
同じく長女・貴子(キネマ社専属の看板女優)。<br />
伝衛門と二番目の妻・百合絵との間に生まれた次女・加奈絵(女優志望)、<br />
同じく三女・茉莉絵(寄宿舎で暮らす女学生)。<br />
<br />
ほかに、偉雄の妻・蓉子、偉雄の息子・偉哉、貴子の婚約者・虚彦(キネマ社専属の監督)、<br />
加奈絵の婚約者・海道(映画館の弁士)、刑事・伊原。<br />
<br />
また、普段からこの屋敷で暮らしているのは、<br />
伝衛門の三番目の妻・絢子、さきほどの執事・蜂谷、メイド・喜久代、庭番の老人・松ノ助の四人だ。<br />
<br />
貴史は、「伝衛門の隠し子・七瀬和弥」になりすまして、情報を集めることにした。<br />
</dd>
<dt>284 :<a href="mailto:sage"><b>玻璃ノ薔薇</b></a>:2006/08/18(金)00:19:15ID:hAMbW5dj0</dt>
<dd>伊原刑事は、伝衛門の死は他殺ではないかと疑っていた。<br />
「遺書もなく、隠し子を呼んでおいて自殺とはおかしい…。誰かがワインに毒を?」<br />
<br />
刑事の部屋からテラスに出ると、庭番の松之助が農具をふりあげて襲ってきた。<br />
刑事が止めてくれたが、松之助は「七瀬和弥」のことを憎んでいるのだろうか。<br />
<br />
メイドの喜久代から、貴子様・加奈絵様・茉莉絵様にあいさつするようにと言われ、<br />
二階へ上がるとすぐに、次女・加奈絵と、その婚約者の海道に出会った。<br />
加奈絵はプライドが高く、貴史の身なりを軽蔑しているようだ。<br />
<br />
長女・貴子は華やかだが気の強い美女。父の後妻・絢子のことを疑っていた。<br />
伝衛門が顔に怪我をした後、絢子は屋敷に住んでいた家族を全員追い出したとか。<br />
貴子はその他にも気がかりなことがあるらしい。3歳の時に事故で死んだ母の記憶…。<br />
<br />
三女・茉莉絵は清楚な感じの学生だが、「お父様は悪魔に殺されたんです」と不気味につぶやく。<br />
<br />
伝衛門の後妻・絢子は部屋に閉じこもっていた。一族や使用人たちからつらく当たられ<br />
心細いようだ。それに、伝衛門のことについても何かおびえている。<br />
「主人の遺体が地下食料庫にちゃんと安置されているか見てきてほしい」と頼まれた。<br />
<br />
夜になって、キネマ社の看板女優を名乗る艶子という美女が、虚彦に会いにきた。<br />
野心が強く、新作映画「人形」の主演になった貴子をねたんでいるようだ。<br />
<br />
「人形」は、キネマ社の第一作目の映画で、妻を愛するあまり嫉妬に狂った男が<br />
妻を殺害してしまう話。かつて貴子の母・緋沙子が演じたこの作品を、貴子主演でリメイクするらしい。<br />
伝衛門はこのリメイクに強く反対していたらしいが…。<br />
<br />
深夜、鍵をこっそり拝借して、地下の食料庫に降りる。棺を開けると中には伝衛門の遺体が。<br />
伝衛門の目が開いた!?と見えた次の瞬間、庫内に火が投げ込まれ、出口が外側から塞がれてしまう。<br />
必死に火を消して脱出すると、目の前の椅子で貴子が死んでいた……。<br />
</dd>
<dt>45 :<a href="mailto:sage"><b>名無しさん@お腹いっぱい。</b></a>:2006/10/03(火)23:13:46ID:DVhjagaO0</dt>
<dd>長らく放置していた玻璃ノ薔薇の続きを書きます。<br />
<br />
エンディング分岐を全部見たものの、色々とわからないことが多く。<br />
ミスリードか、語らぬが花というやつか、たんに自分の読解力がなさすぎるのか…。<br />
ともかくそのまま書いていきます。<br />
</dd>
<dt>46 :<a href="mailto:sage"><b>玻璃ノ薔薇</b></a>:2006/10/03(火)23:18:57ID:DVhjagaO0</dt>
<dd>10月23日<br />
未明。全員が食堂に集められ、貴子の死が伝えられた。お互いを探るように見まわす人々。<br />
1階の浴室前を通ると、浴槽に顔を押し付けられる貴子の幻が見える。<br />
貴子は自殺や事故ではなく、ここで殺されたのだろうか?<br />
その時、何者かに後ろから首をしめられる。ふりほどいたが、逃げられてしまった。<br />
<br />
朝、部屋を出て広間に入ると、茉莉絵がピアノを弾いていた。そこに姉の加奈絵がやってきて、<br />
「汚い手でお母様のピアノにさわらないで!」と茉莉絵をののしる。<br />
加奈絵は、茉莉絵のせいで、二人の母・百合絵が死んだと思っているようだ。<br />
いつのまにかピアノの上に仮面があらわれ、手にとるとバラのピースに変わった。<br />
<br />
茉莉絵は、「昨日、死んだはずのお父様が庭を歩いているのを見たんです」と相談してくる。<br />
昨夜の食料庫での出来事といい、伝衛門が生きているとでもいうのだろうか。<br />
<br />
庭に出ると、伊原刑事と、今朝から応援にきたという刑事・片桐光太郎が話していた。<br />
この片桐こそが、尚美さんの祖父で、あの手帳の主のようだ。<br />
伊原が「あの男が、七瀬和弥だ」と貴史の方に顎をしゃくり、片桐も「七瀬、和弥…」とつぶやいている。<br />
なんとなく険悪な空気を感じる。<br />
<br />
庭番の松之助も、会話はしてくれるようになったものの、相変わらず貴史を疑っている。<br />
昨日よりも前にたびたび、この屋敷を調べまわる貴史の姿を見ているというのだ。<br />
<br />
虚彦は、貴子を利用してのしあがるつもりが、失ってはじめて愛していたことに気がついた…<br />
と落ち込んで、『人形』の撮影もとりやめようとしていた。<br />
「貴子が自殺するはずがない。しかし、庭園に咲く曼珠沙華を見たときから様子がおかしかった。<br />
お母様の死は事故なんかではない、思い出したくないことを思い出した、と言っていた。」<br />
<br />
貴子の母・緋沙子が使っていた部屋を調べると、家具や小物に宿る残留思念が見える。<br />
(「あの子がいないの」「あの男のしわざか」「あの子は帰ってこない、私のせいなの、ゆるして…」<br />
「曼珠沙華の花」「剣を握る手」「あなた、やめて」「貴子、こないで」「お母様!いやぁぁ!」)<br />
</dd>
<dt>47 :<a href="mailto:sage"><b>玻璃ノ薔薇</b></a>:2006/10/03(火)23:23:34ID:DVhjagaO0</dt>
<dd>階段下で絢子の悲鳴。気を取られた貴史は後ろから何者かに殴られかけ、また取り逃がしてしまった。<br />
絢子は床に落ちている仮面を見てふるえていた。仮面には血が…。<br />
<br />
そこへメイドの喜久代が来て、「無念をかかえた旦那様の霊魂がただよっている」と絢子をおどかす。<br />
喜久代は伝衛門の前妻・百合絵を今でも盲目的に敬愛しており、後妻の絢子を憎んでいるようだ。<br />
取り乱した絢子はつぶやく。<br />
「もしかしたら私があの人を…あの人、死ななければならないと言ったの…私…わからない…」<br />
<br />
正午 高瀬水穂という緊張感のない新人女優が艶子を訪ねてくる。<br />
<br />
片桐は何かを知っているのか、謎めいたことを言っている。<br />
「伝衛門は死を予感していたのではないか。伝衛門は七瀬和弥に殺された 私はそう思っている」<br />
<br />
屋敷の別館で、タングラムという図形パズルで遊んでいる偉哉少年と話す。<br />
一緒にタングラムを解いてやると、うちとけて色々な話をしてくれるように。<br />
偉雄・蓉子・偉哉の一家が滞在するこの別館では、かつて火事があり、松之助が火を消したそうだ。<br />
加奈絵は別館が嫌いで絶対に来ないとか。<br />
<br />
松之助に火事のことを聞く。伝衛門の二番目の妻・百合絵が生きていたころ、<br />
別館は百合絵と、まだ赤ん坊だった茉莉絵が使っていた。伝衛門の長期出張中に<br />
火事が起き、松之助が二人を助けたとのことだ。<br />
<br />
本館に戻って、二階の行けなかった部屋を調べると、艶子が花瓶で頭を殴られて死んでいた…。<br />
なぜか部屋の外の縁側にも花瓶の破片がおちていた。<br />
</dd>
<dt>48 :<a href="mailto:sage"><b>玻璃ノ薔薇</b></a>:2006/10/03(火)23:30:43ID:DVhjagaO0</dt>
<dd>全員が食堂に集められ、艶子の死が伝えられた。やはり貴子の死も他殺では?と不安になる人々。<br />
「さっさと遺言を公開しないからだ!!」と偉男が蜂谷に食ってかかる。<br />
伝衛門は生前、「自分が死んだら屋敷に一族をあつめ、3日経ったら遺言を公開するように」<br />
と言い残していたらしい。<br />
伊原が全員に部屋を出るなと命じて解散させるが、当然、無視して調査を続けることにする。<br />
<br />
別館に行くと、偉雄一家の仲がギクシャクしていた。<br />
蓉子は、昔の夫はやさしかったけれど、今はお互いに理解しあえない…と嘆いている。<br />
となりの部屋の偉雄は、壷を落として手をケガした、と苛立っている。<br />
ここでも伝衛門の仮面を見つけた。<br />
<br />
偉哉の話では、この別館にはあかずの間があるそうだ。<br />
絢子に頼まれた伝衛門が、百合絵の遺品をしまいこみ封じたらしい。<br />
書斎で見つけた鍵を使ってあかずの間に入ると、百合絵の肖像画、赤ん坊のおもちゃ、<br />
スポイト壜を見つけた。この壜は青酸カリの…?<br />
<br />
夕方、ナオミという女が片桐をたずねてきた。「刑事を辞めたのにこんなところへ飛びこんで」と<br />
片桐を責めているのが聞こえてしまった。<br />
<br />
茉莉絵は部屋に閉じこもっていた。「昨日の晩、階段を下りていく悪魔を見たんです。<br />
悪魔は愛するものの姿を借りて忍びこんでくる、とお父様におそわったことがあるの。」<br />
悪魔の姿は貴史お兄様そのものだった、でもその瞳はおそろしい光を放っていた、という茉莉絵。<br />
急に激しい頭痛がした貴史はその場を立ち去った。<br />
</dd>
<dt>94 :<a href="mailto:sage"><b>玻璃ノ薔薇</b></a>:2006/10/08(日)23:52:22ID:9bjttqax0</dt>
<dd>さらに一族の人間関係を探る貴史。<br />
伊原刑事に会うと、「うろつくなと言ったはずだ。いったい何を探っている?」と疑われる。<br />
貴史も疑問をぶつける。「伊原さん、あなたは何もしていない。まるで殺人を待っているかのようだ」<br />
<br />
片桐刑事に会う。「皆、百合絵が自殺したことについて語りたがらない」と言う片桐に<br />
貴史は「あなたも自分のことを語らない。あなたがくる前から僕はあなたを知っていた」と話す。<br />
片桐は「ここで私と会う前から、連続殺人がおきることを知っていたのか?」と問いかけてきた。<br />
<br />
南庭園で松之助に会った。ここからは艶子の部屋の縁側がよく見える。<br />
松之助は艶子が殺された時間、縁側にスーツ姿の男がいるのを目撃したそうだ。<br />
というわけで、艶子殺しに関して、貴史への疑いは解いてくれた。<br />
しかし肝心のスーツの男については、「同郷のよしみで雇ってくれた旦那様への恩がある。<br />
この家から人殺しを出したくないから、これ以上は話さない」と口を閉ざしてしまった。<br />
<br />
東庭園には海道がいた。北と南の庭園にある2体の女性像は、伝衛門が亡くなった二人の妻の魂を<br />
鎮めるために作ったそうだ。ここ東庭園には子供像があるが、この子は誰なんだろう?と首を傾げている。<br />
「加奈絵は一人にしてほしいそうだ。僕が本当に加奈絵を愛しているかって?<br />
…いつかは僕のことを話すよ、でも今はそのときじゃない」<br />
<br />
加奈絵を探すと、彼女は一人北庭園に佇んでいた。<br />
伝衛門にもらった思い出のフランス人形を探しているそうだ。<br />
屋敷内から見つけ出した人形(服が少し焦げている)を渡してやると、加奈絵の心の中が透けて見える。<br />
(「お母様は私のもの…茉莉絵さえいなければ…」「倒れる燭台」「火の粉を浴びるフランス人形」)<br />
<br />
夜になって、蓉子が夫を探しにきた。「メイドが、あなたと一緒にいたと言うから…」そんな覚えはない。<br />
庭の古井戸のそばで猫が鳴いているので蓋を開けると、偉雄の絞殺死体が押し込められていた。<br />
<br />
一同が集められ、偉雄の死が伝えられた。蓉子と偉哉は悲しみのあまり部屋に篭ってしまったようだ。<br />
</dd>
<dt>95 :<a href="mailto:sage"><b>玻璃ノ薔薇</b></a>:2006/10/08(日)23:56:07ID:9bjttqax0</dt>
<dd>解散して広間を歩いていると、茉莉絵がひとり書斎から出てくるのを見かける。<br />
「加奈絵お姉さまから聞いたわ。お姉さまの大切なものを見つけてくれたって。<br />
お兄様は私だけでなく加奈絵お姉さまにもやさしいのね。私も探してほしい宝物があるのに」<br />
すねた顔の茉莉絵が去った後、また伝衛門の仮面があらわれ、薔薇のピースを手にいれた。<br />
<br />
書斎に入ると、ソファの上に『黒蝶の村』という小説を見つけた。伝衛門と松之助の故郷のことだろうか。<br />
本の間に、影谷竹弥という人物に宛てて書かれた古いハガキがはさまっていた。<br />
<br />
『あなたが村を出てから長い時が過ぎました。私はあなたの父の魂が鎮まることを<br />
祈る日々を送っております。竹弥様、どうかこの母のことはお忘れください。すべては<br />
あなたが私を守るためになさったこと。あの人がどうしてああなってしまったのかは<br />
今もわからぬことですが、…(残りは読めない)』<br />
<br />
配膳室では伊原刑事が胸を押さえて苦しそうにうめいていた。なにか持病を抱えていそうな様子だ。<br />
貴史に気がつくと平然をよそおって、「偉雄を殺した犯人は、力のある若い男だろう」などと話す。<br />
<br />
夜、執事室のドアが細く開いている。中で蜂谷がなにかを読んでいたが、貴史の視線に気づくと<br />
ドアを閉めてしまった。<br />
<br />
刑事の部屋の前に行くと、伊原と片桐の声がする。「俺には時間がない」と言う伊原に<br />
片桐は「しかし、あの男はあなたが捜している和弥ではない」と話す。驚く伊原。<br />
<br />
深夜。テラスに誰かがいる?しかし、また激しく頭が痛み、部屋に戻って休むことにする。<br />
眠りの中で貴史は、自分が茉莉絵の首を絞めている悪夢を見る…。<br />
</dd>
<dt>96 :<a href="mailto:sage"><b>玻璃ノ薔薇</b></a>:2006/10/09(月)00:08:05ID:M9iQygKm0</dt>
<dd>10月24日<br />
朝、絢子の部屋を訪ねる。絢子は貴史に心を開きつつあるようだ。<br />
「どうしてあの人が仮面を付けるようになったかわかってるの…?」と意味ありげに聞かれたが、<br />
見張るように隣室で待っていた蜂谷が「奥様の言うことは取り合わないように」と念を押してくる。<br />
<br />
縁側で茉莉絵と会う。すこしは機嫌を直してくれたようで、昨日は書斎で宝物のオルゴールを<br />
探していたのだと話してくれた。<br />
しかしそこに加奈絵がきたので、茉莉絵は逃げるようにいなくなってしまった。<br />
<br />
加奈絵は妹を憎む理由と、幼い頃に自分が犯した罪を語った。<br />
「茉莉絵が生まれると、お母様は自分に似ている茉莉絵ばかりをかわいがって、<br />
二人で別館で暮らしはじめた。<br />
私が生まれた時に女優を辞めることになったので、私のことはきらっていた。」<br />
やがて幼い加奈絵は、嫉妬心から別館への放火という罪を犯す。<br />
それでもなお百合絵は茉莉絵をかばったが、のちに茉莉絵は母にひどいこと?をして死に追いやったという。<br />
茉莉絵の部屋を調べればあの子のことがわかる…。そうささやいて、加奈絵も去っていった。<br />
<br />
茉莉絵の部屋を探すと、宝石箱を見つけた。中に入っていたのは蓉子の指輪だった。<br />
蓉子に渡すと、「茉莉絵は母の死がきっかけで心を病み、盗癖や虚言癖がついてしまったのでは<br />
ないか」と教えてくれた。<br />
<br />
海道は、『人形』の台本を見つけだして調べていた。<br />
「脚本の貝原一平という男が気になる。台本の名前の所が黒く塗りつぶされていたが、<br />
伝衛門会長がやったのだろうか?」<br />
唐突に、加奈絵との婚約を解消すると言い出す海道。最初から別の目的があっての婚約だったようだ。<br />
<br />
百合絵の死のいきさつが気になる。松之助に尋ねるが、老人は話を拒否して逃げてしまった。<br />
その心の中には、赤い瓶と茉莉絵の映像が見えた。やはり茉莉絵がかかわっているのか?<br />
松之助を捜して庭園を回ると、なぜか芝生の上に赤い瓶が落ちていた。貴史が拾おうと屈んだ瞬間、<br />
二階から大量のレンガが降ってきた。転がって避けたものの、当たったら確実に死んでいただろう。<br />
<br />
夜。絢子の部屋を訪ねると、「オルゴールを茉莉絵に渡してほしい」と託された。<br />
これは、かつて茉莉絵が伝衛門の誕生日に贈った物。<br />
伝衛門は盗品などいらぬ!!と激怒したが、その後、茉莉絵を傷つけてしまった…と後悔して<br />
オルゴールを大切にしていたそうだ。<br />
<br />
部屋を出ると蜂谷が、伊原が呼んでいたと伝えにくる。しかしどこにも姿がない。<br />
探し回ると、厨房の調理台の下から伊原のネクタイがはみ出している。<br />
調理台の中には、伊原の刺殺死体が押しこまれていた…。<br />
</dd>
<dt>122 :<a href="mailto:sage"><b>玻璃ノ薔薇</b></a>:2006/10/20(金)21:57:35ID:iWA9DyYF0</dt>
<dd>全員が食堂に集められ、伊原の死が伝えられた。「遺言状はまだなの?」蓉子と加奈絵が蜂谷に迫る。<br />
蜂谷によると、今日の3時に、伝衛門の信頼する代理人が、遺言状を届けにくるそうだ。<br />
<br />
解散して廊下に出ると、虚彦と水穂が話し合っていた。連続殺人に嫌気がさし、屋敷を出たいと言う虚彦。<br />
水穂はそんな虚彦に「艶子さんが殺されたわけを知りたい」と留まることを主張する。<br />
<br />
広間では蓉子・偉哉母子が肩を落としていた。伝衛門は私たちには何も遺してくれないはず…と<br />
夫を亡くして先行きに不安を感じている蓉子。逆に偉哉はしっかりしはじめていた。<br />
「和弥さんを信じてるけど、お父様を殺したのは誰か知っているなら教えてほしいの」<br />
<br />
刑事部屋には片桐とナオミがいた。片桐は「艶子を殺したのは偉雄だ」という。<br />
そして、「貴子や偉雄、伊原を殺したのは同一人物だ」と。それは誰か?と聞くと、<br />
片桐は「君にはわかってい…」と言いかけ、苦しそうに頭を押さえて出て行ってしまった。<br />
その心の中には、包丁を持った貴史の姿が…。<br />
<br />
「光太郎は、三年前の事件を思い出すとああなってしまうの」ナオミは語り始めた。<br />
三年前、刑事だった片桐は、とある猟奇事件の容疑者を追いつめたが、寸前で<br />
その若い男の無実の訴えを信じて逃がしてやった。<br />
しかし男はその後すぐに、次の事件を起こした。被害者は、片桐の上司の妻。<br />
「でも、どうして私にそんなことを聞くの?あなたが七瀬和弥なら、すべて知っているはずよ」<br />
片桐の上司=伊原刑事 犯人の若い男=七瀬和弥 ということか…と貴史は理解した。<br />
<br />
偉雄の部屋を調べると、キネマ社の裏帳簿が隠してあった。中には多額の使途不明金が記されている…。<br />
偉雄は艶子と言い争う姿を何人かに目撃されていた。艶子はこのことで偉雄をゆすっていた?だから…<br />
<br />
虚彦と水穂に裏帳簿を見せると、二人は艶子の死の真相を察し、ショックを受ける。<br />
伝衛門、貴子、偉雄、艶子。<br />
たくさんのキネマ社関係者が死んでしまったが、会社を建て直さなければ、と二人は屋敷を去っていった。<br />
<br />
大事な話があるというので偉哉の部屋を訪ねる。<br />
「お父様が艶子さんを殺したんだね…でもお母様には言わないで」と言う偉哉。<br />
貴史は、自分は本当は七瀬和弥ではなく影谷貴史という名前であることと、70年以上先の未来から<br />
きたことを打ち明け、ガラスの薔薇のパズルを完成させれば元の世界に帰れるらしい、ということも話した。<br />
<br />
貴史の言うことを信じる、という偉哉。<br />
「この嵌め絵は、お祖父様がフランスで買ってきた、願いがかなうというパズル。でもいつの間にかピースが<br />
なくなって、お祖父様は完成させることができなかったんだ。」<br />
偉哉も、伝衛門が偉哉だけに教えてくれたという屋敷の秘密を打ち明けてくれた。<br />
二階のどこかにある秘密の扉を開けると、誰も知らない隠し部屋に行けるらしい。<br />
真相の解明を貴史に託して、蓉子・偉哉母子も屋敷を去っていった。<br />
</dd>
<dt>123 :<a href="mailto:sage"><b>玻璃ノ薔薇</b></a>:2006/10/20(金)21:59:31ID:iWA9DyYF0</dt>
<dd>書斎に行くと蜂谷がぼうっと佇んでいた。どうも様子がおかしい。「和弥様…私はあなたの言うとおりに…」<br />
(ワインをグラスにそそぐ蜂谷の幻) 蜂谷はふらふらと書斎から出ていった。<br />
<br />
広間に出ると、男女の客が来ていた。伝衛門の友人の息子で、銀座で出版社の社長をやっているという<br />
小笠原潤吾と、その秘書の中谷タエだ。二人は伝衛門の遺言状を届けにきたという。<br />
<br />
潤吾は食堂で執事からこれまでの出来事を聞き、まもなく貴史の部屋を訪問してきた。<br />
貴史を見て、『和弥』が無事だったことを喜ぶ潤吾。<br />
なぜかというと、若いころ書生として伝衛門に雇われ、この部屋で生活していたという潤吾は、<br />
和弥の生まれた時のこともよく知っているそうなのだ。<br />
なんと和弥とは、伝衛門と緋沙子との間に生まれた、貴子の双子の弟だったとか…。<br />
(庭園の子供像の幻が見える)<br />
ところが和弥は幼いころに失踪し、夫妻が手をつくして捜したが見つからなかった。<br />
貴子は弟の存在を知らなかったようだ。なぜ伝衛門は和弥の存在を隠したのだろう?<br />
<br />
遺言状の内容は、『財産はすべて妻・絢子に譲る もし相続できない場合は そのすべては<br />
わが子 七瀬和弥に贈る』というものだった。<br />
しかしここで潤吾から残念な知らせが。<br />
伝衛門は3年前に財産を株に変え、今の大暴落で紙切れ同然……。<br />
<br />
潤吾と別れ食堂に行くと、喜久代がうつろな表情で、食卓にセッティングされたナイフを見つめていた。<br />
(百合絵の幻「あの人に殺されてしまうの…助けて喜久代」「百合絵様は私がお守りします」<br />
刃物を手にする喜久代の幻)<br />
お屋敷はどうなるのか…私は今まで何を守ってきたのでしょう…。喜久代はふらふらと食堂を出て行った。<br />
<br />
テラスにいたタエと話す。彼女はじつは秘書ではなく、銀座のマネキンガールだそうだ。<br />
タエは片桐とナオミのことを、銀座のカフェのマスターと女給でしょ?と話す。<br />
以前、伝衛門が潤吾に「片桐がどんな人か見てきてくれ」と依頼し、タエも一緒に見に行ったとか。<br />
</dd>
<dt>124 :<a href="mailto:sage"><b>玻璃ノ薔薇</b></a>:2006/10/20(金)22:02:21ID:iWA9DyYF0</dt>
<dd>北庭園には松之助がいた。赤い瓶を突きつけ、百合絵の自殺のわけを問いつめる。<br />
「旦那様が長く家を留守にしているうち、百合絵さまは心を病み、旦那様に殺されるのではと<br />
思いこむようになった。<br />
そしてむごいことに、幼い茉莉絵様に、どうやって旦那様を殺そうか、毎晩聞かせるようになった。<br />
茉莉絵様から助けを求められたわしは、旦那様のグラスに毒を入れようとした百合絵様を止めた。<br />
しかし翌日、百合絵様は茉莉絵様の手を握りしめながら、その赤い瓶の毒を飲んで死んだのじゃ。<br />
茉莉絵様はなにも悪くない」<br />
<br />
「松之助さんは優しいんですね」といたわる貴史に、松之助は心を動かされたのか<br />
「艶子を手にかけたであろう偉雄を殺して、全ての罪をかぶろうとした」と白状した。<br />
しかし、一足先に誰かが偉雄を殺してしまったという。<br />
「わしの役目はもう終わった…。旦那様がなぜあんたを呼び寄せたか、わかったような気がするよ」<br />
そういって松之助は屋敷を去っていった。<br />
<br />
茉莉絵は悪くなかった。その長い苦しみを取り除いてやらなければ。<br />
茉莉絵の部屋に行き、絢子から預かっていたオルゴールを返す。<br />
伝衛門がこれを大切に持っていたこと、お母さんの死はきみのせいじゃないよ、と話すと<br />
茉莉絵は嬉しそうに「お父様がお兄様を呼び寄せたわけがわかった気がする」とつぶやいた。<br />
<br />
つづいて加奈絵の部屋に。<br />
茉莉絵、絢子、貴子をねたみ、女優の夢も婚約者も失ってしまった自分を悲観する加奈絵。<br />
貴史が「茉莉絵はずっと苦しんできた、絢子が継ぐ遺産は紙切れ同然、貴子は夢を叶えたが死んだ。<br />
あなたには、あなたの言葉を待っている妹がいる」と説得すると、加奈絵は自分のあやまちを認めた。<br />
「海道が話があるそうだから行ってあげて」と言い残し、加奈絵は茉莉絵のもとへ向かった。<br />
<br />
海道は自分の素性を語りはじめた。<br />
海道の父は脚本家で、妻子持ちでありながら、自分が脚本を手がけた「人形」の主演女優<br />
(つまり緋沙子)と愛しあってしまった。<br />
やがて緋沙子が夫(伝衛門)との間に双子を生むと、嫉妬から双子の片割れを誘拐し、行方をくらました。<br />
しかし、伝衛門はなぜか事件を表ざたにせず、二年後に緋沙子が死ぬとすぐ、若い女と再婚。<br />
それを聞いた海道の母は、海道を預けてどこかへ働きに…(ここで喜久代の映像が)。<br />
成長した海道は、伝衛門を調べるために、加奈絵と婚約して屋敷にやってきたのだった。<br />
ところが時すでに遅く、伝衛門は死んでしまっていた…。<br />
<br />
書斎にあった小説『黒蝶の村』は、海道が持ち去って調べていたようだ。あらためて内容を読む。<br />
『…この村では数年に一度、体に蝶の形のアザを持つ者が生まれる。その者はいずれ狂気に犯され<br />
一番愛する者を殺してしまうという言い伝えが…』<br />
</dd>
<dt>125 :<a href="mailto:sage"><b>玻璃ノ薔薇</b></a>:2006/10/20(金)22:06:07ID:iWA9DyYF0</dt>
<dd>広間に再び、尚美の姿が現れる。心のカケラを集めたせいか、こちらの言葉が通じるようになっている!<br />
薔薇のパズルのことを話し、「今夜12時、広間に来てくれ!いっしょに帰ろう!!」と叫ぶ貴史。<br />
「わかったわ!」嬉しそうにうなずいて尚美は消えた。<br />
薔薇のピースはあと一つ、今夜中に必ず見つけ出す、と心に誓う貴史。<br />
<br />
二階の空き部屋に人影が。ベランダに出て調べていると、背後から刃物を持った人影に襲われる。<br />
何とか避けたものの、手すりに頭をぶつけて気を失ってしまった。<br />
目をさますと片桐が見おろしていた。「伊原をやったのは君か?」<br />
「僕じゃない。七瀬和弥だ。僕は七瀬和弥じゃない。そしてあなたも刑事じゃない。」<br />
<br />
片桐は伊原のことを話し始めた。<br />
伊原の妻が七瀬和弥に襲われてから、伊原は変わってしまった。捜査で賄賂を受けとるように…。<br />
廃人同然となった妻の治療費かと思われたが、妻が死んだあともそれは続いた……。<br />
貴史が「伊原さんは、和弥への復讐を手伝わせるために片桐さんを呼んだのか?」と聞くと<br />
「それだけじゃない」と言って片桐は去った。<br />
<br />
茉莉絵の部屋では、加奈絵・茉莉絵の姉妹が初めてなごやかに語り合っていた。<br />
茉莉絵の話では、オルゴールの中に、手紙が隠されていたそうだ。<br />
あて名は伝衛門、差出人は、七瀬和弥……。<br />
『私を屋敷に迎えて下さるとのこと、うれしくありがたく存じます。あの震災の夜、私のアザを<br />
覚えていてくださった父上と再会を果たせたのは幸いなことです。今日、私は父上と私の<br />
秘密を知りました。私たちはなんと心躍る宿命の星の元に生まれているのでしょうか(略)』<br />
<br />
海道と話す。「母は、夫と自分の運命を狂わせた女がなぜ死んだのか見たかったのだろう。<br />
自分を裏切った夫への復讐心もあったのかも…。だから、百合絵さんのことも自分のことのように<br />
思えたんだろう」<br />
二階の納戸の中に、隠し扉を見つけた。その先の部屋には、スクリーンに映る百合絵の姿を<br />
一心に見つめる喜久代がいた。声をかけようとすると、海道に止められる。<br />
「この人の時間は止まったままだ。…一緒にこの屋敷を出よう」海道は母の肩を抱えるようにして去った。<br />
<br />
広間に行くとナオミがいた。「光太郎が刑事を辞めたのは、伊原のことがあっただけではなく、<br />
犯人を追い詰め、絶望させることに快感を感じるようになった自分が怖くなったから」<br />
(鉈をふりかぶる片桐の幻)<br />
<br />
蜂谷の留守を見はからって執事室を調べると、伝衛門の手記があった。<br />
『和弥が生まれた時、その手のアザをみて、あの村で見た父親のアザを思い出し身震いした。<br />
だから和弥がいなくなった時、悲しみながらも安堵した。しかし再び私の前に現れるとは…。<br />
このままにしておく訳にはいかない。和弥が全てを崩壊させる前に、この手で……』<br />
<br />
刑事の部屋に行き、片桐に、和弥から伝衛門への手紙を見せる。<br />
伝衛門は息子・和弥を葬るために屋敷へ招き寄せたのだ…と悟った片桐。<br />
貴史はあたりを見回した。「本物の七瀬和弥はこの屋敷のどこかに潜み、僕たちをじっと見ている……」<br />
</dd>
<dt>157 :<a href="mailto:sage"><b>玻璃ノ薔薇</b></a>:2006/10/22(日)23:17:56
ID:fFd69p8Q0</dt>
<dd>これまで一人思い悩んでいた絢子が全てを語りだした。<br />
伝衛門は、震災の混乱の中で顔半分にケガをし、傷が癒えると蝶の形の跡が残った。<br />
その時を境に伝衛門は他人に心をとざし、仮面で傷跡を隠し、そして子供たちは屋敷を追いだされた。<br />
伝衛門は「やがて自分には狂気が訪れる。和弥を亡き者にしたら、この薬で私を…」<br />
そう言って、絢子に毒薬を渡したのだった。<br />
今は絢子は、伝衛門に嫁ぐ前の恋人が迎えに来てくれると信じ、ただ待ち続けている。<br />
「私は裏切っていない…ただあの人が忘れられないだけ…あの人は私をここから救ってくれる…」<br />
まるでお守りのようにペンダントを握り締め、つぶやき続ける絢子。<br />
伝衛門への複雑な感情や、結婚のため一方的に別れてしまった恋人への罪悪感、<br />
屋敷に閉じこもり続けたことなどで、精神を限界まですりへらしてしまったようだ。<br />
<br />
絢子の部屋のクローゼットは、隠し部屋の扉になっていた。この先に奴が…。<br />
<br />
薄暗い階段を手探りでのぼると、テーブルと椅子だけが置かれた殺風景な小部屋があり、<br />
椅子に蜂谷が身じろぎもせず腰掛けていた。<br />
その後ろから、貴史とそっくりな男、本物の七瀬和弥があらわれた。<br />
(キツい紫色の服に白い前髪、前傾姿勢でユラユラ。顔の造作以外はまったく似ていませんが…)<br />
<br />
和弥の姿を見たとたん、貴史は激しく苦しみだす。<br />
「苦しいか?もうすぐお前も楽になる、こいつのように」<br />
ダンッ!!と蜂谷の手の甲をナイフで串刺しにする。しかし蜂谷はまるで蝋人形のように動かない。<br />
「ドッペルゲンガーの話を知っているか?見るといずれ死ぬという」<br />
うずくまってしまった貴史を見てあざ笑う和弥。<br />
「人が苦しんで死ぬ姿が楽しくてたまらない。震災のどさくさにまぎれて、何十人も殺してやった。<br />
その時俺を止めたのが伝衛門だったが、手の甲にあるアザを見て息を呑んだ。<br />
野垂れ死んでいて欲しかったんだろうが、死んだのは俺を連れ出したマヌケな育ての親さ!」<br />
<br />
和弥は一方的にしゃべり続ける。<br />
「伝衛門の父親は、狂って妻を殺そうとした。伝衛門は母をかばい、父を殺して村を出た。<br />
そしておびえながら生きてきた。なぜ狂気を恐れる?なぜ狂気を楽しまない?<br />
伝衛門は俺を恐れ、呼び寄せたが、俺は絢子と蜂谷を意のままにして父上を楽にしてやった。」<br />
貴史は叫ぶ。「違う!伝衛門が恐れたのはお前じゃない、自分の血、自分の宿命だ!」<br />
<br />
「お前が現れたときは驚いたが、楽しくなると思った。……お前はどこからきた?」<br />
刃物を振りかざし、何度も貴史に切りつける和弥。次第に追い詰められる貴史。<br />
その時、ゆっくりと階段を上ってくる人影が。手に鉈を提げた片桐だ。<br />
振り向いた和弥の絶叫が響く………。<br />
</dd>
<dt>158 :<a href="mailto:sage"><b>玻璃ノ薔薇</b></a>:2006/10/22(日)23:20:52
ID:fFd69p8Q0</dt>
<dd>床に横たわる和弥を前に立ちつくす貴史と片桐。<br />
ナオミの悲鳴が聞こえたので、階下の絢子の部屋にもどると<br />
ナオミの指さす先で、絢子が椅子に座ったままこと切れていた。その手から、彼女が<br />
いつもお守りのように握り締めていたペンダントがすべり落ちる。<br />
床に落ちた弾みで蓋が開くと、中には片桐の顔写真が入っていた。<br />
その場にひざまずき、無言で絢子の手を取り、頬をよせる片桐。<br />
貴史がペンダントを拾い上げると、光を放ちながら最後の薔薇のピースへと変わった。<br />
<br />
深夜12時、広間で待つ貴史の前に、約束どおり尚美が現れた。<br />
尚美の姿はもはや透けてはおらず、駆け寄った二人はしっかりと手を握り合った。<br />
ナオミの目の前で、最後のピースをパズルにはめ込む。完成したパズルが白く強く輝き、<br />
その光に包みこまれるようにして、貴史と尚美の姿は忽然と屋敷から消えた。<br />
<br />
<br />
気がつくと貴史は、屋敷跡の廃墟にたたずんでいた。振りむけば尚美がいる。<br />
貴史は尚美の肩に手をかけ、安堵の笑顔であたりを見回す二人。<br />
<br />
その足元には、薔薇色のガラスの破片が、光を反射して輝いていた…。<br />
</dd>
<dt>159 :<a href="mailto:sage"><b>玻璃ノ薔薇</b></a>:2006/10/22(日)23:28:29
ID:fFd69p8Q0</dt>
<dd>これでベストエンド(終幕1)まで終了です。<br />
読み返したら、「という」が多過ぎで自分で笑いましたが…<br />
<br />
ともかく残りバッドエンドと1レスまとめ行きます。<br />
</dd>
<dt>160 :<a href="mailto:sage"><b>玻璃ノ薔薇</b></a>:2006/10/22(日)23:29:36
ID:fFd69p8Q0</dt>
<dd>終幕2<br />
隠し部屋で、和弥が貴史に襲いかかる!しかし片桐は現れず、画面は暗転。<br />
ナオミの悲鳴が聞こえ、階下に降りると絢子が死んでいた。<br />
(省略)<br />
パズルを完成させて現代に戻ってきた二人。<br />
微笑みあい、貴史は尚美の肩に手をかけ、…その手の甲には蝶の形のアザがあった。ニヤリと笑う口元…。<br />
<br />
終幕3<br />
深夜12時、広間で再会し、パズルを完成させた貴史と尚美は光に包まれる。<br />
気がつくと、屋敷跡の廃墟に立っていた。しかし振りむいた先に尚美の姿はなかった。<br />
「尚美さん!…尚美…さん…? どうして、こんなことに…」<br />
<br />
終幕4<br />
隠し部屋で、和弥の長い口上をきいた貴史は「お前には愛するものはいないのか!?」<br />
と問いかけるが、和弥は「俺の人生に愛などという言葉はない!!」と刃物を振り下ろしてくる。<br />
そして…仰向けに倒れ動かなくなった貴史。和弥の狂ったような笑い声がひびく…。<br />
</dd>
<dt>161 :<a href="mailto:sage"><b>玻璃ノ薔薇 1レスまとめ</b></a>:2006/10/22(日) 23:35:11
ID:fFd69p8Q0</dt>
<dd>新聞記者・影谷貴史は、女子大生・片桐尚美の依頼で、彼女の祖父が捜査にあたったという<br />
昭和初期の迷宮入り事件「キネマ屋敷連続殺人事件」を調べるため屋敷に向かった。<br />
しかし突然白い光に巻き込まれ、事件発生時の屋敷にタイムスリップ。尚美もずれた次元に飛ばされてしまった。<br />
屋敷では当主の芳野堂伝衛門が毒殺されたところで、貴史は行方不明とされていた伝衛門の息子・<br />
和弥になりすまし、調査をしながら元の時代に帰る方法を探すことにした。<br />
<br />
尚美の祖父・片桐刑事が後世に遺した手帳によると、屋敷内に散らばるガラスの薔薇の破片を集め、<br />
パズルを完成させた時、再び白い光が現れて貴史の姿が消えたらしい。<br />
ガラスの薔薇の破片、そしてタイムスリップの衝撃で屋敷内に散らばってしまった尚美の心のカケラ、<br />
この二つを集めながら、まずは芳野堂一族の人間関係を紐解いていく貴史。<br />
やがて捜査にやってきた伊原刑事・片桐刑事は「和弥」について何か知っているらしく、腹の探りあいになるが<br />
まもなく伝衛門の長女・貴子、そのライバル女優・艶子、伝衛門の長男・偉男の三人が次々と殺害され、<br />
伊原刑事までもが死体となって発見された。<br />
庭師他の証言により、艶子殺しの犯人は、会社の裏帳簿を握られて脅迫されていた偉男と推測された。<br />
だがその偉男を殺した犯人は誰なのか。闇にまぎれ、貴史にそっくりな男が歩き回っている?<br />
<br />
謎に包まれていた伝衛門の過去を探るうち、その故郷の黒蝶村に伝わる逸話にたどり着いた貴史。<br />
この村では、まれに体に蝶のアザを持つ者が生まれ、その者はやがて狂気の殺人鬼に変貌してしまうという。<br />
まず伝衛門の父が狂気に侵され、やむなく父を殺して村を出た伝衛門もまた顔に現れたアザに怯えていたのだ。<br />
さらに伝衛門の手記や、和弥から伝衛門へ宛てた手紙が見つかった。<br />
呪われた血は、伝衛門の息子である本物の「和弥」にも受け継がれていた…。<br />
幼い頃に母の不倫相手に誘拐され、消息不明のはずだった和弥だが、震災の夜に父と運命的な再会を<br />
果たし、父とは正反対に、己の体のアザを喜び、無差別殺人を日常的に行っていたことがわかった。<br />
大きな事件を次々に起こし、追跡する片桐刑事を欺いて逃れ、さらに伊原刑事の妻をも惨殺していた和弥。<br />
死の間際に息子を呼び寄せたという伝衛門は、息子を自ら葬るつもりが、返り討ちに遭ってしまったのだろう。<br />
そして和弥は屋敷の隠し部屋に潜み、貴子や偉男、伊原を殺害し、人々が恐れおののく様子を楽しんでいたのだ。<br />
<br />
和弥は屋敷の人々を利用して、自在に裏で動き回っていた。<br />
夫が伝衛門の妻と不倫したがゆえに家庭崩壊し、執念で屋敷に入り込んだメイドの喜久代…実家の再興のため<br />
に恋人・片桐の元を去り、伝衛門の後妻に入るしかなかった絢子…実直すぎる執事・蜂谷…<br />
彼らの弱りきった心の隙に付け入り、手駒として操っていた和弥だったが、隠し部屋を暴かれ、ついに貴史の前に<br />
姿をあらわす。<br />
ドッペルゲンガーに遭遇したかのように激しく苦しむ貴史。間一髪、片桐が鉈で応戦し、和弥の息の根を止めた。<br />
<br />
その頃階下では、思い悩み疲れ果てた絢子が短い生涯を終えていた。<br />
彼女が握っていた恋人の写真入りのペンダントが、最後のガラスの薔薇の破片に変わる。<br />
伝衛門が揃えることができなかったという「願いを叶える薔薇のパズル」がついに完成した。<br />
白い光に包まれ、手を取り合って現代に帰還した貴史と尚美。<br />
その足元でガラスの薔薇の破片がキラキラと輝いていた。<br />
</dd>
</dl>