マンカイデンシ*サクラ

マンカイデンシ*サクラ

簡潔版:part48-117~120

詳細版:part48-153~158,175~178


117 :マンカイデンシ*サクラ◆l1l6Ur354A:2009/11/16(月) 13:50:04 ID:LF9uf2Dj0
簡潔版投下。
詳細版は後日、各話完成次第、順次投下していきます。
ギリギリ六ヶ月以内なのでトリップつけました。

簡潔版用解説

 主要登場人物
  ハル
   孤児院に暮らす16歳の心優しき少年。趣味は電脳世界での散策。
   中性的な外見と、家事を仕切り同じ孤児らの面倒を見る姿から、親しみを持ってハルママと呼ばれる。
   強力なアイコン「サクラ」に変身し、電脳世界を救っていくことになる。
  ログ
   ハルにサクラを与えた、ウサギ型の謎のアイコン。
   ハルがサクラとして電脳世界上の事件を解決する見返りに、彼の望む報酬を提供契約を交わす。
  アレックス神父
   町の片隅にある教会の養護施設で、ハル他複数の孤児を引き取って養育している。マダムキラー。

 用語解説
  電脳世界…ヘッドマウントディスプレイを使用した、新世代のネットシステム。
       人体の感覚を再現できる高度な電子空間。ゲーム上では「フロンティア」と呼ばれる。
  アイコン…電脳世界における「PC(プレイヤーキャラクター)」、またはプレイヤーの分身。
       一般向け安価なアイコンとして「DaReKa」なる種類が普及している。外見などある程度の改造が可能。
  FSS   …フロンティア・セキュリティ・サービスの略。
        電脳世界フロンティアを運営するФNET直属のセキュリティ会社。世界各国に存在する。
  ナビ  …要はヘルプ。アイコンの姿を模した二頭身の姿が基本。場合により複数所持可能。
  サクラポイント…略してSP。サクラのエネルギー源。これ無くしてサクラには変身できない。

118 :マンカイデンシ*サクラ◆l1l6Ur354A:2009/11/16(月) 14:00:30 ID:LF9uf2Dj0
数年ほど前から教会付属の孤児院で生活しているハルは、ある日遊んでいた電脳世界で誘拐事件に巻き込まれる。
そこで謎のアイコン「ログ」に出会い、強力なアイコン「サクラ」を手に入れる。
サクラを使いどうにか誘拐事件を解決したハル。
以後ハルはサクラとして、ログと共に電脳世界で発生する事件に立ち向かうことになる。

幾つかの事件を乗り越え解決てきたハルだが、事件の最中に弱点を突かれ謎の組織に囚われの身となる。
どうにか組織の手を逃れるも、ハルを守ってくれる筈のアレックス神父は、ハルに銃を向けた。
ログの機転によりハルは救われるが、ログは神父と共に去り、同時にサクラをも失ってしまう。
何も知らずにいた自分を悔やむハル。するとログの残したナビが現れ、望むならば全てを教えるという。
危険を承知で応じたハルは、サクラとそれに纏わる全てを知ることになる。
サクラは神父が実の娘「サクヤ」のために作ったが、サクヤの心は電脳世界に消え、身体も既に死亡していること。
ログは前のサクラの所有者であり、ある時からサクラになれなくなったが、神父側の人間であったこと。
そしてログとハルが、サクヤ以外の人間がサクラを使うための被験者であったということも。

時を同じくして、消えた筈のサクラが現れる。テロに立ち向かう姿を正義のヒロインと報道するメディア。
サクラの行動の裏に隠された神父の目的は、サクヤの復活。
各地に点在する「サクラポイント(SP)」は、その一つ一つがサクヤの心を有し、サクラに惹かれる性質を持つ。
SPを集めればサクヤが蘇ると考えた神父は、事件を利用して世界にサクラを広め、SPの収集を図っていたのだ。
だがSPが集まることは、人の精神を破壊する「ソルドライブ」を引き起こす危険を伴う。
神父を止めるため、ハルは最後の戦いへと向かう。
戻ってきたログとの連携でサクラを奪還したハルだが、追い詰めた神父はハルに刃を向ける。
数少ない言葉の中に神父の真意を見出したハルは、彼の最後の計画に乗り、サクラとして神父と刃を交える。
……神父は父として、サクヤが好きだった「正義対悪」のシナリオを、SP=サクヤの欠片に贈ろうとしていたのだ。
勝利したハルは、サクラの特殊能力で、全てのSPの「サクラを求める性質」を消し去る。
SPは父とハルに、贈り物と解放への感謝の意を伝え、再び各地へと散っていった。

サクラをめぐる一連の事件は終結した。
ログは孤児院に引き取られ、ハルらと共に生活を送っている。
事件の最中に親交を深めた人物達も、何がしかの事件があれば会うことはあれど、それぞれの日常へと戻った。
季節は春を向かえ、あちこちに咲き誇る桜が、風に花弁を散らす。
己の人生は桜に象徴されていると言うハルは、これからの未来に、期待と僅かな不安を抱くのだった。

~完~

119 :ゲーム好き名無しさん:2009/11/16(月) 14:06:36 ID:Tws97uL/O
>>117-118
とりあえず乙。
フラッシュモーターカレンに似てると思ったら、
やっぱり同じ世界観なのか

153 :マンカイデンシ*サクラ◆l1l6Ur354A:2009/11/21(土) 17:40:14 ID:ziAyOJxZ0
>>119
フラッシュモーターから数年後の話ってところ。
フロンティアのバージョンがver1.0→ver1.2になってるし、
前作キャラも、表立っては出ないけど噂なんかがちらほら聞けたりする。

>>151
乙です

少し遅くなりましたが詳細版一回目投下ー。
詳細版解説

 主要登場人物
  ハル
   孤児院に暮らす16歳の心優しき少年。趣味はフロンティアでの散策。
   中性的な外見と、家事を仕切り同じ孤児らの面倒を見る姿から、親しみを持ってハルママと呼ばれる。
   フロンティアに散らばるサクラポイントを得ることにより、サクラに変身する。
  ログ
   ハルにサクラを与えた、ウサギ型の謎のアイコン。
   サクラとしてフロンティア上の事件を解決する見返りに、ハルの望む報酬を提供する。
  クロード
   FSS-USA帰りの現FSS-JAエージェント。通常のFSSはペアで仕事を行うが、事情により単独で仕事を行っている。
   その手腕はペアのFSS以上とも言われ、周囲からも一目置かれている。
  いのせんと☆まぶ
   フロンティア内メディアF-WEB-JAの名物キャスター。常にカメラツールを持ち歩く。
   アポ無し突撃取材を得意とし、たまに危ない言葉を発して放映禁止処置を食らう。
   サクラに奇妙なときめき(変な意味ではない)を感じ、その影を追うことになる。妖精型のアイコン。中身は女性。
  砦忍者・山影
   外見、言動、全てが怪しいことこの上ない味方。ニンジャバッコなるオリジナルのツールをくれる。
   女の子に踏まれたい、など何かに目覚めている。贖罪の旅をしているらしい。忍者型のアイコン。
  ユーリ
   孤児院に暮らす20代前半の少女。料理の腕は壊滅的だが、本人に自覚はあまり無い(自称・得意料理は中華)。
   普段は教会で神父の手伝いをしており、エピローグでは……
  ケンタ、サユリ、ゴロウ
   孤児院で暮らす子ども達。
  アレックス神父
   町の片隅にある教会の養護施設で、ハル、ユーリ他複数の孤児を引き取って養育している。マダムキラー。50歳前後。

154 :マンカイデンシ*サクラ◆l1l6Ur354A:2009/11/21(土) 17:41:27 ID:ziAyOJxZ0
 主要用語
  フロンティア …ヘッドマウントディスプレイ(コネクター)を使用した、新世代のネットシステム。
          人体の感覚を再現できる高度な電子空間。いわゆる『電脳世界』。
          ただし神経接続レベルに伴った命の危険も伴い、連続接続時間は制限される。
          (ドメインは都市・地区、フィールドは町・番地、エリアは建物・施設などにあたるが、必ずしもそうではない)
  構造体    …フロンティアのフィールドを構成する電子の箱の総称。様々な種類と機能を有する。
  アイコン   …フロンティア上の「PC(プレイヤーキャラクター)」。またはプレイヤーの分身。
          一般向け安価なアイコンとして「DaReKa」なる種類が普及している。
          外見などある程度の改造が出来るが、プレイヤーに近い形(体形)にすると扱いやすいらしい。
          変種の例として今作での例としてウサギ型、妖精型が登場。前作には猫型、マスコット型(メッケモ)など。
  FSS      …フロンティア・セキュリティ・サービスの略。
          フロンティアを運営するФNET直属のセキュリティ会社。因みにUSAは米国、JAは日本を表す。
  FNP      …フロンティア・ネットワーク・ポリスの略。国連認可のフロンティア警察。技術力はFSSに劣る。
  オートマトン …フロンティア内の警備用無人アイコンのこと。多種存在する。
          大抵は安全装置がかけられ、有人アイコンへの攻撃の際もさほど威力が出ないようになっている。
  ツール    …アイコンが持つ文字通り『道具』プログラム。種類は複数存在。カメラから攻撃用ツールまで。
  サクラ    …見るものの心を奪う、美しき桜色のアイコン。
          FSSやFNSらのアイコンにもない規格外の性能(数倍の処理速度、攻撃能力など)を有す。
          が、その反面サクラポイント無しには起動すらできない欠点を持つ。
          サクラの起動及び使用には幾つかの条件を要するというが…
  サクラポイント…略してSP。サクラのエネルギー源。各地に点在し、これ無くしてサクラには変身できない。
          基本的に、サクラを保有する者にしか存在が感知できない。
          因みに敵を倒すなどして溜めることも可能。
  ナビ     …フロンティア上のお助け機能。要はヘルプ。持主のアイコンを二頭身にした姿が一般的。
          場合により複数体所持可能。

155 :マンカイデンシ*サクラ◆l1l6Ur354A:2009/11/21(土) 17:43:55 ID:ziAyOJxZ0
――

世界は
混沌と熱狂に幾度も打ちすえられ
科学とメディアにかりそめの癒しを施されながら
今なお、存続している

――

Act.1 ファースト・ドライブ

近くの商店街のくじ引きで一日無料券を手に入れたことから、
ハルと孤児院の子ども達はフロンティア上の遊園地「デゼナ・F・K」に遊びに来ていた。
デゼナ・F・Kは現実では味わえないスリルを、絶対的な安全でお届けすると謳っており、現在人気急上昇中のスポットだ。
はしゃぐ子ども達をなだめながら目的地に辿り着いてみたものの、何処か様子がおかしい。
次の瞬間、ハルは謎の男の攻撃を受け、1人別の場所へと飛んでしまう。
不運なことにも実はこの日、金銭目的の誘拐グループが遊園地に潜入していたのだった。

遊園地の下層で目を覚ましたハル。
突然の事態に不安を覚えたものの、はぐれた幼い子ども達の恐怖を思い、ハルはすぐに行動を開始する。
誘拐グループらの改造により、遊園地は危険な場所となっていた。
触れるだけでアイコンを破壊する構造体の床、致死威力の攻撃ツールを持つ犯人側の警備システム。
途中、ウサギ型のアイコンによりインストールされた攻撃ツール待ち、どうにか犯人のもとへ辿りつく。
戸惑いながらもハルは、自分と引き換えに身体の弱いサユリを解放して欲しい旨を伝える。
しかし偽装を施し(※ログが行ったもの)、警備システムを破壊してきたハルを犯人が信用するはずが無かった。
四方から全身に攻撃を加えられ、あわやハルは命の危機に瀕する。

意識が遠のく中、どこからともなく声が聞こえ、謎のプログラムの起動と共にハルは桜色のアイコンに変身してしまう。
襲おうとしたままの姿で、時が止まったかのように動かない犯人。
声の主であるウサギに従い、ハル(サクラ)手にした光の刀で犯人を切り伏せる。
元の姿に戻ったハルは、ウサギに今起こった出来事について尋ねる。
ウサギは、プログラムの名前「サクラ」と己の名「ログ」を告げると、己とサクラに関し他者に話せば生活は保障しないと脅して消える。
最後に、これからよろしくね の謎の言葉を残して。

その後、遊園地を包囲していたFNPの検証の最中、不可思議なエラーが発見される。
犯人グループが確保されたエリアにおいて、わずか00:00:01:00の間ではあるが、全てのデータが消失していた。
検証に立ち会ったFSSのクロードは、その僅かに修復されたデータに目を通し、違和感を覚える。
しかし当事者でもある犯人らの記憶も昏倒した近辺は曖昧になっており、事件は謎を含んだまま終結を迎える。

どうにか無事に子ども達と帰宅したハル。
ユーリが料理を作ると決めた直後の帰宅に、内心本気で神に祈り捧げていたアレックス神父は、二重の意味で胸を撫で下ろした。
遊園地について直ぐに囚われ、遊び足りない子ども達は、神父に遊んでと強請り、神父は優しくそれに応える。
ユーリにアレックル神父の補助を任せ、まずは全員分のご飯を作ることからハルの日常は再開された。

 Act.1 余談
・神父はハルらが遊園地にでかける直前にも、ユーリに食事作らせたくないから早く帰ってね!発言をしている。ハルも了承。

156 :マンカイデンシ*サクラ◆l1l6Ur354A:2009/11/21(土) 17:45:52 ID:ziAyOJxZ0
Act.2 パイレーツ・オブ・フロンティアン

テロ事件から数日、ネットバンクのメンテナンス警護に当たっていたFSSのクロード。
作業が順調に進む中、彼の脳裏には先日の事件が過ぎっていた。
 誘拐犯等はマニュアルを見て実行したと供述するが、入手したというドメインにマニュアルが存在した痕跡はなかった。
 空白の時間についても、理論は存在するがその実行はФNET本部ですら不可能だと言われている。
 そして復元されたデータに映る少女のアイコンに、奇妙な既視感を覚える自分。
解決したとはいえ不可解さだけが残った事件に、クロードは今ひとつ納得ができずにいたのだ。
しかし突如として銀行のドメインが破壊され、フロンティア海賊「バスター・ハニー(以下、ハニー)」の一味に襲撃されてしまう。

一方、すっかり日常へと戻ったハルは、家事を終えた後、フロンティアにログインする。
幼い頃からフロンティアに親しんだハルにとって、この時間は大切な日課になっているのだ。
ところが、ログインして目の前に広がったのは目的地ではなく、見たことも無いフィールドだった。
ログアウトも不可能な状況に困惑するハル。そこに、誘拐事件の際に現れたログからの連絡が入る。
ログは、現在このフィールドが特殊な状況にあり、この件には人命がかかっている旨を告げた。
残された道はただ一つ。ハルはログの言う通りにフィールドを進み始める。

やがて人の声のするフィールドに到着すると、そこには丸い体形の女海賊(ハニー)と、膝をつくFSSの姿が。
長年に渡り犯行を重ねたハニーの実力は手下の比でなく、クロードはアイコンを酷く痛めた上に視力を奪われていた。
あまりの光景にハルはハニーを止めようとするが、突如ログがハルの声を真似てハニーを挑発。
逆上し襲い掛かってきたメタボ(※アイコンの体形を現実の体形に合わせると扱いやす(ry)を、ハルはサクラで返り討つ。
しかししぶとく踏みとどまったハニーは、この場の引き上げを宣言し自分のフィールドへと逃亡を図る。
ここで逃がしては、いずれまた被害者が出ることは確実。
クロードの無事を確認し、ハルとログは海賊のフィールドへと突入する。

ついに最深部に到達したハル。戦いに敗れ、全てを失ったというハニーは、フィールドに仕込んだ爆弾で共倒れを図る。
ハルはサクラに変身して起爆スイッチを握る手を止め、どうにかハニーに自爆を思い留まらせる。
そこに復活したクロードが到着し、万事解決……の筈だったが、ハニーがうっかりスイッチを押してしまう。
逃げるにも解除するにも時間が足りない。そう判断したログはハル(サクラ)に叫ぶ。
起爆信号を絶て。サクラにならできる、と。
ハル(サクラ)は再び刀を掲げ、教えられたイメージと共に起爆信号を一刀両断する。

その瞬間、フィールドから桜色の光が放たれ、フィールド外部も含め辺りに桜の花びらが舞い散る。
事態に慌てながらも、その美しさに見とれるFNPと一般アイコン。
彼等の中にまぎれ、いつもの突撃取材に訪れていたいのせんと☆まぶは、光源に立つ桜色のアイコンを目撃する。

事件後。ハルとログは、やや一方的ではあるが正式に契約を交わす。
内容は、ハルがサクラとしてフロンティア上の事件を解決すること。見返りは養護施設用に新しい家電製品の提供。
翌朝、届けられた家電製品を眺めながら、ハルは漸く、全てが夢で無いことを実感するのだった。

 Act.2 余談
・銀行員の雑談の中に、昨年の「女の子と猫のペア」が出てくる。恐らく前作のカレンとラグ。面白くて有能だったと評される。
・ハルがログインする予定だったフィールドはグラン・アオヤマ。メッケモを使った、デパートのキャンペーン実施中。

157 :マンカイデンシ*サクラ◆l1l6Ur354A:2009/11/21(土) 17:52:14 ID:ziAyOJxZ0
Act.3 トリデ・カイザー

掃除をしながら、ハルは暗い顔をしていた。
並々ならぬ様子に心配するユーリや子ども達。真実を言えるはずも無いハルは適当な嘘を吐く。
午後五時。溜息と共にログインすると、ログが出迎える。早速現場へ向かおうとするログだが、ハルは乗り気ではない。
今回の相手も常習犯であり、その多数の被害者のいずれもが重症を負わされていたためだ。
自分がそんな相手に敵うわけが無いと弱音を吐くハルを半ば無視し、ログは問題のフィールドへと転移する。

転移先には今回の被害者であろう数名のアイコンと、犯人と思しき、古代エジプトのファラオを模した?アイコンがいた。
「砦カイザー・津田(以下、津田)」は、自作の「砦」を時間内に突破できた者に高額な賞金を出すと言う。
そして被害者の諾否を問わず、全員の装備ツールを強制的に変更、各々のスタート地点へと転移させてしまう。
それまでと異なる厳しい条件の中、ハルとログはサクラを使い突破していく。
途中、ゲームに負けた被害者の悲痛な笑い声(神経接続レベルMAXでくすぐり続けられている。フロンティア接続限界時間まで続く)が届き、
二人は改めて津田を止めることを決意する。

幾つかのフィールドを抜けハルは、オートマトンに囲まれたフィールドに出てしまう。
各被害者の様子を見ていた津田は、ハルの異常なクリアタイムから、不正を疑っていた。
津田はハルに、不正でない証明としてゲームオーバーになれと言う。
ゲームオーバーになってしまえばハルが罰ゲームの餌食になり、他の被害者達も救えない。
ハルはサクラに変身し、オートマトンを一掃する。
寸秒の間に全てを片付けたハルに恐れ戦く津田。ハルは津田を説得にかかるが、助けた被害者により横槍が入る。
それをきっかけとして逃亡を図る津田。巻き込まれる形で、全員が別のフィールドへと飛ばされる。

気付くと、全く整合性の無い混沌としたフィールドにいた。辺りにログの姿はなく、途方にくれるハル。
と、そこに彼は「砦忍者・山影(以下、山影)」と名乗る珍妙な忍者?アイコンが現れる。
彼は先ほどの一部始終を見ていたらしく、ハルの優しさと容姿に感動した旨と、この場からの脱出に協力する旨を申し出た。
濃密すぎるキャラクタと、少女と間違えられたことにやや引くハルだが、協力してくれるにこしたことはない。
特殊ツールを受け取ると、山影と共にフィールドを進み始める。

津田はピラミッドのようなフィールドの頂上にいた。ハルらの呼びかけに振り返ると、山影を見て酷く動揺する。
津田は幼い頃、とある人物の作った砦で遊び楽しんだ記憶から、彼に憧れて砦を作るようになったのだ。
山影は、それは別人のことだろうと言いながらも、津田の砦の過ちを指摘し、諭す。
時を同じくして、残りの被害者達が辿りつき始める。
無理矢理呼び込んだ筈の彼等が砦の解き方を楽しそうに議論する姿を見て、津田は自分の過ちを悟り出頭していった。


Act.3 余談
・山影はかつてゆがんだ魂を青き天使に救われた経験があるらしい。
・津田の憧れの人は、かつて逮捕されてフロンティアを去った、らしい。
・メッケモの作者の名前はメケモト。メケモトは現在山影と仕事をしている。

158 :マンカイデンシ*サクラ◆l1l6Ur354A:2009/11/21(土) 17:57:58 ID:ziAyOJxZ0
今回は以上で。

あと書き忘れの前提。
 ・書いていない専門用語のうち、置き換えられる用語であればそちらで表記する。
  (Ex.イントロン、アウトロン→ログイン、ログアウト)
 ・表記の関係上、後々面倒になるのでハルが変身中は「ハル(サクラ)」などと表記する。
 ・出来る限り文章を短くするために、多少情報が前後している箇所が有る。
 ・ギャグ部分は実際に遊ばないと分かりにくいと感じたのでかなり削った。
以上、把握した上でお願いします。
175 :マンカイデンシ*サクラ◆l1l6Ur354A:2009/11/25(水) 21:08:15 ID:PGnm50fE0
Act.4 バースト・リミット

ハルとログは、とある企業の研究施設に侵入していた。
その企業で製作されている強化オートマトンの暴走の原因を突き止め、止めるためである。
ハル達が制御装置を探して見つけたのはオートマトンだらけの部屋だった。
そして部屋の片隅には一人の有人アイコンが。彼は同社の強化オートマトンを作った研究者だった。
会社側の都合で心血を注いだオートマトンのデータを他社に売られ、それを恨みに事件を起こしたのだ。
制御装置はその部屋の強化オートマトン全て。ハルはサクラに変身する。

制御装置全てを破壊したことで、FSSらと一進一退を続けていた外のオートマトンも機能を停止した。
会社への抵抗手段を失った研究者は嘆くが、ハルとログは言う。
「誰かを守る物をもって誰かを傷付けるなら、僕らは何度でも破壊します。でも――」
「これだけのシステムを作ったあなたなら、もっと凄いシステムも作り出せるはずです」
崩れ落ち涙を零す研究者。ハルはそっと彼を立ち上がらせると、外へ促した。

ログアウトしたハルは、携帯端末に投影されたログに今回の報酬を伝えていた。
来年小学校に上がるケンタに専用のコネクターを。それだけを伝えるとあっという間に眠りに落ちたハル。
ログはそんなハルを優しく見守る。

ある夜。ハルは過去の夢を見る。それはハルにとって最も思い出したくない、辛い記憶だった。
孤児院に来る以前、ハルは著名な両親と暮らす裕福な家庭の子であった。
しかし著名ゆえにすれ違いを繰り返した両親は離婚。
精神を病んだ母はハルに虐待を加えるようになり、ついにハルを連れてフロンティアで心中を図る。
優しかった頃の母を覚えているがゆえに逃げられないハル。
それでも死が迫ったとき、ハルは恐怖から母を蹴り飛ばし逃げ出す。
だが母の腕が体から離れた瞬間ハルは我に返る。慌て、消えていく母へ腕を伸ばす。しかし――

一気に夢から覚め、ハルは泣き崩れる。
夜中ではあったが、気付いた神父とユーリがハルの部屋に来る。幸い子ども達は眠っているようだ。
二人の気遣いにハルは大丈夫だと返す。
――孤児院で過ごすうちに、ハルは徐々に悪夢から解放されつつあった。

一方、フロンティア。
「フロンティアのヒーロー」の話は徐々に広まり始めていた。
様々な事件の現場に現れては目にも留まらぬ早業で悪を退治する、青と桜の二つの姿を持つ少女。
現れたとき桜の花弁のエフェクトを舞い散らすことから、それは「サクラ」と呼ばれているという。
彼女に救われた人々の取材を行っていたいのせんと☆まぶだが、何故か懐かしさに似た不可解な感覚を覚えていた。
しかし悩んでいてもキリがない。まぶは「デゼナ・F・K 新アトラクション封切り」の取材へと向かう。
安心・安全のクリーンなイメージを持ちながら、何故か黒い噂の絶えないデゼナの裏を探るために。

176 :マンカイデンシ*サクラ◆l1l6Ur354A:2009/11/25(水) 21:09:26 ID:PGnm50fE0
その日の午後。
子ども達と百貨店に買い物に来ていたハルは、ログの呼び出しに従って、急遽近くのネットカフェからログインする。
急な呼び出しを謝罪するログを、ハルは事件は思った時に起こるものではないと慰める。
子ども達はバスを利用して教会へと向かっている。GPSの情報を確認し、ハルは安心して事件に向かう。

新アトラクションの封切りが行われる筈のデゼナ・F・Kでは再び事件が発生していた。
フィールドの制御を奪い、従業員を人質とした武装集団らは言う。
自分達の家族はデゼナの遊具事故に遭い重い障害を負ったが、
安全を謳うデゼナは事故を隠蔽し、取引や圧力で被害者らを黙らせようとしたのだ、と。
犯人側の要求はデゼナ側の、マスコミ各社へ向けた事件の公表と、全被害者への正当な賠償金の支払い。
要求が呑まれない場合は、従業員に安全装置を外したボムの威力を味あわせる――
いのせんと☆まぶもまた人質とされ、外部への放送に協力させられていた。

途中、逃亡してきたまぶを救助しながら順調にフィールドを進んだハルは、全ての犯人を撃破する。
犯罪は犯罪とはいえ、裏にある理由にハルはやりきれない心地になる。
しかし今回使われたボムは、安全装置付きとはいえ「アトラクションで使用される予定のもの」だった。
いずれ捜査のメスが入るだろう――そう言いかけて、突如ログの表情が変わる。機密通信が入ったからだ。
内容は、今回の事件はデカルツォという人物の焚き付けで発生したということ。
もう一つは、最後の人質は排除できない数のボムと共にいるということだった。
問題のエリアを発見し、設定を変えようとするハルを、それまで成り行きを見守っていたまぶが止める。
彼女はこのボムの仕掛けを知ったがために、消されそうになって逃げ出したのだ。
その仕掛けとは、犯人ら以外が設定を弄るとボムが破裂すること。
また主犯のログアウト後、ボムは自動でカウントダウンを始め、解除は犯人の持つコードキーでしか行えないということだった。
有無を言わさず全員を倒してしまったことを後悔するハル。同時にログは、何処かで見た状況に嫌なものを感じる。
それでもサクラの能力なら。そう判断したハルはサクラに変身する。
隠された意図を悟ったログの声が間に合うことは無く、刀を振りぬいたハル(サクラ)はそのまま意識を失った。

孤児院近くの脳病院。
カフェから運び込まれたハルは、まるで意識を取り戻さない。
連絡を受け駆けつけた神父達。心配する子ども達を宥めながら、意識の無いハルを見守っていた。

別の場所。
デカルツォの魂胆をギリギリまで見抜けなかった自分を後悔する「誰か」の心情。
ハルが運ばれたのはデカルツォの息のかかった病院。
ハルを助けたいという思いと裏腹に、己を取り巻く状況は非常に悪い。どうすれば……。「誰か」は悩み続ける。

 Act.4 余談
・買い物の最中、子ども達が「もし自分のアイコンを持てたら」という想像をする場面がある。
 ケンタは、アイコンを「異界戦隊ゴレイカー」風にしたいらしい。「『俺の左腕が暴れる!』みたいな!」

177 :マンカイデンシ*サクラ◆l1l6Ur354A:2009/11/25(水) 21:12:44 ID:PGnm50fE0
Act.5 エンド・オブ・アットホーム

意識を失って三日後の明け方。ハルは白い部屋のでインターホンのベルに叩き起こされる。
意識が途切れる前のことを思い出したハルは病院に居ることを悟るが、同時に周囲の様子がおかしいことにも気付く。
途端、廊下のスピーカーからログの声が響き、ハルにその部屋から脱出しろと言う。
何事か分からぬまま廊下に出たハルだが、途端に出くわした黒服サングラスの男がハルにスタンガンを向ける。
驚くハルの目の前で突然防火扉が閉まり、ログは改めてハルに脱出を急かす。……どうやらハルは先程の黒服に狙われているらしい。
セキュリティの一部を掌握しているらしいログは、ハルにコネクターと携帯端末を渡し完全な掌握を行わせ脱出を試みる。

一方、病院内、セキュリティルーム。
黒服達はハルに制御を奪われまいとするが、二人のコンビネーションには歯が立たない。
病院の外部は怪しげなタレコミを得たマスコミが取り囲んでおり、下手な行動は取れない。
黒服は教会の人間を人質にするため、準備していた人員を向かわせる。

まるで軍事施設のようなセキュリティを掻い潜り、ハルとログはお互いの絆を再確認する。
外部では相変わらずマスコミが情報を入手せんと張っており、病院の不審な状況に疑念を抱き始めていた。
…教会へ向かった黒服らは、泥棒と間違えられて近所の商店街らの人々に追い払われた。
全ての状況は、全てハルらに有利なように働いていた。

そして一階のセキュリティをも掌握したハルら。
途中ログが不可思議な発言をするが、緊急の状況であまり構う余裕は無かった。
デカルツォの指示により病院の放棄を決めた黒服らは、病院の一部を爆破してマスコミらを追い払おうとする。
ハルが入院しているはずの病院の爆発に、商店街に避難していた子ども達は不安を露にする。
泥棒が襲ってきたときから神父もユーリも姿が見えない。商店街の人々が二人を探してくれてはいるが、見つかる気配は無かった。
そしてついにデカルツォは、ハルからサクラを奪取するため動き出す。あまり使いたくなかった手段をもって。
アウトロンしたらそのまま外へ突っ切れというログに従い、駆け抜けるハル。
しかし向かっていた入り口から黒服が現れ、ハルは青褪める。と、その黒服の背後に現れた青年が黒服を気絶させる。
どうやら敵ではないようだが誰とも知らぬ相手に戸惑うハル。
青年は、君がサクラか?と問い、ここは自分がなんとかするから逃げろという。
何処か覚えのある雰囲気にハルは青年の正体を悟るが時間が無い。ハルはログに言われるまま裏口へと走りだす。

178 :マンカイデンシ*サクラ◆l1l6Ur354A:2009/11/25(水) 21:15:38 ID:PGnm50fE0
もう僅かで裏口に辿りつく。安堵しかけたハルの前に、裏口を抜けてアレックス神父が現れる。
心配して来てくれたのだろうかとも思ったが、今この場に留まる事は危険でしかない。
とにかくここから逃げましょうと言うハルに、しかし神父はハルに伝えることがあるという。
困惑するハルに、非常に落ち着いた声で神父は告げた。「ハル、君の母親を殺したのは、君だ」と。
呆然とするハルの心に、教会に来て忘れかけていた感情が溢れ出した。
ただ一人の息子を求めた母親を、恐怖から逃げて支えなかった自分。
そしてそのまま二度とフロンティアから戻らずに亡くなった母親。
自らの罪を思い出して傷付き、助けを求めるハルに、神父は尚も言葉を重ねる。
「君の母親を殺したのは、君だ」
優しく受け入れて、癒してくれた筈の神父からの冷酷な言葉に、ハルの精神は崩壊寸前の状態にに陥る。

そしてその瞬間、何故かハルの持つサクラが機能を停止してしまう。

残っていたらしい黒服が現れ、神父にサクラを奪取したことを告げる。
その言葉を聞いた神父は懐から拳銃を取り出し、ハルへと向ける。
過去の神父を知るがゆえに、目の前の現実を受け入れられず、逃げることも出来ずに立ち竦むハル。
神父が引鉄に指をかけた瞬間、その前に10歳くらいの少女が現れる。
神父をデカルツォと呼んだ少女――フランカは、サクラを壊されたくなければハルを見逃して、と神父を脅す。
そして同時に先ほどの青年が現れ、神父の銃を叩き落す。とっさに引き下がり逃れる神父。

フランカは、未だぼんやりとするハルに子ども達のことを思い出させて思考を取り戻させる。
「さよなら、ハル。ナビたちと仲良くね」フランカがそう言うと、神父はフランカを連れて閃光手榴弾を放った。
フランカはもしかしてログなのだろうか。光に呑まれながらログの名を叫ぶハル。その声に答える者は無かった。

 Act.5 余談
・ログのセクハラ発覚。ハル(サクラ)の元々短い裾の丈がだんだんと……。理由は「恥らうハル萌え」/(^o^)\

最終更新:2010年02月06日 23:39