SIMPLE DSシリーズ Vol.48 THE 裁判員 ~1つの真実、6つの答え~
短めのまとめ:part61-319,320,part62-203~205
長めのまとめ:part64-93~103,113~127,129,132~139,146,152~160

319 :THE 裁判員~1つの真実、6つの答え~:2012/06/20(水) 20:30:43.89 ID:PU+3l0a10
主人公の『五條誠司(ごじょうせいじ)』はある日突然殺され
しかも、自分を殺した相手が無罪になってしまったので
無念の余り裁判所に取り憑く地縛霊となってしまう。
それから暫くの間、様々な人達の裁判を為す術もなく眺めていた誠司の元に
『ヤマヤマ4号』と名乗る、ぬいぐるみのような霊が現れる。
ヤマヤマ曰く、誠司の未練を取り除き成仏させるのが自分の仕事だと言う
そんな時、誠司の見ていた裁判が明らかに間違った判決を下そうとしていた。
自分が殺されてしまった時の裁判を思い出し、悔しさを滲ませる誠司にヤマヤマが言葉をかける。

「だったらお前が正しい判決へ導けば良い」

折しもその裁判は『裁判員制度』が適用されており
(※被告人が無罪なのか有罪なのかはヤマヤマの力で最初から判明している)
裁判員と一括りにしても、思想や論調は十人十色
「よくわからないから無罪にする」と消極的な主婦がいれば
「犯罪者は全部有罪にする」と声高なネット弁慶もいるので
誠司が裁判員の一人に憑依する事で他の裁判員を説得していく。

ヤマヤマと共に正しい裁判へ導いてきたおかげで
誠司が抱いていた未練も薄れつつあり、成仏は時間の問題だった。
しかし、一人の裁判員との出会いがそれを許さなかった
誠司は一瞬たりとて、その顔を忘れた事はない。
自分がこの世を彷徨う事になった理由―――すなわち自分を殺した相手なのだから。

320 :ゲーム好き名無しさん:2012/06/20(水) 20:35:28.01 ID:PU+3l0a10
コピペミスって後半のテキスト消えてもうた(´;ω;`)
続きはまた今度にします。
203 :THE 裁判員~1つの真実、6つの答え~:2012/08/20(月) 00:56:53.85 ID:s2BuPBnU0
かつて自分を殺した少年、勝呂真(すぐろまこと)
その相手が裁判員として誠司と共に裁判へ参加し
しかも誠司が憑依している人物にとても懐いている。
その様子を見る限り、影は薄いが大人しい少年にしか見えず
自分が死の間際に垣間見た、昏く冷たい眼とのギャップに戸惑う誠司
しかし、勝呂の話を聞いていく内に彼の内面が徐々に明らかになっていく。

幼い頃に尊敬していた人物(祖父の弟)が失くなった事
それ以来『命』という物がわからなくなった事
『命』を理解するために毎年その命日に動物を殺してきた事
それでも『命』は理解出来ず、最終的に人の命を奪った事

勝呂の話を聞き、その一端を垣間見た誠司だったが
幽霊となった自分にはどうすることも出来なかった
そして今年もやって来たその命日、雨が降る中で8歳の子供が無惨にも刺し殺され
子供の近くに立っていた人物を警察は容疑者として連行した。
容疑者の名前は―――『勝呂真』

204 :THE 裁判員~1つの真実、6つの答え~:2012/08/20(月) 00:57:45.80 ID:s2BuPBnU0
因縁の相手である勝呂の裁判に今までと同様に参加する誠司
しかし勝呂は核心に迫る部分は黙秘を続ける。
勝呂にとって裁判など意味など無く、無駄な事でしかない
誰も自分の疑問に答えてくれず、理解すらしようとしない
以前、無罪になった裁判もそうだったのだから。

しかし今回は違った。
裁判員の言葉が彼の言葉を引き出し、遺族の想いが彼の心を引きずり出す。
そして、経験者が語る死者の無念を聞いた勝呂はそこで誠司の存在に気付く
死んで手が届かなくなったはずの者が語る嘘偽りのない言葉が突き刺さる。
ずっと探してきた『命』の答えが見つかった勝呂は
その時、初めて命の価値とそれを奪った自分の罪の重さを理解する。

裁判の結果は懲役15年の有罪、しかしその終わり際に
勝呂は誠司を殺した前年に、もう一人殺していた事を告白する。
人が変わったように取り調べに応じるようになった勝呂の様子
数ヶ月後にそれらの裁判が開かれる事を知り
誠司の無念は完全に消失、魂は天国へと向かうのであった。


後に勝呂の裁判が開かれ、裁判長が被告に言葉をかける
「何か言いたいことはあるか?」

一瞬の沈黙の後、被告は口を開く
「ありがとうございます…………そして―――ごめんなさい」

それは自分の為に手を尽くしてくれた人達への感謝の言葉と
そして自分の犯した罪で苦しむ人達へ向けた、心の底からの謝罪の言葉であった。

205 :ゲーム好き名無しさん:2012/08/20(月) 01:03:44.53 ID:s2BuPBnU0
以上でTHE裁判員は終わりです。
で、ちょっと聞きたいんだけど自分の書いた物って
Wikiに載った後、補足とか修正してもOKなの?


※※※※以下の補足は直接Wikiに書いてます。※※※※

最後の裁判の判決はハッキリ明言されていませんが
弁護士の反応や、裁判官が主文を後回しにした事から
勝呂には死刑判決が下ったと推測されます。
現実の裁判でも極刑は主文が後回しにされるようです。
(先に死刑と宣告されて、被告が錯乱してしまうのを防ぐ為との事)
ヤマヤマのような未練を持った霊を導く存在は本人曰く
・複数の動物の魂を一つにまとめて創る
・魂は同じ出処(死んだ原因)のモノを使用する
・自分に勝呂を裁く権利があるのなら、今すぐにアイツを地獄へ送ると憎悪を剥き出しにしている
以上の事からヤマヤマの正体は、毎年勝呂に殺されていた動物達の集合体です。
ちなみに勝呂、誠司、ヤマヤマ、それぞれ因縁を持った者が一堂に会したのは本当にただの偶然。

本作の天国はいわゆる楽園みたいなものではなく『何もない所』
何もないのでそのうち魂は何も感じなくなるとの事。
その代わり地獄は『何でもアリ』らしい。

93 :THE 裁判員 ~1つの真実、6つの答え~:2012/11/19(月) 00:37:44.83 ID:JD4sEp5w0
THE裁判員は全体の流れを紹介したものが既に投稿されていますが、
各話の内容について説明したものを書きたいと思います。
とはいえ、プレイしたのがずいぶん前なので間違っていたり曖昧だったり、
プレイが下手だったために分からなかった事などもあるので
バッサリとカットしたり曖昧にしたりしている部分もありますがご了承ください。

【オープンニング】
『メイン登場人物』
(五條 誠司)
物語の最初に理由も分からず殺害されてしまい幽霊となってしまった男。
自分を殺した犯人の裁判で容疑者が無罪となってしまったために
それが悔しくて成仏できず、裁判所で裁判を傍聴して過ごすようになった。
その後、後述のヤマヤマ4号の助けを借りて、裁判を正しい方向へ導くために
裁判員の一人に憑依して他の裁判官・裁判員を説得していく事になる。
天国行きが決定しているだけあって全体的に善良な人物。
生前は商社勤めで数多くの会社と交流があったため、
様々な業界についての広く浅い知識を持っており、それが役立つこともある。
ちなみに普段の表情が目を閉じているように見える、いわゆる『糸目キャラ』で
各話で憑依する対象も全員が糸目キャラなので分かり易い。

(ヤマヤマ4号)
あの世の閻魔大王の部下である、奇妙な存在。
動物のぬいぐるみをつぎはぎしてウサギの形にしたかのような姿をしている。
天国行きのはずなのに成仏しないせいで地上に留まっている誠司の元へ行き、
成仏できない理由が「間違った裁判に対する無念さ」だと気づき、
誠司を裁判員に憑依させる能力と、発言の真贋を見抜く能力を使い
誠司の手で裁判を正しい方向へ向かわさせることで、
裁判に対する無念さを軽減させて成仏させようと思いつく。
明るく気さくな性格で表情も普段はにこやかだが、
怒った時には怖い表情を見せる事も。
また、裁判の中で出会う人物に勝手にあだ名をつける癖がある。

(土井 宗達)
誠司が関る5つの裁判全てにおいて裁判長を務める初老の男性。
威厳があって少し怖いが、実際にはそれほど怖い人ではない。
長年の経験があるだけあって冷静に証拠や証言を吟味して常識的な判断をするが、
それゆえに証拠や証言に間違いがある場合は普通に間違った結論を出してしまい、
長年裁判官として務めた自信もあってなかなか意見を変えなくなってしまう。
とはいえ、新しい証拠が出てきたり以前の証拠が間違いであると証明されれば
ちゃんとそれを認めて正しい方向へ考えてくれる。
ゲーム上では、味方担当(すぐに主人公の望む判断をしてくれる)の場合もあれば、
中ボス担当(9人の中で2番目位に判断を変えてもらうのが難しい)の時もある。
ヤマヤマ4号につけられたあだ名は『てっぺんハゲ』。
頭の頂点のあたりだけハゲていて、その外側には髪の毛が生えているからだ。

94 :THE 裁判員 ~1つの真実、6つの答え~:2012/11/19(月) 00:38:20.90 ID:JD4sEp5w0
(仙波 鉄哉)
土井と共に、5つの裁判全てにおいて裁判官を務める壮年の男性。
土井程では無いが裁判官としてそれなりのキャリアがあり、
その経験を元に冷静に証拠や証言を調べて正しい判決を下そうと考え、
そのために証拠や証言に間違いがあればそのまま間違った方向へ考えてしまい
一度そうなるとなかなか判断が変わらないという土井と似た傾向がある。
ゲーム上での立ち位置は、味方担当~小ボス(3番目位の難敵)担当。
ヤマヤマ4号につけられたあだ名は『むっつりパーマ』。
普段からむっつりした小難しい表情をしている事が多いのと、
髪の毛にパーマがかかっているからというそのままの理由。
また霊感が強く、誠司が裁判員の一人に憑依する際に寒気を感じる。


(秋月 芽衣子)
土井と共に、5つの裁判全てにおいて裁判員を務める女性。
本来の年齢は既に20代後半だが、童顔なためにもっと若く見える。
土井や仙波と同じく冷静に証拠や証言を元に正しい判断を下そうとするが、
まだ経験が浅いためか土井や仙波よりは説得されやすい。
ゲーム中での立ち位置は味方担当~中立ぐらい。
ヤマヤマ4号につけられたあだ名は『金髪童顔ちゃん』。理由はあだ名そのまま。
余談だが、画面上での表情のパターンが他の人と比べて豊富に用意されている、
明らかに製作者にひいきされてるキャラ。


『シナリオ』
善良な普通のサラリーマン五條誠司は、人気のない通りで不意に男にナイフで刺され、
なぜ自分が死ななければならないのかと考えながら、
非人間的な冷たい表情の犯人の顔を見ながら息絶えた。
その後犯人は捕まり殺人事件という事で裁判も行われたが、
有能な弁護士の手腕によって犯人は無罪となってしまった。

その数か月後、誠司は自分が殺された事件の裁判が行われた裁判所の中にいた。
そこではとある裁判の最中で
検事が書類を見ながら容疑者が有罪だと力説しており、
誠司はその検事の隣に立って書類を覗き見ている。
普通、関係ない人間が傍聴席ではなくそんなところで見物していたら追い出されるが、
誠司は誰にも見咎められなかった。それはそうだ、誠司は幽霊なのだから。

そんな誠司に、つぎはぎのウサギのぬいぐるみのような生き物が声をかけてきた。
この生き物も誠司同様、普通の人間には見えないようだ。
こいつの名はヤマヤマ4号。あの閻魔大王の部下だと言う。
ヤマヤマ4号は、五條誠司という男が成仏しないようなので
誠司の元へ行き成仏させるようにと命令されて人間界に来たのだ。
誠司は今時珍しい天国行きの人間であり、
天国行きの人間は少ないのに地獄行きの人間がやたら多いという
天国と地獄の人口バランスが崩れている現状を少しでも改善するためにも、
誠司にはちゃんと成仏して天国へ行ってもらいたいらしい。
誠司は、成仏を拒んでいる自覚は無いからそう言われても困ると反論する。

95 :THE 裁判員 ~1つの真実、6つの答え~:2012/11/19(月) 00:39:01.55 ID:JD4sEp5w0
ヤマヤマ4号は誠司と話しているうちに、
誠司が死後ずっと裁判所で裁判を傍聴している事などから、
自分が殺された事件の真犯人が無罪放免となった事を無念に思っており、
それが成仏できない理由ではないかと推理する。
そこでヤマヤマ4号は、自分の能力で見抜いた裁判の真実を手がかりに、
裁判員の一人に憑依して他の裁判官・裁判員を説得してもらい、
正しい判決を下させる事で、無念を和らげて成仏してもらうことを思いついた。
それは本来あるべき状態から捻じ曲げるような事だと誠司は反論するが、
ヤマヤマ4号は、今まさにここで行われている裁判で
本当は無罪である被告人が有罪にされそうになっていると教え、
それを見過ごしてもいいのかと誠司を説得する。
結局、善良な人間性を上手く突かれた誠司は提案に乗ることにした。
こうして誠司とヤマヤマ4号の、
裁判員制度が採用される裁判への介入が始まったのであった。


【第一話:有罪を訴える被告人】

『登場人物』

[被告人・証言者等]

(山口 まつり)
この裁判における被告人の女性。
上司の長瀬達夫の所有する車で酒酔い運転をして人を轢き殺してしまったとして、
危険運転致死の罪に問われていて、本人もそれを認めている。
以前は暴走族に所属するレディースで、その頃は悪い事もしていた。
今では一見おとなしい性格だが、感情が高ぶるとレディースらしい口調になる。
どうやら長瀬に惚れており、自分が有罪だと言うのもそれが関係していそうだ。

(長瀬 達夫)
山口まつりの働く会社の上司。今回の裁判で証言者として証言台に立つ。
事件発生当時は山口の運転する自分の車の助手席に座っていたという。
事故の時の運転手が本当は山口まつりでないとしたら、怪しいのはこの男だ。

96 :THE 裁判員 ~1つの真実、6つの答え~:2012/11/19(月) 00:39:33.16 ID:JD4sEp5w0
[検事・弁護士]

(加勢 憲吾)
今回の裁判を担当する検事。代々検事を仕事にしている検事一家の出。
・普段から裁判での勝率が検事全体の平均より低い、
・裁判員への説明の際に一般人の理解力を考慮せず難しい説明の仕方をしてしまう、
・誠司を殺した犯人の裁判を担当した時も無罪にしてしまった、
・このゲーム中でも最終話以外は全部負ける、
といった悪い点が目立つ、正直言って検事側の無能担当といった人物。
ミスっぽいミスを犯すようなあからさまな無能ではないが
物事の流れが上手くいかずに負けてしまう事が多い。
犯罪を許さない気概が強く、有罪の見込みが他より弱い裁判を買って出るのが
裁判での負けが多い理由なようだ。
ついでに言うと大多数の人がまずいという裁判所内の食堂の食事を
美味しいと思っている残念な味覚の持ち主でもある。
昔に担当した裁判で被告人の家族に暴行を受け、
それが原因で足が不自由になり杖を使って歩いている。
(ゲーム内の描写では歩くシーンが無いのでプレイヤーが気づく機会は無く、
人物の設定を見る事で初めて分かる事)
ヤマヤマ4号につけられたあだ名は『ギョロ目』。
ギョロっとした目をしているという単純な理由。

(東 情太郎)
今回の裁判を担当する弁護士。弱者を守る事を重視している人権派弁護士。
今回の裁判も、裁判の概要を資料で読んでその内容から無罪を確信し、
無料で弁護を引き受けて担当している。
後の第三話の裁判では「無意味に個人を裁こうとする国家権力に対抗する」
という事で過激派を弁護士したりと、左翼的とも取れる行動も取る。
だが今回の裁判のように助けても何の得にもならない人をを弁護したり、
引退後は思想活動をするわけでもなく実家の農園を手伝っている事を考えると、
上っ面だけの人権屋ではなく本当に人権を大事にする人なのだろう。

[裁判員]

(越後 考一)
糸目キャラであり、今回誠司が憑依する相手。
営業の仕事をしている会社員。
気が弱いために仕事が上手くいかず転職を考えているらしい。

(町城 安里)
ゴスロリファッションを好む、音楽の学校に通う若い女性。
学費のためにメイド喫茶で働いている。
物事をはっきり言う性格なので周囲の人間に距離を置かれてはいるが、
意味もなく失礼な事を言うわけではなく、決して不快な人間ではない。
また、食事のマナーに厳しいのに
加勢検事と同様の残念な味覚を持つというアンバランスな面もある。
今回の裁判へのスタンスは、元レディースへの好意も嫌悪感も特に無く、
普通に裁判員として頑張ろうと思っている。

97 :THE 裁判員 ~1つの真実、6つの答え~:2012/11/19(月) 00:40:16.65 ID:JD4sEp5w0
(松園 正照)
既に30代なのに定職に就かず家に引きこもり
ネット掲示板で偉そうな事を書いて暮らしているという、
ネットの口だけ野郎のステレオタイプのような男性。
このゲームが紹介されるときに「おまいらが登場するぞ」と書かれる原因。
以前に新卒として入社した会社が
ノルマがきつく鉄拳制裁が当たり前の教材販売会社というブラック企業で
3か月で辞めることにしたという不幸な過去を持つ。
また、ゲーム機やチケットのネットオークションで生活費を稼ぐ
いわゆる転売ヤーであり、親に頼った生活をしているわけでは無い。
(人によっては親のスネかじり以上に嫌悪するかも知れないが)
今回の裁判では、「元レディースのDQNビッチは死刑だ!」
というネット弁慶のらしい主張をして有罪にしたがる、
ボス担当(9人の中で一番説得が難しい相手)の裁判員となる。
とはいえ本気で心の底から『DQNだから冤罪でも有罪になって良い』
と思っているわけではないので、しっかりした説得には耳を傾ける。
現役暴走族メンバーや本職の裁判官に対して面と向かって
上記のような主張を臆面も無くできる妙な勇気があるという面もある。

(小山 昇)
現役の暴走族メンバーである筋骨隆々な男性。
職業はタイル工であり、仕事は真面目にやっている。
既に20代後半だが高齢化が進む暴走族の中では最年少であり、
暴走族を若返らせるためにスカウトを頑張っているとか。
今回の裁判では、「元レディースが事故なんて起こすものか」
という暴走族メンバーにしても単純すぎる考えと、
山口まつりへの一目ぼれという二つの理由で、
ろくに詳細も分からないうちから無罪だと決めつけてそれを主張する、
困った奴ではあるが今の誠司にはありがたい味方担当の裁判員となる。

(麻井 さくら)
ごく普通の主婦のおばさん。
今回の裁判へのスタンスも、普通の主婦なりに頑張るという普通なもの。
と思いきや、終盤で意外な活躍をする。

(高野 朋子)
以前は少女漫画を描いていたが後に推理漫画がヒットして以来
推理漫画をメインに書いているという経歴を持つ女性漫画家。
特殊な職業の人だが、今回の裁判の中ではあまり特殊な行動をしない。
今回の裁判へのスタンスは、推理漫画家なだけあって中立を保ち、冷静。

98 :THE 裁判員 ~1つの真実、6つの答え~:2012/11/19(月) 00:42:10.99 ID:JD4sEp5w0
『シナリオ』
まだ裁判員に憑依するという決断ができない誠司は、
とりあえず現在ここで行われている裁判の概要を聞くことにした。
被告人の山口まつりは、酒に酔った状態で車を運転している最中に、
人を轢き殺してしまったとして危険運転致死の罪に問われているのだ。

加勢検事は、様々な書類を読み上げていた。
それらの書類には事件そのものについての事以外にも、
山口がどれだけ以前に悪事を働いていたのかも書かれていた。
加勢は、山口は以前はレディースとして凶暴な言動をして暴れまわり
他人に暴力を振った事で警察に捕まったことが何度もあると主張した。
裁判では、弁護士が被告人への刑罰を少しでも軽くしようとするように
検事は被告人への刑罰を少しでも重くしようとし、
そのための材料として、被告人の性格や過去の言動の
悪い面だけを高らかに主張するのは、検事側の常套手段なのだ。
スーツを着た立派な大の大人が他人の悪口を語るという
不慣れな人なら不快に感じかねない情景を目の前にしている誠司だが、
数か月以上も幽霊として裁判を傍聴しているだけあって平然としている。
「あれ、検事は書類を風呂敷なんかに包んでいるぞ。なんでだ?」
というヤマヤマ4号に、
「検事局は伝統的に風呂敷を使ってるんだ。それに風呂敷は鞄と違い、
中身が無い時は折りたたんで小さくして持ち運べるから便利らしいよ」
と、教えてあげる程に余裕のある誠司だった。
そして山口は、自分が酒酔い運転をして人を轢き殺した事を認めていて、
何の反論もせずただただ聞いていた。

今度は東弁護士が、被告人を守るための主張をする番だ。
被告人自らが罪を認めており、弁護士が事前に提出しておいた証拠も
無罪の主張ではなく、有罪を認めた上での刑の軽減のためのもの。
それゆえ、東が今から行う主張もそういったものである…と思われた。
「弁護側は、被告人の完全無罪を主張します」
その発言に、発言者以外の全員が驚いた。誠司とヤマヤマ4号もだ。
「東弁護士!事前の打ち合わせと言ってることが違うじゃないですか!
提出されている証拠品も、そういった目的での物ではない!
これはどういう事ですか!?」
と、色めきだちながら加勢や土井裁判長が問い詰めると、
「ええ、ですから変える事にしたんです」
と、東は平然とした顔で答える。

99 :THE 裁判員 ~1つの真実、6つの答え~:2012/11/19(月) 01:10:34.09 ID:JD4sEp5w0
「東さん、私が有罪だと言ってるんです、私がやったんです!
勝手な事をしないでください!」
と山口も東に問い詰めると、東は説得を始めた。
「山口さん、いくらあなたがそう言っても主張を変えませんよ。
私は事件の概要を書類で読んだ時に、あなたは無罪だと確信したからこそ、
あなたの所へ手弁当で駆けつけた(無料で仕事をしに来た)んだ。
事情は分からないが、罪が無いのに認めて罰を受けるなんて間違ってるよ。
だから、私は完全無罪を主張させてもらう。
…本当に心の底からそれが嫌なら、私を解任しても構わないんだよ?」
「それは…」
「それをためらうという事は、やはり心のどこかで、
そうしたくない、後悔したくない気持ちを持っているのではないかね?
だから、このまま押し通させてもらうよ?」
「はい…」

「まあそういうわけですので裁判長、弁護側は完全無罪を主張します」
「そんないきなり勝手な、弁護人の断りもなく主張を変えるとは…
もし完全無罪を主張したのに有罪になった場合、
当初の予定通り罪を認めた上で減刑を望んだ場合と比べ
罰の重さは段違いに重くなるだろう。それは被告人への重大な背信だ。
もし有罪になった場合、あなたは査問会にかけられる事になる。
弁護士資格の剥奪すらありうる。それでも良いというのかね?」
「構いませんよ。では主張を変えるに当たりまして、
証拠品の訂正をさせていただきます、
まず証拠品一覧のコレとコレは、刑の軽減目的でしたので取り下げます。
その代わりにこの証拠を新しく出します。
それとこの証拠品も無罪の主張には役に立たないので取り下げて…」
東がマイペースで証拠品をホイホイと入れ替えていくのを、
土井裁判長は半ば呆然としながら承認していくのであった。

これで今日の法廷は終了なので、土井裁判長は執務室に戻ると
東のこれまでの弁護士としての活動について調べてみた。
「どうやら東弁護士は、今までにも何度か同じ事をしていたようだ。
刑の軽減が目的だと見せかけて、後から完全無罪を主張する。
これは、カウンター効果を狙っての作戦だ!」
弁護士側が最初に、有罪を認めた上で刑の軽減をしたいと主張すれば、
検事側もそれに対抗するために
有罪を証明する事より刑を重くする事を重視した証拠集めをする。
そして、できるだけ遅いタイミングで完全無罪の主張に変えれば、
弁護士が密かに完全無罪を勝ち取るための準備をしていたのに対し
検事側は有罪を証明する準備をしておらず、
有罪か無罪かを争うのにおいて不利になるという作戦だ。
この作戦は、長年裁判に関っている土井すらも驚いていることから、
一般社会とは違う面も多々ある法曹界においても非常識なのだろう。
そんな卑怯とも取れる手段を使ってまでも東は被告人を守りたいのだ。

100 :THE 裁判員 ~1つの真実、6つの答え~:2012/11/19(月) 01:11:08.02 ID:JD4sEp5w0
さて、今日の法廷は終わったが、裁判員たちの話し合いはこれから。
裁判長を含める3人の裁判官と一般市民から選ばれた6人の裁判員、
計9人が、その時点での証拠や証言を元に有罪か無罪かを話し合うのだ。
(本来は有罪の場合は刑の重さも決めるがこのゲームにその要素は無い)
そしてヤマヤマ4号は裁判員の中の一人に憑依して、
山口を無罪にしようと誠司に持ちかけた。
ヤマヤマ4号は『嘘の煙』『真実の光』という、
人が嘘をついたり本当の事を言ったりした時に
人から発せられるものを見て、発言の真贋を確実に判断できる。
そして山口が「私が車を運転して人を殺しました」と言った時、
嘘の煙が出ていた。本当の轢き逃げ犯人別にいるのを庇っているのだ。
目の前で無実の人が罰を与えられる方向に進んでいるのは分かるが、
それでも勝手に他人に憑依するような事を躊躇する誠司。

迷っていると、裁判員の一人である越後がいきなり具合を悪くした。
裁判員として人を裁く事の重圧に耐えられないようだ。
あまりの体調の悪さを見た裁判長は、彼を裁判員から外そうとする。
「体質的に憑依できるのは彼だけなんだ、彼を帰してしまったら、
もう裁判に参加するチャンスは来ないぞ。
そうしたら山口は罪を犯していないのに裁かれちゃうんだぞ。
それでもいいのか~?」
善良な性格を見抜いたヤマヤマ4号に煽られた誠司は、
越後への憑依を決断した。背骨のあたりから乗りかかるがコツだ。
「これが憑依するって事なのか…あ、すいません!もう大丈夫です!
体調が良くなりました!ご迷惑をおかけしました!
さあ、裁判員としての話し合いを頑張りましょう!」
傍から見ても、人の具合が悪くなったかと思えば急に良くなり、
それまでやる気がなかったのが急に乗り気になったという
少し妙な状況だが、霊が憑依した事など分かるはずも無く
とりあえず体調が回復して良かったと安堵する残りの面々だった。
裁判官の仙波は「寒気がする…なにかが『いる』ぞ!」
と霊の存在を感じて震えたが、騒ぐわけにもいかず黙っていた。

101 :THE 裁判員 ~1つの真実、6つの答え~:2012/11/19(月) 01:11:39.88 ID:JD4sEp5w0
こうして裁判に参加できるようになった誠司は、
話し合いの中で8人の説得を試みてみた。
先ほどの加勢検事や東弁護士の提出した証拠の中から、
無罪を裏付けそうな要素を探し出し、8人にその事を言ってみる。
『助手席に座っていた上司の長瀬が事故で怪我した体の部分は、
事故の状況から考えて運転席に座っていたと考えた方が自然な場所だ』
『車は同乗者の長瀬の物だ、他の人に運転させて自分が助手席に乗るより
長瀬自身が運転して他の人は助手席に座らせる方が自然だ』
『車の行き先は長瀬の家だった、長瀬が運転していたのかも』
これらの疑問をぶつけてみると、
小山は「やっぱそうだよな!元レディースが事故るわけないよな!
山口さんは無罪に決まってるぜ!」
と誠司の説得に同調し、他の人を説得する手助けをしてくれた。
DQNは逝ってよしと軽々しく有罪を決めつけている松園や
今までに多数の犯罪を繰り返す凶悪犯を見てきた裁判官3人は
山口の以前の悪行のために簡単には無罪を信じられないようだが、
少しは無罪の可能性を感じ始めているようだった。
他の3人は、それなりに無罪である可能性を考えてくれた。

今日の話し合いは終了したので解散することになり、
誠司は越後の体から外に出た。
越後は憑依されていた最中の事は覚えてないようで
何があったのか思い出せず戸惑っていると、
ゴスロリファッションな女学生の町城に食事に誘われた。
誠司に憑依され、果敢に説得しているのを見て気に入ったようだ。
果敢に説得したのは誠司なのだが、
憑依してデートにまで行くのはさすがに悪いと思った誠司は、
そのまま越後と町城が食事に行くのを見送った。


次の日の裁判では、事故の目撃者や救出にあたった救急隊員、
そして事故当時の同乗者である長瀬、
そして被告人の山口本人から証言を聞くことになった。
証言者から有用な情報を引き出すためには
証言者に対する裁判員の質問タイムの前から越後に憑依しておいて
越後の体を使って質問をする必要があると考えた誠司は、
再び重圧で気分が悪くなり帰ろうとする越後に慌てて憑依した。

目撃者や救急隊員の証言の後の長瀬の証言は、
山口の事をあまり真剣に庇わず、
山口が犯人だとさっさと証明してしまおうという口ぶりだった。
今までの状況から、本当は長瀬が運転して事故を起こした張本人で
山口が自分に惚れていて罪を庇おうとしているので、
これ幸いと罪をなすりつけようとしていると気づいた誠司は、
強い口調でその可能性を指摘して情報を引き出そうとする。
証言者が真犯人だと決めつける様な発言をしたことを
仙波裁判官に怒られてしまったが、
その甲斐があって有用な情報が手に入った。

102 :THE 裁判員 ~1つの真実、6つの答え~:2012/11/19(月) 01:12:25.60 ID:JD4sEp5w0
そして質問の最後に、今まで目立たなかった主婦の麻井が言った。
「長瀬さん、この証言者としてのあなたの証言が終われば、
あなたが退廷した後にすぐに
山口さんも発言の機会もなく退廷させられてしまい
懲役刑になったらその後は、もう会う事は無いでしょう。
最後に、何か伝えたいことがあったら言っておいてはどうですか?」
長瀬は、『山口にはもう発言の機会は無い』というのを鵜呑みにして、
いつ山口に真相をバラされるのかと内心気が気ではなかった時に
そう言われて一気に安心したのだろう、
「お前のせいでとんだ迷惑だ、二度と俺に近寄るんじゃねーぞ!」
と酷い暴言を吐いた。そして長瀬は、土井裁判長の
「ではこれで証人の長瀬達夫さんへの質問を終わります。
続いて被告人・山口まつりの証言に入ります」
という宣言を聞いて顔を青くする。
「おい、まつりはもう発言できないって言ったじゃねーか!」
「あら、違ったの?ごめんなさいね」
悪びれる様子もなく麻井は平然と謝るだけであった。
天然なのか、長瀬の心理を見抜いての計算ずくなのかは分からないが
自分に恋する女性を平然と見捨てる卑劣漢に罠を仕掛けて
壮絶な自爆をさせるという恐ろしい活躍を見せたおばちゃんだった。

「うっひょひょー!こりゃあ面白い事になったぜ!
これで山口は証言の中で真実をブチまけるだろうさ!
さあ、地獄の窯が開くぞー!」
とヤマヤマ4号はとってもご機嫌だったが
その予想に反して山口は、あそこまで酷い事を言われても
長瀬を庇うのだった。もうひと頑張りする必要があるようだ。
被告人の山口への質問の際は、
まずは小山が、あなたは無罪のはずだと力説すると
それまでおとなしい口調だったのに
いきなりレディース口調になって反論する。
次に松園が、「お前みたいなDQNは死刑だ」と暴言を吐くと、
土井裁判長に「いい加減にしろ、この差別主義者が!」と怒られ、
「あなたが私を一番酷く裁いてくれそうね、私に重い罪をお願いね」
と山口に懇願される。
味方と思っていた人に雷を落とされ、憎んでいる人種に懇願され、
真逆の事が立て続けに起こり混乱する松園だった。

全ての証言を聞き終えて法廷は閉廷され、2日目の話し合いが始まる。
山口が運転をしているとしては不自然な数々の状況証拠と、
長瀬の態度の怪しさや憎らしさから、
小山以外の7人も無罪だと思う気持ちが強くなっているようだった。
誠司は、とどめとばかりに全員に無罪だと力説する。
そして話し合いは終わり、全員で採決を取る。
9人の中の過半数の5人以上が無罪に投票すれば山口は無罪となる。
もちろん誠司は憑依したまま無罪に投票するので、実際は8人中4人。
さらに、小山も当然無罪にするだろうから7人中3人でいいのだ。
そして、投票の結果は…

103 :THE 裁判員 ~1つの真実、6つの答え~:2012/11/19(月) 07:27:14.02 ID:JD4sEp5w0
次の日、法廷で被告人山口まつりに、無罪が言い渡された。
轢き逃げの真犯人が長瀬だという証明こそできなかったが、
『疑わしきは無罪』という言葉もあるように
有罪判決は被告人が犯人だという確信がある場合にだけ下される。
こうも本当に有罪なのか怪しければ無罪になるのは当然なのだ。

無罪になったものの、山口の顔は晴れない。
最愛の人に手酷く捨てられた心境はどのようなものだろうか。
しかもその後の生活も大変だった。
会社から解雇され、ネットカフェ暮らしを余儀なくされたのだ。
東弁護士は山口に、長瀬を民事で訴える事を提案する。
その提案に乗って裁判を起こして勝てば
長瀬から慰謝料をふんだくって
この境遇から脱出できるかも知れないが、
それを実行するかは山口次第である。

ちなみに越後と町城のデートの結果だが、
越後は町城に、食事のマナーが悪いとはっきり言われてフラレたらしい。
これを機に、食事マナーを改善して欲しいものだ。


(第一話はここまでです、第二話以降も近いうちに投稿します)

113 :THE 裁判員 ~1つの真実、6つの答え~:2012/11/22(木) 23:32:05.41 ID:2a0WHotE0
THE裁判員の第二話行きます。
【第二話:天文学的確率】

『登場人物』

[被告人・証言者等]
(篠原 雄大)
銃器の密輸の罪で逮捕されたベンチャー会社社長。
子供っぽい性格で、くだらない理由で他人に対して怒ったり、
堅実な仕事をつまらないからと放棄したりと性格に難がある。
金のために平気で親友を騙したりと、人間性にも問題がある。
いい加減な考えで会社を経営していたために
徐々に会社が傾いていき、一発逆転として銃器の密輸を企てた。

(呉 佐和子)
篠原の元妻。後に篠原の性格についていけなくなり離婚。
結婚当初はレースクイーンとしての美貌があったが、
結婚後にストレスのせいで激太りし、
今では語尾に「ぶふぅ」「ぼひゅう」とか付ける
デブデブしい女になってしまい、離婚後もそれは変わらない。
こんな体形の原因を作った夫に復讐するべく証言者となる。

(立石 亜弓)
篠原の婚約者である高校生。
本来は金髪で派手な服装のお嬢様なのだが、
篠原を庇う為に証言するため法廷を訪れる際は、
篠原の指示で黒髪で制服を着た地味めな格好をすることで
清楚さを醸し出している。
必死に証言中に篠原を庇おうとした結果、
壮大な失敗をしてしまう事から頭は悪いようだが、
「篠原の性格の負の面にあえて気づかないようにしていた」
という、ある意味生き方の上手な面もある、のかも知れない。

[検事・弁護士]
(野川 大輔)
今回の裁判を担当する検事。
がっしりした体形で、派手さは無いが堅実な仕事ぶりを見せる。
加勢検事と異なり、素人である裁判員でも分かるような
分かり易い説明をしてくれたり、
この話と第三話の両方で勝ったりと良い面が目立つ、検事の有能担当。

(村枝里美)
今回の裁判を担当する弁護士。
子持ちのおばさん弁護士で、呉のようなデブではないが
ふっくらとした体形をしている。
声が小さかったり自信の無い態度を取ったり、
実際に弁護の腕前も良くないという弁護士側の無能担当。
ヤマヤマ4号につけられたあだ名は『ダメ弁』理由は言うまでもない。

114 :THE 裁判員 ~1つの真実、6つの答え~:2012/11/22(木) 23:32:41.77 ID:2a0WHotE0
[裁判員]

(家永 康)
糸目キャラであり、今回誠司が憑依する相手。地味目な普通の若者。
若い頃に海外のバイトで篠原と同僚だった事がある。

(郷原 庄三)
元投資家だったが、家永と同じバイトで出会って以来の親友だった篠原に
先物取引でハメられ破産し離婚することになった事から篠原を憎悪し、
あえて今回の裁判で篠原を無罪にして、
自由にしてから自分の手で殺そうとしている。
そのために、他の裁判員たちも篠原を無罪にしたがっていると知り、
自分の目的を隠して、裁判員で一致団結して無罪にしようと持ちかける。
裁判員の中で一番無罪にしたがっているボス担当裁判員。

(池内 葉月)
会社員の女性。
以前に篠原の愛人だったことがあり、その頃は優雅な生活をしていた。
今回無罪にする事で篠原に恩を売り、再び優雅な生活を得ようとしている。

(三ツ橋 友紀)
パティシエ(菓子職人)の女性。
篠原に、男女関係ではなく純粋にパティシエとして気に入られており
独立開業の資金を用立ててくれる話がついているため、
独立開業資金を逃さないために篠原を無罪にしようと考えている。

(梶倉 浩明)
発明家であり、自分の発明品を売る会社の社長でもある初老の男性。
『絶対に風に飛ばされないハンガー』を売り出すための資金を
篠原に貸し付けてもらえる約束をしているので、
金づるを逃さないために篠原を無罪にしようとしている。
ちなみにそのハンガーは後に、風に飛ばされている様子を撮影した動画が
ネット上の動画配信サイトに投稿されてしまったらしい。

(笹部 守)
喫茶店を経営する、ダンディな雰囲気を持つ男性。
篠原が若い頃にバイトに行っていた国のコーヒー豆を気に入っており、
その国の政治体制のせいで入手が難しく
篠原の会社を通さないと手に入らないので、
自らのコーヒーのこだわりのために篠原を無罪にしようとする。
コーヒーの知識は相当なもので、
自費出版したコーヒーの本、数百部が完売する程。

『シナリオ』
前回の裁判から数か月ほど月日が流れたが、
誠司はまだ成仏しておらず今まで通りに裁判を傍聴する毎日を送っていた。
そこへヤマヤマ4号が様子を見に来て、
ついでだからと今ここで行われている裁判を一緒に見物する事にした。

115 :THE 裁判員 ~1つの真実、6つの答え~:2012/11/22(木) 23:34:56.01 ID:2a0WHotE0
今行われている裁判は、ベンチャー企業の社長の篠原が、
銃器の密売を企てていたが倉庫に保管していた銃器を偶然発見され、
銃刀法違反等に問われているというもの。
誠司は生前は商社勤めだったためにその会社や篠原の事も軽く知っており、
篠原は悪い噂の絶えない男だったというのをヤマヤマ4号に教えた。
今回の検事は加勢検事と比べて順調に裁判を進めている上に、
弁護士は声が小さく自身のなさそうなおばさん。
誠司によるとこの弁護士は以前の裁判で
普通なら執行猶予が付きそうな麻薬不法所持の外国人に
実刑判決を下させてしまう程の腕の悪い弁護士らしい。
さらには篠原が罪を否認した時に『嘘の煙』が体から出ているのを見て、
実際にこいつは銃器密売をしていた、有罪になるべき人間だと知る。
誠司とヤマヤマ4号は有罪になるのは確実だと考え、
篠原もこの絶望的状況では有罪は免れられないと諦めていたが、
裁判員6人の顔ぶれを見た途端に表情が希望に満ち溢れた。
「こりゃあいい!天文学的確率って奴じゃないか!」

ヤマヤマ4号は、裁判が間違った方向に行くのを誠司に変えてもらい
それで裁判への無念さを軽減して天国に行ってほしいと思っていたが、
元から正しい方向へ向かうのなら誠司が手を出すまでもないな、
と思いながら裁判員が話し合いをする会議室へ行くのを見守っていたが、
裁判員たち6人がその途中で寄り道をして6人で少し話し合い
それが終わった途端、心を大まかに読む能力によって
理由は分からないが6人の心境が無罪寄りになった事を知る。
つまりこのままでは、理由は分からないが6人全員が無罪に投票し、
有罪になるべき人間が無罪になってしまうのだ。
ヤマヤマ4号は誠司に、篠原を有罪にするべく、
体質の合う家永という男に憑依する事を勧める。
誠司は、一度やった事とはいえ他人に憑依して体を支配する事をためらうが、
ヤマヤマ4号に煽られて、再び憑依による裁判への介入をするのであった。

3人の裁判官たちはしっかりとした有罪の証拠があり
無罪であるという証拠は乏しいことから有罪だと確信しているが、
5人の裁判員たちは、なぜか無罪を主張する。
「会社の経営が傾いてきたから銃器密売に走ったと検事の説明があったけど、
財務諸表を見る限り大丈夫じゃないのかな?」
「倉庫で見つけたってあるけど、誰かが勝手に銃を置いて行ったんじゃない?」
と言ってくるので誠司は、
『検事さんが補足してくれた説明を元に考えればやはり経営状況は悪かった』
『銃器は倉庫の奥の方で発見され数も多く、こっそり置きに行けないだろう』
と説得する。土井裁判長も民事裁判の会社関連の裁判経験の豊富さから、
この財務諸表は会社の危機的状況を表していると援護してくれた。

なぜ6人の裁判員は無罪にしようとしているのか?
そんな謎を残したままその日の話し合いは終わった。
帰り道に、無罪を一番強く求めていた郷原に呼び止められ
「おいおい、無罪にしようって話なのに、なんで有罪だと説得してるんだよ!
ともかく明日はしっかりしろよ!」と、良く分からないことを言われた。

116 :THE 裁判員 ~1つの真実、6つの答え~:2012/11/22(木) 23:36:00.42 ID:2a0WHotE0
翌日、篠原の元妻の呉と、銃の取引に協力した暴力団員が証人として出廷した。
呉は篠原の人間性と、結婚していた頃の会社経営のいい加減さを証言した。
暴力団員は、別件で捕まって検察の尋問に素直に答えていた時に
この事件の話も一応聞かれたため、覚えがあると素直に答えたと言い、
銃器の運搬方法を事細やかに説明し、検事もそれが事実であることを説明した。
また、銃器の密輸元は篠原が若い頃にバイトで行った国だという説明もあった。
元妻と仕事仲間に不利な証言を積極的にされることからも、
篠原の人間性がろくでもない事が分かるというものだ。

それでも5人の裁判員たちは無罪を主張するが、
誠司は篠原の人間性や、明らかに銃器の密輸や運搬が事実であると説明し、
乗り移った家永以外の5人を説得する。
ここまであからさまな証拠を出された5人は少しずつ諦め始めたが、
それでもまだ無罪という主張を崩さない。

帰り道に、誠司は家永に乗り移ったままの状態で、再び郷原に呼び止められる。
「いい加減にしろよお前!俺たち6人は、各々の利益のために
あいつを無罪にしようって、おととい話し合ったじゃないか!」
そう、6人は全員篠原と何らかの繋がりがあり、
自らの目的のために有罪だと思いつつも無罪にしようとしたのだ。
もちろん、裁判の関係者と関係のある人間は普通は裁判員から外されるのだが、
一見繋がりの無いと思われる者達だったのでそのまま裁判員になれたのだ。

郷原が去って行った後、恣意的に無罪にしようとしている5人を
どう攻略しようかと憑依を解いた後で考えていたその時、
当の家永が話しかけてきた。霊感が強く誠司たちが見えるのだ。
誠司は家永に勝手な憑依を謝るが、家永は怒るどころかお礼を言ってきた。
篠原からの金銭の謝礼を得られる事を期待して篠原を無罪にしようとしたが、
誠司の有罪だという説得を知って、やはりそれはいけない事だと思い直したのだ。
家永は誠司に、『篠原は外国でバイトしていて政府とゲリラが争っていた頃に、
ゲリラと怪しい取引が出来ないかと接触を試み、
取引のネタが増える為に政府とゲリラの争いが激化する事を望んでいた』
というとっておきの情報を教えてくれた。
明日の篠原への質問の際に突きつければ何らかの反応が期待できそうだ。

次の日は篠原の婚約者、立石が弁護士側の証人となる。
傍聴人として来ていた呉と、
「あなたも私と同じように不幸になるのかしら?ぶふぅ…」
「黙れトド女!私は彼とハッピーエンドになるんだもん!」
と口げんかをして土井裁判長にたしなめられた後、証言を開始する。
会社の事を全く知らない素人ながら、
「篠原の会社は大丈夫だ、だから悪い事なんてしない」と必死に証言するが
必死になりすぎ興奮しすぎたせいか、とんでもない誤爆をかましてしまった。
「彼の会社は大丈夫!暴力団が抗争で使う道具で大儲けするって言ったもん!」
「こ、このバカ女ー!」

117 :THE 裁判員 ~1つの真実、6つの答え~:2012/11/22(木) 23:37:33.59 ID:2a0WHotE0
そして被告人の篠原の証言の後、篠原への質問の時間が来た。
誠司は、他の裁判員5人は当たり障りのない質問をするだろうと考え、
あえて油断させた後で鋭い一撃を加えるため、最後に質問する事にする。
他の5人の「無罪だと思います」「うん、ありがとねー」といったヌルい質問で
油断しきった篠原に、昨日家永に教えてもらった事を突きつけた。
「お前はあの国でバイトしていた時、ゲリラと接触を図っていただろう!?
その時からお前は、ゲリラからの銃器の密輸を計画してたんじゃないのか!?
それにその時お前は、武器の総量が増えるからと政府とゲリラの争いが激化し
戦いがさらに悲惨なものになるのを望んでいたんじゃないのか!?」
それを聞いた篠原は、顔を青くして言葉に詰まり、うめく。
この発言の証拠は無いが、
篠原の青ざめた表情はそれが真実だと言っているようなものであり、
裁判員の5人にも強烈な印象となって残ったであろう。

最後に野川検事が、会社の経営面から有罪を立証する証拠として、
会社を立て直すための事業計画についてのさらなる指摘をした。
「銃器密売以外の会社に利益を出すための事業がほとんど無いようですが」
「だから、あるって!有望なパティシエへの独立開業資金の貸付とか、
アイデア商品を続々と発明する会社への投資とか!」
「しかしそれらの計画は、まだ大まかな計画だけであって
詳しい計画内容や資金調達方法についてはまだ何も決まっていません。
やはりこれは見せかけだけのもので、
本当は会社を持ち直す手段は銃器密売以外には無いのでは?」
と野川検事が冷静に指摘すると、それを聞いていた
当のパティシエやアイデア商品会社社長である三ツ橋や梶倉は、
彼を無罪にしても資金を貸し付けてもらえるのか疑問に思い、
無罪にする意欲を失いかけているようだった。
再び愛人になって優雅な生活をしようと思っていた池内も同様だ。

閉廷後の最後の話し合いの場で、さらにもう一つの援護射撃が来た。
銃器密売はどのくらいの刑になるかという質問に対し秋月裁判官が、
ただの銃刀法違反ならともかく密売目的の所持は重罪で
場合によっては無期懲役とありうると説明してくれたのだ。
それを聞いた郷原は
「そうか、あいつを一生塀の中に閉じ込める事ができるのか!
ならば俺が手を下さなくとも…」
と、無罪にして自らの手で復讐するより
有罪にして厳罰を与えた方が良いと考え始めた。

118 :THE 裁判員 ~1つの真実、6つの答え~:2012/11/22(木) 23:38:53.09 ID:2a0WHotE0
それでも5人の裁判員達は未練がましく、
『暴力団の抗争に使う道具で会社を立て直すと言っていた』という証言に対し
「それって車の事だよ、カーチェイスで使うんだ」
「暴力団が直接対決で使う道具、それはスタンガンだ!」
とか言ってたが、
「車なんて他にも調達方法があるだろ、なんで篠原の会社にわざわざ頼むんだ!」
「任侠映画で有名俳優がスタンガンを持つのを想像してみろ、カッコ悪いだろ!」
と的確にツッコミを入れていくと、さすがにそう考えるのは諦めたようだ。
さらには、篠原が政府とゲリラの派手な殺し合いを望むほどの非道な人間な事と、
彼を無罪にしても利益を得られない可能性が高い事が、
無罪を主張する意欲を失わせていった。

そして最終的な有罪か無罪かの投票が行われる。
誠司が憑依する家永は当然有罪、裁判官3人も普通に有罪にする。
後は5人のうち1人以上でも有罪にすれば、篠原は有罪となる。
破産と離婚をさせられた郷原は無罪にするのを諦めきれないかもしれないが、
他の4人は篠原のあまりに酷い人間性や、無罪にする理由が希薄になった事で
有罪にする可能性は十分にある。それに期待しよう。そして投票の結果は…

次の日、篠原に判決が言い渡された。
「被告人篠原雄大を、10年の懲役に処す!」
それを聞いた篠原は仰天する。
「そんなまさか!あの6人の中に2人以上もバカがいたってのか!?
10年だと…もう立ち直れないじゃないか…
いやまて!裁判は三審制なんだ!まだ次がある!
今度はこんなショボイ弁護士じゃなく、豪勢な弁護士軍団を雇うぞ!」
そう考え持ち直す篠原だったが、そうはいかなかった。
第二審への控訴は却下され、実刑10年が確定したのだ。
(これは別の裁判員ゲーム『有罪×無罪』の裁判長の話だが、
第二審への控訴は判決の内容に不服があれば無条件に出来るのではなく、
控訴した側が新しい証拠等を出す必要がある。
それに、裁判員制度の対象となった第一審の判決は、
一般市民である裁判員が下した判決を簡単に無為にしないために、
控訴されにくい性質があるらしい)

篠原は、懲役になってしまったのは仕方ないから
今度は獄中で自伝を書いて一儲けしようと考えてるらしい。
とりあえず出版者に連絡をしてみたそうだ。
取り合ってくれる出版社があるのかどうかは分からないが。

立石は、後に別の青年実業家と結婚した。その人が真っ当な人であり、
彼女も人を見る目を磨いていることを祈るばかりだ。

こうして、偶然選ばれた裁判員の6人全員が
被告人全員と関係があり利益のために無罪を望む人だという
天文学的な確率の偶然によって判決を捻じ曲げられそうだった裁判は、
正しい判決が下ることを望む幽霊が裁判に参加したという
確率を超越した奇跡によって正しい判決が下されたのだった。

119 :THE 裁判員 ~1つの真実、6つの答え~:2012/11/22(木) 23:39:26.20 ID:2a0WHotE0
第二話は以上です、第三話はまた後日。

120 :THE 裁判員 ~1つの真実、6つの答え~:2012/11/23(金) 23:40:07.19 ID:AmyWMZx90
【第三話:絶対固定量刑】

『登場人物』
[被告人・証言者等]

(久宝寺 千鶴子)
日本を変えようとしている女革命家。
既存の革命団体には所属していない一匹狼。
革命思想を持ちながらも最初はその高い能力で国家公務員になり
内部から日本を変えていこうとしたが
それが不可能と理解し、退職して革命家となり
某軍事国家へ行き語学力と智謀でクーデター軍のために働き、
さらにはクーデター軍の高官と結婚して地位を高めた。
(革命のためだけの結婚ではなく愛もちゃんとあったらしい)
その後、軍事国家内で起こしたクーデター軍の内乱と呼応して
日本へ連れてきたクーデター軍の兵士を率いて
日本国内でクーデターを起こそうとしたが、
行動開始の直後に、軍事国家での内乱が鎮圧されたという報告が入り、
弾丸の一発も撃たず即座に行動を中止し
ほぼ全員が服毒自殺し久宝寺とアハメドだけが自殺前に捕えらえたため
被害は一切出なかったのだが、
それでもクーデターを行った事には変わりないと、
外患誘致罪で起訴される。
グラマラスな体に、ぴっちりと肌に密着したノースリーブの服と、
かなり魅力的な外見をしているが、
険しい表情と荒々しい雷のような髪の質感のために
恐ろしさを感じさせる風貌をしている。
(中には「だが、それがいい」という人もいるだろう)

(遠沢 乙女)
過激派革命団体の一員で、爆発物でのテロにより
子供を含めた数人を殺傷した罪で、既に死刑判決が確定している死刑囚。
久宝寺を尊敬しており弁護するために弁護側の証人となるが、
久宝寺の能力の高さや美貌に嫉妬している面もある。
・意図的にブスに描かれている
・久宝寺の美貌や能力に嫉妬する
・久宝寺が後に脳腫瘍で死亡する
・既に死刑囚である
といった特徴からモデルは山岳ベース事件で有名な永田洋子と思われる。
(永田洋子は『総括』という名のリンチによって同志を何人も殺害し、
その被害者の一人は永田に美貌に嫉妬された女性だと言われている。
その後死刑が確定し死刑囚となり、近年脳腫瘍が原因で病死した)

(アハメド=ラーゼム)
日本でのクーデター参加者で久宝寺以外に生き残ったもう一人の兵士。
まだ若い少年で、久宝寺に淡い恋心を抱いてもいたが
クーデター軍の上司と部下という関係なのでそれを隠し、忠誠を誓っている。

121 :THE 裁判員 ~1つの真実、6つの答え~:2012/11/23(金) 23:41:23.72 ID:AmyWMZx90
[検事・弁護士]

(野川 大輔)
第二話でも登場した、今回の裁判を担当する検事。
今回もそつのない仕事ぶりで被告人の有罪を実証しようとする。

(東 情太郎)
第一話でも登場した、今回の裁判を担当する弁護士。
何の被害も出していない人間が死刑となる事も許せないが、
その判断を一般市民たる裁判員に下させることも許せないと、
久宝寺を弁護する事を決意した人権派弁護士。


[裁判員]

(小林 房江)
糸目キャラであり、今回誠司が憑依する女性。
人気歌手で、歌手としての名前はFukko。
一見さっぱりとした明るい女性だが、持ち歌は暗く陰鬱な内容で、
自身も自殺未遂を何度か起こしていたりと、
心の中には暗い部分を持っているようだ。

(春里 望)
誠司と生前つきあっており近いうちに結婚する予定だった女性。
今でも誠司の事を想っているようだ。
今回の裁判へのスタンスは、
恋人の死を体験したからと特別な考えを持っているわけではない、
一般的な女性として普通のもの。
だがそれは、人を死刑にするのは気が引けるという事から、
若干ではあるが有罪に傾きにくい事を意味する。
ちなみに誠司と出会ったきっかけは学生時代の自作映画の撮影。
その時作った映画は最近になって動画投稿サイトに誰かが投稿し、
かなりの人気が出ているのだが誠司はそれを知らない。

(仲本 淑子)
死刑反対を訴える市民団体『なくしたもののひかり』の代表。
両親を殺害し死刑になった人間が何の反省も見せないまま刑死したのが
死刑反対団体を立ち上げた理由であり、
人権をダシにして権利を要求するような輩とは違う、真の市民活動家。
今回の裁判では有罪=死刑なので、
何としてでも無罪にしようとするという、文句なしのボス担当。
ただ、外患誘致罪ではなく別の罪状で久宝寺を裁くべきと言っており、
久宝寺を野放しにして良いと言っているわけではない。
また、普段の死刑反対の論議へのスタンスは
相手の話も聞いて論理的に反論するという理性的なものなので、
有罪にするべきだという説得もちゃんと聞くため攻略できる可能性はある。

122 :THE 裁判員 ~1つの真実、6つの答え~:2012/11/23(金) 23:41:54.79 ID:AmyWMZx90
(別当 鈴也)
無気力で浮世離れした、はかない雰囲気を持つホスト。
裁判員としての意欲も無く当初は裁判などどうでも良かった。
法廷で久宝寺を一目見た瞬間に一目惚れし、彼女を無罪にしようとするが
「俺を恋愛地獄に落とそうとするこの危険な女がこの世にいてもいいのか?」
という考えから久宝寺の死を望んだりもする相反した考えも持ち、
結果的には中ボス担当の立ち位置となる。
また、彼女への恋愛感情が有罪か無罪かを判断する材料となっているので
説得に対する反応も常人のものではなく、まともな論議をしにくい。

(楓 兵衛門)
第二次世界大戦時に日本兵としてお国のために戦った老人。
昔に日本を守る戦いに参加した事もあってか、
久宝寺がクーデターを起こそうとしたのが本当なら厳格に裁こうとする上に、
元軍人な事もあって久宝寺のクーデターの準備の証拠を見て中身を理解でき、
彼女の国家転覆を図る明確な意図を見て取れると考え有罪判決を下そうと考える、
味方担当の裁判員。

(藤波 志加三)
中学校で教師をしている若い男性。中学生にはシカゾーと呼ばれている。
今時の中学生は問題もそれなりに起こし、苦労しているそうだ。
今回の裁判へのスタンスは普通の一般男性そのもので、
学校の教師だからといって特別な感情や思想を持っているという事は無い。
余談だが、爽やかさと力強さを併せ持つ美形であり、彼と誠司を横に並べて
「片方は、とあるゲームの主人公です。どちらでしょう?」
と聞いてみたら十中八九、こっちの方が選ばれそうだ。


『シナリオ』

第二話の裁判から数か月後、今日も裁判を傍聴しようと誠司が裁判所へ来ると
裁判所の周辺に多くの団体や多数の人間が集まり騒然としていた。
「屑が死刑になり日本の癌が一人消える事を喜びましょう!」と叫ぶ右翼団体、
「久宝寺は無罪だ!政府が偉大な思想家を殺すのを許すな!」と叫ぶ左翼団体、
「死刑反対!死刑は国による殺人です!」と叫ぶ死刑反対団体、
「おお、こりゃあすげえな!千人いるんじゃねえか?」と騒ぐ野次馬達、
そんな人たちがひしめき合っていた。
そんな彼らが久宝寺の名を口にしたのを聞いた誠司は
「ああ、久宝寺のあの事件か!」
と、生前に久宝寺の逮捕が報道されたのを思い出しながら知った。
久宝寺は日本を革命するためにクーデターを起こしたがすぐに逮捕されたと、
日本のニュースを知らないヤマヤマ4号に説明した。

法廷に入った誠司は、裁判員の中に恋人の春里を見つけて驚く。
今回の裁判で裁判員に憑依すれば春里と話せるのかもと考える誠司だった。

123 :THE 裁判員 ~1つの真実、6つの答え~:2012/11/23(金) 23:43:37.04 ID:AmyWMZx90
野川検事は、分かりやすく久宝寺の罪状や過去の経歴を説明するついでに、
事件の前に彼女が放送したクーデターの意思表明のビデオ映像を元に
音声や映像を加工されたパロディ動画が作成されてネット上で公開され、
そのいくつかは再生数数十万単位となる程の人気を博していると説明した。
この世界の某動画サイトでは、「久宝寺は大変な革命をしていきました」
「久宝寺のパーフェクト革命教室」「レッツゴー!久宝寺」
とかいう題名の動画が人気を博しているのだろう、多分。

対して東弁護士は、
「クーデターに参加した者達は結果的には何の危害も加えておらず、
それにも関らず被告人が死刑にされる事に納得できない。
それだけではない、政府はこの裁判に裁判員制度を採用することで
一般市民に外患誘致罪の被告を有罪にさせようとしている、
つまり、一般市民に政府の敵と見なした者を排除する片棒を担がせることで
市民全体の思想を政府の望む方向へ動かそうという思惑が見て取れる!
さらには、有罪にする事で死刑という判決を決断させられる裁判員は
間接的に人を死に追いやるという苦しみを背負わされることになる!
私は、そのような事を企てる政府に対抗するべく、完全無罪を主張する!」
と、強大な権力への抵抗のための弁護を表明する。

そんな東弁護士に久宝寺は、
「私は革命のために生き、そのためには死ぬ覚悟もある。
知ることを全て話し、結果が外患誘致罪による死刑判決ならば従おう。
確かに私は、即中止したとはいえクーデターを実行したのだから。
革命に命をささげた結果がこれなのならば悔いは無い。
今回の弁護、感謝する。よろしく頼む」と言った。
無罪を積極的に望むわけではなく、かといって有罪を望むわけでもなく、
裁判では正直に証言し、その結果に身を委ねるつもりのようだ。
そして、被告人を守ろうという職業意識を持ち、
思想の違いはあれど権力が間違っている事をしようとしていると思ったら
それに果敢に抵抗するという気概を持つ東弁護士に敬意を持ち
感謝しているようだった。

そんな久宝寺を見た裁判員の一人、別当がいきなり呻き始めた。
「なんだ、この心の中で燃える炎は!?
あ、あの女、俺を灼熱の恋愛地獄に落とそうとしているのか!?」
一目惚れであった。

そしてヤマヤマ4号は久宝寺が自分がクーデターを起こしたと言った際に、
体から『真実の光』が発生するのを見た。
彼女がクーデターを起こしたのは真実のようだ。誠司は、
「本当にクーデターを起こしたのならば、外患誘致罪で裁かれる事こそが、
正しい判決なのだろう。裁判に参加して、有罪の方に導こう」
と考える。だがこの時誠司はまだ、
『外患誘致罪で有罪にする』というのが何を意味するのか知らなかった。

124 :THE 裁判員 ~1つの真実、6つの答え~:2012/11/23(金) 23:44:55.92 ID:AmyWMZx90
いつも通りに閉廷後、裁判官と裁判員が会議室で議論する事になった。
ヤマヤマ4号に、小林という女性が憑依に適していると聞いた誠司は、
「すいません、ちょっとよろしいでしょうか?」
と小林に声をかけた。第二話で憑依した相手の家永に助けられ感謝された後、
やはり勝手に憑依して勝手に言動するのはいけない事だと考え、
ちゃんと話して許可を得てから憑依する事にしたのだ。
幸い、憑依できる人間には誠司とヤマヤマ4号が見えて話もできる。
体に憑依させてもらい裁判を正しい方向へ持っていきたいと頼むと、
「幽霊に憑依されるなんて面白そうね、いいよー」
と気軽に許可してくれたので、遠慮せずに憑依した。
ちなみに男が女の体に憑依するというシチュエーションなのだが、
誠司はスケベな行動をするどころか、それを匂わす発言すらしない。さすが天国行きの善人だ。

憑依が完了した後で周囲を見渡すと、仲本という女性の裁判員が
「こんな、死刑か無罪かしか無い裁判なんて不当です!
私は、この裁判が続行する事に断固反対します!」
といきり立って裁判官たちに食って掛かり、なだめられていた。
死刑か無罪のどちらかだという話に疑問を持った誠司は、
「外患誘致罪というので有罪になっても、死刑とは限りませんよね?
死刑か無罪しか無いというのは大げさではありませんか?」と聞いてみると、
「あなたは昨日の話を聞いていなかったのですか!?」
と怒られる。誠司は昨日の話なんて知らないし
知っているはずの小林は現在体を誠司に貸していて意識が無いので、
良く分からないからもう一度説明してほしいと頼んでみた。すると秋月裁判官が説明を始める。
「外患致死罪というのは国家に対する反逆なので殺人等より重く、
有罪になると必ず死刑になるんです。
普通、犯した罪に対してどのくらいの刑罰が与えられるかは
当然一つ一つの犯行の状況や事情で変わりますが、
その変わる幅は、罪の種類毎に元から決められた一定の範囲内でのことです。
例えば殺人罪は死刑か、無期懲役か、5年以上の懲役、
これら3つの範囲内で刑が決まります。
そして外患誘致罪は、その範囲が『死刑』しか無いのです。
つまり外患誘致罪で有罪になった被告は必ず『死刑』になるのです」

そう、今回の裁判では有罪判決にすること自体が死刑判決を意味する。
だから裁判所の周囲の団体や東弁護士は死刑の事を何度も言っていたのだ。
誠司は悩んだが、久宝寺もそれを知った上で有罪でも良いと言っており、
彼女が正しく裁かれるのを望んでいるというのなら、
望むとおりに有罪にする事が正しい事と考えた。
少しの間だけ憑依を解いた誠司は小林に、
「有罪ならば死刑になると知った上で有罪にしようとするのを
あなたの体を使って行いますがいいのですか?」
ともう一度聞いてみる。自分の体を使って死刑にさせたというショック以外に、
死刑反対団体からの個人攻撃の目標にされる事等も心配したのだろう。
「死刑でもいいよ、好きなようにやっちゃって」
と快く承諾してくれたので、久宝寺を有罪にする決意をする誠司だった。
そんな判断ができるのも、自ら幽霊となった事で
死とは永遠に消滅する程の恐ろしいものではないと知ったからかも知れない。

125 :THE 裁判員 ~1つの真実、6つの答え~:2012/11/23(金) 23:47:01.28 ID:AmyWMZx90
討論が始まったので、まずは春里に説得ついでに話しかけてみた。
自分が誠司だというわけにはいかず近況などを自然に聞いてみた所、
まだ誠司の事を忘れられないようで、その様子を見て心を痛める誠司だった。
その後、他の人とも話してみると、
裁判官の3人は罪を正確に裁き国を守るという職業意識と
普段から有罪と思った被告人に刑罰を下していることから、
久宝寺を有罪にすることに積極的だった。
仲本と別所以外の3人も、久宝寺がクーデターのために準備した
計画書や銃器や爆弾という証拠も踏まえて、有罪でも良いと思っていた。
別所にも話しかけてみたが
「あの女は俺を恋愛地獄に落としたんだ、俺はどうすればいい?」
等とわけのわからない事を言っていたが、とりあえず有罪だと説得すると、
「あの女は俺を恋愛地獄に落とした地獄の女、この世にいるのは危険すぎる」
と意味不明な事を言いながら有罪にする事も考えてくれた。

その日の議論が終わって裁判員が裁判所から出た後、
仙波裁判官は土井裁判長に、この裁判の疑問をぶつけていた。
「なぜ政府はこのような裁判に裁判員制度を使うんですか!?
東弁護士の言うとおり、政府は明らかに何らかの意図を持っています!
それでもいいのですか!?」
「だからどうだというのかね?
政府が何らかの意図を持ってこのような裁判を仕組んだとして、
事情に関らず公平に罪を裁くべき裁判官はどうするべきだというのかね?」
「そ、それは…さ、裁判官は、事情に関らず公平に罪を裁くべく、
そのような背景に気を取られずに裁判を進めるべきだと、思います…」
「それでいいのだ、仙波裁判官。それにな、私も抗議はした。
一般市民にそんな事をさせてもいいのかと、抗議はしたのだよ…」
「土井裁判長…」
土井が同じ疑問を持った上で職務に忠実であろうとしてるのを知り、
仙波も覚悟を決めて裁判に取り組もうと決意するのであった。

次の日の法廷では、遠沢乙女という死刑囚の女性革命家の証言を聞く。
誠司は、裁判官や裁判員の顔をじろじろ見ている遠沢を不気味に思いつつも
彼女の話に耳を傾ける。
彼女は組織は違うものの同じ革命家として彼女の事を良く言おうとするが、
発言が全て革命を肯定し政府や一般市民への攻撃を称賛するようなもので、
久宝寺や革命主義そのものの危険性を感じさせるような逆効果の物となった。
革命を称賛する時に感動のあまり涙を流す遠沢の様子を見て
「きんもーww」と、気持ち悪がりながら笑うヤマヤマ4号だった。
その日の話し合いでは仲本以外の全員が久宝寺の危険性を感じとり
有罪だと強く思うようになったようで、このままいけば有罪にできそうだ。
だがその頃、遠沢は密かに革命団体の連絡員と情報交換し、
とある計画の準備を指示していた。

126 :THE 裁判員 ~1つの真実、6つの答え~:2012/11/23(金) 23:47:37.28 ID:AmyWMZx90
その翌日、法廷では久宝寺以外で唯一自殺しそこねた兵士、
アハメドから話を聞くことになった。
彼も久宝寺の意思を尊重するべく、全てを正直に話すので
彼からクーデター計画の話を細かく聞く誠司だった。

そして少しの休憩を入れてから昨日証言した遠沢から再び話を聞くことになるが、
その休憩の最中に、いきなり裁判官3人が慌てだして別室へ入った。
それと同時に憑依している小林の携帯にメールが届いたので、
メールを覗き見るのは悪いという事で一旦小林の体から出て、
目に見えない幽霊に戻って裁判官たちの様子を見に行く事にした。
「私の孫を誘拐しただと!?あいつらめ!」
「妻を誘拐したと、写真をメールで送ってきました!いったいどうすれば!?」
「私のお母さんが!土井裁判長、仙波裁判官、私はどうしたら…」
どうやら、裁判官3人は何者かに家族を人質に取られているようだ。
そして小林の所に戻ると、メールの内容を見せてくれた。
「お前のマネージャーを預かった、助けてほしければ無罪を主張しろ」
という、監禁されたマネージャーの証拠写真付きの脅迫メールだった。
「なるほど、裁判官さん達3人は法曹だから個人情報もちゃんと管理されていて、
革命派は盗み見れば簡単に住所を知ることができる。有名人の私も同様。
その4人に、死刑反対の仲本さんを加えれば無罪にするのは過半数の5人か。
でも、私のマネージャーはどうなってもいいよ、有罪にしちゃって!」
と、あっさり言ってくれる小林だが、やはりそういうわけにはいかない。

ずっと休憩のままにはできないので、とりあえず法廷を再開する。
証言台に向かう遠沢は無罪を確信しニヤニヤと笑っていた。
あの女の思うままにさせてなるものかと考えた誠司は一つの案を思いつく。
「そうだ、あいつが尊敬する久宝寺に脅迫をやめさせるんだ!
久宝寺は公平に裁判が行われるのを望み、これを知ったら止めさせるはず。
そして俺は幽霊だ、あいつに知られずにその事を伝えられる!」
幸い久宝寺は誠司の声を聞きとれる程の霊感があったようで話を聞いてくれた。
「あの女は脅迫によって無罪にしようとしている、やめさせてくれ!」
「死刑になりそうな裁判で幽霊に話しかけられる事になるとはな。
だが私が、無罪になれるチャンスを自らの手で無為にすると思うか?」
「するとも!なぜなら、あんたは久宝寺千鶴子だからだ!」
「なるほど、分かった。止めるタイミングは私に任せてもらうぞ」
遠沢は証言台に立つと、狂喜の笑みを浮かべて叫ぶ。
「お前らに話す事など何もない、ただ私は勝利の宣言をするだけだ!」
だがその直後に、久宝寺は遠沢に吼えた。
「そのくだらない計画を止めろ、この恥知らずが!」
吼えられてひるんだ遠沢は、涙を流しながら計画の中止を宣言する。
その様子を見た裁判員や傍聴人達ほぼ全員は、
何があったのか分からなずいきなりの怒号に驚くばかりだったが、
別当だけは「狼が犬に『俺はお前と違う』と言ったのさ」と、
彼なりに感じ取った事を言うのであった。

127 :THE 裁判員 ~1つの真実、6つの答え~:2012/11/23(金) 23:52:44.39 ID:AmyWMZx90
裁判官3人は急遽休憩時間を設け、再び別室に入る。
「分かるか、おじいちゃんだよ?怖かったかい?もう大丈夫だよ」
「俺だ!大丈夫か!?そうか、無事だったか…」
「良かった、本当に良かった、お母さん!」
3人は携帯で人質に取られた家族と会話し、無事を確かめたようだ。
小林のマネージャーも解放されたようで、泣きながら電話をしてきた。
「それにしても、パンツ一丁で縛られたマネージャーの写真おもしろーい!
しばらく待ち受けにして、からかってやろっと」
と、マイペースで言う小林だった。

その後、予定通りに遠沢への二度目の質問が行われた。
久宝寺に人質計画を拒否されたせいか、久宝寺の危険性を訴えるような
久宝寺の有罪の疑いを強くする証言をした遠沢に対し、裁判員だけでなく、
人質を取られた怒りを持つ裁判官も強烈に責めたてるのであった。
そして最後に久宝寺が証言台に立ち、
正直に自分の知るクーデターの背景や準備の様子を話す。
久宝寺の証言が終わった後、別当は久宝寺に声をかけた。
「俺はお前のせいで恋愛地獄に落ちた!俺はどうすればいいんだ!?」
というわけのわからない質問をする別当に対し、
「お前は自由だ。お前の望むままに動け」
というわけのわからない返答をする久宝寺。
「そうか、そうだったのか…」
よくわからないが、久宝寺への一目惚れに心の中で決着をつけたようだ。

その日の法廷の終了後、最後の話し合いが行われた。
誠司は久宝寺やアハメドの語ったクーデター計画の詳細や
遠沢が語った久宝寺の危険性を元に有罪だと説得した。
裁判官3人はもちろん裁判員6人も、
それぞれに差はあれど有罪の方へ考えが傾いているようだった。
話し合いが終わった後、有罪か無罪かの投票が行われる。
9人中5人が有罪に投票すれば有罪となるが、
裁判官3人と誠司は有罪に投票するので、
残りの5人のうち1人が有罪に投票すればいい。
多分大丈夫だと思うが…

129 :THE 裁判員 ~1つの真実、6つの答え~:2012/11/23(金) 23:54:16.39 ID:AmyWMZx90
翌日、法廷で久宝寺に刑が言い渡される事になった。
その時、土井裁判長は
「まず判決を言い渡す前に、この判決に至った理由を伝える」
と言い判決の理由を読み上げ始めた。それを聞いた東弁護士は
「助けられなかったか…すまない、久宝寺君…」
と悔しそうに肩を落とす。
誠司はこういった状況は初めてなようで、
「あれ、なんで東弁護士は判決を言ってないのに有罪だと分かるんだ?」
と首をかしげるので、ヤマヤマ4号が説明をした。
「誠司がいつも見ている裁判では判決を言い渡す時、
最初に懲役何年とか無罪とか言ってから、その理由を言うだろ?
だが一つだけ例外がある。それが死刑判決の時だ。
被告人が死刑を言い渡される時のショックを少しでも和らげるため、
先に判決の理由を言ってから最後に死刑だと言うのさ」
そう説明している間に判決理由を言い終わったようで、最後に
「よって、被告人を死刑に処す」
と言った。久宝寺はそれを聞いても表情を変えず、
裁判を的確に進めてくれた裁判長に礼を言うのであった。

その後、久宝寺は控訴せずそのまま死刑判決が確定した。
だが、死刑が執行されることは無かった。
一年後、久宝寺は知らない間に進行していた脳腫瘍によって病死したのだ。
それが報道された時、「死刑判決から逃げた」と言う人もいたという。

遠沢乙女は、今回の人質事件の影響があったのかは分からないが、
裁判の数か月後に死刑執行された。

アハメドは、日本政府の手によって
クーデター軍と敵対する国の政府に引き渡され、後に銃殺刑になったという。

東弁護士は、今回の事でショックを受けたのか弁護士を引退した。
その後、弁護士事務所を若手弁護士にまかせて実家の青森へ帰り、
親の経営するりんご園の手伝いをしている。

(第三話は以上です、第四話はまた今度)

132 :THE 裁判員 ~1つの真実、6つの答え~:2012/11/24(土) 21:56:49.70 ID:UfN6+MED0
第四話を始める前にお詫びを。実はこのソフトは既に手元に無いので
人物名はウィキペディアや攻略サイトを元に書いていたのですが、
四話以降はそれらを見ても名前の分からない人物が何人かいるので
今後の内容で名前の分からない人物は、(仮)と付けた上で
人物の立場や、あだ名のようなもので表記させてもらいます。

【第四話:7人目の裁判員】
『登場人物』
[被告人・証言者等]

(仮)(被告人)
今回の裁判で、偽札作りの疑いで訴えられた老人。
職場の同僚に暴行を加えたり好きだったホステスを殺したりと
何度も犯罪を繰り返してきた前科四犯の凶悪な男だが、
今では老いでボケてきており、凶悪さは鳴りを潜めている。
前科四犯という過去から有罪を疑われているが今回は全くの無実。

(仮)(少女A)
被告人の老人と仲の良い未成年の少女。
法廷でも、未成年という事で氏名は公表されず『A』と呼ばれる。
被告人が一人で暮らしていてかわいそうに思って仲良くなり、
その後遊びに行って一緒にゲームとかで遊んだりするらしい。
偽札を拾った後、出来心で使おうとしてしまいバレて補導された、
という事になってるが、実は高校の先輩と一緒に偽札を作り
その罪を被告人になすりつけた真犯人。
父親が警察の人間で、父親の友達の警察官に
被告人に罪をなすりつける手伝いをしてもらった。
人物ファイルによると、「このゲームの登場人物の中で
一番悪質な人間なので、逆に可愛く描写した」との事。

(仮)(コワモテ警察官)
被告人の老人を尋問し、証拠集め等にも関った警察官。
上記の通り、友達の娘である少女Aの犯行を隠すために
被告人が有罪にしようとしており、
そのために証拠の捏造や自白の強要をした。

[検事・弁護士]
(加勢 憲吾)
第一話でも登場した検事。
今回も、犯人に思えるが実は無実な被告人を訴える裁判を担当し、
誠司によって無罪にされてしまう。

(村枝里美)
第二話でも登場した弁護士。
第二話の後で話し方や態度を堂々としたものにするために
アナウンサー学校等で勉強したようで色々とパワーアップしており、
ヤマヤマ4号に「荒ぶるゴムまり」という、
力強いがやはり失礼なあだ名をつけられる。

133 :THE 裁判員 ~1つの真実、6つの答え~:2012/11/24(土) 21:57:24.30 ID:UfN6+MED0
[裁判員]

(仮)(圓楽師匠)
糸目キャラであり、今回誠司が憑依する相手。
服装こそ和服でなくジャンパーを着ているが、
落語家という職業と言い、縦長な顔といい、
どう見ても圓楽師匠です、本当にありがとうございました。
誠司曰く、年老いてますます盛んな健康体で
今まで憑依した中で一番居心地が良い体らしい。

(服部 紗仁阿)
インド人クォーターの女子高生。
カラオケ好きだが、ハイテンション過ぎて友達が引くので
一人でカラオケに行く事が多いという、
綺麗な容貌の割にはちょっと残念な所がある子。
イメージイラストではかなりセクシーなステージ衣装をしているが
これはあくまでイメージであり彼女はアイドルとかではないので、
ゲーム中はおろか普段の生活でもこういった格好は
一切しないと思われる。残念。
ヤマヤマ4号につけらえたあだ名は『中辛ちゃん』。
インド人クォーターだからカレーに関するあだ名をつけたのだろう。

(里見 秀之)
三十代前半の司法浪人の男性。
30歳を過ぎてもまだ司法試験に合格できないが、
それでも夢を諦めずに日夜勉学に勤しむ真面目な男性で、
服装や顔からのその様子が見て取れる。
司法試験に何度も落ちているからかどうかは分からないが
髪の毛が若干薄くなってきており、
法廷内で帽子は被れないので薄い髪の毛を隠せないのだが、
それを気にする様子は無い。
勉強の成績は、基礎はできているが柔軟性が足りないそうだ。
ヤマヤマ4号に『若ハゲ』とストレートに呼ばれる。

(森村 雅子)
元大蔵省官僚の年配の女性。夫は国会議員。
見事なまでの上流階級の人間で、
前科を重ねている被告人への侮蔑感が普通の人より強く、
また、元大蔵省官僚なために偽札作りへの怒りも強いため、
この裁判におけるボス裁判員となる。
また、上流階級の生活に慣れていて世間の常識とのズレがあり、
他の人には通じる説得が通じない事もある。
だが、絶対に被告人を無罪にはできないとまでは思ってないので
他の話のボス担当よりは攻略しやすい。
余談だが、姿形が第三話の仲本淑子とかなり似ている。
イラスト担当者さん、元々は同じ人物として書いた絵を
使いまわしたでしょう、怒らないから正直に言いなさい。

134 :THE 裁判員 ~1つの真実、6つの答え~:2012/11/24(土) 21:59:12.61 ID:UfN6+MED0
(平泉 真梨子)
普通の主婦の女性。第一話の主婦のような活躍もせず本当に普通。

(勝呂 真)
誠司を殺した犯人として逮捕され、その後裁判で無罪になった男。
裁判開始当初の裁判員の一人が欠員になり、代わりに裁判員となる。
殺人事件の犯人として起訴された人間なので
裁判員として不適切に思えてしまうが、
裁判で無罪となった以上は何の罪も無い一般人という扱いなのだ。
だが誠司は死の間際にこの男の顔を見ており彼が犯人と思っている。
今回の裁判では、誠司の憑依した圓楽師匠が
死んだおじいちゃんに似ているという事でなついてきて、
誠司の望む無罪判決を同様に望む味方担当となる。


『シナリオ』

第三話の裁判から1年以上経ったが、
まだ誠司は成仏せず裁判を傍聴していた。
そこへ久しぶりにヤマヤマ4号が来た。
ヤマヤマ4号によると、脳腫瘍のために病死した久宝寺も、
地獄に来ていない事から成仏していない事が分かるそうだ。
ちなみにヤマヤマ4号曰く、地獄は一般人が想像するような
苦痛しか無い悪夢のような所ではないらしい。
天国が時間の流れすら無い
何もない場所で永遠の安らぎを得られるのに対し、
地獄には欲望を満たすためのあらゆるものが存在し
地獄の住人はそれを奪い合っているとのこと。
中には「地獄へ来て本当に良かった!」と喜ぶ人もいるとか。

そんな話をしながら、誠司とヤマヤマ4号は
今ここで行われている裁判を見物していた。
今回被告人が問われてる罪は通貨偽造、つまり偽札作り。
それも犯罪組織が作ったような大掛かりな精巧な物ではなく、
個人がプリンターで印刷した、あまりにお粗末な物だ。
本来は裁判員制度が採用される裁判は
人の死や放火や誘拐等が関係する重大な犯罪の裁判だけだが、
この世界では裁判員制度を取り入れる範囲が少し広くなったようだ。

検事の席では加勢検事が被告人の罪状等を訴える。
被告人の老人は、過去に職場の工場で同僚に暴力を振るったり
気に入ったホステスに現在で言うストーカー行為をした上に殺害し
懲役13年の判決を受けたりした前科4犯の極悪人であること、
預貯金が乏しく金が必要になり、
格安で勉強できるパソコン教室で勉強した知識を使って
パソコンを使って粗末な偽札を作った事を読み上げられていた事、
既に被告人が自白をしており罪を認めている事を述べた。

135 :THE 裁判員 ~1つの真実、6つの答え~:2012/11/24(土) 22:00:18.07 ID:UfN6+MED0
対する村枝弁護士は、第二話の時とは比べ物にならないほどに
はっきりとした口調や態度で被告人の無罪を訴えた。
その内容も、加勢検事の発言への反論となる的確なものだ
だが、被告人の老人がボケており、「俺がやった」と言ったり、
少ししたら「俺じゃねえ」と言い直したりではっきりとしない。
だが、ヤマヤマ4号は「俺じゃねえ」と言ったときに、
『真実の光』が被告人の体から発せられるのを見た。
誠司は、老人の凶悪な過去のために有罪になりかねないと考え、
今回の裁判にも憑依して参加し、無罪にしようと思い立った。

法廷が終わり、裁判官と裁判員の計9名が話し合う会議室へ行くと、
裁判員が普段は6人なのに5人しかいないのに気づく。
どうやら1人は急用で来れなくなり、別の人が後で来るそうだ。
それを待っている間に、ヤマヤマ4号が憑依相手として
顔の長い、還暦を迎えてそうな男性を指さすので話しかけてみた。
この圓楽師匠のような落語家の男性は誠司に話しかけられると、
幽霊の存在を驚きつつも憑依に同意してくれたので早速憑依。
年を感じさせない立派な健康体に憑依できて誠司の気分も良い。

そこへ、欠けた裁判員の代わりとして来た裁判員が姿を現すと、
そこにいる8人全員が驚いた。
入ってきたのは、以前に誠司を殺害した犯人として逮捕されたものの
後に裁判で無罪となり釈放された、勝呂という男だったのだ。
いくら裁判で無罪になったものの殺人犯かもしれない男の登場に
裁判官3人や裁判員4人もそれなりに緊張したが、
一番警戒したのは、勝呂が犯人だとはっきりと知っている誠司だった。
死の間際に見た犯人の非人間的な冷たい顔をした男は、
確かにあの勝呂だったのだ。
だが勝呂は、誠司が憑依している圓楽師匠の顔を見ると、
「おじいちゃん、おじいちゃんだ!」
と、いきなり子供っぽい態度でなついてくる。
幼いころに死んだおじいちゃんと圓楽師匠を重ね合わせてるようだ。
そんな様子を見て誠司も他の7人も警戒心を解いたようで、
いつも通りの裁判の話し合いを始めるのであった。

136 :THE 裁判員 ~1つの真実、6つの答え~:2012/11/24(土) 22:01:09.41 ID:UfN6+MED0
『被告人はパソコン教室で学んだ知識を使い偽札を作った』
『被告人の部屋から偽札の印刷に使われたプリンターが発見された』
『被告人は定職に就いておらず生活が苦しく、すぐにお金が欲しかった』
という法廷内で加勢検事が出した有罪の証拠に対する、村枝弁護士の
『パソコン教室の先生によると、授業の内容についていけておらず、
パソコンの技術はろくに身についていなかった』
『プリンターだけが発見されてパソコン本体が無いのはおかしい』
『父親が最近死んでおり、その遺産として100万円近くがあり
それがまだ通帳にあるのが確認された、少しは生活に余裕があった』
という的確な反論を元に裁判官や裁判員を説得していくと、
森村は、あんな前科4犯の凶悪犯に有利な方へ事が運ぶのが気に入らず
金銭感覚が一般人と違うところがあったので
「100万円なんてすぐ無くなってしまう程度の金額でしょう、
やはりあの男は金に困っていたんです、偽札を作ってもおかしくない」
などの反論をしていたが、パソコン知識が習得できてない事と
パソコン本体が見つからない事については普通に分かるようで、
少しは無罪の可能性も考えているようだった。
逆に勝呂は「僕はおじいちゃんと一緒にするよ」と、
誠司の憑依する圓楽師匠に丸投げしてしまっているので、
「自分で考えなくては駄目だよ」と、ついつい諭してしまう誠司だった。
他の6人は、それなりに無罪の可能性を考え始めていた。

その頃、村枝弁護士は被告人の住居の近くに来ていた。
村枝は携帯電話で息子に帰りが遅くなると連絡を入れた後、
「これで勝てば私の評判も良くなり、高額の民事裁判の依頼も来る。
そうすれば子供たちにも良い生活をさせてあげられる。
アナウンサー学校にも通ったんだし、前より良くなってるはず。
証拠探しを頑張らなくっちゃ!」
と、気合を入れながら証拠集めを開始するのであった。


次の日、捜査を担当した警察官と、被告人と親しかった少女『A』、
そして被告人自身が証言する事になったが、
その前に枝村弁護士によって、事件当時に被告人が住んでいて
警察の調査でプリンターが発見されていた部屋は、
窓が壊れていて物を投げ入れる程度なら誰でもできたという
新しい証拠が出てきた。
先日も言われたプリンターのみの発見という証拠と組み合わせれば、
誰かがプリンターを投げ入れて罪をなすりつけたと考えられる。

警察官は被告人を一睨みし、怯える様子を見てから証言を始める。
その怪しい様子から、ガタイの良い警察官が年老いた被告人を脅して
自白を強要したのではないかと考えた誠司は
その事を質問時に問いただし、自白の可能性の強さを指摘した。
少女Aは、拾った粗悪な一万円札を出来心で使ったと証言し、
普段の被告人の様子などを話した。
その様子は、ある程度は被告人に同情し有利な証言をするという、
罪をなすりつけた真犯人としてはなかなかに狡猾なものであった。

137 :THE 裁判員 ~1つの真実、6つの答え~:2012/11/24(土) 22:02:02.12 ID:UfN6+MED0
最後に被告人から話を聞く事になったが、
その質問タイムの中で森村が被告人に酷い事を言った時、
ボケ老人に過ぎなかった被告人の態度が豹変した。
「ふざけるなバカ野郎!ぶっ殺すぞ!」
前科4犯の凶悪犯らしい荒々しい口調での野太い大声に、
法廷内にいた者全員が驚いた。秋月裁判官に至っては泣きそうだった。
だがすぐに元のボケ老人に戻ったので、質問タイムが続く。
その最中に被告人は、仙波裁判官に奇妙な事を聞いた。
「偽札作りってのは、もし初犯だったらどのくらいの刑なんだ?」
「初犯だったら、懲役数年といった所だが?
だが、あなたは既に前科があるのでそれどころでは…」
「何年もの懲役だなんて!ああ、俺はどうしたらいいんだ!
俺は悪くないし、あの子も悪くないんだよう!」
他人をかばっていると白状しているのも同様なセリフだが、
ゲームのお約束とでも言うべきか法廷内の誰もその事に思い至らない。

こうして関係者全員への証言と質問タイムが終わり、法廷は閉廷され、
いつも通りの裁判官と裁判員計9名の話し合いに入る。
誠司は、『怖そうな警察官によって被告人は自白を強要されたのかも』
『窓が開いていたならば、プリンターだけを勝手に投げ入れて
罪を着せられる。それならばパソコンが見つからないのも合点がいく』
といった点から8人を説得していく。
話し合いが終わると、有罪・無罪を決める投票に入る。
今回は誠司自身と、憑依している圓楽師匠になつく勝呂の二人しか
確実に無罪に入れる人がいないので厳しい状況だ。
他の7人中3人以上が説得に納得して無罪に入れればいいのだが…

次の日、法廷で被告人に無罪が言い渡された。
無罪と言われても良く分からないボケ老人な被告人に、
村枝弁護士が分かりやすく無罪になった事を説明すると
「だから俺は何もやってないって最初から言ってたじゃねえか!
なのに何日も閉じ込めて、こんな所へ来させやがって!土下座しろ!」
と怒鳴り、土井裁判長の退廷命令によって係員に連れ出されてしまった。
怒るのは分かるが、法廷内でそんな乱暴な言動をしてはいけないのだ。
その様子を傍聴席で見た少女Aは
「あいつが無罪になるなんて…私の事を言わないように念を押さないと!」
と、つぶやくと急いで被告人の所へ行った。

閉廷後、例のコワモテ警察官が加勢検事に、
今回の偽札事件の犯人をもう一度捜すための捜査に加わりたいと言うが
「捜査から外れてもらうぞ、身内をかばうという小さな悪事のために
他人に罪を着せるという大きな悪事を行った悪党めが!」
と啖呵を切られて拒否されてしまった。
加勢検事も、今までダメな部分が目立ってたが
こういった検事としての矜持を持つしっかりした部分もあるのだ。

138 :THE 裁判員 ~1つの真実、6つの答え~:2012/11/24(土) 22:03:28.28 ID:UfN6+MED0
ちなみにその後少女Aは、
性懲りもなく学校の先輩と共にパソコンで偽札を作っている時に
捜査員に部屋に踏み込まれて捕まってしまい、
ボケ老人に罪をなすりつけるという悪質なやり方なせいもあって
未成年なのに補導ではなく逮捕という形になったという。


裁判終了後、圓楽師匠に勝呂が話しかけてきた。
一緒に食事に行きたいと言うのだ。
誠司はこの2日間の間に勝呂が人間らしい態度を取るのを見て
本当に自分を殺した殺人犯が勝呂なのか疑問に思っていた。
もしかしたら、冷たい表情こそしていたものの通りがかっただけであり
真犯人は誠司を刺した後すぐに逃げ去っていたのかも知れない。
それに、顔も長時間見続けたわけではない。本当は別人だったのかも。
そう悩んでいると、圓楽師匠が
「どうやら誠司君はこの子とゆっくり話をしたいみたいだね。
私の体を使っていいから、この子の話を聞いてあげてやってくれ」
と言ってくれるので、お言葉に甘えさせてもらうことにした。

料理屋の和室の中で話をする事になった誠司と勝呂。勝呂は、
「おじいちゃん、僕もう大人になったんだ、お酒も飲めるんだよ」
とにこやかに話しながら飲むので、誠司はそれに付き合う。
飲み食いしながら楽しく会話を続ける二人だったが、
勝呂がまだ小さい頃に死んでしまったおじいちゃんに会うために
何をしたのかを話し始めると誠司の顔が凍りついた。

「おじいちゃんが死んでから、死とか命が良く分からないから
毎年おじいちゃんの命日に動物を殺してみたんだ。
最初は虫だったけど、そのうち猫とかウサギも殺してみた。
それでも良く分からないから、ここ数年は人間を殺してるんだ。
プロレスラーとかサラリーマンを殺してみたんだよ…」

それを聞いた誠司は、勝呂の身勝手さや幼さに悲しくなった。
「何が大人になったよだ!ガキじゃないか!」
そう心の中で叫ぶ誠司だった…

(第五話はまた後日。まだ書いていないので少し遅くなるかも知れません)

139 :ゲーム好き名無しさん:2012/11/25(日) 00:17:58.05 ID:BvLoOVy00


ちなみに登場人物名は…
被告:神田敬太郎
糸目:吟遊亭酒楽
少女A:少女・A
捜査官:俵頭光

146 :THE 裁判員 ~1つの真実、6つの答え~:2012/11/27(火) 23:45:30.03 ID:eOUzgh0e0
>>139さん、人名の補足ありがとうございます。

152 :THE 裁判員 ~1つの真実、6つの答え~:2012/12/01(土) 20:25:24.34 ID:PIDBkyuN0
『登場人物』

[被告人・証言者等]

(勝呂 真)
大好きなおじいちゃんの死後、
死や命を理解しもう一度死んだ命にふれるために
毎年おじいちゃんの命日に動物を殺し始め、
ここ数年は人間を殺した連続殺人犯。
今回は、まだ10歳にも満たない少女を殺した罪で起訴された。
命と言うものを理解したい、死んだ人間にもう一度触れたい、
といった事だけを考えていて無罪判決は二の次のため
裁判の事などどうでも良く、不利な事でも平気で証言する。
両親が医者で本人も医者になる事を望まれているが
本人の学力が致命的で試験に何度も落ちている、というのが
おじいちゃんの死で狂った一因なのかも知れない。

(仮)(警察官)
勝呂が殺害後にうろついているのを発見した警察官。
何もやましい事は無く、正直に証言する。
余談だが、人相や体形は違うものの
髪型や服装が第四話のコワモテ警察官に似ている。
イラスト担当者さん、元々は同じ人物として書いた絵を
使いまわしたでしょう、怒らないから正直に言いなさい。

(仮)(女教師)
色っぽい容貌のお色気女教師。
島津弁護士に金で買収され弁護士側の証人となる。
普通、フィクション内のお色気女教師は
なんだかんだで生徒の事を大切にして生徒を助けるが、
この女教師は色気でトラブルを次々と起こす困った先生で
他の先生からの評価も、先生としての能力も低い。

(仮)(同級生)
勝呂の同級生の、日焼けしている遊び人風の男。
定職に就かず、自分にはギャンブルの才能があると思い込み
パチンコや競馬等で散財した結果、多重債務者になってしまい
その借金を返すために島津弁護士に買収され証人となる。


[検事・弁護士]

(加勢 憲吾)
第一話と第四話で登場した検事。
誠司の裁判の時と同じ被告を同じ罪状で訴えるという裁判を
同じ弁護士を相手に行うという事で気合を入れるが、
太刀打ちできないほどの実力差を見せつけられる。

153 :THE 裁判員 ~1つの真実、6つの答え~:2012/12/01(土) 20:26:32.93 ID:PIDBkyuN0
【第五話:その、判決】

(島津 見城)
数年前の誠司が殺された裁判で勝呂を無罪にした弁護士。
今回も同様に勝呂を弁護し完全無罪を狙う。
・検事側の被告人を半ば無意識のうちに誘導して
 弁護側の証人に有利な事を言わせるという特殊能力じみた実力
・某法律相談バラエティに出演している程の有名人
・財力に物を言わせ人を買収して証人にするという汚さ
・報酬や名誉のために、被告人が真犯人だと知りながら
 完全無罪を勝ち取ろうという社会正義に背く精神
・イケメン
といったボス要素を併せ持つ、最強のラスボス弁護士。
そんな彼も今回の裁判では、守るべき被告人が
無罪なんかよりもっと大事なものを手に入れたがっていて
全く協力的ではないという唯一にして最大の弱点を持つため、
そこに勝機があるのかも知れない。
また、怪獣のフィギュア集めという意外な趣味を持っており
弁護士事務所のサイトに怪獣フィギュア紹介コーナーがある。

[裁判員]

(仮)(ニート)
糸目キャラであり、今回誠司が憑依する相手。25歳男性。
大学卒業後、人と争うのが苦手なせいか就職が決まらず、
親も彼の意思を尊重しすぎたのがニートになった理由らしい。

(町城 安里)
第一話でも裁判員になったゴスロリ好きな女学生。
一度裁判員になったら5年間は再び裁判員にはならないと
よく言われているが、それは半強制的に指名される期間であり、
裁判員に指名された人が望めば短い期間でまたなれるので
第一話で裁判員になった時に面白く思い再び裁判員になった。
再び裁判員になるにあたり裁判について勉強していて、
「疑わしきは無罪、確信がある時にだけ有罪にする」
という原則を守ろうと心に誓った結果、ボス担当となる。
特別な事情や思想も無く上記の事を守るだけなのだが、
他の裁判員が大いに心を動かされて有罪に心が傾くような
重大な証拠を目の前にしても「そういう考えもあるよね」
と言うだけで心を動かさないという、本作最強の裁判員と化した。

余談だが、裁判員への証拠を使っての説得に対する反応が
上記のようにそっけない一言だけで済まされる、
というのは町城以外が相手の時にもこのゲームで時々あり、
しかも後の話になるほどその割合が増えていく。
テキスト担当者さん、各裁判員の各証拠に対する反応を
書いていくのが面倒になったんでしょう、
怒らないから正直に言いなさい。

154 :THE 裁判員 ~1つの真実、6つの答え~:2012/12/01(土) 20:27:13.21 ID:PIDBkyuN0
(古田 雷全)
剣道の道場を経営している剣術の先生。かなりの達人であり、
人を殺した経験こそ無いものの人の殺気を読むことができ、
勝呂が放つ殺気から人を殺したことがあるのを感じ取れるため
他の裁判員より有罪寄りな味方担当だが、
根拠が殺気と言う個人的に感じたものに過ぎないせいか
今までの味方担当ほどには論議の手助けはしてくれない。

(渡辺 万物)
ラーメン屋『イケ麺』店長。店のオリジナルTシャツを着ている。
ムキムキな肉体に薄いTシャツという男性的な肉体美を誇り
女性はもとより男性にもモテそうな顔をしている事から
彼の店の客には彼が目当てで来店しているソッチ系の人も多く、
「公園のトイレの近くのベンチで作業着を着て座ってそう」
と町城に言われたりもするが、全くのノンケである。

(水島 真子)
花嫁修業中の未婚負け組を自称する30才女性。
実は精神科医だが、裁判員同志が話し合う場でそれをバラすと
被告人が本当に犯人だった場合に殺人の動機が不明なだけあって
頼られ過ぎると思い、職業の事は黙ってた。
性格も容貌も問題なさそうだが、
精神科医という仕事のために男性との出会いが無いらしい。

(是原 素美)
普通の主婦。今回の主婦も第一話のような凄い事はやらない。


『シナリオ』
第四話の裁判の数か月後、勝呂が殺人罪に問われる裁判が行われた。
今年のおじいちゃんの命日に、10歳にも満たない少女を殺したのだ。
ちなみにその命日とは、憑依した状態で誠司が勝呂と酒を飲んだ翌日。
「何故あの時俺は、無理やりにでも止めなかったんだ!予測できたのに!」
と後悔する誠司を、悔やんでも仕方ないと慰めるヤマヤマ4号。
真実の光や嘘の煙を見るまでもなく、本当に勝呂が殺したのは明らかだ。

裁判の冒頭で少女の母親に発言の機会が与えられた。
「あなたは許せない。だからこそ死刑という簡単な逃げ道は与えない。
一生かけてあなたが何をしたのか思い知りなさい」
加勢検事も母親の望みを聞き入れ、死刑ではなく無期懲役を求刑する。

次に、加勢検事と島津弁護士が最初の証拠の出し合いをした後、
互いの証拠に対して、これを認めてもいいのかと異議を唱え合い
加勢の異議は全て却下され、島津の異議は全て認められた。
別に、土井裁判長は弁護側をひいきしているのではない。
客観的に見て検事側の異議は不適切で、弁護側の異議は正しいのだろう。
初っ端から実力の差を思い知らされる加勢検事だった。

155 :THE 裁判員 ~1つの真実、6つの答え~:2012/12/01(土) 20:28:22.32 ID:PIDBkyuN0
初日はそれで終了なので、9人での話し合いに入る。
「疑わしきは無罪」を過剰なまでに実践する町城には苦戦したが、
他の8人は意外と有罪に心が傾いてきていた。
やはり無罪になったとはいえ一度殺人で起訴されたのが響いているようだ。

2日目、検事側の証人である警察官が証言を始める。
「事件現場付近で、被告人がナイフを持ってぼーっとしてた。
雨が降っているのにそれを気にせず、目の前で佇んでいた」
という証言に対し島津弁護士が
「それは、雨が降っているのにどうやって雨宿りをしたらいいか分からず、
あなたの前に言って無言で助けを求めていたのです、そうに違いない!」
と芝居がかった口調で語ると、警察官もそんな気がすると言い始めた。
「なんだよあの弁護士、劇の役者のように滑らかに有利にしているぞ」
「それも、全て計算ずくではなく半ば無意識にだ。手ごわいぞ誠司!」
誠司は島津弁護士の手腕に驚きつつも、
先ほど許可を得て憑依したニートの体で島津弁護士に対抗する。
「でも雨宿りしたくて困ってたなら、あなたがいたら話しかけませんか?
その時あなたは勤務中で制服だったから助けを求めやすいと思います。
だから、検事側の言うように殺人を済ませて気が抜けていたのでは?」
と言うと、警察官もそれはそうだと考え直す。
「ほほう、私に対抗する裁判員がいるとはな」
島津弁護士はまだ余裕だったが、勝呂が
「このままでは死と命について何もわからない。
いっその事ここで本当の事を全て言ってしまうか」
と呟くと、顔を青くしながら必死になって説得した。
裁判長は、まだ証拠が十分に揃っておらず判断は下せないとして
審議を明日以降まで持ち越すと宣言する。
それを聞いたラーメン屋の渡辺が
「今日で終るって聞いてたのに!ラーメンも裁判も、伸びるのは嫌だ!」
と言うと、町城が
「そんな裁判に非協力的な事言うと、ラーメン屋の悪い評判が立つよ」
と説得する。渡辺は自分のラーメン屋の事が知られはしないと思ってたが、
耳を澄ますと傍聴席のあたりから、
「あの人、『イケ麺』の店長じゃない?」「あ、本当だ」
と、何人かの声が聞こえてくる。
「何故俺が『イケ麺』店長と分かる?…うちのTシャツ着てるからか!」
話題の殺人事件の法廷という事で傍聴人も多い。
結局、渡辺は文句を言うのをやめる事にした。

その日の話し合いを始めようとした時、渡辺が土井裁判長に話しかけた。
「すいません、裁判とは関係ないのですが外食業として言っておきたい。
この裁判所の食堂の食事、あれはなんとかならないのですか!?」
町城以外の裁判員たちもそれに同調していた。
ここの食堂のマズさは、憑依したまま何度か食べた誠司も知っている。
「それについては、毎年私が代表者として陳情しているのだが…」
すまなそうに土居裁判長が言うと、渡辺も仕方がないと納得した。
「私はここの料理美味しいと思うのにな…」
悔しそうに呟く味音痴の町城だった。

156 :THE 裁判員 ~1つの真実、6つの答え~:2012/12/01(土) 20:29:14.34 ID:PIDBkyuN0
3日目、高校時代の勝呂の担任だったお色気女教師が証人となった。
「誠司、あの女は島津弁護士に金で雇われ、有利な発言をする気だぞ」
「そんな事が裁判で許されるのか!?」
「金の受け渡しや口裏合わせなんて、秘密裏にやればバレないのさ」
島津弁護士の入れ知恵の甲斐もあり勝呂に有利な発言をする女教師に対し、
誠司はこれまでに手に入れた証拠を元に少しでも情報を得ようとする。

その様子を見てた勝呂は
「こんなことを繰り返しても死や命の事を理解できない」
と言うので、島津弁護士は
「大丈夫、私なら分かる!何しろ私は『弁護士センセイ』だからね!
センセイは偉いから何でも知ってるんだよ!」
と必死になってなだめる。その様子を見た誠司は
「勝呂にとっては有罪も無罪もどうでもいい、死と命の理解が全てなんだ。
島津弁護士は以前に無罪になったからと安易に勝呂の弁護を受けてしまった。
名誉を求めるからこそ、勝呂は絶対に弁護してはいけない人間だったんだ!」
と、島津弁護士が勝呂の手によって追い詰められているのを実感していた。

島津弁護士は、明日まで裁判を延長し別の証人を出したいと言ってきた。
加勢検事はそれを渋るが、長引くほどボロが出て有利と考えたヤマヤマ4号は、
近くに寄って煽ることにした。幸い声が聞こえる程度の霊感はあるらしい。
「相手の誘いに乗って証人を認めるんだ!そうしないとお前は無能だぞ!」
「なんだこの声は…それに、俺が無能だと!?」
ここ最近負け続きだった加勢検事にとって無能呼ばわりは堪えたようで、
加勢検事はそれに応じた。土井裁判長も許可を出した。

その日の話し合いで、勝手な裁判の引き延ばしで立場が悪くならないかと、
剣道道場経営者の古田は気になったようで土井裁判長に聞いてみた。
「お上は、建前では裁判員制度がどうこう言ってるが、
本音は素人に首を突っ込んで欲しくないはずだ、
勝手な延長など立場が悪くならないかね?」
「確かに、建前の後ろには本音がある。
だが、逆に言えば本音の前には建前があるのだ。
裁判のために必要な事だと私が言えば、建前のために断れないだろう」
「なるほど、あなたが責任を負うという事か。
私もその気概にに応え、裁判員としての役目を果たそう」
古田以外の裁判員も、土井裁判長の覚悟を知って気合を入れた。
「こうなったら店なんて言ってられない、とことん付き合うぜ!」
ラーメン屋が心配だった渡辺も、やる気を出した。
その日の話し合いは、弁護側に有利な証言へのカウンターが主になり、
それほど有利にはならなかった。

その日の帰り道、ニートが町城に食事に誘われた。
第一話の事を思い出し、今度はうまくいくといいなと思いつつ
憑依を解いてニートと町城が二人で出ていくのを見守る誠司だった。

157 :THE 裁判員 ~1つの真実、6つの答え~:2012/12/01(土) 20:30:34.04 ID:PIDBkyuN0
4日目。誠司が裁判所に来ると、
ニートと町城が苗字ではなく名前で呼び合う仲になったのに気がついた。
ニートの親が食事マナーをしっかりと教育していたおかげで、
町城に気に入られたようだ。あとは就職すればリア充勝ち組になれるはず。

その頃、土井裁判長は書記官の女性と話をしていた。
「そういえばあの件の判決はいつ出る事になっていたかな?」
「それなら10月に出る事になっています」
「そうか、その頃には既に高知へ行っているな」
「えっ?…土井裁判長、まさか…」
「うむ、少しやりすぎたようでな、とうとうお上から転勤を命じられた。
かなり頭に来てるようでな、昨日帰る前に駐車場で、とある国会議員に
『君がやってるのは法治社会への挑戦だ』とまで言われたよ。
…そんな悲しそうな顔をするな、まだ数か月は一緒に仕事できるのだから。
さあ、今日の裁判の準備をしようかね」

法廷が始まると弁護士側の証人の、スーツ姿の勝呂の同級生が入って来る。
シャツの襟がはみ出てネクタイは曲がりまくりのだらいない恰好を見て、
島津弁護士は冷や汗を流しながら内心毒つく。
「なんだよあいつは…たった20分前に完璧にスーツを着せたってのに!」
島津弁護士はスーツなど着たことも無いこの遊び人にスーツを着せ、
見かけを立派にすることで証言の信憑性を上げようとしたのだが、
少し目を離しただけでこんなザマにしてしまうほどのだらしない奴なようだ。
そんな同級生が証言したのは、勝呂に
「実家からプラムを送ってもらったんだ、一緒に食べようぜ。
来る時はナイフを持ってきてくれ、ちょうどいいのが無いから」
と頼んだというもの。凶器と思われるナイフを勝呂が持っていた事に、
殺人以外の理由付けをしようという腹らしい。
その発言が嘘だという証拠は出せないが、嘘と分かっている誠司は、
今までに得た証拠をぶつけて少しでも有利な情報を引き出そうとした。

その後、被告人である勝呂の証言に入る。
勝呂はこの時、裁判の事は完全に上の空になっていた。
何故なら、誠司が、つまり自分が殺したはずの人間が裁判員の中にいるのを
今までの誠司の果敢な裁判への参加を見たせいか感じているからだった。
不利な事も全て話しきった後、勝呂は裁判員の席へ叫んだ。
「そこにいるんだろう、死んでしまった命が!それに触れたいんだ!」
そう叫ぶと裁判員の席の方へ手を伸ばす勝呂。
自分を殺した殺人犯とはいえ切実に叫んだのを聞いた誠司はそれに応じ、
被告人席へ手を伸ばすと勝呂の手に触れる。
だがすぐに両者とも係員に引き離されてしまった。
被告人と裁判員が勝手に近寄ったらそうされるのも当然。
勝呂はもちろん誠司も仙波裁判官にこっぴどく叱られてしまったが、
必死に謝ってなんとか退廷処分は免れた。
勝呂は、大好きなおじいちゃんそのものでは無いものの、
死んだはずの存在に触れられたことで満足感を感じていた。
これで、勝呂の長年の苦しみも終わった。
後は、有罪にして正しい裁きを与えるだけだ。

158 :THE 裁判員 ~1つの真実、6つの答え~:2012/12/01(土) 20:31:10.05 ID:PIDBkyuN0
最後の話し合いで同級生や勝呂の証言を元に説得し、最後に多数決を取る。
今までの裁判と違い、相手の証言への反証はできたものの
殺人を行った証拠自体は加勢検事が最初に出したものと
勝呂本人などが証言した勝呂の異常さ以外に出せなかったが、
どうやら他の8人に説得が通じたようで、多数決で有罪となった。

「やったぞ誠司、お前を殺した犯人をお前自身の手で有罪にしたんだ!
これでお前も成仏できるだろ?そしたら俺も天国級のボーナスをもらえる!」
「ヤマヤマ4号、天国級のボーナスって何だ?」
「天国級のボーナスといったら天国行きに決まってる!
天国に行ったら天国に先に行った俺の飼い主の膝の上でお昼寝するんだぁ…」
「という事は、お前は閻魔大王の部下を辞めるのか?
なら新しい部下が必要になりそうだけど、どうやって補充されるんだ?
やはり死んだ人間の中から選抜されるのか?」
「人間が部下になれるかよ!人間は死んだら天国か地獄へ行く。
閻魔大王の部下は、動物がなるんだ」
「それで、お前は動物のような体だったんだな」
「だが、動物がそのまま部下として働けるかと言うと難しい。
そこで閻魔大王は良い方法を思いついた。
動物の魂をつなぎ合わせて一つにするのさ。そうすればちゃんと働ける。
この時に重要なのは同じカルマ、
つまり同じ相手に同じ方法・同じ理由で殺された動物を合わせる事だ」
「そうか、お前が継ぎ接ぎのぬいぐるみみたいな姿なのはそのためか」
「…それにしても、俺が天国に行く事で少しだけ惜しいと思うのは、
地獄の鬼に会いに行って勝呂を特別苦しめてもらおうとお願いするのが
出来なくなった事だ…勝呂に切り刻まれた仕返しをしたかったのによ」
「なんだって?…そういえば、勝呂は毎年人間を殺し始める前は、
毎年動物を殺してたらしいけど、まさかお前…」

次の日、勝呂に懲役15年が言い渡された。無期懲役にはならなかった。
刑を言い渡された勝呂は
「もう死と命に対する答えは出た。だから今回の殺人以外に、
去年と一昨年にやった殺人の事も正直に話したいと思う」
と言った。それを聞いた島津弁護士はキレて顔を真っ赤にすると
「ふざけるな!お前の両親がどれだけ金を積んだと思ってる!?
そんな事を聞きたければカウンセラーにでも行けってんだよ!」
と怒鳴りながら勝呂を殴り倒して蹴り続け、
土井裁判長に退廷を命じられ係員に外に出されてしまった。
島津弁護士は、今回の事で弁護士権限を停止されてしまう。
いつかは弁護士に復帰できるだろうし資産に余裕もあるだろうが、
テレビ出演は自粛する事になり評判もガタ落ちになるだろう。
勝ち組人生からの転落である。

159 :THE 裁判員 ~1つの真実、6つの答え~:2012/12/01(土) 20:33:18.40 ID:PIDBkyuN0
それを見届けた誠司とヤマヤマ4号は、
成仏の前に秋月裁判官の様子を見に行った。
実はニートが1日目の帰宅後に、ネットで
「五條誠司って奴が裁判の無念を晴らしたいと憑依してきた」
と書いており、それを本人から聞いたヤマヤマ4号に
「地獄行きにするぞ」と脅されて2日目の帰宅後に急いで消したのだが
消す前に他の人の手によってネットの他の場所にコピーされていたのだ。
それを読んだ秋月裁判官が、以前からたまにあった
裁判員の態度の急な変化と照らし合わせて考えて、
本当に誠司の幽霊が憑依して裁判に参加していたのかと
幽霊がいる証拠を探していたのだ。結局は確証を得られず諦めたのだが、
誠司の方も幽霊探しに気付き、成仏前に挨拶しようと思ったのだ。
だが、秋月裁判官の近くへ寄って声をかけるが気づいてもらえない。
「おーい、秋月裁判官、芽衣子ちゃん、金髪童顔ちゃ~ん…
駄目だ、まったく気づいてもらえない」
「あ~、こりゃ霊感が全く無いな。まあそれでも物を動かしたりして
気づいてもらうという方法があるけど、どうする?」
「いや、やめておくよ。やっぱり、霊の事なんて知らない方がいいんだ」
「そうか…これで、お前の心残りは完全に消えたな。
頭の上の輪っかも消えている。成仏できる証拠だ」

誠司が死んでからも誠司の事を忘れられなかった恋人の春里も、
今回の裁判の傍聴に来た際に指輪を、
それもファッション用に個人で買うような物ではない贈り物の指輪を、
指にはめていた。新しい出会いがあったのだろう。

「ところで誠司…ありゃ、いない。もう成仏したんだな。
じゃあ、俺もそろそろ行くかな」
そう言ってヤマヤマ4号も現世からあの世へ帰って行った。

その数か月後、勝呂の誠司殺しとその前の年のプロレスラー殺しの
裁判が行われていた。検事は第二話と第三話で出てきた野川検事、
弁護士は第二話と第四話で出てきた村枝弁護士。
裁判長は判決を読み上げる時に、第三話の時同様、
判決そのものを言う前に判決に至った理由から話し始めた。
それが何を意味するのかは、
ここまで読んできた方ならもうご存知だろう。
判決を下された勝呂が最後に法廷で言ったのは、
「ありがとう、そして、ごめんなさい」だった。

最後にエプロン姿の女性の膝の上で気持ちよさそうに寝る
ヤマヤマ4号の絵が出てきて、この物語は幕を閉じる。

END

160 :THE 裁判員 ~1つの真実、6つの答え~:2012/12/01(土) 20:34:15.10 ID:PIDBkyuN0
以上です。
望む判決にする方法が『逆転裁判』や『有罪×無罪』のように
真実を説明して完全に納得してもらうのではなく、
個々では弱い状況証拠や物的証拠を積み重ねて
「これだけ証拠があるなら、あなたの言う事が正しいのだろう」
と納得してもらうという、
実際の裁判に近いやり方だという意味ではリアルなゲームです。
それに合わせて説得のためのゲームシステムも独特で楽しめます。
だが残念ながら、裁判員制度の施行というイベントを狙って
時事ネタ的に発売されたゲームなので続編が出る事は無いでしょう。

お付き合い頂きありがとうございました。






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