密室のサクリファイス
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398 名前:密室のサクリファイス[sage] 投稿日:2012/04/13(金) 00:51:47.03 ID:IHAR9MLs0 [1/11]予約から1ヶ月が過ぎてしまっているので書き上がっている部分を投下します。
【主要人物】ミキ … 日系15歳。生きることへの執着が強い。アスナ … ロシア系16歳。プライドが高く自己中心的。クロエ … ドイツ系16歳。天才的な頭脳と尊大さを併せ持つ。オルガ … ロシア系17歳。医局長である父から英才教育受けた優等生。イトカ … スラヴ系17歳。気弱で見た目より精神的に幼い。オレンジ … 成年の女性。特にミキとクロエに関係が深い。
【共通】人類が地下に作られた巨大生活施設「ファウンデーション」に住んでいる世界。既に長い年月が経ち、"地上"がお伽噺の中にしか語られないようになっている。ナノマシンが実用化されているなど文化・文明は近未来的。ある時、ファウンデーション内で突然"異変"が発生した。ミキは金属パイプに足を挟まれて逃げ遅れてしまうが、抜け出すことに成功。部屋を出ると全身血塗れで呆然と立ち尽くす少女、アスナを発見する。気絶したアスナの介抱をしようとして、外傷が見当たらないため病気を疑い、医療キットを探しているうちに新たな人物オルガと遭遇する。オルガが持つ医療用スキャナ(携帯型の医療診断機)でアスナを調べると「致死レベルの放射線被曝」という結果が表示された。ここは居住区。近くに放射線を出すものなどあるはず無いのだが……。その後、オルガが医局で薬品を入手して投与したことでアスナは回復する。さらに医局で出会った胡散臭い少女、クロエも加えて4人が集まった。その頃、イトカは一人眠って幾つもの悪夢を見続けていた。夢から目覚めた時、ちょうどミキたち4人がイトカを発見し、イトカは5人目のメンバーとしてついていくことになる。こうして5人で探索していくが、何故か他の人と出会わない。ネットワークに繋いでみても他の人が活動している痕跡が全くない。皆はどこへ行ってしまったのか。安全な場所はあるのか。当てのない探索は続いていく。
399 名前:密室のサクリファイス[sage] 投稿日:2012/04/13(金) 00:52:43.60 ID:IHAR9MLs0 [2/11]平行して5人の過去や思惑が徐々に語られる。ミキは元は高跳びの選手。大会の一週間前に足を大怪我してしまったが、見知らぬ女性の挑発じみた励ましで精神的に持ち直した。だが続いて両親と共に列車でテロに遭い、両親は死亡、ミキは下半身不随に。ミキはテロの実行犯に憎悪を抱き、その復讐心は生に対する執着にもなっている。なお、今回の"異変"の際にそれまで乗っていた車椅子が壊れたが、奇跡的に足が動くようになって歩行程度ならできるようになっている。アスナは、気弱で自主性が乏しい同級生のホノカが自分に依存してくるため、「助けてくれることを当然だと思っている」として嫌悪していた。だが、どんなに邪険にしても自分への依存を止めないホノカへの苛立ちが募り、「私の前から消えて」と言い放つと、数日後ホノカは投身自殺をしてしまう。アスナはホノカを助けることができなかったことを後悔しており、ホノカに似て気弱なイトカに対して苛立ちつつも気にしている。クロエと名乗る少女は「プリースト」というIDで活動している天才ハッカー。ヘッドセットで脳を直接ネットに繋ぐという危険な手法を好んで用いている。10歳の時に自身を超える腕前の「オレンジ」に出会い、自分より優秀な者の存在を認めたくないため、彼女を追って自分の優秀さを見せつけようとした。その縁でオレンジから"地上"を目指す半宗教組織へと勧誘され、テロ活動を行う。そして今回の"異変"発生時、自室に突然黒い羽根と数字が記された本が出現した。これが教義にある地上への鍵を開く「黒き翼の者」への手がかりだと考え、それを与えられた自分が地上へと皆を導く神官「クロエ」に選ばれたと判断。当代のクロエであるオレンジに代わって(勝手に)自らクロエと名乗り、手がかりを元にファウンデーション内を探索している。オルガは医局長を父に持つが、無用な反発を恐れて他の4人には隠している。厳格な父に息が詰まりそうになることもあったが、基本的には父を尊敬している。真面目な性格と「父の期待に応えなくては見限られてしまう」という脅迫概念から5人の中でリーダー役を務めようとするが、それが空回りになることも少なくない。特に上から目線を嫌うクロエはオルガを露骨に嫌っている。イトカは元々、医局に与えられた個室で生活していた。あるとき意図せず何重にもロックのかかった個室の外に出てしまい、そのきっかけが「個室から出る夢を見たこと」であったため、スタッフから本格的な実験の対象にされて苦しい日々を送ってきていた。ミキたちと同行している今も、イトカは頻繁に現実感のある悪夢を見ており、その度に体にプリントされた謎の数字が1ずつ減っていくことに戦々恐々としてる。
400 名前:密室のサクリファイス[sage] 投稿日:2012/04/13(金) 00:53:51.57 ID:IHAR9MLs0 [3/11]探索中、燃料の残ったボイラーを発見して交代でシャワーを浴びることになる。イトカがシャワーを浴びている最中、彼女は意識を失い「水道と間違えてボイラーの燃料パイプの流量を最大にする」という夢を見た。目覚めたイトカはまた体の数字が減っていることを確認し、ため息をつく。このときクロエはイトカ自身も気づいていない異常を目の当たりにしていた。イトカが意識を失った直後に一瞬空間が歪み、シャワーが湯から水となった。ボイラーは燃料が空になり、何時間も前に火が消えたかのように冷え切っている。減った数字を見てため息をつく様子も合わせ、「イトカは何者だ?」と疑問を持つ。別の日の探索中、オルガはクロエに対して殺意を覚える自分に戸惑っていた。医療用スキャナでスキャンしてみると「フリオウイルスに感染」との結果が出る。他の4人もスキャンしてみるとミキとアスナにも同じ結果が出た。クロエが「脳に感染して怒りの感情を増幅し、1日で廃人にするウィルスだ」と説明し、3人をそれぞれ個室に閉じ込めて1日様子を見ることを提案。オルガはその説明を疑ったが、スキャナの反応は本物であるため隔離に賛成し、3人は外から施錠された個室へと1日閉じこもることになる。オルガは個室のパソコンと父のIDカードを使って医局の機密情報からフリオウィルスに関するデータを参照し、その正体を知る。フリオウィルスとは人体の免疫系ナノマシンに感染するウィルスプログラムだった。外部感染時の挙動は「移動」であり、感染元にコピーを残さないのだが、医療用スキャナを介しても移動するため複数人に反応が出ていたのだった。治療法はナノマシンが-20℃で初期化されることを利用したコールドスリープ療法。スキャンのタイミングと回数を考えると、現在ウィルスは医療用スキャナの中だ。クロエが使用したら危険だと考え、部屋の鍵をなんとか解錠して外に出る。(※この辺りからルートが分かれる)
401 名前:密室のサクリファイス[sage] 投稿日:2012/04/13(金) 00:55:01.08 ID:IHAR9MLs0 [4/11]【ルート1】クロエは3人を個室に閉じ込めた時点でフリオウイルスの特性に察しがついていた。1日待てばウイルスの所在が分かるので、それを医療用スキャナに移せば問題解決。……と思っていたところに、突然イトカが錯乱状態になって角材で殴りかかってきた。とっさに医療用スキャナを使用すると、イトカは悲鳴を上げ、同時にクロエは意識を失う。そして「コールドスリープ装置で眠っているミキ、アスナ、オルガ、そして自分」「自分の入っている装置がエラーを起こし、出られなくなっている」という夢を見た。その後、クロエは部屋を出たオルガに助け起こされて意識を取り戻した。2人で相談した結果、5人全員でコールドスリープ療法を受けることになる。クロエは、コールドスリープ装置のある部屋が夢と同じ情景だったため、嫌な予感を覚えて夢とは違う装置に入り、夢でクロエが入っていた装置はオルガが使うことになった。そして数時間後、コールドスリープ療法が終わったとき、オルガの装置はエラー状態で目覚めることが不可能な状況となっていた。期せずして最大の邪魔者が消えたことを密かに喜ぶクロエ。他の3人はそれに気付くはずもなく、一行はオルガを諦めて先に進むことを決める。移動中、墓地に寄ることになり、クロエはそこでオレンジの墓を見に行った。オレンジはある日、クロエにだけ「次の作戦は管理局に漏れている」と伝え、それを組織に報告することなく自分は指揮官として作戦に参加し、死亡した。その死に疑問を持っていたクロエが医療用スキャナでオレンジの遺体を調べると、それはナノマシンを利用して偽装されたものだと判明する。もしや自分はオレンジの掌で踊っていただけなのか、と無力感に脱力するクロエ。だがその時、一瞬の幻覚なのか、ミキの背に黒い翼があるのを見た。ミキが「黒き翼の者」と確信したクロエは、そのことに気付いた自分はオレンジよりも先行しているとの確信を持ち、先へと進む。ある場所で、考えが浅いわりに主導権を握りたがるアスナのミスで全員がが部屋に閉じ込められ、酸素の残量が危うくなってしまう。脱出まで数時間かかるのに、アスナはヒステリーで騒いで酸素を浪費し、それを咎めるミキに「諦めるのか、この負け犬!」と叫んでしまう。怒りでミキは錯乱し、クロエの教唆も引き金となって銃でアスナを射殺。ミキは我に返って自分の行為に恐怖を覚え、クロエは邪魔者が消えてほくそ笑む。
402 名前:密室のサクリファイス[sage] 投稿日:2012/04/13(金) 00:56:05.53 ID:IHAR9MLs0 [5/11]次にクロエは、これまでのイトカの様子から、その正体が医局のサーバーで断片的に見た機密情報にあった「歪曲時空を発生させる脳波を持つ者」と推測。管理局のサーバーの深部へと侵入して、これが事実であるとの確信を得る。これはイトカが"現実を書き換えることができる者"ということを意味する。自分が得た啓示(自室に出現した本)がイトカによるものとの疑念が生まれ、それを否定するため、また地上を目指す障害となりうる者ものを排除するため、イトカをネットに誘ってセキュリティに引っかけ、変死を装い殺害した。こうして残ったのはクロエとミキだけとなった。そろそろオレンジに追いつくと判断したクロエはミキが寝ている隙に次の場所に向かい、案の定オレンジと対峙する。クロエの問いに対してオレンジは答えていく。かつて作戦の漏洩を組織に伝えなかったのは、漏洩の主犯が組織上層部にいたため。そのため作戦自体の中止もできず、自身の死を偽装して逃げるのが精一杯だった。オレンジは、「人々を解放し地上に導く」という理念を忘れて政府施設の破壊と内部抗争に明け暮れる組織に見切りをつけ、独自に動いていた。そこまで語り、オレンジは同志としてクロエに手を貸すよう頼む。その直後、追いついたミキがオレンジに向かって発砲し、オレンジはとっさに反撃。ミキとオレンジは二人とも致命傷を負ってしまう。死を前にしてオレンジはクロエに地上へ出るための手段について語る。「黒き翼の者」は"鍵を開く者"であって鍵そのものではない。地上への扉を開く鍵は、医局が極秘に進めていたイコンプロジェクトの実験体、「イコン」と呼ばれていた少女、つまりイトカだっのだ。クロエは、ライバルであり目標でもあったオレンジ、仲間であったミキ、そして地上に出る手段すらも失った。喪失感に占められたクロエはオルガの眠るコールドスリープ室に向かい、ミキの遺体を装置に入れたのち、自分も長い時間をタイマー設定して冷たい眠りについた。クロエEND【永遠】
403 名前:密室のサクリファイス[sage] 投稿日:2012/04/13(金) 00:57:09.91 ID:IHAR9MLs0 [6/11]【ルート2】イトカは気が付いていた。自分が見ている夢の内容は他の4人が過去に体験した情景だ。他人の夢を見ると数字が減る、ならばみんなを殺せば夢は見ないし数字も減らない、いやこんなこと考えては駄目、こんなこと考えるのはきっとウイルスのせい、私は感染している、感染してるなら仕方がない……と錯乱したイトカはクロエを攻撃。反撃で医療用スキャナを使用され、本当にウイルスに感染してしまい気を失う。イトカはそこで過去の自分の夢を見る。医局スタッフにより眠らされ、眠っていれば悪夢を見、起こされたら痛くて不快な投薬や実験が行われる日々。イトカは怒りを感じ、目覚めると目前のコールドスリープ装置を激情のまま破壊する。一方、クロエ視点ので事態の推移は【ルート1】の同シーンとほぼ同じ。ただしエラーを起こす装置はイトカが破壊したため、5人とも無事に目覚める。先にイトカが目覚めており、夢で装置の中にイトカがいなかったことも合わせ、クロエは「イトカはコールドスリープしなかったのでは?」と疑惑を深めていく。一行は次に、医薬品を補充したいというオルガの要望で研究ブロックへと向かう。だがその目的は建前で、オルガには別の目的があった。かつて父が一時期非常に荒れていた頃があり、その原因がここで行われていたプロジェクトが頓挫したせいだったことを思い出したのだ。探索の結果、研究ブロックの内にかつてイトカが暮らしていた部屋を発見し、オルガはそのプロジェクトにイトカが関係していたことを知る。その後【ルート1】と同様に、クロエはイトカを殺害。さらに錯乱したミキはクロエの教唆も加わってアスナを撃ってしまう。
404 名前:密室のサクリファイス[sage] 投稿日:2012/04/13(金) 00:58:13.88 ID:IHAR9MLs0 [7/11]アスナはオルガの応急処置で延命が成されたが、状態は予断を許さない。オルガは「医者は人の命を救う者」という使命感から手術を決めるが、直後停電となる。復旧のためには耐火服でも10分しか保たない高熱の発電炉の中で操作するしかない。アスナに対する罪の意識のためか、ミキは率先して耐火服を着て炉内に入り、クロエの警告も無視して限界時間を超えながらもバルブを操作。電源は復旧できたものの、ミキは外に出ることもできず力尽きる。一方、オルガは電源が戻って即座にアスナへの手術を開始したが、所詮は本格的な教育を受けていない医者の卵、アスナは間に合わず死亡する。こうして残ったのはオルガとクロエだけとなった。クロエはふとした拍子にオルガが持つIDカードが医局長のものと気付き、オルガに「そのカードで機密情報を探り"異変"の情報を掴もう」と持ちかけ、医局のサーバーでイコンプロジェクトについての調査を開始した。「イコンとは、10年前に発見された旧政府の資料に記載された"現実を改変する者"」「9年前にイコンのレプリカ作成プロジェクトを開始するが、危機に陥り凍結される」との情報を得て、クロエはイコン(=地上への鍵となる者)がイトカであったと気付く。その時クロエが思わず口走った後悔の台詞を聞き、オルガはクロエに疑念を抱く。「イコンを探しに行く」との名目で二人は旧政府の生物化学実験棟へと向かった。何故か生きていた巨大トカゲのような生物の攻撃を振り切り、奥の方へ到達する。だがオルガはクロエが語った「イコン探し」が嘘であると見抜いていた。オルガはクロエの真の目的である数字が記された本を先に押さえ、ミキから取り上げていた銃をクロエへと向ける。以前のミキと同じく極限状態で錯乱状態に陥っていたオルガはイトカやアスナだけでなくミキもクロエが殺したと言い出し、さらに今回の"異変"も含めすべてをクロエが仕組んだと断定、クロエを射殺した。医者は人の命を救う者。だが自分はこれで殺人者となってしまった。もう気にする必要もないのだろうけど。――オルガの前には硝煙を嗅ぎつけた数十体の巨大トカゲが集っていたのだった。オルガEND【封印】
405 名前:密室のサクリファイス[sage] 投稿日:2012/04/13(金) 00:59:20.86 ID:IHAR9MLs0 [8/11]【ルート3】個室に閉じ込められている間、ミキは過去を回想していた。ミキが足を怪我したときに励まされた女性は「クロエ」と名乗っていた。ミキは彼女を慕い、仕事を手伝いたいと申し出ていたが、断られ続けていた。そしてミキが巻き込まれたあのテロのあと、彼女はミキを訪ねてきた。ミキにある素質を見いだしていたこと、それを開花させるために意図的にテロに巻き込んだこと、結局それは失敗に終わってしまったこと。それらを謝ったのち、彼女は二度とミキの前には姿を見せなくなってしまった。(※この女性は先代クロエ、つまりオレンジのこと)フリオウィルスの一件は【ルート2】と同じ展開により全員生存で解決する。次の目的地も無く彷徨っている状況下、クロエが「地上を目指す」と言い出した。お伽噺の中にしかない場所を持ち出されて困惑する他の4人だったが、長い昇りエレベーターの起動に成功し、実際に植物の生い茂る場所へと辿り着く。だがその場所は地上ではなかった。空はドームになっており、明らかにここは室内だ。しかもその直後に発生した地震で施設外壁が損傷し、マグマが入り込んでしまう。皆で逃げる途中、オルガは足をくじいて走れなくなってしまい、「マグマを遮らないと誰も助からない」「医者は人の命を救う者」との判断から隔壁を下ろす装置を作動させて、皆を救う代わりに自身はマグマに飲み込まれた。その後、残った4人は墓地に向かい、ミキは両親の墓前でテロの実行犯であるクロエ(オレンジ)に対して復讐を新たに決意する。さらに【ルート1】と同様にクロエのイトカ殺害、ミキのアスナ射殺が行われる。こうして残ったのはミキとクロエだけとなった。二人は彷徨ううちにファウンデーションの古い区画に辿り着き、「地上への鍵となる者"イコン"」と記されたコールドスリープ装置を発見する。だが装置はもう動作しておらず、開けても中身は既に塵と化していた。クロエは落胆したものの、羽根と数字が描かれた行き先を指示するメモを発見。インクが乾ききっていないことからすぐ先にオレンジがいるのだと判断する。この一連の出来事の間にクロエの呟きを聞いていたミキは、クロエと自分が知る過去のクロエ(オレンジ)が同じ組織に属する者であること、そしてクロエが向かう先にオレンジがいることを知る。メモで指示された行き先は地上へと続く長い梯子の先だった。ミキが先行し長時間上り続けると、老朽化により梯子が徐々に崩壊を始める。「あの女に会うまで死ぬわけにはいかない」「1人なら保つかも入れない」とっさにそう判断したミキはすぐ下を上ってくるクロエの額に銃を向け発砲。その瞬間、クロエはミキの背に黒い翼を見て「間違いなかった、ミキが地上への鍵だ」とと喚起し、そのまま即死して落下していく。それを見届け、崩壊が治まった梯子をミキは一人上っていった。ミキEND【羽】
406 名前:密室のサクリファイス[sage] 投稿日:2012/04/13(金) 01:00:29.76 ID:IHAR9MLs0 [9/11]【ルート4】個室に閉じ込められている間、アスナは考えていた。アスナは、5年前に発生した高エネルギー炉放射能漏れ事故で父を亡くして以来、母の再婚相手からは性的虐待を受け、母からは嫉妬される日々が続いていた。一方で、かつてアスナはホノカが教師に脅迫されていたのを救ったことがあり、ホノカはアスナに過度に依存するようになったのはそれがきっかけであった。「大人に傷つけられ他に頼れる者がいない」という共通点を持ちながら、自殺したホノカと自殺せず今も生きている自分、という差異が生まれたのは何故か。きっとそれは、私には亡き父が心の支えになっていたからだ、と結論する。その後【ルート2】と同様にフリオウィルスの一件は全員生存で解決するが、【ルート3】と同様に地上を目指した先でオルガがマグマの犠牲となってしまう。その後、アスナとクロエのコンビでの探索中、システムの制御室に到達した。ネットで機密情報を探ろうとするクロエに父の死の状況を知りたいアスナが同行を希望し、2人は仮想空間へと入った。オレンジの痕跡を見つけてクロエが先走ったためにアスナがセキュリティに引っかかってしまい、クロエはアスナだけを安全な領域に避難させる。アスナは避難先の書庫で高エネルギー炉事故の機密情報を読むが、「事故により放射能漏れが発生し、2時間後には現場が全面封鎖された」「原因に医局の極秘プロジェクト"イコン"が関わっているようだが詳細不明」「事故直前に長髪の10代女性の目撃情報があったが、該当者は未発見で真偽不明」「死者5名、重症者3名、遺体は回収を断念」とという情報のみで、具体的な父の仕事や死の状況は知ることができず落胆。そのままログアウトする。その時、クロエはセキュリティによる脳へのダメージで既に死亡していた。残り3人での探索中、古い通路で崩落が起きてアスナとミキが閉じ込められた。扉はあるが外からしか開かない。アスナは「イトカが開けてくれる」と楽観的になり、それなのに「自分なりに頑張った」と主張したため、ミキは激怒する。「最初に会ったとき血塗れだったけど、誰か殺してきたの?」というミキの当て付けに、その時の記憶が無く、またホノカの自殺を連想したアスナは反論できない。
407 名前:密室のサクリファイス[sage] 投稿日:2012/04/13(金) 01:01:38.44 ID:IHAR9MLs0 [10/11]ここで火災が発生して状況は一変し、すぐにでも脱出しなくてはならなくなった。ミキは床に空いた穴から出口の塞がった部屋に落下してしまい、構わず先に進むようアスナに忠告。だが、アスナは穴へと飛び込んでミキへと語る。自分はかつて縋ってきた人を見捨てて死なせてしまった。だから自分は人殺しだ。ミキと会う前に誰かを殺してきたという推測も、正しいのかもしれない。でも、だからこそこれ以上目の前で人を死なせたくはない。その話を聞いてミキは、かつて自分を捨てたクロエ(オレンジ)をアスナに重ね、彼女も私を捨てる選択に悩み後悔したのかもしれない、との考えに至る。オレンジへの執着の消えたミキは壁を爆破するために危険な手段を採り、爆破自体は成功してアスナは脱出できたものの、ミキは巻き込まれて死亡してしまう。こうして残ったのはアスナとイトカだけとなった。イトカはまた悪夢を見ていた。警報が鳴り響く工場のような場所の夢。この夢自体は初めてではないが、今回はなぜか夢の中にアスナも入り込んでいた。困惑するアスナにイトカが事情を説明し、アスナも半信半疑ながらも納得したところでここが5年前事故が起きた時点での高エネルギー炉だと気が付く。夢での改変が現実に影響するならば父を救うことができるかもしれない、と気付いて中心部へと向かうが、途中でイトカが不安定な足場を踏み外し落下寸前となる。イトカと父、一方を救っていたらもう一方を救う時間は無い。イトカを見捨てることができず、父は本来既に亡くなった人なのだと自分を納得させてイトカを救おうとするものの、一瞬間に合わずイトカは落下して下の地面に叩きつけられてしまう。アスナは血塗れになったイトカを抱き起すが、もう手遅れであった。イトカは「私が死ぬことで現実が改変される」「アスナは私のことを忘れて私と会う前に戻る」と告げたところで力尽き、その言葉通り夢の世界は終了してアスナは現実へと戻っていった。高エネルギー炉の事故現場で放射能被曝し、イトカの血に塗れたアスナ。朦朧とする中で思い返してみると、具体的なことは何も思い出せないのに「"あの子"も他の皆も父も、誰も救えなかった」という後悔が胸を満たしている。そしてその直後、アスナは同じ年代の黒髪の少女に発見されたのだった。アスナEND【ループ】
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