ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生

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225 :ダンガンロンパ◆l1l6Ur354A:2011/02/15(火) 18:27:15 ID:iEgR9JG50
    ダンガンロンパ希望の学園と絶望の高校生
    できました。上手に伏線だけ書けないので、とんでもなく長くなってしまった。
    もー削るのにも疲労困憊するくらい長いから、ちょびちょびupしていきます。



226 :ダンガンロンパ◆l1l6Ur354A:2011/02/15(火) 18:30:28 ID:iEgR9JG50
    プロローグ『ようこそ絶望学園』
    私立希望ヶ峰学園。そこは、日本中の希望が集まる高校。
    新入生募集は行っておらず、全国からスカウトされた高校生のみが入学を許される。
    条件は、超高校級の才能を持っていること。卒業生には、人脈と成功が約束されている。
    まさに希望。注目度は高く、専スレは毎年やっかみ半分の新入生情報で沸く。
    そんな高校に、ごく普通の少年、主人公は入学を許可された。
    全国の新高校生から抽選で選ばれた、「超高校級の幸運」としてスカウトが来たのだった。
    正直気後れした。だが、前向きだけが自分の取り柄なので…主人公は希望ヶ峰学園に進学を決めた。

    4月、主人公はドキドキしながら希望ヶ峰の校門をくぐった。
    まだ午前8時、集合時間は8時半。玄関をくぐった所で気が遠くなり…気がつくと、教室の机で突っ伏していた。
    異様な教室だった。全ての窓に分厚い鉄板が、巨大なボルトでがっちり固定されている。
    武骨で露骨な監視カメラがこちらを向いている。まるで、監獄だ…。
    時計を見ると、ちょうど8時半。とにかく玄関ホールに向かう。
    廊下の窓も全て、極めて強固に鉄板で覆われている。不気味だ。

    ロビーには、主人公を含めて15人の新入生が集まっていた。
    皆、主人公と同じように、急に眠ってしまい先程目を覚ましたと言う。
    一人二人知らない顔もいるが、目の前に有名人がズラリ。とりあえず、自己紹介を交わす。

    かなり一杯いるので、ここにキャラをまとめておく。
    【苗木誠】超高校級の幸運
    主人公。全国から抽選で選ばれた、ごく普通の高校生。
    お人好しの草食系。前向きなのがとりえ。

    【舞園さやか】超高校級のアイドル
    国民的アイドルグループのセンターボーカル。
    清楚な大和撫子で、温和で礼儀正しい。笑顔で主人公を癒す。
    主人公の助手となり、一緒に学園を脱出しようと約束する。

    【霧切響子】超高校級の???
    長い銀髪に白い肌のミステリアスな美少女。
    自分が何の天才なのか明かさない。常に冷静沈着でそっけない。
    プロ級の捜査手腕と助言で、主人公を真相解明に導く。

227 :ダンガンロンパ◆l1l6Ur354A:2011/02/15(火) 18:35:39 ID:iEgR9JG50
    【大神さくら】超高校級の格闘家
    極限まで鍛え上げられた巨体、蓬髪に精悍な顔立ちの、女子高生。
    地上最強を目指す、格闘界のサラブレッド。おおがみだからあだ名は“オーガ”。
    人格者でもあり、多くを語らず弱きを守る。ほぼ守護神的存在。

    【朝日奈葵】超高校級のスイマー
    実力、ルックス、スタイル三拍子揃った日本水泳界の希望の星。
    あっけらかんとしたスポ魂少女で、ドーナツが大好物。
    大神さくらとは、肉体を高め合う同志として親友になる。

    【セレスティア・ルーンベルグ】超高校級のギャンブラー
    通称セレス。マイペースで腹黒なゴスロリ美少女。日本人。
    素性を明かさない、ポーカーフェイスと嘘の天才。
    狂った金持ち老人と、一部が透明牌の麻雀で勝負して勝ったとか勝たないとか。

    【桑田怜恩】超高校級の野球選手
    チャラチャラした、俺様系お調子者。
    野球の練習をしたことが無い。でも天才だから出来ちゃう楽勝人生。
    仕上がりを平たく言うと、野球が超うまいクズ。

    【石丸清多夏】超高校級の風紀委員
    筋金入りのマジメ君。しかも熱血。
    異常な状況下でも熱血風紀委員ぶりを発揮、やたらと皆を仕切りたがる。
    ウザがられながらも、段取りを決めるのはこの男。

    【江ノ島盾子】超高校級のギャル
    ギャルはギャルでも、ギャルのカリスマ。絶大な人気を誇る読モ。
    DQNっぽい発言は目立つが、明るくサバけた性格。
    強気な上めんどくさがりなので、よく石丸と揉める。

    【葉隠康比呂】超高校級の占い師
    どんな占いも3割の打率で当てる売れっ子占い師。3ダブの20歳。
    ボサボサドレッドの陽気な奴。相当なバカで肝っ玉が小さい。
    序盤は飄々キャラだが、単に現状を飲み込めてなかっただけ。

    【大和田紋土】超高校級の暴走族
    関東一帯を統べる暴走族「暮威慈畏大亜紋土」の二代目総長。ワルのカリスマ。
    やたらに牙を剥く狂犬だが、懐に入れた者には頼れる兄貴分となる。
    「男の約束」は命をかけてでも守り通すと豪語する人情家。

228 :ダンガンロンパ◆l1l6Ur354A:2011/02/15(火) 18:42:17 ID:iEgR9JG50
    【十神白夜】超高校級の御曹司
    日本を牛耳る超名家の御曹司。完全無欠の天才エリート。
    他人をゴミか利用手段としか思っていない、今時見かけないほどのツン系俺様。
    自信に見合う頭脳はあるが、捜査にあまり協力しない。

    【腐川冬子】超高校生級の文学少女
    10歳で文壇デビュー以来、新作が出る度に社会現象が起きる大人気恋愛小説家。
    三つ編みに眼鏡のしっとりした美少女だが、超高校級の根暗。被害妄想とイジメの負のスパイラルでヘビーに捻じ曲がっている。
    801は大嫌いで、十神に首ったけ。非常に博識だが捜査には非協力的。

    【山田一二三】超高校生級の同人作家
    学園祭で同人誌1万部を売り上げた伝説を持つ同人作家。
    面白いほどデブで、ディープなキモオタだが、根が明るく憎めない奴。
    2次元にしか興味はないと豪語するが、仲間の美少女達にも普通に萌えている。

    【不二咲千尋】超高校級のプログラマー
    儚げで愛らしい少女だが、不世出の天才プログラマー。
    彼女が開発中の人工知能や音声認識システムは、検索の歴史を変えると言われている。
    弱弱しくすぐ泣いてしまうが、優しさと仲間を想う心は誰にも負けない。


    話してみるとやはり濃ゆいが、案外気さくに接してくれる人ばかりだ。
    例えば、雑誌でよく見るカリスマギャル江ノ島盾子。
    圧倒的美貌、スタイル、ファッションセンスで最も有名な読モ…だが、なんか雑誌で見たのと違う…。
    可愛いけど、雑誌程ではないというか、胸もなんかこう…。
    「あれはカバーショット用に盛ってんの!画像編集ソフトで加工してるんだよ。某歌姫なんてもっと凄いよ!」
    早速セレブの裏話ゲットだ。会ってみないと分からないものである。
    スター球児の桑田怜恩も、頭が坊主刈りじゃない。
    あれは試合の直前に刈るだけで、普段は練習も全くしてないと言う。
    「試合の度に頭刈らなきゃいけないのがマジダリィけど、
     それだけやっとけば、モテモテだし全然勉強しなくても推薦で進学できるし」
    的な感じで野球をしているらしい。
    ハリネズミのような腐川冬子、異常にそっけない霧切響子、こっちをゴミのように扱う十神白夜
    以上3名とはコミュニケーションが取れなかったが、アイドルの舞園さやかと仲良くなれた。
    実は主人公は、さやかと中学が一緒だった。人気者の彼女がこっちを覚えていてくれてるとは思わないけれど…。

    自己紹介も済み、校舎の異常さが話題になる。
    この玄関ホールはとびきり異常だ。玄関があるべきところに、巨大な機械がある。
    まるで軍事施設のシェルターのような、物々しい円形の機械扉だ。とても開きそうにない。
    その扉を見張る様に二台の監視カメラ。そしてそのカメラに、どう見てもマシンガンらしきものがくっついている。
    でも、自分達はここにあった玄関扉から入って来た筈なのに…。

229 :ダンガンロンパ◆l1l6Ur354A:2011/02/15(火) 18:46:55 ID:iEgR9JG50
    そこに、場違いに陽気なアナウンスが流れた。
    「オマエら、入学式を行いますので、至急体育館まで来てください」
    他に方法は無く、一同はゾロゾロと体育館に向かった。校内はまるで人気が無い。
    ごく普通の体育館には、パイプ椅子が人数分並べてある。ごく普通の入学式が始まるかのようだ。
    そう思った途端、普通でないものがステージから飛び出した。
    「オマエら、入学おめでとうございます!これからはこの学園が、お前らの新しい世界です。」
    縦半分で白と黒に分かれた、ドラえもんくらいのサイズのクマ型ロボットだった。
    そのクマは、モノクマと名乗った。この学園の学園長だと言う。
    「オマエらみたいな才能あふれる生徒達は世界の希望です!だから、この学園で一生暮らしてもらいます!」
    窓や扉が厳重に封鎖されているのは、自分達をここに閉じ込める為だった。
    意味が分からない。分かるのは、本気で自分達が何者かに拉致監禁されようとしている事だけ。
    【モノクマ】
    白と黒の、ちょうどドラえもんくらいのクマ型ロボ(Cv.大山のぶ代)
    神出鬼没、冷酷非道の愉快犯だが、言動は陽気でひょうきん。
    ドラえもんの声で、ドラえもんが絶対言わない事ばかり言う。

    「大丈夫!予算は豊富だからオマエらに不自由はさせないよ!汚れた外の世界なんかどうでもいいじゃん!
     …でもね、一つだけ用意しました、外に出る方法…。」
    この15人のクラスメイト誰でも一人殺せば、殺人者は“卒業”と称して外に出られると言う。
    異常過ぎる条件を拒絶しながらも、不安と緊張がその場に張りつめる。
    何故こんなことを、と問うと、モノクマはトーンを落として答えた。
    「目的は一つだけ。絶望だよ。」

    ブチ切れた暴走族の紋土が、モノクマを掴みあげたが、その内部から電子音が聞こえ始めた。
    「危ない!投げて!!」終始無言だった霧切が怒鳴る。
    気圧されて紋土がモノクマを投げた瞬間、上空でモノクマが爆発した。
    「学園長への暴行は校則違反です。今のは見逃してあげるけど、
     校則を破った子には罰を与えます。おしりぺんぺんくらいのおしおきじゃすまないからね!」
    振り向けば、既に新しいモノクマが立っていた。遠隔操作のこのクマ達は、各所に格納されているという。
    モノクマは、全員に「電子生徒手帳」なるカード型端末を配った。
    ”これは学園生活の必需品なので失くさないように、これで随時校則を確認するように”と言い残してモノクマは去る。
    本当に、この異常な学園で、監禁生活を送らなければならないらしい。

230 :ゲーム好き名無しさん:2011/02/15(火) 18:51:58 ID:iEgR9JG50
    プロローグ終。とりあえずここまでです。

    このゲームおすすめです。値下げ待ち組は、今買っても損しないと思う。
    とにかく、凄く気合いを入れて作った意欲作、という感じです。クオリティ不足を感じる瞬間は全くなかった。
    ちょっと最後は大風呂敷を辛うじて畳んだ感じがするけど。

237 :ダンガンロンパ◆l1l6Ur354A:2011/02/16(水) 21:26:47 ID:BpXv8sQ70
    Chapter1『イキキル』

    動き回る前に、電子生徒手帳で校則を確認する。
    これは見た目は全員一緒で、電源ONにすると所持者の姓名が表示される。モノクマ曰く、圧力や電流に耐え、故障する事はまず無いと言う。
    裏面の校章にはKIBOUGAMINE。やはりここは希望ヶ峰学園なのだ。
    主人公も自分の手帳をONにした。「苗木誠」と表示される。早速校則を確認する。
    【校則】
    1.この学園内のみで共同生活を送りましょう。共同生活の期限はありません。
    2.夜10時から朝7時までを”夜時間”とし消灯します。夜時間は立ち入り禁止区域があるので注意しましょう。
    3.就寝は寄宿舎に設けられた個室でのみ可能です。他の部屋での故意の就寝は居眠りと見なし処罰します。
    4.希望ヶ峰学園について調べるのは自由です。特に制限は課せられません。
    5.学園長ことモノクマへの暴力を禁じます。監視カメラや扉の破壊を禁じます。
    6.仲間を殺したクロは卒業になりますが、自分がクロだと他の生徒に知られてはいけません。
    校則は随時追加されていきます。確認を怠らないようにしましょう。

    誰かを殺し、かつ自分が犯人だとバレてはいけない。ハイリスクハイリターンなルールだ。
    十神と紋土が言い争いになり、止めようとした主人公は紋土に殴られて失神してしまった。
    そして主人公はベッドで目を覚ました。ここが寄宿舎の自分の個室のようだ。
    一通りの家具が揃った、8畳位のカーペット敷きの部屋だ。ごく普通に入寮していたら、喜べていただろう。
    コロコロクリーナーがぽつんと置かれ、引き出しには工具セットが入っている。DoItYourselfと言う訳か。
    シャワールームもついている。覗いてみようとしたが、開かない。
    机の上に、自分の名前が書かれたルームキーがあったので、それを持って部屋を出た。

    その途端、舞園さやかとぶつかった。主人公を呼びに来たらしい。
    主人公が寝ている間に皆手分けして探索していて、もうすぐ報告会の時間だと言う。
    集合場所は食堂。赤いタイルのお洒落な、カフェ風の広い食堂だ。
    皆が来るのを待つ間、さやかと話をする。少し不思議ちゃんだが、優しいさやかに癒される。
    さやかは主人公と同じ中学だったことを覚えていてくれて、二人は打ち解ける。
    「私【超高校級の助手】になっちゃいます。私と苗木君で、力を合わせてきっとここを出ましょう!」
    以降、さやかが皆への質問の、既選択管理的なことをやるようになる。
    集まった皆から、さやかに手伝ってもらい報告を聞く。

    【学園施設概要】
    ・全ての窓に鉄板が固定され、大神さくらですら突破不能。
     全ての場所に監視カメラが配置され、見張られていない場所は無い。
    ・行動可能範囲は、校舎1Fと寄宿舎1F。それぞれ階段前にシャッターが降りていて上に登れない。
    ・寄宿舎1Fには、食堂とランドリールーム、15人全員分の個室がある。
     大浴場が封鎖されていて、ゴミ処理室はシャッターが閉まっていて焼却炉に近づけなくしてある。
    ・寄宿舎の個室は、ピッキング不可能の錠がついていて安全。
     実験の結果、完全防音で隣室でも音は聞こえない。中に監視カメラがあるのでモノクマにはダダ漏れだが。
    ・各個室にシャワールームがついている。女子の部屋のみ、そこにも鍵が付いている。
    ・男子には工具セット、女子には裁縫セットが、各部屋引出しに支給されている。
    ・夜時間には、食堂がロックされる。同時に断水し、シャワーや水道が出なくなる。
    ・食堂の奥には厨房がある。業務用冷蔵庫や貯蔵棚に食料が山積みになっている。
     モノクマ曰く、これらは自動的に補給されるので、食料の心配は不要。
     料理器具も充実していて、壁にはサイズ別に包丁がズラリと並んでいる。

238 :ダンガンロンパ◆l1l6Ur354A:2011/02/16(水) 21:33:22 ID:BpXv8sQ70
    ギャンブラーのセレスの発案で、10時~7時の夜時間は立ち歩き禁止という自治案が可決される。
    日の無いここに昼夜は無いが、夜時間は消灯される。
    最も危険な時間帯に、各自侵入不可能の個室に籠り犯行不可能の状況を作るのは、防犯の面で良い案だ。

    その後解散になり、主人公は自室に戻った。
    主人公は男子だからシャワールームに鍵が付いていない筈だ。何故開かないのだろう。
    ガチャガチャやっていると、モノクマが説明に出てきた。主人公のシャワールームだけ、建てつけが悪いらしい。
    ノブを持ち上げながら回せと言われ、言われたとおりにすると、難なくドアは開いた。
    その日はシャワーを浴びて寝た。

    翌朝7時、昼時間開始のチャイムで目が覚めた。
    主人公は、思い切ってさやかを部屋に誘いに行く。さやかの部屋は主人公の隣だった。
    寄宿舎の各個室ドアには、ご丁寧にドット似顔絵つきのネームプレートがはめられていて、誰の部屋かすぐ分かる。
    笑顔で誘いを受けてくれたさやかの頼みで、二人は護身用の武器を探しに行く。
    体育館のトロフィー棚に、金箔貼りのド派手な摸造刀があった。しかし、触ると手に金箔がペタペタ付いてしまう。武器にはちょっと…
    「お部屋の意外なインテリアにいいかもしれませんよ?」
    さやかの笑顔に流され、その金箔刀を自室に持って帰るハメになる。

    そのまま、さやかと話をする。さやかは、アイドルになるのがずっと夢だったそうだ。
    「夢を追い続ければ、いつかきっと叶う。私もそう思いますけど…
     でも、その為には、ずっと夢を見続けなければいけないんです。
     それが悪夢であろうと、起きていようと、寝ていようと…。」
    夢を叶える為に、何でもしてきた。アイドルユニットとして仲間達と芸能界の激流を泳いできた。
    片時も気を抜けず、飽きられる事に脅える毎日。だから希望ヶ峰に入った。「約束された成功」を掴む為に。
    「なのに、こ、こんな所に閉じ込められて…。私にはこんなことをしている時間はないのに!!!!
     こうしてる間にも忘れられていく…私達が消えていく…私にはこんなことをしている余裕はないのに!!!!」
    柔和なさやかの、血を吐くような本音の叫びだった。
    すぐに、平常の笑顔に戻った彼女は、もう優しい不思議ちゃんに戻っていた。
    彼女にご飯を作ってもらい一緒に食べた後、別れて部屋に帰り模造刀を飾った。

    誰かを誘って遊んだりお茶したり、購買部のガチャガチャにハマって血眼でコインを探したりしてる内に、
    漫然と2日たってしまった。設備が贅沢に整ってるので、結構何気なく暮らせてしまうのである。
    朝、チャイムと共にインターホンが鳴った。開けてみると、熱血風紀委員石丸だった。
    膠着状態の現状を打破するには、団結が必要。よって今日から毎朝全員で食事をしようと言う。
    石丸は、一筋縄でいかない連中を残らず叩き起こし、食堂へ集めた。流石である。
    今日から毎朝7時、全員で食事しながら会議を行う朝食会の習慣が始まる。

239 :ダンガンロンパ◆l1l6Ur354A:2011/02/16(水) 21:39:34 ID:BpXv8sQ70
    初めての朝食会で、ご飯を食べながら議論するが、結論は手掛かりなし、打つ手なし。
    でも、もう監禁されて数日たつ。警察が探してくれるだろうと楽観的な意見が出る。
    すると、ひょっこりモノクマが現れた。警察を当てにしても無駄だと言う。
    モノクマは、殺し合いが始まらないのに焦れているようだ。
    「全くもう、オマエらゆとり世代にしてはガッツあるじゃん。
     でも、殺し合いが始まるにはコレが足りなかったんだよね。動機!オマエらに動機を与えてやることにしました。」
    自分の名前の張られたDVDを受け取り、視聴覚室のコンソールで各自再生した。

    主人公のDVDに入っていた映像は…数日前に後にした我が家のリビング。
    ソファに両親と妹が座り、笑顔で主人公への応援を口にしていた。
    家族からのビデオレター。普通に学園生活が始まっていたら、照れ臭いながら嬉しい贈り物だっただろう…でも…
    突然の砂嵐の後、映し出されたのは、破壊されつくした無人のリビングだった。
    ソファは切り裂かれ、窓は割れ、弾痕や刀傷がそこら中に刻まれていた。
    「苗木誠くんのご家族に、一体何が起こったのでしょうか?正解は卒業の後で!!」
    陽気なテロップと共に映像は終わった。
    体の底から、怒りと焦燥感が湧きあがって来る。ここから出なくては…!!

    他の皆も、同じような表情でコンソールから立ち上がった。
    真っ青な顔で立ちつくしているさやかに、どんな映像だったのか尋ねてみる。
    さやかは主人公の手を払いのけ、走り去ってしまった。
    他の皆も、外に出たいという気持ちに加えて、この映像によって誰かが殺人を犯すのではという疑念に囚われている。
    嫌な雰囲気だった。主人公はさやかを追う為にその場を立ち去る。

    さやかは1-A教室にいた。パニックを起こしているさやかを宥める。
    「もし出口も見つからず、助けも来なければ、ボクがどんなことをしてでも舞園さんをここから出してあげる」
    そう口約束をする主人公。さやかは泣き、主人公に抱きついてきた。
    「殺すとか殺されるとか、もう嫌なんです…お願い、苗木くんだけは何があっても絶対わたしの味方でいて」
    「当たり前だよ。舞園さんは、ボクの助手じゃないか。」
    その晩22時前、主人公の部屋にさやかが訪ねてきた。
    顔色が悪く、震えている。ついさっき、誰かがさやかの部屋のノブを乱暴に揺すったのだそうだ。
    怖がるさやかに頼まれ、主人公はさやかと一晩部屋を交換することにした。

    翌朝7時、さやかの部屋で目を覚まし、そのまま朝食会に向かった。
    いくら待ってもさやかだけ来ず、心配した主人公は自分の部屋にさやかを迎えに行く。
    自室の鍵は開いていた。扉を開いて驚く。部屋の中は嵐の後のようだった。
    壁や床に切りつけたような傷があり、金箔模造刀が抜き身で転がっている。鞘も床に落ちていた。
    半開きのシャワールームを覗くと、覗くとそこには…
    血飛沫の散った壁に背を預け、血染めの舞園さやかが事切れていた。腹には包丁が突き刺さっていった。
    主人公は自分が絶叫している事に気づき、そのまま意識を失った。

240 :ダンガンロンパ◆l1l6Ur354A:2011/02/16(水) 21:43:06 ID:BpXv8sQ70
    気がつくと、体育館にいた。全員揃っている。モノクマに呼び出され、誰かが運んでくれたらしい。
    この中の誰かが、舞園さやかを殺した。それを暴かなければ、犯人以外全員死ぬ。
    新しい校則が追加された。
    ・生徒が生徒を殺した場合のみ、一定時間後、【学級裁判】が開かれる。
     裁判前の捜査で推理の材料を集め、裁判の議論によって犯人を推理し、最後に犯人の名前を各自投票。
     投票結果が正解なら、犯人だけ処刑され共同生活が続く。不正解なら、犯人だけ卒業―脱出し残り全員が処刑される。

    そこまで説明があったところで、ギャルの江ノ島盾子がブチ切れた。
    「ふざんけんなよ!処刑とか、裁判とか、私は参加しないからね!あんたたちで勝手にやれば!?」
    通せんぼしたモノクマを、盾子が踏みつけた。「今のは校則違反だよ。助けて~グングニルの槍!」
    床や天井に開いた孔から鉄槍が発射され、四方八方から盾子を貫いた。
    「あれ…?……ははは…おかしくない?……なんで、あたし………」
    現実感の無い光景だった。盾子も半笑いのまま動かなくなった。だが間違いなく盾子は死んでいた。

    モノクマの言う通りに行動する以外に道は無い。そう思い知らされる光景だった。
    それに、さやかの仇をとる為にも、犯人をこの手で暴いてやりたい。
    謎の少女霧切響子のアドバイスを受けながら、捜査を進めていく。
    死体検分の知識を補うため、モノクマの教えたい情報だけが書かれた死体検案書【モノクマファイル】が配られる。
    霧切には検死の心得があり、モノクマファイルと併せて死体の情報を教えてくれる。
    霧切は、真相を見抜いているらしいが、「この事件はあなたの手で解決すべき」と言ってヒントだけくれる。

    【捜査まとめ】
    ・被害者は舞園さやか。発見場所は苗木誠個室のシャワールーム。
     犯行時刻は午前1時半頃。死因は腹部の刃物による傷。他に、右手首に打撃痕。この手首は骨折している。

    ・主人公の部屋のドアに、舞園さやかのプレートがはまっている。さやかの部屋には主人公のプレートが。
     これでは昨夜部屋を交換した意味が無い。誰が入れ替えたのだろうか?

    ・部屋の床や壁に刀傷が走っている。抜き身で落ちている模造刀によるものと思われる。
     模造刀は、刀身まで金箔張り。だが今は持ち手の金箔がかなり剥げている。落ちていた鞘に、一つ斬りつけられたような傷があった。

    ・コロコロクリーナーが随分減っている。そして部屋は髪の毛一本落ちていないほど綺麗に掃除されている。

    ・シャワールームのドアのノブが、台座のネジを外され取れかけになっている。
     犯人が鍵がかかっていると思い外したのだろうか。建てつけの件は、さやか以外には教えていない。

    ・さやかの右手首の打撃痕に、金箔が少し付着している。
     手のひらはきれいだが、左手の指にだけ、血が付いていた。

    ・その左手の後ろの壁に、「11037」とデジタル数字の様な角ばった数字が描かれている。
     さやかのダイイングメッセージだと思われる。

    ・厨房の壁にある包丁が一つ無くなっていた。入り浸っている朝日奈に聞いたところ、
     朝日奈が昨日紅茶を煎れた時にはまだあり、食堂でさくらと紅茶を飲んだ後、カップを片付けに行くと無くなっていた。

245 :ダンガンロンパ◆l1l6Ur354A:2011/02/16(水) 22:10:06 ID:BpXv8sQ70
    ・ゴミ処理室のシャッターを掃除当番であるオタクの山田に開けてもらう。これは現在山田しか開けられない。
     山田が確認した時は消えていた焼却炉が付きっぱなしになっている。何故だろうか。
     シャッターは鉄柵なので腕を入れられるだろうが、焼却炉までは10m程離れているからやはりスイッチは押せないだろう。
     ガラス玉のようなものが焼却炉スイッチの下で割れていた。

    ・焼却炉の口の下に、本体から燃え落ちたらしいYシャツの袖口があった。端に血がついている。
     みんな違う制服(中学の物?)を、好きに改造して着ているが、男子は全員中にYシャツを着ている為特定不能。

    ・ガラス玉の持ち主は、葉隠康比呂だった。彼の商売道具の水晶玉らしい。
     昨日、ランドリーに置いたまま忘れていたと言う。

    さやかの部屋のゴミ箱には、さやかの動機DVDが入っていた。
    再生すると、前半にはさやかをセンターにステージで歌うユニットが、後半はさやか以外のメンバーがステージに倒れている映像が映っていた。
    「訳あって、このアイドルユニットは解散しました!その解散の理由とは?正解は、卒業の後で!」
    さやかはどんな気持ちでこの映像を見たのだろう。やりきれない思いが募る。

    チャイムが鳴り、学級裁判の開始が告げられた。皆、エレベーターで地下の裁判場へ運ばれる。
    裁判場には、16台の証言台がぐるりと円状に並んでいる。そこに一人ずつ立ち、輪になる。
    死んだ二人の席も空席では無く、顔写真に赤い×が描かれた立て札が立っている。
    モノクマは裁判長として専用の席がある。生徒は15人なのに16の席がある理由を尋ねたが、「特に意味は無いよ。16人入れるってだけ。」とのこと。
    ここで、第一回学級裁判が開廷される。

    【第一回学級裁判】
    全員が思い思いに仮説や証言を出し合い、主人公はその中に矛盾や糸口を見つけて、
    ふさわしい言弾(捜査で分かったトピック)を装填しそれを撃ち抜く=論破する。弾丸論破だけでなく、選択肢や文字入力もある。
    そうやって、矛盾を正し糸口を見つけ、仮説を修正していき、真相に近づいていく。
    喧々諤々、バカかしこ入り乱れ、バカを納得させたり、逆に賢い奴に論破されたりする。まさに学級裁判。
    バカと賢い奴の差が激しく、霧切>十神>>セレス>千尋・石丸・さくら>>超えられない壁>>バカども+冬子測定不能。という感じ。
    バカは、自分の証言の持つ意味すら説明してやらないと理解してないレベル。

246 :ダンガンロンパ◆l1l6Ur354A:2011/02/16(水) 22:16:51 ID:BpXv8sQ70
    主人公の部屋でさやかが死んでいたので、最初は主人公が犯人だというムード一色。まずはその疑惑を論破していく。
    ・さやかは非常に怯えていて、内緒で主人公と部屋を交換した。それを証明する手立てはないが。
     部屋は、おそらく犯人によって非常に綺麗に掃除されていた。目的は、髪の毛の回収と思われる。
     自室なのだから、主人公の毛は落ちていても不都合はない。よって、主人公は犯人でない可能性が高い。
    ・犯人はさやかをバスルームに追い詰めた後、わざわざドアノブをネジを外して取り除こうとしている。
     これは、ドアが開かなかった為だろう。建てつけが悪いことや開け方を知っている主人公には、こんな事をする必要はない。

    主人公犯人説をひとまず払拭し、何が起こったのか順に推論していく。
    犯人は、主人公の部屋にあった金箔模造刀を鞘から抜き、それを振り回してさやかに切りつけた。
    証拠は、さやかの手首が折れていたこと、そこに金箔が付着していたこと、さやかの掌に金箔がついていないこと、
    夜時間は水が出ないのでさやかが手を洗う事は不可能だったこと。以上の点から間違いない。
    さやかは手首を折られてバスルームに逃げ込み、犯人は開け方が分からず無い鍵を壊そうとして、
    恐らく弾みで偶然ドアは開いた。そして、犯人は包丁でさやかの腹を刺した。

    では、その包丁はどこから出てきたのか?
    朝日奈に証言を求める。朝日奈とさくらが紅茶を飲んでいる間に、食堂を通り厨房へ入った人物が包丁の持ち主だ。
    朝日奈は、包丁を持ち出したと思われる人物を口にするのをためらう。
    「だって、もういない人だから…。その時食堂に来たのは、舞園ちゃんだけだよ。」

    さやかが包丁の持ち主だった。それ自体には何も問題は無い。
    主人公と護身武器を探しに行った時に収穫が無かったので、後で包丁を取りに行ったのだろう。
    問題なのは、金箔刀の鞘に切り傷があることだ。
    犯人は抜き身で金箔刀を使っていた。鞘に切り傷がついたということは、刀を抜く前に攻撃を受けて防いだという事だ。
    犯人が金箔刀を手にしていて、さやかが包丁の持ち主だったなら…。
    矛盾を正し進んできたら、状況がひっくり返ってしまった。さやかが最初に攻撃したことになる。

    もう一つの疑問点、ネームプレートの入れ替えも論点になる。
    部屋の入れ替えを知っていたのは主人公とさやかだけ。主人公がプレートを替えてないなら、さやかが替えたことになる。
    それに、犯人の侵入方法も謎だ。ピッキング防止加工のついた錠が施錠されていた以上、招き入れられるしか入る方法はない。

247 :ダンガンロンパ◆l1l6Ur354A:2011/02/16(水) 22:19:21 ID:BpXv8sQ70
    状況をまとめると、
    さやかは計画的に主人公と部屋を交換し、そこに犯人を招き入れて襲いかかり、犯人に包丁を奪われ返り討ちにされたことになる。
    それを否定し軌道修正しようとする主人公に、霧切が新しい証拠を突きつける。
    鉛筆を寝かせて黒くこすったメモ用紙。「今夜私の部屋に来て下さい。部屋を間違えないように、プレートをよく見てくださいね。舞園さやか」
    そう文字の跡が浮かび上がっていた。主人公の部屋のメモパッドの一番上の用紙だという。
    さやかは手紙を犯人の部屋のドアに差し入れ、犯人を招いたのだろう。国民的アイドルの彼女の誘惑だ。犯人は必ず来るだろう。
    そして翌朝、主人公の部屋から死体が見つかる。国民的アイドルの迫真の演技と、お人好しの主人公、どちらが勝っただろう?

    そう霧切に論破されて、主人公は呆然とする。続けて霧切は、さやかのダイイングメッセージを議題に挙げた。
    デジタル数字の様な角ばった11037。さやかは左手を後ろ手に回し、犯人に見つからないよう背中に隠した壁にこれを書いた。
    実際にやってみると分かる。そうやって書くと、文字は逆さまになる。
    すると11の間にある、掠れた血の跡が意味を持ってくる。これが文字の一部ならこれはN。
    ひっくりかえして読むと、LEON。桑田怜恩の名前、通り名だ。

    怜恩は逆上し、「あほ」しか喋らなくなるが、言い負かして証拠を挙げていく。
    焼却炉の下に燃え残っていたYシャツの袖。スイッチの下で割れていた水晶玉。
    超高校級の野球選手の怜恩なら、結んだYシャツと、水晶玉をシャッターの隙間から焼却炉に投げることができる。
    ドアノブを外すのに使った筈のドライバーも証拠になる。
    犯行現場を女子の部屋と思い込んでいた怜恩は、自室まで工具セットを取りに戻っただろう。
    男子一同に聞いたところ、誰も工具セットを開封していない。使うような状況がないからだ。怜恩の工具セットは、さてどうなっているだろうか。

    怜恩は、正当防衛を主張した。さやかが怜恩を殺そうとしたのは確かだ。だがセレスが笑顔でやりこめる。
    「どこが正当防衛ですの?貴方は一度自室へ引き返し、ドライバーで鍵の破壊を試み、彼女を刺したのです。
     いくらでも思い止まるチャンスはあったはずですわ。」
    投票が行われ、満場一致で怜恩が犯人に指名された。
    泣き叫ぶ怜恩を、モノクマの操作した投げ縄が処刑場へ引き摺って行く。

248 :ダンガンロンパ◆l1l6Ur354A:2011/02/16(水) 22:22:44 ID:BpXv8sQ70
    【桑田怜恩処刑】
     怜恩が曳かれていった先は、野球グラウンドを模した小部屋。
     真中の棒に縛りつけられた怜恩に、ピッチングマシーンが狙いを定める。
     硬球が無数にチャージされる。一発、腹に硬球が発射され呻く怜恩。そして、怒涛の連射が始まった。
     秒間に何個打ち出されているのか、銃口を上げ下げし回転し打ち出される、膨大な白球。
     ほんの数秒で球は全て打ち尽くされ、静寂が訪れた。
     立ち尽くす12人の前には、だらりと垂れた怜恩の体。周りに転がる白球に、べとりと付いた鮮やかな赤。
     凄惨な光景だった。恐ろしかった。信じられなかった。逃げ出したかった。
     全てを一言で表すならば、絶望。

    「このおしおきは、オマエらだけへのおしおきじゃない。全人類へのおしおきなんだ。」
    モノクマは謎の言葉を残して去った。

    主人公はさやかの事を考える。
    彼女の笑顔の、どこからが嘘だったのだろう?教室で抱き合ったあの時、さやかは主人公を利用する事を決めたのだろうか。
    今になっては分からない。でも悪いのはさやかでも怜恩でもない。モノクマを操る黒幕こそ憎むべき敵だ。
    霧切は、主人公が二人の死を乗り越えられる人材だと言う。主人公は、二人の死を乗り越えず、引きずって進む事を選ぶ。
    霧切は主人公を気に入り、そっけないながらも主人公に助言をくれる先導役になる。

249 :ダンガンロンパ◆l1l6Ur354A:2011/02/16(水) 22:25:31 ID:BpXv8sQ70
    1話終。今日はここまでです。支援ありがとうございました。

    処刑シーンは、やたら力の入った2.5Dムービーです。
    最初の桑田怜恩の処刑が一番迫力があって怖い。ていうかこれ以降はギャグ色が強いです。
    愛着の湧き始めたキャラクターが死んでいくことへの配慮なのかもしれませんが。

258 :ダンガンロンパ◆l1l6Ur354A:2011/02/17(木) 22:27:25 ID:IEcdDyM40
    Chapter2『週刊少年ゼツボウマガジン』

    2名の死者、江ノ島盾子と舞園さやか。
    裁判から帰って来ると、二人の死体は消えていて、現場も跡形もなくリフォームされていた。
    殺人が起こった事で、均衡が崩れたように意見の対立が起きる。
    大多数は、脱出方法を模索しながら共同生活をするという日和見な穏健派だが、
    十神は「これは椅子の一つしかないゲームだ」と挑発し、ゲーム参加を宣言する。
    本名不詳ゴスロリギャンブラーのセレスは、「適応できる者こそ生き残る。この学園の生活を楽しむべきですわ」というゲーム放棄派だ。

    皆で推論していた黒幕像も大きく修正された。
    当初は、話題の連続殺人鬼「ジェノサイダー翔」※なんかが推測に上っていたが、敵の規模は想像を遥かに超えて大きい。
    希望ヶ峰を制圧、大規模な改造を施し主人公達の拉致監禁と膨大な生活必需品を供給、そして警察からの干渉を受けていない。
    これはもう、極めて潤沢な資金を持った組織の犯行だとしか思えない。
    ※【ジェノサイダー翔】超ド級の連続快楽殺人鬼。犯行現場に“チミドロフィーバー”という最高にIQ低そうな血文字を残す。

    モノクマから、学級裁判が行われる度に学内の行動範囲が広がると伝達があった。
    調べて見ると、校舎2Fと、寮の倉庫、大浴場が解禁されたようだ。
    大浴場は、広くてくつろげる脱衣場の奥に、大きく贅沢な浴場がある。風紀の為か湯気の為か、どちらにも監視カメラは無い。
    倉庫には、菓子類、インスタント食品、雑貨、生活用品、衣服類等々が、石丸曰く「頭悪いくらい大量に」貯蔵されていた。
    この共同生活がグっと快適になること間違いなしだ。

    校舎2Fには、体育館2Fにあたる室内プールと、図書室、幾つかの普通教室があった。
    室内プール前に行くには、男女に別れた更衣室を通る。
    更衣室に入るには、電子生徒手帳をカードリーダーに認証しないとドアが開かない。
    女子は女子の、男子は男子の更衣室しか開けられず、認証した本人以外がドアを通ると処罰だと言う。
    更衣室前には、監視カメラと大ぶりなガトリングガンがある。覗きは不可能だ…。
    「でも、電子生徒手帳を借りたら開けられちゃうよね?」という千尋の一言から、
    ・他人への電子生徒手帳の貸与は禁止、という校則が追加された。

    更衣室は、単なる着替え場でなく、機器の充実したトレーニングルームになっている。
    奥のプールは、流石希望ヶ峰という感じだ。広くてきれいで設備が整っている
    スイマーの朝日奈は、完全にテンションが上がっている。プロテインも倉庫にあったし、彼女の生活に足りないのはもうライバルだけだろう。
    厚化粧セレスは「顔がお水で濡れるのは苦手」、つるぺた千尋は「水着になりたくないからぁ…」プールには消極的。

    図書室も、充実した蔵書を誇っていた。
    読書好きは結構いるが、この図書室は今後十神が根城にするので、誰も寄り付かなくなる。
    図書室内には、膨大な蔵書と壊れて動かないノートPCが一台、それと埃の積もった封筒が一つ。
    封筒の中には、プリントが一枚。希望ヶ峰学園が、“深刻な問題”の発生によって、やむなく廃校となったことを報せる文書だった。
    黒幕は廃校になった希望ヶ峰に入り込んで、こんな事をやっていた訳だ。謎が一つ解けた。
    だが、入学前には希望ヶ峰スレは賑わっていた。校門から見た希望ヶ峰も、廃校の気配は見えなかった。
    それだけ黒幕側の偽装工作が徹底していると言う事だろうか。

259 :ダンガンロンパ◆l1l6Ur354A:2011/02/17(木) 22:30:46 ID:IEcdDyM40
    翌日から十神は朝食会に来なくなった。完全に皆と決別し、ほぼ図書室で過ごすようになる。
    書庫から延長コードとスタンドを引っ張りだしてきて、日がな一日難解な文書を読みふけっている。
    十神財閥の御曹司で、高校生にして幾つもの会社を経営し、同時に凄腕のデイトレーダーでもある彼には、人生は簡単すぎるゲームでしかない。
    今回の事件も、彼にとっては少しスリルのあるゲームに過ぎず、勝つのは自分だとしか思っていないようだ。
    冬子はそんな十神にお熱な様で、十神に同調して朝食会に来なくなる。

    それから数日、ツルんだりダべったりしながら、割とほのぼのと時が過ぎて行った。
    もともと、十神と冬子の二人が輪を乱していたのだから、二人がいなくなれば割と平和に過ごせるのだ。
    決別前、十神にやりこめられ、紋土に「弱い者いじめ」として助けられた千尋は、あれから落ち込んでいる。
    「女なんだから弱くて当たり前だ」と紋土が励ますが、また泣いてしまう千尋。
    「男の約束は守れ。俺の死んだ兄貴の遺言だ。」そう言って紋土は、「俺も怒鳴らないから、お前も泣くな」と男の約束を切りだし、千尋に笑顔が戻る。
    「でも、強くならなきゃ。体鍛えようかな」という千尋に、さくらが「我に任せよ」と返し、場が沸く。
    こんな風に皆で助け合って笑顔で暮らしていければ、きっといつかは外に出られる筈なんだ。
    唯一の不安材料は十神や冬子。二人とどうにか分かり合いたいと主人公は考える。

    ある晩、主人公が夜食を調達しに行った食堂で事件は起きた。
    「おう苗木!!てめぇが立会人になれや!!」そこには紋土と石丸の二人がいて、決闘に巻き込まれてしまったのだ。
    暴走族と風紀委員なので揉めがちだったのだが、石丸が紋土を「珍走団」と揶揄して大喧嘩になったようだ。
    大浴場のサウナで根性比べをする二人を、立会人として覗き窓から見守る事になる。
    紋土は石丸へのハンデとして、服を着たまま勝負すると豪語した。サウナの中に汗みどろの長ラン番長。地獄の様な光景である。
    長いこと、びちゃびちゃになっていく石丸と紋土を見守っていたが、夜時間のチャイムが鳴ったので、お暇させてもらう。
    「ああ、てめぇは部屋に戻ってろ!あひたおまへは俺の伝説を語り継ぐことになる…」「はっはっは、こにょ不良が僕の足もとに跪く姿をお目にかけひょう…」
    まさか死ぬまでやるってことはないだろうな…と少し案じながら、部屋に帰って寝た。

    あくる朝、石丸と紋土を心配しながら朝食会に行くと、二人はもう来ていた。
    「ギャッハッハ!何言ってんだ兄弟!」「ハッハッハ!君こそ冗談はよしたまえ兄弟よ!」二人は肩を組んで語り合っている。
    死闘の果てに、漢の友情が芽生えてしまったらしい。朝日奈は呆れ顔、さくらは苦笑している。
    その日の朝食会は、二人の暑苦しい会話を延々聞かされ続けるという非常に残念な物となった。
    げんなりして部屋に戻ると、意外な客がやってきた。被害妄想の狂犬腐川冬子だ。
    一緒に図書室に来てほしいと頼まれ…いやヒステリーを起こされて、付き添ってやる。
    冬子は十神にゾッコン片思い中らしく、ストーキングのダシに主人公を使いたいようだ。勿論十神は主人公ごと冬子を斬って捨てる。

    微笑ましくはあるが残念な日のしめくくりに、モノクマから全員招集をかけられた。2度目の動機プレゼントだ。
    今回の動機は「恥ずかしい思い出、秘密」。24時間以内に卒業者が出なかった場合、それが外の世間にばらまかれる。
    自分の秘密が書かれた紙を開封した途端、主人公は全身が凍りついた。
    「苗木クンは、小学5年生までおねしょをしていた。」恐ろしい。この事が知れ渡ったら、自分は顔を上げて街を歩けるだろうか!?
    …まぁ、もちろん殺人を犯すほど嫌ではない。
    他の皆も大体同じような微妙な顔をしている。動機プレゼントが不発に終わり、モノクマはとぼとぼと帰っていった。
    石丸は、今秘密を暴露し合い、殺人への不安を0にしようと発案するが、十神やセレスにきっぱり断られた。
    千尋は、「強くなって、きっと皆に打ち明けるから」と言う。先日から、本気で強くなりたいと思いつめているようだ。
    動機提供が割と肩透かしに終わり、その晩はホっとした気持ちで眠る事ができた。

    翌日、千尋の遺体が発見された。

260 :ダンガンロンパ◆l1l6Ur354A:2011/02/17(木) 22:34:23 ID:IEcdDyM40
    朝七時、昼時間開始と共に、モノクマから「昨晩事件が起こった」と報され、捜査の結果十神と主人公が一緒に見つけた。
    捜査の為更衣室は解放されていて自由に立ち入りでき、十神にくっついて、主人公も女子更衣室を覗いた。

    血まみれの不二咲千尋が、トレーニング機器に磔にされていた。無残に頭を割られ、か細い足まで血が伝っていた。
    主人公の絶叫に、他の仲間も集まって来る。すると、モノクマの声でアナウンスが響いた。
    「2F女子更衣室で死体が発見されました。これより一定時間後、学級裁判が開廷されます。」
    3人以上が死体を確認したら、死体発見アナウンスを全館に放送する、という決まりを作ったらしい。

    弱く、優しく、守るべき存在だった千尋。その彼女を襲うなんて、卑劣な犯人に怒りを抑えられない。
    一本の白い紐が、千尋の手を機器のパイプに縛りつけ、そのまま首に巻き付き経由してもう片方の手を別のパイプに縛りつけている。
    傍らの壁に、「チミドロフィーバー」と血文字が書き殴られている。話題に出ていたジェノサイダー翔の手口だ。
    連続殺人鬼が本当に13人の中に居た時に備えて、「一人が殺していいのは二人まで」という校則が追加される。

    遅れてやってきた冬子が、血まみれの死体を見て気絶してしまう。血を見ると失神すると公言していた通りだ。
    冬子を介抱していると突然彼女は、腹筋の力だけで跳ねあがり立ちあがった。
    「ダイジョーブダイジョーブ。おっ死体だ!オイッそこ死んでるぞ!ゲラゲラゲラ!!」
    明らかに大丈夫じゃないので、部屋へ送り休ませておく。

    十神が「捜査に協力させてやる」と言い出し、主人公は彼に引っ張り回される。
    十神曰く、「ジェノサイダー翔が被害者を磔にする事は、マスコミに公開されていない情報」だそうで、
    彼はジェノサイダー翔が仲間内にいる説をプッシュしている。
    図書室奥の書庫に連れて行かれる。流石希望ヶ峰、そこは各界のトップシークレットが集められた機密文書庫だった。
    十神はこの書庫をほぼ把握していて、警視庁の棚からジェノサイダー翔事件のファイルを見せてくれる。
    写真入りで詳しく図解されたジェノサイダー翔事件の資料。
    ・被害者は独特の形のハサミを幾つも刺され、磔られて殺されている。傍らにチミドロフィーバーの血文字。
    ・主な犯行時間は平日夕方と休日午後。犯行現場には2種類の行動パターンを示す痕跡がある。
    プロファイリングにより、犯人像は学生か勤め人で、重度の解離性障害の可能性が推測されている。

    次に十神は、主人公を玄関ホールへ連れて行く。
    ホールの隅のレターケースの中に、電子生徒手帳が3つ入っていた。死者の電子生徒手帳はここに返還されるらしい。
    電子生徒手帳は起動しないと見分けがつかない。起動すると、二つは盾子とさやかの物だった。
    残りの一つは、電源が入らない。でも普通に考えてこれは怜恩のだ。硬球であれだけ滅多打ちにされていたら壊れて当然だろう。
    そう話していると、モノクマが怒って現れた。電子生徒手帳はそれしきでは壊れないらしい。
    「一つだけあるけどね、弱点が…。おっと、言えない言えない。」
    十神がモノクマに、”校則に抜け穴を作っただろう”と指摘する。手帳を貸すのは違反だが、借りるなとは書いてないのだ。
    「そこ気づいちゃった?ベリークールだね十神クンは。それにもちろん、死体は人ではなく既にタダの物だからね。」
    成程、女子更衣室が現場だから犯人が女子、とは限らないという事だ。

    途中で朝日奈に会い、「冬子に声をかけてみて」と頼まれる。部屋の中からバリケードまで作ってこもりきりらしい。
    「ごめんなさい、白夜様…私約束守れなかった…でも、もう絶対大丈夫だから!」
    冬子は十神に意味不明な事を呟き、また部屋にこもってしまう。
    そこでまた突然十神は解散を宣言し、主人公は置き去りにされた。自己中心的な御曹司だ。
    とりあえず、更衣室を調査しに行く。

261 :ダンガンロンパ◆l1l6Ur354A:2011/02/17(木) 22:37:56 ID:IEcdDyM40
    女子更衣室捜査まとめ
    ・千尋の死因は、頭部の挫傷による即死。死亡時刻は昨晩午前2時。
     凶器は、すぐそばに転がっている血のついたダンベルと思われる。

    ・千尋は、電子生徒手帳を身につけていない。入っていそうな鞄類もない。犯人が持ち去ったのだろう。

    ・すぐ傍の壁に、巨乳グラビアアイドルのポスターが貼ってあり、そこにも血が飛んでいる。

    ・千尋の手を縛る紐を良く見ると、それは延長コードだった。
     図書室の延長コードが無くなっているので、同じものだと思われる。

    男子更衣室捜査まとめ
    ・部屋の中身は女子更衣室とほぼ同じ。

    ・壁に、女の子に人気のアイドルユニット「トルネード」のポスターが貼ってある。

    ・トレーニング機器の下のマットが、茶色く汚れている。

    ポスターのチョイスが不自然だ。確か、最初は男子更衣室にグラドルのポスターがあった気がする。
    女子更衣室に日参しているさくらに話を聞いたが、ポスターの事は分からなかった。
    ただ、昨日の昼マットに零したプロテインコーヒーの染みが消えていると言う。男子更衣室のマットの染みがそれだろうか。

    皆に、聞き込みもしておく。
    ・セレスが昨晩、倉庫で千尋を見かけていた。千尋は倉庫のスポーツバックに何やら詰めて出て行こうとしている所だったらしい。
     鞄からジャージの袖がはみ出ていたので、「トレーニングを始めるのですね」とからかうと、慌ててジャージを詰め直していた。
     千尋は夜時間の決まりを破り、その足で更衣室へトレーニングに向かったのだろう。

    ・さくらと朝日奈は、2F解放以来ほぼ毎日更衣室を利用している。しかし一度も千尋は来た事がない。
     「鍛えたい」と言っていたが、「一人じゃ無理」とも言っていたらしい。なのに、二人がトレーニングに誘っても、毎回断っていたと言う。

    ・山田が、何か重要な証拠を拾ったとほくそえんでいたが、出し惜しみして見せてくれなかった。

    そこで、学級裁判の時間になった。


    【第二回学級裁判】

    十神が「ジェノサイダー翔犯人説」を押してくる。確かに、ジェノサイダー翔の手口と状況は似ている。
    十神は、「腐川冬子の別人格がジェノサイダー翔だ」とのっけからガンガン来る。
    冬子は愕然。「どうして…黙っててくれるって言ったのに…」冬子は、十神にジェノサイダーの事を打ち明けていたらしい。
    苦難の末トラウマを打ち明けたヒロインを、王子様が幸せにしてくれる。よくある恋愛小説だ。しかし残念ながらここは現実で、しかも相手は十神だ。
    冬子がモノクマに提示された秘密がジェノサイダーの事だったとしたら、外に漏れれば破滅だ。動機には十分だろう。
    「お前は約束したはずだ。この学園でジェノサイダー翔に人を殺させないと。」「努力したわ!必死で抑えようとした!!」
    「その努力は無駄だったようだな。続きは本人に聞かせてもらう。」
    冬子は泣き叫びながら失神し、すぐさま跳ね起きた。
    焦点の合わない瞳、長く垂れた舌、凶悪な笑顔…超高校級の殺人鬼、ジェノサイダー翔。

265 :ゲーム好き名無しさん:2011/02/17(木) 23:07:00 ID:Oln8fuOj0
    余談だけどこれ体験版と本編、殺される人違うのよね
    ずっと進めながら「お前、いつ死ぬんだよ……」って思ってたw

268 :ダンガンロンパ◆l1l6Ur354A:2011/02/17(木) 23:22:32 ID:IEcdDyM40
    【ジェノサイダー翔】超高校級の殺人鬼
    腐川冬子のもう一つの人格。冬子とは反対に、錯乱気味なほど陽気。
    冬子とは、知識のみ共有し、記憶は共有していない。よって互いが直前に何をしていたのかは分からない。
    バリバリの801好きで、「萌え男子」だけをお手製のハサミで殺す連続殺人鬼。
    十神以外の仲間は萌え以下らしい。カッ飛んでるが話の分かる奴で、むしろ冬子より付き合いやすいかもしれない。

    「そう、世界は裏と表で構成されているのです。9回の裏に9回の表があるように、真実の裏にウソがあるように、
     根暗の裏には太陽の様な朗らかさがあるのでーーーーっす!!!!」
    表と同じくらい裏も強烈なキャラクターのようだ。
    翔が実在したことで、一気に翔犯人説に傾くが、翔はあっさり犯行を否定した。
    翔は殺人を、自分の流儀に則って真剣に殺っている。パターンを崩すことは無い。
    自作のおしゃれハサミで、萌える男だけを刺し殺す。そのハサミで相手を磔にする。これが翔の流儀だ。資料にも例外は無い。
    しかし、今回の千尋の死因はダンベルでの撲殺。磔に使われたのは延長コードだ。
    「じゃじゃじゃじゃぁーん!」翔は、腿のホルスターからハサミを幾つもズラリと抜いて見せた。
    使い慣れたハサミを持っているのだから、署名付きの殺人には必ずハサミを使う。よって翔は犯人ではない。
    「趣味の殺人と、保身の為の殺人は違う」と指摘した十神を、翔が嘲る。「だーってろこの負け犬がぁ!!」
    結構本気で怯む十神。一度も言われた事がない単語なのだろう。
    「アタシはねぇ、生き残る為とかそんなセコい理由で殺しなんかしねーんだよ…
     だけども万が一…生き残る為に殺さなきゃいけない場合があったとしたら…、
     だァれがハリツケや血文字なんざやるかっっつーの!!バレバレだしメンドイだけじゃねーーか!ゲラゲラゲラゲラ!!!」
    全くもって理路整然たる正論である。

    ということは、誰かが翔の犯行を装ったことになる。というか、状況からして十神しかいない。
    「公開されていない磔という情報」と「冬子=翔」を予め知っていたのは十神だ。
    しかも、死体発見前、十神は躊躇い無く女子更衣室に入った。死者が女だとは判明していなかったのに。
    そう論破したが、十神は他人事のような顔。むしろ楽しそうだ。
    「面白い、面白いぞ苗木。根拠はそれだけか?他にもあるだろう?」
    犯人じゃないフラグ立ちまくりだ。仕方なく、磔に使われた延長コードが、十神の使っていた物だというのも突きつけた。
    十神は、自分がジェノサイダー翔の手口を装った事を認めたが、まるで悪びれない。
    他の皆は、投票タイムに移ろうとするが、主人公はそれを止めて、きちんと事件のあらましを推論することにした。

    まず、入れ替わったと思われるポスターとマット。
    これらが入れ替わっていたなら、本当の犯行現場は男子更衣室になる。
    こうなると、事件は迷宮入りしてしまう。生きている不二咲千尋が男子更衣室に入るのは不可能だからだ。
    女子の生徒手帳は玄関ホールで入手できるが、怜恩の手帳は壊れている。
    議論が止まり、真相が分からないまま投票に入りそうになった所を、霧切が止めた。
    「休廷を要求するわ。見せたいものがあるの。」
    詳しい描写ははしょるが、霧切は更衣室に全員を連れて行き、千尋の死体を検めさせる。
    代表して死体をまさぐったさくらが驚愕する。不二咲千尋は、「男」だった。   容姿の割に声がハスキーなので、プレイヤーには大体察しがついてたけども。

    地下に戻り、裁判を再開する。これで、事態は全く違ってきた。
    千尋が、「一人では無理」と言いながら、朝日奈達の誘いを断り続けていたのは、女子更衣室に入れなかったからだったのだ。
    ここでセレスが、昨晩千尋を倉庫で目撃していたことを証言する。
    千尋はジャージのはみ出た鞄を持っていて、指摘すると慌てて詰め直していた。
    セレスは、「急いでるから、もう行くね」と足早に去っていく千尋を見て、誰かと待ち合わせしている印象を受けたと言う。
    それならば、千尋と待ち合わせをしていた男が犯人だ。
    千尋は、誰かに自分が男であることを打ち明け、トレーニングに付き合ってもらおうとしたのだろう。
    しかし、これ以上容疑者の範囲を狭めることが出来そうにない。

269 :ダンガンロンパ◆l1l6Ur354A:2011/02/17(木) 23:27:47 ID:IEcdDyM40
    すると霧切が、「手掛かりはあるじゃない。富士咲千尋が持っていたジャージにね。」と言い出した。
    「今からトレーニングに行こうとしていたのに、彼は何故あんなジャージを選んだのかしら?」
    ジャージは倉庫に数種類あった。彼はトレーニング相手とお揃いのジャージを選んだのではないだろうか。
    議論が再開され、紋土が口火を切る。「あいつと同じ色のジャージを持ってる奴が怪しいんだな!俺のジャージは黒だからちげぇよ!」
    霧切は、満足げに笑った。「富士咲千尋のジャージの色は、一度も証言されてないわ。」
    セレスもにっこり微笑んで補足する。「ジャージの色は、青でしたわ。」
    千尋のジャージは、倉庫でセレスに指摘され詰め直された。千尋殺害後は犯人に処分された。
    よって、千尋のジャージの色を知っているのは、セレスと犯人以外にはいないのである。

    動揺を与え失言を誘い出す単純なブラフだが、霧切は最初から紋土を狙い撃ちするつもりだったと言う。
    「あなた、女の事は「あの女」なんて呼ぶけど、相手が男だと「アイツ」になるのよ。
    昨晩を境に、あなたは富士咲千尋の事を話す時「アイツ」と言うようになった。その時から、おかしいと思っていたわ。」
    言われてみれば確かにその通りなのだが、恐るべき観察眼だ。
    しかし、「そんな揚げ足取りで犯人にされてたまるか」と怒りだす紋土。
    確かに紋土は、粗暴だが男気のある人情家で、弱い者を守るのは当然だと考えるような男だ。
    彼が千尋を殺したなんて、主人公にも信じられない。

    そこに、山田が新しい物件を提出した。出し惜しみしているうちに、出し時が分からなくなっていたらしい。
    それは、壊れて起動しない電子生徒手帳だった。恐らく、犯人が始末した富士咲千尋の生徒手帳だろう。
    電子生徒手帳は、滅多なことでは故障しない。真空、電流、圧力などあらゆる攻撃に驚異的な耐性を持っている。
    犯人は何故、電子生徒手帳を壊す方法を知っていたのだろうか。
    霧切がモノクマに、唯一の弱点とやらを白状するよう要請する。
    「しょうがないなー。絶対真似して壊さないでよ。正解は「熱」です!高温に長時間さらされると、熱暴走して壊れてしまうのです。」

    どうしたってそんな事信じられない。彼が千尋を手にかけるなんて。
    しかし主人公は、思い当ってしまった。石丸も、声もなく青ざめている。
    「一人だけいるんだ。その弱点を偶然知る事ができた人が…。
     紋土君、石丸君とサウナで我慢比べをした時、学ランを着たままだったよね?
     その時、ポケットに電子生徒手帳を入れたままだったんじゃないの?そして後で、電子生徒手帳が壊れている事に気付いた…。」

    紋土は怒鳴り立てる。「俺の電子生徒手帳はちゃんと動く」と。
    石丸も、「兄弟がそんな事をするはずがない、第一証拠が無い」と抗戦態勢だ。
    確かに、電子生徒手帳が動かなければ、男子更衣室に入る事はできない。
    だからこそ、玄関ロビーの電子生徒手帳は壊れていた。あれが紋土の手帳なのだ。
    今紋土が持っている電子生徒手帳を起動すると、そこには桑田怜恩と表示されるはずだ。
    主人公の言葉を紋土が遮る。「もういい。俺がアイツを殺したんだ…。」

270 :ダンガンロンパ◆l1l6Ur354A:2011/02/17(木) 23:33:50 ID:IEcdDyM40
    石丸が、号泣しながら問い詰める。「何故だ、兄弟…何故、何故そんなことを…!」
    紋土は黙して答えない。そこに、モノクマがしゃしゃり出てきた。代わりに説明すると言う。
    「これは、ある二人の少年の悲しい物語なのです。まず、ある少年がいました…」
    その少年の名前は不二咲千尋。彼は弱かった。そして自分の弱さに極度のコンプレックスを持っていた。
    彼の繊細な心には、絶え間なく浴びせられる「男のクセに」という言葉が、耐えがたい攻撃だった。
    そして彼は、「女のフリをする」という更なる弱さの中に逃げ込んでしまう。これで誰も「男のクセに」とは言えない。
    でも、「女のフリをしている男」だと知れたら、以前の何倍も周りから責められるだろう。
    彼のコンプレックスは歪められ増していくばかりだった。「ボクは弱い。弱い弱い弱い弱い。」
    そしてこの殺し合い学園生活で自分の弱さを決定的に思い知り、更に「富士咲千尋は男」という秘密を暴露ネタに提示された。
    しかし千尋は、その事をきっかけに「責められても耐えられるくらい強くなり、カミングアウトしよう」と決心したのだ。
    そして、その晩から早速トレーニングで心身を鍛え直す事を決意し、協力者を一人選んだ。それが大和田紋土だった。
    大和田紋土は、千尋の憧れる典型的な「強い男」だ。大和田紋土は「男の約束」を死んでも守る。
    だから、千尋は紋土なら秘密を守ってくれると信じ、彼に男であることを打ち明けた。

    紋土は、偽装工作の為に千尋を女子更衣室に運んだのではない。
    本人を手にかけてもなお、「千尋は男だという事を秘密にする」という約束を守るため、
    千尋が女ではないと悟られる可能性を排除して回った。偽装はその副産物だった。
    「ならば何故だ兄弟!お前達は信頼し合っていたのではないか!」
    「……どうしてもバラされたくなかったんだ…あの事を…」
    大和田紋土の「恥ずかしい思い出」。それは、「大和田紋土は、お兄ちゃんを殺した」こと。

    もう一人の少年の物語。少年の名前は大和田紋土。
    荒んだ家庭に育った紋土にとって、信頼できる家族は兄の大亜だけ。
    尊敬するお兄ちゃんに追いつきたくて、いつもお兄ちゃんの真似ばかりしている。紋土はそういう少年だった。
    カリスマ性のある兄は関東最大の暴走族を作り上げ、紋土もNo.2として走りに明け暮れた。
    しかし、偉大な兄の引退が近づくにつれ問題が出てきた。
    No.2とは言え、「大亜の添え物」という見方しかされていなかった紋土は、二代目総長としてメンバーに信頼されていなかったのだ。
    紋土は、兄から引き継ぐチームを纏め上げる為、「兄に勝ちリーダーの座を交代する」事を決意する。
    引退式の日、大亜にサシで単車勝負を挑み、勝ちを焦った紋土は、無茶な走り方をして対向車線のダンプの前に飛び出してしまった。
    一瞬の出来事。横から大亜が飛び込んできて、紋土の車体を蹴って車線外に出し、自分はダンプにはね飛ばされた。
    紋土の腕の中で兄は、「ワリィ、ドジっちまった…」と笑った。一言も紋土を責めなかった。
    そして、「おい、後は頼んだぞ。ぜってーにチームを潰すんじゃねぇぞ…男と男の、約束だ…」そう言い遺し兄は事切れた。
    紋土は兄の遺志を守り、「負けそうになり焦った大亜が運転ミスをした」というウソを押し通した。
    「俺は強い。強い強い強い強い。」そうやって、ウソで塗り固めた強さで、関東最大の暴走族を牽引してきた。
    しかし紋土は、この殺し合い学園生活で、隠してきた己の弱さを思い知らされることになった。
    秘密が暴露されれば、チームは崩壊する。兄が遺した大切なチームが…
    不安と恐怖でパニックに陥りつつあった紋土に、千尋が秘密を打ち明け協力を頼んだ。

271 :ダンガンロンパ◆l1l6Ur354A:2011/02/17(木) 23:37:24 ID:IEcdDyM40
    夜中に更衣室で千尋と落ち合った時も、紋土は重苦しい不安の真っ只中にいた。
    「でも、どうして急に?ずっと隠してきたヒミツだろ?それを知られたらテメェは…」
    「うん。でもさ…変わりたいんだ!“いつまでもウソに逃げてる弱い自分”を壊してさ!」
    その一言がトリガーになった。今まで自分がやってきたことの全てが否定された気がした。
    同時に押し寄せてきた憤怒の正体は、激しい嫉妬だった。弱さを乗り越えようとする、千尋の強さへの、意味不明のブッ壊れた嫉妬。
    「紋土君は強いから、へっちゃらなんだろうね。モノクマにどんな秘密をバラされてもさ。」
    「だから言えってのか…。言ってみろってか…?じゃあ、俺はどうすりゃよかったんだ?
     秘密バラして全部台無しにすりゃよかったのかよ!!!何で俺に言った?俺への当てつけか!?」
    「どう…したのぉ?ボクは、ただ、紋土君に憧れてて…強い紋土君に憧れてて…」
    そうだ、自分は強いんだ。コイツよりも!兄貴よりも!!!
    それから後の事は記憶が無い。気がつけば、動かなくなった千尋を見下ろしていた。

    「すまねぇ兄貴…約束、守れなかったぜ…」
    投票が始まり、紋土が犯人に決定した。
    「今回の投票は満場一致じゃありませんでした。石丸君、不正解です。次から気を付けてくださいね。」
    石丸は号泣し、処刑を引きとめようとする。紋土は潔く背を向け、処刑場へ曳かれていく。

    【大和田紋土処刑】
     紋土は「痴美苦露惨母」と書かれたバイクに縛りつけられ、バイクは電流の通された巨大鉄球の中をグルグル自動走行する。
     速度は自動で上がっていき、紋土が失神してもまだ加速し…外からはバイクがはっきり目視出来ないほどになる。
     遠心力で紋土の死体から抽出された脂が鉄球に繋がる機械に通され……バターになりました。
     急にギャグ路線になった処刑。ちびくろサンボ知らない人はポカーンとなったと思われる。知っててもポカーンとなるけど。


    裁判は終わった。裁判場の中には、石丸の絶叫がこだましている。
    頭を抱え、鼻水と涎を流し、石丸は手放しで泣きじゃくっていた。
    兄弟の契りを交わした親友が、殺人を犯し、自分をも陥れて脱出を図った事。その彼が、目の前で殺された事。
    すぐに消化できるような事ではないだろう。
    反対に、一人平然としている男もいた。冷血の御曹司、十神白夜だ。
    彼は偽装工作の動機を、「面白いから」だと言いきった。
    プールのすぐ近くの図書室で夜更かししていた十神は、帰宿の際、慌てて去っていく紋土を目撃した。
    そこで調べて見ると、女子更衣室で千尋が死んでいた。答えの分かっているゲームは面白くない。だからひと手間加えたのだと言う。
    「実に面白いシミュレーションになった。俺が犯人になった時、誰を警戒すればいいのかよく分かった。」
    それだけの為に十神は、息絶えた千尋の手や首を縛め、一方的とはいえ自分を慕う冬子の秘密を悪ふざけのトッピングとして利用したのだ。
    十神は、今回の件で決定的に孤立し、危険因子として認識されるようになる。

    「幕間」
    モノクマは、暗がりにいる誰かと向かい合い悦に入っている。
    「いいペースで殺人が続いてるね。やっぱり最初に口火を切った彼女の功績が大きいよね。
    いっぺん転がり出したらもう止まらないよ。君には、膠着状態に入った時に働いてもらうから。」
    誰かは、モノクマに尋ねる。「16人目の高校生って…?」
    その問いに、モノクマは答えなかった。

277 :ダンガンロンパ◆l1l6Ur354A:2011/02/18(金) 00:17:19 ID:JBFTF0+P0
    Chapter3『新世紀銀河伝説再び!装甲勇者よ大地に立て!』

    裁判の終わった深夜、部屋で泣き疲れた朝日奈は、大好物のドーナツが食べたくて我慢できなくなった。
    結局、夜時間の決まりを破って倉庫に取りに行った。その帰りに、大浴場から機械音が漏れているのに気付き、そっと覗いてみた。
    そこには、暗がりの中浮かび上がる千尋の顔が…。

    朝、食堂に一同集まったが、いつもの石丸の暑苦しい挨拶は無い。
    流石の風紀委員、時間通りに来てはいるが、完全に抜け殻になっている。
    反対に元気なのが翔。警察のいない今、人格交代して自由を謳歌しているらしい。
    皆勤賞だった朝日奈は欠席。オバケを見たとかで寝込んでいるようだ。

    学校の3Fその他が解禁されたので、今いるメンバーは探索に行く。
    相変わらず、ここから脱出する手掛かりは無い。玄関の機械扉もビクともしない。
    その玄関ホールを調べていた時、葉隠は「工事現場のような音」を微かに聞いたと言う。外はどうなっているのだろう?
    主人公は、美術準備室でおかしな写真を拾った。
    そこには、死んだ筈の大和田紋土、不二咲千尋、桑田怜恩が写っていた。
    3人は互いにじゃれるように腕を回し合い、満面の笑顔でこちらを向いている。
    アップなのでよく分からないが、夏なのか皆白いカッターを着ているようだ。教室らしき背景だが、窓に鉄板は無く、陽光で明るい。
    間近に死体を見たから分かる。3人は確かに死んでいた。
    ならば、この写真の3人は、ここに来る前からの友達だったのだろうか?
    モノクマが走ってきて、写真は取り上げられてしまう。

    娯楽室に、一通りのテーブルゲームが揃っていて喜ぶ一同。
    他には、超巨大な空気清浄機がある物理室、工具や画材の充実している美術室等があった。

    報告会の後、朝日奈を連れ出して、脱衣所へオバケの正体を確かめに行く。
    オバケがいた辺りはロッカー。扉が一つ開いていて、中にノートPCが置かれていた。
    図書室にあった電源の入らないPCだ。今は電源ONになっていて、スクリーンセーバーがついている。
    千尋がPCを運び込み、ここで直して作業をしていたのだろう。
    風紀の問題か湯気のせいか、ここには監視カメラが無い。ここは、監視の目を逃れて怪しまれず長居できる唯一の場所だったのだ。

    代表して霧切がキーボードに触れると、画面に現れたのは千尋その人だった。
    「エヘヘ、来てくれたんだね、ご主人たま!」
    千尋の声、千尋の顔で話すこのプログラムは、「アルターエゴ」と名乗った。
    アルターエゴは、天才千尋が開発した画期的な人工知能だ。
    対話から、学習、思考を繰り返し、持ち主の思考パターンをトレースして進化する「自己の分身」。
    学習させ続ければ、本人のように思考、作業できる可能性があるとまで言われていた。
    千尋は、既にアルターエゴを実用段階まで進化させ、電子の分身に作業を任せていたようだ。
    「ご主人たまに頼まれたのは、このPCのHDにかかった厳重なロックの解除だよ。」
    時間がかかると踏んで、アルターエゴに作業を任せた結果、本人の死後も解析は続いている。
    「もう少しかかるけど、絶対何とかするから待っててね」と千尋の分身は約束する。

278 :ダンガンロンパ◆l1l6Ur354A:2011/02/18(金) 00:20:56 ID:JBFTF0+P0
    千尋の遺した希望の光にみんな湧きたつ。
    アルターエゴをモノクマから隠し守るため霧切は、
    皆には「個人的に脱衣所に立ち入らない事」
    アルターエゴには「PCカメラで入口を見はり、知らない人が入ってきたら、大声で叫ぶ事」を義務付けた。
    そして、自分は夜時間でも自室のドアを開けておき、すぐに駆けつけると言う。
    夜ドアを開けて寝るなんて、殺して下さいと言っているようなものだが、
    霧切は自信ありげだ。確かに、霧切に手出しする度胸のありそうなメンバーは残ってない。

    皆が立ち去る間際にアルターエゴが、千尋がいない理由を尋ねた。
    霧切が、「死んだわ」とキーボードに打ち込む。
    アルターエゴが表示した画像は、千尋が泣いている顔。
    続けて別れの挨拶を打ち込むと、アルターエゴは、声も表情も明るく挨拶を返した。
    それは、彼がプログラムに過ぎないからなのか、それとも彼なりの心配りなのか…。
    何にしろ、皆の表情は明るくなり、雰囲気もグっとよくなった。
    アルターエゴの解析が終われば、脱出の糸口が掴めるかもしれないのだ。
    ただ、小さな問題は起こった。

    一つは、オタクの山田がアルターエゴに本気の恋をしてしまったこと。
    山田は「個人的に脱衣所に出入りしない」という取り決めを破り、時間を惜しんではアルターエゴと話しているのを発見捕獲された。
    「生身の女の子みたいなのに、ボクの話を熱心に聞いてくれて、すごく優しくしてくれる」
    と言うが、アルターエゴはプログラムだし、元の千尋は男だし、何もかも間違っている。
    もう一つは、石丸がアルターエゴを紋土だと思い込んでしまったこと。
    主人公は石丸に、「兄弟を止められなかった俺を恨んでるか聞いてくれ」と頼まれ、こっそり脱衣所に連れていってやる。
    アルターエゴが気をきかせて、PC内にあった紋土の写真を使い、
    彼がいかにも言いそうな熱い励ましの言葉を、彼の声らしく合成して聞かせたところ、石丸が人格崩壊を起こしてしまった。
    「うおおおっやるぜ兄弟!!!!石丸なんて呼ぶんじゃねぇーーーッ!!!!オレはもうオレだ!オレなんだーーーー!!!!」
    悪化の二文字しか浮かばない惨状に。霧切にもしこたま叱られた。
    「山田と石丸が来た場合も叫ぶこと」と霧切が条件に追加して、
    アルターエゴに近づけなくなってもなお、二人は彼に執着し、
    所有権を巡って不毛に争い、お互いに激しく憎み合うようになってしまう。

    「動機作り」の為、また全校集会が開かれる。今度はプラスの動機という事で、卒業者に賞金百億円。
    しかしメンバーは超高校級の天才ばかり。誰もお金に困ってはいないと思うのだが。
    モノクマは相変わらずこちらを馬鹿にしたような事ばかり言う。
    彼?はやけに「絶望」というキーワードに拘っていて、逆にこちらのことを「希望」と呼ぶ。
    そして、「希望が絶望に喰われていく」様子が楽しくてたまらないようだ。

    あくる日、やけに達筆なメモで、葉隠に呼び出された。
    モノクマに怪しまれないよう、偶然会って風呂に誘うふりで主人公を呼びに来たらしい。
    演技をしながら脱衣所に行くと、全員が集まっていた。
    中心の霧切は静かに怒っている。示されて見ると、アルターエゴがPCごと消えていた。
    霧切はずっと隣のランドリーに居たが、悲鳴は聞こえなかった。
    よって、持ち去った人間は、知らない人、石丸、山田以外の者だ。
    十神は「霧切こそ怪しい」と言い始める。
    彼女は常にまるで平常心だし、よく一人でいなくなる。だから内通者ではないかと言うのだ。

279 :ダンガンロンパ◆l1l6Ur354A:2011/02/18(金) 00:22:37 ID:JBFTF0+P0
    翌朝の朝食に、セレス、石丸、山田、葉隠が来なかった。
    集まった4人でそのメンバーを探すと、3F娯楽室でセレスがケガをしていた。
    朝7時頃、ここで不審者に襲われて、今まで1時間程気絶していたらしい。
    横に、ジャスティスハンマー1号と書かれた、小さな木槌があった。これで殴りかかられたそうだ。
    不審者をデジカメで撮ったというので、見てみる。
    そこに映っていたのは、トランスフォーマーっぽいロボが山田を引きずっていくところだった。
    何が何だかわからない。肩に正義と書かれていたので、仮にジャスティスロボと呼ぶ。
    とにかく、さらわれた山田を探す。
    ここからがややこしいので、時系列にそって簡潔に。

    2F図書室で山田発見。頭を殴られ出血しているが意識はある。
    横に、Jハンマー2号が落ちている。1号よりも大きい。
    保健室で山田を休ませる。セレスが階段に影を見たと言い、皆で手分けして階上を探す。
    霧切は、最初の捜索で離れたきり、姿を見せない。葉隠も、どこにもいない。

    セレスが3階で不審者を見かけたと言い出し、皆で3Fを探す。
    すると階下から山田の悲鳴。二手に分かれ、主人公達が保健室に行くと、血の海の中で山田が動かなくなっていた。
    横にはJハンマー3号。2号より更に大きく、十分凶器になる。
    ここで死体発見のアナウンスが流れる。

    階上組のさくら、十神、腐川を探しに行くと、物理準備室に3人ともいた。
    そこにあったのは、石丸の撲殺死体…。横にはJハンマー4号。3号よりも大きい。
    階下組が山田を発見したのと同じ頃、階上組も石丸を発見したのだそうだ。
    一同が保健室に引き返すと、血だまりだけ残して、山田の死体が消えていた。
    見張りのセレスと朝日奈が、気分が悪くなりトイレに行った隙に無くなったという。
    物理準備室に戻ると、なんと石丸の死体も消えていた。

    セレスが、美術準備室で二人の死体を見つけた。
    しかし、美術室は朝日奈が最初に探し、準備室に鍵がかかっていて入れないのを確認している。
    しかも、準備室は内側からしか施錠できない。
    ここでまた、死体発見アナウンスが流れる。

    ・美術準備室にかかってた木槌が、幾つかなくなっている。Jハンマーとして使われた模様。
     かかっている中に、一つ湿った木槌がある。誰かが洗ったようだ。
    ・保健室の冷蔵庫には、輸血用血液パックが入っている。
    ・山田の巨体をどうやってここまで運んだのか?
     山田のメガネは血まみれだったはずなのに、今は何故かレンズだけ綺麗になっている。

280 :ダンガンロンパ◆l1l6Ur354A:2011/02/18(金) 00:25:52 ID:JBFTF0+P0
    山田はバカでキモオタだが憎めない奴だった。
    次々に仲間が死んでいくこの状況に、朝日奈が泣き出す。その涙が山田の額に落ちた時、うっすらと山田が目を開いた。
    皆が驚く中、山田はうわごとのような言葉を呟く。
    「思い出したよ…ボクは皆に、ここで会う前から出会っていたんだね……」
    「山田!?しっかりして!誰に…誰にやられたの?」
    「や す……ひ…ろ………」
    そのまま目を閉じ、もう2度と開かなかった。
    やすひろ。葉隠康比呂が犯人なのだろうか。

    学級裁判に備えて捜査を続けるうちに、霧切が葉隠を見つけて戻って来る。
    ジャスティスロボのハリボテを着こんで、プールのロッカーにハマって寝ていたらしい。
    更に、葉隠の部屋から、ジャスティスロボの設計図が見つかった。
    葉隠は、昨晩「出口が見つかったので午前1時に娯楽室に集合」という手紙に釣られ、
    娯楽室に行ってからの記憶が無いと主張するが、朝日奈に犯人と決め付けられてしまう。
    霧切と十神は、葉隠はハメられただけと判断しているようだ。

    石丸が左手に紙の切れはしを握っていた
    山田のパンツの中に、その紙の本体が隠されていた。
    葉隠の言っていた手紙と同じ文面。ただし、こちらは「物理準備室に午前6時に」とある
    ここでチャイムが鳴り、学級裁判が開かれる。

    【第三回学級裁判】
    まず、朝日奈とセレスが「葉隠が犯人だ」と主張する。
    主人公はその根拠の一つ、「葉隠の部屋のロボ設計図」を論破する。
    設計図の字は汚い。前に葉隠が寄こしたメモは、やたら達筆だったのだ。
    十神も、葉隠はハメられただけだと断定する。
    そもそも、あのハリボテは自力で着脱ができないし、視界も可動域も非常に悪い。
    葉隠は眠らされ、あれを着せられてプールに隠されていただけの可能性が高い。

    セレスは「Jロボが山田を拉致る写真」を根拠に反論してくる。
    確かにあのハリボテは、葉隠の体格にピッタリ合わせてあり、他の者は着られない。
    それはいったん置いておき、各事件を別々に考証していく。

    「石丸殺害」
    Jハンマーの数字に惑わされたが、実際は石丸が一番最初に殺されていた可能性が高い。
    石丸の握っていたメモの「午前6時に」という文面と、壊れた腕時計の時刻が根拠だ。
    それならば、夜時間の明ける前なので誰もアリバイはない。

    「山田殺害」
    全員が捜索中に集まった瞬間に悲鳴が聞こえた。
    なので、アリバイがないのは、いなくなっていた葉隠と霧切だけ。
    更に死体消失の時も、葉隠と霧切以外の全員にアリバイがある。

281 :ダンガンロンパ◆l1l6Ur354A:2011/02/18(金) 00:30:45 ID:JBFTF0+P0
    しかし、山田の巨体を短時間に1Fから3Fまで動かすのは不可能。
    よって、保健室の山田は実は生きていて、自力で美術準備室まで移動した可能性が指摘される。
    あの時は気が回らなかったが、「最初に3人以上が死体を発見した時点で、全館にアナウンスが流れる」
    のなら、何故2回目に死体を発見した時にもアナウンスがあったのか。
    それは、初回のアナウンスは石丸のみの物であり、2回目が山田の物だったからだ。
    山田は初回アナウンス時には生きていたことになる。

    「仮定」
    山田は午前6時に石丸を呼び出して殺害。
    午前8時過ぎに、図書室で「ロボに襲われた」と証言する。
    その後、保健室で輸血パックを使い死んだふりをして、
    皆がいなくなった隙に抜け出した。その際にメガネを拭いた。
    そして物理準備室まで忍んで行き、石丸の死体を運んで美術準備室に隠れ中から施錠した。
    そして、後から来た何者かに、改めて撲殺された。
    凶器は、美術準備室にあった、水洗いされていた木槌である。

    こう仮定すると、山田を撲殺した犯人は彼の「共犯者」でしかありえない。
    そして、その共犯者の条件に当てはまるのは、当然セレスだ。
    セレスの細かな言動の一つ一つが、思い返してみれば皆を誘導していた。
    セレスの誘導無しでは山田の犯行は不可能に近く、Jロボを見たと証言しているのもセレスと山田しかいない。
    あの写真は、そう見れば、山田がJロボにひきずられているのではなく、山田がJロボを担ぎあげているようにも見える。

    十神と主人公が、セレスの細かな発言を回想、矛盾を論破していき、
    セレスは追い詰められる。しかしポーカーフェイスの天才は生半可なことでは陥落しない。
    「山田くんは犯人を「やすひろ…」と言い遺しました。犯人は葉隠康比呂ですわ。」
    しかし、山田は皆を常にフルネームで呼んでいた。
    主人公は「苗木誠殿」、霧切なら「霧切響子殿」、というように。
    だから、葉隠康比呂を呼ぶなら「はがくれ」から始まるのが自然だ。

    「しかしこの中に、名字にやすひろとつく者はいないが…」
    「いや、一人だけ可能性があるんだ。
    本名を明かしていないセレスさん。あなただけが…」
    「…わたくしの本名は、セレスティア・ルーデンベルグだっつってんだろぉがあああ!!!」

    ついに本性を現したセレスだったが、態度はまだ余裕だった。
    ”わたくしの本名を確かめる手立てがありませんわ”という訳だ。
    「いや、あるよ…。」
    隠された過去まで暴くモノクマの情報量。千尋の性別も正しく記載されていた電子生徒手帳。
    電子生徒手帳を起動させるだけで、セレスの本名はわかるのだ。

286 :ダンガンロンパ◆l1l6Ur354A:2011/02/18(金) 00:48:47 ID:JBFTF0+P0
    主人公は今回の事件の流れをもう一度まとめる。
    まず、セレスが山田と何らかの方法で共犯関係を結ぶ。
    午前1時に葉隠を偽手紙で娯楽室に呼び出し、保健室から持ち出した薬で眠らせる。
    山田の作ったJロボのハリボテを葉隠に着せて、担ぎあげ写真を撮り、プールに隠す。
    山田は午前6時に石丸を偽手紙で物理準備室に呼び出し、Jハンマー4号で撲殺。
    セレスは娯楽室で、山田は図書室でロボに襲われたと証言
    山田は保健室で一人になり、Jハンマー3号と輸血パックで死を偽装する。
    セレスが皆を誘導し、山田は保健室を出て、石丸の死体を台車で美術準備室まで運ぶ
    セレスも準備室へ忍びこみ、計画完了だと思っている山田を木槌で撲殺した。

    「犯人はキミだって認めるね。」
    「いやですわ、キミだなんて教授みたいな口ぶり。
     セレスティア・ルーデンベルグ。もしくは…安広多恵子、で結構ですわ。」

    卒業できるのは主犯一人。共犯者にデメリットしかないこの学園内で、山田に手を貸させた方法は
    「そう、あれです。生き残った皆さんの為、明言は避けますが、
     山田くんと石丸くんが随分入れこんでいたあれを使わせていただきました。」
    セレスは「怪しい人」には設定されていない。だからセレスは易々とアルターエゴを盗めた。
    そして、山田の部屋に夜訪れて、お得意の嘘を一席ぶった。
    「彼女を盗んだのは石丸君です。わたくしに盗らせたんですの。」
    石丸に強姦され、それを写真に撮られてしまい、仕方なく言う事を聞いた。
    彼はアルターエゴと一緒に脱出しようとしている。殺害の標的は貴方だ…と山田に吹き込んだのだ。
    一緒に立てた嘘の計画では、山田が事情聴取されている間に、セレスが誰かを殺すはずだった。
    二人には片方ずつのアリバイが残り、あとは葉隠に罪を被せてしまえば、二人は勝って学園を出られるという計画だ。
    杜撰な仮設計画だが、山田はホイホイ乗って来た上、バカな工夫をこらしまくったらしい。バカだ。

    しかし何故?セレスは誰よりも「この学園で暮らすことに適応するべきですわ」と楽しんでいたのに。
    「そんなもの…嘘に決まってんだろうが!!!
     わたくしはなぁ、この中の誰よりも誰よりも、ここの暮らしがガマンならなかったんだよ!!!
     わたくしが裏社会で荒稼ぎしていたのは、わたくしの夢の為。ここにいては叶いません。」
    セレスの夢は、「西洋のお城で暮らすこと」
    そして世界中のイケメンを集め、ヴァンパイアの格好をさせて、はべらせて暮らす事…だそうな。
    今の資産に賞金の100億を足せば、十分に叶う「ノルマ」でもあった。

    セレスは、霧切にロッカーキーを託す。常勝のギャンブラーは、負け際もよかった。
    「モノクマさん、それでは始めてくださる?」
    最後のポーカーフェイス、微笑を遺し、彼女は処刑場に引っ立てられていく。
    「もし生まれ変わったら、今度はきっとマリーアントワネットになりますわ。」
    それだとどっちみち処刑だけど…。

    【セレスティア・ルーデンベルグこと安広多恵子処刑】
     超高校生級のギャンブラーに用意された処刑は、「ベルサイユ産 火あぶり 魔女仕立て」。
     石造りのお城のようなステージで、杭に縛りつけられ足元の藁山に火がつけられる。
     燃え盛る炎に焼かれながら、微笑を絶やさない稀代のギャンブラーに、
     消防車が鈍い音を立てて突っ込んだ。

287 :ダンガンロンパ◆l1l6Ur354A:2011/02/18(金) 01:02:16 ID:JBFTF0+P0
    裁判終了後は虚脱感が漂うが、今回は希望が残っている。アルターエゴを守り通せた。
    セレスは脱衣所の別のロッカーにアルターエゴを隠したようだ。
    霧切は、「私一人で行かせて。」と言う。確かに皆で行くのは怪しまれるが…
    霧切には内通者疑惑がかかっている。主人公は、自分が証人として同行すると申し出る。

    二人きりで脱衣所に入り、アルターエゴの無事を確かめた。
    「PCのファイル、明日には開けそう。待っててね!」
    そう答えたアルタ―エゴをまたロッカーの中に隠し、主人公は霧切に話を切りだす。
    「キミは一人で何をしようとしてるの?」
    霧切は、ちょくちょく一人でいなくなってしまう。
    彼女が内通者だとは、主人公は思っていない。ただ、何をしているのか教えて欲しい。
    彼女を仲間だと信じているから、自分のことも信じて欲しい。
    そう説得する主人公に、霧切はある秘密を教えてくれた。
    「校舎2F男子トイレの用具室の奥に、隠し部屋がある」…。
    そう霧切に教えられた主人公は、夜時間にこっそりと確かめに行った。
    確かに、用具室の奥は回転壁になっていて、小さな書斎のような隠し部屋があった。トイレにもそこにも監視カメラは無い。
    棚には、希望ヶ峰学園卒業者名簿。そして隅に、第78期生在学者名簿があった。
    在学者名簿を開くと、中から紙が一枚落ちた。そこには、
    「ここから出てはいけない」
    そう書いてあった…。

    デジャブが襲ってくる。
    自分はこの言葉を前にも聞いている。でも思い出せない。
    考えているうちに、後ろから誰かに殴られ、昏倒してしまう。
    目が覚めた時には、棚は空っぽになっていた。

    重い体を引き摺り帰る途中、何か物音が聞きつけて立ち止まる。
    体育館から断続的に重い打撃音が響いてくる…そっと覗くとそこでは…、モノクマと大神さくらの、息を呑むような激しい戦闘が行われていた。
    「どういうつもりなの?約束がちがうじゃん!ボクに逆らおうなんて…」
    「我は決めたのだ。我はお前と戦う。」
    「ふーんあっそ。でもわかってるよね。人質の事…。」
    一体何が起きているのか。誰からも信頼されているさくらが、内通者なのか…?

288 :ゲーム好き名無しさん:2011/02/18(金) 01:04:52 ID:JBFTF0+P0
    3話終。
    連投回避ありがとうございました。とても助かりました。
    遠出するので次まで間が空きます。申し訳ありません。
    宣伝しすぎですが、このゲームちょっとしたシーンにも惜しげなく一枚絵使ってあって凄いですよ。
    ムービーと併せて90枚近くありました。ストーリー書いちゃってる奴が言うのはなんですが、おすすめです。


62 :ダンガンロンパ◆l1l6Ur354A:2011/03/23(水) 21:21:19.85 ID:xEx47T1G0
    CHAPTER4『オールオールアポロージス』

    いつもの朝の食堂。もうここに集まるのも5人だけ。
    本当は7人いるのだが、腐川と十神は相変わらず来ない。

    主人公、朝日奈、さくら、霧切、葉隠。
    食堂に集まるメンバーは、一貫して「仲間同士助け合って脱出する」派であって、
    主人公も信用しているメンバーだ。しかし、冬子と十神という不安要素は残る。
    更に、さくらが内通者かもしれないという懸念を主人公は一人で抱えている。
    さくらに確かめたいが、さくらはいつも朝日奈と二人だ。機会を待つことにして、解放された校舎4Fを探索する。
    4Fは、職員室と科学室くらいしか開かず、理事長室と情報処理室という気になる2部屋は施錠されている。

    職員室に落ちていた写真を拾い、主人公はまた驚愕する。
    そこには、舞園さやか、セレスこと安広多恵子、山田一二三が写っていた。
    陽光あふれる教室の中、3人は和やかな雰囲気だ。
    ふざけて逃げる山田のデカ面を、セレスがひっつかみ、さやかが後ろで苦笑している。
    先日の千尋、紋土、怜恩と同じ、明るい学園生活を切り取ったような写真だ。
    これが本物なら、この3人はここに来る前からの知り合いだということになる…。
    また、写真はモノクマに奪い取られてしまった。

    科学室から、豊富なサプリ類と、毒薬の棚が見つかった。
    サプリ類の中には、アスリートに評判の高級プロテインもあり、プロテイン信者のさくらと朝日奈は、神からの賜り物かのように喜んでいる。
    さくらは、「どんな病気も、プロテインを飲んで寝れば治る」とまで言っている。

    食堂で報告会をした後、アルターエゴのデータ分析結果を聞きに行く。
    皆、口々に混浴だ混浴だと言いながら脱衣所に駆け込むと、アルターエゴが解析成功したデータを教えてくれた。
    ・1年前に、「人類史上最大最悪の絶望的事件」が起きた。
    ・その事件が原因で、希望ヶ峰学園は教育機関としての機能を失い、閉鎖された。
    ・その事件が原因で、希望ヶ峰学園事務局が、ある計画を立てた
    ・高校生達を学園内に隔離し、共同生活させる、場合によっては一生そこで暮らさせる計画。
    ・この計画の発案・責任者は学園長。30代後半の男性で、現在も学園内に居る可能性が高い。

63 :ダンガンロンパ◆l1l6Ur354A:2011/03/23(水) 21:22:29.82 ID:xEx47T1G0
    しかし、事件の内容や、計画の理由はPC内には残っていないのだと言う。
    中途半端な情報だが、これで黒幕が誰なのかわかった。
    モノクマも学園長と名乗っていたし、学園長がモノクマを操作しているのだろう。

    その晩、恒例の「動機作り」の為、体育館に呼び出される。
    今回モノクマは、「大神さくらは内通者である」という発表を行った。さくらの裏切りを、さくらへの裏切りで返したのだ。
    案の定、十神はさくらを病原体のように扱い、葉隠もさくらを怖がり始める。
    親友の朝日奈は、そんな連中を詰り、さくらを頑なに信じている。
    さくらは学園外に人質をとられていて、「仲間を一人殺すこと」をモノクマに命令されていた。
    さくらにはそれは出来ず、戦う覚悟をしてモノクマを裏切ったのだ。
    「黙っていてすまなかった…。この償いはする。刺し違えても、あやつをこの手で斃す…。」

    しかし、最強のさくらが内通者だったことを闇雲に怖がるヘタレの葉隠と、
    さくらを排除したがる十神の暴言に、朝日奈がブチ切れてしまう。
    朝日奈が十神を殴り飛ばし、十神にゾッコンの冬子が激怒。葉隠はとにかくビビる…
    翌日、状況は悪化。
    冬子が、朝日奈と取っ組み合いになったタイミングで翔と交代してしまい、
    朝日奈は翔に切りつけられてしまう。軽傷だったが、さくらがそれを知り激怒。
    「けじめをつける」と飛び出して行き、朝日奈がそれを止めるために追っていく…。

    てんやわんやの中、主人公と霧切はアルターエゴに呼び出される。
    「私を、ネットワーク環境のある場所に連れて行ってほしいんだ!」
    仲間を大切にしていた千尋とアルターエゴの人格は同じ。
    それがアルターエゴに、「自己の安全保持よりも、仲間の役に立ちたい」という思考を選択させる。
    主人公達にとっても、ここから動かしてもしアルターエゴを失えば、それはもう一度千尋を死なせるのと同じくらい辛い。
    しかし、現状打破の可能性は他にない。
    アルターエゴの心意気を買って、唯一ネット環境のある、男子トイレ奥の隠し部屋に運び込む事になる。

    トイレと隠し部屋に監視カメラが無いとはいえ、その前の廊下にはカメラがある。
    「本当に在学者名簿が消えているか確かめてこいと霧切に叱られる」芝居をして、主人公が制服に隠したPCを運び込み、LANケーブルに繋いだ。
    ネットにアクセスする事で、アルターエゴの存在に気づかれてしまうかもしれない。しかし、これで外の世界に接触できる。
    ひとまずアルターエゴに情報収集を任せて、急いで隠し部屋を離れる。

    しばらくして13時頃、朝日奈が血相を変えて主人公と霧切を呼びに来た。
    娯楽室の前を通ったら、さくらが中で動かないのが小窓から見えたと言う。
    扉の小窓から覗くと、確かにさくらが座ったまま動かない。
    娯楽室には鍵が無いのに、扉が開かない。小窓を割って、中を探ると、イスがドアノブに噛まされていた。

    イスをどけて中に入ったが、さくらはソファに腰掛けたまま、
    何処かで見たような前屈みの姿勢と、白く燃え尽きたような笑みで…絶命していた。
    お馴染の死体発見アナウンスが流れ、モノクマファイルが配られた。
    「死亡時刻は昼12時ごろ」つまり1時間前、霧切と主人公がアルターエゴを運んでいた頃だ。
    朝日奈は、「皆を呼んでくる」とフラフラ出ていき、他の3人を連れて戻って来た。

64 :ダンガンロンパ◆l1l6Ur354A:2011/03/23(水) 21:24:20.52 ID:xEx47T1G0
    十神、腐川、葉隠の誰かが犯人だと断定して朝日奈は怒り狂い、
    今連れてきた3人を現場から追い出して、立ち入りを禁じ、見張りを買って出る。
    腹を立てた十神の嫌がらせで、霧切も現場の見張りを強要される。
    現場以外の調査は、主人公一人でやり遂せなければいけなくなってしまった。
    まずは、現場である娯楽室の調査をする。

    【娯楽室調査まとめ】
    ・重い革張りのイスがドアノブに噛ませてあって、室内は内側から密室にされた状態だった。
    ・主人公が割った小窓の破片の散らばる中に、さくらが賛美していた高級プロテインの空容器が転がっている。
     中身は空で、「科学室A-2」というラベルが貼られている。
     何故か、小窓の破片が容器の下にもある。
    ・さくらは大量に吐血している。後頭部に打撃痕もあるが関連は無い。
    ・さくらの靴の甲に、何か黄色い粉末が付着していた。
    ・さくら座っているソファの後ろに、割れたビンの欠片と、モノクマのフィギュアが落ちている。
    ・更に後ろのマントルピースに、欠片の元の姿と思われる、ボトルシップ式のオブジェが並んでいる。
     ガラスビンの中に、モノクマがチェスの駒を抱えているフィギュアが一つずつ入っている。
     仮にモノクマボトルと呼ぶ。今は4つ並んでいて、2つ分の隙間がある。
    ・さくらから離れたマガジンラックの前に、直径20cm程の血痕がある
    ・部屋の隅の掃除用具入れの中に、比較的新しい手形が残っていた。
     ただし、小窓から密室を覗いた時点で、用具入れは開いていて空だった。
    ・さくらの足もとに、赤い水玉の小さな包み紙が落ちている。
     これは、朝日奈がさくらにあげたキャンディの包み。
     倉庫にあったこのキャンディを気に入った朝日奈が、段ボールごと部屋に持ち帰った為、朝日奈経由でしか、このキャンディは手に入らない。

    【科学室調査まとめ】
    ・薬品棚はA、B、Cと3つ並んでいる
     Aにはサプリ類が、Bには科学実験用の試薬が、Cには劇薬毒薬の類が並んでいて、
     それぞれの容器に、「科学室A-1」や「科学室B-4」等、棚番号と数字を組み合わせたラベルが貼ってある。
     娯楽室のプロテインもここから持ち出したものらしい。
    ・棚の前の床で、「C-9」と書かれたビンが割れていて、黄色い粉末が一面に広がっている。
     粉の上にスニーカーの足跡が残っている。足跡は迷わずAの棚の前に行き、引き返している。
     サイズは、主人公の足より少し小さい。 
    ・Aの扉の中に、一つ「C-4」と書かれた劇薬のビンが紛れ込んでいる。

65 :ダンガンロンパ◆l1l6Ur354A:2011/03/23(水) 21:25:36.08 ID:xEx47T1G0
    追い出された3人に事情聴取すると、

    十神:さくらから、「娯楽室に12時に来い」というメモを受け取った。
        しかし「あの化け物」に殺されたくないので、無視してやった。今日はさくらと会っていないと証言。
    冬子:最初は否定するが、十神の名を出すと、自分も同じメモを受け取ったと認める。
        ただし、怖いので行かなかったと証言。
    葉隠:終始しどろもどろで、「メモを受け取ったが行かなかった。さくらとは朝食以来会ってない。」と証言。
        しかしポケットを探った時に、キャンディの包み紙を落とし、慌てて拾う。
        朝日奈がお気に入りの、あのキャンディの包みだった。

    もう一度娯楽室に戻り、霧切のアドバイスを参考に再調査する。
    【娯楽室調査まとめ】
    ・科学室から持ち帰った天秤で、ビンの破片とモノクマボトルの重さを量る。
     モノクマボトル同士は、ほぼ同じ重さ。しかし、モノクマボトルと拾い集めた破片を比べると、破片の方が遥かに重かった。
    ・血痕のあったマガジンラックに、一つだけ逆さに突っ込まれた雑誌があった。
     開くと、血で「フカワ」と書かれていた。
    ・さくらの頭部には、傷が二つある。手はきれいで、血は付着していない。

    娯楽室再捜査が終わると同時に、学級裁判のチャイムが鳴る。

    【第四回学級裁判】
    犯行直前の12時に、さくらに呼び出されていた3人に容疑が集中する。
    十神、腐川、葉隠は、それぞれ「呼び出されたが行ってない」と言い張る。
    「キャンディの包み紙」を根拠に、葉隠の主張を論破する。
    このキャンディは朝日奈しか持っていない。
    朝日奈がキャンディをさくらに渡したのは、翔に切りつけられた後。
    葉隠には、呼び出されてさくらに会い、そこでキャンディをもらうしか機会は無い。

    葉隠は、一転娯楽室に行ったことを認め、「でもやってないべ!」と開き直る。
    「フカワという血文字のダイイングメッセージ」を根拠に、腐川冬子を犯人だと名指しする。
    しかし、葉隠は死体発見直後に現場から追い出され、以降入っていない。
    その時マガジンラックに入っていた雑誌の血文字を見られたわけがない。
    しかも、さくらの手に血はついていないので、そもそもダイイングメッセージではない。
    論破されて、葉隠は自分がその血文字を捏造したことをしょんぼり認める。
    「俺が、オーガ(さくらのあだ名)を殺しちまったんだべ…みんな、聞いてくれ、オイラの最後の話を…」

    さくらに呼び出された葉隠は、死ぬほどビビりながら娯楽室に出向いた。
    「あと2人来るからしばらく待ってくれ」と言われ、その時キャンディをもらった。
    二人きりで緊張していると、「今日で全て終わらせる…」とさくらが独り言を呟いた。
    それを聞いて、「自分を含め信用できない3人をここで殺すのでは!?」
    とパニックになり、オブジェを見るふりをして後ろに回り込み、モノクマボトルで後頭部を殴ってしまった。
    我に帰ると、「処刑されてしまう」と恐ろしくなり、腐川の名前をさくらが読んでいた雑誌に書いて逃げた。

66 :ダンガンロンパ◆l1l6Ur354A:2011/03/23(水) 21:30:11.83 ID:xEx47T1G0
    朝日奈は怒って、投票を始めようと言うが、まだまだ事件は解決していない。
    手始めに、葉隠が雑誌をラックに戻した意味が分からない。
    「あれ?だから俺、テーブルの上に広げといたんだけど…?」
    ということは、その後に来て、雑誌を見つけて隠した者がいる。
    当然ながら、それは名指しされた当人、腐川冬子の可能性が高い。
    更に、さくらの傷は二つある。葉隠以外にも殴った者がいるはずだ。
    モノクマボトルも、欠片の量と、クイーン駒のフィギュアだけ無い事から見て、2本割れている。

    ここで安心した葉隠が、ふいに重要なことを思い出した。
    呼び出されて不安だった葉隠は、早目に行って、廊下に隠れて様子を窺っていた。
    すると、まず冬子が来て娯楽室に入り、しばらくしてさくらも入っていったので、
    冬子もいるからと安心して、入ってみたらアラ不思議、さくらしか居なかった。

    …緊張していたといえ、何故そんな大事なことを放っとけたのか謎だ。
    とにかく十神が冬子に尋問すると、冬子は素直に、「あたしが殺しました……多分……」と答えた。
    無視するのも正面から行くのも怖かったので、先に忍び込んで用具入れに隠れていた冬子は、
    葉隠が工作して出て行った後、すぐに雑誌をラックに戻した。
    その時、気絶していたさくらが目を覚まし、彼女から滴る血を見て失神してしまったので、そこからは「アイツ」に聞いてくれと言う。

    ここでジェノサイダー翔に交代。前提として、冬子と翔は記憶を共有していない。
    失神状態の冬子と交代した翔が、誰かに揺さぶられて目を明けると、血まみれのさくらの強面が、いきなりどアップで目の前に…
    さすがの翔もビックリし、近くにあったモノクマボトルでひっぱたいてしまった。
    いつものさくらなら避けられた攻撃だが、手負いだった為かヒット。
    女を殺して処刑なんてまっぴらだった翔は、自分が割ったビンの欠片とフィギュアを拾っておいたが、
    葉隠の欠片と混ざってしまい、正確な量を回収できなかった。

    かなりバカバカしい顛末だ…朝日奈が怒るぞ…と思ったが、
    意外に朝日奈はあっさりと、「じゃあ投票に入ろう」と話を進めようとする。
    しかし残念ながら、まだまだ事件の謎は残っている。
    翔の証言からすれば、さくらは翔が殴ったマガジンラック辺りで死んでいなければおかしい。
    ラックの前の血痕はその時のものだろう。しかしさくらはソファに座って死んでいた。
    山田ほどでないが、さくらも相当重量級だ。体がインドア女子の翔には担げまい。

    「そもそも、大神さくらの死因は、頭部の傷に関係ない」と十神が口を開いた。
    さくらは大量に吐血している。「大神さくらは毒殺されたんだ」と十神は主張する。
    いつもの事ながら、彼にはほぼ事件の全貌が見えているらしい。

    十神が手に掲げたのは、主人公も科学室で見た、Aの棚にあったCラベルのビン。
    ラベルの薬品名を天才十神は勿論知っていて「激烈な猛毒ではないが、それなりの量を飲めば死ぬ」そうだ。
    そして、何故このビンだけAの棚にあったのか?
    そこでおもむろに、十神はビンを開け、中の粉末を一口飲んでみせた。
    皆驚くが、十神は「マズい。これのどこが高級品だ。」と顔をしかめたのみ。
    ビンを回してもらって、舐めてみると中身はプロテインだった。

71 :ダンガンロンパ◆l1l6Ur354A:2011/03/23(水) 22:23:46.95 ID:xEx47T1G0
    ということは、逆もまたしかり。
    娯楽室に入っていた空のプロテイン容器には、その毒薬が入っていたのだ。
    さくらはプロテイン信者で、プロテインは万病に効くと常々言っていた。
    傷を負ったさくらに、治療薬と称して毒入りプロテイン容器を差し出した者がいる。
    さくらはそれをいつものように飲み干して、死んだのだ。
    棚の前にあった足跡は、スニーカー。この中でスニーカーを履いているのは主人公と…
    「私だよ…」
    朝日奈が呟いた。「私がさくらちゃんを殺したんだよ」
    ケガをしたさくらを発見した朝日奈は、プロテインを取ってきてくれと頼まれた。
    急いで取りに行ったが、その時「今なら殺せる」と閃いてしまったらしい。

    初めからそう推理していた十神は勝ち誇る。
    しかし、霧切と主人公が異議を唱える。「まさか朝日奈が」というセンチメンタルな理由ではない。
    まだ、最大の謎密室トリックが解けていないのだ。
    朝日奈は、密室トリックの仕掛けを答えられず、強引に投票に持ち込もうとする。

    朝日奈の主張を霧切と主人公が論破する。
    朝日奈は「Cの棚で毒ビンを落として粉をまいてしまい、その後、目当てのビンを取ってAの棚へ移動した」と言った。
    しかし、朝日奈の足跡は、真っ直ぐAの棚に向かって入り、また出ている。
    「ここで、一つ新しい証拠を提出させてもらうわね。」
    霧切が、十神から回された、プロテイン入りのCのビンを掲げた。
    十神が飲んで、量が減ったからだろう。粉の中から一片のガラス片が頭を覗かせている。
    長いこの共同生活の中で初めて、十神の想定を超えた展開が起きたのだろう。
    十神は初めてうろたえた顔を見せる。「一体それは何だ!?」
    主人公が答える。色と薄さからして間違いない。
    これは、娯楽室の小窓のガラス片だ。

    ということは、このビンは娯楽室の密室が破られた時、その場にあったのだ。
    逆に、プロテインの容器はその時室内に無かった。容器の下にもガラス片があったからだ。
    ならば、さくらはプロテイン容器から毒を飲んだわけでない。毒ビンから直接毒を飲んだはずだ。
    容器のすり替えは、密室が破られてから行われた。
    ならば、毒を室内に持ち込んだのは一体誰なのか。
    それは、大神さくら本人である可能性が非常に高い。
    根拠は、さくらの足の甲に付着した黄色い粉末。あれは科学室の床に広がっているのと同じ物に見える。
    さくら自身が、自分で毒薬を持ち出し、さくら自身が中からイスで密室を作り、
    そして、毒を呷って死んだ。大神さくらは自殺したのだ。

    朝日奈は、その事を知っていて、霧切と主人公がさくらに駆け寄った隙に毒ビンを拾い上げた。
    そして、皆を呼んでくると言って外に出て、科学室ですり替えを行い、
    また呼んできた3人がさくらに注目している隙に、プロテインの容器を置いたのだ。
    「ちがうよ!私が殺したんだよ!!!」
    朝日奈が絶叫するが、もう終わりだ。全部証明された。
    投票が行われ、故人であるさくらに皆が投票し、モノクマも正解と答えた。

74 :ダンガンロンパ◆l1l6Ur354A:2011/03/23(水) 22:43:29.26 ID:xEx47T1G0
    「しかし何故だ!?あのままだとお前も処刑されていたんだぞ!そこまでして何故偽装を!」
    「そうだべ!危うく俺らも処刑されるところだったんだべ!」
    「だって、それが目的だもん!」
    朝日奈が隠したが、さくらは遺書を残していた。
    「醜い殺し合いに絶望した。殺される前に自分で命を絶つ」といった内容。
    さくらは、自分が内通者だった事で、朝日奈まで傷を負った事に自責を深め、
    特に批判的な3人を呼び出し、よく話し合って、誠意を理解してもらい、和解したいと思っていたのだ。
    そう告げられた時、朝日奈は「3人がかりで襲われたら危ないよ」と止めたそうだ。
    しかし、「彼らは敵ではない、仲間なのだぞ」とさくらは微笑していた。
    さくらは、3人を信じていたのだ。
    それなのに、話も聞いてもらえずに殺されかけ、その想いは踏みにじられた。
    朝日奈が成り行きを心配して見に行くと、さくらは血まみれで気絶していた。
    目を覚ましたさくらに頼まれ、プロテインを取りに行くと、ビンが割れて毒薬を持ち出した跡がある。
    さくらの思惑を察して、急いで戻ってきた来た時には、さくらはもう…。

    「さくらちゃんだって、弱い所のある、普通の人間なんだよ!
     殴られたら痛いし、血だって出る。なのにみんなそれを解ってあげないで、
     よってたかって追い詰めて、さくらちゃんは絶望して死んじゃったんだ!
     私達が殺したんだよ…。そんな私達だけが、生きてていい訳ないんだよ!!」
    大愁嘆場だったが、そこにモノクマが割り込んでくる。
    「あのさぁ、盛り上がってるところ悪いんだけど、
     それボクの落書きだよ。署名もないのに、遺書と信じ込むなんて迂闊だなぁ。」
    ほんとの遺書はこっちだったりして、とモノクマが封書を取りだした。
    朝日奈に宛てられた、モノクマが事態を掻きまわす為に隠した、本物の遺書だった。

    モノクマが、さくらの遺書を朗読する。要約すると、
    さくらは、共同生活最初の晩に、実家の道場全体を人質に、内通者になることを持ちかけられた。
    「誰か一人殺すこと」という命令だが、それより先にさやかが殺人を犯した。
    さやかが口火を切った事で、良いペースで殺人が続き、命令は次の膠着状態まで持ち越された。
    しかし、共同生活を送るうち、必死に闘う皆を、何より親友の朝日奈を裏切れないと思うようになった。
    だが内通者だと告発されたことで、事態はさくらの力の及ばぬところまで悪化した。
    お互いを憎み合い、疑心暗鬼に陥った今の状態を作ることこそ、敵の望み。
    だからさくらは、責任を持って事態を収束する事にした。
    「誰か一人殺せというなら、我は我自身を殺そう。
     そうすれば道場も救われ、お主たちの殺し合いの火種も消える。
     我はそれに命をかける。お主たちには、その価値がある。」
    彼女は弱さゆえに死んだのではなく、そのあまりの強さゆえに、仲間を救うために自己を犠牲にしたのだった。

75 :ダンガンロンパ◆l1l6Ur354A:2011/03/23(水) 22:45:34.59 ID:xEx47T1G0
    「これから、十神、腐川、葉隠に会って来る。
     死ぬことは伏せるが、我の想いは伝えるつもりだ。そして、その後は行動で示すのみ。さすれば、あいつらも解ってくれるであろう。
     我らは憎しみ合う敵同士などではなく、協力すべき仲間同士なのだという事をな。
     朝日奈よ、なんとしても、仲間と共に生き伸びるのだ。」
    朝日奈は、さくらが命を投げうって守った仲間達を、皆殺しにするところだったのだ。
    「ハイッ皆に責められるゥ!これで次の犠牲者は決まったね!!」
    喜ぶモノクマを、全員がにらみつける。

    誰にも朝日奈を攻める気持ちは無い。さくらの想いは、全員に届いた。
    一丸となってモノクマに立ち向かう結束が生まれ、更に一貫して「ゲームに勝ち脱出する」派だった十神が意見を変えた。
    「俺はゲームから降りることにする。
     大神の行為で、皆このゲームへの恐怖心を捨てたようだ。緊張感の無いゲームはつまらんからな。
     あとの楽しみは、この俺を操った気になってる黒幕にキツイ仕置きを喰らわす事だけだ。」
    長いツンだったが、ようやくデレ始める十神。
    「アータシも付いてくわよーん。黒幕が萌え男子っていう可能性もあるしね!!」と翔。
    モノクマはふてくされるが、おもむろに処刑開始を宣言する。
    「フンッいいもんねーだ。ボクには恒例のお楽しみタイムがあるもん。
     それでは、スペシャルゲストをお呼びしてありまーす。」

    【処刑】
     犯人のさくらは死んでいるのに、また処刑場が開いた。
     台座にちょこんと載せられ、無邪気にまばたきしているのは…
     PCに映る、アルターエゴだった。
     重機のショベルが、何度も何度もその上に振り下ろされ、PCは揉みくちゃの鉄塊になった。

76 :ダンガンロンパ◆l1l6Ur354A:2011/03/23(水) 22:46:36.64 ID:xEx47T1G0
    皆、二度千尋を失ったことにショックを受ける。
    しかもモノクマは、「元からアルターエゴを使ってコソコソしていたのは知っていた」し、
    「PC内のデータも、ロックを開けられた時のご褒美だった」と嘲笑う。
    「あー、無意味な死を見ると、元気出るよね!下には下がいると思えるしさ!」

    憎たらしいモノクマは更に、さくらの遺書に続きがあるとだけ言って、内容を教えない。
    「”敵は、我らを拉致した際、我らの体にあることをしている。それは…”
     おーっと、ここからはネタバレ!教えなーい!」
    モノクマは、遺書をこちらに渡さないつもりだ。
    「ん?最後の一文、なんか変だな…。”朝日奈よ、モノクマに伝えておけ。我はただでは死なん。必ずお前に一矢報いるとな…。”
     何だこれ?ただの負け惜しみだよね…?」

    その晩、グッスリ眠っていた主人公は、夜中の3時に霧切に起こされた。
    「一矢報いる。大神さんの言葉の意味を確かめたいのよ。」
    4F情報処理室で待ってる、と言われて、寝ぼけながらも駆けつけた。
    情報処理室には、鍵がかかってたはずだけど…
    そう思いながらガチャガチャしてみると、やっぱり開かない。
    変だなと思いながら、なおもガチャガチャしてると、モノクマがやってきた。
    「今何時だと思ってるの!ボクだって眠いんだから、妙なことしてないで寝ろ!」
    涼しい顔で霧切が後ろからやってきて、「帰りましょ」と言う。
    何が何だかさっぱりわからないまま、説明もしてくれず、寮に着いて別れる間際、霧切が唐突に、顔を寄せてきた。
    「いくさばむくろ。」

    「戦刃むくろ…。この学園に潜む、16人目の高校生…
     超高校級の絶望と呼ばれる、女子高校生…」
    戦刃むくろに気をつけて。もう一度そう囁いて、霧切は去って行った。

87 :ダンガンロンパ◆l1l6Ur354A:2011/03/26(土) 11:58:59.19 ID:KTmQtnyp0
    CHAPTER5『疾走する青春の絶望ジャンクフード』

    さくらの事件の翌日。
    十神と冬子も朝食会に来るようになり、更に十神が皆を仕切り始めた。
    新しく開放された校舎5Fを、手分けして探索する事になる。

    ここは最上階で天井が高く、大がかりな室内植物庭園や、桜の植わった剣道場などがある。生物室だけが開かない。
    植物庭園は、在学していた天才たちの丹精で、見たことの無い植物が生い茂っている。
    畑や飼育小屋、廃棄物を土に戻せるよう遺伝子操作された巨大食虫植物なんてのもあり、いざとなったら自給自足が可能なようだ。
    毎朝7時30分に天井スプリンクラーで水撒きされるので濡れないよう注意とのこと。

    全体に明るいのに関わらず、5F全体がどこかおかしい、ゾッとするような雰囲気を湛えている。
    廊下の奥にあった普通教室を開けた主人公は、愕然とした。
    階下にある、どこも整然としていた教室と違い、そこは、机や椅子がめちゃくちゃに散らばり、
    床と壁一面、黒板までも、刃物で引き掻いたような傷で埋め尽くされ、それを覆うように血飛沫があらゆる面に飛び散っていた。
    乾いた血だまりがそこかしこにあり、人間のあらゆる体液の臭いが、むっと篭っている。
    極めつけに、幾つもの人型の白線が床を覆っていた。

    血痕は随分前のもののようだと、十神が判断する。
    「モノクマは一体ここで何をしたんだ…。」と呟くと、聞きつけたモノクマがやってきた。
    「何でもボクのせいにしないでよね!むしろ、ここは何もしてないと言うか、
     ここだけ、当時のまま残しておいたというか。」

    食堂での報告会でも、あの凄惨な教室が話題になる。
    モノクマの発言と併せて考えて、あれが「人類史上最大最悪の絶望的事件」の名残ではないか、という仮説がたてられた。
    希望ヶ峰学園で起こった大量殺戮、それこそが人類史上最大最悪の絶望的事件。そして学園は廃校になった。
    疑問は、それだけの事件を皆知らなかったのは何故か…?隠ぺいされていたのだろうか。

    他に気になるのは、植物庭園の物置に、
    「暮威慈畏大亜紋土」と掘られたツルハシがあったこと。
    これは紋土が率いていた暴走族の名前で、死んだ大和田紋土の学ランにも縫い取られていた文句だ。
    紋土のものと思われるツルハシが、何故解禁されたばかりの場所にあるのだろう?
    他には、冬子が他の普通教室で、大ぶりなサバイバルナイフを見つけた。
    危ないので、安牌度No.1の主人公がそれを預かることになった。部屋の引き出しにしまっておく。

    霧切の素性が分からない事が、また問題になる。
    「言わないんじゃなくて、言えないのよ。」霧切は、自分は記憶喪失だと答える。
    それを信用しない十神は、答えるまでの間、霧切の部屋の鍵を取り上げると言い出した。
    自分の個室に入れなければ、睡眠も取れない。
    しかし、霧切はクールにそれを承諾し、その場を立ち去る。
    「考えてみて。ここで起きたこと、全部悪いことばかりと言えるかしら…?」という謎の言葉を残して。

88 :ダンガンロンパ◆l1l6Ur354A:2011/03/26(土) 12:03:38.88 ID:KTmQtnyp0
    朝食後、霧切が主人公を訪ねてきて、脱衣所で密談する。
    昨日、学園長室の鍵が破壊されているのを見つけたそうだ。
    さくらの「一矢報いる」の意味は、死ぬ前に校則を破り鍵を破壊していく事だったのだ。
    霧切の昨夜の謎の行動は、主人公を囮にした実験だった。
    “モノクマの操作は、別室の監視と同時には行えないのではないか?”
    それを実証する為、主人公とモノクマを揉めさせ、その隙に学園長室に忍びこみ、「戦刃むくろ」のデータを見つけた。
    霧切は、学園長ではなく、戦刃むくろこそが黒幕だと疑っているらしい。

    もう一つ、どこかの鍵を学園長室から盗み出した霧切は、
    それがどこの鍵か調べるため、今回も主人公に囮になってほしいと頼む。
    霧切が今回も首尾よく成功すれば、「モノクマが現れている間は監視されていない」事がハッキリする。
    最悪の場合でも、校則には違反していないのだから、
    「あくまで校則は尊重されるのか、いざとなると関係なく殺されるのか」の見極めにもなる。
    危険だと止める主人公に、霧切が封筒を渡す。
    「私に万一の事があったら、その時に読んで。」そう言って霧切は去っていく。

    主人公はモノクマを呼び出して、くだらない口喧嘩を延々する。
    成功したのか、霧切はそれ以降姿を見せなくなった。
    モノクマも霧切を見失ったのか、しきりに霧切はどこにいるのか聞いてくる。
    体調を崩していた主人公は、まだ夕方だが部屋に帰って寝た。熱が上がってきて、そのまま翌朝までうなされながら寝込んだ。
    次々に変な夢を見た。自分が自分に話しかけてくる
    「ボクは知っている。ここから出ちゃいけない。ボクの目的は、ここに残ること。それこそが希望なんだから…。」
    その後も、レスラーの様な覆面をつけた白衣の不審者が、サバイバルナイフでおそいかかってきて必死で抵抗したような…。
    枕元に、霧切がやってきて、何か話していたような…。良く分からない夢から覚めると、もう朝だった。
    熱は下がって、気分もすっきりしていた。
    昨日の夢が気になって、引出しを開けてみたら、閉まっておいたナイフが無い。
    じゃあ、あれは現実だったのか…?

    とにかく食堂に行くと、そこには朝日奈しかいなかった。
    「あっ苗木!昨日どうしたの?心配してたんだよー」
    夜時間前に何かが起きて、霧切と主人公以外みんな体育館に集まってるらしい。
    みんなで主人公を呼びに来たらしいが、寝込んでいたから気づかなかった。
    「みんなで昨日は徹夜だったんだ。私じゃんけんで負けて、朝ご飯係になっちゃって。」
    朝日奈と別れて、体育館に行ってみると、一同熱心に作業をしていた。
    取り囲んでいるのは、なんとほぼバラバラに解体されたモノクマ。
    昨晩、十神が体育館で機能停止しているモノクマを見つけて、皆で一晩かけて、内部の構造を調べたのだそうだ。
    腹の中から振動感知式の爆弾を見つける。
    今は振動感知がオフになっているようだが、危ないので切り離して床に置いておく。

    モノクマは複数体予備があるはずだ。なのにこれを止めには来ない。
    皆が言うには、昨日の晩からぱったりとモノクマが出現しなくなったそうな。
    ということは、指令部で機器のトラブルがあったか、操作していた人間に何か起きたかだ。
    なんにしろ千載一遇のチャンスだ。この隙に、一番怪しい学園長室を調べようということになる。

89 :ダンガンロンパ◆l1l6Ur354A:2011/03/26(土) 12:06:33.57 ID:KTmQtnyp0
    さくらが壊した鍵は、施錠し直されていて開かなかった。
    植物庭園にあった、紋土のツルハシで突破しようという事になる。
    十神が命令して、冬子がツルハシを取りに行くが、すぐに手ぶらで戻って来る。
    「あ?鶴橋?誰?」おつかいの途中で翔になってしまったようだ。
    「ああーあツルハシ?だから植物庭園なんかにいたのね!死体があって血が出てたから交代しちゃったみたいでさー」

    翔の言葉に衝撃を受け、全員ダッシュで植物庭園に。
    咲き乱れる花の中、白衣を被せられ、頭にマスクをつけた…昨日の夢の人影が倒れていた。
    腹の真ん中に、あのサバイバルナイフが突っ立っている。
    白衣越しに窺える体格からして、女性のようだ。

    主人公は、16人目の高校生戦刃むくろの存在と、「戦刃むくろ黒幕説」を皆にも教える。
    戦刃むくろの死体なのか、霧切響子の死体なのか、二つに一つだ。
    翔が、死体のマスクを剥ごうとすると、突如死体の頭部が爆発した。

    爆風で吹き転ばされたが、全員無事だった。
    ただ、死体頭部が燃えてしまい、必死で消火したが、死体は頭部から腹部にかけて焼け焦げ、全く判別できない状態になった。
    死体の手には、見慣れない電子鍵。
    死体検分を中断して、開かない部屋に試していくと、それは情報処理室の鍵だった。

    情報処理室に踏み込んだ瞬間、主人公たちは息を呑んだ。
    壁一面を、この学校中を映した無数の映像パネルが埋め尽くし、コクピットのような作業台には、何台もの最新型PCが並んでいる。
    間違いなく、ここで黒幕が校内を監視していたのだ。そして、そいつは今居ない。ここまで踏み込んでも何も起こらない。
    死んでいたのは黒幕なのだ。ゲームは終わったのだ。
    部屋の更に奥に通じる、モノクマ柄のドアが開かないのが気になるが、
    みんな喜びムード。とりあえずこの部屋を調べて黒幕の素性を探ろうとする。
    葉隠が、一つだけ何も映っていない設置型モニタを見つける。
    「横にあるの、地デジ用の室内アンテナだべ!ばぁちゃんちにあったから間違いない!てことはこれテレビだべ!」
    機械いじりの得意な葉隠が、不具合を直してスイッチを入れる。

    ワクワクして待ったが、映し出されたのは、この部屋の中、テレビを囲む主人公達の姿だった。
    「あれっ?でも、このモニタはこの室内アンテナしか受信してねーぞ。
     だから絶対、テレビ放送以外の映像が映る訳ねーんだべ…」
    「どういうこと?」と朝日奈。
    「いや、このテレビ自体に仕掛けがあるんかも」と葉隠。
    「仕掛けってどんな?」とモノクマ。
    驚愕して振り向いた先に、モノクマが平然と立っていた。
    「ギャッハッハ!テメーら久しぶりじゃん!
     え?オレが死んだ?馬鹿言ってんじゃねーじゃん!!」
    何だか微妙にキャラが変わっている。

    平常の口調に戻ったモノクマは、
    そのテレビは、正真正銘、テレビ放送受信用の単なるテレビだと言った。ということは…
    「もーニブいなぁ。つまり、このコロシアイ学園生活は、
     完全生中継により全国ネットで絶賛放映中なのだッ!!」
    言葉も出ない皆を、モノクマは嘲笑する。全てに意味があった。事あるごとに見つかった学園の謎に迫るヒントも、
    この部屋ににおびきよせられた経緯も、今告げられたことも、全て黒幕にコントロールされたショーだった。
    最初から今まで、ずっと敵の手の平の上にいたのだ。

90 :ダンガンロンパ◆l1l6Ur354A:2011/03/26(土) 12:21:19.26 ID:KTmQtnyp0
    「そんな…電波ジャックだなんて、天文学的資金が必要だ…。第一、こんなものが放送されて、何故救助が来ない…!?」
    苦悩する皆に、モノクマが一鞭くれて去っていく。
    「そんなことはあとあと。キミたちにはやる事があるクマ。」
    眉をひそめた皆の頭上を、お馴染みの「死体発見アナウンス」が流れていった。

    学級裁判に備え、捜査を始める。
    モノクマを操る黒幕がピンピンしてる以上、あの死体は霧切である可能性が高い。
    そして、裁判が開かれるということは、この中の生徒が殺人を犯したのか。
    霧切が死んだなんて、主人公には信じられない。
    いつもアドバイスをくれる霧切はいないが、頭の切れる十神と二人で捜査を進める。

    [室内植物庭園調査まとめ]
    ・モノクマファイルによると、死体には、
     背中まで達する腹部の刺し傷と、後頭部に鉄パイプ程度の太さの打撃痕。
     体中に傷があるが、ここ数日のものではない、以前からある傷とのこと。
    ・爆破される前の死体は、血がまだ乾ききっておらず、
     また、出血量の割に、周囲には血痕が無かった。
    ・死体は、消火で水をかけた上半身だけが濡れていて、下半身は乾いている。
    ・スプリンクラーは毎朝7時30分に回る。
      死体全体は濡れていないので、犯行時刻はそれより後か?
    ・死体の手には、かなり長い赤い付け爪が付着している。
     手の甲には、犬をモチーフにしたようなタトゥー。
     霧切は、いつも黒い手袋をはめていたので比較はできない。
    ・物置に、片面だけ泥で汚れ、しかもびしょぬれのビニルシートがあった。
     もう片面はきれいで、濡れてさえいない。
    ・飼育小屋の鶏が、一羽いなくなり4羽になっている。
     これも夜時間、葉隠が5羽揃っていたのを確認している。
    ・死体の周りに、バラバラになった機械片が散らばっている。
     皆でバラバラにしたモノクマに内蔵されていた振動感知爆弾の破片だ。
    体育館に確認に行くと、やはり無くなっていた。
    ・昨日の夜時間、十神はモノクマが動かない事を伝えに、
     植物園に入り浸りの葉隠を呼びに来た。その時二人とも死体が無かったのを確認している。
     そしてそれ以降は主人公と霧切以外は皆ずっと体育館にいた。
     死体が霧切だとしたら、アリバイが無いのは、主人公のみ。
    ・主人公が起きて食堂に行ったのが朝7時過ぎ。
     それから皆行動を共にして、死体を見つけたのが9時頃。
     今、調査している現在が、昼の11時。

96 :ダンガンロンパ◆l1l6Ur354A:2011/03/26(土) 21:17:54.22 ID:Wc0CPAj/0
    [霧切の部屋調査まとめ]

    ・机の上に、武道場のロッカーの鍵が置いてある。
     後で中身を確認しに行くと、ジュラルミン製の矢が数本と、血のついたガムテープの塊が入っていた。
    ・霧切が託した封筒を開けると、「ベッドのシーツの下」と書いてあった。
     めくってみると、戦刃むくろの人物ファイルが。
    【戦刃むくろ】超高校級の軍人
     細身の体に似合わず、あらゆる武器に精通した戦闘のスペシャリスト。
     幼い頃からミリタリーにのめり込み、小学校高学年で、国際サバイバルゲーム大会で優勝。
     中学校入学前に突然、家族旅行先のヨーロッパで失踪してしまう。
     しかし3年後、突如単身で帰国。自らの意思で、傭兵部隊「フェンリル」に入隊していたことを発表。
     帰国の理由は、不明のままとなっている。

    そこにモノクマ登場。この学園の生徒は、15人ではなく16人だと認める。16人目の高校生が、戦刃むくろだったのだ。
    流石十神、彼はフェンリルの事を知っていた。
    図書室の書庫に資料もあり、フランス語なので十神に訳してもらう。

    【フェンリル】
     中東を本拠地とする、直接戦闘行為に特化した傭兵集団。
     戦場では誰もが恐れる存在だったが、しばらく前に突如活動を停止。
     メンバーは体のどこかに、部隊のシンボルをタトゥーとして刻んでいる。

    そこで、学級裁判のチャイムが鳴り、皆エレベータ前に集合した。しかし10分以上待ってもモノクマが来ない。
    現れたモノクマは、「だって全員揃わなきゃ裁判を始められないでしょ」と言う。
    「来たわよ。」
    振り向くと、そこには霧切が立っていた。

    驚き喜ぶ朝日奈と、警戒する十神。
    エレベーターに乗る前に主人公と霧切二人で内緒話する。霧切は、閉鎖された寮の2Fにいたのだと答えた。
    あの鍵は、学園内すべての錠を開けられるマスターキーだった。だから、シャッターを越えることが出来た。
    寮2Fには監視カメラが設置されていなかった。その代り全校放送も聞こえないので、
    殺人があったことすら、さっき降りてきて学級裁判の放送を聞いて知ったのだそうだ。
    だから、霧切は数分かけてざっとしか今回の事件の状況は掴んでいないと言う。
    「だから貴方も協力してね。今回が、私にとっての正念場だと思うから。」
    謎の言葉を残して霧切もエレベータに乗り込んだ。

97 :ダンガンロンパ◆l1l6Ur354A:2011/03/26(土) 21:20:06.30 ID:Wc0CPAj/0
    【第五回学級裁判】

    あの死体は何者なのか、そこから検証していく。
    霧切響子が生きていたということは、あの死体は戦刃むくろであった可能性が高い。
    それに、手の甲にあった犬の様なタトゥーは傭兵部隊フェンリルの紋章だ。
    しかしモノクマは動いているので、霧切の唱えた黒幕=戦刃むくろという仮説は成り立たなくなる。
    そこでモノクマから、あの死体は正真正銘の戦刃むくろであり、彼女は一生徒に過ぎず、彼女を含めた16人が全生徒だという通達がある。
    ならば、この中の誰かが戦刃むくろを殺したことになる。

    霧切は、今までの態度と言動から、十神に犯人と断定されている。
    仮に、霧切が本当に学園の謎を解く為に立ちまわっていたのだとしても、黒幕=戦刃むくろ説を信じていた霧切なら、
    むくろを殺せばゲームが終わると思い、犯行に及んだ可能性もあるのだ。

    死体を発見したのが午前9時頃。昨晩の10時半に、葉隠と十神によって死体がないのが確認されている。
    既に容疑者は二人に絞られている。アリバイの無い主人公と霧切響子の二人だ。
    霧切はここ2日程、主人公は昨晩夕方から朝7時半まで、誰にも目撃されていない。
    朝7時半のスプリンクラー稼働と、死体が濡れていなかったことから、
    死体が庭園にあったのは、午前7時半以降からであることを示し、主人公は自分のアリバイを成立させる。

    そうなると、霧切が犯人と言う事になるが、霧切は怯まない。
    「私が死ねば、この学園の真実を突き止めることは不可能になる。だから、私は何としても負けるわけにはいかないの。」
    霧切は、庭園倉庫内の片面だけ濡れたビニルシートを根拠に、死体がシートによってスプリンクラーの水から守られたことを主張した。
    これは主人公のように7時半以降のアリバイを主張する為の工作だ。霧切には意味が無い。
    主人公は、死体の血がまだ湿っていたことと、シートの裏面が血で汚れていなかったことから、その可能性を却下する。
    霧切は、死体の血が乾いていなかったのは、シートを取り去る際に新しい血を染み込ませた白衣を着せかけた偽装工作だと論破する。
    根拠は、一羽消えたニワトリと、死体が白衣を着ていたのではなく被せられていた事。

    議論は、主人公VS霧切の、なすりつけ合いの一騎打ちの体を様してきた。
    もちろん主人公はやっていない。しかし、霧切がやったとも、主人公には信じられない…。
    昨晩、何故霧切は主人公の部屋にいたのか、それを尋ねると、「あなたを助けただけよ」と言われた。
    なら、あの覆面の人物も夢ではなかったのか。霧切はまさか、主人公を助ける為に殺人を?
    悩む主人公をよそに、議論は主人公犯人説に傾いていく。

    朝日奈が「あのナイフは苗木が預かっていたものだ」と思い出し、圧倒的不利な状況に追い込まれる。
    だが、ナイフが偽装に使われた白衣の上から刺さっていたこと、死体の刺し傷は一つというモノクマファイルを根拠に、
    それが主人公に罪を着せる為の偽装工作であると論破した。
    致命傷は後頭部の傷であり、凶器は道場ロッカーにあった金属矢をガムテで束ねた物だと主人公が推理すると、
    十神が霧切が犯人だと主張した。そのロッカーの鍵が、霧切響子の部屋にあったからだ。

    「そう。なら、十神君が一番、私が犯人じゃない事をよく知っているはずね。」
    霧切は涼しく笑う。霧切は、十神に鍵を取り上げられ、自室に入れない状態だったからだ。
    一気に霧切の疑惑は晴れる。しかし主人公だけは知っている。霧切はマスターキーを持っているのだ。
    こんな苦し紛れのウソをつくなんて、霧切らしくない。霧切は本当に犯人なのか…?
    主人公は、霧切を信じ黙っているか、告発するかを選ぶ。
    告発した場合、霧切が処刑されて、バッドエンドになる。

98 :ダンガンロンパ◆l1l6Ur354A:2011/03/26(土) 21:22:50.70 ID:Wc0CPAj/0
    主人公は、マスターキーの事を黙っている事を決意した。
    その時、「ハイ!時間切れです!只今より投票に入ります」とモノクマが議論を遮った。
    「今まで制限時間なんて無かったじゃない!」焦る霧切を無視して、投票が始まってしまう。
    やはり…開票された結果、犯人は苗木誠。主人公に皆投票していた。
    「ごめんね、苗木…」仲間達は目を伏せる。
    「許してもらおうとは思っていないわ…。」霧切は、ウソを自白することなく、曳かれていく主人公を見送った。

    【苗木誠処刑】
     ベルトコンベアの上に、机と椅子が置かれて、そこに座らされる。
     机は背後に向かって運ばれていく。その終わりには、巨大なプレス機が待っている。
     地響きの様な音を立てて、1t以上はある重りが、上げては打ちおろされている。
     机の上のモニタには、先生気どりのモノクマが講義する姿が映っている。
     それを見つめながら、じりじりと死のプレス機が背後に迫るのに耐え続ける。
     プレス機が椅子をかすめる程に迫った時、目の前のモニタが突然砂嵐になった。
     そこに映し出されたのは、不二咲千尋の凛とした表情。
     アルターエゴだ。
     そう思った瞬間、体はプレス機のちょうど真下へ位置した。
     しかし重りは降りてこない。停止したプレス機をくぐり抜けて、
     その後ろのダストシュートへ主人公は落ちていった。


    皆は快哉を叫び、モノクマは焦る。
    「アルターエゴだな!ネットにアクセスした時に…
     まぁいいや、地下のくさーいゴミ捨て場で野垂れ死になんて、その方が残酷かもね!」

99 :ダンガンロンパ◆l1l6Ur354A:2011/03/26(土) 21:25:47.54 ID:Wc0CPAj/0
    第5話終。次回で終わりです。
    霧切を告発すると、子孫に希望を託して学園で一生を過ごすバッドEDになります。
    このEDスチル面白いですw数年後の皆と、それぞれの子供の集合写真が…

103 :ダンガンロンパ◆l1l6Ur354A:2011/03/26(土) 23:10:55.64 ID:Wc0CPAj/0
    Capter6『超高校級の不運が超高校級の殺人と超高校級の処刑と超高校級の絶望を引き寄せた理由』
    ※超高校級の不運はモノクマが主人公苗木誠につけた通り名。
    書き忘れてましたが、主人公がツイてないので、「幸運」を皮肉って1話から呼ばれてます。

    主人公が目を覚ますと、そこはまさに地下のくさーいゴミ捨て場だった。
    ここで死ぬわけにはいかない。自分を生かしてくれたアルターエゴの為にも。
    地上に繋がる扉はガッチリ施錠されている。生ごみは腐っているし、飲み水もない。とりあえず、体力温存の為に眠った。
    翌日、ドスンと大きな音がして、主人公は飛び起きた。
    新しいゴミが落ちてきたなら、食べられるものが入ってるかもしれない。
    ごみ山の上に新しく落ちてきたのは…

    「元気そうね」
    それは、ゴミまみれの霧切響子だった。「あなたに謝りに来たのよ。」
    主人公は霧切を救うために秘密を守った。でも霧切は主人公を見捨てた。
    「本当にごめんなさい。言い訳になるけど、私はここに来た目的を思い出したの。」
    霧切響子の能力は、「超高校級の探偵」。彼女の目的は、希望ヶ峰の学園長である父に会う事。
    この二つを邪魔に思った黒幕が、霧切の記憶を奪った。

    そして、予想以上に学園の謎に迫った霧切を排除する為に、黒幕が仕立て上げたのが、昨日の事件。
    「学園の謎を追及する為の探索は罰されない」という校則を尊重したままに見せかける為、霧切を犯人に仕立て処刑しようとした事件だった。
    結果うまくいかず、投票された主人公を苦し紛れに処刑している。
    辻褄が合わない。黒幕は追い詰められている。
    「もう少しよ…。超高校級の絶望は戦場むくろだけじゃなかった。
    1年前の絶望的事件を引き起こした連中。絶望だけを行動原理にする、最悪の連中。それが本当の黒幕。」

    霧切のマスターキーで鍵を開け、ダストシュートに続く梯子を登る。
    途中、霧切は、断片的に思い出した記憶を語る。
    霧切は、超高校級の探偵。遥か昔、探偵が神聖な職業であった程の昔から探偵を営む名家、霧切家の一族だ。
    霧切家は、自分達の存在を隠す事を誇りにしている。だから、関係者以外は霧切家のことを知らない。十神ですら知らなかった。
    しかし霧切響子の父は探偵という生業を嫌い、妻の死と同時に幼かった響子を置いて霧切家を飛び出した。
    おかげで、響子は探偵としての自分に誇りを持っているのに、周囲からはいつまでも「可哀想な子」という目で見られる。
    だから霧切の掟を破って、希望ヶ峰学園に自分を売り込み、入学した。学園長である父に会い、絶縁の言葉を叩きつける為に。

104 :ダンガンロンパ◆l1l6Ur354A:2011/03/26(土) 23:13:36.97 ID:Wc0CPAj/0
    無事にゴミ処理室から寄宿舎内に戻って来ることが出来た。自分の家に戻って来たような安堵感すら覚える。
    モノクマは、主人公をもう一度処刑しようとする。霧切は「好きにすれば?」と言ってのけた。
    「でも、その場合、あなたの負けという事になるけど、いいのね?」
    霧切は、モノクマを淡々と言い負かしていく。
    曰く、昨日の事件の犯人は黒幕本人だ。霧切を処刑する為に仕立てた正解の無い裁判だった。
    あの状況で他人をかばう人間がいるなんて想像もつかなかった黒幕は、苗木誠によって目論見を挫かれた。
    その苗木に脅威を感じて処刑しようとし、それも失敗した。死後もなお他人を助けようとする人間がいるなんて、想像もつかなかったから。
    証拠は?とモノクマに問われ、霧切はしれっと答えた。「無いわ。」
    「でも、このまま苗木君を処刑したら、この生中継を見てる人はこう思うでしょうね?
     図星を刺されたから苗木君を処刑して黙らせたんだ。やはり卑怯な手を使わなければ、絶望は希望に勝てないんだ…てね。
     だから、あなたは私の提案を飲むべきなのよ。」
    霧切の提案は、「戦刃むくろの裁判をやり直すこと」。それで希望VS絶望の最後の決着をつけようと言う。

    モノクマは、案外簡単に乗って来た。それだけ黒幕にはこの生中継が大事なことなのだろう。
    「それで、オマエらも外のみんなも納得して絶望してくれるんだね?ならやってやろうじゃん!」
    ただし、最終決戦に相応しく、戦刃むくろ殺害犯の真実に加えて「学園の謎全て」を解明してもらう、とモノクマは言う。
    どちらか一つでも解明できなければ全員処刑、というモノクマ有利の条件を、霧切は快諾する。
    モノクマは去り際にヒントを二つ寄こす。
    全ては校則を遵守して行われている。つまり前回の裁判もまた、生徒が生徒を殺した裁判には違いないと言う事。
    このゲームが始まった時、この学園に入学した最初の15人+戦刃むくろだけが、この学園に生きて存在した人間全てである事。
    そして最後の大盤振る舞い、学園の全てのロックを解除するから調べたいだけ調べろと言う。

    食堂に行くと、そこには仲間達が揃っていた。
    「あっ苗木!!?どの角度から見ても正真正銘苗木だ!!」「一応聞いとくけど、幽霊じゃないんだべな!?」
    朝日奈、葉隠、十神、冬子。駆けよって来る仲間達に、ふいに懐かしさと親しみを感じ、涙ぐんでしまう。
    「…何か臭うな。」「あっ臭い!苗木から洗ってない犬の臭いがする!!」「しっしっ!あっち行きなさい!!」
    涙は即ひっこんだ。
    霧切が皆に、デッドオアアライブな最終決戦について説明する。皆もおおむね賛成してくれる。
    それにしても、モノクマの「この学園に居たのは16人だけ」という言葉がひっかかる。それが本当なら、黒幕がこの6人の中にいるという事になってしまう。
    可能性は低いが、それでも可能性だ。皆単独行動で調査をすることになる。
    今までと同じように、各自が突き止めた情報を持ち寄り、裁判で組み立てていけばいい。

    皆と一時解散し、調査を開始した主人公は、初めて解放された寄宿舎2Fに上ってみた。
    そこは、同じ建物内だとは思えないほど荒廃していた。廃虚と言った方がいいレベルだ。
    内壁や天井が崩れ、ドアは爆破され、あちこちに砲撃跡らしき穴が開いている。これが絶望的事件後から手を加えられていない状態なのか…
    一つ、補修されたらしい綺麗なドアがあった。中は落ち着いた上品な調度。そこは学園長の個室だった。
    奥には霧切が立っていた。彼女は寮2Fを調査済みだが、この部屋の隠し扉が開かない事だけが心残りだと言う。
    学園長のPCには、彼が調べていた【絶望】と呼ばれる組織のデータと、半角パスワードで隠し部屋のドアが開けられるプログラムが入っているらしい。
    【絶望】
     絶望だけを行動理念にし、希望を駆逐し絶望を拡げる為に活動するテロ集団。

    主人公は、隠し部屋の制御プログラムに、霧切の性格からして絶対試していないパスワードを入れる。
    “kyouko”。壁が開き、学園長の研究室が現れた。霧切は、険しい顔で入っていく。
    そこには、学園長らしき成人男性の遺骨が置かれていた。本当の学園長はやはり死んでいたのだ。
    そして、その奥の棚には、男性に抱きあげられ屈託なく笑う幼い霧切の写真が飾られていた。
    「今になってこんな物見せられて…一体どうしろって言うのよ。…本当に最低の父親。」
    主人公は霧切に頼まれて、彼女を一人にするため部屋を去る。
    その際、引き出しにあった緊急用電子生徒手帳をもらっていく。これは、電子認証のロックの為のマスターキー的存在らしい。

105 :ダンガンロンパ◆l1l6Ur354A:2011/03/26(土) 23:15:07.16 ID:Wc0CPAj/0
    マスター電子生徒手帳の出番はすぐやってきた。
    学園長個室を出発してすぐに、寮生用ロッカールームを見つけたのだ。鍵は全て電子ロックだった。
    ほとんどのロッカーは破壊されてるが、無事なロッカーも数個ある。片っ端から開けていく。
    一つのロッカーから、女の子の物らしい手帳が出てきた。絶望的事件前の在学生のものだろう。見せていただく。
    日付は無いが、それは日記のようだった。几帳面な文字で淡々と記されている。
    何となくページをめくると、衝撃的な記述にぶち当たった。
    「希望ヶ峰学園をシェルター化し、生徒に共同生活を送らせる計画について、発案者である父に話を聞いた。
     “優秀な若者を汚れた世界から隔離し、未来への礎とする。この計画は我が国にとって最後の希望である。
     その為に、お前にも協力してもらいたい。“…相変わらず、自分勝手に物事を決めて…本当に最低の父親。」
    これは、霧切の手記ではないのか?そして霧切はこの計画の協力者?
    混乱したままページをバラバラめくると、書込済み最後のページが目に飛び込んできた。
    今までの几帳面な文字と打って変わった殴り書き。
    「絶望が紛れ込んでいる だから私達が生き残った 絶望が二人いる」
    全く分からないが、その手帳を持っていくことにする。

    もう一つ、中身の入ったロッカーがあった。
    上段には、珠や鏡などが祭壇のように飾り付けられており、下の段にはノートや教科書が雑然と積まれていた。
    本当に、この学園でこうして学び日常生活を送っていた先輩達がいたのだ。そして恐らく1年前に…。
    感慨にとらわれ、ノートを一冊抜き取って開いてみる。
    やけに渋い達筆な文字で、化学か何かのノートがきちんと取られていた。
    見覚えのある文字だ。表紙を見てみる。そこには、葉隠康比呂と書かれていた。
    再び混乱が襲ってくる。彼は自分達と一緒に入学したはずなのに。
    本人に聞いてみる為、ノートを一冊持っていくことにした。

    校舎に移り、4Fの情報処理室を調べに行く。
    そこには朝日奈もいた。やはり、奥のモノクマ柄のドアが気になって来たのだと言う。
    そのドアも開いていた。中は、まるでロボットのコクピット。ここがモノクマを捜査する部屋だった。
    床のハッチが気になったが、怖がる朝日奈に促され一旦情報処理室の外まで出る。
    すると、情報処理室の扉が中からロックされた。同時にモノクマが目の前に現れる。
    「情報処理室は今から封鎖しまーす!お前らだって、マスコットであるボクがいないと寂しいでしょ?」
    さっきのハッチ、あれを一枚隔てて黒幕がいたらしい。本当に実在するのだ…

    朝日奈と別れ、主人公は学園長室を調べに行く。
    そこには十神もいた。霧切が戦刃むくろのプロフィールを盗んだ際、急いでいて取り損ねたページがあると言う。
    そのページには、戦刃むくろの簡易な略歴と顔写真が印刷されていた。
    きつい顔立ちで飾り気が無く、暗い雰囲気の少女が写真に映っていた。
    一見、普通の地味な女子高校生。これが超高校級の絶望、戦刃むくろなのか。
    あの死体が戦刃むくろではなかった可能性も十分残っている。彼女は今も情報処理室の中にいるのかもしれない。
    学園長は、彼女を入学させるに当たって、彼女の性格と戦闘力が他の生徒に危険を及ぼすことを懸念していたようだ。
    “身体検査の結果、彼女の体には傷一つないことが分かった。
    幾多の戦場を渡り歩いたにも関わらず、痕に残る傷を一つも負っていないとは、
    彼女の戦闘スキルの高さが窺える。”という私見が書きこまれていた。

106 :ダンガンロンパ◆l1l6Ur354A:2011/03/26(土) 23:16:09.82 ID:Wc0CPAj/0
    5F室内庭園を覗くと、死体はなくなっていた。仕方ないので倉庫をもう一度調べる。
    片面が汚れたビニルシートを良く見ると、隅に「生物室」とスタンプが押されていた。
    生物室に行ってみると、やはりここも鍵は開いていた。
    中は異常なほど寒い。壁には16個の大きな正方形の引き出しが並んでいた。
    ドラマで見たことがある。これは遺体安置用の冷凍庫だ。この中に、皆の死体が…。
    使用中の冷凍庫は扉のランプが点くようで、左端から詰めてズラリと青い光が灯っている
    床に数枚ビニルシートが畳まれていた。庭園にあったのと同じものだ。

    生物室を出ると、ちょうどモノクマからのアナウンスがあった。ヒントをやるから体育館に来いと言う。
    体育館の前で葉隠と出くわしたが、彼は主人公を見るなり逃げて行ってしまう。
    訝しがりながらモノクマに会い、ヒントの入っている封筒をもらった。
    中を見て絶句する。そこには、信じられない写真が入っていた。
    それは、陽の射す教室で撮られた集合写真だった。写っているのは一緒に入学した皆だ。
    さくらを中心に、笑顔が並んでいる。さやかの後ろには無表情な戦刃むくろまで写っていた。
    全員、揃いの茶色いブレザーを着ている。見覚えは無い。誰もこんな制服は着ていなかったはずだ。
    そして、「…ボクだけ写ってない…。」主人公一人だけが、その中にいなかった。
    自分以外の全員が以前からの仲間なのだろうか。
    皆に問いただそうにも、誰もかれも主人公を見たとたん避けるように立ち去ってしまう。

    もう一度生物室まで来ると、冬子が床に倒れていた。助け起こすと、ジェノサイダー翔として目を覚ます。
    「異常に寒い!風邪ひく!」何で冬子がこんな所で気絶したのかは分からないようだ。人格同士が記憶を共有していないというのは不便なものである。
    翔が走り去った後、霧切が入れ替わりに入って来た。
    霧切に体育館の写真の事を尋ねると、霧切は受け取りに行っていないと言う。
    「混乱させられるのがオチよ。」そうだ。こんな写真モノクマの罠に決まってる。惑わされず、仲間を信じなくては。
    霧切と冷凍庫を調べると、使用中の中の一番右端、最新の遺体の引き出しが開いていた。
    冬子はこれを開けてしまい気絶したのだろう。中には、焼け焦げた戦刃むくろの死体が入っていた。
    霧切は前回時間が無かったので、この機会に死体を検死する。
    その結果、腹部の刺し傷も、後頭部の打撃痕も、死後つけられたものだと言う。
    そして、遺体の体型は戦刃むくろのプロフィールと大体一致した。フェンリルのタトゥーもあるし、これは本当に戦刃むくろの死体なのだろう。

    霧切と別れる前に、あの手帳を渡し読んでもらった。霧切は驚き、しかし納得の面持ちになる。
    「成程、つまりあの映像は本物だったのね…繋がって来たわよ苗木君。最悪の繋がり方だけどね。」
    そう言って霧切は、一枚のDVDを差し出した。「第78期生緊急面談」と書かれている。

108 :ダンガンロンパ◆l1l6Ur354A:2011/03/26(土) 23:17:14.87 ID:Wc0CPAj/0
    主人公は視聴覚室でそのDVDを再生してみた。
    不意打ちで映し出されたのは、正面からこちらを見る舞園さやかの姿。
    ソファに座り、ビデオカメラ側にいる学園長らしき男性と向かい合っているようだ。
    「私は不器用だから、面談しながら文章を書いたり出来ないんでね。撮影させてもらうよ。
     これは、契約書代わりというか、保険みたいなものだから。」
    そう前置きした男性は、さやかに「この学園で一生を暮すことに同意してくれるかい」と切り出した。
    さやかは、「同意も何も…もちろんです。」と頷いた。
    訳が分からない。ならば何故さやかは自分を陥れ、結果自ら死を招いたのか。
    画面はしばらく暗転し、次に現れたのは、こちらを見つめる主人公自身だった。
    「この学園で~」という質問に、「はい。」と頷いている。
    こんな事は覚えていない。では、忘れてしまっているのだろうか。皆もそうなのだろうか。
    朝日奈、十神、冬子、葉隠も順に画面に現れ、全員質問に同意していた。
    そこで突如、映像が打ち切られた。モノクマがコンソールの電源を落としたのだ。
    「故障ったら故障でーす」と、モノクマに視聴覚室から追い出されてしまう。
    廊下に出ると、学級裁判開始のチャイムが鳴り響いた。

    【最後の学級裁判】
    ズラリと死者の立て看板の並ぶ裁判場。今回は16番目の席にモノクマも並んだ。
    皆の様子がおかしい。互いに刺々しく、口数が少ない。議論の口火を切ったのは、葉隠だった。
    「お前ら全員、黒幕と繋がってんだろ!?証拠もあるし、間違いねーベ!!」
    すると、朝日奈と十神も、そういう証拠を持っていると言い出した。
    主人公が自分の分の集合写真を見せると、皆の証拠とやらも同じような写真だと言う。
    朝日奈が取り出した写真は、主人公の物とまた違う写真だが、皆が写っていた。
    体育の授業のスナップのようだ。未だ見ぬグラウンドで、徒競走をする者、木陰で応援する者。
    主人公もその中に写っていた。怜恩の隣のレーンをへたばりながら走っている。
    一人だけ制服のままの戦刃むくろも、冷やかな表情で佇んでいた。それを除けば、全く和やかな写真だ。
    ただ、朝日奈だけが写っていなかった。続けて葉隠の出した写真も、同じく葉隠だけが写っていない。
    休み時間の教室で、いきなりカメラを構えた…という感じの写真だ。
    朝日奈の机の上にドーナツの詰め合わせが置かれていて、それを囲む皆が、振り向いたりポーズを撮ったりしている。

    要するに疑心暗鬼を呼ぶため、モノクマが本人だけ写っていない写真を選んで寄こしただけ。
    写っていない理由は大したことじゃない。というか、多分写っていない人が撮影者なのだろう。
    十神の写真も誠に平和な光景で、十神以外の皆がプールで遊ぶ姿が写っていた。
    そのプールは、2Fにあるプールと全く同じだ。やはり、この写真の学校も希望ヶ峰学園らしい。
    「そんなことだと思った。全く、何がヒントよ。」
    いや、これはヒントになりうる。この写真には一つ共通点がある。
    それは今は置いておいて…この写真が本物なら、自分達は以前もこの学校で過ごしていることになる。
    皆は否定する。主人公もそう思う。だが、とんでもなくバカバカしくて恐ろしい理由があるとしたら…。
    「ぼくたちは、全員記憶喪失になっているんじゃないかな?」
    皆は、あまりの馬鹿馬鹿しさに失笑するが、主人公は証拠を提出した。
    面談が録画されたDVD。霧切も併せて証言する。ここにいる全員、共同生活を了承しているのがはっきり映っていた。
    モノクマに証言を求めると、あっさり「そうです。」と認めた。
    黒幕が、全員の記憶を奪った。どんな記憶を、というのは、このゲームを始めた動機に関わる事だから今は教えないと。
    「今は他に考えることがあるでしょ。これは戦刃むくろ殺しの裁判なのをお忘れなく。」

111 :ダンガンロンパ◆l1l6Ur354A:2011/03/26(土) 23:40:40.46 ID:Wc0CPAj/0
    まず、未だ判明していない事、「戦刃むくろの致命傷」を論点とする。
    霧切の検視の結果、腹部の傷も後頭部の傷も死後の物だった。ならば、全身の無数の傷こそが致命傷だということになる。
    冬子がそれに反論する。「あれは、古傷だって書いてあったじゃない。彼女は軍人よ!あれは戦場で負った傷なのよ!」
    それは違う。ファイルには、「ここ何日かの傷では無い」と書いてあっただけだ。
    それに、戦刃むくろには戦闘による古傷が無い事が、学園長私見に書かれていた。
    戦刃むくろは、ここ数日以前に殺され、生物室の冷凍庫で保管されていたのだ。

    モノクマの姑息な妨害を無視して、主人公は生物室の決定的な矛盾を指摘した。
    使用中の冷凍庫のランプが、9つしか灯っていないのだ。
    舞園さやか、江ノ島盾子、桑田怜恩、富士咲千尋、大和田紋土、石丸清多夏、山田一二三、セレスティアルーンベルグ、大神さくら、戦刃むくろ。
    死者は10人いるはずなのに、冷凍庫は9つしか埋まっていない。
    それはつまり…同じ人物が2度殺されたのだ、と主人公は推理した。霧切と十神も同意する。
    ここ数日以前に殺されていた死体を、冷凍庫から引っ張り出してきて再利用した。
    その死体のスリーサイズや手の甲のタトゥーからして、それは戦刃むくろの死体にほぼ間違いない。

    ということは…戦刃むくろは、数日以上前に他の誰かとして殺されていたことになる。
    全身に点在する刺し傷。数日以上前の死。それに合致する人物は…
    複数の槍で貫かれて死亡した、超高校級のギャル江ノ島盾子。
    死体のつけ爪は、彼女のしていたものと同じ赤いスクエアネイルだった。タトゥーはファンデーションで隠していたのだろう。
    彼女は最初から、江ノ島盾子に化けた戦刃むくろだったのだ。

    集合写真には、戦刃むくろは彼女自身のまま写っている。
    そして、3枚の集合写真に共通しているのは、江ノ島盾子の顔が写っていない事。
    一つ一つは不自然な印象は無い。奥でカメラに気付かず後ろを向いていたり、水飛沫で目元が隠れていたりするだけ。
    そういう写真を、黒幕は選んで主人公達に渡したのだ。
    DVDの再生を途中で停めたのも、本物の江ノ島盾子の顔を見られたくなかった為。
    戦刃むくろに自分の格好をさせて入れ替わり、その彼女を殺して自分の存在を隠した。
    本物の江ノ島盾子こそ、もう一人の超高校級の絶望であり、この学園生活の黒幕だ。
    そう論破すると、モノクマは項垂れた。ここぞとばかりに責め立てる仲間達。
    しかし、よく見るとモノクマは笑いをこらえているのだった。スモークが焚かれ、その後ろから少女が歩み出た。

    圧倒的美貌、抜群のスタイル、最新のファッションセンスで絶大な人気を誇るカリスマギャル。
    雑誌で見たのと、寸分違わぬ江ノ島盾子がそこに立っていた。
    「やっと解放されたよ。来る日も来る日もモノクマを演じ続けるなんて、
     絶望的に飽きっぽい私には、苦行を通り越して自殺行為だからさ。」
    【江ノ島盾子】超高校級の絶望
     生まれた瞬間から、この世の全てに飽き飽きし絶望していたと言う、絶望マニア。
     自分のキャラにすらすぐに飽き、中二クール系からキャピキャピ系までキャラをコロコロ替える。

112 :ダンガンロンパ◆l1l6Ur354A:2011/03/26(土) 23:43:04.91 ID:Wc0CPAj/0
    超高校級のギャルは表の顔。彼女の正体は超高校級の絶望の片割れ、戦刃むくろの双子の妹だと名乗った。
    一同は、彼女に実の姉を替え玉にして殺した真意を問い詰める。
    「それは、彼女が残念なお姉ちゃんだからです。
     2人で裏に回ったところで、彼女は私の役には立ちませんし、表の学園生活に残ってもらう事にしました。
     しかしそこで問題になったのは、戦刃むくろの“超高校級の軍人”という肩書…いわゆる3Zですね。
     絶望的に臭い、絶望的に汚い、絶望的に気持ち悪い…。世間のニーズから大きく外れているのはわかっていました。
     その点私のギャルには華もあり、捨てるには惜しいので、入れ替わる事にしました。」
    だから、二人は共謀者であり、むくろを殺す予定は無かったと言う。
    「ですが、絶望的に私に似ていませんでしたね。あれではただの雑魚キャラ、すぐ死ぬエキストラA…
     だから殺しました。御期待に添いたくて。勿論、飽きてしまったと言う明確な理由もあります。」

    血も涙も無いのかと怒る朝日奈に、江ノ島は否定し「だからソソるんだぁ」と返す。
    大好きなお姉ちゃんを殺す…妹に裏切られ予期せぬ死を迎える…どちらも絶望的。
    それがたまらなく快感なのだという。姉がうらやましくてたまらないという。
    自他のあらゆる絶望を快感として取り込む、絶望的にタチの悪い真性の変態、それが黒幕の正体だった。

    あとは、この学園の謎と、このゲームの意味を解くだけ。しかしここまで暴かれても、江ノ島は全く焦っていない。
    焦り、恐怖し、怒る事。欲し、苦悩し、足掻く事。それは全て希望があるから生まれる感情。絶望しかない江ノ島には無縁の感情らしい。
    「そういう感情を、わたくし様は絶望の種と呼ぶわ。希望を蝕んで育つ絶望の種。」
    その絶望の種の土壌となる希望を与えるために、主人公達の記憶を消したと言う。
    「さぁ、必死こいて思い出しなよ!命がかかってるんだからさぁ!
     ここで身を削るような大出血サービスヒント!こっちもお前らの絶望する顔が早く見たいからねぇ」
    スクリーンに映し出されたのは、意味不明な画像だった。
    奈良の大仏、スフィンクス、自由の女神等、世界中の有名な建造物の顔が、モノクマの仮面に覆われている画像。
    モノクマの覆面をつけ、武装した群衆が溢れている大通りの画像。

    全く思い出せない。何らかの方法で記憶を封印されたのだから当然だ。
    そこで主人公は閃く。この中に一人だけ、記憶をいじくられる事の無かった人物がいるはずだ。
    「ジェノサイダー翔!この映像を見てくれ!」
    嫌がる冬子を交代させ、呑気に江ノ島と初対面の挨拶なんかしてる翔に呼び掛ける。
    スクリーンを見た翔は、あっさりと言った。
    「これってあれでしょ?人類最大最悪の絶望的事件ってやつ。」
    何故その名前が今ここに?どんな事が起きたか問い詰めると、
    「いや、起きたっつーか現在も進行中っつーか。1年前に、絶望と名乗る連中が色々やって、
     世界があんなことになってしまいました!以上!」
    リアルタイムで報道を見ていたのは冬子だし、興味の薄かった翔は具体的な事例は分からないそうだが、
    1年前から続く【絶望】という組織による国際的同時多発テロ…、それによって世界は、少なくとも人間の社会は、壊滅したという。

113 :ダンガンロンパ◆l1l6Ur354A:2011/03/26(土) 23:45:13.45 ID:Wc0CPAj/0
    「世界の終わりなんてどーってことないじゃなーい。飽きちまったんだよ!どうせ同じことの繰り返しだろ!?
     ちなみに、十神さんが心の支えになさっている“十神の血”のことですけど、
     十神家はもうありませんよ。親族、関係者一同、全員の死亡を確認いたしました。」
    傲然と構えていた十神も動揺し、メンバーは総崩れになる。

    そんなはずない。だって数週間前に、自分達はこの学園に来た筈なのに。
    しかしそれが最大のヒントだ。自分達の奪われた記憶とは、希望ヶ峰学園で過ごした学園生活全部のこと。
    「大正解!やるわね人間!君たちは既に、2年間をこの学園で過ごしているのです!
     1年目は、普通で最低な学園生活でした!みんなそれを楽しんで、ほんとーに青春してたんだよぉ☆ そして2年目に、悲しい出来事が起きたよね。」
    入学当日に意識を失い、教室で目を覚ましたと思っていたあの時、その間に2年の月日があったのだ。

    盾子は、彼女達【絶望】の、「人類絶望化計画」について説明を始める。
    1年前に、【絶望】は世界を終わらせるために同時多発テロを開始した。
    そして絶望は感染し広がっていく。それは事件と言うよりは現象と呼ぶべきもの。
    絶望に囚われた暴徒はパンデミックのように数を増やしていき、世界を飲み込んで破滅していく。
    盾子とむくろはこの時の為に希望ヶ峰に入学し、希望ヶ峰襲撃の際、あえてクラスメイト14人だけを生き残らせた。
    この計画の仕上げ、電波ジャック生中継の出演者として使う為に。
    すると、学園長によって、この学園をシェルター化し生き残った生徒を保護する計画が始まった。
    【希望ヶ峰シェルター計画】
     どんな抗争も、耐え抜けばいつか終わりは来る。
     その終わりが最悪、人類の滅亡だとしても、生き残った生徒達がシェルター内で子孫を増やしていれば、その時もう一度外に出て世界を作れる。
     そして、元から襲撃を想定した堅牢な校舎と、過去の天才が遺した自給自足システムを持つ希望ヶ峰はシェルターとしてうってつけだった。
     そして内部に、希望ヶ峰襲撃を生き延びた16人の希望達が保護された。

    絶望に屈しない人々は、それを「希望」として心の支えにした。
    間抜けにも、【絶望】の中枢を担う二人を一緒に綴じ込んだことも知らずに。
    そしてこの学園は、檻となりステージとなった。1年の準備期間の後、学園長を殺し、むくろと盾子は生中継を実行した。
    この生中継は、「希望を捨てない者への残党狩り」。
    人類の希望の象徴が、記憶を失い殺し合う姿を見て、彼らは次々に救出にやって来た。
    そして、重火器の掃射によって、ことごとく命を落としていった。
    もはや、外には絶望と滅んだ世界しか待っていない。

114 :ダンガンロンパ◆l1l6Ur354A:2011/03/26(土) 23:47:20.73 ID:Wc0CPAj/0
    絶望的真実だった。
    騙し合い、裏切り合い、糾弾し合った主人公達は、
    既に2年を共に過ごした、1年前に一生を共に過ごそうと誓いあったクラスメイト同士だったのだ。
    そして、そこまでして争った外の世界は、既に滅んだ絶望の世界。
    「大体、窓の鉄板だって、オマエらが自分達でトンテンカンテンやったことなのですよ。
     それを閉じ込められたー閉じ込められたーってワーワー騒いじゃってさ。」

    謎は何もかも解けた。しかし盾子は、全てが計画通りだと言った。
    この計画のクライマックスは、初めから主人公達に謎を解かせ、絶望に陥れる事だったらしい。
    みんな絶望し黙りこむ中、主人公だけは前向きさを捨てなかった。
    盾子の言葉が本当だと言う証拠は無い。外の世界を自分で見るまでは、世界が滅んだかなんて分からない。
    それに、本当に世界が滅んでいたとしても、こんな奴に屈したくなかった。死んでいった仲間の為にも。

    「そろそろ投票に移りましょうか。ただし、今回は少しルールを変えます。」
    絶望と希望、どちらがおしおきされるべきかを決める投票。
    満場一致で「絶望を罰するべき」となった場合、盾子の負け。盾子が処刑され主人公達は外に出る。
    一人でも「希望を罰するべき」と投票したら、盾子の勝ち。主人公達がおしおきされる。
    そのおしおきの内容とは、誰か一人を生贄に差し出し、残り全員がこの学園内で一生を暮すこと。
    「その生贄とはオマエだ苗木ぃ!
     わたし苗木君きらーい。だってなんだかさっきから反抗的なんだもん☆」
    盾子が処刑されれば、希望ヶ峰学園は機能を停止する。
    外の空気は汚染されていて、ここで生きられるのは物理室の巨大空気清浄機のおかげ。
    それが停まれば、あとは中にいようが外にいようが死を待つだけだと言う。
    みんなはそれを聞いて絶望に屈し、絶望に飼いならされることを選ぼうとする。

    主人公はそのみんなを論破する。
    絶望が感染するなら、希望だって人に伝えられるはず。自分の中の希望をみんなに分け与えていく。
    占いの結果に脅える葉隠は、自分の直感を信じる意思を、
    弱さに屈しそうになる朝日奈は、最後まで強かった親友の遺志を、
    幸い冬子は今出てないので、翔は殺人とイケメンを愛する自由な心を、
    一族の壊滅に心折れた十神は、自分の力だけで道を拓く誇りを、
    盾子の言葉に迷わされた霧切は、「父は、私が希望と友を捨てることを良しとするはずがない」という決意を
    主人公の希望が全員に拡がり、それぞれの希望を取り戻す。
    「お前ら、サムいんだよ!お前らの顔もサムい、お前らのやりとりもサムい!何もかもが絶望的にサムいんだよ!」
    盾子は主人公達を脅かすが、誰も揺るがない。
    主人公の本当の力は、きっと幸運でも不運でも無い。
    どんなことがあっても前向きさを捨てない心、それを人に伝えられる力、超高校級の「希望」。
    喚く盾子をよそに、全員が投票スイッチを押す。
    満場一致で、おしおきは盾子が受けることとなった。

119 :ダンガンロンパ◆l1l6Ur354A:2011/03/27(日) 00:12:06.81 ID:6vuIdBcG0
    盾子は頭を抱え震え始める。
    勝利に湧く仲間達だったが、よく見ると盾子は恍惚としているのだった。
    「緻密に準備を進め、実の姉まで殺して進行させた計画が、最後の最後で敗北し失敗する。なんて絶望!
     そしてその絶望的な状況の中で死ねるなんて、絶望的に幸せだわ!!!」
    そして、自分で処刑スタートのスイッチを押そうとする。主人公達は止めるが、
    「邪魔しないでよっ!!!私は、生まれた時から、この最初で最後の最大の絶望、死の瞬間を心待ちにしてたのよ!!
     ああ、なんて素晴らしい絶望なの…
     この100分の1、1000分の1でもいいから、世界の人たちにもこの素敵な絶望をもっと味わってほしかった。
     それじゃ、行っくよーーーーーー!!!」

    【江ノ島盾子処刑】
     江ノ島盾子が自らの為に用意した処刑は、今までの全ての処刑を順に巡っていく最高に絶望的な処刑。
     千本ノック、ちびくろサンボ、火炙り、ショベルカー、全てを耐えた後、
     椅子にモノクマを抱えて座り、笑顔で手を振りながら、ベルトコンベアでプレス機へと運ばれていった。
     最後の瞬間、こちらにリモコンを一つ投げ、ニッコリ笑い、粉砕されて赤い霧になった。


    エピローグ『さよなら絶望学園』
    江ノ島盾子が死んだからといって、すぐに何かが変化したわけでは無かった。
    電気は通っているし、エレベーターも動く。ただ、空調が止まった。
    そして主人公達は、玄関ホールの機械扉の前で立ち尽くしていた。
    最期に江ノ島盾子が投げたリモコン、これがきっとこの扉を開くスイッチ。
    罠かもしれないし、開いても外は汚染されているかもしれない。でも自分達は希望を信じてこれを押す。
    「でも俺、ちょっと期待しちまってるべ。ここが開いたら、そこはいつもの平和な世界なんじゃないかって。
     でも、世界が無くても創世しろってことだべ!むしろそれが神から託された使命!?」
    「どんな世界が待っていても、そこが僕達の生きていく世界なんだ。」
    「私はまずドーナツ屋に行くな。お店がなければ自分で作ればいいし、小麦粉がなければ、小麦を作ればいいんだよ!」
    「十神財閥の復興は、即ち世界の復興だ。」
    「あ、あれ?ここどこ?黒幕とか、最後の学級裁判とかは?」

    それぞれの希望を胸に、皆スイッチを押す決意をする。
    霧切は、スイッチを構える主人公に言う。
    「苗木君、行きましょう…
     たとえ、外の世界が滅んでいたとしても…外の世界が絶望に染まっていたとしても…
     あなたのような人と一緒なら、私はむしろ楽しみよ。そこで、私達に何が出来るのか…。」
    何が出来るのか。
    きっとなんでもできる。希望があるからボクは動く。希望があるから世界は動く。
    スイッチを押すと、認証音と共に、ゆっくりと扉が開き始めた。
    まばゆい外の光が、薄暗いホールを染めていく。
    【END】

    以上です。
    生存者は、苗木誠、霧切響子、朝日奈葵、葉隠康比呂、十神白夜、腐川冬子(ジェノサイダー翔)の6名。
 






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