シャイニング・ウィンド

シャイニング・ウィンド

part42-236~254


236 :シャイニング・ウィンド:2008/11/12(水) 21:20:47 ID:NqLJHnHf0
遠い場所に 別の場所に
いても ホントの 心はつながる     ―― 「Shining Tears」 より


Phase00 蒼天の紅い月

聖ルミナス学園の生徒のキリヤ(霧谷 魁斗)とシーナ(椎名 夏音)は、
休みの日に学園にやってきた。
最近、学園の生徒が失踪してしまうという事件が起こっている。それをこっそり調査するためだ。
ふたりは「光風館(こうふうかん)」という建物の中に入る。
光風館はレンガ造りの古い建物。中には図書室や使われなくなった教室がある。
「ねぇ、これ見てよ」
その本は「夢幻大陸エンディアス記」というタイトルだった。
人が神隠しに遭って、エンディアスという所に飛ばされてしまう話らしい。
「世界と連なる樹、咲き誇りしとき、蜃気楼の大陸への扉は開かれん。
鏡の如き泉に写りし蒼天の紅き月、そは異界への門なり」
そんな一節がある。
そういえば、この光風館の側の大きな樹、あれは桜の樹だったな、とふと外を見てみると、
昼間なのに薄暗く、しかも月が出ている。
ふたりは驚いて外に出る。大きな樹は、桜の季節ではないのに、花をつけていた。
そして池に紅い月が映っている。
辺りは輝きに包まれ、何も見えなくなる。

側にいたはずのシーナはいなくなっていた。
キリヤは不思議な空間を漂っていた。
「キミは鍵を手にする資格を持つ者なんだね」
姿は見えないが声が聞こえてきた。
「僕は鍵と扉を見守っている。鍵は自身の心。心の鍵は運命を切り拓く力となる。
どう使うかはキミ次第。キミがその鍵で開く扉は、光か闇か混沌か、それとも・・・。
さあ、行くんだ。キミを待つ人がいる場所へ」

光風館と、桜の樹と、池は元のままのように見える。だが、辺りの風景は変わっていた。
桜の樹の下には女の子が立っていた。長い黒髪。頭に包帯を巻いている。そして、その耳は長い。
女の子はキリヤに布の袋を差し出した。
「これを俺に?」
キリヤは受け取った。中には小さい粒がたくさん入っている。植物の種みたいだ。
「それは、希望、なの」
女の子はそう言った。しばらく見つめあうふたり。
「こんなところに・・・。探しましたよ、ゼクティ」
耳の長い男がやってきて、女の子を連れていってしまった。


237 :シャイニング・ウィンド:2008/11/12(水) 21:22:33 ID:NqLJHnHf0
ぼーっとしてるとシーナがやってきた。
この近所に村があるというので行ってみることに。
その村はドワーフたちが住んでいる村だった。
キリヤたちはドワーフの長老からこの世界のことを聞かされる。

この世界はエンディアスと呼ばれる、人間以外にもいろんな種族が住んでいる世界。
そして、キリヤたちが住んでいた現実世界はエルデと呼ばれている。
ここはリーベリア地方という名前。
リーベリアには3つの国がある。
ここは人間たちが支配している国、フィリアス。
ここの西の方に、獣人たちの国、セイランがある。
そして北の大地には、エルフの国、アストライアがある。

異界から来た人たちは、キリヤたちの他にも何人かいるらしい。
もしかしたらそれは、失踪した人なのかも知れない。
異界から来た人は、ここでは強い力を発揮できるらしい。
外にはモンスターも出るし、郷に入っては郷に従え、ということで、
キリヤたちは剣士の格好に着替えて、剣をもらった。
それはそうと、元の世界に戻る方法はないものなのか。
「聖杯」が手に入れば、元の世界に戻れるかも知れないとのことだ。

村にモンスターが攻めてきた。キリヤとシーナはモンスターたちと戦った。
シーナはモンスターの攻撃を受け、倒れてしまった。
「シーナ・・・嘘だろ?」
絶望するキリヤ。そのとき、シーナの胸に剣の柄のようなものが突き出しているのが見えた。
手にとると、シーナの心が伝わってくる。
「俺はシーナを守りたい。お前の心、俺に預けてくれ!」
キリヤは柄を引き抜いた。いつも元気なシーナの心を現すかのような、赤い刀身の剣だった。
目を覚ましたシーナは驚いている。
「それが、あたしの心・・・。いいわ、しばらくあんたに貸してあげる!」

モンスターを倒し終わると、赤い刀身の剣は、輝く粒子になって消えた。
それを見て、長老が説明してくれた。
あの赤い刀身の剣は、伝説の心の剣、ソウルブレイド。心剣(しんけん)とも言う。
思いの通じ合った相手の心が結晶化して、剣の形となったもの。
心剣を使える者を心剣士と呼ぶ。
心剣士は、この世界に大いなる異変が起きるとき、降臨する選ばれた戦士。
心剣は、この世界の運命を握る「鍵」そのものなのだ。

キリヤとシーナはとりあえず光風館で生活することに。
シーナは光風館を拠点に騎士団を作ろうと言い出した。
もちろんシーナが団長だ。名前は即興で「ルミナスナイツ」に決まった。


238 :シャイニング・ウィンド:2008/11/12(水) 21:23:46 ID:NqLJHnHf0
村の北にあるお城へと挨拶しに行く。
「わたくしは、フィリアス国の王女、クララクランと申します」
王女様が出迎えてくれた。なんでも、王女様は、「聖女」の役割を持っているのだそうだ。
最近、フィリアス・セイラン・アストライアの三つの国の代表が集まって、和平会議が開かれたそうだ。
そのときに、フィリアス国王は矢で撃たれて暗殺された。第二王子はその矢がかすったせいで病気になった。
第一王子は行方不明に。
クララクランは今、国を背負って立っている。

ある日、クララクランは、いきなり光風館を訪ねてきた。
キリヤに一緒に付いてきてほしいというので、ついていくことに。
ここから西に行って、セイラン国の領土に入ると、コンロンという山がある。
そこに、万病に効くという泉の水があるので、それを取りに行きたいということだ。
第二王子である弟の、カリスの病気を治したいらしい。
コンロンに着いたが、霧の結界が張ってあって前に進めない。
この霧の結界は、曇った心を持つ者は通れないのだという。
クララクランは何かを隠している、そう悟ったキリヤはこう言った。
「本当のキミの気持ちを話してほしい」
「わたくし、焦っていました。この国を救うためには、あなたの力にすがるしかなかったのです。
わたくしはそんな大した女じゃないんです。聖女を演じるのは疲れちゃいました。
・・・カリスの病気を治したい。それがわたくしの偽り無き願い」
クララクランの胸に心剣が現れた。つかむと、彼女が背負っているものの重さが伝わってきた。
「キミは聖女である前に、人間なんだ。どんな重荷だって、受け止めてみせるさ」
キリヤは心剣を引き抜いた。ずっしりと重い、白い剣。
「見守っていてください。罪深きわたくしを」
霧の結界が晴れていく。ふたりは泉の水を汲んで、光風館に帰った。

クララクランを追って、こっそりとカリス王子が光風館に来ていた。
カリスは倒れてしまった。泉の水を飲ませる。症状は軽くなったが、治ってはいない。
これはただの病気ではない。もしかして、コンロンの最深部に住んでいる仙女ならなにか知っているかも、
ということで、キリヤは再びコンロンへ。
コンロンの奥へと進んで行くと、キリヤの前に竜人族の男が立ちふさがった。
「オレはセイラン五獣将の一人、ヒョウウン!仙女に会いたければオレを倒していけ!」
「そこまでじゃ、ヒョウウン」
奥の扉から少女が現れた。ヒョウウンは少女を「姐(あね)さん」と呼んだ。
この少女こそ、目的の仙女、ホウメイだった。見た目は若いが何千年も生きているという、ありがちな記号。
ホウメイはキリヤの前に進み出た。ホウメイの胸に心剣が現れる。
「さあ、わらわの力を欲するなら、この心剣を抜くがよい」
キリヤは心剣に手をかけた。ホウメイの持つ強大な力を感じる。
「今の俺には、こんな力は必要ない。みんなを守る力がほしい。そのために、少しだけ力を貸してくれ」
引き抜く。根元と先が膨らんだ、奇妙な形の剣。
「無欲なのか、バカなのか・・・まったく、おぬしはおかしな奴じゃ」
キリヤはホウメイを連れて光風館に戻る。


239 :シャイニング・ウィンド:2008/11/12(水) 21:25:17 ID:NqLJHnHf0
ホウメイはカリスを診察した。これは病気ではなくて呪いらしい。
ホウメイが手をかざすと、カリスは全快した。
そして、ホウメイは、コンロンに帰るかと思ったら、光風館に居座ると言う。
心剣士のパートナーたるもの、心剣士の側にいなくてはダメ、らしい。
あたしだってキリヤのパートナーだもん、と、シーナが張り合おうとする。
だがホウメイは何千年も生きている。張り合っても無駄だ。
「ふん、いいわよ。だったら、軍師に任命してあげるわ」


Phase01 竜の血を継ぐ者

ホウメイを軍師に迎え、戦力が充実していくルミナスナイツ。
さっそく、作戦会議。今後の方針を決めることに。
カリスの受けた呪いを調べてみたところ、どうも狐族の獣人が得意とする種類の呪いだったらしい。
狐族というと、和平会議に参加していたシュマリという男がいた。
セイラン国の王、ロウエンは今、国を留守にしている。
その代理として会議に出席したのが、宰相のシュマリだ。

あのヒョウウンがロウエン軍を率いて攻めてきたという報せが入る。
ホウメイはロウエン国のものだったが、今はフィリアスの領土内にいる。
シュマリは、ホウメイを引き渡すよう要求してきた。だが、それには応じず、キリヤたちは出撃する。

ヒョウウンを倒す。手ぶらでおめおめと逃げ帰るようでは示しがつかない、と、
ヒョウウンは自決しようとする。
「ここで死ぬことは、わらわが許さぬ。誇り高き竜人族の使命を思い出せ」
ホウメイはそう言って止めようとした。
そのとき、ヒョウウンの視界に、上空から降り注ごうとしている矢の雨が入った。
「姐さん!危ない、罠だ!」
ヒョウウンの胸には心剣が。キリヤは心剣をつかんだ。
「守るぞ、俺たちで」
「答えるまでも無い」
キリヤは心剣を抜いて、その力で矢を振り払った。
「シュマリの奴、最初から姐さんを殺すつもりだったな」
ヒョウウンもまた、キリヤのパートナーとして光風館へ行くことになった。



240 :シャイニング・ウィンド:2008/11/12(水) 21:28:20 ID:NqLJHnHf0
Phase02 世界の傷と野獣の牙

また作戦会議。今度は現状の把握だ。
今、リーベリアには異変が起きている。異常気象になり、だんだんと大地が汚染されていく。
そのせいで、「カオスゲート」という時空の裂け目があちこちに開いている。
カオスゲートは、この世界の傷だ。心剣士なら、カオスゲートを閉じることが出来る。
でも、光風館の周りにはカオスゲートはない。
それは何故かといえば、あの桜の樹が霊樹だからだそうだ。霊樹は大地の汚染を食い止める作用がある。
そして、桜の樹の下に立っていたゼクティとかいう女の子から貰ったもの、あれは霊樹の種らしい。
カオスゲートを閉じた後、霊樹の種を植えると、その場所にはもうカオスゲートは発生しない。
また、霊樹には別の効果もあるらしい。
霊樹の下に行くと、心剣の力を使ってパートナーの心に触れることが出来るらしい。
心に触れるというのは抽象的なので別の言い方をすれば、心象世界を覗き見ることだ。
それによってパートナーとの絆が深まるかも知れない、とのこと。

セイランの五獣将の一人、虎族のライヒが攻めてきた。
ルミナスナイツはこれを撃退する。


Phase03 太陽の心、月の剣

セイラン軍にも、心剣士がいるらしいという噂がある。
ある日、キリヤとシーナは、カオスゲートを閉じる作業をしている心剣士に出会った。
ソウマ(秋月 蒼真)だった。パートナーはクレハ(呉羽 冬華)。
キリヤたちと同じくルミナス学園の生徒だ。
「久しぶりだな」
シーナはソウマたちを、光風館に来るよう誘った。
「それは出来ない。気づいていると思うが、セイランの心剣士はオレだ。
お前たちとはすでに敵同士。この世界では、立場が変わっているんだ」
「ソウマたちは、シュマリに騙されているんだ!」
「オレだって、シュマリを信用しているわけじゃないが、セイランの人々が苦しんでいるのもまた事実だ」
ふたりはどうしても、光風館に行くつもりはないらしい。
実は、ヒョウウンから心剣を抜いたとき、ホウメイに矢を射かけたのは、クレハだった。
「感動の再開って訳にはいかなかったな」
ソウマとクレハは去っていった。
「どうしてあたしたちが戦わなければならないの?」
「心剣士って、なんなんだよ・・・」
呆然と立ち尽くすキリヤとシーナだった。


241 :シャイニング・ウィンド:2008/11/12(水) 21:29:18 ID:NqLJHnHf0
中立地帯にセイラン軍が進軍してきたので、ルミナスナイツは出撃する。
雑魚どもを倒して進む。ソウマとクレハが待っていた。
「俺はお前と戦いたくはないんだ」
キリヤはそう言った。
「やめて、わたし、出来ない。この戦いに意味なんてあるの?
だって、あなたたちはわたしの大切な仲間なのに・・・」
クレハは戦意を喪失したらしい。そこへシュマリがやってきた。
「仲間ごっことは興醒めだ。命令に背いたクレハを捕らえよ」
クレハは兵士に連れられていってしまった。

撤退し、光風館へ戻って作戦を練り直す。
「まず、クレハを保護しよう。そうすれば、ソウマの説得も難しくない」
あくまでもふたりをこっちに引き入れようとするキリヤ。
ルミナスナイツは再び出撃する。
セイランの五獣将の一人、人馬族のバソウの軍を蹴散らし、ソウマの元へ。
クレハは檻に入れられていた。
「キリヤ、剣を抜け。決着をつけるぞ」
ソウマはクレハから、キリヤはシーナから心剣を抜く。
夕日に照らされた橋の上で、キリヤとソウマの一騎打ち。
だがなかなか決着がつかない。ふいにソウマは攻撃をやめて、キリヤに心剣を渡した。
「クレハはお前に預ける」
ソウマはそう言って、背中を向けた。
「あんたはどうすんのよ」
シーナの問いには答えず、ソウマは去って行った。


Phase04 天の巫女、天の塔

クレハは光風館に連れてこられて、ルミナスナイツの一員となった。
ある日、クレハの姿が見えないことにキリヤは気が付いた。
クレハは外にいた。ソウマはどうしているかと心配しているようだ。
「あいつを助けるのは、俺たちだろ」
キリヤは慰めるように言った。
「ありがとう、キリヤくん」
クレハの胸に心剣が現れた。キリヤは心剣を抜いた。太陽の光のような暖かな色。
「受け取ったよ、ふたりの想い。・・・俺は、みんなが笑い合える、大切な時間を取り戻したい。
でも、今は戦わないといけない。俺はこの剣に誓う。この戦いを終わらせることを」


242 :シャイニング・ウィンド:2008/11/12(水) 21:30:16 ID:NqLJHnHf0
いつもの作戦会議。
リーベリアには三つの塔がある。
フィリアスに天照(てんしょう)の塔、セイランに天水(てんすい)の塔、
そしてアストライアに天風(てんぷう)の塔。
今、異常気象が起こり、大地が汚染されていくのは、この三つの塔が正常に機能していないからだ。
塔を正常に戻すには、塔の管理者である巫女が、時々塔の機能を調整してやる必要がある。
三つの塔に対応するよう、三人の巫女がいる。
フィリアスの聖女、コンロンの仙女、そしてエルフの女王。
えっ、クララクランとホウメイが巫女?と驚いていると、クララクランがおずおずと口を開く。
「実は、わたくしには巫女の力はありません。フィリアスの巫女の血筋は途絶えているのです」
ここはひとまず、ホウメイが天水の塔へ行って、塔の機能を回復させることになった。
天水の塔が元に戻れば、水不足に苦しむセイラン国の人々を助けられる。

天水の塔はセイラン国の領土内にある。キリヤを中心とした少人数で塔へ向かう。
天水の塔には番人がいた。五獣将の一人、海亀族のコウリュウだ。
コウリュウを倒して、塔の最上階へ。そこは金属製の装置が並んだ不思議な場所だった。
これは、古代文明の、失われた技術らしい。
ホウメイは装置の中に入って念じ、塔の調整を行った。

光風館に戻ると、ソウマが火刑に処されるという情報が入ってきた。
五獣将の一人、鳥人族のエンウ率いる軍を倒しながら、キリヤたちは処刑場に向かう。
やっと処刑場に着いたが、そこには燃えかすが残っているだけだった。
「ソウマ!まさか・・・間に合わなかったのか」
「怒りや憎しみに身を任せちゃダメだ」
何もないところからいきなり人が現れた。白いシャツに黒いズボンの青年。
両手の人差し指に変わった形の指輪をしている。
「彼は死んだわけではない。彼には使命が残っているからね。
彼はしばらく僕があずからせてもらうよ」
「待て、お前は何者なんだ」
「僕の名前はゼロ。僕は世界を見守る者。今はキミの敵でもないし、味方でもない。
また会える。生きていれば。そして、信じていれば」
ゼロと名乗った青年は、出てきたときと同じように、ふいに消えた。

シュマリを大将に、五獣将たちが、フィリアスに総攻撃をしかけてきた。
フィリアス軍とルミナスナイツは勝ち続け、ついにシュマリを追い詰めた。
追い詰められたシュマリは逃げようとした。だが、その前に立ちふさがる人影がある。
「やり過ぎたな、シュマリ」
セイラン国の王、人狼族のロウエンだった。
シュマリはなおも逃げようとする。
「その罪、万死に値する」
そこへ、黒い翼の鳥人族の忍者がやってきて、シュマリを殺した。



243 :シャイニング・ウィンド:2008/11/12(水) 21:31:08 ID:NqLJHnHf0
Phase05 世界の管理と折れた聖剣

アストライアが動き出しているという情報が入った。
さっそくキリヤたちは様子を見に行った。
「お待ちしておりましたよ。心剣士ご一行様」
黒い服を着てメガネをかけた男と、耳の長い男が待っていた。
耳の長い男はキルレイン。ゼクティを探しに来たエルフの男だ。
そしてメガネの男は・・・。
「こちらは心剣士にして皇帝、トライハルト陛下なるぞ」
キルレインはそう言った。
トライハルト(西園寺(虎井は母の旧姓)春人)と聞いて、キリヤは驚く。
彼は行方不明になっていた学園の生徒だ。
「アストライアなどという国はもうありませんよ。我らは魔装錬金帝国ベイルガルド。
リーベリアに新たな秩序をもたらすために、あらゆる種族を超えて集った同志。
この世界を、各々の種族に分かれて管理していては限界がある。
だから、我々はまとめて管理しようというのだ」
キリヤは負けずに言い返す。
「俺たちだって、この世界を元の状態に戻そうと、努力しているんだ」
双方の主張は一致しない。また、敵味方に分かれて戦わなければならない。ソウマのように。
「お前と剣を交えられることを、楽しみにしているぞ、キリヤ」
トライハルトたちは去っていった。

それからしばらくして、フィリアスにベイルガルド軍が攻めてきた。
敵の大将はなんと、行方不明だったフィリアス第一王子、レオンだという。
ベイルガルド軍は圧倒的に強く、あっという間に砦が破られ、フィリアス城に向けて攻めのぼる。
フィリアス城にはカリス王子が残っている。キリヤとクララクランは急いでフィリアス城に駆けつける。
玉座の間にいるクララクランたちの前に、敵の大将が姿を現す。
「そんな・・・本当に、兄様?」
レオン王子そっくりなので、クララクランは動揺している。
「ああ?レオン王子だって?人違いだ。おれはベイルガルド四皇剣(しこうけん)の一人、
魔剣士ジードだ!」
ジードと名乗る男は、王子であることを否定した。
「こいつは、レオン兄さんなんかじゃない!」
このままでは勝ち目がないので、カリスたちは、玉座の裏の秘密の通路から逃げる。
フィリアス城はジードたちに占領されてしまった。


244 :シャイニング・ウィンド:2008/11/12(水) 21:32:17 ID:NqLJHnHf0
秘密の通路から、城の外に出たキリヤ、カリス、クララクランの三人。
「これは僕に与えられた試練なんだ。乗り越えなくてはならない。
あのジードに勝って、必ずフィリアスを取り戻すんだ」
カリスがその決意を宣言した。
「あいつに勝てるようになりたい。くやしいけど、僕にはまだ力が足りない。
僕はいつだって守られてばかりだった。でも、今は、僕にも守るための力がほしい」
カリスの胸に心剣が現れる。キリヤはそれに手をかけた。
「ふたりで強くなろう、カリス」
キリヤは心剣を抜いた。
「このリーベリアを覆う全ての闇を払う。そのために、僕は戦う」
「ああ、カリス、立派になって・・・」
クララクランは感激している。
そこへロウエンがやってきた。
「王としての覚悟、確かに見届けたぜ」


Phase06 心のカタチ、剣のカタチ

フィリアスとセイランは、対ベイルガルド帝国のために、協力することになった。
ルミナスナイツの面々は、セイランの首都に身を寄せることになった。
セイランのお城は海のほとりに建っていた。そのお城の中に本陣を作って活動することに。
セイラン城の側には立派な松の樹がある。これも霊樹だった。

ベイルガルド帝国軍が攻めてきたので、出撃する。
キリヤの前に立ちはだかったのは、長い黒髪に、耳の長い少女。
「我が名はベイルガルド四皇剣の一人、ゼクティ!ヴァイスクロイツ(白い十字)隊長だ」
そう、あのゼクティだった。
キリヤが初めて桜の樹の下で会ったときとは雰囲気がまるで違っていた。
頭には包帯の代わりに、黒い髪飾りのようなものをつけている。
「私は、トライハルト陛下の進む道を妨げる物全てをなぎ払う剣!」
キリヤはゼクティと戦うのをためらった。
だがゼクティは構わずに攻撃してきたので、応戦し、倒した。

「ゼクティをここまで追い詰めるとは・・・。やるな、キリヤ」
そこへトライハルトがやってきた。
トライハルトはゼクティから心剣を抜く。まっすぐで、飾り気のない形。
「どうだ、俺と手を組まないか」
トライハルトはそう言ったが、やはり交渉は決裂。トライハルトとゼクティのコンビと戦って勝つ。
「今日はここまでだな」
ベイルガルド軍は撤退していった。



245 :シャイニング・ウィンド:2008/11/12(水) 22:31:03 ID:NqLJHnHf0
Phase07 惑う心、継ぐ想い

クレハが、砂漠のオアシスへ行こうと言い出した。
ソウマがやり残したという、カオスゲートを封印しに行きたいらしい。
キリヤとクレハはオアシスに向かった。だが、そこには先客がいた。
トライハルトとゼクティがカオスゲートを封印していた。
キリヤとトライハルトは顔を合わせるなり険悪なムードになった。
そのとき、突然地割れが起こった。

キリヤは地下の洞窟に落ちてしまった。上を見たが上れそうにない。
ゼクティも同様に落ちてしまったらしい。他のふたりは見当たらない。
どこかに出口はないのかと思って探してみるが見つからない。
クレハがいないので心剣が抜けない。お手上げだ。
キリヤは、いい機会なのでゼクティと話をしてみることにした。
「お前はトライハルト陛下の友人だろう?どうして陛下に従わないのだ」
ゼクティはそんなんことを言うが、キリヤには従うつもりはなかった。
「私の頭についているのは、ダークマターと呼ばれる金属だ。
これがなければ、魂まで闇に汚染されてしまう。
汚染は確実に広がっている。陛下はエルフだけではなく、この世界の全てを救おうとしているのだ。
わかるだろう?陛下こそが、この世界の希望なのだ」
初めて出会ったときとは明らかに違うゼクティの態度に、少しイラッとするキリヤ。
「それは違う。俺はキミに、霊樹の種を、世界を救う希望をもらったんだ!
思い出せ、ゼクティ!キミが俺に希望の種をくれたときのことを!」
ゼクティの胸に心剣が現れた。キリヤは心剣を抜く。
先から翼が生えているような奇妙な形をしていた。以前トライハルトが抜いたものとは明らかに違う。
「どうして、お前が私から心剣を・・・?」
ゼクティは驚いていたが、今はここから脱出する方が先だ。
「俺はあきらめない。希望は一つだけじゃないから。世界を救う方法だって、一つだけじゃないはずだ」
キリヤは心剣を使って、壁が薄そうなところに穴を開けた。
「忘れるな、次に会うときは敵同士だ」
ゼクティはそう言い残し、先に外に出た。

本陣に戻ってきたキリヤはロウエンの呼び出しを食らった。
「話がある、ついてこい」
ロウエンは松の樹の下へキリヤを連れて行った。
「おめぇの力は見せてもらった。だから今度は、おめぇの意志を確認しておきたい」
キリヤはトライハルトと戦う意志を語った。
「いいだろう。オレも賭けさせてもらう。おめぇが切り拓く明日にな」
ロウエンの胸に心剣が現れた。キリヤはためらっている。
「どうした、早く抜け」
キリヤはロウエンから心剣を抜いた。
「オレの心も、まだ錆びちゃあいねぇな」
ロウエンは心剣を見てそう呟いた。


246 :シャイニング・ウィンド:2008/11/12(水) 22:31:57 ID:NqLJHnHf0
今こそフィリアス城を奪還するときだ。
一気にフィリアス城まで攻めて、逃げるときに使った秘密の通路を逆に辿る。
そこにジードとトライハルトが待ち伏せていた。
「出でよ、聖鎧剣バルムンク!」
トライハルトが手をかざすと、ジードは魔剣を携え、鎧を着た姿になった。
ジードとトライハルトのコンビと戦って勝つ。

実はジードはレオン王子だった。
「強くなったな、カリス、クララ。私の肉体は既に滅んでいる。
この体を、魔剣ジードの力で永らえさせていただけだ」
「どうしてこんなことに・・・」
「この争いは、我ら人間の心の弱さが招いたこと。人の心は、たやすく闇にとらわれる」
レオンは和平会議で起こったことを語った。
父であるフィリアス国王は、クララクランに巫女の力が無いことをシュマリに知られて、脅されていた。
国王はシュマリに、和平会議のときにエルフの女王を殺すように言われて、実行してしまった。
和平会議は決裂。混乱のさなか、シュマリは国王とレオン王子を殺し、カリスに傷を負わせた。
「この国の未来は、お前たちにかかっている」
「大丈夫だよ。僕は兄さんみたいに強くなってみせる」
「わたくしは全ての守るべき物のための楯。全てを受け止めます」
レオン王子はカリスとクララクランの姿に、満足したようだ。
「お前たち自身が光となれ。リーベリアの人々の未来を暖かく照らし、導くのだ」
「はい。兄様の心、届きました」
クララクランは自分の中に力が湧いてくるのを感じた。
「それが、お前の本当の力、巫女としての力だ」
レオン王子は静かに息を引き取った。


Phase08 白き乙女、黒き翼

クララクランが巫女の力を取り戻したので、さっそく天照の塔へ行くことになった。
天照の塔は光風館の近くにある。最上階へ登り、クララクランが装置の中へ入って調整を行う。

天照の塔から出てきたキリヤとクララクランの前に、黒い翼の鳥人族の忍者が飛んできた。
彼はジンクロウという名前だ。ベイルガルド軍と一緒にいたり、
セイラン城にも出入りしたりしていて、敵か味方かも不明の存在。
「よくやったな、天照の巫女。これで、友との誓いがひとつ、果たされた」
ジンクロウはクララクランに言った。そして今度はキリヤに。
「キリヤよ、おぬしに問う。おぬしには信じる友がいるか。
その友と敵となっても戦えるか」
キリヤの脳裏にトライハルトの顔が浮かんだ。
「俺は戦う。それはあきらめたからじゃない。あいつらが間違ってるってことをわからせるためだ」
それを聞いてジンクロウは満足したようだ。
ジンクロウもまた、ベイルガルド軍に友達がいるらしい。
「我が心の翼は折れてはおらん。心の底では、友を信じるがゆえに」
ジンクロウの胸に心剣が現れたので、引き抜く。翼の形の剣だった。
「我が翼はおぬしに預けたぞ。拙者はおぬしたちとともに戦おう。
もう一つの誓いを果たすために」


247 :シャイニング・ウィンド:2008/11/12(水) 22:33:16 ID:NqLJHnHf0
ベイルガルド軍が新兵器を持ち出して、攻めてきた。
移動要塞アイゼンザルク(鉄の棺桶)という名前の、古代の遺産だという。
ルミナスナイツは、少人数でアイゼンザルクに乗り込み、動力炉を破壊するという作戦に出た。
アイゼンザルクの前に、トライハルトとゼクティが立ちふさがる。
トライハルトはゼクティから心剣を抜く。剣帝エクセリオンという名前らしい。
ふたりを倒すと、ゼクティは苦しみだした。トライハルトはゼクティを連れて逃げた。

乗り込んだ要塞には、キルレインがいた。
キルレインは、殺されたエルフの女王の兄だ。そして、四皇剣の一人。
「ゼクティを苦しめているのはあなたですね」
キリヤたちはキルレインと戦って勝つ。
ジンクロウが飛んできて、言う。
「我が友キルレインよ、おぬしらのやっていることは、人を信じるということを
最初から放棄している。それでは、この世界は救われない。
拙者はおぬしらを止めてみせる。それがレオンと交わした最後の誓いだ」
キリヤたちは要塞の動力炉を壊した。


Phase09 世界の天秤と最後の鍵

砂漠地帯に、ベイルガルドの研究所があって、そこで兵器を開発しているという情報が入った。
キリヤたちは砂漠地帯に行ってみる。するとそこには、ゼクティに似たサイボーグの軍団がいた。
その中心にはゼクティがいた。
「敵は破壊する・・・」
なんだかいつものゼクティらしくない。問答無用で襲い掛かってきたので倒す。
ゼクティは、地面に倒れた後も、破壊するとか喚いている。
「やめてください、キリヤ先輩!この子に、戦闘する力は残ってません!」
おさげ髪の女の子がやってきた。彼女はヒルダレイア(蛭田 麗亜)。同じく学園の生徒。
ヒルダレイアこそ、サイボーグ軍団を、そしてゼクティを作った人だ。
「汚染された肉体は魂も汚染してしまいます。
わたしは、汚染された土地でも生きられるようにと、この子を作りました」
ヒルダレイアはそんな言い訳をした。
「それは・・・生きていると言えるのか」
「でも、わたしには放っておくことはできなかった。こうするしかなかった」
泣き崩れるヒルダレイア。

「キミを確保すれば、ベイルガルドは戦力を削がれることになる。・・・抵抗しないでくれ」
キリヤはヒルダレイアに剣を突きつけようとした。そこへ割って入った人物がいた。
「やめろ!そんなことはさせねぇ!」
ソウマだった。ソウマはこの世界のバランスを取るために必要だとかいう理由で、
ゼロに助けられ、生きていたのだ。
「オレはどの国にも味方するつもりはない。だけど、こんなことが起こったら止めに入る。
それが、オレの使命だ!」
キリヤは剣を降ろした。ソウマは去っていった。
「キリヤ先輩も早くここを離れた方がいいです。もうすぐ彼女がやってきます」
ヒルダレイアはそう言い残して、ゼクティを連れて帰っていった。


248 :シャイニング・ウィンド:2008/11/12(水) 22:35:57 ID:NqLJHnHf0
それからしばらくした後、キリヤはまた戦場でヒルダレイアに会うことになった。
「活きがいいのがそろってるわね。実験材料にちょうどいいわねぇ」
ホウキの形の空飛ぶ乗り物に乗っていて、とんがった帽子を被って、さながら魔女のようだ。
「あたしはベイルガルド四皇剣が一人、業火の魔女ヒルダレイア」
「そんな・・・。キミは本当にヒルダなのか?」
「あの偽善者のこと?それなら、あたしの心の中で眠ってるわ」
「まさか、二重人格だというのか?」
キリヤたちは魔女モードのヒルダレイアを倒す。
「いいデータが取れたわ」
捨て台詞を吐いてヒルダレイアは逃げていった。


Phase10 決戦、輝く風となって

本陣に、ソウマから手紙が届いた。キリヤ、シーナ、クレハの三人で光風館に来い、とのこと。
三人で光風館に行ってみると、ソウマの他に、トライハルトとヒルダレイアもいた。
「ここでこうして会うのも、久しぶりね」
ついに顔をそろえた異界の学園生たち。ソウマが口を開く。
「単刀直入に言う。戦いをやめろ」
「笑わせるな。今さら、そんなことが出来るわけがないだろう」
「オレは戦いを止める!お前たちのどちらも失うわけにはいかないからな」
ソウマが言うのも聞かず、トライハルトとキリヤは言い争いになってしまう。
「お前たちのやりかたは間違っている」
「ゼクティを傷つけておいて何を言う。決着は戦場でつける。それだけだ」
トライハルトが真っ先に席を立って出て行った。ヒルダレイアもついていった。
キリヤも去っていった。
「わたしたちの道は、どこで別れてしまったのかしら」
嘆息するクレハだった。

いよいよベイルガルド軍との最終決戦だ。
ソウマとパートナーはトライハルトが乗っている移動要塞まで一気に攻め込んだ。
移動要塞にはトライハルトとキルレインのコンビがいた。
「出でよ、魔砲剣ガラディン!」
キルレインは魔砲剣の力により、ビームを発射してくる巨大な剣の姿となり襲ってきたが、倒す。
「今度は心剣抜きで勝負しようではないか、キリヤ」
キリヤとトライハルトの心剣なしでのガチバトルが始まった。
そこへソウマがやって来て、やめさせようとするが、出来ない。
「くそっ!オレにはもう止められないのか・・・」
トライハルトの一太刀で、キリヤの剣が飛ばされた。トライハルトはキリヤに向かって剣を突き出す。
風になびく長い髪が見えた。止める間もなかった。ゼクティがキリヤをかばって、刺された。
倒れるゼクティをキリヤが抱きかかえる。
「なぜだ、ゼクティ!」
「お願い、傷つけあわないで。わたしの願いは、それだけ。あなたたちは、この世界を救う鍵なのだから。
わたしは風になって、いつまでも見守っているわ」
ゼクティの体は輝く粒子となり、風に乗って飛んでいった。後には何も残らなかった。
「俺はなんのために戦ってきたんだ・・・。ゼクティ!!」
キリヤの絶叫がこだました。


249 :シャイニング・ウィンド:2008/11/12(水) 22:37:29 ID:NqLJHnHf0
キルレインが怒りに燃えた目で立ち上がった。
「我が愛する妹を、一度ならず、二度までも手にかけるとは・・・」
この台詞から察するに、ゼクティはエルフの女王の遺伝子を元に作られたらしい。
「妹のいないこの大地など、もはや私には不要だ。こんな世界、闇に堕ちてしまえばいい。
我が悲しみを知れ!全ての生ける者よ、絶望せよ!」
キルレインの魔力が暴走した。辺りのものは凍りつき、やがてリーベリア全体が氷に覆われた。


Phase11 竜の箱舟と白き騎士

キリヤは目を覚ます。いつもの本陣のようだったが、地面が揺れていた。
なんと、ここは海の上なのだという。
セイランの城は古代の遺産を利用して作られていて、こうして巨大な船としても使えるのだ。
お城にいた人たちとルミナスナイツの面々は、凍りつく前に陸地を離れた。
だが、残してきた人々はどうなっているかはわからない。
この船は、伝説の海竜が眠るというカイエン島に向かっているらしい。

船はカイエン島に着いた。キリヤは甲板でボーっとしている。
キリヤはゼクティを死なせてしまったショックで、心が折れて心剣が抜けなくなってしまっていた。
ロウエンはそんなキリヤを呼びつけて、ジンクロウと一緒に救援要請に行くよう命じる。
ここから海を挟んだ東に、ヴァレリア地方がある。そこの獣人の国ベスティアに行くらしい。
小型の船に乗り換えて東へ。ベスティアの港町に着いた。
ふたりは猫耳娘と会った。
「あたしはマオ。遊撃傭兵騎士団ヴァイスリッターの団長だよ」
マオはベスティアの獅子王ディオクレスの娘なのだという。
救援要請を伝えると、必ず助けに行くと約束してくれた。その後、マオは語る。
「あたしは、人を探してるの。数年前、仲間だった人。たぶん、両方の手に指輪をしてると思う」
そんな人に前に会った。ゼロと名乗った青年だ。
「あいつは仲間を二人殺して、逃げた。あたしはあいつに聞いてみたいの。
どうしてそんなことをしたのか・・・」

カイエン島に戻り、本陣に帰ってきたキリヤ。
ヴァレリアに行ったのが気分転換になったのか、はたまた、みんなの励ましが効いたのか。
「俺、もう一度頑張ってみようと思う。みんなの力を俺に貸してほしい」
キリヤは立ち直った。

ロウエンとホウメイはみんなを集めて説明する。
リーベリアの地下には「妖精王の器」という古代遺産の神器が眠っていて、
それに闇のソウルが溜まり、闇の器として目覚めつつある。それは阻止しなければならない。
この島の近くの海底には、妖精王の器と対の存在の「海竜王の器」がある。
これから海竜王の遺跡へ行って、海竜王の器を目覚めさせることにする。


250 :シャイニング・ウィンド:2008/11/12(水) 22:40:21 ID:NqLJHnHf0
ロウエンとホウメイとキリヤの三人は海竜王の遺跡へ行った。
これまた古代の遺産らしく、中には変な装置がある。
大きな透明のカプセルが二つ置いてあって、一つには白い着物を着た少女、
もう一つには竜人の男が入っていた。
そしてそのカプセルをじーっと見ている女性がいる。
「ブランネージュ!ここにいたのか。探し物は見つかったのか?」
彼女はロウエンの知り合いの、氷の魔女ブランネージュだった。
「大丈夫。わたしの仲間はここにいる・・・」
ブランネージュはそう答えた。カプセルの中の人が仲間だというのだろうか。
キリヤはホウメイから心剣を抜き、念を込めて、海竜王の器を目覚めさせた。

ブランネージュを連れてお城に戻る。海底から海竜王の器が浮かび上がってきて、
お城とドッキング。お城は大きな竜の形の乗り物になった。
「これは光の竜の箱舟、ドラゴンズアーク・アプサラスだ」
アプサラスはリーベリアを覆う氷壁に体当たりして、穴を空け、中に突入。
ブランネージュは術をかけ、氷を消すと、去っていった。


Phase12 勇者たちの帰還

セイランの首都に帰ってきた。だが状況が見えない。
天水の塔が心配だから見て来いとホウメイが言うので、キリヤはパートナーを連れて出発した。
途中で通りかかった人影。ソウマだった。
ソウマは、ゼロと一緒に行動するうちに、ゼロの昔の仲間と知り合い、
なし崩し的にヴァイスリッターに入団したという。
「教えてくれ、今、リーベリアはどうなっているんだ」
ベイルガルド帝国は崩壊した。だが、代わって「闇の軍勢」が押しよせてきたそうだ。
「ゼロなら今、この先の村にいるぜ。じゃあな」

天水の塔の近くの村。
そこにはブランネージュと、エルフ娘のエルウィンがいて、
ゼロと何やら話しこんでいる。
ブランネージュとエルウィンはヴァイスリッターの団員だ。
「あたしたちは、古代の遺産、特に神器と呼ばれる超兵器が関わっている、
世界の異変を監視しているの」
エルウィンはそう話す。
「そうだ、光風館に行ってごらん。いいことがあるよ」
ゼロがそう言うので光風館まで足を伸ばすことにした。

光風館の近くの桜の樹の下にいるのは・・・。
「まさか、ゼクティ、なのか」
頭にはダークマターの代わりに白い羽根飾りをつけている。
「来てくれたのね。ここで待っていれば、また会えると信じてた」
ゼクティは本陣に暖かく迎えられた。
ゼクティの性能は生まれ変わったかのようにパワーアップしていて、
攻撃範囲が広くしかもHPも吸収できる協力技「シャイニングウィンド」が使えるようになっていた。


251 :シャイニング・ウィンド:2008/11/12(水) 22:41:55 ID:NqLJHnHf0
セイランのお城にお客が来ているという。
マオ、エルウィン、ブランネージュの三人娘だった。
「約束通り、助けに来たよ」
ヴァイスリッターは、光風館を本陣として活動するらしい。


Phase13 最後の聖戦、はじまる絆

大地を覆っている闇の軍勢を倒し、セイランの領土を、そしてフィリアスを取り戻す。
これで闇の軍勢は北の大地に残るのみとなった。

霊樹の下でひとり佇むキリヤ。ふっと、誰かの心象世界が見えた。
その心は、真っ暗闇で何も見えないかと思うと、突然まぶしくなって目が眩んだりする。
一瞬だけ映像が見えた。仲間に囲まれて微笑む少年の姿。
「僕の心に触れられるなんてね」
何も無いところからいきなりゼロが現れた。
ゼロが言うには、ゼロは世界のあらゆるものと繋がっているのだそうだ。
だからいきなり現れることもできる。
「僕もキミたちと戦うことに決めたよ。今は、僕の使命とキミたちの使命は同じだ」
キリヤはゼロから心剣を抜く。白と黒の羽根が生えたような柄。
だが刀身は全くの透明で、見えない。不思議な剣だ。
「僕の心、しばらくキミにあずけるよ」

キリヤは、この世界に来るときに、ゼロから言われたあの言葉を思い出した。
”鍵は自身の心。キミがその鍵で開く扉は、光か闇か混沌か、それとも・・・”
「教えてくれないか、ゼロ。あのときの言葉の意味を」
「わかった。長くなるけど、これから話すことを聞いてほしい」
ゼロは長々と語りだした。

かつてシオンと呼ばれた少年がいた。彼は双竜の指輪に選ばれた存在だった。
シオンはシルディアという城塞都市に流れ着き、仲間たちと出会い、
やがてヴァイスリッターの一員として戦いに身を投じることとなった。
(このへんは前作シャイニング・ティアーズの話)
シルディアでの戦いの後、双竜の指輪の力を本当に自分のものにするため、彼は修行の旅に出た。
そこで彼は、指輪の本当の力を知った。
それは、エンディアスという世界の根幹に関わるものだ。

原初にはただ”混沌”があるだけだった。
やがて混沌から”秩序”という意志がが生まれた。
秩序は形を成すことを欲し、”光”が生まれ、その対として”闇”が生まれた。
”光”と”闇”から世界が、生命が誕生した。
この世界も、全ての生命も、光と闇が秩序を保っているから存在していられるのだ。
光か闇かどちらかに傾くことがあれば、秩序が消え、混沌に還るだけ。


252 :シャイニング・ウィンド:2008/11/12(水) 22:43:20 ID:NqLJHnHf0
双竜の指輪は、二匹の竜が互いの尾を噛み合っているデザインだ。
それは混沌を意味する。指輪に選ばれた者は、この世界の秩序のうちに存在することは出来ない。
シオンは両方の手に指輪をはめ、人間であることを捨て、混沌になった。
だが、かつて人間だった肉体は秩序を求めようとする。
背反する二つの意志を持つ者。秩序でも混沌でもない。それが、ゼロという名前。

ゼロの使命は、現状の維持だ。世界が秩序や混沌に、光や闇に傾こうとするのを防いでいる。
だから「調律者」と呼ばれている。
エンディアスには世界を混沌に傾けようとする「ゼロボロス」という存在がある。
ゼロは、ゼロボロスが、かつての仲間、竜神の巫女リュウナにとり憑いていることを知った。
以前リュウナは、一度死んだ竜人のラザラスを蘇らせたことがあった。
ラザラスが持っている陽のソウルを反転させ、陰のソウルに変えることで、それは実現した。
だがそれは、世界のバランスを崩しかねないヤバい力だったのだ。
リュウナの前に立ち、彼女に刃を向ける。だが、ゼロは迷っていた。
するとリュウナはゼロの手を取って言った。
「わたくしは世界を救うために死ぬのではありません。仲間を救うために死ぬのです。
仲間とは、そういうものです」
リュウナ自らが、刃を胸に突き立てて、死んだ。一緒にいたラザラスも殺した。
ふたりは今、海竜王の遺跡のカプセルの中に入っている。

それからゼロは、ゼロボロスの力を取り込んだ。
あらゆる情報がゼロの中に流れ込んでくる。平行世界、エルデのことを知った。
そして、エンディアスの未来を左右する鍵は、エルデにも存在することを知った。
「そう、キミがその鍵だよ」

語り終わったゼロの目には涙が光っていた。
「あれ?おかしいな。涙なんて、とっくになくしたと思っていたのに・・・」


Phase14 世界、心ひとつに

闇の軍勢がなりを潜めている今のうちに、北の大地に行ってみようということになった。
だが、北の大地へ入るには、エルフしか知らない道を通らなくてはならない。
そういえば、ヴァイスリッターにもエルフがいた。
キリヤはゼクティを連れて、北へ向かう。エルウィンの導きによって、
エルフの聖地エルナリートへたどり着いた。

エルナリートには巨大なソウルクリスタルが嵌った霊樹が聳え立ち、その側には天風の塔が建っている。
ソウルクリスタルから何者かが話しかけてくる。
「よく来ましたね、異界の勇者よ。そして、ゼクティ。
私の名はセレスティア。私の肉体は滅び、今はこうして魂だけの存在になっています」
セレスティアは、和平会議で殺されたエルフの女王だ。
ゼクティはセレスティアの遺伝子を元に造られたが、巫女としての力は無い。
「それは違います。もっとも風に愛されている者が、巫女の資格を得るのです。
大丈夫です、ゼクティ。あなたは風に愛されているのですから」
白くてふわふわした謎の生物が飛んできた。
こいつはゼクティが風の魔法を使うときに呼び出す精霊だ。確か、ラッシィという名前だった。
実はこいつが、風の上級精霊なのだという。ラッシィはゼクティの頭上でくるくる回った。
すると、ゼクティの中に力が湧いてきた。
巫女の資格を得たゼクティは、天風の塔へ入り、塔の機能を回復させた。


253 :シャイニング・ウィンド:2008/11/12(水) 22:44:57 ID:NqLJHnHf0
ヒルダレイアの研究所の場所がわかった。
砂漠地帯を抜けてさらに北に行ったところにあるらしい。
キリヤたちは研究所へ向かう。ヒルダレイアは、今は通常モードだ。
「お願い、キリヤくん、今のうちに、悪いわたしになる前に、わたしを倒して!」
ヒルダレイアは、自らに改造を施し、魔女モードを作り出したのだ。
だが、最近では魔女モードの時間が長くなってきているという。
やはり、倒すしかないのか、とあきらめかけた頃だった。
「あきらめるな、キリヤ!」
ソウマがやってきた。
「心剣を引きずり出すぞ!」
ソウマはヒルダレイアから妖獣剣ミストルティンを引きずり出した。
この蛇みたいな剣こそ、ヒルダレイアを魔女モードにしていたものだ。
キリヤはミストルティンを破壊した。

正常に戻ったヒルダレイアから話を聞く。
トライハルトはキルレインに連れ去られて、黒き塔につかまっているという。
黒き塔はこの研究所から転送装置で行けるのだそうだ。
早速黒き塔へ向かう。トライハルトは怪しげな装置に繋がれていた。
「先輩!」
ヒルダレイアは危険を顧みずに飛び出していって、トライハルトを助けようとした。
「下がれ、ヒルダ!」
「イヤッ!わたしは先輩を・・・」
そのとき、ヒルダレイアの胸に、眩く輝く心剣が現れた。
トライハルトは心剣を抜き、装置から脱出した。
「これは・・・伝説にあった、究極心剣!?」
究極心剣とは、聖杯から抜ける心剣だという。
「聖杯とは、純粋な心の結晶から生まれるもの。俺の聖杯はヒルダが持っていたのか・・・」

いよいよ最終決戦。闇の器は、北の果てにある封印の扉の中にある。
キリヤとパートナーは、封印の扉に向かった。
封印の扉とは、地面に取り付けられた巨大な四角い引き戸のようなものだった。
封印の扉の前には、ソウマとトライハルトがいた。ふたりで闇の軍勢を食い止めておくらしい。
キリヤたちは、封印の扉の隙間から中に入った。

闇の器はキルレインと合体することで覚醒し、妖精王エルファーレンとなって襲い掛かってきた。
キリヤたちは苦しい戦いの末に妖精王を倒した。
闇の器から分離したキルレインは、エルナリートに向かった。
「私の肉体が滅んでも、私の罪は許されるものではない。
私はここから、魂だけの存在となり、封印の扉を見守ろう」
「兄様には私がいます。もう、ひとりぼっちではありません」
セレスティアが語りかけた。キルレインの顔に笑みが浮かんだ。


254 :シャイニング・ウィンド:2008/11/12(水) 22:51:13 ID:NqLJHnHf0
封印の扉の前で、キリヤたちが戻るのを待っているソウマとトライハルト。
ルミナスナイツとヴァイスリッターの面々も駆けつけてきていた。
やっとキリヤたちは扉から出てきた。
さて、封印の扉を閉じるときが来た。
扉には穴が三つ開いている。そこに、鍵となる究極心剣を差せばよい。
トライハルトはヒルダレイアから究極心剣を抜いた。
「ごめん、オレ、聖杯を見つけられなかった・・・」
しょんぼりするソウマ。
「そんなことないよ。ソウマの聖杯はここにある」
キリヤの胸に輝く心剣が現れた。
「今まで助けられてばかりだったけど、やっと恩返しができそうだ」
ソウマはキリヤから究極心剣を抜いた。そしてキリヤの番。
キリヤは聖杯となる者、一番大切な人(一番好感度が高い人)から究極心剣を抜いた。
これで三本の究極心剣がそろった。
鍵穴に究極心剣を差すと、扉は閉じた。そして、カチリと錠が下りる音がした。

「なぁ、この世界はまたひとつになれるのか?」
ソウマが問いかけた。
「もう大丈夫だ。みんなの心は、ひとつになったから。
世界は違っても、場所が離れていても、心はつながっている」
キリヤはそう答えた。
「帰ろうか。俺たちを待つ人がいる場所に」


エピローグ

ソウマはエンディアスに残ることになった。
ヴァイスリッターの人たちと一緒にこの世界を守っていくらしい。
ゼロはまた「世界を見守る者」に戻り、ひとりぼっちになった。
でもたまには昔の仲間と会うこともあるだろう。
トライハルトもエンディアスに残るらしい。
トライハルトと離れたがらないヒルダレイアも、エンディアスに残ることに決めた。
クレハは、ソウマのことが心残りらしいが、シーナと一緒にエルデに戻ることになった。
そして、キリヤも、エルデに戻る。キリヤはエルデを守っていくことを決意した。
大切な人と離れることになっても、大丈夫。心はつながっているから。

Fin


・お分かりとは思いますがゼロは隠れキャラです。仲間にするには特別な条件が必要です。
・ゼロについては前作と繋がるところなので詳しく書いてしまいました。許してシャニティアーッ!
・ゼロ以外でお目当てのキャラがいるのであれば、リクエストしてくれれば詳しく書きます。


最終更新:2008年11月24日 02:00