ザ・フィアー(the FEAR)part67-196~202,208,209
196 :ザ・フィアー(the FEAR):2014/07/14(月) 14:27:40.02 ID:Z3nmHIOO0 それじゃ未解決にあるPS2の実写ホラーゲーム『the FEAR』いくよ 登場人物のうち出演者の5人は本人役として出演しているため演じる女優も同名です カメラマン…………本名不詳。ゲームの主人公で常にカメラを構えている。 福井裕佳梨…………出演者。生まれながらに霊感が強い女の子。 野村恵理……………出演者。明るく活発。英語・ロシア語を解するため館内の本を訳してくれる。 金田美香……………出演者。なぜか常にセーラー服。 上原まゆみ…………出演者。常に美香にくっついている。よくインスタントカメラで写真を撮っている。 加藤夏希……………出演者。熱心なクリスチャン。 奥山秀明……………プロデューサー。途中で姿を消す。 松村たかし…………ディレクター。すぐに死体となって発見される。 岡本彩………………アシスタント・ディレクター。この人もわりとすぐに死体となって発見される。 三輪キリナ…………スタイリスト兼ヘアメイク。この人の死体を確認するかで話は分岐する。 丹一成………………サウンドマン。出演者とカメラマンを除けば最後まで生き残っている。 加納涼子……………出演者のマネージャー。何か隠しているような感じ。 樋口日出男…………美術担当。スキンヘッドのオカマ。かつて館にいたロシア大使ヒグチンスキーとの関係は不明。 老人…………………通常ルート終盤に登場するホームレス。 (序文) 関東地方にあるT県G郡の山奥に建つ洋館。 まわりには民家なども無く、何故この寂しい場所に建てられたのかは全くの謎。 建てられた時代は日露戦争前だとも更に昔のものとも言われているが、実は昭和後期のものともいわれている。 当然持ち主などは不明だが、この洋館が建っている山自体はD村が所有しているためロケ現場としての申し込みは役場で容易に可能である。 一時期は地元の心霊スポットとしても話題にはなったが、そのブームも去り今では誰も訪れることは無い。 ただし、日露戦争前に建てられたという噂が事実ならばこの洋館自体はロシアの公館として建てられたという話も真実かもしれない。 しかし過去そういったことを詳しく調べようとする者もおらず、全ては謎のままである。 バスの中で気分を悪くしていた裕佳梨は、館に足を踏み入れるなり何か恐ろしい物を見たかのように叫絶して倒れてしまった。 そんな裕佳梨を二階の寝室で休ませてホールに集まった僕らに、奥山さんはこの館で昔あった事件を話して聞かせた。 「この館は日露戦争前にロシアの公館として建てられたが、殺人事件が起き七人が死んだ。犠牲者の遺体はどれも、獰猛な獣かバケモ ノにでも襲われたみたいで見る影もなかったという。そして犯人であるロシア大使自身も、死体で見つかった。といっても、見つかっ たのは死体の一部だけで本当は死んでなかったという噂もある。その後この館は公爵夫妻やGHQと持ち主が色々変わったけども、 その度に忌わしい事件が起きてついには手放されたというわけだ」 「忌わしい事件って、どんな?」 「話によるとね、おぞましい姿をした地に飢えた異形のもの……ま、とにかく。そんないわく付きのこの館で、君達のような女の子た ちが一晩過ごすと何が起こるか、というのが今回の主旨。何が起こるかは、僕もわかりません。ということで皆さん、よろしくお願いします!」 そこで一旦解散し、出演者の女の子たちはキリナさんとともにメイクのため二階の遊戯室に行った。 僕と丹さんが応接間で撮影の準備をしていると、松村さんがやってきた。 「監視カメラを設置して、リアルな恐怖の表情をあますことなく拾っちゃおうって企画なのよ~!」 僕たちは、監視カメラを二階の遊戯室に設置することにした。197 :ザ・フィアー(the FEAR):2014/07/14(月) 14:28:32.54 ID:Z3nmHIOO0 準備を終えた出演者の女の子を一通りカメラに収めた僕は、二階の裕佳梨のところにも行ってみた。 すると奇妙なことに、眠っているはずの裕佳梨をさしおいて後ろから本人の声が聞こえてきた。 慌てて振り向くと、そこには白く発光するもう一人の裕佳梨の姿があった。 「肉体の声じゃなくて、心の声で直接話しかけてるの。この屋敷、何か邪悪な力に覆われている。屋敷に着いた途端、それがわかったの。 いえ、見えたの。惨たらしく、人が殺されていく映像。過去のことかもしれないけど、これから起きる未来のことかもしれない。実は 私、未来に起きることを知る力も持っているのよ。でも、今私が動けないのはその能力とは関係ない。たぶん、邪悪な力のせいだと思う。 カメラさん、お願い。これからこの屋敷で起きようとしている恐ろしいことを、カメラさんの力で食い止めてほしいの。私の持ってい る能力、予知夢をあなたのカメラのファインダーに写すから」 やがて発光する裕佳梨が消えて僕が呆然としているところに、一階から大きな物音がした。 部屋を出て一階に向かうと、今度は応接間から夏希と恵理の悲鳴が聞こえた。 「奥山さんが!奥山さんが死んじゃった!」 「今、二人で窓の外を眺めてたら……すごい音がして、血だらけの奥山さんが……」 窓の外にはなにもいなかったけど、酷い異臭がした。どうやら夏希と恵理は異様な怪物も見たらしい。 けどそれを確かめるために外に出ようとしたところで、大音響と共に屋敷の全ての窓と玄関が閉鎖されてしまった。 「まさか……閉じ込められた?」 「みんな……手分けして探してみましょうよ!」 出口を探していると、応接室の涼子さんが遊戯室のモニターを見ていた。 なんとそこに映っていたのは、ビリヤード台の影に蠢く得体の知れないものの姿とそれに気付かないキリナさん達だった。 すぐに僕が二階の遊戯室に向かうと、部屋には異臭が放たれキリナさんとまゆみと美香が倒れていた。 「何か変な音がすると思って振り返ったら、化け物みたいなのが襲ってきたの!」 「寝室は?!寝室の裕佳梨ちゃんは?!」 三人を彩さんに任せて裕佳梨の寝室に向かうと、そこには怯えてベッドの影に隠れる裕佳梨の姿があった。 「化け物!化け物よ!私、寝てるふりしてたの!化け物の息が私の首筋にかかったときは、もう駄目かと思った……」 どうやら裕佳梨の本体に危険が迫ると、カメラに憑依した力は使えなくなるらしい。 「裕佳梨ちゃんは僕が守るよ。こんなタチの悪い悪戯は……」 「これは悪戯なんかじゃないわ。死ぬのは奥山さんだけじゃないわ。他にも、もっと……とても恐しいことが起こるわ」 僕は部屋に鍵をかけて僕以外の人間を入れないよう裕佳梨に言い含めてから、寝室を出た。 寝室を出るとなぜかそれまでは行けなかった二階の奥に行けるようになっており、そこにあったもう一つの寝室で音楽室の鍵を見つけ て一階に戻るとなぜか誰もいないはずの音楽室からトランペットの音が聴こえてきた。 そこで鍵を開けてみんなで音楽室に入ると、廃れきったその部屋の壁に血だらけの松村さんが血文字とともに磔になっていた。 『救済を得るために、罪を科すべし』 「まさかとは思うけど、以前ここであった事件と何か関係があるのかも……」 「これは、黙示録をなぞっているんだと思うの……ヨハネの黙示録。『私は、神の御前に立つ七人の天使を見た』。プロデューサーの死は、 第一の天使の行。ディレクターが磔にされているのは、第二の天使の行。もしかすると、犯人は過去の惨劇と黙示録に準えて七人の連 続殺人を計画しているのかもしれない」 夏希は二つの殺人の状況と黙示録について、解説してくれた。 「こんなことになってたなんて……ずっと隣の部屋にいたのに」 「この音楽室って、ずっと鍵がかかって入れなかったんですよね」 「人間にはね……ねえ、これどこかの部屋の鍵みたい」 皆がとりあえず音楽室を出て食堂に入ると、いきなり館全体が不気味な音とともに大きく揺れた。 しかし揺れが治まった後に応接室のモニターで二階を確認すると、なぜか遊戯室には誰もいなかった。.198 :ザ・フィアー(the FEAR):2014/07/14(月) 14:29:54.86 ID:Z3nmHIOO0 応接室を出ると、キリナさんが階段を駆け下りてきた。 「また、また化け物が!それを、ADの彩ちゃんが一人で化け物にとびかかって……」 僕が二階に上がり先程の鍵を開けて図書室に入ると、美香はそこに隠れていた。 「遊戯室を出たら、化け物が襲ってきたの!ADさんが助けてくれてその隙に逃げたんだけど、すぐに化け物が追ってきてここに隠れてたの」 さらにもう一つの寝室に隠れていたまゆみも連れて彩さんを探していると、バスルームから大きな水音がした。 果たして慎重に入ったそこの浴槽の中にあったのは、彩さんのものと思われる下半身だけの体だった。 「じゃあADさん、私達を助けようとして……?ADさんごめんなさい、私達の代わりに……!」 僕らがとりあえず一階に戻ろうとすると、樋口さんが慌てて階段を駈け上がってきた。 「ディレクターさんの死体が無くなってるのよ」 音楽室に入ってみると、確かに松村さんの死体は消えていた。 大騒ぎの中さらに二階で見た彩さんの下半身のことを皆に伝えると、いつも冷静な涼子さんがなぜか取り乱し始めた。 「そ、そんなはずない!そんなはずない!見てくる!」 慌てて出ていった樋口さんと涼子さんに残された僕たちは、とりあえず音楽室を出た。 「ねえ……私、ティーバッグ持ってきたの。みんな、紅茶飲むでしょ?」 キリナさんと夏希が台所・丹さんが応接室に行く中、他の出演者は食堂に行き僕はまた二階を調べに向かった。 彩さんの下半身についていたバッグの中にあった鍵で一階のクロークに入ると、そこで何やら楽譜を見つけた。 そこでその楽譜を弾けるというキリナさんに音楽室のピアノで弾いてもらうと、ピアノの中から月の形のプレートが落ちてきた。 「そうか、こういう仕掛けだったんだ……」 キリナさんを台所に帰してそれを食堂にある太陽のプレートを持った像の片手に嵌めてみると、地下への隠し通路が開いた。 そこを下りている時にまたあの不気味な大震動が来たけど、肝心の地下室はなんらかの研究施設とみられるくらいで収穫は無かった。 しかし地下室の通路から出てきた途端、悲鳴とともに台所にいたはずの夏希が応接室に駆け込んでいた。 夏希は血塗れになっていたけどショックのためか何も言わず、仕方なく僕が様子を見に行くことになった。 (ここで台所に行ってキリナの死体を確認するか否かで終盤の展開が変わる。以下は確認した場合) 「キリナさんが死んでた。死体の上に、翼を広げた鷲の絵の描かれた旗が被さっていたんだ」 「また黙示録よ……!第四の天使……一羽の鷲が空中を飛び……」 発狂したように黙示録を唱える夏希を丹さんに任せ、僕はまた調査に向かった。 (キリナの死の部分はここまで。台所に行かず二階の浴室に直行すれば分岐フラグ) 二階を調べていると、浴室から怒る涼子さんが樋口さんと話す声が聞こえてきた。 「一体どうなってるの!?話違うじゃない!」 「いや、おかしいですよね……こんなんじゃなかったですよね……?」 「やられたのよ。何をしようとしてるかわからないけど、一杯喰わされたのよ」 驚いたことに、浴室に入ってみると浴槽から下半身の死体が消えていた。 「死体、ここにあったのよね?確かに血痕は残ってるわ。本物かどうかわからないけど」 たしかに涼子さんの言う通り、化け物のものと思われる触手の型の血痕だけは残っていた。 ともあれ夏希のことを告げると二人は慌てて応接室に向かったけど、応接室から夏希と出てきた涼子さんの様子は明らかに変だった。 「今一階のあちこちを見てきたんだけど、特に変わったところはなかったわ。が何を見て動転してるのかわかんないんだけど……AD の死体も無かったわけだし。(夏希の)血は音楽室で付いたんじゃないの?とにかく、夏希を二階で休ませようと思って」 僕の抗議も聞かず、寮古さんは夏希と丹さんを連れて二階の遊戯室に行ってしまった。 しばらくして食堂で女の子たちの様子を見た後に僕も遊戯室に行ってみると、そこから悲鳴が聞こえてきた。 慌てて入った遊戯室で見たのは、血塗れで呻きながらそこで落ちてきたシャンデリアに潰され息絶えた松村さんの姿だった。 「第五の天使……第九章の一節……でも、松村さんは第二の天使の行で一度死んだものとして扱われているはず……」 夏希の呟きによるとこれもまた黙示録通りらしいけど、涼子さんはその矛盾に絶えられなくなったかのように口を開いた。199 :ザ・フィアー(the FEAR):2014/07/14(月) 15:01:02.17 ID:Z3nmHIOO0 「ヤラセ!?」 「そう。音楽室で死体を見つけるところまでは計画通りだったの。それが、バスタブに彩さんの死体があるっていうじゃない? 私そんな話聞いてなかったから、なにがなんだかわけわからなくなっちゃって。私は、決まった話を持ち掛けられただけ。一応マネー ジャーの許可もとらなくちゃマズいからって」 「奥山さんが主犯ってこと?」 「そう。それから松村さん・樋口さん・丹くんにも参加してもらったの」 「今までの死体は偽物だったってことですか?」 「そう。なんか、黙示録をもじった連続殺人事件にするとか言って……」 「私達を閉じ込めたのも?」 「そう。奥山さんの仕業。計画では、屋根裏部屋にいるはず。松村さんと二人で」 僕は遊戯室の松村さんの死体から鍵を取り、屋根裏部屋に向かった。 <条件を満たしていた場合 屋根裏部屋にあったのは、何やら怪しげな祭壇だった。 しかし僕が屋根裏部屋から出ようとすると、いきなり黒いローブに身を包んだ涼子さんが剣を向けて立ちはだかった。 「最初の館の主だったヒグチンスキー……そう、例の惨劇の張本人よ。彼は偶然に手に入れたネクロノミコンという本から大いなる古 き者の存在を知り、彼らとの接触を図った。かつてこの屋敷で行われた惨劇はそのための儀式。しかし儀式は失敗した。彼は途中で怖じ気づいて儀式を中断したからよ。私は儀式を完成させたいの!今回の企画を持ち込んだのも実は私。とにかく儀式はまだ途中。もっ と血がいるの。生贄の血が……そう、もちろんあなたも勘定のうちよ!」 >涼子に刺し殺されるバッドエンド 屋根裏部屋にあった椅子に座っていたのは、なんと首を切り落とされた樋口さんの死体だった。 しかしそれを発見した直後、僕は背後から何者かに殴られ気を失った。 しばらくして目覚めると、屋根裏部屋から樋口さんの死体は消えていた。 けどそれより気掛かりだったのは、カメラから裕佳梨の気配が消えている上に寝室にもいないことだった。 「あれからまた震動が起こって……」 食堂にいた夏希と美香によると、まゆみと恵理が二階に逃げたらしい。 そこで再び二階に上り、図書室で黙示録を読んでいた二人と合流して調べているとはもう一つの寝室に隠れていた。 「気をつけて。まだ、悲劇は終わってないわ」 裕佳梨を寝室に寝せたところで水音がしたため隣の浴室にいくと、そこにあったのは口に鍵を挿した彩さんの上半身の死体だった。 鍵を開けて図書室の奥の書斎に入ると、そこには水槽に入れられた涼子さんのバラバラ死体があった。 「これが第六の殺人……てことは、あと一人死ななきゃこの連続殺人は終わらないってこと?!」 書斎を調べてみると『脳電気刺激による行動を制御できる低周波の有用性アシェンデンケミカル研究所・神経科学部門』なる古びた報 告書と 『小生ハ昨夜遂ニ屋敷ヲ徘徊セシ魔物ト遭遇ス。其ノ容貌甚ダ醜悪怪異ニシテ名状難シキ者ナリ……』と書いた未投函の手紙が見つかった。 「ねえ……何か変な匂いしない?」 すると天井から降ってきたようにあの怪物が部屋に現れ、僕たち三人は逃げる内にまたはぐれてしまった。 恵理とまゆみと再び合流してから食堂の二人のところに行くと、隠し通路からまたあの怪物が襲ってきた。 そこで僕たちは五人で二階の遊戯室へと逃げたけど、途中で合流した丹さんは意味深なことを呟いて何故か一人で出て行ってしまった。 「無事で良かったですね。じゃあ俺、何か飲み物持ってきますよ」 「一人で大丈夫?」 「平気です。それに……ちょっと気になることがありますから」 丹さんの様子が気になった僕は、四人を遊戯室に残して隠し通路に置いてあった鍵を使いリネン室へと入ってみた。 (キリナの死体を確認しているかどうかでここから物語が分岐)200 :ザ・フィアー(the FEAR):2014/07/14(月) 15:01:49.52 ID:Z3nmHIOO0 リネン室にあったアンプルガンと鍵を取り車庫へと入ってみると、いきなり見知らぬ老人から声をかけられた。 「俺は見ての通り雨露しのぐためにここにいるんだよ。おめえらあれか?昨日来たテレビの連中か?」 館からの脱出法も知らないその老人は置いて車庫の通風口から出ようとするとそこは地下室に続いており、そこにあったレバーを下ろ すと壁と思われていた地下室の扉が開いて奥に行けるようになった。 地下室の奥は大きな椅子といくつかの人骨があるなんらかの実験室のようであり、僕がなぜかそこにあったキリナさんの死体から鍵を 取って食糧庫を開けるとそこには奥山さんが隠れていた。 裕佳梨を除く全員が食堂に集まったところに、丹さんがあの化け物を抱えてきてどさりとテーブルに置いた。 「ああ、これ樋口に頼んで造ってもらったんだ。死体も全部、樋口に言って造ってもらったの。黙示録になぞって死体がどんどん出て くるって趣向で行こうってことで……二つ目まではうまくいってたんだけど、急な番狂わせで俺達もびっくりしちゃってさあ。たぶん、 涼子か樋口の仕業だと思って様子を見てたんだよ」 「涼子さんは亡くなりました。松村さんもキリナさんも、樋口さんもです」 しかし奥山さんに説明する丹さんの様子は、だんだん変になってきた。 「奥山さん、お疲れ様でした!奥山さんの企画、全然面白くないんですもん。だから僕がちょっと、脚色しときました」 「ああ、お前がやってくれたのか。じゃあ、涼子は……」 「ですから、亡くなったんですってば。奥山さん、人間の恐怖をカメラに収めるのに作り物の死体見せてもだめですよ。やっぱ、本物 じゃなきゃ。本物志向の奥山さんがおかしいですよ。俺はね、あんな樋口さんが造った偽物の死体じゃ偽物の演出しかできないと思っ たんですよ。だから皆さんに協力してもらって、死体は本物にしておきました。迫力あったでしょ!」 丹さんはそう言うと、トランシーバーのような機械を取り出してスイッチを弄った。 すると屋敷全体があの大震動に包まれるとともに、突然夏希の体が化け物のようになりその手で奥山さんを貫いた。 「このお嬢さん、簡単に暗示にかかりましたよ。思い込みが強いみたいで。このリモコンで低周波を起こすと暗示が発動する。優秀な 殺人ロボットのできあがり!さあ次は誰の番かな……夏希ちゃん、次の生贄です!」 丹がそう言ってリモコンで僕を指すと、夏希は僕の方に近付いてきた。 「どうです?いいクライマックスでしょ!楽しんでくださいね仕込み大変だったんですから!さようなら~」 夏希の体から出る触手を避けるうちに、カメラから裕佳梨の叫び声が聞こえてきた。 「裕佳梨ちゃんをどうするつもりだ!」 しかしそれを気にする間もなく、なぜか夏希の体がいきなり元に戻った。 「私が……?私が、罪深きもの……?ごめんなさい、赦して……」 次の瞬間、夏希の体は発光し爆発。唖然とする僕らのいる食堂に、丹の声が響き渡った。 「あら、夏希ちゃん爆発しちゃいましたか。ミッションを一定時間の内に果たさなければ、爆発するんですよ!」 僕は三人を食堂に残し、丹とを追って地下室の奥へと向かった。201 :ザ・フィアー(the FEAR):2014/07/14(月) 15:02:36.40 ID:Z3nmHIOO0 地下室の奥には機械椅子に縛られた裕佳梨と手錠をかけられた老人、それに機械を弄る丹の姿があった。 「いいところに来ましたねえ!この男に続いて、裕佳梨ちゃんもたった今天使になるところです!」 丹が機械のスイッチを入れると、機械椅子に電気が流れ裕佳梨は悶え苦しんだ。 「天使とはこのリモコンによって操作する低周波によってプロテクトを解いた時、『墮天使』つまり悪魔と化す人間のことです!今まさに、 裕佳梨ちゃんは天使になりました!これでこの屋敷にいる人間はあなたと私を除いて全て天使になったんです!」 「じゃあ他の女の子たちも……どうして、何のために!?」 「惨劇のエンディングはもっと絵的に派手にしないと!だって奥山さんのプランつまんないんだもん。せっかくの仕込みが台無しだよ! 俺前もってロケ班に来て色々提案したのに奥山さん無視するし。昨日だって徹夜してんだぜ!俺の気持ちがわからない奴なんて、みー んな死んじゃっていいんですよ。みんなあれだけ我儘言って生きてんだ!もう死んだって悔いはないでしょ……本当のお楽しみ、あな た自身の死はこれからです。どうぞ、至福のドラマをご堪能ください!」 丹がそこまで言ったとき突然後ろの老人が怪物になって手錠を千切り丹に襲い掛かり、僕はその隙に裕佳梨を助けた。 「私は大丈夫よ。ちょっと気分が悪いだけ」 いつの間には血塗れの丹は机に倒れており、怪物となった老人の姿はなくなっていた。 「何で計画通りに進まねえんだよ……俺の計画は、いつも完璧だ……ドラマをやめるわけにはいかないんだよ……僕がいなくなっても、 僕の天使達は悪魔になってもらわないと…………これから天使達一人ずつに、低周波を送ることにしました。低周波が聴こえれば…… みんな夏希と同じように悪魔になるんですつまり、時間内にミッションを遂行しなければ……」 僕は丹の手からリモコンを奪い取り、叩き壊した。 「もう遅いですよ……全部セットし終わりましたから」 僕は何も言わなくなった丹の体から鍵とメモを取って、裕佳梨には安全な車庫に行ってもらった。 直後に老人に襲われ食堂から逃げるまゆみ・美香・恵理を追って行くと、老人は二階の廊下で爆発しそこには車の鍵だけが残った。 「グランドフィナーレの始まりだぁ!丹一成プロデュース!最高の恐怖……夏希ちゃんのようにみんな、化け物になるんだ!ハハハ……」 どうやら、丹はまだ辛うじて生きているらしい。 丹のメモの通り書斎の奥でアンプルを手に入れた僕は、まゆみ・美香・恵理を助けるため彼女らを探した。 (怪物化した三人と裕佳梨を助けるか死なせてしまってから車庫の車で脱出。館は直後に丹が爆破する。誰を助けられたかでEDは変わる) <裕佳梨のみ助けた場合 館を脱出した僕と裕佳梨は、燃える館を見つめていた。 「裕佳梨ちゃん、ありがとう。君の心が、僕の中にあったから僕は強くなれた」 「違う。あなたは元々、とても強い人よ。あなたの中にいて、あなたの心の強さを私も感じてた。あなたはその強さで私を守ってくれたの」 僕達は、キスを交わした。 >END <美香のみ助けた場合 館を脱出した僕と美香は、燃える館を見つめていた。 「マスコミの取材、一杯くるかな……悲劇の生存者って、ワイドショーとかで……私、売り出すチャンスなのかな……月九も話題にな って、視聴率上がるだろうな……どうして皆が死ななきゃいけなかったんだろう……どうして!?」 僕は、黙って美香を抱きしめた。 「私、強くならないと。皆の分も、強くならないと。私、やるよ。カメラさん見ててね。ほんとの女優になるから」 >END202 :ザ・フィアー(the FEAR):2014/07/14(月) 15:05:50.90 ID:Z3nmHIOO0 <恵理のみ助けた場合 館を脱出した僕と恵理は、燃える館を見つめていた。 「聖書にある言葉。『愚かなる者は、悪を成そう。戯れのごとくす』」 「人の命を弄びやがって……恵理ちゃんは、これからどうするつもり?」 「一晩で色々ありすぎたから、ワイドショーなんかの取材も来るだろうし。タレントとして売り出すチャンスになるかもしれないけど、 人の不幸を利用してるみたいでなんか嫌だな……」 「じゃあ、どうするの?」 「アメリカの大学にでも入ろうかな。でも、その前に……」 恵理は、僕の頬にキスをした。 「ありがとう。あなたがいてくれて、本当によかった」 >END <まゆみのみ助けた場合 館を脱出した僕とまゆみが燃える館を見つめていると、まゆみは唐突に僕の写真を撮った。 「今の顔、すごくかっこよかった。この写真、大事にするね」 「僕がもっと、しっかりしてたら……みんなを救えたのに」 「そんなことないよ。カメラさんが頑張ってたのは、みんな知ってるよ……私は……美香さんともう一度、話したかったな」 僕は無言でまゆみを抱き寄せた。 >END <全員を助けた場合 館を脱出した僕たち五人は、燃える館を見つめていた。 「あたしたち、生きて出てこれたのね」 「助かったんだ」 「何もかも燃ていく。清らかなものも。穢れたものも。炎が、燃やし尽くしていくわ」 「地獄の業火って、こういうのかしら」 「綺麗……」 僕は裕佳梨を抱き寄せた。 「これで全ては終わりだ。何もかも、燃えてなくなる」 >END 以上が正規の√です ちなみに二人か三人のみ助けた場合はおおよそ全員助けた場合と同じような台詞になり、誰も助けられないと悔しさに涙しながら一人 で脱出し地面を叩きます 次回はキリナの死体を確認せずにリネン室まで進めた場合の√です
208 :ザ・フィアー(the FEAR):2014/07/15(火) 13:08:33.59 ID:kMSHrjbS0 リネン室にあった鍵を取り車庫へと入ってみると、そこには丹さんと倒れているキリナさんの姿があった。 「誤解しないでください。彼女、生きてたんだ。車庫に入ったら彼女が倒れてて……とにかく、食堂に運んで手当てしましょう」 キリナさんを食堂に運ぶと、やがて彼女は意識を取り戻した。 「一体、何があったんだ?いや、誰が……」 「夏希ちゃんが……」 「夏希ちゃんなら無事だよ。それより、君を殺そうとした犯人は!?」 「だから、夏希ちゃんが……私が台所にいたら、夏希ちゃんが突然おかしくなっちゃって……そしたら、四人の悪魔が……夏希ちゃん の他に、恵理ちゃん・まゆみちゃん、美香ちゃんが凄い目で私を取り囲んで……」 その時カメラに異変が起こり、裕佳梨の危機を報せた。 「畜生!あいつら!キリナ、ここで待っててくれ!」 丹さんは怒りのあまり、食堂を飛び出していった。 「彼女たち、自分達のことを黙示録の天使と言っていたわ。でも彼女たちだけで、こんなひどいことできるはずが……」 丹さんを追って二階に行くと、瀕死の丹さんが遊戯室から出てきた。 「カメラさんか……もう駄目だ!キリナを……よろしくな」 丹さんは、そのまま息絶えた。
屋根裏部屋に縛られていた裕佳梨を助けようとすると、そこに夏希・恵理・まゆみ・美香の四人が現れた。 「みんなお願い、正気に戻って……」 「何それ。私達は元から正気よ」 「崇高な目的のために、頑張ってるの」
僕と裕佳梨は音楽室で縛られ、その周りを四人が囲み呪文を唱えていた。 「真理は、全て闇より出ずる。大いなる存在が黙示録の封印を解き、暗黒の地平を切り拓く。人の血がかの者の血となり、人の肉が かの者の肉となる。新たなる契約が、我らとかの者との間になされる」 ローブを纏って現れたのは、なんと奥山さんだった。 「新たなる黙示録の織天使よ。古の黙示録に記された、七人の天使の血が枯れ果てる時が来た。最後の天使の血を、今こそ流し尽くすのだ!」 奥山さんが空に向かって叫ぶと、雷雲が現れその隙間からあの怪物の巨大な触手が降りてきた。 さらに何本もの触手の中心には、おぞましい巨大な化け物の頭部と思われる部分があった。 「この者たちが最後の天使。今こそ契約が成就する時……見よ!新たなる時代が今訪れる」 奥山さんがそう言って自らの手を大きく切り裂くと、流血は空の化け物の元へと登っていった。 しかしなぜかそのその流血は化け物を避け、化け物も拒否するような姿勢を取っていた。 「なぜだ!?なぜあの方はこの血に降臨されない!?黙示録の七天使を捧げようとしているのに!」 「あんたたち!いい加減になさい!馬鹿げた茶番劇はお終いよ!」 音楽室に入ってきたのは、瀕死のキリナさんだった。 「キリナ!なぜお前が……七人の天使の血が流れ命の火が消えぬ限り、あの方は降臨されない!」 四人がキリナさんに止めを刺そうとした時、巨大な化け物の触手が奥山さんを捕えた。 「な、なぜですか!私は、貴方の第一の使徒なのに……!」 奥山さんが殺されると、キリナさんは持っていた大火炎瓶に火を点け化け物に投げつけた。 そしてそれが爆発し辺りが火の海となった隙にキリナさんは僕らを解き、僕らは床の大穴に飛び込んで館から脱出した。
僕達三人は、四人の出演者と化け物ともども燃え盛る館を後にして森を歩いていた。 「あれって、あの闇の中で見たものって一体……」 「人間には、開けてはならない秘密の扉があるということさ」
END
209 :ザ・フィアー(the FEAR):2014/07/15(火) 13:09:52.52 ID:kMSHrjbS0 これでザ・フィアーは終わりです ちなみに進め方によっては最初の彩の下半身を見つけるところでドッキリになるバッドエンドなんかもあります あと丹が出演者たちを操っていたカラクリはかつてこの館で実験されていた『人に特殊な薬を飲ませさらに特定の周波を頭に流すと狂 暴になる』てな感じの研究であり館の随所にその名残を見ることができます さらにかつてこの館で撮影された特別番組のスタッフの中に丹の親族らしき人物の名前があるためそれを通じて丹はこの研究のこと を知ったと思われます
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