メトロイドフュージョン
part67-328~332
328 :ゲーム好き名無しさん:2014/10/02(木) 21:07:03.14 ID:z/QoDHF50
GBAの『メトロイドフュージョン』行きます。
時系列は メトロイド(ゼロミッション)→プライムシリーズ3作→2→スーパー→Other M→フュージョン となっており、
今のところ発売されている作品の内では最も新しい時代となる。
■登場人物
サムス・アラン:主人公。幾度となく宇宙の危機を救った賞金稼ぎ。スーツの中身は金髪の美女だが、本人は女扱いされるのを好まない。
今作ではXの侵食とメトロイドワクチンによってパワードスーツが軽量薄手の「フュージョンスーツ」に変化している。
アダム:銀河連邦から提供された新型シップの人工知能。「アダム」という名前はサムスが心の中で勝手につけたもの。
エテコーン&ダチョラ:惑星ゼーベスの原住生物。猿のような動物がエテコーンで、ダチョウのような動物がダチョラ。
見かけによらず知能は高く、『スーパーメトロイド』ではサムスを助けたこともある。
ベビーメトロイド:惑星SR388でサムスと出会い、生まれて初めて見た彼女を親と認識した幼体メトロイド。
『スーパーメトロイド』で敵の攻撃からサムスをかばって死亡した。
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サムス・アランは「BIOLOGIC宇宙生物研究所(B.S.L)」の依頼を受け、惑星SR388に居た。
メトロイドが絶滅した後のSR388を調査する一団を護衛するためだ。
そこで発見した原住生物に襲われるが、危なげなく撃退した。
……と思われた矢先、その生物は突然アメーバのような不定形へと変化し、サムスに食らいついた。
この時は特に体に異常もなかったのだが、調査を終え帰還しようとシップを発進させたとき突然サムスは意識を失ってしまう。
シップはコントロールを失い、そのままアステロイドベルトに突っ込んでしまった。
幸い、激突寸前に脱出ポッドが自動的に射出されたものの、彼女の肉体はアメーバのような寄生生物「X」にパワードスーツもろとも侵食されていた。
バイオ素材で作られたパワードスーツは装着時に肉体と完全に一体化するため、意識のない彼女から無理やり脱がすことはできない。
Xに蝕まれたスーツの大部分は身につけたまま切除されたが、神経中枢の奥深くにまで達したXを取り除く術はなく、生存は絶望的と思われた。
だが、唯一の治療法が見つかった。
Xを除去するワクチンがメトロイドの細胞から作り出すことに成功したのだ。
銀河連邦によって保管されていたベビーメトロイドの細胞から作られたワクチンを投与するとXはみるみる駆逐され、サムスは一命を取り留めた。
彼女が意識を取り戻したとき、その姿は大きく変化していた。
ベビーによって再び命を救われた。サムスはその事実を噛み締めるのだった。
それから程なくして、サムスは惑星SR388の衛星軌道上にあるBIOLOGIC宇宙生物研究所、通称B.S.Lへと向かっていた。
調査隊がSR388で捕獲した生物は、サムスの治療中に全てB.S.Lへと運び込まれていた。
やがて意識を取り戻したサムスは、B.S.Lで起きた原因不明の爆発事故のことを知らされた。
彼女の今回の任務は、その状況調査である。
B.S.Lにおけるサムスの行動は全て今サムスの乗っているスターシップのAIが管理する。
連邦はこのAIの指示に従うことを条件で、新しいスターシップを提供したのだ。
他人に行動を指示されるのを好まないサムスであったが、司令官の下での任務はこれで二度目である。
AIの無愛想な声は、かつて共に戦ったその司令官を連想させた。
アダム・マルコビッチ。冷徹なまでに任務に忠実な彼の判断は常に素早く、正確だった。
だが、ややデリカシーに乏しく時折サムスのことを「レディー」と呼び、神経を逆なですることもあった。
「異論はないな? レディー」それが彼の決まり文句だった。
サムスは大いなる敬意とささやかな皮肉を込め、このAIのことを心の中で「アダム」と呼ぶことに決めた。
329 :ゲーム好き名無しさん:2014/10/02(木) 21:10:20.22 ID:z/QoDHF50
サムスは爆発事故の原因を探るため、現場である特別保管庫へと向かった。
そこに居たのはSR388の原住生物。だが、サムスが攻撃を加えると生物はXへと姿を変えた。
調査隊が捕獲したのは、SR388の生物に擬態したXだったのだ。
先の爆発によってXはカプセルから逃げ出し、恐らくもはやB.S.L全体にまで広がってしまったに違いない。
ゲル状の生命体「X」は他の生物の体内に侵入し、寄生して増殖。その生物に大きなダメージを与え、最終的には死亡させる。
そしてその際に得たDNA情報などを元に擬態し、外見のみならず知識や能力までも完全にコピーすることが出来る。
きわめて凶悪な生命体だが、対抗手段も存在する。メトロイドだ。
メトロイドは元々Xに対抗するために作られた人造生物だったのだ。
メトロイドワクチンを投与されたサムスはその体質を変化させ、決してXに寄生されない肉体を手に入れた。
それどころか、擬態していない本来の姿のXなら触れるだけでその身に吸収することすらできるようになった。
かつてはメトロイドによってXの活動は最小限に抑えられていた。だが、メトロイドはもういない。
今や、サムス・アランだけがXに対抗できる存在なのだ。
今のサムスはパワードスーツの大部分を切除された影響により、その能力は本来の10%ほどにまで落ちている。
だが、Xを吸収すればそれらの失った能力を取り戻すことも可能だろう。
B.S.L内は既にXの巣窟となっており、生存者と思われたのもXによる擬態であった。
サムスは時に連邦から送られてきたデータにより、時にはXの集合体を自身に取り込むことによって
次第にかつての力を取り戻していった。
だが、サムスの敵はただのXだけではなかった。
切除されたサムスのパワードスーツに取り付いていたXは、全盛期のサムスと同等の力を持つ「SA-X」となっていた。
爆発事故の原因もこのSA-Xだったのだ。
SA-Xは己を脅かす可能性のあるサムスを執拗に狙い続けた。
現状のサムスではSA-X相手に勝ち目はない。運悪く遭遇してしまった際にはひたすら逃げるしか手はなかった。
結局、生存者は飼育エリアに隔離されていた猿のような生き物と、ダチョウのような生き物のみであった。
彼らはエテコーンとダチョラ。かつて惑星ゼーベスでサムスを手助けしてくれた生き物だ。
彼らの方もサムスのことを覚えていたようで、助けてくれた礼を言うようにちょこんと頭を下げ、サムスのシップへと向かっていった。
探索の最中、サムスはどのセクターにも属さない謎のエリアへと迷い込んでしまった。
そこには無数の培養槽があり、全滅したはずのメトロイドが育成されていた。
これは一体……サムスが訝しむ間もなく、突然現れたSA-Xが培養槽に向けてビームを乱射した。
SA-Xはサムスには目もくれず、天敵であるメトロイドを狂ったように攻撃し続ける。
その直後、異常事態を感知したシステムによって極秘セクターは切り離され、自爆装置が作動した。
330 :ゲーム好き名無しさん:2014/10/02(木) 21:14:27.40 ID:z/QoDHF50
サムスは辛うじて切り離される前に脱出し、アダムを問い詰めた。
このB.S.Lは元々、メトロイドを兵器として利用するための研究施設だったのだ。
研究を積み重ねた結果、メトロイドを幼体から一足飛びに最終形態のオメガにまで成長させることも可能となっていた。
だが、その研究成果はたった今宇宙の藻屑と消えた。一体のSA-Xを道連れに……
……一体の。そう、Xは分裂によって増殖する。B.S.Lには現時点で確認されているだけでも10体以上のSA-Xが存在するのだ。
そして、メトロイドを失った連邦は新たな決断を下した。
Xを兵器として利用しようというのだ。
なんて馬鹿なことを。X、とりわけSA-Xの恐ろしさはサムス自身が一番よく知っている。
奴らはとても人間たちの手に収まるような存在ではない。
連邦軍は到着後まもなく壊滅し、Xによる連邦軍のコピーが誕生する。
そして奴らとSA-Xは獲物を求め、銀河連邦を地獄と化す。やがてその被害は全宇宙に及ぶことになるだろう。
そのような事態は何としても阻止しなければ。
サムスはB.S.Lを自爆させ、自分もろともXを葬り去ることを決意した。
だが、連邦軍の行動の妨げになると判断されたサムスはアダムによってナビゲーションルームに閉じ込められてしまった。
「連邦軍は、絶対に立ち入らせてはならない。
それを許せばどうなるか、分かるだろう、アダム!」
アダム。思わず口走ってしまった、かつての仲間の名前。
「行くべき者が行き、残るべき者が残る」。かつてアダム・マルコビッチはそう言って自らの命を犠牲にし、サムスを助けた。
今回は自分自身が「行く者」となる番。サムスはそう考えた。
だが、アダムはそんなサムスを愚かだと断じた。
たとえ今B.S.Lを自爆させたとしても、惑星SR388に居る無数のXはそのまま残る。
つまり何の解決にもならず、今回の連邦の計画にとって邪魔なサムス・アランという勇敢な戦士が消えるだけ。
そんな簡単なことにも気づかず、無駄に命を捨てるというのか。
「アダムは、残るべき者の判断を誤ったようだな」
全くの正論に言葉を失うサムス。アダムは続ける。
「……このステーションをSR388に衝突させれば、Xの根絶は可能だろう」
「?…………」
「今すぐ推進エンジンを起動し、SR388へ向かえば連邦軍は追いつけまい。
サムス、最終ミッションだ。君はコントロールブリッジへ向かい、目的地を惑星SR388にセットせよ。
そして激突までの間にシップに戻り、脱出するのだ。速やかに行動し、必ず生還せよ。これは命令だ!
異論は無いな? レディー」
331 :ゲーム好き名無しさん:2014/10/02(木) 21:16:36.97 ID:z/QoDHF50
サムスはアダムの指令に従いコントロールブリッジに向かうが、その目の前でSA-Xの襲撃を受ける。
今のサムスはSA-Xの能力に限りなく近づいている。
戦いは熾烈を極めたが、最終的にはサムスが打ち勝った。
だが、不定形の姿へと戻ったSA-Xはサムスに取り込まれる寸前にどこかへと逃げ去っていった。
SA-Xのことは気にかかるが、今はコントロールブリッジへ行くことが先決だ。
サムスは推進システムを操作し、B.S.Lの軌道をSR388へと向けた。後はシップに戻り脱出するだけだ。
だが発着場にシップの姿は無く、付近は生々しく傷つき破壊されていた。
そこにあったのは見覚えのある生物の殻……メトロイドの殻だ。
そして突如、オメガメトロイドがサムスへと襲い掛かった。
極秘セクターが切り離された時全滅したと思われたメトロイドだったが、秘かに逃げ延びた個体もいたのだ。
ここに来るまでの過程で脱皮を繰り返し、ついには最終形態のオメガにも至っていたとは。
人工的に育成されたメトロイドはかつてサムスが戦ったものとは違う特性を持っているのか、その強固な外殻にはミサイルも通用しない。
ならば打つ手はアイスビームしかない……だが、冷気に弱いメトロイドの特性を持つ今のサムスはアイスビームの能力を未だ取り戻せていないのだ。
オメガメトロイドの鋭い爪が容赦なくサムスを襲う。絶体絶命だ。
だがそこへ、先ほど取り逃がした不定形Xが現れた。
XはSA-Xの姿へと戻り、オメガメトロイドへとアイスビーム攻撃を仕掛けた。効いている。
だが、先のサムスとの戦いで多くの力を失っていたのか、オメガメトロイドの一撃で再び不定形に戻されてしまった。
サムスを救おうとしたのか、それとも単に天敵であるメトロイドを倒したかっただけなのか、それは知る由もない。
だが、いずれにしてもこれは千載一遇のチャンスだ。
サムスはSA-Xを吸収し、ついにアイスビームの能力を取り戻した。
弱点である腹部に向けてアイスビームを撃ち込み、サムスはオメガメトロイドの撃破に成功する。
そこへ、シップが戻ってきた。サムスはシップへ乗り込み即座に発進させた。
シップが離れてからほどなくしてB.S.Lは惑星SR388に衝突、SR388はこの宇宙から消滅した。
332 :ゲーム好き名無しさん:2014/10/02(木) 21:18:06.52 ID:z/QoDHF50
サムスはシップの操縦席で思いに耽る。
優秀な司令官であったアダム・マルコビッチの頭脳は、その豊富な経験と的確な判断力を買われ、
彼の死後も連邦軍のために任務を遂行していた。
サムスはこの時初めて知ったが、優秀な科学者や軍人の頭脳がコンピュータに反映されるのは、
今日ではさして珍しいことではないようだ。
サムスはアダムとの奇妙な再会によって、全銀河に及んだであろう最悪の事態を回避できたことを痛感していた。
だが、銀河連邦は二人の判断をどう受け止めるだろうか。
自らの危険な過ちを一切省みることもなく、二人の責任を追及しようとばかりするのだろうか。
そんなサムスの懸念に、アダムはこう答えた。
「大丈夫だ。役人連中にも話の判る人間は必ずいる」
その言葉を聞き、サムスは思った。
人にはそれぞれ立場や事情がある。そのしがらみによる過ちを繰り返しながら、
人の心は最終的に正しい答えを見出すに違いない。そう信じてみよう。
アダム自らがそのことを教えてくれたばかりではないか、と……
その時、ふとサムスの脳裏にある疑問が浮かんだ。
このシップはマニュアル操作でなければ起動させることはできない。
だが、オメガメトロイドが現れる前にこのシップは自力で発進していた。
アダムは一体どんなマジックを使ったのだろうか。
「何を考えているんだ? レディー。
……シップを起動させた方法を知りたいのか。簡単なことだ、よく考えてみたまえ。
彼らが、手を貸してくれたのだ」
そこには、寄り添って眠るエテコーンとダチョラの姿があった。
THE END
以上です。
メトロイドシリーズでは珍しいストーリー重視の作品です。
ゲーム開始時にテキストを「大人向き(漢字有り)」と「子供向き(漢字無し)」から選べますが、話の内容自体は変わりません。
ちなみに、アダムと協力して戦った任務については後に発売された『メトロイド Other M』参照。