CartoonKittenPlanet
part68-348~357、363~374、376~379、382~387

348 :ゲーム好き名無しさん:2015/07/25(土) 14:35:25.58 ID:Db6Q+v+V0

344です。
予告通り、AbstainCompany(アビステインカンパニー)作のRPGツクール2000作品
「CartoonKittenPlanet」行きます。
ストーリーを思い出すために最初からプレイし直していますので不定期になるかもしれません。
なお、作中人物の台詞は読みやすさを重視して若干の修正が加わっていることをご了承下さい。

349 :CartoonKittenPlanet:2015/07/25(土) 14:38:59.67 ID:Db6Q+v+V0
【プロローグ】
舞台となるのは宇宙のどこかにあるという惑星「キトナ」。
キトナには猫から進化した人類「キトナの民(キトナ人)」が住み、彼らは魔法とテレパシーの力で自然と共存し、互いを思いやり、 穏やかながらも平和に暮らしていた。
(劇中でのキトナ人のセリフは全てテレパシー(=相手の心に直接語りかけてる)という設定のようです)
そんな彼らを「闇王」と呼ばれる邪悪の化身が襲い、キトナは滅亡の危機に陥ったが、 キトナ人たちは互いの力を合わせて戦い抜いてこれを打ち破り、キトナを守ることに成功した。
そして闇王の襲来から400年後、新たな侵略者がキトナに迫りつつあった…。

主な登場人物(登場順) 【キトナ人】
  • パレア(♀):主人公。
  • ディクス(♂):パレアの幼馴染。
  • ライダン(♂):パレアの幼馴染。
  • チッキ(♀):門前町アビシニアの町長。
  • ギルン(♂):イリオーモ村に住む青年。
  • ミルス(♂):イリオーモ村に住む青年。ギルンの親友。
  • ザナラ(♀):チッキの助手。
  • レピネ(♀):マヤコネの村に住む少女…ていうか幼女。
  • サミア(♀):フェリス・カテュス城の女王。
  • グンド(♂):フェリス・カテュス城の科学者。
  • シシラ(♀):フェリス・カテュス城の兵士長。

【地球人】
  • ヴィクトル(♂):地球軍最高司令官。キトナ征服を目論む侵略者。
  • セッター(♂):地球人のギタリスト。パレア達には協力的である。

350 :CartoonKittenPlanet:2015/07/25(土) 14:43:22.78 ID:Db6Q+v+V0
キトナの民の村の一つ、ミッケ。
パレアとディクスとライダンが草笛を吹いて遊んでいると、村のほうから聞いたこともないような変な音(=爆発音)が聞こえてきた。

パレア達が急いで村に駆けつけると、なんと村の家々が燃えていた。
そしてパレア達に一人の女性が助けを求めながら駆け寄ってきた。
火を放ったと思われる黒づくめの奴等は彼女を追っていたらしく、リーダーらしき人物が部下たちに
「奴を逃がすな、そして奴をかくまったこの村の連中を皆殺しにしろ」と命じる。
(ちなみにこの後リーダーは自らを「地球軍最高司令官ヴィクトル大佐」と名乗ります。なお奴等を初めて目にしたパレアの感想は「人みたいだけど猿のようにも見える」だとか)

パレア達は襲い掛かってきた奴等を返り討ちにして退散させると、村に逃げてきたという女性に話を聞く。
彼女は門前町「アビシニア」の町長で、名を「チッキ」といった。
話によればあのどう見てもキトナ人には見えない奴等が自分のもとを訪れ
「アビシニアを観光地化して大きく賑わしてみないか」と提案したのだという。
チッキは「私も含めてこの町の人々は今の暮らしに充分満足しています。
それ以上多くを求めるのは長い目で見れば自然のためにも人々のためにもよくありません」と拒否するが
奴等は「どうなっても知りませんよ」と言わんばかりの捨て台詞を残して去ったという。
危険を察した彼女はそれを人々に伝えに行く途中で奴等に見つかり、やむなくミッケに逃げ延びたものの
今度は奴等は村ごと彼女を焼き討ちにしようという暴挙に出たのだという。

そこまで話を聞いたディクスは一考したのち「フェリス・カテュス城」に行くことを提案する。
全てのキトナの民たちの支えあいの中心点にして、かつての闇王との戦いでの最後の砦だった城。
そこを中心にキトナ全土に訴えかけようというのだ。

パレア達は治療師(その名の通り、傷を癒す魔法に長けた能力者。町や村に必ず一人います)に戦いでの傷を癒してもらうと
村の北にある「シャムル街道」を抜け、その東にある港町「シャムル」から船に乗ることにした。

351 :CartoonKittenPlanet:2015/07/25(土) 14:50:19.46 ID:Db6Q+v+V0
シャムル街道。(なおこの街道には神殿へと続く道もあるのですが、今はまだ用がありません)
パレア達が歩を進めていくと、ギターを弾く一人の男性の姿があった。
その姿はどう見てもキトナの民ではなくむしろさっき村を襲った連中に近かったが
敵意の類は感じられず、パレア達に「奴等の正体を知りたいか」と尋ねてきた。

「セッター」と名乗る彼曰く、奴等はこのキトナとは違う世界(=違う星)で生まれ、猿から進化した「地球人」という人類で
己の欲と野心を充足させることを至上とし、そのために知恵を付けた悪しき種族だという。
そして地球人たちは惑星キトナの征服を企んでおり、そのためにキトナの民を害することなど一切いとわない連中だと。
だから奴等を止めるためにはその命を絶つしかないのだと。
信じられない、という様子のパレア達にセッターは「今は心に留め置くだけでいい、いずれ分かる時が来る」と忠告するのだった。

うろつく地球軍の偵察用?メカ共を撃破しつつ、やがてシャムルに到着した一行は旅支度を整えたのちに港へ向かい、船へと乗り込む。

(治療師同様、町や村には必ず「精製士」という人がいます。エネルギーを実体化した物質「聖石」からアイテムを作り出したり、逆にアイテムを聖石に変換することができます。身も蓋も無い言い方をすると「道具屋さん」)

パレア達が甲板から海を眺めていると、全身喪服のような黒い服に身を包んだ女性が佇んでいた。
彼女はこちらに気付く様子もなく、ただ虚ろな悲しげな目で遠くを見ていた。
すると操舵手が遠眼鏡を貸してくれたのでディクスが女性の眺めている方を見てみると…遠くの陸地から煙が上がっていた。

煙の主は地球人だった。彼らはキトナの民にとっての禁断の地に足を踏み入れ、資源を採掘していたのだ。
さらに煙のあるほうからパレア達の船に近づいてくる鉄の船。そこにはヴィクトルの姿があった。
ヴィクトルは甲板に出るとメガホンを手にパレア達に
「これは我らの生活を豊かにするために必要な行為なのだ。これを認めるなら君らにもこの豊かさを享受させてやろう」と黙認を迫った。
するとヴィクトルの耳、いや頭の中に直接パレアの声が響いてきた。
「何もかもが人のためにあるなんて思わないで。自然によって生かされている存在である私たちがその感謝を忘れてはいけないわ」と。
だがヴィクトルはこれを聞き入れず、パレア達の船に攻撃を仕掛けてきた。
パレア達はやむなく応戦しヴィクトルたちの船を撃沈するが、パレア達の船も砲撃を受けてしまい、すでに沈没は避けられない状態であった。

…彼女たちに出来る事、それはただ神に祈る事のみであった。

352 :CartoonKittenPlanet:2015/07/25(土) 15:02:02.26 ID:Db6Q+v+V0
…パレアが目を覚ますと、彼女は見知らぬ家のベッドに寝かされていた。

目を覚ましたパレアに家の主は自らを「ギルン」と名乗り、ここが「イリオーモの村」であることと、浜辺で倒れている彼女を自分が助けたと告げる。
パレアがこれまでのいきさつをギルンに話すと、ギルンは
「流れ着いたのはパレアだけだった」「地球人はイリオーモの近くにも現れ、『工場』を建ててそこから煙や汚れた水を流し続けている」という事をパレアに話した。

するとそこにギルンの親友「ミルス」が現れ「工場を止める方法がわかった」と告げた。
そのためには工場の奥にある「メインコンピュータ」を破壊すればいいというのだ。
さっそく工場に向かおうとするギルンとミルスに「助けて貰ったせめてものお礼に」とパレアも同行することにした。

工場内に侵入した一行。兵士たちを撃退し、コンピュータルームを護衛するメカを撃退すると背後から「なかなかやりますね」という女性の声が。
振り返るとそこにはパレアが船で出会ったあの黒づくめの女性の姿が。
彼女はパレアをじっと見ながら「あなたなら地球の闇に潜む真の暗黒をも照らし出せるかもしれない」と告げる。

そして彼女は自らを「ルーミ」と名乗り、姿を消した。
彼女はいったい何者なのか…パレアはその名を胸に刻むと、コンピュータルームに足を踏み入れた。

353 :CartoonKittenPlanet:2015/07/25(土) 15:05:00.28 ID:Db6Q+v+V0
…一方その頃。ライダンとディクスとチッキは同じ場所に流れ着いていた。
互いに無事を確認し、パレアを探すため海岸を後にする3人。

一行が南に歩いていくと「ペルシーの村」へとたどりついた。だがなんだか様子がおかしい。
村人が言うには地球人たちが彼らの狩場への道を柵で塞ぎ、勝手に自分たちのものにした上に「ここにあるものが欲しければカネを出せ」と言うのだという。

ペルシーの南に地球人の建物を見つけた一行がさっそく踏み込むと、そこにはあのヴィクトルがいた。(どうでもいいけど、何気に現場主義だなこのおっさん)
「狩場を返してほしければカネを出せ、ないならここで働いて払え」と言うヴィクトル。そして到底納得できないという様子のライダン達に戦闘メカを差し向ける。
ライダン達がこれを撃退するとヴィクトルは部下たち共々早々に退却し、狩場は解放された。

柵のあった小道を抜け、さらに東に向かうと門前町アビシニアへとたどり着いた。
チッキの助手「ザナラ」が出迎えてくれたが、どうも町の様子がひっそりとしている。ザナラが言うには皆地球人たちに捕えられてしまったというのだ。
そして町の南にある「警察基地」につながれているというのだ。
助けに行こうにも警備が厳重過ぎたため、チッキが戻るのを待っていたというザナラにライダンとディクスも協力を買って出ることにした。

警察基地に潜入した一行は警備の兵士たちをいなしつつ奥へと進み、村人たちが繋がれている房へとたどり着いた。
警察署長のけしかけた戦闘メカを撃破するものの、署長はすでに援軍を呼んだという。包囲されるかと思ったその時
署内で爆発が起こった。何者かが仕掛けた爆発物により援軍たちはパニックに陥り、全く戦力にならなかった。
逃げようとする署長を叩きのめしたのは…セッターだった。彼が回収したカギにより房が開けられ、村人たちは無事解放された。

354 :CartoonKittenPlanet:2015/07/25(土) 15:15:20.55 ID:Db6Q+v+V0
…一方パレア達は「マヤコネの村」を訪れていた。
だがこの村の住人達は地球人たちによって連れ去られ、工場で無理矢理働かされているらしい。
難を逃れた少女「レピネ」に協力し(なお治療師と精製士も無事のようです)、パレア達は村人の救出に向かう。

工場に捕えられた人々を解放し脱出しようとするパレア達だったが、またしてもその前にあのヴィクトルが立ちはだかる。
曰く「穀潰しどもに『労働力』という価値を見出してやったまで」だという。(相変わらずどこまでも上から目線なおっさんである)
そしてヴィクトルは「ABC(=人工的駆逐生物、いわゆる生体兵器)」をパレア達にけしかけた。
「我々人類は生命すらも自在に操ることが出来るのだ。そいつのようにただ戦うためだけの生き物を作ることさえ可能なのだ。
 お前らのような退廃的な連中にはそいつの相手が相応しい」と早々に去って行った。

ABCを撃破し村人たちの解放に成功すると、レピネが「助けて貰ったお礼」にとパレア達に同行したいと言い、パレアもこれを快諾する。

そして紆余曲折を経てフェリス・カテュス城に到着したパレア達。すでにライダン達も到着していた。
彼らは久々の再会を喜んだのち女王「サミア」に会い、これまでのいきさつを全て伝えた。
城の科学者たちの調査により女王たちもキトナの異変に気付いていたらしく、パレア達の活躍を見込んである任務を申し付けた。

「城の北・ヴァステット山にある地球軍の前線基地に向かい、地球人の船を貰い受け、その船で地球に向かい、地球の王に直談判してほしい」と。
城の兵士長「シシラ」も同行を命じられ、一行は女王からのメッセージを携えて基地へと向かうことにした。

(ここからパーティを編成できるようになります。ただしパレアは固定です)

355 :CartoonKittenPlanet:2015/07/25(土) 15:28:00.47 ID:Db6Q+v+V0
基地に入ると、そこにはセッターの姿があった。
彼曰く「お前達ならきっとここに来ると思ってた、ぜひともヴィクトルを倒してくれ。俺にはもうそんな力はないからな」

迷路のような基地内を進んでいき、司令室に入ると既にヴィクトルが待ち受けていた。
一行を忌々しく思っている彼にパレアは「私はあなたと戦うつもりはない」と告げ、そして女王のメッセージを記録した水晶玉を高く掲げた。

「世界とは環のようなものである。自然の恵みとはその環の中を巡る流れのようなものだ。
 多くを求めるあまりにその流れをせき止める事があってはならない。流れるままに受け止めるのが在るべき姿なのだ。」

ところがヴィクトルはこれを聞くと「やめろ!」と激昂。
水晶玉を銃で撃ち壊し「我々の進歩と発展に難癖をつける気か」と激怒した。
「貴様らは100年前にアメリカを陥れたテロリスト共と同じだ。神の軛をも逃れ自由を得た我等が獣如きに阻まれてたまるか!
 こうなれば私自らが貴様らを皆殺しにしてその骸をニューヨークの摩天楼にさらしてくれる!!」

しかしパレア達キトナの民には及ばず、ついに膝をついたヴィクトル。
敵わぬと見た彼は地球から援軍を呼ぶべく撤退しようとするが、ドアを出た次の瞬間

「ぐわっ!?!?」
何かを刺し貫くような鈍い音とヴィクトルのうめき声が響いた。
「な…なぜ貴様が…私に…牙…を…剥…く…ぐふっ!!」
ヴィクトルは数歩後ずさるとそのまま倒れ、血の海の中で事切れた。

そしてドアの向こうからゆっくりと現れたのは、血に染まった刀を握ったルーミの姿だった。
戸惑うパレア達にルーミは
「煙でできた闇は、ただの闇と違って、どんなに強い光でも照らすことはできません。剣圧によって、煙を消し去らねばならぬのです…」
と語った。

「あなたたちが探す宇宙船『スタードラゴン』はこの先にあります。さあ、行ってください」
と告げ、ルーミは何処へともなく去っていった。
一体ルーミは何者なのだろうか。ヴィクトルは彼女の事を知っているような口ぶりだったが…

パレア達が先に進むと、確かにそこに地球人たちの船があった。
…しかし彼女たちに動かし方が分かるはずがなく、とりあえず一行は報告のため城に戻ることにした。

356 :CartoonKittenPlanet:2015/07/25(土) 15:36:38.90 ID:Db6Q+v+V0
…それから一週間後。
城の科学者たちの調査により、宇宙船自体に故障などはなさそうだが肝心のエネルギー(燃料?)がないという重大な問題が発覚した。

そのときディクスが古い言い伝えを思い出した。
キトナに危機が訪れし時に人々の前に姿を現すという「キトナ四柱神」、 すなわち「火神アペ」「水神ワッカ」「風神レラ」「地神モシル」の力を借りようというのだ。
パレア達はさっそく四つの神殿を巡ることにした。
【次回に続く】


とりあえず本日はここまでです。
この先パレア達は神々の試練を経ていよいよ地球へ向かうのですが、意外な展開が待っています…

357 :CartoonKittenPlanet:2015/07/25(土) 16:27:58.85 ID:Db6Q+v+V0
※ふと気付きましたが、キトナの神々の名前はアイヌ語が由来のようです

363 :CartoonKittenPlanet:2015/08/09(日) 10:02:18.23 ID:mPehhAfq0

356の続きです。

パレア達は神々に会うべく、各地の神殿を巡ることにした。
まずはイリオーモの南東にある火の神殿。 その扉に触れんとするといずこからともなく声がした。
「今こそ我等四柱神が力を貸すとき…人の子よ、我がもとまで来るがよい…」
精霊たちの攻撃をいなしつつ神殿の奥までたどり着いたパレア達の前に、ついに火神アペが姿を現した。
アペはキトナに迫る危機を既に知っていた。おそらく、他の神々も。
しかし「我等の力を扱うのは並大抵の強さではできぬ」と、その力を見定めるべくアペはパレア達に戦いを挑んできた。
激しい戦いの末にパレア達はアペに打ち勝ち、彼らの力を認めたアペは自身の力を秘めた「炎神のバッヂ」を託し、姿を消した。

アビシニアにある風の神殿。その奥で風神レラと対面したパレア達は、力を示すためにここでも戦う事となる。
「我が風に打ち勝てぬようでは、この力を扱うことはできぬ!」
そして見事力を示したパレア達にレラは
「見事!だがその力に溺れればお前たちの憎む地球の者共と同等の悪なる者に堕することも覚えておくがよい」と釘を刺した上で
自身の力を秘めた「風神の首飾り」を託した。

フェリス・カテュス城の南にある水の神殿。そこに祀られる水神ワッカも事態を把握していた。
「しかしこの強い力、そう簡単に貸せるものではありません。それだけの資格があるという事を、私と戦うことで示してください」
見事勝利したパレア達にワッカは「これほどの方々なら、私の力も使いこなせるでしょう」と「水神の指輪」を託した。

地神モシルの祀られる「地の神殿」のあるシャムル街道へは、シャムル行きの船が使えないので
チッキがミッケの村まで逃げるのに使ったという抜け道を通ることにした。
「キトナの民の外なる敵にも内なる敵(=欲)にも屈せぬ強さ、心だけでなく肉体にも宿っているということを見せてみよ」
そしてパレア達の強さを知ったモシルは彼女たちに「地神のベルト」を託し、再び姿を消した。

かくして四柱神の力を得たパレア達はフェリス・カテュス城へと戻った。 城の科学者「グンド」からも「この力があれば今すぐにでも宇宙船を動かせるだろう」との報告があったが
女王は「人の手に余るほどの大きな力故にそう何度も使えるものではないでしょう、 一度地球に向かったら事が済むまで後戻りはできないと考えるべきです」とパレア達に心の準備を促した。

パレア達はしっかり準備を整え、そして遂に地球に向けて旅立つことにした。 侵略をやめるよう、地球の王に直談判するために…。

364 :CartoonKittenPlanet:2015/08/09(日) 10:09:32.06 ID:mPehhAfq0
宇宙。
パレア達は空の上から見る惑星キトナ、そして輝く星々の美しさに心奪われていた。
そして一行がしばしの星空の旅を楽しんでいると、ついに地球の姿が見えてきた。
…だがそれは水と緑の美しいキトナとは対照的に、毒々しく濁りきった海と赤茶けた大地が広がる とても生き物が住んでいるとは思えない無残な姿だった。
地球に降り立った一行は宇宙船に積んであった地球の兵士の服(顔も含めて全身が隠れる便利な代物)に着替え、
とりあえず近くの町らしき場所を調べることにした。

どうやらパレア達が着いたのは新宿のメインストリートのようだ。
だが人影はまばらで活気が感じられず、その誰もが陰鬱な表情を浮かべていた。
腹を空かせた兵士、殺気立った兵士、性的暴行を受けたと思しき女性、殺人願望むき出しの男性、
飲み水を独り占めする女性、人間の死体を貪り食う男性(!)…。

そんな通りをパレア達が少し歩いていると、遠く─新宿アルタビル前─に人だかりがあった。
一行が「何が始まるのだろう」と近づいてみると、どうやら地球政府最高責任者「バルス大統領」の演説が始まるらしい。
そしてオーロラビジョンに一人の男性の姿が映し出された。
「(あれが地球の王様…)」パレア達は大統領の言葉に耳を傾けた。

365 :CartoonKittenPlanet:2015/08/09(日) 10:10:41.67 ID:mPehhAfq0
大統領はまず最初に「落胆と焦燥をもって迎えられるであろう報せ」として、あのヴィクトルの訃報を告げた。
大統領はこれを「惑星キトナに巣食う邪悪な敵「キトナ人」による凶行」としてキトナの民をテロリストと断定、
彼らの掃滅失くして人類の未来に希望は無いと論じた。
「(な、なんてことを…この人無茶苦茶言ってるわ!こんな人が王様の場所にいるの…!?)」大統領の言葉に言い分に困惑するパレア。
さらに続けて大統領は「キトナ人の中でも最も恐るべき妖魔」としてパレアの名を挙げ、彼女をヴィクトル殺害犯として糾弾した。
そして「いずれパレアは地球に攻め込んでくる。奴を地獄に落とさねば人類全てが皆殺しの憂き目にあう」として彼女の首に賞金を懸けると宣言した。
「地球に平和を!人類に未来を!!キトナに文明を!!!猫の化け物に死を!!!!」
「おーっ!!」大統領の叫びに人々は一斉に掛け声で応じた。
「やめて!!」 その余りにも異様な光景に、ついにパレアが堪えきれずに叫んだ。
一斉に静まり返り、彼女のほうを凝視する群衆。
「いくら地球のためだからって、キトナの人々にも命があるのよ!共に生きようって思わないの!?」
みるみるうちに人々の表情が殺気立っていき、ついにパレア達を捕えようと兵士たちが出動した。
返り討ちにするものの次々と追手が現れ、これではきりがない。
とそのとき、 「左へ…」パレアの脳裏に声が響いた。「左のマンホール…穴の中へ…」

声に従いマンホールを見つけた一行は下水道へと逃げ込み、何とか追っ手を撒くことに成功した。
「でもあの声は一体?」しばし歩くと、パレア達の耳にギターの音色…聞き覚えのある曲が聞こえてきた。
「セッター!」 しかしキトナにいたはずの彼が一体いつの間についてきたのか、
それよりなにより何故パレア達を助けてくれるのか…
パレアは彼に問うが、セッターはそれには答えず、黙ってパレアに一枚の地図を手渡した。
その地図は中東・アフガンの荒野の真ん中を指していた。

「この星や俺達の事を知りたければその地図に書かれている場所に来い。
そこにある廃ドームに全ての真実が眠っている。
すぐに来いとは言わない、だが必ず来い。
お前達が地球と戦うために知っておかなければならない事実がある」

そしてパレア達はセッターに導かれて下水道の外に脱出し、宇宙船に戻った。
セッターの言葉に戸惑いを感じていたパレア達だったが、意を決し宇宙船でアフガンの廃ドームへと向かった。

366 :CartoonKittenPlanet:2015/08/09(日) 10:13:55.03 ID:mPehhAfq0
…そしてドームの中。 パレアは薄暗い建物の奥から、何か─ピアノの音色─が聞こえてくるのに気付いた。
それはセッターが弾いていたのと同じ、物悲しい曲だった。
パレアがピアノを弾いている女性に歩み寄ると、それに気付いた彼女は
「あなたがセッターの言っていた、パレアというキトナ人の少女なのですね」と尋ねた。
彼女は「ジャンガリアン」と名乗った。かつてこの地で医師を務めていたという。
そしてパレアの「どうして私を知っているの?」という問いに 「セッターが教えてくれたのです。彼は私と共にこの星の過ちを正そうとした盟友ですから…」と答えた。
ジャンガリアンは席を立ち、「この星の真実について教えましょう」とパレアを地下の書庫へと案内し、そこで語り始めた。
以下、その内容。

367 :CartoonKittenPlanet:2015/08/09(日) 10:22:16.79 ID:mPehhAfq0
この星、地球で生まれた知的生命体「地球人」は、欲望を主軸とした存在として誕生し、
その社会では少数の力ある者が全てを支配し、それ以外の者たちはことごとく、ただ支配者のために働くだけの存在として定義された。
時には支配される者のうちの誰かが支配する者を葬り、その支配を砕くこともあったが、
それはただ支配する者が変わったのみで、支配する仕組みそのものが改められることはなかった。
強者が弱者を支配するというその仕組みにあっては支配される者が不幸であることはもとより、
支配する側も常に己をそれに相応しい姿に保とうとし、かつ支配する者同士で相争わねばならぬという不幸を背負わねばならなかった。
しかし支配を奪う力のない者はその欲望を発現させうることがなく、それ故に世界にまき散らされた不幸の総量は今よりははるかに少なかった。

しかし今から400年前、欲望と悲劇を拡大させるきっかけとなる出来事が起こってしまう。
それが「産業革命」。
機械という大いなる力の誕生とともに、これまでの「人は生まれによって貴賤が定められる」という慣習は払底され、新たな社会「資本主義」が誕生する。
「資本主義」…表向きは華やかで平和、人々が支えあっているようでも、その実誰もが誰もを敵として、時に利用し、時に陥れ、その戦いの勝者が支配者となる社会。
そして、勝者になるチャンスが構成員全員にあるという、万人の欲望を発現させ、肥大化させる最悪の社会。
資本主義社会の勝者になる条件。それはより多くの人を踏み台にすると同時に、より多くのものを自然から奪い、人間のみが都合よく利用できるようにすること。
それがより進むことは「進歩」または「発展」といった美名で語られ、尊ばれた。

368 :CartoonKittenPlanet:2015/08/09(日) 10:22:59.14 ID:mPehhAfq0
とはいえ、人間の全てがそういった資本主義社会に賛成していたわけではなかった。
行き過ぎたそれが自然を、そして人をも滅ぼすという事に気付き、そうした人たちが資本主義の対案として生み出したのが「共産主義」だった。
自然から採る量は必要最低限に抑えられ、働けるものは働けぬ者のために働き、出来上がった物は全ての人に等しく分け与えられる社会。
しかし、「必要最低限の量」は政を行う者が欲望をもって望む量になり、そのために過去の階級支配が甦ってしまい、
さらに、働けぬ者にも等しく分け与えられる仕組みのために誰も働かなくなり、そのために必要最低限な衣食さえ確保できなくなり、人々は生きていけなくなった。
こうして共産主義は立ち行かなくなり、資本主義に呑まれていった。

共産主義だけではなく、それまでにも何度も人々は欲望の危険性を知りそれを抑えるために様々なものを発明した。
国家…宗教…裁判…民主政治…三権分立…人権思想…学校教育…科学…報道…
しかしどれもこれも全て欲望のために利用され、あまつさえ新たな欲望を喚起するものにしかならなかった。

そして今からおよそ100年ほど前。遂に人間が破滅へと向かうトリガーが引かれた。

369 :CartoonKittenPlanet:2015/08/09(日) 10:28:31.22 ID:mPehhAfq0
それが「同時多発テロ事件」だった。
資本主義を最も邁進する国・アメリカは資本主義を「人が自由と可能性を持って生きられる社会」と定義し、
それを世界全土に定着させる=アメリカ流の欲望美化主義で全世界を染めるという考え方を「グローバリズム」と称して強権的に推し進めていた。
それに抵抗する人々がアメリカの資本主義の象徴といえる建物「世界貿易センタービル」と
軍事の最高機関「ペンタゴン」に空を飛ぶ乗り物である機械「飛行機」で突撃し、建物を粉々に破壊したという事件。
(反米イスラム原理主義のテロリストが「自然を愛し地球の未来を考える平和主義者」扱いとはこれもうわかんねえな
この世界では違うのかも知れないけど、いずれにせよやってる事は人殺しだし…)

アメリカはこの行為を「正義を滅ぼす悪魔の行為」であるとし、
そしてアメリカを始めとする資本主義国の大多数の人々は、資本主義に賛同しない人たちを「異端者」「エゴイスト」として迫害・処刑、果ては大量虐殺の対象とするようになった。
もはや誰よりも強い国となっているアメリカの果てしない侵略行為を止められる者はおらず、そして遂にアメリカは全世界を支配するようになった。
(中国やロシアは?もしかして共産主義もろとも雲散霧消したのか?)

そして反対者というタガさえも外れた人間たちが欲望のままに物の豊かさを求めていった結果
資源は枯渇し生態系も取り返しのつかないレベルにまで破壊され、
結果人々は生きるために必要な食べ物さえ得られなくなり、全世界で餓死者が続出&カニバリズムが横行。
人口は激減し、そのまま地球人は全滅するかと思われた。

しかしそんなある日、地球人は惑星キトナを発見してしまう。
その豊かな自然から出る資源を採り、地球を甦らせるという計画の下、地球軍はキトナへの侵略をスタートした。
…と、ここまでがジャンガリアンの話であった。

370 :CartoonKittenPlanet:2015/08/09(日) 10:31:36.17 ID:mPehhAfq0
「…そんな…信じられない…間違いに気づき、軌道修正するチャンスはいつでもあったはずなのに…
どうして、どうしてこんなになっちゃってもまだわからないの…」

愕然とするパレアにジャンガリアンが答えた。
「確かに軌道修正が地球人の間で試みられたことも何度かありました。
しかしそれはいつも発展の、成長のさせ方にミスがあったからやり方を変えようというものでしかありませんでした。
発展そのものが間違いであることは、あなた方には容易に理解出来うるでしょう。
しかし地球人は欲望で生きる者。常に発展を求めなければ生きられないサガを携えてこの世に生まれてきてしまった者なのです。
私も昔は人が欲を捨てられることを期待し、そのための活動をしていました。
医者であった私は醜い欲望の争い…戦争の犠牲になった人々の病苦を治し彼等の声を聴くことで、
そしてミュージシャンであったセッターは犠牲者たちの声を歌に変えて世界に伝えていくことで人の過ちを改めようとしました。
しかし欲に塗れた人間たちはそんな私たちを、国に従わない『エゴイスト』と断定しました。」

371 :CartoonKittenPlanet:2015/08/09(日) 10:34:09.12 ID:mPehhAfq0
「エゴイストって…それじゃ、国が絶対的に正しいみたいじゃない!!」

「そのとおり。国とて間違いを犯します。それを正す者が存在することは、どの人にとっても必要なことのはず。
しかし欲望に支配された人間は、諫言と中傷を区別しません。自分を無条件全肯定しない者が敵にしか見えないのです。
さらに、『愛すること、大事に思うこと、協力し合うこと』と『服従し、同じ色に染まり、反論しないこと』を混同するのです。
私たちはそれにも抗して訴え続けましたが、このアフガンの地…アメリカの凶刃の最初の標的であるこの地に追い詰められました。
そして私たちの拠点であったこのドームに閉じ込められる形となり、仲間たちは次々餓死していきました。
そして、最後には私とセッターも…」

「えっ!?じ、じゃあ、あなたは…」
「はい。私とセッターは亡霊です。キトナから渡ってきた魔力により、魂をとどめているのです。
…というのも、そこまでして、あなたがたキトナ人にお願いしたいことがあるからです。」

「お願い…?」

「地球を…滅ぼして下さい。」

372 :CartoonKittenPlanet:2015/08/09(日) 10:58:56.35 ID:mPehhAfq0
「!?!?!?」
予想外の言葉にどう反応していいか分からないパレア。

ジャンガリアン曰く、もはや地球が甦る望みなど無く、放っておいてもほどなく滅びはやってくるという。
しかし、それが来るのはキトナの資源が奪い尽くされた…すなわちキトナが滅んだ後なのだという。
それを防ぐにはキトナの民の「魔法」の力にて先んじて地球を滅ぼす必要がある、と。

具体的には、
地球の6つの政治区域…北アメリカ、ラテンアメリカ、アジア、ヨーロッパ、アフリカ、オセアニアにそれぞれいる6人の支配者を全滅させる必要があるという。
ただし北米の大統領府は厳重にロックされており、その鍵となっているのが他の5人のDNAであるため
先に彼等を倒して体の一部を回収する必要があるという。
(しかし、トップを倒して結局それで何故地球が滅ぶのか具体的な言及がないのが気になる…権力争いで自滅させるという事か?)

…かくして、キトナを守りキトナの民が生きていくために地球を滅ぼすという過酷な決断を迫られたパレア達一行は、ひとまず宇宙船に戻ることにした。
【続く】

373 :CartoonKittenPlanet:2015/08/09(日) 11:01:09.68 ID:mPehhAfq0
※>>370-371は要約する自信が無かったので作中の会話をほぼそのまま載せてあることをご了承下さい。

376 :CartoonKittenPlanet:2015/08/14(金) 04:04:40.91 ID:V0jUjM9g0

372の続きです。

一行はまず、パリ・ヨーロッパ議場へと足を運んだ。
護衛の兵士や生体兵器を蹴散らしながら進み、ハイデッガー首相の待つ執務室へと足を踏み入れた。
「我等地球人はこれほどまでに不幸なのに、貴様らだけ幸福な生活をしおって…」と筋違いな恨み言を吐くハイデッガー。
それに対してパレアが答える。
「地球人を不幸にしたのは地球人自身よ。生きるために必要でない者まで欲しがって、そのために騙しあったり奪い合ったりして… 誰かに責任を押し付けるのは簡単だけど、それでは何も良くならないわ!」
しかしハイデッガーは「貴様らは幸福(=キトナの資源)を独占したいだけなのだろう!そのような者は罰してやる!」と生体兵器「バイソマン」を呼び出した。
「貴様らが幸福で我らが不幸であること、それが許せんのだ!行け、バイソマン!」

戦いの末、バイソマンを打ち破るパレア達。
ハイデッガーは「たかが猫ごときに負けるとは何事だ、この役立たず!」とバイソマンを罵倒する。
するとバイソマンは振り返ってハイデッガーを睨み付け、そのまま猛スピードで突進をかました。
ハイデッガーは即死し、バイソマン自身も勢い余って壁に激突し、そのまま動かなくなった。首の骨を折ってしまったようだ…。
…パレア達はハイデッガーの親指を切り落とし、一つ目の鍵を得た。

377 :CartoonKittenPlanet:2015/08/14(金) 09:00:20.07 ID:V0jUjM9g0
すみません、寝落ちしてました。まだ続きます。

東京・アジア議場。
奥の畳張りの執務室に、本宮総理の姿はあった。
「我等の伝統を…長い時間をかけて培われた美しき文化を拒むというのか…壊すというのか…認めぬ!断じて認めぬぞ!」
そう訴える本宮に、パレアが答える。
「あなたの言うことは間違っていない。でもあなたがそれを言うことは間違っているわ!
あなたの言う伝統って何?弱いものを虐めること?自分に合わないものを排除すること?伝統だから、文化だからといってすべてが良いわけじゃないわ。
第一あなたは私達があなた達の『文化を壊す』というけど、あなた達だって私たちの『文化を壊し』ているじゃない!
同じ事なのに自分がやるのはよくて自分がされるのは許せないなんて虫が良すぎるわ!」
すると本宮は「言わせておけば…その減らず口を二度と叩けぬようにしてくれる!」と激怒、
機械の鎧「武神アーマー」に身を包み戦いを挑んできた。
しかし彼らの「伝統」である機械の力もキトナの民の魔法の力には及ばず、哀れ本宮はアーマーもろとも爆散してしまった。
パレア達は飛び散った残骸の中から本宮の中指=第二の鍵を拾い上げた。

ケープタウン・アフリカ議場。
「人間より下位に在る身の分際で、どの面下げて来た」と不遜な態度のサウザー総統。
「命に序列はありません。私達キトナ人は動物を食べる、しかし動物もまた人を食べる。その関係によって私たちの世界は成り立っているのよ。
一方が滅びれば他方も生きられない。それでどうして順位が付けられるっていうの?」と言うパレアを睥睨しながら
「バカめが、何のために『進化』というものがあるのか知らないのか。 それは誰よりも強い力を得るため!他の何よりも偉い、特別な存在…万物の霊長となるため!」と語った。
「そうして我等人間は進化してきて今や万物の霊長となり、そして今人は人をも超えた!見よ!!」サウザーは機械の体─サイボーグ─だった。
「全身機械の私には老いも死も無い!この力を証明するために、人間として貴様ら畜生共を狩る!」
しかしその力をもってしてもパレア達は屈することはなかった。
「あなた…血を流していないわね。生命の暖かみの無いそんな体になってまで力が欲しいの?生きたいの?」
「当然だ…私はいつまでも生きるのだ…この体を修理し、いつか貴様らに復讐…」
すると突然サウザーの全身から火花が上がり始めた。「な!?機械が言うことをきかぬ!?」…そして次の瞬間 「ぐあーーーーーーーーっ!!」
大爆発と共にサウザーの体は砕け散った。
「バカはあなたよ…力を持っても、それはあなただけのためには働かない。大きすぎる力は、自分自身を殺めるものになるのよ…」
パレアはサウザーの残骸からわずかに残されていた生身の部分、人差し指を拾った。 これで残る鍵は二つ。

378 :CartoonKittenPlanet:2015/08/14(金) 09:07:52.33 ID:V0jUjM9g0
シドニー・オセアニア議場。
ライゼル元帥はパレア達に「よくここまで来れたもんだな、臆病な猫ちゃん達」と侮蔑の言葉を投げた。
パレアが冷静に「私達はあなた方に戦いをやめてほしくてここに来たのです」と語ると(どうやらパレアはまだ地球人にはやり直す術があると考えているようです。なお)
ライゼルは「流石は腑抜け、よくそんな冗談が言えたな」とそれを一笑に付した。
そして「競争はこの世を生きる者に与えられた定めなのだ! 戦う力や意志のない者は淘汰され、強き者だけが残り、高みへと登り詰める!それがこの世のあるべき姿だ!!
事実、弱小民族共は全て最も強き我ら白人に屈した! 優しさだの助け合いだのと言った軟弱な感情に流されたダメ人間どもは、滅ぶか支配の対象でしかない!
お前等キトナも同じ運命をたどるのだ!」とまくし立てた。
しかしパレアは冷静にこう答えた。
「…あなたは、力はいつまでも失われないと思っているのね?力はいつか消えるもの。それで保たれる秩序はまやかし。
力だけで全てが収まったとしても、その力がなくなってしまえばすべてが無になるわ。
だからこそ優しさを大切にしてその優しさで全ての人を包み、世界の平和を保っていかなくてはいけないの…」と。
するとライゼルは「そんなことなどあるものか。永遠に続く力はここに存在するのだ!今からそれを証明してやる!」と
机の引き出しから注射器を取り出すとそれを自らに打った。 それは肉体の能力を増強し、かつ痛みや苦しみを一切感じなくさせるという薬だった。
「俺は喜びに満ち溢れている!弱虫のぬるい理想なぞ打ち壊してくれるわ!!」
パレア達は心を鬼にして、ライゼルのその哀れなサガを終わらせることにした。
そして戦いの果てに遂にその場に倒れ込んだライゼル。それでもまだ意識も戦う意志もある。しかし…
「な…なぜだ!?か、体が動かん…ばかな…苦しくないのに…なぜ…」
ライゼルは、自身が既に致命傷を負っていることに気付いていなかった。
「どんな事にも限界がある。痛みや苦しみはそれを教えてくれる。そのことを忘れたあなた達は自らが滅ぶまで、いえ、自らが滅んでも己の過ちに気付けない…」
「嘘だ…う、そ…だ…………」薬の力も、死の恐怖までは取り除けなかったようだ。
パレア達はライゼルが息絶えるのを見守ると、彼の小指を切り落とした。

サンパウロ・ラテンアメリカ議場。
ジェクター元首はその奥で待ち構えていた。
そしてパレア達に「我々の下に就く気はございませんか」と誘いかけてきた。
「あなたは富や名声が欲しくはないのですか?あのような活躍の場も無いつまらない地で怠惰な一生を過ごして満足なのですか?
あなたほどの力があれば我々の下で出世することも夢ではありません。全てが思い通りになる最高の生活が待っているのですよ。」
そう誘いかけるジェクターをパレアは
「いい加減にして!!何が出世よ、富や名声よ!そうやって自分以外の何もかもを踏み台にして何が楽しいの!?
それで自分たちの立つ瀬を失くしちゃったのが今のあなた達じゃない!
怠惰って何?全ての命の輝きを大事にして心安らかに暮らす事なの?自分を生かしてくれている自然の流れに感謝することなの?
だったら私、怠惰のほうが絶対いい!」と一喝する。
するとジェクターは「ならば死ぬがいい」と手元のスイッチを押した。
天井から降りてきた電磁柵を前に「人間の力を甘く見るな。この世の全ての生殺与奪は万物の霊長である我等人間次第なのだ」と勝ち誇るジェクター。
しかしパレア達はそれを破壊し、ジェクターにこう言い放った。
「人間が自然の全てを支配しようなんて不可能だし、おこがましいのよ。」
そんな彼女たちにさっきまでとはうってかわって「金ならいくらでもやるから命だけは助けてくれ」と命乞いするジェクター。
呆れ果てたパレアは「これが答えよ!」とジェクターを一刀両断(物理)した。
そして最後の鍵としてその薬指を切り落とした。

こうして5つの鍵を得たパレア達は、遂にバルス大統領の待つ大統領府へと足を運んだ。

379 :CartoonKittenPlanet:2015/08/14(金) 09:14:19.26 ID:V0jUjM9g0
今回はここまでです。
果たして地球は本当に滅びてしまうのか、おそらく次回でその結末に至ると思います。

382 :CartoonKittenPlanet:2015/09/02(水) 00:13:57.70 ID:JhAjpYgz0

378の続き行きます。今回でラストです。

執務室への通路を遮る地水火風4つのバリアを解除し、迷路のような通路を抜けて、パレア達はついにバルス大統領と対面した。
地球の資源を際限なく食い潰し、今度はキトナからの収奪を目論む大統領に対しパレアは
「同じペースでキトナを食い潰せばキトナも地球のように不毛の星になる。そうなったら同じ事よ。これじゃ破滅を先延ばしにしているだけだわ。」と語る。
しかし大統領は「ならば別の星を探すまでだ」と自信たっぷりに答える。
「たとえ宇宙が無限大だとしてもあなた達地球人の欲望はもっと無限大なように見えるわ。
いつか、増え続ける欲望が新しい星を見つけるペースを上回ったら…その時こそ滅亡よ! はっきり言わせてもらうわ。もうこれ以上、物の豊かさを求めないで!」
しかし大統領はもはや聞く耳を持たなかった。今更後に引けるはずなど無かったのだ。
そして「君達の手にかかった五人の弔いもかねて、君達をここで処刑する」と、ある人物を呼んだ。

それは、キトナで死んだはずのヴィクトル大佐…いや、正確にはそのクローン(以下ヴィクトル2)だった。
人の命までも思うがままに操るその行為を「人が神を越えた証」と大統領はうそぶき、さっそくヴィクトル2にパレア達を倒すよう命じる。
が次の瞬間、ヴィクトル2は大統領に向けて引き金を引いた。
「な、ぜ…」 血の海の中で息絶えた大統領に「自分では何もせんくせに偉そうに命令ばかりしおって。力がある私こそ大統領の座にふさわしい」と冷たく言い放つヴィクトル2。
仕える主をもためらいなく殺すヴィクトル2に唖然とするパレア。そんな彼女にヴィクトル2は「オリジナルの仇」とばかりに戦いを挑む。

遺伝子レベルで肉体を強化されたヴィクトル2であったが、パレア達は苦戦の末これを撃退する。
「何故だ…我等ほどの文明すらない野蛮な貴様らが、何故、どうやって、そんな力を…!?」
パレアは語る。「私達には神様がいる。自然のあらゆるものに宿る、神様たちが。 私達は自然と共に生きているから、自然が、神様が、私達に力を貸してくれる…」と。
万物に宿る神々。それは地球人たちが「非科学的である」として切り捨てていったであろう存在。
「そんな前近代の遺物なんかに、高度に発達した文明が敗れたというのか…!?」
ヴィクトル2は「もっと肉体を強化して、次こそ貴様らを倒す」と退却しようとするが、そこに意外な人物が現れた。

383 :CartoonKittenPlanet:2015/09/02(水) 00:16:49.17 ID:JhAjpYgz0
「貴様は…ルーミ!?どういうことだ、何故貴様が我々に牙を剥く、我らの道具に過ぎぬ貴様が!!」
なんと彼女…ルーミは、キトナの民と地球人の遺伝子を基に作り上げられた生体兵器だというのだ。
キトナに送り込むためのスパイとして、そしてキトナの民の持つ「魔法」の力を地球側の手中に収めるための実験体として。
ルーミはそれに対し「私は私の意思によってキトナを守ることを選んだ」と答えた。
それに対しヴィクトル2は「道具が主人に盾突くか!」と激怒、戦いを挑んだ。
しかし手傷を負っていたせいか、ルーミの力が勝っていた故か、ヴィクトル2はルーミによって難なく倒され、オリジナルと同じ末路を辿った。

そしてルーミはパレア達に語り始めた。
自分が地球人によって作られた存在であること、地球からのスパイとしてキトナを訪れたということ、
しかしキトナの自然や人々の心の美しさに触れるうちにキトナこそ守るべき存在だと悟ったこと、
そして地球人でもキトナの民でもない中途半端な自らの身の上を恥じて今まで正体を明かさなかったことを…。

しかしパレアはルーミのキトナへの思いを信じ、彼女を仲間として受け入れることにした。
ところが次の瞬間、辺りに激しい揺れと、そして邪悪な気配が広がった。
ルーミが口走る。「…闇王!!ついに現れましたね…!」

しかし闇王は400年前に倒されたはず。
だがルーミが言うには「闇王は滅びの象徴であり、一つの闇王が滅ぶことによってまた宇宙の別のどこかに新たな闇王が誕生する」という。
そしてそれがここ…地球だったというのだ。
なおも続く激しい揺れ。これ以上は建物が持ちそうにないと、一行は急いで大統領府を出ることにした。

384 :CartoonKittenPlanet:2015/09/02(水) 00:20:08.52 ID:JhAjpYgz0
400年前に滅ぼしたはずの闇王。それが復活し地球に現れ、またもキトナの民の脅威となったという事実。
「なら地球が荒廃したのは闇王を倒したキトナの民のせいなの?」と戸惑うパレア達。
するとそこに「そんなこたあねえ」という一言が。振り返るとそこにはセッターとジャンガリアンの姿があった。

ジャンガリアン曰く、「たとえ闇王が現れたとしても、人々がその闇に染まらない正しい心を持っているならば自らの手で退けることができるのです。400年前のキトナの民のように」と。
そして「地球が闇王に冒されたのは地球人自身にその素地があったからです。その限りなき欲望が自らの内に秘めた欲求の目覚めとして闇王を受け入れてしまったのです」と。
産業革命が起こったのも400年前。(つまりこの作品の地球は22世紀頃?)それも闇王の出現によって地球人の欲望が急加速していったせいだというのだ。
それも地球人がそうと気づかないごく自然な形で…。

しかしもちろん全ての地球人が黙って闇王を受け入れたわけではなかった。
無論彼らはそれが「闇王」だと気付いたわけではないが、
人間の奥底にある欲望を察し、おののき、そしてそれを阻止しようと活動したのだという。
その一例として、セッターはパレア達に一冊の漫画を差し出した。

そこに描かれていた物語は、こうだった。
【地球人を宇宙の癌だと判断した異星人が、地球人を滅亡させるために攻めてくる。】
【だがその異星人は、地球人の善良な少年少女たちによって撃退される。】
【そして主人公の少年が最後に叫んだ。「自分の罪は自分で償う、宇宙からのお節介なんていらない」と…】

そしてセッターは言った。 「地球人たちの中にも、現状に絶望しつつも自らの手でやり直すことができると信じていた者たちがいた。だからこそこれが描かれたんだ。
だが結局踏みとどまるどころか、ますます悪の道に猪突猛進してこの有様だ」と。

385 :CartoonKittenPlanet:2015/09/02(水) 00:22:32.69 ID:JhAjpYgz0
闇王は今や地球自身となり、地球の全ての命と同化し、そして地球の最南端─南極─に自身のテリトリーを築いているという。
そこに向かい闇王を討つことで、全てが終わるというのだ。

それはすなわち地球も、地球で生まれた生命全ても、一切が無に帰するということ。
だがそれは地球人の犯した過ちをこれ以上キトナに広めるのを防ぐために必要なことなのだという。
そしてそれができるのはパレア達、キトナの民だけなのだと。
…パレア達は皆黙ってうなずき、闇王の待つ南極へと向かった──。

闇王の作りだした異空間。行く手を阻む闇王のしもべどもを退けつつ、長い回廊をひたすら歩き続ける一行。
そして遂にその最奥部へとたどり着く。

…そこは何も見えない、真の真っ暗闇だった。おそらく自分が目を開けているのか、瞑っているのかも分からなくなるほどの。
だが確かにそこに存在する闇王を一行は気配で探り、最後の戦いを挑んだ。

そして、ついにパレア達は闇王を討ち果たした──

386 :CartoonKittenPlanet:2015/09/02(水) 00:25:40.39 ID:JhAjpYgz0
──アフガンの廃ドーム。より一層激しい揺れの中でセッターとジャンガリアンが演奏を続けていた。
全てが終わり、彼らももうすぐこの世から消える。しかし彼らの表情に恐れや憂いは一切なかった。
彼らが抱いていたもの…それは長い悪夢から解放されるという安堵、そしてキトナの人々への感謝の念、それだけであった。

一方その頃、宇宙に飛び立ったパレア達は船の窓越しに崩壊していく地球の様子を見守っていた。
すると突然、ルーミが苦しそうにうめき声を上げ始めた。そう、彼女はキトナの民と地球人を掛け合わせて作られた存在。
彼女も地球と一緒に消えてしまうのか…?

そして次の瞬間、地球は宇宙から姿を消した──

…一行が地球の最期を看取ったその直後、パレアはルーミが小さな子猫─赤ん坊─の姿になっていることに気が付いた。
ルーミの体から地球人の部分のみが消え、その結果彼女自身は純粋なキトナの民となり、一からその人生をやり直せるのだ。

ようやく長い戦いを終えた一行。しかしその表情に喜びや安堵は無かった。
キトナに巣食っていた地球人達も皆没したものの、彼らの残した侵略と言う名の爪痕や
そしてキトナを守るためとはいえ一つの星を滅ぼしてしまったことに対するやりきれない思いはこれからも残り続けるのだ。

「どこかで…
どこかで、過ちに気付き、道を正していれば…
地球は、滅びの道を歩むことはなかった…
…私は忘れない。あの、悲しみに満ちた大地を…」
【完】

387 :CartoonKittenPlanet:2015/09/02(水) 00:30:35.91 ID:JhAjpYgz0
以上です。ご覧下さった方、ありがとうございました。





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