Persona - The Rapture
part58-30~40,44~49,53~62,68~75

30 :ゲーム好き名無しさん:2011/06/23(木) 12:00:25.73 ID:ELY9zJn80
Persona-The Rapture投下します。
ペルソナの設定を借りて作られた同人ゲームです。
多分、借りてる部分はペルソナ発現とか技名とかの土台だけで、世界観は別です。
筆者ペルソナの記憶が曖昧なので詳細不明。
ペルソナファンの方、何か気付かれた事あったら補足してください。

31 :Persona - The Rapture:2011/06/23(木) 12:01:33.24 ID:ELY9zJn80
#1
非現実的なダンジョンの中を、4人の高校生が進んでいく。
おっぱいをもむと大きくなるという俗説の是非について、
わいわいと騒ぎながら平和に歩いていたのだが…、急に空気が張り詰めた。
厄介な数の敵が距離を詰めてきたのだ。
「私が引きつけるわ。」
「危険だ、ココロ!!」
ココロと呼ばれた長い黒髪の少女が皆から離れる。
止める仲間達に、少女は不敵に笑い走っていった。
「大丈夫、私が戻れなくても、次に私を助けに来ればいいの。」

#2
主人公は夢を見ていた。
イゴールと名乗る骸骨が、主人公に語りかけてくる夢だ。
「ヨウコソ日野啓一!
オメデトウ!貴様ハ”力”ノ体現者ニ選バレタ。
”力”ノ名ハPersona!即チ、真ノ自身ヲ守リシ、偽リノ仮面ナリ。」
イゴールは主人公が王になる者だと宣言する。
誰を慮る必要もなく、欲する物を手に入れ、守りたい者を庇護し、邪魔な者を殺す為に、
その力をただ思うままに振るえと骸骨は笑う。
「神ノ奴隷トシテノミジメナ人生…
貴様ハ今ヨウヤク解放サレタノダ!
貴様ガ王トナリ君臨スベキ日ハ近イ!
Alles Gute zum Geburtstag!!」

「啓一くん!」
はっと目を覚ますと、教室の自分の机に突っ伏していた。
傍らに、友人春日が呆れ顔で立っていた。
昼からぶっ通しで寝続け、もう放課後だと言われる。
「まっすぐ帰るでしょ?」
春日と連れ立って、ぶらぶらと昇降口に向かう。

32 :Persona - The Rapture:2011/06/23(木) 13:19:36.86 ID:ELY9zJn80
校内は、学園でも有名な美女鷹取ココロが永眠病にかかったという噂で持ち切りだった。
永眠病とは、その名の通り眠ったまま目を覚まさなくなるという病だ。
この灰色ヶ原市でのみ確認され、猛威を振るい始めた謎の精神病で、
治療法は全く未確立、少数だがある日突然回復するケースがある。
市民はこの新病を怖れていて、その心の隙を突いてか、
「ヤ・シュリカ教団」という新興デジタル宗教がネット上で勢力を増している始末だ。
灰色ヶ原市という名前もなんとなく陰気である。
元の飯室という地名が縁起が悪いとかで改名したのだから、もっと景気良くいけばよかったものを。

歩いているうちに、急に主人公は目眩に襲われ、意識を失った。
「ヨウコソIDEA界ヘ!」
またあの骸骨イゴールが語りかけてきた。
「我々ハ貴様二劇場ノ客トナル事ヲ望マナイ!貴様コソガ主役デアリ、王デアル!
王ノ中ノ王、究極ノ独裁者、死ヲ刈リ取ル収穫人トナレ!」
骸骨は主人公に、支配者たれと説いてくる。
「コノ層ニ、貴様ノ従者トナル者ガイル。マズハソレヲ探セ。」

・Velvet Underground
薄暗いダンジョンの中を進むと、奇妙な化け物に襲われた。
攻撃を受けた時、何かが自分の中から生まれた。
[愚者]ヤタガラス。主人公の最初のペルソナ。自分を守る仮面の人格。
イゴール曰く、ペルソナを鍛え続ければ、やがては真の自分にも変じると言う。
最奥まで進むと、そこには4人の男女がいた。皆主人公と同じ制服を着ている。
「あっ日野君!なんで日野君がここにいるわけっ!?」
素っ頓狂な声を上げたのは、同じクラスの山田ちなみだった。

彼らは3人で黒髪の女生徒を取り囲んでいる。彼女を助けに来たらしい。
「鷹取先輩、大丈夫ですか!?」
「…私は……。!、啓一くん。」
彼女は彼らを無視し、まっすぐ主人公を見た。
「私はあなたの従者。あなたの命に従い、あなたを守る為だけに私は存在している。
あなたを死なせる事は、私の存在意義を失う事と同義。だから私はあなたを守る。」
初対面の女性に、とんでもないことを言われて面食らう。
慌てる3人の様子からみて、以前の彼女とは全く違う言動らしい。
「てめぇ、ココロに何をしやがった!?」

33 :Persona - The Rapture:2011/06/23(木) 13:20:18.01 ID:ELY9zJn80
心当たりはイゴールに言われた事だけだが、彼らはイゴールを知らないらしい。
そこに、一段強そうな化け物が襲ってきた。
加勢してくれた彼らも、ペルソナが使えるようだ。
「詳しい話は後でしよう。そろそろ下校時刻だ。」
「ポケットに青い錠剤が入ってるでしょ?
それを飲んだら元の世界に帰れるから、目が覚めたらオカルト研究部の部室まで来て。」
ポケットを探ると、確かに錠剤がある。それを飲むと気付けば学校で倒れていた。
オカルト研究部部室を訪ねると、先程のメンバーが中にいた。

彼らが語る所によると、
先程の世界はIDEA界。突如現れた謎の異世界である。
そこにひきずりこまれ彷徨う人間は、この現世では永眠病ということになる。
彼らオカ研は、ペルソナ能力に目覚めた者達で集まって作った部であり、
自発的にIDEA界に行き、そこで囚われた人を見つけ助ける事を目的としている。
製薬会社社長子息である部長の石神が、社内にチームを作り永眠病を研究している。
その中で作りだされたのが、任意にIDEAに行く事が出来る赤い錠剤である。
これを飲めば、意識を失い魂がIDEA界へ行くことが出来る。
それとは別に、ペルソナ使いがIDEA界に着くとポケットに謎の青い錠剤が入っており、それを飲めば現世に帰れる。
これらは彼らの活動の積み重ねで判明した事であり、IDEA界の事は殆ど分かっていない。
IDEA界は広く、闇雲に彷徨っても成果はない。
オカ研は永眠病患者の詳しいプロフィールを調べ出せた時にだけ集まり、
その人の事を強く念じながらIDEA入りして、救出作業を行うのだという。

鷹取ココロも今頃自宅で目を覚ましているだろうとのこと。
石神部長、大河原先輩、ココロの3人は幼馴染で親しい仲らしく、
ココロの豹変に皆動揺している。
ただ、主人公のせいではないという事は認識してもらえたようだ。

石神部長は、できるなら活動に参加して欲しいと主人公に頼む。
強さを増す化け物たちと渡り合うには、新たな戦力が不可欠なのだ。
更に言えば、どちらにしろ満月に起こる「強制送還」では、
全てのペルソナ使いがIDEA界に引き摺りこまれるらしい。
主人公は参戦を了承し、オカ研への入部届けを受け取るのだった。

34 :Persona - The Rapture:2011/06/23(木) 13:40:33.73 ID:ELY9zJn80
■オカ研メンバー紹介・2年生

【日野啓一】♂
主人公。選択肢以外喋らないが大体性格は固められている。
とっつきはいいが、積極的に人付き合いはしない。無頓着で飄々とした性格。居眠り常習犯。
初期ペルソナ[愚者]ヤタガラス→最終ペルソナ[世界]アザトース。

【春日陸】♂
主人公の中学からの友達。
小柄で可愛い童顔。女子からマスコット的に可愛がられているが、本人はそれを嫌悪している。
一見大人しいが、気になることは空気を読まず発言してしまうタイプ。
主人公にべったりの奥手チェリーボーイだったが、後半ある少女に淡い恋をし始める。
初期[魔術師]ジャックランタン→最終[法王]メサイア。

【山田ちなみ】♀
主人公のクラスメイト。オカ研部員兼、女子サッカー部のエース。
強気元気でも心の中では悩んでますキャラ。かなりの負けず嫌い。
正義感が強く、思いやりがある性格だが、とにかくうるさい。
鷹取を尊敬しており、豹変した鷹取に馴染めずにいる。
初期[正義]ユニコーン→最終[恋愛]キュベレー。

■3年生

【鷹取ココロ】♀
学園で1、2を争う美人として有名。
以前は頼れるしっかり者のお姉さんだったが、開始時の永眠病回復からは、
クール無表情系の謎めいた人になってしまう。
初期[悪魔]黒猫プルートー→最終[審判]ミカエル

【大河原琢己】♂
反骨の隠れバンドマン。実家のラーメン屋を手伝っている。
粗暴で柄が悪く、口も悪く手もすぐ出る。
場の雰囲気を悪くする事も多々あるが、優しく面倒見がいい面もある。
実はめちゃめちゃ友達が多くて特にマイノリティな層に顔が広い。
初期[戦車]ケルベロス→[剛毅]スサノオ。

【石神賢司】♂
オカ研部長。風紀委員長も兼任している多忙な切れ者。
いつも冷静で紳士的な頼れる部長。お茶目な一面もある。
大手製薬会社社長の息子で、社内にチームを作りIDEA研究を進めている。
美形だが、兄の婚約者に切ない片思いをしている為、女っ気がない。
初期[皇帝]ケット・シー→最終[塔]マサカド。

※主人公以外も、複数のペルソナに目覚め自由に入れ替えられる。

35 :Persona - The Rapture:2011/06/23(木) 13:41:45.52 ID:ELY9zJn80
#3.

「昨日は心配したんだからね。
急に倒れて、目を覚ましたかと思ったら、いきなり「オカルト研究部」はどこだって走っていっちゃって。
寝ぼけて乱入されたオカ研の人も大変だったと思うよ。あとで謝っときなよ。」
放課後また春日に起こされ、一緒に教室を出る。
昨日の事は、日頃の行いが功を奏し「突然寝た」と判断されたようだ。
不摂生を窘められるが、そういう春日の調子が悪そうだ。
気圧が低い日は、ひどく頭痛がするらしい。
「でも、今日は文芸部の発表の日だから休めないんだ。」
保健室に薬をもらいにいく春日につきあう道中、
春日に女子がギャイギャイ群がって来た。
「ねぇねぇ、今度の日曜日遊びにいこーよぉ!ダメなの?じゃぁ来週の日曜日!」
「キャハハ!春日くん困ってる!かわいい~~!!」
保健室の先生も春日に過保護で、あれこれ世話を焼かれた。
少しうらやましいが、春日は真剣に嫌がっている。
誰も彼もから幼児の様に扱われるのだから、男として不愉快なのは当然のことだろう。

機嫌の悪いまま頭痛を押して部活に行く春日を見送り、
主人公はオカ研に顔を出した。
今日は活動日ではなく、部室にはココロと山田だけがいた。
山田は、自分達との思い出をほぼ忘れ、別人の様になってしまったココロにショックを受けている。
同じ文化部部室棟で騒ぎが起き、行ってみるとそこは文芸部だった。
春日が突然倒れたらしい。焦る主人公を引っ張ってココロは部室に戻る。
「彼を助けたいなら来て!急がないと危ないわ。」
半信半疑の山田も説得し、ココロに従って錠剤を含む。
春日をよく知る主人公がホストとなりIDEA入りする。

36 :Persona - The Rapture:2011/06/23(木) 13:42:57.51 ID:ELY9zJn80
・Rainy Day Woman
そこは、雨雲の上に広がった細い足場からなるダンジョンだった。
高所恐怖症の山田はかなり怖がっていたが、春日の為に勇気を出してくれる。
奥に進むと、半鳥の怪物モー・ショボーの傍らに春日がいた。
「春日くんは私のもの。彼もここにいることを望んでいるのよ。」
春日は初め否定していたが、次第にモー・ショボーに同調し始める。
「ここにいれば、嫌なことは何も無い。
誰からも、見下される事も蔑まれる事もない。頭も痛くならない。
ずっとここにいて、この人が守ってくれるなら、それでもいい。」

春日を取り戻そうと、モー・ショボーに戦いを挑むが、
春日が彼女を望む限り、モー・ショボーにダメージを与えることはできない。
「あれはシャドウ。人の負の感情から生まれる物。
春日くん、シャドウに打ち克って!」
ココロの言葉に、春日は首を振る。
「お願いだから帰ってよ!ぼくの為に皆が傷つくことない!
彼女がぼくから生まれたシャドウなら、それもぼくの意志だ!」
それでも敵わない相手に挑み続ける皆を見て、春日の中から何かが生まれた。
[魔術師]ジャックフロスト、ふがいない自分に腹を立て、戦う事を決意した春日のペルソナだ。
春日がこちらに加わり、モー・ショボーは弱体化する。
「春日くん…。それなら、私の中でお眠りなさい。」
襲ってくるモー・ショボーを、4人で力を合わせて打ち倒した。

現世に戻って翌日、春日と共にオカ研に行き説明を受ける。
春日にも、IDEAに行く錠剤やペルソナの事や、満月に起こる「強制送還」の事が説明された。
話が終わった後、春日に引っ張られて部室を出た。
「啓一くん、あの人たちやばいよ…。ぼくと一緒にこの部抜けよう。
ぼく考えたんだけど、あのIDEAとかいうのは、共有催眠の一種なんじゃないかと思う。」
あの赤い錠剤はそれを誘発する新型ドラッグであり、
石神によって、自分達はその被験体にされているのではないかというのが春日の説だ。
確かに、IDEA界を現実的な目で見れば、そういうことになるだろう。
「じゃあ、来週の満月の日、ぼくと一緒にどこかに隠れてよう?
もちろん、その日は何も口にしちゃダメだよ。
それで強制送還なんか起こらなかったら、オカ研を辞めてくれるよね?」

37 :Persona - The Rapture:2011/06/23(木) 13:43:59.08 ID:ELY9zJn80
満月の晩、約束通り春日と主人公は二人で公園に身を潜めていた。
0時になると、急激にな目眩が二人を襲った。「そんな…まさか…。」
気付けば、豪奢な洋館のような石造りの一室にいた。
6つの椅子があり、既にオカ研部員達は席に付いている。

石神部長から、これまでの経験で分かったことを教わる。
この強制送還の晩は、この部屋に閉じ込められる。
そしてここは、
怒り、憎悪、不信、嫉妬、軽蔑、その他様々な負の感情によって、化け物のうろつく戦場へ姿を変えてしまう。
強制送還の晩は青い錠剤がポケットに無く、夜が明けねば戻れない。
「鐘の鳴る午前6時まで6時間。
負の感情を抱かず、うまくやりすごせばいいということだ。
今から夜明けまで化け物退治は、さすがにキツイぞ。」
妙に刺々しい春日に、石神部長がそう忠告する。

しばらくぽつぽつと会話を交わしながら過ごす。
ココロおすすめのイタリア料理店の話題になり、
一段落したら、主人公達の歓迎会も兼ねて食べに行こうという話になる。
そのうちに段々会話も途切れ、静かな時間が流れていく。

春日は未だに自説を捨て切れず、どうにかして一服盛られたと思っているようだ。
1時間は大人しく座っていたが、とうとう石神部長に自説をぶつけ始めた。
「十分な説明をせず、君の信用を得られないままだったのは私の不徳とする所だ。
明日、じっくり話し合おう。だから、この夜明けまでの間だけは、その疑問を捨て置いてくれないか?」
「そんなの関係ない!ここがどんなとこだって、目を覚ましたぼくには何の関係もないんだ!」
春日の不信に感応して、世界は歪み始める。
気付けば、主人公はダンジョンの中に放り出されていた。

・The white stripes
そこは、赤と白のどぎついだんだらで構成された屋内ダンジョンだった。
傍には、ココロと山田が同じように立っている。
男子3人とは離れた所に飛ばされてしまったようだ。
主人公を仮リーダーと決め、3人はダンジョンを進んでいく。
化け物を倒しながら奥に進み、階層ボスを葬って更に進む。
すると、十字路に出た。それぞれの先に一つずつ階段がある。
「どの道に進めばいいのかしら?」
「あたしは右だと思うな。」 
主人公は適当な方角を選び、階段へ進んでみた。
すると、降りた先は元の十字路だった。どの道を選んでも同じように戻ってきてしまう。
「この世界は、人々の負の感情によって姿を変える。
ここは、春日君の不信によって生み出された場所よ。」
だから、自分達を阻むのも「不信」なのではないかとココロは言う。
「この道で合ってるのかしら?」「日野君は自信ありそうだけど、私はこっちだと思うな。」
そんな不信の感情がある限り、この道がループするのではないか。
ならば、と3人で一つの道を選び、この道が正解と信じて突き進んだ。
階段を降りると、そこは元の椅子のある洋間だった。

38 :Persona - The Rapture:2011/06/23(木) 13:45:26.99 ID:ELY9zJn80

再び大人しく今晩をやり過ごすことにする。
それにしても、あの3人も同じように十字路に行きつくのだとしたら…
「ちゃんと通れるのかな…。」「無理でしょうね。」
その頃残り3人は、案の定十字路で立ち往生していた。
不信のループには気付いたが、どうしてもそれを抜けられないのだ。
「おいオカマ。いい加減しろよ。」「ぼくのことですか!?」
大河原先輩と春日が言い争いになる。
「俺らの事をお前が信じるかなんてどうでもいいんだよ。
死ぬなら一人で死ねって言ってんだ。」
石神部長が荒れる大河原先輩を窘め、春日を優しく諭す。
君が我々に力を貸す事を選んでくれるなら、我々はいつだって無条件で受け入れる。
だから先程の揉め事を気にすることはないと諭されて、春日は黙りこむ。

一向に姿を現さない男3人を待ちながら、主人公達は椅子に腰かけていた。
すると突然、時代錯誤にファンタジックな装いの男女が転移してきた。
「見つけたぞ!エットゥヘの王、呪わしき廃虚の王よ!」
あまりに馬鹿馬鹿しい登場に半笑いで迎えると、ココロが立ちあがった。
「あなたは…!」
知っているのかココロ。
煌びやかな法衣を身に纏った男は、新興ネット宗教「ヤ・シュリカ教」の教祖・天道シモンだと言う。
「私にやらせてください、シモン様!」
シスター姿の女が手にナイフを構えて、主人公を睨んだ。
主人公の前に立ちふさがったココロ目がけて女は突進してくる。
咄嗟にココロを庇った山田を、女は躊躇い無く突き刺した。
腹から血を出して転がる山田を突きのけ、女は主人公に向かってくる。
壁に血飛沫が走り、女は崩れ落ちた。
「京子くん!」
女の返り血を浴びて立ち尽くす主人公に、法衣姿の男は捨て台詞を吐く。
「エットゥヘの王よ。覚えておくがいい、貴様は人殺しだ!」

目を覚ますと、自分のベッドの上だった。
ぼんやりとテレビを見ると、女子高生が就寝中に突然死したというニュースが流れていた。
「亡くなったのは、灰色ヶ原市馬酔木京子さん(17)、診断では心因性のショック死と…
…京子さんは、新興宗教団体のシスターを務めており、警察では事故と事件の…」
愕然として跳ね起きる。
咄嗟に彼女を返り討ちにした感触が、彼女の返り血の感触がまだ残っていた。

その頃、山田は病院に担ぎ込まれていた。
腹部の激痛にのたうち回る山田を診た医師は首をひねる。
「検査によると異常は見られないんです。この年齢では、心因性の腹痛というのはよくあることなんですよ。
ちなみさん、学校で何か辛いことがあるんじゃないかな?先生になんでも話してくれ。ん?何かな?」
「…この、ヤブ医者!!検査でわかんないなら、腹かっさばいて見ろってのよ!!!
痛い、痛いよ…なんなのよ…IDEA界って何なの!?誰か教えてよ!!」

39 :Persona - The Rapture:2011/06/23(木) 13:46:37.23 ID:ELY9zJn80
#4
7月に入り、あれから一週間たったがまだ山田は登校してこない。
あの晩、結局春日達は夜明けまでループを彷徨ったそうだ。
久々にオカ研の活動があると聞き、主人公は春日を誘いに行く。
春日は、文芸部部室前で、女生徒にオカ研と兼部する旨を話していた。
確か、藤枝という子だ。以前彼女が落したメモ帳を拾ってあげた事がある。
「何か抱え込んでます、って顔した子だな。」
「うん、バレバレだよね。
あの子いい子なんだよ。頼まれごとを際限なく引き受けちゃってさ。
結局一人じゃどうしようもなくなってる所見たのなんて一度じゃないし。
何かあったのかな?まぁ、明日聞いてみればいいか。」
春日は未だオカ研を無条件に信用するのは躊躇しているが、
自分が調和を乱したせいで山田の不調を招いたのだと悩んでいる。

部室には、ヤ・シュリカ教団の信者である女生徒が招かれていた。
彼女に、ヤ・シュリカ教のことを色々質問する。
死んだ馬酔木京子は、トロくてドジで迷惑ばかりかけていたが、
教祖シモンのお気に入りだった為、高位なシスターとして活動していたそうだ。
京子の死は、エットゥヘの王という存在が引き起こしたことだと教団では認識されている。
人々の悪しき心の掃き溜めに生まれた、人類に仇なす者がエットゥヘなのだという。

信者生徒が本格的に勧誘を始めたので、逃げ遅れた春日を生贄に逃げ出す。
そのまま石神部長、ココロ、主人公の三人で山田の見舞いに向かった。
山田は異常が見つからないまま痛い痛いと騒ぎまくり、病院内で相当持て余されているそうだ。
しかし、病室を覗くとやけに静かだった。
動かない山田に駆け寄って脈拍を測ると、呼吸も脈も弱い。永眠症の症状だ。
ナースコールで看護婦を呼びつけ、自分達は近場のカラオケBOXに駆けこむ。
そこで錠剤を飲み、IDEA界へ向かった。

山田は懐かしい夢を見ていた。
京介と恵美、幼いころからいつも3人で遊んでいた幼馴染。
ある日突然、京介から告白された。
「無理。…だって恵美は?…恵美がひとりぼっちになっちゃうよ…。」
そう断った次の日、恵美から簡潔なメールが来た。
「京介とつきあうことにした。」
それっきり。あっという間に二人とは疎遠になった。
恵美の気持ちは知っていたけど、それって、卑怯じゃん…。
私は初恋を失い、ひとりぼっちになった。
「…腹痛ぇ…。」

40 :Persona - The Rapture:2011/06/23(木) 13:59:43.45 ID:ELY9zJn80
・MAD HONEY
そこはサイケな色使いの花畑だった。
花を踏み、カエルを踏み、化け物を蹴散らして進むと、
一番奥には腹から血を流した山田がいた。
駆け寄ろうとすると、突然目の前に天使のようなものが現れた。
「見つけたわよ少年A!ヤ・シュリカの裁きを受けよ!」
とりあえず葬り去る。どうやら今のはシャドウだったようだ。
ヤ・シュリカ教団の信者達の、裁きを求める祈りが形となったらしい。
とにかく今は山田だ。山田は血を流し息も絶え絶えだった。
石神部長は、策があるらしくポケットから何か出した。
人体縫合用の針と糸だ。
「麻酔が手に入らなかったのは残念だが、やむをえまい。」
ビビる山田を主人公と部長で押さえつけ、ココロが腹をチクチク縫う。

「いってぇぇぇぇ!!!先輩ムチャしないで!!」
絶叫と共に山田は目を覚ました。
医師達が、突然の回復に目を丸くしている。
「あ…お腹がいたくない…。」
先輩が縫ってくれたからだ。
「(今度は大丈夫だよね。オカ研は、京介たちの時みたいにならないよね。)」

主人公、石神部長、ココロは町に戻る電車の中で話し合っていた。
これで、IDEA界で体に起こったことは、現実とリンクする事が証明された。
IDEA界で人を殺せば、誰にも気づかれることなく殺人を行えるのだ。
「日野君、馬酔木京子が死んだと聞いた時感じたのは、罪悪感だけだっただろうか?
自分が世界の王に君臨したかのような全能感を感じはしなかったか?」
ペルソナ使いはこれから、それを自戒する事も求められるだろう。
もしも誰かがこの力を悪用する事があったら、それがオカ研部員だろうと粛清する。
そう宣言する石神部長に、ココロが返す。
「あなたもね。」
「無論だ。」

44 :Persona - The Rapture:2011/06/23(木) 21:54:39.46 ID:ELY9zJn80
#5
藤枝百合花は夢を見ていた。
夢では、自分がいじめを苦に自殺したというニュースが流れていた。
「はい、いじめはありました。藤枝さんが断らないのをいいことに、みんな藤枝さんに押し付けて。」
「でも、藤枝だから仕方なくない?ウザいしキモイし。今も言ってますもん。」
「何てひどいニュースでしょう!でも、藤枝ならしかたないですね。」
「まぁあなた!百合花のニュースが…!なんてことなの!」
「うむ、でも百合花なら仕方ない。」
「そうね。次の子供は百合花以外がいいわ。」
飛び起きると、ちゃんと生きていた。思わず泣いた。
学校に行くと、頼まれごとはされなくなったけど、誰も藤枝に話しかけてこない。
「あれ…私の居場所が、どこにもない…。」

7月も半ば、長い残り梅雨も明けようかという頃。
「2-Dに永眠病患者が出たよ!」
放課後の教室で、山田の報告を聞く。
藤枝百合花という女生徒が永眠病にかかったらしい。
「ふ、藤枝!?」
藤枝の文芸部仲間である春日はびっくりする。
春日をホストにすれば話は早いのだが、春日はまだIDEAに出入りする事を躊躇しているので、
彼を置いて、2-Dに詳しい人物像を掴みに出かける。
今日は、先輩達がそれぞれ用事で姿を現さないので、二人で行くとなると厳しい。
だが、IDEAに長くいるほど人は奥に誘い込まれ帰れなくなる。
放置するわけにはいかないだろう。

クラスメイト達に聞きこんだ事をまとめると藤枝という子は、
・自分の主張がなく、人の言う事を聞いてばかり。
・何でも断らずに笑顔で引き受けるので、皆彼女に用事を押し付けていた。
・それを見かねた女子の一人が、彼女に頼みごとをしないようにと皆に説いた。
・頼みごとはなくなったが、それで余計にクラスから浮いてしまったような印象もある。

大体イメージを掴めたので、オカ研部室に行く。
すると、そこには決心を固めた春日がいて、春日は更に大河原先輩を捕まえてくれていた。
「今日はココロと石神は図書館で調べ物をするとか言ってたからな。
 俺達で行ってこようぜ。」
春日をホストに、IDEA界へ行く。

45 :Persona - The Rapture:2011/06/23(木) 21:56:06.09 ID:ELY9zJn80
・Joy Division
そこは、底が見えない程の谷に囲まれたダンジョンだった。
高所恐怖症の山田はまたも受難である。
敵を倒しながら進み、階層ボスもなんとか倒し、
奥まで進むと、果てしなく長い手すり無しの吊り橋に出くわした。
吊り橋の下は、漆黒。高所恐怖症でなくても御免こうむりたい代物だ。
ぎゃーぎゃーうるさい山田を宥めどやし、長い吊り橋を渡っていく。
やっと渡り切った先は、ほんの小さな岩場。
そこで藤枝は、忙しそうに3体の化け物の世話をしていた。
「忙しい忙しい。エサをあげなきゃいけないんです。頼まれたから…」
「誰に?」
「誰でもいいんです。そうじゃないと、私一人ぼっちになっちゃうから…。
 大事なのは私の居場所なんです。ここが私の居場所なんです。」

犬型の化け物がこちらに唸り、山田がそいつを蹴っ飛ばした。
犬は怒り、仕返しに体当たりした。狭い岩場で突き飛ばされた山田は…
「へ?っぎゃあああああああああああああぁぁぁぁぁ…」
暗闇の中に真っ逆さまに落ちていった。
「え!?わたし…わたしそんなつもりじゃ…あの…」
「山田の葬式には出てもらう。」

3体の化け物と戦うが、彼らもまた藤枝のシャドウ。
彼女に望まれる限り倒されることはない。
春日の説得にも、藤枝は困ったようにおろおろするだけだ。
「私…私…」ずっとそう呟いている。
「私、わたし、ワタシってか?いい御身分だな。
 けっ!春日の方がまだマシだぜ!
 疑うっていうマイナスの感情でも、人と関わろうとしている。
 てめぇは自分の事ばっかりだ。他人に興味の無い奴がなんだってんだよ?」
大河原先輩の悪態にも、藤枝は戸惑っている。
「私の事は放っておいてください。
 どうして戦うの?誰かに頼まれたんですか?」
「そんな訳ないだろ?君を助けたいからぼくたちはここに来たんだ。
 困っている人がいたら助けたい。当然のことじゃないか。
 君だって大概世話焼きの口だろ?
 自分をよく見られたい、本当にそれだけだった?」
春日の言葉に、しばらく藤枝は迷っていたが
「私…ううん、みんな…みんなが助かるには…私が居場所を作るには…」
藤枝の中から何かが生まれた。
自分から動き、戦おうと決意した彼女のペルソナ、[女教皇]バンシーだ。

46 :Persona - The Rapture:2011/06/23(木) 22:05:50.20 ID:ELY9zJn80
藤枝を失って弱体化したシャドウを4人で打ち倒す。
「あの…山田さんって人、本当に死んじゃったんですか?」
「よっぽどのバカじゃない限り、底に着く前に錠剤飲んで戻ってるだろうぜ。
 まぁ、ここに底があるかもわかんねぇけどな。」
山田はよっぽどのバカだし、かなり慌てていたので機転が利いたかわからないが…
「そんときゃ、どっかでひしゃげてんのを見つけて地返しの玉だな。」
藤枝にも錠剤の使い方を教え、みんな現世へ戻る。

その頃、調べ物を終え町へ帰って来た石神部長とココロは、成果を話し合いながら歩いていた。
ヤ・シュリカとその教義の元となる文献を調べ漁って来たのだ。
ふと前方を見ると、山田がぼんやりと突っ立っている。
「へへ…へへへ…私、死にそうでした。いえ、死にました…。
 真っ暗で、上も下もなくて、地面も無くて、私の居場所がどこにもなくて…」
「そう、大変ね。で、さっきの続きだけど…」
「ああ、ヤ・シュリカ教団がどこまでIDEAの事を…」
「へへへ…」

こうして、藤枝百合花もIDEAについての説明を受け、
自らの意志でオカルト研究部へ入部したのだった。

【藤枝百合花】♀
 内気な少女。優しく気配り屋だが、クラスから浮いている。
 イメージ通りポエマーだが、その作風は前衛的でどこか厭世主義的風味もあり、乙女チックさは皆無。
 大食い、廃虚好き、思索家であり論客。第三世界を犠牲にした安寧に悩んだりと、
 中身が濃すぎてかえってクラスメイトと薄い会話しかできないタイプ。
 初期[女教皇]バンシー→最終[太陽]アマテラス

47 :Persona - The Rapture:2011/06/23(木) 22:07:31.10 ID:ELY9zJn80
#6
7月も半ばを過ぎ、終業式が来た。
夏の到来は、灰色ヶ原にとっては海難事故シーズンの幕開けでもある。
ここら辺の海は離岸流が強く、やたらに事故が起き死者が出るのだ。
ココロの両親もそれで亡くなったという。

今日は夏休みの始まる楽しい日だが、同時に満月でもある…。
とりあえず、1学期最後のオカ研の活動日なので部室へ向かう。
部長達がヤ・シュリカの聖典を洗った結果、
・ヤ・シュリカ神率いる教団信徒達にとって、エットゥヘが招いたペルソナ使いたちは悪である。
・教祖シモンは自らをメシアン、救世主と名乗っている。
 対してこちらには、イゴールという謎の存在にエットゥヘの王を戴冠された主人公がいる。
IDEA界について何も分からない以上、自分たちの活動の是非は分からない。
しかし今はただ、自分達の身を守り、信じることを成すのみである。
今日は強制送還の起こる満月だ。負の感情を抑え慎重に過ごそうと決まる。

その晩、前回と同じように椅子のある洋間にオカ研全員が送還された。
おしゃべりをしながら、1時間、2時間と時間がたっていく。
藤枝は楽しそうな輪に中々入れず、発言すると流れを止めてしまう事を繰り返していた。
「(はぁ…なんで私、こんなに不器用なんだろう…?)」
3時間が過ぎ、会話も途切れシンと沈黙が訪れた。
(会話止まっちゃった…何か喋らなきゃ…でも、空気乱すくらいなら喋らない方がいい?
 …私、自分がどう思われるばっかり。みんなの頼み事引き受けてたのも、自分が嫌われたくないからだったのかな。
 …オカ研の人たちは、わたしを認めてくれてるのかな。…私の居場所、ほんとにここなのかな…)
藤枝の孤独感に感応して、世界は歪み始める。
気付けば、全員一緒にダンジョンに飛ばされ、化け物に取り囲まれていた。

・Squarepusher
そこは、無人島に建つ廃虚だった。
化け物をなんとか撃退し、パーティーを組んで進軍していく。
「ごめんなさい、私のせいで…」
「3時間半、よく持った方だ。初めての強制送還、誰だって緊張してうまくいかないものだ。」
「その代り、ちゃんと働いてもらうからな。準備はいいか?」

しばらく進んだ時、大河原先輩が石神部長に話しかけた。
「賢司、さっきの話だが…どんな話だったっけ?」
「それは…ん?何の話だったか?」
「やだー、先輩達お年寄りみたい!」
「何がお年寄りなの?」
「……なんだっけ?」
全員、数秒前自分が何を考えしゃべったかすら思い出せなくなっていた。
藤枝はそれに気付き焦るが、彼女の思考もまた数秒後には消えていく。

48 :Persona - The Rapture:2011/06/23(木) 22:08:42.96 ID:ELY9zJn80
地下に降り、奥へ進みながらも、皆の会話は延々とループする。
「賢司、さっきの話だが…」
「大河原先輩、それ3回目です!」
藤枝がメモを皆に見せる。記憶が保てないこと、皆の会話をメモすることが記された後、
メンバーの会話が箇条書きでメモされていた。
「これが、今回のIDEAの特性なのかもしれない。」
「鷹取先輩、そのセリフもここに書いてありますよ。」
記憶が保てないので、特記事項を一つに絞るべきだろう。
「無駄口たたくな。だ。」
大河原先輩のもっともな意見に、皆黙々と敵を倒し進む作業に戻る。
春日がぼやく。「精神的迷子みたいだ。まるで心に居場所が無いような…」
自分の心に場所が無く、自分の思考がぽろぽろと行き場を失い消えていくようなのだ。

「賢司、さっきの話だが…」
「無駄口たたくな!!!」
普段大人しい藤枝に怒鳴られて、大河原先輩は仰天する。
「す、すみません…メモ帳に大きく「☆☆無駄口たたくな!!☆☆」って書いてあって…」
「本当だ。でもなんでだっけ?」
「さぁ…でも従った方がいい気がする。」

更に下へ下へ潜ると、二人の少女に出くわした。
「来たわ!エットゥヘの犬よ!」
「何をするんだっけ?」
「こいつらを殺すのよ!あら、あなたたちの心にも影響が出てるようね。
 そこの女の子の孤独から生み出されたIDEA。心に居場所がなくなるの。正確には記憶にだけどね。」
そう説明するおかっぱの少女だけは、IDEAの影響を受けていないようだ。
彼女は、ナイフを構えて襲いかかって来た。
一時退却、主人公達はその場から全速力で逃げ出した。

「ここは無人島、外からの助けはなく、私達の記憶は失われ続ける。
 ただお互いを信頼し、生き延びることだけを考えること。」
ココロが記したメモにはそう書いてあった。
それを書いたことすら覚えていないが、皆このメモを肝に銘じ進み続ける。
階層ボスを倒し、一安心した時、
奥から笑い声が響いてきた。行ってみると、そこにはオールバックの男が。
「ヤ・シュリカ教団非公式独立異端審問会、通称ドミニク!」
後ろから、先程襲ってきたおかっぱ少女も追いついてきた。
「ん?レン子はどうした?」
もう一人のレン子とやらは、会話にならないから置いてきたらしい。

49 :Persona - The Rapture:2011/06/23(木) 22:11:32.50 ID:ELY9zJn80
「2対7で勝ち目があると思っているのか?」
「私達は二人ではない。大いなるヤ・シュリカ神と、万倍もの天使達がついているからね。」
「頭の中でだろ?」
馬鹿にした大河原の呟きに答えるように、虚空から何体もの天使が現れ主人公達を取り囲んだ。
「残念ながら、ここは頭の中の様なものだからね。
 万人ものヤ・シュリカ教信徒達の祈りが、我々の力となるのさ。」
主人公達を殺す目的は、ヤ・シュリカ教繁栄の妨げとなるからだと言う。
「エットゥヘが司るのは個人の欲。エゴイズムの神だからね。
 人類統一には決して相容れない人間が存在し、そいつらは排除してしかるべきなのさ。」
なんだか分からないが、とにかく教団が鬱陶しい目的の為に動く独善集団であり、
ぶっ倒してかまわない存在だというのだけは分かった。

オールバックの男もIDEAの影響下にあるので、
そこまで説明するのに、何度も何度も会話がループしている。
やっと説明し終わっても、
「あれ!?なんだこれ!天使型シャドウがなんでこんなに!?」
「えーと、どこまで話したかな?」
「とにかく、貴様らが何者なのか名乗ってもらおうか!」
「ハハハ!我ら3人はヤ・シュリカ教団非公式独立…
 ん?レン子はどうした?」
IDEAの影響を受けていない少女には、気が狂いそうな流れだろう。
「うっぎゃああああ」
少女はイライラジタバタしていたが、鐘の音が聞こえ始めてしまった。
「うう…今回はもういいです。
 でも、次回の満月はきっと楽しくなるよ。くれぐれも私達のこと忘れないようにね。」

翌日、オカ研は喫茶店に集合した。
「ぜーんぶ思い出した。」
「お年寄りどころの騒ぎじゃないわよまったく。」
しかし、次の強制送還をどう乗り切ったらいいのだろう。
今回はたまたまラッキーで逃げ切れたようなものだ。
「やはりここは、一度彼らとじっくり腰を据えて話し合う必要が…」
「ここまできて日和ってんじゃねーよ。ぶっ殺してやりゃいいんだよ。」
「戦力的問題。」
「それ以前に倫理的問題です。あんな小さい女の子殺せるんですか?」
「う…。」
そして、問題は根源的な物に戻ってきてしまう。
ヤ・シュリカ神とは、エットゥヘとは何者なのか?
IDEA界とは、一体何なのか…?

53 :Persona - The Rapture:2011/06/23(木) 23:55:02.08 ID:ELY9zJn80
#8
八月の始め、主人公、春日、藤枝、ココロは図書館にいた。
ココロが定期的に行ってるIDEAについての調べ物に、2年生一同もついてきたのだ。
山田は、男子サッカー部の助っ人で遠征している為欠席。
「ヤ・シュリカは気高き雲」「エットゥヘは浅ましく深き所に住む者」
教団聖典ではそう定義されている。深き所とは何なのか。
話しあう内、藤枝が祖父から聞いた言い伝えを思い出した。
灰色ヶ原は元々飯室という地名だった。これは「忌まわしきものが棲む室」という意味だそうで、
不吉だから改名されたのだという。
昔ここらへんでは、一種の邪神崇拝が行われていた。
ろくな魚が獲れず、水難ばかり起きる地元の海が神格化され、
荒海を神として祀っていたのだそうだ。
深き所とは、この海なのではないか。
灰色ヶ原にばかりペルソナ使いが生まれる意味もそこにあるのではないか。
聖典を読み返していくと、「エットゥヘは波の狭間に住まう者」という記述もあった。
悪神を祀っている神社が町の最南端の真賀浜にまだあるという。
4人はそこに行ってみることにした。

猛暑の中石段を登った先で、4人は神主に門前払いを喰らった。
「どうせお前らも、ヤ・シュリカの者だろう。どちらにしろもうここには来ない方がいい。
 あまりしつこいと、旧町内会が出てくる事になるぞ。」
ココロはあっさり引き下がり、来た道を戻る羽目になる。
ヤ・シュリカ教団がここに目を付けていると言う事は、やはりここに祀られているのはエットゥヘなのだ。
「もうちょっと強引に調べれば…」と春日がぼやくが、
「やめておいた方がいいわ。藤枝さん、あなたも飯室を知っているなら旧町内会を知っているわね?」
藤枝が説明する所によると、
飯室村が改名されたのは縁起が悪いからということだけではない。
イイムロムラではとある悪習が根強く行われており、政府によって散会させられたのだ。
その悪習とは、生きた人間を海に生贄として捧げること。
イイムロムラの名残である旧町内会と呼ばれる組織は、今も家畜を毎年生贄に捧げているという。
「でも、虎穴に入らずんば虎児を得ず…」
「君子危うきに近寄らず。」
「ごもっとも…。」

54 :Persona - The Rapture:2011/06/23(木) 23:56:58.40 ID:ELY9zJn80
#9
夏休みはどんどん過ぎ去り、8月も2週目、
大河原先輩から招集がかかった。
IDEA界をうろつく内に、面白い所を見つけたというのだ。
そこはEchoes、こだまのように延々とダンジョンの続く場所。
ここでペルソナを鍛え、来るヤ・シュリカ戦に備えようと言うのが大河原の結論らしい。
急な呼び出しだったので、大河原と藤枝、主人公しか来られなかったが、
IDEA入りした所で、見知らぬ少女と出くわした。
同じ年頃で、違う学校の制服を着ている。彼女は比良坂ヨミと名乗った。
彼女はペルソナ使いだがヤ・シュリカもエットゥヘも知らず、
ただ嫌なことがあった時にここに来てモンスターを倒しているらしい。
何だかんだでヨミも一緒にダンジョンを進むことになる。
随分高飛車な子だが、こっちにも大河原という戦力があるので口論は互角である。
間に挟まれた藤枝が気苦労を重ねていたが、大河原が地雷を踏み、
結局一番口論が強いのは文学少女の藤枝だというのが実証されたのだった。
きりのいいところでオカ研は引き上げ、ヨミとはそれきり喧嘩別れになる。

#10
8月の3周目、石神部長から主人公に連絡が来た。
「面白い人物とコンタクトが取れたぞ。教祖・天道シモンだ。」
入信希望者を装ってネットで申し込んだらあっさりアポが取れたらしい。
もちろん危険かもしれないので、こちらも石神家の護衛を潜ませておく。
駅前で待っていると、ごく普通に天道シモン本人がやってきた。
現実世界の肉体という牢獄にいる間は、等しく大人しくしてましょうということらしい。
バスの中で話しましょうという申し出を受けて、ガラ空きの市バスに乗る。
護衛から離れることになるが、バスを降りなければ問題ないだろう。

シモン曰く、ヤ・シュリカの目的は、IDEAを使った人類の統一であるらしい。
肉体という牢獄を離れ、一つの大きな魂として人類を統一し、静寂の理想郷を作ろうとしているとか何とか。
つまり、全人類から魂を吸いとり、ミキサーにかけて一つの魂にする感じ、
争いも不平等も個もなく、全ての人が一つの精神生命体となる…ということ。
シモンはその計画に、「ラプチャー」と名付けたらしい。

「社会主義のSF作家だって、もう少しまともなテーマを思いつきそうなものだ。」
石神部長は目に見えて不機嫌になり、そう言ってラプチャー計画をけなす。
「それなら、一体何故日野を殺そうとする!?」
「…エットゥヘの飼い犬、悪の申し子だから。」
エットゥヘ神の目的、それは一人の王が全ての人類を従える、個としての人類統一。
それを成すのが、王の中の王、究極の独裁者、日野啓一なのだという。
「バカな!彼は優秀な人物だが、片田舎の一高校生に過ぎない!
 そして、彼はそんなことを望んでいない!
 百歩譲ってそれが本当の事だとしても、私達が必ず彼を止めるだろう!」
石神部長は激怒し、シモンを誇大妄想に取りつかれたサイコパスだと糾弾する。
しかし、シモンと同じように、主人公にも神託は降りているのだ。
主人公の意志もろもろを置いて、俯瞰的に見るのなら、
これは日野啓一と天道シモンがそれぞれの神の許に、それぞれの軍勢を率いて戦う代理戦争、
相容れぬ二つの神の争いに他ならない。

55 :Persona - The Rapture:2011/06/23(木) 23:57:43.56 ID:ELY9zJn80
結局、激怒した石神部長がシモンに全面戦争を宣告し、二人はバスを降りた。
部長はふだんの冷静さからすると異様なほど激昂している。
適当な場所で降りたので、田舎道をしばらく歩いていると、前方に春日を見つけた。
「ぎく!実は、この前の神社がどうしても気になっちゃって…」
そういえば、ここは真賀浜神社の近くだ。
石神部長にこの間の顛末を話し、3人で少し調べてみることになった。

神社に忍び込み、境内をうろついていると、いかにもヤクザ風の方々に取り囲まれてしまった。
「お前らが、海の神さんのこと嗅ぎまわっとる宗教の奴らか?」
「我々はヤ・シュリカともエットゥヘとも関係ない!!」
謝って引きさがろうとする春日を振り払い、石神部長は無謀にヤクザ連中に立ち向かう。
案の定、よってたかってボコられてしまった。
春日が必死に謝るが、「…IDEAでなら…貴様らなど…」部長は一歩も引かない。
主人公は後ろで黙って成り行きを見、ついにダウンした部長を春日と担いで帰った。

「けったいなガキですね。殴られても一歩も引かんと…」
「あいつよりも、後ろで黙って見とった、黒髪の陰気臭いガキがおったやろ。
 あのガキの後ろに一瞬、怖いオバケみたいなもんが見えたような…」
「親っさんにも見えましたか!実はオレにも…」
「あの二人に張り付いとけ、目ぇ離すなよ。」

その晩、主人公の家に山田が訪ねてきた。
男子サッカーの合宿に参加しているのだが、男女の壁の厚さに圧倒されて、つい愚痴りに来たのだと言う。
しかし、こちらも昼間に教祖に会ったりヤクザともめたりしている。
山田に、彼女がいなかった間に起きたことを説明した。
「なんか…凄い色々なことがあったよね。それで、明日は満月でしょ?
 色んな、どうにもならないことが押し寄せて、厚い壁みたいになってる気がするんだ。
 …大丈夫だよね?私達…。」

56 :Persona - The Rapture:2011/06/23(木) 23:59:36.27 ID:ELY9zJn80
#11
翌晩、さしたる策もひねり出せず満月を迎えた。
石造りの洋間には椅子が一つ増え、比良坂ヨミが招かれていた。
驚いて騒ぐヨミを黙らせ、この部屋の事を説明する。
「特に、今夜は沢山の天使シャドウ達が私達を狙っているから、
 絶対に朝までこの部屋でやりすごさないといけないの。」
「…いや、IDEAに落ちよう。」
石神部長が突然、今までの方針を翻した。
「今夜やりすごしたところで来月はどうなる?再来月は?
 戦うしかないんだ。シモン、ドミニク、敵対する者は皆殺しにしてやる。」
部長としての責任において、自らが汚れ役になり部員を守るという。
大河原、春日はその意見に賛同し、シモン達と殺し合いをすることを選ぶ。
藤枝と山田は、それに強硬に反対する。
「殺されるから殺すって考え方がケモノと同じだって言ってるんです!
 ヤ・シュリカも、オカ研の皆も、誰も殺させない!」
「山田、理想だけで生きていけると思っているのか?」
「自分の生きざまに体張らないなら、人生に何の意味があるっていうんです!?」
吹き荒れる感情に感応して世界が歪み始める。
気付けば、主人公はダンジョンの中に立っていた。

・Banquet
そこはスッキリした石造りの、明るい屋内ダンジョンだった。
主人公、ココロ、春日、藤枝、ヨミの5人が一緒に飛ばされたようだ。
残りのメンバーを探して、5人はダンジョンを進んでいく。
至る所に、信徒達の祈りが凝った天使シャドウがうろつき襲いかかって来る。

「なんということだ…」
その頃石神部長は、一人きりでダンジョンの中に飛ばされ、天使に取り囲まれていた。
目の前には、教祖シモンとドミニクの二人。
「クックック…残念だね、仲間とはぐれるなんてさ。」
さしもの鉄人部長も、絶体絶命の窮地に追い込まれていた。

天使を蹴散らしながら長いこと進んだ主人公達は、
とうとう山田をある部屋で見つけた。
山田は、ドミニクの一員である女の攻撃を必死で避けていた。
「山田さん、武器を抜いて!やらなければあの時のようになるだけよ!」
ココロの言葉に、山田は迷うがどうしても人を殺すことができない。
「このッ!園崎レン子様が、クソ面白くもない教団でクソ仕事してるのは何のためだと思ってるのよ!
 私の平安を返せ!死ねッ!死ねぇッッ!!」
女は間合いに山田を捉えた。

57 :Persona - The Rapture:2011/06/24(金) 00:00:39.21 ID:ELY9zJn80
その頃、石神部長は天使との終わらない戦いに疲弊していた。
「がんばるねぇ。
 どうせ、ここで日野啓一を仕留められなくても彼に未来はないけど。
 現実的暴力を行使できる連中が動き出したからね。
 さて、それはそれとして摘める芽は摘んでおかないとね…。」
「待てぃ!!」
大河原が部屋の中に躍り込んできた。
そのまま一直線に走り、シモンとオールバックの男にナイフを構えて突っ込んでいく。

山田がへたり込んだ目の前には、首の無い女の死体。
傍らに、ココロが返り血を浴び、血まみれの刀を提げて立っている。
すんでのところで、ココロが女を斬り殺したのだ。
「ごめんなさい、先輩…うわあああああん、うわああああああ」
号泣する山田を、ココロは不思議そうに見ている。
永眠病以来、人の気持ちを察する事ができない。以前からココロはそう主人公に零していた。

その頃、大河原はゆっくりドミニクの男から離れた。
大河原の腹に、ナイフが突き刺さっている。
「いてぇ」大河原は苦笑してよろけた。
「琢己!!貴様らぁあ!!!」
石神部長のペルソナが吼える。

主人公達は天使を薙ぎ払いながら、階層ボスを倒し、奥へ奥へ進んだ。
シモンを殺すことの是非について話し合いながら、ひたすら進む。
イレギュラーのヨミはドライな性格で、
警察にバレないんだから殺せばいい、心のケアなんて命の余裕のある者がするものだとこちらに忠告する。
彼女は高慢だが非常に率直で、自分の正直な意見しか述べない変わった少女だ。
春日はヨミに一目惚れしたらしく、
らしくもない能動的なアプローチを時々仕掛けては、容赦なく撃墜されている。
何枚目かもわからない扉を開くと、部屋の中は思いがけず混雑していた。
「チッ、仲間と合流するまで持ちこたえるとは…」
ドミニクの向こうには、ボロボロの石神部長が、傷を負った大河原を背に庇い天使と戦っていた。
主人公達にも天使をけしかけられるが、蹴散らして部長の元に進もうとする。
その時、夜明けを告げる鐘が鳴った。

58 :Persona - The Rapture:2011/06/24(金) 00:01:41.51 ID:VB1fcgz50
翌日、オカ研一同は喫茶店に集まった。
大河原は、例の荒療治で回復し今は自宅で休んでいる。
幸いにも死者は出なかった。
これは、部長の活躍によるところが大きい。
元々耐久力に定評があるが、5時間強天使達と戦い抜いたのは驚異的な健闘だ。
「さすがリーダーね。」
「…いいや、私はリーダーを降りようと思っている。」
石神は、独裁的に抗争を望み、部員に殺人を強いた自分を反省していた。
「天道シモンを殺さなければ未来が無いという意見に変わりはない。
 しかし山田、君の意見は正しい。すまなかった。」
「そんな、私なんて…」
山田もまた、いざ事が起こると何もできず、ココロに殺人を肩代わりさせた自分を責めていた。

新しいリーダーには主人公が推され、異論なく決まった。
次の課題は一ヶ月後の満月の日。
このまま何の対策も見出せなければ、次は死人が出るだろう。

解散して帰り道、ココロと二人になった時。
「今は二人だけだから言っておくわ。比良坂さんのことよ。
 みんなは気付いてなかったけど、あの子、シャドウよ。
 どんな仮想の人生を歩んでいるのか知らないけど、あの子自身も自分がシャドウだと気付いてないみたいね。
 あの子の扱いはあなたに任せるわ。新リーダーだものね。」

【比良坂ヨミ】♀
 高慢で高飛車なデレない少女。正体はシャドウであり、IDEA内にしか存在しない。
 率直で自分の意見を飾らない。また相手の傷心を慮る事もない。
 考え方はドライで自分本位。常に選択を躊躇わず、どっちつかずの綺麗事や現実味のない理想は斬って捨てる。
 主人公達がIDEA入りすると必ずその場に出現し、一行に同行する。
 初期[女帝]ピクシー→最終[月]ツクヨミ

59 :Persona - The Rapture:2011/06/24(金) 00:02:45.15 ID:VB1fcgz50
#12
時は過ぎて一ヶ月後、二学期が始まって久しく。
オカ研部員は、日野啓一の無断欠席について教師をはぐらかす日々が続いていた。
遡ること22日前、夏休み最後の日。
春日、藤枝と山田は、たまたま駅のホームでばったり会った。
「日野君が旧町内会のヤクザに刺されそうになったって本当?」
「うん、2~3日前から付きまとわれてるのはわかってたらしいけど…。」
話していると、ホームの反対端に当の主人公が立っているのを見つけた。
「…啓一くんの後ろにいる人…石神先輩を殴ったヤクザだ!!!」
春日が真っ青になり、山田は自慢の足でスタートダッシュを切った。
「けいいちくーん!!!うしろ!やくざぁ!!!」
山田の叫びに気づき、身構えた時、主人公はホームに入ってくる電車に向けて背中を突かれた。
なんとか踏み堪えたが、山田の警告が無ければ今頃死んでいただろう。

山田はそのまま逃げるヤクザを追いかけて捕まえたが、
手を刃物で切りつけられて逃げられた。
「藤枝さんっ救急車!」
「大丈夫だよ、このくらい、また先輩に縫ってもらって…」
「IDEAじゃないよ!?」
「…!…私達、IDEAの外で何やってるの…!?」

その晩、主人公の元にココロが訪ねてきた。
ココロは主人公を匿う為、彼の両親にも知らせず自分の家へ主人公を連れていく。
「あなたを死なせるのが、私にはとても怖いの。
 お願いだからここにいて。」
それから22日間、主人公はココロの家に軟禁されているのである。
ココロは祖父と二人暮らしだったが、一月前祖父は亡くなり、その事を特に報告はしなかった。
テレビもPCもない古びた1LDKに、主人公は24時間ずっと閉じこもっている。

正確には、途中一度主人公は抜け出した。
ココロとの微妙な同棲生活、無為な時間の長さに気が狂いそうになり、
思い切って身支度し学校に向かった。
しかし道中、警官に補導されてしまい、保護者の迎えを待つこととなった。
両親は心配しているだろう。でも迷惑をかけたくない。
自分を孤児院から引き取ってくれた優しい両親なのだ。

60 :Persona - The Rapture:2011/06/24(金) 00:03:38.93 ID:VB1fcgz50
交番に迎えに来たのは、両親ではなく神社で会ったヤクザの親玉だった。
「すまないね…この町では、旧町内会の影響力は君が想像するより大きいんだ…。」
「余計なことは言わんでええ。」
引っ立てられて、海辺の断崖まで車で連れて行かれた。
道々、旧町内会の目的を説明された。
「エットゥヘの神さんはな、神さんのくせに人間にちょっかいを出して来よる。
 海の神さんなんやから、海から人を見とるだけでええのに、自分で手ぇ出したがるんや。
 生贄が足りんと、お前みたいな人間が生まれる。向こうの世界へ干渉できる人間がな。
 そういう人間が増えると、こっちの世界がおかしゅうなるからな。」

海難事故の多発、あれは半分は旧町内会の仕業だと言う。
そうやって、どうにか生贄を捧げ続けているらしい。
「最近のは、ヤ・シュリカのせいやろう思うわ。
 あっちの神さんが、ここを…日本をどんどん侵略してきよるから、
 海の神さんも焦ってはんのやろう。
 そやからお前にも、シモンゆうガキにも死んでもらわなあかん。堪忍せえよ。」

断崖に立たされ、飛びこむか放りこまれるか、逃げて撃たれるか選べと言われた。
躊躇していると、イゴールの声が聞こえた。
「飛ビコメ!!!」
崖から踏み切り、荒れる海に身を躍らせる。
海はエットゥヘ神の棲まう場所。
神が自らの申し子を死なせるわけもなく、主人公は浜へと波に運ばれた。
ココロに介抱され、またココロの家に連れ帰られる。
「私、人が死ぬってどういう事なのかわかったの。
 お願い、もうどこにもいかないで…私を一人にしないで…!」
それ以来、また主人公は堪えがたい空白の時間を過ごす毎日を送っている。

オカ研のメンバーもまた、耐えがたい時間を過ごしていた。
満月が近づいてくるのに、何の解決策も見つからず、ヤ・シュリカは信者を増やし続けている。
ネット宗教という目新しさと、シモンのマスコミ受けの良さに加えて、
IDEAを介しての影響もあるのだろう、信者は全国で十万人に膨れ上がっていた。
そして主人公は閉じこもり続け、ココロは主人公を守ることだけしか考えていない。

ココロもまた、自分の変化に苦しんでいた。
主人公を失いかけた事で、オフにされていた感情のスイッチが切り替わったのだ。
死とは、人生にツタの様に絡んだ大切な人を、無理やりひきはがされるということ。
通学中、偶然にも自分が殺めた園崎リン子の母親の嘆きを目撃してしまい、
ココロは、突如取り戻した自分の心に苦悩し余裕を失くしていった。

61 :Persona - The Rapture:2011/06/24(金) 00:05:13.54 ID:VB1fcgz50
主人公は、鬱々とした長い時間を考えることに費やした。
やがて主人公の中で形になっていく妄想。都合のいい世界。
旧町内会がみんな死んで、ヤ・シュリカ教団の人間も全員死に、
そうしてこの1LDKの牢獄から解放された世界。
自分を責める人間もみんな死んで、それを悲しむ人がいると辛いからその周りの人も死んで、
死の連鎖は世界へ広がっていき、人間はみんな死ぬ。
廃虚に立つのは、世界の王である自分。ただ一人、鷹取ココロという従者を従えて。
こんなに1人でいたのは、孤児院の時以来だ。
自分は一人ぼっちの子供だった。友人を作らず、寄って来るものは跳ねのけた。
それ以外の状態を知らなかったから、孤独を認識できなかったのだ。
人は孤独に耐えられないと言うが、自分はそうではない。
自分は、宇宙人なのだろうか?

主人公が鬱々と思考に囚われ、
ココロは罪悪感で精神的に追い詰められていき、
山田はココロへの不信感を隠せない。
石神はシモン殺害の策を練り、
大河原はココロを救ってやれない自分に腹を立てている。
そんな状態で、主人公を抜いたメンバーでEchoesに潜りレベルを上げる日々が続く。

そして、満月へ3日を残した日。
旧町内会事務所が大規模な地盤沈下によって壊滅、殆どのメンバーが死亡したという報せが入って来た。
事務所地下の水脈からは、地下水がほぼ無くなっていたという。
エットゥヘ神の思し召し、
いや、神の子を迫害した彼らへの罰なのだろうか。
自由になった主人公だが、大河原の勧めでもう少しココロと暮らすことにした。
今の彼女には、支えが必要だ。
ココロはぽつりぽつりと死んだ両親の話をした。
ココロの両親は、海難事故で死んでしまった。灰色ヶ原の近海は、離岸流が強く海難が起きやすい。
母親のお腹には、赤ん坊が宿っていたという。ココロは家族3人を同時に亡くしたことになる。
「啓一くん、私の弟になって。」
突然のココロの懇願を、主人公ははねつける。
従者だの姉弟だの肩書が無くても、人と人は繋がりあえるのだ。
ココロは頷き、肩書に逃げていた自分の心を確認する。
「主人でも、弟でも無いけれど、私にとってあなたは大事な人。」

62 :Persona - The Rapture:2011/06/24(金) 00:07:38.94 ID:ELY9zJn80
事態が好転し、主人公が復帰したオカ研は、
翌日、この自由を有効活用し真賀浜神社を調べることにした。
部長と大河原は欠席なので、残り5人でご神体がある場所を探す。
「エットゥヘの神は波の狭間に住まう。其は暗き地の底で名状しがたき呻き声をあげている。」
この記述を解釈し、神社周辺で波音が聞こえる地点を重点的に調べる。
そうなると山の中ということになるし、セミの声が邪魔なので、準備を整えて夜に山に入った。

その頃、欠席した石神と大河原は、夕食を共にし真剣な打ち合わせをしていた。
天道シモンの自宅を伝手で見つけた二人は、今夜シモンを殺害する計画を立てていたのだ。
仲間が人を殺し罪悪感に苦しむのが怖い、明日数万の天使達にミンチにされるのも怖い。
天道シモンをこの手で殺し、牢獄に放りこまれるのが一番マシだと、石神は語る。
大河原も、ココロを守る為に手を汚すことを厭わなかった。

その頃主人公達は、波の音を頼りに夜の山を彷徨う内に、呻き声の様な音を聞きつけた。
行ってみれば、それは底も見えない古い井戸。
風の音なのか、呻くような轟音が這い上ってきている。
用意してきたロープで井戸を降りた先は、だだっ広い空間だった。
海水が浸食してできた洞窟だ…。
激しく傾斜した下り坂の洞窟を、5人は這い伝いながら降りていく。

その頃石神と大河原は、天道シモン宅の前にいた。
何だか中が騒がしい。中に入ってみると、そこにはシモンとオールバックの男がいた。
シモンに、オールバックの男がナイフを突き付けている。
状況をまとめると、ラプチャーなんぞを起こさせない為、そしてシモンの築いた人脈を乗っ取り権力者になる為、
オールバックの男、十三がシモンを暗殺しようとしているらしい。
「貴様らは、そうやってまた私を一人にするのか。
 この私を一人ぼっちにすることは、何人たりとも許さん!」
シモンが訳のわからないことを言い出す。
「聞いたか?これがヤ・シュリカ教団教祖天道シモンの正体さ。
 この男には家族が無い。なんでも孤児院に育ったらしい。
 こいつは孤独から、奇妙な人類一体妄想を抱くようになり、それがこの町の民俗背景と混じり合ってヤ・シュリカ教となった。
 こいつは自分の寂しさに人類を巻き込もうとしてるだけなのさ!」

シモンは、石神達に向かって警告する。
十三がシモンを葬っても、IDEA独占を狙う十三にオカ研は攻撃を受けるだろうと。
それでもシモンを殺すことに異存の無い二人は参戦するが、シモンは隙をついて夜の町に駆け去ってしまう。
「…どうするべきだと思う?琢己。」
「…帰って寝る。」
「残念ながら、名案だ。」

68 :Persona - The Rapture:2011/06/24(金) 12:51:32.28 ID:VB1fcgz50
部長達が家路についた頃、5人は苦難の道を辿っていた。
身にしみる冷気の中、棒になった足と懐中電灯一本で、ひたすら急勾配の真っ暗な坂道を下っていく。
やがて、轟音が大きくなり、5人はゴールにたどり着いた。
そこには、暗闇の中にそびえる巨大な滝があった。
100mはあるだろうか、懐中電灯に照らされた滝は豊かな水量で轟々と吼えている。
「これが、離岸流の原因…。地下水の抜け道もここ…。
 本当にエットゥヘが人を食っていたんだわ…。」
「じゃあ、エットゥヘの神は自然現象だったってことですか!?」
いや、何か光っている。滝から流れる水流が、蛇のくねる形をとっていて…
何かに引っ張られるように、主人公は滝壺に落ちた。

皆の慌てる声が遠のき、イゴールの声が主人公を迎えた。
「ヨウコソ!ヨウコソ日野啓一!!
 エットゥヘノ使イ、エットゥヘノ息子ヨ!
 貴様ガ初メテココニキタ時貴様ハマダ胎児ダッタ!
 貴様ノ母ガ貴様ヲ宿シタママ海ニ落チ、ソウシテ贄トナッタノダ!
 エットゥヘガ貴様ヲ受胎シタノガソノ時ダ!」
イゴールは興奮し熱狂的にまくしたてる。
「啓一、貴様ハ王トナレ!ソレガ人類ノ到ルベキ未来デアル!
 貴様ハ貴様ノ世界ヲ、コノ無色透明ナ小宇宙ニ書キ殴レバイイ!」

目を覚ますと、仲間に介抱されていた。
滝以外には特に収穫はなく、みなは元来た道を歩いて戻った。
とうに終電も終バスもない夜道を歩いて自宅まで戻る。
明日は満月。死ぬもんか、と皆心に誓う。

69 :Persona - The Rapture:2011/06/24(金) 13:26:44.96 ID:VB1fcgz50
#13

孤児院の職員が語る。
「ええ、天道シモン…いえ、洋一君は小さい頃から一人ぼっちでした。
 意固地でプライドが高くて、理想主義な所があって、友達をうまく作れなくて…
 正直な話、どう付き合えばいいか私達もとても気を使いましたが…」

後藤十三が語る。
「シモンは許せなかったんだと思う。
 自分を受け入れない世界を、受け入れないという事が起こりうる世界を。
 様々なコンプレックスや理想が入り混じり、奇妙な誇大妄想を胸中に育ませ…」

石神賢司、大河原琢己が語る。
「それがやがてヤ・シュリカ教となり、ラプチャー計画となった。」
「そして、俺達がそれを打ち砕いてめでたしめでたし、と。」
「そのつもりだ。」

孤児院の職員が語る。
「そういえば、洋一君の一つ下に似たような境遇の子がいたわ。
 ずっと一人だったのに、それを全く苦痛と感じていないようだった。
 本当は孤独が怖くて、どう他人との折り合いをつければいいのか分からない洋一君とは真逆。
 まるで、他人がフラストレーションの発生源以外の何者でもないような…」

そう、だから自分は他人を排そうとした。
頭の中で何度も、自分以外に誰もいない完全に自由な世界を描いた。

旧町内会会長が語る。
「日野ちゅうガキのそんなタチが、海の神さん…いやバケモンに魅入られた。
 あのガキの気に入らんもんはみんな消される。あのガキはそんなふざけた力を手に入れたっちゅーことや。」

しかし、今の自分は以前の自分とは違う。
義理の両親との時間、オカ研での時間は、自分にとってかけがえのないものになった。
だから、旧町内会から身を隠していた間の時間は地獄だった。
孤独が怖ろしい。自分はそう感じられるようになったのだ。
だが、たまに自分の中の黒い衝動を抑えられなくなりそうな時がある。
幼いころから育み続けた、他人への憎悪、嫌悪、不信、不快感…つまり自分のシャドウが。
意志を離れ独り歩きを始めたシャドウが、執拗に命じるのだ。
「狩レ!ソシテ駆逐セヨ!!
 貴様ガ王トシテ君臨スベキ日ハ近イ!!」
イゴールの叫びが、頭の中で聞こえる。

70 :Persona - The Rapture:2011/06/24(金) 13:28:18.08 ID:VB1fcgz50
#14
満月の晩、最早おなじみの洋間に招かれた。
今夜をヤ・シュリカとの最終決戦としよう。そう部長が演説する。
世界は歪み、凪いだ浅瀬へ姿を変えた。

その頃、シモンはドミニクのオカッパ少女だけを連れ、小さな虹を前にしていた。
これがエットゥヘの滝に対するヤ・シュリカの虹である。
これが雲に掛かり、世界を覆い、ラプチャー計画が完成する。
そこに十三が単身で乗り込んできた。
対峙する二人の男に、おかっぱ少女が告げる。
「大津波が来るよ。」
「日野か!奴の計画を完成させてはならない!
 奴が成すのは、自分以外全ての存在を消し去ったミニマルの世界だ。」
「あいつにそんな事が…」
「あいつではない、あいつのシャドウがやるのだ!!
 十三、神となり永遠を生きることと、永遠の無となること、どちらを選ぶ!」
「安心しな、そんならお前も日野も、ぶっ殺してやるだけだからよ!!」

主人公一同が浅瀬を進むと、前方に男が倒れていた。
ドミニクの後藤十三だ。辛うじて息をしている。
「ラプチャーが完成する…日野啓一、お前ならあるいは…」
息を引き取った十三を置いて、その向こうの扉をくぐる。

転移した先には、小さな虹とシモン、おかっぱの少女。
神の使い同士の最終決戦が始まる。
多勢に無勢、やがてあっけなくシモンは倒れた。
「消シ去レ!」
シモンの背後の虹が消えた。それに追いすがるシモンも消えた。
おかっぱ少女―シモンのシャドウが警告する。
「世界のバランスが崩れた。世界が一つになるか無になるか、時間の問題だったけど…。
 いい?Echoesは日野啓一の深層心理と繋がっていて…」
おかっぱ少女も消え去った。
そして、夜明けを告げる鐘が鳴る。

71 :Persona - The Rapture:2011/06/24(金) 13:28:53.36 ID:VB1fcgz50
#15
主人公は、「自分探しの旅に出ていた」という無茶な言い訳で一か月の失踪を誤魔化した。
その弊害はもちろん出てくるわけで、自宅謹慎1週間を命じられた。
その通達のついでに、中年教師に一昔前のうざったい説教を延々聞かせられた。
自分達が、どんな状況にあったかも知らないで…。
主人公の苛立ちに応えて、中年教師は消え去った。
目の前でそれを見ていた他の教師は平然としている。

職員室を出て、他の生徒と会話を交わす。
すると、主人公の気に障る事を行った生徒はことごとく消え去った。
まずい。一刻も早く自分のシャドウをどうにかしなければ。
オカ研一同に、自分の異変と、皆まで危険にさらすかもしれないことを説明する。
皆、一緒に主人公のシャドウを倒そうと言ってくれた。
おかっぱ少女の残した言葉に従いEchoesへIDEA入りする。

こだまの様にダンジョンの続くEchoes、ここにも果てはあり、そこに主人公のシャドウがいる。
その果てを目指して、長い長いダンジョンを降りていく。
番人を何体も倒して進む中、ぽつりぽつりと議論を交わす。
この世界の不平等さ、ラプチャーの是非、自分の存在の意味。
誰よりも強く現実を見据えているのは、ヨミだった。
不思議な少女。
ヤ・シュリカ教団信者達の祈りが天使を作りだしたように、
ヨミは、この世の人々の無意識の祈り、原始的な、生きることへの願いのようなものがシャドウとなったのではないか。
シャドウを見分ける感覚を持ったココロはそう推測する。
石神は懊悩する。
「比良坂ヨミ、地獄の名を冠した少女。
 ならば、我々の生は、生とは罪に塗れた物なのか?」
藤枝は問いかける。
「ウィンドウショッピングをするでしょう?
 幸福と豊穣の上に成り立った、安くて良質で安全な商品群。
 それが、第三世界の人々の血と涙で出来ているって知ってます?
 私達は、貧しい子供たちを頭から齧って生きているんです。
 私達に罪はありませんか?」
人は誰かを殺さずには生きられない。
平和を唱える事すら、誰かを間接的に虐殺する事だと唱えたのは石神だったか。
いいや、自分達はもっと直接的に、ヤ・シュリカの修道女を、ドミニクの女を、教祖シモンを殺している。
「邪魔だから殺した。それが当り前じゃねーか。
 罪なんざ、余裕と平和でボケた脳みそが生み出した錯覚さ。
 それでも俺達はフェアに戦った。違うか?」
大河原は一貫して、闘争を肯定する。
「だが、人間としての尊厳は?」
呻く石神に、春日が返す。
「安いプライドに殺されるなんてまっぴらです。」
藤枝はそれを否定する。
「人間性を捨てて、生きている意味なんてあるんですか?」

72 :Persona - The Rapture:2011/06/24(金) 13:30:19.38 ID:VB1fcgz50
「ふん。」
ヨミが鼻を鳴らして議論を遮った。
「寝言は良質ブランドのベッドから起き上がってから言ったらどう?
 コンクリートの床で寝る勇気が、あんた達にあるの?」
皆は押し黙る。
「…俺は戦うぜ。自分の力で自分の寝床は守る。」
「醜いものだ!」
「自滅がお前の美学か?」
「虐殺よりはましだ!」
結論など出ない。
誰かを犠牲にしてまで、罪の意識に耐えてまで、自分の存在とは守る価値のあるものだろうか?

扉は開かれ、暗闇の中にイゴールが現れる。
それは日野啓一のシャドウ。いや、全ての人の他人を忌む感情のシャドウなのかもしれない。
イゴールは様々な形を取る。
それを倒すたびに、それぞれの望むものを見せる夢が訪れる。
ヨミを妻に作家としてまずまずの道を進む春日の夢。
陽の射す廃虚でひたすら静謐な時間を過ごす藤枝の夢。
兄の婚約者ナツメを奪い、駆け落ちして幸福に暮らす石神の夢。
オカ研の皆で正義の戦隊を組み、ピンチの女性を救う山田の夢。
石神、ココロと共に火星行きのプランを練る大河原の夢。

ココロは弟の啓一に、明日家族で海に行く事を念押ししていた。
「ったく、この年で家族で海なんて、何が楽しいんだか。」「楽しいの。」「…姉貴も?」
もちろん楽しみだ。家族4人揃って海に行ける。どんなに楽しみなことか。
「…ウソね!私の両親は死んだ。私の弟の死んだ。そして私の心も死んだ。
 でも皆との絆が、私の心を蘇らせた。いいえ、私は私の心を一から創り出した!。
 今度こそ手放してなるものですか…!」
「…古い夢と決別しても?」
「ええ!私達にIDEAは必要ない!
 啓一くんだけじゃない、私達は皆、自分のシャドウを打ち負かしIDEAと決別しなければいけない!」

主人公の夢の中でヨミが呟く。
「日野啓一。アンタの夢もそろそろ終わりにしたら?
 ……。楽しかったよ。」

イゴールが本当の姿を現し、最後の決戦となる。
死闘の果てに、とうとう主人公達はイゴールを打ち負かす。

73 :Persona - The Rapture:2011/06/24(金) 13:31:58.62 ID:VB1fcgz50
#16
石神、大河原、山田、春日、藤枝の5人は打ち上げを兼ねてレストランで食事をしていた。
結果から言うと、IDEAはなくなり、ペルソナ能力もきれいさっぱり無くなった。
というか、自分達がペルソナ能力を失ったから、IDEAを認識できなくなったのかもしれない。
しかし、永眠病はぱったりと無くなり、ヤ・シュリカも下火になっていった。
IDEAが無くなった事で、現実が群をなして押し寄せてきた感がある。
石神は海外留学を決定、大河原は一転まさかの大学受験を宣言し、ココロもファッションデザイナーの専門学校に進学するとか。

「ここは鷹取に教えてもらった店なんだ。」
「あ、じゃあここがいつか言ってたイタリア料理の…。」
「啓一くんと鷹取先輩も来ればよかったのに…。」
ここにいる5人は、IDEAでの経験を消化し成長の糧に変えることができつつある。
しかし、主人公とココロの二人には、IDEAでのことはまた違う意味合いを持つ。
その手で直接人間の命を奪ってしまったのは、主人公とココロだけだからだ。

主人公とココロは、馬酔木京子の墓参りに向かう所だった。
ココロは、主人公と共にこの罪を受け止め償っていくことを決意している。

どこかの浜辺で、ヨミは思い切り叫んでいた。
誰もいない海にヨミの叫びが木霊する。
fin

74 :Persona - The Rapture:2011/06/24(金) 13:51:00.33 ID:VB1fcgz50
風呂敷畳まずにいきなりぶっつり終わって面食らいました。
フリーですしね。
全曲自作のBGMが豪華なフリーゲームでした。

好感度コンプリートで出てくるキャラの後日談も書いときます。
石神は海外へ留学、親の仕送りを頑なに拒み、
大学に通いながら、IT企業のアルバイトをこなす苦学生。
裸一貫から会社を起こし、自力で兄を越えるのが目標だとか。

大河原は難なく大学に合格。だが3年たつ現在も1年生。
でも一度も親に学費を払わせたことは無いという。
ラーメン修行と称して気ままに放浪を繰り返し、自由に生きているとか。

春日はIDEAでの経験を小説に仕立てた物を、藤枝の勧めでライトノベルのコンクールへ提出。
賞は獲れなかったものの、デビューして5万部売り上げを達成。
ヨミがモデルのキャラを主役に、ライトユーザー向けの無難なラノベ作家として活動中だとか。
 
藤枝は、大学に進み経済学部を選択した。
本人の志望は文学部だったが、親の願いを断り切れなかったのは相変わらず。
ラスボス前に啓一になんとなく告白はしたのだが、今一歩押しが足らずまだそれ以上の進展は無いとか。

啓一の義両親は奇特で太っ腹な人で、啓一がダメ元でココロを姉だと紹介すると、
気前よくココロとも養子縁組を組み、二人は本当の姉弟になった。
自由な生活を満喫していた主人公に、執着型で口うるさい姉ができ、
主人公は辟易しつつも充実した生活を送っているとか。

75 :ゲーム好き名無しさん:2011/06/24(金) 13:52:15.09 ID:VB1fcgz50
以上でラプチャー終わりです






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