Never7 -the end of infinity-

当Wiki連絡用掲示板、差し替え・追加スレッドpart1-128~143


128名前:Never7 -the end of infinity-投稿日: 2009/08/23(日) 16:34:45 [ 8KT/izNg ]
ギャルゲー板でリクが来ていて
しかもインフィニティ&インテグラルシリーズで唯一書かれていなかったので書いてみた

長期アク禁中なのでこっちに投下させてもらいます~

129名前:Never7 -the end of infinity-投稿日: 2009/08/23(日) 16:39:37 [ 8KT/izNg ]
登場人物
石原誠(いしはら まこと)…オレ。もう3年生にになるというのに殆ど大学に行ってないらしい。川島班のメンバー。20歳。
川島優夏(かわしま ゆうか)…誠と同じゼミに所属する川島班の班長。班長を務めるだけあってしっかり者。
樋口遙(ひぐち はるか)…誠と同学年だが飛び級してるのでまだ19歳。感情を表に出さないタイプ。川島班のメンバー。
飯田億彦(いいだ おくひこ)…大学でも有名なちゃらちゃらした金持ちのボンボン。川島班のメンバー。
朝倉沙紀(あさくら さき)…優夏の中学時代の同級生。高飛車なお嬢様タイプ。
守野くるみ(もりの -)…17歳の高校生だがそう見えないくらい子供っぽい。
守野いづみ(もりの -)…22歳。くるみの姉。お姉さんタイプ。

「どうして…」
それはオレの言葉だったのか、それとも誰かの言葉だったのか、わからない。
目の前に誰かが横たわっている。重く垂れ下がった手の平には、褪せた緋色の紐が付いた、銀色の鈴が乗っていた。
その鈴が手のひらから零れ落ち、澄んだ音を立てる。そして、光を失った――。

130名前:Never7 -the end of infinity-投稿日: 2009/08/23(日) 16:42:32 [ 8KT/izNg ]
ガバッと思い切り布団を蹴飛ばして目覚めた。
しばし茫然として虚空を眺める。
見慣れない、天井…。
大きく息を吸い込み、そして吐き出す。
これを3回繰り返したおかげて、ようやく状況を把握することができた。
デジタル式の腕時計を見る。日付は4月1日になっていた。
さて。さっきのあれは本当に夢だったのだろうか。
日付は4月6日だった。4月6日、誰かが、死ぬ…のか?

ここは絶海の孤島にある、ロッジだ。昨日の夜、フェリーに乗ってここに来た。
まぁ、絶海の孤島といってもそれなりに人は住んでいるし、観光客もいるみたいだが。
オレはゼミ合宿とかいうものに来ていた。3月31日~4月7日の7泊8日の予定だ。
本当は来たくなかったんだが、サボると除名だとかいうので仕方なかった。

着替えを済ませてロッジのロビーに行く。オレの他、遙、億彦、そして班長の優夏が集まった。
しばらくして、玄関のチャイムが鳴る。
「シーフードピザ、お待たせしましたぁ~」
女の子が宅配のピザを持ってきたが、もちろん、だれも注文してない。誤配だった。
「だって、朝倉さんのお宅ってここじゃ…?」
「僕が朝倉です」
腹の減っていた億彦はそんな嘘をついてピザを受け取り、食べてしまった。

午後からはみんなでテニスをしに行くという。
そもそもこの合宿は、みんなの親睦を深めるのが目的だとか。だから遊んでいればいいのだ。
テニス場に着くなり、遙が海に行くと言い出した。億彦は遙に付いていくというので、
オレは優夏と二人で楽しくテニスをした。

夕方になって、海岸に遙たちを迎えに行った。その足で商店街の方へ向かおうとしたが、
途中にお洒落な喫茶店があったので寄ってみることにした。「ルナビーチ」という店の名前だった。
店内ではピザを誤配してきた女の子がモップがけをしていた。
女の子はくるみちゃんという名前で、姉のいづみさんが住み込みでバイトしているこの店に滞在している。
いづみさんもくるみちゃんも地元民ではないらしい。今は店長は旅行中とのことでいづみさんが店長代理だそうだ。
楽しく会話しているところへ、カンカンに怒った女の子が入ってきた。
この子が朝倉沙紀。シーフードピザの本当の配達先だ。
いづみさんは彼女に平謝りした。やがて、沙紀は優夏の知り合いだったことがわかった。
ロッジの近くの別荘に滞在中なんだそうだ。
すっかり意気投合したところで、いづみさんがピザのお詫びも兼ねて夕食をごちそうすると言い出した。
メニューはパエリアだそうだ。
「でも、お米が無いからパエリアは無理なんじゃ…?」
オレは何気なくそう言った。いづみさんはお米の残量を確認する。確かに、足りなかった。

オレと優夏は店の自転車を借りて、商店街でお米を買ってきた。
海の見えるテラスで、総勢7名でのにぎやかな食事を済ませて、ロッジへと帰る。
途中に通った砂浜で、オレは銀の鈴を見つける。間違いない。今朝の夢に出てきた鈴だ。
不吉なその鈴を、オレは海に放り投げた。

131名前:Never7 -the end of infinity-投稿日: 2009/08/23(日) 16:45:30 [ 8KT/izNg ]
翌日。みんなはルナビーチに集まった。ここから近い所にある、ホテルのプールに行こうという話になった。
だが、くるみちゃんは頭が痛いと言うので店で休むことになった。
くるみちゃんを除く6人でプールで遊ぶ。優夏は昼間からビールを飲んで酔っ払っていた。
午後3時頃にルナビーチに戻る。今度は釣りをしようといづみさんが言い出した。
頭痛が治ったくるみちゃんも一緒に行く事になった。ここから港へ行くには歩きでは遠いので、
いづみさんは店の近くに駐車してある軽トラックを動かそうとした。
「でも、そのトラックはバッテリーが上がってるんでしょ?」
オレの言葉に驚きつつも、いづみさんはエンジンをかけたが、やはりバッテリーが上がっているようだった。

のんびり歩いて港へ向かう。
「ねえ、釣り…やめない?」
港へ着くなり、優夏が言ったが、誰も聞かなかった。
我先にと防波堤に行った沙紀と遙。何やら言い争っているみたいだ。
と、そのとき、押し寄せた高波に沙紀は浚われてしまった。
沙紀はすぐに助けられ、診療所のベッドに寝かされた。どうやら大したことは無いみたいだった。
沙紀の付き添いにはくるみが残ることになり、残りのメンバーはルナビーチに帰った。

夕食後、オレたちは砂浜へ散歩に出かけた。いづみさんがこの島の昔話をしてくれた。
岬の灯台の下には展望公園があって、そこで想いを告げると恋が叶うとか。
また、西の方にもう一つ岬があって、そこには神社があるという。
その神社は「司紀杜(しきのもり)神社」というそうだが、一説によると「死鬼杜」と書くとか。
昔、飢饉があったりすると、神社に生贄を捧げたとか、そんな伝説が残っているという。
また、司紀杜神社に行った人が神隠しに遭うという噂もあるという。
だから、今は地元民でも神社には近寄らないのだそうだ。
そこへくるみがやってきた。沙紀は億彦に会いたがっているというので、億彦はしぶしぶ診療所にお見舞いに行った。

132名前:Never7 -the end of infinity-投稿日: 2009/08/23(日) 16:46:48 [ 8KT/izNg ]
翌日、3日の朝。ロッジには元気な沙紀がいた。
釣りがしたいという遙に釣りを教えてやることになった。
優夏はくるみとテニスをしに行くという。沙紀は億彦と遊ぶらしい。
夕方、オレと遙がロッジに帰って来ると、沙紀と億彦は喧嘩をしていた。
遙が止めに入ろうとすると、沙紀はますます怒ったようだった。
「何よ、クローンのくせに…!」
沙紀は遙に、確かにクローンだと言った。
クローンは9年前に法律で認められている。でも、胸の中の違和感は消えなかった。

結局沙紀は別荘に帰ってしまった。ロッジにはいづみさんがやってきて、これから夕食をつくるという。
「いづみさん、オレにも手伝わせて下さい。ジャガイモの皮むきくらい出来ますから」
「ジャガイモ…?」
「だって、今日の夕食はカレーでしょ?」
オレの口から自然に言葉が毀れた。オレの言うとおり、夕食の予定はカレーだった。
どうしてわかったのかと訝るみんなに、合宿といえばカレーだろ、と、オレは苦しい言い訳をした。
夕食後、山奥の墓地まで肝試しに行った。

133名前:Never7 -the end of infinity-投稿日: 2009/08/23(日) 16:50:39 [ 8KT/izNg ]
4日。オレは優夏と二人で桜並木を見に行った。
「ねぇ、誠?誠の初恋って、いつだった?私は、中学のときだった…」
満開の桜の下で、優夏は話し出した。優夏の初恋の相手は、中学3年のときのクラスメイトの男の子だったという。
「それで、その男の子とはうまくいったのか?」
「ううん。ずっと、片思いだったから。だけど、いつまでもその人のこと、忘れられないの。
その人ね、とっても似てるんだぁ…誠に…」

桜並木を抜けて展望公園に着いたが、さっき聞かされた優夏の初恋の相手のことが引っかかって、オレは無言のままだった。
そのとき、地震が起こった。だいぶ大きい。倒れないように手すりに捕まった。鈴の音がしたので振り向くと、
優夏の足元にあの銀の鈴が落ちている。
地震が収まった後、オレは優夏に言った。
「この鈴、何で優夏が持ってんだよ…?」
だが優夏は答えずに、鈴を拾い上げた。
「あのね、誠、私、やらなきゃいけないことがあるから…」
そう言って優夏は去って行った。

夕方。みんなで砂浜でバーベキュー。なんと沙紀も来ていた。いづみさんが頭を下げて連れてきたのだそうだ。
バーベキューの後、ロッジに帰ってきて数時間後、いづみさんがロッジを訪ねてきた。
「くるみが…くるみがいないの」
みんなで手分けしてくるみを探すことになった。優夏がテキパキと指示を出す。
自分の割り当ての場所を一通り探した後、優夏とバッタリ出くわした。一緒に神社に行くことになった。
長い石段を登った先に、ぼろぼろの社殿が建っていた。掲げられた横書きの札は「司紀杜」と読める。
社殿の中に、くるみちゃんは茫然と立っていた。
「くるみ、ここ、覚えてる。来たことあるんだぁ…」
優夏はくるみちゃんを連れて先に外に出た。オレはもう一度ぼろぼろの社殿の中を見回した。
気になるものを見つけた。壁に貼ってある護符だ。和歌のようなものが書き付けてあった。
「はるさめや みさきのはてに なりひびく すずとともにや ときはとかれん」

134名前:Never7 -the end of infinity-投稿日: 2009/08/23(日) 16:53:18 [ 8KT/izNg ]
5日の朝。外はどんよりと曇っていた。みんなは既に出かけた後で、オレと優夏だけがロッジに残っていた。
二人でルナビーチに行くことになった。その道の途中で、オレは切り出した。
「優夏、あの鈴、まだ持ってんのか」
「そんなこと、誠には関係ないでしょ」
オレは優夏に鈴の危険性をわからせようと、1日の朝に見た夢の話をした。
「実は私も、同じ夢を見たの」
優夏は鈴を3日にテニスに行ったとき、砂浜で拾ったと言う。
何てことだ。遠くに投げたと思ったのに、再び砂浜に打ち上げられるとは。
そして優夏は、鈴を捨てたという。再び打ち上げられないようにと、展望公園に。

ルナビーチで食事を済ませ、コーヒーをすすった。優夏は考え事があるらしく、黙ったままだったが、突然、叫んだ。
「わかった!誠、ついてきて」
連れて来られたのはあの神社だった。
優夏はずっと、あの護符に書かれた和歌の意味を考えていたのだという。
最後の「ときはとかれん」というのは、「時は解かれん」になり、
時の流れから解き放たれて、別の時間に飛ばされる、つまり、タイムスリップするって意味だという。
優夏は横書きの札を指差した。あの札も、右から読むと「杜紀司」、「ときつかさ」と読める。
「この神社は、時をつかさどる神を祭った神社だったんだよ、ホントは…」
つまり優夏は、オレと優夏はタイムスリップした、と…?そんなバカな。
そうすると、お米が足りないのも、バッテリーが上がってるのも、高波が来るのも、カレーも…
それがわかったのも、予知ではなく、過去に同じことが起こったから、ということになる。つじつまは、合う。
じゃあ、1日に見た夢、あれが夢ではなく現実だとしたら?
誰かが死んで、鈴が鳴って、タイムスリップしたとしたら?
誰かが死ぬ、その悲劇を繰り返さないように、神社には近付かないようにしようと、優夏と約束した。

夜、遙から白い紙包みを受け取った。
「くるみに会って、砂浜でいいもの拾ったから、渡して欲しいって…」
オレは紙包みを開けないでポケットに入れた。

135名前:Never7 -the end of infinity-投稿日: 2009/08/23(日) 16:54:30 [ 8KT/izNg ]
6日。朝から雨。優夏の部屋のドアが僅かに開いている。
不審に思ったオレはドアを開けた。優夏はいなかった。置手紙があった。
「誠へ。ごめんなさい。私、あそこに行きます。私にはどうしても行かなければならない理由があるの」
オレは雨の中を神社へと走った。歴史は繰り返すのか。誰かがまた死ぬのか…。
ぼろぼろの社殿の中に入る。ふと、壁に四角い穴が空いているのを見つけた。オレはそこをくぐった。

建物の裏のすぐ目の前は崖。そのはるか下に海があった。
優夏はずぶ濡れになって佇んでいた。
「やっぱり、来ちゃったんだ…」
寒い。ポケットに手を突っ込むと、何か入っている。紙包みだった。
その中には綿にくるまれた銀の鈴が入っていた。確か砂浜で拾ったって…。
そうだ、鈴を捨てなければ。そう思った瞬間、激しい地震が起こった。
社殿はミシミシと音を立てて崩れた。このままでは下敷きになってしまう。
優夏を助けなければ。だが、目の前は崖だ。海に飛び込もうにもこの高さでは…。

オレの口から、全身から、血が流れる。優夏も血を流して倒れていた。
間に合わなかった。オレは鈴に気を取られ、優夏を助けるのが遅れた。
「どうして…」
垂れ下がった優夏の手の中には、銀の鈴があった。一つはオレが持っている。
ということは…鈴は二つあって、優夏は鈴を捨ててはいなかったんだ。
優夏の手から鈴が零れる。その瞬間、光は失われた――。

136名前:Never7 -the end of infinity-投稿日: 2009/08/23(日) 16:56:35 [ 8KT/izNg ]
ガバッと思い切り布団を蹴飛ばして目覚めた。
しばし茫然として虚空を眺める。
見覚えある、ロッジの、天井…。
大きく息を吸い込み、そして吐き出す。
これを3回繰り返したおかげて、ようやく状況を把握することができた。
デジタル式の腕時計を見る。日付は4月1日になっていた。
まさか、本当に、タイムスリップしたのか?
優夏があわてた様子でオレの部屋のドアを開ける。
話し合った結果、とにかくみんなに怪しまれないように、いつもどおりに行動することになった。

午後、海に行くと言う二人と別れ、テニス場に残されたオレと優夏。
今後のことを話し合うことにした。
とにかく、オレと優夏にだけは前の6日間の記憶があるのは確かだ。
肉体を伴わず、意識だけが4月1日に戻った。
優夏は、これはタイムスリップではなく無限ループだと言った。
このループは、3回目なのか、それとももっと繰り返しているのかは不明だ。
ループを抜け出す方法を考える。最善策としてはこの島から逃げ出すことだが、
時化でしばらく船は出ないというので、無理だ。
ならば、前と違う行動を起こして、歴史を変えるしかない。
「一緒に見ようね。4月7日の朝日を」

その後、オレたちは海に行って鈴を拾った。
2日は釣りに行かないように働きかけ、3日は二つ目の鈴を拾い、沙紀と億彦の喧嘩を未然に防いだ。
そして、肝試し。オレは沙紀とペアを組むことになった。
沙紀も、オレを見て、優夏の初恋の相手に似てる、と言った。

その夜、眠れなかったオレは部屋を出た。同じく眠れないという優夏と一緒にテラスに出た。
「過去に戻りたかった理由、教えてくれないか?」
優夏に訊く。
「私は、まだ伝えてなかったのよ。私の想いをあの男の子に、言えなかった…」
そんなことのために、この無限ループを繰り返すはめになったのか?
オレは憤慨して部屋に戻った。

137名前:Never7 -the end of infinity-投稿日: 2009/08/23(日) 17:03:55 [ 8KT/izNg ]
「誠くん!もうお昼過ぎよ」
オレを起こしたのは沙紀だった。オレは沙紀に、優夏の初恋の男の子のことについて訊いてみた。
「その男の子、死んじゃったの。中3の6月に…」
修学旅行先のホテルで火災が発生し、優夏を含む女の子の班が逃げ遅れた。
彼は炎と煙の中に飛び込んで、女の子を助けていった。最後に優夏を運び出し、息絶えた。
死ぬ間際に彼は優夏の耳元でこう囁いたという。
「前からずっと優夏のことが、好きだったんだ…」
あのとき、優夏を助けられなかった臆病なオレが、彼と似てるだって?
オレは、そんな立派な人間じゃない。

ダラダラ過ごして、6日の早朝になっていた。
「くるみがいないの…」
ロッジに来たいづみさんが言った。
きっと神社だろうと、また雨の中を走った。石段の手前に優夏が立っていた。
「来ないで!お願いだから、来ないで!」
オレは優夏の訴えを無視して、優夏に近付いた。
「オレはもう、過去には戻らない」
鈴を取り出し、足で踏み潰して壊した。優夏の脇を抜けて行こうとする。
「行ったらまた同じことになっちゃうんだよ!大切な人をもう失いたくないんだよ!」

それでも、オレと優夏は、神社の裏に来た。
「私も、誠と一緒にいく!」
優夏は鈴を放り投げた。その瞬間、地震が起こった。
もう迷わない。オレは優夏をかばうように抱きしめた。勢い余って、崖から落ちた。
優夏が投げた鈴の音を聞きながら、オレと優夏は海に落ちていった。

ガバッと思い切り布団を蹴飛ばして目覚めた。
しばし茫然として虚空を眺める。
見覚えある、ロッジの、天井…。
大きく息を吸い込み、そして吐き出す。
これを3回繰り返したおかげて、ようやく状況を把握することができた。
デジタル式の腕時計を見る。日付は4月7日になっていた。
オレと優夏は、4月7日の朝日を見た。

優夏編 END

138名前:Never7 -the end of infinity-投稿日: 2009/08/23(日) 17:07:23 [ 8KT/izNg ]
(遙編、沙紀編、くるみ編、いづみ編は大した複線も無いので割愛させていただきます。その方がロマンチック(ry
6日にヒロインがいろいろな理由で死んじゃうので
1日にタイムスリップしてヒロインが死なないようにする、という筋書きは一緒です)


いづみキュア編
(5日から分岐)

雨が降りしきる中、いづみさんが横たわっていて、その手の中に鈴が乗っているビジョンを見たオレ。
もしかしたら、いづみさんは死んでしまうのでは?
そう思ったオレは、いづみさんの監視も兼ねて、今日1日ルナビーチでタダ働きすることになった。
ひと段落した頃、くるみちゃんがトランプを持ってきて、神経衰弱をやろうと言い出した。
いづみさんも入れて3人で神経衰弱をやる。
最初、オレはテキトーにカードをめくったが、その2枚の数字は同じだった。
それからオレは次々と同じ数字のカードを引き当て、ほとんどのカードを一人で取ってしまった。
これも、予知能力なのか?

6日の朝。みんなルナビーチに集まった。
いづみさんはくるみちゃんにもらったという銀の鈴をオレたちに見せた。
オレは鈴を捨てるように言った。
「だって、オレ、見たんだよ。死んでるいづみさんの手の中に、この鈴があったのを…」
億彦はいづみさんに目配せした。
「もう終わりにしましょう…」
それを聞いて、億彦は話し出した。
「実はね、石原は僕らにだまされていたんだよ。でも、勘違いしないでくれよ?
僕らは、ある合理的な目的のために、やらざるをを得なかったんだ」
いづみさんと億彦はグルになって、オレに予知能力があるように見せかけていた、と。
オレがお米が無いと言ったら、いづみさんはお米が無いふりをする。
車のバッテリーが上がっていると言ったら、エンジンがかからないようにすぐにキーを戻す。
夕食はカレーだと言ったら、億彦がこっそり材料を買ってくる。
と、こんな具合だったらしい。
「だから、いづみさんが亡くなるなんてことは、ありえないんだよ」
怒りが湧き上がってきた。
「最初から最後まで、何もかも全部嘘だったんだな?」
「誠くん、違うの…。聞いて、お願いだから…」
オレはいづみさんの弁解に耳を貸さなかった。

いづみさんは雨の降る中、外へ飛び出した。そこでやっと冷静になったオレは、いづみさんを追いかけた。
前方を走っているいづみさんを見つけたが、距離はなかなか縮まらない。
森の中で、いづみさんの姿を見失う。必死で探して、見つけた。
いづみさんは、急勾配の、ほとんど崖みたいな斜面で落ちそうになっていた。
引っ張り上げようとしたが失敗して、オレといづみさんは一緒に斜面を落ちていった。
あのビジョンと一緒だ。横たわってピクリとも動かないいづみさんの手の中には鈴があった。
鈴が手から零れて鳴った。その瞬間、光は失われた――。

139名前:Never7 -the end of infinity-投稿日: 2009/08/23(日) 17:09:01 [ 8KT/izNg ]
ガバッと思い切り布団を蹴飛ばして目覚めた。
しばし茫然として虚空を眺める。
見覚えある、ロッジの、天井…。
大きく息を吸い込み、そして吐き出す。
これを3回繰り返したおかげて、ようやく状況を把握することができた。
デジタル式の腕時計を見る。日付は4月1日になっていた。
まさか、タイムスリップしたのか?いやいや、オレが寝ている間に億彦が腕時計を操作したとも限らない。
オレはロビーでくつろいでいる億彦に殴りかかって吐かせることにした。
「億彦、お前、オレをまた騙そうとしてるだろ!」
「何で知ってるんだ?それに、まだ実行に移してない…」
実行に移してない、ということは、この腕時計の表示は本物なのか?
オレは外に飛び出し、ルナビーチに向かって走った。同じようにこちらに向かってきたいづみさんと会った。
「くるみに日付を聞いたら、『4月1日に決まってるでしょ』って、そう言ったの。
嘘がつけないあの子が…」
とにかくいつもと同じように振舞うことに決めて、いづみさんと別れてロッジに戻った。
優夏たちにも日付を聞いたが4月1日だという答え。何より、テレビのニュースが4月1日だと告げている。

午後、みんなでルナビーチに行った。
「先生、実験は失敗してしまいました…」
億彦はいづみさんにそう言った。
「実験?実験って何だよ!」
取り乱すオレをいづみさんは店外へと連れ出した。
停めてある軽トラックへと二人で乗り込んでから、いづみさんは話し出した。
「億彦くんに、誠くんのことを騙すように言ったのは、私なの」
「どうして、そんなこと…」
「キュレイシンドロームのことを知りたかったから。億彦くんが先生って言ったのは、
私が誠くんの大学の教授だから。この川島班のゼミを担当しているのが私なの」

いづみさんはキュレイシンドロームについて説明してくれた。
昔、アメリカにトムという12歳の、ごく普通の少年が住んでいた。
ある日からトム少年は妄想にとらわれ、奇妙なことを言うようになった。
「自分の中に死はない、だから、自分は他人を癒すことが出来る」、と。
その言葉通り、トム少年は周りの人々に病気や怪我を治すという奇跡を次々と起こした。
自分には特殊な力があるという妄想を心の底から信じて疑わなかったトム少年。
その妄想は次第に周囲の人々に伝播していった。
この周りに伝播する妄想はキュレイシンドロームと名づけられた。
キュレイは「CURE(キュア)」のフランス語読み。キュアは治すとか癒すとか、そういう意味だ。

「なるほどな…そういうことか。オレに予知能力があると妄想を抱かせて、
キュレイシンドロームに陥らせ、それが広がるのを部外者のふりをして観察していた…と。
それがこの合宿の目的…実験とやらなんだな」
オレを騙すために使ったのは億彦だけで、他のメンバーはいづみさんが教授だと知っていたが、
オレには知られないようにしていたらしい。
オレは学校にほとんど行ってないので、いづみさんの顔を知らなかった。被験者としてこれほどの適役はいない。
「でも…でもね、実験は、実際には一度もやってないの。それなのに、誠くんが言っていた予知は、全部当たってたの!」
いづみさんはキーをイグニッションに差し込んだ。
「誠くん…エンジン、かけてみて?」
キーをひねったがエンジンはかからなかった。バッテリーが上がってる。
「今日の午前中にやったときは、ちゃんとかかったの…」 
やはり、オレの予知能力は本物、ってことか。

夕食後、ロッジに帰る途中の砂浜で銀の鈴を見つけた。
悲劇を繰り返さないために、壊してしまうことに決めた。
鈴を道路に置き、転がっていたコンクリートの破片を上から思いっきり打ち付けた。
コンクリート片を持ち上げると、鈴は無かった。粉々になって吹き飛んだ、というわけでもなく、
跡形もなく消えていた。まさか、消えたのだろうか。

140名前:Never7 -the end of infinity-投稿日: 2009/08/23(日) 17:11:25 [ 8KT/izNg ]
2日。夕食後にいづみさんはみんなに神社の話をした。
岬の先に「司紀杜神社」のがあること。
「でも、その神社はもう無くなってるけどね」
失踪したくるみちゃんがいた神社が、無くなってるだって?
その後、夜遅くなってからいづみさんはオレの部屋をこっそり訪ねてきた。
昨日話せなかったが、キュレイシンドロームのもう一つの特徴があるという。
それはシュレディンガーの猫と関係があるらしい。
遙がオレの部屋に入ってきて、その話はそれでおしまいになった。

3日。遙と釣りに行ったが、そこそこに引き上げてオレは商店街に行った。
そこで優夏と会った。シュレディンガーの猫が何なのか知っていた優夏はわかりやすく説明してくれた。
シュレディンガーの猫の話自体は結構有名だと思うので詳しいことは各自調べてくれ。
簡単に言うと、完全防音の箱の中に密封された猫の生死は、箱を開けるまで確定しないということだ。
ここに猫が密封された箱があるとする。今は午後3時50分。
さて、1分経って3時51分、オレは箱を開ける。残念ながら猫は数日前に死んでいたようだ。
3時50分の猫の生死は不明。だが3時51分にオレは箱を開け、3時50分の猫の生死を、過去を確定させた。
「今、誠は過去を決めたのよ。過去に戻ることなんて、出来ないんだから」

夜、墓地に肝試しに行く。いづみさんとペアを組むことになった。
ここなら誰もいないからと、いづみさんは昨日の話の続きをしてくれた。
キュレイシンドロームのもう一つの特徴とは、「観察者の意志は、過去の事実を決める」というものだった。
とても信じられないことだが、例のトム少年はそんなこともやってのけたらしい。
トム少年の幼馴染で末期ガンで入院していたジュリアという少女がいた。
トム少年はジュリアを奇跡を起こして完治させてしまった。
ジュリアの過去を、ガンにかかっていないという事実に決めてしまった結果だった。
強固な思念は、新たな現実を創造できるのかも知れない。
どんなに荒唐無稽な妄想でも、本人、そして周りの人々も、心の底から信じて疑わなければ、それは現実となる。
「『妄想が現実になる』、それがもう一つのキュレイシンドロームの特徴…」

いづみさんは、肉体を伴わず記憶だけを持って時を遡ったことから、
今のこの状態はタイムスリップではなく無限ループだと言った。
そこからいづみさんは一つの仮説を立てた。
この無限ループに嵌る前に、実験は施されていて、オレはキュレイシンドロームに陥った。
ただし、当初の目論見では予知能力があるという妄想を抱かせる予定だったのだが、
それをオレはタイムスリップしたというふうに解釈してしまった。
6日にいづみさんが死んでしまうという想定外の現実を目の当たりにしたオレは、
いづみさんが死なない過去を創造しようとした。
そしてオレは、タイムスリップできる妄想の世界に、この無限ループに陥った。
最初の周回は、少しだけ記憶を引き継いでいた。それが予知能力として現れた。
それでもいづみさんの死を回避できなかったオレは、今度は全ての記憶を引き継いで周回を始めた。
それが、今、この周回だ。そしてオレは、この世界が無限ループだと、妄想の世界だということを否定し、
自分自身を納得させるために、タイムスリップしたという現実を創造した。
いづみさんは、神経衰弱で数字を当てまくった奇跡を目の当たりにしてしまったので、
オレに不思議な力があると心の底から信じてしまい、キュレイシンドロームに陥ってしまった。
オレといづみさんにだけ前の周回の記憶があるのはそのためだ。
オレはオレの、いづみさんはいづみさんの妄想の世界に、無限ループに生きている。
6日の悲劇を回避できれば、きっとこの妄想の世界から抜け出すことができるだろう。

141名前:Never7 -the end of infinity-投稿日: 2009/08/23(日) 17:12:37 [ 8KT/izNg ]
4日の昼頃。オレはくるみちゃんと一緒に岩場にいた。カニを採って遊ぶくるみちゃんをぼんやり眺める。
オレの側に寄ってきたくるみちゃんは、泳ぐのが好きだと言った。
プールに行くときに頭痛がすると言ったのは実は仮病だったと言う。
くるみちゃんは水着姿になるのが嫌なのだ。くるみちゃんの背中には、幼いときにできたという大きな傷があるらしい。
中学の頃、その傷が気持ち悪いという理由で好きな人に振られたこともあるという。
そのとき、大きな地震が起こった。くるみちゃんはオレに抱きついてきた。
予期せず、オレの手がくるみちゃんの背中に触れた。服の上からでも、傷があるのがわかる。
こんな傷跡など消えてしまえばいい、とオレは思った。

くるみちゃんを連れてルナビーチに帰る。店内ではいづみさんと遙が話をしていた。
店を出て行く遙をくるみちゃんは追いかけていった。
「誠くん、遙ちゃんはきっと、私の本当の妹なのよ…」
いづみさんはオレに以下の事実を話し始めた。
今から21年前の7月、くるみちゃんは何者かによって誘拐されてしまった。
当時くるみちゃんは0歳、いづみさんは1歳半だった。
その7日後、司紀杜神社が倒壊。中から下敷きになった誘拐犯が発見されたが、くるみちゃんは依然として行方不明。
それから1年半後、今から19年前、遺伝子工学の権威だったいづみさんの父、守野茂蔵は、
寂しさに耐えられなくなり、当時違法だったくるみちゃんのクローンが生まれた。
その翌年の7月、誘拐されてから3年後、くるみちゃんが司紀杜神社で発見された。
背中に深い傷を負っており、そして、その体には成長の跡が見られなかった。
くるみちゃんはまるで、3年後にタイムトリップをしたかのようだった。
遙とくるみちゃんのクローンとの生年月日は一致するし、昔、いづみさんがつけてしまったという額の傷まで一致する。
となればもう、疑う余地はないだろうな。
いづみさんは、くるみちゃんの空白の3年間を取り戻そうと、この島に足しげく通うようになったのだという。
うちの大学の教授になったのも、ここに合宿所があったからだそうだ。

5日。沙紀と億彦の二人が歩いているのを目撃したオレ。
二人でいかがわしいことでもしようってのか?と思い、後をつけていくことに。
神社に行く途中で二人の姿を見失った。石段を上っていった。そこに神社はなく、更地になっていた。
2日にいづみさんが神社は無いと言ったから、過去が変わってしまったのか…?
その後、ルナビーチに行った。くるみちゃんが神経衰弱をやろうと言った。
また数字を当てまくってしまう。オレはそんなこと望んでないのに。トランプなんてやりたくない。
と、くるみちゃんがトランプが無いと騒ぎ出した。
まただ。オレがトランプをやりたくないと言ったから、トランプが消えた。
1日に鈴が消えたのも恐らく同じ原理だろう。

142名前:Never7 -the end of infinity-投稿日: 2009/08/23(日) 17:17:28 [ 8KT/izNg ]
6日。みんなでバーベキュー。遙とくるみちゃんはすっかり意気投合している。
そりゃそうだ。一卵性双生児みたいなもんだからな。
しかし、くるみの一年半後の姿が遙か。ちょっと想像つかない。
沙紀がヘマして、手に持った紙コップのビールを遙にかけてしまった。
オレはみんなより遅れてロッジに帰った。オレの部屋のドアを開けると、
女の子のつるりとした綺麗な背中が目に飛び込んできた。どうやら着替え中だったらしい。
悲鳴の声に慌ててドアを閉める。
あの服にあの声、くるみちゃんか。でも、あの傷の無い背中は…?
しばらくして、オレの部屋からくるみちゃんが出てきた。
「誠くんに覗かれちゃった」
その態度はなんだか急に大人びて見えた。それを指摘すると、くるみちゃんはこう答えた。
「私ももう、今年で21歳だよ。誠くんと同い年なんだから、別にいいじゃん」
まさか、くるみちゃんの過去が変わっているのか?
オレがあのとき、傷なんか消えてしまえと思ったから、空白の3年間は無かったことになり、
背中の傷が消え、そして、遙も存在しなくなる。

オレは外に飛び出して、遙を探し回った。海岸沿いの道路で遙を見つけた。
いづみさんが道路の上に倒れていた。すごい熱だった。と、そのとき、向こうから車が近付いてきた。
オレは車の前に飛び出して、いづみさんの代わりに、車に撥ねられた。
遙が倒れているいづみさんに駆け寄る。
「お姉ちゃん、どうして…?」
「だって、遙のことが、心配だったから」
良かった、いづみさんは無事だ。そこで意識が途切れた。


オレは足を骨折し、肋骨も何本か折ったが、松葉杖で歩くことができた。
「だいたいなぁ、お前がややこしいことを言うからだぞ」
オレに付き添って歩いているくるみちゃんに文句を言った。
オレが見たつるりとした背中は遙のものだった。隣にくるみちゃんもいて、くるみちゃんが悲鳴を上げた。
遙の服にビールが引っ掛けられてしまったため、二人は服を取り替えているところだったのだ。
くるみちゃんが21歳だと言ったのは戸籍上のことで、それは遙から知らされた事実だった。
つまり、くるみちゃんの過去は変わっていなかった。
海岸沿いの道路に来た。オレが撥ねられた場所だ。あのときのコンクリート片がまだ転がっている。
その側に何かキラリと光るものが落ちていた。それはペチャンコになった銀の鈴だった。
ペチャンコになったから見つけられなかっただけだった。
やっとルナビーチに着いた。いづみさんはチラシを差し出した。
「シキノモリ神社」と「トキツカサ神社」、この島にはもともと二つの神社があって、そこでお祭りをするというチラシだった。
オレが見た更地はトキツカサ神社だった。
「私もこの島のことを知り尽くしたと思ったのに、まだまだね」
結局、最後の6日間で起こった奇跡のようなものは、全て奇跡でもなんでもなかった。
ここは妄想の世界ではない、紛れも無い現実。オレは今、それをかみしめていた。

END

143名前:Never7 -the end of infinity-投稿日: 2009/08/23(日) 17:29:48 [ 8KT/izNg ]
おまけ いづみキュア エンディングB
海岸沿いの道路で見つけた遙は存在が希薄だった。
触ろうとしたがすり抜けてしまった。そして、消えてしまった。
くるみちゃんの過去は本当に変わってしまったらしい。
いづみさんを助けようとしてオレは車に轢かれて、瀕死の重傷を負った。そこで意識が途切れた。


※物語の舞台は2019年らしい。
※トム少年の奇跡を受けたジュリアの中には
 キュレイと呼ばれる、宿主のどんな病気もたちどころに治してしまうウイルスが発生しているらしい。
 そしてキュレイは次回作(Ever17)以降に大活躍、です。
 次回作のあの人はジュリアちゃんからキュレイをもらったらしいですよ?
※キュレイシンドロームのせいではなく、本当にタイムスリップは起こっている、という解釈も成り立ちます。
 特に空白の3年間はの謎は明確な答えがありませんし。
 また、いづみキュアエンディングBが真実で、全ては誠が死に際に見た夢だったとか、
 あるいは全てがサイコ野郎の妄想だったという解釈もありです。
※遙の声優は????になってますが紛れも無くくるみと同じ人です。
 二役とは思われないくらい上手い。それと比べて次回作に出てくる伏字キャストはかなり失敗くさい。
 個性的な声なのが裏目に出てしまいましたね~残念。






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