閉鎖病院

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<p><strong>閉鎖病院</strong></p> <p>part30-258~262<hr /> </p> <p><dt>258 :<a href="mailto:sage"><strong>閉鎖病院</strong></a>:2007/04/26(木) 20:13:51 ID:sRTnQPJl0 </dt><dd>リクエストにある閉鎖病院 板垣の秘薬編 書きます。 <br /> <br /> 新米の薬剤師・細川(27)は <br /> 大病院の薬局で上司の板垣さん(65)と二人で働いている。 <br /> 今日は午後から職員の定期検診があり、北条先生の診察室に行くことになっていた。 <br /> <br /> 北条雪(28)はこの病院で紅一点の医師。 <br /> 白衣の似合う、冷たい印象の美人で、細川にとっては苦手な存在。 <br /> 検診に行く途中、知り合いに捕まったりで、結局10分ほど遅刻をして叱られてしまった。 <br /> <br /> 薬局に戻って「あの鉄仮面女史をなんとかしてくださいよ」と冗談まじりに愚痴ると <br /> 板垣さんは自信たっぷりに「できないことはない」と言い出した。 <br /> フロイト博士によれば、人の内面には本人も気付かない深層心理が眠っている。 <br /> 女史にも、人を愛し愛されたいという原始的本能があるはず。 <br /> 薬剤師経験の長い板垣さんなら、それを引き出す惚れ薬を作ることができる。らしい。 <br /> <br /> </dd><dt>259 :<a href="mailto:sage"><strong>閉鎖病院</strong></a>:2007/04/26(木) 20:15:13 ID:sRTnQPJl0 </dt><dd>半信半疑ながらも、薬を他に流用できるかも…と下心ありありで話に乗った細川だったが <br /> いざ薬を手に診察室を訪問すると、バレたらどうしよう、効いても困る、と動揺する。 <br /> それでもどうにかお茶に薬をたらし、飲ませることができた。 <br /> <br /> すぐに北条は顔色が赤くなり、左胸を手で押さえる。 <br /> しかし、「過労かしら?急性の疾患?検査してくるわ」と、そそくさと立ち去ってしまった。 <br /> さすがお堅い北条、恋の予兆とは気付かなかったらしい、手ごわい相手だ。 <br /> <br /> 翌日。面白くなってきた細川は、また診察室を訪れ「あっ!窓に男の顔が!」と <br /> もうムリヤリ北条の注意をそらしてお茶に薬を混入。 <br /> 飲んだ北条は顔を赤くして「熱かしら?」と首をかしげた。それが意外とかわいいので <br /> 細川が大胆にも額に手を当てると、驚いて出て行ってしまった。 <br /> <br /> 実験は成功といっていいだろう。 <br /> <br /> </dd><dt>260 :<a href="mailto:sage"><strong>閉鎖病院</strong></a>:2007/04/26(木) 20:18:05 ID:sRTnQPJl0 </dt><dd>その日の夕方、中庭のベンチで休憩していると、北条がやってきた。 <br /> しばらく横に立って何かを言いよどんでいたが、やがて。 <br /> <br /> 「回りくどいのは苦手だから単刀直入に言わせてもらうわね。私とお付き合い、つまり <br /> 男女としての交際をする気はないかしら?思うに私は細川さんを愛してるみたいなの」 <br /> いざ告白されるとみっともないほど動揺してしまう細川。 <br /> <br /> 「驚かせてしまったみたいね。 <br /> 言いわけみたいだけど、私にとっても細川さんを男性として意識しているのは <br /> 意外な感情で、気付いたのもついさっきなの。 <br /> 色々検討したんだけど、この気持ちを抑圧するのは、私の精神衛生に不健全な影響を <br /> 与えると思って、告白することにしたの」 <br /> <br /> 愛の告白も、北条にかかるとアカデミックで色気がないな、と感心していると <br /> まるで問診のように「それで、返事は?私と交際する気はあるのかしら」と聞かれた。 <br /> <br /> </dd><dt>261 :<a href="mailto:sage"><strong>閉鎖病院</strong></a>:2007/04/26(木) 20:19:50 ID:sRTnQPJl0 </dt><dd> →うけいれる <br /> <br /> 彼女に愛想がないのは真面目すぎるだけで、悪気はなかったのだろう。 <br /> 「お受けします」「ありがとう」北条は初めて、にこっと笑った。 <br /> 愛しさがこみあげてきて、抱擁でも…と一歩近づくと、北条一歩下がる。 <br /> 近づく。下がる。 <br /> 「…北条先生」「なにかしら?」 気長に行くか。細川はため息を吐いた。 <br /> <br /> 薬局に戻り「女史に告白されました!」と興奮して報告すると <br /> 板垣さんは笑いながら、実はあの薬はただの強心剤だったとネタばらしした。 <br /> 一杯食わされた!と食ってかかろうとする細川に、板垣さんはニヤリ。 <br /> 「フロイトいわく、人間の行動は無意識に支配されている。 <br /> つまり女史は無意識の内に君を憎からず思っていたということだ」 <br /> 丸め込まれてしまった。 <br /> 板垣さんは最後にこう締めくくった。「人の心なんて、本人にすらよくわからないものだよ」 <br /> <br /> </dd><dt>262 :<a href="mailto:sage"><strong>閉鎖病院</strong></a>:2007/04/26(木) 20:21:52 ID:sRTnQPJl0 </dt><dd>板垣の秘薬編 終わりです。他のこまかい分岐は気が向いたら書くかもしれません。 <br /> <br /> </dd></p>
<p><strong>閉鎖病院</strong></p> <p>part30-258~262</p> <hr /> <dl><dt>258 :<a href="mailto:sage"><strong>閉鎖病院</strong></a>:2007/04/26(木) 20:13:51 ID:sRTnQPJl0</dt><dd>リクエストにある閉鎖病院 板垣の秘薬編 書きます。<br /> <br /> 新米の薬剤師・細川(27)は<br /> 大病院の薬局で上司の板垣さん(65)と二人で働いている。<br /> 今日は午後から職員の定期検診があり、北条先生の診察室に行くことになっていた。<br /> <br /> 北条雪(28)はこの病院で紅一点の医師。<br /> 白衣の似合う、冷たい印象の美人で、細川にとっては苦手な存在。<br /> 検診に行く途中、知り合いに捕まったりで、結局10分ほど遅刻をして叱られてしまった。<br /> <br /> 薬局に戻って「あの鉄仮面女史をなんとかしてくださいよ」と冗談まじりに愚痴ると<br /> 板垣さんは自信たっぷりに「できないことはない」と言い出した。<br /> フロイト博士によれば、人の内面には本人も気付かない深層心理が眠っている。<br /> 女史にも、人を愛し愛されたいという原始的本能があるはず。<br /> 薬剤師経験の長い板垣さんなら、それを引き出す惚れ薬を作ることができる。らしい。<br /> <br /> </dd><dt>259 :<a href="mailto:sage"><strong>閉鎖病院</strong></a>:2007/04/26(木) 20:15:13 ID:sRTnQPJl0</dt><dd>半信半疑ながらも、薬を他に流用できるかも…と下心ありありで話に乗った細川だったが<br /> いざ薬を手に診察室を訪問すると、バレたらどうしよう、効いても困る、と動揺する。<br /> それでもどうにかお茶に薬をたらし、飲ませることができた。<br /> <br /> すぐに北条は顔色が赤くなり、左胸を手で押さえる。<br /> しかし、「過労かしら?急性の疾患?検査してくるわ」と、そそくさと立ち去ってしまった。<br /> さすがお堅い北条、恋の予兆とは気付かなかったらしい、手ごわい相手だ。<br /> <br /> 翌日。面白くなってきた細川は、また診察室を訪れ「あっ!窓に男の顔が!」と<br /> もうムリヤリ北条の注意をそらしてお茶に薬を混入。<br /> 飲んだ北条は顔を赤くして「熱かしら?」と首をかしげた。それが意外とかわいいので<br /> 細川が大胆にも額に手を当てると、驚いて出て行ってしまった。<br /> <br /> 実験は成功といっていいだろう。<br /> <br /> </dd><dt>260 :<a href="mailto:sage"><strong>閉鎖病院</strong></a>:2007/04/26(木) 20:18:05 ID:sRTnQPJl0</dt><dd>その日の夕方、中庭のベンチで休憩していると、北条がやってきた。<br /> しばらく横に立って何かを言いよどんでいたが、やがて。<br /> <br /> 「回りくどいのは苦手だから単刀直入に言わせてもらうわね。私とお付き合い、つまり<br /> 男女としての交際をする気はないかしら?思うに私は細川さんを愛してるみたいなの」<br /> いざ告白されるとみっともないほど動揺してしまう細川。<br /> <br /> 「驚かせてしまったみたいね。<br /> 言いわけみたいだけど、私にとっても細川さんを男性として意識しているのは<br /> 意外な感情で、気付いたのもついさっきなの。<br /> 色々検討したんだけど、この気持ちを抑圧するのは、私の精神衛生に不健全な影響を<br /> 与えると思って、告白することにしたの」<br /> <br /> 愛の告白も、北条にかかるとアカデミックで色気がないな、と感心していると<br /> まるで問診のように「それで、返事は?私と交際する気はあるのかしら」と聞かれた。<br /> <br /> </dd><dt>261 :<a href="mailto:sage"><strong>閉鎖病院</strong></a>:2007/04/26(木) 20:19:50 ID:sRTnQPJl0</dt><dd> →うけいれる<br /> <br /> 彼女に愛想がないのは真面目すぎるだけで、悪気はなかったのだろう。<br /> 「お受けします」「ありがとう」北条は初めて、にこっと笑った。<br /> 愛しさがこみあげてきて、抱擁でも…と一歩近づくと、北条一歩下がる。<br /> 近づく。下がる。<br /> 「…北条先生」「なにかしら?」 気長に行くか。細川はため息を吐いた。<br /> <br /> 薬局に戻り「女史に告白されました!」と興奮して報告すると<br /> 板垣さんは笑いながら、実はあの薬はただの強心剤だったとネタばらしした。<br /> 一杯食わされた!と食ってかかろうとする細川に、板垣さんはニヤリ。<br /> 「フロイトいわく、人間の行動は無意識に支配されている。<br /> つまり女史は無意識の内に君を憎からず思っていたということだ」<br /> 丸め込まれてしまった。<br /> 板垣さんは最後にこう締めくくった。「人の心なんて、本人にすらよくわからないものだよ」<br /> <br /> </dd><dt>262 :<a href="mailto:sage"><strong>閉鎖病院</strong></a>:2007/04/26(木) 20:21:52 ID:sRTnQPJl0</dt><dd>板垣の秘薬編 終わりです。他のこまかい分岐は気が向いたら書くかもしれません。<br /> <br /> </dd></dl>

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