鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST -暁の王子-鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST -黄昏の少女-

part54-276~279


276 :鋼の錬金術師 暁の王子/黄昏の少女:2010/11/20(土) 23:02:38 ID:XBTKyoKh0
漫画の「鋼の錬金術師」からの派生作品なので、まずは前提となる鋼の錬金術師の設定などを書きます。

主人公のエドワード・エルリック(通称エド)は右腕と左足に、機械鎧(オートメイル)と呼ばれる義肢をつけている少年。
弟のアルフォンス(通称アル)は、生身の肉体を持たず、空洞の鎧に魂を宿す少年。兄は15歳、弟は14歳。
この世界には「錬金術」と呼ばれる、物質を分解・再構築して新たなものをつくる魔法のような科学技術があり、
兄弟は幼少期に錬金術を用いて死んだ母親を造ろうと「人体錬成」を行い、失敗して手足や全身を失ってそのような体になった。
失われた体は「真理」と呼ばれる、人間には未知の空間に今も腐らず朽ちもせずに残っている。
真理は人知を超えた存在で、物体ではなく「魂」にまつわるものを練成しようとすると「扉」が開き、術者の体を奪うものらしい。
二人は元の体を取り戻すために旅を続けている。

以降は暁の王子/黄昏の少女のあらすじになります。

舞台となる国家・アメストリスは軍事政権が築かれており、軍のトップが国のトップでもあり、トップは大総統と呼ばれる。
小国ながら際立った軍事力を持つアメストリスは、周囲の大国と小競り合いを繰り返していた。
南方に隣接するアエルゴという国は、王制を敷いており、王が国のトップに立っている。
長きに渡る争いに終止符を打つためにと、アエルゴは和平の使者として王子をアメストリスへと送った。
秘密主義を貫き、顔も年齢さえも今まで秘密裏にされていたその王子、
クラウディオ・リコ・アエルゴは若い青年で、彼の訪れによって平和も訪れるのだと人々はわきたった。
新しい時代の夜明けを運ぶクラウディオの事を、皆は「暁の王子」と呼んだ。

大総統と王子によって行われる平和のための式典は、アメストリスの中央都市・セントラルで行われる。
アエルゴへの反発を抱く武装テロリストや、それを警戒する軍人なども集まり殺伐とした雰囲気もあったが、
平和を喜んで各地から集まった人々により、基本的にはなごやかなお祭り騒ぎになっていた。
エルリック兄弟もまたセントラルを訪れていた。
国家錬金術師の称号を持ち、特殊な公務員のような立場のエドは催し物に狩り出されていった。

一人で町を歩いていたアルフォンスは、異国風の装いの少女と出会う。
彼女の名はエレナ・フィオーリで、式典を見るためにアエルゴからはるばるやってきたのだという。
クラウディオの熱心なファンなのか、しきりにクラウディオの事を知りたがっていた。
アルがエドの事を話すと、同じように兄がいるというエレナは兄弟仲の良さをうらやましがった。その顔はどこかさみしそうだった。
不慣れなエレナをアルはセントラルのあちこちに案内して回り仲良くなるが、
とある事件に巻き込まれる中で、アルの鎧の頭部が外れてしまい、鎧が空洞である事がばれてしまった。
一度はエレナは恐怖心を抱きアルを拒絶したものの、後に謝って仲直りをし、一緒に式典へと向かった。

277 :鋼の錬金術師 暁の王子/黄昏の少女:2010/11/20(土) 23:04:50 ID:XBTKyoKh0
式典に乗じてセントラルでは博覧会のようなものが開かれていた。
各国の技術の展示などが行われており、「未来を映せる写真機」などというインチキくさいものまであった。
機械技術の粋である機械鎧をつけたエドは、
その性能を見せるためにと機械コンテストのようなものに出場させられる。
コンテストではエドは巨大なロボットと戦わされる事になる。
そのロボットは、アエルゴの科学者である、ペドロ・ヒルデブロンドが発明したもの。
彼は錬金術もかじっているらしく、錬金術も応用されたロボットは脅威ではあったが、エドが勝利を収めた。
ペドロは「魂のないものは所詮この程度」とつぶやき、特に悔しがるでもなかった。

アメストリスには、ホムンクルスと呼ばれる人造人間が密かに存在し、暗躍していた。
彼らはある目的から、アメストリスの各地で争いによって犠牲を生み出させ「血の紋」を築いていた。
血の紋を描くには戦争は打ってつけのものであり、彼らにとって平和の使者であるクラウディオは邪魔な存在だった。
大総統のキング・ブラッドレイは実はホムンクルスの一人であり、
彼は自分の部下であり、普通の人間であるリザ・ホークアイにクラウディオを暗殺するように命令する。
リザはホムンクルスに与するものではなく普通の軍人だが、他の仲間の保身のために仕方なく応じた。
クラウディオを暗殺した後にはリザ自身も始末される運びとなっていた。
その暗殺計画を知ったエドは、阻止するためにと式典の中に飛び込んだ。
間一髪、飛びかかってクラウディオ共々倒れこみ、エドもクラウディオも銃弾を避ける事が出来た。
一般客席から式典を見ていたアルは、突然のその事態に驚き、「兄さん!」と叫んだ。
その時、エレナもまた式典の壇上に向かい「兄さん!」と叫んでいた。
アルはその言葉を疑問に思いながらも、次々と事件が起こる中で触れる機会がなかった。

度重なる事件のショックで倒れたエレナを介抱する中で、
アルは彼女の胸元に不思議な印が描かれているのを目撃した。
それは錬成陣と呼ばれる、錬金術を発動する際に使われるものだった。
何故エレナの体にそれが描かれているのか、誰が描き、どのような効果を発動するものなのかアルは疑問に思う。
錬金術はアメストリスで発達した技術で、他国ではあまり使われない。
エレナ自身、アルが錬金術を使うのを見た際に、自分は錬金術のことをよく知らないと言っていた。
だが、兄は錬金術に興味を持っているとも言っていた。錬成陣は兄によって描かれたものなのかとアルは推測する。
式典の壇上の上にいたのは大総統とエドとクラウディオだけだった。
大総統はホムンクルスであるため血縁者はいない。エレナが「兄さん」と呼んだ相手はクラウディオのようだった。
ならば、エレナはアエルゴの王女なのか。あるいはクラウディオが身分を偽っているのかとアルは怪しんだ。

次々と起こるテロ、その一端を指揮するのは実はクラウディオであった。
彼は和平の使者どころか、本当はアメストリスを滅ぼすためにやってきた者だった。
エドたちによってその事を暴かれたクラウディオは殺害されたが、検分したところその死体は偽物だった。クラウディオは行方をくらませた。
偽者は、錬金術を応用して顔面を再構築してクラウディオに似せたようだったが、一見して気づかないほど似せるというのは高等技術だった。
偽者の遺体の胸元には、エレナの体にあるのと同じ錬成陣が描かれていた。
その錬成陣は、錬成陣が描かれた者の魂を削るものだった。
魂を削り出して錬金術を使うためのエネルギーにする事によって、通常よりも効果的に錬金術を使うためのものだった。
偽者は影武者とするために顔面を錬成する必要があり、顔面再構築のために魂をも削られていたのだった。

278 :鋼の錬金術師 暁の王子/黄昏の少女:2010/11/20(土) 23:06:04 ID:XBTKyoKh0
調査を進めたところ、クラウディオ一派によって監禁されていた人物たちが発見された。
その中には老人がいた。彼こそが、本当のアエルゴの王子、クラウディオ・リコ・アエルゴその人だった。
本当に和平のために向かっていた王子は、現れたクラウディオに脅され監禁され、立場を成り変わられたのだった。
暁の王子と呼ばれ皆の前に立っていた青年の本当の名は、クラウディオ・オルファノ・フィオーリ。
アエルゴでは悪名高きマフィア・フィオーリ一家のボスであった。
王子と同じ名を持つ彼は、王家の秘密主義を逆手に取り大胆な演技を続けていたのだった。

エレナは、自分はマフィアの一家の娘であり、クラウディオの妹であるとアルたちに明かした。
かつて、アメストリス南東部では内乱が起きていた。
国軍に逆らう人々に手を貸し、武器の密輸を行っていたのがフィオーリ一家だった。
幼いエレナは、親たちが金のために悲劇を生みだし続ける悪人だと知っていたが、
兄に守られ、家業には関わらずに平和に暮らしていた。
セントラルの祭をアルと一緒にまわっていた時、幼い頃にクラウディオと祭を見た時の事を思いだしていたという。
仲良く暮らしていた兄妹だったが、やがてアメストリス国軍によって両親やその部下が殺された事で状況は一変する。
親たちの死は自業自得であったが、兄妹は嘆き悲しんだ。そして兄は墓前で復讐を決意し、優しさをなくしていった。
ボスであった両親の死によってマフィアファミリー・フィオーリは一度は解体しかけたが、
クラウディオが後を継ぎ、アメストリスを潰すことだけを夢見て再び勢力を増させて行った。
悲しむエレナをよそに、怪しげな科学者を呼び出しては、アメストリスを滅ぼすための兵器について話し合っていた。
その過程でクラウディオは錬金術についても学んでいき、魂を削り出す例の錬成陣を考えついた。
クラウディオに従う者たちはみんなその錬成陣を刻まれている。
アメストリスを滅ぼすためにならいつでも命を消費できるようにと。
エレナの印もまた兄によってつけられたものだった。
だがエレナはアメストリスを消すという考えには賛同してはいなかった。
クラウディオを止めようとしたが、彼は聞く耳を持たず、エレナを置いて行ってしまった。
アメストリスを滅ぼすためにクラウディオは自らの命も投げ出そうとしていた。それを止めるためにエレナはアメストリスに来たのだという。

エレナはクラウディオとの対話を望んでいた。
アルはエレナと共にクラウディオのもとへと向かっていたが、エレナに騙され、まかれてしまった。
エレナは、アルが元の体に戻るところを見たかったがそれは叶わないだろうな、と心の中でつぶやいた。

クラウディオは、巨大な兵器のそばにいた。その兵器は以前にエドと戦ったペドロが発明したものだった。
以前のロボットよりもなお巨大なそれは、人の魂を得る事で強大な力を発する。
エレナが訪れた時には、既にその兵器はクラウディオの同胞たちの魂を取りこみ稼働を始めていた。
最後の仕上げに、核となる人間を丸々取りこむ必要があった。
クラウディオはその最後の仕上げになるつもりだったが、エレナはそれを泣いて止めた。
「お前に泣かれたらいつも兄妹喧嘩は私の負けだ」
そう言ってクラウディオは優しい表情を見せたが、聞く耳を持たないエレナを代わりに核とした。

エルリック兄弟たちは、進撃を始める兵器に立ち向かったり、周辺の人々を批難させたり、負傷者の治癒を行ったりと、
それぞれ分担して現場で活動する。エドは、兵器の上に立っているクラウディオのもとへ向かい、彼と一騎討ちをする。
アメストリスの全てを壊したいと言うクラウディオは、剣を交えながら、こんな血ぬられた国家を何故守ろうとするのかと問う。
錬金術師は守るためにいるのではなく新たな物を造り出すためにいる、エドはそう言いながらクラウディオに一撃を与え勝利した。

他の協力者たちのおかげもあり、兵器は解体され、取りこまれていたエレナは解放された。
稼働によりエネルギーを消耗した彼女は今まさに死にいこうとしていた。
満身創痍のクラウディオはエレナのもとへと近づく。
錬金術に通じているクラウディオは、エレナの魂の最後の力まで絞り尽くそうとしているのではと危惧したのか、
エルリック兄弟はそれを止めようとするが、間に合わず、クラウディオは錬金術を発動し、兄妹はその場から姿を消した。

279 :鋼の錬金術師 暁の王子/黄昏の少女:2010/11/20(土) 23:08:11 ID:XBTKyoKh0
錬金術の原則は「等価交換」で、一のものから十のものは造ることはできない。
魂と等価交換できる物質はなく、ないものねだりで魂にまつわる錬成を行うと、
術者自身を代価にするように「真理」が開かれる。
(魂にまつわることはできないが、死者の蘇生など、存在しない魂を造り出すというのは何をどうやっても不可能)
ふと意識を取り戻したエレナは、真理へと通じる「真理の扉」のある、扉以外なにもない、果てしなく続く真っ白な空間にいた。
同じ空間にはクラウディオがいた。
エレナは彼へと近づくが、扉が開き、伸びてきた真っ黒な触手にクラウディオはしばりつけられ、
そのまま扉の向こうへと消えていった。
真理にはすべてがあるという、ならば自分は正しかったのかを見に行こうと彼は言い残した。

エレナが目覚めると、そこは白い空間ではなく現実世界で、アルの腕の中にいた。
クラウディオは自らの魂と肉体を代価とし、扉の向こうへ行く事で、死にかけていたエレナを救ったのだった。
その事を知らされたアルは、自分はいつかきっと体を取り戻すし、クラウディオもいつかは……とエレナを励ました。
白い空間へとクラウディオが消えていく瞬間、彼がエレナを見つめているのをアルは見た。
暖かくもさびしげな、まるで黄昏を見るような目だった。
祝福されながら訪れた暁の王子は破壊だけをもたらし、後には黄昏の少女だけを残していった。

結果としては、兵器に魂を捧げたクラウディオの仲間たち以外は、皆の活動の甲斐もあってそれほど死者はでなかったが、爪跡は残った。
エレナはクラウディオを止める事は結局できなかったが、クラウディオを止める事を目的としてやってきたので、
全てが終わった今、アエルゴへ帰る事になった。マフィアの娘としてではなく、普通の少女として生きていくという。
アメストリスで世話になった人々にあいさつ回りをした後、エレナはアルにも別れを告げた。
クラウディオの行いは許されない事だが、アメストリスを憎む気持ちは自分も持っていたという。
アルたちと出会ってその思いは消えたというエレナは、アルに抱きついて「これで終わりじゃないよね」と聞く。
アルは抱き返し、再会を誓った。帰りの列車の中でエレナは、遠ざかるアメストリスの景色を惜しんだ。

最後に一枚の写真が提示される。未来が映るという例のインチキ写真機で撮ったものだった。
そこには、元の体に戻ったエドとアル、そしてアメストリスで微笑むエレナの姿が映っていた。



終わり






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