テイルズ オブ ザ テンペスト

テイルズ オブ ザ テンペスト

part44-402~410


402 :テイルズ オブ ザ テンペスト:2009/03/21(土) 03:36:53 ID:Z7qUklW90
神秘と幻想の大陸、アレウーラ。
大陸に君臨した種族[レイモーンの民]が、獣人戦争によって衰退してから100年。
大陸の支配権は[ヒト]に移り、各地で[レイモーンの民]は迫害を受けていた。
それは、辺境の村フェルンでも例外ではなかった。

フェルン村の小さな家に、少年カイウスと、その父ラムラスは住んでいた。
「オレももう15だよ!オレは外の世界が見たいんだ!」
カイウスは父と口喧嘩をして、家を飛び出した。
その足で教会へ。教会に住んでいる、幼馴染の少女ルビアに会いにきた。
「今まで黙ってたけど、あたし、次の冬が来る頃に、ジャンナに行くの。
学校に入学して、僧になる勉強をするんだ」
その勉強は8年もかかるとルビアは言う。
「淋しくなるな。でも、自分で決めたことだもんな。頑張れよ」

ふたりは遊びに行こうと、村を出ようとしたところに、金色の鎧を身に着けた騎士がやってきた。
どうやら怪我をしているらしい。
騎士は教会に担ぎこまれ、司祭が治療を施したが、気を失ったまま目を覚まさなかった。
その夜、カイウスは寝ずの番を任された。
「でも、どうして騎士様がこんな辺境にやってきたんだろう?」
首を傾げるカイウス。ふと騎士は目を覚まして、カイウスに言った。
「最期の頼みを聞いてくれ。私の荷物の中に、赤い大きな石が入っている。
その[ペイシェント]を首都ジャンナの大公様の元へ届けてくれ――」
騎士はそのまま息絶えてしまった。カイウスは騎士の荷物を調べると、確かに石が入っていた。
石を取り出すと、カイウスが首から下げているペンダントの赤い石と共鳴するかのように光りだした。
「母さんの形見の石と共鳴している?」
にわかに外が騒がしくなったので、カイウスは急いで[ペイシェント]と呼ばれた赤い石をポケットに入れた。
光は収まった。

カイウスは教会を出た。村中に謎の黒いモンスターが徘徊していた。
ふたりはカイウスの家の前までたどりついた。ラムラスが黒い魔物に囲まれていた。
「これから何が起こっても、目を逸らさず見ていろ、いいな」
ラムラスはそう言うと、オオカミ男のような姿に変身し、魔物を全てなぎ倒してしまった。
突然のことに驚くカイウス。
「あんた、[リカンツ]――化け物どもの仲間だったのか!」
ラムラスが変身するところを見ていた村人が騒ぎ出した。
ラムラスとカイウスは家の中に逃げ込んだ。


403 :テイルズ オブ ザ テンペスト:2009/03/21(土) 03:38:16 ID:Z7qUklW90
カイウスはさっそく[リカンツ]とはなんなのかラムラスに聞いてみた。
「[リカンツ]というのは、[ヒト]が我々を蔑んで呼ぶときの呼び名だ。
[リカンツ]とは[レイモーンの民]のこと。[ヒト]の形をしているが、獣人化という特殊な能力を持った種族だ。
今まで隠していて済まん」
父が[ヒト]ではなかったなんて――と動揺するカイウス。
自分もあんな風に獣人になるのだろうかと思ったが、ラムラスはさらに話を続ける。
「我々[レイモーンの民]には、体のどこかにあざがある。
それは[ザンクトゥ]と呼ばれる、[レイモーンの民]の証(あかし)だ。
だが、お前の体には[ザンクトゥ]が現れていない。だから、お前が獣の姿になることは無いのかもしれない。
――私はお前の本当の父親ではない。私はお前を幼い頃に、メリッサ様から預かったのだ。
お前の母、メリッサ様は、レイモーン王家最後の王族。
100年前の獣人戦争のとき、レイモーンの国は滅んだ。
散り散りになった[レイモーンの民]は、[ヒト]の中に紛れて、静かに暮らしてきた。
だが、[ヒト]は我々を異端者とみなし、異端者狩りと称して捕らえられた。
メリッサ様も異端者狩りに――。
お前の父親がどこかに生きている。お前は父親を探しなさい」

ラムラスを狩るために、首都ジャンナの教会から異端審問官がふたり村にやってきた。
異端審問官は覆面の女ロミーと、仮面の男ルキウスといった。
ふたりはカイウスの家の前で、出てこないと家に火をつけると脅した。
ラムラスは大人しく出て行った。カイウスはルビアと共に、スキをついて村から逃げ出した。

しばらくたった後、カイウスは、一人でこっそり村の様子を見に行った。
ロミーとルキウスは、騎士が持っていた[ペイシェント]を探しているらしい。
騎士は教会に運び込まれたと聞いたロミーは、
口封じのために司祭と奥さん――ルビアの両親を惨殺した。
そして異端審問官たちは、ラムラスを連れて村を去っていった。
「こんなのってありかよ。ひどい、ひどすぎる――!」
ルビアと合流し、両親が殺されたことを話す。
ルビアは、両親の仇を討つと心に誓った。
カイウスも、生きているという父を探し、そして捕まったラムラスを助けたかった。
ふたりは異端審問官たちを追うことになった。

船に乗ろうとしたが、子供だけでは乗せてくれないというので、
少々危険だが黒の森を抜けて、首都ジャンナへ向かおうということになった。
昼の間はなんとかなったが、夜になるとモンスターが凶悪化してしまった。
カイウスとルビアはモンスターに囲まれてしまった。
「困っているようだね。俺たちが力を貸してあげようか」
さっそうと男ふたりが現れ、モンスターを倒した。
若くてチャラチャラした感じの男はティルキス、無口な男はフォレストと名乗った。
「俺たちはセンシビアっていう島から来たんだ。
お前たち、なんかワケありって感じだな。とりあえず、付いて来い」


404 :テイルズ オブ ザ テンペスト:2009/03/21(土) 03:39:22 ID:Z7qUklW90
4人は森を抜け、小さな町に着いた。
このまま町に入っては怪しまれるので、ティルキスとルビアは兄妹、
フォレストとカイウスは親子という設定で、ふたり組みになって行動しようということになった。
その夜、眠れないカイウスは宿屋を抜け出して外に出た。
心配して追ってきたフォレストに、カイウスは秘密を打ち明けた。
「何でだろう。フォレストにだけは話してもいいような気がしたんだ」
「――お前には[ザンクトゥ]がないから、[レイモーンの民]ではないのだろう」
「じゃあ、オレの本当の両親は誰なんだろう」
「これだけ言える。他人は他人、自分は自分だ。お前が今せねばならないことは、
本当の自分を見つけることなのかも知れんな。迷うなよ、カイウス」

翌日。合流した4人はジャンナに入った。
三方を海に、一方を川に囲まれている巨大な町だ。
海の上に城が建っているが、今は城の中には誰もいないらしい。
昔、とある事件があり、それをきっかけに国王はアール山という山の上に住んでいるという。
その他に、大きな教会がある。教会のトップである教皇がいるらしい。
ティルキスとフォレストは用事があるというので、宿屋で落ち合う約束をして別れた。
カイウスとルビアは、まず騎士の願いを叶えるべく、大公に会おうとしたが、門前払いにされてしまった。
そして、ラムラスがどうなったか探るべく、教会の方へ行ってみることにした。
フェルンで捕まった[リカンツ]はその日のうちに処刑されたという。
「父さん、ごめん。オレ、助けられなかったよ――」
しょげかえるカイウスをルビアが励ました。ふたりは港の方へと行った。
ふたりを騎士たちが追いかけてきていた。
どうやら、騎士たちもカイウスが持つ[ペイシェント]を狙っているらしい。
「こっちよ!こっちへ来なさい!」
見ると教会の尼僧が手招いている。尼僧のおかげで、騎士たちを撒くことが出来た。
「わたしはアーリア。あなたたち、どうして追われているの?
――答えたくないならいいわ。早くジャンナを離れたほうがいいわね」
アーリアと別れて、ふたりは宿屋に向かった。
宿屋ではティルキスとフォレストが密談中だった。
「センシビアに現れた魔物は、教会が[プリセプツ]を使って生み出したのは間違いないようだな」
そこへいきなり僧兵が現れた。
「[ザンクトゥ]――。その男、[リカンツ]だな!」
フォレストは異端審問官に捕まり、教会へと連れて行かれた。
ティルキスは逃げ出し、カイウスとルビアを連れて港の方へ行った。


405 :テイルズ オブ ザ テンペスト:2009/03/21(土) 03:42:02 ID:Z7qUklW90
アーリアの手引きで、フォレストが捕まっているであろう教会の地下へ侵入することに。
アーリアは僧侶でありながら異端者狩りに反対しているという。
地下水路を進んでいくと、フェルンにいたのと同じような黒い魔物が現れた。
黒い魔物は[スポット]と呼ばれている。[プリセプツ]と呼ばれる特殊な魔法を行うと、
副産物として[スポット]が出現してしまうのだとアーリアは説明した。
[レイモーンの民]たちが多数捕まっている牢獄を発見した。
その奥にはフォレストが鎖につながれていた。鎖をある程度解くと、
フォレストは獣人化して鎖を引きちぎった。
カイウスに会わせたい人がいると言って、フォレストはラムラスを連れてきた。
処刑されたというのは嘘だったのだ。教皇は、何がしかの理由によって、
[レイモーンの民]を処刑したように見せかけて、牢獄に集めていたのだった。
「やつらは、我々から[ペイシェント]のことを聞き出そうとしているのだ。
[ペイシェント]とは、我々[レイモーンの民]に伝わる赤い宝石のことだ」
他の囚われた[レイモーンの民]を解放し、カイウスたちはジャンナを出ようとした。
川に架かる橋の上で、騎士たちに囲まれてしまった。
一同は川に飛び込んだ。

カイウスは川をしばらく流されたところで目を覚ました。
側にはアーリアとラムラスがいる。他のメンバーはさらに流されていったらしい。
そこへロミーがやってきた。ラムラスはロミーに操られ、アーリアとカイウスに襲い掛かってきた。
カイウスは応戦し、ラムラスを動けなくした。
ロミーは妖しげな術でラムラスを殺した。ラムラスは石像のようになった。
これが[レイモーンの民]の死だ。
「父さんに何をした!」
カイウスは怒りのあまり自分が抑えられなくなり、ついに暴走―ー獣人化し、ロミーに飛び掛った。
「ラムラスにあなたを殺させて、[ペイシェント]を手に入れるつもりだったけど、まあいいわ」
ロミーは逃げていった。
[ヒト]の姿に戻ったカイウスはショックで動けなかった。
「オレも[リカンツ]だった――」
アーリアはなんとかカイウスをなだめた。

川のほとりの町でみんなと合流し、情報交換。
教皇は、[生命の法]という[プリセプツ]を行おうとしていたらしい。
[生命の法]とは、死んだ人を蘇らせるものだ。
[生命の法]の実行のために[ペイシェント]が必要だったらしい。
「[ペイシェント]には強力な魔力が秘められているわ。
教会は[ペイシェント]を生み出すことが出来ないの。
[ペイシェント]は、[レイモーンの民]が作ったと言われているわ」
「昔、獣人戦争の頃、レイモーンの国の宰相クベールは、
通りかかった旅人から[ペイシェント]の精製方法を聞き、
[生命の法]を実行しようとしたという記録が残っている。
だが[生命の法]は失敗し、[スポット]が蔓延ってしまったらしい」
「もともと、[プリセプツ]は[レイモーンの民]の文化です。レイモーンへ行ってみましょう」
アーリアがそう提案した。


406 :テイルズ オブ ザ テンペスト:2009/03/21(土) 03:43:04 ID:Z7qUklW90
延々と東の方に進む。東の門という巨大な壁が張り巡らされている所に着いた。
その前に、ルキウスとロミーが待っていた。
「大人しく[ペイシェント]を渡せば見逃してやろう」
両親の仇の姿を見て、ルビアは激昂した。
「何言ってるのよ人殺し!!」
カイウスは獣人化してルキウスたちに突っ込んでいって、追い払った。
「またオレは獣人に――。オレの体はどうなっているんだろう。
もし、また獣人化したら、みんなを襲ってしまうかもしれない」
苦悩するカイウスをフォレストが励ました。
「カイウス、心配するな。お前はまだ力が制御できないだけなのだ。
これから、慣れていけばいい」
ルビアも悩んでいた。
「戦うカイウスを見たとき、あたしは、怖かった。[ヒト]にはない、巨大な力――」

門番に賄賂を渡して東の門を通過すると、一面に砂漠が広がっていた。
その砂漠の中心あたりに、もう廃墟となってしまった都、レイモーンがある。入ってみて一同は驚いた。
石像と化した[レイモーンの民]――つまり死体がたくさんあった。
中に入ると、大きな書庫がみつかった。役に立つ本がないかどうが探してみようとしたところへ、
ルキウスとロミーが再び姿を現した。
「ここにはもう役に立つものなんてないのよ。とっくに調査済みってわけ」
「[生命の法]とはなんなの?それで教皇様はなにをなさろうとしているの」
アーリアの問いに、ルキウスが答えた。
「教えてあげよう。教皇様は、この世界を憂えていらっしゃる。
[ヒト]や[リカンツ]がいがみ合う世界をね。
だから、教皇様は、失われた尊い魂を再びこの地に呼び戻し、憎しみの連鎖を断とうとなさっているのだ」
ルキウスはさらに続ける。
「カイウス、きみの持っている[ペイシェント]は、[リカンツ]の魂そのものなのだよ」
[ペイシェント]は[レイモーンの民]の魂から精製するものらしい。
石像と化した[レイモーンの民]は、[ペイシェント]を作るときの犠牲者だとか――。
カイウスは取り乱してルキウスを殴った。ルキウスの仮面が外れて飛んだ。
「その顔、カイウスに?」
ルキウスの素顔はカイウスによく似ていた。
「カイウス、仲間にならないか?ぼくはきみの弟だよ」
「弟――?ふざけるな!誰がお前の仲間なんかに!」
当然断るカイウス。
それならば強硬手段に出るまでと、カイウスはルビアを捕らえた。
「お前が持っている[ペイシェント]と引き換えに、この娘を返してやろう」


407 :テイルズ オブ ザ テンペスト:2009/03/21(土) 03:44:19 ID:Z7qUklW90
約束の場所にやってきたカイウス。
「約束通り、ルビアを返せ!」
カイウスはロミーに[ペイシェント]を渡した。
だがルビアはルキウスの後ろから動こうとしない。
「カイウス、あたしそっちにいけない。もう何を信じていいのか解らない――」
ルビアは両親が[リカンツ]によって殺されたと嘘を吹き込まれていたのだった。
「いいんだ、お前がそう思ったのなら、それでいいんだ」
カイウスが立ち去ろうとしたとき、ロミーの手の中の[ペイシェント]と、
カイウスのペンダントが共鳴し光りだした。
「その[ペイシェント]もこっちへ渡してもらおう!」
ルキウスとロミーの態度が豹変した。
「断る!これは母さんの形見だ!」
「カイウス!逃げて!」
ルビアがロミーとルキウスを止めようとした。
「いまいましい小娘め!あなたもわたしのこの手で両親と同じところに送ってあげるわ!」
それを聞いてルビアは、両親を殺したのはロミーなのだと悟った。
「よくも騙したわねーっ!」
カイウスとルビアは協力してルキウスとロミーを撃退した。
「これほどとは――。だが、[ペイシェント]は手に入った。今日のところは引き上げるとしよう」

「迷惑かけてごめんなさい」
ルビアはパーティに復帰した。みんなで今後の方針を決めることに。
[ペイシェント]を手に入れたロミーとルキウス。その[ペイシェント]は今頃は教皇の手に渡っているだろう。
そして教皇は[生命の法]を執り行うに違いない。
「[生命の法]で命を呼び戻す――そんなことで世界を救えるのかしら?
そもそも、なぜ今になって教皇様は[プリセプツ]を?」
ここは僅かな手掛かりだとしても欲しいところだ。
雪深い北の森の中にサンサという村がある。
そこは生き残った[レイモーンの民]がひっそりと暮らしている場所であり、また、フォレストの故郷だ。
[生命の法]について知っている人がいるかも知れない。一同は北に進んでいった。

サンサに着いた。長老に話を聞く。
「かつて[レイモーンの民]は繁栄を極めていた。しかし、繁栄は増長を生み、
互いに争うようになり、[レイモーンの民]は滅びようとしていた。
それを憂えた宰相クーベルは、ある方法を使って世界を救おうとした。
だが、それは叶わず、[レイモーンの民]の血の涙だけが残った――。
これが、この村に語り継がれてきた伝説じゃよ」
結局具体的なことは解らずじまいだった。そこに急いでやってきた人が言うには、
フォレストの友人のトールスという男が有志を募り、ジャンナを襲撃しようとしているとのことだ。
一同はトールスがいるという町に急行した。
「話は聞いた。ジャンナへの襲撃はやめろ。
俺は[ヒト]とも上手くやっている。傷つけあうのはよせ」
フォレストがトールスを説得しようとしたが、トールスの意志は固いようだった。
「ならば、少し待て。俺が教皇に会って決着をつけてやる。異端者狩りが無くなれば文句はあるまい」
「解った。お前を信じてここで待つことにしよう」


408 :テイルズ オブ ザ テンペスト:2009/03/21(土) 03:45:49 ID:Z7qUklW90
一同はジャンナに入り教会へ向かった。教会ではルキウスが待っていた。
「待っていたよ、カイウス。これ以上先に進ませるわけにはいかない」
ルキウスを倒す。
「ぼくの負けだね、兄さん。行くといい」
「どうして兄弟で争わなければならないの?」
ルビアの問いに答えるルキウス。
「これが宿命なんだよ。兄さん、どうしてぼくのことを解ってくれなかったんだ。
ぼくは兄さんのように自分の中に流れる[リカンツ]の血を認めることが出来なかった。
ぼくも本当は、異端者狩りを止めたかったんだ。だって、自分を裁いているみたいだろ。
でも、教皇様は本気で[リカンツ]を――」
ルキウスは床に倒れて動かなくなった。
「ルキウス――オレは必ず教皇を止める!」
教会の一番奥の部屋。そこには美しい女性の姿をかたどった石像が置いてあった。
「あの石像、どこかで見たことがあるような――」
カイウスはふらふらと石像に近づいていった。
「その石像に近づくでない!近づけば命は無いぞ」
石像とカイウスの間に割って入るように教皇が現れた。
「お前が教皇か!これ以上[生命の法]を使わせるわけにはいかない!!」
「愚かな――。良かろう、相手をしてやる」
教皇はギラギラした目でカイウスたちに襲い掛かってきた。
強力な魔法を連発してカイウスたちを圧倒しようとしたが、なんとか倒す。
「――私はなぜこんな所に?」
教皇はまるで別人のようになってしまっていた。
「聞いてくれ。今日はメリッサが蘇る日。そして、命を落とした[レイモーンの民]も全て――」
あの石像はメリッサの死体らしい。
「あなたは、[生命の法]に失敗して、体はおろか心まで[スポット]に巣食われていたのでしょう」
ティルキスにそう言われて、教皇はハッと我に返ったようだ。
「思い出した。私は国王に呼びだされて――何てことを!
私は妻を失った悲しみに耐えられなかった。そして、この世にメリッサをもう一度蘇らせようとしたのだ。
クベールの忠告を聞いていればよかったものを。お前はカイウスか。
よく聞け、[ヒト]と[レイモーンの民]の間に生まれた子よ。お前とルキウスがいれば、王の――」
そこまで言ったところで、部屋にロミーが入ってきた。
「故郷が近づいて、パワーも上がっているの。すぐ楽にしてあげるわ」
ロミーの一撃で教皇は倒れ、[ペイシェント]を取り落とした。
「素晴らしい純度の[ペイシェント]だわ。これがあれば今度こそ――」
ロミーは[ペイシェント]を拾って去っていった。
息も絶え絶えな教皇は最後の力を振り絞って言った。
「カイウス、クーベルに会え。彼は全てを知っている。行くのだ、北の最果てアルデハビッツへ!」
カイウスは教皇の側に行って膝をついた。
「しっかりしろ、あんたはオレの――」
「私はあまりにも多くの罪を犯した。その報いは受けねばなるまい。さらばだ、カイウス」
教皇は静かに息を引き取った。
教会を出ると辺りは[スポット]だらけだった。
困っているところへトールスが仲間を引き連れてやってきた。
「ジャンナの[スポット]は俺たちが掃除しておくさ。任せてくれ」
「みんな、ありがとう――」
一同はジャンナから脱出することに成功した。


409 :テイルズ オブ ザ テンペスト:2009/03/21(土) 03:47:03 ID:Z7qUklW90
教皇に言われた通りに、アルデハビッツを目指す。
アルデハビッツはアーリアの故郷だという。
アルデハビッツに到着し、早速クーベルに会う。
クーベルは確かにおっさんだが、それほど年を取っているとは見えないし、
ましてや、100年前から生きているようには見えなかった。
「あんたは100年前――獣人戦争のときのクーベルなのか?まだ生きているなんて――」
「確かに、わしは屍も同じじゃ」
「教皇様があなたに会えと仰いました。[生命の法]について教えてください」
アーリアがそう言うと、クーベルは語りだした。
「かつて、わしはある旅人から[生命の法]を授かった。
[生命の法]を執り行うには、とてつもない力を必要とした。そのために造られたのが[ペイシェント]だ。
何千もの[レイモーンの民]の魂を凝集して[ペイシェント]を造りあげたのじゃ。
――わしを虐殺者と罵りたければ罵るがよい。
だが、あのときはそれ以外に[レイモーンの民]を救う方法は考えられなかったのじゃ。
そしてわしは、教わったとおり[生命の法]を執り行った。
すると、空間に真っ黒な扉が開いて、辺りのエネルギーを全て飲み込んでしまった。
今、レイモーンの周囲が砂漠化しているのはそのためじゃ。
旅人は残った[ペイシェント]を持って去っていった――。
[ペイシェント]には、寿命を延ばす力が秘められている。
このわしも、[ペイシェント]の力で100年を生きることが出来たのじゃ。
旅人もまた、今も生きておる」
これではっきりした。[生命の法]がなんなのかを知っているのは、その旅人だ。
「直接聞けばよかろう。旅人とは、アレウーラの国王じゃよ。
王は強いぞ。おぬしらには、その覚悟があるかのう?」
みんなの気持ちは決まっていた。
「ならば、力を渡そう。国王を倒すために構築した[プリセプツ]を」
ルビアは「セイグリッドシャイン」、アーリアは「テンペスト」を覚えた。

国王はアール山の頂上に住んでいる。一同はアール山を登っていった。
中腹あたりにロミーが待っていた。
「わたしもそろそろ里帰りしたいのよ。だからあなたたちには死んでもらわなきゃ」
ロミーは体から瘴気を漂わせている。
「兄さん、ロミーは特殊な[スポット]だ。そのままでは止めは刺せない」
死んだと思われていたルキウスが現れて言った。ルキウスがロミーに向かって念じると、
ロミーは真の姿――全身真っ黒な[スポット]の姿に変わった。
カイウスとルビアは親の仇を討った。
「終わった――父さん、やったよ!」

頂上まで登り、国王が住んでいる建物の前に着いた。
そこには見えない壁が張り巡らされていた。
試しにティルキスとフォレストが見えない壁を押そうとしたがびくともしない。
「なるほど。[ヒト]も[レイモーンの民]も入れぬ領域か」
「オレがやってみる!」
カイウスが進み出て押してみると、見えない壁は一瞬にして消えた。


410 :テイルズ オブ ザ テンペスト:2009/03/21(土) 03:48:19 ID:Z7qUklW90
国王の待つ部屋へとやってきた。国王はなんと、少年の姿をしていた。
[生命の法]とは何かと尋ねると、国王は語った。
「[生命の法]とはすなわち、私の世界と繋がる扉を開く法なのだ。
実験の失敗によりこの世界に流されてから幾星霜――。
私は元の世界に戻る方法を考えていた。しかし、[生命の法]はなかなか完成しなかった。
私はまずクーベルに、そして教皇に実験させた。
結果、扉は開き、我が国の住人[スポット]が現れた。
見よ!我が故郷が最も近い今こそ、[生命の法]が完成するときだ!」
国王は[ペイシェント]を使い、頭上に真っ黒な次元の扉を開いた。
その中で真っ黒な[スポット]が蠢いているのが見える。
「[生命の法]なんか、完成させるもんですか!」
だが国王は余裕の表情だ。
「[ヒト]の命をもってしても、[ペイシェント]は精製可能なのだよ。
何度失敗しようと、材料には困らんさ」
「――何てことを!オレが絶対お前を止める!もう誰も死なせはしない!」
国王との最終決戦。厳しい戦いの末に勝利を勝ち取った。
「なぜだ。この私が負けるなど――。お前たちのどこにそんな力が?」
「我々は自分のために戦ったのではない。仲間のために戦ったのだ」
国王は死んだが、まだ次元の扉が開いていた。
「もう一度[生命の法]を使って、扉を閉じるのよ!」
「だけど、もう[ペイシェント]が――」
「オレのがある!きっとこのために持ってたんだ。いいだろ?母さん――」
カイウスのペンダントを使うことになった。
「[プリセプツ]は大丈夫。もう何度も見たから」
アーリアが[生命の法]を執り行い、次元の扉を閉じた。

三ヶ月後。
ジャンナでは[ヒト]と[レイモーンの民]双方が出席する評議会が開かれるようになった。
[レイモーンの民]の代表はフォレストだ。
ティルキスはアーリアを連れて故郷のセンシビアに帰ることになった。
ルキウスは異端審問会を解散させた。
カイウスは以前からの希望で、他の大陸に行って世界を見て回りたいという。
旅立ちの日。ジャンナの港にみんなが見送りに来ていた。
「なぁ、ルビア。お前はこれからどうするんだ?」
「僧になる勉強をするわ。だから、しばらくお別れね」
カイウスはルビアに着いてきてほしいのだが、素直に言い出せないでいる。
「カイウスがどうしてもって言うんなら、あたしも一緒に行ってあげようかしら」
ルビアの方からそう言った。
カイウスとルビアは仲良く船に乗り込んだ。船は次の大陸に向けて出港した。

おわり


最終更新:2009年03月21日 04:37