METAL GEAR SOLID PEACE WALKER

METAL GEAR SOLID PEACE WALKER

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真エンディングについて追記:part58-247,250


268MGSPW 1レス要約:2011/04/23(土) 23:22:19 ID:???
1964年、ザ・ボスを倒したスネークはBIGBOSSの称号を与えられたが、すべてを拒否し出奔。
それから10年。『MSF(国境無き軍隊)』という傭兵団を率い紛争に手を貸す生活をしていた。

KGBの工作員ガルベスから、コスタリカに進出してきたCIAを追い出すよう依頼される。
一度は断るスネークだが、ガルベスが出したテープにはザ・ボスの肉声が録音されていた。
ザ・ボスが生きている? その真実を追うために、スネークは依頼を引き受けた。

コスタリカで進められていたのは、全自動核報復戦車『ピースウォーカー』プロジェクト。
その中核として「人類全体の利益のため、冷静かつ適切に、苦痛の伴う判断を実行できる
高潔な人物」すなわちザ・ボスを模した擬似人格AI『ママルポッド』が開発されていた。
核抑止成就のため「最期の核発射」を行おうとするCIA。迫りくる全面核戦争の危機。
スネークはMSFを率いて活動し、ピースウォーカーを破壊する一歩手前まで追い込んだ。

核発射の阻止が間に合わないかと思った刹那、ピースウォーカーのAIは最期の判断を下し、
自らの意思で、湖へと沈んでいった。核戦争の危機を、自らの死によって防いだのだ。
それはザ・ボスの高潔な自己犠牲心そのものであり、そして、10年前のあのロシアの地で
彼女が下した決断も、平和のために銃を捨て、自己犠牲を選ぶことだったことも示していた。

時代が変わり、時代から不要とされたザ・ボスは、抗うことなく銃を捨てる道を選んだ。
だがスネークには、それは裏切りだと思えた。銃とともに自分たちも捨てられたと感じた。
だからこそスネークは彼女とは違う道を選ぶことを決意する。自分は、時代に抗い続ける。

その決意のすぐ後、MSFは謎の組織CIPHERが送り込んだスパイの攻撃を受け、独自開発した
核搭載二足歩行戦車『メタルギアZEKE』を奪われそうになるが、辛くもそれを撃退する。

MSFは世間に認知されてしまった。時代は、異物である彼らを決して放っておいてくれない。
時代に潰されるか、時代そのものを変えることができるか。長く苦しい戦いになるだろう。
スネークはMSF本拠地にて、国籍や思想を超えて集った兵士たちの前で高らかに宣言する。
「今日から俺はBIGBOSSだ。ここが俺たちの家、天国でも地獄でもある『OUTER HEAVEN』だ」


269PSP MetalgearSolidPeaceWalker 詳細版:2011/04/23(土) 23:23:15 ID:???
1964年8月。ロシアの密林の中、歴史に語られることのない、二人の英雄の戦いがあった。
極秘裏に『スネークイーター作戦』と呼ばれた戦いは、一人の英雄の死により幕を下ろす。
帰還した英雄は「BIGBOSS」と称えられたが、しかし彼はその名を捨てて姿を消した……。

10年後、1974年11月4日のこと。【スネーク】は、南米コロンビアの沿岸にいた。
彼はザ・ボスの幻影を追い、しかしその胸に消えない疑問を抱いたまま、兵士にとっての
理想の世界を求めて、【MSF】(国境無き軍隊)という傭兵組織を率いていた。
MSFはその名の通り、国家に帰属しない、強制されることなく自らの意思で戦う軍隊だ。
しかし理想とは裏腹に、各地の紛争に呼び出され、金で使い捨てにされ、海岸の小屋を
不法占拠してなんとか雨露をしのぐような生活をしている、というのが実態だった。

そこにスネークの盟友にしてMSFの副指令【カズヒラ・ミラー】が、依頼人を連れてきた。
彼らは、コスタリカ国連平和大学の【ガルベス教授】と、その教え子【パス】と名乗った。

“軍隊を持たない国”コスタリカに、最近、謎の武装勢力が出没している、という。
そして奴らが拠点としている港付近でパスの友人が行方不明になり、パスは乱暴をされた。
MSFに、奴らに対する“抑止力”になってほしい、とガルベスは言う。政府は政治的事情で
表立っては協力できないが、拠点施設と資材、輸送ヘリぐらいならば提供できる、とも。

拠点があれば根無し草生活ともオサラバとカズは目を輝かせるが、スネークは渋面を作る。
「居を構えたりすれば、俺たちは戦争屋に成り下がってしまう」と彼は自分の理想を語る。
それに、この話は“哀れで無力なコスタリカを救って”というだけの話ではなさそうだ。
面倒なことに首を突っ込めば、後戻りはできない道に足を踏み入れることになりかねない。

270PSP MetalgearSolidPeaceWalker 詳細版:2011/04/23(土) 23:24:31 ID:???
案の定、ガルベスの正体はKGBの工作員であった。そして謎の勢力の正体とは、CIAだ。
中米は“アメリカ大陸のヘソ”。物流の要であり、また軍事上重要な拠点でもある地だ。
隣国ニカラグアでは【FSLN】(サンディニスタ民族解放戦線)という社会主義革命勢力が
活動をしているなど、疲弊しつつある冷戦構造の中でもいまだホットな地域なのだった。
「中米を制した者が、冷戦に勝つ!」と、ガルベスは力強く断言した。

引き受ければ、東西冷戦の最前線で、故国アメリカを敵に回して戦うハメになるのだ。
すでに国を捨てた身とはいえ、さすがに躊躇し、断ろうとするスネーク。

だがガルベスは切り札のように、胸元から小さな機械……SONYのWALKMANを取り出した。
パスの友人が撮ってしまった“聞いてはならない声”が収められている、という。
再生が始まると、鳥の声と風の音に混じって、電子音のメロディと、女性の声が聞こえた。
その声には聞き覚えがあった。スネークは思わず叫ぶ。「……ボスっ!?」
ガルベス曰く、声紋分析の結果は、ザ・ボス本人のもので間違いないとのこと。
なお流れていたメロディは1973年発表のヒットソング。10年前の録音ではありえない。

ザ・ボスが、コスタリカで生きている!? その真偽を確かめるために、スネークは
この危険な戦いに身を投じることを決意するのであった……。


ガルベスが用意した拠点は、カリブ海洋上にある、廃棄された発電所施設であった。
ボロボロのひどい施設だが、今後MSFの規模拡大にあわせて改築拡張を繰り返せばいい。
「今は地獄さながらだが、ボス次第で天国(HEAVEN)にだってできる」とカズは大喜びだ。
マザーベースと名づけた本部の運営はカズに任せ、スネークは単独でコスタリカへ向かう。

271PSP MetalgearSolidPeaceWalker 詳細版:2011/04/23(土) 23:25:22 ID:???
11月10日。まずは現時点で唯一判明している敵の拠点、港に潜入することにしたスネーク。
見張りをいつもの手際でやり過ごし、司令室に侵入すると、無線機で通信している兵士へ
音もなく近づいて、拘束、尋問、反撃される前に壁めがけてすばやく投げつけ気絶させる。
そのとき、異様な電子音。外を見ると、巨大な飛行機械がどこかへ飛び去っている……。

周辺を確認。潰れたダンボールの中身が飛び散っている。それを見てスネークは驚いた。
放射線測定用の「フィルムバッジ」だ。先ほど盗み聞きした通信内容を思い返してみて、
スネークの頭にひらめきが走った。無線を拝借し、マザーベースのカズに慌てて連絡。
「核兵器だ! コスタリカに、核が持ち込まれている!」

コスタリカは反核条約『トラテロルコ条約』の批准国。米国がそれを破ったとなれば、
キューバ危機以上の国際問題に発展するだろう。とにかく調査を進めねばならない。
当面のスネークの目標は、港を出た船と、その積荷の核兵器を追いかけることだ。

スネークは地図を拝借したが、簡易なもので、土地勘を持つ者でないと読み取れない。
ガルベスの手引きで、隣国から逃れてきたFSLNの一団の協力が得られることになっている。
スネークはひとまず北へと向かい、FSLNの拠点に行って彼らと接触することにする。

が、FSLN司令官はCIAに狩りたてられて戦死。娘の【アマンダ】が跡を継いでいた。
アマンダによると、CIAはFSLNに攻撃してはいるが、それが主な目的ではないようだ。
大量の人員と大量の拠点、最新式装備に装甲車に戦車に戦闘ヘリまで湯水の如く投入。
ただのアカ狩りにしては過剰すぎる。もっととんでもないことを進めているに違いない。

272PSP MetalgearSolidPeaceWalker 詳細版:2011/04/23(土) 23:25:45 ID:???
港を出たボートの行き先を尋ねると、上流の山岳地帯に行ったであろう、とのこと。
しかし山岳方面は既に完全に敵の領域。FSLNの同志が何人もやられている危険地帯である。
さらに、敵は『空飛ぶ怪物』も所持している。彼女の父親も、その怪物に殺されたのだ。

と、そのとき、歌声のような奇妙な電子音が響いた。振り返ると、港でチラッと見かけた
空飛ぶ巨大な機械、『怪物』が現れたのだ。さらに小型の円盤状の子機を射出する怪物。
スネークはFSLNが所持する手持ち対戦車ミサイルを拝借、次々とぶっ放し、円盤を落とす。
が、怪物本体には避けられた。弾道を読み、超高速で回避したのだ。驚くスネーク。

「うわあああっ!」 叫び声が響いた。
アマンダの弟【チコ】が、円盤のワイヤーにぶら下げられて連れ去られていく。
銃を構えるアマンダ。スネークはそれを静止する。「あの高さから落ちたら死ぬぞ!」
しかしアマンダは叫び返した。「拷問されるぐらいなら、死んだほうがマシだ!」
テロリストであるFSLNは法で保護されていないこともあり、CIAは容赦なく拷問を行う。
捕まったFSLNのメンバーは、仲間の居所を吐かされ、豚のように殺されるのだ。

押し問答をしている間に、怪物たちはチコを連れて北へと飛び去っていってしまった。
「追うぞ!」 走り出していくアマンダ。スネークもその後を追うことにする。

途中、装甲車に行く手を阻まれながらも、敵の拠点であるカカオ工場へと辿り着いた。
FSLNのメンバーが果敢に攻撃するが、例の怪物が登場、簡単に撃退されてしまう。
アマンダも円盤に吊り下げられるが、彼女は自分でワイヤーを切断、落下することを選ぶ。

273PSP MetalgearSolidPeaceWalker 詳細版:2011/04/23(土) 23:26:05 ID:???
落ちたアマンダは幸いにも骨折のみで済んだが、すぐにも手当てが必要な重症だった。
駆けつけたスネークに、弱気になったアマンダはFSLNの内情を打ち明ける。
今いるこの工場は、実は麻薬工場。FSLNがKGBから与えられて資金源にしていたものだ。
ソ連の手駒になり、悪行に手を染める。耐え難いことだが、革命の理想のため、耐えた。
しかし、父は死に、工場はCIAに奪われて拠点はすべてなくなった。FSLNはもはや風前の灯。
すべては、自分に司令官としての実力がないためだ。アマンダは無力さを嘆いた。

スネークはアマンダをMSFに勧誘、マザーベースに搬送して治療を受けさせることにする。
引き続きチコを追跡し、山岳地帯に踏み込んだ。CIAが接収し、拠点 兼 捕虜収容施設に
している村へと進み、ドアが補修された家を重点的に探って、チコを発見する。

チコは少年特有の気ままさと冒険心で勝手に周辺を探検しており、誰よりも近辺に詳しい。
敵の荷物は、船、列車、トラックと積み替えられて、北の火山にあるトンネルへと消える。
その先はさすがのチコも分からないが、彼曰く、トンネル付近には敵の“守り神”である
“バジリスコ”がいるらしい。二本足で歩く、数十mはある巨大な影を見たのだという。

チコをマザーベースに搬送し、スネークは列車を追って北のターミナルへと向かう。
タッチの差で間に合わず、トラックが走り去っていくのを見送るしかなかったが、積荷に
放射能マークが描かれているのははっきりと確認した。積荷は核兵器で間違いない。

待ち伏せしていた戦車とやりあう羽目になったが蹴散らして、スネークは村まで引き返し、
マザーベースで開発生産したC4爆薬を使ってバリケードを突破、急いで北へと向かう。
渓谷を抜け、見張りの多いゲートもかいくぐり、例の火山のトンネルへと踏み込んだ。

274PSP MetalgearSolidPeaceWalker 詳細版:2011/04/23(土) 23:28:53 ID:???
そこは火口を改造した基地のような施設で、駐車場にはたくさんのトラックが並んでいた。
ナンバープレートを調べ、ターミナルで見たトラックを発見。積荷は空だが、エンジンは
まだ暖かい。運び出してからまだ間はないはずだ。基地の奥へと追跡を続けるスネーク。
すると、二人の男が言い争っているところに出くわした。物陰に隠れて盗み聞きをする。

「約束が違う!」と、車椅子に座った学者風の眼鏡の男が、気色ばんで叫んだ。
「これは決定事項だ」と、スキンヘッドにタトゥーを刻んだ怪しい男が、冷静に返す。
話の流れからすると、学者風の男はスキンの男の指示で【ピースウォーカー】(以下PW)
というものを作ったようで、そしてそれが運ばれていた核弾頭と関係があるようだった。

絶対に核が発射されない世界の実現のためにPW開発に協力した、と、学者は食い下がる。
しかしスキンの男は、完全なる核抑止力の最終実現は、その能力の証明が必要だと言った。
張子の虎では意味がない。PWが、核を正確に撃てることを世界中に見せ付けねばならない。
「私たちが、人類最後の核を撃つのだ!」
交渉は決裂した。スキンの男は、学者の車椅子を階段の下へと突き落とし、語りかける。
「博士……平和は歩いてはこない。お互い、歩み寄るしかないのだ」
勝利のVサイン(ピースサイン)を高らかに示して、男は奥へと去っていった。

車椅子の男を助け起こすスネーク。男は、バンダナ眼帯ヒゲの怪しい男の突然の出現に
驚く余裕もなく、去っていった男の背に呼びかける。
「あいつを止めてくれ! あいつは、あいつは核を撃つつもりなんだ!」
その言葉を受けて、スネークは格納庫の奥へと向かう。そこには、球状の頭部(?)に蝶の
ペイントが施された巨大な戦車があり、今まさにヘリで運び出されているところだった。

止めようと武器を構えるスネーク。しかしそこに、見たこともない謎の戦車が登場する。
ジェットエンジンとホバー起動で縦横無尽に走り回り、飛んだり跳ねたりする高機動戦車。
赤い光を放つ円筒形のパーツから、歌のような機械音声を発し、スネークに襲い掛かる。
車椅子の学者が無線で送ってくれたアドバイスに従い、スネークは謎の兵器を撃退した。
が、兵器についていた赤い円筒形のパーツは、どこかへと飛んでいってしまった……。

275PSP MetalgearSolidPeaceWalker 詳細版:2011/04/23(土) 23:29:10 ID:???
車椅子の学者は【ヒューイ】と名乗り、スネークに事件のあらましを説明する。
さきほどのスキンの男はCIA中米支部局長【コールドマン】。コスタリカで起こっている
一連の事件は、彼が立案した「ピースウォーカー計画」に基づくものだった。

核攻撃したら、核攻撃を返される。そうなれば、お互いの国、いや、世界中が滅亡する。
だから、核を撃つのはやめよう。……それが、この冷戦時代を支える核抑止の基本原理だ。
だがこの理屈には簡単な穴がある。返される保障がなければ成り立たないのである。
たとえば、核攻撃を返すヒマもないほど、すばやく確実に先制核攻撃できるとしたら?
あるいは、政治家や兵士が核の恐怖に身を凍らせ、発射ボタンを押すのをためらったら?
すでにソ連の原子力潜水艦の仕官が、核攻撃の命令を拒否するという事件が発生している。
それ自体は、全面核戦争の危険を回避した美談かもしれない。だが理屈の上では、それは
核抑止論の大原則に反し、核抑止による平和均衡を脅かす重大事件だと見るべきだろう。

ならば、核報復を「自動的かつ確実に」行われるようにすればいい。それがPW計画だった。
PWは「高度なAIによって制御された、自動操縦 二足歩行型 核搭載戦車」である。
核攻撃が実行されたことをPWが感知すると、報復攻撃すべき場所をすばやく計算、そこに
攻撃を行うか、もしくは報復対象に接近、搭載された巨大水爆を使った自爆攻撃を行う。
それらの判断はPWに搭載されたAIが個別に行う。司令塔などは存在せず、単独行動が可能。
さらに二足歩行なので、どんな悪路でも安定して踏破でき、神出鬼没の行動が可能である。
PWが量産され、複数体配備されれば、先制核攻撃でPWが潰される心配もほぼゼロになる。

だが、PWが完成しただけでは、完全な核抑止力とはなりえない。能力の証明が必要だ。
コールドマンはそのために核弾頭を搬入、完成と同時に発射テストを実行しようとしている。

276PSP MetalgearSolidPeaceWalker 詳細版:2011/04/23(土) 23:29:29 ID:???
しかしヒューイは、たとえ必要悪だとしても、1発たりとも核発射を認められなかった。
ヒューイは、マンハッタン計画に参加した科学者である父親の罪業を背負ったかのように
ヒロシマ原爆投下のその日に、骨髄異常で自分の足で立つことのできない体で生まれた。
それはすべて偶然の一致なのだろうが、しかしヒューイは核と戦う運命の証だと信じた。
コールドマンの核発射を許すわけにはいかない。彼はスネークに全面協力を約束した。

さきほどスネークが戦ったホバー戦車は、ヒューイが作ったAI試作戦車【ピューパ】だ。
試作戦車はあと2機、飛行型【クリサリス】(すでに何度か見たあの「怪物」だ)と、
巨大戦車型【コクーン】がある。ほぼ完成し、実用テストの段階まで進んでいるのだ。
だが、それらのAIはあくまで「目の前の敵に対し攻撃する」ことができるAIにすぎない。
いうなれば戦術レベル、人間の脳みそで例えるならば小脳レベルのAIと言えるだろう。

PWには「核報復が必要か、どこへ報復を実行するべきか」を的確に判断できるAIが必要だ。
戦略レベル、もしくは大脳レベルの、非常に高度な処理能力。そちらのAIがいまだ未完成。
PWはまだ核発射テストを行える段階ではない。阻止するのは、まだ間に合う。

ヒューイは、PWを追跡するよりも、AIを作っている研究所に行くことを提案する。
AIの専門家である【ストレンジラブ】博士が、遺跡を改造した研究室で作っているらしい。
非常に変わり者で人嫌いの彼女は、CIAの警備すら嫌っており、最小限の人数しかおらず
IDカードによる入室管理に頼った緩い警備網になっている。AIを破壊するのは容易だろう。
共同研究者であるヒューイは研究所のIDを持っている。そのIDと、あとストレンジラブに
あてた手紙(ヒューイは渡すとき「読むなよ?」と照れたように顔を伏せた)を受け取る。

ヒューイをマザーベースに搬送、スネークは遺跡めざして熱帯雲霧林を北上する。
11月21日未明。ピースウォーカーの核発射テストの予定日まで、あと5日まで迫っている。

277PSP MetalgearSolidPeaceWalker 詳細版:2011/04/23(土) 23:30:49 ID:???
コスタリカの熱帯雲霧林は原始的なジャングル。サバイバルの達人スネークの本領発揮、
魚を捕らえて生でかぶりついて腹ごしらえをする。……と、歌のような機械音声が響く。
空を見上げると、赤い光を放つ「怪物」ことクリサリスの巨体が通り過ぎていった。
スネークの暗躍とヒューイの裏切りはすでにバレており、AIを狙うと読まれているようだ。
遺跡内部の警戒は緩くとも、周辺の警戒はかなり強化されている。待ち伏せ兵をかい潜り、
さらに途中で戦闘ヘリと交戦しつつも、雲霧林を進んでいくスネーク。

研究所手前で、明らかに場違いな人物……フランス人の鳥類学者【セシール】を発見する。
ケツァールの研究のためにやってきたが、CIAに見つかり、研究所に捕らえられていたのだ。
隙を見てIDカードを奪い、下着のみの姿でここまで逃げてきて、力尽きて倒れていたという。
どうやらガルベスが持っていた例のテープを録ったのは彼女のようだ。

彼女から研究所の様子を聞く。が、常に目隠しをされていたので詳しいことはわからない。
研究所には主に二人の女性がいたが、セシールに接触し、親切に彼女の世話をしたのは
片方の女性だけ。もうひとりの女性は、遠くから漏れてくる声を聞いただけなのだそうだ。
「その声は……『ジャック』……そう、確かに『ジャック』って呼び続けていた」
ジャック。それはスネークの本名。そして、彼をそう呼ぶ女性はただ一人、ザ・ボスのみ。
この先に、ザ・ボスが生きているのか? 自然と表情が険しくなるスネーク。

セシールを保護し、マザーベースに搬送することにする。民間人を受け入れる余裕はない、
と渋るカズだったが、金髪のパリジェンヌだと紹介すると調子よく態度を一変させた。
だが、ガルベスの話ではテープを録ったのはパスの友人だという話のはずが、セシールと
パスは面識はないようだし、そもそも国籍も年齢も違う。なんだか情報が食い違っている。
気にはなるが、しかし今重要なことは別にある。気を取り直し、研究所へ向かうスネーク。

278PSP MetalgearSolidPeaceWalker 詳細版:2011/04/23(土) 23:31:17 ID:???
研究所入り口で、ヒューイのIDカードを使用。……しかし、エラーが出てしまった。
どういうことか聞くと、彼は「とうとうそこまで嫌われたか……」とバツが悪そうに答える。
曰く、研究所のセキュリティはストレンジラブ本人が管理しており、個人的な好き嫌いで
頻繁に設定を変える、とのこと。ヒューイのIDは彼女によって登録抹消されたようだ。
仕方ないので、セシールが脱走するときに使ったIDカードを探し出して使用、侵入に成功。

遺跡に潜入したスネークの目の前に現れたのは、見覚えのある老いた白馬であった。
ザ・ボスの馬? まさか、と驚くスネークの耳に、ボスの声が聞こえた。空耳、いや、違う。
動揺するスネークに、「待っていた……お前を」 低く冷たい女の声が呼びかける。
発したのは、大きなサングラスと真っ赤なロングコートに身を包んだ、銀髪の女性。
彼女こそがこの研究室の主である、ストレンジラブ博士だった。

ストレンジラブ博士は、スネークの正体をたやすく見破り、憎悪の篭った声で話しかける。
「スネーク、いやBIGBOSSか? 人殺しのご褒美に貰った名をまだぶら下げているのか?」
彼女は、極秘作戦であったはずのスネークイーター作戦のことを、事細かに知っていた。

ストレンジラブ博士は以前NASAで宇宙開発事業に携わっており、宇宙遊泳の非公式実験の
被検体に選ばれたザ・ボスと知り合って以来、彼女に強く惹きつけられていた。
ストレンジラブにレズビアンの気があることもあり、その感情はまさに愛情ともいえた。
スネークも長い年月をザ・ボスと共に過ごし、彼女に対して深い愛情を持っていたはず。
なぜ、国家の命じるままに彼女を殺したのか、スネークを責めるストレンジラブ。
「それがお前の“忠”か? この世で最も愛した恩人を、汚名を着せて葬り去ることがか?」
「……任務だった!」と、スネークは自分に言い聞かせるように言う。
だがストレンジラブはその言葉を「それが自分を守るため下した結論か」と嘲笑する。

279PSP MetalgearSolidPeaceWalker 詳細版:2011/04/23(土) 23:32:39 ID:???
「彼女に逢いたいか? ……逢わせてやってもいい。お前が奪った命を、私が蘇らせた」
ストレンジラブは奇妙なことを言い、スネークを遺跡の奥の開発室へと案内する。
そこには、赤い光を放つ、巨大な円筒形の機械があった。例のAIの入った装置に似ていた。

『……誰かいるの? あなたは、誰? 男の人、戦士……?』
機械が、合成音声で声を発する。その声、その口調は、間違いなくザ・ボスのものだった。

ストレンジラブは語る。彼女は正直、核抑止論やPW計画などにはほとんど興味がなかった。
核抑止を完全に成立させるAIも、冷徹かつ確実に報復する能力だけのもので十分と思えた。
しかし彼女は、コールドマンにウソをついた。「地球規模で思考し、未来と過去を熟慮し、
人類全体の利益を考え、痛みを伴う決断を下せる高潔な人格」のAIが必要である、と。
その人格とは、むろん「伝説の英雄」「特殊部隊の母」ザ・ボス以外にありえない、とも。

こうしてストレンジラブは、AI開発に必要な施設・資材・資金、さらにザ・ボスに関わる
あらゆる資料を入手し、ザ・ボスをAIとして再誕させるべく、研究を進めてきたのだ。
ザ・ボスの「祖国を裏切り亡命し、弟子に始末された」という汚名を晴らしたいがために。
語られている“作られた虚構”ではなく、彼女の最期の意志を、“真実”を知るために。

その“博士の奇妙な愛情”の結晶が、いま目の前にあるAI……【ママルポッド】だった。

ふらふらと近づくスネークを迎え入れるように、ママルポッドのカバーが開いた。
ザ・ボスの声で、口調で、ザ・ボスがかつてロシアに亡命した後に発した言葉(資料には
残っていないはずの文言)を言い放つAI。本当にボスが蘇ったのか、混乱するスネーク。

スネークを中に入れたまま、ママルポッドのカバーが閉まっていく。
「任務を果たせ、スネーク…… もう一度、その尊い魂を奪うことができるのなら」
それを見送りながら、ストレンジラブ博士はつぶやくのだった。

280PSP MetalgearSolidPeaceWalker 詳細版:2011/04/23(土) 23:33:05 ID:???
白い花畑で、二人の戦士が向かい合っている。……これは、10年前の戦いの光景。

「東洋では『忠を尽くす』という言葉がある。……意味わかる?」 ザ・ボスが問う。
彼女はその答えは単なる愛国心ではなく、『国への献身』だと言う。そして続けた。
「忠を尽くしている限り、私たちに信じていいものはない……それが愛した相手でも。
 ただひとつ、絶対に信じられるのは、『任務』だけよ、ジャック!」
スネークを投げ飛ばし、見下しながら、彼女はスネークに決別の言葉を告げる……。

……目の前の白いモヤが、少しずつ晴れていく。……目が覚めて、夢は終わった。
スネークはポッド内で意識を失い、遺跡の庭にある小さな花畑の中に転がされていた。
ヘリの轟音が聞こえて宙を見上げると、ママルポッドが運び出されているところだった。
ストレンジラブの時間稼ぎにまんまとやられた、とスネークは歯噛みする。
追いかけようとするスネークの前に、第二のAI戦車、クリサリスが立ちふさがった。
中に人間がいたらGのかかり過ぎで死んでしまうような急速回避行動に苦労しつつも、
なんとか撃破に成功すると、ピューパ同様、AIポッドはどこかへと飛んでいった。

「AIを完成前に破壊する」という当初の計画は完全に破綻した。
こうなったら、PWが格納されている施設まで赴き、直接破壊するしか手段は残っていない。
ヒューイの情報によれば、PWはニカラグアとの国境付近にある施設にあるらしい。
遺跡にいたザ・ボスの馬らしき老馬の背を借りて、ひたすら北へと進んでいく。

採掘施設に偽装した格納施設に接近すると、さすがに警戒が厳重で、発見されてしまう。
20名以上の警備兵と、第三のAI戦車、コクーンに襲われるも、これらを撃破して突入する。

281PSP MetalgearSolidPeaceWalker 詳細版:2011/04/23(土) 23:33:39 ID:???
基地内部では、PWにAIが接続され、起動されていた。あとは自動処理で承認作業が進み、
それが終われば準備は完了だ。その状況に気が緩んだか、技術者たちがAIの傍を離れた。
その隙に近づき、ママルポッドの内部に侵入するスネークに、電子音が呼びかける。
『ジャック、壊しに来たの?』
その声に揺れるスネークは、銃の引き金を引く前に、こらえきれずに質問した。
「ボス、ボスなのか? あんたは、後悔してるのか? 自分の……最期の任務に?」
しかし、ザ・ボスのAIには、スネークイーター作戦開始前までのデータしか入っていない。
そんな任務経験はない、データが存在しない、と無機質に答えるだけのAI。それを聞き、
「あんたはボスじゃない……ボスは死んだ!」とスネークは叫び、銃を構えた。

「銃を棄てろ、BIGBOSS」
静止の声と同時に、ママルポッドのカバーが開く。銃を構えた兵士たちに包囲されていた。
「ママルに遺跡のときと同じ反応があった。お前が近くにいる合図だ」
スネークが質問する前に、ストレンジラブが先回りして侵入に気づいた理由を説明した。

「また会えて光栄だよ、BIGBOSS」と、コールドマンがスネークに呼びかけた。
何を隠そう、10年前のスネークイーター作戦を立案したのは、コールドマンだったのだ。
知りすぎた人間を消すというCIAの方針で、エリートコースから外され中米に飛ばされた。
「なるほど、再び返り咲きたい訳か?」「それほど単純ではないよ」
スネークの皮肉を、コールドマンは軽く受け流す。それは強がりではなく本心らしい。
PW計画によって“完全なる核抑止”が実現すれば、まったく新しい世界秩序が誕生する。
彼は権力欲よりも、新しい時代を作るという純粋な野心に燃えているようだった。

282PSP MetalgearSolidPeaceWalker 詳細版:2011/04/23(土) 23:35:05 ID:???
「人間に核は撃てない。感情なき、決して間違いを犯さない機械に任せる必要がある」
コールドマンは言う。最大の英雄であったザ・ボスも、思想に失墜し、晩節を汚した。
人間が英雄となる時代は終わった、これからは感情なきシステムが英雄となる、と。
「それが一番よく分かっているのは貴様だろう? いや、貴様の相棒(ミラー)か」
そう指摘するコールドマン。『国や思想に囚われない、金だけで動く軍事力』という、
MSFの基本概念も、感情なきシステムのひとつに他ならないではないか。

話終わり、スネークを始末しようとするコールドマンを、ストレンジラブが制止した。
ママルポッドには、ザ・ボスの最期の任務の情報が足りない。スネークの頭の中には、
その足りない情報が詰まっているはずだった。それを聞き出そうというのだ。
隙を衝いてCQCで暴れるスネークだが、衆寡敵せず、連行されるしかなかった。

10年前のグロズニィグラードのように、スネークは裸で吊り下げられ、拷問に晒された。
電気刺激で筋肉を痙攣させる「電磁くすぐり棒」を使った、古典的なくすぐり拷問である。
ストレンジラブは確かに変り者だが、暴力とは無縁な科学者で、残酷趣味な人間ではない。
そんな彼女は暴力的な手段を嫌いながらも、しかしそれを躊躇うことなく使って質問する。
政府の出した公式記録ではなく、当事者しか知らない“真実”の、ザ・ボスの最期を。
しかしスネークは、ただ政府の公式記録と同じ内容を繰り返すだけだった。
「あの女は、祖国を裏切った……だからアメリカは俺に始末を命じ……俺が、殺した」

拷問に耐え切ったスネークは独房に収監される。胸の傷に隠していたノコギリを取り出し、
鍵を破壊し脱出、装備を整えなおして、急いでPWの格納庫へと向かった。
そこには、ストレンジラブとコールドマン、そしてなんと、パスがいた。

283PSP MetalgearSolidPeaceWalker 詳細版:2011/04/23(土) 23:35:33 ID:???
「手遅れだ、BIGBOSS。ママルポッドは完成し、ピースウォーカーに接続された」
コールドマンが言う。完成、という言葉に驚くスネーク。拷問に耐え、秘密を守ったはず。
「確かにお前は、最後までザ・ボスに忠を尽くした。お前のその沈黙こそが答えだった」
とストレンジラブは言う。スネークはどれだけ拷問されても、かたくなに沈黙を貫いた。
すでに国を棄てた男が、アメリカにこれほどに忠義を尽くすはずがない。理由がない。
とするならば、スネークが忠を貫いた相手は、誰あろう、ザ・ボスその人に他ならない。
そのことからストレンジラブは、ザ・ボスは不名誉な死を任務として強要されたのだ、
スネークはその最期の任務の成果を無駄にしないために沈黙したのだ、と確信していた。

パスを片手で抱えながら、コールドマンは得意そうにスネークに言う。
「PWの発射演習のターゲットを決めた。目標はカリブ洋上の領海域外(オフショア)だ。
 無人の海だが……おやおや、こんな所にいつのまにか小癪な要塞を築いた奴がいるな?」
ニタリと笑うコールドマン。モニターに示された目標は……MSFのマザーベースだった。

核が発射されれば、マザーベースが消滅するだけでは済まない。死の灰が貿易風に乗って
中米諸国に降り注ぎ、農作物や水産物は全滅、その汚染は数世紀に渡って残るだろう。
しかしコールドマンは「失業農民のお陰でPW量産の人手が増える」と冷たく言う。
彼にとって重要なのは、あくまでも世界のパワーバランスという大きな平和論なのだ。

PWがカリブ海沿岸を単独走破し、一施設にピンポイント核攻撃できることを証明する、と
熱く語るコールドマン。迫りくる核拡散を抑えるために、PWは不可欠だと彼は信じている。
「平和には制御された核が必要! その証明のために、核を撃たねばならんのだ!」

起動するPW。コールドマンとストレンジラブは、パスを連れて去っていく。
慌てて追いかけるスネークは、歩み去ろうとするPWに発砲する。……と、PWが止まった。
ヒューイによればPWには自己防衛機能があり、攻撃されたら敵を排除することを優先する、
という。先ほどの発砲で、PWのAIは「スネークの排除」を最優先事項に変更した。

284PSP MetalgearSolidPeaceWalker 詳細版:2011/04/23(土) 23:36:00 ID:???
結局PWと真正面からやりあうハメになったスネークだが、大ダメージを与えることに成功。
しかし機能停止に追い込むことはできず、PWは「四足歩行形態」に変形して去っていく。

PWを追うスネークだが、時速25マイルは出せる戦車を徒歩で追って追いつけるわけもない。
しかしその背後から、馬のいななきが聞こえた。ザ・ボスの白馬。飛び乗るスネーク。
PWのミサイル攻撃や、森の中の障害物などをかいくぐり、ひたすらに追う、追う、追う。
しかし生身ゆえの限界か、国境まで追ったところで、白馬はついに力尽きて斃れてしまう。
スネークは、国境サン・ファン河を越えて去っていくPWをただただ見送るしかなかった。


PWはニカラグアにある米国ミサイル基地に到着、そこで核発射を行うことが確認された。
MSFはあくまでコスタリカから非公式に依頼された身。ニカラグアへは不法入国になる。
だがニカラグアはアマンダらFSLNの母国だ。そのツテで、河越えルートで密入国して、
ダンボール満載のトラックで基地そばまで近寄ってもらい、スネークは無事潜入成功。

MSFの面々は誰も逃げようとせず、みなスネークを信じ、その力になろうとしている。
中の警備を少しでも手薄にすべく、基地に外から総攻撃を仕掛ける準備を進めていた。

基地に入ってすぐ、スネークは違和感を覚えた。米軍基地なのに、ソ連の兵士がいるのだ。
なにかキナ臭いものを感じつつも先に進み、中央の通信塔のモニタールームに潜入。
捕らわれのパスと通信できて無事を確認するも、それが感知されて警報が鳴ってしまった。
やむなくスネークは敵中を強行突破し、コールドマンらがいる管制塔へと突き進む。

管制塔に突入。コールドマンとストレンジラブ、さらに捕らわれのパスがいた。
米軍兵が周囲から銃を突きつける中、コールドマンは勝ち誇ってスネークに説明を始める。
曰く、PWはあくまで抑止力であり、自発的に核発射はしない。だから、PWに核発射させる
テストでは、「どこかで核兵器が使われた」とPWに誤認させる“偽装データ”を使うのだ。
MSFマザーベースに報復させるデータの用意は終わっている。あとはそれをPWに入力すれば、
ママルポッドが自動で報復対象を計算・決定し、核発射してくれる、というわけだ。

285PSP MetalgearSolidPeaceWalker 詳細版:2011/04/23(土) 23:37:43 ID:???
核発射コードを入力しようとするコールドマン、銃を構えて制止するスネーク。
だが、そのスネークの背後から、「止まれ、BIGBOSS」と聞き覚えのある声が響いた。
誰あろう、それはあのガルベス教授だった。

「遅かったな、ザドルノフ」
コールドマンは教授に親しげに語りかける。ガルベスは偽名で、ザドルノフが本名らしい。
だが、協力者として接するコールドマンに対して、ザドルノフは冷酷に切り返す。
「予定より手間取った……“基地の制圧”にな」
ザドルノフの背後から、ソ連兵たちが乱入してくる。スネークが道中見てきたとおり、
この米軍基地はすでに彼らソ連兵(スネークが推測するにスペツナズ)に占拠されている。
「裏切ったなザドルノフ!」「裏切る? そもそも我々は敵同士ではないか」
激昂するコールドマンに対し、ザドルノフはあくまで冷徹で余裕のある態度を崩さない。

ザドルノフは語る。核搭載型二足歩行戦車の基本アイディアは、そもそもソ連の科学者の
グラーニンが考え出したもの。それをアメリカに流したのは、CIAの資金で研究・完成させ、
その成果を丸ごと横取りするために他ならない。

そしてザドルノフはもうひとつの目的を明らかにした。それは、キューバに核を撃つこと。
キューバはアメリカの間近にある島国であり、有名な革命を経て共産化した東側の象徴だ。
そこに対してソ連が核攻撃をする理由はなにもないはず。驚き、聞き質すコールドマン。
ザドルノフは薄笑いを浮かべながら、物分りの悪い生徒に対するように丁寧に解説した。
「我々が撃つのではない、お前たちアメリカ人が、我々の同志キューバに核を撃つのだ」

ニカラグアのサモア政権は親米派であり、この基地もその流れで米軍に提供されている。
新米政権の国の米軍基地から、警告もなしに突然、共産圏へと核攻撃がなされる。
そうなれば国際世論は大きく動揺、反米感情が一気に高まり、中南米の共産化が進む。
それがクレムリン(ソ連政府)が描いた筋書き。すべてはその通りに進行していた。

286PSP MetalgearSolidPeaceWalker 詳細版:2011/04/23(土) 23:38:05 ID:???
パスを救出し、コールドマンに発砲するザドルノフ。しかし急所を外し、生かしておく。
コールドマンの手によらねば、PWの核発射コードは入力できないからだ。
同時に、ストレンジラブを脅し、偽装データをキューバ目標になるように書き換えさせる。

万事整えたあと、ザドルノフはスネークに向けて話を始めた。
実はスネークをコスタリカに送り込んだのには、もうひとつ目的があった。
革命戦士としては未熟・脆弱すぎるFSLNを鍛え上げる「指導者」として利用していたのだ。
「真の諜報活動とは、直接介入せず、現地の組織を操り、間接的に革命を実現させること」
とザドルノフは笑い、スネークの次の役割は「死して聖像(イコン)と化すこと」と言う。
米軍の手により偉大なる英雄を失ったFSLNは、強い結束力を発揮して米軍への報復に燃え、
そしてニカラグアの親米政権を転覆させ、中米に強大な共産勢力を築きあげることだろう。
ザドルノフは、スネークの額に銃を突きつけ、その引き金に指をかける。
「お前も、ザ・ボスのように、死して永遠の偽りとなれ!」

と、そのとき、「Venceremos!(我らに勝利を!)」の叫びとともに、兵士が乱入した。
先頭に立つのは、アマンダ。FSLNのメンバーが、スネーク救出のためにやってきたのだ。
不意をうったこともあり、瞬く間に米ソの兵士たちを制圧、ザドルノフをも拘束した。
「私たちはKGBの駒にはされない! 自分たちの勝利は、自分たちで勝ち取る!」
英雄は救出され、管制塔には「VIC BOSS(勝利のボス)」コールが響き渡った……。

基地はMSFに制圧された。ヘリで到着したカズは、パスをマザーベースで保護すると同時に、
ザドルノフとコールドマンの身柄もMSFで預かることを提案する。
もっとも、コールドマンは重傷で失血がひどく、助かるかどうかはわからない。

287PSP MetalgearSolidPeaceWalker 詳細版:2011/04/23(土) 23:38:26 ID:???
撤収していくMSFだが、スネークはまだこの基地に残ることにした。
「まだやることがある。……ボスの紛い物を、埋葬してくる」

カズらの乗ったヘリを見送るスネークのそばに、ストレンジラブのトラックが止まった。
「強要されて彼女を蘇らせたわけじゃない。私は、彼女の最期の意志が知りたかった」
とストレンジラブは言った。本当に、彼女はそれだけのためにAIを作ったのだった。
「……掘り返さないほうがいい真実もある」
「ダメよ、正直になりなさい。あなたも知りたいはず」
スネークの言葉を、ストレンジラブは一言で切り捨てた。そして、その指摘は正しかった。
「『彼女』が教えてくれるはず。……行きましょう……ボス」

……物語はこのまま終わるかと思われたが、しかし、一人の男が波乱を巻き起こした。
ヘリの中、瀕死のコールドマンは、最後の力を振り絞り、核発射コードを入力してしまう。
しかも、PWに入力した“偽装データ”を、PWから米軍に向けても送信させたというのだ。

米軍の司令室に、東側から核攻撃を受けたという“偽装データ”が映し出される。
司令室にはこれを“偽装データ”と見抜く手段はない。本当の攻撃だと信じ込むだろう。
だが、コールドマンは「人間には核報復をすることはできない」と固く信じていた。
司令室はきっと報復を決定できないまま“全滅”することだろう。だがPWは報復をする。
そして上層部は、核抑止には機械が必要、というPW計画の正しさを身をもって知るだろう。

「人である以上、誰一人核のスイッチを押す勇気はないはずだ、破壊者として歴史に
 記録されたくはないからな… 最期に人が守るのは、命ではない、名声だ!」
そう言い残し、コールドマンは力尽きる。その満足そうな死に顔は、“新たな平和理論の
樹立者”としての“名声”を守って死んだ、と確信しきっている表情であった。

このデータは特殊な送信方法で送られているため、通信妨害などをすることは不可能。
PWに送信を止めさせるコードも、コールドマンがあの世に持っていってしまった。
核、偽装データ、どちらも止めるには方法はたったひとつ。PWを破壊するしかない!

288PSP MetalgearSolidPeaceWalker 詳細版:2011/04/23(土) 23:38:50 ID:???
PWに対し、果敢に攻撃を仕掛けるスネーク。しかしPWは核攻撃を想定して設計されている。
各部の装甲も、ママルポッドの外殻も、それこそ核爆発でも起こさなければ破壊は不可能。
それでもスネークは必死に戦い、なんとか核発射機能を停止させるところまで追い込んだ。

が、ママルポッドが健在である以上、偽装データは送信され続けている。
国防省では、コールドマンの読みに反し、いまにも報復攻撃が決定されようとしている。

スネークは破壊を諦め、別の手段をとることにした。……米国防省への、直接交渉である。
自分は『BIGBOSS』だと名乗り、核攻撃が現実ではない、偽装データだと告げるスネーク。
BIGBOSS本人である証拠を尋ねられ、式典にてCIA長官との握手を拒否したことを告げると、
議長が信用してくれた。彼はスネークイーター作戦当時の陸軍参謀総長であったのだ。
しかし、議長の決定に反対する強硬派が、議長の頭に銃をつきつけ、報復の実行を迫った。
コールドマンの指摘は、ある意味で正しかった。「人間には正しい判断はできない」……。
直接交渉も失敗。このまま核報復が実行されれば、全面核戦争に突入する。絶体絶命。

そのとき。『ジャック……』と、ママルポッドが呼び、ポッド内部へのハッチが開いた。
それは『中に入って、内部から私を壊してくれ』と言っているかのようであった。
ポッドに飛び込んだスネークは、ポッド内のAI記録板をひとつずつ引き抜いていく。
その間中、AIは、ザ・ボスが10年前にロシアの地で語った最期の言葉を語っていた。
記録に残っていない言葉を再現するAIは、まさにザ・ボスが再誕したかのようでもあった。

記録版が抜かれるに従い機能を失い、次第に意味を為さない言葉を発するようになるAI。
最後の数枚を引き抜くときには、ただひとつの言葉を繰り返すだけになっていた。
その言葉は……『ジャック』。

289PSP MetalgearSolidPeaceWalker 詳細版:2011/04/23(土) 23:43:25 ID:???
ママルポッドの活動は停止した。しかし、なぜかデータ送信は止まらない。
「大脳が損傷しても、脳のほかの部分がその機能を補うことがある……」
ストレンジラブが理由を推測する。PWには総合判断を下す大脳であるママルポッドの他に、
試作AI戦車に積まれていた、武器などを管理する、小脳とも言えるレプタイルポッドがある。
考えられないことだが、そちらが本能的に兵器としての義務を全うしようとしているのか。
ひたすらに攻撃を続けるスネーク。しかし、PWは止まらない。

もう終わりか、と思ったとき…… 停止していたママルポッドに、光が戻った。
『……sing…… sing a song……』(『SING』The Carpenters,1973)
平和を願う歌を口ずさみながら、PWは自ら前進し、ニカラグア湖へと足を踏み入れる。
損傷していた各部装甲に水圧がかかり、PWのAIにも浸水、機能が停止していく。
偽装データの送信は止まり、国防省のモニターに移っていた核攻撃のデータは消滅した。

PWは、全面核戦争の危機を回避するために、自ら死を選んだのだ。平和の歌を歌いながら。
ママルポッドに宿っていたザ・ボスの高潔な精神は、兵士としての本能を超えて、苦痛を
伴う高潔な決断……自決を選んだ。そしてそれこそが、10年前のボスの“最期の意志”。
彼女は、殺すことをやめ、銃を捨て、平和のために犠牲になることを選んだのだ……。

湖に消えていくPWを見送りながら、ストレンジラブは求めていた真実を知り、涙する。
そしてスネークは、ザ・ボスの形見の品であるバンダナを、風に乗せて湖へと投げる。
それは沈み行く“彼女”への餞であり、そして心の中の“彼女”との決別でもあった。

290PSP MetalgearSolidPeaceWalker 詳細版:2011/04/23(土) 23:45:50 ID:???
(スタッフロール後。タイトルを背景に、音声のみで。)

PWが沈んでいった湖を眺めているらしいスネークに、カズが話しかけた。
「スネーク、まだここにいたのか? さあ、帰ろう」
「俺はもう、戻らない。断ち切れたよ。迷いは断ち切れた」
スネークは独り言のようにぽつりぽつりと答える。
「俺は間違えていた」

その深刻な口調に、カズはスネークがMSFに戻らないと言っていると思い、慌てた。
「何を言っている? みんな、お前を待ってるんだぞ、ボス?」
その勘違いしたカズをよそに、スネークは続ける。
「俺は彼女に裏切られた」
ゆっくりと、カズに説明するように、自分に言い聞かせるように、スネークは続ける。
「彼女は、最後に銃を捨てた。それまでの人生を、俺を含む、すべてを否定した。
命を差し出すことで、軍人としてのすべてを放棄した」

彼女は、最後に、平和のために命を捨てた。それはそれで素晴らしいことなのだろう。
だがそれはスネークから見れば、裏切りに他ならなかった。軍人としての生のすべてを
教えてくれたボスが、「軍人の中の軍人」「史上最高の兵士」と称えられたボスが、
そしてその「ボス」の座を最期にスネークに譲り渡したボスが、本当は最期に軍人として
生きることを辞めていた。それは、ボスを理想の兵士として慕った者すべてへの裏切りだ。

「俺は彼女とは違う選択をする! 彼女とは違う未来を選ぶ!」
だからこそスネークはそう力強くカズに伝える。
自分は最期の最期まで、兵士として生き、兵士として死に、兵士にとっての英雄となる。
その決意を籠めて、スネークは宣言した。
「今日から俺は……BIGBOSSだ」

291PSP MetalgearSolidPeaceWalker ED後第5章:2011/04/23(土) 23:47:28 ID:???
コスタリカの騒動は集結したが、MSFの歴史はいままさに始まろうとしていた。
世界各地の紛争への傭兵派遣を本格的に開始、新しいビジネスとして確立し始めている。
さらに、ストレンジラブがMSFに参加を表明、すでに参加していたヒューイとともに、
新しいAI搭載型二足歩行戦車……『メタルギアZEKE(ジーク)』を開発、完成させた。

だが、どこにも属さない強大な軍事力という存在は、既存の社会からすれば異端である。
排除しようとする動きは必ずあるだろう。それに対抗しうるだけの「抑止力」が必要だ。
カズは独断で、ニカラグア湖に沈んだPWから核弾頭を回収、ZEKEに搭載したという。
スネークは驚くが、しかし納得せざるを得なかった。実際、MSFは所詮はひとつの基地に
寄り集まった傭兵にすぎないのだ。「抑止力」がなければ簡単につぶされてしまう。
反核論者のヒューイも、絶対に発射しない脅しとしてなら、と消極的ながらも認めている。

傭兵派遣、新兵勧誘、兵器開発……順調に操業し、拡大を続けるMSF。順風満帆である。

しかし、ひとつだけ不安があった。拘束していたザドルノフがたびたび脱走するのだ。
しかもそのたびに、すぐにスネークの追跡にひっかかり、簡単に再拘束されている。
いくら彼が優秀なスパイだとはいえ、いくらなんでもそう何度も脱走できるわけがないし、
しかも逃げたのに簡単にまた捕まっているのも不自然すぎる。何か裏があるのだろうか。

そんな折、またも逃げ出したザドルノフを、スネークはMSF射撃訓練場で発見する。
しかし、今回は様子が違った。今まで無抵抗だったザドルノフが、反撃してきたのだ。
やむなく発砲するスネーク。撃たれて倒れるザドルノフ。
「私の役目は終わった……」 ザドルノフは意味深な言葉を残し、力尽きた。

どうにも腑に落ちない、とカズと無線で会話していると、基地内にアラームが鳴り響く。
メタルギアZEKEが勝手に起動、発進していた。慌てて格納庫へ向かうスネーク。

292PSP MetalgearSolidPeaceWalker ED後第5章:2011/04/23(土) 23:47:46 ID:???
立ち上がるZEKEの目の前に立つスネークに、「遅かったね…… BIGBOSS」と声がかかる。
それは、パスの声だった。しかし、いつもの快活な明るさではなく、冷たい響きがあった。

無人機のZEKEにコクピットはないはずなのに、コクピットが増設され、パスが乗っている。
なぜ、と驚くスネークに、「私が改造を。これは本来、人が乗るべきモノなの」と告げ、
正体を聞く質問に対しても「意外とメカ好き?」とおどけてはぐらかすパス。
今までの彼女の「無力ながらも平和を信じる女子高生」とはかけ離れた姿に驚いていると、
彼女は、自分はCIPHER(サイファー)という組織からやってきたスパイであると告白した。
「名前も年齢もCIPHERに与えられた。平和の使者もおバカな10代のフリもこれでおしまい」

急展開にあっけに取られるスネークに、パスは「私はパシフィカ・オーシャン」と名乗る。
そして言った。この結末こそが「本来のピースウォーカー計画」の最終段階だ、と。
そう、CIAを利用し、KGBを操り、すべての糸を引いていたのは、CIPHERとパスだったのだ。

「昔むかし、ザ・ボスという英雄を敬愛する二人の若者がいました……」
唐突にパスは物語を始めた。それは、スネーク自身にまつわる物語であった。
ザ・ボスの意思を継ごうと、共に立った仲間。しかし意見の違いから、彼らは袂を別った。
「それがあなたの過ちの『はじまり、はじまり』……」
パスはスネークのことを嘲笑うかのようにおどけ、そして続けた。
「このままじゃ『めでたし、めでたし(Happy ever After)』にはならない。だから……
CIPHERの意思に従いなさい、スネーク!」

世界情勢に翻弄されて味方と敵が入れ替わり、国に命じられるまま、殺し、殺される。
その兵士の悲しい運命が変わるよう、ザ・ボスは世界をひとつにするよう願って、死んだ。
スネークは「国に依存しない軍隊」を設立し、国家軍隊という概念を崩すことを目指した。
しかし一方CIPHERは、“国境なき統治世界”とも言うべき、完全な世界の統一を目指した。

293PSP MetalgearSolidPeaceWalker ED後第5章:2011/04/23(土) 23:49:39 ID:???
パスは語る。技術の進歩により、各国の諜報機関は電子技術(シギント)に移るだろう。
ゆえに、電子世界の情報を支配することにより、世界中を思うままに操ることができる。
最終的には、社会のあらゆる情報をすべて電子世界に置き換え、管理・検閲することで、
民衆すべての「無意識」さえも完全なる支配に置く、それがCIPHERの究極の目標だった。

その支配が完成するまでの間、CIPHERを守る抑止力になれ、とパスはスネークに提案した。
そして、「スネークには、ザ・ボスのように銃を捨てる決断はできない」と指摘した。
それは、怖いからだ、と。その恐怖心が、この「怪物(メタルギア)」を生んだのだ、と。
「でもCIPHERは違う。CIPHERは、銃を管理することを思いついた」

「力を管理など、できるはずがない」 スネークは、パスの言葉を否定した。
「ぶっぶー♪ では交渉決裂♪」 とパスはおどけて、ZEKEの機器を操作する。
そして、ZEKEに搭載された核を、アメリカ東海岸へと発射する、と宣言した。
そうすれば、いまや『全面核戦争を止めた英雄』として持ち上げられているMSFの評判は、
『核を見境なく撃とうとする、過激な武装カルト勢力』へと瞬時に転落することになる。
そして、国家に管理されていない軍事力は危険なものである、と、世界は認識するだろう。

「所詮平和なんて幻! ゲームは勝つか負けるか! 結局戦うしかない!」
ZEKEの急造コックピットに衝撃緩和のための水が注入されていく中、パスは高らかに叫ぶ。
「私を阻止できるならやってみろ! ピースマークのVは、VICTORYのVなのよッ!」

294PSP MetalgearSolidPeaceWalker ED後第5章:2011/04/23(土) 23:50:06 ID:???
死闘の末、スネークはZEKEを破壊する。パスは最後に、スネークへと向けてこう叫んだ。
「お前達のような抑止力が必要とされる限り、世界には真の平和など訪れないッ!
利用され、陵辱され、最後は社会悪として捨てられる! それがお前達の選んだ道だッ!」
爆発し、吹き飛ぶコクピット。パスの体は宙を舞い、はるか下の海面へと消えていった……。


片づけが終わった後、一人たたずむスネークのもとに、カズが静かに近づき、話しかけた。
「CIPHERの意味するものは、“空”。そしてもうひとつ……」「“ゼロ”」
スネークが遮って答えた。ゼロ。それは、彼をジャックと呼ぶ数少ない友人の名でもあった。
CIPHERという組織が何者なのか、その話題は、それ以上先には進まなかった。

「……謝ることがある。俺は最初から彼らの正体を知っていた。利用させてもらったんだ」
カズはスネークに、とんでもないことを言い出した。カズはなにもかも知ったうえで、
南米コロンビアの拠点に彼らを案内してきたのである。しかし裏があるわけではなかった。
すべては「MSF拡大のために」。カズが考えていることは、本当にそれだけだった。
「俺達の作り出したこの傭兵ビジネスは、いつか世界経済を支える新しい力になるはずだ」
それがカズの持論だった。冷戦が終わり、やがて地域紛争やテロの時代が来る。そのとき、
軍隊は国家から分離し、戦争はビジネスになる。社会が変わる、MSFはその先魁となるのだ。
「これこそ、ひとつの革命だ、そうだろ?」 カズは理想に燃える声でそう語る。

しかし、スネークは「そううまくはいかない」と首を振る。
「今回の事件で、俺達は旧体制の歴史に介入してしまった。俺達の存在は、世界中に
知られたはずだ。俺達は、触れてはいけない国際情勢に介入してしまったんだ」
ゆっくりとそう語るスネーク。そして、こう続ける。
「世界の軍事均衡を狂わせた俺達を歓迎しない連中もいる。俺達を排除しに来るだろう」

スネークは、自分達を「歯車(ギア)」に例えた。今の時代では、噛み合わず騒音を出す。
時代から弾き出されるか、時代の形そのものが変わらない限り、騒音は止まないだろう。
「俺達の存在を許さない、すべての規範……『時代』という形のない怪物と戦うことになる」
ザ・ボスは10年前、同じように時代から拒絶され、そして戦いをやめて死ぬことを選んだ。
だがスネークは、違う道を往くと決めた。善悪も勝ち負けもない、孤独な戦いを貫き通す。
「カズ……世界中が俺達を追ってくる。 ……さあ、みんなを集めろ!」

295PSP MetalgearSolidPeaceWalker ED後第5章:2011/04/23(土) 23:50:37 ID:???
(二度目のスタッフロール後。タイトルを背景に、音声のみで。)

(足音。近づいてきて、マイクの前で止まった。わずかな静寂。)

俺達は 国を棄てる

互いの祖国を棄て この惑星と一体になる
そこには 国も思想も イデオロギーもない

俺達は必要とされる土地へ赴き 俺達のために戦う
国のためでも 政府のためでもない

俺達は必要とされているからこそ 戦う
そして 持てぬ者たちの 抑止力となる

俺達は『国境なき軍隊』
時代が俺達の目的を決める

だが 俺達はカネで買われることになる
時代が望めば さまざまな革命や犯罪 テロに手を貸すことになるかもしれない

そうだ 俺達は地獄へ落ちる
しかし俺達にここ以上の居場所があるか?
ここが俺達にとっては 唯一無二の家

天国でもあり地獄でもある
それが俺達の『天国の外側(OUTER HEAVEN)』だ

 

 


247 :ゲーム好き名無しさん:2011/07/14(木) 03:26:58.42 ID:DtATu0Xb0
メタルギアソリッドピースウォーカーの真エンディングについて、追記させてくれ。

今Wikiにあるやつだけ見ると真エンディングでのラスボスが
「今まで全くの善良な味方を演じてたのに、ラストで突然冷血スパイの本性を現して裏切ったクソ外道」
と言う感じの純粋な悪役にしか感じられないと思うが、実はそうでもないんだ。

そのエンディングを見た後で出現し始める音声ファイルを集めると、
元々は確かに冷血スパイなんだけど段々と心境が変化していく様子が残されてる。

どうしてもこちらを裏切らなくてはならないような状況にあったことや、
それでも裏切るのをずるずると引き伸ばしたいと感じ始めている事情、
そしてすぐにでも裏切らなくてはいけない状況に陥ったことへの絶望、などが記録されてる。

その全内容を短くまとめると情感を伝えられないし、
かといってそのまま全て書こうとしても結構な文章量になるので詳しくは書かないけど。
知りたい人はぜひPWのプレイを。


あと、また別の音声ファイルでは
「"CIPHER"という組織、そして"ゼロ"と言う人物と繋がっているもう一人のスパイ」
についても明らかにされるんで聞いて損はなし。

250 :ゲーム好き名無しさん:2011/07/15(金) 19:09:05.06 ID:hZ5RynZ9O
パスは結局シリーズの黒幕の手駒で従うしかない状況で反逆という思考自体が出来ないほど詰んでる状態。
馴染んでいく過程があったからもう少し時間があればビックボスに助けを求められたのかと思うわ。

 

最終更新:2011年08月07日 23:31