Fallout:newvegas(DLC第4弾:Lonesome_road)

Fallout:newvegas(DLC第4弾:Lonesome road)(詳細版)

 part66-91


 

Fallout newvegasDLC第四弾、Lonesome Roadストーリー


(最初は試しに三人称の解説形式にしようとしてみたのだが、カメラが常に一人称でムービーも
何も無いゲームを表現できず"なんだこれは…"となったため文章の構成は本編詳細版に準拠し
一人称視点のSS形式とする)

(時系列的にはDLCを行う順番はプレイヤーの自由なのだが、ゲーム内で得られる情報や今DLCの
キーキャラクター、"ユリシーズ"の辿った軌跡の関係で他のDLCを全て終えたことを前提とする)
(Dead Money→Honest Hearts→Old World Blues→Lonesome roadの順)
(選択肢は、同じような情報しか得られないもの、有用でもないものはスルーするが、
ある程度有用な情報が得られるものに関しては割と軒並み書く)

(詳しいシステム説明などに関しては本編のストーリーがあるのでそちらを参照)
(むしろ本編のストーリーをある程度把握していないと多分わからない)




 頭を撃たれた後復讐心のままに仇敵を追いかけ、そして仕留めた後、私は誘われるままにモハビの
覇権を握ろうとするある勢力へと腰を落ち着けた。

"シエラ・マドレ・カジノ"でのエルダー・エリヤとの対峙、"ザイオン"での"バーンドマン"との邂逅、
そしてあまりいい思い出はないが、"ビッグ・エンプティ"で出会った愉快な脳味噌たち。

多くの出来事を乗り越え、ようやくフーバーダムでの戦争へ向け本腰を入れられると思った矢先、
Pip-boyに唐突に一通のメッセージが届いた。



"キャリア・シックス・ユリシーズ"



メッセージはそれだけ。
しかしそれと同封される形で、ある場所を指す座標情報も送信されていた。

場所はプリムの西、スクラップになった車が廃棄されているだけの、誰も寄り付かない
"キャニオンのスクラップ場"。


 そういえば、ずっと前にプリムのジョンソン・ナッシュがプラチナチップの運送を断った男に
ついて話してくれた。
本来プラチナチップの運送を任されたのは、モハビエクスプレスのエリート運び屋である
キャリア・シックスのみ。
つまり彼が断ったことで仕事が私に回ってきて、それで私が頭を撃たれる羽目になったのだ。


誘いに乗り、私はキャニオンのスクラップ場へと向かうことにした。


(DLCメインクエスト:The Reunion 開始)



 プリムの西には少し傾斜のきつい坂道があり、そこを少し進んだ先に先程も言ったとおり、
戦前の車が廃棄されているだけの小さなスクラップ場がある。
スカベンジャーすら訪れないそこの住人はせいぜいコヨーテくらいで、本当に何の面白みもない
場所であるのは言うに及ばずである。


 そこに珍しく訪れる人影ひとつ・・・"キャリア・シックス"でもある"運び屋"こと私。
縄張りを示しこちらを威嚇するコヨーテの親子をためらいなく撃ち殺し、スクラップ場の入り口
へとたどり着いたところで足を止める。

スクラップ場の入り口には"キャリア・シックス" "家に帰れるぞ、運び屋"といった落書きが
されていて、それがメッセージの送り主、"ユリシーズ"によって書かれたことを伺わせた。


 仲間は置いてきた。

シエラ・マドレ、ザイオン、ビッグ・エンプティでは半ば巻き込まれる形で一人で放り出される
ことになってしまったが・・・。
この残った道は、一人で歩かなければならない道だと、そう感じたのだ。


(他DLCではバグによりコンパニオンを連れて行くことができたが、このDLCのみ不可能となっている)
(コンパニオン枠の空きではなく、コンパニオンの有無で判定しているため?何にせよ戦利品の
持ち帰りが辛いDLC)
(ことごとく他人のいざこざに首突っ込んでひどい目に遭った運び屋だが、今回は自分の意志で
"道"を選べる)

(推奨レベルは25以上だが50でもかなり辛い、最後のDLCにふさわしい難易度。
準備が整ったら、ザ・ディバイドの嵐の中へと進みましょう・・・
"歴史"があなたを待っています)



ディバイドの入り口に堂々と横たわるスクラップになったバスの扉を開き、
反対側からディバイドへと降り立つ。
ザ・ディバイドはバスひとつを挟んだだけだというのにまるで別世界に来てしまったかのように
空が赤く燃えており、ディバイドの奥から流れ込む砂嵐は崖の手前で巻き上げられモハビ方面へと
流れ込んでいる。
切り立った崖のへりに立つと、眼下には同じように切り立った崖の数々と、スクラップの山々が転がっていた。

遠目には主にビルで構成された廃墟群と、赤く点滅するライトが見える。
そういえばバスを降りたすぐ側には、かつての"アメリカ合衆国"の国旗が描かれていた。
ユリシーズも、エンクレイヴのように旧世界を信奉する何者かなのだろうか。



 切り立った崖から落ちないように気を配りながら進むと、突き当りに一つの扉が立ち塞がる。
B.O.Sのバンカーと同様の形状をしたその扉には"ホープヴィル・ミサイルサイロ"と言う説明書きと
ともに、先ほど見かけたのと同様のアメリカ国旗がそれを上書きして描かれていた。

 ミサイルサイロ内部は証明が落ちていたため暗く、千切れて放電を繰り返す電線と、Pip-boyの
ライトのみが頼りとなった。
壁にはまた"家に帰れるぞ、運び屋"と私を挑発するように落書きがでかでかと書かれていて、
サイロの廊下を抜ける扉の真横にも"Lonesome Road(孤独な道)"と紅いペンキで殴り書きされていた。


 廊下を抜けると、今度はそこそこ広い空間へと出る。
棚や機材が倒れ、配線がぶらさがったそこはここの発電を司る部屋のようで、部屋の奥には壁を
背にしてコントロールパネルが構えていた。

ならば話は早い、さっそく電気を・・・と思ったが、パネルのロックは思った以上に強固であり、
自分の技量ではとてもじゃないがハッキングできそうもない。
では周りにキーか何かがあるのではないか・・・と思い辺りを見回すと、一台のターミナルが
壁に固定されているのに気がついた。



 ターミナルはここのメンテナンスレベル"3"までのロックを外せるようで、これだけは非常用電源
で動作しているらしく、ここから幸いにも1~3階までのセキュリティが現在停止している情報を
得られると共にターミナル横の機械扉を開錠することが出来た。

機械扉を抜けた先には機械整備などを行うためのユーティリティルームがあり、奥にあったリアクター
ルーム行きの通路は崩落して進めなかったものの、室内のガラス窓から外を伺えた。


 窓ガラスは汚れて真っ白ではあったが、目を細めてじっくりと見てみると数機のアイボットが
"何か"を修繕していたのが分かった。
"何か"が何であるのかはよくわからなかったが、円形のサークルに柱でしっかりと固定されたそれ
は丸く、縦に長く、そして先端に近づくにつれてだんだんと尖っていた。


 あいにくとそれ以上は知ることが出来なかったため、今度はユーティリティルーム内で整備されて
いるものに目を向ける。
整備用のポッドは3つあったが2つは空で、残る一つは他とは違い少し高いところにメンテナンス
用ターミナルとコントロール用機材と共に置かれていた。


高台に上がりポッドを見据える。
中にいたのは・・・ED-E?



 驚きに目をぱちくりさせていたが、頭を冷やし冷静になり再びポッドの中のアイボットをよく見る。
確かに形状や各部のパーツはED-Eそっくりであったが、金網のような機体前面やアンテナの本数、
武装など、割りと多くの部分がED-Eとは似て非なるものであった。


ターミナルを起動し、ポッドを開放する。
機械の動作音が響き、次いで内部が淡い青色に光り輝いたあと、冷却されていたのか白いもやを大量に
吹き出しながら、しなだれていたアンテナをぴんと立たせアイボットがポッドから飛び出してきた。


<<パラ…パー…パーパー…>>(モハビのED-Eの戦闘開始時の音声にノイズがかかった感じ)


『飛べラルフィ! もっと遠く、もっと速く!』


『<Beep>』


ポッドから開放されたアイボット…もうED-Eでいいだろう、ED-Eは、出るなりスピーカーから
いつもモハビのED-Eが戦闘中に流していた音楽を流した後、メモリーの誤作動だろうか記録
されていた子供の声を流した。


『<Beep>(高音でせわしない音)』


 ED-Eを以前修理したことがるからわかる、あれは起動シーケンスではなく、"ラルフィ"という
奴に関する記録なのだろう、そう言う。


『<Beep>(低音と高音の混ざった連続した信号)』


 アイボットはセキュリトロン達とは異なり声を持たないが、こうやって音声信号での感情表現を
行えるロボットであることから、ある程度自立した思考を持っているのだろう。
なに、今のはお前のメモリーに残っている古いデータのせいだろう、心配いらないよ。(Science35)

そう言うとED-Eは安心したのか半オクターブ高音のBeep音を鳴らし、機体を上下に揺らした。
この可愛げのある動作は、彼なりの"喜び"の表現らしい。

折角なので手を貸してくれるよう頼むと、彼はこちらに向き直りまた独特のBeep音を鳴らした。
かつてED-Eが、自分に手を貸してくれるようになった時のと同じ音だった。



 ED-Eの高感度センサーが自分のPip-boyと同期したのを確認すると、次いでED-Eがまたもや
スピーカーから音声ログを流し始めた。


『…実験ログ、369248/B・アイボット・デュラフレームのユニバーサル・インターフェース
 ・オーバーライドシステム。私ことDr.ウィットリーが実行する』
『信号のゲインを増幅し、バッファシステムをオーバーフローさせた。
 これによって100%の接続性と操作が実現するはずだ、ED-E(エディー)、準備ができたら始めろ』

『『<Beep>』』


『いいぞ、成功だ!!  …んっ…ゴホン!ふむ、369248/Bの完全なる成功を認める。
 ED-Eは、テストパネルに対するインターフェースとオーバーライドを3秒以内に成功させた』

『よくやった、諸君。 さあ、完全ロールアウトに向けて準備を始めようじゃないか』


 ED-Eの開発中の記録とおもわれるこのログは、ED-EのBeep音以外の全てが一人の老人の声で
構成されていた。
だが待て、この会話の内容から察するに、このED-Eは電子セキュリティをオーバーライドできる
・・・平たく言うと、今まで鍵穴が無いせいで歯がゆい思いをしてきた、あの憎っくき電子ロック
を解除可能なのだということか?


『<Beep>』


言っていることはわからないが、機体下部についたアークウェルダーを見る限り、アンテナ型の
受信機がついたモデルしかできないらしい。
そういえば先ほどの発電ルームにあったコンソールにもそれらしきものがあった、もしかすると
システムを再起動させられるかもしれない。

(アークウェルダーだが専ら溶接には使わない)


・・・そうだED-E、先ほどの"彼"、一体何が起こったんだ?


『<Beep>(短い音声のち、身を竦める)』


大丈夫、きっとどこかで生きているさ。
さあ、先を急ごう。


『<Beep>(機体を上下に揺らす)』



 ポッドのある高台から降り、発電ルームへ向かおうとすると、先ほどここへ来るときにくぐった
扉の脇に奇妙な緑色の機械が取り付けられているのに気づく。
機械には計器や様々な色をしたランプがとりつけられており、下端がやや出っ張り上端にスピーカー
がついたその形状は、旧世界のそのまた昔に存在した古い電話機を想像させた。

これは何かとまじまじと見ていると、ED-Eがその間に割り込んでくる。
そしてそれを正面に見据えたと思うと・・・

突如、ED-Eがアークウェルダーから電撃をそれ目掛けて炸裂させた。


 だが電撃を浴びたそれはショートしたり警報を鳴らすでもなく、再び目の前に立った私にこう
語りかけてきたのだ。


『アメリカ軍部共同自動販売&修理ステーションにようこそ!以下から選択して下さい』

"売店ターミナルにアクセスする"

"ユニバーサル修理インターフェースにアクセスする"


この奇妙な緑の機械、どうやら戦前アメリカ軍が使用していた売店ターミナルらしく、
主人のいなくなった今でも様々なアイテムを販売、同時に修理もしてくれるらしい。

そして都合のいいことに、さっきED-Eを開放したターミナルをもう一度調べてみたところ
この機械は戦前キャップを硬貨と誤認する問題が発生していた上、まだ修正されていない
らしい。

 ためしにキャップをいくらか放り込んでから商品を注文すると、インベントリに表示された
アイテムがころりと放り出された。
弾薬や回復アイテムは安価だが、現NCRレンジャーアーマーの戦前での改良品らしいライオットギア、
合衆国陸軍製の白いコンバットアーマーなどの装備品はそれなり高価であった。



 買い物を終えてからユーティリティルームを出、中央の発電ルームへと移動する。
予想通りED-Eは中央のコンソールをハッキングし発電システムを復旧させ、それに呼応する
ように出現したレバーを引くと・・・なんとコンソールの背後にあった壁が開き、先ほど
ユーティリティルームから見えた柱のようなものがはっきりと姿を現した。


曇り一つないガラス窓から見えるのは、アメリカ合衆国の国旗がプリントされた真っ白い柱と、
それを修復している複数のED-E。
そして柱の底には大型の推進用ノズル、その横に使い捨ての推進ユニットがついていた。
つまりあの柱は大型の大陸間弾道ミサイルであったのだ。


 最終戦争の尖兵となり、そして終わらせもしたそれを何に使うのか、だがどちらにしても
ロクなことではない。
だが発電システムの復旧で開いた扉から急ぎ足でリアクタールームに進もうとすると、廊下に
一台のアイボットが転がっているのに気がついた。

ED-Eと同じ型のそれにはアイボットのアップグレードモジュールが取り付けられていて、
試しに半歩後ろをついてきている自分のED-Eに組み込んでみるとED-Eに新たな機能が追加された、
どうやら自分の装備品を一日一回完璧に修復してくれるらしい。


(ディバイドに全部で5つあり、ランクが上がるとより強力な効果が得られる、一部割愛)


 ED-Eに装備をピカピカに磨いてもらったあとリアクタールームへと移動する。
窓越しではわからなかったが弾道ミサイルは何階もの階層をぶち抜いた吹き抜けに安置してあり、
その高さは何十メートルもあった。

頂点からはディバイドの紅い空が見える。



 そうしていると、再びED-Eがメモリーから音声データを抽出し、流し始めた。 


『Dr.グラント、これは一体何のつもりだ?』

『ああ、ウィットリー、ここにいたのね。
 オータム大佐から命令があったの。 彼はアイボット・デュラフレームのプロジェクトが
 遅れていると感じているそうよ。

 私は―――』


『ダメージプロトコルを分離していなかったのか!? 彼を傷つけているぞ!』

『バカなことを言わないで、ただの機械じゃないの。 
 見て、私はすでに、ナビゲーションシステムの効率を65%にまで上げたのよ』


『ここから出て行け!』

『いいわ?ウィットリー。あなたのラボだもの。
 私がこの話を大佐にするまでね』


 オータム大佐…ご存知トレンチコートの似合うFallout3本編のラスボス、実は本業は指揮官よか
        科学者。
        キャピタル・ウェイストランドでのエンクレイヴ残党指揮官であり、
        東海岸B.O.Sと101のアイツを苦しめた。

        本編中盤で主人公の父ジェームスの捨て身の行動により死亡したかと思われた
        がとっさの機転で生還、その後101のアイツを拉致し、エデン大統領の命令を
        無視してまで殺害しようとしたが失敗。
 
        最終的に最強民主主義ロボットリバティ・プライムの暴力で浄化プロジェクト
        本拠地であるジェファーソン記念館に敷いた防衛戦をことごとく突破され
        記念館内部で101のアイツと対峙した。(生かすか殺すかはSpeech次第で自由)
   
        実のところ割と良識はあり、改良型FEVを使ったミュータント(人間も含む)抹殺
        計画を立案したエデン大統領と対立し、あくまでも水質浄化プロジェクトを
        成功させ人心を掌握するといった現実的なプランを練っていた。

        今DLCの録音は3開始直前のもの。



 Dr.ウィットリーは良い人だったみたいだ、それに比べてDr.グラントは何かしでかしそうな
人だな・・・。


『<Beep!>(怒りに震える)』


ひどい話だが・・・ED-E、先に進もう。


 リアクタールーム上階には管制室もあったが中の機械はすでに電源も入らないほどボロボロで、
"レッドグレア"と名付けられた連装ロケット砲の設計図が壁に貼り付けられていた以外は、やたら
硬く火力馬鹿なことが有名だが、柔軟性に欠ける四脚ローラー警備ロボ、セントリーボットが一体
うろついていたのみ。

ディバイド最初の会敵を終え管制室奥の階段から更に上階へと進むと、今度はかなり損傷のひどい
一室へと出た。
室内には機能停止したセントリーボットが転がっていて、その奥には・・・人?


 部屋の奥には大型のキャビネットが倒れていてその上に一人の人間が倒れ、そのすぐ横の
壁にもまた一人、壁に打ち付けられるように死んでいた。

慎重に近寄り、死体をまじましと観察する。
死体は双方がリージョンとNCRのアーマーを着ていて、それがジョシュアの言ったディバイドの
輸送ルート開拓のための送られた兵士達なのだと理解した。

だがこの死体、ただ死んだにしてはあまりにも状態がひどい。
一見グールのようではあるがその皮は一片も残さず全てが剥がれ、赤い筋繊維が全てむき出しと
なっていたのだ。

"マークドマン"というらしい。



 奥にもセントリーボットが待ち構えていたが叩き潰し、ひときわ大きい扉を構えるセキュリティ
ルームへと侵入する。
中には誰もいなかったが・・・両サイドには厳重に保管されたセントリーボットが3機も配備され
ていた、とても嫌な予感が頬をなでる。

だが幸い、グール化した上で死んでいた緑色のトレンチコート…合衆国陸軍将軍らしい人物の
ターミナルからセントリーボットの停止が可能であったため停止させ、同時に机からどこぞの
セキュリティコードを記録したホロテープを引っこ抜きセキュリティルームを去る。


 セキュリティルームからリアクタールーム上階へと戻り、反対側にあったメインエントランスの
暗号化されたセキュリティを、先ほど入手したコードを組み込んだED-Eに解除してもらう。

メインエントランスのコンソールから外へと通じる外壁扉のロックを外すと今度はけたたましく
警報が響く。
Pip-boyが複数の敵性目標をキャッチしレーダー上に写し、コンソールの反対側の窓からはロック
を解除されたセントリーボット達が通路へと雪崩れ込む様がよく見えた。


 しかしこの機械達、長年の間にどこかおかしくなったのか、備え付けられたターレットは味方
がいるいまいに関係なくガトリングレーザーをぶっぱなすわ、セントリーボットはセントリーボット
でミサイルを叩きこむため連携も何もあったものではない。

おまけに機体サイズが仇となりセントリーボットはメインエントランスに侵入できず右往左往する
ばかりだったため、同士討ちの漁夫の利を得る形で簡単に勝利できた。


 安全を確認し外へと通じる通路へと出る。
マークドマン達もここに侵入しようとしていたのだろうか、結構な数の死体があり、そのどれも
がレーザーや銃火器による凄惨な死に方をしていた。

そして外に出る機械扉にはやはりというか、赤いペンキ…もしかすると血だろうか、一文の落書き。
"家に帰れるぞ、運び屋"
顔も見せないユリシーズ、一体何者なのか。


(DLCメインクエスト:The Silo終了)


 サイロの外にはある程度建物の原型を残した、しかしガレキの山が広がっていて、つい久しぶり
と感じてしまった空は紅く燃え上がっていた。

ED-Eも扉をくぐると私より先行し、しかし私が足を進めようとすると途端に足を止め、こちらに
向き直った。


(ユリシーズのセリフ、所属勢力によって変わる)


【NCR】


『君のシグナルだ…弱々しいが、感じるぞ。まるでNCRだな・・・
 声に熱意も、強さもない、へどが出る』

『モハビを歩いたそうだな。双頭のベアに力を与えた。
 キンバルやクロッカーのような口先男に、ハンロンが持っていた力の半分を与えた』

『なら、その力を試してやる。
 フッ…その"信念"を、運び屋よ』

【リージョン】


『君のシグナルだ…弱々しいが、聞こえるぞ。
 他の同志と同じように、血走った目で突っ込んでいくのか』

『君がモハビを歩いてきた話を耳にした。 偽りの姿を脱ぎ捨て…
 あのチップをシーザーではなく… ベガスに届ける決断をしたと』

『君とあのチップは互いにふさわしく、聖書で語られる歴史によれば、
 他の裏切り者が掴んだコインより29枚少ない』

【Mr.ハウス】


『危険を冒してここまで来たか。 ベガスの王へ貢ぐために来たのか?
 旧世界の亡霊どもに懇願しに?』
『君とあのチップは互いにふさわしく、聖書で語られる歴史によれば、
 他の裏切り者が掴んだコインより29枚少ない』

『そろそろ旧世界の舗装路が見えてきたか… 目が眩んでなければ、
 ニューベガスの光が約束する… 未来も』

【イエスマン or 所属勢力なし】


『君のシグナルだ…弱々しいが、聞こえるぞ。
 来たんだな、よかった。 あるいは好奇心か』

『君は旗を背負わずにモハビを歩いた。それもすぐに終わる。
 その背に国の影を負わずして、ロング15を歩くことはできない』


 ロング15…モハビ南西端、モハビ前哨基地から"ある条件を満たすと"行けるエリアで、
      NCRのみならず様々な商人が行き交う交易路。
      インターステイト15につながりグッドスプリングス→スローンと抜けられ、
      最終的にベガスにたどり着く。


『これから試されるところか。または何も信じていないか、今にわかる』


(ユリシーズ的な評価は高い順から
リージョン≒イエスマンor無所属>>超えられない壁>>NCR>>>Mr.ハウスといった感じ)


 ED-Eのスピーカーから、低く重い、しかしそこそこ若い男の声が響いた。
またメモリーの録音かと思ったがどうやら違うらしい。
私を『君』と指す彼、やはりユリシーズか。


【NCR】


"NCRをずいぶん憎んでいるようだが、モハビでは珍しくない"
そう答える。


『ああ・・・珍しくはない。ベアの恩恵を受けている者達にとってもだ』
『彼らの旗は知ってるだろう、2つの頭を持つベアだ。旧世界の頃の象徴には、
 頭がひとつしかなかった、いい時代だな』

(実在した"カリフォルニア共和国"の旗のこと)
(かつてメキシコ領だったカリフォルニアにおいてアメリカ人の追放が始まりそうな雲行き
だったときに、ある33人の"アメリカ人"が隆起し無血でメキシコ人を追放できた際に、
それを祝って革命者達が自作したもの、詳しくはカリフォルニア共和国で検索をどうぞ)

『あの旗は魂に語りかける、双頭の動物と同じように、彼らも分裂状態だ。
 違う方向に進もうとして、どこへも進めずにいる』
 
『モハビにいる者は、そのせいで指の間――― もしくは墓が砂まみれになるだけだ』


【リージョン】


同志?あんたもリージョンってわけか・・・。


『リージョンのことを同志だと考えている… 彼らがどれほど間違っていようとも。
 君のことも… たいていの者より同志と思える』
 

【Mr.ハウス】


"ニューベガスの力を脅威に感じるのか?"
"ベガスとMr.ハウスを恐れてるのか? 当然だろうな"
(回答共通)


『力は強さとは違う。 
 人が壁に囲まれて開放されたと信じるなら、力は壁を築いて人を守れる』
『ハウスのちからが… ベガスを囲む壁を見ただろう。
 彼が力を得るほど、壁は広がっていく。 モハビもベガスになるだろう』

『だが、そこにあるのは強さではなく明かりだ。 
 すぐにそういうものだとわかる』


(イエスマンor無所属はなし)



抽象的な物言いが鼻につくが、言いたいことはわからないでもない。
だがその一方的なまくしたてに対し"何者だ?"と聞くと、やや抽象的さは尾を引いたが正直に
答えてくれた。


 彼はやはり"キャリア・シックス"をしていて、何年も自分を探していたらしい。
彼は私がプラチナチップを運ぶ過程において死ぬと思っていたが、結局私が生き残ったことに
落胆した様子で、その上で"死"そのものであるチップよりも、既に私のほうが危険な存在に
なっているのだと話した。

ユリシーズというのも本名ではなく、歴史の本からとった名前であるらしい。
"神話になるでもなく歴史となっていた"という理由から、彼は神話などではなく歴史を重要視
しているらしい。


そういえば、確かに声には聞き覚えがある・・・だが思い出せない(Perception 6)


『言葉だけが運び屋を出会わせる方法ではない・・・ 時に、俺達の通る道がそうさせる。
 だが・・・ 今まで君と話したことはない』

『この声に聞き覚えがないかもしれないが、俺達は同じ道を歩いてきた。
 ロング15からプリムへ・・・君の歩いてきた君はそれだけではない』
『君の故郷、何度も戻っている場所に行ったことがある・・・ 君が生まれた場所ではなく、
 命を授けた場所であっても、同じ事だ』

『人々は運び屋がコミュニティを支えていたことを忘れていた・・・
 そして、いなくなって初めて現実を知る』


もういい、おしゃべりは十分だ、ここへ誘い出すのに十分に骨を折っただろう。
要点が聞きたい。


『君の行く先でアメリカは眠りにつき、その悪夢の中で地震や嵐に襲われている。
 君は自らの道を見つけなければならない』
『それは、アメリカの幼根を眠りから覚ますということだ。
 道はひとつではない。
 弾頭が崩壊をもたらし、再びゲートが開くかもしれない』

『君には才能がある、その機械、君といるロボットが破壊すべき弾頭・・・
 そしてトリガーとなる起爆装置を見つける助けとなる才能が』


『この先を地下へと進め。
 必要な物はそこにある。

 あとは、君次第だ』 


 わかった、それを――― トリガーを見つけてやる。


『ザ・ディバイドは常に最悪の相手を君に送ってくる。
 ・・・勝てやしない、君がもっと強いか、見ものだな』
『ここからの道はもっと険しくなる・・・ 運び屋』
『目印を残しておいた、知恵を働かせれば、色が道を示してくれる』


『目印が再び故郷へと――― その終着地点へと導いてくれるだろう。
 君の目的も思い出させてくれるはず』


(DLCメインクエスト:The Job 開始)



 ユリシーズからの音声通信が途絶え、再び辺りは砂嵐が岩肌を打ち付ける音だけが響く。
砂嵐は勢いこそ激しくはないものの非常に濃く、2~300m先は目視できないほどのものであった。

ディバイドには戦前米軍が駐屯していた名残かかなりの数の軍用輸送ボックスが手付かずのまま
残っており、その中には各種弾薬や武器、さらには軍用レーションや寝袋までもが綺麗なまま
安置してあった、この先どこで眠れるか分からない以上重宝するだろう。


 サイロの扉のすぐ前の坂を下り、比較的広めの通りへと出る。
アメリカの兵士募集看板が道の横にでかでかと掲げられたそこは、既に濃度の高い放射能で汚染
されていたためRAD-Xを飲み、準備を整えた。

サイロ入り口から見て右側の道は崩落して塞がっており、進めるのは正面の、ドラム缶を2つに
割って横倒しにしたような仮設住宅が広がるエリアか、左側の道路伝いにある主要施設やガソリン
スタンドが占めるエリアのどちらか。

トリガーを見つけるならば住宅街よりかそちらがいいだろう、道を左に進んだ。


 しばらく進みガソリンスタンドの横辺りにつくと、ED-Eが警告音を発する。
同時にPip-boyには敵性目標を示す赤マーカーが複数表示された。

スコープで確認しようにも砂嵐が濃くせいぜい輪郭がわかっていいところだが、どうやら
その輪郭から判断するに敵は銃を持ちアーマーを着た何者か。
それぞれが違ったアーマーを着ていたが、ゴーグル付きの帽子やトゲトゲしたアーマーを
着ている点から、先ほど死体で見かけた"マークドマン"であることが判明した。


 マークドマン達はガレキだらけの主要施設の屋上をこれまたバリケードがわりのガレキで
固めているらしく、砲撃や狙撃も有効とは言えそうにない。
とはいえ逆に言えば彼らの周囲にもおびただしい量の"隠蔽物"があるのだ。


 身をかがめ、主要施設のガレキに身を隠し監視の目を逃れバリケードまで回りこみ、
背後から頭部を吹き飛ばす。
マークドマンの放射能による肉体の再生はグールのそれを上回るようだが、絶命させて
しまえば同じ事、残るマークドマンも振り向く前に先手を取り、瞬く間に制圧した。


(ちなみにレベルを上げ過ぎると、ライオットショットガン、アンチマテリアルライフル、
ブラッシュガンといった各カテゴリの最強武器のオンパレードになり難易度が激増する)


 銃を構えたまま彼らの守っていた施設、ホープヴィルミサイル基地へと侵入し、
内部にいたマークドマンも同様に始末する。
そういえば彼ら、この過酷な環境下で何を食べているんだ?という素朴な疑問が浮かんだところ、
施設内部にあった、肉片を詰めたゴアバッグとその形状からすぐに解決してしまった。
どうやら人間・・・というよりか、共食いをしているらしい。

施設内部にトリガーは無かったが、かわりにED-Eのアップグレードモジュールの一つが
落ちていた、今度はED-Eが一日規定数マイクロフュージョン・セルかエナジーセルを
製造してくれるようになるそうだ。

 ついでに中にはシエラ・マドレやビッグ・エンプティにあったものと同タイプのオート
ドクターがあったためひととおり傷を治療し、備え付けられていた売店ターミナルから
"フラッシュバン"を入手する。

一対多で敵の目が自分に釘付けになる状況下においては、こういった目眩ましはかなり
重宝するのだ。
(フラッシュバンは相手に一定量受けると昏倒する"疲労ダメージ"を与える他、
特定の敵を驚かせ逃走させることも可能な便利アイテム、このあとある場所で大変役立つ)


 施設を出て裏手に周り直進を続け、今度は比較的損傷の少ない建物が立ち並ぶエリア、
今ではマークドマン達がキャンプをしているらしい"マークドマン・キャンプ"へと足を
踏み入れる。

すると突如、何かが飛来する音が耳を突き抜ける。


 慌てて伏せ、同時に音のする方向へと目を向ける。
目を向けた方向には一人のマークドマンがミサイルランチャーのような、しかし少々
細長いものを持ち2階建ての建物の屋上に立っており、そこから無数の小さなロケット弾を
撃ち続けていた。

ロケットの威力もさることながら、とにかく数が多い上ばらけるため着弾点に予測がつきにくい。

 
 建物に身を隠し、屋上からひたすらロケットを撃ち続けるマークドマンと一進一退の攻防を
繰り広げる。
振動と爆音のせいで照準がつけられない発射中はひたすら身を隠し、ロケットの嵐が止む
リロードの一瞬の隙に出来る限りの弾を撃ち続けた結果、屋上のマークドマンは血反吐を
吐きつつ、手に持つ大筒を転げ落とし倒れ伏した。

 周囲の安全を確認し、建物の階段を上がり倒したマークドマンへと駆け寄る。
マークドマンが持っていた大筒。それは以前サイロ内で見かけた設計図に描かれていた
"レッドグレア"そのものであった。



 アメリカ合衆国の国旗が描かれた砲身には発射口のすぐそばにトリガーがとりつけられ、
ほぼ砲身の中央右横にもがっしりとしたグリップが構えている。
ご丁寧なことにこのレッドグレア照準装置がついているようだが、13発連装のロケット砲
なんてもので照準を合わせることが出来るかどうかは・・・先ほどの彼を見ればお察しだ。

弾薬は専用のロケットキャニスターというものを使うようで、リロードの際はトリガーを
グリップごと手前に引くと砲身が折れ、そこから露出した使用済みのロケットキャニスターを
入れ替える仕組みとなっているため案外リロードは早い、使えそうだ、持って行こう。


 マークドマンが余らせていたロケットキャニスターを根こそぎ持って行こうと手を伸ばすと、
軍用ボックスにひとつ、変わった銃を見かける。
見てくれはレーザーピストルのようだが弾薬を装填するカートリッジのようなものが見当たらず、
なにより極めて軽い。

そこでよく見てみると、これことがユリシーズの言っていたトリガー、即ちディバイドに
散らばる弾頭の数々を破壊することのできる"レ―ザー起爆装置"であると分かった。

発射されるレーザー自体に殺傷性はないかわり、内蔵された弾薬は自動回復をするため
ほぼ無制限に発射が可能であり、なおかつディバイドに散らばる弾頭へ放射するとそれを
起爆させることが可能らしい。


 建物を降り、少し道を進んだところにある弾頭にレーザーを照射する。
レーザーを受けた弾頭は少しづつ亀裂から光を発し、5秒ほど撃ち続けてやると道を塞いでいた
スクラップを巻き込みミニ・ニュークかくやという大爆笑を起こし消し飛んだ。

弾頭の爆発で破壊されたスクラップの間からは、住宅街の出口と交差し、奥へとつながる道が見える。
起爆装置をポケットにしまい、私はその"ロンサムロード"と呼ばれる道へと足を進めることにした。



 大きな壁を挟んで向かい側、東へ行く道の正面ゲートは鍵がかかっていたため南へ迂回し、
壊れた壁から今ではマークドマン達が前哨基地代わりに使っているらしい破壊された2階建ての
商店跡を奇襲で制圧した後、道を進む。

瓦礫の山づたいに進んでいくと、再び弾頭が足元にスクラップの山を築いて立ちふさがったため
爆破する。
すると当然騒ぎを聞きつけてきたマークドマン達が立ちふさがるのだが、その中に一人、またもや
奇妙な武器を使う者がいた。



 火炎放射器を構える、ボロボロだがNCRレンジャーのパトロールアーマーと、コンバットナイフ
の刃をそのまま中央に差し込んだような兜をした、リージョンとNCRの指揮官の装備をごっちゃに
したような装備に身を包んだ彼を筆頭に突撃してくるマークドマン達の後ろに一人、弾速の遅い
赤色の発光弾を断続的に飛ばしてくる者がいた。

 どうにもこの弾、火炎弾のようだが焼夷弾にしてもインシネレーターにしても威力があまりにも低い。
うっかり直撃弾を受けても全くアーマーに損傷はなく、せいぜい着弾点がしばらくの間煌々と
輝き続けるのが関の山だ。

マークドマンの小隊を始末し、近寄られてもそのピストルを手放さない彼も同様に叩き潰す。


回収したピストルはやはりか、非常信号用発射銃である"フレアガン"であり、
火炎放射器燃料を少量込めて引き金を引くと赤色の信号弾を飛ばすだけのものであった。




 傷を癒し、彼らの拠点の真横に続いていた戦前の高速道路入り口にもあった弾頭を爆破するが…
なんとスクラップの山の中に核分裂エンジンの残った車でもあったのか、弾頭の爆破に反応して
スクラップの山が連鎖爆発を起こした。

弾頭の爆風が届かないようある程度距離を保っていたが今回ばかりは予想外で、二重、三重と
連なる爆風に大きく吹き飛ばされる。


 幸い大きな怪我がなかったためすぐ起き上がり進もうとするが・・・なんということか。
何重もの爆発が道を崩落させたのは幸い車を足場にして進めたからまだいい、その先にあった
トンネルは、崩落して正面へと進むことが叶わず地下深くへと大きく口を開けていたのだ。

地上には皮膚を剥かれたマークドマン、なら地下には・・・。
拾ったフレアガンを握りしめ、瓦礫の山を一段、また一段と、ディバイドの地下深く
未知の領域が広がる"オーバーバストンネル"へと降りていった。




 オーバーバストンネルのガレキを下って11~2Mは降りた頃だろうか、傾斜が緩くなったあたりで、
ED-Eがまたこちらを向き、以前の会話ログの続きを流し始めた。


『信じられん!Dr.グラントの奴は本当にオータム大佐のところへ行って、
 "能率ガイドライン"とやらの許可を貰ってきたと言うのか!』
『"反復時間を短縮するため、すべての実験は完全にアクティブなテスト対象で
 行うこと" …なんて野蛮な!』

『大佐には説明したよ―― あのアイボットに本物のAIが実装されていないからと言って、
 ただの機械とは言えんのだ!』

『ここでは結果が全てらしい。
 "論理的なプロセス"や"人間的な扱い"といったものを忘れているようだ』
『ここのリーダシップについては、深刻な疑念を持たざるをえない。
 まあ、私にはお前と言う話し相手がいるがね、ED-E(エディー)?』


 Dr.ウィットリーは少々自分のアイボットに過保護な気もするが・・・
多くのロボットを見てきた私にとって、彼らが単なる機械でないのはわかる。
そう言うとED-EはDr.グラントへの怒りか機体をやや上に向けプルプルと震え、半音高い
Beep音を小刻みに鳴らして応えた。

 それにしても、ログの中の彼は発明家というよりかもはや父親にも思える。
ならば彼は状況を変えようとしたのだろう、あんなことを見過ごすタイプには思えないが…。
ED-Eはこれを聞くと、急に機体を下へ傾けうなだれるように半音低いBeep音で応えた、
よくないことが起こったのだろうか。

なんにせよ、真相はまたそのうち唐突にED-Eのログが教えてくれるだろうか。
進もう、やらなきゃいけないことは山積みだ。


『<Beep>』



 ED-Eを後ろにつかせ、前に進もうとする。
すると倒れたバスの端から、見覚えのある黄土色の尻尾がのぞいているのに気がついた。
間違いなく、モハビ最強のミュータント生物として名高い"デスクロー"のものだ。

幸いこちらには気づいておらず、そのままガレキの向こうへと去っていってくれたため、
こちらも息を殺し背後から後をつける。


 暗く、しばしばある天井の裂け目からの光と、先行して誰かが来ていたらしく一定の間隔で
設置してあるランプだけが周囲を照らすトンネル内で、視界は不明瞭な上隠蔽物が多いこの地形、
デスクローと正面から相対して無事ではいられないだろうが先手を打てば・・・と銃を構えた
あたりで、デスクローが何かに気づいたのか、すぐ横にあった大型のコンテナ内へと戦闘態勢
である両手を広げたポーズをとり飛び込んでいった。

可哀想に、あんな閉所でデスクローに襲われてはあっというまにミンチだろう。
そう予測し隠蔽物から身を乗り出すと、数秒の後"デスクローの断末魔"が響いた。


 デスクローがこの閉所で、それもほんの数秒で殺された?
とても信じられないが、それを証明するように底が抜けていたらしいコンテナから、デスクローの
死体が転がったのが見えた。


 デスクローを容易に葬る生物・・・一体何者だろうか。
確かめるべくある程度コンテナまで近づくと、今度はコンテナの中から黒色をした何かが
飛び出してきた。

その"何か"が4足歩行の生き物であったことはハッキリしたが、正直モハビでもこんなものは
見たことがない。
一見すると、人間に近い骨格をしているその生き物は全身が黒く、両手足についた小さな爪と
頭付近にあるいくつかの角の先端が怪しく光っていた。

目は2つだがコーラ瓶の底面ほど大きい、鱗もついていたようなので爬虫類の一種だろうか。


 その生き物はコンテナから飛び出すなりすぐ走り去っていったため被害はなかったのだが、
逆に言えばそちらはこれから私が進む方向であり、嫌でも再会を約束される形となってしまった。


 周囲の安全を確認し、コンテナへと近寄る。
コンテナの中にはデスクローの死体が残るのみだが、その入口に、NCRのアーマーを着た兵士の
死体が転がっていた。
 
NCR兵の成れの果てのマークドマンか・・・と思いライトを向ける。
しかしその死体は、あろうことか、肌の綺麗なまま死に絶えている"普通の"NCR兵であった。


 第一次フーバーダム戦争の犠牲者なのか当時の指令を記載したメモを持っていて、
そこには先ほどの黒い生物の情報も僅かだか書かれていた。
彼らが"半ヒューマノイド"とみなしていたあの黒い生き物はこの地下を根城にしているらしく、
光や大きな音に弱い性質を持っているそうだ。

そのためここを突破しようとした彼らブラボー・チームには撃退が容易になるようフラッシュ
バンが支給されていたらしいが・・・。

 
 ふと周りを見渡すと、他にも複数の死体が転がっていた。
仮にデスクローが原因だとして、一般の兵卒なら力不足で・・・ということもあるだろう。
だが彼らの死体の中には歴戦の戦士であるレンジャーまでもが含まれていて、いずれも
血しぶきを撒き散らし凄惨な死に様を晒していた。

死体とその周りのボックスにはまだフラッシュバンが余っており、先ほどのヒューマノイド
とはまた違う原因が彼らに死を与えたのかもしれない。


 そしてここにも"家に帰れるぞ、運び屋"というメッセージが描かれていた。
ユリシーズがここを抜けられるならば、自分にも出来なければならない。
死体からドッグタグと、コンテナの彼の脇に転がっていたネイルガンを手にとり、
トンネルの奥へと足を向けた。


 少し進み、崩落により落下したバスがいくつも転がるエリアに差し掛かった時、目の前で、
というより目の前の地面、ガレキの隙間から隆起した巣穴のような場所からそれは姿を現した。
 
黒光りするその体表は腹部や胸部、脇の下などの内側の部分以外がほぼ全てが鱗に覆われ、
小さいがヤギのようにくるっと後方に回っている角は大きな目と同様怪しく発光している。
そして先ほど爪だと思っていた発光する手先は指そのものであり、流れる血液のせいか
やや赤みを帯びた光を発していた。

骨格は完全に人間のそれと同様のようだが、近くで見るそれはまさに聖書の悪魔そのもの
であり、見るものに恐怖を味合わせること請け合いだろう。


 その黒い生き物…"トンネラー"でいいだろう、それは地表へ姿を現したあとしばらく私を凝視し、
次に辺りを少し見渡したあと・・・獲物と認識したのか急に敵意をむき出しにし、飛びかかってきた。

こちらも構えていた銃で応戦する。
しかしこのトンネラー、爪や牙のような強力な獲物を有さないかわり非常に膂力に長けている
らしく、殴られるたびにアーマーごしに大きな衝撃が伝わるほど。

おまけに全身の鱗や筋肉の鎧は非常に硬く、飛びかかってきたそれを制するのに至近距離から
のショットガン三発を必要とするほどであった。


 目の前に転がるそれを目にし、ほっと安堵に胸をなでおろす。
しかしそれもつかの間、Pip-boyは複数の敵性目標をレーダーに表示した。

周囲を見ると4,5体はいるだろうか、トンネラー達が自分を取り囲んでいて、視線があうなり
飛びかかかってくる。

 一体だけならともかく、この数を相手にして勝てる見込みが薄い。
そこでふと頭に浮かんだ、先ほどのメモの内容を実践してみることにした。


 まずホルスターからフレアガンを抜き、目の前のトンネラーの一体へと向ける。
引き金を引くとともにフレアガンから発射された発光弾はトンネラーを包み、周囲2~3Mの
トンネラー達の視界を光と熱で奪った。

突然の事態に驚いた、フレアガンを受けたトンネラー達は踵を返しトンネルの奥へと逃げていく。


 そして間髪入れずに今度はフラッシュバンのピンを抜き転がすと、フラッシュバンは数秒の
ラグを置いて起爆、周囲一体に光と爆音をまき散らした。

これには残りのトンネラー達もたじろぎ、蜘蛛の子を散らすように一斉に逃げていく。
残るフラッシュバンは少なく、フレアガンは火炎放射器の燃料を一度に十発分使う金食い虫、
すべて切れるまでに抜けられるか。


(トンネラーは、部位に重症を負わせる能力、プレイヤーをダウンさせる能力が高く、
ステータス自体の高さと相まって ダウン→袋叩き→ダウン のループでのされがち)
(的が小さい上群れるため、正面切って相手をするとデスクローがかわいく見えるほど)

(フレアガンとフラッシュバンには、トンネラーやデスクローのような"アポミネーション"
に分類される敵を逃走させる効果がある)


 立ちふさがるトンネラー達をフレアガンで散らし、追手を転がしたフラッシュバンで
追い返す。 
地面にぽっかりと空いた蟻塚のような巣穴から湧いて出るトンネラー達を食い止め、
透明になって奇襲をかけてくる個体を殴り飛ばし進んでいく。

150Mほど進んだころだろうか、空に大きな穴が開いているのが見えた、出口だ。
傾斜のきつい、崩落した道を必死に登り、追手にはフラッシュバンを転がし文字通り転がしてやる。


そうしてようやく私はトンネルを抜け、大地を大きく引き離しディバイドを横断する
高速道路跡、紅く燃える空に最も近い"ハイロード"へとたどり着いた。


(DLCメインクエスト:The Job 終了)


【NCR】


『見つけたぞ… しばらくおとなしくしていたわけか… 
 ベア殺しも楽じゃあるまい… 君も、連れの機械も生き延びたか』

『ここザ・ディバイドには教訓がある。舗装と意志に関する旧世界の歴史が。
 NCRに教える――― 奴らに聞く耳があればだが』
『奴らは正しい事をしようとして、しくじってばかりだ。
 君も見ただろう。ニプトンかどこかで』


【リージョン】


『君の機械のシグナルをキャッチした… しばらくおとなしくしていたから。
 またひとりリージョンの者が、道の犠牲になったかと思ったぞ』

『ここでは多くのブルがやられてる… 放射能に火災、地下に潜む何かのせいで』


【Mr.ハウス】


『見つけたぞ。しばらく黙っていたから… 
 快適なベガスへ戻ったのかと思った。 あの機械と一緒にな』
『ここザ・ディバイドには教訓がある。 旧世界の歴史いわく、
 何かに固執しすぎると壊れるか… バラバラになってしまう』

『すでにベガスの壁にヒビを見つけたかもしれないが、そのヒビはやがて大きくなる。
 君がいくらハウスが支えてもだ』


【イエスマン or 無所属】


『見つけたぞ、しばらく黙っていただろう?
 そうしたらその機械から、心臓の鼓動ように強いシグナルをキャッチした』
『旧世界の街を抜け、つなぐトンネルを経て… ハイロードへ至ったのか』

『君も色々見てきただろうが… この先はもっとひどい。
 デスクローはマークドマンを狩り… 地下に潜むものを狩る』


 トンネル内まで電波が通じなかったせいか、まってましたと言わんばかりにユリシーズは
ED-Eを通し相変わらずの口調で淡々と話す。


【NCR】

じゃあなんだ、もっといいやり方があるって?
(もう一つは"少なくともモハビを助けようとしている"となり、その場合「リージョンは人々を
殺しはしないが、NCRは守ろうとして殺している」という興味深い意見が聞ける)


『そうだ… そして、どの運び屋も同じ事を言うだろう。どこもそんな状態だと。
 ベアは… …ベアはモハビをナイフや道、国境で分けるのに忙しい。
 あるべき姿へ変えようとして、現状を思い知らされる』
『彼らは薄く引き伸ばされ、前線も街も守れず、新聞が力だと、ラジオこそが支配だと
 考えている。 そのすべてが無意味だ』

『今はどうでもいい事だ。 ベアにはザ・ディバイドを支えられない』

『ここに残っているNCRは、君とあの機械だけだ…
 あとは放射能、炎、そして…地下に潜むものの犠牲になった』


【Mr.ハウス】


あんたが歴史に執着するように、こちらは未来を望んでいる。


『ハウスとの未来は2つに分かれている。
 ベガスの部族が歩み… 彼らの魂を押しつぶした道…』
『…または召使いロボットに君の顔が映しだされ、死のカジノで永久に笑顔をたたえる道。
 どちらにしろ、未来はない』

ベガスのどこが気に入らないんだ?

『ベガスは旧世界の亡霊であふれた旧世界だ。
 亡霊たちは生きる者に自分たちの仕事をやらせる必要がある』
『だからあそこにはファミリーが存在し、ベアがつまずいて自らを見失う。
 まるで目的の分からない舞踏会だ』

『あの壁を見たはずだ。 内側にあるもの、それが不安をかき立てる』


 "舞踏会"、彼はまたこれを"劇場"とも言い、NCRとリージョンが踊る舞台をハウスが
眺めるのだと揶揄した。
本人はハウスに直接会ったわけではないらしいが、ベガスを復興させた彼を"歴史の墓を
掘り返した"と強く批判し、最後に
「ロボットの画面に顔が映し出され、皆が形だけ笑っている世界にいたくない」のだと話した。



地下に潜むもの。
"トンネラー"の名の示す通り、かれらはこの地下で"道を作っている"真っ最中であるそうだ。
地下にいた彼らはディバイドの崩壊とともに現れた、引き裂かれた大地の隙間から見えた
地上の空から新たな獲物の匂いを感じ、今ではじわじわとモハビへと勢力圏を広げようとしているらしい。

じゃあつまり、戦争による放射能が彼らを生み出したのなら、彼らは爆発や炎によって
地表へと現れたのか?(Science65)
 

『筋が通っている。真実は筋が通った話を好むものだ。ここの歴史とも合致している』


 ユリシーズが話すに、彼らトンネラーはマークドマンが現れる遥か前、ディバイドがこの惨状に
なる以前より存在している生物であり、彼の見立てでは世界を滅ぼした最終戦争が沈静化した
頃に誕生したものであるらしい。

更にユリシーズはトンネラー達がモハビへ数年後に現れ、おまけに地下からやってくるため
モハビが格好の餌食になると既に予測を立てていた。(Survival 35選択肢)

 群れで動き繁殖力が高い彼らはモハビの誰の手にも負えない存在になることは想像に難く
なく、それを裏付けるように彼は「デスクローを引き裂く奴らを見た」と話す。
例え圧倒的な力を持つデスクローですら、抵抗しても群れが次々ととりつきズタズタにされて
しまうそうだ・・・先ほどは一匹に殺されていたが。

それを彼は「デンバーハウンドのようだ」とコメントした。
詳しく追求すると彼は少し口調を軽くし、以前自分がリージョン領になる前の東の地、強いては
デンバーを歩き、それを見た上で部族達が必死に生きていることに対し"ブルはいい仕事をした"
と言った。
(部族の名前?)


(好感度の高い勢力の選択肢のみが出る)


【NCR】


"ホープヴィルの兵士たちは… かつてNCRだったはずだ。
 なぜリージョンの側についている?"


『真実が見えるはず… スカベンジャーとは違う… 
 それは彼らが身に着けていたものだ。 すべてが起こる前に』
『痛みが奇妙な同盟を生んだ… ベアとブルが共に戦場で抱える憎しみ。
 それがザ・ディバイドへ向けられた。 生き残ったのは… ごくわずかだ』 

『破壊が始まったとき、NCRの多くはすでにここにいた。
 シーザーやリージョンを恐れ、東への道を確保しながら』


【リージョン】


"ホープヴィルのリージョナリーはリージョンのアーマー
―――それに奇妙なマスクとブレードを身につけていた"


『君はリージョンを十分に知らない。彼らがこんなことになった後でも
 何を崇拝しているのか… 何に執着しているのかを、理解していない』
『彼らはシーザーがラニウス司令官に与えたマスクの偽物を身につけている。
 最初は侮辱だったが… 今ならよくわかる』

『あれはディバイドの金属で作られていて… ガサツで強度に欠ける。
 だが、憎しみが込められている。 彼らを繋ぎ止めるものだ』
『荒削りで実用的―― 彼らのブレードと同じく、司令官の影響を受けているようだな。
 ザ・ディバイドに引き裂かれた後でも、彼らが執着するものの象徴だ』

(ラニウス司令官…本編リージョンルート以外でのラスボス、リガタス・ラニウスのこと)


 NCR領は西に広がっており、もしモハビを戦場としそしてフーバーダムを補強するなら、
ザ・ディバイド。この補給ラインを確保する必要があった。

そう答えると、彼は『ダムだ、旧世界の壁だよ』と答え、話し始めた。

 
『ベアは、NCRは簡単にはたどり着けなかった。
 ロング15… カナーン… どちらもひどかった』
『キンバル、シーザー、ハウス… 連中にとっては、コロラド川をさえぎる壁が
 世界のすべてだった。俺があれを見つけず、口にも出さなければよかったが…』

『…だが発見の後、シーザーにはそれしか見えなくなった。
 そして対岸のシンボルは、奴と対決できるだけの勢力だった』
『リージョンは、ダムへ向かう主要道路のザ・ディバイドを分断する事にした。
 ベアを一撃で殺せないなら、出血させ、飢えさせよと』

『あの殺しは… リージョンなら誰がやってもおかしくなかった。
 今やザ・ディバイドは… 歴史の中だ』


 つまりユリシーズは元々リージョンと密接な関係を持っており、彼がフーバーダムを
発見しシーザーに教えたのがきっかけとなりこの戦争が始まったわけだ。
そしてNCRは道を拓きに、リージョンはその妨害のため兵士をここへと送り・・・今があると。

 そして外へ、強いては彼らをここへ送り込んだ存在に対する憎しみが両陣営を超え結託し、
侵入者を排除する行動をとらせているということだろうか。
しかし忠誠心のかけらもないNCR兵はともかく、シーザーを盲目的に崇拝するリージョンの
兵士までがそんなことをするとは。


ならば、ここがハイロードなら、どこへつながっている?


『ハイロードの行き着く先はアシュトン―― そのサイロだ』
『君とあの機械なら、それを開き、目覚めさせられる。
 ホープヴィルでそうしたように』


 このロボットをかなり憎んでいるようだな、言葉からそう感じる。(Perception 6)
そう言うと、ユリシーズは少し意表を突かれたのか『憎しみ?』と反復し、少し考えた
のか間を開けてから、『違うな』と答えた。


『鉄だろうが金だろうが、金属を憎む必要はない… プラチナでもな』
『君の機械は… ただの道具だ… ザ・ディバイドの残骸から作られ、
 ここに運び込まれたんだ』


そうは言うがやはり声はいつもより重く、どこか憎しみかそれに準ずる感情を感じ得ない。
話を戻し、先ほどのユリシーズの言葉に対し"この道はどこにも続いていない、ザ・ディバイド
には何もない"とやや挑発的に答える。

 ユリシーズは、『モハビの連中の多くは、ここザ・ディバイドがただの嵐の吹く谷間だと
思っている。常にそうとも限らない』と冷静に答えを述べ、続けて懐かしむような口ぶりで
『ずっと西には生活も街もあった』と絞り出した。

その旧世界の町並みとは違う、新しいコミュニティ・・・
彼が言うにはそこには、私も来たことがあるはずだと言う。


 NCRが本来求めていた供給ライン、地面の割れ目ではない"ザ・ディバイド"はそこに存在し、
西部とモハビをつないでいたのだ。
そしてその道を私は西から東を目指しと歩き…そして今私がしていることは、まさに反対側に
戻っているのだという。


『君がそこにたどり着いた時、目の当たりにするだろう…
 故郷はもうかつての姿ではなくなっていると』


 つまり、私は別の方向からここへ―― 故郷を目指し歩いてきたと?


『すべての道は、故郷につながっている。
 生まれた場所ではなく、故郷へと』
『故郷は生まれ落ちた場所ではない。君が教えてくれた。
 意図したかどうかはさておき、メッセージに込めて』


『頭のなかにある場所、自分が何者か理解できる瞬間… 歴史の場合もある。
 または自分が命を吹き込んだ場所かもしれない』

『君がいなければ、ザ・ディバイドのことは知りえなかった。
 君が何度も進み、作りだした道だ』
『自らここにやって来て、ここから旅をしたのは君だけだった… 険しい道だったろう。
 長い期間、嵐を越えて、ザ・ディバイドの前に広がる土地を生かし続けた』


『…単なる仕事ではなかったはずだ、君にとっては別の意味があった。
 故郷でもない限り、あれほどひどい場所を好んだりしない』


モハビだけじゃない、これまでも険しい道を歩いてきた。
それに意味なんてない。


『意味ならたくさんある―― 君が否定しようと、無視しようとも。
 それが君という存在に語りかけ、ここで起こったことを証明している』
『ザ・ディバイドを生かしてきた、あの道を君が歩いた。君が発端となった。
 入植者が… キャンプが… 旧世界のあの街を埋め尽くしていた』


『新たなる国のきっかけ、新たなる始まりがあった。新たなる価値観が生まれていた』
『モハビに新しい命を吹き込み、東部と西部の隔たりを埋めたかも知れなかった。
 フーバーダムのように… しかし旧世界とは違う、君が生んだ何かが。道は供給ラインだった』


この場所には街があり、人がいて、もしかすると国が興るかもしれなかった。
だがこうなった… 何があったんだ?


『NCRは君が作ったあの道の価値を理解していた。そして権利を主張した。
 望まれているかどうかは関係なく。モハビではそれが当たり前のように』
『そしてベアが生き延びようとすがった場所に、リージョンが現れ… メッセージを届けた。
 一部は武力によって… 他は運び屋によって』

『君がどうなるか知っていた。
 俺が君の未来を知っているのと同じように』


『今度は君が重荷を背負う番だ。 太陽に向かって西へと進み、太陽が朽ちるまで
 走り続けろ。

 そこで――― 俺は待っている』



(DLCメインクエスト:The Job 終了)
(DLCメインクエスト:The Launch 開始)




 ハイロードは、うっすらとしか見えないほど遠い別のトンネルへ繋がる高速道路のようで、
オーバーバストンネルの出口の断崖絶壁を始点に道路の下には吸い込まれるような高低差が
広がっていた。

4~50Mはあるだろうか、落ちてはひとたまりもない。
むしろこれだけの高層建築が、200年もの間残っているのも驚きではあるか。

(無論落ちれば即死、しかも落下中に画面が暗くなり、ロード画面に入る直前に"メキョ"と
いう落下音が響くのでぞわぞわすること請け合い)


 ハイロード入り口の廃棄された軍用トラックを拠点にキャンプを張っていたマークドマンの
小隊に奇襲を仕掛け叩き潰し、ところどころ亀裂や崩落が広がる危険な道を歩き進む。
少し先に見えるビルはハイロードから14~15Mほど上でぽっきりと折れており、道路に小さな
トンネルを作っていた。

 そこを拠点にしていたスナイパーを足元の弾頭を起爆する形で始末し、落下したビルの瓦礫の
せいか、吸い込まれるような穴がいくつか広がるトンネルをくぐる。
そこからしばらく進むと、これまた廃棄されたらしいキャンピングカーのキャンパーシェルだけ
が置いてあるのを見つけた。


 ここまで敵に遭うことはなく、そして周囲にも敵の反応がないことを確認しこれはいいと
腰を下ろし一息つく。
しかしキャンパーシェルの窓から道の先を見ようと車体の前まで進むと、突如、車体が
大きく揺れた。

同時に背筋を凍らせるのに十分な、重く低い方向が響く。
だが周囲にはやはり何もいない。
もしやと思い天井を見ると・・・そこからデスクローの鋭利な足の爪がのぞいていた。


 デスクローは別段私を狙うためにここに来たわけではないらしく、私に気づかないまま天井
をうろうろしているだけでありPip-boyもあくまで警戒を表す[CAUTION]に表示をとどめている。
しかしこのままでは一息つくどころか、先へ進むことすら出来ない。

現状を打破すべく、私は天井へ向けてフレアガンを構えた。

発光弾は天井の隙間から猛烈な光と熱をデスクローの真下から伝え、突然の事態に驚愕した
デスクローはキャンパーシェルから飛び降りキャンパーセルの周囲を闇雲に動きまわる。
それを迎え撃つよう銃を構え、戦闘態勢すらとれないままのデスクローに弾丸をありったけ
叩きこむと、あっというまにデスクローは倒れ伏した。


(ディバイドのデスクローは、ステータスがモハビのものとは比べ物にならないほど高い)
(固定イベントだが、キャンパーシェルに入らなければスルー可、正面切って倒してもいい)



 今度こそ休息をとり、デスクローが落ちてきたらしい交差する高速道路の真下をくぐり
先へと進む。
戦争の開始とともに放棄されたであろうバイクや車を囲むようにナワバリを作っていた
デスクロー達を弾頭ごとふっ飛ばし、ガレキの山を乗り越えしばらく進み2つ目の高速道路
の真下を抜けたあたりで、またED-Eが音声ログを流し始めた。



『恐縮ですが、あなたは間違っておられます。デュラフレーム・アイボットの研究は
 突破口が開けるところです。私には分かります!  …分かりました』
『分かっております、デュラフレームの素材がヘルファイア・アーマーに必要なのは
 理解しています。ですが―――

 …いいえ。 はい、ええ、分かりました』

『EDシリーズのプロトタイプを全て解体するよう。 ただちにチームへ通告します』


『ED-E(エディー)、このいたずらっ子め。また盗み聞きをしていたのか?
 お前さんの見ているビデオは、どうも教育に良くないな。

 …どこまで聞いていたんだ?』
『<Beep>(不安そうな、掠れるように小さな音)』

『ふむ…Dr.グラントはお前のナビゲーションシステムをアップグレードしたと言ったな?
 私にいい考えがある… お前、ラルフィのようになりたくないか?』



 Dr.ウィットリーは他の研究者とは違うらしい、それが軋轢を生んだのだろう。
こんなものまで録音しているのはなぜかと思ったが、どうもED-Eは周囲の音を全て録音
しているそうだ、言葉を選んで話をしたほうがいいな。


『<Beep>(そりゃないぜ!と言わんばかりのやや高音)』


さあ、行こう。


 その地点から更に先、高速道路の周囲が崖から陸地に変わり、骨組みだけ残ったビル群が
多くを占めるあたりになったころ、反対側のトンネルを見つけた。
しかし残念ながらトンネルはオーバーバストンネル以上に崩落がひどく先へ進めなかったため、
迂回し崖の隙間に作られた道から高速道路を抜けるルートを選ぶことにした。
 

 脇のインターチェンジから高速道路を抜け、侵入者用の梱包爆薬が仕掛けられた坂をしばらく
登ると、ボロボロの廃墟がいくつか並んでいる場所へとたどり着く。
マークドマンの基地なのか、Pip-boyが無数の敵性目標をレーダー上に写す。


そこはマークドマンの基地であるらしく、レンガ―を積み上げた簡単な寝床やキャンプファイヤー、
作業台や腰掛け台が設置してある彼ら憩いの空間に仕上げられていて、ライフルやミサイルランチャー
を構えたマークドマン達が厳重に警備を固めていた。

幸い横道にまで警備の目はないようだったため身をかがめ横をすり抜け、
次の目標"アシュトン・サイロ・コントロール・ステーション"へと足を進めることにした。



(なお、突破して反対側に行くと弾頭があり、それを起爆すると中に抗放射能ケースを持って
避難していた哀れな人物の死体がある)
(マスクなども完備なため大戦中逃げ込んだはいいが、崖が崩落し閉じ込められたと思われる)


 道をしばらく進んだ先、マークドマンの基地代わりの廃墟が少しだけ見える場所にその扉は
あった。
元々は天井があったらしいこの小部屋のような場所は今では入って右にある機械扉を除き壁すら
が崩れており、あるものといったら作業用の安全帽や放射性物質よけのマスクが置かれた棚、
そして野ざらしにされていた精密機器のコンソールのみであった。

 コンソールの向こう側には、崩落した壁から少し離れた位置に整地された円形のサークルと、
その中央にあるまたもや円形の蓋が見える。
周囲には柱が備え付けられていたようだが4本中3本が根本から完全に折れており、残る一本も
地上から数M上がった所でぽっきりと折れていた。

右手にある機械扉はロックされていて、どれだけ力を加えようとびくともしない。
これはもしやと目の前で"引いて!"と言わんばかりに赤色で自己主張をするコンソールのレバー
を引くと、扉のロックが外れるとともにけたたましく警告音が響いた。


 警告音が響くと同時に、コンソールの向こう側にあった円形の蓋が動き出す。
白色に黒い縁取りをした円形の蓋は真っ二つに割れると、中から急激に煙を放出するとともに、
轟音を上げて"あるもの"を天高く贈り届けた。


ミサイルだ、それも何十メートルもある。


 以前ホープヴィルのミサイルサイロで見かけたものと同タイプのミサイルは、そのノズルから
火炎放射器も真っ青な爆炎を吹き出し高く高くへと消えていく。
そしてある程度の高度へ達するとミサイルは軌道を変え・・・遥か彼方、どこか分からない場所に
着弾し、真っ赤なキノコ雲を世界へと顕現させた。


かつて世界を焼き尽くしたその爆炎が、ディバイドの空を真昼のように照らしていた。


(DLCメインクエスト:The Launch 終了)
(DLCメインクエスト:The Divide 開始)


(この時点から、北東にあるミサイルの爆心地"クーリエズ・マイル"へと行ける)
(高濃度の放射能、スクリプト湧きするデスクローとマークドマンがなぜか協力している上
閉所での戦闘を強制される超高難度エリア、おそらくスローンの採石場やフォートよりも上)



『よし、これで大丈夫だな。ED-E、よく聞いてくれ。ここにいたら、
 お前は解体されてしまう。 ここから逃げるんだ』
『お前のシステムにナヴァロにある前哨基地の座標をアップロードした。
 向こうのエンクレイヴのところに行ってくれ。いいな?』


 エンクレイヴ…Fallout2から登場した、純粋な(FEVに感染してない)アメリカ人による合衆国
        復興を標榜する武装組織。
        それだけなら聞こえはいいのだが、要は"FEV感染者の子孫のウェイストランド人
        皆殺しだヒャッハー!"といった典型的な悪役といえる。

         とはいえ2チートラスボスのミュータント、フランク・ホリガンさんや奴隷
        労働者などを採用しているあたり、従順なら殺すとは限らないらしい。

         戦前から活動していた秘密結社でもあり、Vault製造を裏から牛耳っていたのも
        彼らで自分たちが存続するためのシェルターもしっかり準備していて、
        戦前のあらゆる知識や設備をふんだんに取り揃えたシェルター内で技術や戦闘術、
        更に道徳までも教えこまれており、総じて優秀な人材が揃っている。
        
         とはいえ道徳教育のせいかエンクレイヴの目的に疑問を持っている人間も少なか
        らずいて、中には小隊規模で脱走する者もいたりするなど組織内での封じ込めが上手く
        できていない。

        NCRとの戦争や101のアイツ、選ばれし者など歴代主人公と見事に完全敵対して壊滅後、
        他のエリアの残党に加わったのもいれば、身分を隠して隠匿生活をする者、慈善事業
        に精を出す珍しい人物までよりどりみどり。


        【エンクレイヴの凋落】

        Fallout2にて主人公に拠点石油掘削基地へタンカーで突撃され、あまつさえ
        リアクターを爆破される、大統領他重要人物がごっそり減る。
        ↓
        その後前線基地ナヴァロをNCRに潰され西での拠点をほぼ完全に失う。
        一部の人間は逃げおおせたが、多くは殺されるか逮捕され無期懲役となった。
        ↓
        Fallout3で残党が活動、ジェファーソン記念館と浄水装置を占拠したが、101のアイツ
        と最強民主主義ロボットリバティ・プライムの暴力により敗走、大統領また死ぬ。
        ↓
        その後移動基地クロウラーを拠点にしたが今度は衛星ミサイルで完膚なきまで叩き
        潰される、ここまで来ると同情の念すら湧いてくる・・・そして今に至る。



 ミサイルの爆炎が勢いを縮めた後、ED-Eがまた音声ログを発し出した。
これまでこのログの出所がハッキリしていなかったが、これでこのログが昔エンクレイヴで
録音されたものであるとの確証に至った。


『分かったな? きっと長い旅になるぞ、我が小さな友よ。
 かなり長い距離を、とても速く飛ばなければならん。できそうか?』

『<Beep>(悲しげな高周波音)』

『お前ならできる。気をつけるんだぞ、ED-E。
 いつかまた会えるといいな』


 ナヴァロ?あそこは確かNCRの領地じゃなかったか?(Survival 55)


知らなかったのだろうか、真実を告げてやるとED-Eは全身をわなわなと震わせた。
だがまあ、ここまで来たことをウィットリーも誇りに思うだろう。

そう言うとED-Eは気を持ち直したのか嬉しげにBeep音を鳴らし、機体を軽快に上下させた。
さあ、先に進もう。


(この時そばに"インダストリアル・ハンド"という武器がある。
グローブの先端に円ノコのついた恐怖の武器、工具にしても一体どういう用途があったんだろうか)


 ロックの解けた機械扉を開けてミサイルサイロ内に入ると、二体のトンネラーが私を出迎えた。
向かってくる前に撃ち殺し、薄暗いサイロ内を観察する。


ここはサイロというよりは、洞窟を掘り造られたミサイルサイロへの連絡通路のような場所らしく、
入ってすぐのところに幅6~7M、長さはそれよりやや小さいくらいか、坂に沿って降りるタイプの
エレベーターが設置されていた。

 周囲の機械類やパイプが、先のミサイル発射の影響なのか断続的に小爆発を起こしているこの
状況でまたトンネラーが来ては危険だ、幸い電源が生きていたためエレベーターの端にあったスイッチ
を押すと、エレベーターは安全のため開いていた前後のフェンスを閉じ厳重に施錠し、少しずつ
地下深くへと降りていった。


この状況、下降するエレベーターに攻撃を仕掛ける生物なぞいないだろう・・・一息つく。
だがエレベーターが降り始めて数十秒ほど経ったあたりだろうか、突如両側のフェンスから
"ガシャン!"といった何かがぶつかったような音を響かせた。


 慌てて音のした方向、それも近い方を向く。
フェンスには何も損傷はない、だがその上・・・フェンスの頂上に、獲物が罠にかかったと
いわんばかりに口を開けるトンネラーがその発光する2つの目をこちらへと向けていた。

トンネラーはフェンスからエレベーター内へと侵入すると、すかさず急接近し飛びかかってくる。
反対側にもやや出遅れたようだがトンネラーが降りていて、ED-Eのアークウェルダーの迎撃を
ものともせずこちらへ向かっていた。

 フレアガンで混乱させ、人間同様脳があるはずの頭を撃ちぬく。(弱点は頭部)
しかしトンネラーは洞窟内に横穴でも掘ってあったのか次々と湧いて出て、ひっきりなしに
エレベーターへと侵攻を続けてきた。

トンネラーの大きく振りかぶったパンチにアーマーがへこみ、骨がきしむ。
弾薬の消費が多いフレアガン、そもそも個数の少ないフラッシュバン、弾が尽きる可能性も
厭わずひたすらにトンネラーを狭いエレベーター内で迎撃する。

それから数分後経っただろうか、周囲が爆風に包まれる中急に、エレベーター内に侵入していた
トンネラーが踵を返しフェンスを乗り越え飛び出していった。
なぜかと思いトンネラーが逃げていく方向と逆に視界を向けると、まばゆい光が飛び込んでくる。
すでにエレベーターは、出口へとたどり着いていたらしい。


 入り口の照明は切れていたが出口の照明は全て無事だったらしく、突如視界を覆った強烈な
昼白色の光に残りのトンネラー達もこれ以上の襲撃は不可能だと悟ったのか一斉に撤退していく。
こうして私は、"アシュトン・ミサイルサイロ"へとたどり着いた。



 ミサイルサイロの大きな機械扉をくぐると、中は一転して真っ暗な場所となった。
一般的な軍事基地らしく大きなサーバーマシンが複数設置され、爆発の影響か傾いてるものも
あったものの、操作用の機械が壁一面に並んでいた。

入ってすぐ左に階段、奥正面と右側に機械扉がある。
断続的に爆風を漏らしていた右側の扉をくぐると、中には大きなクレーターが広がっていた。
否、クレーターではなく人の手による大きな丸い穴だ、恐らくミサイルが入っていた場所だろう。


(道中ロックされた部屋にED-Eのアップグレード回路基板があり、ここまで全部取っている
ならED-EとプレイヤーのDT+2)


 ホープヴィルのミサイルサイロで見たものと同じその穴は周囲の階段や通路を巻き込んで完全に
崩落しており、ところどころ炎上している通路のひとつが崩れ、底の抜けた先にある別の洞窟の
ような場所へと都合よく橋を作っていた。


 橋へと至る道へはまた別の道を通る必要があるようで、引き返し階段を下り、警備ロボットが
侵入者に目を光らせている複数のセクションを経由して2階層ほど降りる。
未だ炎上を続ける穴へ飛び込むのに怖気づいたのかED-Eが見を震わせたが、こちらが進もうと
すると観念したのかいつものように半歩後ろを飛行し、ついてきてくれた。

洞窟の中には2匹のトンネラーがいたが撃退し、先へと進む。
洞窟の奥には崩れた地盤を突き抜けてきたのか見上げるほど大きなビルが道を塞いでおり、
1Mほど空いた瓦礫の間から、中へ入るための小さなドアが顔をのぞかせていた。


 ドアを開け、中へと入る。

瓦礫に足をかけ乗り越えていた時はそうでもなかったが、しっかり整備された人口の床
ではこのビルの傾きが顕著になり、いかんせん酔いを誘う。

中も崩落が酷く、ここ"サンストーンタワー"内の部屋は軒並み瓦礫の山に潰されていたが
幸いにも上階へ登る階段は無事で、トンネラーの妨害はあったものの比較的容易に上へと
登ることが出来た。

 "EXIT"と扉の上に小さく書かれた出口の扉をくぐり、光刺す外へと出る。
相変わらず傾いた床にヘリポートを表す"H"が大きく書かれているそこは既に、サンストーンタワー
の屋上だった。


『ホープヴィル、ハイロード、アシュトン… 大地にのぞく小さな裂け目など
 この先に延びる道に比べたら何でもない』 


 通信が回復したからなのか、またもや唐突にED-Eを介して一方的に語りかけてくるユリシーズ。
顔も見せない彼は、今まで見た落書きを辿るにこの先にいることは間違いないだろう。


『目の前にあるのは… ザ・ディバイドの末端だ。この先に君の作品がある。
 君の歴史。君が大地を燃やした痕が。君がここの住人に届けたものが』


 だから、一体何が起こったんだ!?


『君が荷物を届けた。ザ・ディバイドにあるのと同じ印がついたものを。
 すべてではないが… それで十分だ』
『その軍の印はベアが西部で襲った場所のものだ。
 その印が君に故郷を思い出させ、それを運んだのだろう』


 ディバイドにある"その印"、アメリカ合衆国のもので間違いないだろう。
だが思い出せない・・・ 西にはかつて行った、可能性がないとは言えないが・・・。
(選択肢がどれでも返答は同じ)


『それは西部のものだった… NCRの奥深くから来た… 誰が作ったかは分からないが…
 ここに届けられた。 君の手によって』
『その機械は、起爆装置だった。
 それまで見たことも――― 聞いたこともないタイプだった』


ユリシーズの声に感情の色が混ざる。


『君はそれをザ・ディバイドまで運んだ。あの道を歩く君の後をつけたから知っている。
 この目でそれを見た』
『ここへ、自らのコミュニティへとそれを運んだんだ。
 その後のことは君に責任がある。 あの装置が開き、喋り始めた』

『機械がしゃべると、ザ・ディバイドがそれに応えた。
 君が見た、サイロに埋められていたあのミサイルによって』
『ミサイルは地下で爆発し、地形を歪めた。 砂と灰… 死体… ザ・ディバイドの空が墓場になった』


 私が過去に運んだ荷物が起爆装置で、私が去った後に起動した・・・?
ならば、こうなるとわかっていたなら、どうやって生き延びたんだ?


『あそこで死ぬべきだった… だが、君が生きてると知り… ここの機械に… 命を救われた。
 俺が唯一の生存者だった。 あるいはそう思っていた』

『メッセージの含まれた君の荷物が医療用機械を目覚めさせた… 君についてきたものに
 似ていてな… まずは自らを、そして他のものを組み立て始めた』
『彼らはザ・ディバイドで見つかる部品だけを集め、外には決して出ない。
 後を追う人間がいなくては、このサイロから出ることすらできない』

『俺のジャケットの旗印を認識し、アメリカ人だと思ったのだろう。
 ならば、この命を救ったのは歴史だ。 そこには意味がある』


(機械の中身はなんだ?と聞くと、"中身はずっと複雑な小さなコンピューター部品"
「声を出せる機械に出会ったのは、あれが初めてだよ」という話を聞ける・・・ 話せる機械?)


かといって責められるいわれはない。
少々無責任かもしれないがそう答えると、彼は言葉に怒りを込め語気を強め反論した。 


『その時その場にいたなら、ザ・ディバイドが崩壊するのを見たなら、分かったはずだ』
『君は行く先々で死を運ぶ――モハビにもいずれ知れ渡るだろう』

『ここで起きたことは… 再び起こる。すでに君がアシュトンで、あそこのサイロで証明した』


そんなこと知らなかった、ミサイルがホープヴィル上空に飛んでいくまで、
サイロが作動してるとは知らなかったんだ。


『それでも君は止まらなかった。旧世界の死をその手に握り、ベガスへとチップを運んだように』
『ああいう旧世界の遺物が人を殺すには、軽はずみな誰かに目的地へ届けてもらわなければならない』


あんたが望んだ通りこっちはディバイドまで来たぞ、お次はなんだ?


『君の旅は終わっていない。ろくに歩き通してもいないんだ』
『眼下に伸びる道は―― ザ・ディバイドの中心部に向かっている』

『そして――― そこで君と俺は、結末を迎えることだろう』


『ディバイドの端、谷とがれきを越えた先で――俺を見つけるだろう。
 この新しい故郷で、死体に囲まれている』
『君とあの機械は、地平にそびえる塔を目指せばいい… それが道標となる。
 ここまで来たのなら… それほど遠くはないはずだ』



通信が遮断され、同時にマークドマン達が飛ばしたのかいくつものフレアガンの弾が上空へと飛び、
すぐに消える。
フレアガンが照らした遠くのビルに、人影が見えた気がした。



(ちょくちょくユリシーズはこっちを見ていたりする)



 サンストーンタワーにもたれかかるように倒れていた工事用の仮設足場を伝い非常階段へと行き、
そこから下層階、次いで別の倒壊したビルを乗り継いで地上まで降りる。
周囲には本来もっとビルがあったようだがほぼ倒壊しており、サンストーンタワーのように崖に
もたれかかったために完全な倒壊を免れたものがごく少数残るのみであった。 

そしてそんな便利な施設を見逃すわけはなくマークドマンが拠点を築いており、こちらに気づく
なり各々が武器を取りビルの壁や倒れた看板を隠蔽物に銃撃戦を展開し始めた。

ここがある程度重要なポイントなのか、上等なエナジーウェポンを主軸に無数のプラズマ弾を
撃ちこんでくる彼らを倒し、仕掛けられていた梱包爆薬をいなし先へ進む。
そして遠くに傾いた大きなビルが見える、小さな崖に囲まれた弾頭が道を塞ぐ場所へと辿り着く
と、再びED-Eがこちらを向き音声ログを流し始めた。


『パパ、ねえパパ!このロボットを拾ったんだ、見てよ!』
『気をつけろ、トミー。あんなロボットは見たことがない。危険なものかもしれん』


 小さな男の子と、そこそこ歳のいった声をした父親の会話のようだ。
父親の方はこころなしか声がDr.ウィットリーに似ており、無邪気にはしゃぐ男の子と彼の会話は
エンクレイヴでのED-Eと、彼を子供のように愛していたDr.ウィットリーを想像させる。


『危なくなんてないよ!ほら、けがをしてるんだ!
 ねえ、お家に連れて帰ってもいいでしょ?ママならきっと直せるよ!』
『どうだろうな… 誰かが探しに来たらどうする?』
『お願い、この子、独りぼっちなんだよ!
 ママが直したら、ガレージの仕事を手伝ってくれるかも!』
 
『…フーム… 分かったよ。だが、そいつが何かしでかしたら、それまでだからな!』
『やったぁ!本当にラルフィみたい! しかもオモチャじゃないんだ!』



今の子供にずいぶん気に入られていたようだ。
なぜ離れたんだ?

そう言うとED-Eはうつむき、悲しげに小さくBeep音を発した。

これ以上の詮索は無用だろう、さあED-E、先を急ごう。


(このとき"これはいつの出来事だ?"という選択肢があり、その後の返答から察するに
イリノイ州はまだ現存だが、シカゴ市は既に存在していないらしい)
(とはいえピッツバーグがピットと名前を変えて受け入れられていたりするため、こちらも
同様に別のものになっているかも)



 レーザー発射装置を手に取り、十分に距離をとった後道を塞ぐ弾頭をレーザーにより爆破する。
弾頭の爆発は周囲の岩々を巻き込み大きな道を切り開いてくれたが、同時にその衝撃により
遥か向こうに見えた、あのビルに変化が起こった。

弾頭の爆破の衝撃が崖を伝わっていき、傾いたビルに大きく亀裂を入れたのだ。
結果自重に耐え切れなくなったビルはその亀裂からぽっきりと折れ、150Mは上空から大地へと
轟音を上げて落下する。

落下したビルは崩れ落ち瓦礫の山となり、よりによってこの先への道を塞ぐように落ち着いて
しまった。



(ここの下水道内でED-Eのアップグレードが可能、第4段階目でビーム兵器の威力が+5、
ED-Eも同様に+5)
(そしてこの下水道を抜けた先に、"NCRライアットコントロール"という名前の死体がある)
(特別製のライオットギアを装備した彼はマークドマンではなく普通のグールであり、
スナイパーライフルを傍らに置いた彼は逆狙撃でもされたのか血の着いた壁にもたれ
かかるように死んでいる)

(最初からグールだった隊員なのか、それともマークドマンとなっていく仲間達に反抗し
続けた戦士の末路か・・・ハイロードの高台にももう一人いて、そちらも死亡している)



 迂回せざるを得なくなり、周囲を見渡して道を探す。
すると、マークドマンが拠点にしていたアパートの裏側に、一個の弾頭が置いてあるのに
気がついた。

岩に埋まった弾頭の少し上には隙間があり、そこから向こう側の洞窟のような場所が見える。
マークドマンをいなしこれ幸いとレーザーで爆破すると、崖の隙間にアパートの一部屋の
ような場所が姿を現した。

部屋の壁は完全に崩れており、その向こうの同様に崩れた壁からは深い洞窟が見える。
ライトをつけ、銃を構え進もうとすると、今度はED-Eから軽快な音楽が流れてきた。


『Though I may have done some foolin' This is why I never fell …ガンッ! キュゥゥーン…』

(Jingle Jangle Jingle の歌詞の一部、アイボットも音楽を聴くらしい)


 ああ・・・今のは.308口径、それもハンドロード弾の着弾音だろうか・・・
それもメイン制御ジェットを破壊されたようだ、よく動き回れたな?
(前者はGuns 50)
(後者はRepair 50)

そう言うと、ED-Eは自分の頑丈さを誇るように機体を軽快に上下させBeep音を鳴らした。
なるほどナヴァロに辿りつけないのも無理はないか。

だが運がよかった、お手製の弾を使った上にこの損傷した機体を見つけられない、恐らく
素人のレイダーあたりの仕業だろう。
ED-E、ここは嫌な感じだ、先に進もう。


『<Beep>(恐怖に身悶えするような小刻みな音)』


(この時点でクエスト:The Tunnerlers が発生、洞窟を抜けると終了)


 崖の隙間に建てられたと思われたアパートは、どうもがけ崩れのせいで埋まっただけの
場所らしく、戦争前に既に封鎖されていたのか全てのドアに板が貼り付けられ開かなくなって
いた。
一応洞窟の手前に煌々と燃え上がる焚き火が焚いてあるため、マークドマンがちょくちょく
立ち寄ってはトンネラー避けに燃料を追加しているのだろう。


だが逆に言えばここには相当数のトンネラーが存在するということであり、苦戦は免れない。


(暗い、狭い、多い、と三拍子揃ったきついエリア、うっかり囲まれるとハメ殺される)


 フラッシュバン、フレアガンなどあらゆる武器を駆使して、襲いかかる大量のトンネラーを
捌き進む。
ひときわ大きい体躯を持つハルキング、毒を持つベノモス、そして圧倒的膂力をもって襲い
かかるクイーンのようなユニークなトンネラーを撃って打たれの攻防の末制し、ここも崩落に
巻き込まれたのか、そこかしこに倒れたビルの残骸が残る洞窟を抜け反対側の無事であったビル
へと進む。

ビルの扉の先にある、サンストーンタワーと同様の非常階段を登って行き、壁の裂け目から
光が刺すほど高くにあったボロボロの廊下までたどり着くと、またもやED-Eが音声ログを流し始めた。


『来週もラルフィ・ザ・ロボットの大冒険をお楽しみに!』
(なんとFallout3のフォークスさんの声!)

『急げ!いじわるなウィンターズ将軍に捕まったら、お家に帰れなくなっちゃうぞ!』
『<Beep>』


『飛べ、ラルフィ! もっと遠く!もっと速く!』


『来週の土曜日は、ついに最終回! Vault-tecチャンネル9で、お見逃しなく!』

『ED-E?こんなところで一人で何をしてるんだ? それに、誰がこんなに古いビデオを
 流しっぱなしにしてる? さあ、充電ベイに連れてってやろう』
『明日は大事な日だからな』


最初に番組のナレーターらしい男性の声、次いで先ほどの少年ときて、最後にDr.ウィットリーに
よく似た、あの父親と続いた。
ようやく、つじつまが合ってきた。

ザ・ディバイドの端まではまだ距離がある、目指すなら、先を急ごう。
どうにかお前を帰らせてやる、まずはここでやるべきことを済まそう。

『<Beep>』


ED-Eが歓喜に打ち震えたように身を揺らし、Beep音と共に一フレーズの音楽を流す。
いつもモハビのED-Eが戦闘開始前に流していた・・・"ラルフィ・ザ・ロボット"のテーマだ。


(本編プレイ済みでED-Eのコンパニオンクエストをクリア済みの人なら気づくかも
しれないが、このED-Eは実際にナヴァロから飛んできたわけではなく、本編のオリジナルの
ED-Eのデータをまるっきりコピーしたもの)
(ザ・ディバイドで製造された後に遠距離通信でデータをコピーされたその記憶は、確かに
Dr.ウィットリーを置き去りにしてきたことなどに対し深い後悔の念を抱いているものの、
あくまでも"コピーされた記憶"である)

(DLC終了後、この手法と同様にコピーED-EはオリジナルED-Eにアップグレードモジュールの
強化プログラムをコピーするため、強化具合では本編のED-Eが超強化される)

(他にも隠された部分があるが、それは後に)



すぐそばにあったラルフィ・ザ・ロボットの宣伝ポスターを横目に窓から光の刺す
小さな扉を開け外へと出ると、ここぞとばかりにユリシーズからの通信が入った。


『あの爆発も、ザ・ディバイドの谷底に沈んだあの建物も、君の仕業だろうと思った…
 死ななかったわけだな。 危なかったかもしれないが』
『生き残るとは思っていたが… この前へ行く必要はない。必要な物は受け取った。
 君が連れていた、ホープヴィルサイロにいた機械を』

『あれを解放するものが必要だった。家に返してやるものが。
 もう信号は十分強い、君が運ぶ必要はないし、俺が呼び寄せる事もできる』


 なんだって?ED-Eが?


『名前をつけたんだな。君にとってあれは何だった? 仲間? 奴隷… いや武器か。
 何にしても、本来の機能とは違うな』

『あれは… 俺達のようなメッセンジャーだ。 それも歴史を運んでいる』
『悲しんでいるのなら… いつでも逃げ出せたことを忘れるな。
 故郷に戻っていれば、何も起こらなかったんだ』

『しかし、君には最後の運びを頼みたい。君がここに来たのはそのためだろう。
 運び屋。君はじっとしていられない人間だからな』


 なぜED-Eを何がそんなに重要なんだ?


『あの機械の中に入っているものが、重要なんだ。ここにある機械はすべて、
 ザ・ディバイドの残骸から作られ… ここに運びこまれたんだ』
『そいつのフレームには、君が持ってきたメッセージが含まれている…
 そしてプログラム通りに… なんとしても故郷に帰るんだ』
 
『ここの巨人達は、そいつの言うことを聞くだろう。君の故郷に、君の国に
 ザ・ディバイドをもたらす。君がザ・ディバイドにしたように、旗を燃やしてやる』

(巨人=ミサイル メッセージ=起爆コード)

『ビッグマウンテンアクセスコード… ユリシーズ。 コマンドオーバーライド』



『ナヴァロ』



 相変わらず抽象的な表現の目立ったユリシーズが最後にはっきり、しかし意地悪そうに
そう言うと、突如ED-Eの様子がおかしくなる。
そして次の瞬間、ED-Eは預けていた荷物を全て放り出し、あろうことかアークウェルダー
から電撃を私に浴びせ、道の向こうへと飛び去ってしまった。

飛んで行くED-Eを見つけたのか、道の向こうにいるらしいマークドマン達がいっせいに
フレアガンによる信号を上げる。

Pip-boyのマーカーはその先、眼下に広がる廃墟の奥、少し小高い崖の上に鎮座している
"ユリシーズテンプル"を確かに指していた。



 廃墟の階段を降り、そこにもたれかかっていた送電塔をつたって地上へと降りる。
ユリシーズテンプルは西の果てにあり、東側はというと綺麗に横倒しになった高速道路
により、残る南北も崖に塞がれていたため、完全な一本道となっていた。

道に立ちふさがるデスクロー、廃墟を根城に防衛戦を築いていたマークドマン達を制し、
元々給水管が張り巡らされていたのか、今では折れたそれから僅かな放射能を含んだ
水が吹き出て大きな水たまりを作っているエリアを抜け、弾頭を起爆し進む。

その先は上へと至る道が完全に崩壊していたため弾頭を起爆し崩れた瓦礫を道代わりに
する形で先へと進み、廃ビルを3つも超える頃には、崖の中腹に設置された大きな機械扉
から"ユリシーズテンプル"へとたどり着けた。


(余談だがここのある水路の裏に隙間があり、そこに行くと"ラオー"という名前の超巨大
デスクローと戦える)
(倒すと手に入る爪から"フィスト・オブ・ラオー"が製造可能、言わずもがなあの世紀末伝説)



(DLCメインクエスト:The Divide 終了)
(DLCラストクエスト:The Courier 開始)


 テンプル内はメンテナンス用の保管庫となっていたが、状態は酷いの一言だった。
照明はほぼ落ちていたために暗く、そこかしこに稼働中の機械が倒れ、作戦用の地図
らしき電光板も傾いていた。

暗い保管庫内をPip-boyのライトを頼りに進み、警備のセントリーボットを倒す。
するとそのセントリーボットのいた部屋の窓から、あるものが見えた。

大きな窓の先にもセントリーボットがいたがその向く先に円筒形をした3つの修理用ベイが
あり、その内のひとつに、先ほど手元を離れていったED-Eが厳重に保管されていたのだ。


 手前にあったメンテナンスターミナルによれば損傷はなく、いつでも出せる状態だという。
すかさずターミナルからメンテナンスルームのロックを外し、侵入者を追い払おうとする
セントリーボットとタレットを沈め修理用ベイのロックも外してED-Eを外へと出す。


『<Beep>』


 かつてホープヴィルで出会った時と同じように、円筒形のベイから眩い光を放ち外へと
躍り出たED-Eは感謝を表すかのように身体を上下に警戒に揺らす。
おそらくあの放送にオーバーライド機能が仕掛けられていたのだろう、それがここに引き寄せた。
(Science 60)

(プログラミング用語だが、この場合遠隔操作でED-Eの内部データを上書きして操ったと
いった感じでいい)


何を企んでいるにしろ、ユリシーズはED-Eにそこへ来てほしいらしい。
行くぞ、がっかりさせたくないからな。

ED-Eの高感度センサーが再びPip-boyと同期したのを確認し、私は部屋を出た。



 メンテナンスルームからすぐ横に行った通路の奥には大型のエレベータがあって、
それは一度乗るともう戻れない、片道切符となっているようであった。

この先にユリシーズがいる。
手前にあったオートドクターで傷を癒やし、売店ターミナルで装備を整え、覚悟を決め
エレベーターに乗る。


しばらくしてエレベーターはひときわ広い、先ほどの保管庫とはまた別の保管庫へと止まった。
例のごとく薄暗いその場所は、目を凝ら傾いた6発のミサイルが錆びを晒したまま保管して
あるのが分かる程度で、奥の方となるとまるで何がどうなっているのかさっぱりだ。

 だが私が保管庫へと足を踏み入れると、突如真上を何かが通り抜けた。
ED-Eと同タイプだがやや装備の違うアイボットが二機、私の頭の上を通り抜けて奥へと
向かっていく。

そしてそれに呼応するかのように最奥の天井が円形に開き、光が差し込んだ。
差し込んだ光は地面の底からせり上がってくる何かを照らしその姿を顕にする。



ミサイルだ。
既に発射準備に入っているのだろう、天高くそびえるミサイルは発射台にがっちりと固定
され、今か今かとその時を待ちわびているように見えるその周りを、アイボットが廻っている。

そしてその足元には・・・
一人の男が、背を向けたままミサイルと、その手前に掲げたアメリカ国旗を見上げていた。


誘われるがままにミサイルへと歩み寄り、男が立つ発射台の階段の足元へと立つ。
すると男・・・ユリシーズは、軽く顔をこちらへ向け口を開いた。


(このとき悲壮な音楽が少しだけ流れるのだが、ゲームの演出なのか実際のことなのか不明)
(ハナから話し合う気がないなら、ご丁寧に背を向けてるユリシーズにマークドマンあたりが
持っている対物ライフルか持ち込んだガウスライフルによるスニークアタックを喰らわせる
と一発で仕留められる、哀れユリシーズ)



【NCR】


「こんな場所にいてもNCRの影が追ってくるとはな… それとも君か、運び屋。
 ベアの死骸に押しつぶされていないようだな」

【リージョン】


「来たかフルメンタリー… いや運び屋。何でもいい。シーザーの法を押し付けに
 来たのか?そんなもの、ここでは何の役にも立たないぞ」

【Mr.ハウス】


「君の街、ベガスは反対方向だぞ… あの奴隷どももな。
 それとも君か?運び屋? 明かりも亡霊もここには存在しないぞ」

(好感度ポイントが1でも偏ってると無所属のセリフはなし?確認できず)



 そこまで言いユリシーズは、金属製の薄手のアーマーの上に羽織った、背にアメリカ国旗が
刺繍されたダスターコート翻し、身体を完全にこちらへと向ける。
黒髪でドレッドヘアをした色黒の男は抗放射能マスクをしているため表情が完全にはわからなかった
が、鋭く黒い眼光をこちらへと向けていた。


「どうやら… そいつを手放せないようだな。 今となってはどうでもいいがな」


腕を組み、ED-Eを一瞥してユリシーズが言う。


「どちらにせよ、ザ・ディバイドの巨人は目覚めつつある。
 ここにあるミサイルが故郷に戻るんだ。止める方法はない」



(分岐がいっぱい)



【説得選択肢1-1】


【NCR】

"まだ理解できないな、なぜこんなことをする?"

そう言うと彼は「自分で答えを出したはずだ」と一蹴し、続けて「その質問とともに
死んでもらおう」と言う。


【リージョン】

"リージョンは裏切り者を許さない。 なぜ東を裏切った?"

そう聞くと、
「あれだけの道のりを歩いても、まだ目の前にいるのが裏切り者にしか見えないのか」
と腕をおろし、残念そうに眉をしかめてユリシーズが言う。


「分かってないな。君がすべての中心であろうとも関係ない。
 そいつをシーザーからの贈り物のように頭へぶち込めば一瞬だ」
「君はザ・ディバイドに命を授けた。道を歩き、ベアとブル、そして俺を連れてきた。
 皆、君の足跡を辿ってきたのだ」

「君が作ったザ・ディバイドを見て、やり直せると思った。
 考え方が一変した。 俺の世界はもう東部ではないと」

 
(ユリシーズは元リージョンであり、ドライウェルズという場所の出身。
ドライウェルズ及び、リージョン時代のことに関しては後述)



 そこまで言うとユリシーズは腕をおろし、首を左右に緩やかに振りながら話を続けた。


「だが、君があの荷物を届けた瞬間、すべてが破壊された。
 俺も死にかけた。 …身も心も」
「君はベアやブルより巨大なものを破壊した。
 しかもよせばいいのに、あの機械を使ってまた同じことを繰り返した」

「君は生まれたばかりの国を破壊した、俺の新たな故郷を。
 だから今度は俺が君の故郷を滅ぼす」



【選択肢1-1-1】(1-1の会話後出現、選ばなくてもいい)


"殺すつもりなら、さっさとそうしておくべきだったな"


「君に信じるものがあったとしても、そんなことはしない。
 運び屋を殺すなとシーザーは言い、俺もそれが誇りだった」
「俺のように、リージョンにいた運び屋もいる。
 だが、君は何者にも使えないし何も信じていない。 殺しても… 意味が無い」



【説得選択肢1-2】(次の分岐までは敵対以外一直線)


"ザ・ディバイドで起こったこと、自分がしたことは事故だ。
あんたがしてることは―― 正気じゃない"


そう返すとユリシーズは腕をおろしたまま、声を低くし話す。


「いや、今は目的がある。 君が… 軽率だったというならわかる。
 ザ・ディバイド… チップ… 君がここへ連れてきた機械… 」
「意図的であれ偶然であれ、そこから多くのメッセージを得た。
 これは信念に基づく行動なのだ」


ユリシーズは揺るぐ様子もなく、淡々と話す、それに対し
"ザ・ディバイドのことで責めるなら、他の人間を巻き込まないでくれ"

と答えると、彼は「フッ」と鼻を鳴らしどこかあざ笑うかのように


「責めてなどいない。君に教わったんだ。
 国を滅ぼすための兵器と、そうするための力を」

「君は道を示してくれた。メッセージを伝えるための手段を。
 君はもう自分の行いに報いたのだよ、今度は君の従う旗が報いる番だ」

と再び腕を組みながら言った。



【敵対選択肢1-3】(敵対選択肢の展開は全て共通なので以降は会話文のみ)


"ザ・ディバイドは、この自分を止められなかった。
モハビにも殺せなかった。あんたに勝ち目はない"

そう言うと、ユリシーズは一度組んだ腕を解いた後また組み、口を開いた。


「俺は一つの歴史を終わらせる。ザ・ディバイドに殺せなくとも…
 この旧世界の兵器なら君を殺せるかもしれん」
「終わりにしよう、運び屋。俺と君とでな。
 この旧世界の旗が証人だ」


(敵対、たいていはまずフラッシュバンを投げてきて、それから距離に応じて12.7mmの
サブマシンガンか近接武器のどちらかに切り替える、ステルスボーイも使ってくる)



【敵対選択肢1-4】


"もういい。騙す運び屋を間違えるとどうなるか、教えてやる"

(展開は同じ)



【敵対選択肢2-1】


"これ以上時間を無駄にしたくない。死んでもらおう"

(展開は同じ)


【敵対選択肢2-2】

"もういい。片をつけたいなら、さっさと終わらせよう"

(展開は同じ)


【説得選択肢2-1】(2-2と選択だがその後の展開は変わらず)


"つまり、モハビに爆弾を落とすつもりなのか?"


 率直にそう聞くと、ユリシーズは

「モハビだけではない、西部もだ」


(以降は2-2と共通)

と答え、続けてアメリカの滅亡後に造られた全てのもの、特に歴史を知らずにその"旗"を、
シンボルを崇め型を持たずに成長したNCRも巻き込むことを話した。

そして付け加えるように、


【NCR】


「おまけに君がベアの病を信じ、それに力を与えたと分かった以上…
 君の故郷を瓦礫の山に変える理由は十分にある」
「これが終われば、モハビに立つ旗はひとつだけ。
 それがはためくもよし、折れるもよしだ」

【リージョン】


「たとえ東部の側に立とうとも、ベアの病は既に君をむしばんでいる。
 時間があれば、君にリージョンを滅ぼさせるんだが…」
「リージョンも火の海と化す。西部の抵抗がなくなった今、奴らの協会はかつてない
 ほど近い。奴らは自らを食い物にして、滅びる」

【Mr.ハウス】

「NCRの後ろ盾がなければ、ベガスはリージョンの前に滅び去る。
 あの光の墓場は砂塵と亡霊の街へ逆戻りする。 本来あるべき姿に」
「これが終われば、モハビに立つ旗はひとつだけ。
 それがはためくもよし、折れるもよしだ」

と話した。


【説得選択肢2-2】


"これは我々2人だけの問題だ。
他の者は関係ない"


「いや… 我々が歩いてきた道のことだ。
 道もそこに立つ旗も、同様に責任がある」


(以降は2-1と共通)



【説得選択肢3-1】


【NCR】

"西は破壊できない。
ここにある全てのミサイルをもってしても"

【リージョン】

"NCRがどうなろうと構わないが、リージョンに手を出すのは許さない"


モハビを瓦礫の山に変えると豪語するユリシーズに対し、そう強く答える。
だが逆にユリシーズはまた鼻を鳴らし、まるで勝ち誇ったように


【NCR】

「ベアを滅ぼさずとも、喉をかっ切るだけでいい」
「ザ・ディバイドで君に教わったんだ。より巨大な敵を倒すには供給ラインを、
 道を断つだけでいいと」

【リージョン】

「東部のすべてが燃えるわけじゃない。リージョンを壊滅させる必要もない。
 新しい境界線に封じ込めるだけだ」
「その後、戦争を好み、前進しようとする勢力はどれも崩れるだろう。
 行き詰まり、崩壊する」


と答え、また下ろした腕を組み


【NCR】

「ロング15を炎の海に変えてモハビを孤立させれば、NCRは撤退し、
 フーバーダムを手放す… あとはリージョンが彼らの喉をかっ切るだけだ」

と具体的な案を応えた。
ロング15はモハビ南西、NCRのモハビ前哨基地を始まりにNCR領へとつながる道であり、
今なお多くの輸送キャラバンや旅人が多くの物資をモハビのNCR兵へ届けたり、あるいは
行商へと赴くために活用されている。

 そこを守るのも当然兵士なわけであるが、それだけの規模の供給ラインをもってしても
モハビの兵士への物資の供給は間に合っていないのだ。
仮にそのほぼ唯一と言える供給ラインを潰された場合、補給もできず兵士の補充も効かない
NCRはじわじわと失血し・・・やがて斃れるだろう。


(一応もうひとつある供給ラインは北のユタ州を経由していくザイオン方面ルートなのだが、
場所が場所なだけに物凄く不便)


【リージョン】

「まずはドライウェルズのキャンプだ… かつての故郷さ。一種の正義だ」

と答えた。


【説得選択肢3-2(NCR)】


"NCRにミサイルを発射されて動揺するとでも?
好きにすればいい"


そう言うと彼、ユリシーズは残念そうな表情をしがっくりとうなだれ、
自分の故郷を滅ぼした私がいまさら国が燃える場面を見ても、何も感じないのだろうな
と苦言を呈した。


「愛着の欠如は強みになるが… それでも君は今ここにいる。
 必要な答えをすべて手に入れたなら、こいつにケリをつけるぞ」


【説得選択肢3-2(リージョン)】


"そんな終わり方しかないのか?
あんたはかつて東に属していた。やり直せるはずだ"


そう言うとユリシーズは残念そうに
「後戻りはできない。俺は長く旅をし過ぎた。
 …故郷などないことを悟るほどにな」と答える。

そしてそのことを、私が西部に戻れないこと以上なのだと揶揄した。


(敵対選択肢は2と共通)




【説得選択肢4】
(ひとつだけだが、所属勢力で変化。ちなみにどうあがいても失敗判定になる)



【NCR】【リージョン】【Mr.ハウス】共通


"国を信じられないようだな、意見の相違だ"


そう言うと彼は首を横に振り、


【NCR】
「言葉だけでは君の旗の重みは支えられない――
 
 従うべき旗があればだが」

「口先だけの演説はNCRの得意技だ。君の行動は形だけで中身が無い。
 君の旗は燃える。 次いでモハビも」

【リージョン】
「君は西部から歩いてきたが。西部の病を東部のリージョンへと運び―――
 しかも、彼らを崇めるほどには教義を信じていない」

「だが、俺のやり方なら君が運ぶ病よりも早くリージョンを殺せる。
 君にはリージョンの旗を背負う力がない」

【Mr.ハウス】
「君はベガスに搾取される部族ではなく、ベガスの亡霊に仕えている。
 ハウスはベガスの人間ではない。ストリップ地区で何を見てきたんだ?」

「そういう軽率な道を歩いたことが、君の仕える街を破壊したのだ。
 NCRは炎上する。 次いでベガスの街も」



はっきりと断言した。



【説得選択肢5-1】

(以降はSpeech判定と道中拾えるアイテムでの判定)
(道中手に入る"ユリシーズ・ログ"のうちいくつかを聞いていると説得が成功する)
(内容はページの最後に記載しているので"ユリシーズ・ログ"でCtrl+F検索をどうぞ)


"なぜこんなことをするか知りたい。自分のためではなく、歴史のために"
(Speech90)


そう言うと、ユリシーズはますます声を低くしまっすぐとこちらを見据え話し始めた。


「その理由… それは君が教えてくれた」


「君が何かを信じていたら、燃やしてしまいたいと願ったはずだ。
 考えにくいことだが」
「双頭のベアも… リージョンも… どちらの政府も、とうに役割を終えた
 旧世界の思想を引きずっている。 自分たちが生きていくためにな」


【説得選択肢5-2】(テープ所持の場合出現)


"どんな言葉にも耳をかさないなら、アイボットのメッセージは何だったんだ?"

 その問いにユリシーズは両腕を腰に添え、
「ナヴァロで拾ったパーツで作った機械のことか?奴のコアにあった
 メッセージは1つだけ ――何があっても家に帰れだ」
と興味なさげに答えた。


だがすぐ声を重くし、「それが主へとこだまし… すぐにここのミサイルへとこだまする」と付け加える。


"ED-Eの中には歴史が入っている。"残されたアメリカ"のログだ"


「あの機械の中にあるのは、ザ・ディバイドのミサイルを目覚めさせる方法だけ。
 それが唯一のメッセージだ」


"あのログは、アメリカが生き残り… 今も存在しうる場所を示している。
その場所が破壊されようとしているんだ"


「嘘だな。
 あの機械に残されたメッセージは1つだけ。
 君が届けた荷物の中のメッセージは1つだけだ」
「ザ・ディバイドはアメリカのシンボルを有していた… ナヴァロで拾った荷物も。
 あの機械がどこから来たかは… 重要ではない」

ユリシーズが嘲笑するように言う。



【説得選択肢5-2-1】


"荷物はナヴァロから運んできた。
 ザ・ディバイドはED-Eが持つモハビからのログをスキャンした"
"あんたはそれが西に向かうのを妨害し、ワナを仕掛けた。
アメリカの遺物も、今や孤立している"
(どちらでも共通)


「俺にこの話をして何を企んでいる?
 もし、俺のこのシンボルが弱点だと言うなら・・・」
訝しむように、注視するようにじっくりとこちらを見つめユリシーズが言う。



【選択肢5-2-1-(α)】(説得成功)


"あんたが身につけているシンボルは死んだ。
あんたはそれに手を貸したんだ。 問題は――もとに戻すために何をするかだ" 


ユリシーズがその背に刺繍したアメリカ合衆国のシンボル、その国旗の模様を指し言う。
そしてそれを聞き届けたユリシーズは、ハッとしたように声を凛とさせ、言った。


「あのメッセージを届けるため、我々が生き残る必要があるなら… そうする以外にない。
 アメリカをここで死なせはしない」
「だが… いや、いい。我々が武器を置いても、ザ・ディバイドは…我々の前に立ちふさがる」


(以降は11と共通)




【説得選択肢5-3】(テープ所持の場合出現)


"このテープこそ、あんたがモハビを歩いて思い違いをしてきた証拠だ"

 そう言い、道中で拾った6枚のホロテープを見せる。

だがユリシーズはそれをあくまでも「見方の問題だな」と答え、遠くへ旅を続けるほど、
置き去りにするものも多いのだと付け加えた。


「邪魔をするつもりなら、君の意見を聞かせてくれ。
 俺の言葉を理解しているのなら、聞こう」



【選択肢5-3-1】


"ホワイトレッグスのログで、あんたは自分の部族とその過去に言及していた"


『俺の部族だと? あのログは… いや、あれはホワイトレッグスのことだ。
 奴らに殺しを教えた。シーザーのために』
『ニュー・カナーンへの道、かの地の民の殺りくの歴史と、シーザーの過去以外、
 意味のあることなどない』



【5-3-1-1】(敵対)


"だが、あんたの部族はニュー・カナーンだった"

『ニュー・カナーンが? 俺の部族だと?』
『君が俺の言葉を聞き、学んだことがそれですべてか、全て捨ててきて正解だったな』

『君に自分の足音を聞く以外の力があったなら・・・ ザ・ディバイドが黙らせてしまった。
 今や、その意志は君を滅ぼすだろう』


最初は驚きを隠せないのか、腕をおろし眉を寄せたユリシーズだが、すぐに落胆したように
無表情となり声を平坦にして淡々と言った。

(以降いつものように敵対)



【5-3-1-2】


"ホワイトレッグスは、あんたの仲間だったかもしれない"


『ホワイトレッグスが? 奴らをツイステッド・ヘアーの影と呼ぶことすら…』
『いや、君が何を聞いたにせよ、あれは俺の言葉ではない』

(ここからの分岐は2つ)
"あんたは間違ってる。 彼らにニュー・カナーンの部族を壊滅させた"

5-3-1-1と同じ展開に。

"ログの中で、あんたは髪型を理由に彼らは影だと言った"


そう答えると、ユリシーズは調子を崩さず見下すように
『…この髪型のことか。 奴らが真似したんだ。 
 そのほうが俺っぽく見えて、シーザーもより聞く耳を持つだろうと』
『奴らは意味もわからずに髪を結んでいた。 あれはシーザーが・・・
 バルプスがドライウェルズに現れる前の、我が部族のシンボルだった』

『バルプスは笑っていたが、あの会談は死の香りがした。
 ―――他部族との戦いに我々の助けを求めた』

『その間に、奴らは我々の歴史を火の中に放り込んだ。
 またもブルの手で、ひとつの部族が消されたのだ。 跡形もなく』
と、どこか遠い目を混ぜて言った。



【5-3-1-2-1】(敵対)


"その歴史が滅び、別の歴史が生まれ、あんたはホワイトレッグスに敬意を払い始めた"

『ホワイトレッグスに敬意を払うだと? あの下劣な部族に? ありえない』
(以降は5-3-1-1と同様)


【選択肢5-3-1-(2、3)-2】


"だが、シーザー亡き後もツイステッド・ヘアーは生き残った"(本編でシーザー殺害の場合出現)


『いや、彼らは完璧に滅んだ。 歴史の行進の一部となった』
『ホワイトレッグスがわが部族の髪型を真似たことに意味があるとするなら・・・
 それは敬意ではなく侮辱だ』


"それこそ、シンボルを殺すのは考えてるより一層難しいという証明だ"
"いいや、それが意味するのは、残ったものは以前よりも悪い状態になり得るということだ"
"あんたが背負っている旧世界の旗についても、同じことが言えそうだな"

『フン… シンボルと歴史、どちらも殺すのは難しい… 運び屋と同じだ』(一番上のにだけ追加されるセリフ)
『つまり、こうして意味が失われると、事態は一層こじれると言いたいのか?
 モハビのように? ベアとブルの旗のように?』

 
(以降は9-2のユリシーズ返答と同様だが、以下の選択肢が追加される)


"シンボルを破壊しても答えにはならない。
変化させること――それが重要だ"


『そうかもしれん・・・ この大地には、あれだけの破壊の跡が残っている・・・』
『ひとつはこの地に埋まったが、別のものは俺達の中で生きている。
 再び建てられることもあるだろう… 別のものが。 それは君がここで証明した』

『君の言葉には真理がある。 だが、変化の希望など… 何になる。
 ザ・ディバイドはいまだ俺達の前に立ちふさがっているんだ』
その答えにユリシーズは考えを変えたのか、少しばかり辺りを見渡したあと、
抑揚の戻った声で話す。


(以降は11へ)



【選択肢5-2-1-(2、3)-3】


"あんたは2つのシンボルを掲げている。
アメリカとツイステッド・ヘアー、どちらも滅んでいない"


『どちらも… どちらも生き残った。
 その断片だけは』
嫌な記憶を拭うように、ユリシーズは首を横に振りながら言う。

(以降は5-2-1-(2,3)-2と共通)



【選択肢5-3-1-3】


"過去の話をしている。彼らがあんたに示した敬意のことだ"


そう答えるとユリシーズは「敬意だと・・・?」とやや怒気を孕んだ声色で言い、
続けて彼らホワイトレッグスが髪型を真似た意味について話しだした。
(以降は5-3-1-2の説得成功の分岐と共通)



【説得選択肢6-1】(チャレンジはラスト)


"NCRやリージョンの話をしてるんじゃない。
自分たちの歴史について話してるんだ"
(Speech 100)


そう返すと、ユリシーズは少し戸惑ったように首を振り、続けて絞りだすように
言葉を発する。


「歴史… ザ・ディバイド。
 歴史は記され、教訓は伝わった」


そして腕を組み、吹っ切れたようにすらすらと言葉を連ね始める。


「この大地の裂け目から、これ以上何かを掘り出すべきではない。
 
 ・・・空から降ってくる脅威は、もうたくさんだ」


【選択肢7-1(敵対)】


もう言うことはない、こちらの勝ちだ。
あんたは憎んだ人間と同じことをしているだけだ。

そう返す。
だがそれはユリシーズの悪い部分に触れてしまったのか、ユリシーズは途端に声を重くし
怒気を含んだ言葉を放った。


「俺を怒らせたいなら、言葉だけでは足りない。
 ここザ・ディバイドでの君のモラルはあまりに頼りない」


【選択肢7-1-(1~3)】


"人を責めておきながら、離れた場所から国を滅ぼそうとしている。
それではNCRと変わらない"
"モラル? こっちのしたことは事故だが、あんたのは意図的だ"
"あんたはこちらを追従し、同じことを繰り返している。
人の歴史に便乗してるだけだ"

(選択肢は以上の3つで回答は共通)


「君の見解など知ったことか。君は何も見ようとせず、
 愚かに死へと向かっている。 他の者を巻き込みながら」
「俺の行いを裁くな。俺の行いを自分のものと取り違えるな」


【選択肢7-1-(1~3)-(1~3)】


"それの何が悪い。だがあんたは、自分でコミュニティを作るよりも
破壊するほうに飛びついたんだ"
 ↓
(選択肢10へ)


"なら、こんなことはやめろ。
本当は過ちだと分かってるはずだ"
 ↓
「いや、言葉がこの溝を埋めることはない」
(あとは例のごとく)


"あんたと同じだとは思わない。必要な物をこちらが運ばなければ、
あんたも今回の件を実行できなかった"
 ↓
「君は騙されたんだ。 それでも誇りを持つのか」
(選択肢10へ)


(一番目と三番目が選択肢に派生、Speech100からの成功ルートと文が共通だが、
こちらを選んでいると失敗になる)



【選択肢7-1-(1~3)-(1or3)-2】


"自分が間違っていたと思って死んでもらいたい。 歴史はそれを記憶する"
 ↓
「なら戦って決めるか。
 互いがどう記憶されるかを」
(以降は例のごとく)



【選択肢7-2(敵対)】


言葉であんたの考えを変えられないなら、他に手はない。
聞く耳を持たないなら、もう終わりだ。


(例のごとく)



【選択肢7-3】


もう一度故郷に帰れるぞ、運び屋。
これはあんたへのメッセージだ。


「俺の故郷は東部にある。ドライウェルズに。 今はリージョンの一部だが」
「それ以外では、君がザ・ディバイドに建てたものが故郷と呼べそうだったが…
 君が破壊してしまった」



【選択肢8-1&2】


"故郷とは、自分が命を吹き込んだ場所であり、自分が何者か理解できる
瞬間だとあんたは言った"
or
"一人の運び屋にコミュニティが作れるなら、あんたにもできるはずだ"


 その返しに、ユリシーズはとても納得がいったのか先ほどとは打って変わって首を
縦に振り、
「そこに真実がある、歴史が証明済みだ」
と答える。


しかしそこで唐突に、モハビ自体の話題を出した。


「だが、モハビはどの故郷も聖域ではないという証だ… 巨大なシンボルを破壊するまでは」
「何を建てようとも… ベアもブルも、ベガスですら… それをバラバラにして
 進化させる。 意図的にせよ、偶然にせよ」



【選択肢9-1(敵対)】


"こうして話していることじたい、本当はやりたくないという表れだ"


「いや… 言葉がこの溝を埋めることはない」

(以降は例のごとく)



【選択肢9-2】


"ザ・ディバイドはあんたの中で生き残った。
そのために戦っているのなら、やり直せるはずだ"


「これは誰にも止められない。 ミサイルは発射される。
 君であれ俺であれ、こうした質問をすることに何の意味がある?」



【選択肢10-1(敵対)】


"あんたならすべて止める方法を知っていると思ったから、言ったまでだ"
 ↓
「今度は策略で来たか。君は騙せると思って、俺はこいつを止められると言い放ったんだな?」
「予定通り、君の国は火の海と化す。
 国のメッセンジャーの最後の言葉はただの命乞いで、人々を守れなかった」
(以降は例のごとく)


【選択肢10-2】(成功確定)


"ミサイルが発射され、ここで死んだとしても、あんたを説得できればそれでいい"


 そう答えると、ユリシーズはいくらか口調を和らげ組んだ腕をおろした。
そしてしばらく目を泳がせた後、こちらに向き直り口を開いた。


「もう… 十分だ」
「なるほど… この地に幾ら破壊の爪跡が刻まれようと… ザ・ディバイドを
 作り上げた君なら再建は可能かもしれない」

「君は偽りなく語った。その背に国家の影や人々の希望を背負いながら。
 だが、もはやそこに意味はあるまい。 ザ・ディバイドは今でも我々の敵なのだ」




【選択肢11-(1~3)】(ラスト)


"ザ・ディバイドが?どういう意味だ?"
"ザ・ディバイドの困難はもう乗り越えてきたじゃないか"
"他に解決策があるかもしれない。 時間がほしい"
(回答は共通)


「敵が外に集まっているのだ… ベアとブルの影達が。
 奴らは君がやったように、必ず中に入って来る」
「ずっとこれを狙っていた。君を殺し損ねた場合に、
 マークドマンがここへ殺到して君の退路を断つ事を」



「もはや結末を変えられないなら、我々がここで戦うまで。
 二人の運び屋が手を組むのだ。

 ここ、ザ・ディバイドで」



 ユリシーズが言い終えると同時に12.7mmサブマシンガンを構え、発射台の階段を
駆け下りお供のアイボット二機と保管庫の入り口へ駆けて行く。
入り口のエレベーターからは彼が言うとおりマークドマンが殺到していて、エレベーターの
収容人数の限界か間をおいてはいるが次から次へと湧いてきていた。

銃を手に取り、ユリシーズと肩を並べ迎え撃つ。


 二人の運び屋と三機のロボットが、次々に襲い来る皮の剥がれた憎しみの権化に対し
銃弾、爆弾、レーザー、そして時には殴り、またある時は転がっている弾頭を起爆させる。

マークドマン達もステルスボーイで姿を消し、ガトリングレーザーや対物ライフルなどの
洗練された武器を手に襲いかかるものもいるがもはや相手にならない。
そうして数十体ほどのマークドマンを仕留め終わったころ、ついに彼らも諦めたのかエレベーター
からの増援がぱったりと止み、一瞬の静寂が訪れる。


 だがそれもつかの間、度重なる衝撃や長い時を超え久しくミサイルの発射準備を終えた反動か、
保管庫を取り囲む岩壁や機械部品、パイプが火を吹き、次々に爆発していく。
そして今まさに発射されようとするミサイルに呼応するように、部屋の中央からやや逸れた場所
にあった一台の機械が起動する。


発射用レバーをその内側から高々と押し上げた、ミサイルの制御装置であった。


(DLCメインクエスト:The Courier終了)
(DLCメインクエスト:The End開始)



 発射装置は状況を表すがごとく真っ赤なランプを断続的に光らせており、取り付けられた
モニターに写るよくわからない波長も、ぐわんぐわんと力強くうねっていた。
選択肢は・・・。


(分岐、ED-Eの生死、ミサイルの着弾地点位置に関わる)
(発射中止を試みるとED-Eが話しかけてきて、その選択も分岐分あるため直前に書く)


【カウントダウンを早め、NCRに向けて発射する】


構うものか!ミサイルの標的を自分で変えるだけだ。
どのみちNCRは気に食わない。


『<Beep>』


ED-Eが残念そうにうなだれるが無視し、装置のスイッチをいじくりレバーを引いて即座にミサイルに
火を入れる。
ミサイルはもう止まらない、底部から真っ赤な炎を吹き上げながら、その役割を果たすべく天へ向か
って飛翔していった。


 天へ上るミサイルを見届けたあと、役割を終えたとばかりにミサイルの発射基地も崩壊を
はじめた。
崩れる外壁、爆発する出来損ないのミサイル、機械、2人と3機は、その中を走り抜けた。


「ここが片付いたら、ザ・ディバイドを出るぞ。
 もし途中ではぐれたら、キャニオンのスクラップ場に近いホープヴィルで会おう」


(エンディングへ)


【軌道を修正し、リージョンへ向けて発射する】
 ↓ 
 放っておけ、リージョンは自業自得だ。


【ミサイルの軌道を修正して、NCRとリージョンの両方を狙う】
 ↓
 いいや、とにかく発射してしまおう。
 どっちの場所も気に食わなかった。


【発射中止を試みる】


 発射中止を試みるため発射ターミナルを観察するが、発射装置には戦前のかなり高度な軍用
暗号が使用されていた。
時間をかければ人力でできるのかもしれないが、猶予のないこの状況では高度な暗号解読ロボット
でもなければ時間内に解除ができないだろう。

だが、奇跡的にも今この場にその暗号解読ロボットがいる。
助けを求めるべく彼へと振り向くと――


『…実験ログ、369248/B・アイボット・デュラフレームのユニバーサル・インターフェース
 ・オーバーライドシステム。私ことDr.ウィットリーが実行する』
『オーバーライドシステムの初期テストは有望なものだ。無防備ないし軽度の暗号化された
 目標に対して、このアイボットは98%の成功率を達成した』

『より高度に防衛されたシステムに対しては、未だ困難なようだ。
 軍用レベルの暗号化に対しては、キーシステムに対して致命的なオーバーロードを
 引き起こす可能性が高い』

『ロボットが破壊される前に実験を中止したが、我々が気づかなければ、このアイボット達は
 軍用ネットワークへのハッキング中に自滅していただろう』


 ED-Eの父たる人物、Dr.ウィットリーが吹き込んだであろうログには、残酷な答えが記されていた。
つまりED-Eなら止められるかもしれないが、確実ではない上に自壊する可能性が極めて高い。

まさしく賭けになる。


『<Beep>』


ED-Eの言葉は分からないが、何度かの説得の言葉に彼は少し残念がりながら、それでもミサイルを
止める姿勢をあらわにし曲げなかった。
しかし、そうしている間にもミサイルのカウントダウンは迫っていた。


"お前じゃないとできない。頼む"


 その言葉を私が口にした瞬間、ED-Eは喜びを表現するように機体を上下に揺らし、高めのBeep音を
鳴らす。
そして彼からこれで4度目になる、勇壮な、しかし今度はノイズのないはっきりと通ったラルフィ・
ザ・ロボットのテーマソングが聞こえたかと思うと・・・彼は最期の仕事に取り掛かった。


 ED-Eがアークウェルダーから、カウントダウンの迫ったミサイルに呼応するように崩壊を始める
保管庫と競いあうように電撃を何発も見舞う。
やがてED-Eが小爆発を起こし部屋の隅で大爆発が起こった頃、とうとうミサイルが止まった。


だがED-Eはもはやその場に留まり動かない。
小爆発を繰り返す彼はやがて――― 青白い閃光を放ち四散した。


(なぜかもの凄い勢いで上空に脱出していることがある、バグ?)



(DLCメインクエストラスト:The End終了)
(DLC:Lonesome road本編終了、ここからちょっとエピローグ)



 脱出のすがらユリシーズとはぐれ、キャニオンのスクラップ場へと戻ったあと、ザ・ディバイド
の入り口に一つの小型ロッカーがあるのに気づいた。
夜でも見落とさないようにか、ランプが小脇に置かれたそれは小型というにはやや大きい・・・
というよりエンクレイヴが使っているものと同じものだ。

中にはユリシーズが持っていた長物、先端にコンドルを模した飾りがついた"オールド・グローリー"
ユリシーズとお揃いのアメリカ国旗が刺繍されたダスターコートとマスクの他栄養剤のビタードリンク、
止血帯とロケットの弾薬に加えて2つのものが入っていた。



 ひとつは・・・メッセージだった。



『君が俺に勝ったときのために… 最後にこれを残しておく。
 これを聞いているということは、血か言葉が流れたあとだろう』


『このメッセージとこれから語る言葉は――運び屋、君へのものだ。
 答えを知りたいのなら、聞いてくれ』
『俺はこの世界を長いこと旅してきた。俺が立ち止まったのは君のせいだ、
 君の行動が、俺を立ち止まらせたんだ』

『その昔… コロラド川を渡った時、リージョンの人間として初めてフーバーダムを
 見た。…両側を結ぶ、驚くべき旧世界の壁だ』

『そしてその先には… 双頭のベアのシンボルがあった。
 あのシーザーに挑戦しようというご立派な連中だ』
『ヤツを殺して地位を奪おうが、奴が勝とうが負けようが関係ない。
 ブルには闘いや挑戦が必要だ。そうでなければ行き詰まり、崩壊してしまうからな』


『俺や君にとって、これは教訓なのかもしれない――だから君にメッセージを託す』
『メッセージはこうだ ――君が俺を止められなかったら、ザ・ディバイドであれどこであれ、
 破壊が行われていたはずだ』
『同じことがまた起こるかもしれない。 いや、起こり続けるだろう』
『戦争が変わらないのなら、人間が変わらなければダメだ。シンボルもな。
 どうでもいいと思うかもしれないが、自分の行き先だけは知っておけ』


『…俺が最後まで君を追ったようにな。


  どんなシンボルであれ…』



『フーバーダムに立つ時は、そいつを背負い、誇り高く纏え』



そこまででメッセージが切れる。
もうひとつ、彼が残した黒色のダスターコート。
その背中には、私が背負った"旗"の模様が刺繍されていた。




(エンディングはこちら→ http://www27.atwiki.jp/fallout3/pages/665.html )

(NCRにミサイルを発射した場合、マップポイント"ロング15"が出現する。
超高濃度の放射能に汚染されており、グール化したNCR兵達が道を塞ぐ高難易度エリア。
最深部には現場指揮官らしいロイズ大佐という人物がおり、ユニークパワーアーマーを装備)
(たぶん道の舗装や位置的に実在する"バーストゥ・フリーウェイ"のどこか?)

(リージョンにミサイルを発射した場合、マップポイント"ドライウェルズ"が出現する。
ユリシーズが言うとおりリージョン兵で溢れており、その全てがグール化している。
最深部には本編ラスボスリガタス・ラニウスそっくりのアーマーを来た"ガイウス・マグナス"
がいる)
(ユリシーズの故郷、位置がまったく分からない)
(一応ノースカロライナ州ナッシュ郡に同名の場所があるが関係ないか)


【超簡単なストーリーまとめ】


 ゆりしーがフーバーダム発見のちリージョン脱退、運び屋に。
 ↓
 ゆりしー、主人公が興したコミュニティをディバイドで発見、故郷とする。
 ↓
 NCRがディバイドを交易路、補給路として使い始めたのを皮切りにリージョンが妨害を始める。
 ゆりしーイライラ。
 ↓
 そんなところに主人公が知らずに起爆装置持ち込んで地下の弾頭大爆発。
 ゆりしー生き残ったが茫然自失(起爆装置はNCR側から持ち込まれたらしいが・・・)。
 ↓
 モハビに戻って仕事を引き受けようとした時名簿に主人公の名前を見つけ、
 あからさまに罠であろう仕事を主人公に譲って第三者に殺してもらおうとする。
 (直接手を下そうとしないのは、一応ユリシーズも主人公が分かって起爆装置を持ち込んだ
  のではないと知っているため)
 ↓
 しかし生きていた主人公、ゆりしーとうとうディバイドに誘い込みケリをつけようと
 する(本来なら対峙するのではなく、ディバイドの道中で死なす予定だった)
 ↓
 あとはプレイヤーの説得次第。
 ゆりしーを生存させた場合、彼はディバイドに残ることを選ぶ。






【ユリシーズ・ログ内容】
(チャレンジ:ユリシーズ・オデッセイを完了するには全部集める必要がある)


[ログY-17.15]


『・・・戻ってきた、あのクレーターから。
 医療センターで見つけたホロテープが、何本か残ってる』
『彼女がレコーダーを修理してくれた。
 がたが来ているからと、俺への治療代がわりに』

『彼女は借りを作るのを嫌う。いい心がけだ』
『おかげで、B.O.Sを崇拝する人物の話が聞けた。
 エリヤではない…イカれ具合は同じだが、考え方が違う』

『彼女に哲学を教わった―――世界観と、歩く道を。
 先のない道。空虚感。テクノロジーが万能だと言わんばかりだ』

『ビッグ・エンプティは道が続いていることの証。
 ザ・ディバイドもそう、そこへ通じるすべての道も』


(彼女=DLC第一弾、"Dead Money"のコンパニオン"クリスティーン"のこと)
(エリヤ=第一弾に登場する人物、元モハビB.O.Sエルダー)
(DLC第三弾、"Old World Blues"の始まる少し前、エンプティでユリシーズ達が
ロボット乗っ取りから線路爆破まで散々ドンパチやらかした後の話)


[ログY-17.16]


『ビッグ・エンプティ――― あそこには何かがある。
 クレーター、 過去の風と砂、砂漠の奥深くにあって、前に進むしかない』
『クレーターは天候の変化を追っていて、偶然見つけた。
 ザ・ディバイドの空があんなふうに裂けるのは自然の力ではない。人の暴力だ』

『あの荒ぶる空の下には何かがある、俺はそれを追った…河の流れを追うように』


『いつものように色で目印を残していった。
 それを見た誰かがパターンに気づいて、追ってこられるように』
『―――例えば運び屋が』

『そして風と砂が無限に続くと思われた時、クレーターが現れた』


『そこには旧世界の施設があった。隅に立つ気象観測施設を観測した。
 それは今でも、電気とジェネレーターで空を引っ掻き回していた』

『そしてその向こうに…地獄と化した旧世界の残骸が見えた。
 菜園のように区切られた一帯が。
 あれがなんなのか確かめるまでは帰れない』

『ビッグ・エンプティに眠っていたもの、それをブラザーフッドが目覚めさせたのだ。
 ――奴らは黙って動けない、双頭のベアと同じだ』

『それが目覚めた時、全ての歴史が目覚めたように感じた。
 なにがなんだが、ほとんど分からなかった』
『ほとんどだ、俺は予想外の答えを手に立ち去った』

(Old World Blues が始まるちょっと前の話、ドンパチやらかす前)


[ログY-17.17]


『歴史に聞いてみたいと思ったことは? 理由はなぜかと? 
 俺はない、今はもう』
『神々と人間の古い物語は歴史ではない、神話だ。
 そこに出てくる神々は、まるで子どもたちのように…こらえ性がなく残酷だ』

『あれはビッグ・エンプティの声だった。過去の声だ。
 聞くまでは帰れなかった。理由はなぜかと』
『彼らの答えは常軌を逸していた。俺よりも強い力、エリヤが百人いても敵わない…
 ドームの中の彼らを倒そうとする、エリヤや俺よりも強い存在』

『彼らは途方に暮れていた。 なぜこうなったのかもわからない。
 やがて彼らの名前が自らを喰らう蛇のように思考を侵食していった』
『すべてが失われ終わったと思った時――俺は怒りに任せ、彼らに最後の質問をぶつけた』


『"君らは何者だ、自分の過去がわからないのか?"』


『そして彼らは目覚めた…
 ほんの一瞬だけ。』

『彼らは言った、「その旗は覚えている」―――アメリカだと』
『彼らにとって、それはただの旗ではなく… 場所だった。 彼らがかつて信じた思想だ』

『彼らは言った。外の世界はどんな様子だと。
 自分たちが必死で繁栄させ… 守ってきた世界… 知らないのだ、それが滅びたことを』
『 …それでも以前は愛していた。自らの歴史を忘れるまでは』

『彼らが語っている間。 …その背後に運び屋の影がちらついていた。
 それが彼らの言葉に重みを持たせた。歴史は… 故郷を排除した』


『俺は話に耳を傾け、質問した。そこには今も残っているのか、
 アメリカの声を伝える何かが』
『彼らは言った、俺はもうそこへ行ったと。
 俺ともう一人の俺は、想像以上に深い歴史の中を歩いてきたのだ』


『彼らは俺に伝えた。 ザ・ディバイドの中心には何があって、何が見つかるかを。
 それを目覚めさせる言葉 

 ―――彼らに話しかける言葉を』 
 

(Old World Bluesの少し前、ドームに住むドクター達が話す侵入者はユリシーズ、
エリヤ、クリスティーンの三人、このあと大脱走やらかす)
(だがある事情により、クライン、ダラ、エイト、ゼロ、ボロスという名を持つ5人の
ドクター達は、そのことを含め過去のことをよく覚えていない)

(ネタバレすると、Old World Bluesの悪役"Dr.モビウス"の手により上記の5人は閉じ込め
られ、そこに偶然赴いた運び屋が奪われた脳や背骨などの重要器官を人質にされ彼らが
外の世界に赴くためのアイテム探しをさせられるのだが、アイテムを全て集めモビウスと
決着をつける時に衝撃の事実が判明する)

(モビウスがドクター達を閉じ込めていたのは、今でもたまに人をさらってはロボトミー手術を
いたずらに施して遊んでいたりする彼ら5人が外の世界までもを遊び場にするのを食い止める
ためであって、そのためにドームに監禁し、記憶を定期的に消去しループさせていた)

(当のモビウスは薬物中毒になり狂っているのだが、それはあくまで5人に恐怖心を与え現状維持
しか考えさせなくするためであり、目的を忘れてもそのプロセスを繰り返し続け200年以上の
時を過ごした正義感が強く自己犠牲意識の強い人物)

(科学と、かつて彼らが愛し守り通した外の世界に生きる人々の平和を守るためモビウスの
意志が汲まれるかは、運び屋にかかっている)


[ログY-17.21]


『ここは、からっぽだ。グレートソルトレイクのように響く。
 波打つようなザ・ディバイドの空。ホワイトレッグスの嵐の太鼓のようだ』


『あの一面の塩の上を、連中と走った、シーザーの命令で…
 双頭のベアの喉を掻ききれ、全ての集落を皆殺しにしろ』
『嵐、空、えき病、火、飢餓、そして無知な暴力を利用して、奴は自分の敵に、
 敵になりそうな者たちを破滅させた』

『だがホワイトレッグスは… 他のスカベンジャーと同じように、単独では
 生きていけない。 そこで連中に目的を与え―― 連中の空腹を武器に変えたんだ』

『ニュー・カナーンの壁は… シーザーには高すぎた。 奴のプライドもな。
 あるいは、あそこには何かがあったのかもしれん。
 奴が消し去りたいと思っていた過去… グラハムの記憶が』 

『カナーンの補給物資や、砂に埋もれた他の秘密を探しだすのを手伝った。
 B.O.Sでも羨ましがるような動力兵器がたくさん詰まったバンカーがあったんだ』
『砲弾を発射するその新兵器を、奴らは"嵐の太鼓"と呼んだ。
 俺は、砲弾に込められた力と… 砲身に宿る精霊と交流する方法を教えたんだ』

『連中は俺のことを… "旗を持つ者"と呼んだ。俺の手の中に、俺の旗竿の中に
 ある栄光。背中のシンボルと同じように、旧世界の重みを帯びている』

『敬意という意味では… 連中は俺の武器のことを学んだ。
 そして連中が俺に敬意を払う段になって、歴史というやつが戻ってきたんだ』


『結果から逃げることはできない、歴史は常にそこにある。

 …どれだけ遠くへ歩こうとも』


(DLC第二弾 Honest Hearts が始まるだいぶ前の話)
(ホワイトレッグスは敵役であり、リージョンへ加入するため部族"ソローズ"を殲滅しようと
している)
(・・・のだが元リージョン最強超人ジョシュア・グラハムの故郷を滅ぼし、敵に回して
しまったばかりに彼らは…)



[ログY-17.22]


『シーザーの目や手となって、グレートソルトレイクを歩いた』
『2本脚と4本脚のモングレルがいた。ニュー・カナーンの壁の周りを、ハイエナ
 どもがうろついていたが、力も火もなかった。
 壁はあまりに高く、強固すぎた』


『ホワイトレッグスは生まれながらの戦士だ、戦いに飢えている…
 だが、その飢えでさえ、もっとも大きな歴史の一ページにすぎない』

『リージョンもしかり、いつもと同じように、シーザーからのメッセージを届けた。
 ニュー・カナーンが燃えれば、きっとシーザーの目に止まる。
 "きっと"、それさえも嘘だ』 
『シーザーを崇めるなら、ニュー・カナーンの歴史と、代々受け継いできたやり方を
 終わらせねばならない』
『シーザーはそうした力に敬意を示す、そう話した。 
 これは真実だ。
 ただし、"力"と呼べるものではない。"服従"だ』 

『喜んで誰でも殺さねばならない。子供も、母親も、弱者も、老人さえも。
 ニュー・カナーンの者達が、代々大事にしていたものなら殺す必要がある』


『まるで、俺を通してバルプスが話しているようだった。
 言葉を嘆願や叫びに変えるなら、夜、静けさ、そして火を使えばいい』

『憎しみに頼れば、爆弾は必要ない』

『俺は… ホワイトレッグスに長年の時をさかのぼり、祖先を滅ぼすよう要求した。
 歴史と刻まれ、忘れ去られたもう一つの死 」
『ニュー・カナーンの者達は、薬を提供した。他のものから交換で得た食べ物。
 文明化、過去から差し出される手。歴史の否定…』
『…だが、歴史は更に深い。 行き着く先よりもっと。
 
 神は、本当に存在する』


『そうであれば、神の作品である人々には、別の場所が用意されている。
 それもベアやブルと同じく、現在は意味をなさない別の象徴だ』

(同様)


[ログY-17.23]


『ホワイトレッグスは、敬意を示すつもりだったのだろう。
 シーザーの助けを得るため俺に賄賂を渡し、陳腐な言葉を繰り返した』

『俺は彼らに技術を教え、弾薬の扱いを教え、シーザーは武器を使う者たちを
 誇りに思っていると、嘘を説いた』
『そして… それから…彼らはリージョンではなく、俺を崇めた』

『彼らはある夜、俺をキャンプファイヤーへと連れだし、自分たちがいかに変わった
 か、どのような髪型にしたか見せてきた』
『かがり火に照らされたのは、俺の住んでいた部族の姿のようだった。
 闇に浮かぶ赤い歯、うずうずした屍、血でまみれた亡霊』

『彼らは… 俺のねじって結んだツイステッド・ヘアーを真似ていた。
 まるで、自分たちが俺と似ていて同じであると示すように…』

『…髪の結び目は、ひとつひとつが暴力を表すにも関わらず。彼らはその意味を
 分かっていなかった。敬意を示そうとして… 冒とくしたのだ』
『彼らの真意を必死で読み取ろうとしたが、恐らく何の意図もなかったのだろう。
 彼らはその意味とは無関係に生きてきた』


『ねじった髪、結び目に込められた意味に彼らは気づいていなかった。
 そしてドライウェルズが再現された。
 ホワイトレッグスは円になって… 俺の死んだ部族が亡霊となって蘇ったようだった』

『憎しみ、飢え、シーザーへの誓い… またひとつ歴史が消えた』


『・・・俺だけが残され』


(DLC第二弾 Honest Hearts が始まる少し前の話)
 

 


 

最終更新:2013年09月16日 17:45