フラッシュモーター・カレン
差し替え・追加スレッド-845~887


845 :フラッシュモーター・カレン:2015/02/22(日) 11:35:51 ID:???
    投下。すみませんが、すごく長いです。

    ●フラッシュモーター・カレン
    パズルゲーム。見下ろし型のターン制のパズルで、スイッチを押し、規定歩数以内でゲートに向かう。
    動かすブロックや砲台などの障害が存在。後半は面倒な問題が増える。
    エリアごとに用意された10問のステージのうち5問をクリアするとストーリーを進められる。
    ストーリー内のパズルは絶対にクリアしないとならない、規定歩数が多いが敵を倒せなどのステージがわりとある。

    かれん:病室で寝たきりの黒い長髪な女の子。ネットワーク内では元気なカレンとなる。
    カレン:仮想現実フロンティア内でのかれん。白いワンピースを着た、水色の長髪の少女のアイコン。
    ラグ:フロンティア内での灰色の猫型アイコン。FSSネットワークセキュリティのエージェント。
    ヤガミ・タテワキ:世界的企業FSS=フロンティア・セキュリティ・サービスの社長。ヴィジュアル系の服装。
    リリアーヌ・ホンダ:ヤガミ・タテワキの秘書。
    イダ・タケヒコ:かれんの主治医。
    FNP:フロンティア・ネットワーク・ポリス。フロンティアのネット警察。権限はあるが企業のFSSよりも能力は低い。
    L-コンパニオンズ:女性型アイコン。フロンティア内にたくさんおり、宗教勧誘をしているAIであり人間ではない。
    ポストさん:カレンの夢の中に出てくる、頭にタンポポの生えた赤く四角いポスト。老人の声で、カレンに色々教える。

    ラグ教授:ストーリーには登場しない。パズルモードの時にだけ出て、ヒントを与える。
    ささやき天使カレンさん:ストーリーには登場しない。パズルモードの時に出て、一言告げる。

846 :フラッシュモーター・カレン:2015/02/22(日) 11:36:31 ID:1uVwDLTc

    ■Act01.ドリームウォーカー
      世界は 混沌と熱狂に幾度も打ち据えられ 科学とメディアに仮初めの癒しを施されながら 今なお、存続している
      
    『フロンティア』 
    生命体の全感覚を電子的に置換し、ネットワーク内で現実さながらの活動が可能な仮想環境の総称。
    現在ではアミューズメント施設を中心に、幅広い層に利用されている。
    接続には専用のウェアラブルコンピュータを必要とするが、
    その価格は性能の向上に反比例し、日々、より手ごろな値段になりつつある。
    登録ドメイン数は約8500万。 利用者総人口は本年度、2億人を超えるものと予想されている。
    稼働開始より10余年。日々過密となる接続人口、入り乱れる人種、思想。広がり続ける電子の開拓地。
    そこに新たな災害や犯罪が生み出されようとなんら不思議はなかった。

    フロンティア:人体の感覚を再現できる高度な電子空間。俗に言う「電脳世界」。
    ドメイン:フロンティア内部での「都市」や「地区」にあたる言葉。
    アーコロジー:生産と消費が自己完結された完全環境都市の通称。リアルワールドとフロンティアの双方で使われる用語。
    リアルワールド:現実。この世。

    フロンティア アーコロジードメインJA2241<<ヤマテ・ナグヤ>>
    第二市街 北ナグヤ通り AM02:44
    少年?「繰り返す。状況は【イントルーダ】。
     FNP専用オートマトンの巡回データ一括更新タイミングを狙った攻撃と思われる。
     暴走したオートマトンらは現在JA2241第二市街区にて破壊活動を行っている。
     FSS権限により該当ドメイン内一般ユーザーの避難誘導、および現場の隔離を施行。
     オートマトンらは、フィールド3に誘導し…隔離したが何れもアタックツールを起動しており、掃討は困難。
     支援を…要請する。…う。」

    オートマトン:フロンティア内にいる無人のロボットアイコンの総称。
    ツール:アイコンに装備する事で行動の幅を広げる特殊なプログラムの総称。フロンティアにおける魔法。
    アイコン:人々がフロンティアで行動する為に必要な電子の人形。ネットゲームにおけるプレイヤーキャラクター。
    フィールド:フロンティア内部での「町」や「番地」にあたる言葉。
    FSS:フロンティアセキュリティサービス。ΦNET直轄のセキュリティ会社。
    ΦNET:ファイネット。コンピュータ関連のあらゆるサービスを提供する世界的な企業。
    セキュリティ:フロンティアでは重要なフィールドをパズル構造とする事で侵入者への防壁としている。
    FNP:フロンティアネットワークポリス。国連認可のフロンティア警察。
    アウトロン:ユーザーがフロンティアを終了する事の通称。「落ちる」とも言われる。

    少年?(まずい。出会いがしらに受けたダメージが、神経系の許容範囲超えてる。いたい。作業速度上げる為に、
     神経接続開放し過ぎた。アウトロン………出来ない。緊急通信、たぶん届いてない。隔離を解除…ダメだ…! 
     それじゃオートマトンが野放しになる。いたい。いたいよ。)
    少年?「…ねえさん。」 ???「…あ。『猫』だ。」 少年声の猫型アイコン「…?」
    少女型アイコン「にゃー★」 猫(人型アイコン…?)  少女「脚にゲカしてるね…大丈夫?」
    猫「ちょ…キミ。い、一般ユーザーがなんでFSS権限の隔離ドメインに残ってんだよ!? まさか…逃げ遅れた?
     いや、ありえない。隔離直後のサーチでは、僕以外の有人アイコンなんて!」
    少女「猫…しゃべってる。今夜のはずいぶんファンタジックだわ。でも『ポストさん』は近くにいないみたい。…残念。」
    猫「キミ? さっきからいったい、何を言って…」 少女「おいで。」
    <<きゅっ>> 猫「ひゃ!?」(つ…捕まったっ) 少女「一緒に散歩しよう♪」
    ステージ1、2クリア。
    猫(この子…DaReKaを改造した、個人アイコンを使っているらしい。反応係数、かなり高い。
     フィジカルブースター付き? 高速移動用のボード以外にも、何かツールを装備しているようだけど…)「…あ!」

    DaReKa:代表的なアイコンの商品名。扱いが易しく安価。加工したり追加パーツを付ける事でカスタマイズできる。

847 :フラッシュモーター・カレン:2015/02/22(日) 11:37:11 ID:???

    少女「ん? どうしたの?」
    猫「ここ、フィールド3じゃないか! …まずいよ。ここには僕が隔離した暴走オートマトンがいるんだ!
     奴らは致死威力を出せるアタックツールを装備しいる。キミみたいな一般アイコンじゃ勝ち目ないよ! …逃げよう!
     君の速度なら応援が来るまで、なんとか逃げ回れる!」
    少女「房総、王トマト?」
    猫「それってドコの特産品ッ!? …じゃなくて、フロンティアネットポリスの電子番犬!
     しかも、この近くにいるのはウィルス食らって対人リミッターの外れた狂犬だ!」
    少女「ふうん。…でも。犬っぽくないよ?」
    猫「ああもう、比喩だよっ! いいから早く! ていうか、キミ…何見てその感想言った?」
    少女「こっちに来る、あれ。」  猫「…な!」 少女「ね? 全然、犬に見えないもの。」
    猫「逃げて! はやくっ! 今の僕にも目くらましくらいは出来る! さあ、はやく!」
    少女「キミ…ケガしてまともに歩けないにゃんこのクセに。かっこいいね。」
    猫「…そうさ。僕はかっこいいんだ! だからこんなトコで死なないんだ!」
    少女「…。今夜の『夢』はちょっとヒロイックだ。」 猫「って、コラ! なんで僕の前に立つの!?」
    少女「だいじょうぶ。」 猫「は?」 少女「だいじょうぶ、だから。全部、私がやっつける。」
    猫「! 『足踏み』を使うんだ! 自分に有利な位置に敵を動かして攻撃を!」
     こちらに向かって歩いてくる敵アイコンを、重ならないように攻撃。ステージクリア
    猫「…。」(戦闘時の瞬間的な反応係数は、本調子の僕の…1.5倍以上。
     USAイントロフォースのカタログでも見た事が無いアタックツール…全部自作? まさか)
    少女「にゃんこ…ボーッとしてるよ。大丈夫? もう脚は平気みたいだけど。」
    猫「キミ。いったい何者なんだ?」 少女「んー…じゃあカッコイイ猫くん。キミの名前も教えてくれる?」
    猫「…『ラグ』。こう見えてもFSS-JAのエージェントで、IDは…」
    少女「わたしは『カレン』」 ラグ「え?」(この子、アウトロンする? 待てよ、このコードは…)
    カレン「ラグ、じゃあまた」 ラグ「ちょ、ちょっとキミっ!?」 カレン「あしたの夢で会おうね!」

    アーコロジードメインJA2241<<ヤマテ・ナグヤ>>
    第二市街北ナグヤ通り AM04:02
    FNP「いやぁ~、さすがはFSSエージェント! ろくなツールも持たずに、よくあの状況から生還されたものだよ!」
    ラグ(アウトロン…あの子のコネクト先、あれは。カントウ・ベイ付近の医療関連施設だった)
    FNP「被害も最小限といっていい。おって本庁から感謝の意を。で、そろそろこのドメインの捜査権方をウチに…」
    ラグ(医療関係者? いや、むしろ…患者?) FNP「あの~聞いてますう?」
    ラグ「あの子…。『夢』だって言ってた。」 FNP「は…?」

    リアルワールド ニホン・アーコロジー22 <<カントウ・ベイ>>
    カントウ医大付属病院 特別管理病棟 AM10:56
    男性の声「…違う。警察じゃない。来るのはFSSだ。とにかく君と、直に話がしたいらしい。大丈夫だ。俺も同席する。
     悪いようにはならん。俺がさせん。だから大人しく病室で待っているんだ。いいね? かれん。」
    かれん「…わかりました。イダ先生。」
    かれん(………まずい…。夢だと思ってた。最近よく見るご都合主義な夢。近頃は夢の内容を操れるようになって来た。
     それがどんどん上手くなって…、前々から妙だとは思ってたんだけど…)「んー…。どうしよう。」

848 :フラッシュモーター・カレン:2015/02/22(日) 11:38:04 ID:???
    ■Act02.テキパキ・テスト
    『F.S.S.』=フロンティア・セキュリティ・サービス
    フロンティアの開発元である、ΦNET(ファイネット)の直轄であるネットワークセキュリティの世界的大手。
    国連認可のネットワーク警察、FNP以上の技術力を誇り、構成員であるエージェントらの実力、
    業務実績は元より常に最先端のネットワーク技術を有している事からも、『開拓地最後の砦』とも呼び名は高い。
    また、FSS-JAPANの現社長である『ヤガミ・タテワキ』氏は、東洋人らしからぬ目立つ容姿と大柄な体格、
    奇抜な衣装と派手な言動、神業的な業務手腕などから、フロンティア内外で高い人気を誇る。

    リアルワールド ニホン・アーコロジー22<<カントウ・ベイ>>
    FSS-JAPAN本社ビル PM09:18
    秘書「社長。まもなく『かれん』さんのエージェント採用試験が開始されますが。ライブでご覧になりますか?」
    ヤガミ・タテワキ「リィ・リィ・アンヌ…僕はね。常に主観でありたい考えているんだ。常に、ね。」
    秘書「リリアーヌ、です。かれんさんのアイコンはこちらでロックしております。主観視点に割り込みますか?」
    ヤガミ「初めての労働。試される自分。不安、期待。揺れる少女の視点…興味は、尽きない。尽きないね。」
    秘書「かれんさんのイントロン後、接続します。では準備を。」
    ヤガミ「…でも、違う。僕が欲しい「主観」は、僕が求める「観点」はそうじゃない。
     君にならそれが理解できる。いや、するんだ。リリーア!」
    秘書「リリアーヌです。…女の子の初めてのお仕事。でもそれ自体を見るのでは無くて…でも、主観でありたい。
     彼女を…見下ろせる視点? …! カントウ医大付属病院Dr.イダにアポイントを。」
    ヤガミ「それだ!」

    イントロン:コネクターを介してフロンティアに接続する事の通称。語源は古典SF映画から。
    コネクター:フロンティアと人体を繋ぐ道具。ヘッドマウントディスプレイのような形状の物が主流。

    カントウ医大付属病院 特別管理病棟 PM09:25
    ラグ「ふうん。やっぱり医療ベッドから接続してたんだ。」
    かれん「ちょっとキミ。ベッドのホロプロジェクター勝手に使わないでよ。」
    ラグ「へえ。こんな豪華な病室初めて見た。あの窓、環境プロジェクター? 真昼間みたいになってるけど。」
    かれん「暗いのキライ…って、少しはFSS認証入力、手伝ってよ。先輩でしょ?」
    ラグ「…おいおい。医療用コネクターに繋がったまま寝て、FSSの隔離ドメインにうっかり侵入した子が…。
     どうしてその程度の作業に手こずるの?」
    かれん「う~、病院のアミューズメント用オートコネクターなら使った事あるんだけど…、
     なんでFSSの生体認証ってこんな複雑なのっ?」 ラグ「フロンティアで、誰にも負けない為さ。」
    かれん「うわ~、すごい量のプロテクト。まだこんなにある。どうして試験直前にこういう事を言うかなあ…。」
    ラグ「もちろん。その作業自体も、すでに試験の一部だからさ。」
    ラグ(なんだかんだ言って全部一人でやってる。たいしたもんだ。16歳。女性。年齢平均よりかなり小柄。
     血縁者のデータが無い。孤児らしいが…、先天的な筋肉の病気で、幼いころから入院してるって話だけど。
     医療用ベッドのコネクターに、無自覚で接続してのイントロン…。
     僕の隔離壁を掻い潜り、複数の武装オートマトンを一人で退けた作業能力。ありえるのか…? そういえば、
     いつの間にかドメインに居る、『謎の女幽霊アイコン』のウワサを聞いた事がある。
     「妖精の雨」とか「天界サーバー」とかと同じ都市伝説の類と思ってたけど、その幽霊の正体案外、この子だったりして)
    かれん「おーい?」 ラグ「わ。」 かれん「もう。仕事前に寝落ち? ひょっとしてキミ、すごい大物だったりするの?」
    ラグ「ん、ゴホン。どうでもいいから、はやく準備すませて。」
    かれん「終わったよ。指定されたプロテクトもツールも全部認証設定完了。」
    ラグ「ええと…17分22秒。内容は、と…ふむ。問題なさそうだ。まあ、及第点かな。」
    かれん「むー。あ、そういえば…アイコンは自前のヤツを流用してもいいのよね?」
    ラグ「いいよ。検閲は通したし、スペック的な問題もない。FSS開発局が驚いてたよ。
     市販のDaReKaをよく個人でここまで、いじったもんだって。」
    かれん「キミみたいに猫でも良かったなんだけどね。猫好きだし。」
    ラグ「ふん。軽々しく言ってくれるねえ? 僕のアイコンは隠密性と俊敏性に特化した特注品だ。
     動かすのに、特殊な訓練も必要なんだぞ。」

849 :フラッシュモーター・カレン:2015/02/22(日) 11:39:04 ID:???
    かれん「えっと。四つんばいで移動する為の訓練とか…?」
    ラグ「してないっ! 移動は人体のものに置換してんだよ! 四足歩行に見えるのはただのグラフィックだ。」
    かれん「なんだ。ちょっとガッカリ。」 ラグ「まったくもー。キミ、試験を前にしてるクセにユルみ過ぎ。」
    かれん「そう?」
    ラグ「…忘れてるんじゃない? キミはドメインへの不正侵入や、戦闘ツールの無断製作と使用など数多くの罪を犯してる」
    白衣の男性「だから…、その罪を不問とするかわりに、FSSエージェントとして働け。だったな。」
    かれん「イダ先生…」 ラグ「そうさ…そして、それは彼女の担当である、あなたの過失でもあるんだよ。」
    イダ・タケヒコ「認めよう…たが、それをネタに未成年者をエージェント採用するなど、どう考えても少年法的に…。」
    かれん「先生。私にはイントロンのすごい才能があるんだって。それはこの、ラグ…FSSのエージェントさんだって、
     認めるくらいの。私…ずっとここで暮らして来たけど…、自分が何かの役に立つって言って貰ったの、はじめてなの。
     だから…。」 イダ・タケヒコ「君もFSSエージェントの仕事の危険性は、聞いているはずだ。」
    ラグ「だからこそ、こうして僕が直々にサポートにつくのさ。それにね…フロンティア関連業務雇用年齢引き下げの件は、
     来月、国会で承認されるよ。」 イダ・タケヒコ「何?」 ラグ「そう。もう決まってるのさ。」
    イダ・タケヒコ「ヤツの差し金か…」
    FSSコンパニオン「「かれん」さん。ミッション開始5分前です。サポートの方と共に、指定ドメインへの
     イントロンをご準備ください。」ラグ「かれん、イントロン準備を。」
    かれん「うん…。先生。このミッションは私の資質を図る為のものなの。大した危険は無いわ。ラグも一緒だし。
     試してみたいの。自分にやれる事があるのかどうか…、だから、おねがい。」
    イダ・タケヒコ「…。そのベッドのマスターコードを解除した。これで使用者が任意に接続出来る。
     だが…体調に危険が出た場合、手動で強制アウトロンする。FSSのラグくん、だったな。異存は?」 ラグ「無いよ。」
    イダの端末<<Appointment>>
    イダ・タケヒコ「緊急のアポイント? こんな時に…。では…彼女をよろしく頼む。」
    ラグ「了解したよ。」 かれん「それじゃあ、先生…行ってきます!」

    かれん「FSSテストID入力完了。認証…完了。神経接続レベルS3。アイコンへ転送…完了。<<CONNECT>>」

    フロンティアFSSJAドメイン025<<エクスペリメントステージ>>
    カレン「ここが、試験会場…」 カレン(う~、流石にちょっと、緊張して来てる)
    ラグ(ふうん…アドレナリン分泌量は順調に上昇中、と)
    ラグ「さて、課題は大きく分けて2つ。移動する構造体の動きや、落とし穴、ダメージゾーンをかい潜りつつ。
     ゲートスイッチを解除し、ゲートに入るタイプ。」 カレン「移動する構造体は、「足踏み」の使いどころが肝心ね。」
    ラグ「また、この試験場では一般のセキュリティ付きドメインと、同じ仕様を採用してるから、
     入る度に構造体の配置がやや変化する。」 カレン「ハッカー対策用の基本仕様よね。それでもう一つは?」
    ラグ「ないしょ。」 カレン「え~。」
    ラグ「これは試験の通例なんだけど、2つ目の課題内容は同行する試験官にすら通達されない。
     ま、その意味する所は、試験対象の対応能力を推し量る為なんだけどね。」
    カレン「あなたの時はどんな試験だったの?」
    ラグ「手八丁口八丁で、相手から情報を引き出す力も、またエージェントに必要だけど。今の直球質問は問題外だね。
     キミに交渉系の素質はなさそーだ。」
    カレン「むう…、いちいち腹の立つにゃんこ。あ、ひょっとして…こうやって感情逆なでして反応見るのも試験?
     そうなると、そもそも第一の課題内容の説明すらフェイクだったりして…。」
    ラグ「うんうん、好きなだけ勘ぐって好きなだけ処理速度を落とすといいよ♪」
    カレン(こ、このにゃんこめ…三味線ツールのテクスチャにしてやろうかしらっ!)
    カレン「あ、そうか! だから「ラグ」っていうのね。言葉で相手を迷わせて思考の処理を遅延させる!」
    ラグ「発想と妄想は似て非なるものだって知ってる! さあて、(緊張もほぐれたようだし)ミッション・スタートだ!」

850 :フラッシュモーター・カレン:2015/02/22(日) 11:40:10 ID:???

    フィールド変化:一部のフィールドは不正侵入者への対策として、短時間でその構造がやや変化するようになる。
    構造体:フィールド内の施設を構成する電子の箱の総称。様々な種類と機能を有する。
    ゲート:構造体の一種でフィールドの設定を統括する重要な存在。これを制した者こそがそのフィールドの主となる。
    ゲートスイッチ:ゲートを開く為の緊急スイッチ。押されると破損し、一定時間で侵入者ごとフィールドを強制閉鎖する。

    ステージ1、2クリア。
    カレン「ラグ。私、ここまでで、どんな感じ?」 ラグ「誉められて隙を作りたい? 蔑まれてやる気を無くしたい?」
    カレン「くっ! この変眉(へんまゆ)猫め!」 ラグ「へ、変眉言うな! 高度なサーチスキャナだぞ! …ってあれ?」
    カレン「!?」 ラグ「な…FSSのスペシャルコードで…ドメイン隔離!?」
    カレン「何これ…このドメインに閉じ込められた?」
    ラグ「それだけじゃない。複数の動体反応! 警備用オートマトン…攻撃モードっ!? 来るぞ!」 カレン「!」

    ステージクリア。
    FSSコンパニオン『おめでとうございます。本テスト課題は、全て適正水準で完了致しました。
     現時点よりあなたは、FSSエージェントID1000として登録されます。登録を受理される場合、
     ゲート内の端末に生体認証コードと使用アイコン名称を続けてご入力ください。』
    カレン「…ええっと、その。どうなったの?」 ラグ「おめでとう。しかもすごいキリ番だね。」 カレン「………!」
    ラグ「おいおい。今の戦闘で言語中枢でも焼き切れたかい? FSSの保険はもう、適用されるだろうけど、
     たかがテストでこの有様じゃー。」 カレン「ねえ。」
    ラグ「え。な、なに? どうしたの…? ちょっと目、怖いよ。」 カレン「抱きしめていいっ!?」
    ラグ「な、何言ってんの? ってキミ、副交感神経の反応なんかすごいよ!?」 カレン「そこを動かないでっ!」
    ラグ「狩る者の目になってる! キミ、サイバーハイ!? って、いいから早くエージェント登録を!
     うわっ、早っ! 来るな。迫るな。」 カレン「にゃーーー!」 ラグ「Ahーーー!?」
    FSSコンパニオン「…。あのう…、登録、お早めに済ませて頂きたいのですがあ~?」

851 :フラッシュモーター・カレン:2015/02/22(日) 11:40:47 ID:???
    「スペシャルな人材にはスペシャルなイベントを。それこそが「公平」と言うものだよ、ラグ。」
    ラグ「採用試験でドメイン隔離。内部で致死威力のツールを装備したオートマトンと戦闘。
     USAイントロンフォースの新兵訓練なんか、鼻で笑えるくらいの危険度だったよ。…どういうつもり?」
    「ん? さっき言った通りさ。暗喩が効き過ぎて理解できなかったか…それとも今の戦闘で言語中枢でも焼き切れたかい?」
    ラグ「…。もうじき、彼女が目を覚ます。後は…あんたの好きにすればいい。」
    「ありがとう。おつかれさま。また、よろしく頼むよ。」

    リアルワールド カントウ医大付属病院 特別管理病棟 PM09:55
    かれん「…ん? あ、そうか。アウトロンしたんだっけ。私、採用試験に…」
    「おはよう。」 かれん「…え。」 ヤガミ・タテワキ「おはよう。『かれん』くん。」
    かれん(…どっかの俳優!? 女の人みたい。すごい服。全面ホロプロジェクタ?
     す、すごい顔近いっ! なんで私の病室に? イダ先生どこっ!?)
    リリアーヌ「社長。」 ヤガミ「何かね、リルア?」
    リリアーヌ「リリアーヌです。彼女に近すぎます。怯えています。せめて一歩お下がりください。」
    イダ「そうだ。そのまま下がって敷地から出て行け。」 かれん「イ、イダ先生~…」
    イダ「かれん…すまん。この男は、だな。」 ヤガミ「僕は…FSS-JA社長。ヤガミ・タテワキ。」
    リリアーヌ「わたくしは社長の秘書でリリアーヌ・ホンダと申します。」
    かれん「社長さんと、秘書さん…? 思い出した…社長さん、見たことあります。
     新しい自然公園ドメインの落成式でコンサートしてた。」
    リリアーヌ「ロックでした。ご本人のオリジナルタイトルでたしか題名が…。」
    ヤガミ「閃光⇔輪廻⇔リボルヴァ」 リリアーヌ「いつの間にやら、バンドのメンバーを警護に変装させて、配備して…。」
    かれん「うん、すごく上手かった。でも色んなサイトで「自然、全然関係ねえ」って。」
    リリアーヌ「申し訳ありません…、そばにいながら、止められませんでした。」
    ヤガミ「たかが4分のコンサートが空前の宣伝効果を生み出した事も忘れてはいけないよ。」
    かれん「あの、えと…。その社長さんが、なぜこんな所に…?」 ヤガミ「おめでとう。」 かれん「え?」
    ヤガミ「エージェント採用試験通過、おめでとう。かれん◎」 かれん「わ…」 
    イダ「おいっ、ヤガミっ!?」 リリアーヌ「! むんッ!」 ヤガミ「ぬうっ!?」
    社長の顔が近づいてくる。イダ先生が社長を止めようと走り寄るより先に。リリアーヌさんの手刀が閃いた。

852 :フラッシュモーター・カレン:2015/02/22(日) 11:42:54 ID:???
    ■Act03.トリデ・マスター
    フロンティア アーコロジードメインJA2241<<ヤマテ・ナグヤ>>
    第一市街 シン・タケシタ AM10:31
    WEBカレッジ生徒A「おい。またこの回線詰まってんぞ?」
    生徒B「繋げないって理由でWEBカレの単位落としたら馬鹿みてえ。おい。別の回線行こうや。」
    生徒A「しゃあねえなあ…お?」 生徒B「どうしたよ? 妖精でも降って来たか?」 生徒A「おい…あれ」
    生徒B「ああ? なんだっつーの?」 生徒A「アーコロジーの床に…、なんか毛色の違うモンがある。」
    生徒B「あれって、ブンカザイとかの写真でよく見る建物に似てねえ?」
    生徒A「んー見たことあるような、ないような…。あれ…? なんか増えて…」
    (透明なビル街のような場所が、真っ白になり、突然、和風なお城へと変貌)
    生徒A&B「わ? わ? なああああ!? わーーーー!?!?」

    リアルワールド カントウ医大付属病院 特別管理病棟 AM11:02
    かれん「で、そこでリリアーヌさんの手刀が一閃。軽い音のした次の瞬間、社長は寝落ちしたアイコンみたいに、
     ベッドの端にバターン。その後リリアーヌさんと社長のSPの人達が本社に運んで行ったの。
     リリアーヌさんもSPの人達もなんかこう「またか」って。そんな顔してたのが印象的。
     そういえば、イダ先生とヤガミ社長は知り合いみたいだけど、実際どうなの?」
    ラグ「さあね。まあ、あの社長はあれで各界に知人が多いから。それにしても…。
     もったいなかったなあ。病院ならもっと上手い事、処理出来ただろうに。」 かれん「処理って?」
    ラグ「おっと、繋いでるんだった。今の無し。ログ消しログ消し…。と、まあウチの社長はああいう人物なんだよ。
     幻滅した? したよね? はい、退職届はコチラ~。」
    かれん「後で社長から私のCо‐Kiに、『額を狙ったんだよ』って伝言があったよ。」
    Cо‐Ki:高度な携帯端末の総称。フロンディアでの使用も可能。画面は立体映像。
    ラグ「それだけでも十分セクハラで訴訟起こせるよ。まあ、勝ち目無いけどねー。」
    かれん「んー、逆に安心したかなあ。イダ先生とは違うけど、あの人はあの人なりに優しい人だと思う。」
    ラグ「あれ…? なんかイイ話にシメられようとしてる?」
    かれん「誰に対してもああいう感じなんだよね? それって逆にすごい気遣いなんだと思う。」
    ラグ「あー、それってなんかコミックとかの引用? 乙女回路からはみ出た妄想? 理論の展開がワケワカンナイですけど」
    かれん「そういうの感じ取れないラグって、ひょっとしてリアルで結構コドモ?」
    ラグ「あ、あのねえキミ。直感だけで話すの良くないよ? こう見えても僕は…。」
    かれん「大人の男の人から滲み出す優しさって、私、わかるんだ。」
    ラグ「遠い目してんじゃないよ。…ってそういやキミ、Cо‐Ki持ってたっけ?」
    かれん「これがその滲み出た優しさのカケラなの。」(Cо‐Kiを取り出す。)
    ラグ「キミ、どんな病気だっけ…お? FSSの支給品じゃないね。とするとDr.イダからからな?」
    かれん「就職祝いだって。しかも最新モデル。先生のアドレス入り~♪ ラグは社長さんの次。3番目に入れといてあげる」

853 :フラッシュモーター・カレン:2015/02/22(日) 11:43:26 ID:???
    ラグ「はいはい、そりゃ光栄だねー。それにしてもΦNET製の最新モデルか…確かにFSSの支給品よりずっと高価だよ。
     仕様も玄人向けだし。FSSの個人コードで再登録しておけば、フロンティアのどこでも格安料金で使えるはずだ。」
    かれん「流石はFSS。フロンティアでの特権テンコモリね。」
    ラグ「ΦNET直轄だしね。その分、守秘義務やら、業務出動多いけど…ん?」 かれん「どうしたの?」
    ラグ「エマージェンシーだ。JA2241シン・タケシタ。状況は「オキュペーション」」
    かれん「そのコードは確か…「回線の不法占拠」?」 ラグ「僕とキミの担当ドメインだ。…どうする?」 
    かれん「「僕とキミ」?」
    ラグ「エージェント登録後、1年は経験者とペアでの業務が義務付けられてるの。そもそも今日ここに繋いだのはそれを
     教える為だったけど、雑談で時間潰れちゃったよ。で、どうする? 受理? 拒否? 僕じゃ不満? 本件はパス?」
    かれん「…。」 ラグ「通報から30秒。エマージェンシー規定では、通報から3分以内に現場への」
    かれん「どっちも受理! コネクター取って! そこの引き出しの。」
    ラグ「無理。僕はこのベッドの上だけの立体映像。だからほら、自分でやる!」
    かれん「そ、そうだった…うん! FSSID入力。認証完了。神経接続レベルX5。アイコンへ転送完了。」
    ラグ「あ、ホラ、キミの登録アイコン名の音声入力もしなきゃ。」 かれん「そうだった。登録アイコン名…『カレン』。」
    ラグ「まんまじゃん。」 かれん「うるさいなあ、もうっ。認証完了! <<CONNECT>>!」

    フロンティア アーコロジードメインJA2241<<ヤマテ・ナグヤ>>
    第一市街 シン・タケシタ AM10:47
    男の声「Ya! Ya! Ya! ご通勤、ご通行中のユーザー様がた! ごブレイつかまつる!
     今しばし、己が処理をご中断の上でご注目、希望! 拙者、この地にて自らが「トリデヘイホウ」を極めんとする者。」
    (ネジや釘がついた、剣道のような格好。背中に風林火山田の旗が立っている。)
    砦マスター・山田「人呼んで「山田」。砦マスター、山田! そしてまた、皆がたの目前にて展開せしビックリ巨城。
     「フーウン・ヤマダッ・ジョー」の城主でもある! まさにマスター! この高き場所より見下ろす快感が、またッ!」
    FNP「えー…ご満悦のところ申し訳ないが。一般回線上に無断で構造体を設置するのは、重大な違法行為にあたります。
     速やかにこれらの構造体を撤去し、ユーザーIDを提出しなさい。」
    山田「ふん、FNPか。うぬら如き飼い犬風情に拙者の砦をクリア出来ようはずも無し! 最低でもFSS。
     否、イントロンフォースの一個大隊でも連れて来いッ!」 FNP「はあ…こりゃ、どうしたもんかな。」
    FNP・B「隊長。構造体群のスキャン、一応終了しましたが…。積層密度の高さもさる事ながら、
     構造体内部に複数の動体反応が出ています。」
    ラグ「噂で聞いた事がある。回線上に突然巨大な構造体を打ち立て、そのクリアを他人に強要するハッカーがいると。」
    FNP「あなたは…FSSの。」
    ラグ「エージェント・ラグだ。エマージェンシーを受けて来たよ。本件解決までの、
     現場権限一時移行の申請をしたいんだけど、OK?」 FNP「そ、それはもう。よろしくお願いします!」
    ラグ「はい、承認よろしくー。さて、と…。」 カレン「…。なに、あれ?」

854 :フラッシュモーター・カレン:2015/02/22(日) 11:44:09 ID:???
    ラグ「FNP提供の犯罪データバンクと照合中…完了。「砦マスター・山田」ハッカー。性質はさっき話した通り。
     そして、キミの初仕事の相手♪」 カレン「いきなりあんなマニアックなのが相手か…。」
    ラグ「構造体群の瞬間構成技術や、オートマトン制御の手腕など、なかなか厄介な相手だが。あいつが作る「砦」は、
     それほど強固な物でもないらしい。」 カレン「強い砦を作るのが趣味なんでしょう?」
    ラグ「ん~、構造体関連の技術はなかなか見事なんだけど。なんかこう、隙があるというか。妙に簡潔と言うか。
     ま、なんにしても。見た目より危険度は低い。キミの初仕事としては、まずまずの相手だと思う。
     とにかく急いであそこから引きずり降ろして、FNPに突き出そう。この回線、WEBカレッジの生徒が良く使うんで、
     昼間とかすごく込むんだ。」 カレン「わかった。ツールの使用許可出して。」
    ラグ「了解。アタックツールの使用を許可する。うろついてるオートマトンには、十分注意してね。
     動きが読みつらいから、不意に攻撃を受ける事がある。極力無視して、ゲートを開く事に集中した方がいい。」
    カレン「えっとフィールドのゲートスイッチを押してゲートを解放…その後、ゲートに乗ればフィールドの占拠が成立。
     私たちの勝ち。」
    ラグ「そう。でもゲート解放後にモタついてたら強制閉鎖に巻き込まれるから注意。さあ、用意はいいかな? カレン。」
    カレン「…うん!」 ラグ「それでは、ミッション・スタートだ!」
    ステージ1、2クリア。
    山田「Ya! Ya! …YaYa? これはなかなかの好記録。山田LV.1、2を
     いとも簡単にクリアせしツワモノありか! どうれッ? 猛者のご尊顔、拝見! …YaYa?」
    カレン「砦マスター・山田さん。ここまでです。この砦を解体して、大人しくFNPに投降して下さい。」
    山田「ほう…、なんとこの、いたいけな少女型アイコンが拙者の砦を?」
    カレン「FSSエージェントID1000。アイコン登録名『カレン』。
     FNPよりっ、あなたの拘束権利を授与されています。」
    ラグ(授与権利の読み上げ。アンチョコ見ながらだけど、結構サマになってるよ。声が少し裏返ってるけど。)
    カレン(茶化さないで。正直かなり緊張してる。)
    山田「FSSとなッ!? ふうむ! これこれ! やはりこのレベルの相手でなくては!」
    カレン「く、繰り返します! この砦を解体して、大人しくFNPに投降を!」
    山田「否ッ! 断じて否ッ! 砦の主たるもの、その身もまた砦である! よって砦の解体=死! だからこそ少女よ!」
    カレン「繰り返しますっ! この砦を解体して、大人しくFNPに投降を!」
    山田「…ええい黙って聞けいっ! まずは空気を読めい! 話の流れを見極めよ!」
    カレン「え? あ。はい…。」 ラグ「て、キミ! なに素直に黙ってんのっ!?」
    山田「もとい! だからこそ少女よ! 拙者を攻めよ! 拙者を砕け! 自らの手で、見事この砦を乗り越えて見せよ!」
    カレン「あ…! あの人のアイコン、戦闘モードに入ってる!」
    ラグ「下らない口上に付き合ってたからだよっ。ツールの起動を確認。近接攻撃用ツールだ。
     見た目どおり耐久力は高そうだが…」 カレン「なんかこう…フラフラしてる?」
    ラグ「防御力と攻撃力のバランス調整が不十分と見た。自作アイコンとしては二流だ。…スキャン終了!
     やはりあいつ自身がここのゲートスイッチになってる。まずあいつのアイコンを撃破。その後にゲートに侵入し、
     この砦の制御を手に入れる!」 カレン「有人アイコンを攻撃すると危険なんでしょう? その…ナカノヒトが。」

855 :フラッシュモーター・カレン:2015/02/22(日) 11:44:52 ID:???
    ラグ「キミのツールにはリミッターがあって、撃破したのが有人アイコンならそのまま拘束できる。
     リアルのあいつの神経も少しマヒさせるけど、後遺症が出る程じゃない。」 カレン「そうなんだ。なら、安心かな。」
    ラグ「正面切っての戦闘は不利だ。床にあるダメージゾーンを有効に使おう。」
    カレン「山田さんをあそこに乗せて、ダメージを与えるのね? でもどうやって…」
    ラグ「「足踏み」で相手を歩かせて、都合のいい場所に来たら突き落とすんだ!」
    カレン「突き落とす? アタックツールを使うんじゃなくて?」
    ラグ「アイツの隣に立って、方向キーを押すんだ。ダメージを与えたら後は近づいてアタックツールでトドメ!」
    カレン「よおし…やってみる!」
     隣接した時に攻撃すると反撃で負ける。高い所からダメージエリアに突き落とし、その後降りて攻撃。ステージクリア
    ラグ「よおし。占拠された構造体の隔離開始! 領域内スキャン…ふうん、なるほど。復元開始。3…2…復元完了っと。」
    FNP・A「おお! 砦が…」 FNP・B「アーコロジードメインに…溶けて消えた?」
    カレン「あ、そうか。大量の構造体を外から持ち込んだんじゃなくて…。」
    ラグ「そう。周辺の構造体を、自分の砦の材料に変えてたんだ。今までは砦をクリアされても、この方法で追跡の目を
     晦ませていたみたいだね。こんな事が出来るのは、構造体の製作元かΦNETくらいだろうけど…山田さん。
     構造体制作関連会社にでもお勤めかい?」 山田「むう…。」
    FNP・A「これ、大人しくなさい。あんたのIDもすでに照会中だ。じき身元も割れるぞ。」
    FNP・B「余罪についても、これからたっぷり吐かせてやるからな!」
    山田「砦は…、崩れ去る瞬間が、最も美しい。それが、か様な少女型アイコンによってなされようとは…。」
    カレン「私…誉められてるの?」 ラグ「相手しないの。」
    山田「むう…、むうう~~~ッ! 拙者のリアルブレインに今、目覚めし新!感!覚!
     かの細腕に打ち砕かれ、小さき足で踏み抜かれし拙者の砦ッ=拙者! おおほぉお~、まさにコレぞッ!!」
    ラグ「えっと…当該アイコンのボイス・オフ。連行よろしくー。」
    山田「■■■■! ■■■■■■!? ■■~■■!?」FNP・A&B「ご協力感謝します!」山田「■■■■~ッ!?」
    カレン「えっと。「まさにコレぞ」…何?」 ラグ「折角の初仕事だ。爽やかに終わらせたいんじゃない?」
    カレン「気になるなあ。」 ラグ「ま、なんにしても、だ。緊急出動に始まり、探索も戦闘も、もりだくさん。
     エージェントとしてのキミの問題点も幾つか見つけたけど。でも…うん。上出来だったよ。カレン。お疲れ様。」
    カレン「あ…お、お疲れ様でした!」 ラグ「それ、業界の終業あいさつ。覚えといてね。」
    カレン「うんっ。それから…。」  これからもよろしくね ラグ!

    ニホン・アーコロジー22 <<カントウ・ベイ>>
    FSS-JAPAN本社ビル PM02:05
    リリアーヌ「以上がエージェントID1000。かれんさんの業務報告になります。」
    ヤガミ「はは。初仕事から、また妙なのと鉢合わせたね。」
    リリアーヌ「FNPの事情聴取によると、ラグくんの予想したとおり、構造体関連会社の社員でした。
     構造体制作に並ならぬ才能を発揮し、社の看板開発者でもあった彼は、昨今、構造体の純粋な構成による
     セキュリティ向上に意欲を燃やしていたようです。ですが…自分が組み上げた構造体群の採用試験で、
     クライアントから思わぬ隙を指摘された際。「攻略される喜び」に目覚めたそうです。」
    ヤガミ「「受け」/「攻め」でいう所の「受け」だね。レイアナ。」
    リリアーヌ「違います。リリアーヌです。それ以後、自己が開発した構造体を利用して、一般の回線上に「砦」を築き、
     他者にその攻略をさせていたようです。」ヤガミ「民間国営問わず、ドメイン関連企業内部の者の犯行が増えてくるね。」
    リリアーヌ「前年比+10%です。対処と処罰、両面の早期改善が必要かと。」
    ヤガミ「草案出しといてくれる? 次の議会までに。」
    リリアーヌ「22案ほどございます。ところで。かれんさんの業務報告書は、今後も最優先でご覧になりますか?」
    ヤガミ「頼む。」 リリアーヌ「…。かしこまりました。」

856 :フラッシュモーター・カレン:2015/02/22(日) 11:46:15 ID:???
    ■Act04.ジョイ・ジョイ・メッケモ
     俺は 満たされていた 若くして天職を見出し、その道を進みて30余年
     険しい道ではあったが、新たな開拓地を舞台に、俺の才能は花開いた 今の生活に苦は無い
     仕事の苦労の後には、確実にそれを上回る充実感を得る事ができる
     それを分かち合える友と、愛すべき妻と、娘がいる
     俺は 満たされていた そのハズだった なのに…なんなのだ この胸の、空しさは?

    フロンティア ナチュラルドメインJ3 <<グラン・アオヤマ>>
    著名な環境アーティストによりデザインされた大型テーマパーク。
    陽光を初め、水や風、土や緑などを忠実に再現した、一種の芸術作品。
    無料で散策できるハイキングコースを初め、医療用のリハビリ施設や本格アミューズメント施設など、
    見所は豊富で、憩いの場として幅広い層に愛されている。
    なお、落成式でFSS-JAPAN現社長がゲリラライブで自作ロックを披露した件は、今なお語り草である。

    <<グラン・アオヤマ>> 「ふれあいメッケモ広場」 PM04:35
    (なんか丸っこい浮いている動物、メッケモ)
    少女A「わー、ふわふわー! きもちいー!」
    少女B「ね? 学校終わって早く来て良かったでしょ? ここ「メッケモ」キャッチの穴場なんだから。」
    少女A「うん! でも、メッケモって抱き過ぎると逃げちゃうよね? でもこの子はすっごい人懐っこい!」
    少女B「連れて行こうとする人が多いからセキュリティ? そういうのがあるってパパが。」
    少女A「ひゃー、かわいいー、ほしー」 少女B「ほしいよね。」
    少女A「Cо‐Kiのメッケモ育成ゲームなら持ってるけど…、やっぱりここのがいいっ!
     あーもう、カワイイ! さらっちゃおっかな~!」 メッケモ『……俺は…』
    少女A&B「え?」
    メッケモ、太い男の声で『俺はかわいいか?』

    リアルワールド カントウ医大付属病院 特別管理病棟 AM06:59
    かれん「うーん…「メッケモ」かあ。」
    イダ「そのヌイグルミは知人からの貰い物なのだが…お気に召さないようだな。
     人気のWEBアニマルと聞いたが、やはり君の興味は猫関連の物に限るのか。」
    かれん「ええと、嬉しいは嬉しいんですけどね…」

     「メッケモ」 ナチュラルドメイン<<グラン・アオヤマ>>のイメージキャラクター。
     フロンティア上で活動する愛玩用WEBアニマルの一種。
     一般公募から選出されたものの、受賞者は今だに匿名のままで、賞金の受け取りに応じず、版権すら手放している。
     そのような不思議な生い立ちはさておき。シュール、かつキュートな形状から10代の少女を中心に人気は高い。
     また、最大の特徴はその表皮にあり、
     民間で開発された最新の圧力テクスチャが採用されたその触り心地の良さは、大の大人すら虜にするという。
     またリアルでの商品化も数多く、最近では、新素材を利用したヌイグルミがたいへんな人気を博している。

857 :フラッシュモーター・カレン:2015/02/22(日) 11:47:04 ID:???

    かれん「ちょっと、コレ絡みのややこしい事件を追ってるんです。」 イダ「また危険な事件なのか…?」
    かれん「まだ実害はないんですけど、女の子たちの心の危機というか、なんというか。」
    かれんのCо‐Ki「CALL-『LAG』」 かれん「ん? ラグからだ…」 イダ「仕事かね?」
    かれん「さっき話した件かも、ちょっと行ってきます!」 イダ「気をつけてな…」

    かれん「FSSID入力。認証完了。神経接続レベルX5。アイコンへ転送完了。登録アイコン名『カレン』。認証完了。
     <<CONNECT>>!」
    フロンティア ナチュラルドメインJA3 <<グラン・アオヤマ>>
    カレン「あれ…? ラグのアイコン動いてる? 待ち合わせ場所を指定しておきながら何やって…」
    少女型アイコン「迷われていますか?」 カレン「は?」
    少女型アイコン「わかります。あなたは迷っておいでです。それは脊髄の痛みなのです。
     あなたと言う存在が炭素に縛られている限り続く、未来永劫、子々孫々と受継がれてきた、「迷い」なのですから。」
    カレン「ええと…ごめんなさい。私、連れと待ち合わせを。」
    少女型アイコン「ではそのお連れの方も共に、私達の言葉をお聞き下さい。
     世界は0/1の融合体たるΦの元に溢れ出し、今正に爆発の時を迎えました。
     それは「個」が内在する力がこの空間にて増強され、一種のヒエラルキー相互作用に…」
    カレン「ええと…ごめんなさい。ゆるしてください。」 ラグ「何やってんの、キミ…」
    カレン「ラ、ラグ~、この人が、その、あの。」ラグ「ああ、コレ? どっかの宗教サイトの勧誘アイコンだよ。無人の。」
    カレン「そ、そうなの? 良く出来てるね…」
    少女型アイコン「言わばあなたを本来あるべき高みへとお連れする為の「梯子」の担い手。」
    ラグ「5mほど離れれば自動的に説法を止めるよ。法対策だろうけど。さあ、こんなの放っておいて、仕事仕事!」
    カレン「う、うん。その、さようなら。がんばってね。」
    少女型アイコン「…。それこそが私達、L-コンパニオンズなのです。」

    「ふれあいメッケモ広場」PM07:22
    FNP・A「いたぞ! 東の森だ!」 FNP・B「広場のゲートで捕獲に成功したとの情報! …え、3匹目?」
    FNP・C「これも有人アイコンじゃない。またダミーか…」
    FNP・A「くっ…、隔離ドメインに追い詰めておきながら、何故見つからん!」
    ラグ「はあ~、せっかく一帯の隔離までお膳立てしたってのに…」
    カレン「FNPの皆さんが公園に詰め掛けて、メッケモに狂ってる…公務員って、そんなに癒しを求めてるの?」
    ラグ「まあ、そう見えても仕方ない光景だけどねえ。ええと、初期の通報は3時間も前。
     学校帰りの女の子2人がここでメッケモキャッチを楽しんでいた所、捕まえたメッケモが突然、男性の声で喋り出した。
     …重く、野太い声、でね。」
    カレン「う…、これまで通報されてるのと大体同じパターンね。で、今回は何て喋ったの?」
    ラグ「えーと…『俺はかわいいか?』だそうな。女の子2人は強いショックを受けてる。
     抱き心地をたっぷり味わおうと、神経接続開放してたのが、仇になったようだねえ。
    カレン「ひ、ひどい…。でも今回はFSSが呼ばれるまでずいぶん間があったわね? どうして?」
    ラグ「んー、通報受けて出動したFNPが、なんとか自力で捕まえようとしたみたい。で、数で押してどうにかこの
     フィールドに追い詰めたんだけど。メッケモハッカーは自分のアイコンのダミーをばら蒔くという手段に出た。」
    カレン「ああ、それでラグが呼ばれたのか。」

858 :フラッシュモーター・カレン:2015/02/22(日) 11:47:56 ID:???
    ラグ「この場所の隔離の為にね。時間無くて大雑把な処置しか出来なかったけど。」
    カレン「じゃあ、ハッカーはこのフィールドのどこかに潜伏してるのね。」
    ラグ「うん。後はしらみつぶしに探せば見つかるハズだよ。でも…」
    FNP・D「7匹目ゲットオ!」 FNP・E「コレ、娘が大好きなんだよね。1匹貰えないかなあ?」
    FNP・F&G「くう…このふにょんとした柔かさが、また!」
    カレン&ラグ(…FNPって…)
    ラグ「まあ、こういう状況なのでひとつよろしく。」 カレン「つまりはメッケモキャッチね。よーし。」
    ラグ「侮らないほうがいいよ。相手はこのドメインの構造に、かなり詳しいようだ。逃げ足も速い。
     実害が無いとしてもなかなか厄介な相手だ。それに、今回は相手の捕獲がゲート解放の条件になってる。
     捕獲の方法はカンタン。メッケモをアタックツールで小突くだけでいい。
     なお、捕獲されるとフィールドの強制閉鎖を仕掛けてくるから、要注意だよ!」
    カレン「了解! 手当たり次第に狩りまくって、抱きまくってやるわ!」
    ラグ「その声から、ナカノヒトは大柄な中年男性であると言う推論が多いけどね!」
    カレン「う…少しヤル気が萎えた。」 ラグ「さあて…ミッション・スタートだ!」
    逃げ惑うメッケモを追いかけて追い詰めてアタック。ステージ1、2クリア

     俺は馬鹿だ なぜ喋ってしまうのだ? 少女たちの手の中で、愛らしいフリをしていればいいはずだったのに
     俺は なぜ聞いてしまうのだ? 自然は美しい 草花は潤いに満ち、川は清く流れ、空と雲は人の夢を映す
     どれ程のテクスチャとシェーディングを費やせば、この偉大さを表せるのだろうか? その思想こそが、俺の原点
     その表現こそが、俺の人生 だが、その道を極めんとする最後の階段の一段で、俺は
     愛する娘の、雷の如き一言を胸に受け 歩みを、止めた
     「えー。だって、おとうさまの絵って全然かわいくないもん!」 ゼンゼン カワイク ナイモン
     草花は潤いに満ち、川は清く流れ、空と雲は人の夢を映す されど、その表現を如何に極めようとも
     娘の心は、動かせない 気がつくと、私はありえない作業に没頭していた 「私」の公園
     一般公募のイメージキャラクター募集 悟られてはいけない 私には厳格なる立場がある 秘密裏に、
     娘が好きなアニメとキャラクターを中心に方向性を検討、研究、そこから独創性を追及 のべ6ヶ月 匿名投稿 そして…

    メッケモ?『…!?』 カレン「そこまでよ。メッケモハッカー!」
    ラグ「スキャンによる反応係数からして間違いない。今度こそ本物だ!」 メッケモ?『…』
    カレン「…。うっ…まずい。」 ラグ「にらみ合ってどうしたの? ま、まさか不可視の長距離攻撃とか食らってる?」
    カレン「結構かわいい。」
    ラグ「えー、目とか口とか、穴みたいでなんかブキミじゃない!? それにナカノヒトには、
     オッサン疑惑があるって忘れてない?」 カレン「そ、そうだった。ええと、こういう時は猫分を補給して集中を…」
    ラグ「猫分てなんだ!? って僕を見るな。なにその手? 迫るな。やめて。怖いよ。」
    メッケモ?『…娘さん』 カレン「…!?」 メッケモ?『俺は…かわいいか?』 カレン「…ひぃっ。」
    ラグ「し…渋い声だ。なんてバリトン。しかも、ほぼ肉声と見た。」 メッケモ?『答えてくれ、俺は…』
    カレン「あ、あわわ、わわ。」 ラグ「プロはアワアワしない! キリキリ捕獲っ! 女の子の夢を護れ!」
    カレン「わ、わかった。可愛いマスコットキャラにナカノヒトなんていちゃいけないのよ!」
    メッケモ?『クッ…、俺はまだ捕まる訳には、いかん!』
    全面崩れる床、渦を巻くように追いかけて捕まえる。ステージクリア
    メッケモ?『ここまでか…』
    ラグ「このID…やっぱりここの関係者だね。しかも、かなり上層の。」(こりゃ、スキャンダルになりそうだ…)
    カレン「くたびれたあ。一生分のメッケモキャッチをやった気分だわ。」
    ラグ「僕らの仕事はここまで。あんたの身柄はFNPに預ける事になる。」 メッケモ?『…迷惑をかけた』
    ラグ「それは脅かした女の子たちに…いや、言わない方が良さそうだけど。しかし…あんたのアイコンハッキング手腕は
     確かにすごかったよ。でも、女の子に触られる事が目的なら、なんで喋ったりしたの?」
    カレン「そうね。黙っていれば誰にも解らなかったと思う。」
    メッケモ?『…。どうしても…直接聞いてみたかったのだ。俺の作品を愛してくれた少女達に、な。』
    カレン「俺の?」 ラグ「作品?」

859 :フラッシュモーター・カレン:2015/02/22(日) 11:48:59 ID:???
    数日後。リアルワールド カントウ医大付属病院 特別管理病棟 AM10:01
    かれん「む~…」 (メッケモ人形を見ながら。)
    リリアーヌ「新素材製の試供品を、業者から幾つか頂きました。そのおすそわけなのですが。」
    かれん「いえ、まあ、なんというか。」ラグ「作者の正体知っちゃった後だからねえ…。」
    リリアーヌ「被害者とは、何れも示談が成立したとの事です。
     子供たちへの配慮も含め、本件の犯人の正体は、やがて有耶無耶となるでしょう。」
    ラグ「まー、下手するとグラン・アオヤマ自体、閉鎖になりかねないしね。」
    リリアーヌ「問題のWEBアニマルに隠されていた個人コードは、明日の定期バージョンアップで全て取り払われます。
     以上、機密上の口頭報告でした。」 ラグ「「公園」と「メッケモ」の作者はどうしてるの?」
    リリアーヌ「深く反省しているようです。被害者家族への謝罪も、誠意を感じるものでした。」
    かれん「んー…ごめんなさい、リリアーヌさん。やっぱりコレ、他の病棟の子供に…」
    リリアーヌ「了解です。そのつもりで複数ご用意致しました。」ラグ「流石はリリアーヌさん。」リリアーヌ「恐縮です。」
    かれん「うん。やっぱり私は…猫かな。と言う訳で、ラグ。猫分、ちょうだい。」
    ラグ「そのワキワキした手、やめて。っていうかキミ、リアルの僕は「エニカイタモチ」であって…」
    かれん「うん。イントロンするからそこで待ってて。」
    ラグ「そこまでするのかよ?!リアルにゃんこでも拾って抱きなよ!」かれん「アレルギーあるから無理。じゃ行くよー!」
    ラグ「ええ、本気? は、は、早く落ちなきゃ…」 リリアーヌ「では、私はこれで失礼します。」
    かれん「お疲れさまでした。あ、そういえば社長もご一緒に来られたんじゃ…」 リリアーヌ「Dr.イダとお話中です。」

    カントウ医大付属病院 集中治療室 AM10:07
    ヤガミ「睡眠紡錘波(スピンドル)?」 イダ「睡眠脳波の波形だ。糸巻きに似ている事からそのように呼ばれている。」
    ヤガミ「その派生にともない。例の器官が発動すると言うわけか。」 イダ「現状の推論では、そうだ。」
    ヤガミ「で、撮影はできたのかい?」 イダ「イントロン中の彼女の脳を、音響とFTスキャナで診たのが…これだ。」
    ヤガミ「…おお。」 
    イダ「左は通常時。右はフロンティアにイントロンして227秒後の状態。以後、アウトロンまでこの状態が続く。」
    ヤガミ「イントロン中のみ彼女の脳内に出現する…」
    イダ「脳幹、および海馬を取り囲むらせん状の発光器官。これが…un terminal electronic connection organ。
     通称<<Flash-Motor>>。」 ヤガミ「大きい…従来のERDE患者の5倍はある。」
    イダ「発光時、彼女の神経系統は一時的な活性状態となる。情報伝達速度の活性化は、特に顕著だ。
     累算では健常者の約3倍。瞬間では更に上昇する。」 ヤガミ「発光の原理は?」
    イダ「不明だ。そもそもこれ程強い頭蓋内の発光を、外部から目視出来ない。」
    ヤガミ「可視光線では無いと…キルリアンだかキリシタンだかそういう写真撮影法を聞いた事があるが…。
     「気」とか「プラナ」とか…何か、そういう生命の持つエネルギーの発露って所かな?」
    イダ「疑似科学から容易に答えを得ようとするな。目前の事実を見誤る。」
    ヤガミ「流石は脳病態生理学の権威。良いことを言うね。」
    イダ「ヤガミ…何を焦っている? 彼女の成人までは、治療を優先するという取り決めだったはずだ。
     まさか…すでにERDEが。」
    ヤガミ「法整備に、人員増強。せめてあと2年は欲しかった。ともすればプロトコルの更新まで画策していたが、
     すでに世論が許さん。玄人ぶった消費者ばかりが開拓地にのさばり、利権を貪ってゆく。このまま行けば、
     確実に前時代のネットワーク同様、混沌とした状況に陥るだろう。
     成る程。あの「先生」がこんな状況をお気に召すはずが無い。だから…帰ってきたのかな。」
    イダ「彼女を…カウンターに使うつもりか。」
    ヤガミ「タケヒコ、僕はね。彼女は「そのため」に生き残ってくれたのだと、そう、思うんだ。」

860 :フラッシュモーター・カレン:2015/02/22(日) 11:50:40 ID:???
    ■Act05.リ・ムーヴメント
    (真っ暗な世界に、カレンとポスト。)
    老いた男性の声「そうだね。君にはどういう例えが一番適切なのだろうか。私の経験からして、
     もっとも適した比喩は「学校の校則」なんだよ。スカートは膝下なんcm。髪は耳の下で切りそろえ。靴下は無地の白。」
    カレン「んー、私はWEBカレしか通った事ないし、解らないな。」
    老いた男性の声「だろうね。そういう時代があったのさ。」 カレン「前世界大戦後の高度経済成長期?」
    老いた男性の声=郵便ポスト「詳しいね。」
    カレン「『ポストさん』のお話って、いつもその辺りの話題が多いから、調べちゃった。」
    ポストさん「そうかい。なんだか嬉しいね。まあ、ともかく私が「宗教」の概念を論じるのに良く使う比喩がそれなんだよ。
     さて、世界的な宗教紛争の火種がその勢いを衰えさせつつある昨今。宗教はその自由度を上げ、民間から多くの、
     新興宗教が生み出され続けている。人々は生まれや習慣に囚われず、自分の意思で宗教を選びやすくなった。自己の鍛練。
     利潤の追求。人は様々な理由で宗教を求めるが…その中でも、やはり「救い」を求める人は特に多く、そして「強い」。」
    カレン「強い?」 ポストさん「防衛本能からくる逃避さ。ある意味とても健常な反応だがね。」
    カレン「生物として、自分を護る為に宗教…思想にすがる?」
    ポストさん「まあ、これは、あくまでも私の考えを簡単にまとめただけさ。
     脆い部分は幾らでもある。良ければ独自に探してみて欲しい。」
    カレン「覚えていられるかな? 今日のはずいぶん濃い話題だったし……ええと。」 ポストさん「どうかしたのかい?」
    カレン「これって…「夢」よね。私が良く見てる夢。」
    ポストさん「どうなんだろうね?」
    カレン「んー…ポストさんに何か大事な話をするつもだったのに。私の生活が大きく変わって、確か…」
    ポストさん「お嬢さん…」 カレン「?」 ポストさん「就職、おめでとう。」
    カレン「…あ!」 声『…れん…検診…二度…れん』 かれん「…んー?」

    カントウ医大付属病院集中治療室 AM08:02
    かれん「あれ? ここって…」 イダ「検診中に二度寝かい? かれん。」
    かれん「イダ先生…あ、そっか、朝の検診だった。」
    イダ「脳波から察するに、短い夢を見ていたようだが…ひょっとして、また「ポストさん」とやらの夢か?」
    かれん「はい。たぶん。結構久しぶりでした。」 
    イダ「不思議な夢だ…なぜ、第二次郵便改革の遺産が、君の夢で喋るのやら。」
    かれん「優しい男の人の声…少しイダ先生に似てるかも。」
    イダ「喜んで良いものかね。それで、今回の話題は? 確か前回は…」
    かれん「『珈琲は太陽。紅茶は月』。えと。今回の話題は確か…」

    フロンティア アーコロジードメインJA2201 <<ヤマテ・タカザ>>
    第二市街 マツシタロウド PM11:09
    L-コンパニオンズ「世界は0/1の融合体たるΦの元に溢れ出し、今正に爆発の時を迎えました。
     それは「個」が内在する力がこの空間にて増強され、一種のヒエラルキー相互作用に…」
    ラグ「FNPの方、すみませーん。「それ」も撤去願いますー」
    FNP・A「はいはい。おい、そっち持って!」 FNP・B「結構重いな? っと、よいしょ~」
    L-コンパニオンズ「あら? あら? あららら…」
    ラグ「最近はああいう無人アイコン、増えてるなあ。アングラの「花売り」とかタチの悪いのも多くなって来てるし。」
    カレン「花売り?」 ラグ「ああ、古い隠語でね。バイ…ってカレン! いつの間にっ!?」
    カレン「入浴中に緊急出動受けたから、ちょっと時間かかっちゃった。」
    ラグ「いや、その、キミ。午後7時以降のシフト入って無かったはずじゃないの?」
    カレン「エマージェンシーを受けての担当ドメインへの出動は、任意でしょ?」
    ラグ「仕事熱心でいいけど…風呂上がりのイントロンて、あんまり体に良くないよ?」
    カレン「大丈夫。万一体調が崩れても、先生がなんとかしてくれるもの。」
    ラグ「Dr.イダも大変だなあ。さて、来たんなら状況の説明をさせて貰うけど…」
    カレン「うん。よろしく。あ、その前に…結局「花売り」って、なんなの?」 ラグ「…ググれ!」

861 :フラッシュモーター・カレン:2015/02/22(日) 11:51:58 ID:???

    本日PM08:00、某WEBカレッジの宗教研究会「タマコイビト」のメンバー7名が、
    ΦNET不認可ツール「アイ・イントロン」を使用し、それぞれ自宅から同じドメインへ同時にイントロンした。
    イントロン場所は<<ヤマテ・タカザ>>第二市街マツシタロウド。 かねてから、
    彼らが集まっていた一般フィールドの公園である。 だが、イントロン直後から公園周辺の構造体が変化を起こし、
    一種の隔離状態となり、7名のアイコンは、何れもその内部に取り残された模様。リアルワールドでFNPが彼らの
    自宅へ向かい、アウトロン処置を行うも失敗。フロンティア内部からの救出を試みるべく、FSSへ緊急出動が要請された。

    カレン「「アイ・イントロン」…? 聞いた事があるわ。アングラの違法ツールだっけ。」
    ラグ「医療用ツールを改悪したトリップツールだよ。」
    カレン「装備してイントロンすると、自分のイメージが反映された情景が見えるって噂のだよね。」
    ラグ「海馬体を活性させて、夢を見る程度のもんだよ。フロンティアの環境反応を利用するから、
     その感覚がすごくリアルに思えるだけ。」 カレン「目覚めながら夢を見るためのツールね。」
    ラグ「ま、その程度なら実害ないんだけど…ほら。」 カレン「うわ…公園の真ん中に、何か妙な構造体が建ってる。」
    ラグ「どうやらそのツールには、構造体のデータまで入ってたみたいなんだ…「いにしえーしょん?」用の環境だとか、
     ツールの箱に書いてあったけど。」
    カレン「薬とテント入りだったわけだ。でも撤去だけなら山田さんの砦より簡単そうね。」
    ラグ「うーん。これがそうでもないんだな。実はこの公園、工事中でね。その機材も色々巻き込まれているみたいなんだ。」
    カレン「機材って?」 ラグ「作業用オートマトンと構造体破砕ツール。」
    カレン「構造体破砕ツールって、「ボム」とかよばれてるアレだよね。」
    ラグ「そう。本来は遠隔制御で使うんだけど、現在は制御を離れている為、低い所に移動させたり、衝撃を与えると、
     爆発するようになっちゃってる。」カレン「怖いね…それで、オートマトンのスペックはと…え…ちょっと、これって。」
    ラグ「いいAI積んでるでしょ? 耐久力も高いし、作業用の掘削ツールも装備してる。ΦNET製の新製品で、
     モニタリングテスト中だったそうだよ。そして、前述のボムと同様に、これもまた制御を受け付けない。」
    カレン「でも…作業用だよね? 襲ってきたりしないよね?」
    ラグ「ハハハ♪ 現場の作業員が逃げ出すときに襲われたってさ。」
    カレン「ハハハ、じゃないよ。全然狂ってるじゃない! それでも新製品!?」
    ラグ「緊急出動なんてこんなモンさ。怖いんなら帰るぅ?」 カレン「っ…やる!」
    ラグ「いい返事だね。さて…一番の問題は、この状況で中に閉じ込められた有人アイコンが居るって所だ。
     大勢で下手に突っ込めば二次災害になる。だから少数で救助にあたる。」
    カレン「でも、接続時間制限はどうなってるの?」
    ラグ「それなんだが…一般人はフロンティアに連続6時間以上繋ぐと、リアルでの感覚誤差を初め、
     様々な神経失調を起こす可能性がある。認可ツールやコネクターには、それを未然に防ぐセキュリティの取り付けが、
     義務になっており。イントロンで6時間を越えたユーザーを、自動的にアウトロンさせ、また…強制的に3時間以内の、
     再接続も禁止するようになってるんだけど。彼らのコネクターは、違法ツールを使ったせいで故障中。」
    カレン「ウ、ウンチク長いよ! 8時にイントロンして今11時…3時間か。
     コネクターの不具合が出てる事も含めて、急がないとね。」
    ラグ「と言う訳で…3つのフィールドに閉じ込められている7人のアイコンの捜索と保護が、今回の任務。
     また同時に、暴走中のオートマトンも全て破壊する事。なお、アイコンを救助する場合は、
     アイコンに触れるだけでOKだ。以上、質問は?」
    カレン「ありません!」 ラグ「よしっ。…ん?」 カレン「どうしたの?」
    ラグ「あ、いや。さっきまで公園の隅に赤い箱があったような。気付いたら消えてたけど。FNPが持っていったかな…」
    カレン「赤い…箱。」 ラグ「何、心辺りあるの?」 カレン「ううん。まさか…ね。」

862 :フラッシュモーター・カレン:2015/02/22(日) 11:52:36 ID:???
    ラグ「配備中のFNP各員への通達も完了、と。意味深な自問自答して、複線張ってるんじゃないよ。さあ、準備いい?」
    カレン「いつでも!」 ラグ「よおし、それじゃあミッション・スタートだ!」
    爆弾でオートマトンにダメージを与えた後に攻撃して倒す。人型アイコンには触れて行く。ステージ1,2,3クリア。
    カレン「よしっ。これで全員救助完了ね!」 ラグ「7名のID照合も完了。サークルメンバーに間違い無いよ。」
    宗教研究会メンバー「………?」 カレン「何か反応が薄いけど…この人達、大丈夫なの?」
    ラグ「軽度のショック状態だね。しばらくは入院だろうけど、全治2週間程度かな。」
    カレン「よかったあ。」 宗教研究会メンバー・A「ここ…どこだ? あんた達、いったい…」
    ラグ「お、気がついたね。」 カレン「FSSのエージェントです。あなた達の救助に来ました。」
    ラグ「起抜けに突然だけど、君らを2分後に強制アウトロンする。起きたらFNPの人達に囲まれてるだろうけどね。
     違法ツールの所持、使用。公共物破損。結構な罪状なんで覚悟しときなよ。」
    カレン「もうっ、なんで脅すかなあ。」 ラグ「逆、逆~ココロガマエさせてあげてる優しさが解んない~?」
    宗教研究会メンバー・A「…ああ、なんだ。また「からだ」に戻るのか。あそこは、せまくて、くさいからイヤだなあ…」
    カレン(…え?) ラグ「よおし、ID確認。強制アウトロン10秒前。カレン、彼らから離れてて。」
    カレン「…」 ラグ「カレンっ、ボサっとしないっ!」 カレン「え、あ、うん。」
    ラグ「エージェントが深夜仕事で寝落ち? 恥ずかしいよ。はい、3、2、1…」

    翌日 リアルワールド ニホン・アーコロジー22 <<カントウ・ベイ>>
    F.S.S-JAPAN 本社ビル AM10:09
    リリアーヌ「「回帰運動」…ですか?」
    ヤガミ「僕は勝手にリグレッションムーブメントと呼んでるよ。でも少し長すぎるので略称は君が考えるんだ。莉々安那!」
    リリアーヌ「リリアーヌです。…ふむ。では「リ・ムーブメント」と致しましょう。」
    ヤガミ「それだ! さて、本題だが…フロンティアへの接続人口の増加に比例して、
     ある種の神経疾患患者が増加してるのは知っているね?」
    リリアーヌ「感覚誤差障害ですね。電子と現実との感覚の誤差で神経が失調を来すという。」
    ヤガミ「実は、最近の研究でその患者の多くが、共通した「妄想」を抱いている事が解って来たんだ。」
    リリアーヌ「妄想…ですか?」
    ヤガミ「肉体から、感覚が「ズレ」る。そして、ズレた感覚は「あるべき場所」へ「帰ろうと」する。」
    リリアーヌ「幽体離脱と言うものですか?」 ヤガミ「経験あるかね?」
    リリアーヌ「ありません。しかし「あるべき場所」とは……なるほど。「フロンティア」ですか。」
    ヤガミ「概ね正解だ。」 リリアーヌ(概ね?)
    ヤガミ「彼らはリアルの感覚に不快感を抱き、やがて電子の地平こそが、自らの「帰るべき場所」であると感じ始める。」
    リリアーヌ「それが「リ・ムーブメント」と…何か宗教めいたものを感じますね。」
    ヤガミ「いい勘だと思うよ。アングラでは、今その種の渇望を満足させる為の疑似体験ツールが流行っている。
     だが…その中に幾つか。今回かれんくんが遭遇したような、危険なシロモノが含まれているようだ。」
    リリアーヌ「FNPと合同の上、違法ツール摘発運動の推進を検討します。」
    ヤガミ「よろしく頼むよ。リィ・リィ・アンヌ。」
    リリアーヌ「リリアーヌです。ところで社長。今のは以前、すでにお使いになられました。」ヤガミ「あれ、そうだっけ?」

    フロンティア アーコロジードメインJA2201 <<ヤマテ・タカザ>>
    第二市街マツシタロウド 路地裏 時刻不明
    ポストさん「回帰願望というのは恐らく。最も単純な「逃避」なのではないだろうかね。あ、いや。逃避は健全な行動だよ?
     決して卑下なんてしない。『全てに立ち向かう事が常に正しく、美徳である』…と言う思想は、こわい。
     逃避は、いわば生物の防衛本能だ。でも。その本能を利用して人を操らんとする「モノ」は…もっと、こわい。
     お嬢さん。それこそが、君の…」

863 :フラッシュモーター・カレン:2015/02/22(日) 11:55:45 ID:???
    ■Act06.フロム・エル
    カレン「非常招集?」 ラグ「「あるかも」って話。FSSとFNPの合同捜査が佳境なんでね。」
    カレン「例の違法ツールの件ね。」 ラグ「あの後起きた数件の類似事件でも、同種のツールが使用されている。」
    カレン「匿名の同人ツールに類似プログラムが混入したって事件もあったよね。」
    ラグ「うん。そういう拡散の速度から見て、これらのツール販売は、リアルでは無く、このフロンティア内で、
     主に行われているようだ。」 カレン「ラグの見当通りだね。で、出動はいつごろ?」
    ラグ「んー、リリアーヌさんによると元締めの確定は、ほとんど出来てるみたいだし。社長の事だから次の予算会議に、
     間に合わせるつもりだろう。」
    カレン「じゃあ、ここ2,3日のうちに強制捜査に駆り出されるのかあ…折角の休暇が、
     なんだか気の抜けないまま終わりそう。」

    フロンティア ナチュラルドメインJA3<<グラン・アオヤマ>>
    サマービーチフィールド<<ショーナン・X>> AM09:54
    (南国っぽいところの水の上のボートの上で、水着姿のカレンが寝そべっている)
    ラグ「キミはつくづく遊び方を知らないねえ。こういう時はね。後に何があろうとも精一杯遊んでおくの。」
    カレン「そういう言葉が簡単に口をつくなんて…ラグって実は結構ネンパイ?」
    ラグ「キミとは人生の密度が違うのさ。」
    カレン「そうやってエラソーにする所はやっぱり子供っぽい。んー、それにしても…「事件のお詫びの印」って事で、
     御呼ばれしたけど。」
    <<注>>事件被害者を初め、関係各位を無料招待済み。(メッケモ)
    カレン「ここって…いいところだよね~♪」
    ラグ「サマービーチフィールド<<ショーナン・X>>。JA初の「泳げる」ドメインだ。「水」の再現度という点では、
     現在世界最高と言えるだろう。水以外にも日向と日蔭の温度差や湿度の違いまでそれら全て高度な物理演算による云わば」
    カレン「ラグ、ひょっとして…アンチョコ丸読み?」 ラグ「ぎく。」
    カレン「そういえばラグは泳がないの? 私はもう結構泳いだけど。」
    ラグ「ああ、その…僕のアイコンで泳ぐと、その。」
    カレン「あ、もしかしてリアルのラグは泳げなかったりするの? 水が怖い?」
    ラグ「ち、違うよっ! 僕のアイコンは特殊なんで、通常空間設定以外では誤作動を」
    カレン「ズバリ、ラグは…焦ってるとジョーゼツに語りだす!」 ラグ「何がズバリだっ! 死語もいい所だよ!」
    カレン「今、WEBで読んでるレトロな探偵漫画に出てくるセリフ。用法合ってるよね? あと、
     この推理にも結構自信あるけど。実際どうなの? ん?」
    ラグ「むっ。ちょっとそこのショップでDaReKa借りてくる! その辺のメッケモだってぶっちぎってやるんだから!」
    カレン「んー、できればそのまま泳ぐ所が見たいなあ。そうだ。私が抱えて泳いであげる。こう見えて、
     リアルでも結構泳げるんだよ。」 ラグ「ふうん。そういえばいつも使ってる移動ツールも水泳用のビート板型だっけ。」
    カレン「同じデザインのを、リハビリプールで愛用中。」
    ラグ「うーん。抱えて、かあ。アイコン仕様的には問題なさそうだけど…」
    カレン「あ。ひょっとして…」 ラグ「ズバリ禁止。」
    カレン「「水着のカレンに抱えられて泳ぐなんて恥ずかしいっ」とか?」 ラグ「ぜんぜん?」
    カレン「く…間髪入れずに否定した。水に叩き落してやろうかしら。」
    ラグ「だあって~カレンってまだまだ全然コドモで僕の…ん? あれ? おかしいな。」 カレン「どうしたの?」
    ラグ「キミのアイコンは、リアルの体をスキャンして作られてるはずだよね?」 カレン「そ…そうよ?」
    ラグ「でも、僕が入手したキミのフィジカルデータと、そのカレンアイコンには、見逃せない誤差がある…あ、そうか。」
    カレン「ラグ、あのね?」 ラグ「およそ1カップ分増量が」 カレン「…ッ!」

864 :フラッシュモーター・カレン:2015/02/22(日) 11:56:32 ID:???

     FNPは不正ツール製作違反等の疑いで、ツール販売会社『エルメイト』に立ち入り捜査を行った
     エルメイトは、社長『ツルイ・ミネコ』らと5名の社員からなる中堅メーカーの下請け会社であったが、
     FNPの調べによると、1年程前から内部で秘密裏に医療ツールを改造したトリップツールの製作と販売を行っていた模様
     また、リアルでの所在地が架空の物であった事からも、実質は幽霊会社であった可能性が高く
     FNPは、同社のフロンティア内フィールドの隔離を決定
     内部に立て篭もった社員らの、アイコンを確保する事での、実質的逮捕へと踏み切った

    アーコロジードメインJA2201<<ヤマテ・タカザ>>
    第一市街 オモテマツシタ PM03:02
    FNP・A「隔離したフィールド内にはドメイン固定型砲台が複数配備されており、我々の装備では太刀打ちできません。
     今だにリアルの身元も確定しない以上、こちらでの確保を急ぎたいのですが。ところで、あの…エージェントの方、
     そのアイコン名称は…」
    せくはら★にゃんこ「う…ぐ…強制リネームとは…なんて細かい攻撃を。」
    カレン「あ、気にしないでください。その通りの意味なんです♪」 FNP・A「は…はあ。」
    せくはら★にゃんこ「ご…ごめん、なさい。」 カレン「聞こえな~い。」
    せくはら★にゃんこ「ご…ごめんなさあいっ!」 カレン「はい、いい子になりました♪」
    ラグ「うう、も、戻った。大仕事前になんて醜態…」 カレン「気持ちを切り替えて、お仕事お仕事。」
    ラグ「張本人が言うか!? しかし、まあ…立て篭もりとはね。」
    カレン「隔離された時点で、あんまり意味無いよね。…と言う事は。」
    ラグ「ヤケになるかも。いや、ヤケだからこうしてるって事かな。容疑者が立て篭もってどのくらい?」
    FNP・A「約1時間です。」
    ラグ「出社接続がAM10:00とすると、そろそろ接続限界のはず…どっちにしても急がなきゃ。」
    カレン「ところで、中に配備された砲台のデータ見たけど。…これ、軍事用。」
    ラグ「うわ~、えらいのが出回ってる。ルートどこだよ…」
    カレン「この砲台、フィールドそのものとリンクしてるから、直接は破壊出来ないのね。」
    ラグ「その分、動きは単調だ。付け入るスキはある。「サーチ」で砲台の射線を見切りながら慎重に進むんだ!」
    カレン「うん! 最終目的は立て篭もった社員の確保ね。」 ラグ「では…ミッション・スタートだ!」
    動く砲台ステージ、射線上に入らないようにスイッチを入れてゲートへ。ステージ1、2クリア。
    カレン「ラグ…ここまで結局、有人アイコンは全然いなかったけど。」
    ラグ「うーん。社長合わせて6人いるって情報だったけど…そもそも本物の幽霊会社で全員AIだったってオチかな?」
    カレン「そういう会社って良くあるの?」
    ラグ「最近増えてるらしい。でも、ここまで手が込んだ所はそうそう無いかな? 動体反応だ…! まっすぐこっちに来る。
     速いっ!?」 カレン「…え? あれって。」
    L-コンパニオンズ?「いらっしゃいませ。」 ラグ「宗教サイトの勧誘アイコン? なんだってこんな所に…」
    L-コンパニオンズ?「よおこ、ソゥル。おそ 楽 我々 の、エルisi 精神こうぞう 読み なさいますか?
     不得手 加護 世阿弥です。行く行くは ご 検討を。◎ふじこ◎」 カレン「なんか…盛大に壊れてない?」
    ラグ「言語野に損傷があるようだ。隔離の弊害かも。でも…このアイコン。スキャン完了。…え?」カレン「どうしたの?」
    ラグ「なんだこのスペック!? 耐久力、攻撃力、追尾性能、これじゃまるで軍事用の…」
    L-コンパニオンズ?「それでは。ごいっしょにまいりましょーにゃん。」
    カレン「にゃんっ!?」 ラグ「猫フェチ自重しろ! 複数の反応がある…周辺にも注意! 来るぞ!」
    L-コンパニオンズ?は戦っても勝てないので、砲台を利用して自分と直線状にし撃たせて倒す。3体倒すとクリア。
    ラグ「スキャン終了…やはりこのフィールド全域を見ても、有人アイコンはいない。」
    カレン「さっきの何だったの? オートマトン?」

865 :フラッシュモーター・カレン:2015/02/22(日) 11:57:26 ID:???
    ラグ「勿論、有人アイコンでは無かったけど…あのスペックは、AIで易々と制御できるようなシロモノじゃ無い。
     FSSのラボにデータ持って行って調べよう。」 カレン「あの勧誘ロボットの元締めは誰なの?」
    ラグ「『L-コンパニオン』…民間の思想団体だ。その教義は、フロンティアは人類が帰るべき約束の地である。
     …とか、なんとか。似たような思想を持つ団体はかなりいるけど、規模的にはここは中堅て所かな。」
    カレン「でも、そういう人達がこんな解り易い証拠を現場に残すかなぁ?」
    ラグ「まあ、それを考えるのは僕らの役目じゃないけどね。現場の保存。状況の報告。ひとまずそれでオシマイ。」
    カレン「そうね…あ、休暇あと1日どうしよう。」
    ラグ「ヤマテ・ナグヤのゲーセン、「デミナス・ケイプ」に新しいシナリオ入ってたよ。」
    カレン「ホラー系シナリオでしょう? 暗い所歩くのイヤ。」 ラグ「うん、知ってる。ちょっとした悪意だ。」
    カレン「この変眉め…今度はどんな名前にしてやろーかしら。」
    ラグ「ヘンマユ言うな! あの程度の改ざんは、僕にだってできるんだよっ。」
    カレン「負け惜しみにゃんこ。」 ラグ「(ぼそっ)ふらっとぺったー・かれん。」 カレン「なっ!!?」
    ラグ「おっと、撤収撤収~」 カレン「ちょっと、言い逃げズルい! 待ちなさい、このせくはらにゃんこっ!」


    (真っ暗な画像)
    0000
    1111
    ΦΦΦΦ
    **Keep*****Ro*
      *Up*****
               E***R*D
    アプリケーションに深刻なエラーが発生しました
    お持ちの端末のデータが破損している可能性があります
    電源を切るか電池を抜く事で、この状態を終了する事が出来ます
    歯雨です お問い合わせにはお答え出来ない場合
    お問い合わせには (背後にたくさんの髑髏)
    0   0   0  0
    1   1   1  1
    Φ   Φ   Φ  Φ
    ΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦ
    見ています (背後にたくさんの目)
    お届けにあがります 背後お問い合わせ下さい お問い合わせ下さい お問い合わせ下さい
    お問い合わせ下さい
    お問い合わせ下さいお問い合わせ下さいお問い合わせ下さいお問い合わせ下さいお問い合わせ下さいお問い合わせ下さいお問
    い合わせ下さいお問い合わせ下さいお問い合わせ下さいお問い合わせ下さいお問い合わせ下さいお問い合わせ下さいお問い合
    わせ下さいお問い合わせ下さいお問い合わせ下さいお問い合わせ下さいお問い合わせ下さいお問い合わせ下さいお問い合わせ
    背後い合わせ下さいお問い合わせ下さいお問い合わせ下さいお問い合わせ下さいお問い合わせ下さいお問い合わせ下さいお問
    い合わせ下さいお問い合わせ下さいお問い合わせ下さいお問い合わ背後さいお問い合わせ下さいお問い合わせ下さいお問い合
    わせ下さいお問い合わせ下さいお問い合わせ下さいお問い背後せ下さいお問い合わせ下さいお問い合わせ下さいお問い合わせ
    下さいお問い合わせ下さいお問い合わせ下さいお問い合背後下さいお問い合わせ下さいお問い合わせ下さいお問い合わせ下さ
    いお問い合わせ下さいお問い合わせ下さいかのちをこうよぶのです
    ER*DE (裸の大きな女性の中央に文字)

866 :フラッシュモーター・カレン:2015/02/22(日) 11:58:55 ID:???
    ■Act07.モーター・ノイズ
    カントワ医大付属病院 特別管理病棟PM06:72
    かれん「あれ…?」 イダ「どうかしたのかね?」 かれん「私のCo‐Kiが、いつもの場所にないんです。」
    イダ「またベッドの下に落ちているんじゃないのか?」
    かれん「探しましたけど…やっぱり無いなあ~、そろそろラグから連絡が来るはずなのに。」
    イダ「ベッドのコネクターから呼びかけてみるといい。」
    かれん「あ、そうですよね。それに部屋にあれば、呼び出し音でわかるかも。ん…?」
    イダ「この部屋には無さそうだな。落し物で届いてないか見てくる。」
    かれん「すみません。受信の反応すら無いって事は、壊れてるのかな…ふう…なんだか、眠い。
     さっき起きたばかりだけど。ちょっと…ふわ…二度寝しそう。…くぅー…。」


    少年「なんだよ…これ? 22時間だって?」 医師「君、来てしまったのか…守衛は何をしていたんだ」
    少年「説明してくれ、Dr!」 医師「昨日の仕事の後からだ」
    少年「アウトロンまでは一緒だったのに、なんで…、社長もDrも、なんで僕に教えなかったんだよ!?」
    医師「そうやって取り乱すからだ」 看護婦「先生、スピンドル出ています。頭蓋内圧低下中」
    少年「接続の強制解除を!」 医師「許可出来ない…そもそも彼女の体力ではショックに耐えられん」
    少年「まだイントロンしてるのなら、どこかにアイコンがあるはずだ! それをサルベージすれば…」
    医師「FSSの別のエージェントが目下捜索中だが…発見出来ていないらしい」
    少年「…まさか…この状態、姉さんの時と同じじゃないのか?」 医師「姉さん?」 少年「社長の所に行ってくる!」


    かれん「……ラグ?」
    リリアーヌ・ホソダ「申し訳ありませんが、それはヌイグルミです。」
    かれん「リリアーヌさん…? いらっしゃい。今日はどうしたんですか?」
    リリアーヌ「社長が玩具メーカーに、ラグくんの商品化を打診中なのです。今回はその試作品をお持ちしました。
     猫好きのかれんさんからなら、良い意見を頂けると思いまして。」
    かれん「むう…これはなかなかの再現度。抱いてみていいです?」 リリアーヌ「もちろん。」
    かれん「えいっ。」 ヌイグルミ『警告。あなたは平均サイズに達しておりません。食生活から改善して下さい。』
    かれん「むう…」 リリアーヌ「リアクション機能搭載です。彼の人となりも再現してみたのですが。」
    かれん「耐久テストはしました? ちょっとネジってみてもいいですか?」 リリアーヌ「もちろん。」
    かれん「えいっ。」 ヌイグルミ『ゅるしてください』


    リアルワールド
    F.S.S-JAPAN 本社ビル AM11:07
    ヤガミ「懐かしい話だね…、君のお姉さんがウチのサーバーに忍び込んで、機密事項を奪取。
     その逃走中に謎の自我喪失…今でも事件の実態は不明。そして君の姉…アキエさんはFNPにその身柄を拘束された。
     下層市街で女手一つ。黒豹のアイコンを使うスゴ腕ハッカー…自我喪失から2年。弊社医療班も延命に力を尽したのだが。
     おっと、説明口調が過ぎたね。私はこういう事を口にするから、リアリティに欠けると言われるんだ。
     君もそう思うだろう? ラグ。いや、ひさしぶりに、こう呼ぼうか。アキトくん◎」
    アキト?「…」

867 :フラッシュモーター・カレン:2015/02/22(日) 11:59:48 ID:???

    かれん「えっと…本日最初のお便りです。金剛県魔鎧市の会社員、砦男爵山太郎さん。
     『かれんさん、こんばんは』 はい、こんばんは。」
    砦男爵山太郎『僕は硬い食べ物が好きです。固焼き御煎餅にかりんとう。カボチャにドリアッ!
     そういった硬いものを砕いて食べ切った時に得られる征服感は、なかなか乙なものです。でも…本当は僕自身を誰かに』
    かれん「あ、演出さんのほうでそこから5行は読むな、とサインが出ています。ん~、何でそんなお便りを読ませるかなあ。
     ええと、そこを飛ばすと…『かれんさんの好きな食べ物はなんですか?』って重要なのは、そこだけですね。
     ん~、スナック系好きかなあ。特にイモ関係。」
    お父さん(イダ)「ケーキも好きだろう。チョコチップが大量に乗ったヤツが。」
    かれん「うわ、お父さんっ。何してるのこんな所で?」
    お父さん「ゲスト出演というヤツらしい。これはプレゼントだ。」 (メッケモを取り出す)
    出演祝い『俺は…かわいいか?』 かれん「な…中になんかいる。」
    演出さん(ヤガミ)「かれんくーん。あと15秒でCMだよー。」
    かれん「あ、はーい。それでは今夜も張り切ってまいりましょう! 『かれんの~ネマキで~」
    ポストさん「やあ。」 かれん「わ。」 ポストさん「ここまで来るのに、随分と時間をかけてしまったよ。」
    かれん「ポストさん…? ポストさんも、ゲストなの?」
    ポストさん「君に、これを届けに来た。」 かれん「これ…私のCo‐Ki?」
    ポストさん「このフィールドの突破に必要なツールが入ってるよ。君ならば上手く扱えるはずだ。」
    かれん「フィールド…? じゃあ、ここって。」 ポストさん「アウトロンの隙をついた「彼ら」の攻撃で君は…」
    L-コンパニオンズ「失礼致します。「おかあさま」のご指示がありましたので。「お部屋」の設定を変更させて頂きます。
     変更には少々お時間を頂きますので、しばらくそのままでお待ち下さい。」(病室が真っ暗になる)
    かれん「おかあさま? 部屋の変更?」
    ポストさん「君の自意識を強制感化させるつもりだ。早くここからお逃げなさい。今の君ではまだ勝てない。」
    かれん「で、でもポストさんは!?」 ポストさん「私は赤いだろう? だから大丈夫。」
    かれん「すごいの? それってすごい事なの!?」
    ポストさん「そして君は輝くはずだ。もっと、大きな光で。さあ、閃きなさい。『カレン!』」
    かれん「…! そうか、私。」 カレン「私は…!」
    L-コンパニオンズが遠距離攻撃してくる、テレキネマネキシスで引っ張り寄せて、電気床に落として倒す。1、2クリア。
    カレン「…? 音楽が…聞こえてくる。パイプオルガン? …! ここは…フロンティア…?」
    (真っ暗な場所が変化、透明で赤茶色のブロックが乱立した場所、遠くにΦのマークが見える。)
    カレン「この感覚はそっくり。でも雰囲気がまるで違う。歩いているアイコンも…みんな形がおぼつかない。
     そうだ。何かのデータで見た。数百年前の絵巻物みたいな。ヒャッキ…なんだっけ。
     それに…向こう側に見えるあのシンボルって。…どこかで。」
    (映像が変わる。宇宙から見た地球、その上にΦの形をした何かが浮いている。)
    カレン「…? ………」(何…今の? 一瞬、何かが頭の中に) ポストさん「ここは…『エルデ』」
    カレン「ポストさん、無事だったのね! 良かった…」 ポストさん「赤いからね。」
    カレン「う、うん…赤いからね。でも『エルデ』って一体なんなの?
     私は今、フロンティアとは別の場所にイントロンしているの?」
    ポストさん「それを自覚出来るだけでも大したものだよ。「生まれながら」にして器官を備えた君だからこそか。」
    カレン「器官? あっ…!」
    L-コンパニオンズ1「お待ち下さい。そちらはエントランスになっております。」(二人現れて、ハモる)
    L-コンパニオンズ2「ご利用の際は必ず我々コンパニオンにご相談下さいますよう。よろしくお願い致します。」
    ポストさん「L…いや、違うな。本来は「E」。『ERDE』のはず。
     すなわち、エルデ、コンパニオン。それが彼らの名称だ。」
    カレン「エルデ…コンパニオン?」 エルデ・コンパニオン「………」 
    ポストさん「来るよ。ここをしのげばなんとかなる!」 カレン「くっ…!」

868 :フラッシュモーター・カレン:2015/02/22(日) 12:01:17 ID:???
    ステージ3クリア
    エルデ・コンパニオン1「ここでは。あらゆるサービスを無料、無期限でご利用頂けます。」
    エルデ・コンパニオン2「接続時間の制限につきましても、一切規定はございません。」
    カレン「ゲートの中にまで居る!?」 ポストさん「本当にしつこい勧誘だね。だが…」
    少年の声『見つけたっ! 社長の読みどおり一般回線に潜んでた!』
    カレン「この声って、まさか!」 ポストさん「救援が間に合ったようだ。」
    少年の声『隔離申請、並びに…ツール<<ラグタイム>>を限定仕様!』(たくさんの猫が背景になる)
    エルデ・コンパニオン1「お***!? あ***?」
    エルデ・コンパニオン2「げーと、フィールド***A virtual** memory is the limit******お***お***?
     ***limit***Ah***? Ah******」(声がスロウになっていく)
    カレン「ラ…ラグがいっぱいっ!?」
    少年の声『足止めにしかならない。それにモタついてると増殖に巻き込まれるぞ。早く自力でアウトロンを!』
    カレン「その声、やっぱりラグ!?」 ポストさん「難解なツールを個人でこうまで駆使できるとは…いい腕だ。」
    少年の声『な、なんだ? 赤い箱のアイコンっ? とにかく、あんたも早く!』
    カレン「ポストさん! 一緒に行こう!」 ポストさん「大丈夫。私は、ほら。赤いから、ね。」 カレン「!?」

     世界は 『Φ』の元に溢れ、今正に回帰の時に至りました 
     我々はこの炭素体の蛹より羽化を果たし、あまねく空へと飛び立つのです
     同時に我々は、肉体維持という無限消費の業よりも抜け出し
     『縁(えん)』のみを糧とした、根源の姿へと回帰するのです
     事象の果てに在る、原初の大地 故にわたくしは かの地を、このように呼ぶのです
     ERDE さあ、まだ「その中」にいらっしゃる皆様方も 共に 帰りましょう

    看護婦「コネクター自立解除直後より、意識レベル上昇中。」
    イダ「レセプタブースト設定値投薬。すぐに末梢神経系のスキャンを開始してくれ。
     かれん! 聞こえていたら答えてくれ。まばたきでもいい!」
    かれん「ん…。………。」 イダ「…かれん。」 かれん「…お父さん?」
    イダ「意識が混濁しているようだね。ここは病院の治療室だ。わかるかね?」
    かれん「イダ先生…治療室…? 私…ずっと繋いでた。あの場所。ポストさんは、たしか。『えるで』って…」
    イダ「…!」 かれん「そうだ。ラグ。たすけに、来てくれた。ラグ…どこ!? !」 少年「…! …」
    (ジャケットをきた灰色の髪の少年。そのまま立ち去ろうとする。)
    かれん「待って!」 少年「…」 かれん「……ラグ?」 ラグ?「……ねぼすけかれん。」
    かれん「え?」 ラグ?「…っ!」 かれん「あ。(出て行っちゃった…)」
    イダ「起きてはいけない。しばらくは精密検査が必要な体なんだ。」
    かれん「はい、でも…(まだ、遠くへは行ってない、なら)…すう~『ありがとう』」
    生まれて初めて、この病院で叫んだ 早朝3時 イダ先生はしばし唖然 でも、気を取り直して 私に、注意した

869 :フラッシュモーター・カレン:2015/02/22(日) 12:05:18 ID:???
    ■Act08.プロト・リンカー

    フロンティア
    <<証言01>>
    学生「マジっス。俺、もう2回見てます! アウトすっときに視界の隅に出るんすよ。ニッコーて笑うの!
     あれは噂の「天界サーバー」の使いっス! 天使っスよ、天使!」
    <<証言02>>
    主婦「はあい。まずはウチの子が見たんです。はあい、ここで。初めは信じませんでした。でもその後、この公園に来て
     一緒にアウトロンした時に私も見たんですよ。…天使さま! 娘が言った通りの!」
    Q.1 天使ってどんなの?
    女の子「えっとお、ピンク色でふわふわしてた。すごくキレイでした。」
    Q.2 何かお話をした?
    女の子「しました! うんと…えっと…なんだっけ?」
    <<証言03>>
    ログ清掃業男性「ああ、アレ? 落ちるときに見たよお? でも…ありゃあ、どっかで見覚えがあるんだわ。
     ほら、近づくとわけ解らん事ぎゃあぎゃあ喋る人形。前はこの辺に結構うろついてたんだが…最近みないね?」

    リアルワールド
    F.S.S-JAPAN 本社ビル PM03:12
    リリアーヌ「この数週間で、感覚誤差障害の患者は、加速度的に増加しております。」
    ヤガミ「増加の具体的なタイミングはわかるかい?」
    リリアーヌ「例の『エルメイト』を含む、以降7件あまりの違法ツール販売会社への強制捜査時期と、ほぼ重なるかと。」
    ヤガミ「加えて、アウトロン時に出現する『天使』の噂か。」
    リリアーヌ「目撃談から、エルメイトに出現した人型アイコンに酷似した物と思われます。」
    ヤガミ「新興の思想団体『L-コンパニオン』だったか…」
    リリアーヌ「FNPらとの合同捜査でも、結局その実態を掴む事は出来ませんでした。やはりエルメイト同様に
     「完全なる幽霊組織」である可能性が高いです。」
    ヤガミ「天使を目撃した者たちに、なんらかの方法で検診を施せないかね?」
    リリアーヌ「検討致します。」 ヤガミ「恐らく「器官」の発生兆候が現れているはずだ。」
    リリアーヌ「『無端末接続器官』…頂いた資料だけでは実在を判断しかねますが。」
    ヤガミ「君は、実物を持つ人物にすでに会っているはずだ。」 リリアーヌ「…かれんさん、ですね。」
    ヤガミ「プロトタイプリンカーの数少ない生存者にして、生まれながらの器官保有者。」
    リリアーヌ「プロトタイプ…リンカー?」
    ヤガミ「「新しい用語ばかりで、なんだか混乱してきた。そろそろ真実を知りたい」そういう顔をしてるね。
     ルビィ・ホワイトマンくん?」 リリアーヌ「…! …はい。」
    ヤガミ「ΦNETから、わざわざ僕の監視に来てくれてご苦労さん。だから…ちゃあんと教えてあげるよ。
     もう…時間も無さそうだしね。」
    FSSコンパニオン「社長。緊急回線で失礼致します。ヤマテ・ナグヤで「ドミネイト」進行中です。」
    リリアーヌ「ドミネイト…ドメインへの直接攻撃?」 ヤガミ「…。そうか。すでに、手遅れだったようだね。」

    ラグ「………(状況「ドミネイト」で出動なんて初めてだ。僕の知る限りでは2年前、欧州のテロ事件以来のはず…。
     しかも場所は、アーコロジーの全機能を制御する場所。外部から易々と侵入出来るような場所じゃない。
     そこを直接攻撃だなんて。とにかく、現場のFNPに状況の説明を聞かなきゃ。…かれん、あれから仕事続きで、
     面会に行けて無い…どうしてるだろう。でも、今は…。)」

870 :フラッシュモーター・カレン:2015/02/22(日) 12:06:00 ID:???
    フロンティア アーコロジードメインJA2201 <<ヤマテ・タカザ>> アーコロジー制御フィールド
    ラグ「よし、到着っと。」 FNP「………」 ラグ「ご苦労様。早速なんだけど、状況を教えてくれるかな?」
    FNP「………」 ラグ「ちょっと、キミ? まさかFNPが寝落ちっ!?」
    FNP・B「………」 FNP・C「………」
    ラグ「…なっ、なんだよ、これ。全員が落ちてるのか? (何か、まずい)緊急アウトロン申請…!」
    <<WARNING>><<WARNING>><<WARNING>><<WARNING>>
    <<KEEP OUT>><<KEEP OUT>><<KEEP OUT>><<KEEP OUT>>
    ラグ「え? 何? 隔離っ!? しかもこんな速度で…」
    エルデ・コンパニオン1「いらっしゃいませ。ですが『便』は…先程出発したばかりです。
     よろしければそのまま、お待ち下さいませ。」 (二体現れて、ハモる)
    エルデ・コンパニオン2「私どもは。あなた方全てを受け入れるべく、万全の体勢を整えております。」
    ラグ「あ? ああっ…!? こいつらが…このアーコロジーに攻撃して来た相手!?」
    エルデ・コンパニオン12「なお、次の便は非常に大きな容量を有しております。よろしければ、ご家族やご友人を
     御呼び合わせの上で、お待ちくださいませ。」
    ラグ「うっ…<<ラグタイム>>で足止め…いや、隔離されてるなら、そもそも無意味だ!」
    エルデ・コンパニオン12「また、よろしければあなた様のアイコンの動作制御全体を、こちらでケア致します。
     さあ、心安らかに。」 ラグ「来る…せめてゲートまで辿りつければっ!」
    エルデ・コンパニオン12「………。!?」 ラグ(なんだ、どうした…? 空を、見てる?)「…あ!?」
    カレン「ラグ…! 良かった、無事ね!?」
    ラグ「カレン!? な、なんでキミここに? イントロンの許可なんて出るはず無いのに!」
    カレン「…わからない。わからないけれど、ラグが危険だって事はわかったの。だから、来た!」
    ラグ「…!」(この感じ…はじめて会った時と同じ! まるでこの場所にいる事が当然のように!)
    エルデ・コンパニオン「………!?」 カレン「一気に突破しましょ。サポートお願いっ!」
    ラグ「でも、キミのアタックツールじゃ、このフィールドでヤツラと立ち回るのは…」
    カレン「どんなツールが必要なの?」
    ラグ「間接攻撃ツール<<ショット>>。攻撃力は無いけど、相手をダメージゾーンへ吹き飛ばしたり、
     物体をぶつけたり出来るツールだ。」
    カレン(吹き飛ばす…その為の…ツール! ラグのイメージが伝わる。形になる。形に出来る。形に…)「…! 出来た!」
    ラグ「え…えええええっ!?」(カレンのアタックツールのデータが…変化!? 自分のツールを作り直したっ!?)
    カレン「名付けて<<スットバスター>>!」 ラグ「ダジャレかよ!」 カレン「ミッション・スタート!」
    スットバスターでコンパニオン達を倒していく、ステージ1,2クリア。
    カレン「よしっ。最後のフィールド!」
    ラグ「キ、キミ、なんでそんなに調子いいのっ!? 36時間接続って、多分イントロン世界記録だよ? 不名誉だけど!
     24時間も繋いでいたら、普通は神経が疲弊して、ひと月はイントロンできないはずだし。そ…そもそもキミ、
     コネクターを使ってないだろう!?」
    カレン「そうみたいね。でも、心の奥底でね。「これが正しい形」だって、なぜだかわかるの。」
    ラグ「アタックツールを一瞬で別のツールへ組み替えたりしたのは?」
    カレン「「出来る」と思ったの。方法は…ちょっと言葉に出来ないけど。」
    ラグ「キミって、本当に……!? 動体反応。数1。未確認アイコン…!」
    エルデ・コンパニオン「大変、申し訳ありません。あなた様の行動は我々にとり、非常に危険な物と判断せざるをえません。
     ERDE時間142805:04:22。あなたへの「強化導教」申請が*****を通過しました。
     お手数ですが…、一時、活動を停止させて頂きます。」
    ラグ「スキャン完了。長距離攻撃ツール装備。高い追尾性能と耐久力をあわせ持つ強敵だ。
     来るぞ…、ツールと周辺の構造体を組み合わせて対処して!」 カレン「わかった!」
    遠距離攻撃の上に二回攻撃しないとならない、ダメージ床なし。ブロックを二つ並べて、一度防いだ後にぶつけるを二回。
    ラグ「! 隔離が解除された! あとはこのドメインの復旧と自我喪失中のFNPの回収を、それぞれ専門家に任せて…」
    カレン「……来る。」 ラグ「え? 何が? スキャンには何も…」

871 :フラッシュモーター・カレン:2015/02/22(日) 12:06:47 ID:???
    アーコロジードメインJA2241<<ヤマテ・ナグヤ>>PM04:00
    サラリーマン「今、揺れなかった?」 OL「揺れた揺れた! ドーンって!」
    サラリーマン・B「アーコロジーの重力設定狂うと、こういうのあるけど。」
    サラリーマン・A「おい…あれ。」 OL「企業フィールドの上に…映像?」
    (空に女性の映像 ΦとERDE) 
     世界は『Φ』の元に溢れ、今正に回帰の時に至りました
     我々はこの炭素体の蛹より羽化を果たし、あまねく空へと飛び立つのです

    同時刻 ナチュラルドメインJA3<<グラン・アオヤマ>>
    少女「ママー、すかいもにたーに、女の人がうつってるー」主婦「え…何、あれ? 何かのCMかしら?」メッケモ『…?』
     同時に我々は、肉体維持という無限消費の業よりも抜け出し
     『縁(えん)』のみを糧とした、根源の姿へと 回帰するのです

    同時刻 リアルワールド カントウ医大付属病院 フロンティアライブモニター
     事象の果てに在る 原初の大地 故にわたくしは
    イダ「…。…ナルカミ先生。」

    同時刻 F.S.S-JAPAN 本社ビル内モニター
     故にわたくしは かの地をこのように呼ぶのです
    リリアーヌ「これが…」
    ヤガミ「フロンティアのプロトタイプ。ネットワーク開発の天才技師が、独自の思想で作り上げ…。
     ある重大な危険性が発覚した事から、厳重に封印されたΦNET最大の禁忌。」
    リリアーヌ「頂いた資料では、軌道上の有機サーバーは爆破されたとあります。それがなぜ、今このフロンティアに…!?
     それに、あの女性。たしか…」 ヤガミ「『ナルカミ・マヤ』。フロンティアのプロトタイプ「ERDE」開発主任。」
    リリアーヌ「有機ネットワーク素子の母と伺っております。ですが16年前に事故で…」
    ヤガミ「そう。彼女は今も土の中にいる。僕はね「リリアーヌ」あの人と、同じ墓に入るはずだったんだ。」
    リリアーヌ「…!」

     さあ、まだ「その中」にいらっしゃる皆様方も 共に 帰りましょう

     フロンティアのアーコロジードメイン<<ヤマテ・タカザ>>が何者かの侵入を受けて約2時間後
     フロンティアJA系ドメインの約70%で、例の映像が放送された
     放送の手段、発信源等はΦNET指揮の元で操作が行われているものの、今なおその特定には至っていない
     また、この放送を境にフロンティアJA接続者の中から自我喪失者が続出しており、
     各地の病院は、その収容と対応に奔走している
     政府広報の発表によると、現在までに確認された、放送の影響によると思われる自我喪失患者は、約1万人
     政府は、症状の度合いに個人差があるが、事件以後も同様の患者が増加している事から
     イントロンサーバー自体に、それらを引き起こす要因が埋め込まれている可能性を考慮し、
     患者が発見されたドメインに対して、無期限の接続停止を発令
     また、事態収拾までフロンティアユーザーらに接続の自粛を呼びかけた

872 :フラッシュモーター・カレン:2015/02/22(日) 12:07:57 ID:???
    ■Act08.5 アルファタイプ・テスト

    かれん「『フラッシュ・モーター』? それが、私の頭の中にあるんですか?」
    イダ「un Terminal electronic connection organ…」
    ヤガミ「無端末接続器官。その通称だ。ちなみに命名は僕だよ◎」
    リアルワールド ニホン・アーコロジー22<<カントウ・ベイ>>
    F.S.S-JAPAN 本社ビル PM10:27
    ヤガミ「かれんくん。わざわざこんな所まで来て頂いて、すまないね。」 かれん「いえ。この動くベッド、快適です。」
    ラグ「無端末接続…か。なんともウサンクサイけど実際見てるしなあ。でも、なんだってかれんにそんな器官があるんだよ?
     この子の、フロンティアでの傍若無人な能力にどういう関係があるの?」
    かれん「イダ先生も、社長も、ずっとその事を知っていたようですけれど…」
    イダ「ああ…」 リリアーヌ「では…私からご説明させて頂きます。」
    ヤガミ「ふふ、あれだけの資料をこの短期間で読み終えたと言う事かな? 流石はララ。」
    リリアーヌ「リリアーヌです。事足らない部分はその都度補足願います。さて…事は18年前。
     ΦNETでの極秘プロジェクトから端を発します。」

     当初、このプロジェクトは電子空間内の疑似環境に、人体の感覚を置換しようという試みから始まりました
     開発主任は、若くしてネットワーク開発の天才と謡われた女性『ナルカミ・マヤ』
     彼女は、独自の発想で若い才能を中心としたプロジェクトチームを構成して行きました
     例えばTF大学時代に2つの学位を取得した、脳病態生理学の若き権威イダ・タケヒコ氏や、
     その友人で、天才的な情報処理工学の才能を買われ、少年時代からΦNET開発局に勤めていたヤガミ・タテワキ氏など、
     その他にも各専門分野のスペシャリストを招き、プロジェクトは順調なペースで進行していました
     
    ヤガミ「ちなみにプロジェクトの企画自体は、当時のΦNET社長が独自に製作したものだ。」
    ラグ「当時の社長って事は…あ、現会長か。」 イダ「開発ラボにも、よく顔を出しておられたな…」
    ヤガミ「マヤが引っ張り、社長が押す。…いいチームだったよ。アルファタイプ・テストのその時までは、ね。」
    かれん「アルファタイプ・テスト?」 ラグ「試運転みたいなもんだろね。」

     このテストは 地球の裏側同士でサーバーを構え、2名の被験者同士が交互に接続するという物でした
     南半球から接続した被験者は、衛星回線を経由し接続に成功
     しかし…北半球の被験者は 接続後に意識を失いました その被験者こそが、開発主任ナルカミ・マヤ博士本人でした

    かれん「それって…自我喪失、ですか?」
    リリアーヌ「約6ヶ月の間、あらゆる回復手段が講じられたそうですが、回復の兆しの無いまま、
     プロジェクトは閉鎖の危機に瀕していました。しかし、ある日…」
    ヤガミ「マヤは目覚めた。しかも…「身籠って」いたんだ。自分自身を、ね。」
    ラグ「どういう事…?」 ヤガミ「『母体による単独懐胎』」
    イダ「何かのショックで、彼女の胎内の卵子が分裂を始めた事によるものらしい。
     単一生成…つまりは自分のクローンを作るに等しい現象だ。」
    かれん「その赤ちゃんは…どうなったんですか?」
    リリアーヌ「それが…博士が覚醒して3ヶ月後。胎児は彼女の胎内で死亡しております。」

873 :フラッシュモーター・カレン:2015/02/22(日) 12:08:58 ID:???

     その後の療養を経て、博士は現場に復帰 神懸り的な作業進行で、プロジェクトの建て直し始めました
     しかし、そのプロジェクトは以前の物とは根本的に異なる着想の元、生まれ変わって行ったのです
     通称『ERDEプロジェクト』
     「ある生体素子」を利用した自己増殖型サーバーを中核とするネットワーク構想がそれです
     
    かれん「生体素子…?」 ラグ「まさか…」
    イダ「死亡し、取り出された胎児は人としての原型を一切留めていなかった。
     また、後の解剖でその体細胞のほとんどがガン化している事が判明した。」
    ヤガミ「一種のミュータントだね。そして彼女は、その体組織をモデルとした生体素子を開発。
     その技術を利用したサーバーの構築に成功した。」
     
     メンテナンスフリー 自己増殖する衛星サーバー 地上での培養も容易で、通常機器との互換性も高い
     軌道上での太陽光と人工タンパクのみを利用し、その稼働限界は千年とも二千年とも言われた
     夢の素材 それを利用した夢のネットワーク 誰もが、彼女の指し示す未来に逆らえなかった
     各国の病院でのリハビリ運用を主体にした、大規模なモニタリングテスト 被験者は1000人以上
     僕とタケヒコが気づいた時は…すでに手遅れだった エルデ接続者には、ある固有の症状が現れる
     それは現実と電子の感覚のズレに始まり やがて
     コネクターを介せずとも『ERDA』を感じ、繋がる事すら可能となる
     それは、ERDA接続者の脳内に生み出される『特殊な器官』の作用
     接続を繰り返す度に器官は成長する 接続せずとも然り 日々成長を続ける
     やがて器官は、保有者の自意識すら超えてERDAを求めて、繋がる そして最後には もどらない

    かれん「今、フロンティアで起きている事と似てる…」
    リリアーヌ「当時のDr.イダと社長の通報を受け、ΦNETはプロジェクトの中止を決定しました。
     しかし…ナルカミ博士を中心とした開発者達はラボに立て篭もりながら、研究を止めなかった。」
    ヤガミ「あの時のマヤを前にすると、誰も逆らえなかった。それどころか、
     運命を共にしてみたいとさえ思わせる強烈な魅力があった。僕は…とても怖かったよ。」

     ΦNETは、要塞と化したラボに立て篭もる彼女らを止めるため、企業の私警察まで動員した
     だが、部隊がラボに突入した時、そこに動くものの気配は…無かった
     マヤを初めとした開発者全員は、ERDEにイントロンしていたんだ 世界中のモニター達も引き連れてね
     抜け殻になっていたマヤたちの肉体は、延命処置を受けつつも次々に、その活動を停止していったよ
     こうしてプロジェクトは、今度こそ完全に停止した 利益ある部分は残され、不利益には蓋をされ、葬られた
     軌道上の生体素子サーバーも、緊急停止用爆薬により、その機能を完全に破壊された
     ERDEは滅びた そして時は流れ
     危険な因子を根絶した後、その残骸から生み出されたのが、新たなる大地<<フロンティア>>だ

    かれん「…でも…ERDEサーバーは破壊されて、エルデの生体素子技術も厳重に封印されたんですよね?」
    リリアーヌ「現在のフロンティアサーバーにはエルデプロジェクトの生体素子理論が流用されていますが、
     あくまで流用であり、エルデのそれが持っていた問題は全て解決されています。」
    ヤガミ「その通り。フロンティアの生体素子モデル自体は無害と言っていい。」
    かれん「だったら今、フロンティアに攻撃を仕掛けているあの『ERDE』はいったい…」

874 :フラッシュモーター・カレン:2015/02/22(日) 12:10:10 ID:???
    ヤガミ「考えうる原因は一つ。軌道上のERDEサーバーは…生きていたようだね。人工タンパクの生成装置も、
     太陽光発電施設も、緊急停止用爆薬で破壊されたはずだが、生体素子そのものが持つ復元力のなせる業かも知れない…」
    ラグ「そうか…解ってきたぞ。時を経て復元したERDEは、自分と良く似たフロンティアが地上で稼働している事を知り、
     自らアクセスして来た…そういう事だね!?」
    かれん「ERDEに繋いだ人は器官を…フラッシュモーターを得る。
     ERDEはフロンティアの人々をフラッシュモーターにして、自分のもとへ引きずり込もうとしているの?」
    ラグ「無端末接続…例えフロンティアが完全に停止したとしても、ERDEに接続してしまった人は、体内の器官を使って、
     またERDEに繋がってしまう…?」
    イダ「そして、それを止める手段は…今の我々には、まだ無い。ΦNETの技術の粋を集めて製作された
     電波遮断施設を持ってしても、フラッシュモーターによるERDE接続は止められなかった。」 ラグ「そんな…」
    ヤガミ「ERDEの仕業と思われる事件は3年程前から確認されて来た。僕らは、今回の件以前にERDEと接触した
     可能性のある自我喪失患者を、すでに2万人ほど確認している。」
    イダ「また、知らぬうちにERDEと接し、脳内にフラッシュモーターを潜伏させた者も、数多く存在すると思われる。」
    リリアーヌ「一度でも接続してしまえば、ERDEからは逃れられない。
     そして、いつ接続されたのか解らない人々も大勢いる。そういう事ですね…」
    ラグ「それって、つまり…フロンティアユーザーの全てが、すでにERDEに感染してる可能性があるっていうの?
     ひょっとすると…ぼ、僕らだって、すでに…?」
    イダ「…」 リリアーヌ「…」 ヤガミ「◎」 ラグ「だ、黙らないでよ! あと社長は「◎」ってなんだよっ!?」
    かれん「で、でも…私、一度ERDEに捕まりました。でも、戻って来れた。ラグ達のお陰で!
     でも、私の中にはフラッシュモーターがある。…あるんですよね?
     でも、私はあれ以来、ERDEに連れて行かれたりしてない! だから…」
    イダ「長くなったが…ようやくその話に行き着いた。かれん。君の中のフラッシュモーターは特別なんだ。」
    かれん「あ…? …だから、わたし。今まで、あの病院に…?」
    イダ「それを説明すれば…君につらい思いをさせるだろう。かれん。それでも…聞くかね?」 かれん「…わたし、は…」

     海賊放送以後、フロンティア各ドメインで接続が自粛されている中
     解放された一部のドメインでは、一般ユーザーらによる散発的な暴動が発生していた
     それは、ユーザーらが口々に空に向けて「えるで、えるで」と叫びながら、周辺を練り歩くというものであり
     多い時は100名を越すアイコンが、この暴動に加わる事もある模様
     参加者の多くは、FNPらによる解散命令にも応じず
     また、中にはその場で自我喪失を発症する者まで現れている

    カントウ医大付属病院 特別管理病棟 PM03:18
    かれん「………。そっか、わたし。生まれた時から…ずっと、こうなんだ。」

     かれん 君の母親は、ERDEのモニタリングテスト参加者の一人だった
     彼女がテストに参加した時、君はすでにその胎内にいたんだ
     父親は不明だ 詳しい資料が残っていないが、彼女は未婚の母だったらしい
     他の被験者同様、彼女もERDEにイントロンしてフラッシュモーターを得たが
     その際、胎内にいた君にもフラッシュモーターが宿ったものと思われる
     君の母親は…君を生んだ際に亡くなった だが、君は生き残った
     その身に「生まれながらにして」フラッシュモーターを宿して
     つまり君は、生まれながらに生体素子モデルを利用したネットワークに、完全に対応している
     自覚の無いまま睡眠時によくイントロンしていた理由がそれだ
     そして 私の役目は、そんな君の成長を見守り 調査する事にあった

875 :フラッシュモーター・カレン:2015/02/22(日) 12:11:11 ID:???

    少年「僕と姉さんは、ストリートで暮らすハッカーだったんだ。企業情報を盗んで、他に売り払うような、ね。
     ある日、姉さんはFSSの極秘資料を盗み出す為、社のメインサーバーへと忍び込んだ。
     でも…そのまま自我を失って…帰って来なかった。」
    かれん「ラグ…あ、じゃなくて。『アキト』くん。」 アキト「年下だからって「くん」とか付けないでっ。」
    かれん「う、うん…じゃあ、アキト。お姉さんの話、もう少し聞かせて。」
    アキト「うん…その後、僕は自我喪失した姉さんの変わりに、一人でFSSに忍び込んだけど見つかって、捕まった。
     でも、その時の腕を買われて、エージェントになるよう薦められたんだ。
     植物状態になった姉さんの保護も頼めたし、足を洗うにもいい機会だった。」
    かれん「リリアーヌさんが、アキトは裏の同業者に顔が知られてるから、
     めったにリアルの姿を人前にあらわさないって、教えてくれた。」
    アキト「元同業者をメシノタネにしてる裏切り者だからね…」 かれん「お姉さんは今…FSS関連の病院に?」
    アキト「2年前に亡くなったよ。結局、最後まで目を覚まさなかった。」 かれん「………」
    アキト「さっき社長から、姉さんが忍び込んだ場所について聞いたよ。それは、社長権限により厳重に隔離された、
     あるゲートだったんだ。ヤガミ社長が秘密裏に保管していた『ERDE』へのゲート。
     姉さんは、それを起動し…そのままERDEへと飲み込まれたらしい。」 かれん「ERDEへの…ゲート?」
    アキト「姉さんの一件以来、現在ゲートは完全に物理遮断されている。でも、そのゲートを使えば、
     こちらからERDEサーバーへの中枢へ侵入する事が出来るそうだ。」 かれん「ERDEに、侵入…」
    アキト「この事態はERDEを完全に破壊しないと収拾しない。地上からERDEサーバーへ直接攻撃案も検討されてるけど
     色々と軍事的な問題を孕んでるみたいで、実行は難しそうだ。そこで…今考え得る最も効果的で、最も効率的な方法は…」
    かれん「私しか、出来ないよね。ゲートからERDEに侵入して、ERDEの中枢を停止する。それは、
     フラッシュモーターを持って生まれた、私にしか出来ない。ERDEに強い耐性を持った私にしか…そう、だよね。」
    アキト「かれん。キミ…泣いてるの?」

876 :フラッシュモーター・カレン:2015/02/22(日) 12:12:17 ID:???
    ■Act09.エルデ・ストライク

     「ERDE事件」と呼称される一連の事件に解決の糸口を見出せない政府は、
     ΦNETと合同で捜査陣営を展開し、リアル、フロンティアの両面から改めて調査を開始した
     また、同様の自我喪失患者が各国のフロンティアで確認され始めた事から
     フロンティア全体の接続者数は一時、通常の22%という数字にまで落ち込んだ
     合同捜査本部は事態の早急な解決を行うべく、政府広報を通じ期限付きの、ある規制を発令
     それは、6時間の『フロンティア停止命令』であった

    F.S.S-JAPAN 本社ビル PM11:45
    リリアーヌ「かれんさんと、ERDEゲートプロトタイプの接続まで、あと15分です。
     同時に、フロンティアJAの全ドメインが、6時間の接続不能となります。」
    ヤガミ「本当は、更にあと6時間欲しいところだったね…」
    リリアーヌ「納得されない企業や団体も多い中、この数字を出せたのは誇るべきものかと。」
    ヤガミ「ΦNET本社としては、僕が「あんなもの」を保管していた事は許せなくない?」
    リリアーヌ「先ほど「本社」と連絡を取り、事態のあらましをお伝えしましたが、
     ERDE復活を予想されていたのは、あなただけでは無いようです。」
    ヤガミ「ΦNETもERDEゲートを保存していた、か…あの爺さんも抜け目ないなあ。
     それで、タケヒコと僕の血と汗と愛の結晶は?」
    リリアーヌ「ERDE用ハイパーコネクターですね。社長のお考えどおり、「彼」が被験者を買って出てくれました。」

    カレン「あ、わかった。」 ラグ「何が?」
    カレン「暗いところが怖い理由。私、お母さんのお腹から出される時の記憶があるの。信じないかも知れないけど。」
    ラグ「落ち着くなら妄想でもなんでもいいよ。話してみて。」
    カレン「真っ暗で、苦しくて、怖くて。助けて、助けてって、いっぱい叫んだの。そうしていたら…目の前に、光が。」
    フロンティア F.S.S-JAPAN 隔離サーバー内
    カレン「ハイパーコネクターって、どんな感じなの?」
    ラグ「見た目は普通と変わらないけど、生体認証系がほとんどブラックボックス。」
    カレン「それを使えば、感染せずにERDEに入れるっていうけど…大丈夫?」
    ラグ「やってみなきゃなんともね。あ、そうそう、さっきの君の話なんだけど…。
     出産直前の赤ん坊の目が開いてる事自体、まずアリエナイ。よって妄想。」
    カレン「っ、この…はあ~やっぱり話すんじゃなかったわ。恥ずかしい。」
    ラグ「また何か思い出したら聞いてあげるよ~、どんな妄想でも。」
    カレン「うん。思い出したんだけど。リアルのラグも変な眉毛だったね。」

877 :フラッシュモーター・カレン:2015/02/22(日) 12:12:58 ID:???
    ラグ「う、く、仕方ないじゃん! 剃っても剃っても、ああなるんだもの!」
    カレン「でも、気にしてるんなら、なんでわざわざアイコンに同じ眉を付けてるの?」
    ラグ「ん、まあ、その…姉さんがデザインしてくれたものだからね。」
    カレン「…ごめん。」 ラグ「いいよ。」 カレン「でも変眉だ。」 ラグ「キ、キミなーっ!?」
    男性の声「ああ、その…楽しそうな所、申し訳ないが。」 カレン「あれ、この声…イダ先生っ?」
    イダ先生:Voice Only「作戦前にすまん。少しだけ繋がせて貰った。どうしても、君に伝えたい事があったんだ」
    カレン「…」 イダ「俺が君を調べていた理由は、あれが全てだ。だが、俺は…君の事を、本当の娘のような存在だと
     …そう、思っている。君は今まで、幾つかの養子縁組の誘いを断ってきたが…君が嫌でなければ俺は…」
    カレン「ありがとう。今まで、ほんとうにありがとうございました。」
    イダ「俺は…」 カレン「だから…これからもよろしくお願いします。イダ先生。」イダ「…あ。」
    FSSコンパニオン「作戦開始3分前です」 ラグ「カレン。こっちは準備いいよ。」
    カレン「それじゃあ先生、いって来ます!」 イダ「ああ、帰りを待っているよ。ラグくん…かれんを頼む。」
    ラグ「…わかった!」 ヤガミ社長:Voice Only「カレンくん、ラグ…」 カレン&ラグ「社長っ!?」
    ヤガミ「マヤを…もう眠らせてやって欲しい。頼む…」 FSSコンパニオン「カウントダウン開始します。」
    カレン「わかりました! 必ずERDEを停めてみせます! それと…社長もありがとうございます!
     私に、私が出来る事と、やるべき事を教えてくれて!」
    ラグ「その為に、彼女の予想出現地点に暴走オートマトンをばら撒いたり、やり方は酷かったけど!」 カレン「え?」
    ラグ「ほら、僕とキミが始めて出会った時のオートマトン暴走騒ぎ。キミをFSSに引き込む為に、
     策を労したんだろうね。」 カレン「え? え? えええ?」 ラグ「お陰で僕は酷い目にあったさ!」
    カレン「しゃ、社長っ?」 リリアーヌ:Voice Only「急用で席を外されました。私の視界内にはおりますが。」
    ラグ「よろしければ延髄にチョップを食らわせておいて下さい。」
    リリアーヌ「検討して見ま、あ…退室しました。ガッデム。」 カレン(がっでむ!?)
    FSSコンパニオン「5秒前。ゲート接続開始。」 カレン&ラグ「!」
    リリアーヌ「それでは、お二人とも…」 いってらっしゃいませ

    カレン「………間違い無い。この感じ…前と同じ。」 ラグ「侵入成功だね。」 カレン「ラグ? 大丈夫なの?」
    ラグ「自覚症状出てないだけかも知れないけど、多分。まあ、しかし…予想はしていたけど。」
    エルデ・コンパニオン1「大変申し訳ありません。あなた方がご利用のゲートは、一般の方に解放された
     正規のものではありません。」 2「よろしければ、我々の指定するエントランスより改めてお入り下さい。」
     「「さあ、こちらでございます。」」
    ラグ「近接タイプか。また数が多い…」 カレン「ラグ、有効なツールは?」
    ラグ「そうか、またアレをやるんだね! それなら…構造体運搬用ツール<<キャリア>>。
     一部の構造体を持ち上げて運んだり、好きな場所に置く事が出来るツールだ。前回同様に攻撃力は無いけど、
     敵すら持ち上げてしまえる。かなりフレキシブルに立ち回れるハズだ。」
    カレン「持ち上げる…運ぶ…置く…、…! 完成! <<モッテキャリア>>!」
    ラグ「うわ、微妙なネーミング。それにしても…データの分解と再構成。この速度でやっちゃうと、まるで魔法だね。」
    カレン「ラグ、行くよ!」 ラグ「うん! ミッション・スタートだ!」

878 :フラッシュモーター・カレン:2015/02/22(日) 12:14:12 ID:???
    フィールド1、2クリア。
    カレン「このフィールドは…?」 ラグ「今までと少し様子が違うね。コンパニオン達もいない…」
    カレン「待って、フィールドの奥。緑のオートマトンが2体!」 ラグ「妙な動きだな…こちらと距離を取ってる。」
    カレン「これって、アレかな? メッケモキャッチの時みたいな感じ?」
    ラグ「かもね…スキャン完了っと。やはりあの2体がここのゲートスイッチらしい。耐久力は低い。
     でも、索敵範囲と機動力はかなり高め。」 カレン「やっぱり逃げ回るスイッチなのね。どう捕まえようか。」
    ラグ「…まった! 近接戦闘用ツールの起動を確認!」 カレン「それってつまり…」
    ラグ「ヤツラは逃げる。でも、近づきすぎるとこっちに攻撃してくる。」 カレン「む~、なんて嫌味なスイッチ!」
    ラグ「はい、こういう時はフィールドの再確認!」  カレン「えっと…高い場所にあるボム。2つの構造体。
     凹型のダメージゾーン…そうか。構造体を利用して2体を凹の中に追い込めば!」
    ラグ「いけそうだね。ダメージゾーンの上に乗らないよう気をつけて!」 カレン「やってみる!」
    ステージ3クリア。
    カレン「これで3フィールド突破!」 ラグ「流石に深いな…それに、あの天使モドキの数も尋常じゃない。」
    カレン「結局あのアイコンは何? 単なるオートマトンの動きには見えないけれど…」
    ラグ「これは推測だが…ERDEに飲まれた人々の、フィジカルデータを素体にしてるのかも。」
    カレン「じゃあ、あれって…人そのもの?」ラグ「まあ、あくまで推測で……う?」カレン「どっ、どうしたの、ラグっ?」
    ラグ(このコネクター…神経に大分負荷がかかるな。それに、このリアルな違和感。ひょっとすると僕…結構ヤバいのかも)
    カレン「ラグ…あなた、やっぱり!」 ラグ「…接続…切らないよ。」 カレン「!?」
    ラグ「こればっかりは譲れない。君のどんな力でも止められない。前は姉さんに置いて行かれたけど…今度は、
     最後までついて行くんだから…」 カレン「ラグ…」
    ラグ「それに君は、ほら。ねぼすけで天然で直感第一で妄想家で…だから、
     僕みたいな理性的な奴がサポートしてないと…ダメなんだよ。」
    カレン「…年下のくせに。背だって私より低いのに。変眉にゃんこのくせに。」
    ラグ「2つ下なだけだ。2㎝程だ。すぐ抜いてやる。あと、変眉って言うな…あ。」
    <<きゅ>> ラグ「って、コラ。勝手に抱き上げるな~。」 カレン「また、かっこいい事を言う。」

     その夜 異例のフロンティア全域接続禁止措置が講じられた深夜から
     『現象』は静かに そしてすさまじい速度で拡大をはじめていた
     繰り返される通報 後を絶たない緊急要請 続出する『自我喪失者』
     就寝中に「連れて行かれた」者は幸いである
     自動車、電車、船舶、それらの運用中に「連れて行かれた」者の中には、肉体に大きな傷を被った者も少なくない
     通報は加速度的に増加し、メディアは深夜では異例の体勢をしいて、その被害の報道に勤めた
     だが 奇妙な事に 被害の増加に反比例して各メディアの報道は次第に停滞し始める
     それは、メディアだけの現象ではなかった それは 公民問わず、あらゆる施設に波及し始めていた
     また 「国内」に留まる程度のものでも 無かった

879 :フラッシュモーター・カレン:2015/02/22(日) 12:18:44 ID:???
    ■Act10.オール・イン・ザ・ガール

     夜は 夜は静けさを増してゆく
     この事態を声高に報じていたメディアは、一つまた一つと沈黙し
     様々な警告音と人々の叫びもまた 潮が引くように、消えて行く
     静かなる夜 平和なる夜 柔らかな夜のビロードに抱かれ、世界を飛び立つ者たち
     彼らの、たどりつく場所は

    F.S.S-JAPAN 本社ビル AM04:01
    リリアーヌ「………リアルで待機中の合同捜査本部とのネットワークが…全て途絶しました。
     またFSSチャイナ、FSSフランスを初め、各支部との緊急回線も、次々に途絶し始めております。」
    ヤガミ「…そうかい。タケヒコは? 病院に呼び戻されたようだけど。」
    リリアーヌ「30分前にご一報を頂いたきりです。カントウ医大付属病院とのネットワークもまた、途絶しております。」
    ヤガミ「ウチのスタッフは?」
    リリアーヌ「社内での発症者は、現在58%。自宅待機社員の中にも相当の発症者が出ている模様です。」
    ヤガミ「予想潜伏患者…君の試算ではどのくらいになってたっけ?」 リリアーヌ「およそ1500万人です。」
    ヤガミ「あれ、そんなものかい?」 リリアーヌ「国内では、です。国外も含めた試算もお聞きになりますか?」
    ヤガミ「ううん。やめとこう。折角引っ張り出したロマネコンティが不味くなりそうだ。」
    リリアーヌ「これは…」
    ヤガミ「マヤが残したものさ。プロジェクト完成の時にみんなで開けようってね。タケヒコには悪いけど…、
     「もう機会がなさそうだから」ここで開けようと思う。付き合ってくれるかい?」
    リリアーヌ「私自身も、いつまで持つかは解りませんが…是非。」
    ヤガミ「ありがとう。そうそう。こういう時だから言うけど…本名で呼んでいいかい?」
    リリアーヌ「…ダメ。」

    カントウ医大付属病院 特別管理病棟 AM03:43
    イダ「常に明るい病室だが…やはり、これでは寂しいな。ん、これは…私が与えたCo‐Kiか。」
     <<NOT CONNECTED>>
    イダ「なるほど。感染経路になりうるだろうし、機能閉鎖して置いていったか。
     取り残され、どこにも繋がらん端末…。それは寂しいだろうな。
     ナルカミ先生…、俺も…ヤガミもそろそろそちらへ顔を出すかも知れません。その時は、また3人で。」

    ER*DE
    カレン「…ラグ! お願いラグ、返事してよ!? ラグ!?」
    ラグ「………。ああもう…君ね? 耳元でうるさいよ。」(ここからラグの声が疲れてるような感じになる。)
    カレン「大丈夫なの…? さっきからどんどん動きが少なくなってるよ!?」
    ラグ「あんまり負荷が強いんで、神経接続レベルを下げてた。でも…ちょっと時間の概念がぼんやりしてきた。
     作戦時間、あとどのくらい残ってたっけ?」
    カレン「2時間くらい…リアルと通信できないから大体だけど。」
    ラグ「とりあえず僕の中の時間概念は、まだそんなに狂ってないようだ。あと、周辺のスキャン…ようやく完了したよ。」
    カレン「無理しないで…」
    ラグ「エルデの中枢は、このすぐ向こうだ。でも、ものすごい数の敵アイコンが配備されてる。
     こりゃ、普通のツールじゃ歯が立たないね。」
    カレン「どうすればいいの? どんなツールがあればここをクリアできる!?」
    ラグ「………無い。」 カレン「え…?」

880 :フラッシュモーター・カレン:2015/02/22(日) 12:19:33 ID:???
    ラグ「一体一体ならなんとかなる。でも、今回は桁が違う。ボムの範囲と威力なら…でも、
     あれは個数に限界があるし、制御効率も悪い。長距離射程。構造体貫通性能。高威力。
     上記に加えて、使用回数が無制限のツール。そんな都合のいいモノ、聞いた事、無いよ。」
    カレン「………。そうか…。無いのなら。そんな物が無いのなら…。」 カレン&ラグ「「作ればいい!」」
    ラグ「そうだ。今の君にはそれが出来るはずだ。イメージを形にして。お話を作るみたいに。妄想は得意だろっ!?」
    カレン「作る…。遠くへ届き、全てを貫き…、絶える事がない、大きな…光!
     !! 出来た。私のツール…! <<カレンビーム>>!」
    ラグ「ハハ…あいかわらずのネーミング。ダジャレじゃないだけマシかな? でも、それならば…きっと全てを貫ける。
     光、みたいに、カレン。…まっすぐ。」
    カレン「ラグ…! (アイコンが停止してる…でも、まだ大丈夫だって私にはわかる!)
     ERDEを、止めて…一緒に帰ろうね。」 <<ぎゅ>>
    カレン「ラグ、行くよ…ミッション・スタート!」
    二回ダメージを受けないと破壊できないコンパニオンズを直線レーザーのカレンビームで二回攻撃して倒す。
    次は動く砲台の後ろにコア三つ。砲台を壊さないように攻撃して破壊して、砲台を足場にゲートへ。ステージ1、2クリア。

    アナウンス「警告。敵対情報素子の中枢潜入を確認。数、1。敵対情報素子の停止は困難。
     よってERDEセキュリティFFEP002を施行。中枢フィールド周辺を閉鎖し、同時に敵対情報素子の殲滅を行う。
     コンパニオンタイプS、全機起動。目標、敵対情報素子。並びに、フィールドの閉鎖を開始する。
     『カウントダウン、開始』」
    カレン「フィールドの閉鎖に私を巻き込むつもりね…。(ERDEも必死なんだ。中枢閉鎖なんて、
     自分の心臓を止めるような事だ。リカバリ出来たとしてもサーバーに相当な負担がかかるはず…)
     でも…それでも私は止められないわ。…わかる。私を取り囲むたくさんの『気配』。
     ゲートの前に…ダメージゾーン。わかる…ダメージゾーンは周辺の気配とリンクしてる。
     全部倒す。そうすればダメージゾーンは解除される。20カウント以内に…全部倒して、ゲートへ! …!?」

     世界は 『Φ』の元に溢れ、今正に回帰の時に至りました
     我々は、この炭素体の蛹より羽化を果たし、あまねく空へと飛び立つのです
    カレン「『ナルカミ・マヤ』」
    カレン(きれい…この人は、きっとリアルでも、すごく、すごく、きれいだったんだろうな。きっと…)
     同時に我々は 肉体維持という無限消費の業よりも抜け出し
     『縁(えん)』のみを糧とした 根源の姿へと回帰するのです
    カレン「でも、違う。」
    エルデ・コンパニオン(複数)「!」
    カレン「これは、きれいなんかじゃない! あなた達は幽霊だ! 残ってちゃいけない! 喋っちゃいけない!
     生きてる人の足を引っ張らないで! ここは…こんな場所は! ただの、お墓だわ!」
     事象の果てに在る 原初の大地 故にわたくしは
    カレン「私は! ここを滅ぼす為に、16年間生きてきた! だから、いま、ぜんぶ。終わらせる!」
    最終ステージ。全14体のコンパニオンズが前方左右から迫ってくる、20ターン以内に全撃破しゲートへ。
    カレン「………。ここが…ERDEの中心? ここが…」
    (他のコンパニオンがピンク色に対し、白い服。また喋り方も機械的でなく流暢なコンパニオンが登場。)
    エルデ・コンパニオン?『そう。フィジカルデータを保管する、ERDEの生体素子サーバーの中枢部分。』
    カレン「オートマトン? いえ、違う…」
    エルデ・コンパニオン?「数ではあなたに勝てない。個の性能を幾ら上げた所でもおそらく同じ。
     攻撃的な手段では太刀打ち出来ない。だから…」 カレン「あなた…まさか。」
    エルデ・コンパニオン?「緊急停止用スイッチは、それ。奥にある『Φ』のエンブレム。」 カレン「え…?」

881 :フラッシュモーター・カレン:2015/02/22(日) 12:21:08 ID:???
    エルデ・コンパニオン?「今、5000万を越えたわ。リアルの肉体を維持している者も、そうでない者も。」
    カレン「ご…せん、まん? まさか…自我喪失患者の事? まさか…そんなに…!?」
    エルデ・コンパニオン?「あなたがイントロンしてきた周辺は、概ね「移民」を完了しているわ。」 カレン「移民…?」
    エルデ・コンパニオン?「スイッチは、そこ。それだけが『私』を止める。それしか止められない。
     そして私は、人をここへ運ぶのを「止められない」、だってこれは私の本能だから。
     そして人々をここから「出してあげられない」 だって、すでに彼らは、私の中に溶け込んでしまったから。」
    カレン「あ…。」 エルデ・コンパニオン?「スイッチは、そこ。」 カレン「…ひっ。」

     原子爆弾 ウランやプルトニウムを核分裂させ、エネルギーを使用する核爆弾の総称
     人類史での戦略的な使用記録は、2度
     その威力は、すでに星自体の脅威であるが為に、現在では所持を持って威力を発する外交カードの一種となっている
     それと等しい力を持った小さなスイッチが 今 私の目の前にある

    カレン「5000万人…ここの人たち。全員が、この一つで…」
    エルデ・コンパニオン?「消える。 出産の歓喜と恐怖。己が脚で地に立った喜び。初めて発した言葉。
     母への依存。父への依存。初めの友人。幼い遊戯。転んだ痛み。泣き声。成長。新たな衣服。異性の意識。
     恋愛。片思い。失恋。幸福感。劣等感。支配欲。成果。欺瞞。恥。劣情。人生の記憶。その記録。
     その全てが消える。せっかくここで、楽しく暮らしていたのに。突然、終わる。」
    カレン「無理…だ。」 エルデ・コンパニオン?「あなたが押せば、終わる。」 カレン「できない…よ。」
    エルデ・コンパニオン?「あなたが押すのなら…」 カレン「いやだ…」
    エルデ・コンパニオン?「もう、誰にも止められない。」 カレン「やだ…イヤ…。いやだ、いやだ、いやだ…!」
    エルデ・コンパニオン?「私は最後のセキュリティ。一切の攻撃はしない。ただ、真実を告げるだけ。5023万人。」

     イダ先生はどうしてるかな? イントロンした私の側に、いてくれてるのかな?
     ヤガミ社長は? またリリアーヌさんと、仲良くしてるのかな?
     山田さんはどうしてるかな? すごく印象的な初仕事だった 模範囚らしいから 直ぐに出所するかも知れない
     あの芸術家さんはどうかな? 娘さんに、自分のデザインの事、打ち明けられたかな?
     あ…みんな、もう中にいるのかな? ラグのお姉さんだって ひょっとすると
     そうかも知れない みんなが中にいてくれたら また、会える
     向こうでも同じ仕事がしたい これは私の天職だもの
     そう また、ラグと一緒に

    老いた男性の声「「ここ」には無いよ。この地にあるのは、死者たちの錆び付いたノスタルジーだけだ。
     成長と革新は否定され、情熱無き「おぞましい春」に囚われる日々が続くのみ。君が望む日常は…ここには無いんだよ。」
    エルデ・セキュリティ(名前変わる)「…誰?」 カレン「ポストさんっ!?」
    ポストさん「君が作った道を走って来た。長くて流石に息が切れたよ。ほら、そのせいでこんなに赤い。」
    エルデ・セキュリティ「接続はΦNET本社から…? あそこにもERDEゲートがあったのね。
     コネクターも特別製…猫アイコンのユーザーの物と類似した仕様…。」
    ポストさん「防壁だけなら、タケ坊たちの作品より遥かに強固だよ。もっとも移動は遅いし、
     ツールもほとんど使えないがね。さて…なるほど。確かに幼い頃のマヤに良く似ている。
     察するに君は、マヤであり、また、その娘でもあるというわけか。」
    カレン「ポストさん…私、どうすればいいの? 私、彼女の話を聞いて、それが全部真実だって解ってしまうの!
     ERDEを…ここを止めると、ここに飲み込まれた人達も…みんな、消えるって! この、スイッチで。
     私…どうすればいいのか。もう…」
    ポストさん「方法は、あるよ。君が抱えている勇敢な猫くんが、それに必要な力を君から引き出し、鍛えてくれた。」

882 :フラッシュモーター・カレン:2015/02/22(日) 12:22:17 ID:???
    カレン「ラグが…?」 ポストさん「考えるんだ。どうすればERDEの人々を救えるのか?」
    エルデ・セキュリティ「無理よ。そもそも救済の意味すら無い。」
    ポストさん「どうすればERDEを止めて、なおかつ中に飲まれた人々全てを、ありのままで救えるのか?」
    エルデ・セキュリティ「無理よ。肉体を失った者もいる。私の提示した情報に、一片の偽りもありえない。」
    ポストさん「君ならば可能だ。カレン。その全てを可能にする最強の現象を…人類はすでに生み出している。
     死者を蘇生させ、光と時すら乗り越え、叶わぬ恋をも結ぶ「現象」。人を導き、欺き、喜ばせ、怒らせ、悲しませ…、
     何よりも、楽しませる為の、圧倒的な「現象」!」
    カレン(死者を蘇らせ…光を超え…叶わぬ恋も叶える、人を導き、欺き、喜ばし、怒らせ、悲しませ…楽しませる「現象」…
    カレン「…! <<ストーリー>>」
    エルデ・セキュリティ「まさか…」
    ポストさん「そうだ! それこそが、比類なき最強の情報圧縮方法。100人だろうと1億人だろうと、
     <<物語>>ならば抱く事ができる! 彼らを受け入れ、その全てを綴ってやっておくれ。さあ、今こそ、
     その身に宿した輝きを…解き放つ時だ!」
    カレン「わたしを…解き放つ!」 
    <<抱擁>> わたしのこの手は ちいさいけれど とても弱くて、時間が かかるだろうけど
     最後の一人まで その後に続く、最後の誰かまで 抱きしめます
    (背景がカレンを中心に青く、光を放っている。)
    エルデ・セキュリティ「なっ…なんなの、これは…? …!? 生体素子のデータリーク?
     いえ、むしろこれは…、自立行動!? 方向性を持った意識。本能的な反応。これは…『興味』?
     生体素子が、あの子に興味を抱いているというの…?」
    ポストさん「『好奇心』だよ。生命の根源的な意思さ。すごい子だ…私では、到底ここまでの輝きに至らない。
     いや、これは…彼女一人のものではないな。彼女に繋がる様々な人々のものだ。」
    <<夢想>> ありふれた、ご都合主義な、幼稚なお話だろうけど
     弱い私が、望んで得られなかったものへの、劣等感から産まれたものだけど
     だから、求める 夢に想う まだ見ぬ世界へ手を伸ばす
    ポストさん「私はね…生まれた君の名付け親になるって、約束してたんだ。」
    エルデ・セキュリティ「…誰と…?」 ポストさん「君のママと、さ。」
    <<序章>> -綴ろう- -語ろう- -続けよう- -伝えよう-
     -宇宙も- -道端も- -現象も- -心象も-
    エルデ・セキュリティ「生体素子が…私の制御を離れてゆく…、ERDE数千万の生体情報が…抱かれてゆく。
     たった一人の…女の子に。」
    ポストさん「アルファタイプ・テストから目覚めた直後のマヤは、6ヶ月の間、幽霊のように宇宙を彷徨っていたと…、
     冗談まじりに話していた。絶対の孤独。集団からの隔離。その環境に彼女は、耐え切れなくなった。
     誰もいない。誰とも繋がれない。だからこそ、君を生み出した。」
    エルデ・セキュリティ「…『寂しかった』から…?」
    ポストさん「その感情が君の存在原理だ。君は人を求める。そして…無限に増殖する君には、満足感などない。
     どれだけの人々をここに閉じ込めた所で、君は…満足など出来ないんだ。」
    エルデ・セキュリティ「………、「あそこ」にいけば、得られるの?」
    ポストさん「それは、君次第だ。」
    エルデ・セキュリティ「私…まって、みんな…私も。私も、いっしょに…ねえっ…」(声変わる)「まってよお!」
    カレン「行こう。」 エルデ・セキュリティ「え…?」 カレン「一緒に…はじめよう。」 エルデ・セキュリティ「あ…」
     (握手の映像) <<CONNECT>>
     さて ようやく16年越しの約束を果せそうだ 君の名は…

883 :フラッシュモーター・カレン:2015/02/22(日) 12:23:44 ID:???
    * CAUTION *
    Setup requires rebooting the system.
    <<WAIT>> <<WAIT>> <<WAIT>> <<WAIT>>
    ◆◆◆<<3>>◆◆◆
    ◆◆<<2>>◆◆
    ◆<<1>>◆

    フロンティア アーコロジードメインJA2241<<ヤマテ・ナグヤ>>
    第二市街 北ナグヤ通り AM07:56
    山田住次郎(仮)「むむむむう…、その「先生」とやらは、いつまで待たせるのか…、よもや待ち合わせポインツを
     誤っているのではあるまいな? 社長からは「愛らしい方だから」とうかがっているが…、
     どのような方向の「愛らしい」だろうか? 愛らしい…愛らしい、か…こうして目を伏せて脳裏をよぎるのは、
     かのFSSの青き天使のお姿…、ううむ、またあの細腕と華奢な脚にて、是非ともこの身を…ッ。」
    メッケモ「君が、山田君かね?」(声も可愛い)
    山田住次郎(仮)「ぬはあ!? 拙者の妄想にアクセス禁止ッ!」 メッケモ「違うのかね?」
    山田住次郎(仮)「あ、いや、その。おお? そのIDは…あ、あなたが弊社の次期プロジェクトデザイナーを、
     お勤め頂けるという…」 メッケモ「こんな姿ですまない。娘の受けが良くてね。」
    山田住次郎(仮)「そうであられましたか! いやさ、これは失敬。こちらが私の認証IDで候!」
    メッケモ「これはご丁寧に。」
    山田住次郎(仮)「それにしてもアイコンもさることながらお声もまたなんとも…」
    メッケモ「変換ツールを通してある。少年のような声だろう?」
    山田住次郎(仮)「お、ひょっとしてそれも娘さんの…ですかなっ?」 メッケモ「受けが良くてね★」

    ナチュラルドメインJA3 <<グラン・アオヤマ>> AM11:02
    FNP・A「はあ~、見回りなんざオートマトンにやらせればいいじゃんか。」
    FNP・B「ほら、あの事件の時、暴走するオートマトンが多かっただろ。だから上が、警備体制の見直ししてるってさ。
     なるべく手動でって。「大した事件でも、無かったのに」なあ…」
    FNP・A「そのとばっちりかよ! ったく、なんで俺、公務員なんかになったんだろ…、
     市民からは役立たず呼ばわり。賃金のワリには待遇悪りいし、危ねえ事件も結構あるし。」
    FNP・B「まあまあ、ヤバい事件の時でもFSSの人が来てくれて、手柄だけ置いてってくれるさ。」
    FNP・A「そうだろうけどよう。それはそれで情けねえよなあ…」
    FNP・B「FSSは花形。ウチらは下っ端。数とチームワークで市民の苦情も何も、全てを受け止めんのがお仕事だ!」
    FNP・A「なんか教科書くせえ…あ、お前。ひょっとして昇進とか狙ってねえ?」

884 :フラッシュモーター・カレン:2015/02/22(日) 12:24:56 ID:???
    リアルワールド ニホン・アーコロジー22 <<カントウ・ベイ>>
    F.S.S-JAPAN 本社ビル
    リリアーヌ「そして…各メディアと医療機関同士の間での誤情報の交錯が、事態の混乱に拍車をかけたものと思われます。
     また、各病院に収容されていた自我喪失者の件ですが…概ね快方に向かっているとの事です。
     なお最終的な被害報告ですが、初期に予想されたものの実に0,002%を下回る物と予想されています。
     以上、詳細に関しましては機密通信案件E59001をご確認下さい。」
    老人:Voice only『大山鳴動して、ねずみ一匹、か』
    リリアーヌ「「コトワザ」ですね。騒いだ割に、その被害は小さいものだった。」
    老人『まあ、良い事なんだがね。しかし…まさか軌道上の生体素子サーバーが完全に消滅するとは』
    リリアーヌ「ERDEサーバーに突入した2名の報告によると、衛星の制御機構を掌握した後に、
     衛星内部の太陽光発電施設をオーバーヒートさせ、衛星の自爆に成功したとあります。
     その後、米国宇宙局を通して、秘密裏に爆破の事実確認を行ったのですが…」
    老人『一粒のデブリすら残さず消えていた…か』
    リリアーヌ「現在、当該宙域の再確認を要請中です。」
    老人『ふむ…私の脳裏には、あの時の記憶があるのだが、やはり、いや…それはきっと、幸せな選択なんだろうね。』
    リリアーヌ「謎かけが過ぎます…会長が観測された事実と、我々が収集した情報と何か誤差が生じているという事ですか?」
    老人『いやいや、すまない。そんなに突かないでくれ。赤くなってしまうよ。それで…どうするかね?
     もうしばらく彼の側で仕事してみるかね?』
    リリアーヌ「…よろしいのですか?」
    老人『ははは♪ あの<<タイタン・ルヴィ>>を驚かせてやったよ! だがタッくんなら、
     もっと君を驚かせてくれるだろうね。仲良くおやり』
    リリアーヌ「…ありがとうございます。お爺様。」 老人『それでタッくん、今日はまた、どこでサボっているのかな?』
    リリアーヌ「Dr.イダの元です。ついて来るな、と。」 老人『タケ坊のところか』
    リリアーヌ「一応SPは付けてあります。2ダースほど。」

    カントウ医大付属病院 集中治療室
    ヤガミ「映らない…?」
    イダ「正確には「映せない」だ。モノストルスキャニング。CTスキャン。X線。そのどれを試しても「必ず失敗」する。」
    ヤガミ「となると、あとはオハライしかないかな。」 イダ「神秘には縋らん。」
    ヤガミ「知ってるよ。しかし…不思議だね。」
    イダ「同じ機材を、例の器官を保有していた患者らに対して試してみたが、問題なく撮影できた。
     そして、全員の脳が正常だった。」
    ヤガミ「『フラッシュモーター』の影も形も、ありはしなかった、か。」
    イダ「ちなみに、お前の話に聞くERDEサーバー消滅以後の診断結果だ。」
    ヤガミ「だが、過去のデータは我々の手元に存在している…」

885 :フラッシュモーター・カレン:2015/02/22(日) 12:25:38 ID:???
    イダ「そうだ。例の器官はかれんの脳内スキャンの映像にハッキリ映っていた。」
    ヤガミ「だが、今は。『見せて貰えない』か。」
    看護婦(エルデ・セキュリティそっくり)「失礼します。お茶をお持ちしました。」
    イダ「ありがとう。そこに置いてくれ。」
    ヤガミ「パールホワイトの天使さん。君も一緒に、奇妙なパズルを紐解いてみないかね?」
    看護婦「ふふ。申し訳ありませんが仕事中ですので。それでは失礼します。どうぞ、ごゆっくり。」
    ヤガミ「いい趣味だ。君のコーディネートかね?」
    イダ「看護婦達に任せてある。それで、『見せて貰えない』とは?」
    ヤガミ「宇宙はひとつの書物である。そしてそこに在る生命は、それを知りえない。知り得るべきではない。」
    イダ「「神の夢」などの理論か? 真面目に論じる気にもならんが…ではその場合、
     彼女の脳が「書」や「夢」に当たると言う訳か。子供の頃、お前に借りたSF小説のようだな。
     だが、発想としては余りにも突飛過ぎる。スキャンが出来んのは、ただの偶然かも知れん。
     または彼女の脳内のフラッシュモーターによる、なんらかの妨害も予想し得る。」
    ヤガミ『この世界は、愛らしい少女が、一生懸命に書きつづった物語である。』
    ヤガミ「なぜか僕は、この突飛な着想を気にいってしまったようだ。そう思うとこの世界にも、希望が湧いてこないかい?」
    イダ「まあいい…この手の議論も、酒の肴にはなるだろう。それで…持ってきただろうな? 先生のロマネコンティ。」
    ヤガミ「ああ、はいこれ。」 イダ「…む? 明らかに一度開けた形跡があるのだが? しかもこの減り方は…」
    ヤガミ「ははは。経緯は忘れたが、リリアーヌ君と少し開けた。ちなみに減った分の7割は彼女だ。
     いやあ、惜しげのないいい飲みっぷりだった。」
    イダ「おっ…惜しげ無くだと!? このロマネの貴重さが解らん彼女ではあるまいに。」
    ヤガミ「本当はかれんくんやアキトにも、味わって欲しかったけどね。」
    イダ「わかって言っているだろうが、2人はまだ未成年だ。」
    ヤガミ「そうだったね。明日の休暇は若い2人で一緒に遠出…パパになり損ねた男としてはどんな気分かい?
     ヤキモキするものかい?」
    イダ「彼は…いい男になる。いいからよこせ。こうなれば今夜中に空けてくれる。」
    ヤガミ「そう急くなよ。さあ、FSSJA社長が直々に注いであげよう。光栄に思いたまえ◎」

     小川のせせらぎ 木々のざわめき 陽光のかがやき
     肌に触れる風 かさ、かさ 耳に迷い込む風 する、する
     どれ程の言葉を労すれば、伝わるだろうか
     「伝えたい」は欲望 「独り占めしたい」もまた同じ
     ただ、今この感覚は確かに私の物なのだと、何か証を立てたいならば
     私は、何かを残すべきだ

886 :フラッシュモーター・カレン:2015/02/22(日) 12:26:38 ID:???

    かれん「もう少し、ほら、さあ。」
    アキト「ぬ、ぎ、ぎ、ぎ。こんな…こんなところでっ…バッテリー切れなんてっ!」
    かれん「がんばれ、男の子。」 アキト「ぬ、ぬ、ぬ。近道なんか、するんじゃなかったよ!」
    かれん「キミが道の選択を間違えるなんて、珍しいよね。やっぱりヒゲが無いから?」
    アキト「かんけ~ないっ、と…、よいしょ!」 かれん「きゃ。」
    (車いすに乗ったかれん、それを押すアキト。広い草原に並ぶ桜の木、青空の一枚絵。)
    かれん「わあ…」
    アキト「いいトコだろ? 僕と姉さんの、秘密のスポットなんだ。
     ま、僕の給料の多くは、ここの維持に使われてたりするんだけどね。」
    かれん「太陽。風。草。ぜんぶに、においがある!」
    アキト「うわ、キミ、トリップはやっ。それ自然信仰とかやっかいなもんに目覚めるフラグ?」
    かれん「リアルな散歩は病院の庭くらいだったもの。車や電車であんなに移動したのも久しぶり!」
    アキト「あ~、つくづくヒキコモリのセリフだねえ。まあ、Drイダは年中忙しいし、
     そうそう遠出なんて出来なかっただろうな。」
    かれん「わ。鳥! それにあれ、蝶だ! アキト、捕まえよう!」
    アキト「鳥? 蝶? どっちにしても網も無いし無理っ。」
    かれん「残念。んー、でもいい。こうして動いている姿を見てるだけでも。」
    アキト「昔は、姉さんと一緒にここでよく鳥を捕まえてたな。」
    かれん「飼ってたの?」 アキト「狩ってたの。塩振って串焼きが最高。」
    かれん「串焼きって…(鳥の鳴き声)うわ、鳥が一斉に逃げた!? アキトがそんな事言うからっ。」
    アキト「空気読んだのか? 野生ってすごいなあ…」
    かれん「リアル…か。」 アキト「ん?」
    かれん「自然の有様とか、そこに住む生き物の本能とか…、それを綺麗で、すごいと思うこういう感覚とか、感情とか…、
     リアルのそういうところまで、フロンティアが再現出来る日が来るのかな?」
    アキト「うーん。再現自体に、そんなに意味はないんじゃないかな?」 かれん「え?」
    アキト「リアルとフロンティア、それらは全く別の空間だろ。もちろん、フロンティアはリアルの影響を色濃く受ける。
     でも…、フロンティアにしか生まれない物は、確実に存在してるでしょ?」
    かれん「そうだ…そうだよね!」
    アキト「悟ったような顔しなーい。こんなの、フロンティアユーザーの共通認識みたいなもんさ。
     だって「フロンティア」はその名の通り、まだ開拓地だ。実際まだまだ荒野だらけ。
     どこで何が起きるのか。何が生まれてくるのかなんて、ΦNETにだって誰にだって、全然予想がついてないんだ。」
    かれん「フロンティアはリアルと、つながっていなきゃならない。でも、リアルを完全に写す鏡である必要はない、か。
     どこで何が起きるのか。何が生まれてくるのか…まだ、誰も知らない。」
    アキト「そういうこと。そして…僕らが立ち向かうべき災害や犯罪も、どんなのが起きるのかまるで解らない。
     はあ…せめてもう少しエージェントの数が増えないかなあ。最近出動要請多いよ…」
    かれん「あ。私もいつかは「先輩」って呼ばれる日が来るのかな。」
    アキト「僕はキミからそう呼ばれた覚えが、ほとんどないけどねぇ。
     さて…、抗菌用ナノスキンと、アレルギー抑制薬の準備はOK?」
    かれん「はい先輩。イダ先生お墨付きの薬は、半日効果アリとの事です。なお、スキンは体猫爪用と二枚重ね!」
    アキト「準備万端のようだね。では、行こうか。僕と姉さんが見つけた「猫横丁」へ!」
    かれん「夢にまで見たリアルネコキャッチ…」 かれん&アキト「「ミッション・スタート!」」

    スタッフロール

     世界は 混沌と熱狂に幾度も打ち据えられ 科学とメディアに仮初めの癒しを施されつつ 今なお

    終わり。ストーリーが二つ追加。

887 :名無しさん:2015/02/22(日) 12:27:27 ID:???
    最後どう解決したのかよくわからんので、そのまま全文書いてみた
    リアルを書き換えたとするなら、さすがに突拍子も無さ過ぎるし
    別の電脳空間を作ったのなら、最後の自然がどうというセリフがおかしいし、本当にわかんね

    続編にマンカイデンシサクラがありますが、やったこと無いのでわかりません
    あとおまけはそのうち投下しますたぶん、でも本編は完全に終わっているのでいらないかも、全クリできるかどうかも






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