月の光~沈める鐘の殺人~

月の光~沈める鐘の殺人~
part35-472~476・486~489・492・503・506・512・515、part36-6~10

part54-424,439,460~468,492~498、part55-372~381


 

472 :月の光~沈める鐘の殺人~:2008/02/02(土) 20:14:57 ID:GUmaA1/60
『月の光~沈める鐘の殺人~』

・夜想曲の流れを引き継ぐ、赤川次郎原作のミステリー系サウンドノベル。
 主人公は、♂♀選択可で、世界史の教師(24歳・独身)。
 
・主人公は失恋をきっかけに、都心の高校を辞職して、山の中の完全寄宿制名門女子高【鐘園学院】に代用教員として赴任する。
 エロゲフラグにしか見えないが、そこは、死と謎の渦巻く場所だった。


マルチエンディングなので、各話ベストエンドで簡潔に書きます
記憶違いあったらすいません



473 :月の光~沈める鐘の殺人~:2008/02/02(土) 20:17:02 ID:GUmaA1/60
■プロローグ~月明かりの少女

登場人物

【中沢爽香】ヒロインキャラ。どこか影のある美少女。謎が多く、暇さえあれば学校の池をうろつく毎日。
展開によっては、後々わりとアグレッシブに好意を伝えてくれる。主人公が女でも。

【岡江克二】
学院長の息子。一言にまとめると、DQNボンボンニート。

あらすじ

秋の夕暮れ、主人公を乗せたバスが、燃える様な紅葉の坂を登っていく。
主人公は、今日から勤める「鐘園学院」へ初めて向かうところ。途中で、元恋人から携帯に着信アリ。
出ても無視してもよく、「アディオス!!」と叫びながら窓から投げ捨てようとするのも可。

そのうちに、山道の途中でもう終点だと降ろされてしまう。おまけに運転手から、あの学院で最近教師が殺されたらしい…と聞く。
暗くなっていく中、心細く坂道を登ると、岡江克二に会い、学園まで案内してもらう。ちなみに、女だと出会い頭にブン殴れる。

校門で克二に放置プレイされて、学院長邸を探す。すると、池から悲鳴と水音が。
急いで向かうと、暗く広い池で美少女が溺れていた。飛び込んで助けると、少女は、「中沢爽香」ここの生徒だと名乗る。

その時、重い鐘の音が響き渡る。爽香は「鐘が鳴っている…」と謎めいた口調で呟く。

人が駆けつけてくる気配に主人公が安心すると、爽香は逆に身を強張らせ、
「私がここにいたことを、誰にも言わないでください」と言いおいて走り去ってしまった。
一人ずぶぬれで残された主人公は、集まってきた人に、「一人で転んで池に落ちました」という情けないウソをつくはめになったのだった。



474 :月の光~沈める鐘の殺人~:2008/02/02(土) 22:20:32 ID:GUmaA1/60
■第一話 一巻『信じる心』

登場人物

【古谷公治(公子)】・パートナーキャラ。主人公と逆の性別になる。鐘園学院の国語教師。
年の近い主人公とすぐに打ち解け、いきなりPHSを売りつけようとする。少々変人だがよき相談相手。

【岡江多美子】鐘園学院学院長。亡き夫を継いだ二代目学院長らしい。上品な初老の婦人で、教育者としての人望も厚い。

【須崎美佐子】時折、学園の池を訪れる女性。そこで死んだ草壁先生のフィアンセ。


プロローグから引き続き、主人公がずぶぬれのまま校長宅でお風呂を貸してもらったところから始まる。
一人で池に落ちました、とウソをついて、程よく呆れられたところで、古谷を紹介される。
年も近いし、ここに慣れるまで面倒をみてくれるとのこと。
池にハマった時に携帯が壊れたと言うや否やいらないPHSを売りつけてくる。

寄宿舎の自分の部屋に案内してもらい、その日は終了。

赴任第一日目、古谷に学内を案内してもらい、色々情報ももらう。

・この学院のシンボルは、池のほとりの鐘楼だが、肝心の鐘がない。
 昔、盗もうとした奴がいて、それを見つけた前校長と泥棒がもみ合いになり、バランスを崩した前校長は、鐘もろとも池に落ちて亡くなったらしい。
 鐘と前校長は、今も池の底に沈んでいる。

・その鐘楼から、最近 草壁という男性教師が池に転落して亡くなった。警察は自殺と見ている様子だ。
 
・ここは修道院を前身に持つ名門女子高で、完全寄宿制である。
教師も同じ寄宿舎に住むので、皆家族の様に結託が固い。が、経営は赤字らしい。

などなど。


下駄箱を開けてみると、何と3通のラブレターが。
主人公が爽香を助けるところを目撃した生徒がいたそうで、新しい先生への期待も合わさって、
主人公を英雄化したウワサが広まっているらしい。

475 :月の光~沈める鐘の殺人~:2008/02/02(土) 22:35:22 ID:GUmaA1/60
なんとなくいい気分だったが、校長に呼び出されて怒られ、更にラブレターを書いた生徒達と面談してお断りするように言われる。
放課後、3人の少女に会うが、

3人ともグルで、ラブレターは嘘です。

という衝撃の告白を受ける。聞いてみると、
草壁先生の死以来、学院が重苦しいムードだったところに、新しい先生が来てしかも生徒を助けた!ということで
これはお祭り騒ぎにしてみんなで盛り上がっちゃおう!!とう為の工作だったらしい。

がっくり来る主人公だったが、最後の少女から気になる情報を入手。
警察に親戚がおり、草壁先生の事件について聞いたのだが、

・鐘楼は確かに池のほとりにあるが、意外と離れていて、転落した際 池に落ちるのは不可能。

・例えバウンドしたとしても、池にハマるのは不自然な距離。

・先生は明らかに高所から落ちており、即死レベルだったはず。肺からは池の水が検出された

以上の事から、警察内では、

「死体が歩いた」 

という噂が冗談まじりに囁かれているらしい…。

そして、生徒は皆、草壁先生は自殺なんかする人じゃないと主張する。

鐘楼が気になって池まで行き、草壁先生のフィアンセ、須崎美佐子に出会う。
美佐子は、先生は自殺なんてしない、あれは殺人なんです!と主張。勢いに負けて休日美佐子の家へ。
警察は、美佐子との不仲で草壁が自殺したという方針。
遺族が激怒して、美佐子はお葬式にも入れてもらえなかった。

痛ましい美佐子の姿に同情した主人公は、学院内部からの協力者として、事件に取り組むことを決意。
しかし、警察に行ってみたところ

・警察も自殺説の一枚岩ではない。殺人の方向も美佐子に伏せて調査中。
・美佐子は、過去に謎が多く、今も何を収入源にしているか不明。

と判明。そういえば、美佐子はスーパーでパートをしているといってた割に、豪華なマンションに住んでいた…。

476 :月の光~沈める鐘の殺人~:2008/02/02(土) 22:38:02 ID:GUmaA1/60
モヤモヤしたまま学院に帰り、鐘楼に登って考えていると、誰かに突き飛ばされて落っこちかける。
古谷に事件について相談すると

・学園敷地はある開発のエリアに引っかかっていて、売却話が出ている。
・ヤクザ絡みの不動産がしつこく地上げにくる。そいつらなら学園のイメージを下げる為に何でもやりそう。

という話に。二人で不動産屋を張ってみる。
すると、学院で見かけたことのある男が出てきた。怪しい!ということで、古谷に尾行してもらう。

そのまま見張っていると、
何と、美佐子が不動産屋へ入っていった。どういうこと?やっぱり美佐子はグルなのか?
主人公もこっそりとビルの中に入る。

そこで隠れて美佐子と幹部の話を盗み聞き

・美佐子は以前キャバ嬢で、ここの幹部の女だった。
・スキャンダル作りに草壁に近づき、惚れてしまい、幹部の元を去った。
・その腹いせと、学園イメージダウンを兼ねて、草壁を幹部らは殺した。

美佐子は問いただす為にここに来たが、逆に縛られてしまう。
主人公もノコノコ出てって縛られてしまう。
郊外の倉庫に連れてかれて、池の水を入れたドラム缶の中で溺死させ、鐘楼から落とす という草壁先生の時と同じトリックで殺されそうになる。

そこに、古谷が刑事さんを連れて駆けつける。
古谷から譲り受けたあのPHSの、GPS機能が、二人の命を救ったのだった。
警察は不動産屋の一部の社員を逮捕し、美佐子は晴れて恋人の墓前に立つことが出来たのだった。

◆大抵PHS貰い忘れたり 爽香が絡んだりして失敗する。
486 :月の光~沈める鐘の殺人~:2008/02/03(日) 17:20:46 ID:KKNxhakH0
第二話 

登場人物

【元恋人(小牧/迎)】
主人公の元カレ/元カノ。前の恋人とのもつれから主人公と気まずくなり破局。
でも、ヨリを戻したいと思っている。ちなみにグラフィックと名前は異性の主人公のものが使用される。

【成田&尾形】
名警部&それを尊敬する部下。主人公と草壁事件で知り合う。

【小島&内藤】
協力してくれる巡査さん。葉月中学校最寄の派出所に所属。どちらも元ラグビー部。



学院の前の紅葉坂には伝説がある。
沢山の紅葉が紅く色づく中、一枚だけ金色に輝く葉がある。
それを見つけて好きな人に贈れば、二人は永遠に幸せになれる。というもの。

というのが地元で有名になってしまい、バカップルが遊歩道から踏み越えて歩き回るので
紅葉の根が傷んでしまう。そこで、学院では、日曜朝に当番制で紅葉坂を見回っている。
一話から一週間、学院に慣れてきた主人公にも今週末当番が回ってくる。

怯えきった爽香が、主人公に相談がある と部屋を訪ねてくる。
変な手紙が送られてくるらしい。見てみると、明らかにストーカーからの脅迫状だった。

寄宿舎生活でいつもは安全だが、日曜は皆、町に出かけてしまう。
爽香は、紅葉当番で一人残らないといけないので不安らしい。
主人公が、自分も紅葉当番だと告げると、爽香は大喜びするだった。


紅葉当番当日、巡回メンバーは、克二、主人公、爽香、古谷の4名でペアに分かれる。
克二が不人気すぎるのか、古谷VS爽香の主人公争奪戦になる。
主人公が3人の中から指名することになる。爽香との約束を守る方がいいが、克二を選んでも面白。

爽香を選ぶと、爽香に
実は病気でダブっているので、皆より2歳上なこと、父が行方不明になり、今の父は継父なこと を打ち明けられる。

誰を選んでも、爽香は不審者に肩を切りつけられ、主人公は犯人を取り逃がす。
犯人を見失って爽香の元に戻ると、見覚えのある奴が爽香を介抱していた。
別れた元恋人だった…。


487 :月の光~沈める鐘の殺人~:2008/02/03(日) 17:26:09 ID:KKNxhakH0
警察に全員事情聴取される。待ち時間に元恋人が「やり直そう 迎えに来た」とキス要求。
してもしなくても目撃されて、爽香と気まずくなる。

その夜、部屋で眠れずにいる時、誰のことを考えるかが重要選択の一つ。

・古谷のこと   部屋に古谷が乗り込んできて酒盛りに。
・元恋人のこと  元恋人に電話して、留守電にメッセージを残す。
・爽香のこと   爽香が心細くて部屋に来る。規則違反だが、入れないとその夜爽香殺害。
         仲直りしたり 爽香が泣いちゃったりする。         
 
ベストは必ず古谷寄り というゲームなので、古谷を選ぶのが無難。

翌日、爽香に新しい手紙が届いた。
「あんなことしてごめんね でも君も悪いんだよ。
 仲直りしよう。放課後にボクらの思い出の学校においで」
とかいう内容。

爽香は主人公に真っ先に見せに来る。ここで警察に連絡しないと爽香殺害。
草壁事件で顔なじみになった成田&尾形刑事が、協力してくれることになる。

爽香に心当たりはないそうだが、通ってた葉月中学校に行くことに。
最寄の派出所から、マッチョなおまわりさん小島&内藤を貸し出してもらう。
二人とも、強豪ラグビー部のOBで、親友同士らしい。

葉月中学は改装中で、シートで覆われた校舎内はかなり暗い。
チームに分かれて、不審者を探すことになる。
色々な組み合わせとルートがあるが 一例は

校内を、主人公&爽香&尾形&内藤  小島&成田 に別れて捜索する。
怪しい部屋に、内藤巡査が調べに入ったきり戻らず、後を追った尾形刑事も戻らない。

爽香&主人公は、ひとまず安全なパトカーへ引き返そうとする。
そこに、成田警部とはぐれたらしい小島巡査が合流。
主人公が階段を見つけたが、何者かに突き飛ばされて転落。意識を失った。

主人公が目を覚ますとそこは病院だった。

・内藤&尾形が消えた部屋は底が抜けており、尾形は転落して気絶していたらしい。

・主人公を突き落としたストーカーは、拳銃を奪って小島巡査と爽香を拉致。
 小島巡査は虹ヶ沢まで車を運転させられ、そこで放り出された、今から帰還する と連絡があ った。

・内藤巡査は、意識回復して捜索を再開していたようだが、
 廊下で撃たれて亡くなっているのが発見された。

488 :月の光~沈める鐘の殺人~:2008/02/03(日) 17:31:12 ID:KKNxhakH0
爽香を連れ去られて、無力感に打ちひしがれる主人公、成田&尾形。
そこに、小島巡査が虹が沢から戻ってくる。

藁にもすがる思いで、頼み込んで写真資料を見せてもらう。
内藤の死体のホルスターの不自然さに気付けば、事件解決。

・内藤は正面から撃たれているが、ホルスターから銃を抜いていなかった。
 不審者がやってくるのが見えたはずなのに

・何故か? それは自分が撃たれると思っていなかったから

・尾形は部屋に入った直後に転落して失神。内藤の姿は見ていない。
 尾形を誘導して部屋に入れたとも取れる

よって、内藤は犯人の共犯である可能性が高い。

・不審者は本当にいたのか?いたとして、屈強な小島巡査からやすやすと拳銃を奪えるのか?
 主人公が突き飛ばされた時、後ろに居たのは、小島巡査と爽香。
 どちらかが突き飛ばしたのではないか?

小島と内藤は、グルで、刑事達を撒いて爽香を連れ去り、仲間割れして片方を殺したのでは?

ここまで推理した時、小島が突然、ナイフで自分の腹を刺し、自殺を図った。
小島のマンションから、無傷の爽香が発見され、無事に保護された。

小島は一命を取りとめ、自供した。
爽香は、中学校時代、交番前を通って通学していた。
毎朝、おはようございます と挨拶してくれる美少女に、内藤と小島はムラムラだった。
冗談半分に、フラグ立つんじゃねぇの?どっちがモノに出来るか勝負だぜ
とか言ってる内に、本気になってきてしまったが、爽香は地元を離れて進学し、姿を見せなくなった。

この前、帰省していた爽香を久しぶりに見かけた二人は、大人びて綺麗になった爽香を見て拉致計画を思い立つ。
爽香をストーキングしながら、地の利を活かした誘拐計画を練っていく。
中学校を舞台にすれば、最寄派出所で一番マッチョな二人が呼ばれることも計算してあった…。
爽香を手に入れた小島は、独占欲から内藤を射殺した。

ということで、事件は解決した。


489 :月の光~沈める鐘の殺人~:2008/02/03(日) 17:32:23 ID:KKNxhakH0
今まで立てたフラグによって

1巻『ひとつめの真相』退院して学院に戻ると、校門まで迎えに来てくれた古谷の頭に金色の葉が舞い落ちた。
           古谷はそれを主人公にくれた。これの意味を知ってる?と聞くとはぐらかされる。

3巻『忘れていた愛』 退院した主人公の元に、元恋人がやってくる
           もう一度やり直そう、という申し出を受け、主人公は辞職して都心に戻る。

5巻『院長との約束』 退院して学院に戻ると、校門には、病院を抜け出した爽香の姿が。
           爽香と主人公はお互いの気持ちを再確認するが、学院長が学内恋愛を厳禁している。
           爽香は、継父が経営する学校に転校することになる。主人公も引き抜き という形でそこに赴任する。
           (女主人公の場合、ガチレズの妹分と、はぐらかすお姉様 位の関係に留まる) 


◆3、5巻は、次の話に続かないのでバッドエンド扱い。

 

492 :ゲーム好き名無しさん:2008/02/03(日) 19:52:58 ID:iRbJTda3O
月の光乙です。
でも1巻とか3巻とか5巻とかがどういう意味なのかよくわからない。
各話がマルチエンディングで、そのエンディングごとに○巻ってついてるってこと?
なら、なぜ1・3・5巻だけ書いて2と4はとばすの?

 

503 :ゲーム好き名無しさん:2008/02/03(日) 20:47:34 ID:rVhZwEbP0
>>492
早い話がバッドエンドだから
書き始めに全部は書かないって言ってるしな。
2話は犯人が共犯なんだけど、進め方によって真犯人が変わる(内容は変わらない)
ちなみに2巻は真犯人が違うだけのエンド、4巻は爽香が死ぬバッドエンド。
エンディングリストは本棚の本として収録されているので○巻と書いてある。

一応書いておくと、月の光は続くエンディングを迎える事で次の話に進むタイプ

 第一話      第二話      第三話
END1(終)  |END1(終)  |END1(終)  |
END2(終)  |END2(続)→|END2(終)  |
END3(続)→|END3(終)  |END3(続)→|

 

506 :ゲーム好き名無しさん:2008/02/03(日) 21:25:14 ID:KKNxhakH0
>>492
説明不足でした(´・ω・`)
このシリーズは、辿り着いたエンディングを1巻と数えて本棚に集めてコンプリートしてくんだけど
各話に大体10巻くらいエンディングがあるんです

基本的に1巻がベストで、あとはグッド2冊に、あとは死んだり捕まったり
全部書くと死んでばっかだし めちゃくちゃ食うのでベストにしぼって書いてますが
2話だけ 幸せなエンドが他にあるので追加で書いときました。
512 :月の~沈める鐘の殺人~:2008/02/03(日) 22:50:15 ID:KKNxhakH0
第三話 一巻 『新たなる鐘の音』

登場人物

【高田百合】
副学院長。学院長の親友でもある。
お嬢様育ちでちょっとずれてるが、おおらかなおばさん。

【大井先生】
40半ばの社会の先生。院長に頭があがらない。
各話にちょい出してるが、池の周りをうろついたり、爽香を妙に気にしたりと挙動不審。

【狭山一夫】
酒びたりで無職のおっちゃん。学院売却話で不動産屋に協力してるらしい。
学院長の古い知り合い。


爽香のストーカー事件からしばらくたって、主人公はまったりした生活をおくっている。
午後に受け持ちの授業がなかったので、町に出かけてみることにした。
とりあえず、中華料理屋でごはんを食べることに。

店内は空いてたので、他の客の会話が聞こえてくる。

何となく聞いてると、何と鐘園学院のことを話しはじめた。池について話しているらしい。
そっと見てみると、ジャンパー姿の汚い中年男と、あの不動産屋の人間の二人。

まさか、また学院買収の件?と尾行してみるが、見失ってしまう。

学院長に報告すると、意外にも院長はジャンパー男に心当たりがあるらしいが、
狭山、という名前しかおしえてくれなかった。
翌日、院長、副院長と3人で町へ

買い物がしたい副院長をスーパーに残して、院長に連れられて狭山の家へ。
主人公を表に残して院長は狭山のアパートへ。

中々出てこないので、心配した主人公が中に入ってみると、狭山はうつぶせに血を流して倒れていて、
学院長が呆然としていた。

院長が、私じゃないの 警察には連絡したくない とゴネるので とりあえず副院長と合流する。
主人公は、こっそり院長を説得して、公衆電話から匿名で警察に通報した。
何も知らない副院長は、二人を甘味処に誘う。
そこで、生徒達にバッタリ会うが、副院長は気前よくみんなにオゴってくれた。

その時、副院長がレシートを落とす。拾うと 捨てといて と言われて、何となく財布に入れる。

515 :月の~沈める鐘の殺人~:2008/02/03(日) 22:52:57 ID:KKNxhakH0
学院に帰ると、クレーマーが来ている と克二が困り果てていた。
学院内に入り込んで、犬を散歩させていたところ、犬が池で溺死したらしい。
管理責任で学院を訴える!とクレーマーは3時間も克二にわめいているそうだ。

院長は対応に追われて、事件について話し合うことができなかった。

夕食後、サロンにあるTVで、狭山が殺害された、とニュースが流れた。
院長はそれを見て、何故か大ショックを受けたようで、フラフラと立ち去ってしまった…。
何故か院長は、狭山が死んだとは思っていなかったようだ。


翌日夕方、成田警部が学院を訪ねてきた。
よく考えると、主人公はストーカ事件の時に、指紋採取に協力していた。
なのに狭山宅に、ベタベタ指紋を残してきてしまった。
大失態…と事情を話し、とりあえず院長を探すことに。

夕食時なので食堂を覗いてみると、そこは何故かパーティー会場になっていた。
一体何の日だっけ?と皆に聞いて回るが 誰も知らないらしい。
こんなにごちそうを並べて、経営が苦しいのに大丈夫かな と心配する人もいるくらい。

そこへ、院長がやってきた。
何のお祝いですか?と聞く皆に 院長はほがらかに答えた。

「実はわたくし、再婚することにしましたの」

皆は祝福し、楽しい立食パーティーが始まった。
院長は、生徒達の笑顔をしばらくほほえんで見回っていたが、いつのまにかいなくなっていた。
主人公も、しばらくパーティーを楽しんでいたが、待ちくたびれた刑事さん達が来て、我に返る。

刑事さんたちを連れて、院長室に向かう途中、ふと嫌な予感が。そこに、


銃声が響き渡った…

 

6 :月の光~沈める鐘の殺人~3話途中から:2008/02/07(木) 17:02:15 ID:TfWK5vKy0
主人公達が院長室に駆けつけると、院長は、先代院長形見の銃で、頭を撃ちぬいていた。
あの言葉は、亡き夫の元へ逝く という意味だったのだ…。

院長は、自分が狭山を殺した という旨の遺書と、
学院を克二に譲り、存続していってほしい という遺書を残した。

刑事さんと事件について話してみると、気になる点があった。

・狭山は偽名で、何者か分からないこと
・遺体は仰向けになっていて、傷が浅いものと深いもの、二箇所あること

自分が見た時、狭山はうつぶせだった。 ということは、狭山はあの時まだ生きていたのでは?
そして、あとから来た何者かに改めて刺されたんだ。院長は犯人じゃない!
じゃあ、誰をかばっている?

という感じで、主人公は院長の無念を晴らすべく、調査を始める。


土曜日、爽香に謎々デートに誘われる。謎々を解いて、待ち合わせ場所を探し当てると、爽香は、驚くべきことを話してくれた。

学園の鐘の、悲しいあの話は 本当は逆。
鐘を盗もうとした泥棒が、先代院長に撃たれて、鐘もろとも池に沈んだ。
泥棒は今も鐘と一緒に、深い池に沈んでいる。存在を闇に葬られたまま…

その泥棒が、爽香の本当の父親だと。

爽香の治療費を稼ぐ為に、父はその話に乗った。
皮肉にも、父が死んで、美しい母はお金持ちの男性と再婚。今や爽香は健康で、名門校に通うお嬢様である。

病気が治って以来、爽香は水泳を習い続け、そして鐘園学院に入学。
全て、池に沈んだ父の骨を、ひとかけらでも拾ってあげたかったから。

主人公と出会ったあの時は、いつものようにこっそり潜っていたら、思ったより水が冷たくて足がつったそうな。


翌日、古谷からもデートに誘われて、高級料亭へ。
要するに、私(俺)だって実家は金持ちなのよーん ということらしい。

7 :月の光~沈める鐘の殺人~3話途中から:2008/02/07(木) 17:29:49 ID:TfWK5vKy0
爽香の告白を受けて、当然浮かび上がる疑問がある。
では、先代院長は どこに消えたのか?

主人公は、学院の古い卒業アルバムで、先代院長の写真を調べた。
そこに写っていたのは、死んだ狭山だった…。

警部もそこに目をつけ、更に掘り下げていた。
鐘みたいな重くて持ち運びにくいものを、いきなり外部から盗むはずがない。内部に協力者もしくは首謀者がいたはず。
それこそが、先代院長=狭山だったのでは?
院長が自殺に使った銃は、過去にもう一発発射されていた。

それは、爽香の父を撃った時に使用されたのではないか。

全てを確かめるため、池をさらう作業が決行された。
しかし、池には先客がいた。岡江克二と、測量業者だった。

聞けば、克二は、学院の所有権を相続したのをいいことに、廃校して土地を売ろうとしていた。
経営難の学院を切り盛りするなんてまっぴらだ ラクして大金を手に入れる という克二に
高田副院長が
お母さんの遺志をつごうと思わないの?!考え直して!と詰め寄る。
そんな副院長を、克二はうるさがって池へ突き落とした。

副院長は、院長代行の激務と、池の冷たさで心臓発作を起こして病院へ運ばれた。
警察が見積もりを中止させ、池の捜索が開始。

やがて、黒く汚れた鐘は見つかったが、爽香の父はついに発見されなかった。

副院長は快方に向かっているらしいが、依然学園の前途は暗い。
滅入っている主人公を励まそうと、古谷が外食に連れて行ってくれる。
支払いのときに、紙が落ちる。見てみるとレシートで

バンノウナイフ 3480円  の文字。

こんなの買ってないけど…と考えて思い当たる。これは、高田副院長の落としたレシートだと…
しかもこれは、副院長を置いていったスーパーのもの。もしかして、狭山を刺したのは…


8 :月の光~沈める鐘の殺人~3話途中から:2008/02/07(木) 17:33:10 ID:TfWK5vKy0
色々あって、スーパーから狭山宅への近道発見。
スーパーで、ベテラン店員にレシートを見せると、同じナイフを探してくれた。
それを持って警察に行き、その足で副院長に会いに病院へ。
しかし、副院長は失踪した後だった。

学院に戻り、副院長を探す。
主人公は図書室で副院長に遭遇。全てを話してもらった。

先代院長岡江正二=狭山は、救いようのない駄目男で、学院の金を使い込んで免職になった後、
鐘泥棒を思いつき、爽香の父をそそのかして夜の学校に忍び込んだ。
鐘楼の上で、奥さん(二代目院長)に発見され、奥さんは激昂して発砲。

弾は、鐘を支えていた爽香の父に当たり、その拍子に鐘は池の底へ。
院長は、学院の世間体か、真実を隠蔽。
夫の英雄的な死をでっちあげて、本人には偽名を使わせ、
学院近くのアパートに住まわせて定期的に金をやっていた。

そして、学園から遠ざけるだけで許された狭山は、再び、金儲けのダシに学園を狙ってきた。
激怒した副院長は、狭山宅に押しかけ、狭山を刺した。

真実を知った主人公は、致命傷を負わせた犯人は他にいる と副院長を説得 一緒に図書室を出ようとしたが
副院長が図書室に篭城。火を放ち、学園と心中を謀る。

幸い火はすぐに消し止められたが、副院長は再入院。克二は売却を進めている。

生徒達と主人公は、引き揚げられた鐘を懸命に磨いた。
かつてシンボルだった鐘が もう一度輝けば、学園もきっと再生すると思いたかった。

池の捜索は終わり、結局誰の遺体も発見されなかった。爽香は池のそばで落ち込んでいた。
そこに、大井先生がやってくる。
そして、打ち明け話を始めた。

撃たれた泥棒の傷は浅く、彼は死ななかった。院長達の手当てを受けて、回復した。
そして、犯罪者となった自分が生きていては、家族に逆に迷惑がかかる と決意。
そんな彼を、院長は全く別人として、新しい名前と職を与えてくれた。
鐘園学院社会科教師 大井俊治として…

大井先生は、爽香の父親だった。今はもう親子と名乗れない二人は、やっと再会を果たした。

9 :月の光~沈める鐘の殺人~3話途中から:2008/02/07(木) 17:38:01 ID:TfWK5vKy0
主人公は、改めて事件を総括して推理。
副院長は、時間的に、最初の傷を負わせただけ。では、結局狭山を殺したのは誰なのか?
この件で利益を得た奴を疑いたいところだが、克二にはクレーム処理のアリバイがある。

古谷に相談してみたところ、気になることを言い出した。
クレーマーにお茶を出したのは、古谷らしい。そして、お茶を出したのは、クレーマーが来た直後一回だけ。
以降は、克二に言われて、皆下がっていたらしい。
そして、響くクレーマーの声は皆聞いていたが、克二の声を聞いた者は居ないという。

はいはい仲間を使ったアリバイ作り。 ということで克二を追及。
ちょうど、警察も同じことを考えていたらしく、クレーマーの身元が割り出された。

克二は、アリバイを作ってアパートへ行ったが、
先客が居たので、庭から一部始終を見ていた。
自分にとって好都合な展開。副院長が残した凶器で、起き直った狭山にとどめを刺した、という感じらしい。

克二は逮捕され、理事会が学園売却を阻止。

生徒全員で磨いた鐘は、本来の輝きを取り戻した。
鐘楼に鐘は戻され、美しい音色が学院中に鳴り響いた。
新しい門出を祝福する、福音のように…

以下ゲームから抜粋

澄み切った青空に、鐘楼がまっすぐに伸びている。
その先には、金色の鐘が揺れていた。
幸せの鐘の音が響き渡る。
いつまでもいつまでも、それは紅葉の中で揺れていた。

10 :月の光~沈める鐘の殺人~3話途中から:2008/02/07(木) 18:11:51 ID:TfWK5vKy0
◆真沙子の肖像画がサロンに飾られている。
 閉館した野々宮図書館から寄贈されたもの?

この他に、本文に隠されたミステリーチップから飛べる七不思議編や
七不思議外伝『繭』、一年後の後日談になる完結編、パンダ編 等 おまけが沢山ついてきます。
本棚を埋めていくエンディング収集や、集合写真風登場人物集めなど、収集要素もたまりません!

肝心のトリック等がショボいですが、文章や背景の雰囲気が凄くよくて、おすすめです。
ネタバレしといて何ですが、サウンドノベル好きの方は、捨て値で売ってたら是非買ってみて下さい。

チームクレイズはもう復活しないんでしょうか…DS夜想曲買っちゃいそうです(´・ω・`)
では、長文失礼いたしました。



424 :ゲーム好き名無しさん:2010/12/22(水) 20:25:07 ID:tNzgWzpZ0
リクエストの『月の光』の「エピローグ」「あとがき」のついでに「七不思議」「完結編」「七不思議外伝」を補完しようと思ってるのですが問題点が2つ。

・リクエストはDS版なのですが、投稿するのはPS2版。
・「あとがき」は『夜想曲』『夜想曲2』と同じくプロデューサーの挨拶なので本編とは何の関係もない。

DS版は未プレイなんですけど、ストーリーに大きな違いはないと聞いたので気にせず投稿してもいいんでしょうか?

439 :ゲーム好き名無しさん:2010/12/23(木) 16:59:42 ID:AaTE0X/z0
>>424
PS2版であることを明記しとけば大丈夫
まぁ好きに書け
あとがきについてはストーリーに関係ないので割愛でも構わない(夜想曲がそうなってる)
何だったらWikiにある既出部分を書き直しても構わないぞ

460 :月の光~沈める鐘の殺人~:2010/12/27(月) 02:53:28 ID:HLS1JyWt0
>>424
アドバイスありがとうございます。
というわけで、早速投稿します。

以前投稿してくれた内容を考慮して、パートナーは古谷と表記します。


<七不思議について>
 『夜想曲2』のミステリーチップのようなもので、特定の箇所で△ボタンを押すと鐘園学院にまつわる七不思議を聞く事ができる。
 また7つのうち3つは話を聞いた後、主人公が実際にその話の怪異に遭遇する体験編がある。

461 :ゲーム好き名無しさん:2010/12/27(月) 02:56:50 ID:HLS1JyWt0
<七不思議その1:音楽室の怪>
(噂)
 今から20年前、夜中に音楽室からピアノの音が聞こえてくるという噂を聞いた教師が真偽を確かめるべく夜中に音楽室を訪れた。
 そこには、見慣れない制服を着た女生徒がピアノを弾いていた。
 教師は女生徒を注意したが、女生徒は教師の言葉が耳に入っていないのか、ピアノを弾き続けていた。
 何度注意しても全く耳を傾けようとしない教師は感情的になり、肩を掴んで力ずくでこちらに振り向かせた。
 すると……その女生徒はゴトリという音を立てて地面に倒れた。
 驚いた教師は女生徒を助け起こそうとした。
 その時見た女生徒の顔は……骸骨だった!
 骸骨は教師の手を握り返し、こう言った。

「弾かせて…、弾かせてぇ…」

(体験編)
 大塚千絵(ラブレターを出した3人の生徒のうちの1人)からこの話を聞いた主人公は翌日の放課後、学院を探検している際に音楽室の前を通りかかった。
 肝試しに音楽室の中に入ると、音楽室の幽霊と遭遇し気を失ってしまう。
 大井先生に助けられ自室に運ばれた主人公は、そこで幽霊の正体を聞かされた。
 20年前、その幽霊を目撃した教師は大井先生だった。
 大井先生は幽霊の事を独自で調べると、正体は戦時中に学院に在籍していた音楽部の部長だとわかり、見慣れない制服は当時の学院のものだった。
 ピアノを何よりも生きがいにしていたのだが、戦火が激しくなると学院の寮が閉鎖され、女生徒は疎開先へと落ち延びた。
 疎開先にはピアノがあるはずもなく、生きがいを奪われた女生徒はやがて体を壊し、「もう一度ピアノを弾きたい」と言い残して亡くなったという。

462 :月の光~沈める鐘の殺人~:2010/12/27(月) 03:01:17 ID:HLS1JyWt0
<七不思議その2:怨念のトイレ>
 数十年前、この学院に1人の女生徒がイジメの被害にあっていた。
 所持品を隠されたり、嫌がらせの手紙を送り付けられたり……陰湿な苛めは徐々にエスカレートしていった。
 冬のある日の放課後、女生徒がトイレに入って行くのを見たイジメっ子が、トイレの扉をモップの柄をつっかえ棒にして開かなくし、そしてドアの上から水をかけた。
 イジメっ子は女生徒はトイレに閉じ込められたまま帰っていった。
 残された女生徒は扉の上の隙間から脱出しようとするも、運動が苦手な女生徒は扉を乗り越える事ができず、真冬の校舎に一晩中ずぶ濡れのまま放置された。
 そして次の日……女生徒は凍死体で発見された。

 その女生徒の閉じ込めれていた一番奥の個室は現在、まるで何かを封印しているかのように使用禁止になっている。
 その個室のドアをコンコン、コンコン、コンコンと3回ノックすると……

「私を閉じ込めたのは、お前か!?」

 濡れた黒髪の少女が鬼の形相で出てくるというのだ!!

463 :月の光~沈める鐘の殺人~:2010/12/27(月) 03:06:10 ID:HLS1JyWt0
<七不思議その3:血を吐く校舎>
(噂)
 図書室の入り口の側の壁に奇妙なシミが存在する。

 この校舎に使われている石は江戸時代に囚人達が強制労働させられていた石切り場から切り出された石である。
 囚人達の人権が尊重されなかった時代、ちょっとでも看守に歯向かえば即死刑だった。
 死刑と言っても斬首はまだ良い方で、長時間石に打ちつけ苦しませた挙句に殺すという惨たらしいものもあったという。
 そんな囚人達の怨念がこもった血を吸い込んだ石が、この校舎に使われているというらしい。

(体験編)
 片平奈緒(ラブレターを出した3人の生徒のうちの1人)からその話を聞かされた後日、放課後に図書室で古谷が呼んでいると杉本先生から伝えられ、図書室に向かった。
 図書室に入ろうとした時、壁のシミが気になって目を向けると何かを打ちつけている音とうめき声が聞こえてきた。
 思わず壁に耳を当てる主人公だが、突如ヌルッとした感触がして顔を離す。

 主人公の顔は鮮血で真っ赤に染まっていた!

 パニックに陥った主人公はハンカチで何度も顔を拭うが、血は止まらない。
 片平の呼びかけて正気を取り戻すと、顔には何もついていなかった。
 ふらつきながらその場を去ろうとすると、片平が主人公の落としたハンカチを拾って手渡した。 

「結構、派手なハンカチですね」

 主人公の白いハンカチは、鮮血で真っ赤に染まっていた!

464 :月の光~沈める鐘の殺人~:2010/12/27(月) 03:12:38 ID:HLS1JyWt0
<七不思議その4:終わりのない廊下>
 この学院は元は修道院であり、その時にこんな事件があった。
 ある日、学院が大雨に見舞われた。
 激しい地滑りが起き、敷地内の小屋が巻き込まれた。
 その時、その小屋には1人のシスターがいた。
 地滑りの直後、小屋が土砂に半分埋まったままの状態で中からシスターが助けを求める声が聞こえていた。
 しかし、二次災害を恐れ誰も助けにいけなかった。
 そうしているうちに2度目の地滑りが起き、小屋は完全に土砂に押しつぶされ流されてしまった。
 シスターは遺体すら見つからなかったという。
 
 そしてこの話にまつわる怪談がある。
 神出鬼没の「開かずの扉」……突然学院内に現れては消えるという。
 そして、この扉を見つけて入った人がいるらしい。
 その人によると、扉を開けると終わりのない廊下につながっており、そこに入ると入口も消えてしまい、進んでも戻っても一本の廊下が延々と続くだけ。
 しばらくすると、小さな明かりがゆらゆらと揺れながら、こちらに近づいてくる。
 それはシスターの幽霊が持っている蜀台に乗った蝋燭の明かりである。
 シスターは声をかけない限り人がいる事に気付かず、近づいて来ても何もせず通り過ぎて行くだけらしい。
 もし声をかけると……

「どうして見捨てたの!」

465 :月の光~沈める鐘の殺人~:2010/12/27(月) 03:19:55 ID:HLS1JyWt0
<七不思議その5:いじめられた転校生>
 30年ほど前、何をやっても不器用な生徒がこの学院に転校してきた。
 やがてよそ者扱いされ、いじめの対象になってしまった。
 そんな転校生をかばってくれたのは、転校生とは真逆のイメージの学級委員長だった。
 委員長がかばってくれたおかげでいじめられる事は少なくなったが、転校生は困った時は委員長が助けてくれると、委員長の救いに依存し続けるようになった。
 自分が強くならなければいじめが止む事はない……転校生はその事に気付いていなかった。 
 転校生を心配した委員長は2つの校舎を繋いでいる3階の屋外の渡り廊下、空中回廊に転校生を呼び出してその事を指摘した。
 しかし転校生はいくら言っても理解してくれなかった。
 さすがの委員長も痺れを切らし始め、転校生もまた委員長に不満を抱き始める。
 互いの不和が出始めていたその時、いじめっ子達が回廊の両端の扉が閉め、2人を閉じ込められた。
 いじめっ子達は「委員長だけなら出してもいい」と言った。
 普段なら怒鳴り返す委員長も、この時ばかりは迷った。
 委員長が転校生の方を見ると、転校生はいつものように助けを期待しているような目で委員長を見ていた。
 その時、委員長の心に今までにない怒りが湧き上がり、ついに転校生を見限って入れてもらうよう頼んだ。
 意外な展開にさすがのいじめっ子達も一時は驚いたが、すぐに大笑いして委員長だけを中に入れて、転校生を空中回廊に残したまま校舎を去った。
 校舎の外からいじめっ子達が容赦なく罵声を浴びせるが、委員長はもうそれを止めようとはしなかった。

 次の瞬間、転校生は空中回廊から飛び降りた!

 空中回廊の下は花壇で、当時は先端が槍のような柵が立っていた。
 転校生は柵に体を貫かれ串刺しになった。
 それでも意識があった転校生は、集まってきた委員長といじめっ子達を睨むと、こう言った……

「……もう、いじめない?」

 それ以来、あの空中回廊には転校生の霊が出るという。

466 :月の光~沈める鐘の殺人~:2010/12/27(月) 03:25:55 ID:HLS1JyWt0
<七不思議その6:走る! 人体模型>
 科学を担当している杉本先生に狭山が殺害された日の克二のアリバイを聞いた。
 杉本先生と話をしている最中に主人公は、ふとあることに気付いた。

 教壇の横にあったはずの人体模型が、いつの間にか奥の方に移動している?

 その事に気付いた杉本先生は、人体模型がひとりでに動いたのではないかと言った。
 怯える主人公に杉本先生は鍾園学院の七不思議の1つ、夜中に走る人体模型の話をした。

 この人体模型は午前0時なると、ひとりでに動き出して学校を一周するらしい。

 肌寒いある日、真夜中に女生徒が忘れ物を取りに校舎に入った。
 教室で忘れ物を回収した女生徒は、すぐに教室を出て廊下を歩き出した。
 真夜中の校舎に恐怖を感じながら足を進めると、理科室の前に差しかかった。
 頭の中をよぎる人体模型の噂。
 時間は午前0時を過ぎていた。
 恐怖心と同時に好奇心もあった女生徒は、何気なく理科室の扉を開けて中を覗いてみた。

 そこには……人体模型はいつも通りの場所にあった。

 ため息をついた女生徒は扉を閉めて、再び廊下を歩き始めた。
 そして理科室を通り過ぎたその時……背後で扉の開く音がした!
 女生徒が反射的に振り向くと……

 何もなく扉も閉まったままだった。

 空耳なのだろうか?
 女生徒は先へ急ごうとした。

 そいつは、目の前に立っていた!!

 そして女生徒は消息不明になったという。
 消息不明になったのに話だけは伝わっている事に薄ら寒さを感じた主人公はただ噂なのだと強がり、人体模型が動いたのは気のせいだと必死に思い込もうとした。
 しかし杉本先生は笑いながら言う。

「科学にどっぷりつかっている人の言葉だからですよ。現代人は本やら何やらで物の本質をわかっている振りをしている。本当は分かってないのにね」

467 :月の光~沈める鐘の殺人~:2010/12/27(月) 03:30:45 ID:HLS1JyWt0
<七不思議その7:血まみれの女教師>
(噂)
 30年ほど前、1人の女教師がこの学院にやって来た。
 若くてスタイルがよく美人、優しくて頭もいい、まさに非の打ち所がない才色兼備の女性で、生徒教師問わず人気を集めた。
 やがて同じように人気のある男性教師と婚約。
 だが、その男性教師は学年主任の女性と婚約関係だった。
 男性教師は自分の心変わりを学年主任に伝えたが、学年主任は納得しなかった。
 学年主任は同じ女として何もかも持っている女教師を妬ましく思った。

 ある日、遅くまで仕事をしていた女教師を学年主任は鐘楼の下に呼び寄せた。
 時間は午後11時。
 女教師は時間通りに鐘楼の下で学年主任を待ったが、約束の時間から30分経っても姿を現さない。
 しかし、学年主任はすでにその場所に来ており、鐘楼の上で女教師を見下ろしながら迷っていた。
 女教師がこのまま去るのを待つか、それとも……ここから岩を落として殺すかを!
 しばらく迷った末に、学年主任は止める事にした。
(人殺しだなんて……自分がどうかしていた)
 そう思って立ち上がり鐘楼を降りようとしたその時、痺れを切らした女教師は学園主任に愚痴を吐いた。
「なによ、あのブス主任! 人のことをバカにしてるわ!」
 その言葉を聞いた学年主任の自我は吹き飛んだ。
「醜いのは、あなたも同じよ…!」
 学年主任は女教師の頭上に岩を落とし、岩は女教師の頭に直撃した。
 致命傷を避けたものの頭からおびただしい血が流れる。
 女教師は事態を察知し、血だらけになりながらも逃げ出した。
 その後を追う学年主任。
 女教師はサロンに逃げ込んで隠れてやり過ごすと、サロンにあった公衆電話から男性教師に助けを求めた。
 しかし、その途中で学年主任に見つかり殺されてしまった。

 それ以降、夜中の12時にサロンで電話をかける血まみれの女教師の霊が現れるらしい。

468 :月の光~沈める鐘の殺人~:2010/12/27(月) 03:33:16 ID:HLS1JyWt0
(体験編)
 中沢爽香からその話を聞かされた後日、岡江院長の葬式の日の夜、主人公は部屋で事件について考えるも一向に頭が冴えず、気分転換に寮から出て散歩した。
 その時、サロンから明かりが漏れているのを目撃する。
 中を覗くが誰もいない。
 サロンの電気を消して去ろうとした時、ふと自分の記憶を疑った。

 さっき電気を消した瞬間、サロンの奥に……白い人影を見たような。
 
 爽香の話を思い出し、おそるおそるサロンの中を覗いてみると……公衆電話の前に血まみれの女性が立っていた!

 主人公は一目散に自分の部屋に逃げ帰る。
 呼吸を整え必死で自分を落ち着かせようとした時、部屋の電話が鳴り出した。
 主人公は重い腰を上げて、受話器を取った。

『どうして逃げたの!』


 翌日、主人公は高田事務長に昨日の出来事を話し、祈祷師を呼んでサロンのお祓いをしてもらった。
 その時に高田事務長から女教師が殺された事件は実際にあった事だと聞かされる。

 その後、女教師の幽霊がサロンに現れることはなくなった。
 女教師を殺した学年主任は、今どこにいるかは不明だという……。

492 :月の光~沈める鐘の殺人~:2011/01/03(月) 01:40:03 ID:1PkT2an80
■完結編

登場人物

【北原琴美】
 鍾園学院の1年生。
 主人公の受け持つクラスの生徒。
 霊感が強い。

【杉本先生】
 理科担当の教諭。
 いつもクールな視点で物事を理論的に考えている。
 主人公に何かと力になってくれる人。



 鐘楼から悲鳴が響く…。

 買い物から戻ってきた主人公は、古谷から主人公のクラスの北原琴美が鐘楼から転落しそうになった事を聞かされる。
 主人公と古谷は事情を聞くために琴美の部屋に向かった。

 あの一連の事件から1年の月日が流れた……。
 主人公は変わらず学院に勤めており、今年から担任のクラスを持った。
 岡江克二は岡江正二殺害で起訴され、裁判のために拘留中。
 中沢爽香は卒業し、1人暮らしをしながら都内の大学に通っている。
 高田事務長は自殺した岡江院長の後を継ぎ、理事会の満場一致の決議で今年の春に院長に就任。
 一連の事件のせいで今年の鍾園学院の受験者数は激減したが、それでも卒業生達の働きかけもあって、なんとか定員数にまでこぎ着けた。
 その後は何事もなく平穏な月日が流れ、再び紅葉の季節を迎えることになったのだが……
 最近になって鐘楼から転落しそうになる生徒が増えていた。

 琴美をサロンに呼び寄せ事情を聞くと、鐘楼に上がって景色を眺めていると転落しそうになったと言うのだ。
 幸い擦り傷だけですんだ。
 主人公は青ざめながら事情を説明する琴美を見て不審に思った。
 その時、1年前に草壁先生の事件を調べるために鐘楼に上ったとき、誰かに突き落とされそうになった事を思い出した。
 琴美に誰かに突き落とされそうになったのかと聞いてみると、琴美は驚いてその通りだと答える。
 鐘楼に上った直後異様な雰囲気を感じ、そして誰かに背中を押されたと言うのだ。
 琴美は霊感が強いことで生徒の間では有名であった。

493 :月の光~沈める鐘の殺人~:2011/01/03(月) 01:42:48 ID:1PkT2an80
 事情を聞いた後、古谷と相談し、鐘楼を管理している高田院長に鐘楼の閉鎖案を直談判する事にした。
 院長の部屋に向かう途中、古谷は夜空に浮かぶ月を見上げながら言った。
 月には不思議な力がある。
 月は太陽の光を反射して輝いている。
 自分の力で光る事ができないので、その背中は真っ黒。
 その部分を見せないために、自分達に光る部分だけを見せて回っている。
 闇の象徴たる月には、様々な迷信がある。
 月夜の晩には犯罪が多いとか、死んだ魂が蘇るとか……。
 古谷は最近、月に対しそう感じるようになったという。
 その時、主人公は密かに思い出した。
 1年前、この学院に初めて訪れた日、池で溺れていた爽香を助けた直後に響いてきた鐘の音。
 あの時、鐘楼の鐘は池の底に沈んでいたはずなのに。
 そして、その時も夜空には輝くような月が昇っていた……。
 
 院長室に来た主人公と古谷は、さっそく鐘楼の閉鎖を院長に訴えた。
 しかし高田院長は鐘楼からの景色は学院の名物で今の生徒達にも見てほしいと決断を渋る。
 そして、15年ほど前にも主人公と同じように鐘楼の閉鎖を訴えた先生がいたと聞かされる。
 主人公が強く訴えた結果、高田院長はしばらく鐘楼への立ち入りを禁止する措置を取る事にした。
 また主人公には転落する人が増えている原因を探ってほしいと頼まれる。
 
 次の日、学院内は琴美の転落未遂の話で持ちきりだった。
 幽霊に押されて鐘楼から落ちそうになったという噂が一斉に広がったのである。
 主人公は事務員の桐島一枝から噂に尾ひれが付き「池に河童がいる」という話まで伝わっていると聞かされる。
 これ以上噂が広がる前に何とかしなければならないが、どうやって調べればいいのか見当がつかない。
 こういう時は理論的な人に相談するのに限る。
 
 主人公は理科室を訪ね、杉本先生に相談した。
 幽霊については完全に否定しなかったが、鐘楼の事故は科学的に説明がつくと言う。
 そして鐘楼をじっくりゆっくり調べれば答えが見えてくるだろうとアドバイスした。
 科学の先生だけあって説得力のある言葉に安心する主人公。
 しかし、杉本先生はわざわざそんな事をするよりも鐘楼を閉鎖した方が早いと力をこめて言った。
 というのも、15、6年前に鐘楼で誰かが転落して死亡した事故があったというのだ。
 主人公は杉本先生に礼を言って、鐘楼に行って見る事にした。

494 :月の光~沈める鐘の殺人~:2011/01/03(月) 01:46:34 ID:1PkT2an80
 鐘楼を下から眺めながら主人公は転落の原因について考えてみた。

  1.物理的原因(突風が吹いた、足元が崩れた、階段を上がった疲労によるめまい等)
  2.心理的原因(高所恐怖症による立ちくらみ等)
  3.霊的原因(幽霊に押された等)

 主人公は物理的要因を主眼に置いて調べる事にした。
 鐘楼に上り景色や足場等を調べてみるが、これといって不審なところは見当たらない。
 これでは誰かが押さない限り落ちそうになるなんて事はないのかもしれない。
 草壁先生の場合は坂本本人かその仲間の仕業で間違いないだろうし、主人公を突き飛ばしたのも多分そいつらの仕業だろう。
 だが他の生徒は?
 坂本やその仲間は今も拘置所の中だし、仮に他に仲間がいたとしても1年前と同じ手を使うだろうか?
 そもそも突き落とされそうになったという前提で考えていいのだろうか?
 行き詰った主人公は一度鐘楼から降りようとする。
 その時、主人公は突然転びそうになった。
 慌ててバランスを取ってこらえたものの、先程の感覚に何らかの違和感を覚えた。
 そよ風が通り過ぎ、風を受けた紅葉が一瞬同じ方向に動いたように見えた。
 あたかも大きな1つの物体が目の前を移動したかのように。
 主人公の頭の中に1つの言葉が浮かんだ。

『錯覚』

 だまし絵のように、人の目は惑わされやすい事で有名だ。
 先程見た光景も錯覚によるものだとしたら。
 その錯覚を見たことで、めまいのような感覚が起きバランスを崩した。
 柵から落ちてしまうほどではなかったが、人によってはどうだろう?

 主人公は再び杉本先生を訪ねて先程の事を話すと、錯覚について教えてくれた。
 錯覚、つまりは『錯視』。
 人間はかなりの部分を視覚に頼っている。
 逆に言えばそれだけ目に見えるものの影響を受けやすいということだ。
 そういった現象全般を『空間認知』と呼ぶらしい。
 杉本先生はいい線をついていると励まされた。
 だが、主人公が鐘楼に上った事についてはあまりいい顔をしてくれなかった。

495 :月の光~沈める鐘の殺人~:2011/01/03(月) 01:51:50 ID:1PkT2an80
 主人公は図書室で錯覚について調べる事にした。
 1年前の火事で本がほとんど燃えてしまったが、蔵書は新しく買い足したり、近くの図書館や一般の人からの寄付のおかげですっかり元通りになっていた。
 主人公は、『錯覚』『空間認知』『知覚』関連の本を一通り読んでみた。
 人間が『錯覚』を起こす原因はいろいろな説がある。
 つまり具体的な理由は分かっておらず、どれも決定的とはいえない。
 主人公は『空間認知』の本を手に取って読んでみた。

 そこには1つの写真が載っていた。
 斜めに立てられた部屋……というより、普通に建てた部屋を微妙に傾斜している場所にそのまま置いたという感じだ。
 はたから見れば当然、置いてあるテーブルも家具も全て斜めに見える。
 写真には、その部屋で転んでいる人の姿が写っていた。
 普通、床は地面と並行であるという認識の元に人は暮らしている。
 だからこのような場所でも人は無意識に部屋と同じ角度になろうとする。
 しかし自分ではまっすぐ立っているつもりなのに、実際には床が斜めになっているため写真の人は転んでいるのだ。
 忍者屋敷のようなアトラクションでこのような部屋を見かけた事がある。
 見ているものとはものと実際の状況が違う。
 それが『錯覚』というものだ。
 
 これを見た主人公はピンと来た。

 数日後、主人公はかつて克二が学院を売り払うために呼び寄せた測量士達を再び呼び寄せ、鐘楼を測量してもらった。
 測量の結果、鐘楼がわずかに池の方に傾いている事が判明した。
 
 高田院長にこれまで調べた事を報告した。
 鐘楼は池に傾いているのだが、周りの景色のせいで見た目にはわかりにくくなっている。
 景色を見ていると錯覚を起こし、そして感覚を失ってバランスを崩す。
 これが転落の原因だと主人公は結論付けた。

496 :月の光~沈める鐘の殺人~:2011/01/03(月) 01:54:28 ID:1PkT2an80
 主人公は高田院長の要請で、朝礼の場でこの事を皆に報告した。
 転落の原因が科学的に解明された事で生徒も教師も安心し、鐘楼の幽霊騒ぎは急速に収まっていった。

 朝礼の後、琴美が廊下で話しかけてきた。
 琴美も主人公の説明に納得し、安心していつもの日常へと戻って行った。
 
 それからは何事もないまま平穏な毎日が続き、季節は紅葉が散る日へと移った。
 
 そんなある日の夜、琴美が血相を変えて主人公の部屋を訪ねてきた。
 琴美のルームメイトの新藤水絵と高見沢美紀が、琴美の静止を聞かずに鐘楼へ肝試しに行ったというのだ。
 主人公と琴美は急いで鐘楼に向かうと、2人が池の前にいた。
 主人公が厳重に注意すると、2人は素直に謝る。
 どこまで反省しているのかは疑問だったが、とりあえず何事もなく安心する。
 その時、鐘楼から声がした。
 見ると、柵から新藤の親友の水谷佐和子が身を乗り出して手を振っていた。
 佐和子も肝試しに加わって、水絵達より先に鐘楼へと上っていたのだ。
 主人公はその場から佐和子に注意し、すぐに鐘楼から降りるように大声で言った。
 佐和子は残念そうに返事をし、鐘楼を降りようとした。
 改めて2人を注意しようとしたその時、鐘楼から悲鳴が上がる。
 見ると、佐和子は必死に柵にしがみつき、今にも落ちそうになっている。
 主人公は急いで鐘楼を駆け上がった。
 頂上にたどり着くと、佐和子は何とか自力で這い上がり床にへたり込んでいた。
 佐和子は震えながら口を開く。

「私、押されました……。誰かに押されました…」

 主人公は再び高田院長に抗議した。
 いくら原因を見つけても、興味本位で鐘楼に上がる生徒は後を絶たない。
 もはや立入禁止ではなく本格的に閉鎖する必要がある。
 しかし、それでも高田院長は学生時代の思い出と院長としての立場を秤にかけて閉鎖案を渋っていた。
 結局、主人公が詰め寄っても、少しだけ考えさせて欲しいと返すだけだった。

497 :月の光~沈める鐘の殺人~:2011/01/03(月) 01:57:03 ID:1PkT2an80
 主人公の部屋に古谷が乗り込んできて、ビールを飲みながら高田院長への愚痴を吐く。
 結局、事態は振り出しに戻ってしまった。
 古谷は「もう一度調べたら?」と軽く言う。
 しかし錯覚の事だって杉本先生のアドバイスを受けて、ようやく突き止めたのだ。
 これからまた新しい原因を調べるとなると大変な事である。
 古谷の酒は進み、すでに呂律が回っておらず、主人公の話もろくに聞かない有様だった。
 主人公は古谷を部屋から追い出すと、古谷は大井先生と飲むために部屋を出て行こうとする。
 部屋を出ようとした時、パートナーは「さっき誰のアドバイスで鐘楼を調べたと言った」と聞いてきた。
 主人公は杉本先生のアドバイスで調べたと言うと……

「誰、それ? どこの先生?」

 古谷の言葉の意味が分からず主人公は理科の先生と答えると、古谷はこの学院の理科の先生は小泉先生だろと言い残して部屋を出て行った。

 古谷は何を言っているのだろう? 
 確かにこの学院には小泉先生という人がおり、理科の担当をしている。
 しかし理科の担当はもう1人、杉本先生がいるはず……。
 
 主人公は部屋を出て、今言った古谷の言葉の意味を誰かに聞いて確認するために校舎に向かった。
 サロンに行くと、一枝がテレビを見ていた。
 すぐに一枝に杉本先生の事を聞こうとするも、慌てていたため杉本先生の名を何度も連呼するだけだった。
 一枝は「そんなに杉本先生、杉本先生と何度も言わなくてもわかりますよ」と返した。
 その言葉を聞いて、主人公は一枝が杉本先生の事を知っていると思いホッとした。
 
「で、誰ですか、それ?」
 
 主人公の期待はもろくも崩れ去った。

 いない?
 杉本先生なんていない?

498 :月の光~沈める鐘の殺人~:2011/01/03(月) 01:59:06 ID:1PkT2an80
 主人公は再び誰かに確認を取るために校舎を徘徊した。
 丁度その時、古谷の部屋に向かう途中の大井先生と遭遇する。
 さっそく、大井先生に杉本先生の事を聞いてみると……

「知ってますよ」

 大井先生はそう返した。
 それを聞いた主人公の肩はずっと楽になり、安堵のため息をついた。
 古谷と一枝は杉本先生を知らないなんて、何を言っていたのだろう。
 
「無理もありませんよ。亡くなりましたからね、15年程前に」

 大井先生はそう言うと、古谷の部屋に行くために去っていった。
 主人公は、その言葉を聞いて目の前が真っ暗になった。

 亡くなった?
 杉本先生が15年前に?
 主人公は15年前と聞いて、今までに聞いた話を思い出した。

 15年ほど前にも、主人公と同じように鐘楼の閉鎖を訴えた先生がいた。
 15、6年前に鐘楼で誰かが転落して死亡した事故があった。

 主人公は図書室に行き、16年前の卒業アルバムを引っ張り出して開いた。
 そして、冒頭の教職員の集合写真の左上の枠の中に見慣れた顔が写っていた……


杉本結貴
理科担当

享年38歳



to the eighth wonder…



「PAST」 完

372 :月の光:2011/02/28(月) 02:43:21.06 ID:14ePsGp10
かなり間が空いてしまいましたが、七不思議外伝とエピローグを投稿します。

373 :月の光~沈める鐘の殺人~:2011/02/28(月) 02:47:33.82 ID:14ePsGp10
■七不思議外伝


 鍾園学院に伝わる七不思議……

  ・音楽室のピアノの怪
  ・入ってはいけない禁断のトイレ
  ・神出鬼没の開かずの扉
  ・血を吐く校舎
  ・空中回廊の女生徒
  ・真夜中に走る人体模型
  ・電話口に立つ、血まみれの女教師

 だが、最近になって新たな怪談が囁かれるようになった…
 
  ・学院を徘徊する男性の幽霊


 主人公は高田院長に杉本先生の事を話した。
 半信半疑の高田院長だったが、やがて杉本先生について話し始めた。

 杉本先生は同僚の先生達からの信頼も厚く、奥さんが死別した後、男手一つで娘を育てていた立派な先生だった。
 16年前、杉本先生はその娘を学院に連れてきた。
 ところが杉本先生が目を離した隙にその娘は鐘楼まで行き、そこで遊んでいた時に誤って転落し、死んでしまった。
 それから杉本先生は岡江院長に鐘楼の閉鎖を訴えたが、今の高田院長同様、数ヶ月の立入禁止の措置はとらたものの閉鎖案は却下された。
 生徒が落ちた訳ではないし、杉本先生の不注意もあったからというのが理由だった。
 そして紅葉の散る今ぐらいの時期に杉本先生は失意のうちに学院を去っていき、その後まもなく娘の後を追うように心労でこの世を去ったのだった……。
 
 杉本先生は学院を恨んで現れたのか?
 転落騒ぎも杉本先生の仕業なのか?
 そして、なぜ自分にだけ杉本先生が見えたのだろうか?

 部屋で古谷と話し合うと、最近囁かれるようになった8つ目の怪談……男性の幽霊の話題になる。
 古谷によると、廊下の曲がり角をふっと横切るらしく、昼間でも目撃する事があるらしい。
 そして、この噂が囁かれたのは去年の主人公が赴任した後からだという。
 その時、ドアをノックする音が聞こえた。
 主人公がドアを開けると……そこには誰もいなかった。

374 :月の光~沈める鐘の殺人~:2011/02/28(月) 02:50:43.91 ID:14ePsGp10
 翌日、佐和子の一件が発端となり、学院は鐘楼の幽霊話で持ちきりだった。
 その日の放課後、主人公は理科室を訪ねた。
 思い起こせば、理科室に入るといつも杉本先生が出迎えてくれた。
 だが、そこには杉本先生はいなかった。
(あなたが転落騒動の原因なのですか?)
 心の中で問いかけるも、答える者は当然いない。
 ため息をついて理科室を出ようとしたその時、

「あなたは、カッジ?」

 突然、背後から声が聞こえた。
 振り向くと、そこには見覚えのある少女が立っていた。
 1年前、この学院に初めて来た時に鍾園学院前行きのバスの中で見かけた少女だ。
 主人公はカッジじゃないと答えると、少女は主人公だと理解するとその場から走り出した。
 慌てて追いかける主人公だが、少女は「カッジが来ちゃう」「カッジから猫を守らなきゃ」と言いながら姿を消してしまった。
 
 鐘楼を眺める主人公と古谷。
 果たして本当に杉本先生がこの騒ぎを引き起こしたのか?
 主人公も古谷も写真で見た杉本先生の印象から、とても信じられなかった。
 古谷は先に校舎に戻ろうとするが、その前にこの前借りた金を返すと言って100円を渡した。
 一昨日ジュースを買おうとしたら小銭がなかったのでその場にいた主人公に借りたと言うのだが、主人公には身に覚えがなかった。
 古谷は100円を返すと校舎に戻って行く。
 その時、午後5時を告げるチャイムが鳴り出した…。

375 :月の光~沈める鐘の殺人~:2011/02/28(月) 02:52:33.50 ID:14ePsGp10
 主人公は中間テストの採点に追われ、夜中遅くまで職員室に残っていた。
 夜中の10時にようやく終わったが、すでに職員室には誰も残っていなかった。
 職員室の戸締りをし、廊下を歩く。
 主人公の足音が冷たい廊下に反響している。
 夜の学校は想像以上に不気味だ。
 昼間は黄色い声で賑わっていても、ほんの数時間で廃墟のようになる。
 人の暖かさが決して根付かないのが学校というものだ。
 感受性豊かな子供たちはそんな雰囲気を肌で感じ取る。
 学校の怪談というのも、そう言った恐怖の心から生まれているのだろう。
 ……。
 ……。
 ……。
 主人公は後ろを振り向いた。
 だが、そこには誰もいない。
 気のせいだろうか?
 誰かが自分の足音に合わせて付いて来ている気配がしたのだが……。
 主人公は再び歩き始める。
 ……。
 ……。
 ……。
 主人公は再び振り向いた。
 だが、やはり誰もいない。
 主人公は再び歩き始めようとすると、そこには……大井先生が立っていた。
 驚いた主人公は悲鳴を上げ、大井先生も悲鳴を上げた主人公に驚く。
 答案用紙を忘れたので取りに来たとの事だ。
 職員室の鍵を渡すと、大井先生は主人公を気遣いながら職員室へと向かっていった。

 部屋に戻った主人公はベッドに突っ伏した。
 この学院には不思議な事が多すぎる。
 去年の頃は醍醐不動産が起こしたものと思っていたのだが、最近それだけではないように思えてきた。
 目に見えず漂っているようなものがある。
 『死の臭い』……言葉にするとそんな感じだ。

376 :月の光~沈める鐘の殺人~:2011/02/28(月) 02:55:44.79 ID:14ePsGp10
 翌日、主人公は鍾園学院について調べてみる事にした。 
 主人公がわかっている事は、ここは以前修道院だった事だけである。
 鐘楼の周りをうろつき裏手を進んでみると、木に隠れるようにして広がっている瓦礫の山を見つけた。
 建物が崩れ去った後のようだが…。
 屈んで調べようとすると、鐘楼の方から声がした。
 鐘楼に行くと、池の前にあの少女が叫んでいた。
 少女は前に会った時と同じように、カッジという言葉を何度も叫んでいた。
 そして「猫が危ない」と言って、鐘楼を上っていった。
 主人公は慌てて少女を追いかけ、鐘楼を上った。
「『カッジ』が来ちゃう!」
 少女は興奮しながらその言葉を繰り返し、大声を上げながら柵に向かって駆け出した。
 主人公は反射的に少女の方に手を伸ばした。
 その瞬間、少女の姿が消えた。
 主人公の勢いは止まらず鐘楼から落ちそうになるが、間一髪誰かに体を引き戻される。
 優しい声が後ろから聞こえてきた。
 振り向くと、杉本先生と少女が立っていた。
 少女は杉本先生の足にすがるようにして顔をうずめている。
 杉本先生は静かに語り始めた。
 
 この少女の名前は繭と言い、16年前に鐘楼から転落して亡くなった杉本先生の娘だった。
 16年前、学院に繭を連れ来た時、繭が可愛がっていた野良猫を当時小学生の岡江克二こと『カッジ』が鐘楼から落とそうとした。
 それを止めようとした繭は鐘楼から転落した。
 克二は何事もなかったかのように黙っていた。
 杉本先生も当時は事故だと思っていたが、幽霊となった繭とこうして会った事で真実を知ることができた。
 繭は幽霊となってから鐘楼に来ると我を忘れて、いないはずの克二を止めようとするのだ。
 琴美や佐和子を始めとした最近の転落未遂騒ぎ、そして去年主人公を押したのも繭だった。
 草壁先生だけは例外で、あれは坂本の仕業だという。

 杉本先生は克二の復讐のために幽霊となって学院に現れたのだが、殺人事件を起こし逮捕された克二を現状を見て、悪意を持ったまま人間は生きられないと悟り、復讐の念は消え失せた。
 しかし繭がここから離れない限り、成仏する事はできない。
 何度もお母さんのところに行こうと説得しても、繭は「お父さんは嘘つきだもん」と言って離れようとしない。
 妻が亡くなった時、杉本先生は繭に「また会えるから」と言ってしまい、結局生きているうちに会えた事がなかったので繭は杉本先生を嘘つき呼ばわりして信用していないのだ。
 だから今もここで克二から猫を守ろうとしているのだ。
 主人公は繭に「もうここに克二は来ないから見張る必要はない。それにお父さんは嘘つきなんかじゃないから、付いていけばお母さんに会える」と優しく説明した。
 繭は主人公を信じ、そして杉本先生を信頼してくれた。
 杉本先生は今までにない笑顔を主人公に返した。
 それが全ての答えだった…。

377 :月の光~沈める鐘の殺人~:2011/02/28(月) 02:57:56.12 ID:14ePsGp10
 主人公は最後に、なぜ自分には杉本先生が見えたのかを尋ねた。
 だが、杉本先生もその理由を知らなかった。
 1年前、この学院に赴任して来た時、主人公は職員室で杉本先生と会った。
 それ以来、杉本先生は自分がまるで生きているように感じた。
 そのせいか、杉本先生の事を感じ始める生徒も出てきた。

「命の尊さや、人の心が分かる人には、本当が見えるのです。この学院には、人の悲しみを形にするような不思議な力がある。……また、いつかお会いしましょう」
 
 杉本先生と繭は手を振りながら、ゆっくりと透き通るようにして主人公の前から消えていった…。
 

 翌日、主人公は再び鐘楼へとやって来た。
 鐘楼を下から見上げながら昨日の事を考えていた。
 鐘楼の転落未遂騒動の原因は分かった。
 杉本先生と繭は学院を去って行った。
 もう二度とこんな事は起きないだろう。
 だが、主人公は杉本先生の残した「この学院には、人の悲しみを形にするような不思議な力がある」という言葉が気になっていた。
 その時、主人公の足元に一匹の老猫がやって来て、横になり毛づくろいを始めた。
 なんとも、平和でホッとする光景だ。
 そこへ高田院長がやって来た。
 高田院長は今頃になって、ようやく鐘楼の閉鎖を決意していた。
 しかし主人公は、もう閉鎖の必要はないと答えた。
 理由を問う高田院長だが、主人公は詳しくは言わなかった。
 繭や克二の事なんて高田院長は知らない方がいいし、何より説明が面倒くさい。
 曖昧に答えるも、当然高田院長は納得しない。
 その時、池の向こうから古谷が呼びかけていた。
 主人公は高田院長の声を無視して古谷の方へと向かう。
 
 新しい季節が、もうそこまでやって来ていた。


「繭」    完

378 :月の光~沈める鐘の殺人~:2011/02/28(月) 03:02:25.69 ID:14ePsGp10
■エピローグ


 真夜中に浮かぶ月……

 池のほとりから歩き始める…

 ぽつぽつと外灯が照らす道を歩く…

 ゆっくりと校舎へと足を進める…

 校舎に入ると、サロンから電話のベルが響く…

 ゆっくりと電話の前に立つ…

 鳴り続ける電話のベル…

 やがて電話のベルが止まる…

 入り口から物音がする…

 高田院長が立っている…

「あら、こんな時間にどうしたの?
 私? 私はちょっと残業をね。これでも院長ですからね、忙しいんですよ。
 あら、顔色が悪いわね。…体の具合でも悪いの?
 …そう、ならいいんだけど。じゃあ、私は帰るわね。
 …いや、戸締りはいいわ。まだ何人か先生が残ってるみたいだから。
 じゃ、おやすみなさい」

 高田院長が去っていく…

 サロンを後にする…

 廊下に一枝がいる…

「あっ、お疲れ様です。
 そうなんです、今日は一日、高田院長の事務作業に付き合わされちゃって…
 気が付いたら、もうこんな時間ですよ。もうすぐ日付が変わっちゃいますね。
 ええ、これから帰るところです。
 大丈夫ですよ、宿舎まで近いし。
 それじゃ、失礼します」

 一枝が去っていく…

 校舎の中へと足を進める…

379 :月の光~沈める鐘の殺人~:2011/02/28(月) 03:05:10.59 ID:14ePsGp10
 職員室に入る…

 大井先生がいる…

「ああ、先生。先生も残業ですか。
 そうなんですよ。今日は何故だか、みんな忙しくて。
 いや、私はもう終わりました。そろそろ帰ります。
 古谷先生? 古谷先生なら、図書室で調べ物をしてたみたいですよ。
 それじゃ、お先に!」

 大井先生が去っていく…

 職員室を出る…

 図書室に向かう…

 図書室に入る…

 古谷が立っている…

「…あれっ、珍しいね、こんな時間に。どうしたの?
 …ははっ、冷やかすなよ。柄にもなく頑張ってるんだから。
 うん、ちょっとね…。テストの見直ししてたら、気になるところが出てきちゃって…。
 …そうなんだ。もうちょっとかかりそうだよ。
 そうだ! ねえ、100円貸してくれない?
 自販でジュース買いたいんだけど、小銭切らしちゃってるんだ。
 サンキュー! ちゃんと返すからね。…まあ、覚えてたらの話だけど。
 ははは、冗談。ちゃんと返すって。
 …あれっ、もうお帰り?
 …うん、分かった。おやすみ!」

 図書室を後にする…

 校舎を出る…

 ぽつぽつと外灯が照らす道を歩く…

 寄宿舎の前に立つ…

 主人公の部屋の窓に人影が写っている…

380 :月の光~沈める鐘の殺人~:2011/02/28(月) 03:07:29.24 ID:14ePsGp10
 私はひとり、部屋にたたずんでいた。
 夜になってから始まった頭痛が止まらず、寝付けずにいたのだ。
 この感覚…一体なんだろう?
 なにかこう、目に見えずに漂っているものがある。
 前にも一度感じたことがある感覚だ。
 この学園には、不思議な何かが影を落としている。
 拭っても拭っても消え去らない、黒い霧のような…。
 言葉にするとそんなものが、体中で感じているようだ。
 いつにも増して寝苦しい。
 自分が自分でないような感覚だ。
 朝にはこの頭痛が治まってくれればいいんだけど…。
 
 窓に映っていた人影が消える…

 寄宿舎の前を後にする…

 ぽつぽつと外灯が照らす道を歩く…

 池の前に戻ってくる…

 鐘楼を見上げる…

 どこからか音が聞こえる…

 池のほとりに移動する…

 主人公の壊れた携帯電話が着メロ『月の光』を鳴らしている…

 鐘楼の鐘が響く…

 人形が池の前に転がっている…

 夜空に月の光が輝いている…



「月の光」   完

381 :月の光~沈める鐘の殺人~:2011/02/28(月) 03:12:24.08 ID:14ePsGp10
ラストのエピローグは雰囲気を出すために、一行置きで表現しました。

これで月の光の補完を終わります。

最終更新:2011年03月07日 21:52