リーヴェルファンタジア~マリエルと妖精物語~

リーヴェルファンタジア~マリエルと妖精物語~
part36-283~291,307~310,330~338,366~370、part37-34~37、part36-379~383、part37-137~141,178~182,195,part39-453



283 :リーヴェルファンタジア ~マリエルと妖精物語~:2008/02/27(水) 08:26:53 ID:FDl3DSGP0
登場キャラ紹介(Wikipediaから抜粋)
■マリエル
妖精と会話することが出来る不思議な少女。妖精使いの父を持つが、現在行方不明。
現在はウッドワース家の守護妖精であるフィオナと共に暮らしている。
■フィオナ
ウッドワース家の守護妖精。猫が嫌いでアルフレッドとは犬猿の仲。得意料理はケーキ。
■アルフレッド
人語を話す黒猫。自分で自分の事を人間であると話す。借金取りではあるが、人情に弱い。
■ポピンジェイ
リュートを片手に各地を旅する吟遊詩人。妖精であるドルチェを付き従えた妖精使いであり、
マリエルの父についても何か心当たりがあるらしい。
■ドルチェ
ポピンジェイに付き従っている妖精で、彼の恋人を自称している。
好きなものはジャムとマーマレード。
それらを窓際に供えてくれるローアンに好意的な気持ちを持つ。
■レベッカ
妖精使いであること以外、まったくの謎な女性。優しさと内に秘めた闇を併せ持つ。
マリエルに色々と助言してくれる。
■キャシー
オークベリーにある唯一にして最高のパン屋の娘。正義感が強い反面、おっちょこちょいで
失敗も多く自己嫌悪に陥りやすい。アーヴィンに好意を持っているが、なかなか言い出せずにいる。
■エリック
錬金術師。オークベリーの合成屋で働いており、マテリアルという物質を合成してくれる。
妹がおり、彼が錬金術を始めたのは、彼の妹がきっかけらしい。
■オスカー
駆け出しの絵描きで、教会通りの小屋をアトリエに絵を描いている。
金持ちの家系且つハンサムなので女性にもてる。
■ヘイゼル
イエッタの孫で、ローアンの姉。マリエルとは「心の友」の誓いを交わすほどに仲が良い。
妄想癖があり、よく自分の世界に入ってしまう。妖精に憧れる。
■ローアン
病弱で、療養のために田舎であるオークベリーに家族でやって来た。
妖精に会いたいがために、窓辺にジャムやマーマレードを供える。
■イェッタ
マリエル宅の隣でハーブ園を営み、イェッタおばあちゃんの名称で呼ばれる。
マリエルを自分の孫のように気にかける。彼女の淹れたハーブティーは絶品。

284 :リーヴェルファンタジア ~マリエルと妖精物語~:2008/02/27(水) 08:29:00 ID:FDl3DSGP0
人物紹介(Wikipediaにないモノを補足)
■イアン
マリエルの父親で妖精からの信望が厚い妖精使い。半年前から行方不明になっている。
■スージー
雑貨屋の主人。若い女性。産まれて間もなく双子の姉を亡くしている。引っ込み思案。
■ルーシー
スージーの双子の姉。産まれて間もなく亡くなった。勝気。
■フラニー
オスカーの幼馴染で酒場(兼宿屋)のマスター夫妻の一人娘。オスカーに好意を抱いている。
自分の容姿にコンプレックスを持っている。
■バーニー
酒場のマスタ。フラニーの父親。
■ヴィヴィアン
都会にある画商の娘。両親達はオスカーとヴィヴィアンを結婚させたがっており、
ヴィヴィアンもまんざらではない。
■アーヴィン
牧場を経営する一家の長男。キャシーに好意を持っているがお互い素直になれない。
年が離れた弟妹、コリンとデイジーがいる。(作中父親は登場しない気がする)
■ゲイリー
腕の良い革職人。実の娘ティナが旅芸人と駆落ちして以来偏屈になった。
今でもその旅芸人を憎んでいる。
■ニール
旅芸人を生業としている。ゲイリーの娘ティナとの間に娘ホリーがいる。
■ホリー
ニール、ティナの娘でゲイリーの孫。旅芸人をしている父親と共に旅をしている。
■ケヴィン
妖精の許しを得て水晶鉱山を掘ることが出来る唯一の人間。
水晶鉱山崩落事故で記憶喪失の男を救出する。
(作中でマリエルが妖精使いであると言う事を知る数少ない人間)
■シャロン
水晶鉱山の管理人、ケヴィンの一人娘。
父親が助けた記憶喪失の男にグッドマン(誠実な人だからという理由)と名前をつけた。
■グッドマン
水晶鉱山崩落事故の時、現場に倒れていた男。記憶喪失。
水晶盗掘団の一味ではないかと噂されている。
■チャンドラー
警官。記憶喪失のグッドマンを水晶盗掘団の一味と決め付け執拗に追う。銃を携帯。

285 :リーヴェルファンタジア ~マリエルと妖精物語~:2008/02/27(水) 08:29:51 ID:FDl3DSGP0
■アイリーン
錬金術師エリックの妹。幼い頃に視力を失っている。現在は音楽学校に通うバイオリニスト。
■ウォルター
腕の良い植木職人。かなりの高齢。
ヘラヘラしてて優柔不断で軽口ばかり叩く性格は孫のアンソニーにも受け継がれている。
■アンソニー
ヘラヘラしてて優柔不断で軽口ばかり叩く。
常に女性をくどいたり好かれる妄想をしているが毎度空回りしている。(ニートっぽい)
■サブリナ
好きだった祖母の遺言でウォルターに夢時計を渡しに来た女性。
その真意を理解できずに、ウォルター一族に対し嫌悪感を持っている。
■リビー
サブリナの祖母。過去ウォルターと同じ屋敷でメイドとして働いて居た事がある。
■ジャック
ザ・スカイという飛行機で空を駆ける飛行機乗り。(自らが原因で?)妻子を失っている。

●オープニング
マリエルの父親が家に戻らなくなってから半年の時間が過ぎていた。
年始の祭りから帰宅したマリエルが、守護妖精のフィオナと父の噂をしていると、
何者かが家のドアを叩いた。もしかして父親がと期待する二人だったが、
そこに居たのは人間の言葉を話す猫、アルフレッドだった。
アルフレッドはマリエルの父親イアン名義の金貨千枚もの借金の証書を突き出し返済を迫る。
金貨千枚とは10年間遊んで暮らせる額、無論二人に返せる訳がなく、
家も抵当に入れられていた為、二人は家を追い出される事となった。
フィオナの提案でイアンの作業場である妖精の木の小屋に移住する事となるが、
それを聞いたアルフレッドが慌てて二人を引き止める。
そしてアルフレッドは電話でボスに「例のブツが抵当から外れていまして・・・」と、こそこそと相談する。
アルフレッドは新たに返済期限を10ヶ月延長してもいいが、
丘の上の小屋と妖精の木も抵当に入れるという条件を提案した。
フィオナはマリエルに相談もなくその条件を飲み、
二人は小屋に移り住み10ヶ月間で借金を返していくことになる。

286 :リーヴェルファンタジア ~マリエルと妖精物語~:2008/02/27(水) 08:30:59 ID:FDl3DSGP0
補足
・過去、世界は人間と妖精が仲良く暮らしていたが、現在は疎遠である。
・主人公とその父親他何人かの登場人物は妖精使いだが、その職の認知度は非常に低い。
・法外な借金を抱えたマリエルに対して、街の住人は彼女に仕事を与える事で協力する。
 主に父親イアンがこなしていた仕事をマリエルにそのままお願いする感じ。
・アルフレッドが指定する毎月の返済のノルマをクリアすると次の月に遷移する。
・街の人間でもマリエルが妖精使いだと知っているのはほんの一握り。
・守護妖精フィオナはマリエルの小屋に人が訪ねてくると姿を隠す。
 来客がアルフレッドの時のみ姿を現し、悪態をつく。
・妖精を仲間(リンク)にするには3パターンある。レシピ通りのマテリアルを混ぜて作成、
 野生の妖精に認められる、願いの花を開かせ奇跡を起こすの3つ。
・カメラワーク以外はいい作品。人生初3D酔いを体験。

●1月
ハーブ園を一人で切り盛りするイェッタの所に、都会から孫2人が移り住んでくる。
孫の一人、弟のローアンは生まれつき身体が弱く、移住は空気が悪い都会よりも、
田舎で自然に囲まれて生活した方が健康に良いと判断された上でのことだった。
姉のヘイゼルはそれに付き添う形でマリエルの居る街に引っ越してきた。
二人は都会人の気品を持ち且つ、非常に温和な性格で街の子供達の中に直ぐに溶け込んだ。
弟のローアンは都会では会う事が出来なかった妖精を
この田舎街で見かけることができるのではないかと期待に胸を膨らませ、
妖精の為に窓際に食べ物や遊び物等をお供えしていた。

イェッタは街の北にある迷いの森について昔妖精が沢山住んで居たとローアンに話をする。
ローアンは迷いの森に行きたがるが、イェッタは迷いの森というくらいだから普通の人間が行ったら
戻ってこれなくなると諭した。

ある日、ローアンが行方不明になる。身体が弱いローアンを心配するヘイゼル。
友人の窮地を救うためにマリエルはローアンの捜索を開始する。
迷いの森へ行ったアリエルが見たモノは迷いの森の番人、クーシー(大きな犬の様な妖精)が
ローアンをその背に乗せて深い霧の中へと入っていく姿だった。

霧の為ローアンを見つけられないマリエル。
フィオナに相談すると、風を吹かせる事が出来る妖精を作ることが出来れば霧を払うことが出来る。
しかし、その妖精のレシピは借金の方に取られた家にあるという。
マリエルはアルフレッドと交渉し、風を吹かせる妖精のレシピを手に入れる。
しかし条件としてアルフレッドが定める額を月々のノルマとして返済して行き、
ノルマを達成すれば残りのレシピも徐々にマリエルに渡すというルールが付け加えられた。

287 :リーヴェルファンタジア ~マリエルと妖精物語~:2008/02/27(水) 08:32:38 ID:FDl3DSGP0
マリエルはマテリアルから作成した風の吹かせる妖精の力を借り、
霧を払い、迷いの森の奥から眠っているローアンを見つけ出した。
目を覚ましたローアンは、
眠った振りをしていたら窓際に赤く光る物を見つけそれを追いかけたら迷いの森に迷い込んで居た事、
寒くて凍えていた時クーシーに助けられ温めて貰った事をマリエルに説明した。
二人は迷いの森から脱出しようとするが、迷子になってしまう。
途方にくれる二人の耳に何かの演奏の音が聞こえその直後、
二人の前にローアンが追いかけた赤い光の妖精が現れた。
妖精は2人の周りを軽いステップで回ると、踏んだ場所に赤い光りがともり二人を囲んだ。
「これ・・・妖精の輪?」(転移させる技術のようなモノだと思う)
マリエルがそう言った矢先二人を強い光が包んだ。
気がつくと二人は森の入り口にいた。直ぐその場にローアンを心配したヘイゼルが駆け込んできて、
マリエルに礼を言った。
「お姉ちゃん、ぼく、妖精を見たような気がする。」「え、ホント?」
「羽があって、キレイな妖精だったと思うだけど。」「よく覚えてないの?」
「うん・・・夢だったのかなぁ。」「ホンモノだったら、きっとまた会えるわ。ね?」「うん。」

家に帰ったマリエルはフィオナに迷いの森での出来事を話した。
フィオナはその技術や人を助ける振る舞い(妖精は本来いたづら好き)から、
赤い光の妖精はかなり高位の妖精ではないかと推測。
フィオナにも妖精の輪を作れるの?とマリエルがと聞くとはぐらかされるのであった。

次の日、ヘイゼルがマリエルの小屋を訪れ、
ローアンを救ったお礼に、祖母がお茶をご馳走したいと言ってるので一緒に来て欲しいと誘いにくる。
ハーブ園に向かう二人、その道すがらヘイゼルがマリエルに心の友の誓いをして欲しいという。
マリエルはそれを快く受け、二人は心の友となる。(その宣誓で死が二人を別つまでとか言います。)

借金ノルマを返済し1月を終える。

288 :リーヴェルファンタジア ~マリエルと妖精物語~:2008/02/27(水) 08:34:30 ID:FDl3DSGP0
●2月
マリエルが宿屋を訪れると旅の吟遊詩人ポピンジェイが宿屋にいる住民に演奏を聴かせている所だった。
暫く後演奏が終わると、皆その腕前を褒めた。
宿屋の主人が宿泊を勧めるが、「いや、旅は野宿がいちばんですから。」と言い残し、宿を後にした。
その後、彼の川原の住人になる。
容姿端麗なポピンジェイに演奏を聴いていた街娘スージーは心を奪われるのであった。

オスカーから依頼を受けたマリエル。お目当てのマテリアルを手に入れオスカーに渡そうと家を訪ねた所、
そこに居たのは、オスカーではなくオスカーの幼馴染のフラニーであった。
その直後、オスカーがブロンドの美女を連れて家の中に入ってきた。
その女性の名はヴィヴィアン。オスカーはヴィヴィアンの父は都会で大きな画商を営んでおり、
オスカーの父親とも親しい仲と紹介した。
ヴィヴィアンはそんな他人行儀な紹介は嫌ですわと、オスカーの腕に自分の手を絡ませ、
オスカーとヴィヴィアンは両方の父親が婚約の話を進めている様な仲であるとフラニーに見せ付けた。
驚くフラニー、それは親達の冗談だと言うオスカー、それを遮る様に私の父親は本気とヴィヴィアンが
オスカーに迫る。居た堪れなくなったフラニー(マリエルも)はオスカーの家を飛び出した。
フラニーのことが気になるマリエルは宿屋を尋ねた。フラニーはものすっごいショックを受けていた。
「フラニー。」「・・・ほっといてよ。」「ホントに婚約したわけじゃないでしょ?」
「そんなの、時間の問題よ。」「どうしてわかるの?」
「あんなキレイな人が相手じゃ、とても勝ち目なんかないわ。」「フラニーだって素敵じゃない。」
「あたしなんか・・・赤毛でみっともなくて。」「そんなことないって。」
「いつかはこんな日がくるんじゃないかって思ってた。」
オスカーはお金持ちの息子、自分は酒場の娘で単なる幼馴染なんだと。

家に帰ったマリエルをフラニーが訪ね、オスカーの様子を見てきて欲しいと願う。
マリエルはどうして自分で行かないの?と聞くが言葉に詰まるフラニーを見て、フラニーの頼みを聞く事にした。

オスカーの家を訪ねたマリエル。そこではヴィヴィアンがオスカーに対し婚約の返事を催促している所であった。
自分と結婚し、父親の画商の仕事をついで欲しいと。しかしオスカーは絵で身を立てたいと言う。
絵は趣味で描けばよろしいわ、一流の絵画を見てきた自分にはわかるけど貴方の絵には魂がない、
ヴィヴィアンはオスカーを罵り、オスカーの家を後にした。
オスカーは何も言い返せなかった。言い返せないオスカーを見てマリエルが何故?と怒る。
オスカーは自分の絵に魂が込められていないと自覚していた。
そしてこの先画家としてやっていけることに自信がない事を明かした。
「自信が無い事はやらないの?」「え?」「うまくいくってわかってることしかやらないの?そんなのヘンだよ。」
「そうだな・・・。」
オスカーは続けるにしてもやめるにしても納得のいく一枚を描くことを決意する。
マリエルはオスカーにフラニーの事を描いて欲しいと頼む。何故?と聞くオスカーに
フラニーはオスカーをずっと応援してきたからと、一枚くらい想い出になるものを描いてあげて欲しいと言った。

オスカーが描くフラニーは素敵とマリエルが言う。何故今まで描かなかったのか?とオスカーに聞くと、
私の赤毛がみっともなかったからとフラニーが自虐的に答える。それは違うとオスカーは切り出す。
「その赤がなかったんだ。」「え?」オスカーはフラニーの髪をみっともないとは微塵も思っていなかった。
オスカーはフラニーの髪の色を表現する事が出来ずにフラニーを描く事が出来ないでいた。
いつかその色を出せた時、フラニーを描こうとしてた事をフラニーに伝えた。
その赤を今まで作れずにいたが宛はあるという。マリエルはその宛である紅玉という石を探しに行くことになる。

289 :リーヴェルファンタジア ~マリエルと妖精物語~:2008/02/27(水) 08:35:30 ID:FDl3DSGP0
家に帰ったマリエルをフィオナが迎える。フィオナは嬉しそうに願いの花がつぼみをつけたと言う。
見れば妖精の木に花のつぼみがついていた。
ここでフィオナが妖精使いの本当の仕事について、マリエルに教える。
妖精使いの本当の仕事は皆の願いを叶える事、妖精の木は街にある木々や草花とつながっていて、
どこかで願い事をしている人がいるとその想いが木に伝わり願いの花となる。
そしてつぼみが開いて花になる時、新しい妖精が生まれるがその時奇跡が起きると。
しかし花を咲かせる為には妖精使いが願いを叶える為にどれだけ頑張ったかに掛かっているという。
つぼみに触るとその人の想いがマリエルに伝わった。
「・・・ダメだ。この赤も違う。どうしたらあの髪の色が再現できるんだろう。」
「世界でただひとつの、きみだけの色を、どうしたぼくのものにできるんだろう。・・・フラニー・・・。」
マリエルはオスカーの苦悩を理解した。

紅玉という石はペリが持っているとフラニーから聞いたマリエル。
フラニーはその話をポピンジェイから聞いたとマリエルに伝えた。
マリエルは川原に赴きペリの居場所を旅の吟遊詩人ポピンジェイに聞く。
ペリは人間を嫌って身を隠した為、例えあったとしても紅玉を貰え無いかもしれないと言った。

暗がりの洞窟でペリを探し当てたマリエル。
ペリに紅玉が欲しいと持ちかけるが、私をいじめに来たの?と言われとり合って貰えない。
取り敢えず話しだけでもと粘るマリエル。友人を助ける為に紅玉が欲しいと切り出した時、
ペリは貴方も私をいじめた人間と同じだと言った。困るマリエルにペリが交換条件を出す。
ペリが居る部屋を抜けた先に大きなバラが咲いている。
その一番上に咲くバラを取ってきたら紅玉を分けてあげられるかも知れないと。
マリエルはその言葉どおり、バラを取りに行くこととなった。

妖精の力を駆使してバラを取ってきたマリエル。それをペリに渡した。
バラを掴んだペリはその棘で血を流す。血は紅玉となった。
ペリは自分の過去のを語る。血が紅玉になると知った人間はペリを傷つけ紅玉を奪おうとしたという。
そしてそんな人間から身を隠す為に、洞窟の奥深くに隠れて住んでいたのだという。
過去に人間が起こした愚考について自分のことのように謝るマリエル。
「あなたがもし、そのことを知っていたら、それでも私の血を欲しいと言ったかしら?」
「わかんないけど・・・たぶん、言えなかったと思う。」
「・・・そうね、わたしもそう思う。だから、わたしがバラを欲しがって、勝手に手を怪我した。それだけ。」
ペリは別れの時に、人間を信じたかった、信じる心を忘れないで居てよかったとマリエルに伝えた。

紅玉をオスカーの元に持っていく。
しかし紅玉すら彼の求める色ではなかった。やっぱり違う、僕が欲しいのはこの色じゃない。
自棄になったオスカーは絵を切り裂こうとするが、フラニーが絵の前に立ち制する。
「お願い、やめて。あなたが描いてくれたあたしを、切り裂かないで。」
「情けない。・・・好きな娘の絵ですら満足に描けないなんて。」
オスカーが今まで伝える事が出来なかった想いをフラニーに曝した。驚くフラニー。
「この絵を描き上げることができれば、ぼくは信念を持って絵描きとして生きていける。
そうすればきみのことも・・・」「いいの、オスカー。」「でも・・・。」
「あたし嬉しい。いまはそれ以上の、なにもいらないの。」
フラニーが流した嬉し涙がオスカーのパレットに落ちた。
その時、願いの花のつぼみが開き奇跡が起きる。【愛情】の妖精の誕生。
パレットにあった赤色はフラニーの髪の色と同様のモノに変化していた。
オスカーはこれで描ける!と喜びフラニーに抱きつく。頬を赤らめ困ってしまうフラニー。

290 :リーヴェルファンタジア ~マリエルと妖精物語~:2008/02/27(水) 08:36:08 ID:FDl3DSGP0
数日後。フラニーがオスカーの絵の完成をマリエルに伝えにくる。
アトリエに絵を見に行くマリエル。そこにはヴィヴィアンの姿もあった。
ヴィヴィアンはオスカーが描いたフラニーの絵に魂を感じ、
オスカーとフラニーの間に入る余地がないと察した。そして潔く身を退く。
「父には後継ぎの代わりに将来有望な画家を発掘したということで満足してもらいますわ。」
「ヴィヴィ、ありがとう。」
「失恋した女にかける言葉じゃありませんわ。」
ヴィヴィアンは寂しそうに去っていった。

借金ノルマを返済し2月を終える。

続く

291 :ゲーム好き名無しさん:2008/02/27(水) 08:41:46 ID:FDl3DSGP0
リーヴェルファンタジア ~マリエルと妖精物語~は
登場キャラが多く、意味がないキャラが殆どいないので、
混乱しないようにキャラ紹介を一番上に書きました。
文章力がないのが半分、省略したくないのが半分で駄文長文になりますが、
こんな感じで3月~10月をのらりくらりと書いてみます。

307 :リーヴェルファンタジア ~マリエルと妖精物語~:2008/02/28(木) 06:12:25 ID:yaNnpppJ0
●3月
雑貨屋のスージーがマリエルの小屋を訪れてきた。
スージーはマリエルが何でも屋を始めたと勘違いしており、相談にきたらしい。
マリエルは何でも屋とは違うかなとちょっと苦笑いを見せる。
スージーは最近自分が夢遊病になってしまったのではないかと疑いを持っていた。
目を覚ますと、あちこちに擦り傷があったり、足が泥だらけになっていたりするのだという。
「スージーって、寝相悪かったんだ。」「それはないと思うわ・・・」
その為、夜、自分の事を見張っていて欲しいとマリエルにお願いしにきたのだった。
マリエルは承諾し、その夜のうちに見張りをする事となる。

夜中に雑貨屋の前で見張りをしていると、ドアが開きスージーが出てきた。
スージーはまっすぐに街の墓地へ向かい、人間とは思えない身軽さで辺りを跳ね回る。
マリエルは大声でスージーに声を掛けると、彼女は一飛びにマリエルの元へとやってきた。
「…あんたがマリエル?」「ど、どうしちゃったの、スージー?」
「あたしスージーじゃないわ。ルーシーよ。ルーシー・ベル」「ルーシー?」
ルーシーと名乗る女性は笑いながらくるくると踊り始めた。

翌日、雑貨屋へ向かい昨日の出来事をスージーに報告した。
ルーシーは夕べもどこかに出歩いたという事は分かっているようだった。
マリエルは墓地であったルーシーと名乗った女性のことをスージーに話した。
一時困惑した表情を見せるスージー。「…そう、ルーシーだったの。」
スージーは店を閉め、ルーシーの居る所へいこうとマリエルを誘った。

スージーとマリエルが向かった先は街の墓地であった。
1つの墓の前に立つ二人。墓に刻まれていた名前はルーシー・ベル。
産まれてまもなく命を落としたスージーの双子の姉であり、
スージー自身、その墓の存在をつい最近知ったのだと言う。(細かい経緯は語られないと思う)
もしかしたら死んでいたのは自分の方だったかもしれないのに可愛そうなルーシー、
なんて不公平なのかしらと、スージーは自分を責めた。
マリエルはスージーを慰めようとするが、スージーの自身の罪悪感は拭えなかった。
これからはずっと一緒、もう一人ぼっちにはさせないと、墓に語りかける。
この体の半分はルーシーの物…。スージーはルーシーの存在を受け入れるつもりだった。

マリエルはルーシーの存在を幽霊として認識。フィオナにどうするべきか相談するが、
幽霊と妖精の存在は全然違うものでよく分からない、人間の事は人間に聞きなさいと言われ、
物知りな吟遊詩人ポピンジェイを訪ねる事となった。

308 :リーヴェルファンタジア ~マリエルと妖精物語~:2008/02/28(木) 06:14:10 ID:yaNnpppJ0
マリエルが川原で釣りをしていたポピンジェイに話しかけようとした瞬間、
ポピンジェイの前にスージーが現れた。マリエルは思わずに身を隠してしまう。
「みーつけた。こーんなところにいたのね」と、ポピンジェイに近づくスージー。
「…キミか。」「つれないのね。あたし、あんたのことがこーんなに好きなのに。」
急な告白の場面に、物陰に隠れているマリエルはどうしようと戸惑う。
「…ねえ、あたしのことキライ?それとも女のコに興味ないの?」
スージーはポピンジェイの背後に回りこみ抱きつこうとする。
「悪いけど、幽霊とおつきあいする気はないんでね。」「あんた、なにものよ。」
スージーの体を動かしていたのはルーシーの意識であった。
看破されたルーシーと、ルーシーになっていた事に気づいてなかったマリエルは共に驚く。
「妹思いなのはいいけど、それはいらぬおせっかいだと思うよ。」
「うるさいわねっ!あたしのことはほっといでよ!」
ルーシーは人間離れした身軽さで飛び跳ねその場を後にしようとした。
着地地点で物陰にいたマリエルとぶつかる。
見つかったマリエルは居た堪れなくなり立ち聞きした事を謝ったが、
その意識は既にスージーのものだった。何を謝られてるか判らないスージーに
マリエルが、ルーシーがスージーの身体を使いポピンジェイに告白をした事を伝える。
「…どうしよう、わたしもう彼の前に出れないわっ。」と恥かしがるルーシーに
ポピンジェイが近づく。ポピンジェイは告白を重きに受け止めておらず、
スージーにルーシーの事について忠告をする。
あまり気ままに遊びまわっているといずれルーシーは消滅してしまうことになる。
もともと不自然な形で存在しているのでエナジーを使い果たすとそこまでなのだ、とポピンジェイは言った。
ルーシーが消滅する…、そう聴いたスージーはショックを隠しきれなかった。

家に帰ると願いの花がつぼみをつけていた。
つぼみに触るとスージーの想いがマリエルに伝わってきた。
「ルーシーが消えてしまう?…どうしよう。またはなればなれになるの?そんなのイヤよ。
歩きまわるのやめさせなきゃ。でも、どうやって?どうすればいいの?
どうすればルーシーに会えるの?…おねえさん…。」

スージーはルーシーに身体を使わせないために眠らないように努力しているが、
ルーシーが出てくるのは時間の問題であった。
妙案が思い浮かばないマリエルは解決方法を見出すため、ポピンジェイに相談に行く。

ルーシーを助ける方法はないかと聴くマリエル。しかしポピンジェイは彼女が消えた方が自然であると言う。
マリエルはルーシーを思うスージーの気持ちがいかに強いか訴えると、ポピンジェイはマリエルに助言を与えた。
ルーシーの説得はスージーがやるべきだが、1つの身体を共有している為、お互い出会う事はない。
しかし、真実の鏡という道具を使えば、自分の真実の姿と向き合う事ができる為、
もう一人の自分と対話ができるという。そしてその真実の鏡は街の古代遺跡にあるのだという。
毎度毎度の博識ぶりに何故そんな事を知っているのかとマリエルがポピンジェイに尋ねると、
吟遊詩人故に様々な伝承に触れる機会がある、真実の鏡もそのひとつなのだと答えた。

309 :リーヴェルファンタジア ~マリエルと妖精物語~:2008/02/28(木) 06:15:32 ID:yaNnpppJ0
古代遺跡を探索するマリエル。
そこで出会った鏡の妖精は過去人間にから受けた非道な仕打ちとその経緯をマリエルに教えた。
遥か昔、鏡の妖精は人々にお告げを与えていたという。
しかしお告げは良きものばかりではなく、凶事を示すものもあった。
その凶事が起きたのを鏡の妖精の所為とした人間の手により、
鏡の妖精を大鏡に閉じ込められた後、大鏡を割られ封印されたのだという。
マリエルは遺跡に散らばっていた大鏡の破片を集め、大鏡を復活させる。
人を信じる事ができなくなっていた鏡の妖精はマリエルの誠実さに胸を打たれ、真実の鏡を託すのだった。
(真実の鏡は月夜でのみその効力を発揮するが、それがどこで得られた情報なのかは判らず)

真実の鏡を手に入れたマリエルはスージーを訪ねる。
スージーは既に寝不足でフラフラであった。
マリエルはスージーにルーシーと会える機会を作れる事を伝え、深夜の墓地で待ち合わせの約束をした。

その夜。マリエルが墓地に着くと、そこには既にスージーが待っていた。
マリエルは真実の鏡を準備し、その前にスージーを立たせる。
後は月を覆っている雲が通り過ぎるのを待つだけだった。
月が雲の間から姿を現し、鏡にはルーシーの姿が映し出される、はずであった。
しかし鏡に映し出されたのはスージーの姿だった。
マリエルはここで、先ほど墓地で待っていたのはルーシーの方であった事を知る。
してやったりと、ルーシーは笑い踊りだす。
「あなた、ルーシーだったのっ?」「そうよ、わたしはルーシー。」
寝不足だったスージーは夜を待つ事が出来ずに居眠りをしてしまったらしく、ルーシーが出てきたのだった。
「危ないことしないで、ルーシー!」「こんな月がキレイな夜に、踊らないほうがどうかしてるわ。」
マリエルの言葉に対し、ルーシーは全然取り合わなかった。スージーの身体を返してとマリエルが訴える。
しかし、肝心のスージーは…。
「いいのよ、マリエル。このままのほうがいいのかもしれない。あのルーシーをみてると、そう思うの。
わたしったら引っ込み思案でなんのとりえもなくて、どうして生まれてきたのかずっと不思議だったわ。
当然よね。わたしが生き残ったことが、なにかのまちがいだったんだもの。」と寂しげに言った。
それを聴いたルーシーは怒り出す。
「いいかげんにしなよ。なにいじけてるのさ。あんたのそういうところ、だいっキライだ。」と。
私のことが羨ましいなら勇気を出して変わってみなよと強い口調でスージーにぶつける。
「だめよ…わたしなんて、とても。」
「どうして自分から殻のなかに閉じこもってしまうのさ?もっと目を見開いて、
よく見て。あたしがあんたの、真実の姿なんだからっ!」
その時、願いの花のつぼみが開き奇跡が起きる。【真実】の妖精の誕生。
スージーは鏡の向こうから姿を現し、ルーシーとスージーは同次元に存在した。
「ねえスージー。もっと自分を好きになってあげて。あたしにできることならあんたにだってきっとできる。」
「ルーシー…もしかして、わたしのために?」

310 :リーヴェルファンタジア ~マリエルと妖精物語~:2008/02/28(木) 06:16:24 ID:yaNnpppJ0
マリエルが空を見上げると月が雲に隠れかけていた。マリエルは急いでルーシーに鏡の中に戻るように言うが、
ルーシーは鏡の中に戻ることを拒否する。それなら私がとスージーは鏡の中に入ろうとするが、
ルーシーはスージーの手を強く掴んで離さなかった。
「いいのよ、これでハッキリするわ。」「なにがよっ…お願い、離してっ!」
「どちらが生きるべきなのか、どちらが幻なのか、これでわかるわ。」
お願い、鏡の中に戻って!とスージーが叫ぶ。しかし、ルーシーは聞かなかった。
「…そう、あんたはホントはわかってる。あたしのことを知って感じた罪の意識が、
あたしを蘇らせてしまったことを。」「お願いよルーシー!わたしをひとりぼっちにしないで。」
間違えちゃだめ。私はただの死者の夢。長くは現世に留まれない。さよならね、スージー。
最後に楽しい夢を、ありがとう。そう告げるとルーシーは闇に溶けて消えていった。

小屋に戻ったマリエル。
自分が手を貸したためにルーシーが消えてしまったのではないかと、少し落ち込む。
フィオナはまだ半人前なんだから失敗する事もある。元気を出しなさいとマリエルを慰めた。

翌日。マリエルはスージーを訪ねた。スージーは飛び切りの笑顔と明るい声でマリエルを迎える。
「…ホントにスージー?」「うふふっ、さあ、どうかしら、どっちでしょう?
わたし、もうくよくよしないことにしたの。これからはルーシーの分も生きなくちゃ。ね?」
そこにはもう以前のような引っ込み思案のスージーの姿はなかった。
これからはのんびりせずに新しい恋でも探すと言ったスージーにマリエルがポピンジェイは?と聞く。
あれは単なる憧れ、素敵な人だけど彼氏にはちょっとねといたずらっぽく笑う。
「そっかー。」「…いま、ホッとしなかった?」「そ、そんなことないよ。」と頬を赤らめる。
「どれ、おねーさんが相談にのってあげるわよ。」
「ま、また来るねっ。」とばつが悪くなったマリエルは退散する。
「マリエル!…ありがとうね。」「うんっ!」

借金ノルマを返済し3月を終える。

続く
 
331 :リーヴェルファンタジア ~マリエルと妖精物語~:2008/02/29(金) 02:49:18 ID:sztljTzo0
●4月
先月のノルマを達成した為、取り決め通り借金取のアルフレッドから妖精のレシピを受け取る。
ふとした事からマリエルはレシピの裏面を見るが、そこに書かれていたモノは、
行方不明のマリエルの父親、イアンのメモ書きだった。
銀の森の妖精の樹と書かれたメモ。思わぬところから父親の消息に繋がる手がかりを得たが、
フィオナもアルフレッドも銀の森の場所を知らなかった。
何時も通りポピンジェイを訪ね、銀の森の場所を聞こうとすると、彼は浮かない顔をした。
「銀の森がどんな場所か知ってるかい?」ポピンジェイの問いにマリエルは首を横に振る。
ポピンジェイが銀の森について語り始める。
銀の森は昔は美しい森だったが、今では近寄るものさえいない恐ろしい場所となっている。
イアンに限らず誰かがいるとは思えない、場所は教えるが行くのは止めた方がいいと言った。

家に戻ったマリエル。父親の行方に繋がる唯一の手がかりを捨て去る事はできなかった。
マリエルは危険を顧みず銀の森へ旅立つ。

銀の森には、枯れ果てた妖精の樹があった。そしてその根元に父親イアンのペンダントが落ちていたのである。
拾おうとした瞬間、妖精の樹の枝がマリエルに襲いかかろうとした。驚いて転倒したマリエル。
その時、襲い掛かる枝とマリエルとの間に立ちはだかる妖精の姿があった。
迷いの森で迷子になったマリエルとローアンを救った赤い光の妖精である。
背後でマリエルを呼ぶポピンジェイの声がした。マリエルは体勢を立て直し、ポピンジェイの元に逃げ込む。
「もういいぞ、ドルチェ!」ポピンジェイは赤い妖精に呼びかけると、妖精は軽やかに飛び
ポピンジェイの肩に止まった。
ポピンジェイは怒り口調で、どうしてここに来たとマリエルに言う。
「ポピンジェイって妖精使いだったんだね。」
「ぼくのことはいい。もう少しであの樹につかまるところだったんだぞ?わかってるのか?」
「つかまったらどうなるの?パパは、あの樹につかまってしまったの?」
マリエルはポピンジェイに先ほど拾ったイアンのペンダントを見せる。
「それは…。」マリエルはこの場で何があったのか、教えてもらうためにポピンジェイに詰め寄る。
が、ポピンジェイの前にドルチェが立ちはだかる。ポピンジェイはドルチェの首を摘み、
目の前から除けた。ドルチェは面白くないと、ポピンジェイの後頭部をポカリと蹴飛ばす。
「心配しなくていい。きみの父さんは無事でいる。ただ…。」「ただ、なんなの?」
「…ぼくにもよくわからないんだ。すまない。」ポピンジェイは言葉を濁した。
そして、この場にいてできることは何もないと、マリエルに帰るように促した。

小屋に戻ったマリエルはフィオナに銀の森での出来事を話した。
マリエルがイアンが妖精の樹に取り込まれたかもしれないと伝えると、、
フィオナはもしかしたらイアンが今は妖精界にいるかもしれないと推測する。
妖精界とは行きたいと思って行ける場所ではない。妖精界の事は妖精女王に聞けば判るかもしれないが
妖精女王にあう方法はフィオナにも判らないという。

332 :リーヴェルファンタジア ~マリエルと妖精物語~:2008/02/29(金) 02:49:53 ID:sztljTzo0
数日後、ヘイゼルがマリエルの客を妖精の樹の小屋に連れて来た。
客の名はレベッカ。元はハーブ園の来客で、マリエルが住む小屋の大きな樹(ヘイゼルは妖精の樹とは知らない)
に興味を示したらしい。
用を終えたヘイゼルは、マリエルにまたねと挨拶をして帰っていった。

「…りっぱな妖精の樹ね。」レベッカが樹を見上げてそういった。
「妖精の樹のことを知ってる?」「でもまだ道は細いようね。」「道?」
レベッカによると妖精の樹というのは自然界と人間界をつなぐパイプのようなもので、
妖精使いは樹から自然界のエナジーを引き出して妖精を生み出すという事だった。
「あなたも妖精使いなの?」マリエルが尋ねると「…まぁ、そんなところかしら。」と返した。
マリエルはこれはチャンスと、妖精の女王について知らないか尋ねる。
レベッカは女王の事を知っていた。女王は年に二回、ベルティンとソーウィンの祭りの日に自然界に現れるらしい。
「ベルティンって、今月の最後の日だよ。もうすぐだ。」
「その日に世界樹に登れば妖精女王に会えるかも知れないわよ。」
手がかりを掴んだマリエルはレベッカに礼を言った。
「どういたしまして、早く立派な妖精使いになってね。」「うん、がんばる!」マリエルは急ぎ足で小屋に戻った。

小屋に戻りフィオナにレベッカから貰った手がかりを報告した。
「どうして、妖精のあたしでも知らないようなことを知ってるのかしら。」とフィオナは疑念を持つ。
楽観的なマリエルとは対照的に、フィオナはどうにも納得が出来ていない様子だった。

ベルティンの祭りの日に世界樹に登るマリエル。その頂上でマリエルは妖精女王との対面を果たす。
妖精女王はマリエルが来る事も来た理由もわかっていた。
マリエルは率直にどうすれば父親を助ける事が出来るのか、妖精女王に問いかけた。
妖精女王はイアンは妖精界のどこかにいるが一度妖精界に入った人間は妖精女王の力をもってしても
人間界に戻す事はできないと答えた。「冷たいようですが、それがおきてです。」「そんな…パパ…。」
落ち込むマリエルに妖精女王が救いの手を差し伸べる。助ける方法が全くない訳ではないと。
真に優れた妖精使いならば、自然も人間もわけ隔てなく愛する者ならば、妖精界と人間界を行き来できる。
一年に一度、半年後のソーウィンの祭りの日、妖精界と人間界とが近づき
その日、2つの世界をつなぐ「環」への扉を開く事ができれば、父を助ける事が出来るかもしれないと言う。
しかし、今のマリエルでは環を開くには力が足りない。もっとたくさんの妖精と出会い、
様々な人々と触れ合い自分を高めなさいと言い残し、妖精女王はマリエルの前から去るのだった。

333 :リーヴェルファンタジア ~マリエルと妖精物語~:2008/02/29(金) 02:50:36 ID:sztljTzo0
●3月-4月をまたぐイベント(牧場を経営する一家の長男アーヴィンとパン屋の娘キャシーの話)
マリエルがいつもの様に友人のヘイゼルを訪ねるため、ハーブ園に行く。
声を掛けてもヘイゼルは夢中に本を読んでるのか、マリエルの挨拶に答える事はなかった。
間近に近づくマリエルに気づきヘイゼルは大きく驚き、後ずさりした。
その時、木陰に隠れていた牧場で飼われている犬、ジョリーの尻尾を踏み、大きく吠えられてしまった。
ヘイゼルはまた驚き転んでしまう。
牧場を経営する一家の長男、アーヴィンがジョリーを探しに来た所で、転んだヘイゼルを見つけ心配する。
ヘイゼルは転んだ拍子に本を落としてしまったらしく、アーヴィンがそれを拾った。
ヘイゼルは「ああっ、それはダメ!」とアーヴィンから奪おうとするが、
あまりの勢いにアーヴィンは思わずよけてしまう。
それを見ていた通りすがりのパン屋の娘、キャシーはアーヴィンがヘイゼルをいじめていると勘違いする。
「ヘイゼルになにしたの!あたしの友達をいじめたら許さないわよ!」と豪い剣幕でアーヴィンを責め立てた。
ばつが悪くなったアーヴィンは「やってらんねー。行くぞ、ジョリー」といいその場を後にした。
アーヴィンを追い返したキャシーはヘイゼルの心配をするが、アーヴィンにいじめられていたというのは
誤解だとキャシーに説明をする。「じゃあ、あたしのカンチガイ?」
マリエルとヘイゼルは同時にコクコクと首を縦に振った。「…あっちゃー、またやっちゃったよ。」
キャシーの早とちりは一度や二度ではないらしい。
そして、キャシーはパンの配達の途中であったことを思い出し、急ぎ足でその場を後にした。

キャシーが居なくなり静かになった後、ヘイゼルの本から物語の妖精が現れ、マリエルに語りかける。
物語の妖精はヘイゼルが書いた物語から生まれたらしく、物語が完成するまで自由になれないらしい。
しかし、中々筆が進まず完成までマリエルに協力をお願いしたいという。
マリエルが妖精と話をしているとヘイゼルがその場に戻ってきた。
既に本を見たか?とマリエルに聞き、まだ見ていないとの返事に少しほっとしたようだった。
ヘイゼルは「…読んでみてくれない?」と本をマリエルに差し出した。
マリエルは本を読み始める。「勇敢な王子と囚われの姫。…ヘイゼルが書いたお話なの?」
「そうよ。マリエルに最初に読んでほしかったの。」マリエルは続きを読む。
「王子さまはとても勇敢で、曲がったことが大嫌いでした。でも、しばしば早とちりでとんちんかんな
ことをして、回りを困らせました。…なんかこれキャシーみたい。」「あっ、わかる?」
ヘイゼルは頬を赤らめ目に星を浮かべ「さっきのキャシー、勇ましかったわね。ああ、キャシーが
ホントの王子さまだったら、どんなにステキかしら。」自分の世界に浸っている。
マリエルは自分の出番はないのかと気になったが、ヘイゼルがあとになるけどちゃんと考えていると伝えた。
ヘイゼルは本を書くにはまだ調べなければいけない事がたくさんあると言った。
マリエルは物語の妖精から頼まれた事もあり、ヘイゼルに何か手伝える事はないかと聞いてみた。
喜んだヘイゼルはキャシーとアーヴィンがお互いどのように思っているか、調べて欲しいという。
「アーヴィンも?」「だって、王子さまにはお姫さまがつきものでしょ?」
「それはそうだけど、あのふたり仲悪いし…。」「あれは、仲が悪いってのとは違うと思うわ。」
おませなヘイゼルは二人の気持ちを見破っていたようだった。

マリエルはパン屋の手伝いをし、キャシーにアーヴィンの事をどう思っているか聞く機会を伺う。
「あー、今日もよく働いた~!」キャシーが大きく背伸びをする。
「キャシーはよく動くもんね。」「元気なのがあたしの取り柄だから。ねえ、男の子って
やっぱりヘイゼルみたいなのが好きなのかな?」と突如切り出すキャシー。何か悩みがあるようだ。
「どうして?」「だってほら、ヘイゼルって都会的で上品だし、なんか守ってあげたい、って気分になるじゃない?」
「そ、そうかな。」「あたしなんて気が強くてはねっかえりだし、あたしが男の子でもヘイゼルを選ぶと思うわ。」
「男の子って、たとえばだれ?」「え。だれって…。ちがうわよ。あいつのことじゃないよ。」と照れながら否定する。
「アイツって?」「だれでもない、だれでもないわ!」キャシーはますます焦り、頭を冷やすといって外に出て行った。

334 :リーヴェルファンタジア ~マリエルと妖精物語~:2008/02/29(金) 02:51:17 ID:sztljTzo0
マリエルは牧場の手伝いをし、アーヴィンがキャシーの事をどう思っているか聞く機会を伺う。
アーヴィンは牧場の仕事を手伝ったマリエルに素直にお礼を言った。
「アーヴィンってあたしとだとふつーに話せるじゃない。どうしてキャシーとだといつもケンカになるの?」
「オレのせいじゃないアイツがいつもつっかかってくるんだ。」
少し前にもヘイゼルはお嬢様なんだから近づくなと凄い剣幕で言われたらしい。
「アーヴィンって、ヘイゼルのことスキなの?」「な、なんでそうなるんだよっ!そりゃ…ヘイゼルって、
確かにキレイで上品だし、ちょっと憧れるけど…。」「けど?」「…なんでもない。」
そういうと、再度仕事のお礼を善い決まりが悪そうにその場を去っていった。

ある日、街でアーヴィンがキャシーをおんぶして歩いているのを見かけるマリエル。
どうやらキャシーが足を怪我してしまったらしい。見られたら恥かしいから降ろしてくれと言うキャシー。
アーヴィンはその時マリエルの存在に気がついた。「だれかって、だれだよ。」「だれでもよ。マリエルとか…。」
「…よう。」アーヴィンがマリエルに挨拶をした。「あ、ああっ、マリエルっ!」「やほー。」マリエルも手を振る。
「ち、違うのっ!…あたし足をくじいちゃったから、こいつが勝手にっ。そんなんじゃないのよっ。」
「…マリエルはなにも言ってないだろうが。」アーヴィンは冷静に突っ込みをする。
うろたえるキャシーに配達先が残っていないかと聞くアーヴィン。最後の配達先はヘイゼルの家だという。
3人はヘイゼルの家に向かった。キャシーをヘイゼルの家に置き、仕事が残っていると足早に帰ろうとするアーヴィン。
それをキャシーが引き止める。「…どうして、たすけてくれたの?」キャシー顔真っ赤にしてそう聞くと、
「バーカ、パンの配達が遅れたらみんな困るだろ。べつにおまえのためじゃないからな。」
「なっ…。なによバカっ!アーヴィンなんか死んじゃえ!」と叫んだ。
ヘイゼルはキャシーが痛めた足を見て、捻挫と判断。湿布の準備をする。
「いいな、ヘイゼルは…。」「なにが?」「だって…。」
マリエルが本の続きを書けたかと、ヘイゼルに確認をする。キャシーもヘイゼルが書いた本に興味を持ち、
3人で見る事になった。
「…塔から助け出されたお姫さまは、ぶっきらぼうなお礼だけをのべて、去ってしまいました…
人づきあいがヘタで、感謝の気持ちや優しい心を、態度でしめすことができないのです。
…あまりの態度に腹を立てた王子さまですがお姫さまのことが気になってしかたありません
けれども王子さまも勝気で意地っ張りだったので、自分から仲良くしようという気にはなれなかったのです。」
それを聞いたキャシーは、自分達のことがモチーフになっているとは露にも思わず、困った王子さまだと笑う。
マリエルはそれを見て苦笑いをする。その時、牧場の犬ジョリーが3人の元へと訪れた。

ジョリーはキャシーが怪我をして動けなかった時もアーヴィンを呼んでこれるような頭のいい犬であった。
そのジョリーが3人の元に来たということは…と、キャシーが不安そうな顔でアーヴィンの身を案じる。
3人は急いで牧場に向かう事になった。

牧場に着いた3人。ベッドの上には過労で倒れ転倒時に頭を強く打ち、意識が戻らないままのアーヴィンがいた。
自分が死んじゃえと言ったからと、責任を感じるキャシー。それは違うという2人の説得も届かず、
疲れていたのにおんぶをさせてしまった自分の責め「もしアーヴィンがホントに死んじゃったら…。」と泣き出す。

家に帰ると願いの花がつぼみをつけていた。
つぼみに触るとヘイゼルの想いがマリエルに伝わってきた。
「ことばにはちからがある。ってお父さまはよく言ってたわ。なんの気なしに言ったことが、
鋭利な刃物以上にひとを傷つけることがあるって。キャシーもアーヴィンも、おたがいを、そして自分自身を
傷つけているんだわ。あたしに、なにかできるのかしら。ことばにこころをのせて、ひとからひとへ。
伝えてあげることができるのかしら。キャシー…アーヴィン…マリエル…。
あたしのだいじなともだちのために、あたし、なにかをしてあげたい…。」

335 :リーヴェルファンタジア ~マリエルと妖精物語~:2008/02/29(金) 02:51:51 ID:sztljTzo0
翌日ヘイゼル誘いにより、マリエル、ヘイゼル、キャシーはアーヴィンのお見舞いに行く。
アーヴィンはまだ目を覚ましていなかった。再び自分を責めるキャシー。
「あなたには、言わなくちゃいけないもっとべつの言葉があるはずよ。
もっと素直な言葉で、ほんとうの気持ちを言えばいいだけなのに。」とヘイゼルはキャシーに言った。
ヘイゼルはそっと物語を読み始めた。
その時、願いの花のつぼみが開き奇跡が起きる。【友情】の妖精の誕生。
マリエル、ヘイゼル、キャシー、そしてアーヴィンはヘイゼルの物語の中に取り込まれた。

気がつくと、マリエルは大きなとんがり帽子を被り見知らぬ場所に居た。
目の前にはお姫様の格好をしたアーヴィンがおり、ヘイゼルの本の中に居る事を知る。
「あ~れ~、おまえはイジワル魔女!わたくしを、どうするつもり~?」(アーヴィンが凄い棒読みをする)
私イジワル魔女の役なのぉ、ひどいよヘイゼル~とマリエルは軽くショックを受ける。
「イジワル魔女は、お姫さまに魔法をかけて眠らせてしまいました。」とヘイゼルのナレーションが流れる。
「え?」戸惑うマリエルに繰り返し同じナレーションが流れる。「え、魔法?」首をかしげるマリエル。
「いいから早くしなさい。」とヘイゼルが怒る。配役に納得していないマリエルは「わ、わかったよぅ。」と
渋々アーヴィンに魔法を掛けた。あ~れ~・・・・パタ。とアーヴィンが別途に横たわった。
そこに妖精に扮したヘイゼルと王子に扮したキャシーがやってくる。
「やほー。ヘイゼル、キャシー!」手を振って二人を迎えるマリエル。
「お前はイジワル魔女!わたしの森から早々に立ち去りなさい!」とヘイゼルがマリエルに詰め寄る。
「そんなぁ。あたしも続きみたいよ。」ごねるマリエルにヘイゼルがすみっこで見てていいからとそっと耳打ちする。
魔女は呪いが解けなければ姫は眠ったままだと言い残し、それじゃね~、とその場を後にした。
「…いまいち格調低い魔女でしたが、姫にかけた呪いはおそろしいものです。」ヘイゼルはキャシーに伝える。
このままでは姫は100年の間は眠ってしまうと。心配そうに姫アーヴィンを見つめる王子キャシー。

悲しそうな王子にヘイゼルが魔法を授けるという。
姫の呪いを解くことが出来る魔法、それは本当は誰もが持っている魔法。
自分の心に素直になり、心からの言葉をつむげば呪いは解けるのだという。
「…はい!」キャシー王子は意を決して姫のもとに行く。
そこでキャシーはアーヴィンに語りかける。アーヴィンが本当は優しい事を知っていると、アーヴィンが居なくなったら
あたしはどうしていいか分からないと、アーヴィンが他の子を好きでも我慢すると。「だからお願い、目を覚ましてよ…。」
王子の言葉は姫に届いた。姫はむくっと起き上がる。「オレ夢でも見てるのか?」マリエルとヘイゼルは首を2回縦に振った。
今自分が居る世界は夢の世界、そう思ったアーヴィンはキャシーの方へ振り向き思いを伝え始めた。
「おまえ、今聞き捨てならないことを言ったよな?オレがいつ、ほかのコを好きになったって?」
「だってアーヴィン、ヘイゼルが好きなんでしょ?」「はぁ…?オレがいつヘイゼルのこと好きだって言ったよ?」
キャシーはヘイゼルに対するアーヴィンの態度が親切でぎこちない事からそう思っていた。
「おまえな…」何かを言おうとしてたアーヴィンをキャシーが「いいのわかってると。」と遮った。
ヘイゼルは綺麗で優しく、アーヴィンが好きになるのも無理はないと。
「あたしなんか気が強くてはねっかえりだし…。」顔を伏せるキャシーに、
アーヴィンが「それに、あわてもののおっちょこちょいだ。」と付け加える。
「うん、そう…ってそこまで言うことないでしょ!」
「なあ、オレが好きなのはおまえなんだよ。」アーヴィンがついに切り出した。
「うそっ」手で口を押さえ頬が赤く染まるキャシー。「ウソじゃないって。」
アーヴィンは立ち上がり、夢だと思えばいえなかった事がスラスラ言えると、今まで抑えていた気持ちをキャシーに伝える。
「もっかい言うぞ。オレはお前が好きなの。」「…夢みたい。」「だから、夢だろ?」
二人は夢から覚めてもこの夢を忘れないと誓いあった。そして4人は本の世界から飛び出した。

336 :リーヴェルファンタジア ~マリエルと妖精物語~:2008/02/29(金) 02:52:23 ID:sztljTzo0
元の世界に戻ってきた4人。心配かけさせて、馬鹿!と言うキャシーに、馬鹿という方が馬鹿なんだぞと対抗するアーヴィン。
二人の何時も通りの言い争いが辺りに響く。
マリエルとヘイゼルはこの二人の関係はこれでいいんだと、二人を放っておいてアーヴィンの家を後にした。
ヘイゼルが本を開くと、本のページが真っ白になっていた。本の上には物語の妖精が立っており、マリエルにしか見えない。
物語の妖精はマリエルに物語が完成して飛び立てると礼を言い、空に去っていった。
「きっと、物語が完成したから、物語の妖精になって飛んでったんだよ。」マリエルが囁いた。「…ステキな考えね。」
「でも、ヘイゼル一生懸命に書いたのにね。」「いいのよ。あの物語は、あのふたりのものなんだもの。」
今度はもっといい役で出演させて欲しいと頼むマリエル。ヘイゼルはにっこりと微笑み考えておくわと言った。
「でもさ、ヘイゼル。アーヴィンがお姫さまってのはやっぱりヘンだよ。」
「ええ、どうして?ソコがいちばんおもしろいトコなのにっ。」
「ヘイゼルって、やっぱりヘンだよー。」マリエルが笑い歩き始める。
「ヘンじゃないってば~!こら待ちなさい!」ヘイゼルが笑顔でマリエルを追いかけた。

借金ノルマを返済し4月を終える。

366 :ゲーム好き名無しさん:2008/03/02(日) 07:02:39 ID:yQVKg0p90
土日に入って気合入れて書こうかと思って、仮眠とったら24時間経ってました(;´Д`)もうダメポ…
これを書く上での悩みは9月を書くべきかどうか。
リーヴェルを語る上で、9月ってあんまり必要ない気がするんですよね。
街の住人殆ど関わらないし、尻切れの置いてけぼりだし、ハートウォーミングしないし('A')
8月終えてから考えます。それでは続きの5月を。

367 :リーヴェルファンタジア ~マリエルと妖精物語~:2008/03/02(日) 07:03:56 ID:yQVKg0p90
●5月
ヘイゼルが街に旅芸人の親子が来た事をマリエルに伝えに来た。2人は街の噴水広場に向かう。
噴水広場には既に街中の人々が集まっていた。芸人の出し物は大盛況のうちに終わった。
途中、出し物に身体を張って参加したマリエルに、旅芸人のニールが礼を言い、
共に芸を行った娘のホリーを紹介した。
ひとしきり自己紹介を終えた後、ニールはホリーのカバンの金具が壊れているのを発見した。
ホリーは壊れた原因に心当たりがなく不思議そうにしていた。
「この街には、腕のいい革細工職人がいましたね。」ニールがマリエルに聞く。「ゲイリーさんのことかな?」
「もうしわけありませんが、ホリーをそこへ連れていってもらえませんか?わたしは片づけがありますので。」
「うん、いいよ。ホリー、いこっ!」「はいです!」
ニールの頼みを聞き入れ、マリエルはゲイリーの家にホリーを連れて行くこととなった。

二人はゲイリーの家に入った。「こんにちはっ!」「マリエルか?…なんの用だ。」
街では偏屈で通っているゲイリーは、とても歓迎しているとは思えない声でマリエルに返事をした。
マリエルは客を連れてきたことを伝えた。
「見かけん子だな。」「ホリーです。はじめましてです。」ホリーは行儀良くお辞儀をした。
「そのカバンか…。」ゲイリーは視線を落としカバンを凝視する。
「母の形見なんです。直して貰えますか?」とホリーはゲイリーにお願いをした。
ゲイリーはカバンを感慨深そうに見つめ、受け取り修理を始めた。
その間二人は、ゲイリーの家の壁にかけられていた虹の絵画を鑑賞する。
「すごくキレイな虹だね。」「こういう虹、見たことあるです。小さなころ、お母さんといっしょに。」
ゲイリーはあっという間にカバンを修理し、ホリーへと返した。お礼をいい、御代を聞くホリー。
しかしゲイリーは二人を追い払うように、さっさと出て行ってくれと言った。

家を追い出された二人。「怒らせちゃったですか?」ホリーが申し訳なさそうに言った。
「わかんないけど、どうしてだろう?いつもはあそこまでヘンクツじゃないのに。」マリエルにも理由が分からなかった。
「でも、怒っているというより…。」「寂しそうだったです…。」

数日後マリエルの住む小屋にホリーが訪ねてきた。
花がたくさん咲いている場所をマリエルに案内して欲しいと言う。
お安い御用と、マリエルとホリーは街にある見晴らしの丘に向かった。

ホリーは花を摘み、編み始める。綺麗な花輪だけど編み方が変わっているねと、マリエルが言うと、
ホリーは母に教わり、母は母の父に教わったと言う。程なくして花輪は出来上がったが、
誰に渡すのだとマリエルが聞くと、ゲイリーにカバンの修理のお礼として渡したいとホリーは言った。
二人はゲイリーの家に向かう事になる。

ゲイリーは礼なんぞいらんと言ったろうがはずだと、受け取りを拒否しようとするが、
ホリーが花束を抱え、「あの…このあいだはありがとうです。」と言うと、ゲイリーの脳裏に過去の記憶が蘇った。
それはゲイリーの娘ティナがゲイリーに花輪の編み方を教わり、そのお礼に花輪をプレゼントした時の記憶だった。
我に返ったゲイリー。「…これを、ワシに?」「はいです。」「…そうか、ありがとよ。」
花輪を渡したホリーが少しゲイリーに近づく。「お仕事するとこ、見ててもいいですか?」ホリーがゲイリーに尋ねた。
「…そうおもしろいもんじゃなかろうに。」「そんなことないです。魔法をみてるみたい。」
「ふん…ヘンなところが似るもんだ。」ゲイリーは少し懐かしそうな顔をした。

マリエルが小屋に帰ると、フィオナがホリーについて変わったところがないか?とマリエルに尋ねた。
「うーんと…言葉が少しヘンかな?」「そういうことじゃなくて。」そういうことじゃないらしい。
フィオナはホリーに妖精の存在を感じると言い、次にあった時注意してみて欲しいとマリエルに伝えた。

368 :リーヴェルファンタジア ~マリエルと妖精物語~:2008/03/02(日) 07:09:38 ID:yQVKg0p90
ある日、噴水広場でホリーを見かける。マリエルがホリーに挨拶をすると、
ホリーはそろそろ次の街に行くことになりそうだと、マリエルに伝えた。
「さよならを言うのは、また会うためのおまじないなんだってお母さんが言ってたです。」
「そっか、なら、また会えるよね。」「はい。」「お母さんって、ステキな人だったんだね。」
「虹は心の架け橋なんだって、いつも言ってたです。たとえ遠く離れていても、心はつながっているんだって。
だから、お母さんは虹になったです。会いたい、と思えば心に虹がかかる。そらに虹がかかったときは、
お母さんがホリーのことを思ってくれてるです。」
その後ゲイリーの所にお別れの挨拶に行くということなのでマリエルも同行する事となった。

ゲイリーの家に入った二人。「ゲイリーさん?」ホリーがゲイリーを呼んでもゲイリーは二人に背を向けたままだった。
「…ホリーか、なぜ来た?」「ゲイリーさんに、さよならを言おうと思ったです。」
「よけいなことを。…黙って去ってくれた方が、まだなかったことと思えたのに。」ゲイリーの言葉は小声だが力強かった。
「またいつか会うために、さよならを言うんだって、お母さんは言ってだです。だから、さようならです。」
ゲイリーが二人の方を振り向いた。
「虹が出たら、ホリーのことを思い出してください、ホリーもきっと、ゲイリーさんのことを思い出すです。」
その言葉を聴いたゲイリーの脳裏に再び過去の情景が思い浮かぶ。
「虹が出たら、わたしのことを思い出してね。」「待て、待ってくれティナ。」
「…どこに居ても、父さんのことを思っています。」「ティナ!」それは、娘ティナとの最後の会話であった。

気がつくと、ゲイリーはホリーの肩を強く掴んでいた。
「…あの男は、…お前の父はどこに居る?」「お父さんは…宿屋に。」「よし、行こう。」
「…あの、ゲイリーさん?」「ティナ…、二度は行かせんぞ。」
ゲイリーはホリーを連れ立って宿屋へ向かった。

ゲイリーとマリエル、ホリーは宿屋につく。
「久しいな。」ゲイリーはニールに話しかけた。ニールは深々と頭を下げ
「ごぶさたしております。きづいていただけるとおもっていました。」と答えた。
(恐らくニールはホリーのカバンの金具を意図的に壊した)
「わからいでか、あのカバンは、ワシがティナのためにこさえた、唯一無二のものだ。」
「こうでもしなければ、会っていただけないかと思いました。」
「もちろん、覚悟があってのことなんだろうな。」「…そうです。」
「いいだろう。この子はワシが引き取って育てる。異存はないな?」
「はい。ホリーを、よろしくお願いします。」
ホリーは状況が飲み込めていなかった。ニールはホリーが母親の父親、即ち祖父である事を伝える。
そして、ニールはホリーに今後はこの街でお爺さんと一緒に暮らすようにホリーに言った。
一人になる父親を心配するホリー。「そんなのいやっ!あたしもお父さんといっしょに行く!」懇願するホリー。
「いい子だから言うことを聞くんだ。ホリー。」「お父さんは、あたしがいらなくなったの?」
「ちがうんだよホリー。おまえのためを思って…。」「ばかっ!お父さんのばかっ!」
ホリーは宿屋の自室へと駆け込んでいった。
ニールはホリーの説得に暫く時間が欲しいとゲイリーに伝える。
ゲイリーは今もニールを憎んでいるが、ニールがホリーと共にこの街に残るなら拒むものではないと言った。
「いえ、わたしは…。」「そうだな。それができるくらいなら、あのときワシから娘をかっさらって逃げることもなかっただろう。」
ゲイリーは宿屋を後にした。

マリエルはニールが何故ホリーを置いていくのか理解が出来なかった。ホリーは父親といっしょに行きたがっているのにと。
その方がホリーの幸せのためにはいいと、自分と一緒にいたら母親と同じように不幸にさせてしまうと、
ニールは寂しそうに言った。

369 :リーヴェルファンタジア ~マリエルと妖精物語~:2008/03/02(日) 07:11:15 ID:yQVKg0p90
マリエルは宿屋のホリーの部屋に行く。
ホリーはこのような状況でも涙を流していなかった。泣いたら子供みたい、子供だから置いていかれる。
早く大人になって自分のことを自分で決めれるようになり、お父さんに同行したいと。心から願っていた。
しかし現実の別れが近づいていることはホリーも感じていた。

家に帰ると願いの花がつぼみをつけていた。
つぼみに触るとホリーの想いがマリエルに伝わってきた。
「あたしどうしたのいいの。教えて、お母さん…。お母さん…。虹が見えないよ…。」
ホリーは泣いていた。「…ホリー、人前では泣いたことないのに。やっぱり、つらいんだね。」
その頃から街に降り止まない雨が続いた。
フィオナはその雨を妖精の仕業に決まっていると断言した。
「きっと、お天気妖精のだれかがヘソを曲げて雨を降らせているのに違いないわ。
しかも、このわたしがお洗濯する日によ!きっとよそ者か、そうでなきゃもぐりの妖精だわ。」
雨を降らせている妖精に思い当たる節があるのか、マリエルが小屋を飛び出した。
洗濯が出来ないから服を汚さないでというフィオナの願いも振り切って。

宿屋についたマリエルはロビーにいたニールに話しかける。
ホリーやホリーの母親ティナと旅をしていた時は、雨に祟られる事は殆どなかったと言う。
もしかしてら自分は幸運の女神と旅をしていたのかも知れないと、
だとしたら、これからの旅は苦労するものになるかもしれないと悲壮感を漂わせていた。
ホリーを連れて行ってあげればいいのにというマリエルに、
自分がホリーの母親を苦労させてきたことを悔い、これ以上自分の我がままでホリーを苦しめたくないと言う。
そして2,3日中に雨が上がることが無ければこのまま街を後にすると話した。

宿屋のホリーの部屋に入るマリエル。無き疲れているのか、ホリーはベッドに横になったままマリエルには気がつかない。
マリエルはホリーのバッグに住まう妖精を探し当てた。
カバンの妖精?と聞くマリエルに「ちがうわよっ!あたしはジニー、お天気妖精よ。」と答えた。
妖精の名はジニー。ジニーはホリーのために今雨を降らせているのだと言う。
お天気妖精なら虹を掛けることができるかと聞くと、あんな何にも知らないのねとばかりに、
タイミングよく虹を掛けるには虹の妖精が必要だとジニーはマリエルに教えた。
「虹の妖精、いる?」マリエルは首を横に振った。「そう…じゃ、しかたないわねー。」「そ、そんなぁ…。」
マリエルのがっかりした反応を見た後、ジニーは得意げな顔をする。
「あんた運がいいわ。なーんと、いまアタシが持っているコレ!じゃーん!」ジニーがくるりと二回転すると、
その手には虹色の卵が握られていた。「…虹色の卵だね。」マリエルが率直な感想を述べると、
ジニーが振りかぶってぽかりとマリエルの頭を叩く。
「いったーい。なにするのっ。」「アタシのセリフ先取りするんじゃないわよ。コレ、この虹の卵。」
「…そのまんまじゃん。」「うるさいわねっ。」
ジニーは虹の卵を聖なる泉に沈め、希望の光を当てると虹の妖精が孵化するという。
「ほ、ほんと?」「ジニー、ウソつかない。さ、今なら先着1名様プレゼントよ!」
「わーい、やったー!」「じゃ、がんばって、りっぱな虹の妖精を連れてきてねっ。」
「うん、ありがとう!」「いいっていいって、じゃあねー!」ジニーがバッグの中に吸い込まれるように隠れた。
あれ?っとマリエルは少し頭をひねる。「…ねえ、聖なる泉ってどこにあるの?」ジニーの返事はなかった。
「…もしかして知らないの?」ジニーの返事はなかった。
「あーっ!自分が知らないから、あたしに押し付けたんだっ。ずるーい!」素っ頓狂な声で抗議をする。
が、その大きな声で寝ていたホリーが目を覚ましそうになってしまう。マリエルは手で口をふさいだ。
「うーん…。お母さん…。」泣きつかれたのだろうか、ホリーが目を覚ますことはなかった。
「しかたがないか…ホリー、待っててね。」マリエルは部屋を後にした。

370 :リーヴェルファンタジア ~マリエルと妖精物語~:2008/03/02(日) 07:12:20 ID:yQVKg0p90
小屋に戻るマリエル。フィオナは、聖なる泉は四大の迷宮(地・水・火・風)のどこかにあると言った。
その情報を元にマリエルは四大の迷宮を巡る。

地の迷宮で聖なる泉を発見したマリエル。産み出した妖精達の力を借り、虹の卵を聖なる泉に沈め、
希望の光を当てることに成功。無事に虹の妖精ユルングルとリンクをした。

雨は一向に降り止まなかった。虹の妖精を得て宿屋に急ぐマリエル。しかし、ニールは既に宿を出て、
ホリーを預けにゲイリーの家に行ったと言う。マリエルはその足でゲイリーの家に急いだ。

ゲイリーの家の前。
ニールはゲイリーにホリーを託し、旅にでるところだった。
「…お母さん…お父さんが行っちゃうよ。」泣きそうな声のホリー。
その時、ホリーのカバンからジニーが飛び出し空に立ち込めていた雲を払った。マリエルも虹の妖精を放す。
2人の妖精の働きにより、空に見事な虹が掛かる。

その時、願いの花のつぼみが開き奇跡が起きる。【希望】の妖精の誕生。
虹をバックにゲイリーの娘ティナが降りてくる。
「あなた…お父さん…あたし、不幸なんかじゃなかったわ。それだけを伝えたかったの。心がつながって、よかったわ。」
「ティナ…。」「ティナ!」ゲイリーとニールがティナの名を呼ぶ。
「しあわせだったの…ありがとう…。」空を見上げるニール。ティナは虹の中に消えていった。
後ろから元気な声でホリーがニールを呼ぶ。「お父さんっ!お母さん、お母さんが見せてくれたのね!」「…ああ。」
「あたし、お父さんといっしょに行くよ!イヤだって言ってもついていく。」ホリーにはもう迷いがなくなっていた。
「…その子のしあわせがすべてだ。そうじゃないのか?」ゲイリーの言葉にはもうトゲはなく、声はとても優しい。
ニールはゲイリーに深々と頭を下げた。
「あたし、おじいさん大スキ!きっと、また会いにくるからね!」ホリー屈託のない笑顔で元気に言った。
「おうよ。楽しみにしておるわい。」ゲイリーは旅立つ二人を暫く見送っていた。

二人が去った後。さみしい?とゲイリーに聴くマリエル。ふん、別に今までと何にも変わらないと強がるゲイリー。
「…ホントに意地っ張りなんだから。」「ほっとかんか。」
「ホリーの代わりに、あたしが遊びに来てあげるね。」「来んでいい。仕事の邪魔だ。」
「えー、そんなのひどーい!」ゲイリーの手を引っ張るマリエル。「わかったわかった。だからやめんか。」とゲイリーが笑う。
そこにはもう偏屈と言われ続けた年寄りの面影はなくなっていた。

借金ノルマを返済し5月を終える。

続く

34 :リーヴェルファンタジア ~マリエルと妖精物語~:2008/03/04(火) 02:21:32 ID:i/yIZ8yP0
●6月
水晶鉱山の経営者ケヴィンの使いで、ケヴィンの娘シャロンがマリエルの小屋へやってきた。
ケヴィンが普段はマリエルの父イアンに依頼していた仕事をマリエルに代わりにやって貰いたいらしい。
父親が受けていた仕事ならばと、マリエルは快諾する。
シャロンが家に帰った後、マリエルはフィオナに父の仕事の内容を尋ねた。
「水晶鉱山って妖精が開いたって伝説があるのよ。キンバリー一家(ケヴィンの一家)は代々その妖精の許しを受けて、
水晶を掘ってるんですって。」
そして、イアンの仕事とはその鉱山に棲む妖精に関わることではないかと推測する。
「ケヴィンは、旦那さまが妖精使いだって知ってるわ。マリエルにも同じことができると思ってるんじゃないかな。」
父の代わりなら頑張らなくてはと意気込むマリエル。
出かけしなにフィオナは、最近鉱山で落盤事故があった事をマリエルに伝えた。

鉱山の前にあるケヴィンの家を訪ねるマリエル。
シャロンが出迎えるが、ケヴィンは今鉱山の中にいるのでそっちの方を訪ねて欲しいと言われる。
それじゃあと鉱山の方に歩き始めるマリエル。
暫くして、シャロンがマリエルに伝え忘れた事があるのか、マリエルを追いかけ鉱山の方に向かった。

鉱山に入ろうとしたマリエル。しかし、中から出てきた人間にぶつかり転倒してしまう。
尻餅を着いたマリエルに手を差し伸べたのは、口の周りに見事な髭を蓄えた青年であった。
「ケガはなかった?」「うん。だれ?」マリエルはその青年に面識がない。誰かと尋ねると、
「そういうきみは?」と、優しく聞き返す。「あたし、マリエル。」「マリエルか…いい名前だ。」
「ありがとう。」「ぼくも、いちおう名前はつけてもらったんだ。」自分の胸に手をあて風変わりな自己紹介をした。
後ろからシャロンがその青年の名前を呼んだ。「グッドマン!」「…というのが、僕の名前だ。」
シャロンはグッドマンをマリエルに紹介したかったらしいが一足遅かったようだ。
「いま友達になったところさ。」グッドマンはシャロンに説明した。
グッドマンはシャロンに食事の支度の為に薪を拾ってきて欲しいと頼まれ、美味しい食事のために頑張るといい、
意気揚々にその場を後にした。
「なんか、ヘンな人だね。」「そう?」「名前をつけてもらったって、どういうこと?」
少し前に鉱山で落盤事故があり、その時グッドマンは鉱山の中で頭を怪我して倒れていたと言う。
それを鉱山の経営者ケヴィンが助けたのだと。その所為でか彼は自分がどこのだれだか覚えていないらしい。
「それでグッドマン?」「いい人なのよ。まじめで、優しくて。」シャロンはにっこりと微笑んだ。
「ふーん。」「なあに、あたしの顔になにかついてる?」「ううん、なにも。」
シャロンは鉱山の中にケヴィンがいるとマリエルに言い、その場を後にした。

鉱山の中でマリエルはケヴィンと会い、仕事の内容を確認する。
ケヴィンは、妖精の許しを得ていないものが鉱山に入ると鉱山の主である気難しい妖精が落盤を起こしてしまう事を説明した。
先日の落盤事故の原因をその鉱山の主に聞いて欲しいと言うのが仕事の内容だった。
マリエルは周りを見回し、辺りには妖精が居ない事をケヴィンに伝えた。
そして、さらに奥に進もうとした時、ケヴィンに呼び止められる。
鉱山の坑道は落盤が起きた後も復旧されておらず、未だ危険らしい。
その為、マリエルの仕事は坑道が復旧されるまで延期されることとなった。

35 :リーヴェルファンタジア ~マリエルと妖精物語~:2008/03/04(火) 02:23:14 ID:i/yIZ8yP0
数日後、鉱山に行く道でマリエルはグッドマンと出会う。大きな石に腰を掛け、話す二人。
グッドマンが神妙な顔で君は噂を聞いてないか?とマリエルに尋ねる。どんな噂なのと聞き返すマリエル。
「ぼくが、水晶を狙う盗賊団の一味だって話。」「まさかー、そんなはずないじゃない。」
グッドマンは、自分が倒れていた場所とその噂が無関係だとは思えなかった。
それをシャロンに言った?とマリエルが怒りながら聞く。グッドマンはシャロンにも同じ事を言ったが、
根拠がないと言われ怒られたらしい。マリエルもシャロンに同感であった。
「…でもぼくは、きみやシャロンほど自分を信じることはできない。」
グッドマンは手に握ったペンダントを見つめている。そのペンダントは?とマリエルが聞くと、
事故にあって救出された時、唯一持っていたものだと言う。
グッドマンは最近、同じ夢を繰り返し見るのだとマリエルに話す。
深く暗い洞窟を降りると開けた所に出る。そこには深紅の水晶があり、
手を触れようとすると突然目の前が真っ暗になり、目を覚ますのだと言う。
「いかにも水晶泥棒が見そうな夢だろう?いずれにしろ、失われた記憶が見つかるとしたら
鉱山の中にそのカギがあることは間違いないんだ。」

数日後、ケヴィンの家を訪ねると家の前に
ケヴィンとその娘シャロン、それに向き合う中年太りの警察官チャンドラーがいた。
チャンドラーはグッドマンを盗賊団の一員と見なし、身柄を拘束しに来たという。
ケヴィンは礼状がなければ渡すことは出来ないと断固拒否、銃で脅されても一歩も退かなかった。
銃を構えられたケヴィンの前に立つシャロン。「あの人は盗賊団なんかじゃないわ!だから帰って!」
チャンドラーは二人がグッドマンに騙されている、記憶喪失も芝居のうち、
少々痛めつけてやれば直ぐに思い出すと言いにやりと笑う。
「そんなことさせないわ!」ケヴィンはシャロンの肩を持ち横にずらし、
「彼を引き渡すわけにはいかん。さっさと帰れ。」とチャンドラーに言った。
何の得があってかばうのかとチャンドラーが聞くと、
「家族のために身体を張るのは家長のつとめだからな。」と答えた。
チャンドラーはこのままで済むと思うなと捨て台詞をはいて去っていった。

家に帰ると願いの花がつぼみをつけていた。
つぼみに触るとグッドマンの想いがマリエルに伝わってきた。
「…ぼくは何者なんだ。あの鉱山でいったいなにをしていたというんだ。あのチャンドラーという男…。
何故か不吉な胸騒ぎがする。このままでいいはずがない。なんとしても…記憶を取り戻さないと。妖精の許し…。」

マリエルはフィオナに人間の無くした記憶を取り戻す方法はないかと尋ねると、それは妖精の領分を越えていると答えた。
そして、鉱山の中で何があったかヌシに聞くのが一番だといい、マリエルは再び鉱山の中に赴くことになる。

鉱山はある程度復旧されていた。しかし、入り口付近で妖精ドワーフにここから先は通さないと足止めをされる。
鉱山の奥に紅い水晶があるならば、その場所にグッドマンを連れて行きたいと頼むマリエル。
ドワーフは妖精をも酔わすことが出来る強烈な酒を持ってくることが出来れば頼みを聞いてくれるという。

四大の迷宮の一つ、火の迷宮を探索するマリエル。最深部にて炎の酒が湧き出る泉を発見。
泉を守る妖精イフリートの試練を超え、炎の酒を手に入れるのだった。

再び鉱山に向かうマリエル。ドワーフに炎の酒を渡すと、ドワーフはぐびぐびと呑みフラフラに酔っ払い尻餅をつく。
約束を果たしてくれと言うマリエル。ドワーフは腰を抜かしてしまったらしく、立つことができない。
ドワーフは、どうせ妖精の許しが無ければ鉱山の奥へ通すわけには行かないので、
ケヴィンの家から妖精の許しを取って来いとマリエルに言った。マリエルはケヴィンの家へと向かった。

36 :リーヴェルファンタジア ~マリエルと妖精物語~:2008/03/04(火) 02:24:18 ID:i/yIZ8yP0
ケヴィンの家を訪ねるマリエル。ドアを開けた時、グッドマンが飛び出してくる。
急いでいるのか、ごめん!と一言謝ると足早に鉱山の方へと向かっていった。

ケヴィンの家に入ったマリエル。
シャロンが妖精の許しがなくなっている事をマリエルに説明した。ケヴィンが黙ってドアを出ようとする。
「どこに行くの?」シャロンが聞くと、「妖精の許しを手にしたヤツが行くところなんぞ決まっておる。」と答えた。
「待ってよ。父さん。」「悪人があれを持って鉱山に入ったら、まず生きてはでられん。」「グッドマンは悪人じゃないわ!」
「それを判断するのはワシらではない。犯した罪はつぐなうことができる、だがヌシはそう思ってはくれまい。
悪人だろうが善人だろうが、わしらの大切な家族を死なすわけにはいかん。」「待って!あたしも行く。」
「鉱山が崩れるかもしれん。ここに残っていろ。」「彼を信じてるから、怖くないわ。あたしひとりでも行く。」
「どうも、娘の育て方を間違えたようだ。」「父さんに似たのよ。」「…時間がない。急ぐぞ。」「はいっ!」
3人は鉱山へ急いだ。

鉱山の入り口では既に妖精の許しを使い、先に進んだ形跡があった。
シャロンがその場でグッドマンのペンダントが落ちているのを見つけ拾い上げた。
奥に進もうとする3人、しかし落盤が起き、3人の行く手を阻む。

道が塞がって進むことが出来なり、立ち尽くす3人。
そこにすっかり酔っ払ったドワーフが再登場。妖精の許しがなければ通すことができないと言うドワーフ。
マリエルはまだ手元に残っていた炎の酒で釣り、今回だけはと鉱山の奥に通じる秘密の入り口の案内をさせるのだった。

鉱山の奥にはグッドマンだけではなく、チャンドラーも居た。
グッドマンとチャンドラーは向かい合い、チャンドラーは銃を構えている。
シャロンがグッドマンの所に駆け寄る。そして、チャンドラーにどうするつもりなのと詰め寄った。
こいつは尻尾を出したんだと、チャンドラーは言う。
グッドマンは安全に水晶を掘るために必要な妖精の許しを持っていた。
記憶喪失を装い、ケヴィンから妖精の許しを盗むチャンスを伺っていたんだとシャロンに説明する。
記憶喪失なのはウソじゃない、グッドマンが言うと、
シャロンは、グッドマンは私達を騙していない、とチャンドラーに強く抗議する。
しかし、シャロンが出した助け舟を否定したのもまたグッドマンであった。
「だけど、それは僕が無実だという証拠にはならないんだ。」何を言ってるの?とシャロンが悲しそうな顔をする。
「証拠ならあるぞ。」とケヴィンが言う。妖精の許しを手にして無事で居ることが悪人ではないことの証明になるのだという。
チャンドラーが何を言おうとグッドマンを連れて行くことは出来ない、正義がないから姑息な真似しか出来ないのだと言った。
それを聞いたチャンドラーは怒り、銃をケヴィンに向けて発砲した。辺りに銃声が響く。
グッドマンはケヴィンの前に立ち、右腕に銃弾を受けその場に膝をついた。「グッドマン!」と叫ぶシャロン。
シャロンの叫びに反応するかのように、その場にある水晶の一つが紅く輝いた。
その時、願いの花のつぼみが開き奇跡が起きる。【正義】の妖精の誕生。
グッドマンはこの鉱山であった記憶喪失前の出来事を全て思い出した。

「全員投降しろ!もう逃げられないぞ!」グッドマンは銃を構えた。
記憶に蘇るのは水晶を盗む盗賊団を追い詰めた時の事だった。
「早く出ろ!急がないと危険だ。」妖精の許しが無いものが鉱山に入れば落盤が起きる。
グッドマンは落盤が起きる前に急いで盗賊団を避難させようとしていた。
しかし、後ろから現れたチャンドラーに不意をつかれ気絶させられてしまう。
「ボス!」盗賊団はチャンドラーをそう呼んだ。「まったく…。こんな青二才にいいようにやられおって。」
盗賊団の黒幕はチャンドラーその人であった。

37 :リーヴェルファンタジア ~マリエルと妖精物語~:2008/03/04(火) 02:25:13 ID:i/yIZ8yP0
「思い出した…オレの名はギルバート。盗賊団を捕らえるために派遣された、特別捜査官だ。」
きゃあ、とシャロンが悲鳴を上げる。チャンドラーはシャロンを掴み銃を突きつけた。
そして、シャロンを死なせなくなければ妖精の許しをよこせと交換条件を出す。
妖精の許しは心正しい人間が持つべきもの、チャンドラーに持たせたら大変なことになると言うシャロン。
しかし、娘の命には代えられないとケヴィンはグッドマンに妖精の許しを渡すように言った。
交換は成立し、チャンドラーは妖精の許しを手にする。
「ふはははは。ここの水晶は全部オレのものだ!」チャンドラーがそういった直後、大きな地響きが辺りにこだまする。
ケヴィン、シャロン、グッドマン、マリエルは急いで避難し、何とか落盤が起きる前に鉱山の入り口にたどり着いた。
しかし、グッドマンの足が止まる。「なにしてるのっ!早く逃げてっ!」と叫ぶシャロン。
「…このままあいつが死ねば、オレの復讐心は満足する。だけどそれじゃダメなんだ。」
「あなたが行くことないわ。自業自得なんだからっ!」
「きみは、オレのことを心正しい人と言ってくれた。オレはそれを裏切りたくない。正しい裁きをあいつに与えたいんだ。」
落盤の中、鉱山の奥を目指して駆けるグッドマン。「待って、グッドマン!」その声にグッドマンは振り向いた。
「オレは、ギルバート!戻ったら、その名で呼んでくれ!」「グッドマーン!」
グッドマンを追いかけてしまいそうなシャロンの肩をケヴィンは力強く抑えていた。

数日後、鉱山の入り口。シャロンは鉱山の前に立ちつくしていた。鉱山はさほど復旧されていない。
「シャロン、ここに居たんだ。」「うん。彼が、帰ってくるかもしれないと思って。」
「あ、それ…ロケットだったんだ。」それは先日シャロンが拾ったグッドマンが落としたものだった。
「そうよ。グッドマンも知らなかったみたいね。」「この写真…」「あたしが知らない、ギルバートというひとの過去。
グッドマン…あたし、あやまりたいのに。」「シャロン…」「お願い…帰ってきて…。」
泣き出すシャロンにマリエルは何も言葉を掛ける事が出来なかった。

借金ノルマを返済し6月を終える。

379 :リーヴェルファンタジア ~マリエルと妖精物語~:2008/03/05(水) 05:45:46 ID:HW0Tjey20
●7月
月初め、いつものように借金取りのアルフレッドがマリエルの元にやってきた。
先月のノルマを達成したマリエルに妖精のレシピを幾つか渡すアルフレッド。
普段はそこでフィオナとの憎まれ口の叩き合いをして戻っていくアルフレッドだったが、今回は違った。
帰り際にアルフレッドは、女の子って何をプレゼントされたら喜ぶものかとマリエルに相談する。
うーん、と首をかしげ考えるマリエル。「レア・マテリアル!」
「もうすこし、女のコらしく夢のあること言えないの?」お世話係のフィオナがちょっとがっかり顔をした。
「もらってうれしいものは、やっぱりお花だと思うの。」「そうか、花か…。」
そこからフィオナは花について鉢植えの方がいいとか、花の種類によっては1年中楽しめるものもあるとか
力説するが、アルフレッドはもうその場にはいなくなっていた。
アルフレッドは誰に花を渡すのか二人は思いを巡らすが答えがでない。
「…ヒミツのにおいがするわね。マリエル、あとをつけなさい。」「えー?」
「あのアルフレッドが女のコにプレゼント…。おもしろいじゃない。」「フィオナ、目がコワイ。」
「つべこべ言わずに、行ってらっしゃい。」「そんなー。」
二人がそんな会話をしていると、錬金術師エリックがマリエルの小屋を訪れてきた。
(エリックは2つのマテリアルを合成し、新しいマテリアルを産み出す錬金術師で、
合成はただでして貰えるが、錬金術に関する書籍を手に入れた場合はエリックに提供するというギブアンドテイクな関係)
エリックは実験に必要なマテリアルの収集をマリエルに頼んだ。
そして帰りしなに、音楽学校に通っている妹のアイリーンが夏休みに入ったため
帰郷していてマリエルにも是非会いにきて欲しいと伝えた。
頼まれてなくても行くよ、とマリエルもアイリーンとの再会を楽しみにしていた。
マリエルはアルフレッドの身辺調査とマテリアルの収集をする事になった。

マリエルが追い出された母屋。アルフレッドは母屋にいたが、話しかけるとソロソロ出かける時間だという。

マテリアルの収集をする為に、迷いの森へ向かうマリエル。森に差し掛かろうとした時、バイオリンの演奏が聞こえたきた。
音がする方へと歩くマリエル。そこで見かけたのはバイオリンを奏でるアイリーンと、それを聞いているアルフレッドの姿だった。
「すごい、すごい、ステキ!」マリエルはパチパチを拍手をすると、アルフレッドがマリエルの方へ振り返る。
「…どうしてここに?」少し驚いているようだった。「あら、その声…マリエル?」
アイリーンは目を瞑ったままマリエルの方を向く。「覚えててくれたの?」
「ええ。目が見えないぶん、耳で聞いたことは忘れないわ。…アルって、マリエルのお友達だったのね?」
アイリーンはアルフレッドの方を向いた。アルというのが誰のことだかわからないマリエル。
アルフレッドの方を見ると何か一生懸命ジェスチャーをしている。マリエルは良くわからず「う、うん。そう。」と答えた。
「なんだ。そうだったの。」アルフレッドはマリエルが来て都合が悪くなったのか、
届け物の途中だったんだろ?手伝ってやると言い、二人でその場を離れる事になった。
「じゃあ、また来るよ。アイリーン。」「ええ、また明日ね。」別れ際に約束を交わした。

迷いの森から離れた二人。一体どういう事情なのかとマリエルがアルフレッドに聞いた。
「…マリエル、頼みがあるんだ。」「な、なに?」「オイラが猫だってこと、アイリーンには黙っててくれないか?」
「あれ、あんた猫モドキじゃなくてホントの猫だったの?」「そうじゃなくて…、なんだよ猫モドキってのはっ。」
「えっ、違うの?どういうこと?」「だからー…彼女はオイラのこと人間だと思ってるんだよ。」
アイリーンは幼い頃視力を失っていた為、アルフレッドの姿を見る事は出来ていない。
「ヒドイよそんなの。アイリーンをだましてるなんてっ!」「人聞きの悪い事言うなよ、彼女が勝手にカンチガイしたんだ。」
「黙ってればおなじだよっ。」「頼むよ、マリエル。」いつもは借金取りという肩書きがある為か、
多少高圧的に接するアルフレッドだか、この時ばかりは神妙な面持ちでマリエルにお願いする。
「…ホントのこと話したほうがいいと思うよ。」「言うときは自分で言うさ。だから…。」
いつまでもこのままでは居られないというのはアルフレッドが一番分かっていた。
マリエルはその気持ちを察する。「わかった。約束するよ。」「ありがとう、恩に着る。」「アイリーンを悲しませないでね。」

380 :リーヴェルファンタジア ~マリエルと妖精物語~:2008/03/05(水) 05:46:35 ID:HW0Tjey20
家に戻り、フィオナにアルフレッドの相手を報告する。
「これがおとぎ話だったら、アルフレッドはじつは呪いで猫に変えられた人間の王子さまで…。」
「なんだか、それ、もしかしたら…。」「まさか…。」冗談で言ったつもりのフィオナも少し考え込んでしまう。
(ここまでの物語の端々でアルフレッドは自分が元人間だとアピールするが、二人は全然信じていない。)

マテリアルの収集を終え、エリックの家を訪ねるマリエル。
エリックの家の煙突からはただならぬ黄色い煙が吹きだしていた。扉を開けると、ひどく煙い。
エリックが家の奥から姿を現し、実験の失敗を伝える。家の外に避難した二人はゴホゴホと咳き込んだ。
一体何を作ったの?とマリエルが聞くと、アイリーンの目を治すための薬を作ろうと思ったが、
材料が足りなく、代用品を使ったらこのような事態になったらしい。
「えっ…アイリーンの目って治るんだ?」「うん、実は薬の作り方はわかってるんだよ。」
しかし月のしずくという材料が足りないのだとエリックは言う。
月のしずくについて書かれていた古文書には「天にあり夜移ろうもの、形なき鏡にて捉える」としか書かれてないらしい。
「なんだか、ナゾナゾみたいね。」だが、アイリーンの為と、マリエルは前向きに探す事をエリックに約束する。
礼を言うエリック。それとアイリーンへの言付けをマリエルに頼む。
家の中の煙さが取れるまで暫く時間を潰して欲しいと。
アイリーンはいつも通り迷いの森でバイオリンの練習をしているらしい。
マリエルは収集したマテリアルをエリックに渡し、迷いの森に向かった。

迷いの森の入り口にはアイリーンだけではなく、またアルフレッドも居た。
マリエルはエリックの時間を潰して欲しいという伝言をアイリーンに伝えた。
また、今アイリーンの目を治す薬を作っていて、月のしずくという材料が足りない事も話した。
「月のしずく…。」それを聞いていたアルフレッドは腕組みをし、何かを考えているようだった。
簡単に手に入るものじゃないんでしょ?お金とか物凄くかかるんじゃないかとアイリーンが心配する。
「わたし、いまのままでいいのに。」「そんなこと言ったら、エリックががっかりするよ。」
マリエルはエリックがアイリーンの目を治すために錬金術の道へと進んだ経緯を知っていた。
アルフレッドが用事を思い出したと切り出し、その場を離れていった。
アルフレッドが居なくなった所で、アイリーンがマリエルに尋ねる。
「…ねえ、マリエルとアルって、どういう関係?」「そりゃ、借金とり…あわわ。」危うく口を滑らす所だったマリエル。
「え、えーと、アルはなんて言ってたの?」「…ビジネス上の付き合いだって…ホント?」
「う、うーん、そうなのかな、そうかもしれない。」決まりが悪そうに答えた。
「アルは自分のことをなにも教えてくれないの。触られるのも嫌がるし。ものすごく自分の外見をきにしてるみたい。」
アイリーンは、もし目が見えるようになったら真っ先にアルに会いたい、彼の正体や見た目なんて自分には関係ない、
それを彼に知ってもらいたいのと言った。

家に帰ると願いの花がつぼみをつけていた。
つぼみに触るとアルフレッドの想いがマリエルに伝わってきた。
アルフレッドとアイリーンが初めて出会った時の事…。
迷いの森でバイオリンを弾くアイリーン。そこにアルフレッドがやってきた。アイリーンは何者かの気配に気づき演奏をとめる。
「だれ?だれか居るの?」「ご、ゴメン。邪魔するつもりはなかったんだ。お、オイラこんな姿してるけど怪しい者じゃないよ」
と、アルフレッドがうろたえる。
「あんまりステキな曲だったから、つい誘われちゃって…。おどかしてゴメン。すぐ消えるから。」
アルフレッドがその場を後にしようとしたとき、待ってとアイリーンが呼び止める。
めったに人が来ない場所だからちょっとびっくりしてしまっただけとアルフレッドに言った。
「こんな場所でオイラみたいなのに会ったら、そりゃびっくりするさ。」アイリーンはくすっと笑う。
「あなた、そんなに怖い顔してるの?」「…え?きみ、もしかして目が…。」「ええ、見えないわ。」「ご、ゴメン。」
「でも、いいこともあるの。怖がらないであなたとお話できるわ。」

381 :リーヴェルファンタジア ~マリエルと妖精物語~:2008/03/05(水) 05:47:23 ID:HW0Tjey20
願いの花に触れたマリエル。「アルフレッド…。」
いつの間にか小屋に入っていたアルフレッドがくしゃみをし、誰かがオイラの噂をしてるなといった。
アルフレッドは仕事の依頼をマリエルにする。内容は水の迷宮の探索、報酬は妖精のレシピ。
水に迷宮に何があるの?と聞くフィオナ。水の迷宮には月のしずくがあるという噂だと、アルフレッドが答えた。
願いの花からアルフレッドのアイリーンに対する思いを汲取ったマリエルはアルフレッドの依頼を受ける。
そして、アルフレッドも水の迷宮の探索に同行する事となった。
「このことは、アイリーンには黙っていてくれ。」と一言いい、アルフレッドは小屋を後にした。

マリエルとアルフレッドは水の迷宮の探索をし、最深部の部屋にたどり着く。
上を見上げると部屋には天井がなく吹き抜けとなっていた。
台座にあったグラスに妖精の力を借りて水(=形なき鏡)を満たし、
月(=天にあり夜移ろうもの)が出てくるのを待つ二人。
どうして、ここに月のしずくがあるって知ってたのと聞くマリエル。
「アレ…の魔力は呪いを解くことができるそうなんだ。」「呪いって…なんの?」
「たとえば、猫にかえられた人間を元の姿に戻すとか。」「アルフレッドって人間だったの?」
アルフレッドは持っていた写真をマリエルに見せた。写真には少年の姿がある。「…これがアルフレッド?」
「そうさ、カッコいいだろ。」「…そうだね。」
「でもオイラ、人間だったときの記憶がないんだ。ボスに拾ってもらったときに、その写真だけ持ってたんだそうだ。」
そして月が現れる。グラスに張った水が、遥か上空にある月を捉えた。眩い光が辺りを包み、月の妖精が姿を現す。
月のしずくは自分が守っていると、月の妖精は言う。アルフレッドは月のしずくが欲しいと月の妖精に願うが、
お前には渡すわけには行かないと拒まれる。どうして?と言うアルフレットに対して月の妖精は、
「たしかにおまえには呪いがかけられていますが、それを解くことはおまえのためにならないでしょう」と答えた。
「…なんだって?」「よくない運命がまっています。悪いことは言いません。そのままお帰りなさい。」
続いてアイリーンのために月のしずくが欲しいというマリエル。月の妖精はその求めに応じ、マリエルに月のしずくを授けた。
「…人間になったら、目の治ったアイリーンと会う計画だったんだがな。やれやれ、はかない夢だった。」
アルフレッドはがっかりした様子だった。
月のしずくはどうするの?とアルフレッドに聞くと、エリックに渡しておいてくれとアルフレッドは言う。
「だって、アイリーンの目が治ったらどうするの?正体を隠したままじゃ会えなくなるよ。」
「しかたないさ、アイリーンに会ったら、旅に出たとか言ってごまかしてくれ。」「だって…。」
「いろいろありがとな、マリエル。」その後アルフレッドは数日間マリエルの前に姿を現すことはなかった。

錬金術師エリックに月のしずくを渡すマリエル。エリックは大喜びをし、早速アイリーンの目を治す薬の合成に取り掛かった。
程なくして薬は完成した。エリックはアイリーンの薬を使用する。
「…なにか見えるかい?」「兄さん?」「うん、ぼくは目の前に居るよ。」その場にいたマリエルの方向へ振り返るアイリーン。
「あなたが、マリエル?」「うん。そうだよ。」「見える…見えるわ。ありがとう、兄さん。」
お礼なら月のしずくを持ってきたマリエルにと言うエリック。
「あ、でもそれは、アルが場所を知ってたから…。」そう言った後、口止めをされていた事を思い出すマリエル。
「アル?」聞きなれない単語に反応するエリック。
とっさにマリエルは「あ、ある場所に心あたりがあって…。」と言い直した。
エリックは忘れないうちに合成の記録を残すると言って作業に着手した。
「そう…アルだったの。」エリックはごまかせたが、アイリーンをごまかす事は出来なかった。
何を言っても言い訳がましくなってしまうマリエル。「来ないと思ってたら、そんなことしてたのね。…あたしのために。
ああ、わたし…アルのことがほんとうに好きになってしまったみたい。どうしよう。」
両手を両方の頬に添えながらアイリーンは呟いた。「どうしようって…。」
「信じられない…アルってわたしの王子さまだったのね…。アル、待っててね。すぐに会いに行くから…。」

382 :リーヴェルファンタジア ~マリエルと妖精物語~:2008/03/05(水) 05:48:24 ID:HW0Tjey20
小屋に戻ったマリエル。一部始終をフィオナに報告すると、アルフレッドが王子さまなんておかしーと大笑いする。
アイリーンの真剣さを知っているマリエルは笑い事じゃないとフィオナに怒った。
フィオナなごめんごめんと謝り、相思相愛なら良かったじゃないと言う。
本当の姿を隠して会っていたのはまずい、姿は気にしないんでしょ?、まさか猫だとは想像してないと思う、
そんなやり取りをしていると、小屋に来客が訪ねて来た。
アイリーンはアルフレッドの居場所をマリエルに教えて貰うために訪ねて来たのだという。
「あー、あたしは…。」「わかってるのよ。…アルに口止めされてるんでしょう?」
マリエルは図星を付かれてしまった。驚いたマリエルは、つい「えっ、どうして?」と聞き返してしまう。
「…やっぱり知ってるのね。」としっかり誘導尋問されてしまう。「…あ。」
「ごめんね。でも、どうしても彼に会いたいの。お願い。」ばれた上に、アイリーンの気持ちをむげに出来ないマリエル。
ついに折れて、アルフレッドの居る場所へとアイリーンを連れて行くことになった。

母屋へアイリーンを案内するマリエル。しかし、そこにアルフレッドの姿はなかった。
マリエルの家に下宿してるの?と驚くアイリーン。ちょっと違うかなーと答えると、なんか複雑なのねと察したようだった。
ここ数日間マリエルもフィオナもアルフレッドのことを見かけていなかった。
「きょうもいつもの森でまってたんだけど、来てくれなかったわ。…わたし、避けられてるのかしら。」
「ホントにだれも居なかった?」「ええ、だれも。…黒猫が一匹居たくらい。」「あ、あー…。」
自分は嫌われてしまったのかと心配するアイリーン。マリエルはキライなら危険を冒してまで月のしずくを取って来ないと、
アイリーンを慰める。
アイリーンの音楽学校の休暇はもう終わりに近づいていた。休暇が終わればまた音楽学校のある街へと帰るらしい。
そこで目が直ったお祝いも兼ねて、今夜壮行会を開いて貰う事になり、そこでアイリーンも演奏する事になってるが、
アルフレッドにも来て欲しいのだと言う。マリエルはアルフレッドを見かけたら言付けすることを約束した。

その日の夜。壮行会の会場は宿屋兼酒場(フラニーの家)であり、既に何人かの客がやって来ている。
エリックからアイリーンが宿屋の2階で準備をしていると聞き、マリエルはアイリーンの元へと向かった。
アイリーンは宿屋の2階の廊下で窓の外をみて佇んでいる。
皆が待っているとマリエルが言うと、アイリーンは皆の前で演奏するのが怖いと言った。
アイリーンは何度も演奏会をしたことあるでしょ?と聞くマリエルだが、
目が見えなかった故に人の視線を気にせず演奏できていたことを明かすアイリーン。
「わたし、どうしたらいいの…アル…たすけて…。」次の瞬間、マリエルはアイリーンの向こう側に立つアルフレッドを見つけた。
それと同時に廊下の電気が切れ、辺りは真っ暗闇になる。
「なにが起こったの?わたし、また目が見えなくなったのかしら。」辺りを見回すアイリーン。しかし何も見えない。
「ちがうよアイリーン。」暗闇の向こうからアルフレッドの声がアイリーンの耳に届く。
「…アル?来てくれたのね?」「うん、…きみが勇気を出して踏み出せるように。」
「勇気?…ううん。わたしダメなの。足がすくんじゃって。」「以前のきみは、ものごとを心で感じていたはずだ。
それを思い出すんだ。」アイリーンを励ますアルフレッド。「わたし、感じるわ…そこに居るのね。アル。」
「お願い…もうひとつだけ、勇気をちょうだい…。」「…わかった。」アイリーンが両手を前に差し出し、アルフレッドが歩み寄る。
その時、願いの花のつぼみが開き奇跡が起きる。【勇気】の妖精の誕生。
アルフレッドの気持ちはアイリーンに伝わった。
「さあ、行こう。下でみんなが待っている。」「…ええ。」

アイリーンの演奏は無事に終わり、その場にいた客達から大きな拍手を貰う。
演奏を終えたアイリーンの元へマリエルが近づく。「マリエル…アルは?」「…これを、アイリーンにって。」
それはいつかアルフレッドがマリエルに見せた、アルフレッドが人間だった頃の写真であった。
写真には、アルフレッドからのメッセージが書き綴られていた。
「親愛なるアイリーン。ずっと君をだましていたオイラを許しておくれ。オイラは闇の世界に生きるしかないけど、
きみは光の中を歩いていかなくちゃいけない。オイラはいつまでも君のことを応援しているよ。-さよなら。アルより。」
「そんな…どうして?」「どうして?どうしてなの、アル…。」思わずその場で泣き出してしまうアイリーンであった。

383 :リーヴェルファンタジア ~マリエルと妖精物語~:2008/03/05(水) 05:49:28 ID:HW0Tjey20
翌日の朝、アイリーンが街を去る日。街の出口で見送るエリック。エリックがアイリーンにしっかりやれよエールを送る。
アイリーンもまた兄を気遣い、身体に気をつけてと声を掛けた。
そこにマリエルが見送りにやってきた。「アイリーン…あのね…。」
「まって。いま、アルの気配を感じたわ…。」目を閉じるアイリーン。
目を開くと視線の先には屋根の上でくつろぐ黒猫の姿があった。「…ネコだったわ。さよならマリエル。アルによろしくね。」
「うん…元気でね。」「ありがとう。」アイリーンは微笑んだ。
そしてゆっくりと街を背にし、歩き出す。「…さよなら、わたしの王子さま。」誰にも聞こえない声でそう呟く。
アルフレッドは遠くに消えていくアイリーンの姿をずっと見つめていた。

借金ノルマを返済し7月を終える。

137 :リーヴェルファンタジア ~マリエルと妖精物語~:2008/03/10(月) 04:35:47 ID:bmQ2oDNi0
ちょっと間が空きましたが続けます。

●8月
月の初め、キャシーが慌しくマリエルの小屋のドアを叩く。
街の最高齢で植木職人のウォルターが植木の手入れ中に木から落ちて意識不明の重体となり、
教会のシスターであるメイが看病にあたっているらしいとマリエルに伝えに来た。
ウォルターを心配するマリエルは教会の近くにあるウォルターの家に急ぐのであった。

ウォルターは孫のアンソニーと二人暮をしている。
ウォルターの家に飛び込んだマリエル。「アンソニー!」
「やあ、マリエル。」緊迫感がない声でマリエルを迎えるアンソニー。
「ウォルターさん!」マリエルがウォルターが横になっているベッドに駆け寄る。
「心配ないわ。ショックで気を失っているだけよ。」看病をしていたシスターメイがそう言った。
どうやら落ちたところが植え込みだった為、大事には至らなかったらしい。一安心するマリエル。
メイはウォルターの治療を終え、教会に戻っていった。

「ステキなひとだなあ、シスター・メイ。」「アンソニー?」「彼女、年下の男ってどう思うかなぁ?」
「…メイはシスターなんだよ?」「ああそっか。もう少し気の強いコがいいかな。」
「ウォルターさんが倒れてるのに、アンソニーってば!」不謹慎な孫にマリエルが怒る。
明日になればケロッとしてるとアンソニーは言うが、マリエルはどうも心配していた。
「マリエル、もしかして。ボクのこと、妬いてる?」マリエルはアンソニーの足を思いっきり踏みつける。
「いててててーっ!」アンソニーはいつもそんな感じだった。

小屋に戻ったマリエル。ウォルターの家での事をフィオナに報告した。
アンソニーも言うわねーとフィオナが笑う。そのくせ好きな子の前に行くと何も言えないとマリエルにダメだしされる。
「わかるわかる、ウォルターもそんな感じだったよ。」「え?ウォルターさんって、若い頃はモテたって言ってたよ?」
「そんなわけないでしょ。アンソニーとウォルターって見かけも性格もそっくりよ。血筋は争えないってやつね。」
マリエルはそんな昔のことを知ってるフィオナの年齢が気になって溜まらないが、その話題になるとフィオナは
頑なに口を閉ざすのだった。

暫くして、マリエルは雑貨屋の前でアンソニーを見つける。
ウォルターの容態を聞くマリエル、しかしウォルターは未だに目を覚まさないらしい。
「とりあえずコショウでも買ってこうかなって。」「コショウを?なにするの?」
「クシャミさせれば目を覚まさないかな。」マリエルはジャンプをしてアンソニーの頭をポカリと叩く。
「いててっ。」「あたしも行く。そんなことさせないからね。」「わかった、わかったよ。」
ドウドウとマリエルを諌めるアンソニー。その時、アンソニーは近くに別に人間がいることに気が付いた。
マリエルもアンソニーの視線の方向を向く。視線の先には、帽子を被った上品そうな娘が何かを探しているようだった。
「かわいいなぁ…。」「あのね。」マリエルは呆れた顔をする。
娘の方から2人に近づいてきた。ウォルター・ミルズさんはどちらにお住まいですか?と聞く娘。
あ、そのひとならよく知ってるよ、同じ方向だから一緒に行こうと、いけしゃあしゃあと答えるアンソニー。
「わたし、サブリナ・ファローと申します。」「ボクはアンソニー。アンソニー・ミルズ。」
「…え?」「アンソニー。このコはマリエル。」「こんにちはっ。」「…ミルズさん?」確認するような面持ちで聞く。
「うん、そう。」「もしかして、ウォルターさんの?」「ウォルターはボクの爺さん。いや、奇遇だね。」
アハハと笑うアンソニー。

138 :リーヴェルファンタジア ~マリエルと妖精物語~:2008/03/10(月) 04:36:27 ID:bmQ2oDNi0
ウォルターの家に着いた3人。サブリナは眠っているウォルターを見つめている。
「なにしろトシなんで、このまま目覚めない可能性も…。」マリエルがアンソニーの足を思いっきり踏みつける。
「いててっ!」「…そう。」サブリナが顔を伏せた。
ウォルターに何の用があったのか、アンソニーはサブリナに聞いた。
サブリナは2ヶ月前になくなった祖母の遺言で、
夢時計を直してウォルター・ミルズに渡して欲しいと言付けられたのだという。
「これ、壊れてるの?」マリエルが聞くと、水晶のベルという部品が破損しているらしく、それが手に入らなかったらしい。
「壊れたままのを持ってきたんだ?」そう聞くアンソニーにサブリナが豪い剣幕になる。
「だって、悔しかったのよ!おばあさまが最期まで気にかけてたのが、どこのだれだかわからないウォルターさんの
ことだったなんて!大好きだったおばあさまの遺言だからなんとかしたかったけど、だれもこの時計を直せやしない。
いいかげんにイヤになって、ウォルターさんとやらに突きつけて終わりにしようと思ったのよ。それなのにっ!」
不満をぶちまけたサブリナ、それに対しアンソニーはごめんと謝ってしまう。
なんであなたが謝るのよっとまた怒りを露にするサブリナに、君、傷ついているみたいだからとアンソニーは言った。
時計を渡したから帰ると言い、ウォルターの家を出ようとするサブリナ。それをアンソニーが呼び止める。
この時計が動く所を見たくないかい?ボクらがこの時計直してみるよとアンソニーは言った。
「な、マリエル?」「え、あたしも?」頭数に入れられていたらしい。
サブリナはそのアンソニーの話を聞き入れ、街に滞在する事になる。
「…いいわ、宿屋がどこだか、教えてくれない?」「あ、なんならウチに泊まっていけば…」
マリエルがアンソニーの足を踏みつける。「いてててっ!」「あたしが案内してあげる。」
マリエルとサブリナは宿屋に向かった。
ひょんなことでマリエルは巻き込まれ水晶のベルを探す事になった。

家に帰ると願いの花がつぼみをつけていた。
つぼみに触るとウォルターの想いがマリエルに伝わってきた。
真っ暗闇の中、ウォルターはひたすら歩いていた。
「ううむ、ここはどこじゃ。ワシャなんでこんなとこに居るんじゃ。歩いても歩いても、出口につかん。
とんでもないところに迷い込んでしまったぞ。」不安そうな顔を浮かべるウォルター。
その時、どこかからウォルターを呼ぶ女の声が聞こえた。
「ウォルター…ウォルター…。」「だれじゃ、ワシを呼ぶのは。」「ウォルター…会いたい…。」
「その声、聞き覚えがあるぞ。なぜか、懐かしい…。」「会いたい…もう一度会ってあなたに…。」
その声にウォルターは決意する。「うむ、待っとれ。いま、会いに行くぞ。」ウォルターは再び闇の中を歩き始めた。

小屋に戻り水晶のベルについてフィオナに聞くマリエル。
水晶絡みの話は水晶鉱山のケヴィンに聞くのがいいと言われ、ケヴィンを訪ねる。
ケヴィンは、水晶のベルというのは、水晶を妖精が細工したものだとマリエルに教えた。
マリエルは水晶鉱山の奥に進み、水晶のベルを作れる妖精を探す事になる。
鉱山の奥へと進むマリエル。以前炎の酒を渡したドワーフとその友人ノームの助力を得て、
水晶のベルを手に入れる事が出来た。

また、その過程で6月の落盤事故以来行方不明であったグッドマンを水晶の中から発見する。
水晶に触れるとグッドマンが姿を現した。
「グッドマン!よかった、無事だったんだね。」「…マリエル?ぼくはどうしてここに?」
「きっと、鉱山のヌシが助けてくれたんだよ。」「ヌシが?…そうなのか。」
「とにかく、無事を知らせなくちゃ。シャロンはずっとグッドマンの帰りを待っているんだよ。」
「わかった…ありがとう、マリエル。」

139 :リーヴェルファンタジア ~マリエルと妖精物語~:2008/03/10(月) 04:37:47 ID:bmQ2oDNi0
水晶のベルを手に入れたマリエル。ウォルターの家に行くと、サブリナが帰る直前で丁度お別れの挨拶をしにきた所だった。
「帰っちゃうの?」「今度はマリエルが遊びに来てね。」「…ずいぶん仲良くなったんだね。」
「あら、マリエルはいい子よ。口先だけのだれかと違って。」アンソニー、嫌われたものである。
もう少し待っててくれればと言うアンソニー、期待してたわけじゃないというサブリナ。
そこでマリエルが水晶のベルを出した。驚くサブリナ。言ったとおりだろ、と自分の手柄のように語るアンソニー。
「あなたはなにもしてないでしょ。」アンソニーも鉱山を探してはいたが、その度にケヴィンに摘み出されていた。
サブリナの祖母は夢時計には不思議な力があるとサブリナに言っていたらしい。夢時計に水晶のベルを組み込むと、時計は動き出す
その時、願いの花のつぼみが開き奇跡が起きる。【追憶】の妖精の誕生。

気が付くとマリエルは見知らぬ場所にいた。周りを見るとアンソニーとサブリナがいるが、身体が半透明となっている。
サブリナがここは私の家だわと言う。しかし、自分が知っている家とはどこかが違うと。
そこにサブリナにそっくりのメイド姿をした女性がやってきた。女性はマリエルを見つけ、
「あなた、きょうから来る新しいメイドね。執事さんが待っているわ。早く行きましょう。」と言う。
話が飲み込めないマリエル。「サ、サブリナ?」「あたし?やだ、あたしはリビーよ。よろしくね。急いできてちょうだいね。」
リビーは別室の方へ移動していった。「リビーって…おばあさまの名前だわ。」サブリナが言う。
サブリナの祖母、リビーは過去サブリナの生家でメイドをしていたのだという。
その事から、3人は夢時計の力により過去に飛ばされたことを知る。

別室にはリビーと若い男がいた。男の名はウォルター、庭師の仕事をしていると自己紹介をした。
若い頃のウォルターは見れば見るほどアンソニーにそっくりな顔をしている。
「庭師ってガラ?いいとこ植木屋さんよね。」「手厳しいよなぁ、リビーは。」
執事が来る気配がし、ウォルターはそそくさとどこかへ行ってしまう。それと入れ違いになるように執事が入ってきた。
「あなたが新しいメイドですね?」「そうみたい。」「んま、なんという軽薄な受け答え。はい、と返事をしなさい。はいと。」
はーい、とマリエルは元気がなさそうに答えた。「よろしい。」
執事はマリエルとリビーに今居る部屋にある時計を全て綺麗にするように仕事を与える。
見渡すと数多くの時計が飾られている。屋敷の主の大事なコレクションらしい。
「とくにこれ!」執事が夢時計を紹介する。「あっ、それ…。」マリエルが反応してしまう。
「なんですか。」「…なんでもない。」マリエルは首をフルフルと振る。
「よろしい。これは夢時計といって、伝説では妖精の手になるものとか。枕元に置いて眠れば、
望みの夢を見ることができると伝えられています。」「へー、そうだったんだ。」
執事は度重なるマリエルの言動を問題視し、リビーにマリエルの教育係を申し付けた。

140 :リーヴェルファンタジア ~マリエルと妖精物語~:2008/03/10(月) 04:38:29 ID:bmQ2oDNi0
執事が去った後、時計の掃除をはじめる2人。
マリエルが一通りの掃除を終えると、リビーが誤って夢時計を落として破損させてしまう。
そこにウォルターがやってきた。落としたことを執事に話してこなくてはと焦るリビー。
「待てよ。きみ、クビにされちまうよ。」「…仕方ないわ。」「若旦那とも会えなくなっちまうんだぜ?」
「あ、あなたに関係ないでしょ。」余計なお世話だと言わんばかりにリビーは激昂する。
どうやらウォルターは触れてはいけない所に触れてしまったようだ。
「いいのかい、それで?」「どうしろって言うの?あたしはただのメイドで、彼はお屋敷のお坊ちゃんよ。
…ただそばにいられるだけでもよかったけど、いつまでも続くわけがないわ。」
「だろうね。彼もそろそろ結婚を考えているらしいし。」ウォルターのデリカシーのない言葉がリビーをさらに傷つける。
「あんたってホントに意地悪な人ね。」「好きなコには意地悪したくなるのさ。」
「なによ、あたしはあんたなんか大っ嫌いよ!」リビーの容赦がない言葉。「…それが聞きたかった。」
ウォルターは寂しそうに呟いた。その場に執事が現れる。床に落ちている夢時計を見つけ大層うろたえる。
「あ、ボクが落として壊しちゃいました。」ウォルターが頭をかきながら執事にそう切り出した。
「ななん、なんですって!」「やあ、怒らないでください。」ウォルターは物凄い軽い口調で謝る素振りを見せない。
「いくらあなたが若旦那のお気に入りでもっ…。」「あんまり怒ると、血管きれちゃいますよ。」
「ク、クビだっ、おまえはクビー!」「クビですかぁ。」
「いますぐ、荷物をまとめて出て行きなさい!」「わかりましたよ。じゃ、そういうことで。」
ウォルターは足早にその部屋を出て行く。リビーは自分が壊したと執事に言うが、執事はまるでとり合わなかった。

その場面を見た3人。
「ウォルターさんが、おばあさまをかばって…。」「やるなあ、じいちゃん。」
「なにのんきなこと言ってるのよ。このままでいいと思ってるの?」
「このままでよかったんだろ?きみやボクの存在が、そのことを証明してるじゃないか。」「…え?」
「きみのおばあさんは、このあと若旦那と幸せな結婚をした。じいちゃんだって、不幸だったわけじゃない。
ばあちゃんとは、大恋愛のすえ結ばれたそうだよ。」「でも…。」サブリナはアンソニーのように割り切れてはいなかった。
アンソニーはリビーには心残りがあって、それで夢時計の力を借りてウォルターに何かを伝えようとしていたと推測する。
「…それは、なに?」「この先を見ればわかるんじゃないかな。」

屋敷の玄関先、ウォルターが出て行くときの事だった。
「リビー、さよなら。」「さよなら。」最期にお別れを告げたウォルター。しかし、リビーは顔を伏せている。
「リビー…。」マリエルが心配そうにリビーの顔みる。少ししてリビーが顔を上げた。
「なんで、さよならなんて言ったんだろう。あたしが言いたかったのは、そんな言葉じゃなかった。」
暗闇の中に消えていくウォルター。その姿は段々と年を経てついには老人になってしまう。
「ウォルター!」リビーは暗闇に消えそうなウォルターのもとへと走り出す。
「ごめんなさい、ウォルター。わたしが言いたかったのは、もっと違う言葉だったの。」「リビー…。」
すっかりと年老いた姿をしているウォルターが少し悲しそうな顔でリビーを見つめる。
「あたし、あんたに大っ嫌いって言ったわ。それはウソじゃない。いつもヘラヘラしてるし、優柔不断で、
見栄っ張りで、軽口ばっかりで。」「…あいわらず手厳しいのう。」
「でも、いつもあたしをはげまして、元気づけてくれてたのもあなただったわ。あのころのあたしは恋に夢中で、
気が付かなかった。とうぜん言わなきゃならない言葉を、言えなかったの。」
「リビーのせいじゃないさね。」「でも、いまなら聞いてくれるでしょ?」
「その言葉を聞きたくなくて、逃げ出したんじゃがな。」「でも言うわ。言わせて、お願い。」

「ありがとう、ウォルター。」

「…もちっと、違う言葉を聞きたかったのう。」「ほんとうに、ありがとう。」
「ありがとう、マリエル。ありがとう、サブリナ、アンソニー。ありがとう、ウォルター。」
リビーはそういい終えると、光となり上空へと消えていった。

141 :リーヴェルファンタジア ~マリエルと妖精物語~:2008/03/10(月) 04:39:05 ID:bmQ2oDNi0
気が付くと3人はウォルターの家に戻っていた。そしてウォルターも目を覚ます。
「こりゃおどろいた。リビー…おまえさん、ぜんぜんトシをとっておらんの。」
「違うよじいちゃん。そのひとはリビーじゃないんだ。」「わたし、リビーの孫のサブリナです。はじめまして。」
「なんと…見れば見るほど、リビー生き写しじゃの。」ウォルターとアンソニーもそっくりですと言うサブリナ。
「アンソニーがか?バカを言っちゃいかん。ワシのほうがぐっとハンサムじゃった。」
笑う一同。「失礼なやつらじゃな、なにがおかしいか。」ウォルターも笑いながら言う。
マリエルも笑いながらウォルターの腕に抱きついた「なんじゃ、マリエルまで。いったいどうしたんじゃ。」
「ウォルターさん、かっこイイ!」「なんじゃ、いまさらあたりまえのことを…。」
ウォルターの家からは笑い声が絶えなかった。

リビーが生家に戻る為、マリエル、ウォルター、アンソニーは見送りをしている。
「…そうか、リビーがのう。」「ウォルターさんは、まだ青春現役なんですね?」
「もちろんじゃ。まあ、リビーのお墓によろしく言っておくれ。」「はい、伝えておきます。」
本当に帰っちゃうの?と聞くマリエル。サブリナは黙って家を出てきたことを伝えて、今大騒ぎになってるかもしれないという。
「おテンバなのは、おばあさんゆずりなんだなぁ。」「だれかさんの口の悪さも、おじいさまゆずりなのね。」
「じゃ、さよなら。」アンソニーが切り出すとサブリナも寂しそうに「さよなら。」と言う。歩き出すサブリナ。
「…もっと違うセリフを言いたかったんだけどな。」「言えばいいじゃない。リビーみたいに後悔するよ?」
「それとは立場も状況も違うじゃないか。」踏ん切りがつかないアンソニー。「もー、イライラするなっ。」
マリエルはアンソニーのスネを思いっきり蹴っ飛ばす。「いててててっ、なにするんだよっ。」
「はやくしないと、サブリナが行っちゃうよ?」マリエルに後押しされてアンソニーも歩き出した。
サブリナも何かを待っていたのか、暫く足を止めていた。
「ど、どうかした?」アンソニーがサブリナに聞く。「…途中まで送ってくださらない?」
「あ、ボクも出かけようと思ってたんだ。道も、同じだし。」焦る素振りのアンソニーに、
サブリナは白々しいという顔で見る。
それを見ていたマリエル「どうして、あん素直じゃないんだろう。」と言う。
「マリエルは素直がとりえじゃからな。じゃが、としごろになると違うかもしれんぞ。」「…ふーん。」
「さて、どうじゃ。ワシの武勇伝でも聞いてくか?」「うん、奥さんとの大恋愛ってのを聞かせて!」「おいおい、テレるのう。」

借金ノルマを返済し8月を終える。

※後日談1
グッドマンはその後、一度特別捜査官としての任務の報告に戻りますが、
それは一時的なもので、後にケヴィン一家の本当の家族となります。後述EDにて。

※後日談2
アンソニーが雑貨屋(郵便集配の仕事も兼ねる)のスージーをデートに誘っている時、
サブリナからの手紙を受け取ります。少し手紙の内容が気になるスージー。
しようがないから、次の休日にデートに付き合って上げるというスージーでしたが、
アンソニーはやっぱりいいやと言って雑貨屋を出て行きます。

178 :リーヴェルファンタジア ~マリエルと妖精物語~:2008/03/12(水) 04:39:36 ID:xvS2LWLP0
●9月飛行機
先月のノルマを完済し、アルフレッドが何時も通り妖精のレシピをマリエルに渡した。
もう少しだから頑張ると意気込む二人にアルフレッドが「…おまえらホントに、全部返すつもりなのか?」と聞く。
もちろんだと答えるマリエル。しかし、フィオナはアルフレッドの様子がどこかおかしいのを感じ、
その言葉の真意を問いただそうとした。アルフレッドがおろおろと答えに困っていると、小屋の外が何だか騒がしくなる。
見てくる、とマリエルが小屋の扉を開けた瞬間、視界に飛び込んできたのは煙を上げて不安定に飛行する飛行機であった。
飛行機は妖精の木を掠め、そのまま見晴らしの丘へと急降下していった。
アルフレッドは「…飛行機だ!すげーっ!」と何やら感動している。
また、飛行機が起こした風はフィオナを小屋の奥まで吹き飛した。
マリエルは、見晴らしの丘ではいつも牧場を経営する一家の次男のコリンやその妹のデイジー等が遊んでいる事を知っている為、
事故でも起きていないか心配になり、見晴らしの丘に行く事になった。
一波乱あったが、フィオナがアルフレッドに尋問の続きをしようとしたところ、アルフレッドの姿はもうそこにはなかった。

見晴らしの丘に着いたマリエル。コリンもそこにおり、何やら熱心に着陸をした飛行機を見ていた。
コリンは飛行機というものを見知らなかった。マリエルはコリンに飛行機と呼ばれるもので、空を飛ぶ事ができると説明をした。
「うそだー。だって、空から落ちてきたよ。」「そうだね。落ちたら飛んだことにはならないよね。」と
マリエルもコリンの言い分に妙に納得してしまう。その時、飛行機から見知らぬ男が姿を現した。
「落ちたんじゃない。緊急着陸したんだ。このザ・スカイが墜落するはずがない。」飛行機乗りの服を着た中年の男はそういった。
コリンが、それじゃ本当に飛べるの?と中年の男に聞いたところ、修理をすれば飛べるようになると男は答えた。
また、修理した暁にはこの丘でアクロバットショーを開くとコリンに約束した。
修理を急かすコリンだが、男はまず休息を取りたいと言い、マリエルとコリンに酒場への案内を頼んだ。
「いいけど…おじさん、だれ?」「オレはジャック。だがザ・スカイと呼んでくれていいぜ。」手を額にかざして自己紹介をした。
マリエルとコリンもそれを真似、自己紹介をした。

酒場に着いた3人は一つのテーブルに向かい合って座る。ジャックは飛行機乗りにまつわる話をして、二人を楽しませた。
僕も飛行機に乗せて欲しいというコリンの願いにジャックは、空は自分の力でたどり着くもんだ、自分の翼を持てと言う。
しかし、現代の飛行機の技術では飛行はとても危険なものだとも言った。
「だがな、ボウズが大きくなる頃には、いまよりもっと性能のいい翼が手に入るさ。」「ホント?ボクでも飛べるようになる?」
「だがそのためにはいまオレたちが、未来の可能性を広げて見せなければならない。オレたちが切り開いた時代の最先端が、
次の時代には普遍的なものになるようにな。」ジャックの言う事が難しくて分からないというマリエル。
コリンもその横で転寝を始めてしまった。起こした方がいいかなと聞くマリエル。ジャックは席を立ってコリンに近づいた。
「…オレが運んでいってやる。…子供を抱くのは何年ぶりかな。」ジャックは何だか感慨深げにそう言った。
「…このボウズ、歳はいくつだ?」「コリンは、ここのつだよ。」「九歳か…。このくらい重くなるんだな。」「ジャック?」
「なんでもない。まかせときな。」「ヘンなジャック…。」

小屋に帰ったマリエルは暫しフィオナと歓談。フィオナは飛行機の仕組みをよく分かっていないのか、
妖精が動かしてるんでしょ?とマリエルに尋ねる。マリエルは機械で動いてると答えるが、
フィオナは先ほど飛行機を見た時、確かに飛行機から妖精の気配を感じたのだという。

179 :リーヴェルファンタジア ~マリエルと妖精物語~:2008/03/12(水) 04:41:11 ID:xvS2LWLP0
街はアクロバットショーの開催の報で盛り上がっていた。遠方からの客も来ているらしい。
マリエルはジャックの様子を見に再び見晴らしの丘に行った。
そこにはジャックだけではなくコリンもいた。いつ修理が終わるのかと聞くコリンに
ジャックは、修理を終えたがエンジンの不調の原因が分からないと答えた。
「飛べないの?」残念そうに聞くコリン。飛ぶさ、多少の不調もコンディションのうちと言うジャック。
「空もいい。…こうした空なら、もしかしたら手が届くところまで降りてくるかも知れない。」
「なにが?」「扉があるのさ…空の上にな。」そんなの見たことないとマリエルは言う。頷くコリン。
「その扉は鏡のようにみがきあげられていて、そらを映している。だから、地上からいくら見上げても見えないのさ。
その扉の向こうには、亡くなった人々が住んでいるんだそうだ。」「それって、天国?」
「さあな。でも扉に手が届けば、魂だけが中にはいれるんだそうだ。」
鳥は雲の中で死ぬ、だから死んだ鳥は余り見かけない、空に生きるものはそういう最期が相応しいとジャックが言った。

小屋に帰ったマリエル。フィオナに先ほどのジャックとの話を伝え、天国と言うのは本当にあるのかと聞く。
フィオナは妖精とは関係のない話だから分からないと答えた。妖精には魂がなく天国も地獄も関係ないと。
それじゃ死んだ後はどうなるのとマリエルが聞くと、たまに魂を手に入れて人間に生まれ変わる妖精もいるが、
大抵の妖精は死んだらそれっきりだと答えた。
「妖精なんてそんなものよ。その代わり人間よりずっと長生きなんだし、いまが楽しければそれでいいんだから。」

飛行機の調子が気になるマリエルは見晴らしの丘に行き、機械を修理できる妖精で飛行機を修理しようとした。
しかし、修理の最中にコクピットから出てきた妖精に修理妖精は頭を掴まれて振り回されてしまう。
「ついにつかまえたわよ。もうイタズラはさせないからねっ!」「ちょ、ちょっとやめてよ~。」
呼び出した修理妖精がいじめられているのを黙ってみている訳にはいかないとマリエルは止めに掛かる。
「なによ、ジャマする気?…あれ、あんた?」その妖精はホリーのカバンに棲んでいたお天気妖精のジニーであった。
何でここにいるのとマリエルが聞くが、「あんたこそ、どうしてここに居るのよ。」と聞き返された。
「ここ、あたしの住んでる街だし。」「え、うそ、戻ってきちゃったの!?
そんなー。ジャックについていけば、いろんなところに行けると思ったのにー。」
そしてその怒りの矛先はマリエルが呼び出した修理妖精の元へと向けられる。
「それもこれも、みんなこいつのせいだわ。このグレムリンが機械にイタズラするからっ。」
と、更に修理妖精の頭を振り回す。その子はグレムリンじゃないと弁解するマリエル。
「え?…うそっ。この顔はどうみてもグレムリンって感じなのに。」「たぶん、全然ちがうと思う…。」
マリエルは呆れ顔でいった。ジニーは飛行機を不調にしている犯人をやっと捕まえたと思ってたが、がっかりした。
グレムリンは機械の中に隠れ、中々シッポを掴ませないのだと言う。
ジニーは、ジャックの誰も飛んだ事がない空へ行こうとする願いを叶えたいと語った。
そして、その願いを叶えてあげたいとは思わない?とマリエルに振る。「そうだね。なんか、いい方法ないかな。」
「そう思う?じつはね…グレムリンをつかまえる以外にも、手段がないこともないんだけど。」「どんな手段?」
ジニーは風を自由に操るシュリンクスの笛があれば飛行機をもっと高く飛ばす事が出来る事をマリエルに教える。
「…それ、あたしに取ってこいってこと?」「んー、まあそういうことかな。」
「…なんか前にも似たようなことが…。」以前ちゃっかりと利用されたことはマリエルもしっかり覚えていた。
「き、気にしちゃダメよ。ジャックのためなんだから。とにかく頼んだわよ。じゃあねっ!」
そういうとジニーはそそくさと飛行機の中に隠れてしまった。
「あ、ところでシュリンクスの笛ってどこにあるの?」ジニーからは何の返答もない。
「ま、また…。はぁしかたないなー。」マリエルは一度小屋に戻り、シュリンクスの笛の捜索に向かう事になった。
誰もいなくなった飛行機の周りでアルフレッドが姿を現す。どうやらマリエルとジニーの話を盗み聞きしていたらしい。
「ふーん、グレムリンねぇ…。」アルフレッドはそう一言呟いた。

180 :リーヴェルファンタジア ~マリエルと妖精物語~:2008/03/12(水) 04:41:55 ID:xvS2LWLP0
家に帰ると願いの花がつぼみをつけていた。
つぼみに触るとジャックの想いがマリエルに伝わってきた。
飛行機を整備しているジャック。「よし、いい感じだ。…空が近いな…吸い込まれそうだ。
ひょんなことから不時着したが、もしかしたらこの街がオレの旅の目的なのかもしれないな…。
こんどこそ、手が届くかも知れない。…ヘブンズ・ドアに。」空を見上げるジャック。
「そうすればもう一度、おまえたちに会えるだろうか。」
それを見たマリエル。「ジャック…、ジャックの望みって、なんなの?」

シュリンクスの笛の在り処はフィオナが見当をつけた。四大の迷宮の一つ、風の迷宮に笛はあるらしい。
マリエルは風の迷宮に向かった。

妖精達の助けを借り、マリエルはシュリンクスの笛を手に入れる事が出来た。

小屋に戻った頃にはあたりはすっかり暗くなっていた。小屋の2階で休んでいるとアルフレッドが何処からともなく
マリエルに話かける。どうやらグレムリンを捕まえる方法を見つけたらしく、知りたければついて来いという。
ついていくと言うマリエル。と、その時、階段からフィオナが上ってきた。
しかしマリエルは床を突き抜けて気がつけば部屋の外に飛び出していた。
それがアルフレッドの力だと知り驚くマリエル。
「…おまえな、まさかいまだにオイラのことただの猫だと思ってるんじゃないだろうな。」「うん、思ってた。」
がっくりするアルフレッド。「そんなことより、どうやってグレムリンを捕まえるの?」
「そんなことって…まあいいや。」アルフレッドは瓶を取り出した。
「…コドモはお酒飲んじゃいけないんだよ。」「だれがコドモだ!それにコレは空きビン!」「あ、ホントだ。」

見晴らしの丘に着いたマリエルとアルフレッド。
アルフレッドが空き瓶を使って何かをしようと飛行機のコクピットに手を掛けようとした時、お天気妖精のジニーが登場。
「ついに捕まえたわよ。もうイタズラはさせないからねっ!」ジニーはアルフレッドの頭を掴んで振り回す。
「さっさとこの機械から出ておいき!」止めるマリエル。「なによ、ジャマする気?ってまたあんた。」
「やめてよ、それもグレムリンじゃないよ。」「え?…うそっ。この顔はどうみてもグレムリンって感じなのにっ。」
「だれがグレムリンだ!どうしてこう、失礼なヤツばっかりなんだっ。」ジニーの手を振り払って抗議するアルフレッド。
マリエルは、アルフレッドがグレムリンを捕まえる方法を見つけたことをジニーに伝えた。
アルフレッドは今度はジャマをされずに飛行機の上に瓶を置いた。するとグレムリンが飛行機の中から現れ、
瓶の中へと入っていく。グレムリンの身体が瓶に隠れたのを見計らったアルフレッドが飛び出し、瓶の口を押さえてしまった。
グレムリンは好奇心が強く、空き瓶を見ると中に入り込んでしまう習性があるらしい。
「へー、猫が紙袋の中に入りたがるようなもんだね。」とマリエルが納得した。
「…イヤな納得のしかたをするな。」ともかくこれで明日に控えたアクロバットショーの憂いが無くなったと喜ぶジニー。
「空を飛ぶのは男のロマンだからな。明日が楽しみだ。じゃあなっ!」アルフレッドは瓶を抱え家に戻っていった。
マリエルはやっとの思いで手に入れたシュリンクスの笛も無用になったと言うと、
ジニーは自分が欲しいと言う。その笛で明日のショーでいい風を吹かせるんだとか。

181 :リーヴェルファンタジア ~マリエルと妖精物語~:2008/03/12(水) 04:42:49 ID:xvS2LWLP0
アクロバットショーの当日。
マリエルが見晴らしの丘に行くと、ショーはもう始まる寸前だった。
マリエルはコリンと合流し、離陸直前のジャックを応援した。ジャックはマリエル達に合図を送って
愛機ザ・スカイと共に空に飛び出した。しかし、ジャックが飛び出した直後に天気が崩れそうになる。
「お天気が、崩れそう…。」待ってましたとばかりにお天気妖精ジニーが飛び出す。
「だーいじょーぶ!こーのシュリンクスの笛をひと吹きすれば、ぐずついた天気もすっきりドピーカン!そーれ!」
ぶぴー。「…なあに、いまの音?」「あれー?ヘンだな。い、いまのチャイね。もいっかい!」ぶぴー。
空の天気が更に崩れだす。ジャックの飛行機は気流に煽られたのか、バランスを崩してしまう。
お天気妖精なんだから何とかしてと言うマリエル。しかし、ジニーより笛の力の方が上らしくどうにもできないと言う。
心配する余りコリンが悲鳴に近い声でジャックの名前を呼んだ。
その時、願いの花のつぼみが開き奇跡が起きる。【自由】の妖精の誕生。

気がつくとジャックの周りの空は晴れ渡っている。
「ふぅ…こんどこそ死ぬかと思ったぜ。」あたりを見渡すと、空に何か建造物のようなものが浮いていた。
「あれは…ヘヴンズ・ドア?」ジャックはその建造物を目指し、着陸をした。

地上から心配そうに見るマリエルとコリン。
「ジャック、どこに行くんだろう。」「なんか見えるのかな?…まさか。もしかしたらジャックの言ってた…。」
「…ジャック!」

建造物にある大きな扉の前で佇むジャック。「ヘヴンズ・ドア…ついにたどりついた…。」扉に触れようとするジャック。
しかし扉の向こうからジャックを止める女性の声がした。「だめよ、あなた…来てはダメ。」
ジャックは途端に触れようとした手を留めてしまう。「…おまえか?そこに居るのか?」その声の主はジャックの妻であった。
更に扉に近づこうとするジャック。「ダメ!」と、更に強く制する妻の声。「―オレは…。」
「ゴメンね、パパ。」娘の声も聞こえた。ジャックは感極まってしまう。
「居るのか?そこに居るんだな?頼む、オレを連れてってくれ!」ジャックは懇願する。
「あたしたちは、あなたを縛るつもりはないの。どうか自由にはばたいて。」
「オレを…許してくれるのか?」「あたしたち、恨んでなんかいないわ。愛しているのよ。それを伝えたかったの。」
「パパ。大好きだよ。」「あたしたちは、いつまでも待っています。あなたにはまだ、やり残した事があるでしょう?」
「…オレに?」

「ジャックー!」地上でコリンが叫ぶ。その思いが届いたのか、ジャックは白昼夢から覚めたかのように
コクピットに戻っていた。垂直に落下中であり依然危機的な状況に変わりはなかった。
「動かない…こんな時にっ!」落下地点にはアルフレッドがいた。その手にはグレムリンを捕獲した瓶が抱えられている。
途端抱えていた瓶が暴れだし、グレムリンは空に放たれた。そして一直線にジャックの飛行機の方へ飛んでいく。
グレムリンが飛行機に潜った瞬間、操縦桿が正常な状態に戻る。そして飛行機はそのままマリエルたちの元へと着陸した。

182 :リーヴェルファンタジア ~マリエルと妖精物語~:2008/03/12(水) 04:43:30 ID:xvS2LWLP0
「ジャック、よかった!ぼく、ジャックが行っちゃうのかと思った…。」「すまなかったな。また死にそこなっちまった。」
「そんなこと言わないでっ!」ジャックはコリンの頭の上に手のひらを添える。
「…そうだな。オレは、まだまだ死ねない。生きつづけて、あとから来るおまえたちのために、
道を切り開いておかなきゃな。」ジャックは空の彼方を見上げる。「…それでいいんだろう?」

小屋に戻ったマリエルに妖精の来客があった。お天気妖精のジニーがマリエルに笛を返しに来たのである。
笛は自分の手に余るらしく、使いこなせないと言う事だった。また、実はグレムリンがポンコツ寸前の飛行機を
辛うじて飛べる状態に持って行き、ジャックの命を救っていた事を明かした。
マリエルもあたしの代わりにグレムリンに謝っておいてとジニーに伝える。

見晴らしの丘に向かったマリエル。しかしジャックは既に旅立った後で、その場にはコリンがいた。
コリンは飛行機のおもちゃで遊んでいる。「それは?」「ジャックが置いていったんだ。」
「ジャックの飛行機に、似てるね。」「…うん。いつか…空の上で、会えるかな。」「うん。」
「…きっと、いつか会えるよ。」

借金ノルマを返済し9月を終える。

195 :リーヴェルファンタジア ~マリエルと妖精物語~:2008/03/13(木) 00:56:45 ID:L6ZKzZcg0
10月はストーリーパートが長く、スレに貼り付けると物凄いことになりそうだったので、
テキストにしてあぷろだにUpします。転載人の方はそこからお願いします。

ttp://a-draw.com/uploader/upload.html の up32566.txtで、DLKEYは「xyz」(「」は不要)です。

Wikiへの転載を確認した後、アップファイルは削除します。
もし内容で分かりにくいとか不明な点がありましたらこのスレにて聴いて見てください。出来る範囲でお答えします。
また、書いたものを見て少しでも心温まるものがあったなら、本作を一度やってみる事をお勧めします。
メインはざっくりと書きましたが、とても文字で感動を伝えきれるものではありません。
語ることができなかったサブのストーリー(シスターメイとその妹ジューンの話等等等)もありますし、
100匹+αの個性豊かな妖精とのコミカルなやり取りも楽しめると思います。

本作で絶望的なのはカメラワークのみです。それについてはちょっとポルナレフさんに説明してもらいますね。

リーヴェルファンタジアをやる前に言っておくッ! 
おれは今やつの操作をほんのちょっぴりだが体験した
い…いや…体験したというよりはまったく理解を超えていたのだが……
あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!
『おれは北に向かって走っていたと思ったらいつのまにか南に向かって走っていた』
な… 何を言ってるのか わからねーと思うがおれも何をされたのかわからなかった
頭がどうにかなりそうだった… 方向転換の罠だとか2コンで動かされただとか
そんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…

だそうです。ほんとうにありがとうございました。(実際こんな感じです。)

新しい作品がドンドコ始まる中、いつまでも留まるのはちょっと心苦しかったです。が、コレで寝不足の日々も終わります。
リクしてくれた人達と転載人の方に感謝します。それでは次の出番まで名無しに戻ります。ごきげんよう。

以下テキストファイルより転載


●10月 ラスト
月初め、毎月当たり前のように小屋に訪ねて来ていたアルフレッドが来ない。
その代わりか、ヘイゼルがマリエルの小屋を訪ねる。どうやら今夜ローアンの誕生日会があるらしく、
是非マリエルにも来て欲しいとの事だった。快諾するマリエル。

夜を迎え、マリエルはヘイゼルの家に向かおうとする。
小屋を出ようとしたその時、フィオナが「あのね、マリエル…。」と呼び止めるが、
ううん、何でもない、気をつけてねと歯切れ悪くマリエルを見送った。
(フィオナはこれから起きる悪い出来事を予感したと思われる。)

ハーブ園にあるヘイゼルの家に向かったマリエル。そこではローアンの友達達が集まり、誕生日会が楽しく催されるのであった。
誕生日プレゼントを渡す時、コリンはローアンに綺麗な蛙をプレゼント。それをヘイゼルに見せびらかすと
ヘイゼルは卒倒してしまう。程なくして誕生日会は終わるのだった。

誕生日会を終えた後、ヘイゼルの家の外にて。ヘイゼルとマリエルが向かい合っている。
「…マリエル、今日はありがとう。」「ううん、…ヘイゼルはたいへんだったね。まさか、カ…」
「言わないで、その名前。いいのよ、ローアンが楽しければ。」「ヘイゼルって、とってもローアンのことが大事なんだね。」
それを聴いてヘイゼルは何か物思いにふける。どうしたの?と聞くマリエルにヘイゼルはこの街に来てよかった、
ずっとここに住みたいくらいにとマリエルに伝えた。「そうすればいいのに。」
「…そうね。そうできれば、どんなにか…あら?」ヘイゼルが何かに気がついた。耳を澄ますと歌が聞こえてくる。
歌が聞こえるほうに歩き出す2人。そこには白装束と白いフードを身にまとい、顔が真っ黒、
目は赤く輝く幽霊のような者が立ちつくしていた。その者は歌いながら長い袖で何やら涙をぬぐっているように見える。
「ゆ、幽霊?」怖がるヘイゼルに「あれは、幽霊じゃない。妖精だよ。」とマリエルがたしなめた。
妖精を見るのは初めてと感激するヘイゼル。「なんて悲しい歌…。あっ、もしかしたら。」
ヘイゼルはその者の歌を聴いて何かを思い出した。それは以前ヘイゼルの祖母イェッタから聞いた話。
イェッタも以前一度だけ妖精を見たことがあるという。それは今と同じ場所で今と同じように泣き、そして歌っていたと。
おびえだすヘイゼル。「おばあさまのおじいさまにそのことを話したら、それはバンシーといって、
家族の死を告げる妖精だって教えてくれたんですって。…その数日後に、おじいさまが亡くなったそうなの。」
それを聞いて驚くマリエル。「そうなの?あなたが、バンシーなの?」そうヘイゼルがバンシーに問いかける。
バンシーはヘイゼルの方を向き首を縦に振った。「…おばあさまを連れにきたの?」バンシーは首を横に振る。
「…あ、あたし?」バンシーは再度首を横に振った。そしてバンシーは手で家の方角を指し示す。
ヘイゼルは手で口を押さえてしまう。「そ、そんなっ…じゃあ…。」バンシーは首を縦に振った。
「どうして?うそよ、そんなの。」信じられないという素振りを見せるヘイゼル。
そこにイェッタの声がした。どうやらローアンが発作を起こしたらしく、一刻を争うためシスターメイを教会に
呼びに言ってほしいということだった。ヘイゼルは教会の方に駆けていった。

小屋に戻ったマリエル。ハーブ園での出来事についてフィオナに相談する。
フィオナはバンシーの事を知っていた。ハーブ園のオブライエン家は代々バンシーに守られているらしい。
守っているなら何故ローアンを助けてくれないのとマリエルが聞くが、
「バンシーだって、悲しいから泣いてるの。彼女は…ただひとの運命を告げてるだけなのよ。」そう答えた。
ローアンはまだ小さいのに可愛そうだというマリエルだが、ローアンの運命ならば誰にも変える事が出来ないと諭すフィオナ。
何とか助ける方法にすがりたいマリエル。フィオナはポピンジェイを頼る事を勧めた。

ポピンジェイを訪ねるマリエル。バンシーが現れたと言う事情をポピンジェイに話すマリエル。
「バンシーが予言したなら、それは運命なんだろう。」ポピンジェイはそういった。
妖精の力で何とかならないか?そう聞くマリエルに人間の運命を変える事は許されず、妖精が関わる事じゃないと説明した。
それでも助ける方法がないかとすがるマリエル。「たとえ方法を知っていたとしても、きみに教えるわけにはいかない。」
何故?と聞くと、妖精の樹を銀の森のように呪われた樹にしてしまう方法であるとポピンジェイは言う。
複雑な面持ちのマリエル。そこにポピンジェイのお付の妖精ドルチェが現れ、何やらポピンジェイと相談を始めた。
ポピンジェイは余り確かな話ではないがと念を押し、もう一つローアンを助けられるかも知れない方法をマリエルに伝える。
伝説では人の命の身代わりになってくれる生命の石と言うものがあるらしいが、それがどこにあるのかは分からないと言う。
不確かな情報だった。しかし、わずかな希望が見つかったマリエルはそれをヘイゼルに伝えるためにハーブ園へと向かった。

ハーブ園にはヘイゼルは居なかった。その代わりイェッタが居り、ローアンの具合が良くないと言う事と
ヘイゼルはローアンの看病をしているシスターメイの代わりに教会に行っていると言う事を告げられた。

教会に着いたマリエル。そこには祈りを捧げるヘイゼルの姿があった。
「…どうかローアンを連れていかないでください。天国に召されてしまうには、あの子はまだ小さすぎます。
世の中にはまだまだ楽しいこと、うれしいこと、うつくしいものがたくさんあるのに、知らないまま逝くなんてかわいそうです。
あんなに小さいのに、とても苦しんで…。代われるものならあたしが代わってあげたい。
あの子はあたしたちの、だいじな宝物です。パパとママは、あの子の病気を治すために、一生懸命都会で働いてます。
それなのに、ローアンが居なくなったら、どんなに悲しむことでしょう。だから…神さまお願いです。
どうせならあの子の代わりに、あたしを連れていってください。」
その熱心な祈りに、マリエルは声をかけるタイミングを逸してしまう。
その時、教会にあるピアノが何者かの手によって不協和音を奏で出す。驚いてピアノの方を見るヘイゼルとマリエル。
視線の先に居たのは、以前マリエルの居る小屋に妖精の樹を見に立ち寄った女性、レベッカであった。

レベッカはヘイゼルに、神に幾ら願い事をしても人間の運命を決めているのは神なのだから効果がないと諭す。
それでもローアンの死は受け入れられない、ローアンが死ぬのは間違っているとヘイゼルが言う。
レベッカは神が何もしないなら、自分達で運命に立ち向かわなければいけないとヘイゼルを勇気付ける。
「本当に、自分が身代わりになってもかまわないの?」それでローアンが助かるならと、
ヘイゼルは藁にもすがる思いでレベッカを頼る。「方法がないでもないの。ね、そうでしょ?」
レベッカは急にマリエルの方を向いた。ヘイゼルはこの時初めて教会にマリエルがいた事に気づいた。
「…ひとの運命までは変えられないって言われたよ?」ポピンジェイに言われた通りにマリエルが返答する。
「そりゃ、死んだ人間を生き返らせるのはムリだわね。でも、運命を引き受けてくれる人がいるなら、話はべつよ。」
ポピンジェイすら教えてくれなかった方法をレベッカが知っている。マリエルもその方法について聞く事となる。
レベッカはマリエルが妖精使いであり、人の願いを叶える事が仕事であることをヘイゼルに教えた。
「…でも、ヘイゼルの願いはつぼみをつけないよ?」妖精使いとして願いを適えるならば花が咲かなくては何もできない。
レベッカは続けて説明をする。余りに大きな願いを叶えると、樹はエナジーを使い果たし枯れてしまうという。
これがポピンジェイがマリエルに教えてくれなかった方法で、銀の森はそうやって呪われた森になったのであろうか。
「ムリヤリにでも花を咲かせる方法を、わたしが知ってるわ。」「…どうすれば、いいんですか?」ヘイゼルが聞くと、
「わたしは花を咲かせる方法を知ってるだけ。実際に奇跡を起こせば、樹を失うことになるのはそこの彼女なんだから。」
「…マリエル。」「なにもしなかったからといって、だれもあなたたちを責めたりしないわよ。
失うものがあまりに大きすぎるしね。ま、ふたりでよく話し合ったらいいわ。」
まるで2人が悩むシチュエーションを楽しんでいるかのように振舞うレベッカ。話が終わるとレベッカは教会を後にした。

レベッカが居なくなった後の教会。マリエルはローアンを助けるもう一つの方法、生命の石のことをヘイゼルに説明する。
「ぜったい、ぜったい、見つけてくる。だから、ヘイゼルもあきらめないで。」「…ありがとう、マリエル。」
「あたしたち、友だちだもん!」マリエルは教会の外へ駆け出した。

小屋に戻ったマリエル。そこにはアルフレッドがいた。借金の返済も今月で終わりの為、
マリエル達の調子を確認に来たのだという。マリエルはアルフレッドにも生命の石について聞くが、
アルフレッドはその存在すら聞いた事がないと答えた。
その時、誰かが扉を叩いた。迎えると、そこに立っていたのはエリックであった。
いつものように仕事の依頼だと思ったマリエルは時間がない事から話を切り上げようとするが、
エリックの依頼は、マリエルも探していた生命の石に関するものであった。
どうやらエリックも独自にローアンを救うすべを模索していたらしい。
その材料となるのは、月のしずく、虹のかけら、シェリンクスの笛、火の酒であると。
全て手元にあると大喜びするマリエル。しかし材料はそれだけではなかった。4つの材料を合成する核がまだ足りず
それは「土より生まれ、水にて育ち、風をはらみ、炎を産む。すなわち世界の中央にありき」という文字が示す場所に
あるのだという。

情報を元に、生命の石の核となるマテリアルは世界樹にあると推測したマリエル。
世界樹に向かうがそこは以前のような緑生い茂るような場所ではなく、枯れ果てたようなそんな言葉が
似合うような場所になっていた。世界樹に棲まう妖精達にも元気がない。
何が起きたのか訪ねると、もう直ぐソーウィンの祭りなのだが、妖精女王が姿を現さないらしい。
今の代の妖精女王は銀の森出身らしく、銀の森が枯れ果ててからと言うものの世界樹も元気がなくなったと妖精達は話す。

世界樹の奥で世界樹を見守るヤドリギの妖精と出会う。
ヤドリギの妖精はマリエルに世界樹を救って欲しいと依頼する。その為、現在の状況をマリエルに説明した。
今、自然界のバランスが乱れて恐ろしい大きな力に翻弄されている事、その影響が自然世界の中心である世界樹に強く現れている事、また女王がそれを少しでも食い止めるために妖精界に戻っている事を伝えた。
ヤドリギの妖精はマリエルには世界樹の根に赴き、乱れたエナジーの影響で生まれた黒いつるを焼いて欲しいのだと言う。
話を受けたマリエルは妖精女王の間から世界樹の根に降りていった。
世界樹の根に到着したマリエルは、妖精の力を借り、黒いつるを全て焼ききる事に成功したのである。
その後、世界樹の頂上でマリエルは生命の石の核となるマテリア、光の花を手に入れた。
それを報告にするため、ヤドリギの妖精の元へ向かうマリエル。
ヤドリギの妖精はマリエルの働きに感謝をしたが、エナジーの乱れは全て解決したわけではなく、
今後も妖精女王が人間界に降りてくる機会は減ると伝えた。また、光の花は本来人間に与えられるものではなく、
それを持っていったとしてもマリエルが望むような結果をもたらすとは限らないと念を押した。
「それでもいいの。なにかを失わずにすむとは、思ってないから…。」「そこまでわかってるなら、いいでしょう。」と、
ヤドリギの妖精は光の花をマリエルに与えたのだった。

急いで小屋に戻ったマリエル。フィオナはマリエルの留守中にヘイゼルが訪ねて来たことを伝える。
どうやら何か思いつめていたような顔をしていたらしく、ローアンの容態が悪くなったのかと心配するマリエルは、
直ぐハーブ園に向かった。

ハーブ園のヘイゼルの家の前にはシスターメイが居た。マリエルはメイにローアンの容態を聴くが、
もう手の施しようがなく、どうか少しでも苦しまないように祈るだけだと教えられた。
また、ヘイゼルは思いつめた表情でどこかに出て行った事を聞く。

----------------------------分岐点(作中は多分ノーヒント)
虹のかけら、炎の酒、月のしずく、シェリンクスの笛をそれぞれ手にいれた四大の迷宮にて、
土の妖精王、火の妖精王、水の妖精王、風の妖精王に祝福して貰った後、
光の花をエリックに渡す→ED2
----------------------------
虹のかけら、炎の酒、月のしずく、シェリンクスの笛のどれか一つでも妖精王の祝福を受けずに、
光の花をエリックに渡す→ED1
----------------------------
光の花をエリックに渡したマリエル。後は合成の結果を待つのみであった。
「よし、できた!」エリックがそう言った直後、猫の鳴き声し、何か争ったような音が聞こえた。
エリックの元へと向かうマリエル。メガネメガネとエリックは床を探している。
「何があったの?」マリエルがエリックに聞くと、どうやらエリックは黒猫に襲われたらしいとの事。
そして気がつけば合成が完了した生命の石が消えていた。
犯人にあたりがついたマリエル。しかし信じたくはなかった。「まさか…まさか、そんな…。」
マリエルは急いでアルフレッドの居る母屋に向かった。

母屋にはアルフレッドはいない。何度名前を呼んでもアルフレッドは姿を現さなかった。「どうして?…どうしてなの!?」

仕方なく小屋に戻るマリエル。外からみた妖精の樹は既に枯れ初めていた。そしてそのたもとにはヘイゼルがいた。
「マリエル…。」「ごめんね、ヘイゼル…ごめん。」結果的に生命の石を手に入れることが出来なかったマリエル。
頭を下げ、ヘイゼルに謝る。「どうしてマリエルが謝るの?」「だって、かならず助けるって言ったのに…。」
「…あやまらなくちゃならないのは、あたしのほう。ごめんね、マリエル。…樹が枯れちゃうね。」
(この段階で恐らくヘイゼルはレベッカに花を無理やり咲かせる方法を聞いて実行に移している。)
「じゃあ、もう…?」「花が咲いたら、あとのことはお願いします。お願いです。どうか、ローアンを助けてください。」
「やめてヘイゼル。頭なんか下げないで。」「お願い…お願いします。」ヘイゼルは頭を上げる事なくマリエルに願い続けた。
「ヘイゼル…。」友の悲痛な願いにマリエルは迷いながらも小屋へと向かう。
しかし、そこにポピンジェイがやってきて、マリエルを呼び止めた。
ポピンジェイは樹はまだ一時的に枯れているだけだが、願いの花を咲かせてしまえば、街全体が銀の森のように
呪われた場所になり人が住めなくなるとマリエルに忠告する。花が咲く前につぼみを摘み取ってしまうべきだと。
「きみは、それでもいいと言うのか?」ポピンジェイがヘイゼルに聴く。
「そしたら、ローアンはどうなるの?」マリエルの問いに、ポピンジェイが少し顔をうつむく。
「かわいそうだが、あきらめるしかない。」
「どうしてっ、どうしてローアンが死ななくちゃいけないのっ!」ヘイゼルが抗議する。
「人は運命にしたがうしかない。きみの弟ひとりのために、街を犠牲にするわけにはいかないだろう?」

「…ローアンが助かるなら…ほかはどうなってもかまわないわ。」

「なんて、身勝手な…。」あらあら。どの口からそんな言葉が出てくるのかしら。
3人のやり取りをいつから聞いていたのだろうか、ポピンジェイの背後にレベッカが現れる。
「こんな街ひとつ、人の命には代えられないでしょう?気にする事ないわよ。」
「おまえか。この子たちに余計なことを吹き込んだのは。」
「少なくともあなたにだけは、そんなこと言われるすじあいはないわね。」
レベッカはポピンジェイに纏わる話を語りだす。
銀の森を呪わせたのも、それを止めようとしたマリエルの父イアンが樹に取り込まれてしまったのも
全てはポピンジェイが行ったことなのだとレベッカは言った。
ポピンジェイはその事実をレベッカが知っていることに驚いた。レベッカの話は続く。
ポピンジェイは死んだ人間を生き返らせようとして森ひとつを犠牲にしたのだという。
「しかし、彼女は生き返らなかった。ぼくは…ぼくは、だまされたんだ。」
「違うわよぅ。いくら銀の森でも、死んだ人間を完全にもとどおりにするには、エナジーが足りなかったのよ。それだけ。」
「きさまっ!」怒るポピンジェイ。それを代弁したのかドルチェが飛び出し、レベッカを火で包んでしまう。

燃える火の中から現れたのは、今までとは違う魔女のような風貌をしたレベッカだった。
「すぐに頭に血がのぼるんだから、これだから人間ってイヤだわ。」
「おまえ…おまえだったのか…。」その姿になって初めてポピンジェイは今まで対峙していたのが誰だったのか気づく。
「やっと気がついたのね。かわいいボーヤ。」「こんどはこの子たちをだまして、この樹を枯らすつもりなのか。」
方法を教えただけ、決断して実行するのはこの子達とレベッカは言った。それにヘイゼルは頷いた。
遠くからバンシーの声が聞こえる。レベッカはヘイゼルを煽り焦らす。
悲しむヘイゼルを見ていられないと小屋に向かうマリエル。それをドルチェが身を挺して防ごうとするが、
そのドルチェに飛び掛りを押さえつけた者がいた。それはどこからともなく現れたアルフレッドであった。
「あ、アルフレッド…!」「動くなよ、オイラの爪は妖精でも紙のように切り裂くぜ。」爪をドルチェに突きつけてそういう。
「悪いなマリエル。オイラ、ボスの命令には逆らえないんだ。」「ボスって…。」マリエルはアルフレッドのボスが
レベッカだと言う事を悟る。「…どういうことなの?」「早く行け。ローアンを助けるんだろう?」
「教えてよ。生命の石を奪ったのは?」「…オイラさ。」マリエルは失意のどん底に落ち、泣きながら小屋に向かう。
「…うまくやるんだよ、マリエル。」レベッカは不敵な笑みを浮かべた。

小屋ではフィオナが異変を感じ取っていた。妖精の樹には今まで見たことがないような
禍々しい赤黒い色の願いの花がつぼみをつけている。
その花にエナジーを吸い取られて樹が枯れてしまう事を危惧するフィオナ。
「早く摘んでしまいなさい。」そういうフィオナだが、マリエルは思いつめたようにその場を動けない。
「…どうしたの?」「花…咲かせなくちゃ。」
「なに言ってるの!つぼみがついただけでこれなのよ。花が咲いたらとんでもないことになるわ!」
「でも、ローアンを助けなきゃ。」「…そんなムチャな願いで、花は咲かないわ。」
「ヘイゼルが、自分は死んでもローアンを助けたいって…。ゴメンね、フィオナ。あたしがやらなくちゃ。」
「…しかたのない子。」フィオナも覚悟を決めた。
エナジーを求める妖精の樹に、そこに棲む妖精達が吸収されないようにするため解放する。
樹に棲んでいた妖精達は全て光となって妖精の樹を離れていった。
「フィオナは?」心配するマリエル。「あたしはへいき。」
フィオナはマリエルの一族が代々守り続けてきた妖精の樹と心中する覚悟が出来ていた。
「だって…この花咲かせたら…。」フィオナが消えることはマリエルにも分かっていた。
「考えたってしかたないわ。どっちを選んでも後悔するだけよ。」「だって…。だって…。」
マリエルの望みどおりすればいいとフィオナが言う。その言葉にマリエルが覚悟を決めた。
「お願い、ローアンを助けて。どうか、ヘイゼルも死なさないで。あたしのともだちを連れていかないで。あのふたりも助けて。
妖精の樹も助けて。代わりに…、代わりに…。あたしが…。」「だめよマリエル、その先を言っては…!」
「…あたしは、どうなってもいいからっ!」「マリエルッ!」

その時、禍々しい色の願いの花のつぼみが開き奇跡が起きる。【献身】の妖精の誕生。

小屋の外、妖精の樹の前。マリエルを心配するヘイゼルの姿があった。「マリエル…マリエルは?」
全てが上手くいった事に喜び高らかに笑うレベッカ。「すばらしいわ。ほんとうに、たいしたものね。」
何をやったのか?とレベッカに聴くポピンジェイ。
「大きくなりすぎた負の力は、やがて自分時自身を呑もうとして、世界に孔を開けてしまうのよ。見てるといいわ。」
妖精の樹の根元付近にブラックホールのような孔が出来る。
「自然界と妖精界をつなぐ環への扉よ。環っていうのはね。この街や銀の森のような、小さな自然界のひとつひとつが、
輪のようにつながってできているのよ。あたしはこれから、この中に入って、そのつながりを壊していくつもり。」
そんな事したら自然が壊れ人間だけじゃなく妖精も世界に棲めなくなるとポピンジェイは訴える。
しかしレベッカはどうせ人間のせいで自然が滅びつつあるこの世界で、人間も共倒れするように手回しをしているだけだと言った。
「いくつもの妖精の樹をつぶしてきたけど、扉を開くことはできなかった。
まさか、あんな小さな子の手で開けることが出来るとはね。結局、自分が犠牲にならないといけないのだから、
よっぽどの純粋さがないとダメなのね。あたしの見込んだ通りだったわ。」「…あの子の純粋さを利用したというのか。」
怒るポピンジェイ。「おしゃべりはもうおしまい。さ、行くわよアルフレッド。」
アルフレッドを連れ立って環の中に入ろうとするレベッカ。しかしアルフレッドは動かない。「ボス…もう、やめてくれよ。」
「…なんですって?」自然を滅ぼすなんてやりすぎたとアルフレッドは言う。
「あたしの言うことが聞けないの?…人間に戻れなくなってもかまわないのかしら。」
「だって、人間に戻ったところで、世界が滅びてしまえば意味がないだろ?」
「ふん。心配することないわ。だって、あなたは人間に戻れやしないんだもの。」「…え?」
「もともと人間でもなんでもないの。あんたはあたしが黒猫から生み出した使い魔なんだから。」
「なんだって…じゃあ、あの写真は?」「わたしが退屈しのぎに考えた作り話。ぜーんぶウソよ。」
「オ、オイラをだましたのか…。「夢があっていい話だったでしょ?」
「そんな…そんなことのために、オイラ…マリエルを…。ちくしょおお!」アルフレッドがレベッカに飛びかかろうとする。
その時レベッカは魔法のようなものがアルフレッドを撃つ。次の瞬間アルフレッドはただの黒猫に戻ってしまった。
「さよなら。せいぜい気ままに生きるといいわ。」そういい残すとレベッカは環に消えていった。
ポピンジェイとドルチェもレベッカを追い環に入る。

一人残されたヘイゼルの元にイェッタがやってくる。奇跡が起きたとローアンが命を取り留めたことを喜ぶイェッタ。
イェッタはそれを急いでマリエルに伝えて欲しいとヘイゼルに言い、再びハーブ園へ戻っていった。
浮かない顔をしているヘイゼル。「…ローアンが助かったのに、どうしてあたしはここにいるの?」
小屋の方に目を向けるとそこにはバンシーが泣きながら歌っていた。
「…どうして、どうしてあたしを連れていってくれないの?…マリエル?」ヘイゼルは小屋に入る。
そこには仰向けになって倒れているマリエルとそれを見守っているフィオナの姿があった。
「マリエル…。…あなたがフィオナ?」「あたし…守りきれなかった…。」泣き出すフィオナ。
ヘイゼルもそっとマリエルに近づき跪く。「あんたのせいよ!あんたが、ムリな願いをかけたからっ…」
フィオナは怒りを露にした。「…うん。ごめんね。あたし、ひどいこと言ったね。
ひとりで残されるのが、こんなにも悲しいだなんて…。ごめんね。
あたし、自分のことしか考えてなかった。…ごめんね。…ごめんね。だから、お願い…戻ってきて…。」

気がつくとマリエルは見知らぬ場所にいた。地面はまるで雲のような辺りには何もない場所だった。
ヘイゼルの願いが成就されたことにより生まれた献身の妖精によって導かれるままにマリエルは進む。

マリエルが着いた先には懐かしい顔があった。
「…マリエル?どうしてここに。」それはもう1年以上も行方不明になっていた父イアンであった。「パパ!」
抱きつこうと駆け寄るマリエル。しかし、マリエルの身体はイアンの身体を通り抜けてしまう。
「あ、あれ?ヘンだな。」「マリエル…。」
あ、そうだとマリエルは森で拾ったイアンのペンダントを取り出そうとした。しかし入れてあったはずのポケットには
ペンダントは見当たらなかった。
「…たぶん、今のマリエルは、魂だけがここにいるんだよ。だから、形あるものはなにも持ってないんだ。」
「魂だけ?…じゃ、あたし…死んじゃったの?」「そうとは言い切れないが…。」イアンは言葉を濁した。
それならばイアンも死んだのか?と聴くマリエルだが、イアンは死んでおらずここから出れないだけと答える。
マリエルは父を救えなかった事を謝る。ごめんねパパと。
「そうか、心配かけたね。マリエルがどんなにがんばってきたか、今のマリエルを見ればわかるよ。」「え?」
「たくさんの妖精たちが、マリエルの中にいるじゃないか。きっと、いろんな経験をしてきたんだろうね。」
見渡すと奇跡の妖精達がマリエルの周りを囲んでいた。フィオナが妖精の樹から妖精達を放った時に、
全ての妖精がいなくなったと思っていたマリエル。しかし、奇跡の妖精達は、マリエルの心に住んでいるのだと言った。
「…ありがとう。みんな。」「さあ、マリエル行きましょう。」献身の妖精が切り出す。
「えっ…どこに行けばいいの?」「レベッカの心の中へ。」「レベッカを、助けに行くのよ。」真実の妖精と
希望の妖精が言った。「レベッカを?」そう聞くマリエルにイアンが頷く。
「どうやら、レベッカが環に入り込んだようだね。」「パパはレベッカを知ってるの?」
「知っているよ。彼女は世界とともに滅びるつもりなんだ。なんとかして止めなければ。マリエル、おまえがやるんだ。」
「あたしが?」「彼女は人間に絶望して、人としての心を捨ててしまった。でも、もう一度それを取り戻す事が出来れば…。
…きっと、彼女もそれを望んでいる。」「…パパ?」奇跡の妖精達も後押しをし、レベッカとの対面を望むマリエル。

マリエルは再び空間を移動する。そこは真っ暗闇な場所で周りには8つのドアがただ立っているだけであった。
「ここ?ここがレベッカの心の中?」辺りを見回すと目の前にレベッカが現れる。
こんなところの良く来たわねとレベッカはマリエルを迎えた。「こんな、こんなさびしい場所が、あなたの心の世界なの?」
貴方には分からないとレベッカは言い捨てる。「良き隣人に囲まれ、愛情を注がれ、なに不足なく生きてきた、あんたには。」
悲しそうなレベッカにマリエルは掛ける言葉もない。「けれども、わたしにはなにもない。…見てよ!」
レベッカが手を振りかざすと扉が一つずつ開き始める。
「人間らしい気持ちなんて、これっぽっちも残ってない。からっぽよ、からっぽ!」ドアの向こうもまた闇が広がっていた。
しかし、もう人の心なんていらない、人間も世界も滅ぼすのだからと己の目的をマリエルに伝える。高笑いするレベッカ。
あなたに出来る事はもうなにもない。そう言い切るレベッカにマリエルはそんな事ない、私があなたを助けると
力強く訴えた。それを聴いてまた笑うレベッカ。
「あんたが?あんたがわたしを?」マリエルは頷く。途端レベッカが怒る。「生意気言うんじゃないよっ!」
その手には火をはらみマリエルにぶつけようとした。が、火はマリエルの前で奇跡の妖精によって防がれる。
献身の妖精が語りだす。「そう、あなたにはわからない。人の心をなくしてしまったあなたには。
だから、わたしたちが教えてあげる。あなたを助けるために。」「…どういうつもり?」
「さようなら、マリエル。わたしたち、行くわね。」「…え?待って!」
献身の妖精はドアの一つに飛び込む。献身の妖精がドアに飛び込むとドアは閉じてしまう。
その時、レベッカは胸を押さえ悲鳴を上げる。「痛いっ…む、胸がっ…。」「レベッカ…。」
愛情の妖精が語りだす。「それはあなたの心が痛みを訴えているのよ。」
「なぜ?…なぜ、そこまで他人のために必死になることができるの?」
「人間を愛しているからよ。その人の喜びが自分の喜びなの。」「そんなこと…信じられない…。」
「そう、あなたにはわからない。愛する心を失ったあなたには。」
愛情の妖精もまたドアに飛び込んでいく。レベッカが更に激しい悲鳴をあげる。
それを見たマリエルはレベッカの心配をし、奇跡の妖精達に止めるように言う。
真実の妖精が語りだす。「心というものは、傷つけば血を流す。悲しければ涙を流すの。」「だ、だって…。」
「彼女が苦しんでいるのは、人としての心を取り戻しているから。つらくても目をそらさず、
見据えなくてはいけないことがあるの」真実の妖精がドアに飛び込む。
「わたしは…すべてをなくしてしまった…。…運命とやらのせいで。」レベッカの悲痛な声。
追憶の妖精が語りだす。「すべてじゃないわ。思い出までは、だれもあなたから奪えない。」
「いや…やめて、思い出させないで!」レベッカは頭を抱えうつむく。
「嬉しいことも、悲しいことも、あわせもってこそ人間なの。」追憶の妖精がドアに飛び込む。
「いやああ!わたしの家族…わたしの幸せ…。」
正義の妖精が語りだす。「憎しみにとらわれてはいけない。心を奴隷にしないで。」正義の妖精がドアに飛び込む。
自由の妖精が語りだす。「心に繋いだ重い鎖を、今こそ断ち切らなくちゃ。」自由の妖精がドアに飛び込む。
勇気の妖精が語りだす。「大切なもののために、新しい一歩を踏み出して。」勇気の妖精がドアに飛び込む。
「でも…どうすればいいの。」レベッカの声には既に険しさがない。今はただ悩んでいるだけの女性に見える。
「すべてをなくしたわたしに、どうしろと?」
希望の妖精が語りだす。「人はそれでも、希望を失わなければ生きていけるの。」「希望?…どこに、そんなものが?」
「そこにいるわ。あなたの、目の前に。」希望の妖精はそっとマリエルの方を見た。「そして、あなた自身のうちにも。」
希望の妖精がドアに飛び込む。レベッカの心のうちにあったドアはすべて奇跡の妖精達に満たされた。
「…マリエル?」レベッカの声はとても優しいものに変わった。「うん。」「思い出したわ。そう…そうだったの。」
「レベッカ、だいじょうぶ?」「ごめんなさいね…でも…会えてよかった。」「レベッカ…どうしたのっ。」
「ありがとう、わたしの…わたしのマリエル。」「えっ…?」そういい残すとレベッカは暗闇の中に消えた。
「待って、レベッカ…!」

気がつくとマリエルは再び別の場所にいた。先ほどイアンと在った場所であろうか、
今はそこにイアンとポピンジェイ、それに赤子を抱えた妖精女王もいる。
「よくやってくれました、マリエル。」「女王さま…。」女王はイアンとポピンジェイの方を見て、ねぎらいの言葉を掛けた。
「…お久しぶりですね。イアン。」妖精女王がイアンに声を掛ける。「え、パパ、女王さまと知り合い?」
「そうですよ。…ポピンジェイとも、ずっと前から。」「それで、あいつは…レベッカはどうしたんだ?」ポピンジェイが訪ねる。
ここにいると、女王は抱えていた赤ん坊を皆に見せる。赤ん坊はどうやらレベッカの生まれ変わりらしい。
女王はレベッカの身の上を語りだす。
「彼女はもともと、銀の森で暮らしていた半妖精でした。その生まれゆえ、人間からも、妖精からも疎まれて育ったのです。
けれどもある人間の青年と恋に落ち、結婚して子供も生まれるなど、彼女にもしあわせな時期はあったのです。」
「子供が居たんだ…」マリエルがそう言った。
「ええ、でも彼女には秘密がありました。ある時期になったら人間の部分を捨てて、
妖精界に帰らなければならない運命だったのです。」「えっ、子供も居るのに?そんな、かわいそうだよ。」
「そうですね。彼女の人間の部分は運命に抵抗しようとしました。悩み苦しんだあげく、ついに彼女は
妖精と人間のふたつに分裂してしまったのです。…その人間の部分が、レベッカです。
彼女はすぐれた妖精使いでしたが、善き心は妖精の部分が連れていってしまい、憎しみの心しか残っていなかったため、
今回のようなことを引き起こしたのです。あなたのおかげで、妖精界も、レベッカも救うことができました。
ありがとう、マリエル。」マリエルに謝辞を述べた妖精女王。
しかしマリエルは浮かない顔をしている。「ねえ、レベッカの子供はどうなったの?」
「心配しなくても、善き隣人に取り囲まれて、やさしく明るい、いい子に育ちましたよ。」女王は満面の笑みでマリエルに伝えた。
マリエルはそれを自分のことのように喜んだ。

別れの時間が近づいていた。レベッカの思惑によって開いた環がそろそろ閉じるのだという。
妖精の女王はポピンジェイにレベッカの生まれ変わりを託した。
「この子には妖精使いの才能があります。銀の森を復活させるには、その力が必要になるでしょう。
あなたの手で育ててあげてください。」と。
「…ぼくに、できるだろうか。」「この子はマリエルと同じように、いずれ妖精と人間の架け橋になれる存在です。
きちんと愛情を注げば、きっとマリエルのように育ちますよ。」マリエルが照れくさそうに笑う。
環が閉じかけ、女王はポピンジェイとイアンに早く戻るように促す。
「きみは…。」ポピンジェイはマリエルの方を見た。
「残念ながら、マリエルはあなたがたと違って魂だけの存在です。このままでは帰れません。」「しかし…。」
「あたしなら、平気。ヘイゼルたちによろしくね。」マリエルは笑顔でポピンジェイに言った。「…わかった。」
ポピンジェイがその場を去った。「さ、あなたも早く。」
「こんどはわたしの番だ。かならず、おまえを助け出す。待っててくれ。」イアンはマリエルに約束をする。「うん…。」
「きみも、元気で。」「ええ、あなたも。」イアンもまたその場を去った。

二人の前では我慢をしていたが、マリエルはその場で泣き出してしまう。「マリエル…。」

-------------------分岐(ED1)

「へ、ヘンだね。…たましいだ、だけでも…、涙は、で、出るんだね…。」女王は腰を下ろし背中からマリエルを抱きしめた。
「…やさしい女性は、死んだら水の精になるんですって、知ってる?」マリエルは首を横に振った。
「わたし、女王になるよりも、あなたのおうちのそばを流れる小川になりたかったわ。
そして、あなたたちのことをずっと見守っていたかった。」「…あたし、小川になれるかな?」
「そうね…マリエルならなれるわ。きっと。…でも…。」
(レベッカの心の中のドアに入らなかった友情の妖精はマリエルを慰めるかのように振舞っています。)

場面は街に移る。
手に収まるサイズの植木鉢を持ってヘイゼルがハーブ園からどこかに行こうとしている。
それをすっかりと元気になったローアンが呼び止める。「どこ行くの?」「マリエルのところよ。」
「ぼくも行っていい?」ヘイゼルは首を横に振った。
「きょうは特別な日だからだめよ。広場の方で遊んでらっしゃい。」「うん。」
マリエルの家に向かい歩くヘイゼル。その途中にある橋の上で、小川の方を何度も気にし、見つめる。
マリエルの母屋の前に着いたヘイゼル。その時、妖精の樹の方からイアンがやってくる。
「こんにちは。」「やあ、こんにちは。」「お帰りになってたんですね。」
「うん、今日はソーウィンの祭りの日だからね。」「え?じゃあ…。」「いや、ことしは多分無理だろう。」
イアンは首を横に振る。「…そうですか。」ヘイゼルも残念そうにする。
「あきらめたわけじゃないよ。今年がダメでも、また来年がある。」「…はい。」
イアンはヘイゼルの持つ植木鉢を見た。「新しいハーブかな?」「ええ。…マリエルは?」
「いつものように小屋に居るよ。」「はい…じゃ、おじゃまします。」ヘイゼルは頭を下げる。
そして小屋の方にトコトコと駆けて行った。

小屋に入ったヘイゼル。「こんにちは、フィオナ。」しかしフィオナは居るのに姿を現してなかった。
まだヘイゼルを許していないのだろうか。「上にあがってるわね。」ヘイゼルは2階に上がっていった。

「マリエル、新しいハーブの苗を持ってきたわよ。お部屋の空気をキレイにしてくれるんですって。きっと身体にいいわ。
聞いた?キャシーったら、またアーヴィンとケンカしたの。キャシーがつくったサンドウィッチで、
アーヴィンがおなかこわしたのよ。二日前から下ごしらえしてたんですって。アーヴィン怒ったんだけど、
それだけ好かれてるってことよね。きっと、またすぐに仲直りするわ。ヒルトップさんとこの男の子も元気よ。
妹がほしかったデイジーも最初はがっかりしてたけどいまではしっかりおねえさんしてるわ。
それに、来年にはフラニーかシャロンのとこに赤ちゃんが生まれると思うの。そうしたらこの街ももっとにぎやかになるって
みんな楽しみにしてる。あとは…。」ヘイゼルがベッドの方を見た。「マリエルが目を覚ましてくれれば…。」
マリエルはあの出来事以来ずっと眠ったままであった。
「あれから一年になるわ。今日は妖精界への扉が開く祭りの日なのに。マリエルの魂はいつになったら帰ってきてくれるのかしら。
…きょうはおわかれに来たの。ローアンも元気になったから、都会に戻ることになったの。
わたしだけでも、マリエルのそばに居たかったんだけど。でも、いつか必ずここに帰ってくるわ。
あたしの心は、いつだって、マリエルと一緒に居るんだから。」

ヘイゼルが泣きながら2階の階段を下りてきた。そして扉を開けて小屋の外に出て行った。
「ヘイゼル…。」姿を表すフィオナ。複雑な面持ちをしている。フィオナが家事に戻ると、
ヘイゼルの出入りで開いたドアの隙間から侵入したのか、レベッカによって使い魔から普通の猫となったアルフレッドが
小屋の2階に上っていく。物音に気づいたフィオナが振り返る。しかし、アルフレッドは既に2階に上がっていた。
「ん?…ヘンね。だれか居たような気がしたんだけど。」

2階に上がったアルフレッド。その口には何やら石のようなものがくわえている。
そして、それを眠っているマリエルのもとに置いた。

1階のフィオナが何かの気配に気づいた。「…なにかしら?」辺りを見回るフィオナ。
「あっ…!」気がつくと妖精の樹に花のつぼみがついている。「…旦那さまに知らせなくちゃ!」
(スタッフロールへ)

-------------------分岐(ED2)
「めそめそ泣いてるんじゃないぜ。マリエルらしくもない。」聴きなれた声にマリエルが反応する。
マリエルの目の前には借金取りのアルフレッドが立っていた。
「ア、アルフレッド…どうしたの?」「ヘタをうっちまってな、見ての通りさ。マリエルたちをだました報いだろ。」
「そ、そんなこと…。」マリエルはアルフレッドを責めない。
「オイラはマリエルに借りを作っちまった。それはなんとしても返す。」「…どういうこと?」
アルフレッドが妖精女王の方を見つめた。そして視線をマリエルの方に戻す。
「さあ、帰るんだマリエル。みんなが待っている。」「ええっ?アルフレッドは?」「…オイラはダメだ。」「そんなっ…。」
「気にするな。いつかはきっと、人間に生まれ変わるさ。」「アルフレッド…待ってるからねっ!」
マリエルがアルフレッドの身体を抱きしめようとした時、光に包まれ消えてしまう。
その場に残った妖精女王とアルフレッド。「これでいいんだよな、女王さま。」
「ええ。それにあなたの転生も、そんなに遠いことじゃないと思いますよ。」「…ホントかい?」喜ぶアルフレッド。
「あなたは、すでに魂を持っていますから。」女王は微笑みながらそうアルフレッドに伝えた。

場面はマリエルの小屋に移る。仰向けのまま倒れたマリエルをフィオナとヘイゼルが見つめている。
ヘイゼルが何かに気づいたかのように「…マリエル?」と言った。どうしたの?とフィオナが言う。
「いま、マリエルが…動いたわ。」「ええっ?」するとマリエルが目を覚ます。
「う、うーん。」「マリエル!」「あれ?ヘイゼル…フィオナ…。」「マリエル…よかった…。」
ヘイゼルはマリエルを抱きしめた。フィオナも嬉し涙をぬぐっている。フィオナが部屋を見渡すと、
ただの猫となったアルフレッドが机の上に居た。「あっ、…ちょっと…。」その時、小屋の扉が開く。
イアンが戻ってきたのだ。「あっ、パパ。」「…マリエル。」「生き返っちゃったみたい。えへへっ。」
マリエルは手で頭をかき笑顔でイアンにそう言った。「そ、そうか…よかった。」
イアンは飛んでいるフィオナを見つける。「…フィオナ。」「…だんなさま。」「ただいま、フィオナ。」
「おかえりなさいませ!」フィオナがイアンの方に飛びついていく。
(スタッフロールへ)

-------------------本編終了

リーヴェルファンタジアはコレにて完結です。多分本作で語られることなく終わったであろう謎が幾つかあります。
・チャンドラーの生死。
・妖精の許しが恐らく行方不明であり、何故ケヴィンは鉱山の経営を続けられるのか?
また、妖精の許しがなくてマリエルは何故水晶鉱山で水晶のベルを探せたのか?
・水晶鉱山の主が誰だかわからない。
・ジャック妻、娘の死因。
・ポピンジェイの正体。恐らくイアンとレベッカ(=妖精女王)の息子でマリエルの兄?
・ポピンジェイが生き返らせようとした女性とは?
・フィオナの年齢。
・環が開くトリガー。(本作では闇のエナジーがその要因となるが他にもありそう。)
・ED2でマリエルは何故生き返れたのか。
アルフレッドの命と引き換え or 最期に現れた猫のアルフレッドが生命の石をマリエルに使ったから?
・そして、リーヴェルファンタジア最大の謎だと思うのはリーヴェルって何?って所です。
(マリエルが成長すると階級の呼称が変わりますが、それの最高位がリーヴェルマスター。)
謎については攻略本でも手に入ってそれに載ってたらこっそりとWikiの方に追記します。

後、もう少し掘り下げて欲しかった部分として、いつもポピンジェイの傍にいる妖精ドルチェ。
説明書でも大々的にキャラ紹介が書かれていますが、ゲーム中、ボイスは勿論テキストですら発言しません。

453 :リーヴェルファンタジア~マリエルと妖精物語~:2008/06/19(木) 04:30:26 ID:xMOb9bAz0
手元に攻略本がありましたので、わかる部分だけ補足。
>リーヴェルって何?
『リーヴェル』の持つ意味
ラテン語で“Liber”とつづられる。書物や記録、そして拘束されない自由という意味を持つ言葉だ。
自由な拘束されない存在=妖精という点と、妖精たちの記録という意味合いを含めて、ゲームタイトルに選ばれている。
(攻略本より引用)

>ポピンジェイの正体。恐らくイアンとレベッカ(=妖精女王)の息子でマリエルの兄?
ゲーム時点でイアン36歳、レベッカ32歳、ポピンジェイ27歳のため、マリエルの兄というのはありえないかと。
会話からすると、ポピンジェイに死人のよみがえらせ方を教えたのがレベッカではないかと思われます。

>チャンドラーの生死。
おそらく死んでいるかと。
とある妖精に関して「グッドマンが数ヶ月の間に無事だったのは、どうやら、この妖精のおかげだったようだ」
との記載があり、この妖精が働きかけなければグッドマンも死んでいたようです。

ドルチェに関しては、本作が当初は男主人公が妖精を育成するシュミレーションゲームであり、登場するのは
女の子の妖精ばかりという予定であったため、その当時の設定が引き継がれているのではないかと推測されます。
(攻略本88ページに開発当初の妖精案イラストが掲載されているのですが、ここにドルチェによく似た妖精が、
男主人公をからかっているイラストがあります)

これ以外に関しては残念ながら攻略本でも詳しくは語られていません。

最終更新:2008年06月19日 22:09