Seventh Blood Vampire

Seventh Blood Vampire

Part54-469~472

Part55-43~48

part67-265


469 :Seventh Blood Vampire◆l1l6Ur354A:2010/12/27(月) 15:48:34 ID:P6M2t9aO0
再規制が来そうな予感がするので触りだけでも投下しておこうそうしよう
ということで「Seventh Blood Vampire」行きます。

タイトル通り吸血鬼ものですが吸血鬼の設定がほぼオリジナルなので、
用語等分かり難かったら適当にツッコミ入れて下さい。
 
470 :Seventh Blood Vampire◆l1l6Ur354A:2010/12/27(月) 15:49:29 ID:P6M2t9aO0
○第一夜
湖の畔の屋敷で、母、そして住み込みの使用人アーウィンと共に暮らす少女レナ。
彼女は生まれつき病弱で学校にもまともに通うことができなかったが、
無二の友人であるリズとマシューの存在を心の支えに、平穏な日々を過ごしていた。
14歳の誕生日、レナは祝い来てくれた二人と共にケーキを囲みながら「ずっと友達でいようね」と約束を交す。

その晩、レナは階下にある柱時計の鳴る音で目を覚ました。
時刻はちょうど零時をまわったところで、昼間はしゃぎ過ぎたせいかなと独りごちる。
と、どこからか彼女の名を呼び続ける不気味な声が聞こえてきた。
レナは怯えながらも何かに導かれるようにしてベッドを抜け出し、普段は立ち入らない物置で地下道の入り口を発見する。
長年暮らしていた家に地下があるという事実は、レナの好奇心をいたく刺激した。
「体調もいいし、ちょっとだけ」と自分自身に言い訳しながら、彼女は懐中電灯を片手に地下道へと足を踏み入れる。

しかし進み始めて間もなく、レナは道の前方に奇妙な影を見つけた。
恐る恐る近づいてみると、それは狭い道の両端に座り込んでいる二つの人間の死体で、
互いの首に渡された赤いロープと、同じ姿勢で向かい合うシルエットは何かの門のようにも見える。

レナは悲鳴を上げ、慌てて来た道を駆け戻ろうとした。
だが地下道の入り口――物置の奥にあった鉄の扉は閉めた覚えもないのに堅く閉ざされ、こちらからは開けることが叶わない。
半狂乱で扉を叩きながらアーウィンを呼ぶが、いくら声を張り上げても助けが来る気配はない。
暫くそうした後、レナは「他にも出口があるかもしれない」との希望に縋って奥へと進む決意を固める。

先ほどの死体があった場所(死人門)まで戻ってきた彼女は、意を決して死体の間に渡されたロープを跨いでみた。
すると途端に、何かが腐ったような……それでいてどこか甘いような臭気が辺りに立ち込める。
ロープひとつ超えただけで何故、と思うがいくら考えても答えは出ない。
レナは強烈な臭いに耐えながら、ただ先を目指すことしか出来なかった。
 
471 :Seventh Blood Vampire◆l1l6Ur354A:2010/12/27(月) 15:51:03 ID:P6M2t9aO0
やがて辿り着いた地下道の終端には梯子が掛けられていた。
それを上ると出た先はどこかの中庭と思しき場所で、レナは風に揺れる草木の気配に少しだけ安堵する。

しかし中庭の中央に備え付けられた噴水からは妙にどろりとした真っ赤な液体が流れていて、
おまけに建物に通じる扉の幾つかは施錠され、ここからでは外に出られそうもない。
と、レナは噴水の陰に一人の女性が屈みこんでいることに気が付いた。
女性の方はまだこちらに気が付いていない様子で、銀色のロザリオをきつく握りしめながら祈りの文句を口走っている。
思わず声を掛けると彼女はひどく怯えた様子で、レナにロザリオを投げつけながらヒステリックに叫んで逃げ出してしまった。
大切な物なのではないかと思ったレナはロザリオを拾って女性を追いかけようとするが、
彼女は東側にある塔のような建物に飛び込み、扉の掛け金をかけてレナの追跡を阻んでしまう。
暫く四苦八苦した後、レナは中庭にあった細い柵を使ってなんとか掛け金を外すことに成功する。

扉の先に進むと、そこには奇妙な部屋があった。
その室内の一角は檻のような鉄格子で区切られていて、更にその傍らのスペースは衝立によって不自然に隠されている。
鉄格子の向こう側には扉が見えるが、こちらからはどう頑張っても通れそうにもない。
完全な突き当りだが、女性の姿がどこにも無いことに困惑するレナ。
とりあえずもっと周囲を調べてみようと傍の机に置いてあったランプを手に取った瞬間、衝立の向こうから物音が響いた。
驚いたレナは勢い余って衝立を倒してしまう。そして、ランプの明かりが照らし出したものに戦慄した。

最初に目に入ったのはあの女性の顔だった。
しかし見開かれた目は虚ろで肌には生気が無く、明らかにもう生きてはいない。
女性の上には何かが跨り、その喉元からびちゃびちゃと血液を啜っていた。

血まみれのボロを纏った身体、真紅に輝く瞳、蛇のようにうねる異常なほど長い舌。
――だがその化け物は、レナと全く同じ容貌をしていたのである。

あまりにも受け入れがたい事実を認識し、絶叫すると共に、レナは自らの意識を手放した。
 
472 :Seventh Blood Vampire◆l1l6Ur354A:2010/12/27(月) 15:53:55 ID:P6M2t9aO0
次に目が覚めると、そこは朝日が差し込む普段通りの自室だった。
レナは飛び起きるとアーウィンを呼び、昨夜目にした地下道や、自分にそっくりな『おばけ』のことを捲し立てる。
明らかに信じていない様子の彼に焦れたレナは連れ立って物置へと向かうのだが、
確かにあったはずの鉄の扉は消え失せ、そこはもうただの壁でしかない。
呆然とするレナに「悪い夢でも見たのでしょう」と声をかけて、アーウィンは部屋に戻ってもう一眠りするよう促す。

その時、リズから電話がかかって来た。
彼女はレナに「マシューが昨日パーティの後どこに行ったか知らない?」と聞いてくるが、どこか話がかみ合わない。
リズの話によると、マシューはレナの家からの帰り道で「忘れ物がある」と引き返し、その後行方不明になってしまったらしい。
しかし昨日マシューは家に戻って来ていないし、アーウィンもマシューのことは見ていないと証言する。
不吉な予感を覚えるレナ。だがリズは「きっとすぐに見つかるから」と明るく励ましてくれる。

○第二夜
マシューの安否について続報を待ちたかったレナだが、アーウィンはそれを許してくれなかった。
リズからの電話の後、薬を飲まされてベッドで眠りについた彼女は、再び深夜に柱時計の音で目を覚ます。
すると間もなく昨夜と同じ不気味な声が聞こえてきた。
レナが毛布を被ってやり過ごそうとしていると、やがて声は途絶え、代わりに階下から誰かが歩くような物音が聞こえた。
アーウィンが起きているのだろうと考えたレナは、マシューのことを聞くために一階へと向かおうとする。

しかし階段を下りる途中、鏡に血まみれの『おばけ』が映っているのを目撃し、驚きのあまり足を踏み外して転落してしまった。
次に気が付くと、そこは何故かあの地下道の入り口で。
慌てて物置に繋がる扉を確かめてみるも、そこは昨夜と同じように閉ざされていて戻ることはできそうにない。
レナは泣きながら立ち上がり、血塗られた中庭へと至る道を歩み始めるのだった。

(続く)
 
473 :ゲーム好き名無しさん:2010/12/28(火) 15:36:39 ID:wnWo2N5O0
皆さん投下乙

>>469
>用語等分かり難かったら適当にツッコミ入れて下さい。
「さわり」の誤用についてぐぐっておくことを強く勧める
 
43 :Seventh Blood Vampire◆l1l6Ur354A:2011/01/07(金) 14:37:11 ID:3GecYE2s0
微妙に間が開きましたが続き行きます。
前スレで誤用について突っ込んでくれた人はありがとう。勉強になった。
 
44 :Seventh Blood Vampire◆l1l6Ur354A:2011/01/07(金) 14:38:15 ID:3GecYE2s0
昨日と同じように地下道→中庭→東塔と進み、『おばけ』と遭遇した部屋まで戻ってくる。
室内には昨夜の惨劇を物語るような痕跡(床の血痕等)が残されていたが、
『おばけ』はともかく女性の亡骸までもが跡形なく消え失せていて、レナは困惑する。

暫く周囲を調べてみるとロザリオが落ちていた。しかしそれ以上めぼしい収穫は無いようだ。
部屋を出ようと入ってきた扉を開ける。と、すぐ目の前にあの女性がうつろな顔で立ち尽くしていた。
最初は幽霊かと思って驚くレナだったが、さりげなく確認してみると足はあるし透けてもいない。
昨夜見たものは自分の勘違いだろうと納得し、安堵するレナ。
そうしてつい今しがた拾ったロザリオを差し出すが、当の女性は無言のまま動かない。
不審に思いながら一歩近づくと、今まで半開きの扉によって隠されていた女性の右半身が見えた。
彼女の顔面半分は大きく抉れ、どす黒い血が傷口から滴っている。
生きているのがおかしい怪我だとそう認識した瞬間、女性の口からずるりと長い舌が伸びた。

不自然に首を歪め、言葉にならない奇声を上げる姿は最早人間とは思えない。
レナは反射的に手にしていたロザリオを投げつけ、それによって女性が怯んだ隙に傍らをすり抜けて逃げ出した。
(※ここで女性が追ってくるので分岐)

○逃げ切れなかった場合
もたもたと逃げていたレナはすぐに女性に追いつかれ、襲われた。
意識を手放しながら、彼女はここで自分の物語が終わってしまうのだと自覚する。
(バットエンド1)
 
45 :ゲーム好き名無しさん:2011/01/07(金) 14:39:37 ID:3GecYE2s0
○逃げ切れた場合
来た道を戻り、昨夜閉められた扉の反対側の部屋に滑り込む。
そこでこちらの扉にも掛け金が付いていたことを思い出したレナは、
女性に追いつかれる寸前に扉を閉め、なんとかそれ以上の追跡をかわすことに成功した。
しかしこれでは暫く中庭に戻ることができない。仕方なくもう一つの扉へと向かう。

扉の先は、左右に牢獄の並ぶ細長い通路だった。
牢はどれも空のようだが、通路の中央には少年が一人立ち尽くし、レナのことを見ていた。
一瞬また化け物なのかと警戒するも、少年は人懐っこく笑って「こんばんは」と挨拶する。
レナは少しだけ安心すると共に、初対面であるはずの彼にどういうわけか懐かしさを覚える。

ところが少年は腰に下げた銀色の銃に手を添えたまま、レナがここに居る理由などを矢継ぎ早に質問してきた。
どこか緊張した雰囲気を感じ取りながら自分が分かる範囲のことを答えると、
「もしかして、体悪い?」と唐突にレナの体調について質問の方向を換えてくる。
終いには「脈を診たいから手を出して」と言い出す始末。
戸惑いつつ素直に腕を差し出すと、少年は言葉通り脈を測った後一瞬沈痛な面持ちでレナを見た。
私ってそんなに体調が悪そうに見えるのかな……と少し情けないことを考えるレナ。

と、その時、不意に少年は廊下の奥の扉に視線を向けた。
そして唐突にレナの腕を引き牢に飛び込むと、彼女の額にカードのようなものを押し当てる。
訳がわからないながらも事の成り行きを見守っていると、奥の扉が開いてレナそっくりの『おばけ』が現れた。
それは四つん這いで歩き、時折奇矯な笑い声を上げながらこちらへと向かってくる。
悲鳴を上げそうになるレナの口を少年が塞いだ。
僅かに漏れた声を拾った『おばけ』は二人の隠れる牢へと体当たりしてきたが、鉄格子に阻まれ中にまでは入ってこない。
しばらく舌を探るように動かした後、『おばけ』は目の前に居るレナ達の存在に気が付かないまま行ってしまった。
レナは今見たものが信じられなくて茫然自失となるが、少年に叱られて平静を取り戻す。
 
46 :Seventh Blood Vampire◆l1l6Ur354A:2011/01/07(金) 14:41:32 ID:3GecYE2s0
少年の名前はフレデリック・オーゼンナート。フレディといった。
自己紹介もそこそこに、彼は「用事があるから」とレナをその場に残して立ち去ろうとする。
心細さからレナはついて行きたいと申し出るが、フレディは危険だから駄目だとそれを拒んだ。
その代わりに先ほどレナの額に当てていたカードをお守りとして預け、ここで待っているよう言いつける。
「声を出さない、音を立てない、動き回らない。
ただし、もしも流血を伴う怪我をした場合は速やかにその場を離れること」
「大丈夫、大丈夫。すぐ戻ってくるし」
フレディはそれだけ言い置くと、レナが躊躇っている内に行ってしまった。

フレディが去った後、レナは言われた通り牢屋の隅でじっとしていた。
息を殺して大人しくしていると、昔こうして母の帰りを待っていたことを思い出す。
レナの母は多忙がちで家を空けることも珍しくもなく、現にここ数日顔を合わせていなかった。
「お母さんに会いたい……」レナがホームシック気味な独り言を呟いた途端、
先ほど『おばけ』が出てきた扉の奥から、自分の名を呼ぶあの声が聞こえてきた。

フレディの忠告にも関わらず、ふらふらと扉の向こうへと進むレナ。
しかし予想に反して奥の通路には何も無い。「もう一つ向こうのドアかな?」と更に先に向かう。
そこはたくさんの柱が無秩序に林立する薄暗い広間になっていた。
が、その柱が全て人間……正確には柱に括り付けられた死体なのだと気が付き、レナはその場に立ち竦む。
死体は老若男女様々な背格好のものがあったが、皆一様に顔は黒いベールで隠されていた。
その時、ふとレナは柱のひとつが見覚えのある服を着ていることに気が付く。
恐怖も忘れて駆け寄りベールをはぎ取ると、そこには予想通りリズの姿があった。

 
47 :Seventh Blood Vampire◆l1l6Ur354A:2011/01/07(金) 14:42:15 ID:3GecYE2s0
一瞬絶望にかられるレナだが幸いなことにリズにはまだ息があった。
レナは部屋にあった篝火を使って縄を焼き切り、彼女の戒めを解くことに成功する。
必死に呼びかけるとリズは間もなく目を覚ましたが、レナの顔を見た途端ヒステリックに喚きながら怯え始めた。
どうやら『おばけ』と勘違いされているようだと気づくレナ。
逃げようとするリズをなんとか宥めにかかるが、「化け物」と言われた瞬間思わず声を上げてしまう。
「それは私じゃない!!」
今まで出したこともないような大声に自分自身で驚くとともに、リズもまた同じく驚いたらしい。
そのまま泣き出してしまったレナの様子を見て、彼女はようやく落ち着きを取り戻す。

リズの話によると、彼女はマシューを捜すために外に出たところで何者かに襲われたらしい。
とにかく早くここを離れた方がいいと判断して立ち上がる二人。
だがリズはいつの間にか足を痛めてしまっていたらしく、満足に歩けそうもない。
かといって体力でも体格でも劣るレナが彼女の身体を支えられるわけもなく、
一旦リズをその場に残し、レナが杖の代わりになりそうなものを探しに行くこととなった。

広間の奥へと進み塔内を探索した結果、上の階にあった木の杖が丁度良さそうだと判断したレナ。
ところがその杖は床の台座に固定されていて、どうにかして折らないと持ち運ぶことはできそうにない。
レナは階下に放置されていた剣を持ち出してくると、何とか杖を叩き折り杖を入手することに成功した。

思っていたより時間を取られてしまったため、急いでリズが待つ広間へと戻る。
だがさきほどの場所にリズの姿が無い。慌てて周囲を見渡すと、部屋の隅に蹲っている人影があった。
ほっとして人影に駆け寄り声をかけるレナ。
しかしそこに居たのはリズではなく、『おばけ』の方だった。
レナの名前を絶叫しながら襲い掛かってくる『おばけ』に、レナは背を向けて逃げ出す(※分岐あり)
 
48 :ゲーム好き名無しさん:2011/01/07(金) 14:43:11 ID:3GecYE2s0
○逃げ切れなかった場合
あっさり追いつかれたレナは、『おばけ』の長い舌によって喉を貫かれた。
意識が徐々に薄れて行く中、彼女は自らを飲み込もうとする強い渇望を感じ取る。

――血を もっと 血を

次に気が付いた時、レナは真っ暗な廊下の端に人影を認めていた。
知っている顔のような気がするが、意識が朦朧としてよく分からない。
でももうどうでもいいとレナは思う。
沸き立つ血の匂いに魅惑されるようにしてレナが手を……舌を伸ばそうとすると、人影の方が先に動いた。
次の瞬間、唐突に反転する視界の中レナは最後に人影の落とした呟きを耳にする。

「吸血鬼を殺すには首を切れ、か……」
(バットエンド2)

○逃げ切れた場合
牢獄道で『おばけ』を殴り、掛け金のついた扉を開けて、レナは東塔内から中庭まで逃れてきた。
室内ではよく分からなかったがいつの間にか夜が明けていたらしい、眩い朝日がレナと『おばけ』の頭上に降り注ぐ。
するとにわかに『おばけ』が苦しみ出し、奇妙な悲鳴を上げながら蹲った。
それを見て驚くレナだったが、突如レナ自身の身にも異変が起こる。
身体が熱くて寒くて、とにかく痛いのだ。
初めて感じる謎の痛みに苦しみながら、レナもまた悲鳴を上げてその場で昏倒する。

(続く)

265 :Seventh Blood Vampire:2014/08/30(土) 12:46:19.04 ID:e5F9eBYV0
どうも、遅ればせながら236です
拙い文章力ですが、頑張って書いていきたいと思います。
それでは、wikiに載ってる第二夜の終盤から・・・。


――――どこからか聞こえる自分を呼ぶ声に、うなされ絶叫するレナ。 
その時、誰かに肩を掴まれ目覚めると、そこは自分の部屋。そして傍らには母の姿があった。 
今までの出来事を話し、リズを助けて欲しいと母に訴えるが、「夢を見たのね。」と笑って相手にして貰えない。 
なおも訴えるレナに、母はなんと今朝リズに会ったと話す。 
なんでも、友達と泊りがけのハイキングに行くと言っていたらしい。
・・・・行方不明のはずのマシューも一緒に。 
その話に、今までの出来事は本当に夢だったのかと自信を無くすレナ。 
そんな姿を見て母は、「アーウィンが帰ってきたらちゃんと聞いておくから」とレナをなだめる。 
姿が見えなくても、呼べばいつでも来てくれたアーウィン。
だが、最近はよく外出してしまう。 
今日も、母にお使いを頼まれて家に居ないらしく、母も今夜は大事な仕事が大詰めで、また帰れないと言う。 
レナの家には父親がおらず、母が家計を支えている。 
最近は仕事もどんどん忙しくなっている様子で、レナは母がこっそりと辛そうにしている所も、何回か見かけたことがあった。 
本当は行かないで欲しい。だけどわがままなんて言えないと自分の感情を押し殺すレナを 
「この仕事が成功したら、もっと一緒に居られるようになるから」と母は抱きしめてくれる。 
そして、今日も熱があるから、お薬を飲んでそろそろ寝なさいと母は促すが、寝ればまた悪夢に捕まってしまうとレナはぐずる。 
「寝れば、悪いことなんてみんな忘れてしまうから大丈夫」と話す母の声を聞きながら 
心からそうであるよう願って、レナは眠りについたのだった・・・・。

 
最終更新:2014年09月03日 13:49