ワンダと巨像

part19-262~264


262ワンダと巨像 ◆l1l6Ur354Asage2005/11/13(日) 07:56:14 ID:/nuLAXka
切り立った崖の道を、馬に乗った青年ワンダが進んでゆく。
青年の腰には“いにしえの剣”、そして腕の中には少女の亡骸があった。
彼らの頭上を鷹が飛び、あっという間に追い越していった。

青年は死者を生き返らせることができるという伝承の地を目指していた。
たどりついた果ての地。青年は祠の祭壇に少女の亡骸を横たわらせた。
すると、天井から「何か」の声が響いた。
「わが名はドルミン。少女を生き返らせたくば、その剣を使って巨像を倒せ」

青年は、愛馬アグロに乗って、いにしえの剣を掲げて草原を疾走。
剣の示す先にいる巨像を探し出しては、飛びかかっていった。

倒すたびに、巨像から黒い触手が飛び出し、青年の胸を貫いた。
気を失って横たわる青年を見下ろす謎の黒い影。
それは倒した巨像と同じ数だけ増えていく。
青年の体も、少しずつ、どす黒く染まっていった。

16体目、最後の巨像へ挑む青年ワンダ。
崩れかけた橋を愛馬で駆け抜けたが、あとちょっとのところで橋が完全に陥落。
ワンダは向こう岸に投げ出されたが、愛馬はなすすべもなく谷底の川に転落していった。
青年は1人で走り出す。この最後の巨像を倒せば、少女は復活するのだ。

263ワンダと巨像 ◆l1l6Ur354Asage2005/11/13(日) 07:57:30 ID:/nuLAXka
ワンダの同郷者達が彼を止めるべく、祠に乗り込んできた。
彼らが少女の遺体を発見したその時、ワンダが最後の巨像をしとめてしまった。
祠に戻ってきた満身創痍の青年に向かって長が叫んだ。
「やはりお前か!ドルミンを復活させてはならぬ!」
ドルミンとは、16体の巨像の中に封じ込められていた邪神。
それを少女の復活と引き換えに、ワンダが開放してしまったのだ。

ワンダが足を引きずりながら少女の元へ近寄ろうとする。
彼の頭には角が生え、皮膚は邪気により黒く変質、異形の者へと変化していた。
その後ろには、黒い死者達の影がつきまとっている。
長達はワンダを捕え、その胸を剣で貫いた。黒い血が吹き出す。
ワンダは、最後の力をふりしぼって剣を抜くも、力尽きて倒れてしまう。

と、その体を黒い邪気が包み、どんどん大きくなって、ドルミンの姿に変化。
青年の体にとりついて復活してしまったのだ。黒い影達もドルミンの体に同調。
巨大な邪神の姿に戻ったドルミンは、長達を襲った。
かろうじて逃げ出した長は祈りの言葉を唱え、祠の水面に“いにしえの剣”を投げいれた。
水面から光があふれだし、黒い怪物の邪気を吸い込んでいく。
ドルミンの巨大な異形のシルエットは、青年ワンダのシルエットに変化。
そして、ワンダのシルエットも、そのまま水面に引きずり込まれて消えた。

この「果ての地」と「地上」を結ぶ巨大な橋が決壊を始めた。
長達が馬に乗り必死で駆け抜けていった。そして橋は完全に崩れ落ちた。
これでもう、誰も果ての地へと足を踏み入れる事はできないだろう。

264ワンダと巨像 ◆l1l6Ur354Asage2005/11/13(日) 07:59:53 ID:/nuLAXka
静けさの戻った祠。
祭壇に横たわる少女の目が開いた。

あたりを見回す少女。
そこへ、青年の愛馬アグロが痛々しい姿で現れた。
谷底に落ちた際に後ろ足を折ったらしい、力を振り絞って歩いている。
少女は、アグロへ駆け寄った。

アグロはよろめきながらも、青年が吸い込まれた水面に向かった。
少女もその後を追う。
水は干上がり、そこには、角を生やした赤ん坊がいた。
少女が抱き上げる。

アグロが道案内をするかのように、祠の上部へ歩いていく。
祠の上部は城のような建物になっており、少女達は庭園に行き着いた。
動物達が、少女と赤ん坊を祝福するかのように近づいてくる。
あたり一面、陽光が溢れて鮮やかな緑と絡み合い、それはそれは美しい風景が広がっている。
翼をはためかせて、鳥が空高く舞い上がった。
それは、この地を初めて訪れた時に、青年の頭上を飛んでいた鷹。

終わり。





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