アイドルマスター ディアリースターズ

part49-47~62,141,165,166


☆☆☆解説
  このゲームはアイドル視点で進行するアドベンチャーゲームです。
  主にオーディションの勝敗によってストーリーが分岐します。細かい条件は攻略サイトでも見てください。
  都合により勝たなければいけないオーディションで負けたりしていますがご了承下さい。


☆★☆ 水谷絵理(15)の場合

わたしの名前はELLIE。
住んでいるところは液晶の中。
だから、人と会うのも、話すのも、苦手。

わたしが好きなのは映像を撮ったり、編集したりすること。
わたし自身が出演している動画をネットで公開している。
いわゆる、ネットアイドル?
今週の動画ランキングでもまた1位、取れた。
…あ、サイネリア、入ってきた。
チャットウィンドウが開いて、サイネリアの姿が映った。
「先輩!おじゃまします」
サイネリアはネットアイドルの女の子。わたしのこと、先輩って呼ぶ。
ときどきこうやってボイスチャットしたりする仲。
「先輩の新作動画見ました!思ったんですけど、どうして動画に歌、入れないんですか?
 せっかくラブリンに撮れてるのに、もったいないですよ」
新作動画……わたしが音楽に合わせて踊ってるだけの動画。
歌、入れられるなら、入れてみたい。でも、歌なんて、歌えない。
しゃべるのも苦手なのに……。
ある日、そんなわたしに1通のメールが来た。そのメールから、少しずつ何かが変わり始めた。

「やっと会ってくれたわね。ありがとう」
わたしを呼び出したのは、プロデューサーの、尾崎玲子さん。
20代後半くらいの、綺麗な人だ。
「ネットの中だけでなく、外でアイドルやってみない?」
――でも、わたし、こわい。それに、歌えないし。
「歌えない、なんてことないわ。それに、こわくない。
 アイドル活動には、楽しいこともいっぱいよ。頑張ってみない?私と一緒に」
――うん。
「本当に?じゃあ、改めて、よろしくね。えっと…」
――わたしは、水谷絵理です。

尾崎さんは特定の事務所に所属しない、フリーのプロデューサーなんだって。
あ、プロデューサーのことを知らない人のために言っておくと、
プロデューサーっていうのは、付き人兼マネージャー兼コーチ?
とにかくプロデュースするアイドルに付きっ切りになるお仕事。
尾崎さんは、わたしを小さな雑居ビルの2階へ連れてきた。
ここが876(バンナム)プロ。わたしはここに所属することになる。
わたしは石川社長(なんと女性)に挨拶する。
そして、愛ちゃん、涼さんっていう2人の同期アイドルと会った。
これから3人で、がんばっていこうって、約束した。

こうしてわたしはリアルアイドルとしての道を歩き始めた。
デビューしたての今のわたしは、アイドルランクFから、スタート。
アイドルランクは、アイドルの人気のバロメーター。
ランクAで、トップアイドルになれる。
目指せ、ランクA?


★歌わないアイドル? (ランクF)

尾崎さんとミーティング。
「まず、歌えるようになることね。目標はオーディションに出ることよ。
どうにか歌えるようにんったら、エントリーしてあげる。
――本当に歌えるようになる?
「あなたは一人じゃない。私とチカラを合わせれば、きっとね」

それからわたしは、レッスンをしたり、尾崎さんに特訓してもらったりした。
そして今日は、お客さんのいないライブハウスで、実際に舞台に立つテストをする日。
お客さんがいないとはいえ、舞台に立つのは緊張する。
あがらないためには、失敗しても構わないと思うといいって、この前サイネリアに教えてもらったから、
それを実践してみることにする。
「さあ、絵理、歌ってみて」
尾崎さんにうながされて、わたしはアカペラで歌う。まだヘタだけど、最後まで歌うことができた。
「やったじゃない」
――うん。ネットの知り合いにいろいろ教えてもらって…。
「絵理、まだそんないかがわしい人たちと付き合ってたの?
 もうデビュー前とは違うんだから、一定の距離は保ってね?」
いかがわしいなんて、尾崎さん、ちょっとひどい?でも、それは言わずに、ただうなずくことにした。
「さあ、テストもうまくいったし、次は本番ね」

初めてのオーディション。今日は知らない人の前で歌を歌わなくちゃいけない。
「この前、上手に歌えたときの自然な心構え、忘れないようにね」
尾崎さんにはげまされ、審査員の前へ。
そして合格。グッジョブ、わたし。
「やったわね、絵理。立派だったわよ」
尾崎さんにほめられた。
その日のブログに、尾崎さんのこと、少し書いちゃった。
これくらい、いいよね?だって、うれしいから。


★販促、反則?セルフプロモーション(ランクE)

「絵理、困ったことになったわ」
尾崎さんが言うには、わたしのCDの売り上げ、よくないみたい。
「これは、プロモーション不足ね。頑張らないと、いいオーディションの出場枠が取れないわ」

家に帰って、わたしはネットショップをのぞいてみる。
わたしのCDには、レビュー、ついてない。
自分でレビューを書くことにした。自演、悲しいけど。
それから、巨大掲示板に行ってカキコミもした。

その数日後、尾崎さんがわたしに、うれしそうに言う。
「やったわ、絵理!オーディション、取れたわよ。
 最近、CDの売り上げが伸びてきたから、それが決め手になったみたい。
 でも、変ね?何で急にCDが売れるようになったのかしら」
ネットでの宣伝、効果あった?


★リアルで勝負!ネットアイドル・サイネリア(ランクE)

尾崎さんと一緒に、仕事場に行こうとしてる途中のことだった。
「先輩、見つけたっ!」
サイネリアと会った。サイネリアは今日もかわいい服を着ている。ゴスロリ?コスプレ?
尾崎さんが割って入ってきた。
「ちょっと絵理、この子、なんなの?」
――サイネリアっていう、ネットの友達、です。
わたしの言葉に、尾崎さんは眉をひそめる。
「先輩、アイドルなんて辞めて下さい!ネットに帰ってきてください」
そう言うサイネリアを尾崎さんが制する。
「そうはいかないわ。絵理はもう立派なアイドルなのよ」
サイネリアと尾崎さんは喧嘩を始めてしまった。
「わかりました。じゃあ、勝負しましょう」
「いいわ。アイドルのすごさを思い知らせてあげる」

いつの間にか、わたしとサイネリアが勝負することで話がまとまってしまっていた。
勝負の方法は、舞台でそれぞれ一曲ずつ歌って、会場のお客さんとネットで
どっちがいいか投票してもらう、という方法。
本当は、サイネリアと勝負なんかしたくないけど、尾崎さんが乗り気だから、仕方ない。
そして、勝負の日が来て、わたしは勝った。
どうして負けたのか納得がいかないサイネリアに、尾崎さんは言う。
「ステージはビジュアルだけの世界じゃないわ。あなたの表現は小さいのよ。
 それに、心が輝いてなければね。今の絵理は、持ち前のルックスに頼ったりはしていない」

サイネリア、ものすごく落ち込んでたけど、大丈夫かな…?
でも、その夜、チャットウィンドウに映ったサイネリアは、いつもの元気なサイネリアだった。
その立ち直りの早さ、ちょっとうらやましい?


★潜入・呪いの館(ランクD)

尾崎さんが、うれしそうにわたしに話しかける。
「絵理、仕事が入ったわ。TVのバラエティ番組のメインレポーターの仕事よ。
しかも、プライムタイムに全国放送」
今のわたしのアイドルランクを考えると、すごい仕事。
――すごい。なんでそんなすごい仕事…?
「それが、メインレポーターの子が急に病気になったらしくて。でも、ラッキーだわ」
――何をレポートするの?
「とある館に潜入して、その中を調べるの。
その館には、志半ばで自殺したアイドルの亡霊が出るらしいのよ」

撮影が始まった。涼さんがアシスタントとして呼ばれていて、一緒にお仕事することになった。
ちょっとうれしい。
今は誰も住んでない、ほこりが積もった館。
一通り見て回ると、誰かがいる気配がする。床をよく見てみると、足跡が見つかった。
わたしのも、涼さんのも、尾崎さんのも、スタッフさんのものとも違う靴?
間違いない。幽霊なんかじゃない。誰かが、いる。

最後の撮影に入る前に、電気街で赤外線センサーを買ってきた。
赤外線センサーと隠しカメラを組み合わせるようにセットして、最後の撮影が始まった。
今日こそ、幽霊の正体、突き止める…!
涼さんと尾崎さんが固唾を飲んで見守る中、赤外線センサーに反応があった。
隠しカメラには、長い髪の女の子の姿が映ってた。不鮮明だから、顔は判別できないけど。
赤外線センサーに反応したってことは、この子は実体がある普通の女の子。幽霊じゃ、ない?
たぶん、いたずらしようと思って入り込んだだけ?
でも、黙っていよう。番組は盛り上がったから。
今回は、面白い体験、した。こんな仕事もあるんだね。

その番組が放送された後、ブログにたくさんのコメントが投稿された。
ん、これは…?
次の日、尾崎さんにプリントアウトしたもの、渡す。
「何よこれ。『尾崎さん萌え~』『テラウツクシス』?」
――尾崎さんも、番組、映ってたから。ネットで大人気。
「冗談じゃないわ。これだからネットの人間って嫌いなのよ」
尾崎さんのネット嫌いって、どうしてなの、かな?


★アイドルの呪い?忍び寄る影(ランクC)

今日は、TV局主宰のパーティに来ている。
周りにはわたし以外のアイドルがたくさん。
TV局の局長の挨拶が始まる。
「それでは皆さん、アイドルアルティメイトの会場でお会いしましょう」
局長の挨拶は、こんな言葉で締めくくられた。
アイドルアルティメイトは、究極のアイドルを決める大会。出場するだけでも大変。
――尾崎さん、わたしも、アイドルアルティメイト、出れる?
横にいる尾崎さんに聞いてみる。
「出れる?じゃなくて、出てもらわなきゃダメよ。それが私の夢なんだから。
 アイドルアルティメイトに出るにはいくつか方法があるけど、
 あなたにはクラシックトーナメントに出てもらうわ」
アイドルクラシックトーナメントという、権威ある大会がある。
それに優勝してクラシックウィナーとなれば、アイドルアルティメイトに出れる。

ある日、事務所で。
「絵理、CMの仕事が2件、ダメになったわ」
エアコンのCMと、ピアノのCMの仕事が他のアイドルに行ってしまったと、尾崎さん、残念そう。
そのとき、突然電話がかかってきた。
「はい、はい。そうですか。ありがとうございます!」
電話を切った尾崎さん、うれしそう。
「さっきのCMの仕事、2件とも絵理に回ってきたわ!」
エアコンのCMの子は急に辞退し、ピアノのCMの子は事故に遭ったんだって。
なんか、怪しい?でも、もちろん、仕事は受けるけど。

それから数日後。社長が慌てたように、わたしに話しかける。
「妙な噂がたってるの。最近、あなたの競争相手が次々に不幸に見舞われてるわよね?
 ある人は、あなたの後ろに良からぬものが憑いてるんじゃないかって言うの。
 この前レポートした館の幽霊の呪いなんじゃないかって」
幽霊って…。あの女の子、赤外線センサーに反応する、生身の女の子なのに。非現実的?
――社長、わたし、調べてみる。本当にそれが呪いなのかどうか。

調査には、サイネリアに協力してもらうことにした。
仕事の合間をぬって、サイネリアと一緒に呪いの館へ。
その館の管理人のおじさんに話を聞く。
「ああ、自殺したアイドルがいたのは、近所の別の建物だよ」
おじさんに教えてもらったビル、それはあの765プロが入っているビルだった。
765プロの事務所には、有名アイドル、秋月律子さんがいた。
「えっ、うちの事務所で自殺したアイドル?そんなの、いるわけないでしょ。
 うちは芸能界でも一、二を争うお気楽事務所なんだから」
秋月さんの言うこと、もっとも。でも、このままじゃ、納得できない。
――あの、一つ、質問?この事務所には相当長い歴史が?
わたしの気持ちが伝わったのか、秋月さん、うなずいた。
「わかった。そこまで言うなら、調べといてあげるわ」


★囚われた過去の真実(ランクC)

「まずは、第一次予選を勝ち抜かないとね」
今度、クラシックトーナメントの一次予選がある。
外の世界、楽しい。外の世界を教えてくれた尾崎さんに、恩返し、したい。
だから、優勝、したい。
――うん!

そうだ、765プロ、行ってみよう。秋月さんに話を聞く。
「まず、結果から言うと、765プロは完全にシロ。自殺した子なんて、いなかったわ」
――じゃあ、呪いの話は、作り話?
「それがね、そうとも言えないの。私たちがここに来る前、別の事務所があったらしいの。
 その事務所、かなりヤバイ事務所だったみたいね。お坊ちゃま育ちの社長が、
 好き勝手やったせいで、信用をなくして倒産したらしいの。
 倒産寸前まで所属してたアイドルの名前は、riola(リオラ)」
――その、riolaが、自殺を?
「かも知れないわね。あまりにもマイナーなアイドルだったせいか、
 どこにも記録なんて残ってないし」
――ありがとうございました、秋月さん。おかげで、いろいろ、判明?
調べないと、riolaのこと。このままじゃ、わたし、安心して活動なんて、無理。

ある日のこと。涼さんから、会わせたい人がいるって、メールが来た。
待ち合わせ場所に行くと、そこには、涼さんと一緒に、髪の長い女の子が、いた。
この人は、確か…呪いの館の隠しカメラに映ってた…。この人が、riola?
「水谷絵理、あなたを、つぶす!」
彼女は、勝気な瞳をわたしに向けて、そう言った。
――あの、あなた、隠しカメラに映ってた、幽霊…?
わたしがそう言うと、涼さん、あわてて口をはさむ。
「違うよ~。この子、幽霊でもなんでもなくて、アイドルなんだ。
 今度のオーディションで、絵理ちゃんと当たることになったらしくて」
「桜井夢子よ。よろしく」
幽霊…じゃない?やっぱり、生身の女の子?涼さんの知り合い?
――じゃあ、あなた、riola?
「は?何言ってんの?知るわけないでしょ、そんな人」
――もうひとつ、質問。あなたが、わたしの周りに嫌がらせ、してる?
「考えればわかるでしょ?私がライバルのあなたの得になるようなこと、すると思う?」
――思わない。
夢子さんはきっぱりと否定した。
「まぁ、そういうわけだから。夢子ちゃん、勝負する前にあいさつしたかったんだってさ」
「勝っても負けても、恨みっこなしよ。それじゃあね」
――うん!
夢子さんは、呪いとは無関係ってことが、わかった。

わたしは、尾崎さんに相談してみることにした。
――尾崎さん、ちょっと相談が。riolaって引退したアイドルのこと、知りたいんだけど…。
「えっ、リオラ?何で、それを?」
わたしは、今までの事情、説明する。
「考えすぎじゃない?自殺したアイドルの呪いなんて、話を飛躍させすぎよ。
 でも、わかったわ。調べてみる。だから、あなたはレッスンと仕事に集中するのよ?」

その数日後。わたしは、尾崎さんに、喫茶店に呼び出された。
「絵理、今日はあなたに会わせたい人がいるの」
紹介されたのは、24、5歳くらいの、綺麗な女の人だった。
――まさか、riola?
「そうです。昔、その名前でアイドルしてきました」
――あの、自殺したのは、嘘?
「確かに私のアイドル活動はうまくいきませんでした。
 でも、自殺なんてしようと思ったことはありません。今では引退して、ごく普通に暮らしています」
――あの、ほかのアイドルを、恨んでない?
「そんな、他人を恨んだりしません」
riolaは自殺してないし、呪いなんて、なさそう。
「それでは、私は、そろそろ…。絵理さん、ご活躍をお祈りしています」
女の人は帰っていった。あの人がriola…。普通の、やさしそうな人だった。
あの人のこと、忘れない。riolaさんのぶんも、がんばろう。

riolaの正体もわかったことだし、秋月さんに報告しに行こう。
わたしは、サイネリアと一緒に、765プロへ行った。
「お姉ちゃん、遊ぼ~!何して遊ぶ?」
出迎えてくれたのは、有名アイドルの双海亜美ちゃんだった。
亜美ちゃんに秋月さんを呼んでもらう。
――わたし、riolaに会って来ました。
そう言うと、亜美ちゃん、横から口を出す。
「riola!?亜美ね、昔、見たことあるよ、デパートの屋上で。
 2人とも、やさしかったから、よく覚えてるよ」
「え、2人とも?」
「だって、riolaって、あのアイドルデュオのriolaだよね?」
riolaは2人組アイドル?帰って、尾崎さんに確認、してみないと…。
行こうとしたわたしたちを、秋月さんは呼び止める。
「待って。どうも何か臭うの。誰かが何かを隠しているような…。
 私たちだけで、調べましょう」
――サイネリア、わたしたちは、ネットで、調べましょう。
「了解です、先輩!」

数日後。モニターのチャットウィンドウに、サイネリアが現れる。
「先輩、ついにつかみました。riolaっていうアイドルデュオの正体!
1人の名前が、近藤聡美で、もう1人の名前が…尾崎玲子!」
えっ?尾崎さん…?
「掲示板の過去ログが見つかったんです。送りますから、読んでみてください」
送られてきた大量のテキストデータを、流し読みする。
『ケガレアイドル!どうせ社長とデキてんだろ、2人とも』
『とっとと消えろ、カス』
ひどい暴言の数々。たいして有名でもないのに、ここまで言われるなんて…。
尾崎さん、これが理由で、ネットが嫌いに?
「それでアタシ、思ったんですけど…呪いの正体って、尾崎じゃないんですか?
 自分がひどい目に遭ったから、成功しているほかのアイドル、逆恨みしてるのかも」
サイネリアの言うとおりだとすると、辻褄は合う。でも、どうして、嘘、つくの…?
「とにかく、この件はしばらくナイショにしておきましょう。
 もし、尾崎が犯人なら、また何かやるはずです。その現場を押さえましょう」
――今度のオーディション、何か仕掛けてくるとしたら、いい機会?

そして、オーディション…クラシックトーナメントの一次予選の日。
今日、尾崎さんは、営業回りするって言うから、別々に会場入りすることになった。
わたしは、サイネリアと一緒に、会場に行くことになった。
まだ早い時間だから、誰もいない…かと思いきや、尾崎さん、照明のところにいた。
――尾崎さん!何してるの、こんなところで。営業に行っているはずじゃ?
尾崎さん、何も答えない。たたみかけるように、サイネリアが言う。
「ねぇ、アンタ、riolaなんでしょ?先輩に嘘ついたんでしょ?
 呪いの正体は、アンタなんでしょ?先輩の敵を、影からつぶしてきたんでしょ!」
「そ、そんなこと、してないわ!私は、見張っていたの。
 案の定、照明のいくつかがおかしくなってたの」
尾崎さんは否定する。
「絵理、信じて。私は何もしていない」
――わかった。わたしは、尾崎さんを、信じる。
尾崎さんが嘘をついていたのも、きっと、何か理由があるはず。話してもらえるまで、待とう…。

一次予選に合格、した。いろいろあって、頭の中、混乱してたけど、なんとかまとめきった。
「いいステージだったわ。次は、二次予選ね。
 絵理、信じてくれて、ありがとう。私は確信したわ。何かがある!
 何者かが暗躍していることは、確かよ。決して気のせいや偶然なんかじゃない。
 誰かがあなたの周りのアイドルに危害を加えようとしている。
 一緒に、正体を突き止めましょう」
――尾崎さんと、わたしの夢、誰にも邪魔させない?
「そう、その通りよ」


★過去からの新生(ランクB)

二次予選で、あの亜美ちゃんと当たることになった。
あの子とオーディションで対決することになるなんて…運命のイタズラ?
765プロに、あいさつ、しとこう。
「あの~、お姉ちゃん、誰だっけ?」
出てきた亜美ちゃんは、首をかしげる。もしかして、わたしのこと、忘れちゃった?
しばらくして、奥から亜美ちゃんがもうひとり、やってきた?
「実は、亜美たち双子なの」
亜美ちゃんと真美ちゃんと2人で、かわりばんこでアイドルしている、らしい。
双子だからできる、コンビプレー?この2人が相手…今のままで、勝てる?

――尾崎さん、riola時代のこと、ずっと話してくれないの?
話してくれるまで待つつもりだったけど、ついに、言っちゃった。
「話すまでもない、つまらない話よ?」
――それでも、聞かせてほしい。尾崎さんのことなら。
尾崎さんは話しはじめた。前に秋月さんに聞いたとおりに、
お坊ちゃま育ちで、世間知らずな社長のために、事務所の経営は悪化し、
riolaもぜんぜん売れなかったみたい。
「でも、社長は改心していたのよ。でも、周りの人は許さなかった。
 ネットでの根拠のない風評…そして、私たちは、引退に追いやられた」
あ、わかった!
――犯人は、わたしじゃなくて、尾崎さんを助けようとしている?
「そんなこと、あるはずがないわ!」
――でも、可能性としては、ある?たとえば、その事務所の社長さん?
  今でも申し訳なく思ってるとか?…尾崎さん、その社長さんは、今、どこに?
「それが、行方不明なのよ。あの人は、私に何も残してくれなかった。
 連絡先も、何もかも。残してくれたものは、たったひとつだけ。今も、大切に持ってるわ。
 ほら、これよ」
尾崎さんは、文字が書かれた紙を、わたしに差し出した。
――『予知夢へと その向こう側へ抜けて』…不思議な文章。
  これって、もしかして、歌詞?
「そうよ。私はこの歌で、アイドルとしての最後の勝負をかけるはずだったの。
でも、社長の悪いイメージのせいで、どの作曲家にも断られてしまって、まだ曲もついてないの」
  ♪予知夢へと その向こう側へ抜けて
   弾けて消えた不安は捨てて
   流れてく時間も置き去りにして
わたしは、即興でメロディーを作って、歌ってみた。
――こんな感じ?
「あなた、もしかして、作曲の経験あるの?」
――少し。ネットで流してるムービーの曲、自分で打ち込んだりしてたし。
「ねぇ、絵理、出来ればあなたに歌ってほしい。私の最後の夢、受け継いでほしいの」
――わかった、それじゃ、曲、つけてみる!

それからわたしは、何日もスタジオに閉じこもって、曲を作った。
尾崎さんも付き合ってくれている。
この歌詞と、わたしの声質をいかせる、オリジナリティの高い世界。
それを生み出せないと、わたしたちの曲って言えない。だから、手は抜けない。
そして、ついに曲が完成した。
「絵理、あなたにタイトルを決めてほしいの」
――じゃあ、こんなのは?『プリコグ』。
プリコグ…precognitionの略。
――予知夢、っていう意味。歌詞の一部から持ってきた。
「そう、予知夢…いいわね」
尾崎さん、気に入ってくれたみたい。
「その歌は、あなたに歌ってもらうって、あらかじめ運命で決まっていたのかしら」
――うん、きっと。

二次予選、亜美ちゃんと対決の日。わたしは『プリコグ』で挑む。
  ♪ずっと憧れた ずっと探してた ずっと隠れてた 胸の奥に
   やっと開けてみた きっと知っていた ちゃんとはじめから決まってたと
   溢れてこぼれだした匣の外 遠い昔の夢が虹色
歌いきれた!わたし、ちゃんと。弾むようなリズム…これが、この曲の魅力…。
そして、亜美ちゃんに、勝てた。
――あ、尾崎さん!聞いてくれた?『プリコグ』。
「ええ、聞かせてもらったわ。今でも、音が耳の中で跳ねてるよう。
 あの人が書いた歌詞が、絵理の曲にのって、こんな素晴らしい歌に…。
 今の気持ち、とても言葉にならないわ」


★望みと願い(ランクA)

クラシックトーナメントの決勝で当たるのは、有名アイドルの水瀬伊織さん。
「あなたのアイドル、水瀬伊織ちゃんでーす!」
ファンに対してはこんな感じ。でも…。
「まぁ、アンタなんか、この私がブチのめしちゃうけど。にひひ♪」
わたしに対しては、こう。さっきと性格、違う?
妨害を受けるかもしれないから、気をつけて、って言ったら…。
「協力して、犯人、捕まえちゃいましょ?面白くなってきたわ」
犯人をおびき出して捕まえるために、伊織さん、ファンイベントを開くって。

ファンイベントには、大勢のお客さんが集まった。たった数日でこれだけ出来るって、
伊織さんってすごいアイドル?
わたしはゲストとして呼ばれた、という設定。
「ここで、絵理ちゃんと伊織の歌合戦タ~イム♪」
伊織さんとわたしが勝負することになると、舞台そでの方から物音が聞こえる。
もしかして、犯人?伊織さんの号令の下、警備員が怪しい男を捕まえた。

「あいつの正体がわかったわ」
数日後、わたしと尾崎さんは、伊織さんの話を聞く。
「あいつは単なるトカゲの尻尾で、命令を出してる奴が別にいるわ。
 命令を出しているのは、アイドルクラシックトーナメントの主催者のひとり、
 TV局の五十嵐局長よ」
「そう、あの人が。やっぱり…」
尾崎さんは目をふせる。
「絵理、これから、局長室へ乗り込むわよ!」
――尾崎さんは?
「私はいいわ。すべてわかったの。この事件のカラクリが、全て」
わたしと伊織さんは、局長室へ。
「いたわね、五十嵐局長!アンタ、いったい、どういうつもり?」
局長は、話しはじめる。
「そうです。私が部下に指示してやらせてました。私なりの罪滅ぼしのつもりだったんです。
 あなたのプロデューサーである、尾崎玲子さんへのね」
えっ、尾崎さんへ?
「尾崎さんは、うちの息子がさんざん迷惑をかけていました。私が甘やかして育てたのが原因で、
 息子の悪評は高まる一方…」
――あっ、それじゃ、尾崎さんがいた事務所の社長って…。
「そうです、私の息子、雄太です」
――そんなこと、しなくても、よかったのに。そんなことしなくても、わたしたち、
  自分のチカラで、成功できた。ただ、見ていてくれれば、それでよかったのに…。
「そうですね。結局私は、間違っていました。でも、これだけはわかってください。
 私は、ただ、つぐないをしたかっただけなのだと…」

局長室を出たわたしは、悲しい気持ちで尾崎さんの元へ戻る。
「話、聞いてきた?」
――うん。
「これで、わかったでしょ?…これは、呪いよ!呪いの正体は私よ!
 私は、側にいる人を不幸にしてしまう」
――尾崎さん!そんなことない。
「ううん。私がいるかぎり、あなたは上には行けないわ。
 お別れしましょう。私のことは忘れて…」
尾崎さんは駆け去っていく。目には涙が光っていた。

それ以来、尾崎さんと連絡が取れなくなってしまった。
わたしはサイネリアに相談してみた。
サイネリアは、ブログで情報提供を呼びかけたらどうか、ってアドバイス、してくれた。
そして…。
夕方、デパートの屋上で見た、という情報を元に、行ってみると…いた、尾崎さん。
――尾崎さん!
「絵理…ここはね、私がriola時代によく営業に来ていた、思い出の場所なの。
 それより、どうして、ここが?」
――ネットの、情報。
「そんな、ネットの…?」
――ネットの信者さんが心配してくれて、こうやってわたしたちを会わせてくれた。
  呪いなんて、絶対にないから、戻ってきても大丈夫。
「でも、私は、戻るつもりはないわ」
――わかった。それなら、最後の手段。
  わたし、ひとりでアイドルクラシックトーナメントの決勝の舞台に立つ。
  それで、伊織さんに勝ってみせる。優勝したら、戻ってきてくれる?
尾崎さん、うなずいた。

ついに、決勝。わたしは、尾崎さんへの想いを込めて、『プリコグ』を歌う。
  ♪鏡の中にはもう映らない
   昨日までの自分とサヨナラ
   陽光(ひかり)を浴びてトロけるみたい
   予知夢へと その向こう側へと
   誰も知らない場所を目指して
   脱ぎ捨てた全てを置き去りにして
そして、優勝、できた。これで、尾崎さんを堂々と迎えに行ける!

わたしは、優勝トロフィーを持って、デパートの屋上へ行った。
「見てたわよ。本当に大きくなったわね、絵理」
――うん。尾崎さんのおかげ。だから、戻ってきてくれるんだよね?
「気持ちはうれしいけど、ここまでにしましょう。あなたに私がついていても、
 もうこの先、出来ることは何もないわ」
――道具…だったの?アイドルクラシックトーナメント、尾崎さんの夢…。
  わたしは、それを叶えるための道具だったんだね…。
なんだか、怒りがわき上がってきた。
――ふざけないで!わたし、こんな思いするために、がんばってきたんじゃない!
  外の世界に出て、歌えなかった歌、歌えるようになって、ステージに立って、
  がんばって、自分の壁、越えてきた。
  それ、全部、ここでさよならするためだったの?
  こんなことなら、ずっと外になんか出なければよかった!
  いいよ、そんなに行きたいなら、もう行って…。
「私は、あなたの今後のために…」
――尾崎さん、わかってない!わたしの気持ち。
  トップアイドルになれれば、みんな幸せなの?わたしにとっては、違う。
  孤独なトップアイドルなんて、昔と変わらない。
  誰かがいるから、がんばれる。ただ、それだけなの!
「行くわけないでしょ。離れたくない。ずっとあなたのことを考えてたのに。
 そこまで言われて、行けるわけないじゃない!
 …いいのね?あなたの可能性を狭めることになっても、責任なんて取れないんだから」
わたしは、最大級の肯定を返す。
――うん!

夢を見ることは、楽しい。でも、ひとりで見る夢は、どこか、はかなくて…。
誰かと見る夢だからこそ、わたしは微笑むことができる。
ネットとリアル、わたしにとって別々だった世界は、ひとつにつながり、
さらに輪は広がっていく。
より大きな喜びを紡ぎ出すために、さあ、手を伸ばそう。
尾崎さんがしてくれたように、こんどは、わたしが!
――尾崎さん、ずっと、がんばろ?わたしと一緒に!

Fin


☆片翼の天使(ランクB)
 (『★過去からの新生』で、オーディションに負ける)

「今のタイミングで、新曲なんて無謀すぎたのよ」
尾崎さん、残念そう。
「あなたにとって、私は足手まとい。勝手な夢を押し付けたりして、ごめんなさい」

あれから、尾崎さんと連絡が取れない。
待つこと数ヶ月。とうとう尾崎さんは帰ってこなかった。
そして、早くも半年が過ぎようとしている。
今、わたしにはサイネリアが付き人としてついてくれている。
仕事も、選り好みせず、いろんなことをやるようになった。
小説を書いたり、ブランドをプロデュースしたり。いわゆる、マルチアーティスト?
アイドルをやめて、プロデューサーになって、サイネリアをプロデュースするのもいいかも?

天使は、片翼を失ってもなお、のびのびと大空を羽ばたく。

Fin



☆★☆ 秋月涼(15)の場合

ある日の、高校の放課後のことだった。
「なあ、秋月、話があるんだけど…」
僕は男子生徒に呼び止められた。
「オレの彼女になってくれ!ってか、お前、本当は女なんだろ?」
――ええっ!僕は男だよー!
ソッコーで学校から逃げ出した。まただ。また男にコクられちゃった。
やっぱり、このまんまじゃダメだ。
よーし、今日こそ、ずっと考えてたアレ、実行するぞー!

というわけで、僕は765プロへとやってきた。
ここには僕の従姉妹の、有名アイドルの律子姉ちゃんがいるんだ。
――ねえ、律子姉ちゃん、僕も律子姉ちゃんみたく、アイドルになりたい!
  僕、イケメンになりたいんだ。
「無理言わないで。そんなナヨナヨなルックスでイケメンになれるわけないでしょ」
律子姉ちゃんはそう言うけど、ここで引き下がるわけにはいかない。
「わかったわ。うちの事務所じゃダメだけど、なんとかしてくれそうなところ、紹介してあげる」

律子姉ちゃんの紹介で、僕は876プロに所属させてもらうことになったけど…。
「女の子アイドルとしてデビューしなさい。それが出来ないなら、うちには置けません」
社長はそう言った。そんな、僕はイケメンになりたいのに。
「どうしても男の子でデビューしたいなら、女の子として成功してみせなさい。
 女の子アイドルとして成功出来たら、男の子へのコンバート、手伝ってあげるわ」

こうして僕…秋月涼は、女の子アイドルとしてデビューすることになった。
すごく不安だけど、いつかイケメンになるためだ!頑張ろー!


★掟破りのデビュー(ランクF)

僕は女の子の格好をする。スカートをはいて、胸にはパットを入れて…。
下着まで女の子の物だ。
お仕事中はもちろん、事務所の中でも女の子として振舞う。
僕が男だって知ってるのは、社長と、まなみさんっていうマネージャーだけ。
僕と同期のアイドルの、愛ちゃんと絵理ちゃんも、僕のこと女の子だって思ってる。

「涼、あなたがまずすることは、女装に慣れること。
 そして、新人オーディションに合格することよ」
社長の言いつけに従って、僕はまず、女装したままで近所を散歩することになった。
歩くとスースーするし、こすれるし、変な感じだ。
それから、女の子らしい話し方をするよう気をつける。
一番抵抗があったのが、女子トイレに入ることだ。
そしてついに、水着を着てプールに行くことに…。
僕が着てる水着はもちろん女物だけど、スカート付きだから一応、前は大丈夫。
よし、これで度胸はついた。次はオーディションだ!

歌とダンスのレッスンを積み重ねて、オーディションに合格することができた。
「おめでとう、涼。これで新人は卒業。今日から一人前のアイドルよ」
事務所に帰ると、社長がほめてくれた。


★仲間?ライバル?同期と勝負(ランクE)

「とあるTV番組の出演枠を1人分だけもらったの。3人で勝負して、
 勝った子に出てもらうわ」
社長がそう言った。同期の愛ちゃん、絵理ちゃんとオーディションで勝負することになった。
一緒に頑張ろうって、仲間だって思ってたのに、勝負することになるなんて。
でも、イケメンになるためには、逃げずに正々堂々と勝負して、勝ちたい。
今の僕じゃ、女の子に化けるのに精一杯で、とても2人に勝てそうにない。

僕は律子姉ちゃんに相談してみることにした。すると、律子姉ちゃんから謎のメールが届いた。
『私は無理。PM2:00 町外れの神社。半休暇中だから、手伝ってくれるかも?』
メールの通りに神社に行くと…。
「やあ、おはよう。キミが涼?律子から話は聞いてるよ」
そこにいたのは、人気アイドルの菊地真(まこと)さんだった。
話は聞いてるって言っても、僕が男だっていうことは知らないみたいだけど。
こうして、律子姉ちゃんのかわりに、真さんが僕を特訓してくれることになった。

人目を避けるように、夜に真さんと一緒にランニングしたりする。
真さんはボーイッシュな外見で、男と間違われることもあるけど、
本当は女の子らしくなりたいと思っている人だ。ある意味、僕とは逆だ。
そんな真さんとふとした拍子に手が触れたりすると、思わずドキッとしてしまう。
真さんは女の子なんだと強く意識してしまう。落ち着け、今の僕は女の子なんだ!
そんな僕に、真さんは言う。
「涼、そんなに気負うことはないよ。仕事やレッスンを続けているうちに、
 身も心もだんだんアイドルになっていくんだ」
――身も心も…。いつか、私も?
「うん、きっとね」

そんなある日のこと。ゴシップ誌に真さんの記事が載った。
『あの菊地真、駆け出しアイドルを引っ掛け夜のラブラブデート!』
見出しはこんな感じ。駆け出しアイドルって…僕のことだ。
「涼、ボクたちには、やましいことは何もない。堂々と胸を張っていればいいんだ」
一番やましいのは僕の心の中です。ごめんなさい。
こうして僕と真さんは記者会見を開くことになった。
僕の前にいる大勢の記者たち。緊張したけどなんとか釈明することができた。
「どうだい、度胸がついただろ。これでオーディションもバッチリだよ」

そしてオーディションの日。会場に真さんが来てくれた。
「涼、怖がらないで。勝っても負けても、仲間は仲間だ。何もなくすものなんてあるもんか。
 それだけはボクが保証する。だから、行ってこいって!」
真さんの励ましのおかげか、僕は勝って、番組に出演することになった。

収録が終わった後のこと。
――もう行っちゃうんですか?
「そんな顔するなよ。アイドル続けてる限り、またどこかで会えるって」
真さんは去っていった。
真さんが一瞬だけ見せてくれた、雲の上の世界。
いつか僕も、そこにたどり着けるかな。もし、たどり着けたら…。


★小さな騎士様(ランクE)

最近、僕の追っかけ…もとい、ストーカーをしてる男の人がいるらしい。
「身の回りには気をつけなさいね、涼」
社長に注意された。それを聞いていた愛ちゃんが言う。
「あの、あたし、ボディーガードします!涼さんの学校まで迎えに行きます!」
ええっ?それは困る。学校を出て、事務所に行く前にどこかで着替えをしなきゃいけないのに。
断ろうとしたけど、断り切れなかった…。

ある日の放課後、僕が校門を出ると、怪しい男の姿が見えた。あれが僕の追っかけ?
でも、今は男の子の格好だから、僕が涼だって気がついてないみたい。
とそのとき、愛ちゃんがやってきた。本当に学校に来ちゃったよ…。
「あなたが涼さんを狙う犯人ですねっ!」
――ちょっと待って、僕は何も…!
「問答無用!待てーっ!」
僕は逃げ出した。愛ちゃんはしばらく追いかけてきたけど、なんとか振り切った。

その数日後。まなみさんがついに追っかけの男の人を特定して、呼び出した。
僕は女の子の格好をして、追っかけの男の人に、ストーカーしないように説得する。
――あのね、あの学校には、私と同姓同名の人がいるだけで、私は通ってないから。
  他の人に迷惑がかかるから、もう行かないでね。
「うん、わかった。涼ちゃんがそう言うなら…」
男の人はもうストーカーはしないと約束してくれた。これで問題解決、だよね。

そのまた数日後。
――うわっ、愛ちゃん?
愛ちゃんはまた学校に来ていた。
「また現れたな、ストーカーめ!」
愛ちゃんは、すっかり僕をストーカーだと思い込んでいる。ここは何かうまい言い訳を…。
――ごめんなさい。実は僕、秋月涼の生き別れの弟なんです。
「そういえば、よく見ると似てますね…。わかりました。信じてあげます。
 あたしってば、事情も知らずに…ごめんなさい」
あーあ。つきたくないのに、嘘が増えてくよ…。

その後、着替えた僕は事務所に行った。
「涼さん、ストーカーの正体なんですけど、弟さんでした」
苦しい嘘だと思ったけど、愛ちゃんは信じているらしい。
――そう。あの子も元気でいるのね。
「あの、あたし、少しは涼さんのお役にたてましたか?」
――そうだね。愛ちゃんは今回、小さな騎士さまだったね。
「よかった~。涼さんを守れて。これからも、一緒に頑張りましょうね!」


★ドキドキ?キュートなライバル登場(ランクD)

僕は今、オーディションの説明会に来ている。
最近ランクアップしたし、今回は、少し規模が大きなオーディションを受けてみることにした。
「審査は3回に分けて行います。それでは、今日は解散」
解散になったあと、僕は女の子に呼び止められた。
「あの、秋月涼さんですか?」
髪が長くて、けっこうかわいい子だ。
「私、今回同じオーディションを受けさせてもらうことになりました、
 桜井夢子って言います」
僕は夢子ちゃんとしばらく話した後、アドレスを交換して別れた。

『秋月さん、さっそくメールしちゃいました。聞きました?
 第一次審査の会場、変更になったって』
数日後、夢子ちゃんからメールが来た。教えてくれてありがとう、と返信しておく。
そして第一次審査の日。夢子ちゃんが教えてくれた場所に行ってみるとそこは…神社?
夢子ちゃん、間違ったのかな…。
少し遅刻してしまったけど、第一次審査は合格することができた。
「秋月さん、すみません。私、なんか勘違いしちゃって…」
夢子ちゃんがそう言って僕に頭を下げる。
――夢子ちゃん、気にしないで。それより、次、がんばろ?2人とも合格できたんだし。

そして二次審査はダンス。
「ここの床、滑りやすくて。これ、シューズに塗っとくといいですよ」
夢子ちゃんは僕に何かを差し出す。
――これ、何?
「滑り止めです」
――ありがとう。じゃあ、もらうね。
僕の番がやってきて、審査員の前でダンスを披露…するんだけど、あれ?おかしいな?
こうなったら、乱暴だけど、シューズを脱ぐしか!
とっさの機転で、最下位だったけどなんとか合格した。
――夢子ちゃん、その、説明してくれる?あの滑り止め使ったら、
  余計に滑りやすくなった気がしたんだけど…。
「フフッ、まだ気づかないの?決まってるでしょ。わざと転ばせようとしたの」
まさか、そんな…。
――じゃあ、前回のときも?
「もちろん、遅刻させるために仕組んだに決まってるでしょ。
 でも、悪いのはあなたよ。この世界、油断するほうが悪いの」
――始めからだます目的で、私に近づいたの?ひどいよ、夢子ちゃん。信じてたのに…。

数日後のこと。
「聞いてきたわよ、桜井夢子のこと」
社長が言うには、夢子ちゃんは勝つためなら手段は選ばない子なんだって。
ライバルを蹴落とすために、他にも嫌がらせを何回かやったことがあるらしい。
――僕、夢子ちゃんに言ってみます。もう他人の足を引っ張るのはやめて、って。

最終審査の日がやってきた。審査の前に、夢子ちゃんと話すことにした。
――聞いたよ。嫌がらせ、他にもしたこと、あるんだってね。
  ねぇ、夢子ちゃん、そういうのやめにしない?
  人の邪魔するんじゃなくて、自分で努力すべきだと思うんだ。
「私はね、夢があるの。その夢のためなら手段は選ばないわ」
――どんな夢?
「『オールド・ホイッスル』よ。知ってるでしょ?」
昔からやってる、有名な歌番組だ。オールド・ホイッスルに出るには、
知名度はもちろん、相当の実力がないとダメだって聞いたことがある。
「私は、それに出たいの。小さい頃からの夢だから、叶えるためなら、何でもする」
夢か。僕の夢は…イケメンになるために女の子アイドルとして成功すること。
イケメンになるなんて、夢子ちゃんのそれに比べたらちっぽけな夢だ。
でも、たとえちっちゃな夢しかない僕でも、ズルする夢子ちゃんには負けたくない!

そして、僕は夢子ちゃんに勝った。
「そんなバカな。私がこんな子に後れを取るなんて…」
――あのね、夢子ちゃん。私、今まで、受け身だった。
  もっと自分から積極的にいかなきゃって、思った。
  それを気付かせてくれて、ありがとう。出会えてよかった。
夢子ちゃんはそっぽを向く。
「何よ、もう…。次会うときはおぼえてらっしゃい!」
新しいライバルが1人、現れた。
僕も夢子ちゃんに負けない、大きな夢を持ったアイドルにならないと、な。


★試される心・チャンスをつかめ(ランクC)

女の子アイドルとして順調に成功して、ランクCになった僕だけど…。
毎日仕事に追われているうちに、本当の僕が飲まれちゃうんじゃないか、と思う。
そんなあるとき、TV局のロビーで、夢子ちゃんとバッタリ会った。
「あなた、まだ芸能界に残ってたのね」
――久しぶりに会って、いきなりそれはないんじゃない?
立ち話していると、男の人の声がする。
「君たち、ロビーの真ん中で、邪魔だ。どいてくれないか?」
僕と夢子ちゃんは声の方を向く。30代くらいのイケメンが、立っていた。
どこかで見たことあるぞ?
「あ、あなたは…!」
夢子ちゃんはイケメンを見て驚いている。あっ、まさか…。
――オールド・ホイッスルのプロデューサーの、武田蒼一さん…?
「そう、僕だ」
やっぱり!
「あの、私、桜井夢子って言います。こうしてお目にかかれて光栄です」
「君たち2人のことは知ってるよ。君たちの歌も聴かせてもらってる」
夢子ちゃんはとてもうれしそうだ。この人のこと、尊敬してるんだな…。
「あの、一度、音楽についてお話しませんか?私にぜひアドバイスを…」
夢子ちゃんはここぞとばかりに、武田さんにアピールしている。
「いいよ。それじゃあ今度、時間があるときにでも。また会おう、桜井くん、秋月くん」
「は、はい」
武田さんが行ってしまった後、しばらく夢子ちゃんはボーっとしていた。
武田蒼一さんって、いったいどんな人なんだろう。

数日後、僕と夢子ちゃんは武田さんに招待された。
そこはTV局の、武田さん専用の部屋だった。
「よく来たね、2人とも。実は、最近気になっていることがあってね。
 流行の歌の偏りについてだ。ヒットチャートには、宣伝費をかけた歌だけが並んでいる。
 誰もが愛する歌というものは、いつの間にかなくなってしまった」
「そういう流行に流されない歌を取り上げるのが、オールド・ホイッスルなんですよね」
「そうだ。僕は、愛されるのならば、歌のジャンルなんて何でもかまわないと思ってる。
 たとえアニメソングやアイドルソングであってもね。歌にとっての悲劇は、
 歌われなくなることだ」
武田さんの言ってることは、僕にもよくわかる。
夢子ちゃんはまたしても武田さんに猛プッシュをかける。
「あの、私、自分の歌でオールド・ホイッスルに出てみたいかな、って」
「可能性がないではない、けど、まだ時期尚早かな。君に足りないのは、
 実力ではなく、心だ。歌うことを楽しむ心、歌を聞く人を楽しませたいという心。
 いつだって、一流と二流の差は、思いの強さだ」
夢子ちゃんは少し落ち込んだみたいだ。武田さんは話を続ける。
「君たちにチャンスを与えよう。とある歌手と一緒に仕事をしてみるといい。
 そして、同じオーディションに出るんだ」

というわけで、武田さんの紹介で、僕と夢子ちゃんは野外ライブ会場へ行った。
「こんにちはー!高槻やよいでーす!」
人気アイドルのやよいさんは、小さい体でステージの上を縦横無尽に駆け回る。
なんて元気な人なんだろう。僕たちも飛び入りで歌うことになってしまった。
「楽しかったね、涼ちゃん!ハイ、ターッチ!いぇい!お疲れ様でしたー」
ライブが終わった後も、やよいさんはちっとも疲れてないみたいだ。
この人、どこまですごいんだろう。

僕たちはやよいさんの家に招かれることになった。
「いらっしゃーい!涼ちゃん、夢子ちゃん!」
そこで僕たちは、やよいさんが家族のためにアイドルやっていることを聞いた。
帰り道、僕と夢子ちゃんは、とぼとぼと歩く。
――やよいさんは、いろんなものを背負ってるから、きっと強いんだろうね。
「ちっぽけよね、私たちは。やよい先輩の半分の覚悟もできてない」
――でも、追いかけていこうよ。だって、私たち、後輩なんだし。

そしてオーディション。僕たちは、やよいさんにはかなわなかった。
オーディションを見に来ていた武田さんは言う。
「残念だったね、2人とも。どうかな?高槻くんと同じステージに立って、
 学んだもの、あったかな?
 男は、敗戦から何かを学んで、強くなっていくものだ」
えっ、男、って…?


★玉砕覚悟!?新しい力を手に入れろ(ランクC)

「久しぶりね、秋月涼」
夢子ちゃんと会った。
「まぁ、聞きなさい。私、オールド・ホイッスルに出られるかもしれないわ。
 この前、武田さんに会って、聞いたわ。次のオーディションに勝てたら、
 オールド・ホイッスルのこと、検討してくれるって!
 そうすれば、お姉さまも喜んでくれるわ!」
夢子ちゃんはうれしそうに去っていった。夢子ちゃん、すごいなー。
ところで、お姉さまって誰だろう?
って、そんなことより、僕も夢に向かって、がんばらないと。
「あなたの次の相手、かなりの強敵よ。
 脅威の歌唱力で人をうならせ、感動させ続けてきたアイドル、如月千早よ」
社長からそう聞かされた。

その数日後、武田さんから、千早さんのライブに誘われた。
行ってみて、千早さんの力量に圧倒されてしまった。
なんで、こんな難しい歌を、やすやすと歌えるんだ?
ライブが終わってから、武田さんと一緒に、楽屋に行って、千早さんにあいさつした。
「あの、武田さん、例の件、考えてくれました?」
千早さんは武田さんに言った。
「いや、君にふさわしいものはとても…」
世間にはあんまり知られていないみたいだけど、武田さんは曲を作ったりもするんだって。
それで、千早さんは武田さんに曲を作ってもらうように頼んでいたらしい。
「単純なメロディーの積み重ねが、素晴らしいハーモニーを生み出す。
 武田さんの曲は、まるで魔法のようです」
「僕はただ、聞きやすい曲を作っているだけだよ」
武田さんは謙遜してそう言う。僕も武田さんがどんな曲を作るのか、いつか聞いてみたいな。
「今日はどうだったかな」
帰り道、武田さんは僕にたずねた。
――差を感じちゃいました。
「でも、絶望することはない。君のほうが勝っているものがある」
武田さんはそう言うけど…どうなんだろう。

夢子ちゃんに、千早さんとのことを相談してみることに。
「バッカじゃないの?あんな人と戦うなんて」
――でも、私、勝ちたいんだ。
「なら、玉砕覚悟でやるしかないわね。飛び道具を用意するのよ。
 あなたのチカラを高める何かを。勝機があるとしたら、そこにしかないわ」
そうだ、新曲!僕に一番合う歌!
可能性は低いけど…あの人に頼んでみよう。

僕はTV曲の、武田さんの部屋へ行った。
――武田さん、私に曲を作ってください!どうしてもほしいんです。
  私にピッタリなのが。
「なぜ、急にそんな依頼を?」
――千早さんはすごい人です。私、たとえわずかでも、追いつきたいんです。
「影響されすぎでは?君たちくらいの年齢のときにはよくあることだよ。
 …それで?君は僕の歌を手にして、何をしようとしている?
――私は、千早さんと比べると薄っぺらです。
  だから、私と一緒に育っていく歌がいると思うんです。
  お願いです、武田さん、先へ進ませてください。
「なるほど、言いたいことはわかった。そこまで未来を見据えているなら、
 いつかは曲を提供すると約束しよう。でも、僕はインスピレーションがわかないと
 曲が作れないんだ」

それから、武田さんから何の連絡もないまま、オーディションの日になってしまった。
控え室で待っていると、僕宛にバイク便が届いた。
これは…。よし、行くぞ!
  ♪前に 進めない これ以上 そんな時には
   いつも 心で 呼ぶよ あなたの名前
   抱いた 憧れ 今も 変わらないわ
   過ごした 日々は 優しく 溶け出してゆく
   一緒にいる それだけで この世界は
   まぶしいほどに 光り輝く
練習する時間がほとんどなかったけど、僕は、武田さんからもらった歌に賭けた。
この歌は千早さんが言っていたみたいに、まるで魔法のようだった。
そして僕は、千早さんに勝った。武田さん、やりました!

夢子ちゃんに、千早さんに勝ったことを報告する。
「そう、あの如月千早に…。私も、勝ったの!
 これで、武田さんに堂々と、オールド・ホイッスルに出してください、ってお願いしに行ける」
それから数日後、千早さんはニューヨークに帰るというので、空港に見送りに行った。
「ありがとう、見送りに来てもらって。秋月さん、あなたに会えていい刺激になったわ。
 最後にひとつ。あなたの周りには支えてくれる人がいるはず。絆を大切にね」
千早さんは、鳥のように飛び去っていった。


★夢、歪みの果てに(ランクB)

「あの…、次のオーディションでは、ご一緒させてもらいますので、よろしくね」
次の相手は、いやし系アイドル、三浦あずささんに決まった。
それにしても、夢子ちゃん、どうしたんだろう。
『私、アイドルやめることにした。じゃあね』
そんなメールが来たのが最後で、最近、連絡が取れない。

夢子ちゃんがよく自主レッスンする公園へ行ってみることにした。
――あっ、いた、夢子ちゃん!
「何しに来たのよ?」
――どうしたの?アイドルやめる、って…。
「私の夢が消えたの。武田さんが言ったの。君みたいな人間を
 オールド・ホイッスルに出すわけにはいかない、って」
夢子ちゃんが他のアイドルに嫌がらせしてたことが、武田さんの耳に入ったらしい。
「夢子ちゃん、やっぱり、ここにいたのね」
「お姉さま!会いに来てくれたんですか?」
あずささんがやって来た。
夢子ちゃんが言うお姉さまとは、あずささんのことだった。
「なんで、私がこんな目にあわなきゃならないの…」
夢子ちゃんはとうとう泣き出してしまった。あずささんがなぐさめたけど、泣きやまない。
――夢子ちゃん、私、なんとかやってみる!
  夢子ちゃんの夢が、また少しでも動き出せるように。

武田さんに直訴しに行く。
――武田さん、今日は、お願いがあって着ました。夢子ちゃんのこと、考え直してくれませんか?
「ふむ、あの子のことを、ね」
――夢子ちゃんの才能は本物だと思います。夢子ちゃんにとって、オールド・ホイッスルに出ることは、
  何より大切な夢なんです。その夢を奪わないでください。
「何と言われようが、僕は彼女に機会を与えるわけにはいかない」
――どうしてですか?
「オールド・ホイッスルは、歌を通じて、皆の心を満たす番組だ。
 そもそも彼女の生き方は、番組のコンセプトに反している。
 僕は、人を欺くような歌い手を自分の番組に出したくない。
 そういう意味では、今の君も同様に、ね」
ま、まさか…。
「秋月くん、君は男なのだろう?」
――いつから、気付いてたんですか?
「初めてTVで見たときから。体の線の細さに比べて、スタミナと声質に違和感を覚えた。
 僕は、君を男性として、見ていた。…なぜ、女性のふりをする?」
――社長の方針なんです。女の子の方が受けるだろうって。
  僕だって、本当は、男のアイドルになりたかった。
「それならば、なぜ事務所を飛び出してでも、そうしない?」
――社長や、これまで応援してくれてきたファンに悪いかな、って思って…。
「自分の夢も追えない君が、人の夢のためにこうしてやってくるのは、とても不自然に感じるが」
――それは…そうかも知れません。わかりました。自分でよく考えてみます。

お互い、忙しいスケジュールの合間を縫って、あずささんと会う。
――あ、どうですか、夢子ちゃん。
「それが、何を言っても、ぜんぜん聞いてくれなくて…」
――そうですか…。ところで、あずささんには夢ってありますか?
「実はね、今度のオーディション、私の夢をかけたオーディションなの。
 勝つことが出来れば、夢へ歩き出す勇気がわいてきそうな気がして…」
――あずささん、ありがとうございました。おかげで目が覚めました。
  私も、自分の夢に向かって、もっと真剣になってみようと思います。

事務所へ戻るなり、僕は社長に言った。
――社長、すごく大事な話があるんです。私、女の子をやめます。
  そろそろ、男の子として活動させてください!
  僕、ファンのこととか、たくさん考えました。それでも、チャンスがほしいんです。
  たった一度でも。望み通りの自分に変わっていけるチャンスが。
「そうね。だったら、次のオーディションに勝ったら、男の子デビューのこと、考えてあげるわ」

さあ、ついにオーディションの日だ。男の子デビューがかかってる。
ここで勝つか負けるかで、僕の運命、大きく変わる気がする。
  ♪転んで 立てない これ以上 そんな時には
   褒めて 撫でて ギュっと 抱きしめてよね
   抱いた 夢は 今も 変わらないわ
   過ごした 日々は 優しく 溶け出してゆく
武田さんからもらった曲で、僕はあずささんに勝った。
「負けたのは残念だけど、でも、いいの。まだ夢へ踏み出すときではないのね」
あずささんは負けてもさっぱりとした顔をしていた。


★僕は男だ!(ランクA)

僕はまた、武田さんのところへお願いしに行った。
――武田さん、僕、男の子だって公表します。それで、ファンのみんなに受け入れてもらったら、
  夢子ちゃんのこと、もう一度考え直してもらえないでしょうか。
  そして、もうひとつ。僕も、オールド・ホイッスルに出させてください。
  男の子アイドルとして!
「それでは、1つ課題を設けよう」
アイドルアルティメイトという大会、その出場権をかけたオーディションに勝つこと。
それが課題だった。
「君の歌声は、強さと愛らしさをあわせ持つ。
 男女双方の心に響く歌を歌えるのは、君しかいないんだ。
 歌の新時代のため、オーディションを突破してほしい」
やるぞぉ!男の子デビューだ!

男の子だと公表するために、僕はとある歌番組に出ることになった。
トークコーナーで、僕はこう言った。
――僕、本当は、男なんです!!
「衝撃の事実が今ここに…なーんてね。あはは。まさか、涼ちゃんが
 そんな真顔で冗談言うなんてね」
司会者の人に軽く流されてしまった。
その後のオンエアでは、僕がしゃべった部分がカットされてしまっていた。
どこかから圧力がかかっているらしい。

僕は久しぶりに、夢子ちゃんに会った。
「聞いたわよ。あなた、ヤバいことになってるらしいわね」
――うん。でも、僕は引かない!信じるもののために、夢を成し遂げる!
「やめなさい!にらまれて、私の二の舞になりたいの?
 この上、あなたまで活動停止になったら、私は…」
――それでも僕は、夢をあきらめたりしないよ。夢は僕たちを見捨てたりしない。
  それを夢子ちゃんにも見せてあげる!
「もしかして、あんた、男の子なの…?」
僕は、その問いには答えなかった。

男の子だって公表する機会を探すけど、見つからない。
生放送は降ろされ、録画の番組でも好きなことは言えない。何か手はないのか?
僕は、武田さんに相談してみることにした。
――僕、どうしたらいいのかわからなくて。
「ふむ。手がないわけではない。不本意ではあるが…。
 それは、オールド・ホイッスルだ」
オールド・ホイッスルの内容は武田さんに一任されていて、誰も口出しできないらしい。
そのオールド・ホイッスルの番組内で、僕は男だと公表することになった。
――感謝します。僕にチャンスをくれて。

武田さんから出された課題の、オーディションも突破した。
事務所に帰って、社長に報告する。
――社長、オーディション、勝ちました。
  僕、女の子アイドルを長くやってきたせいで、いつの間にか、
  男としての自身もついてたんです。
「涼、あなたは紛れもなく、時代を変えていける男の子よ!
 素顔のままのあなたで進んで行きなさい」
――ありがとうございます、社長。

あとは、オールド・ホイッスルに出るだけだ。
夢子ちゃんには、来週のオールド・ホイッスルを見るように言っておいた。
そこで、言いたいこと、全て伝えるから。

「今夜も、極上の歌をあなたに。オールド・ホイッスルにようこそ。
 こんばんは。武田蒼一です。今夜のゲストは、秋月涼さんです」
――こんばんは。よろしくお願いします。
  TVの前のみなさん、実は僕、秋月涼は、女性ではありません。
  これまで女性アイドルとして活動してきましたけど、
  僕、本当は男なんです。
「この発表が茶番でないことは、僕が証明します。
 多くのファンからすれば、もしかしたら、裏切られたと感じるかもしれません。
 彼に転身を勧めたのは、他ならぬ僕です。
 男性ボーカリストとしての彼の魅力を封じ込めてしまうのは、あまりにも惜しい」
――僕、悩みました。でも、僕が夢をあきらめてしまったら、人に夢を語ることなんてできない。
  皆さん、夢をあきらめないでください。
「それでは、聞いてください。彼の本当の歌声を。曲は『Dazzling World』」
『Dazzling World』…素晴らしい世界という意味だ。
  ♪キラキラ光る この気持ち
   大切なもの 見つけたのよ
   時が流れて 光りだす
   思い出一杯 幸せよ
   あなたと会えた 瞬間を
   わたしはずっと 忘れない
   手と手つないで 歩き出す
   あなたと生きる 素晴らしい世界!
もう、女の子らしい歌い方をしなくてもいい。できるだけ男らしく歌ってみた。

僕が男の子であることを公表した、その後。
周りの人…特に、ファンたちからは、全く予想外の反応が返ってきた。
『涼ちゃーん!男の子でもかわいい!萌え~♪』
そして、新たに女の子のファンも多数。
『キャー!涼く~ん!』
「よもや、こんなことになるとはね。大きくなったね、涼」
律子姉ちゃんは、ほめてくれた。
前途は洋々。もう僕の前をさえぎるものは何もない。
あとは、ただ1つ。

「TV、見たわ。バカじゃないの?私に言いたいことをわざわざTVで放映するなんて…」
夢子ちゃんは、視線をそらしながら言った。
「それより、武田さん、小細工せずに勝ち上がってくれば、考え直してくれるってさ」
――戻ってきてくれるんだね?
「復帰するわよ。オールド・ホイッスルを目指して。すぐあなたに追いついてみせる。
覚悟しておきなさい!」

こうして僕は、最大の夢を叶えた。
男の子アイドルとして、頂点に立つという夢を。
でも、まだこれからだ。
そう、これから…。きっと、この先にもっと素晴らしい世界が、必ずあるから。

END


☆大告白!?進むべき道は(ランクB)
 (『★夢、歪みの果てに』にて、オーディションで負ける)

僕は、男の子デビューするという夢を見失った。
たとえ、夢が見えないままでも、アイドルとしての毎日は続いていく。
このままでいていいの?
そうだ、夢子ちゃんにだけは、打ち明けてみよう。
――実はね、私、男なんだ。
「は?あなた何言ってるわけ?そんな冗談言うために呼び出したの?私、帰る」
それ以降も、誰に言ってみても、誰も冗談だと思って、信じてくれなかった。

僕は、武道館ライブに武田さんを招待した。
女の子アイドルとして、最高のステージになるように、努力した。
武田さん、見てください。これが、私のあるべき姿です。
ライブの後、武田さんと話をする。
「…いいライブだった。掛け値なしに。たとえ仮面をかぶっていても、君はたいしたものだ」
――ありがとうございます。
「それで、これが君の答えだと受け取っていいんだね?」
――はい。
「そうか、残念だ」

イケメンになりたい、なんて、小さいことだよね。
こうして僕…私は、女の子アイドルとして活動していくことになった。
――戻っておいでよ。アイドル、楽しいよ?
心から楽しそうな私の姿を見て、夢子ちゃんは復帰する気になったみたい。

さようなら、私の夢。
こんにちは、私の夢。

END


☆★☆ 日高愛(13)の場合

今から10何年か前。
日高舞という名前の、すごく有名なアイドルがいた。
男の子はみんなその人にあこがれ、
女の子はみんな、その人みたいになりたいって夢見た。
誰もが知ってる、日本で一番有名な、伝説級スーパーアイドル。
でも、あたしだけはその人のこと、あんまり好きじゃない。
だって、その人は今、あたしのママだから。

ママは芸能界を引退した、元スーパーアイドル。
あたしはただの中学生。どうがんばったって、ママみたいにはなれないかも知れない。
でも、そんなあたしだって、夢くらいは見たいもんっっ!!

今日、あたしは何回か目の、新人アイドルのテストを受けた。
でも、また落ちちゃった。いつも一次も通らないなんて…。
あたし、そんなに才能ないの?
帰り道、あたしはベンチに座って、しょげていた。
「ねぇ、どうしたの?」
そんなあたしに声をかけるのは、あたしより少し年上の女の子だった。
「さっき、新人アイドルのテスト受けてた子だよね?」
この人、もしかして…!
――あなた、もしかして、あの有名アイドルの天海春香さんじゃないですか!
「うん。私、さっきのテストで審査員してて…。よかったら、話、聞かせてくれないかな?」
あたしは春香さんに、テストに落ち続けていることを話した。ママのことは隠しておこう。
――あたしなんか、いくら挑戦しても…。
「そんなに気を落とさないで。本当に好きなら、いつか絶対、叶うよ。私がそうだったように」
よーし、なんだかやる気、出てきたぞー!
――あの、春香さん、ありがとうございました。
「そうだ、もしよかったら、知り合いの事務所、紹介しようか?」

こうしてあたしは、まさかの出会いに助けられて、なんとか小さな事務所を紹介してもらえたのでした。
「ようこそ、876プロへ!」
あたしは876プロの社長に会って、アイドルになりたいことを言った。
――というわけで、あたし、どうしてもアイドルやりたいんです!
「いいでしょう。とりあえずうちの新人アイドルとして面倒見ることにします」
それから、同期になる絵理さん、涼さんと会った。
2人ともすごくかわいい。ダメなのはあたしだけかも…。


★熱血ダメ候補生の挑戦!(ランクF)

社長とミーティングをする。
「愛、あなたのチカラはあまりにも足りない。でも一発逆転できる秘策がある。
 それは、あなたの生い立ちを公表すること。あなたがあの日高舞の娘だとわかれば、
 きっとマスコミは飛びついてくる」
――イヤです!あたし、ママの子供じゃないってことで、がんばりたいんです。
  お願いです、一度だけ、ただのあたしでがんばらせてください。
「社長、私からもお願いします」
マネージャーのまなみさんも、あたしに加勢してくれた。
「そうまで言うなら、仕方ないわ。チャンスをあげましょう。
 今度、新人アイドルが集うオーディションがあるわ。それに勝てたら、公表は控えましょう」
よーし!実力で勝ってみせる!絶対にっっ!

最初のお仕事は、ライブハウスでファーストライブ。
でも、歌もダンスもボロボロだってことがわかった。
それからレッスンして、歌もダンスもそれなりにできるようになった。
そして次に、バックダンサーのお仕事。
空から糸で釣られてるイメージで踊ると、姿勢を崩さずに踊れるって、
まなみさんが、アドバイスをくれた。
そのアドバイス通りに踊ったら、うまく踊れた。
そして、歌のテスト収録。あたしはレコーディングスタジオで歌った。
「愛ちゃん、大声で叫びすぎ。大丈夫だよ。しっかり歌えてれば、
 叫ばなくても、ちゃんと声、届くよ」
まなみさんにそう言われた。うっ。やっぱり、あたしの声って、大きすぎるのかな?
2回目は、ボリュームおさえ目で、自然な感じで歌ってみた。
そしたら、ディレクターの人にほめられちゃったー!
「これでもう、歌もダンスも普通にできるようになったね。
 そろそろ、オーディション、いってみる?」
――はいっ。よろしくおねがいしますっ!

オーディションをひかえたある日のこと。
あたしはママとおしゃべりした。
――ねぇ、ママ、あのトロフィー、何のトロフィーなの?
食器棚の中には、ト音記号をかたどったプラチナのトロフィーが置いてある。
「これは、アイドルアルティメイトで優勝したときのね」
――どうしてママは優勝できたの?
「そうねぇ…。やっぱり、最後にモノをいうのは自信かしら。
 それに、私には『ALIVE』があったしね」
『ALIVE』…ママの最大のヒット曲。そして、あたしのトラウマの曲。
小さい頃からママに子守唄がわりに聞かされてきたけど、あれを聞くたびに、
自分とママを比べちゃって、みじめな気分になる…。
「自信を持てるかどうかが、トップアイドルの条件よ」
アイドルアルティメイトかぁ。いつか、あたしも…。

そして、オーディションの日がやってきた。
――本当に、うまくできるかな?
「大丈夫だよ。あんなにがんばったんだから」
まなみさんにはげまされて、あたしは勇気をもらった。
そして合格できた。やりました、まなみさん!
事務所に帰って、社長に報告した。
――社長、約束通り、勝ちました。
「ええ。経営者として残念だけど、あなたの実力、認めましょう」
やったー!これから、もっとがんばるぞーっ!


★脱力?元気をとりもどせ!!(ランクE)

…と思ったのも束の間、次に挑んだオーディションには不合格になってしまった。
なんとなく元気が出ない。歌もダンスもヘロヘロだよ。
「愛ちゃん、どうしちゃったの?」
――ダメ、ダメ!今日は終わり!
「愛ちゃん、しっかりして!次のオーディションに勝たないと、ピンチだよ?」
でも…あたし、ダメかも…。

次のオーディションの日がやってきた。
そろそろ家を出なきゃいけない時間だけど…。
「愛、そろそろ時間でしょ?早く行かないと…」
ママがあたしを急かす。
――行きたくない。どうせ、勝てないもん。
あたしがそう言うと、ママは突然怒った。
「ふーん、愛は勝つためにアイドルやってるんだ。つまらないわね。
 私はただ、歌いたくて歌ってただけだから。
 歌って、ダンスして、毎日を楽しんで、それである日、
 アイドルよりママになりたくて、愛を産んだの。
 私は、やりたいことをずっとやってきただけ。愛、アイドルなんてやめちゃえば?
 あなたはあなたが一番したいことをすればいいんじゃない?」
あたしが一番したいこと、それは…。
――わかった、あたし、歌ってくる!
  あたし、勝ったり負けたりしたくてアイドルになったんじゃない。
  アイドルしたくて、アイドルになったんだもん!

気が付いたらあたしは、オーディションに勝っていた。
――あの、まなみさん、あたしが勝てた理由ってなんでしょう?
「私にはよくわからないの。愛ちゃん、他の誰より輝いてたよ。
 見てるだけで、こっちまで元気になっちゃいそうな笑顔…」
結局、よくわからなかったけど、ま、いっか。ランクアップもできたし。


★スターへの挑戦(ランクD)

「愛、大変よ。今度のオーディションの相手、あの星井美希なのよ」
ある朝、社長はそう言った。ホシイミキって、あの有名アイドルの星井美希!?
「どうする?登録は取り消すことができるけど…」
――あたし、やります!逃げるなんて、やだもん!

ビデオ撮影のお仕事が終わった後、まなみさんは、あたしに言った。
「もうすぐ、このスタジオに星井美希が来るのよ!」
しばらくした後、ホシイミキがやってきた。
ルックスはバッチリだし、あたしとランクが違うことはすぐにわかる。
――あの、あたし、今度ホシイさんと同じオーディションに出ることになってて…。
あたしはキンチョーしながら、ホシイさんにあいさつする。
「あ、そうなんだ。ミキはミキだよ」
ホシイさんは、いそがしそうに立ち去ってしまった。
あたし、あんなすごい人と戦うの…?

野外ライブのお仕事のときに、絵理さんと、絵理さんのプロデューサーの尾崎さんがやってきた。
「今度のオーディション、絵理もエントリーしたの」
絵理さんとあたしと2人で協力して、ホシイさんに勝つことになった。
「星井さんは思いつきで行動する人。それが弱点。時間がないから、一点突破」
絵理さんが考えた作戦、それは、あたしがボーカルをがんばり、
絵理さんがビジュアルをがんばる、ってこと。
それぞれ得意分野をがんばって、ホシイさんを目立たなくさせるんだって。
とにかく、勝つぞー!おーっ!

作戦は大成功して、あたしたちはホシイさんに勝った。
「おかしいなー。ミキ、すっごく調子よかったのに、どうして負けちゃったんだろう…」
ホシイさんの頭の上に?マークが飛んでいた。


★南の島♪バカンス(ランクD)

876プロのみんなで、明日からしばらく、南の島へ行くことになった。
海岸でテントをはって、キャンプするんだって。
というわけで、南の島へ到着っ!みんなでテントの中で過ごす。
涼さんは、1日中付けっぱなしだとムレるとか、肩がこるとかつぶやいてたけど、大丈夫かな?

この島には温泉もあった。あたしと絵理さんと涼さんの3人で、水着を着て入った。
「うう、水着を着てても、こういうところに入るのは抵抗が…」
涼さんはそんなことを言った。
――そういえば、女しかいないのに、水着を着てるのは変ですよね?脱いじゃいません?
「わ、私は、そういうの、ちょっと…」
涼さんって、変な人。

旅行の最終日。キャンプファイアーをながめながら、あたしは考えた。
昔のあたしは、コンプレックスのかたまりだった。
ママの娘ってだけで、比較されてた。でも今は、ママにないものを、1つだけ持ってる。
あたしには、一緒にアイドルしてくれる友達、いるから。
ねっ、絵理さん、涼さん!
楽しかった旅行もこれで終わり。でも残念だなんて思わない。
だって、帰ったらもっと楽しいアイドル活動が始まるもんっ!


★思いがけない試練(ランクD)

というわけであたしは、はりきって事務所へ行ったのでした。
――あれっ、まなみさん、元気ないですね。どうかしたんですか?
「愛、あなたの次のオーディションが終わったら、まなみは、この事務所を辞めます」
社長はそう言った。
――どうしてですか、まなみさん?
「ごめんなさい、愛ちゃん。今はうまく説明できそうにないの。ごめんね」
まなみさんは事務所を出て行ってしまった。
なんで、急に?あたし、わからない…。

数日後、あたしはまなみさんから、やめる理由を聞いた。
「田舎のお父さんがね、腰を悪くしちゃったみたいで、
それで看病しなくちゃいけなくなったの」
――そーゆー理由なら、わかりますけど…。
「すぐ帰るわけじゃないから。次のオーディションに向けて、がんばろ」

その数日後。尾崎さんからメールが届いた。
『急に聞いて、おどろいたわ。まさか、社長がまなみさんを解雇するなんてね。
 退社後しばらくはなにかと不便だろうから、私も協力するわ』
まなみさん、自分からやめたんじゃなくて、クビになったの?
あたしは、尾崎さんに会って話をすることにした。
――尾崎さん、メールに書いてあったこと、本当なんですか?
「そうよ。今回のことは、社長なりの判断があるらしいの。
 まなみさん、性格的にマネージャーに向いてない子みたいなの」
――向いてないなんて、そんなことないですっ!よくやってくれてるのに、どうして!
「マネージャーの仕事っていうのは、アイドルの面倒を見る事だけじゃないの。
 走り回って仕事を取ってこなくちゃいけない。時には、多少強引な手を使ってもね。
 あの子、押しが弱いのよ。だから今のままじゃ、ただの付き人でしかないわ」
――まなみさんは、あたしにとって最高のマネージャーです。それだけじゃダメなんですか?
「876プロみたいに小さい事務所のマネージャーは、それではつとまらないわ。
 日高さん、辛いのはわかるけど、目を背けちゃダメ。あなたはアイドルでしょ。
 まっすぐ前を見て、弱気にならないでね」
――でも…。
「納得できないようなら、社長から直接聞いてみたら?」

あたしは社長から直接話を聞いた。
――社長、お話があります。聞いてしまったんです。社長がまなみさんをクビにしたって。
「いまのままでは、あの子をうちに置いておくことはできないのよ。残念だけどね。
 成績の悪い子を置いておくと、周りに迷惑がかかるの」
周り…絵理さんや涼さん、尾崎さんに…。
――じゃあ、まなみさんはどうしても…?こんなのって…!
あたしは泣き出してしまった。
「泣いたってどうにもならないわ。一番辛いまなみだって耐えてるのに、
 あなたが耐えなくてどうするの?あなたがしなくちゃいけないのは、
 アイドルをがんばることよ」
でも、そんなことしかできないなんて…。

ついにオーディションの日がやってきた。
――まなみさん、ちょっと話が…。まなみさんが事務所をやめる理由なんですけど、
  なんでウソ、ついたんですか?
「それは、愛ちゃんが社長のこと、恨まないでいてほしいから。
 私、マネージャーに向いてないの。だから、遅かれ早かれ、やめていたと思う。
 社長は私のために、憎まれ役を買ってくれたんだよ。きっとね、誰も悪くないんだよ。
 これでいいんだと思う。事務所のためにも、私のためにも」
――あたし、勝ってきます。これからの2人のために。
そして、あたしは勝った。

まなみさんの退社の日。見送りに行ったあたしに、まなみさんは言った。
「ねぇ、愛ちゃん。私、どこにいても、愛ちゃんの活躍、見守っているから。
 場所は離れてても、気持ちはいつでも1つだよ。
 いつか、トップアイドルになってね。約束だよ」
――はいっ、約束っ!
「それじゃあ…」
――まなみさーん!いつまでも元気でー!
  今日までホントにありがとうございましたー!


★新たな一歩(ランクC)

――さみしいよー!やだよーひとりはやだー!
あたしは近所の公園で、ひとりで泣いていた。
「あの…すみません…。ど、どうかしたんですか」
あたしの前には、やさしそうなお姉さんが立っていた。
――すすみません!ちょっと悲しいことがあって…。
あたしはお姉さんに、まなみさんのことを話した。
「ううっ。かわいそうすぎますぅ。そんなの、あんまりですよう!
 気持ち、よくわかりますぅ。私ももし、プロデューサーが突然いなくなっちゃったら、
 2度と立ち直れなくなっちゃうと思いますし」
――プロデューサーって…お姉さん、アイドル?
「はい。萩原雪歩(ゆきほ)っていいます」
――萩原雪歩さん?もちろん、知ってますっ!
「あの、私もあなたのこと、知ってます。日高愛ちゃんですよね?
 まさか、こんなところで会えるなんて…。
 あの、愛ちゃんがそんなに寂しいなら、話相手ぐらいだったらなれるかも」
――うれしいですっ!あの、雪歩センパイ、これからよろしくお願いしますっ!

数日後。雪歩センパイからメールがきた。
『あの、遊園地にでも行きませんか?』
あたしはOKの返事を出した。さっそく、遊園地へ!
「私、すぐ緊張して、うまく話せなくなってしまって…」
――雪歩センパイって、人見知りなんですね。
「はい。だから、こうして仲良くしてもらうの、うれしいです」
雪歩センパイってやさしー。本当のお姉さんみたい。

次のオーディションの手続きをするために、あたしは会場へ行った。
そこで雪歩センパイと会った。
――もしかして雪歩センパイ、あたしと同じオーディションに出るんですか?
「はい。そうみたい、です」
そんな、雪歩センパイと勝負することになるなんて…。
「私、愛ちゃんの邪魔なんてしたくないです。だから、辞退しますぅ」
――それはダメです。同じオーディションに出るんだから、一緒にレッスンしましょうよっ!
「それはいい考えかもです。愛ちゃんと一緒なら、私、がんばれそう」

こうして雪歩センパイと一緒にレッスンすることになった。けど…。
あたしと雪歩センパイじゃ、全然レベルが違いすぎるよーっ!泣きたくなってきた…。
そんなあたしに、雪歩センパイは言った。
「私、毎日泣いてました。でも、ある人が言ってくれたんです。
 泣くときは上を向くように、って。それから私、つらいときは上を向くようにしてきました。
 その言葉があったから、私、ずっとアイドルやってこれたんです」
雪歩センパイは、泣いて泣いて強くなってきた人なんだ。
――思い出に残るようなオーディションにしましょう、雪歩センパイ!
「はい。がんばりますぅ」

そして、オーディション。あたしは勝てた。
「愛ちゃん、おめでとう」
――雪歩センパイが元気をくれたから、あたし、勝てたんです。
  今日の勝利は、あたしとセンパイ、2人の勝利です!


★騒然!帰ってきた巨星(ランクC)

――雪歩センパイ、アイドルアルティメイトの特別予選に出るんですか?
「はい、そうなんですぅ」
――いいなー。あたしも特別予選、出たい。
もう一度センパイと戦うときは、アイドルアルティメイトの決勝で…なんてね。
その何日か後、あたしは泣き出しそうな雪歩センパイと会った。
「実は私、予選、負けちゃって…。私じゃぜんぜん歯が立たない、
 すごい人が出てきたんですぅ…。
 その人は、お仕事でも会ったことがない、謎の人でした」
――気になりますね、そのアイドル。どーゆー人でした?
「ものすごい存在感で、いるだけで他の人がかすんじゃって…。
 かわいくて、とても個性があって」
雪歩センパイを簡単に負かすなんて、どんな人なんだろ?

――雪歩センパイと一緒にTV収録なんて、ラッキーですねっ!
あたしとセンパイがTV局のロビーで話をしていると…。
「あっ、あの人です!特別予選で勝った人!」
センパイが指したその女の人は、全身が光って見える、まさに生まれつきのアイドル!
その人はあたしに近づいてきて、話しかけた。
「意外に早く会えたわね、愛」
――もしかして、ママ?
「そうよ。毎日会ってるのに、顔忘れたの?」
これがあたしのママなの?信じられないよーっ!
「あのー、愛ちゃんのお母さんなんですか?」
雪歩センパイは驚いている。
「そう。日高舞よ」
「日高舞って、あの10年くらい前に引退した…?」
「そうよ。そろそろ復帰しようかなーなんて」
――ママ、復帰って、なに?聞いてないよ!
たしかに、ママはまだ若いし、復帰してもおかしくない、けど…。
「ま、いろいろあってね。1人くらい、私を倒せるアイドルがいないかなーなんて。
 今度のオーディション、エントリーしてきちゃった。
 やっぱりアイドルは、ステージの上でしかわかり合えないのよね。
 愛、やるからには、全力でかかってきなさい」
――言われなくたって!やっつけてやる!

社長と営業まわりしている途中で、あたしは記者たちに囲まれてしまった。
「愛ちゃん、あの日高舞の娘だというのは、本当ですか?」
ヒミツ、バレちゃったんだ…。
そこで、尾崎さんに助けられて、あたしは記者たちの輪から抜け出した。
あたし、これから、どうなっちゃうんだろう…。
それから、取材は事務所を通すようにと社長がクギをさしてくれて、とりあえず問題は解決した。

「愛ちゃん、毎日大変そうですね」
ひさしぶりに雪歩センパイに会った。
――センパイ、あたし、ママの子供だってこと、ずっとナイショにしておきたかったんです。
  あの日高舞の子供のくせに、っていつも言われて…。
  あたしは、あたしとして周りから見てほしかったんです。
  次のオーディションでママに勝てば、みんな、あたしとして見てくれると思います。

オーディションに来たママは油断していた。
あたし、勝つ!もう誰にも、ママの子だなんて言わせない!
そして、あたしは勝った。
――勝てたー!やったーっ!
「ありがとう、愛。負けたおかげで、燃えてきたわ。
 今度やるときは負けないわよ。それに、今回歌ったのは、あの歌じゃなかったし、ね」
ママの、あの歌…『ALIVE』。
今度は、全力のママに勝たなくちゃいけない。
それが、本当の意味でママに勝つということ。


★照らされたブリリアント・ロード(ランクB)

「愛、次のオーディションが決まったわ。勝てれば、アイドルアルティメイトの
 出場ノミネート確実よ。でも、すごい子がノミネートしてて…。
 あなたも知ってる子よ。会っていらっしゃい」
社長に言われて、待ち合わせ場所に来たけど…。
「愛ちゃん、久しぶりー!」
――あっ、春香さん!
やってきたのは春香さんだった。ということは、あたし、春香さんと戦うの?
――あたしったら、恩人と競うことになっちゃうなんて…。
「気兼ねしなくていいからね。それより、愛ちゃん、歌うの、好き?」
――それはもちろん、大好きです!
「そう、よかった。あの日の愛ちゃんを見てたら、歌が好きってだけで、
 ほかには何もなかった昔の私を見てるみたいで…。
 その愛ちゃんがどのくらい歌えるようになったのか、楽しみにしてる。
 オーディションの日には、たっぷり聴かせてね」
――はいっ!
「これ、私のメールアドレス。これからは、アイドル同士として、よろしくね」
――はい、ありがとうございます!

TV局に打ち合わせに来たときのことだった。
あれっ、あれって、まなみさん?見間違いじゃないよね?
――まなみさん!ここで何やってるんですか?
「何って…就職、したから」
「まなみー!早く行くわよー」
そこへママがやってきた。
「あら、あなたたち、知り合いだったの?」
――ママ、これって…?
「まなみは私のマネージャーよ」
そ、そんなー。まなみさんがマネージャーに復帰したのはうれしいけど、
ママのマネージャーなんて…。
そっか、ママは売れっ子だから、仕事を取ってくる必要、ないもんね。
だったら、あたしがママより売れれば、まなみさん、戻ってきてくれるかも。
よーし、がんばるぞーっ!

TV局の開局50周年イベントに、春香さんと一緒に出ることになった。
「愛ちゃん、ドームだよ、ドーム!」
――はいっ!あたしも、テンションあがってきましたっ!
あたしは、まなみさんが戻ってくるように、がんばって歌った。
「ダメだよ、そんなに興奮しちゃ!」
――だいじょーぶですっ!まだまだいけます!
あたしの胸はドキドキしっぱなしのまま、イベントは終わった。
「あんなすごい歌、歌えるなんて。大きい声でも、つぶされないノド。
 やっぱり愛ちゃんは天才なんだね」
春香さんはあたしに言った。

『TV局の開局イベント、おつかれさま。
その時のことで、ちょっと話がしたいなって思って、メールしました』
春香さんとあたしは港で待ち合わせした。
――春香さん、お話って、なんですか?
「愛ちゃん、よく聞いて。あのイベントのときの愛ちゃん、様子がおかしかったよね?
 どうしてあんな風になったの?」
あたしは春香さんに、まなみさんのことを話した。
「そう、そんな気持ちで歌ってたんだね。そのマネージャーさんのことを必死に考えて…。
 ねぇ、愛ちゃん。あのときの姿は、愛ちゃんの目指してるアイドルの姿なのかな?
 あんな気持ちのまま歌い続けるの?」
――ごめんなさい。あたし、まなみさんのことしか考えてなかった。
  人を取り合うために争うなんて、おかしいですよね。
  もう、あたし、あんな気持ちでステージに立ったりしません!
「よかった。私、笑顔の愛ちゃんが好きだから。
 …ねぇ、愛ちゃん、空を見上げてみて?」
言われた通りに、あたしは空を見上げた。
「あの太陽みたいになりたい、って思わない?どんなときも輝いてて、
 みんなに光をとどけられるアイドルに!」
――はい、あたしも、もっとおっきくて、まぶしいアイドルになりたいです。
「うん、これからも、一緒にがんばっていこう」

今日はオーディションの日。
春香さん、自分を見失いそうになっていたあたしを、助けてくれた。
だから今日は、春香さんに恩返しするつもりで、がんばるぞーっ!
そして、あたし、勝てた。
「愛ちゃん、すごいよ」
――春香さんが拾ってくれたから、そして、間違えそうなあたしを助けてくれたから、
  だから、勝てたんです。春香さんのおかげです!

春香さんに勝って、あたしはランクアップした。
「愛、あなたのことを誤解してたわ。あなたは才能がないわけでも、
 日高舞の娘でもない。100年に一度の逸材よ。
 今日からあなたはトップアイドル。日高舞を越えて、新しい時代を作りなさい」
社長にほめられた。
でも、あたしにとってのトップは、もっと上。
あたしが時代をつくってみせる。あたししか歌えない歌で、必ず!


★とどけ、愛の歌!(ランクA)

あたし、ママのこと、好きだった。
あんなふうに輝きたいって、胸の奥であこがれてた。
でも、おなじくらいキライだった。
いつも比べられてたから。
伝説のアイドルの子なのに、ダメな子って、ずっと言われ続けて…。
でも、ついにここまで来た。
あとは超えるだけ。ママと、ママの歌うあの歌を!

「愛、あなたと日高舞の最終決戦にふさわしい舞台が整ったわ。
 今度、TVで歌謡祭があるの」
――それに、ママも出るんですね。
ママはうれしそうだった。
「ついに、長年の夢が叶うのね。私はライバルなんていなくて、
 ひとりでトップを走り続けるのに飽きて、引退しちゃったけど。
 本気で競い合える相手が現れるなんてね」
ママは、歌謡祭で『ALIVE』を歌う。誰もが認める名曲。
「ところで愛、何歌うか決めたの?」
――まだ決めてないけど…でも、負けないんだから!

ママを超えるためにはまず、『ALIVE』に勝てる歌、探さないと。
あたしはレコーディングスタジオで考えていた。
うーん、これだ、ってゆーのが見つからない。
どれを歌っても、『ALIVE』には勝てない気がして。
そのとき、ドアが開いて、誰かが入ってきた。
「ごめんね。勝手にスタジオに来ちゃったりして」
――まなみさん!?
「舞さんに、様子を見てきて、って頼まれちゃって。でも、その様子だと、順調じゃなさそうね。
 何を悩んでるの?」
――実は、歌謡祭で歌う歌が決まらないんです。
あたし、最高の歌でステージに立ちたいんです。
「じゃあ、愛ちゃん、愛ちゃんの考える最高の歌って、どういう歌なのかな?
 私は、最高の歌っていうのは、一番思い入れがある歌ってこと、だと思う。
 舞さん、『ALIVE』には、相当思い入れがあるみたいだよ。
 ただ名曲ってだけじゃなくて、思い出がつまってるから、代表曲なんだろうね。
 愛ちゃんにとっても、そういう曲、あるんじゃないかな」
あたしにとっての、思い入れのある曲…。
――あっ、見つかったかも。あたしの思い出がつまった曲。
  それは、『ALIVE』だ!
子守唄がわりに聞かされて、あこがれてて、でもトラウマで。
たぶん、『ALIVE』があたしにとっても、最高の歌。
「やっぱり、愛ちゃんなら、きっと『ALIVE』って言うと思ってたよ」
――まなみさんが来てくれたから、あたし、大発見できました。
「そう、来てみてよかった」

家に帰って、ママにお願いすることにした。
――ママ、お願いがあるの。あたしに、『ALIVE』貸して!歌謡祭で歌いたいの。
「よりによって、どうしして『ALIVE』なのよ」
――それは『ALIVE』が、あたしのあこがれだから。
「でも、あなた、あの歌を嫌ってたんじゃ…?」
――うん。でも、今になってやっと気づいた。目をそむけていただけだって。
  あたし、たぶん、ママみたいになりたかった。でも、なれるわけなかったから、
  『ALIVE』を聴くたびにミジメになって…。でも、今は違う!
  あたし、自分のあこがれ、まっすぐに見られるから!
  『ALIVE』を歌う事が、あたしにとってアイドルになること!
  あたし、ママの歌で、ママを超えて、自分のあこがれ、叶えたいの!
「愛、あなた、大きくなったわね。いいわ。そこまで言うなら、貸してあげる。
 親子が同じ歌でしょうぶなんて、こんなに燃える話はないし、ね!」
――ありがとう、ママ!
これでやっとあたし、最高の自分になれる!

さっそく『ALIVE』の練習を始めた。
『ALIVE』はスローな曲で、簡単そうだけど、歌うのはむずかしい。
  ♪ひとつの命が生まれゆく やがて育まれた命は
   ゆっくり一人で立ち上がって歩き始める
   しかし闇は待ち伏せていた
   希望失って悲しみにくれるなか
   空から注ぐ光 暖かく差しのべる
   自分の進む道は必ずどこかにあるの 諦めないで
   あなたはこの地球(ほし)が選んだ 大切な子供だから…
何回歌っても、なんか違う気がする。やっぱり、ママのマネをしてたんじゃダメか。
そうだよ、ママのコピーじゃ、ママを超えられない。
自分流でやってみよーっ!!

とうとう歌謡祭の日がやってきた。
あたしのすべてを出しきるぞーっ!!
ひびけ、あたしだけの歌。みんなの心の奥まで!
  ♪想い出が折り重なってく
   独りで寂しかった時にも あなたはいつも微笑みをくれた
   誰もが皆 生きた証を 心の中に紡いでく 物語にして
   時に省みながら 光り輝く未来目指す
   どんな夢も願っていれば いつかは叶うよ
   大丈夫 全ては光へ続いている
   見守っててね 素敵な私が飛び立つまで
そして…。
――やったー!とうとう、ママに勝った!伝説のアイドルのママに…。

戦いのあと、ママはあたしに言った。
「あなたがまさか、こんな風に『ALIVE』を歌うなんてね。私と全然違う歌い方…。
 自分で歌うより、人の歌を聴いてるほうが幸せな気持ちになったの、初めてよ」
――ママがいたから、あたしはここまで来れたの!
「そうね、あなたは私に追いついて、自分の輝きを放てるようになった。
 『ALIVE』も受け継いでくれたし、もうこれで思い残すことはないわ。
 これから先は、あなたが『ALIVE』を歌っていきなさい」
――うん。
「そして私は、新しい歌で、あなた以上のアイドルになるわ♪」
――もー!なによそれ。ママ、アイドルやめる気なのかと思っちゃった。
「まだまだ若い子には負けないわよ。輝くには、年齢は関係ないもの。
 たとえおばあちゃんでも、輝こうと思えば、誰でもアイドルになれるのよ」

こうしてあたしは、ついにママを超えて、伝説のアイドルへの道を歩き始めた。
これから、あたしの物語を紡いでいこう。
そう、あたしが、あたしとして生きてきた証を!

おしまい。

 

165 :ゲーム好き名無しさん:2010/01/19(火) 01:26:43 ID:8Xrzdgik0
>>141
乙です
愛だけEND1つなのは仕様?

166 :アイドルマスターDS ◆l1l6Ur354A :2010/01/19(火) 22:37:11 ID:jfINpJky0
>>165
ランクBで春香に負けるとバラエティに転向という道が待っているが
他の2人と違って自分的に納得いかないので
あえて書かなかった






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