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「es」(2007/09/09 (日) 20:30:35) の最新版変更点
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<p><strong>es</strong></p>
<p>part32-350~355</p>
<hr>
<dl>
<dt>350 :<a href="mailto:sage"><b>es</b></a>:2007/08/30(木) 17:07:44
ID:yJtkmny+0</dt>
<dd>es(エス)・・・ドイツ語で、日本語の「それ」、英語の「it」に当たる単語。<br>
「自我」、「超自我」のさらに奥深くに存在するもので<br>
「利己的」で「反社会的」な”原始的自我”のこと。<br>
<br>
都内町谷署管内(荒川区の一部)で発生した連続誘拐殺人事件を追いかけていた、<br>
警視庁捜査一課の警部・日下部清竹(くさかべきよたけ)が、<br>
何者かに頭部を殴打され、重傷を負って発見された。<br>
日下部は容疑者と接触している可能性が高く、<br>
それ故に、何らかのトラブルに巻き込まれたのではないかと見られている。<br>
今回の事件は、生存者が一名保護されているものの、<br>
命を奪われた犠牲者は、既に5名を数え、<br>
7人目の犠牲者と思われる女子高校生「橘由美」は、いまだ消息不明のままである。<br>
これまでの犯行では、犯人は誘拐後、一定の時間が経過してから被害者を殺害し、<br>
目立つ場所に遺体を遺棄している。<br>
この傾向が守られるなら、橘由美はまだ生存している可能性が高い。<br>
しかし、彼女の行方に迫った日下部は、事件の鍵を握り締めたまま意識不明となってしまった。<br>
一刻も早い事件解決が望まれるなか、あなた(プレイヤー)が召還された。<br>
あなたには、「サイコダイブ」というものを使い、ヒトの記憶を読み取る能力があるのだ。<br>
<br>
2001・7・6・FRI・AM:5.12<br>
あなたは、意識不明の日下部にサイコダイブする。<br>
日下部の記憶の断片が、次々と読み取れてくる。<br>
大したことない記憶から始まり、だんだんと深層へと・・・。<br>
<br>
<br>
※以下、日下部の記憶の断片により構成されています。<br>
時系列はむちゃくちゃで、いきなり場所が変わったりします。<br>
<br>
<br></dd>
<dt>351 :<a href="mailto:sage"><b>es</b></a>:2007/08/30(木) 17:09:31
ID:yJtkmny+0</dt>
<dd>日下部清竹。35歳。なかなかイイ男。<br>
見えてきたのは、煤けた壁。古ぼけた畳が敷いてある部屋。<br>
カレンダーを見ると、7月6日になっている。<br>
小さい冷蔵庫が置いてある。日下部は、冷蔵庫から牛乳のパックを取り出し、コップに注ぐ。<br>
携帯電話が鳴る。日下部は牛乳のパックを置き、電話に出る。<br>
「解った、すぐ行く」<br>
そう言って電話を切り、外していたネクタイを首に巻き、部屋を出て行った。<br>
<br>
町谷警察署の刑事課の部屋へと飛ぶ。<br>
向井敬一。25歳。刑事。日下部の捜査パートナー。<br>
二人で、連続誘拐殺人事件を追っている。<br>
<br>
始まりは6月6日。エプロン姿の主婦(44)が、調理器具店のショーウィンドーで、<br>
棚にもたれかかっている状態で発見された。腹部を刺され、すでに死亡している。<br>
<br>
その次は、おさげの女子高校生(16)。学校の教室で、椅子に座り、背もたれに寄りかかっている。<br>
彼女の前の机には、フルーツヨーグルトが載っている。<br>
致命傷になった刺し傷の他に、左目を切られている。<br>
<br>
そして三件目。銀行員の男(28)とその妻(24)。<br>
二人とも、公園のテーブルに突っ伏している。<br>
テーブルの上には、スパゲッティ・ナポリタンとオムライス。<br>
二人の子供(10ヶ月)も発見されたが、全くの無傷だった。<br>
<br>
加藤奈津美。22歳。交通課巡査。<br>
いつも日下部にコーヒーを淹れてくれる。<br>
ある日、奈津美は日下部に、一本のビデオテープを差し出す。郵便受けに入っていたものだという。<br>
その内容は、奈津美の部屋を隠し撮りしたものだった。<br>
それから数回、ビデオは郵便受けに入れられた。その度毎に、日下部は奈津美から相談された。<br>
<br>
三件目の事件があって数日後。<br>
「日下部さん、受付に、ヘンな女が来ているそうです。<br>
なんでも、犯人がわかるとか・・・」<br>
向井がそう言った。日下部は、その女に会ってみることにした。<br>
<br>
野上亜希子。20歳。城南大学心理学部の学生。<br>
亜希子は、この一連の事件は、過去の事件をなぞっていると言う。<br>
「とりあえず、これをお渡しします」<br>
それはスクラップブックだった。<br>
<br>
亜希子と別れた後、日下部はスクラップブックを見てみた。<br>
新聞の切抜きが幾つか、貼られていた。<br>
20年前の6月、荒川区の洋食屋「食堂ひばり」で、大量殺傷事件が発生した。<br>
被害者は、店主の妻(44)、店主の長男(22)、長女(16)、長女の友人の少女(16)、<br>
客の銀行員(28)、その妻(24)。<br>
銀行員夫婦の娘(0)も居たが、右手のひらに切り傷があっただけで、命は助かった。<br>
店主・塩崎和郎(しおざきかずお)は、現場から逃走しており、重要参考人として指名手配された。<br>
だが、塩崎の行方は見つからず、捜査は何の進展もないまま、5年前に時効になった。<br>
<br>
日下部篤。故人。日下部の父親。元刑事。<br>
数ヶ月前、ひき逃げされ、死亡。犯人はまだ見つかっていない。<br>
篤は、20年前の殺傷事件を担当していたのだ。<br>
そして20年経った今、日下部は刑事になり、似たような事件を担当している・・・。<br>
<br>
<br></dd>
<dt>352 :<a href="mailto:sage"><b>es</b></a>:2007/08/30(木) 17:11:33
ID:yJtkmny+0</dt>
<dd>日下部は、城南大学を訪ね、亜希子に再会する。<br>
「この事件の犯人は、サイコパスです。間違いありません」<br>
亜希子はそう断言する。<br>
「どうして、そんなことが解る?」<br>
「わたしが、20年前の、唯一の生き残りだからです」<br>
亜希子は日下部に向かって、右手を差し出す。<br>
手のひらを開いて見せた。そこには、切り傷の跡があった。<br>
<br>
4件目の事件が起こる。日下部と向井は、現場に駆けつける。<br>
医学部の学生(22)が、神社の石段で、倒れていた。<br>
日下部は、被害者の傍らから、何かを拾い上げた。<br>
「何ですか、それ?」<br>
向井が聞く。<br>
「鶏がらだよ。20年前、洋食屋の店主の長男は、鶏がらの隣で死んでた」<br>
日下部は苦々しげに言う。<br>
「じゃあ、残るのは、長女・・・女子高校生ですか」<br>
もし、過去の事件をなぞっているなら。<br>
<br>
日下部と亜希子は、それからも何度か会い、独自に塩崎和郎の行方を追っていた。<br>
「ねぇ、日下部さん。わたしは、どうして生きているんでしょう?<br>
20年前、どうしてわたしだけ、殺されなかったんでしょう?」<br>
亜希子は、それを知りたいがために、犯人を、和郎を捕まえたいのだという。<br>
<br>
ある日、亜希子は日下部に言う。<br>
「和郎の次男に会わせてください!」<br>
新聞には載ってなかったのに、和郎に次男がいたのを知っているらしい。<br>
「解った。何とか手配しよう」<br>
日下部はちょっと迷いながらも、そう答えた。<br>
ひと気のない喫茶店で、亜希子は黒い服の男に会う。<br>
「何で、わたしは死ななかったんでしょう?」<br>
またとりとめもない事を、亜希子は男に尋ねた。<br>
「まだ小さかったから・・・じゃないですか?」<br>
恐る恐る、男は答えた。<br>
「みんなそう言います!わたしは、本当のことが知りたいんです!」<br>
男は答えに困り、隣に座っている日下部の方を見た。<br>
<br>
検死官から、検死の結果を聞く日下部と向井。<br>
今までの一連の事件の被害者につけられた傷に共通すること、それは、<br>
死んでから付けられたのではなく、生きているうちに、ゆっくり切られたということだ。<br>
恐らく、被害者を動けないよう、拘束してから、ゆっくりと・・・。<br>
いつも元気そうな向井も、食欲がないと言って、昼食を残した。<br>
<br>
日下部と亜希子が進めている調査は、ついに手詰まりになってしまった。<br>
亜希子が、右手の傷跡を見つめながら呟く。<br>
「わたし、今回の事件は、20年前と、同じ人が殺ってるように思えるんです」<br>
「でも、銀行員の子供は無傷でしたよ」<br>
<br>
5件目の事件。ついに長女の番が来た。<br>
女子高校生・橘由美が、学校から帰宅途中に、行方不明になった。<br>
<br>
<br></dd>
<dt>353 :<a href="mailto:sage"><b>es</b></a>:2007/08/30(木) 17:12:47
ID:yJtkmny+0</dt>
<dd>日下部は、亜希子を、とある場所に連れて行く。<br>
「まだ残っていたんですね」<br>
「食堂ひばり」の看板が、まだ掛かっている。入り口は閉鎖されており、今は誰もいないようだ。<br>
<br>
ある夜。奈津美の家の前。郵便受けにビデオテープを入れようとする、手袋を嵌めた手。<br>
その腕を、日下部は掴む。それは、黒い服の男だった。<br>
中西圭吾。32歳。<br>
日下部は、中西に、警察に通報しない代わりに、協力しろと言った。<br>
そして、日下部は、中西を塩崎秀郎の次男の替え玉として、亜希子に会わせたのだ。<br>
<br>
病院のベッドに寝ている、中学生くらいの男の子。<br>
横に、日下部篤が居る。篤は男の子に尋ねる。<br>
「もう一度訊くよ。清竹くん、君のお父さんが犯人なんだね?」<br>
ゆっくりとうなずく男の子。<br>
<br>
大きい家の玄関。そこに、清竹と呼ばれた男の子が、篤に連れられてきた。<br>
「清竹くん、今日からここが君の家だ」<br>
<br>
その大きい家の一室。篤の部屋だ。時間は、今から数ヶ月前。<br>
日下部は、戸棚の中に、20年前の洋食屋の事件の資料を見つける。<br>
「見つかってしまったか。犯人もまだ捕まってないし、忘れられなくてね」<br>
どうやら、篤は独自に、この事件を追っているらしい。<br>
<br>
携帯電話で、向井と思われる人物と話しながら、少女を車のトランクに乗せている日下部。<br>
手には、黒い手袋。<br>
<br>
日下部は、口封じの為に、中西を、首を締めて殺した。<br>
<br>
「食堂ひばり」の厨房。ゴミが詰まれ、調理器具には埃が積もっている。<br>
亜希子と日下部がいる。<br>
「全てを話すときが来た。なぜ、あなたが生き残ったのか」<br>
日下部が話し出した。亜希子は、びっくりして日下部を振り向く。<br>
「あなたは泣かなかった。犯人に手を差し伸べて・・・」<br>
「あなたがやったの?」<br>
日下部はそれには答えない。<br>
「なぜ、あなたを殺さなかったのか、解らない。<br>
・・・わかりますか、私たちは、同じ疑問を抱いて生きてきたんです!」<br>
亜希子はその場で凍りついたように動かない。日下部は続ける。<br>
「20年前と同じようにやれば、解ると思ったんです。<br>
橘由美を明日殺します。そして、赤ん坊に刃(やいば)を向けたとき、答えが解るでしょう」<br>
「解らない・・・わたしには、理解できない」<br>
「本当に、理解できないの?私が殺さなかったのは、20年前の野上亜希子なんだ。<br>
私は知りたいんだ、どうして殺すのか、どうして、殺さないのか!」<br>
日下部は亜希子に襲い掛かる。亜希子は床に倒れた。<br>
<br>
<br></dd>
<dt>354 :<a href="mailto:sage"><b>es</b></a>:2007/08/30(木) 17:14:17
ID:yJtkmny+0</dt>
<dd>20年前、あのときの食堂ひばりが見えてきた。<br>
厨房で忙しく立ち回っている、秀郎と、その妻。そして、客席で牛乳を飲んでいる、高校生の長女。<br>
その前に座っているのが、おさげ髪の、フルーツヨーグルトを食べている友人。<br>
そして、和気藹々とオムライスとスパゲッティ・ナポリタンを突っついている若い夫婦。<br>
傍らの乳母車には、赤ちゃんがいる。<br>
<br>
塩崎清竹。15歳。白いシャツに黒いズボン。恐らく、中学校の制服。<br>
清竹は、二階から階段を下りてきた。そこは厨房だ。<br>
調理台の上に置いてあった包丁を手に取ると、父・秀郎に、数回、切り付ける。<br>
すると、秀郎は倒れた。<br>
<br>
次は、エプロン姿の母だ。清竹は、後ずさりする母を、調理器具が載った棚の所へ追い詰め、腹部を刺す。<br>
日下部は、エプロン姿の主婦を拉致し、埃が積もった厨房へ連れて行き、ゆっくりと腹部を刺す。<br>
<br>
客席に行き、おさげの少女の片目に切りつけたあと、止めを刺す。<br>
日下部は、女子高校生を殺した後、わざわざその髪を編んだ。<br>
<br>
若い夫婦を次々に刺す。二人ははテーブルに突っ伏して死んだ。<br>
日下部は、銀行員の夫婦を殺したが、赤ん坊には手をつけなかった。<br>
<br>
秀郎は死んでいなかったので、命からがら逃げ出したようだ。<br>
<br>
二階から、騒ぎを聞きつけた兄が、階段を下りてきた。清竹は、兄も刺し殺す。<br>
兄は、残りの力で、階段を上がろうとしたが、途中で息絶える。隣には鶏がらが落ちていた。<br>
日下部は、大学生を殺した後、石段に遺棄し、鶏がらを置いた。<br>
<br>
高校生の姉は逃げ出そうとしていたが、清竹は背後から刺した。<br>
<br>
そして、最後に残ったのが、乳母車に乗っていた亜希子だ。清竹は、亜希子に血まみれの包丁を向けた。<br>
亜希子は包丁へ右手を差し出して――<br>
<br>
埃が積もった「食堂ひばり」の厨房。業務用の冷蔵庫に、なぜか鎖が巻かれ、鍵が掛かっている。<br>
日下部は、鍵を開け、冷蔵庫の扉を開ける。<br>
すると、その中にはテープでぐるぐる巻きに拘束された橘由美がいた。<br>
由美の口を塞いでいるテープをはがし、日下部は、由美にコップに入った牛乳を差し出した。<br>
「被害者は、殺される直前に牛乳を飲んでいたんだよ」<br>
日下部は由美に牛乳を飲ませようとしたが、由美は抵抗し、牛乳は全てコップからこぼれてしまった。<br>
<br>
空になったコップを手に、日下部は二階へと続く階段を昇る。<br>
そこは、小さい冷蔵庫が置いてある、古びた畳の部屋。<br>
日下部は、冷蔵庫から牛乳のパックを取り出し、コップに注ぐ。<br>
携帯電話が鳴る。日下部は牛乳のパックを置き、電話に出る。<br>
「解った、すぐ行く」<br>
そう言って電話を切り、外していたネクタイを首に巻き、部屋を出て行った。<br>
<br>
再び厨房に下りてきた日下部。そこには、塩崎秀郎が待っていた。<br>
「俺はあのとき、気が動転して、逃げた。けど、こんなことになるなら、あのとき、殺せばよかった」<br>
秀郎はそう言って、日下部に襲い掛かり、日下部の頭を殴る。<br>
だが、日下部は反撃し、秀郎を羽交い絞めにした。<br>
「お前は一体、何もんなんだ?」<br>
そう訊ねる秀郎に、日下部は答える。<br>
「人間だ」<br>
あのときと同じように、包丁を手にし、日下部は秀郎に切りつける。秀郎は倒れた。<br>
<br>
日下部は、よろけながら厨房を後にし、目的地になんとか向かおうとしたが、<br>
だんだんと、秀郎に殴られた傷が効いてきたようだった。頭を押さえる。<br>
視界が真っ赤に染まり、日下部は路上に倒れる。<br>
<br>
<br></dd>
<dt>355 :<a href="mailto:sage"><b>es</b></a>:2007/08/30(木) 17:15:29
ID:yJtkmny+0</dt>
<dd>「あの」<br>
日下部へのサイコダイブを無事終了したあなたの前に立っていたのは、野上亜希子だった。<br>
日下部に襲われながらも、助かったらしい。<br>
亜希子は、あなたに問い掛ける。<br>
「あの人は、なぜ生まれてきたのでしょう?あの人の心は、いったい?」<br>
<br>
END<br>
<br></dd>
</dl>
<p><strong>es</strong></p>
<p>part32-350~355,369,376,443</p>
<hr>
<dl>
<dt>350 :<a href="mailto:sage"><b>es</b></a>:2007/08/30(木) 17:07:44
ID:yJtkmny+0</dt>
<dd>es(エス)・・・ドイツ語で、日本語の「それ」、英語の「it」に当たる単語。<br>
「自我」、「超自我」のさらに奥深くに存在するもので<br>
「利己的」で「反社会的」な”原始的自我”のこと。<br>
<br>
都内町谷署管内(荒川区の一部)で発生した連続誘拐殺人事件を追いかけていた、<br>
警視庁捜査一課の警部・日下部清竹(くさかべきよたけ)が、<br>
何者かに頭部を殴打され、重傷を負って発見された。<br>
日下部は容疑者と接触している可能性が高く、<br>
それ故に、何らかのトラブルに巻き込まれたのではないかと見られている。<br>
今回の事件は、生存者が一名保護されているものの、<br>
命を奪われた犠牲者は、既に5名を数え、<br>
7人目の犠牲者と思われる女子高校生「橘由美」は、いまだ消息不明のままである。<br>
これまでの犯行では、犯人は誘拐後、一定の時間が経過してから被害者を殺害し、<br>
目立つ場所に遺体を遺棄している。<br>
この傾向が守られるなら、橘由美はまだ生存している可能性が高い。<br>
しかし、彼女の行方に迫った日下部は、事件の鍵を握り締めたまま意識不明となってしまった。<br>
一刻も早い事件解決が望まれるなか、あなた(プレイヤー)が召還された。<br>
あなたには、「サイコダイブ」というものを使い、ヒトの記憶を読み取る能力があるのだ。<br>
<br>
2001・7・6・FRI・AM:5.12<br>
あなたは、意識不明の日下部にサイコダイブする。<br>
日下部の記憶の断片が、次々と読み取れてくる。<br>
大したことない記憶から始まり、だんだんと深層へと・・・。<br>
<br>
<br>
※以下、日下部の記憶の断片により構成されています。<br>
時系列はむちゃくちゃで、いきなり場所が変わったりします。<br>
<br>
<br></dd>
<dt>351 :<a href="mailto:sage"><b>es</b></a>:2007/08/30(木) 17:09:31
ID:yJtkmny+0</dt>
<dd>日下部清竹。35歳。なかなかイイ男。<br>
見えてきたのは、煤けた壁。古ぼけた畳が敷いてある部屋。<br>
カレンダーを見ると、7月6日になっている。<br>
小さい冷蔵庫が置いてある。日下部は、冷蔵庫から牛乳のパックを取り出し、コップに注ぐ。<br>
携帯電話が鳴る。日下部は牛乳のパックを置き、電話に出る。<br>
「解った、すぐ行く」<br>
そう言って電話を切り、外していたネクタイを首に巻き、部屋を出て行った。<br>
<br>
町谷警察署の刑事課の部屋へと飛ぶ。<br>
向井敬一。25歳。刑事。日下部の捜査パートナー。<br>
二人で、連続誘拐殺人事件を追っている。<br>
<br>
始まりは6月6日。エプロン姿の主婦(44)が、調理器具店のショーウィンドーで、<br>
棚にもたれかかっている状態で発見された。腹部を刺され、すでに死亡している。<br>
<br>
その次は、おさげの女子高校生(16)。学校の教室で、椅子に座り、背もたれに寄りかかっている。<br>
彼女の前の机には、フルーツヨーグルトが載っている。<br>
致命傷になった刺し傷の他に、左目を切られている。<br>
<br>
そして三件目。銀行員の男(28)とその妻(24)。<br>
二人とも、公園のテーブルに突っ伏している。<br>
テーブルの上には、スパゲッティ・ナポリタンとオムライス。<br>
二人の子供(10ヶ月)も発見されたが、全くの無傷だった。<br>
<br>
加藤奈津美。22歳。交通課巡査。<br>
いつも日下部にコーヒーを淹れてくれる。<br>
ある日、奈津美は日下部に、一本のビデオテープを差し出す。郵便受けに入っていたものだという。<br>
その内容は、奈津美の部屋を隠し撮りしたものだった。<br>
それから数回、ビデオは郵便受けに入れられた。その度毎に、日下部は奈津美から相談された。<br>
<br>
三件目の事件があって数日後。<br>
「日下部さん、受付に、ヘンな女が来ているそうです。<br>
なんでも、犯人がわかるとか・・・」<br>
向井がそう言った。日下部は、その女に会ってみることにした。<br>
<br>
野上亜希子。20歳。城南大学心理学部の学生。<br>
亜希子は、この一連の事件は、過去の事件をなぞっていると言う。<br>
「とりあえず、これをお渡しします」<br>
それはスクラップブックだった。<br>
<br>
亜希子と別れた後、日下部はスクラップブックを見てみた。<br>
新聞の切抜きが幾つか、貼られていた。<br>
20年前の6月、荒川区の洋食屋「食堂ひばり」で、大量殺傷事件が発生した。<br>
被害者は、店主の妻(44)、店主の長男(22)、長女(16)、長女の友人の少女(16)、<br>
客の銀行員(28)、その妻(24)。<br>
銀行員夫婦の娘(0)も居たが、右手のひらに切り傷があっただけで、命は助かった。<br>
店主・塩崎和郎(しおざきかずお)は、現場から逃走しており、重要参考人として指名手配された。<br>
だが、塩崎の行方は見つからず、捜査は何の進展もないまま、5年前に時効になった。<br>
<br>
日下部篤。故人。日下部の父親。元刑事。<br>
数ヶ月前、ひき逃げされ、死亡。犯人はまだ見つかっていない。<br>
篤は、20年前の殺傷事件を担当していたのだ。<br>
そして20年経った今、日下部は刑事になり、似たような事件を担当している・・・。<br>
<br>
<br></dd>
<dt>352 :<a href="mailto:sage"><b>es</b></a>:2007/08/30(木) 17:11:33
ID:yJtkmny+0</dt>
<dd>日下部は、城南大学を訪ね、亜希子に再会する。<br>
「この事件の犯人は、サイコパスです。間違いありません」<br>
亜希子はそう断言する。<br>
「どうして、そんなことが解る?」<br>
「わたしが、20年前の、唯一の生き残りだからです」<br>
亜希子は日下部に向かって、右手を差し出す。<br>
手のひらを開いて見せた。そこには、切り傷の跡があった。<br>
<br>
4件目の事件が起こる。日下部と向井は、現場に駆けつける。<br>
医学部の学生(22)が、神社の石段で、倒れていた。<br>
日下部は、被害者の傍らから、何かを拾い上げた。<br>
「何ですか、それ?」<br>
向井が聞く。<br>
「鶏がらだよ。20年前、洋食屋の店主の長男は、鶏がらの隣で死んでた」<br>
日下部は苦々しげに言う。<br>
「じゃあ、残るのは、長女・・・女子高校生ですか」<br>
もし、過去の事件をなぞっているなら。<br>
<br>
日下部と亜希子は、それからも何度か会い、独自に塩崎和郎の行方を追っていた。<br>
「ねぇ、日下部さん。わたしは、どうして生きているんでしょう?<br>
20年前、どうしてわたしだけ、殺されなかったんでしょう?」<br>
亜希子は、それを知りたいがために、犯人を、和郎を捕まえたいのだという。<br>
<br>
ある日、亜希子は日下部に言う。<br>
「和郎の次男に会わせてください!」<br>
新聞には載ってなかったのに、和郎に次男がいたのを知っているらしい。<br>
「解った。何とか手配しよう」<br>
日下部はちょっと迷いながらも、そう答えた。<br>
ひと気のない喫茶店で、亜希子は黒い服の男に会う。<br>
「何で、わたしは死ななかったんでしょう?」<br>
またとりとめもない事を、亜希子は男に尋ねた。<br>
「まだ小さかったから・・・じゃないですか?」<br>
恐る恐る、男は答えた。<br>
「みんなそう言います!わたしは、本当のことが知りたいんです!」<br>
男は答えに困り、隣に座っている日下部の方を見た。<br>
<br>
検死官から、検死の結果を聞く日下部と向井。<br>
今までの一連の事件の被害者につけられた傷に共通すること、それは、<br>
死んでから付けられたのではなく、生きているうちに、ゆっくり切られたということだ。<br>
恐らく、被害者を動けないよう、拘束してから、ゆっくりと・・・。<br>
いつも元気そうな向井も、食欲がないと言って、昼食を残した。<br>
<br>
日下部と亜希子が進めている調査は、ついに手詰まりになってしまった。<br>
亜希子が、右手の傷跡を見つめながら呟く。<br>
「わたし、今回の事件は、20年前と、同じ人が殺ってるように思えるんです」<br>
「でも、銀行員の子供は無傷でしたよ」<br>
<br>
5件目の事件。ついに長女の番が来た。<br>
女子高校生・橘由美が、学校から帰宅途中に、行方不明になった。<br>
<br>
<br></dd>
<dt>353 :<a href="mailto:sage"><b>es</b></a>:2007/08/30(木) 17:12:47
ID:yJtkmny+0</dt>
<dd>日下部は、亜希子を、とある場所に連れて行く。<br>
「まだ残っていたんですね」<br>
「食堂ひばり」の看板が、まだ掛かっている。入り口は閉鎖されており、今は誰もいないようだ。<br>
<br>
ある夜。奈津美の家の前。郵便受けにビデオテープを入れようとする、手袋を嵌めた手。<br>
その腕を、日下部は掴む。それは、黒い服の男だった。<br>
中西圭吾。32歳。<br>
日下部は、中西に、警察に通報しない代わりに、協力しろと言った。<br>
そして、日下部は、中西を塩崎秀郎の次男の替え玉として、亜希子に会わせたのだ。<br>
<br>
病院のベッドに寝ている、中学生くらいの男の子。<br>
横に、日下部篤が居る。篤は男の子に尋ねる。<br>
「もう一度訊くよ。清竹くん、君のお父さんが犯人なんだね?」<br>
ゆっくりとうなずく男の子。<br>
<br>
大きい家の玄関。そこに、清竹と呼ばれた男の子が、篤に連れられてきた。<br>
「清竹くん、今日からここが君の家だ」<br>
<br>
その大きい家の一室。篤の部屋だ。時間は、今から数ヶ月前。<br>
日下部は、戸棚の中に、20年前の洋食屋の事件の資料を見つける。<br>
「見つかってしまったか。犯人もまだ捕まってないし、忘れられなくてね」<br>
どうやら、篤は独自に、この事件を追っているらしい。<br>
<br>
携帯電話で、向井と思われる人物と話しながら、少女を車のトランクに乗せている日下部。<br>
手には、黒い手袋。<br>
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日下部は、口封じの為に、中西を、首を締めて殺した。<br>
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「食堂ひばり」の厨房。ゴミが詰まれ、調理器具には埃が積もっている。<br>
亜希子と日下部がいる。<br>
「全てを話すときが来た。なぜ、あなたが生き残ったのか」<br>
日下部が話し出した。亜希子は、びっくりして日下部を振り向く。<br>
「あなたは泣かなかった。犯人に手を差し伸べて・・・」<br>
「あなたがやったの?」<br>
日下部はそれには答えない。<br>
「なぜ、あなたを殺さなかったのか、解らない。<br>
・・・わかりますか、私たちは、同じ疑問を抱いて生きてきたんです!」<br>
亜希子はその場で凍りついたように動かない。日下部は続ける。<br>
「20年前と同じようにやれば、解ると思ったんです。<br>
橘由美を明日殺します。そして、赤ん坊に刃(やいば)を向けたとき、答えが解るでしょう」<br>
「解らない・・・わたしには、理解できない」<br>
「本当に、理解できないの?私が殺さなかったのは、20年前の野上亜希子なんだ。<br>
私は知りたいんだ、どうして殺すのか、どうして、殺さないのか!」<br>
日下部は亜希子に襲い掛かる。亜希子は床に倒れた。<br>
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<dt>354 :<a href="mailto:sage"><b>es</b></a>:2007/08/30(木) 17:14:17
ID:yJtkmny+0</dt>
<dd>20年前、あのときの食堂ひばりが見えてきた。<br>
厨房で忙しく立ち回っている、秀郎と、その妻。そして、客席で牛乳を飲んでいる、高校生の長女。<br>
その前に座っているのが、おさげ髪の、フルーツヨーグルトを食べている友人。<br>
そして、和気藹々とオムライスとスパゲッティ・ナポリタンを突っついている若い夫婦。<br>
傍らの乳母車には、赤ちゃんがいる。<br>
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塩崎清竹。15歳。白いシャツに黒いズボン。恐らく、中学校の制服。<br>
清竹は、二階から階段を下りてきた。そこは厨房だ。<br>
調理台の上に置いてあった包丁を手に取ると、父・秀郎に、数回、切り付ける。<br>
すると、秀郎は倒れた。<br>
<br>
次は、エプロン姿の母だ。清竹は、後ずさりする母を、調理器具が載った棚の所へ追い詰め、腹部を刺す。<br>
日下部は、エプロン姿の主婦を拉致し、埃が積もった厨房へ連れて行き、ゆっくりと腹部を刺す。<br>
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客席に行き、おさげの少女の片目に切りつけたあと、止めを刺す。<br>
日下部は、女子高校生を殺した後、わざわざその髪を編んだ。<br>
<br>
若い夫婦を次々に刺す。二人ははテーブルに突っ伏して死んだ。<br>
日下部は、銀行員の夫婦を殺したが、赤ん坊には手をつけなかった。<br>
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秀郎は死んでいなかったので、命からがら逃げ出したようだ。<br>
<br>
二階から、騒ぎを聞きつけた兄が、階段を下りてきた。清竹は、兄も刺し殺す。<br>
兄は、残りの力で、階段を上がろうとしたが、途中で息絶える。隣には鶏がらが落ちていた。<br>
日下部は、大学生を殺した後、石段に遺棄し、鶏がらを置いた。<br>
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高校生の姉は逃げ出そうとしていたが、清竹は背後から刺した。<br>
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そして、最後に残ったのが、乳母車に乗っていた亜希子だ。清竹は、亜希子に血まみれの包丁を向けた。<br>
亜希子は包丁へ右手を差し出して――<br>
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埃が積もった「食堂ひばり」の厨房。業務用の冷蔵庫に、なぜか鎖が巻かれ、鍵が掛かっている。<br>
日下部は、鍵を開け、冷蔵庫の扉を開ける。<br>
すると、その中にはテープでぐるぐる巻きに拘束された橘由美がいた。<br>
由美の口を塞いでいるテープをはがし、日下部は、由美にコップに入った牛乳を差し出した。<br>
「被害者は、殺される直前に牛乳を飲んでいたんだよ」<br>
日下部は由美に牛乳を飲ませようとしたが、由美は抵抗し、牛乳は全てコップからこぼれてしまった。<br>
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空になったコップを手に、日下部は二階へと続く階段を昇る。<br>
そこは、小さい冷蔵庫が置いてある、古びた畳の部屋。<br>
日下部は、冷蔵庫から牛乳のパックを取り出し、コップに注ぐ。<br>
携帯電話が鳴る。日下部は牛乳のパックを置き、電話に出る。<br>
「解った、すぐ行く」<br>
そう言って電話を切り、外していたネクタイを首に巻き、部屋を出て行った。<br>
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再び厨房に下りてきた日下部。そこには、塩崎秀郎が待っていた。<br>
「俺はあのとき、気が動転して、逃げた。けど、こんなことになるなら、あのとき、殺せばよかった」<br>
秀郎はそう言って、日下部に襲い掛かり、日下部の頭を殴る。<br>
だが、日下部は反撃し、秀郎を羽交い絞めにした。<br>
「お前は一体、何もんなんだ?」<br>
そう訊ねる秀郎に、日下部は答える。<br>
「人間だ」<br>
あのときと同じように、包丁を手にし、日下部は秀郎に切りつける。秀郎は倒れた。<br>
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日下部は、よろけながら厨房を後にし、目的地になんとか向かおうとしたが、<br>
だんだんと、秀郎に殴られた傷が効いてきたようだった。頭を押さえる。<br>
視界が真っ赤に染まり、日下部は路上に倒れる。<br>
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<br></dd>
<dt>355 :<a href="mailto:sage"><b>es</b></a>:2007/08/30(木) 17:15:29
ID:yJtkmny+0</dt>
<dd>「あの」<br>
日下部へのサイコダイブを無事終了したあなたの前に立っていたのは、野上亜希子だった。<br>
日下部に襲われながらも、助かったらしい。<br>
亜希子は、あなたに問い掛ける。<br>
「あの人は、なぜ生まれてきたのでしょう?あの人の心は、いったい?」<br>
<br>
END<br>
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<dl class="thread">
<dt>369 :<a href="mailto:sage"><b>名無しさん@お腹いっぱい。</b></a>:2007/09/01(土) 10:31:18
ID:0T4iesNr0</dt>
<dd>ぶっちゃけ、あんまり何も考えないで書いた感がするな>ESのストーリー<br>
殺人者の心理は異常ってのをかけばそれでいいと思ってたような節があるというか<br>
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<dt>376 :<a href="mailto:sage"><b>名無しさん@お腹いっぱい。</b></a>:2007/09/01(土) 17:33:24
ID:j5D7kJ7BO</dt>
<dd><a href="http://game12.2ch.net/test/read.cgi/gamerpg/1184085406/368"
target="_blank">>>368</a><br>
EDがバッド含めて四つあるらしいんだけど、<br>
今回紹介してもらったのはどのEDになるんだろう??<br>
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<dt>443 :<a href="mailto:sage"><b>es書いた人</b></a>:2007/09/04(火) 19:04:04
ID:YqoHiEV/0</dt>
<dd><a href="http://game12.2ch.net/test/read.cgi/gamerpg/1184085406/369"
target="_blank">>>369</a><br>
それもあるけど<br>
後半、犯人が解っていく過程がキモ<br>
犯人が解った時キターってなるよ<br>
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<a href="http://game12.2ch.net/test/read.cgi/gamerpg/1184085406/376" target=
"_blank">>>376</a><br>
多分ベストエンド<br>
バッドは途中で終わってしまうだけだと思うんで。<br>
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</dl>
</dd>
</dl>