死を映す悪魔

死を映す悪魔
part67-182~187



182 :死を映す悪魔:2014/06/28(土) 00:35:41.15 ID:Gz2mPse40
    ガラケーのゲームサイト『オセロ・超ゲー』で配信された、
    推理小説家の有栖川有栖が監修したという触れ込みの本格推理ゲーム、
    『死を映す悪魔』行きます。
    キャラ名やその他色々細かい部分は覚えてないので適当に表記しますがご容赦を。
 

    主人公の女子学生は、モデルのバイトでCM撮影のためにテレビ局に行き、
    そこでヒヨコの着ぐるみを目の前にして困惑していた。
    「プリンのCMということで、プリンの材料は卵だからヒヨコの着ぐるみを着てもらおう!」
    という発想で、撮影スタッフの一人が着ぐるみを着てもらうと言ってきたのだ。
    正直言って、着ぐるみなんて着てCMで撮影されたりなんかしたくない主人公だったが、
    バイトとはいえ仕事なので断れず、控え室に入り着ぐるみを着ることにした主人公。


    着ぐるみを着終わって、これはこれで可愛いかな、なんてのんきに考えていると、
    いきなり撮影現場からガシャーンと重いものが落ちる音が聞こえ、
    次に撮影スタッフたちの悲鳴や怒声が聞こえてきた。
    何事かと思い主人公が撮影現場へ行くと、女性スタッフが倒れていた。
    そしてその側には天井に据え付けられている大きなライトが落ちていた。
    どうやら、ライトが落ちてきて女性スタッフの頭に直撃したらしい。
    女性スタッフはピクリとも動かず、既に死んでいるようだった。


    主人公が人の死を目の前にして呆然としていたが、近くから聞こえた怒声で我に返った。
    死んだ女性スタッフの夫でもある男性スタッフが、プロデューサーを怒鳴りつけていたのだ。
    どうやら、プロデューサーが女性スタッフの死体を小型のビデオカメラで撮影していた事に
    男性スタッフが怒っているようだ。
    プロデューサーは最初は「警察が捜査する役に立つように撮影した」と言い訳をしていたが、
    男性スタッフがさらに問い詰めると「マスコミとかに高く売れそうだから」と本音を言った。
    「撮影したデータをすぐに消せ!分かったな!」と男性スタッフが怒鳴ると、
    プロデューサーは怯えながら承諾し、逃げるように控え室へ去っていった。


    そのうち警察が到着した。刑事は主人公を目にすると
    「なんだねその格好は、ふざけてるのかね」と言ってくる。
    主人公は着ぐるみを着たままだった事に気づき、慌てて控え室へ入り着替えた。
    それから警察の捜査に協力したのだが、
    その時に、例のビデオカメラから動画の入ったSDカードが抜かれていた事を知らされる。
    そして、そのビデオカメラは控え室に置かれていたので
    控え室に入った主人公にもカードを抜く事が可能だったという事で嫌疑をかけられてしまう。
    主人公は身体検査を受けてSDカードなんて持っていない事を証明したが、
    カードを抜き取る事が出来た他の人も全員SDカードを持っておらず、
    SDカードを盗んだ疑いを完全に払拭できないまま帰宅した。


183 :死を映す悪魔:2014/06/28(土) 00:36:23.07 ID:Gz2mPse40
    数日後、学校の授業が終わって帰宅しようとすると、
    校門で刑事に声をかけられ、署まで来て欲しいと言われた。
    事件で最初に会った時に、殺人現場で着ぐるみを着ていたとはいえ
    頭ごなしに怒ってきた刑事に対して苦手意識を持つ主人公だったが
    捜査に協力しないわけにはいかないと考え、同行することにした。


    警察署の視聴覚室のような所に連れて来られて、
    「ネット上にアップロードされた、とある動画が、
    例のビデオカメラのデータを加工して作られたものらしいんだ。とりあえず見てくれ」
    と刑事が言い、動画を再生した。


    動画の冒頭に、『死の動画その1』というタイトルが出てきた。
    そして次に、あのスタジオの天井に備え付けられている大きなライトが
    レンチによって緩められていき天井の装置から完全に外される様子が映されていた。
    レンチを持つ手は画面の外で見えない。
    そこから、いきなり女性スタッフが頭から血を流して倒れている画面に切り替わった。
    この部分が、例のSDカード内の動画から流用した部分なのだろう。
    そして最後に「これで終わりではないぞ、覚悟しろ」という脅しめいた文章が出てきた。


    再生を終えた刑事が「君がこの動画をアップロードしたんじゃないだろうね?」
    と聞いてきたので、全力で首を横に振る主人公。
    その後刑事は動画の心当たりを聞いてきたので、覚えはまったくないと答える主人公。
    ちなみにネットにアップロードされた動画は、既に警察の要請に応じて消されたらしい。


    警察から家に帰った後、主人公はこの事を兄に相談した。
    兄は、それまでに主人公が得た情報を元に推理するのだが、
    その時に主人公を容疑者の一人として考えた上で推理するので主人公が怒ると
    「いや、真理というのは客観的に考えなければ分からないんだ」
    と言うので、「これだから理系の兄は」と内心で毒付く主人公。


184 :死を映す悪魔:2014/06/28(土) 00:36:54.71 ID:Gz2mPse40
    数日後、授業を終えて学校から出た主人公は、また刑事に署までの同行を求められた。
    その時一緒にいた友達が、家まで早く帰りたいからパトカーに一緒に乗せて欲しいと求める。
    刑事は渋ったが、捜査を協力してもらうためだと思ったのか許可し、主人公と友達を車に乗せる。
    そして署に向かう途中、刑事は署から電話を受けた。
    その電話の内容は『死の動画その2』がネットにアップロードされたというもの。
    電話を終えた刑事は車を停車させると、ノートパソコンを使ってその動画を見る事にした。
    主人公と友達も刑事に許可をもらい、一緒にその動画を見る。


    その動画は、冒頭に『死の動画その2』と表示された後、
    部屋の真ん中に水が入った大きな水槽が映し出されていた。
    そこにいきなり、手足を縛られた人が投げ落とされた。
    主人公はその人の顔を見て、あのプロデューサーだと気づく。
    プロデューサーはしばらく窒息の苦しみでもがいていたが、
    そのうち完全に溺れ、ぐったりとして動かなくった所で動画は終わった。


    主人公はプロデューサーの住むマンションを知っていたので、
    刑事にその場所を教えると、刑事は急いで車を向かわせた。
    家へ到着し管理人に鍵を開けるように求め、部屋へと踏み込んだ刑事と主人公と友達。
    部屋に入ると、目をカッと見開いたプロデューサーが水槽の中に漂っているを発見する。
    プロデューサーと目が合ってしまい動揺しつつも助けようと近づこうとする主人公だが、
    刑事がそれを止めた。早く助けなければと焦る主人公に刑事は言う。
    「もう手遅れだ。彼の顔や体に模様が出てるだろう?
    これは死斑といって、死後数時間経つと出る模様なんだ。
    どうやらあの動画は随分前に撮影されたものらしい」
    その後警察の鑑識等も来て捜査が始まり、主人公と友達は警察の事情聴取に応じた。


    数日後、第一の事件の被害者の女性スタッフの夫である男性スタッフが主人公の家を訪れた。
    妻の敵を討つべく、独自に調査をしているらしい。
    男性スタッフが今までに得た情報をまとめたノートを見せると、
    主人公の兄はそのノートを映させて欲しいと頼み、
    男性スタッフはそれが真相を知る助けになるのならと同意した。
    男性スタッフの書いたノートには事件関係者のアリバイや近況などが詳しく書かれていた。


    さらに数日後、主人公が学校へ行くと、友達が登校していない事に気づく。
    携帯に友達からのメールがあった。
    「気がついた事があるから、もう一度あの場所へ行ってみる。
    もしかしたら犯人がわかるかも!もし犯人が分かったら、今度食事をおごってね!」
    という内容。


    学校が終わってから友達からメールが無いか確認するが、メールは来ていなかった。
    友達はどうしてるんだろうと思いながら帰宅すると、兄が血相を変えて話しかけてきた。
    「ネットに『死の動画その3』が上がってるぞ!」
    早速その動画を見てみると、人が倒れているだけの動画だった。
    だがそれを見た主人公は、倒れている人が友達だと気づいてしまう。
    この動画の場所はどこなのだろうかと考え、
    友達のメールの「あの場所をもう一度調べてみる」という部分から、
    友達と事件の唯一の接点の場所である、プロデューサーのマンション付近だと推測する。
    主人公は警察にその事を伝えると、自分も兄の運転するバイクに二人乗りしてそこへ向かった。


185 :死を映す悪魔:2014/06/28(土) 00:37:34.74 ID:Gz2mPse40
    必死になって探していると、パトカーが付近の公園に何台も止まっているのを見つけ、
    主人公も公園に入ろうとするが、あの刑事がそれを止めた。
    「もうあの子は死んでいた。それに既に警察によって遺体は運ばれた。もうここにはいない」


    主人公はショックを受け帰宅後も呆然としたままで、なかなか寝付けなかった。
    「何人も人を殺してそれを動画にしてネットに上げるなんて、犯人は『死を映す悪魔』だ!
    あなたは誰なの?私は絶対に許さない!」


    翌日、起床した主人公は兄にこう提案した。
    「お兄ちゃん、友達は犯人や証拠に気づいたせいで殺されたんだと思う。
    友達が事件の真相にたどり着けたなら私もたどり着けるはず!だから今日一日探偵をしてみたいの。
    お兄ちゃんと手伝って、お願い!」
    兄は「どうせ断っても一人でやるんだろう?付き合うよ。
    だが危険な事はするなよ、何か分かったらすぐに俺に教えるんだぞ!」と言って承諾する。
    2人はバイクに二人乗りして、3つの事件の現場に行ったり関係者へ事情聴取したり、
    例のノートを読み返したりといった捜査を行った。


    そして全ての捜査を終えた主人公は頭の中で考えをまとめると、兄にこう言った。
    「分かったわ、全ての謎が!私に推理の天使が舞い降りてきたの!」
    「お前は何を言っているんだ…」
    「とにかく!犯人が分かったの!犯人は…」


    ここでいったん場面が変わり、どこか分からない場所で主人公はプレイヤーに向かって
    「さて、犯人は誰でしょうか?」と聞いてくる。
    どうやらゲーム本編と切り離されたメタ空間なようだ。
    ここで実際にプレイヤーは、犯人が誰かを選択肢の中から選ぶ事ができる。
    いわゆる「名探偵諸君、ここまでの情報で真犯人や事件の真相は推理可能だ、さあ当ててみたまえ」
    という、いわゆる『読者への挑戦状』なのだろう。
    どの選択肢を選んでも「さて、合っているでしょうか?では続きを読んでみましょう」
    と言って次へ進ませてくれるので、ここで詰まる心配は無い。


    元のゲーム内に戻り、主人公と兄が乗ったバイクが犯人の元へと向かう。
    そして犯人の居場所へ向かう道の最後の曲がり角を曲がろうとした時、
    いきなりバイクが転倒し主人公と兄は道路へ投げ出された。
    曲がり角に油が撒かれていたのだ。兄の運転技術のおかげで軽い怪我で済んだが、
    場合によっては死んでいたかもしれない。


    バイクが転倒した音を聞きつけて周囲の人々が見に来たのを見て、
    主人公はその中の一人を指差して叫んだ。
    「私たちを事故死させて、『死の動画その4』を撮影しようとしたのね!」
    指差された女性は、プロデューサーとCM関係の仕事をしている女性の会社員。
    主人公は、彼女が犯人だと言うのだ。犯人と呼ばれた女性はこう言った。
    「いえ、近くで事故が起きたから見に来ただけよ。
    どうしても私が犯人だというのなら、詳しい話は私の会社の事務所で聞こうかしら?」
    犯人の誘いに乗る事を兄はためらっていたが、主人公は
    「もうこの人は私たちに危害を加えるつもりは無いみたい、ついていこうよ」
    と、誘いに乗る事にした。


186 :死を映す悪魔:2014/06/28(土) 00:38:26.23 ID:Gz2mPse40
    事務所に着くと犯人は「私が犯人だという推理、聞かせてもらおうかしら」
    と言ってくるので主人公は最初に『死の動画その2』で映されたプロデューサーの殺人動画の中で
    犯人が犯したミスについて話す事にした。


    「死の動画ではプロデューサーの顔が撮影したカメラの方を向いていたから顔が見えました。
    そして私が刑事さんと一緒に部屋に踏み込んだ時は入ってすぐにプロデューサーの顔と目が合った、
    つまり顔が入り口側に向いていました。
    でも先ほど事件現場を調べている刑事さんに、
    死の動画の撮影は入り口とは反対側の部屋の奥から撮影されていると教えてもらいました。
    となると、撮影時には部屋の奥の方に頭が向いていたはずで、
    もし死体がそのままなら私たちが駆けつけた時に
    部屋に入ってすぐ見えるのは足元であって、顔が見えるはずがないんです。
    あの水槽は人が入る程には大きいですが、
    沈めた死体が勝手に回転して向きが変わるほどの幅はありません。
    つまり、あの動画が撮影された後、死体が発見されるまでの間に
    死体の向きが犯人によって入れ替えられていたんです!」


    「私がなぜ、そんな事をしたというのかしら?」
    「それはプロデューサーを二度殺したからです。
    手足を縛って一旦突き落として溺れさせてその動画を撮影してから、人工呼吸などで息を吹き返させ、
    それからもう一度水槽に入れて今度はホースで水を流し時間をかけて殺したんです」
    「なぜ私はそんな残酷な殺し方をしたというの?」
    「それはアリバイ作りのためです。ただ普通に水槽に入った死体が発見されただけでは、
    ホースを使って時間をかけて殺す事で、死亡時刻に他の人と一緒にいたというアリバイを作ったという
    アリバイ工作を見抜かれる可能性があります。
    そこで直接突き落とした動画を死の動画としてネットに上げた上で蘇生させて改めて殺す事で
    動画の通りに直接突き飛ばしてそのまま殺したと思わせて死亡時刻に犯人がそこにいたと思わせて、
    ホースによる時間差殺人をカモフラージュしようとしたんです!」


    「それは分かったわ。でも、それでなぜ私が犯人になるの?」
    「まず、あなたのアリバイは、死亡時刻にはアリバイがあり、その少し前より以前はない。
    つまり犯人のアリバイ工作に合致します。
    それと、あなたは『死の動画その1』の犠牲者の女性スタッフの葬式の時に話をした時、
    女性スタッフと一緒に勉強して色々資格を取ったといってましたが、
    その時に挙げた資格の中にダイバーの資格もありましたね。
    ダイバーの資格を持つなら、溺れた人を人工呼吸等で蘇生させるための技術も持っているはずです。
    それになにより、先ほど私が事情聴取に来た時に
    「プロデューサーの死体の死斑が出た顔を忘れられない」と言いましたよね?
    でもそれは変なんです。死の動画では、溺れたばかりなので死斑は出ていませんでした。
    そして刑事さんと私たちが部屋に踏み込んだ時には死斑は出てましたが、
    その後死体はすぐに警察によって運ばれたんです。
    だから、死斑の出た死体を目にする事が出来るのは、
    警察の人と部屋に踏み込んだ私と友達、それ以外には犯人しかいないんです!」


187 :死を映す悪魔:2014/06/28(土) 00:39:00.35 ID:Gz2mPse40
    そこまで言うと、犯人は諦めて自白し、事件の全貌を語った。
    動機は、横領の発覚を恐れての口封じ。
    犯人とプロデューサーは以前から、CMの製作を実在しない会社に委託した事にして製作料を水増しさせ
    今までに数億円もの金を横領していたのだが、それが発覚しそうになっていた。
    そこで、共犯のプロデューサーを殺してしまえば彼一人に全ての罪を被せられると思ったのだ。


    『死の動画その1』の女性スタッフが死んだ事件は、本当はただの事故で、犯人は関与していないが、
    プロデューサーがその現場をビデオカメラで撮影してその動画データを持ち出したと聞いて、
    その動画を故意の殺人と見せかけた上でネットに投稿してからプロデューサー殺しもネットに投稿する事で、
    死の動画をネットに投稿する理由を自己顕示欲と見せかける事で
    アリバイ工作をカモフラージュする事を思いついたのだ。
    つまり、プロデューサーは自分勝手な行動のために、自分を殺すお膳立てをしてしまったわけだ。
    (ちなみに身体検査をしても見つからなかった動画データの入ったSDカードは、
    あの着ぐるみの中に隠して持ち出されたらしい。
    事件の犯人を断定するための決定的証拠を探してたわけではないので、その程度の細工で持ち出せたのだろう)


    そして『死の動画その3』の友達殺しは、友達が事件の真相に気づきそうだから殺したという。
    マンションの付近を調査していた友達は犯人と会い、
    犯人に自分の推理を話してしまったために、
    そのうち自分が犯人だと気づかれると思い慌てて殺してしまい、
    今までに作り上げた、自己顕示欲が強いという犯人像を崩さないために
    『死の動画その3』をネットに投稿したのだ。


    犯人が全てを話し終わったと同時に、主人公は体から力が抜けていくのを感じた。
    先ほどのバイク事故のダメージは予想外に強かったらしい。
    兄が慌てて呼ぶ声を聞きながら主人公は気を失った。


    夢の中で主人公が光に向かって進んでいくと、そこに友達がいた。
    「約束どおり今度食事をおごってね!」と言ってくる友達。
    こんな事になってもそんな事を言うなんて、友達らしいなあ、と思っていると目が覚めた。


    目が覚めると、兄が涙ぐみながら側に座っていた。
    私を心配して泣いているのかと主人公がからかうと、
    傷口が染みただけだと照れ隠しをする兄だった。


    こうして『最初の』事件は解決した?『最初の』とはどういう事かって?
    そう、数ヵ月後、主人公とその兄はさらなる事件に巻き込まれるのだった…


    END



    以上です。この推理ゲームは実際の推理小説のように、
    『読者への挑戦状』より前の部分を読み込めば犯人が誰か絞り込めるようになっています。
    このゲームが公開されてから少しの間は、自分の推理をサイトに投稿する事で
    賞品を貰えたそうです。
    ちなみに続編がありそうな終わり方ですが、2008年に作られたこのゲームの続編は、
    2014年4月時点でもまだ作られていません。
 

最終更新:2014年07月01日 21:19