白中探検部

part57-37.39~54,56,58~69,107~115,117


37 :ゲーム好き名無しさん:2011/05/12(木) 12:45:23.99 ID:hUKMQQiU0
数年前にPS2の「白中探検部」執筆を予約した者です。
執筆中にいろいろあって、結局ソフトは売ってしまって手元にないんだけど
途中まで書いてたものがあるので投稿しても良いだろうか。

39 :白中探検部(PS2):2011/05/12(木) 12:52:14.98 ID:hUKMQQiU0
【登場人物】※説明書参考
藤枝隆弘:東京の私立大学文学部2年生。「白中探険部(STB)」に関わる謎のハガキに導かれ、
     子供時代を過ごした白ヶ浜へ久しぶりに帰ることになる。
     当時、作家の父親は白ヶ浜の伝承を研究していた。
     中途半端なことが大嫌いな、本ゲームの主人公。20歳。

与謝野信介:通称・スケやん。タカヒロと同じ大学の2年生で、バイトも一緒の親友。
      裏表の無い性格の筋肉ナイスガイ?アヤカに気があるようだが…。20歳。

沢地彩佳:通称・アヤカ。タカヒロ、スケやんと同じ大学の2年生でバイト仲間。
     東京生まれの東京育ちで、白ヶ浜へは彼らに付き合い初めて訪れる。
     低血圧で朝には弱い現代っこ。本人は、白ヶ浜の謎に挑む探偵役のつもりだが…。
     22歳。

結城真理亜:通称・マリア、部長。大阪で看護師を目指して専門学校に通う3年生。
      STBでは「部長」を勤めた面倒見の良いあねご的存在。
      クールな外見に似合わず、困った人を見ると放っておけないらしい。21歳。

益屋譲二:通称・ジョージ。ブラジルにサッカー留学しているところに、謎の葉書の知らせが届く。
     神戸にいる妹と久々に白ヶ浜を訪れる。努力家だが、サッカーの本場で悩みも多いようだ。
     20歳。

福良 真:通称・しんちゃん。大阪でシステム工学を学ぶ大学3年生。論理的な(ヘリクツ?)性格は
     子供の頃から変わっていないらしい。小学校からの付き合いのマリアに気があるのだが
     相手にされていない様子。20歳。

益屋 希:通称・ノゾミちゃん。ジョージの妹。高校3年生。
     子供の頃からはにかみ屋で引っ込み思案な性格で、いつもジョージの後ろに隠れていたが、
     絵を描くことには自信を持っている。不思議な少女。18歳。

賀茂理奈:通称・ごりょんさん。白ヶ浜神社の巫女。郷土史研究を趣味にしている。
     マイペースな性格で、タカヒロたちのお姉さん的存在。25歳。

佐伯祐一:通称・マスター。カフェ「バラクーダ」の経営者。今も昔も趣味に生きるラテン系。38歳。

君嶋由佳:通称・ユカ。本ゲームのヒロイン。

40 :白中探検部(PS2):2011/05/12(木) 12:53:01.08 ID:hUKMQQiU0
【ストーリー】
大学2年生の夏休みを平凡に過ごすタカヒロの元に、一通のハガキが届いた。
裏には陰陽魚の太極図に似た絵(以下、「太極図」とします)と「STB」「814」の文字、
そして「P.S…8/12 あの場所に集まれ」というメッセージが書かれていた。
奇妙なことに、その字は中学時代のタカヒロの筆跡にそっくりだった。
さらに、表に書かれた「藤枝隆弘様」の宛名の字も中学当時の自分のものそっくりだった。
差出人は、白ヶ浜中学校時代にみんなの憧れの人だった『ごりょんさん』こと、賀茂理奈。

確かに、白中探険部(STB)のメンバーは八年前のあの夏休みの最後の日、
「ごりょんさんに、いつまでも引越し先を連絡しよう」と約束し合った。
STBのメンバーは、それぞれ転校してバラバラになっていたのだ。
しかし、そこでタカヒロははたと気が付いた。
「どうして、オレたちは転校しなきゃいけなかったんだ…?」
覚えていない。
「どうして、オレは、一度も故郷に帰ろうと思わなかったんだ…?」
何か大切なことを忘れているような気がする。
白ヶ浜最後の夏休みに、いったい何があったのだろうか。

同じくハガキをもらっていた親友のスケやん(スケやんのものも、自身の筆跡で書かれていた)と、
暇だからという理由で付いてきたアヤカと三人で、故郷・白ヶ浜へと向かった。

41 :白中探検部(PS2):2011/05/12(木) 12:54:34.42 ID:hUKMQQiU0
●8月12日
白ヶ浜に到着した三人は、まずアヤカに町内を案内することにした。
母校・白ヶ浜中学校の前に立ったとき、タカヒロは窓辺に白い帽子を被った少女の姿を見かける。
「どうした?」とスケやんに問われて我に返ると、窓辺に少女の姿は無かった。
次に、駄菓子屋の「おうむ屋」を訪れる。この店は、子供たちの溜まり場で、
タカヒロとスケやん他STBのメンバーでよく訪れていた馴染みの場所だった。
その店でしか売っていない「ナギサチェリー」というジュースを注文する。
店のおばちゃんが顔を上げた。
「見ない顔だけど、あんた、どうして白ヶ浜でしか売ってないナギサチェリーを知ってるんだい?」
「おばちゃん、オレのこと忘れたの?八年前は毎日ここに来てたんだけどなぁ。」
「八年前…。」
おばちゃんはタカヒロの顔をまじまじと見つめると、さっと顔色を変えた。
「どうして、この町に帰ってきたんだ!早く帰れ!この町から出て行くんだよ!」
そうまくし立てると、おばちゃんは店の奥へと引っ込んでしまった。
突然豹変したおばちゃんの態度に訝しがりながら、三人はおうむ屋を後にした。
その後姿を見ながら、おばちゃんは「どうして帰ってきたんだい…。」ぽつりと呟いた。

次に、カフェ「バラクーダ」を訪れた三人。この店も、子供の頃からの馴染みの店で、
マスターとはよくハイキングやキャンプに連れてってもらうほどの仲だった。
マスターだったら、昔のことを覚えているかも…。
しかし、店は閉まっていて誰もいなかった。
仕方が無い、とそこは後回しにして、三人はごりょんさんのいる白ヶ浜神社へと向かった。

久しぶりにごりょんさんと再会した二人。
謎のハガキの差出人ということで、ごりょんさんから話を聞くことができた。
どうやら、ハガキの裏面に描かれていた太極図の黒い部分はヤタガラス。
絵もメッセージも、タカヒロたちSTBメンバーが書いたものだという。
しかし、絵はおろかそんなハガキを書いたことすら記憶に無いタカヒロとスケやん。
ごりょんさんも、ハガキのメッセージの意味について知らないらしい。
彼女が言うには、
「あの夏の暑かった日、あなたたちが手書きのハガキを持ってきて頼んだのよ。
 みんなが引っ越すとき、引越し先を聞いて、八年後に葉書を送って欲しい、と。」
何も覚えていない、と愕然とするタカヒロとスケやん。
「やっぱり…覚えてないの?」
「覚えてないッス。」
「そう…しょうがないわね。」

42 :白中探検部(PS2):2011/05/12(木) 12:56:32.57 ID:hUKMQQiU0
タカヒロは、ハガキのメッセージにある「あの場所」がどこだと思うかをごりょんさんに尋ねてみた。
「バラクーダとかかしら。」
「それが、閉まってたんスよ~。」
「もう開いてるんじゃないかしら。マスター、最近、お店を開けるのが遅いから。」
どうかしたのか、と聞くと、一年ほどの長旅に出るらしく最近はその準備ばかりしているらしい。
タカヒロはマスターのお別れパーティを開こう、と提案。
STBのみんなもハガキを持って白ヶ浜に来ているかもしれないから、良い機会だということで決定した。
宿はごりょんさんが神社の宿坊を貸してくれるということで、荷物を置いてから、三人は再びバラクーダへと向かった。

バラクーダに向かうと、店の前で荷物の片づけをしているマスターがいた。
声を掛けると、マスターは二人のことを覚えていたようだったが再会したにしては少し浮かない顔をしていた。
「どうしたんですか?後輩との再会が嬉しくないんですか?」と問うと
「…いや、その逆だよ。嬉しくて、言葉もないっていうか…。」と曖昧な答えを返す。
マスターは、「白ヶ浜に来てから誰に会ったか」を聞いてきた。
ごりょんさんとおうむ屋のおばちゃんだけだと言うと、何故かほっとした顔をした。
それがどうかしたのかと問うと、彼曰く都会っぽくなってしまったタカヒロたちを心配して、らしい。
たしかに、この町は都会から来た人に対して冷たくあたる傾向があった。
都会からやってきてお店を開いたマスターも、最初の頃は苦労していたのを知っている。
「そうだね、オレたち、あまり目立たない方が良いのかも…。」と納得すると、
「だろ?」と、マスターはやはりほっとした表情を浮かべた。

そのとき、突然タカヒロの脳裏に大量に死んでいるウサギの映像が流れた。
「都会モン…ヘンな噂…いじめ…都会モンが嫌い…みんな嫌い…どっちの味方…ウサギ…死んで…。」
ブツブツと呟いているタカヒロを心配する声に、はっと我に返った。

「長旅で疲れたんだろう、宿に戻ったら?」と促すマスターだったが、
タカヒロが「大丈夫です、それよりもマスターに話があるんです。」と言うと、少し困ったような顔をした。
「立ち話もなんだし、中に行きましょー!」とスケやんが店内に入っていった。

店内に入ると、一人の女性と一人の男性の客がいた。
二人は懐かしのSTBメンバー、部長のマリアとしんちゃんだった。
久しぶりの再会を喜ぶ四人。
どうやら、マリアとしんちゃんも今回の謎のハガキで白ヶ浜に来たらしい。
そして、例に洩れず自分たちの筆跡であり、また、書いた覚えが無いと言う。

43 :白中探検部(PS2):2011/05/12(木) 12:57:44.64 ID:hUKMQQiU0
集まったSTBの四人が話し合う。
このハガキの筆跡はたしかに自分たちのものだが、書いた記憶が無い。
八年前にそれぞれ引っ越してしまったが、引っ越した理由がわからない。
そもそも、八年前の白中時代時代のことが全く記憶に無い。
「不自然だと思いませんか?もしかして、思い出したくないような嫌なことでもあったのかも…。」
「い、いや…それは考えすぎだと思うよ。」マスターはやはり曖昧な態度をとる。
「たしか、バラクーダの中に、八年前のわたしたちの写真が貼ってあったような。」
果たして写真があった。
STBメンバーで撮った写真。
みんなで懐かしみながら見ていると、ふと気になったものがあった。
右端、マスター曰く「醤油をこぼしちゃって」シミになっている部分。
アヤカが「これは誰?」と問うが、誰一人覚えていなかった。
白い帽子を被っているような人の姿がシミの間から見える。
「これ、いつ撮ったんだっけ?」
「半袖だし、夏よ。タイムカプセルを埋めたときじゃない?」
部長が言い出したことに、しんちゃんも同意する。
「そうだ!もしかして、ハガキにある『あの場所』ってタイムカプセルを埋めた場所じゃ?」

STB四人とアヤカは、「天狗の鼻」と呼ばれる一本の千年桜が立つ岬(崖?)に来た。
「何を埋めたの?」とアヤカに問われるが、やはり何も覚えていない四人。
四人揃って八年前のあの夏の記憶が無いというのは、はやりおかしい。
父母に聞いても教えてくれなかったりはぐらかされたりしたらしい。
そして「マスターも怪しい。」とマリアが言う。
「何か隠してるわ。マスター、嘘つくのヘタだから。」
マスターに聞いてみたとしても、彼は頑なな性格だと知っているので、四人は自分たちで真実を探すことにした。

そんな話をしているところに、STBメンバーのジョージと妹のノゾミちゃんが現れた。
手にはスコップ。ジョージはハガキを受け取り、タイムカプセルのことを思い出して直接天狗の鼻まで来たらしい。
しかしみんなと同様、夏の記憶はスッポリと抜けていた。
初対面のアヤカを見てジョージは「ユ……?なんだっけ。」と考えてから、
「…忘れちゃった、ごめん。なんだっけ、君の名前。」
「沢地彩佳、オレたちと同じ大学で同じバイト仲間。」とタカヒロが紹介すると、
「え…?なんか、人数的に違和感無かったからさ。」とジョージが笑った。


44 :白中探検部(PS2):2011/05/12(木) 12:58:28.46 ID:hUKMQQiU0
千年桜の前に来た七人。
またもタカヒロの脳裏をかすめたもの、今度は満開の桜の木下に立つ白い帽子を被った女の子。
「なんだ…?今の記憶…。」

その女の子が立っていた場所を掘ると、タイムカプセルが出てきた。
中に入っていたのは、メモ帳に描かれた色あせた地図と鍵。
それはスケやんが描いたもので、第二部室であるクレーン小屋への地図とそこの鍵だった。

ノゾミちゃんが途中で「絵の神様が降りてきた!」と走り去り、六人は地図を頼りにクレーン小屋へ。
向かう途中、タカヒロが何かを口ずさんでいた。
「懐かしいわね、なんだっけ、それ。」とマリアが問うと、タカヒロは「なにが?」ときょとん顔。
「今ハミングしてたじゃない。」
「無意識だった…。」

クレーン小屋に到着した六人は、そびえ立つそれを見て少しずつ夏の記憶を取り戻していた。
「あの夏、たしかに僕達はここにいた!」

【回想】
クレーン小屋から海に飛び込むマリア、ジョージ、スケやん。
それを見下ろしているノゾミちゃんと、白い帽子の少女。
【回想終わり】

クレーン小屋を見上げながら、「そうだ、たしかに、彼女もここにいた。」タカヒロが呟いた。

鍵を使って、小屋の中へと足を踏み入れる。
おもむろにジョージが口を開いた。
「そういや、なんか、いじめられっこの女の子いなかったっけ…?」
タカヒロが呟く。「ユカ………。そうだ!ユカだ!(写真の)彼女の名前はユカ!」
しかし、タカヒロ以外のSTBメンバーの反応はいまいちだった。
「そんな子、いたっけ?」
「いた気がするけど…。」
「そんな曖昧な記憶じゃ、あてにならないよ。」
タカヒロたちはごりょんさんに聞いてみることにした。

ごりょんさんに、写真と「ユカ」という名前を出した瞬間、真面目な顔つきになった。
「覚えてませんか?」とタカヒロが問うと、彼女は「しょうがない…。」と呟き
「たしかに、わたしがこの写真を撮ったとき、みなさんは彼女のことをユカと呼んでいました。」
ネガを持っているというので、焼き増ししてもらうことにした。
そして、もうひとつ。
「このハガキの絵なんですが、黒い部分はヤタガラス。白い部分はウサギですよね?
 この神社に、カラスとウサギにまつわる伝承とかって、ありませんか?」
「ありますよ。この神社の縁起です。」

45 :白中探検部(PS2):2011/05/12(木) 12:59:54.26 ID:hUKMQQiU0
その昔、神武天皇が大和に攻め入るとき、熊野の道案内をしたのがヤタガラス。
(白ヶ浜神社は熊野信仰の神社)
ヤタガラスは、熊野の使いにして太陽の化身と言われていた。
そのヤタガラスの起源は、中国神話に曰く
「かつて十の太陽があった。それらが一斉に地上に出たとき、地上の草木は焦げて枯れ始めてしまった。
 そのとき、一人の弓の名人が、九つの太陽の中にいる九羽のカラスを射抜いて、
 太陽は一個だけとなり人々は焼死を免れた。そのとき地上に落ちたカラスは、足が三本あったという。
 それがヤタガラスだといわれている。」
以上が、伝説などに詳しければ知っている人もいるであろう話である。
ここからが、白ヶ浜神社にだけ伝わる話。
「実は、月も十個あったという。月に住んでいたのは三本足のウサギたち。
 それぞれの相方だったカラスの死を嘆き、九匹のウサギの月もまた地上に落ちてしまったのだという。
 その月と太陽が地上に落ちた場所こそ、白ヶ浜神社の祀る「お山」なのである。」
その太極図は、カラスとウサギを祀る白ヶ浜神社の秘紋であるらしい。

宿は、七人全員で神社の宿坊を借りることにした。
ジョージやノゾミちゃん、マリア、しんちゃんが言うには、
白ヶ浜に来る前にホテルや旅館に問い合わせたところ、最初は「空室です」と言ったらしいが、
名前を名乗った瞬間電話の相手は慌てたように「満室です。申し訳ございません。」と態度を豹変させたらしい。
「この町にとって、わたしたちは招かれざる客のようね。」マリアが険しい表情で呟いた。

46 :白中探検部(PS2):2011/05/12(木) 13:01:10.97 ID:hUKMQQiU0
宿坊での夕食後、タカヒロはスケやんとしんちゃんと一緒に、
月と太陽合計十八個も落ちたという裏の「お山」に散歩に出かけた。
「中学生の頃は、怖くて近づけなかったもんな。」
町の明かりも届かない真っ暗な森。
三人は恐る恐るだが好奇心のみで中へ入っていった。
そのとき、三人を呼び止めた者がいた。
振り向く三人の前には、編み笠を被った老人と一匹の白い犬だった。
驚き、一目散に神社へと逃げ帰った三人。
「守人みたいなものでしょうか。」
「なんか…今と同じことを昔もやられたことがあるような…。」
「昔も来たことがある…?」
訝しがっていると、神社の中からごりょんさんの声が聞こえてきた。
そっと覗き見てみると、神社の書庫(?)でため息をついているごりょんさんがいた。
声を掛けようとするスケやんを押しとどめるタカヒロとしんちゃん。
ごりょんさんが、その三人の気配に密かに気が付いた。
「タカヒロくんたちかしら?ちょうどよかったわ…。」
ごりょんさんが独り言の音量を上げた。
「あー、どうしようかしら?掟で、自ら思い出せる強き絆持つモノのみ、道を伝えよ、なんて。
 タカヒロくんたち、思い出してくれるかしら?あと二日しかないのに。」
「あと、二日…?」三人は顔を見合わせる。
「天が満ちたる乾(けん)の年 もっとも太陽強き日に おちたる九つ やたがらす 
 おちたる九つ たまうさぎ 一日(ひとひ)に 一本足をえて
 みなが足なみそろいしは くらき いずみで よみがえらん……」
ごりょんさんは続ける。
「あーっ、この巻物を渡せればいいのに…。ヤタガラスさま、どうかこの巻物を、タカヒロくんに届けたまえ…。」
そこまで言うと、ごりょんさんは父に呼ばれて部屋を出て行ってしまった。
ぱたぱたと走り去る音が聞こえなくなった。
「タカヒロ!これはごりょんさんがこの巻物を持って行けっていう…。」
「そうですよ!ごりょんさんは、僕たちがここにいるのを知ってて…。」
三人は中へと入り込んで、ごりょんさんが言っていた巻物を手にとって見た。
古臭い巻物には、地図が描かれていた。
タカヒロの脳裏に過ぎる、「北斗星君延命写経」と書かれた巻物を見下ろす画。
自分自身の目で、巻物を手に取り見下ろしているシーンだった。
「そうだ!この巻物は…八年前にも…見た!」
しかし、内容まではやはり記憶には残っていなかった。
巻物は明日図書館で調べることにして、三人は宿坊へと戻っていった。

47 :白中探検部(PS2):2011/05/12(木) 13:01:55.57 ID:hUKMQQiU0
●8月13日
※ここで早朝露天風呂イベント。(行くか行かないかの選択肢あり)
 行くと、お約束の女湯覗きもありますがお約束のバレバレ先制攻撃を喰らう。
 そして男共は素っ裸で朝日を拝み倒す。

朝食後、本日の予定を決める六人(ノゾミちゃんは絵の神様降臨で去って行った)。
そこにごりょんさんが現れた。
ハガキにあった「814」という数字は、神社の大祭である8月14日のことではないか、と彼女。
しかし、神社の大祭は毎年8月15日だったはずである。
「今年は、八年に一度の特別な日で、14日なんです。みなさんがハガキを書いたのも八年前だし、
 きっとそうだと思うんですけど。」
ごりょんさんの言葉には、何故か迷いが無い。
「仮にそうだとして、このハガキと神社のお祭り、どう関係があるんだろう…。」
「それでみなさん、この神社でお祀りしているのはですね…。」
ごりょんさんの言葉を遮り、スケやんが立ち上がった。
「よっしゃ!みんな!814は14日の白ヶ浜祭りのことッス!
 そうと決まれば、祭りを中心に聞き込み開始ッス!」
全員がやる気になって、外へと飛び出した。
残されたごりょんさんは「話しそびれちゃった…。」

六人は商店街入り口へと来ていた。
「じゃあ、ここで解散。それぞれ自由に聞き込みしましょう。」
再集合は学校前に午前11時ということで、それぞれ散っていった。

タカヒロは気になっていた灯台へ向かった。
「なんかよく来ていた気がする…中学校時代のオレたちなら、何か手がかりを残しているハズだ。」
灯台付近の案内板に、太極図マークを見つけた。
たしかに、当時のタカヒロたちは灯台へ来ていたらしい。
「そういえば、クレーン小屋にもウサギが描いてあったな…。」
いったいどんな意味があるのか、あとでみんなに相談してみることにして、タカヒロは商店街へと戻った。

48 :白中探検部(PS2):2011/05/12(木) 13:04:29.11 ID:hUKMQQiU0
商店街ではマリオ(陽気なブラジル人。「バラクーダ」の従業員でマスターの友人。)と会った。
故郷に帰るときに持っていくお土産・三味線(彼曰く「日本のウクレレ!」)を探しに来ていたらしい。
「買い物にツキアッテクダサーイ」と言われ、タカヒロはマリオと共に楽器屋へと入っていった。
店内で物色していると、店主がタカヒロの顔を見て言った。
「アンタ…昔ウチでオカリナを買っていった坊主じゃないかね?」
「えっ…。」タカヒロが首を傾げる。
「やっぱりそうだ!そのとき預けていったモン、いい加減、持ってってくれ!」
店主はがさごそとカウンターをあさると、ひとつの箱を寄越した。
開けてみると、中に入っていたのは壊れたフルートだった。
それを目にした瞬間脳裏を過ぎる、白い帽子の少女・ユカの姿。
「修理の見積もりを立ててくれって預けたっきり、アンタ来なかっただろ?」
「これを、オレが?」
「良い品だから高いよって言ったら、代わりにオカリナを買っていったんだ。覚えてないかい?」
もちろん、タカヒロには記憶が無い。
しかし、預かり証にはしっかりと「藤枝隆弘」の名前が書かれてあった。
フルートを受け取り、タカヒロは集合場所の学校前へと向かった。

そこには、すでに他のメンバーが到着していた。
ひとりひとり報告をする。
が、スケやん、マリア、しんちゃん、ジョージの四人は自分達の家があった場所へと行っていた。
当然のごとく、すでに空き地になっていたり別の住人が住んでいたりしていたらしい。
アヤカだけはちょっとした手がかりを掴んできた。
町で祭りの準備をしていた老人に話を聞いたらしい。
老人曰く「今年は八年後との大祭だから、神社には行かない方が良い。」
「どういうこと?」とアヤカが問うと、
「町モン(都会っこのこと)は、神隠しに遭うかもしれん。」
「どうしてなの?」
「八年前の大祭の日、町モンの娘が神隠しに遭ったんじゃ。」
ここで、もっと詳しく聞こうとしたら老婆に止められたらしい。

49 :白中探検部(PS2):2011/05/12(木) 13:05:18.57 ID:hUKMQQiU0
今度は、タカヒロの報告。
まず、灯台に例のマークがあったことを報告する。
すると、ジョージが思い出した。
「タカヒロとサッカーの練習のあと、いつも灯台に登ってたじゃねぇか!
 そのときに、オレがラクガキしたんだ!」
「となると、あんまり意味はなさそうね。」
次に、受け取ったフルートをみんなに見せた。
フルート、そしてフルート代わりに買ったと言うオカリナ。
誰も覚えが無いらしいのだが、ジョージが再び口を開いた。
「タカヒロ!あの鼻歌、もう一回聞かせてくれ!」
クレーン小屋へ向かう途中に口ずさんだ鼻歌を歌ってみる。
「これだ!間違いない!この曲、オレ、オカリナで聞いたことがある!」
ジョージが言い出すと、みんなもぽつりぽつりと思い出してきた。
「僕は、フルートの音色だった気がします。」としんちゃん。
演奏会か何かで聞いたのかもしれない、ということで、六人は学校の音楽室へと向かった。

音楽室で、カセットテープを探す六人。
中学校当時の音楽の北沢先生が、よくカセットで音楽を聞かせていたのを思い出したのだ。
マリアがテープを発見する。
『授業中にフルートを披露 転校生・君嶋由佳 録音・北沢』
「きみしま…ユカ!それだ!」タカヒロが声を上げる。
さっそくデッキで流すと、タカヒロがハミングしていたのと同じメロディーが流れた。
「この曲を初めて聴いたのって…!」
「屋上だ!」
六人は屋上へと駆け出した。

屋上には、STBの第一部室があった。
懐かしい風景に、五人のSTBメンバーが口々に呟く。
「そうだ、ここで聴いたんだよ。」
「思い出してきたよ!」
「あの日、ここにいたんだよ!都会っ子!」
「フルート…吹いてたんだ!」

思い出がよみがえる。

50 :白中探検部(PS2):2011/05/12(木) 13:06:17.28 ID:hUKMQQiU0
【回想】
屋上で一人フルートを吹くユカ。
そのとき、彼女の真後ろから拍手の音が聞こえてきた。
驚いたユカが振り向くと、そこには同じクラスのタカヒロがいた。
逃げ出すユカと、それを追いかけるタカヒロ。
フルートの音色を褒めると、ユカは少しずつ心を開き始め、再びフルートを吹き始めた。
STBのメンバーも、第一部室から身を乗り出して聴いている。
その音が止むと、タカヒロやSTBメンバーから拍手が上がった。
嬉しそうにはにかむユカ。
【回想終わり】

「そうだ、君嶋由佳だ!」
「6月頃に転校してきたのよね。」
「なんか、スゲーいじめられてなかったか…?」

【回想】
屋上で、イジメっこの女の子三人がユカのフルートを持っていた。
それを取り返しにタカヒロが駆けつける。
しかし、彼女達はフルートを屋上の下へと投げ込んでしまった。
【回想終わり】

「それでフルートが壊れたんだ!」
「みんなで、落ちたフルートを探したのよ!」

【回想】
壊れたフルートを手に持ち、涙を流すユカ。
なんて声を掛けたら良いのかわからないタカヒロは、ただ立ち竦んでいた。
マリアがそんな二人に声を掛けると、ユカは走り去ってしまった。
【回想終わり】

「…オレも、小学生のとき、ここに引っ越してきてずいぶんイジメられた。」
ぽつりとタカヒロが呟く。
「スケやんとジョージが声を掛けてくれなかったら、今のオレはなかったかもしれない。」
「僕も、イジメられっこでした。」と、しんちゃんもぽつりと話し始める。
「小学3年生のときに、マリアに助けてもらわなかったら…僕死んでたかも。」
みんながしんと静まり返る。
「この町の人って、都会から来た『よそもの』を意味なく嫌うんです。」
「でも、仲間がいたからいじめも苦にならなくなったんだ。」

タカヒロは、ユカのことも思い出していた。
雨の日、ユカの入院している病室に見舞ったときのこと。
壊れたフルートの代わりにSTBのみんなでお金を出し合って買ったオカリナを渡す場面。

「そういえば、君嶋さんと仲良くなってから、僕たちと一緒に遊びましたよね。」
夏休みに入ってからは、第二部室であるクレーン小屋で毎日のように遊んでいた。
「またクレーン小屋へ行ってみませんか?なにか思い出すかもしれないし。」

51 :白中探検部(PS2):2011/05/12(木) 13:07:33.00 ID:hUKMQQiU0
クレーン小屋へ向かった六人。
はしごを上り、テラスに立ってみた。
少しずつ、記憶を取り戻してゆく。
「僕は、ここでGPSを組み立てていたんだ!」
「オレは、海に飛び込んでたッス!」
「そして、君嶋がいた!」

【回想】
海に飛び込む、マリアとすけやんとジョージ。
GPSの組立作業に夢中になっているしんちゃん。
釣りをしているタカヒロの後ろでは、人形遊びをしているノゾミちゃんとユカの姿。
【回想終わり】

「そういえば、あのユカって子、たしか海に入らなかったんじゃねーか?」
「うん…でも、夜に一緒に海に来たことはあるよ。」
「夜…?」
「どうして彼女は海に入らなかったんだろう。どうして夜…。」
しんちゃんがぼそりと答えた。
「君嶋さんて、身体が弱かったんじゃないかな…。」
「そうだ…たしかここ(テラス)で…!」

【回想】
みんなが遊んでいる中、ベンチに腰掛けているユカ。
しかし、突然前にのめり込むようにして倒れた。
病院へ運ばれた彼女は、そのまま入院することになった。
【回想終わり】

「駅の向こうの病院!」
六人はそのまま病院へと向かった。

52 :白中探検部(PS2):2011/05/12(木) 13:08:19.96 ID:hUKMQQiU0
折原病院は、白ヶ浜唯一の病院だった。
長い階段坂を上った先にある。
「競争だ!」と走り出したスケやんとジョージを眺めながら、
タカヒロ、アヤカ、マリア、しんちゃんはゆっくりと階段を上っていた。
そこに、おうむ屋のおばちゃんが現れた。
「おまえたち!まだ、こんなところをうろついてんのかい!」
驚く四人に対して、
「帰れ!帰るんだよ!」とキツい言葉を浴びせる。
「おばちゃん、僕たち、病院に来ただけですから…。」としんちゃんが宥めようとすると、
「病院なんかつぶれちまったよ!」
「えっ?」
「お前たちのせいじゃないか!」
その言葉に唖然とする四人。
「どうして、僕たちのせいなんですか!?」
「うるさいねっ!とにかく帰れ帰れ!お前たちは、ここにいちゃいけないんだ!」
「わたしたちが、何をしたんですか?」
「とぼけるんじゃないよ!八年前のあの日、お前たちのせいで『お山』が光らなかったんだ!」
「八年前…?」
混乱しているタカヒロ、マリア、しんちゃんのために、アヤカが前に進み出る。
「おばちゃん、ひとつだけ教えてください。
 昨日わたしを誰かと見間違えましたよね?たぶん、白い帽子を被った子だと思うんですけど。
 その子、この病院に入院してどうなったか知りませんか?」
おばちゃんが口をつむぐ。
なおもアヤカが問うと、ぼそりと口を開いた。
「…消えたよ。」
「えっ?」
「消え…いや違う!死んだんだ!死んじまったのさ!」
吐き捨てるように言うと、おばちゃんはさっさと帰ってしまった。

「君嶋が…死んだ…。」
呆然と立ち竦むタカヒロ。
脳裏には、君嶋と二人で焚き火を囲むシーン。
「泉…?親父の話…?」
断片的にだが、そのとき話していた会話の単語が思い出される。
「藤枝君、どうしたの!?」
「オレたちが…君嶋を殺した…?」
タカヒロの耳には、アヤカの声が届いていなかった。
そこに、先に走っていったスケやんとジョージが戻ってくる。
「病院は廃墟になってたぜ!」
しかし誰も答えない。
「君嶋が…死んだ…。」
「タカヒロ!どうしたんだ?」
訝しがるスケやんとジョージに、アヤカが説明し始めた。
「おうむ屋のおばさんが言ってたの。八年前、あなたたちがなにかをしたらしいの。
 そのせいで、八年前に光るはずだった『お山』が光らなかった。」
「…オレたち、なにをやっちまったんスか?」
「そこまではわからないわ…でも…この病院に入院していたユカさんは、亡くなった。」

53 :白中探検部(PS2):2011/05/12(木) 13:09:20.83 ID:hUKMQQiU0
六人は場所を移し、白ヶ浜駅前へと来ていた。
道すがら、アヤカがスケやんとジョージにあったことを説明していた。
「そのユカって子、命を落とすようなこわ~い病気にかかってたんスかね?」
「サンダイバブリンシンドロームよ。」マリアが答えた。
「一億人に一人の遺伝病なの。どういうわけか、昔からこの病気に関心があったんだけど、
 その理由が、今わかったわ。八年前、この病気に冒されていた君嶋さんに出会ったからよ。」
サンダイバブリンシンドロームとは。
子供の頃は日焼けすると貧血みたいな症状が出るだけ。(第二部室で倒れたのがそれ)
思春期で治る可能性もあるが、思春期を過ぎた頃から日に当たるたびに遺伝子がどんどん壊されていき、
死に至るのだという。
(※この病気についてググってみましたが、見つからず。
 似たような病気があるというのは聞いたことがありますが…。ゲームオリジナル??)

「でも、おばちゃんはオレたちのせいで君嶋が死んだと言っていた。」
「そんな風には言ってなかったと思うけど…。」
「オレにはそう聞こえた。」
マリアが言う。
「病気の人が亡くなるのは、誰のせいでもないわ。」
しかし、タカヒロは声を荒げた。
「オレたちが君嶋を殺した!そして、この町から逃げたんだ…!
 だから親は引っ越した理由を言わないんじゃないのか!?
 だから町はオレたちを遠ざけようとしてるんじゃないのか!?
 オレたちは無意識のうちに、都合の悪いことを忘れようとしていただけなんだよ!!」
「タカヒロ…。」
「もう帰ろうぜ…東京に…。」
そんなタカヒロの姿を見て、アヤカも声を荒げた。
「このままでいいの!?よくわかんないまま帰っちゃうわけ!?」
「うるさい!過去をほじくりまわしてどうするんだよ!オレたちは人殺しかもしれないんだぜ!?」
「そんなことない…あなたたちは、人殺しなんかじゃ…。」
言いかけたアヤカの言葉を、タカヒロが遮った。
「帰れ!お前に何が分かる!?部外者のクセに!!」
「…!!」
「ちょっと!それは言いすぎよ!」
「とにかく!冒険ごっこはもうおしまいだ…!」
そのとき。
「バカヤロウ!!」
スケやんがタカヒロの頬を殴った。
「自分だけが被害者みてーな顔すんじゃねーよ!怖ぇのは、みんな一緒なんだ!」
みんなも続く。
「まだ、おうむ屋のおばちゃんの話しか聞いてないじゃない。調査は始まったばかりでしょう?」
「そうだぜ。なに、いきなり熱くなってんだよ。謎を解いて、真実を明らかにするのがSTBだろ?」
「僕は知りたいです…真実を。それが最悪の答えだとしても。」
「タカヒロは、どうしたいんだ?」
タカヒロは俯いたまま。
「少し、一人にしてくれないか…?」
マリアがうなずいた。
「わかった。一人にしてあげる。でも、逃げたりしたら許さないから。」

54 :白中探検部(PS2):2011/05/12(木) 13:10:40.41 ID:hUKMQQiU0
六人は別行動をすることになった。
スケやんは、ユカがタカヒロの父親の話をしていたことを思い出し、父親が出版した本を探しに本屋へ。
アヤカは、昨夜ごりょんさんに借りた巻物を解読することに。
(巻物は変体仮名で書かれていて、文学部のアヤカは解読することができるらしい。)
マリアは白ヶ浜付近の病院を捜しに。
しんちゃんは、八年前の新聞記事を探しに図書館へ。
ジョージは、引っ越す前に住んでいた家の軒下に隠したノゾミちゃんの日記帳を探しに。
(ノゾミちゃんは八年前のことについて忘れているわけではないようだった。)

そこに、バイクに乗ったごりょんさんが現れた。
現像していた写真ができたらしい。
渡された写真には、シミで消えていた白い帽子の少女が写っていた。
「君嶋…。」
タカヒロが呟いた。

別行動を開始した六人。
タカヒロはバラクーダへと向かった。
(藤枝君を一人にするのが心配なんだもん…)と、アヤカも付いてきた。

※すみませんが、ここからは会話中心で進めます。
店内でテーブルを囲むタカヒロ、アヤカ、マスターの三人。
タカヒロはマスターに写真を見せた。
「彼女の名前は、君嶋由佳…。」
「…どこまで思い出したんだ?」
「友達…STBの一員だったこと。」
タカヒロ、とマスターが名前を読んだ。
「本当のことを教えてくれないか?」
「本当のこと?」
マスターが渋面を作る。
「僕は、みんなが八年前のことを忘れてるんだと信じてた。
 八年前、キミたちは何一つ覚えていなかった。
 僕は少なくともそう信じた。信じようとした。
 だから昨日はみんなに合わせてすっとぼけていたんだけど…。」
タカヒロとアヤカは首を傾げる。
「すっとぼけてたって…?」
「たまたまみんなが帰ってきただけなら…何も覚えていないなら…。
 忌まわしい過去なんか、忘れたままで良いと思ってた。
 でも、自分達で八年前をほじくり返すんなら、話は別だ。」
「マスター、オレたち何かマズイことでもしたんですか?」
「マズイ…?」マスターは眉根を寄せた。
「マズイなんてもんじゃない!キミたちは、それで町を出て行くハメになったんだ!」
アヤカが恐る恐る口を挟む。
「神隠しにあった女の子って、君嶋さん…なんですか?」
マスターは答えない。変わりにタカヒロへと問うた。

56 :白中探検部(PS2):2011/05/12(木) 13:11:26.18 ID:hUKMQQiU0
「君嶋さんを…どこへやったんだ?」
「どこって…?」
「彼女をどうしたんだ!?」
「………。」
「八年前、彼女をどこに置き去りにしたんだ?途中で何があったんだ?」
畳み掛けるように問うマスターを、アヤカが遮った。
「マスター!藤枝君、まだ…そこまで思い出していないんです。」
「そんなバカな!彼女は、キミの…。」
「オレの…なんなんですか?」
「…バカヤロウッ!!あの子のこと、どうやったら忘れられるんだ!」
「…そんなに、オレにとって大切な人…だったんですか…?」
「本当に何も覚えていないのか!?」
「すみません…。」
マスターはがっくりと肩を落とした。
「僕はこの八年…何も聴かなかったし、何も知らないことにしてきた…。
 キミたちが『お山』に入っていったのを目撃した人はいた。
 だけど、彼女をキミたちが連れて行ったかどうかは、わからなかったんだ!
 もちろん、僕は言わなかった!
 キミたちがあの子を『お山』に連れて行ったんじゃないかって聞かれても、
 曖昧にはぐらかして答えてきた。だがな…もうその必要は無い。本当のことを言おう。
 彼女を『お山』に連れて行ったのは、キミたちだ!」
「オレたち…?」
「そうだ。町の人たちの間でも噂になったし、キミたちは疑われた。
 でも結局、彼女の神隠しとキミたちが『お山』に入ったことは無関係とされたんだ…。
 だけど僕は知っていた。なぜなら八年前、
 キミ達が病気の彼女を『お山』に連れて行くって相談していたのは、この店なんだ。」

58 :白中探検部(PS2):2011/05/12(木) 14:10:49.84 ID:hUKMQQiU0
「どうしてマスターは、藤枝君たちのことをかばったんです?」
「友達だからだ。少なくとも、僕は勝手にそう思っていた…。」
「マスターは黙っていてくれたけど、藤枝君たちは町を出なきゃならなくなった。」
「そりゃそうさ。『お山』に入ってあの年の大祭をメチャクチャにした張本人たちだし、
 人の噂っていうのは、尾ひれが付くもんだ…。
 こういう町じゃ居づらくなって、親達も自然と引越しを考えたんだろう。」
「マスター、教えてください。」タカヒロが重い口を開いた。
「オレたちは、君嶋になにをしたんですか?もしかして、殺してしまったとか…。」
「やめろ!そんなことは考えたくもないし、聞きたくもない!
 それに…あの頃のキミたちにそんな動機はないよ…。」
「マスターは、どう考えているんですか?」
「…彼女は病弱だった。キミたちが『お山』に連れて行った。山の中で、彼女が亡くなった。
 怖くなったキミたちは、彼女をどこかに置いてきた…ショックでキミたちは記憶を封印した。
 僕は、それが真実だろうと思ってきた。」
「思い出したくもない記憶の封印…でも、もしそうならヘンですよね。」
アヤカの言葉に、タカヒロもうなずく。
「記憶を封印したのなら、なぜこの葉書を書いたのか。わざわざごりょんさんにお願いまでして。」
「まるで自分たちが記憶を封印してしまうことを知ってたみたいですよね?」
「オレたちには、八年後にここに集まらなければならない理由があった。そう考える方が自然なんじゃないですか?」
「理奈ちゃんに葉書…八年後…。」
そこでマスターがはっと顔を上げた。
「八年後!?」
「どうしたんですか?」
「八年前、僕が理奈ちゃんに…ある話をしたとき、『八年経ってケリがついたらお答えします』って言われた…。
 理奈ちゃんなら、八年というのを何か知っているかもしれないよ。」
「ごりょんさんと言えば。」
アヤカは巻物をマスターに見せた。
「これ、なんの地図だかわかりますか?易(えき)とか八卦に関係あると思うんですが…。」
マスターはうーん、と唸ってから、「百聞は一見にしかずだ!」と二人を外へと連れ出した。

59 :白中探検部(PS2):2011/05/12(木) 14:39:17.92 ID:hUKMQQiU0
マスターに連れられてやってきた場所は河原だった。
町の人たちもよくキャンプに訪れるところらしい。
「オレ、ここに来たことがあるかも…。」
タカヒロが言うと、マスターが
「そりゃそうさ、タカヒロたちが小学生の頃、しょっちゅうボクが連れてきたんだから。」
「…キャンプ…。そうだ、この場所で聞いたんだ…!」

【回想】
水辺に佇む、中学生のタカヒロとユカ。
「ちょっと聞いてもいい?」
「どうしたの?」
「その格好って暑くない?」
タカヒロの問いかけに、ユカは「え?」と小さく呟いた。
「君嶋ってさ、いつも長袖だから暑くないのかなって思ってさ。」
「……。」
「べつに深い意味はないんだ!気にしたらゴメン。」
「わたしね、あまり肌を日にさらしちゃいけないの。だからいつも長袖なの。」
「日にさらしちゃいけないって、どうして?」
「そういう、体質だから…。」

この会話があってから二週間後。
今度は、STBとマスターのみんなで来たときのこと。

他のメンバーが寝静まった真夜中、タカヒロとユカは焚き火を囲んで話をしていた。
「前に、わたしがずっと長袖を着ていなきゃいけない理由を話したよね。」
「うん。確か、体質とか。」
「正確に言うと、病気なの。」
ユカは生まれつき肌を日にさらしてはいけない病気だった。
遺伝的なものらしく、母親も同じ病気だったらしい。
母親は、ユカが小さい頃に亡くなっていた。
そのため、「次は自分の番だ」とユカは思い続けてきた。
「何か治す方法は?」
「今の医学では無理なんだって。でも、泉が本当にあるならこの病気はきっと治る。
 だからわたし、藤枝君のお父さんの話、信じてる。」
「オレは…泉を見つける!約束する!」
「ありがとう、藤枝君。」
二人が手を取り合った瞬間、電流が走ったような衝撃があった。
タカヒロが見たのは、落ちていくユカに手を伸ばしている自分。
「なに今の…?」
「君嶋も見たの?」
「ううん。」
ユカには映像は見えていなかった。その代わり、ユカには「八年」という声が聞こえたらしい。
【回想終わり】

60 :白中探検部(PS2):2011/05/12(木) 14:59:03.77 ID:hUKMQQiU0
「あのとき、オレと君嶋は何を見たんだ…?」
タカヒロを心配そうに覗き込んでいるアヤカに、マスターが話しかけた。
「さっきの巻物、見せてくれるかい。」
マスター曰く、巻物に書かれている図面はごりょんさんの神社の裏の『お山』を表しているらしい。

※ここからは図面で場所を指し示していくことになるんですが、文章にするとあまりにもややこしいことになるので省きます。

天馬ヶ岳、亥ノ池、ヒツジ沢、牛ヶ原(現在は隣町になっている)、光雉峰(こうちほう)、
蛇皇木(じゃこうぼく。去年の落雷で焼失)、白ヶ浜を順番に説明するマスター。

「マスター、よく知っていますね。」
タカヒロが感心したように言うと、
「そりゃそうさ。八年前、『立ち入り禁止』になる前はしょっちゅうタカヒロたちを連れてハイキングに来ていたんだから。」」
「ということは、この巻物は、この辺の昔の地図ってことですね。」
確認するように口を開いたアヤカは、でも、と付け加えた。
「ヘンですよね。この白ヶ浜神社って、鬼門の方を向いてるじゃないですか。」
鬼門とは、うしとら――北東の方角で、魔が流れてくる方角の事。
普通は、そっちの方角に向けて神社は作らないらしい。
アヤカが首をひねっているとマスターがごりょんさんから聞いた話を思い出した。
ごりょんさんの神社が祀っているものは実は神様ではないらしい。
しかし、何を祀っているかは忘れてしまったようだ。

おもむろにタカヒロが口を開いた。
「伏せろ!」
言われたとおりに伏せたが、訝しんだマスターが顔を上げると、崖の上茂みの方から一人の老人と一匹の犬が現れた。
昨夜、タカヒロたちが夕食後に『お山』に登ったときに出会った老人だった。
その時に犬をけしかけてきたのでタカヒロは警戒していたのだ。
「あれは、炭ジジじゃないか。」
マスター曰く、もともとこの辺で炭焼きをしていた老人なのだが、八年前に『お山』が立ち入り禁止になって以来、
町役場から頼まれて『お山』の番人をしているらしい。
八年前――タカヒロたちが大祭の日に『お山』に入ってかららしい。
アヤカが口を開いた。
「おうむ屋のおばさんも言ってましたけど、『お山』に入ることはそんなにいけないことなんですか?」
マスターはごりょんさんに聞いた話というのを語る。
八年に一度の大祭の日に天馬ヶ岳の頂上に光の柱が立つらしい。
ところが、八年前は光の柱は立たなかった。
海では魚が獲れなくなり畑の実りも良くなかった。
町の人々は、「天馬ヶ岳」に光の柱が立たなかったせい、それはタカヒロたちが『お山』に入ったせいだとした。

61 :白中探検部(PS2):2011/05/12(木) 15:23:03.73 ID:hUKMQQiU0
アヤカが「そういえば」と何かに気づいた。
「さっきのおじいさん、滝の裏側から出てきませんでした?」
※すみません、描写してませんでしたが三人のいる河原近くには滝があります。
「あの滝の裏には洞窟があったはずだけど、何をしていたのかな?」とマスターも首を傾げた。
狭い洞窟の先には石碑があるらしい。
三人は洞窟に行ってみることにした。

洞窟には分厚そうな扉があり、さらに鎖が巻かれて鍵も掛けられていた。
「この先に…石碑…!」タカヒロが呟いた。

【回想】
スコップを持ち、何かを埋めているSTBのメンバー。
「ごめんね、何もしてあげられなくて…。」ユカが悲しそうに呟いていた。
【回想終わり】

「オレ、八年前にこの先に行った…。」
「昔は鍵なんて掛かってなかったよ。」マスターが言った。

三人はバラクーダに戻ってきた。
今日はここで解散ということになり、タカヒロはユカの住所をマスターに聞いてみた。
彼女は病院通いをしていたため、病院近くに家があったらしい。
廃墟になった病院がそれで、マスター曰く、そこは「患者が神隠しにあった」ということでひどくバッシングを受けて潰れたらしい。
タカヒロたちが八年前にしたことは、町に一軒しかない病院を潰すほどのことだった。

マスターと別れた二人はユカの家へと向かった。
その途中の商店街でジョージと出会った。
ジョージはノゾミちゃんの絵日記を手に入れてきたらしい。
絵日記の中に、八年前、ユカが神隠しにあったことが書かれていた。
それで気になったのが、「ウサギが死んだ」内容の日記らしい。

【回想】
何かに荒らされたようなウサギ小屋の中に、数匹のウサギが横たわっていた。
【回想終わり】

ノゾミちゃんの日記には、ユカが消えた日、お兄ちゃん(ジョージ)はタカヒロたちとキャンプに行ったということが書かれていた。
ノゾミちゃんは、彼らがユカに何かしたのではと思ったらしいが、お兄ちゃんたちを信じてるから何も言わない、と綴られていた。

※ここからタカヒロとジョージの絡み。アヤカは気を遣って海を見に行ってしまいました。
 本編とあんまり関係ないので簡潔に書くと、ブラジルにサッカー留学をしていたけど、
 現地の空気やら実力の差やらを見せ付けられて意気消沈してサッカーを辞めたそうです。

62 :白中探検部(PS2):2011/05/12(木) 16:25:21.59 ID:hUKMQQiU0
※上で書き忘れ。サッカー小僧ジョージのことです。すみません。

ジョージと別れたタカヒロはアヤカと合流し、気になることがあると言ってユカの家ではなく学校へと向かった。
ウサギ小屋のあった場所に辿り着くと、何かを思い出した。

【回想】
ウサギ小屋の中の惨劇に悲鳴を上げるユカ。
タカヒロが校門の方に目を向けると、男子生徒三人が駆けていく後姿が見えた。
追いかけようとするタカヒロだったが、それをユカが止めた。
「まだ生きてる子がいる!」
【回想終わり】

ユカは飼育委員だった。
タカヒロとスケやんが、不良に絡まれているユカを助けたせいで、不良たちが逆恨みでウサギ小屋を荒らしたらしい。

タカヒロの記憶は断片的にしか思い出されなかった。

生きていたウサギを動物病院へ連れて行ったこと。
STBメンバーで河原にキャンプに行ったこと。
滝の洞窟に行ったこと。

「どうしてあんなところに行ったんだ?」

そして、ユカの持ってきたゲージの中のウサギが冷たくなっていたこと。
スコップを持ち、ゲージを埋めているSTBメンバー。

「君嶋の大切にしていたウサギが死にそうになったから、滝の裏の洞窟に行って、扉の奥にも行った!」
「どうして、死にそうなウサギを連れて行ったの?」
アヤカが誘導するように問いかけるが…
「わからない…。扉の奥には、虎の石碑があったんだ…。」
虎、という言葉にアヤカが反応した。
「虎のところにウサギを連れて行ったのね!他には?カラスはいなかったの?」
アヤカが読んだ巻物には、虎、ウサギ、カラスについて書かれていたらしい。

「天(あめ)なる帝(みかど)の のりし船 虎が守りしヤタガラス 虎が守りしタマウサギ
 みなみな お船にのりたれば 天なる帝の くらき いずみは ひらかれん」

タカヒロはカラスがいたかどうかは思い出せなかった。
アヤカはぶつぶつと何かを呟いている。
「虎、馬は天を意味して、天は乾(けん)だから…。」
この先は、タカヒロが何かを思い出さないと始まらないらしい。
二人はユカの家に行ってみることにした。

63 :白中探検部(PS2):2011/05/12(木) 18:05:58.60 ID:hUKMQQiU0
廃病院に来た二人は、病院の裏に細い道があるのを見つけた。
行ってみると病院のちょうど庭に通じていて、タカヒロはそこにユカの家があったことを思い出した。
さらに、その病院はユカの親戚が経営していたことを思い出した。

【回想】
夜、タカヒロは病院の庭にいた。
「君嶋。」
名前を呼ぶと、窓が開いてユカが顔を出した。
ユカは入院していた。
部屋へと招かれたタカヒロは、ユカの具合を聞く。
「わたし、もっと大きな病院に行かなくちゃならないかもしれない…。」
それを聞いて落ち込んでしまったタカヒロを慰めるように、ユカは絵本「ほうらいさんのにわ」を読み聞かせ始めた。
【回想終わり】

「絵本…どんな内容だったんだ…?」
絵本について気になりだした二人は、商店街の本屋へと走った。

商店街を走っていると、スケやんに出くわした。
タカヒロとぶつかった拍子に、スケやんは持っていた本をぼとぼと落としてしまった。
スケやんが持っていた本は全てタカヒロの父が書いた本だった。
本屋はもう閉まってしまったらしく、とりあえず今のところ手がかりであるタカヒロ父の本を読んでみることになった。
しかし、タカヒロは父親に反発しており、父が書いた本は読みたくないらしい。

宿坊に戻った三人は、既に戻っていたSTBメンバーと今日集めた情報の検討を始めた。
マリアは折原病院の関係者の情報集めをしていたらしい。
昔その病院で働いていたリネン係のお姉さんの話によると―――
ユカの病気はやはりサンダイバブリシンドローム。
親戚である病院は、彼女のために相当無理をして高額な医療器具を揃えたらしい。
経済的にも苦しくなっているところに、神隠しが起きた。
評判が悪くなってしまい、病院は八年前の秋に潰れてしまったというわけだ。

そして、マリアの報告はもうひとつ。
「YUKA」と名前が書かれたオカリナについてだった。
病院が亡くなった後、すぐ裏のユカの家も取り壊されたらしい。
その時に片づけを手伝ったリネン係のお姉さんがが、ユカの部屋からそのオカリナを見つけたのだという。

「タカヒロの鼻歌、オカリナで聞いたことがあったんだ!」ジョージが言うと、
「そうっス!オカリナを、みんなでお金出し合って君嶋さんって子に買ってあげたんスよね!」スケやんも続いた。


64 :白中探検部(PS2):2011/05/12(木) 18:06:56.14 ID:hUKMQQiU0
マリアの報告は以上。
次は、図書館に当時の新聞を探しに行ったしんちゃんの番。
不可解なことに、八年前の夏の新聞だけがなかったらしい。
図書館の人に聞いてみたが、その人は去年赴任してきたばかりの人だったらしく、何もわからなかった。
しかし、パソコンを使わせてもらい、ネットで当時の新聞記事を読むことが出来た。
それには「神隠し」について書かれていた。
『君嶋由佳という女の子が行方不明になった。』
同級生――タカヒロたちのこと――が一緒にいたということでかなり疑われていたのだが、
彼らが「何も覚えていない」というので、それが信用されて無罪放免になった、という内容だったらしい。
ユカを探すために山狩りも行われたらしいのだが、町の人たちは「『お山』に入ると『お山』が怒る!」と言って反対運動が起こったらしい。

「『お山』の怒り」ってなんだ?と笑うジョージとスケやんだったが、
タカヒロが「オレたちが大祭の日に『お山』に入ったから光の柱が立たず、その責任を感じて俺たちは引っ越しせざるを得なかった」
と説明すると、二人とも口をつぐんでしまった。

次は、タカヒロの番。
タカヒロが今日調べてきたことを話し終わると、ジョージは頭を抱えた。
「俺たちはとんでもねえ所に帰ってきちまったみたいだな。」
しんちゃんも俯いて言う。
「僕たちは、病気の女の子を山に置き去りにしたんですか…。」
「やめてよ!」声を荒げたのはマリアだった。
マリアは看護師になるために勉強をしている。
そんな自分が病気の女の子を見捨てたなんて――マリアはショックで部屋を飛び出した。
しんちゃんはマリアを追いかけ、ジョージもスケやんも肩を落としながら部屋を出て行った。
残されたタカヒロも、夜風に当たりたいと言って部屋を出た。

65 :白中探検部(PS2):2011/05/12(木) 18:07:58.64 ID:hUKMQQiU0
白ヶ浜海岸で佇んでいるタカヒロの元にアヤカがやって来た。
二人で星空を見上げる。
※ここから、タカヒロの星座講座が始まります。アヤカのタカヒロへの片思い?もわかります。
空から海に目をやると、海面がキラキラ輝いているのが見えた。
海ほたるだ。
それを見て、タカヒロがまた何かを思い出した。

【回想】
STBの第二部室であるクレーン小屋。
夜、タカヒロとユカはそこにいた。
二人は水着に着替え、海に出た。
浅瀬で海の水を掬うと、海ほたるが光る雨粒のように落ちてゆく。

二人が海に来たのは遊ぶためと、もうひとつ。
ユカが持っている緑色の石を見せてもらうためだった。
タカヒロがユカから石を受け取ろうと、二人の手が触れた瞬間。
走り去るウサギの後姿。
二人で手を繋いでいくつもの鳥居を潜り抜けるシーン。
片目のウサギ。
しかし、ユカが見ていたのは違う映像だった。
何も無い暗闇の中にユカしかおらず、タカヒロの声も自分がカタヒロを呼ぶ声も聞こえない。
怖がるユカに、カタヒロは「どんな暗闇の中にいても、オレは絶対に君嶋を見つけるから!」と約束する。
【回想終わり】

「どうしたの?また何か思い出したの?」
心配そうにタカヒロの顔を覗き込むアヤカに、
「オレは…オレは君嶋を愛していたんだ!」

【回想】
「ユカ!」
名前を叫び、手を伸ばしても届かず、ユカが底の見えない穴(?)へを落ちていくシーン。
【回想終わり】

「うわあああああああ!」
タカヒロが頭を抱えて叫びだした。
「落ち着いて!」
「オレが…!オレが君嶋を殺したんだ…!」

66 :白中探検部(PS2):2011/05/12(木) 19:18:02.15 ID:hUKMQQiU0
●8月14日
※ここで先に出てきたタカヒロの父親のプロフィールを。
 民俗学者で、白ヶ浜の民俗に興味を持って引っ越してきました。
 スケやんが本屋で買ってきたように、それらに関する本もいくつか出版しているようです。
 しかし、父の本は少々ファンタジー的要素が盛り込まれており、
 スケやん曰く「民俗学者というより小説家って感じッスね~」
 学説もほとんどがボツをくらているらしいです。

翌朝。
徹夜でタカヒロの父の本を読んだスケやんと、タカヒロ、アヤカが部屋に集まった。
スケやんが読んでいた本の内容はこうだ。スケやん風に言うと…
「徐福とかいうおっさんが、秦の始皇帝に「不老不死になれる山がありま~す」とか、ホラ話ふかすんスよね。
 そしたら、おっさん、その山を探すはめになってはるばる日本にやってくる」
アヤカが首を傾ける。
「徐福って、あの徐福かしら。『史記』で始皇帝をたぶらかす方士。」
史記の中では、渤海に蓬莱山というのがあり、そこにいる仙人が不老不死の薬を持っている、という記述がある。
タカヒロの父の本によると、この白ヶ浜に蓬莱山があるらしい。
徐福は日本で蓬莱山を見つけるが、不老不死の力を得られるちょうどその日に寿命が尽きて死んでしまう、という内容だった。
「白ヶ浜に蓬莱山があったのか?」タカヒロが問うと、
「渤海は、中国の北部で朝鮮半島と日本海に囲まれている海のことだから、秦の国にとっては東に当たる海よね。
 東へ東へと行けば、日本には行けるし、白ヶ浜に蓬莱山があったという話もあながち間違ってないんじゃないかな。
 実際、日本にはその話にちなんで蓬莱山っていう名前の山があちこちにあるしね。」

しかし、あくまでもタカヒロ父の本は「読み物」という感じだ。
そうだろう、とタカヒロが苦笑する。
「だからオレも君嶋がオヤジの話を信じるって言ってくれた記憶の意味がよくわからないんだ。」

ごりょんさんに呼ばれ、STBメンバーは神社の拝殿へとやってきた。
タカヒロが口を開く。
「八年前、オレたちは病気の君嶋を『お山』に連れて行った。それで、その子を置き去りにしてしまった。
 オレたちは彼女を殺した…!違いますか?」
アヤカがたしなめたが、
「思い出しましたか…。」ごりょんさんが問いかける。
「どこに行ったのか、思い出しましたか?」さらに問いかける。
しかしタカヒロたちは、ユカを殺したのではないか、そればかりが気になっている。
今度はみんながごりょんさんに詰め掛けるのを、アヤカが止めた。
「ごりょんさんには、みんなに言えない理由があるんですよね?」
「…ごめんなさい、わたしは『お山』の『さだめ』に従わなくてはいけないんです。
 そして、みなさんが記憶を失ったのは『お山』の『さだめ』なんです。」
それによると、『自ら思い出せる強き絆持つモノのみ、道を伝えよ』。
だから、ごりょんさんは知っていることを話せずにいるのだ。

67 :白中探検部(PS2):2011/05/12(木) 19:18:48.89 ID:hUKMQQiU0
自分たち自身が思い出さなくてはいけない。
STBメンバーは気持ちを新たにした。
思い出さなくてはいけないタイムリミットは8月14日。
みんなのハガキに書かれていた数字は、タイムリミットであり、白ヶ浜大祭の日だった。

アヤカはごりょんさんに質問をした。
「この神社、どうして鬼門の方を向いているのですか?」
ごりょんさんは神社に祀るものを語り始めた。
表向きは、ヤタガラスを祀っている。
中心には太陽・天照大神を据えて、日本の神社と違いはない。
しかし本当は天帝・始皇帝を祀っているのだ。
始皇帝は、秦の始皇帝。
それを神と崇める人が、この神社を建立したらしい。
崇める人とは、徐福のことである。

「徐福って、タカヒロのオヤジさんの本にあったッスよ~!」
スケやんが驚きの声を上げた。
ならば巻物についても教えてもらおう…と取り出そうとしたとき、
「ダメです!そのことは、お父様には絶対にナイショ!」
ごりょんさんに止められてしまった。
他にも聞きたいことがあったのだが、ごりょんさんの父がごりょんさんを探しているので戻って行ってしまった。
「夕方五時に、庫裏まで来てください。その時までに、絶対に『どこ?』と『なぜ?』を思い出してください!」と言い残して。

STBメンバーは夕方五時までに各自で情報を集めることにした。
タカヒロはアヤカと行動を共にする。
昨日の続きということで、絵本を探しに学校の図書館へと向かった。

途中、天狗の鼻に寄った。
そこにある桜の木がどうしても気になるらしい。
「オヤジの本…桜の木…。」
二人は千年桜の下に来た。

68 :白中探検部(PS2):2011/05/12(木) 19:19:30.05 ID:hUKMQQiU0
【回想】
ユカが熱心に本を読んでいる。
タカヒロが何の本か尋ねると、好きな作家さんの最新刊らしい。
その作家とは、タカヒロの父のことだった。
「ゲッ。」とタカヒロは口元を歪めた。
タカヒロは父が嫌いだった。
せっかく、サッカークラブのジュニアに入れたのに、父の仕事のために白ヶ浜に引っ越すことになってしまったのだ。
それ以来タカヒロは父を恨んでいた。
「でも藤枝君、お父さんの話をするとすねてる感じ。本当はお父さんのこと好きなんでしょう?」
とユカが笑って言う。
「藤枝君が羨ましい。お父さんと本気でケンカできるんだもん。」
【回想終わり】

「それで、あんなに嫌いだったはずのオヤジがなぜか自慢したくなって、君嶋をオレんちに呼んだんだ。」

【回想】
ユカとタカヒロの父が楽しそうに本について語っている。
それをおもしろくない、という風に眺めているタカヒロ。
ユカはひとつの質問を投げかけた。
「次回作のために白ヶ浜に来たらしいですが、どんなお話ですか?」
「次回作は、徐福伝説さ。」
父曰く、徐福が蓬莱山を探すためここ白ヶ浜に辿り着いた、という話らしい。
そして彼が蓬莱山を見つけたという記録が、白ヶ浜神社に収められている巻物に書かれているらしい。
それを見せてもらうために父はタカヒロを連れて引っ越してきたのだった。
父を自慢したくてユカと会わせたのだが、楽しそうに話をしている二人を見て、タカヒロは余計に父が嫌いになったのだった。
【回想終わり】

ユカも徐福伝説について知っている風だった。
もしかしたら、不老不死について興味があったのかもしれない。
ユカが読んでいた絵本、もしかしたら―――。
二人は図書館へと急いだ。

館内で絵本「ほうらいさんのにわ」を見つけた。
タカヒロの頭の中で、ユカが絵本を読み聞かせてくれた時のことが蘇る。

107 :白中探検部(PS2):2011/05/14(土) 00:35:27.07 ID:PtBVxack0
絵本はこのような話だった。
昔々秦という国の小さな村に、ビャクランとアケヒメという貧しいけれど仲の良い夫婦がいた。
国の一番偉い帝が村を通りかかったとき、とても美しいアケヒメを見つけた。
帝は一目でアケヒメを気に入り、自分のところに来させるように家来に命じたが、アケヒメにはビャクランがいる。
断られた家来は困って、アケヒメの夫のビャクランを殺してしまった。
悲しむアケヒメは自分も死のうとするが、彼女の目の前にホクセンヤと名乗る不思議な老人が現れてこう言った。
「四方を塞いだ船を作って西の蓬莱山へ行くがよい。そこの湧き水を飲ませれば、ビャクランは生き返るであろう。」
アケヒメは老人の言うとおり船を作って海へ出た。
七日七晩かけて海岸に辿り着くと、白い道と立派な屋敷があった。
屋敷には蓬莱山の主・ランオウが住んでいて、アケヒメはランオウの元で働くことになった。
ある日、アケヒメは庭で秘密の場所を見つける。
そこは四方を壁に囲まれそれぞれに扉がついていた。
四つの扉を開けると、春夏秋冬の景色がそれぞれの部屋に広がっていた。
秘密の部屋を見られたことを知ったランオウは怒ってアケヒメを追いかけてきた。
アケヒメはその部屋の机にあった水差しを持って逃げ出した。
逃げながら、アケヒメは追いかけてくるランオウに向かって、枝に生っている桃の実を投げ付けた。
不思議なことに桃はひとつがふたつ、ふたつがみっつ、よっつと増えてランオウに当たり、ランオウは痛くてたまらず引き返してしまった。
ランオウから逃れたアケヒメは乗ってきた船に乗り、また七日七晩かけて村へと帰っていった。
しかし、そこには秦の国も帝も村もなく、アケヒメが蓬莱山で過ごした数日間は、実は八年も経っていた。
アケヒメは命からがら持ち帰った水差しの水を、ビャクランの白骨にかけた。
すると、ビャクランが生き返り、二人は末永く幸せに暮らした。

タカヒロがこの絵本の話を父に聞いたとき、父は大笑いしたらしい。
蓬莱山というのは西ではなく東にあるのが常識だし、ビャクラン(白蘭)は男性の名前には遣わない。

とにかく、この絵本を皮切りに、タカヒロはどんどん昔の記憶を思い出してきた。
アヤカが持っている巻物(白ヶ浜の昔の地図)だって、八年前に一度ごりょんさんから借りていた。

108 :白中探検部(PS2):2011/05/14(土) 00:36:08.28 ID:PtBVxack0
【回想】
八年前、ごりょんさんがタカヒロに「お父様が借りたがっていたわよ」と巻物を持ってきた。
「北斗星君延命教写」(アヤカの巻物のこと)
ユカがこの巻物に興味を持っていたことを思い出し、ユカにも見せる約束をした。
後日、タカヒロは父を連れてユカの家に行った。
父は巻物の解釈を、タカヒロ曰く「勝手に解釈してペラペラ」話し始めた。
蓬莱山には延命の泉がある、どんな病気でも治せる力がある、と。
【回想終わり】

タカヒロはそこで思い出した。
ユカは父の話を真に受けてしまっていたようだった。
難病のユカに対して、父の話は軽率だった(だからタカヒロは父が嫌いだった)
しかし、タカヒロにとっても、ユカのことを思うとその話はすがりつきたくなるほど魅力的だった。

結果、本当にすがってしまった。

【回想】
病室で話をしているユカとタカヒロ。
ユカから緑色の石を渡された。
「わたしの命は、秋までなんだって。」と告げられた。
【回想終わり】

どうしてもユカを助けたかったタカヒロは、大嫌いな父にすがった。

【回想】
「常識以外の力を使っても、彼女を助けたいか?」父の言葉に、タカヒロは泣きながら頷いた。
「だったら、この巻物(「北斗星君延命教写」)をしっかりと読め。この中に真実は隠されている。」
父は巻物を信じていた。
「探すのは、「ひしゃくの先」だ。表面に惑わされてはいかん。」
【回想終わり】

109 :白中探検部(PS2):2011/05/14(土) 00:36:49.44 ID:PtBVxack0
どうやら、八年前はタカヒロの父が巻物の解読をしたようだった。
しかし、その説明が今のタカヒロにはどうしても思い出せなかった。
今回はアヤカが解読してくれるらしい。
二人は白ヶ浜神社へと向かった。

本殿から『お山』へと続く道がある。
そこを通れば炭ジジに会うことはない。
歩いている途中、タカヒロはまた思い出した。

【回想】
ユカと並んで海岸通を歩いている。
願掛けをしよう、とユカが提案してきた。
お願い事を神様に「本気」だと思わせるために、自分の一番好きなことを絶つのだという。
タカヒロはサッカーを絶つことにした。「君嶋のために泉を見つける」
ユカはオカリナを絶つことにした。「タカヒロ君が泉を見つけてくれるって信じてる。」
【回想終わり】

110 :白中探検部(PS2):2011/05/14(土) 00:37:32.57 ID:PtBVxack0
アヤカが巻物をぶつぶつと読み上げる。
「天が満ちたる乾の年 もっとも太陽強き日に 
 おちたる九つ やたがらす おちたる九つ たまうさぎ
 一日(ひとひ)に 一本足をえて みなが足なみそろいしは
 くらきいずみで よみがえらん
 天(あめ)なる帝(みかど)の のりし船 虎が守りしヤタガラス 虎が守りしタマウサギ
 みなみな お船にのりたれば 天なる帝の くらき いずみは ひらかれん
 のりおくれたる からすとうさぎ いずみのなかに かくされん
 かくれながらに 八つの年を めぐりきたらば
 そのみ きえさり いのち はてなく いずみに きえる
 お船にのりし みなみなは おもい うしない おいさらばえる
 おもい のこせしもののみが ふたたび みちを たどりける」

意味は、『お山』が蓬莱山であること、不老不死の泉が使える時と行き方、注意事項だとアヤカが言う。
ごりょんさんの言っていた「『お山』の『さだめ』」にも似ている。
天帝とは北極星のことで、昔から人の寿命を司る神様として信仰の対象になっていた。
易で天をあらわす「乾」は「虎」の意味もあり北西の方角を示す。
巻物に書かれている白ヶ浜の古い地図を見てみると、北西には天馬ヶ岳がある。
「乾」には「馬」の意味もあるのでちょうどハマることになる。
さらに、タカヒロ父の言っていた「ひしゃくの先」を見てみると、それはちょうど天馬ヶ岳の頂上に当たることも見つけた。
頂上には泉がある。

タカヒロはあることに気づいた。
「みんな船に乗る(みなみな お船にのりたれば)って、カラスもウサギも九体ずつあったんだぜ。」
アヤカが眉根を寄せた。
「それってまずいよ。」

 のりおくれたる からすとうさぎ いずみのなかに かくされん
 かくれながらに 八つの年を めぐりきたらば
 そのみ きえさり いのち はてなく いずみに きえる

巻物の一文がひっかかった。

111 :白中探検部(PS2):2011/05/14(土) 00:38:45.41 ID:PtBVxack0
【回想】
「ユカーーーッ!」
泉の底へと落ちていくユカの姿。
【回想終わり】

「失敗したのか?オレたち?だから、記憶も失った?」
ということは、リミットが今日ということは、八年後の今日までに泉の中に落ちた人がそのままだともう助けることは出来ない。

二人は『お山』の開けたところに着いた。
アヤカの巻物の解読が続く。
それぞれの場所に、八卦の文字を置いていく。
「乾(ケン)、兌(ダ)、離(リ)、震(シン)、巽(ソン)、坎(カン)、艮(ゴン)、坤(コン)」
それはちょうど円を描くように並び、八年かけて巡り最後に天帝の泉に流れ込む
――アヤカ曰く「地脈が走っているんじゃないかな?」

タカヒロはアヤカの解読と推理に舌を巻いた。

【回想】
八年前。
STBメンバーが『お山』に入り込み、洞窟の中を突き進んでいる。
洞窟の中には空洞があり、深い穴があった。
【回想終わり】

それは、STBメンバーが病人であるユカを連れて行けるかどうか、という下見に行ったときのことだった。

112 :白中探検部(PS2):2011/05/14(土) 00:39:36.18 ID:PtBVxack0
【回想】
ユカの元を訪れるタカヒロ。
「明日の晩、お前を伝説の泉に連れて行く!」
ユカは信じてついて行くことにする。

そして、次の日の夜。
タカヒロはユカを背負い、『お山』を登り続ける。
STBメンバーは力を合わせながら辛い道を進んだ。
途中、タカヒロとユカの目の前に白いウサギがいた。

頂上に辿り着いたときは、もう夜が明けていた。
休む間もなく、洞窟の中を進み、深い穴の中へと降りていく。
降り立った先には、またさらに奥へと続く道があった。
その道を突き進んで行くと、青白い光が降りそそぐ空間があった。
足元まで水が溜まっている。どうやらここが泉のようだった。
メンバーはユカを中央に立たせ、各自はユカを囲むように並び、儀式を始めた。
すると、足元から眩しい光が発せられ、中央にいるユカが沈むように消えていった。
頭の先まで泉の中へと消えていった瞬間、今度は泉の中にユカの姿が現れた。
※語彙が少なくて上手く説明が出来ないのですが…
 水鏡?のように、水中にユカの本体が現れ、水上の方に影が現れた、という感じです。
タカヒロがユカの名前を呼びながら駆け寄り手を伸ばしたが、ユカの姿はそのまま水中に消えた。
儀式は失敗してしまった。
【回想終わり】

タカヒロは全てを思い出すことが出来た。
最も大切なものを思い出すことが出来た。
タカヒロとアヤカはごりょんさんの元へ向かった。

113 :白中探検部(PS2):2011/05/14(土) 00:40:20.68 ID:PtBVxack0
ごりょんさんの元にはすでに他のメンバーがいた。
タカヒロがユカを思い出したことに、ごりょんさんもとても喜んでいた。
アヤカがごりょんさんに尋ねる。
「前回失敗したのはなぜなんですか?」
それはごりょんさんにもわからないらしい。
八年前は九組目のカラスとウサギが残ってしまった、とマリアが言う。
そこにしんちゃんが何かひらめいたようだった。
まだ説明はできないみたいだが、みんなはしんちゃんの案を信じ、それに従うことにする。

ここで、いまいちその案を信じきれないジョージが、自分を納得させて欲しいとしんちゃんに質問をぶつける。
八年前は8月15日が大祭の日だったのに、なぜ今回は8月14日なのか。
そのヒントは、ごりょんさんのセリフに隠されていた。

 天が満ちたる乾の年 もっとも太陽強き日に 
 おちたる九つ やたがらす おちたる九つ たまうさぎ
 一日(ひとひ)に 一本足をえて みなが足なみそろいしは
 くらきいずみで よみがえらん

この一説は件の泉が力を持つそのタイミングをあらわしている。
「もっとも太陽強き日」とは夏至のこと。
九羽のやたがらすと九羽のたまうさぎには三本の足がある。
それらが一日に一本ずつ足を得ていくと、足の数は全部で54本。
というわけで、夏至の翌日から数えて54日目。
今年の夏至は6月21日だったので、それから54日後は8月14日。
八年前は、6月22日だったので8月15日だったのである。

しんちゃんの仮説はその通りだった。
ジョージはしんちゃんを信用することにした。

114 :白中探検部(PS2):2011/05/14(土) 00:41:01.67 ID:PtBVxack0
全てを思い出したメンバーに向かってごりょんさんが八年前のことを語り始めた。
八年前、STBメンバーはユカの儀式を行うに当たり、もし失敗して記憶を失ったときのために、
ごりょんさんにハガキを託してから『お山』に入っていったのだと言う。
結局それが良い方向になった。大祭のことについても、八年前にごりょんさんがメンバーに伝えていたと言う。

さらに、『お山』は大祭の日に入り込んでも怒ることはないという。
『お山』は、溜めた土地の力を八年に一度の大祭の夜に光の柱として解放して海や田畑に恵を与える。
泉を使うとその光の柱が出なくなるだけ。
土地の人には迷惑だろうけど、都会から来た人をいじめたり、因習にかこつけて昨日までの隣人を町から追い出す人たちは、
少しぐらい困っても良いのです、とごりょんさんは笑った。

ごりょんさんは登山道具をすでにマスターから借りて揃えてくれていた。
メンバーは『お山』へと向かった。
『お山』入り口には、番人である炭ジジに出会った。
炭ジジに自分達の覚悟を語る。
炭ジジはその覚悟を信じ、滝の裏の洞窟奥にある扉の鍵を渡してくれた。

扉を開けると、虎のレリーフがあった。
そしてその下にはカラスとウサギの儀式に使う石作りの人形が9個ずつ。
メンバーはその人形をはめる石碑を探し始めた。それは北斗七星のように配置されている。
大極図のような石碑で、白と黒部分の中央にはまるいくぼみがある。
そこに黒い方にカラス、白い方にウサギの人形をはめこむと、地響きのような音が鳴った。
八年前と同じ儀式。しかし今度は人形が余ることはなかった。
※八年前に失敗した理由は人形が残ってしまったこと。
 実は北斗七星の中の三番目の星の近くには、もうひとつ――ミザルという星があった。
 本当は北斗八星、というわけだ。

メンバーは藪の中を突き進んだ。
八年前と違って道はすっかり草が生い茂り、楽な道ではなかった。
それでも諦めず、みんなはユカを救い出すことを思いながら進む。

115 :白中探検部(PS2):2011/05/14(土) 00:41:43.79 ID:PtBVxack0
ようやく、洞窟へと辿り着いた。
空洞の奥深くへ降りて行き、八年前、ユカが消えてしまった泉。
あの時と違い青白い光が一人分多かったのでアヤカにも手伝ってもらうことにした。
それぞれが場所に並び、目を閉じているとあの時のように足元が光りだし、中央の光りの泉からユカが現れた。
みんなに促され、タカヒロは今度こそ、ユカの手をとりその体を受け止めた。
「おかえり、ユカ。」
「ただいま、タカヒロ君。」

【ED】
洞窟を出ると、夜が明けていた。
朝日を拝んでいるしんちゃん、マリア、スケやん、ジョージ、アヤカ、タカヒロ、そしてユカ。
ユカの病気は治っていた。
登山道下では、ノゾミちゃんとごりょんさんが待っていた。
みんなが駆け出し、タカヒロはユカの手をとる。
「今度は、ずっと一緒に生きていくんだ―――。」

【さらにED】
8月15日
タカヒロはバラクーダに来ていた。
みんなはブラジルへと旅立つマスターのために、お別れ会の準備をしていた。
そのマスターは、旅のお供・マリオと一緒にマリオのお土産選びでいなかった。

しんちゃんのマリアへのプチ告白。
スケやんのアヤカへの片思い。
おうむ屋のおばちゃんも実は味方だった。
そして、ごりょんさん、八年越しのマスターへの思い告白。
(ごりょんさんは八年前にマスターに告白されていたけど、あんなことがあったので返事を八年間もせずにいた。)
(ちなみに八年前、マスターは30歳、ごりょんさんは17歳)
マスターはブラジル行きを止めて、その分のチケットはサッカー留学を再挑戦することにしたジョージへと渡った。

ちなみにユカはクレーン小屋で現実に帰ってきた実感を確かめている、とかで出てきませんでした。
なんという坂本真綾の無駄使い…。

117 :ゲーム好き名無しさん:2011/05/14(土) 02:52:03.55 ID:PtBVxack0
すみません、連投規制で書きこめなくなってました。
白中は以上です。






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