第4話 「"10年前"の女」

第4話 「"10年前"の女」


場所:20XX年…日本、六本木

フェリシア「ねぇ~、まだ着かないの~?」
桃「もう、フェリシアさん…さっきから5分おきに言ってる…。もう少しですって」
レジーナ「スターって人種は、こらえ性はなさそうだしね。
   密林で沼地を半日歩き続けれる事に比べれば…これくらいなんて事ないわ」
フェリシア「スターに限らず、普通の人はそんな状況にならないよ!」
ブルース「そうだ、サインの一つでも貰っとくか。いいかい、マネージャーさんよ」
キング「…私はマネージャーではない」
シャオムゥ「いやあ、何ともにぎやかな集団じゃのう」
零児「…目立って仕方ないがな。ところでシャオムゥ…どうなんだ?」
シャオムゥ「…駄目じゃな。未だに本部とは音信不通のままじゃ」
零児「ちっ…。どういう事だ…?」
M.O.M.O.「連絡つかないみたいですね」
中村(ベラボーマン)「困りましたね。
   先ほどの化け物を連れていた女性も、
   たしか『森羅』の方に向かうと言っていましたよねえ…」
レイレイ「なんか、零児とはのっぴきならないカンケイっぽかった、あのボインアルな」
桃「ええと…モトカノ…なのかな?」
シオン「モ、モトカノ…って?」
KOS-MOS「"元・彼女"の略称だと思われます。
   異性交遊における男女間の関係が、何かしらのトラブルで途切れた場合…
   関係のあった女性を男性から見てそう呼称するようです」
シオン「そ、そうなんだ…ありがとう、KOS-MOS。
   (…こんなデータベース、このコにあったかしら…)」
零児「…そこ、好き勝手な事を言うな。奴とは…そんなんじゃない」
シャオムゥ「………」
フォンリン「…言いたくなければいいけど、これだけははっきりとしておいてほしいわ。
   …あの女は"敵"って事でいいのね?」
零児「…それは間違いない。できれば…俺の手で決着をつけたい。」
シャオムゥ「…零児、あまりこだわるでない。
   こだわって…いい事は何もないぞ…」
零児「………」

フェリシア「…やっぱマジだね、こりゃ」
キング「なんだ?そんな小さい声で…」
フェリシア「だってださ、シャオムゥちゃん、こういう話好きそうじゃない?
   なのにさ、この件になるともう全部だんまり…」
M.O.M.O.「それって…つまりどういう事ですか?」
桃「そうか…"今"と"前"の…って事?」
レイレイ「キナ臭~。そうなると修羅場…ってワケ?
   …そりゃマジにもなるアルなぁ」
シャオムゥ「…聞こえとるぞ、ぬしら」
M.O.M.O.「あ、あの…マ、マジなんですか…?」
シャオムゥ「こんの小娘、意味わかって使っとんのか!
   そんなわけなかろうが!
   まったく…若い娘はすぐに恋愛にファンタジーを夢見るから…」
零児「(彼らを巻き込みたくはないが…そうもいかんか、このままでは。
   あの女との決着…早々につける…!)」


同時刻…南海の孤島、アイビス島

ベガ「(アイビス島…
   『サードエナジー暴走事件』以来使われなくなったこの辺境の孤島で…
   こんな面白い事が起こるとはな。せいぜい利用させてもらう…
   完全なるサイコドライブの完成のために)」
???「うふふ…こんな所にいらしたなんて…。
   直前でデートの約束場所を変えるなんて、ルール違反じゃなくて?」
ベガ「フン…貴様がモタモタしておるからそうなるのだ。わしは忙しい」
???「あん、こんな蒸し暑くてムードのない島に呼び出しておいて、
   すいぶんなお言葉ね。
   そうそう、この島…"ゆらぎ"の影響で、別の世界からお客様がいろいろと
   見えているようよ…?
   特にここは…次元がすごく不安定みたいなの。
   これからも色々起こるかも、ね?」
ベガ「知っておる。…貴様のような化け物もおる今、別に驚きはせぬわ」
???「(人の事言えないでしょうに)」
ベガ「それよりも、邪魔な"あの組織"…本当に壊滅させられるのだろうな?」
???「壊滅させる…っていうのとは、少し違うけれど、ね。
   任せなさいな」
ベガ「…貴様の指示通り、我が親衛隊をすでに向かわせておる。
   報告によると、現在実働している『シンラ』のエージェントは二名…
   それ以外は本部で足止めをさせておる」
???「…おチビちゃんと、もう一人の坊やね」
ベガ「この機を逃すな。行け。…失敗は許さんぞ」
???「了解です!ベガ様!
   あん…これじゃまるで、私もシャドルー親衛隊の一人ねえ。
   成功した時の約束、お忘れなく」
ベガ「成功したならば、だ」
???「ほんとに愛想のない悪の総帥だこと。
   では閣下、行って参ります!
   なんてね…うふふ」

立ち去る???。

ベガ「(フン…貴様のような得体の知れない化け物に、
   サイコドライブの情報などやれぬわ)」


同時刻…日本、六本木森羅本部前

春麗「なんて逃げ足の速い…!待ちなさいって言ってるでしょ!」
キャミィ「…しつこい奴」
ユーニ「ベガ様より連絡がありました…任務を実行に移せ、との事です…」
キャミィ「了解。
   …この女のせいで、計画に遅れが出始めている…そろそろ邪魔になってきた」
ユーリ「提案:完全排除」
キャミィ「…憂いは取り除いておくべきか。排除する」
ユーニ「任務、了解しました」
ユーリ「任務:了解」
春麗「やっとやる気になったようね。(でも1対3…やれるの?)」
???「おいおい…今日はやけに知り合いと会う日だな」
春麗「え…!?」
??「ああ。…おい、大丈夫か?」

現れたのはケンとリュウ。

ケン「よお、久しぶりだな」
リュウ「元気そうだな、春麗」
春麗「ケンに…リュウ!?
   あなた達、どうしてこんな所に!?」
ユーリ「人物データ照合:ケン・マスターズ」
ユーニ「もう一人は…リュウです」
ケン「おっと、サインは後だぜ?」
リュウ「…ケン、あの腕章…」
ケン「へへ、わかってるよ。…シャドルー…こんな子供を使って、何やってやがる」
キャミィ「消せ」

春麗「リュウ、ケン。あなた達、なぜここへ!?」
リュウ「…"奴"に会った」
春麗「…奴?もったいぶらないで、リュウ」
ケン「わからねえか?こいつがこんな顔をする相手は…一人しかいねえさ」
春麗「まさか…!拳を…"拳を極め者"に!?」
リュウ「………」
ケン「こいつはもう二回目だけどな。
   …船でちょいゴタゴタがあったんだが、そこをフけて師匠の墓に行ってみたら…
   居やがってよ」

キャミィ「時間があまりない。仕掛けるぞ」
ユーニ「了解です」
ユーリ「了解」
春麗「ゆっくり話してる時間はないようね」
ケン「へっ、続きは簡単だぜ?
   あの野郎"ロッポンギに行け"…だとさ」
春麗「ここに?…何があるって言うの?」
リュウ「…わからない。少なくとも、君達はここにいた」
春麗「………」
ケン「さて、残りは後にしようぜ。…お嬢ちゃん達、やる気みてえだ。
   こんな殺気の中で、おちおち話なんてしてられねえからな」
春麗「…そうね、やりましょう」
リュウ「………。
   (豪鬼…俺に何を見せたい?何を…させたいんだ…?)」

ベガ親衛隊と交戦するが、今ひとつ本気を見せない相手に不信を感じる春麗。

ユーリ「任務継続困難:撤退」
春麗「逃げる!?」
ユーリ「………」
春麗「(引き際が良すぎる…。なんなの?嫌な予感がする…)」
ケン「へへ、思ったよりいい動きするじゃねえか、こいつら」
ユーニ「………」
春麗「どうも気になるわね」
リュウ「ああ」
ケン「ん?何がだよ?」
リュウ「…踏み込んでこない感じがする。あれじゃ拳半分届かない」
ケン「初めての対戦なんだ、間合いを取ってるだけだろ?」
春麗「そう…間合いよ。
   勝つために相手を見てるというより…何かを待っている感じね」

キャミィ「…頃合いか」
ユーニ「もう間もなくですが…情報と異なる人物の接近を感知しました」
キャミィ「なに…?」

そこへ現れる人影。

さくら「ええっと…ここだよね?」
かりん「…間違いないようですわよ。見知った顔もおりますもの」
ケン「おい、リュウ!あれは…神月財閥のお嬢様と…」
リュウ「さくらちゃんか!?」
さくら「リュウさん!リュウさんだ…!
   あの怖いおじさんの言ってた"会わねばならん男"って…
   やっぱりリュウさんだったんだっ!それに春麗さんも!?」
春麗「さくらちゃん!?」
かりん「それにケン・マスターズ付きとは、大盤振る舞い…。
   以前敗れたお返し…ここでするのも悪くありませんわね」
ケン「俺はおまけかよ。だがよ、お嬢様。
   あんたの相手はまた今度だ。仲良く殴り合ってる場合じゃねえ」
キャミィ「………」
英雄「闘っているのですか?…あんな小さな娘さん達と…」
春麗「あのコ達は、ある組織の特殊工作員。見た目に騙されると後悔するわよ。
   一般人は避難して!早く!」
かりん「…秘密結社シャドルーですわね」
春麗「……!・」
かりん「ならば、私とは無関係ではございません。
   シャドルー…神月財閥を脅迫しようなどと浅はかな考えを」
さくら「そ、そんな事されてたんだ」

ユーニ「…カンヅキ家次期当主、カンヅキ・カリンと確認」
キャミィ「話が違う…どういう事だ?」
春麗「どうやら、待っていたのと違う人間ばかり来てしまったようね。」
リュウ「…早めに決着をつけるべきだ。
   状況が悪くなれば、彼女達を無傷で捕らえるのは難しくなるかもしれない。
   そうでなくても、相当な手練だ」
さくら「リュウさんが闘ってるなら…あたしも闘うよ!
   悪い人なんでしょ?あのコ達!」
響子「…どうしますか?英雄先生」
英雄「…他校の生徒とはいえ、教え子には変わりありません。
   得体の知らない組織の陰謀などに、巻き込ませるわけにはいきません…!」
響子「決まりですね」
さくら「ありがとう、島津先生、水無月先生…!」
かりん「まったく…お節介焼きですこと。
   …そういえば、あの忍者二人はどうしましたの?」
響子「急用ができたとかで、いつの間にか消えてしまったわ。
   …アイビストウ…がどうとか」
春麗「(…アイビス島?)」

キャミィ「予定外だが、計画実行まで戦闘を続行する」
ユーニ「了解」
かりん「来るようですわね」
英雄「しかし多勢に無勢…これでは弱い者いじめです。
   何とか説得できないものでしょうか…」
ケン「へっ。先生よ、考えが甘いな」
春麗「そうよ。あのコ達の目を見て。組織で訓練を受けた暗殺者…それが正体よ」
響子「彼女達を救うために、闘わなければならない…。
   矛盾しているけれど…仕方ないようですわ、英雄先生」
英雄「………」

そこへ敵の増援が出現する。

さくら「え!?急になに!?」
リュウ「化け物!?」
ケン「船で見たやつとは違うタイプだな。…にしても、結構な数だぜ」
キャミィ「…来たか」
春麗「(これを待っていたの!?シャドルーと化け物に、どんな関係が!?)」


戦闘を続行中に、零児達が到着する。

零児「ちっ…やはり押さえられていたか…!」
シャオムゥ「また特盛りでおるのう…」
リュウ「ここは危ない!近寄っては…」
ブルース「あれは…あの時のカラテマン!?
   それにチャンプか。よう、また会ったな」
ケン「なんなんだよ、今日は。…縁があるっていってもありすぎだぜ」
フォンリン「春麗!?春麗なの!?」
春麗「フォンリンじゃない!なぜ安全部のあなたがこんな所に!?」
フォンリン「あなたと同じよ。…そこの娘達に用があってね」
キャミィ「………」
レジーナ「あの腕章…なるほど、シャドルーの工作員ね」
M.O.M.O.「モモ達がこっちの世界に来た時…シブヤにいた人達ですね」
シャオムゥ「ふぅ…こんなこったろうと思っとったら…。
   本部のすぐ近くでこんな騒ぎとはのう。
   しかも、ずいぶんと顔見知りが多いようじゃて」
零児「そんな事より…なぜ、誰もでてきていない?
   俺達以外のメンバーは、常時詰めているはずだ」
シャオムゥ「む?そういえば…そうじゃの。なんじゃ、サボっとるんちゃうか?」
KOS-MOS「注意してください。…この地域を中心に、空間歪曲が発生しています」
シオン「ちょっとKOS-MOS!?それじゃあ、私達は…!」
KOS-MOS「人体に影響はないようです。ただし、指向性歪曲より、ある特定の方向から、
   この地域に進入できません」
キング「意味がよくわからないんだが?」
零児「…この空間には、決まったルートからしか入る事ができないという事だ」
かりん「馬鹿をおっしゃい!そんな今時SF小説でもないような…」

レジーナ「あるわ。
   …サードエナジー研究所で見た事がね。
   でも、なんの設備もなしに、そんな事が可能なの?」
レイレイ「妖力や仙術を使えば可能アル」
フェリシア「そうだね。アナカリスとか得意だったし」
零児「陰陽道にも似たような業がある。
   『逢魔(おうま)』の連中は得意だったと親父から聞いた」
シャオムゥ「『逢魔』…!
   まさか…三島ビルやナムコシアター前に誰もおらんかった理由は!?」
零児「そうだ…そういう事だ。ぐ…」

また額の傷が痛み出す零児。

零児「さあ、出てこい…!俺達はまんまと罠にはまってやったぞッ!」
シャオムゥ「零児!?」

???「そんな偉そうに宣言されてもねぇ、坊や」

突如出現する零児の仇。

???「そんな偉そうに宣言されてもねぇ、坊や。ちょっと格好悪いんじゃない?」
零児「…どうでもいいさ。仕事だからな。…この場で決着をつける」
???「あん、若いのに仕事熱心ね。
   おチビちゃん、いい子をパートナーにsたじゃない?」
シャオムゥ「ふん…まだ気付いておらんようじゃの」
???「……?」
キャミィ「いつまでくだらん話を続ければ気が済む。
   遅れてきた責任、どう取るつもりだ」
???「あん、そんなに怒らないで。ご苦労だったわね」
キャミィ「ベガ様の指示だ。…貴様のためにやったわけではない」
響子「…ちょっと、一体何がどういう話になっているの?」
英雄「あの女性は…?い、いやあ…目のやり場に困りますなあ」
中村(ベラボーマン)「彼女は化け物の上司なんです。
   まあ、確かに眼福ではありますが…ははは」
響子「…英雄先生」
桃「…中村さん」
英雄「い、いえいえ!そういうつもりでは!」
中村「そ、そそそうですよ!ん…ゴホン
   間違いない事は、戦わなければならない相手だという事です。では…変・身ッ!」
ベラボーマン「ベラボー…参上!」
桃「え、ええっと…へ、へんし~ん!」
ワンダーモモ「ワンダーモモ…が、がんばりまぁ~す!」
???「あらかわいい。そうやってその格好になってたの?
   …なんかぎこちなかったけど、ね」
ワンダーモモ「ま、まだ慣れてないもので…」
ケン「敵ったって…ホントかよ」
リュウ「…感じないか?ケン。彼女からは気の流れを感じない…。
   もっと何か…別の波動のようなものを感じる…」
???「面白い事を言うわね…あなた。
   …ふうん…あなたの中にも、何かあるみたいじゃない?
   それでわかったのかしら、ね」
さくら「え…?リュウ…さん?」
ケン「(…こいつ…)」
リュウ「………」
???「さて、と。じゃあ始めましょうか。
   時間稼ぎもだいぶできた事だし、あともう少しだけね」
零児「なんだと?」
キャミィ「…わかった。仕掛けるぞ」
シャオムゥ「時間稼ぎ…!?…シャドルーとの契約は時給計算とか?」
零児「………。そうじゃない、"あの時"と同じだ…!しくじった…!
   みんな、あの女を狙えッ!時間はもうほとんどないはずだ!急げ!」
シャオムゥ「まさか…!」
フェリシア「え?え?急にどうしたの?」
シオン「どういう事なんですか?時間がないって!?」
零児「かまうな!奴を!」
???「あん…モテる女は罪、ね」
零児「(なぜもっと早く気付かなかった…!
   "あの時"…"10年前"と同じ事がまた繰り返されようとしているのか…!)」

戦闘は続き、キャミィを追い込む春麗。

キャミィ「あの女が計画を狂わせなければこんな事には…!く…撤退する…!」
春麗「待ちなさいっ!」
キャミィ「…しつこい女だ。
   この女がベガ様がおっしゃっていた、インターポールの捜査官…。
   だが…もう会う事もあるまい」
春麗「な…!ど、どういう事!?」

撤退するるキャミィ。

???「あん、結構減っちゃったわね…カマちゃん達。
   でもまぁ、がんばった方でしょう。…いよいよ、ね」
零児「くっ…時間が…!」
リュウ「さっきから、何を焦っているんだ?」
さくら「そうだよ、こっちが押してるのに!」
シャオムゥ「そういう問題ちゃうわ!ほれほれ、空間はどうなっとる!ツッコミロボ!」
シオン「え?だ、誰に…」
KOS-MOS「はい。先程よりも空間歪曲は大きくなっています。
   正確な歪曲値は測定不能です」
シオン「………」
シャオムゥ「やっぱりか…!まずいそ、あやつの狙いは…!」
零児「急げッ!奴を…あの女を!」
???「お名残おしいけど…そろそろゲームオーバーという事にしましょうか、ね」

戦闘は続き、???を追い詰める。

???「あ…し、しまった…!」
零児「もらったぞ…!…間に合ったようだな」
シャオムゥ「やれやれじゃな…」
キング「スリーカウント…勝負あったな。色々聞かせてもらおうか」
ワンダーモモ「え…えっと…。あの…本当にモトカノなんですか?」
シャオムゥ「真っ先に聞くのそこかい!」
春麗「…シャドルーとの関係を聞かせて頂戴。そしてベガの居所…。
   腕ずくでもしゃべってもらうわ…!」
ケン「おいおい、落ち着けよ」
???「そうそう、落ち着いて。…もう手遅れだもの、ね」
零児「な、なんだと…!?」
???「手遅れなのよ、坊や」

突然広場中央の噴水が吹き上がると同時に巨大な"ゆがみ"が起きる。

ベラボーマン「な、何が起こっているのです!?」
M.O.M.O.「く、空間の歪みが…!発言点は…中央の噴水です…!」
零児「なに!?本部の…地下じゃないのかッ!?」
シャオムゥ「たばかりおったな…!おぬし!」
???「ふふ…うふふふふ…。
   たばかるも何も…初めからそのつもりだったのよ」
響子「か、体が…動かない…」
英雄「きょ…響子先生!ぐ…ぐぐ…!
   な、なんだ…この…光は…!」

急にどこかへ消えてしまう英雄、響子。

さくら「ええ!?し、島津先生!水無月先生!」
かりん「さくらさんッ!早くここから…!う…ああっ!」
さくら「リュ、リュウさん!」
リュウ「こ、これはなんだ!?」

さくらとかりんも消えてしまう。

リュウ「き、消えた…!?」
ケン「お、おいっ!何がおきてるッ!説明しろッ!」
KOS-MOS「わかりました。空間歪曲により、基底現実における境界線、いわば…」

そう言い残し消えるKOS-MOS。

シオン「コ、KOS-MOS!」
フェリシア「説明長いよ!全然ワケわかんないうちに…。わ、わわわ!」
キング「フェリシア!私につかまれ!」

消えるキング、フェリシア。

シオン「そ、そんな…!モモちゃん、状況を知らせて!何が…一体何が!」
M.O.M.O.「えっと…あ、あのですね…その…」

消えるシオン、M.O.M.O.。

レイレイ「こっちもこっちで頼りにならないアル!」
フォンリン「逃げるしかないわ!こっちに!あ、うああっ!」

消えるレイレイ、フォンリン。

春麗「フォンリン!?これが…シャドルーが企んだ事だっていうの!?」
ケン「くそっ!なんだってんだよ!」
リュウ「(豪鬼…!これが俺にやらせたい事なのか!?
   あの子をも巻き込んだのは…なぜだッ!)」
ブルース「や、やべ…え…!くそっ…体が…動か…ねえ…」
レジーナ「この…皮膚が引っ張られる…感じ…。アイビス島の…あの研究所で…!」
ベラボーマン「み、みなさん!な、何という事だ…!」
ワンダーモモ「ベ、ベラボー…さん!」
ベラボーマン「神田…桃さん…。あなたを…こんな事に巻き込んでしまう…なんて…」

次々に仲間が消えていき、残すは零児、シャオムゥのみになる。

零児「ぐ…うう…」
???「坊や、あなた達でお終い。おチビちゃん?今回は…私の勝ちね」
シャオムゥ「く…それは…どうかのう…」
???「……?」
零児「"あの時"と同じだな…『森羅』本部を"次元封鎖"して、鬼の居ぬ間に…
   洗濯をしようって…腹か」
???「そういう事。私達『逢魔』の構成員にとって、『森羅』は目の上の…
   …って、お待ちなさいな。
   あなた、なぜ10年前の…"あの時"の事を…?」
シャオムゥ「そう…もう…10年じゃ。わしらにとって10年など…どうという事はない。
   じゃが…人間にとっての10年は…意味が違うぞ。
   時が過ぎて、こやつの傷は癒えても…その傷の意味は…消えはせん…!」
???「10年…そしてその"傷"。坊や、あなた…まさか…!」
零児「ぐう…う…うおおおッ!」

爆発的な力を出し、???に近づく零児。

???「この"次元封鎖"の中…動けるの!?」
シャオムゥ「…10年。わしがどれだけの事をこやつに仕込んだと思うておる…!
   わしとて…あの戦いを忘れたわけではない…!」
???「………」
零児「…おまえだけはッ!」
???「あん…驚いた…。
   "あの時"、私の『鎬』(しのぎ)を頭に受けて…生きていたとは、ね。
   あの坊やが、ずいぶんいい男になったこと」
零児「…この時のために…生きてきたのさ」
???「でも、いいの?坊や。
   ここで引き金を引いたら…どうなるかは知っているでしょう?」
零児「………」
???「"次元封鎖"は中断…行き場を失った力は何を引き起こすかわからない…。
   そして、先に吹き飛ばされたお友達の運命も、ね」
零児「…それでも引くと言ったら?」
???「うふふ…いいえ、引けないわ。
   あなたが有栖正護(ありすしょうご)の血を引いてる限りは、ね」
零児「………」
???「だから死んだのよ…あの男は」
零児「………。親父…すまん。」

銃をしまう零児。

シャオムゥ「零児ッ!なぜ引かなかった!
   ここしか…ここしかチャンスはなかったんじゃぞ!?」
零児「………」
???「ほらね、私の言った通りでしょう?遺伝かしら?その甘さは」
零児「…かもな。
   だが、それが最後にはおまえを一度滅ぼし…最も巨大な"ゆらぎ"を断ち切った」
???「……!」
零児「…今度も同じだ。おまえは…やはり最後には滅ぶ事になるのさ。
   その時、先に引き金を引くのは…俺だ」
シャオムゥ「………」
???「いい男になったよ…。本当に、惚れ惚れするほどのね。
   …私は沙夜。坊や、名前は?」
零児「…零児。有栖零児だ」
沙夜「覚えておくわね、坊や。
   もう二度と会う事はないでしょうけど、もし、またこうなる事があったら…。
   あなたの言った通り、先に引き金を引かせてあげようかしら、ね」
零児「そいつは…重畳」

"ゆらぎ"により消えてしまう零児、シャオムゥ。

最終更新:2006年02月03日 14:36