閃乱カグラ SHINOVI VERSUS

閃乱カグラ SHINOVI VERSUS

part70-24~53


24 :ゲーム好き名無しさん 2016/07/09(土) 20:21:42.71 ID:k+XhDTO90
零式の人がひと段落したようなので、閃乱カグラ SHINOVI VERSUS(←SHINOBIではなくSHINOVI))
を投稿しようと思います。ストーリーが四校分あるのでかなり長いです。
まずは主要登場人物から


25 :閃乱カグラ SHINOVI VERSUS 2016/07/09(土) 20:23:07.40 ID:k+XhDTO90
死塾月閃女学館


雪泉(ゆみ):三年生。メンバーの実質的リーダー。善を良しとし悪を人一倍憎む。
叢(むらくも):三年生。年中般若のお面を被っている寡黙な人。ただしお面が外れると内向的で早口で喋る。
夜桜(よざくら):二年生。冗談が通用しない真面目な殴り系女子。興奮すると岡山弁が出る。
四季(しき):一年生。ギャル系。でも修行は真面目にやる人。趣味は般若心経の朗読。忍以外の友達も多い。
美野里(みのり):一年生。見た目どおりのお子様。お菓子と遊ぶのが大好き。言動も子供。


秘立蛇女子学園


雅緋(みやび):三年生。事故により記憶と能力を失っていたがあるきっかけによって蛇女子学園に復帰する。
忌夢(いむ):三年生。雅緋とともにある事故に巻き込まれ重症を負い、雅緋に付き従うように復帰する。
紫(むらさき):二年生。忌夢の妹。人との会話が苦手。引きこもりの不登校児。禍魂の力の使い手。
両備(りょうび):一年生。両奈の妹(双子)。ある目的により月閃から転校してきた。転身すると胸が大きくなる。
両奈(りょうな):一年生。両備の姉。妹と共に転校してきた。筋金入りのドM。性癖以外は割と真面目な言動多かったり。


国立半蔵学院


飛鳥(あすか):二年生。少々忍として非情になりきれない面があるものの現メンバーのリーダー格となっている。
斑鳩(いかるが):三年生。財閥のお嬢様(ただし養女)。真面目な自信家。クラス委員。
葛城(かつらぎ):三年生。セクハラ大好きなオヤジ気質。相手が強いほど燃える熱血系。
柳生(やぎゅう):一年生。寡黙だが実力で他のメンバーから一目置かれている。雲雀命。
雲雀(ひばり):一年生。『華眼』と呼ばれる眼を持つ。やや性格が幼いトラブルメーカー。


焔紅蓮隊


焔(ほむら):飛鳥をライバルとする抜忍組のリーダー。男性気質だが女性らしいところもある。
詠(よみ):見た目はお嬢様、でも貧民街育ちのもやし大好き娘。金持ちが嫌いだが斑鳩とは和解している。
日影(ひかげ):自称『感情がない』、割と無口な人。抜忍になったのは『感情に興味がわいてきた』かららしい。
未来(みらい):オタク気質のある貧乳。無視されたり子供扱いされたりすると怒る子供。小さい。
春花(はるか):『あぶないお姉さん』的ドSな人。人形作り薬品作りを得意としており下僕のような者もいるらしい。



大道寺先輩(だいどうじせんぱい):ある理由により卒業資格をとっくに持っているのに長い間半蔵学院に居座る忍学生。
霧夜(きりや):国立半蔵学院の教師でメンバーの恩師。過去の鈴音先生(凛)の教師でもある。
鈴音先生(すずねせんせい):蛇女子学園の教師。雅緋たち、そして焔たちの恩師。
道元(どうげん):蛇女子学園の出資者。過去に妖魔の力を利用しようと画策し焔に斬られ、彼女らが抜忍になる原因を作った。


26 :閃乱カグラ SHINOVI VERSUS 2016/07/09(土) 20:25:06.66 ID:k+XhDTO90
月閃女学館編:


雪泉ら月閃の選抜メンバー5人は、病床にある自分たちの育ての親、抜忍『黒影』を見舞うための途上にあった。
しかしその最中、伝説の忍『半蔵』が現れ(執拗なセクハラ攻撃の後)見舞いの品『いちご大福』を奪われてしまう。
激昂した雪泉たちは、『まずワシの孫の『飛鳥』を倒してみるがいい』との言葉通り、半蔵学院に挑むことを決意するのだった。


一同は半蔵学院に集結、前哨戦として戦いを挑むことになる。


雲雀と対峙した美野里は『みのりのほうが大人だもん!ブラックコーヒー飲めるし!』と大人ぶり
『えっ!?ブラックコーヒー飲めるの!?』といわれると
『飲めるよ!ミルクと砂糖入れれば!』と返答するというどんぐりの背比べ的な会話を展開した後戦闘になる。
美野里のほうは戦闘を遊びとしか考えておらず、『また遊ぼう』と再戦を予告するのだった。


四季が相手をすることになったのは、眼帯の少女柳生だった。
アクセサリーとして柳生の眼帯が欲しくなった四季は彼女に攻撃を仕掛けるものの、
『ただの飾りじゃない。渡せない理由がある』、という柳生の言葉に、その興味を柳生が眼帯をしている理由に変える。
『その眼帯、ゼッタイにアタシのものにしてみせるんだから』と四季は言い放つのだった。


叢の相手は、同じく財閥の令嬢である斑鳩が勤めることになった。
斑鳩は叢の姿を見て訝しく思う。
『貴女、前にお会いしたことがありますよね?』
『いや、今日が始めましてだ』
そこで斑鳩は、以前財閥が催したパーティで般若のお面をつけた令嬢が参加していたことを語る。
『…そんなヤツはいくらでもいる』
『いませんよ!』
過去を思い出させられた叢は斑鳩を黙らせるべく挑みかかる。
斑鳩を倒した叢は、自分の身分を明かす。そんな彼女に斑鳩は『自分の知人がいる貧民街の開発をやめてほしい』と願う。
しかし、叢は『我に乞うならば勝ってからにしろ』と一蹴するのだった。


夜桜もまた忍の両親を持っていた。子沢山の大家族の長女。ゆえに生活が楽ではなく、
自分が半ば母親代わりとなって下の弟・妹たちの面倒を見ていた。生活は苦しかったが辛いと思うことはなかった。
しかしそんな中、母親、父親が相次いで任務中に命を落とす。残された弟、妹たちは親類などに引き取られていく中、
同じく引き取り手は決まっていた夜桜は『みんなが離れ離れになる』事実から目を反らすかのように家を飛び出していた。
『自分が強ければ、家族と離れることはないのに』。公園で静かに泣く夜桜に声をかけるものがあった。
それが、『黒影』。後に自分の祖父となり、そして師匠となる人物であった。


夜桜と対峙したのは葛城だった。彼女は初対面の夜桜に大してセクハラ攻撃をしようとするものの、
そんな葛城を夜桜は『セクハラっちゅうもんは将来を誓い合った人にするもんじゃ!』と一喝する。
戦闘で性根を叩きなおそうとするものの、今ひとつ真剣にやろうとしない葛城に、夜桜は
『どうやら長期的な荒療治が必要だ』と言い放つのだった。


雪泉は、半蔵の実質リーダーである飛鳥を後一歩のところまで追い詰めていた。
そんな飛鳥に、『貴女は善忍であるという自覚があるのですか』とトドメを差そうとする。
その窮地を救ったのは、抜忍となった焔であった。
『…よもや悪忍、それも抜忍に助けられるとは…あなたには止めを差す価値もない』
雪泉はそう言って半蔵学院を後にするのだった。


27 :閃乱カグラ SHINOVI VERSUS 2016/07/09(土) 20:26:59.20 ID:k+XhDTO90
雪泉たち5人は、善の忍であるが故に悪を憎む。故に悪忍も憎い。
もともと悪忍であった焔たちと親しげにしている飛鳥のことを、5人は理解できるわけもなく、するつもりもなかった。
そして次のターゲットを『悪忍』の忍学校である蛇女子学園に向ける。


叢と両備はもともと月閃での知り合いだった。しかし両備はある理由のために蛇女子学園に転校していた。
『相変わらずお面つけてないとまともに会話できないのね』と言われた叢は、両備に月閃を抜けた理由を尋ねる。
その叢に両備は『月閃にいたんじゃ目的を果たせないからよ』と告げた。
両備は叢に『悪忍も善忍も大して変わらない。両方に属した自分には良く分かる』と告げる。


四季を目の当たりにした忌夢は『こんな馬鹿っぽいのに負けられるか』と罵る。
四季のほうはそんな忌夢に『人を見た目で判断するな』と言いながらも
『でもアンタのことは分かる。悪忍=悪。だからここで倒す』と挑みかかるのだった。
戦いを制した四季だったが、忌夢は傷を負った体で雅緋のもとへ駆けつけようとして力尽きる。
『…悪忍に守りたいものがあるわけ…いや、そうか、そうなんだ…』。四季の中での悪忍のイメージが変わりつつあった。


夜桜と対峙したのは、両備と同じく過去の知り合いである両奈であった。
色々と性格に難がある両奈ではあるが、彼女自身が純粋な悪ではないことを夜桜はよく知っている。
だからこそ、両奈が悪忍の道に入ったことを理解できずにいた。それを指摘された両奈は、夜桜を『お母さん』と呼び、
そんな両奈に夜桜は『そんな子供に育てた覚えはありません!』と叱責する。
戦闘後、夜桜は両奈に『何故悪忍に属するのか』を尋ねる。両奈は『居心地がいい』と返答する。
悪は悪い。絶対悪でなくてはならない。しかし両奈は嘘をつく人間ではない。夜桜の中に善悪に対する疑念が生まれ始めていた。


美野里と校庭で遭遇したのは紫だった。…が、紫のほうは戦闘に否定的で早く自分の家に帰りたがっていた。
そんな彼女に、美野里は『遊ぼうよ!』と無理矢理戦わせてしまう。
戦闘後、『もう帰ってもいいですか?』との問いに、『うん、いっぱい遊んだからもういいよ』と言うと
紫はほっとしたように家に帰ろうとする。そんな彼女に美野里は興味本位で『悪忍ってどんな場所に住んでるの?』と聞いてみる。
『暗い洞窟?それとも穴の中?』。その問いに紫は『普通のおうちです』。と足早に帰っていってしまう。
『悪忍も普通のおうちに住んでるの?そういえば美野里も遊んだ後おうちに帰るの楽しかったな…』と呟く美野里だった。


雪泉は、蛇女のリーダー格である雅緋と一戦を交えていた。黒い炎と純白の氷のぶつかり合いを制したのは雪泉だった。
傷を負い倒れかける雅緋ではあったが、リーダーの意地もあり戦いの続行を宣告する。しかしそれを止めたのは、
雅緋の親友である忌夢だった。『それ以上はダメだ!』そう言って聞かせようとする忌夢の姿を見た雪泉は、
『彼女らとの戦いを続ける必要はありません』と言って勝利を宣言し、仲間たちとともに帰途につくのだった。


しかし、雪泉の中には一つの疑問が沸いていた。少なくとも、忌夢が雅緋を庇い、戦闘の続行を止める様は
雪泉が考える『悪』の形とはまったく違っていたものだったのだ。


28 :閃乱カグラ SHINOVI VERSUS 2016/07/09(土) 20:28:24.54 ID:k+XhDTO90
後日、雪泉の元に抜忍(焔紅蓮隊)の情報が届く。もともと悪忍である彼女らをのさばらせておく理屈はない。
早速、5人は彼女らの討伐に赴くのだった。


四季と未来は出会うなり口げんかを始める。発端は四季の見た目だった。『何このギャルっぽいのは』
『えー!?こう見えても趣味は般若心経なんですけど!』『何それ!小説のネタになりそう!』『え?アンタ小説書いてんの!?』
互いの意外な趣味に驚きつつも、二人は鎌と傘(銃)を交える。勝利を収めた四季は未来が書いた小説を読ませてもらい
素直に『素晴らしい』という感想を述べる。そのまま去ろうとする四季に未来は『トドメを差さないの?』と質問する。
そんな彼女に四季は『トドメを差しちゃったら小説の続きが読めなくなる』と返答した。


『…あの子の書いた小説、マジで面白かった…トドメなんてさせるわけないじゃん…』


美野里は逃げる日影を追い回していた。任務のため…ではなく遊ぶためである。
日影はそんな美野里の意図を知って追い回されていたのである。
遊びの途中で自分が何のためにここに来たのかを思い出した美野里は『戦わなきゃならないんだ』という表情を見せる。


戦闘後、『疲れたから今日はもう遊ぶのは無理や』と言う日影に、相手が悪忍なのも忘れて
『やりすぎちゃった!』と謝る美野里。そんな彼女に日影はまた遊び相手になることを約束するのだった。


叢は幼少時貧民街で育っていた。もともと内向的な少女だったが、両親の死を境にしてさらに激化し、
何かで顔を隠さないと人前に出られないようになってしまった。周囲が奇異に思う中、一人の少女は叢に付き合うように
もやしの空き袋を繋ぎ合わせた袋を被って叢と遊んでくれた。自分は財閥に引き取られ、その少女とはそれ以来会うことはなかった。


…その少女が、悪忍…今は抜忍『詠』となって目の前にいた。
互いに今は忍となり本当の名前を名乗れなくなったこと、そしてあの時代には戻れないことを嘆きながらも二人は刃を交える。


戦闘後、悪忍となっても詠という人物がなんら変わっていないことを知り、彼女の中でもまた正義と悪の概念が揺らぎ始める。


夜桜に向かい合うのは自身と違う意味でのお姉さん気質を持つ春花だった。夜桜を見て早速、
『その着物(忍服)の下は穿いてるの?穿いてないの?』と聞いてくる春花に対し、夜桜は
『自分の相手はまともなのがいないのか』と嘆く。
しかし、春花は夜桜に『貴女は真面目すぎる。もう少し自由を知ったほうがいい』と言葉を投げかける。
戦闘後、春花の言葉は彼女の胸のうちに刻まれることになる。確かに抜忍たちには自分たちにない自由さがあったのだ。


リーダー格の二人、雪泉と焔もまた向かい合っていた。
悪忍出身でありながら善忍である飛鳥と親しくし、ライバルとなっている焔を詰る雪泉。
価値観の違いから戦闘は避けられないことであった。
戦闘の後、雪泉は辛くも勝利を収めるのだが、焔を含めた抜忍のメンバーたちが
自分の想像する悪とはかけ離れた存在であることを思い知らされる。


29 :ゲーム好き名無しさん 2016/07/09(土) 21:33:53.63 ID:k+XhDTO90
再戦の日は訪れた。月閃と半蔵の『学炎祭』はいよいよ終焉のときを迎えようとしていた。


美野里と雲雀は戦いを通じて、『大人とは』何か、という問いに対しての答えを自分たちなりに出す。
『自分の考えをはっきりと口に出来る人』。それは出来るようでもなかなかに出来ないことであった。
美野里はこれまでの戦いや善悪の忍たちとの交流の結果、『善忍も悪忍も変わらない』という結論を自ら出す。
そして黒影の意思『悪は滅する』を貫徹できなかったことに対して泣いて謝るのだった。


四季と柳生は再び戦いのときを迎えた。相変わらず柳生の眼帯を目当てにしている四季に、
柳生は自らの眼帯の意味を語る。一つは自分の持つ『陰鬼の眼』という能力を封じるため、
そしてもう一つは『妹が生きていた、という記憶を、失ったときの悲しみを忘れないため』であった。
話を聞かされた四季は、素直に柳生の姿勢を賞賛し、眼帯を諦める代わりに柳生から完全勝利を勝ち取ることを宣言する。


勝利の後、四季は『自分が勝てたのが不思議なくらいだ』と言い、自分の中の善と正義が揺らいだことを黒影に恥じる。
しかし柳生はそんな四季に『お前が悩みぬいた結果出した答えに黒影が異を唱えるはずはない』と言葉をかけた。


再び相見えた夜桜と葛城。葛城は相変わらずだったが、夜桜はそんな葛城の中に『自由』という文字を垣間見ていた。
葛城との戦いは、夜桜にとっては自身の正義、そして自由を問う戦いともなった。
辛くも勝利を収めた夜桜は、以前のような葛城に対する怒りはなかった。むしろ『まだ戦いたい』と思っていた。
『戦いの中で友を得ることが出来るのなら、それは最高のことじゃないか』と葛城は告げる。夜桜もそれに反論はしなかった。
『自分が出した結論を、黒影は認めてくれるだろうか』。夜桜は自分の胸の内に問う。


斑鳩と向かい合った叢は、『お前が前に言っていた知り合いというのは詠のことだな?』と聞く。
そしてその詠が自分の幼馴染であることも継げた。
『ならば、大狼財閥による貧民街の再開発を止めてください』。斑鳩の願いに叢は首を横に振る。
『…我々は忍。ならばその願いは我に勝ってからするがいい』。二人は刃を交える。


交わされる刃の中で、叢は斑鳩と詠の絆の強さを見ていた。敗れた斑鳩は、友である詠のために命を賭ける気だった。
『…詠さんのためにもここで負けるわけにはいかない』。そう言って切っ先を向ける斑鳩に、叢は『もうやめろ』と告げ、
自分の父に都市開発をやめるように提案することを約束した。斑鳩と詠の想いに自分も突き動かされたのである。
『いつか、戦いとは違う形で友として会いたい』。斑鳩のその言葉に、叢は自ら面を外して『そのときがくればとても嬉しい』と話す。


ついに決戦のときは来た。雪泉と飛鳥。以前は水と油のようだった二人。しかし雪泉の中にある善と悪の境界は確かに揺らいでいた。
学校のため、仲間のため、刀と盾の信念を貫くため、飛鳥は二本の脇差を雪泉に向ける。
一度は飛鳥を降す雪泉。しかし彼女の瞳はまだ戦意を失ってはいない。
『…限界ギリギリの勝負で決着をつけたい』
雪泉もそれを承諾し、扇を構えなおす。そして雪泉の口からは以前の彼女には思いもつかなかったであろう言葉が発せられる。
『この戦いが終わって二人とも生き残っていたら…私の友達になってくれますか?』


互いに限界を超えた戦いは雪泉が勝利を掴んだ。


完全なる善も完全なる悪もこの世には存在しない。今まで戦ってきた様々な相手の中に、ようやくそれを見出していた。
黒影は『悪』を憎むあまりに抜忍になった。その黒影が何故自分たちを引きとり育てたのか。
黒影が自分に修行をつける中、悪を憎む自分を諌めようとしたのか。今ならば理解できる。
新たに生まれた好敵手。学炎祭には勝ったものの、半蔵学院に火をつける権利は放棄し、一同は帰途についた。


30 :ゲーム好き名無しさん 2016/07/09(土) 21:35:31.36 ID:k+XhDTO90
黒影の墓前で、5人はこの戦いの中得たことを話しあう。そんな中、突然雪泉たちの背後から声がした。そこにはあの半蔵が立っていた。
そこで半蔵は、自分が黒影に頼まれて月閃メンバーの教師『王牌(わんぱい)』となり、彼女らを鍛えていたことを伝える。
『何故『王牌』などと名乗っていた?』という四季の問いに対して、半蔵は
『王牌は『おうはい』とも読む。おうはい、おうはい、おうはいおぅぱい…おっぱい、おっぱーーーーいというわけじゃ!』
高笑いし始めた半蔵に、冷たい視線を送る一同。半蔵はそこで寿司桶を取り出し、月閃メンバーに寿司を振る舞い始めるのだった。


…そんな5人を、密かに見つめる者がいた。いや、すでに『姿』はもはやなかった。
それはすでに息を引き取り、この世を去ろうとしている『黒影』の魂であった。
『…孫娘たちが誤った方向に…オレと同じ道に行かずにに済んだ…』
黒影は半蔵と袂を分かった後、抜忍となった。そのあとも悪忍狩りを独断で続けた。善悪双方の忍に追われながら。
そんなとき、自分の娘が亡くなったことを知る。それも悪忍討伐の任務の最中だったという。
黒影は悪忍許すまじの決意をさらに固めつつ、葬儀の会場に赴いた。
そこには孫である雪泉がいた。彼女は『何故自分の両親が死ななければならなかったのか』が理解できていなかった。
黒影はそこにいた幼い少女の姿を見て、今までの自分の行いを悔いていた。
そして彼は、雪泉を引き取り、さらに同じく任務によって両親を亡くした娘たちを引き取ることになる。


黒影は『光だけの世界』というものを感じていた。娘たちが育ちゆく光景はまさにそれだったのである。
しかし、自分は病に冒されてしまった。あろうことか、5人の娘たちは自分の背中を追い続けていたため、
悪というものを激しく憎むようになってしまっていたのである。
自分の背中を追ってくれるのは嬉しいが、自分と同じ道を辿るのは誤りである。しかしもう体が動きそうにない。
『…頼む、半蔵。オレの娘たちを間違った方向に行かせないでくれ…』
黒影は忍のプライドも捨て、ただ娘たちの幸せのために袂を分かった半蔵に頼むしかなかった。


『…ありがとう…』
黒影の魂は、自分の望みをかなえてくれた半蔵と、そして自分に光だけの世界を見せてくれた5人の娘たちに感謝しつつ
高く空に昇っていくのだった。
(月閃女学院編 完)(続く)


31 :ゲーム好き名無しさん 2016/07/10(日) 05:17:35.64 ID:1nZ0A6470
(続き)
<秘立蛇女子学園編>


車椅子に座った雅緋は、記憶を失っていた。いや、記憶だけではない。かつて忍であったころの能力も失っていた。
自分が何故そんなことになっているのか、それすらも思い出せずにいた。
『空っぽだ…私は…』。
車椅子を押す忌夢は、そんな雅緋にまるで仕えるかのように付き従っていた。


ある日、彼女らの母校である『蛇女子学園』の方向を二人で見ていたときのことだった。
突如天を割って現れた巨大な化け物によって、蛇女子学園は崩壊した。そして、その『化け物』を打ち倒した忍が二人。
『化け物』を見た雅緋は絶句し、硬直していた。


このとき、雅緋は過去に起こったことをほぼ全て思い出していた。自分がかつての蛇女子学園の選抜メンバーであったこともである。


雅緋と忌夢は、復興した蛇女子学園に戻ることを決意する。自分の止まってしまった時間と、蛇女子学園の誇りを取り戻すために。


蛇女子学園は、選抜メンバーであった者達(焔たち)が抜忍となったため、選抜メンバーが皆無という状態であった。
そのため、雅緋たちはまず自分たちを含めて5人のメンバーを集めることを考える。
一人は忌夢に心当たりがあるという。二人はその人物の元を尋ねることにした。


…薄暗い部屋の中、少女は熊のぬいぐるみとともにいた。忌夢の妹、『紫』である。
『貴女は…たしか雅緋さん』。紫は雅緋とは面識があった。彼女自身蛇女子学園に籍を置いてはいるが
入学以来一度も学校に行かなかったという不登校児であった。忌夢が紫を説得しようとするも、当然紫は部屋を離れるのを嫌がる。
力づくでも、と言い放つ忌夢たちの前で、紫が叫び声を上げる。すると黒い波動のようなものが彼女を包んだ。
『…これは、『禍魂の力』か!』
『…そうだよ。ボクには発動しなかったけどね』
この力。『禍魂の力』こそが紫を蛇女子学園に入学させた能力である。


もともと忌夢たちの家系は由緒正しい忍の家系であり、忌夢も紫も当然その道を歩むことになった。
しかし紫は忍に向いている性格ではなく、忌夢に引っ張られて訓練に参加させられる生活に嫌気が差していた。
そんな中、ある日無理矢理に訓練に参加させようとする忌夢に対して突発的に『禍魂の力』を発動させ、
忌夢に大怪我を負わせることになってしまう。
しかし忌夢の怪我とは裏腹に、一族に脈々と伝わる『禍魂の力』の発動を両親や親類は喜ぶのだった。
蛇女子学園への入学試験も、親が無理矢理に受けさせたものだった。
とはいえ、試験は一瞬で終わっていた。気がつけば禍魂の力が発動し、血に塗れた試験官が倒れ伏していたからだ。


紫は忌夢の嫉妬の眼差しを感じるようになり、入学を決めた後も部屋に篭り続けた。自分が姉を傷つけ、自分の力のせいで
姉に嫌われるようになってしまった。そう思ったからだった。親が通学させようとすると『禍魂の力を使いますよ』と脅しをかけていた。
…雅緋はそんな紫に『お前の力が必要だ』と語りかける。『自分を必要としてくれている人がいる』。そう感じた紫は
二年生になって初めて学校に通うことになったのである。


これでメンバーは3人。選抜メンバーは5人でなくてはならない。あと2人。そんな矢先に、雅緋たちの前にちょうど2人の人物が現れる。
双子の姉妹である『両奈』と『両備』。もともと月閃のメンバーであった2人は、事情により転校してきたという。
雅緋を名指しにしてやってきた彼女らは、自分たちを選抜候補に加えろ、と言ってきた。雅緋は2人と一戦を交えて実力を確認した後、
彼女らのメンバー入りを承諾する。
しかし、そんな2人を訝しく思う人物がいた。匂いによってその人物の本心などを感じ取ることができる紫であった。
『何かがおかしい』。そう思うものの、彼女は今ここで言うべきことではない、と口を閉ざすことにするのだった。
いよいよ5人となった蛇女子学院の選抜候補生たちは、その緒戦として過去の蛇女子学園を破った半蔵学院に狙いを定める。


32 :閃乱カグラ SHINOVI VERSUS 2016/07/10(日) 05:22:06.47 ID:1nZ0A6470
砂浜で訓練をしていた柳生と雲雀が離れたときを狙い、両奈は雲雀に照準を定める。
『戦う理由がない』という雲雀に対し、両奈は『自分の復讐のために倒されてもらう』と挑みかかる。 柳生の身を慮りつつ倒れる雲雀。


直後、その雲雀の危難に駆けつけた柳生の相手をするのは両備だった。
『よくも雲雀を!』といきりたつ柳生に、両備は
『…復讐戦というわけね?でも復讐なら…私たちのほうが年季が入っているのよ!』と銃を向けた。


本当は戦いたくはない。しかし雅緋や忌夢。自分の力を必要としてくれるものたちのために戦わなくてはならない。
紫の相手は斑鳩。蛇女子学園の名前を聞いて驚く彼女に、紫はためらいつつも戦いを挑む。
…意外とあっけなく終わった。過去の蛇女の選抜メンバーはよほど弱かったのだろうか?そう思っていたところに
倒された斑鳩が『月閃女学館と戦っていなければ…』と呟いて倒れる。すでに手負いの状態だったのだ。
『でも、勝ちは勝ちです。これでおねえちゃんも喜んでくれるかな…』


葛城と対峙したのは忌夢だった。忌夢は、相手の状態が万全ではないことを知るものの戦いを挑み、打ち負かす。
『…くそっ、悔しいがあんた強いな』『…お前が弱かったんだ』
葛城に対し忌夢は容赦のない言葉を投げる。
『…お前の名前を教えてくれないか』 『敗者に名前を教える謂れなどない』
倒れた葛城を一瞥し、忌夢は雅緋の身を案じる。


対峙する雅緋と飛鳥。雅緋は過去の蛇女子学園を潰した恨みを晴らすことを告げ、
そしてこの後は過去の選抜メンバー…抜忍紅蓮隊がターゲットであることも話す。
飛鳥は自身だけでなく『焔の身を守るため』と不利な戦いに身を投じる。
傷ついた体では及ばず、飛鳥もまた雅緋の前に敗れ去る。


『…半蔵学院は殲滅した!次は蛇女の誇りを血に貶めた抜忍どもだ!』
雅緋は高らかにそう宣言する。


しかし、その前に一つの障害が立ちふさがる。半蔵学院と学炎祭の途中であった月閃女学館が、
獲物を横取りした新蛇女に挑戦状を叩きつけてきたのである。
ちょうど焔紅蓮隊の行く手を捜している今、いい時間潰しになるだろう。雅緋はそう言い、こちらから月閃に打って出ることをメンバーに告げる。


両備の相手は叢。かつての知り合いである。斑鳩という自分の獲物を奪われた彼女は、
『まだお面つけないとまともに話できないの?』と詰め寄る両備に、『…貧乳』。『両備は貧乳』と煽る。
互いに戦う理由が出来た二人は戦闘状態に突入する。 叢を倒した両備は、『自分の目的のために倒れることは許されない』と決意を新たにする。


忌夢の相手は四季だった。彼女は過去の選抜メンバー(焔たち)が半蔵学園に敗れたことを指摘して
明らかに現在のメンバーを下に見ていた。『それは過去のことだ。今のボク達の強さと蛇女の誇りを見せてやる』
四季は倒れ、忌夢たちの強さを認めることになる。


両奈の相手は夜桜。こちらもかつての知り合いである。もとより夜桜は両奈が悪そのものではないことを知っている。
そんな両奈がなぜ悪忍に走ったのか。その理由を問う。『…両姫さんのことが原因ですか?』と。
隠された真実の一つを突かれた両奈は、『そのことを誰かに話したの?』と尋ねる。首を横に振る夜桜に対し、両奈は
『…よかった。じゃあ今のうちに口を塞いであげる』と武器を向けるのだった。
勝負を決したあと、倒れた夜桜に対し少しの後悔と謝罪、そして決意が混ざった言葉を呟く両奈。


33 :閃乱カグラ SHINOVI VERSUS 2016/07/10(日) 05:23:00.33 ID:1nZ0A6470
紫と相対したのは美野里。彼女は斑鳩が倒されたことに珍しく怒りをあらわにしていた。
『こんな誰も遊んでくれなさそうな人に…』との言葉に、紫は『そんなことない』と返す。
自分が常に抱いている『べべたん(クマのぬいぐるみ)』に並々ならぬ愛情を注ぐ紫に、美野里は
『ぬいぐるみは人じゃない!』と叫ぶ。その瞬間、紫の様子が一変する。


『こんな暗い人に負けるなんて…』
悔しそうに倒れる美野里を尻目に、紫は呟く。『暗くもなるよ…どうしたらお姉ちゃんは振り向いてくれるんだろう…』


リーダー同士の対決のときは来た。学炎祭の決着をつけるべく向かい合う雅緋と雪泉。黒い炎と白い氷の戦い。
悪を憎む善の忍と、悪の誇りと真の強さを示すべく立った悪の忍。
激戦を制したのは雅緋だった。無念を告げる雪泉の前で、雅緋は学炎祭の勝利を完全なものとするため
校舎に火を放つと宣言する(実際に火を放ったり炎上していたりする場面はない)。


月閃を打ち破った雅緋たちに、ついに焔ら抜忍発見の報が届く。
彼女らの教師を務めている鈴音は、『かつての私の教え子たちをなめてかかるな』と忠告する。


両備の相手は貧乳仲間の未来。しかし未来は『この世は需要と供給で成り立っている。小さい胸にも需要はある。
だから自分は小さくても胸を張る』と両備に告げる。しかし柳生を倒された怒りが収まるわけでもなく戦闘に突入する。
立っていたのは両備だったが、倒れた未来の強さを感じる両備だった。


両備・両奈には姉がいた。名前は両姫(りょうき)。善忍の家系に生まれた姉妹は、仲良く幸せな日々を送っていた。
ある日、両姫が忍学生になることを決意し、両備・両奈もそれを応援する。
両姫の活躍は目覚しく、またたくまに実力を発揮して選抜メンバーにまでのし上がったのだという。
しかし、悲劇の日は訪れる。ある日、両姫は冷たくなって帰ってきた。話によれば、任務中に命を落としたのだという。
原因は、味方の忍が使用した『深淵血塊』の禁術。周囲の忍の血の力を集め自分の能力を向上させるという秘術中の秘術である。
それによって暴走した忍により殺されたのだというのだ。
両備・両奈はその日から復讐を誓い忍を目指した。復讐の標的は…蛇女子学園の雅緋である。
事件後に禁術の後遺症で廃人のようになっていた雅緋が復帰してくるのを、姉妹はずっと待っていたのだ。
そして蛇女子学園の復興と雅緋の復帰を知った二人は自らその懐に飛び込んだのである。


両奈は現在の自分の境遇に迷い悩んでいた。両備はどうやら勝利を収めたようだ。自分もそれに続かなくてはならない。
雅緋はそんな両奈に
『肩に力が入りすぎだ。お前はいつもどおりそのままにしていればいい。私はお前を信頼している』と話す。
自分には目的がある。そしてそのために今まで邁進してきた。
ここまでに様々な忍たちと戦ってきた。…目の前にいる無表情・無感情な女、日影もその障害でしかない。
両奈はノリが悪い日影をなんとか戦わせる気にして、勝負の末倒すことに成功する。
日影は両奈のかすかな迷いに気づいたのか『あんたはそのままでいればいいんや』といいつつ倒れる。
『自分の『そのまま』とは何なのだろうか?』
両奈はそんな疑問を抱くが頭を強く振る。『姉の復讐に心血をそそぐ今の自分こそが『そのまま』の自分であるのだ』と。


紫の前に立っているのは詠。彼女には斑鳩を倒された憎しみがあり、また紫には『忌夢に好かれたい、必要にされたい』という想いがある。
一触即発というときに、深手を負った斑鳩が現れる。『詠さん、気をつけて…』。それだけ言って斑鳩はついに倒れる。
『それだけのことを言うためにわざわざここまで来たなんて…無駄なことを』。そう言い放つ紫に、詠は
『分かりませんか?これが絆というものです』と話す。


勝負は決した。斑鳩に詫びつつ倒れる詠を前にして紫は呟く。
『その人がここまで来たことは無駄だった。でも『絆』というものについては分かる。私もお姉ちゃんのために戦っている…』


34 :閃乱カグラ SHINOVI VERSUS 2016/07/10(日) 05:25:14.05 ID:1nZ0A6470
忌夢と向かい合うのは春花だった。 自分を相手にまともに戦うそぶりを見せない春花に苛立ち、
『戦う気が無いなら通らせてもらうぞ』と憤る忌夢。
そんな忌夢に春花は、『ここを通すわけにはいかない。大事なリーダーのために』と言い放ち、戦闘に突入する。
立っていたのは忌夢だった。『蛇女の誇りと雅緋のために、ボクは負けるわけにはいかない』。その言葉に春花は、
『蛇女の誇りと雅緋ちゃん…どちらかを選ばなければならないときはどちらを選ぶのかしら?』と尋ねる。
『ボクは雅緋のためにここにいるんだ』。その言葉に、春花は『その姿勢は自分たちとなんら変わりのないものだ、と話して倒れる。
『…ボクと…こいつらが変わらない存在だと…そんなわけが…』


焔との戦いを前にする雅緋の目前に一人の女性が立つ。それは恩師である蛇女子学園の教師、鈴音だった。
『お前はカグラになるつもりか?』
過去に妖魔に母親を殺された雅緋に、鈴音は『死ぬぞ』と告げ、それは雅緋を激昂させる。
『お前は妖魔を『見た』だけだ。実際に妖魔と戦った私には良く分かる』


鈴音は半蔵学院を卒業した後、最初の任務で妖魔狩りを志願した。その任務には『カグラ』という最上級の忍も参加していた。
薄暗い洞窟の奥地に現れた人の顔がついたウミウシやフナムシのような化け物たち。その数はわずか10。こちらは50だった。
しかし、善忍たちの部隊は一瞬にして壊滅していた。鈴音も瀕死の重傷を負ったが辛くも生き延びることになる。
その時の妖魔たちは、善忍の全滅を伝えられたクライアントが悪忍の部隊を大多数投入したため鎮圧された。
辛うじて生き延びた鈴音を引き取り教員となる道を勧めたのが、蛇女子学園の学園長、雅緋の父だったのである。
『お前がカグラとなるために必要なものが何か…今ここで教えることはできない。それはお前が自分で掴むものだ』
鈴音はそう言って姿を消す。


抜忍のリーダー、焔と雅緋。片方は失われた蛇女の誇りのため、もう一方は仲間とライバルのために衝突することになる。
『お前たちを倒して蛇女の誇りを取り戻す』そう言った雅緋。
『半蔵に負けたのはお前たちが弱かったからだ。お前たちを倒して蛇女の強さを知らしめる』
『私たちが弱かったのではない。飛鳥たちが強かったんだ』 『その飛鳥たちは私たちが葬った』
その言葉に激昂する焔。


戦闘後、雅緋は素直に焔の強さをたたえる。『お前は弱くはない。むしろ強かった。しかし背負うものが違った』、と。
焔は『みんな、すまない』と言い残して倒れる。その様を見て、雅緋は先に倒した飛鳥のことを思い浮かべる。
誰もが皆、恨み言を残さず仲間に謝って倒れていった。それは何故なのだろうか…。


抜忍を倒し、当初の目的は果たされた。無事だった仲間とともにそれを祝う一同。
そんな中、雅緋は戦いを共に勝ち抜いた忌夢、紫、両備、両奈に『みんな、ありがとう』と告げる。それを驚く両備。


両備と両奈は、雅緋が目的を達成した今こそが『復讐』実行のときだと決意する。
しかし両奈にはどこかためらいがあった。雅緋は自分を信頼し、仲間だと言っていた。しかし…それでもやらなければならない。
もう後戻りはできないのだ。


両備、両奈は計画の準備を進めていた。狙うは雅緋の首。姉の命を奪った仇の命である。
そんな二人の前に、鈴音が現れる。 『お前の姉の命を奪ったのは雅緋ではなく、『妖魔』だ』


雅緋は確かに禁術を使い暴走し、比類なき力で妖魔を追い払った。そして自らもまた廃人のようになった。
しかし、それはすでに忍の部隊が妖魔によって全滅した後のことだったのだ。
『…何故、何故今になってそれを私たちに話すんですか!?』
『言えば、お前たちはすぐに飛び出して妖魔狩りに走っただろう。無駄に命を落としただけだ』
鈴音の言葉は的を得ていた。
『それでも、今更引き下がることは出来ない』
両備も両奈も、ここに至るまでに様々なものを犠牲にしてきた。その目標は雅緋の命だけだったのだ。


35 :閃乱カグラ SHINOVI VERSUS 2016/07/10(日) 05:27:13.11 ID:1nZ0A6470
森の中で忌夢と話す雅緋をライフルで狙撃する。それが両備たちの作戦であった。
しかし、それを止める者が現れる。…事前に『匂い』によって両備たちの真意を知っていた紫だった。
彼女は大事な存在となった雅緋と実の姉である忌夢のために両備たちを止めようとする。
両奈はそんな紫を、こちらは妹両備のために打ち破る。


両備はついに雅緋の頭を照準に捉えていた。…邪魔者はいない。あとは引き金を引くだけだ。
少しのためらいののちに放たれる銃弾。しかし、その銃弾は重傷のまま駆けつけた紫が受けていた。
倒れる紫。駆け寄る忌夢と雅緋。忌夢は紫を抱き起こしつつ、雅緋の盾になろうとする。


妹を撃たれ、雅緋を狙われた怒りに、忌夢は復讐者、両備に迫る。それをなんとか凌ぐ両備。
だが異変はすぐそこに迫っていた。


『紫…雅緋…』
忌夢にとって、雅緋も紫も大事な存在であった。それこそ、両奈たち姉妹にとっての両姫と同じか、それ以上に。
二つを同時に狙われた忌夢は、果てしない怒りの中、黒いオーラに包まれる。
『禍魂の力』。今まで紫には発動し、自身には発動しなかったその力が、激しい怒りと憎しみによって暴走に近い形で発現したのである。
禍魂のオーラに包まれた忌夢は限界以上の力を以って両備、そして両奈を蹂躙する。


異変に気づいた雅緋が忌夢の姿を見たとき、彼女はすでに暴走状態にあった。
『雅緋、早く逃げろ!これはお前の手に余る存在だ!私は上層部に報告する』
鈴音の言葉に雅緋は反論する。
『駄目です!上に報告すれば忌夢は処分される!』
雅緋の中で、唯一失われたままだった記憶が蘇ろうとしていた。


あのとき、禁術で暴走した自分を…あとは死ぬしかなかった自分を止めたのは
同じく命を張り、禁術を使った忌夢だったのだ。
『…あの時私が言った、『忍にとって必要なもの』。今ならお前にも分かるな…?』
『…はい。それは…『仲間』…!』
黒い炎と黒い渦。壮絶な戦いの末に雅緋は忌夢を打ち破ることに成功するのだった。


気がつくと雅緋も忌夢も病院のベッドの上だった。自分より一足先に目覚めていた忌夢に、雅緋は改めて礼を述べる。
病室には両備と両奈もいた。彼女らどうやら一命を取り留めたらしい。
二人は誤解から雅緋の命を狙っていたことを素直に詫びる。忌夢も『二人を許してやってほしい』と言った。
病室にはさらに紫もいた。どうやら両備・両奈の手当によって命を繋いでいたようである。


『いいや、許さん』 雅緋は姉妹に向かってそう言った。
『そうよね、あんなことをしたんだもの』
うなだれる両備に、雅緋は『何を勘違いしている』と返す。
『私が許せないのは不意打ちをしたことだ。復讐をしたいのならばいつでも堂々とかかってこい』


そんな中、鈴音がやってきて雅緋に書類を渡す。
『…お前たちは、正式に蛇女子学園の選抜メンバーに決定した』
5人とも正式メンバーとして認定され、喜びの声が病室に響いた。


紆余曲折あったものの、雅緋は蛇女の誇り、そしてかけがえのない仲間を得、『カグラ』になるための一歩を踏み出したのである。
(※ここまでの話で他の学校(半蔵、月閃、焔紅蓮隊)の面々を悉く倒してきているものの
命を奪ったかどうかは明確にされていない。ストーリークリア後には紫のセリフから未来の生存は確認できる)
(秘立蛇女子学園編 完)(続く)


36 :閃乱カグラ SHINOVI VERSUS 2016/07/10(日) 09:10:04.40 ID:1nZ0A6470
<国立半蔵学院編>


半蔵学院に進級、そして卒業の季節が近づいていた。
傀儡を相手にしての訓練後、柳生と雲雀は進級を前にして自分たちがどの程度強くなったかを話し合う。
雲雀は柳生に対して、『もう柳生ちゃんに守ってもらわなくても大丈夫だよ』と言い、柳生はそれに反発する。
仕方がないので実践で示そうとする雲雀。そしてなんとか認めてもらうことに成功するのだった。


斑鳩は卒業試験を前にして緊張するあまり、イメージトレーニングすら手がつかないような日々を送っていた。
そんな中、義理の兄である『村雨』が現れる。彼は義妹である斑鳩が現れたせいで自分が家督を、そして
代々伝わる刀『飛燕』を受け継げなかった、と思い込み、彼女に勝負を挑む。
しかし、もとより村雨には忍の才能がなく、軽くあしらわれてしまう。完敗した村雨は義妹に自分の想いを吐露する。
その彼が立ち去った後には『妹と仲良くしたい人のためのセミナー』の広告が落ちているのだった。


後日、斑鳩は自分の迷いや恐れを振り切るべく葛城との訓練に望む。


日々の平穏は突然破られる。同じ善忍の養成学校である月閃女学館のメンバーが、
半蔵学院に対して『学炎祭』の宣戦布告を突きつけてきたのである。
前哨戦として斑鳩と叢が対決。斑鳩はこれを退けるも、相手が並々ならぬ強豪ぞろいであることを悟る。


雲雀はメンバーの中でも自分が足を引っ張っているのではないか、と考えていた。
柳生を始め、メンバーは自分を大事にしてくれる。しかし自分からは何が出来ているのだろうか、と。
月閃のことについてメンバーと話し合っていると、雲雀の目を見た飛鳥たち四人が、突然お互いを攻撃し始めた。
『え?これってどういうこと?』
雲雀は、突然の同士討ちが、自分が持つ異能『華眼(かがん)』の力であるとすぐに気づく。
『またしても自分が足を引っ張ってしまった』。そう思う雲雀ではあったが、なんとか4人を鎮めることに成功する。


打倒月閃のためにトレーニングを重ねていた葛城の前に、一匹の犬が現れる。昔葛城に飼われていた『チョコ』だ。
チョコは葛城を人目につかぬように作られた里へと案内する。そこは抜忍となった葛城の両親がいる場所だった。
葛城は何故両親が抜忍となったのか詳しくは知らなかった。しかし、自分が善忍として大成すれば両親は許してくれるかもしれない。
そのときまで両親とは会わないつもりでいた。
しかし、チョコはそんな葛城を両親と引き合わせる。


両親は葛城に対し、自分たちが抜忍になった理由の一部を語る。『果たすべき任務を果たせなかったため』と。
しかし、そんなとき何者かが葛城の両親を捕える。抜忍狩りのために放たれた刺客であった。
選抜メンバーだとはいえ学生である葛城が叶う相手でもなく、また逆らえば自分が処分される身となる。
手を出せない葛城に、刺客はこう言った。『月閃との学炎祭に勝て。さすればお前の父母にも慈悲があろう』と。
葛城は『アタイは絶対に勝ってみせる』と宣言する。父と母のために負けるわけにはいかないのだ。


その葛城の前に立ちはだかるのは、半蔵学院に攻め込んできた月閃女学館の一番手、夜桜だった。拳と具足の戦いの末、
葛城は夜桜を制する。夜桜は葛城にこう言う。『トドメを刺せ』と。
しかし葛城にはそれが出来なかった。すると夜桜はさっ、と立ち上がり、
『貴女は忍同士の戦いをスポーツだと勘違いしている』と指摘する。そして、葛城に本気で戦う覚悟がないことに最初から気づいており
手を抜いて戦っていた、とも(岡山弁で)話す。
夜桜は決着を後日に回すことにして去るのだった。
『あいつにトドメを刺さなければ、父さんと母さんが…』


37 :閃乱カグラ SHINOVI VERSUS 2016/07/10(日) 09:11:26.69 ID:1nZ0A6470
雲雀と対峙したのは美野里だった。雲雀にすら子供に思える美野里は、この学炎祭に対しても『遊び』の一環であるらしく、
戦闘も『忍びごっこ』に過ぎなかった。
美野里を倒すことは出来たものの、彼女はすぐに立ち上がり、『今のはみのりが負ける番だったから、今度は雲雀ちゃんが追いかけてきてね』と
走り去ってしまうのだった。雲雀はそれを追わずに見送ることにした。


柳生の前に立つのはギャル系忍者の四季。 柳生を散々待たせた後に現れた四季は、友人と長電話していたため遅れたのだという。
よくも悪くも『ギャル』である四季の感覚を理解できない柳生は苛立ちを隠さない。
四季のほうは柳生の眼帯に興味を持ったらしく、勝負の後で奪うことを宣言する
辛くも四季を退けた柳生であったが、自身も激しく消耗させられていた。それに途中から『手を抜かれた』感すらあった。
そんな中倒したはずの四季が起き上がり、『これから友達と遊ぶ予定がある』と去ってしまうのだった。


斑鳩の相手はやはり叢であった。自身について何か個人的に思うところがあるようだが叢はそれを語ろうとはしなかった。
斑鳩は黙して語ろうとしない叢に『面があると喋れないのならば、力づくで面を取るまで』と勝負を挑む。
勝負の末面を取ることに成功するが、斑鳩自身も傷を負っていた。むしろ面を取るのが精一杯という有様であった。
面を取られた叢は顔を抑えて恥ずかしがりつつも早口で斑鳩にまくしたてる(例え上下下着でも顔を見られるのが恥ずかしい)。
しかし結局真実を知ることは出来ず、叢は面を被りなおして去っていくのだった。


校庭に立っていた飛鳥の元に、各所で戦闘を終えた仲間たちが戻ってくる。しかしまさに満身創痍という状態だった。
そんな中、月閃のリーダー、雪泉が現れる。しかし飛鳥は仲間の身を案ずるあまり雪泉との勝負を拒もうとする。
前哨戦なのにこの有様では勝負する価値もない。雪泉は吐き捨てるようにそう言って、手下の忍たちをけしかけ去っていった。
仲間の命の危険を案じる中、飛鳥は忍の集団を退ける。


月閃との戦いはひとまずひと段落したものの、学炎祭は未だ継続している。
しかし仲間たちは倒れ、飛鳥もまた疲弊した状態であった。しかし、今攻め込まれれば敗北は必至であろう。
そう考えた飛鳥は、一人で月閃に乗り込むことを決意する。霧夜は一時は止めようとするも、決意が固い飛鳥を『死ぬな』と言って見送る。


入り口で待ち構えていたのは四季である。彼女は飛鳥が一人で、しかも傷ついた状態で乗り込んできたことをあざ笑う。
戦闘の末撃退自体は出来たものの、飛鳥ももはや倒れそうになっていた。
校舎内部では叢が待っていた。彼女はやはり一人で乗り込んできた飛鳥を蔑む。
『その状態で月閃を本当に相手にするつもりだったのか』
『勝てなくてもやらなきゃならない』
もはや勝負にならないであろう、と思われた中、叢の面が何者かによって飛ばされた。


意識を取り戻した仲間たちが駆けつけたのである。とはいえ、四人ともまだ完治したわけではない。
あくまでも『眼が覚めて少し休んだ』に過ぎない状態であった。
しかし面を飛ばされた叢は5人もの人間に顔を見つめられ、顔を抑えたまま恥ずかしさのあまり逃げ出してしまう。
これを幸いにした半蔵のメンバーたちは月閃から一時撤退する。


ところが、そこに追い討ちをかけるかのように新勢力が名乗りを上げる。
焔たちが抜けた後の蛇女子学園の選抜メンバーたちだった。
悪忍である彼女らはすでに手負いである半蔵学園の忍たちにも容赦はなかった。
忌夢と葛城がまず戦うが、すでに傷を負っていることが災いし、あまりにも分が悪い。
さらに飛鳥に両備、両奈、雅緋が襲い掛かる。


明らかに手を抜かれていたために凌ぐことは出来たが、このままでは全滅は免れない。
そこに現れたのは、元蛇女子学園の選抜メンバー、抜忍軍団『焔紅蓮隊』の5人だった。
『私たちはお前たち蛇女子選抜メンバーに『学炎祭』を申し込む!』
焔は高らかにそう宣言する。もちろん、現状の打破と、そして飛鳥たちを月閃との戦いに集中させるためであった。


38 :閃乱カグラ SHINOVI VERSUS 2016/07/10(日) 09:16:09.80 ID:1nZ0A6470
命を落とさずに全員の帰還を果たした飛鳥たちであったが、月閃の実力は自分たちよりも上だ。
ただ傷を治したところで勝つのは難しいだろう。
忍部屋で焔と会った霧夜は、彼女から鈴音という焔の恩師について話を聞く。
『オレにもそんな厳しさがあれば…』
霧夜は過去に『凛』という忍を失った過去を思い起こす。


『教え子を失うわけにはいかない。だが月閃に勝つにはただの訓練では駄目だ』
そう考えた霧夜は、悪忍である焔に対して手と膝をついて土下座をする。
『飛鳥たちの助けになってほしい』と。


あくる日、飛鳥たちは校外に集められていた。そこには焔たち5人の姿もあった。
霧夜は彼女たちも読んだ真意を語る。『月閃に勝つためには絶・秘伝忍法を習得する必要があるだろう』と。
しかしそれはただの訓練で編み出せるものではない。自分たちと相反する者と極限の戦いを経て得るものだ、とも。
焔たち5人はまさにうってつけの存在であったのだ。


斑鳩の相手は詠である。彼女は詠に自分の想いを吐露する。
『叢は自分のことを憎んでいる。分かり合うことは出来るのだろうか』と。
しかし詠は諭すようにこう言った。『かつてはわたくしも貴女を憎んでおりました。それがぶつかりあうことで分かり合うことが出来ました』と。
『まずはぶつかること』。斑鳩は詠との実践訓練を経て絶・秘伝忍法を習得することに成功する。


葛城は焦っていた。自分の攻撃がまるで日影に当たらないのだ。
『くそっ、なんで当たらないんだ!』
その葛城に、日影は
『なんていうか、あんたはもっとバカやった。余計なことを考えないで向かってきとった』と話す。
『アタイはアイツを殺さなきゃならない。自分の実力を示さなきゃならない』
『ほんなら、そいつを殺さなくても実力を示せるくらいに強くなればいいんや』
日影のその言葉に、葛城はハッ、とする。
『そうか…単純なことなんだよな』と。
訓練後、日影は礼を述べる葛城に対して『ほんならおっぱいでも揉んでもらおうか』と言い出す。
驚く葛城に、『わしも冗談くらいは言うようになった。わしを変えたのは葛城、あんたや』と話した。


『オレの相手は…やっぱりお前か』
冷めた態度の柳生に、『訓練に付き合ってあげてるんだから少しは感謝しなさいよ!』と怒る未来。
『お前は少しは成長してるんだろうな?』『あたしは成長してるわよ、そういうアンタはどうなの!?』
『オレは日々成長しているぞ』『…な!?お、大きくなってるですって!?どうやったの?牛乳?それともヨガ!?』
微妙に食い違う二人の会話。未来は『負けたほうがなんでも言うことを一つ聞く』という約束を取り付け
『あたしが勝ったら『胸が大きくなる方法を教えてもらう』んだ…』といきり立つのだった。
戦いが終わり、『お前のおかげで秘伝忍法を習得できた』と礼を述べる柳生に驚く未来。
しかし、約束は生きていたようで、ここから相当距離がある街まで雲雀のためにウサちゃんクッキーを買いに行かされるのだった。


39 :閃乱カグラ SHINOVI VERSUS 2016/07/10(日) 09:16:46.42 ID:1nZ0A6470
雲雀の瞳には、花びらを象った不思議な紋様がついている。『華眼』といわれるものだ。
彼女の家系は由緒正しい善忍の一族であり、兄姉たちは日夜忍の修行に励んでいた。
その中でも雲雀は自分は忍の才能がないことを自覚し、他の道を目指すことに決めていた。
しかし、家族はそんな雲雀を叱ることはなかった。


あるとき、雲雀の兄弟たちには現れなかった華眼が、突然雲雀に現れた。
雲雀の家族は、いや一族はそれを大いに喜んだ。しかし雲雀のほうにはそれが却って『いけないこと』なのでは、と思えた。
『何故自分に、一番忍の才能のない自分に発現したのか。兄姉たちはみんな自分より才能があるのに、自分より頑張ってるのに』と。


春花に対して、自分のそんな想いを吐き出す雲雀。華眼は人を操ることが出来る『瞳術(どうじゅつ)』を司る。
『ひょっとしたら、今まで家族が自分に優しかったのは自分が家族の心を操っていたからではないか』
雲雀はそう考えるまでに追い詰められていた。そんな雲雀を春花は優しく諭す。
『いくら瞳術でもそんなに万能なものじゃないわ。
貴女の周りが貴女に優しいのは、貴女自身にそういう魅力があるからだ』と。


向かい合う飛鳥と焔。再会と久しぶりの対戦を喜ぶ中、飛鳥は焔の身を案じる。
『抜忍は辛くない?』と。焔はそれに対して『お前の肌はきれいで羨ましい。私はいつも訓練で傷だらけだ』と話す。
『私だってお尻に傷があるんだよ!』『尻なんか見せるな!』としばし猥談が続いた後、修行が始まった。


相変わらずの焔の強さに驚きつつもほっとする飛鳥。どうやら本気を出してはいなかったらしい。
『そんなことよりも、秘伝忍法はどうなった?』と聞かれる飛鳥。自分の内に沸き起こる確かに力。どうやら習得には成功していたようである。


月閃女学館との戦いを前に忍部屋に集合する一同。そこには焔たちの姿もあった。
飛鳥たちへの激励と焔たちへの礼を述べる霧夜。そこに桜吹雪が舞う派手な演出の中半蔵が出現した。


彼は過去の友でもありライバルでもあった男『黒影』の話をし始める。
悪を憎み、依頼もないのに悪忍を狩るようになった男は知らなかった。悪と善の狭間にあるグレーな人間たちの存在を、である。
半蔵は善忍から追われ、抜忍となった。しかしそれでも悪忍狩りをやめなかった。
いつしか忍の本部は上忍を派遣するなど黒影への問題視を深めていく。


そんなある日、黒影の悪忍狩りの話をぱたりと聞かなくなった。
本部が暗殺に、と放った二人の密偵は黒影の在所を突き止めたが暗殺するまでは出来なかった。
黒影は、任務によって命を落とした忍の娘たちを引き取って育てていたのである。その様はまさに『家族』であり、
当初の『悪忍狩りの抜忍』とはかけ離れたものであった。
密偵たちは本部に『黒影は5人の娘と共に静かに暮らしており、暗殺の要なしと判断する』と報告書を残した。
この二人は後に抜忍となったようである。


『ちょっと待てよ、その二人ってもしかして…!』
この二人の密偵こそが、葛城の両親だったのである。


黒影の娘たち…雪泉、四季、夜桜、叢、美野里の5人はかつての黒影の意思を引き継いでいる。
しかしそれはあくまでも『昔』の黒影の考え方であった。
(続く)


40 :閃乱カグラ SHINOVI VERSUS 2016/07/10(日) 12:39:32.42 ID:1nZ0A6470
戦いのときは訪れた。一堂は月閃女学館の前に集結する。
門を守るのは四季。対峙するのは柳生。
『お前が戦う理由はなんだ?』
いつもの調子の四季に対し、柳生は問いかける。見た目はノリが軽くても、内には黒影への想いがある。柳生はそれを知っている。
『…アタシはそんなキャラじゃないしー、柳生ちんて人のことが気になるタイプ?なんからしくないっていうかー』
『オレらしくなくてもオレはオレだ。お前がお前らしくなくても、戦う理由があるようにな』


互いに『負けられない』戦いを制した柳生。しかし四季は立ち上がり、命を賭して柳生を倒そうとする。
『そこまでにしろ。黒影はお前にそこまで望んではいない』
『アンタに何が分かるっていうのよ』
『…もし黒影が、お前が命を落としてまでオレを倒すことを望む人間であれば、お前たちは慕ってはいなかったはずだ』
柳生のその言葉に、四季は黒影への想いを我慢できずに泣き出すのだった…。


自分がしたいのは戦いではない。戦いがなければ平和だ。みんなが戦わずに遊んでいられれば誰も哀しまなくて済む。
雲雀を前にした美野里が遊びにこだわり、戦いですら『忍ごっこ』と称して真剣な戦いを拒む理由はそれだった。
しかし雲雀は『人には、大切な人のために戦わなければならないときがあるんだ』と諭す。


『戦って負けてしまったら黒影との約束を果たせなくなる』。美野里は自分と戦った雲雀を責めつつ泣き出してしまった。
しかし、本当は美野里にも分かっているはずなのだ。黒影が自分をどう思っていたか、どう育ててきたのかを。


葛城と再び対峙する夜桜。再来する拳と脚での戦い。
戦いを制したのは葛城だった。それに対し、夜桜は以前と同じように自分にトドメをさすことを要求する。
しかし葛城はそれを断固として拒む。『忍は遊びじゃない』。夜桜の言葉に、彼女の心に葛城は叫ぶ。
『アタイの父さんと母さんが助けた命を…アタイが奪うなんて出来るもんか!』
その叫びに、夜桜の脳裏にある出来事がよぎる。かつて抜忍となった黒影を追ってやってきて、
そして何もせずに去っていった二人の刺客。
『…あ、あの方達は…貴女の…』
夜桜は自分の力不足を黒影に詫びるように膝を突いた。


斑鳩と叢。かたや鳳凰財閥、かたや大狼財閥の令嬢。似たような境遇の二人が再び見える。
『戦う前に貴女が私を恨む理由を教えてください』
斑鳩の言葉に、叢はその理由を語る。
黒影に引き取られ育てられていた叢だったが、遠縁にあった大狼財閥の養女として引き取られた。
その理由は、財閥に優秀な跡継ぎがいなかったから…つまりほとんど斑鳩と同じ理由で養女となったのである。
しかしその経緯は、『大狼財閥が鳳凰財閥のやり方をまねた』からだ、と叢は語る。
『八つ当たりだ、逆恨みだと笑うなら笑え。どの道お前がいなければ私が黒影様のもとを去ることはなかったのだ』
財閥に引き取られたことがきっかけで、自分と黒影との時間は止まってしまった。
そして今、自分の力ではどうにもならない事態になってしまっている。だからこそ斑鳩を憎まずにはいられない…。
互いの大事なもののため、刀と大鉈がぶつかり合う。


戦いは終わった。斑鳩は膝をつく叢に語りかける。
『私を恨むよりも先に、まずすべきことがあったのではありませんか』、と…。


41 :閃乱カグラ SHINOVI VERSUS 2016/07/10(日) 12:40:18.24 ID:1nZ0A6470
善のみの世界。悪のみの世界。光のみの世界。闇がいない世界。
かつての黒影が、現在の雪泉が望むもの。
対するは刀と盾。自らが傷つこうとも全てを守ろうとする意思。


半蔵は言っていた。『光のみの世界など存在しない。あってもそれは決して住みやすい世界ではない』と。
自分もまた半蔵の考えを今なら少しは理解している。最大のライバルとなった焔たちとも出会うことが出来た。
絶対善も、絶対悪もこの世には存在しないのだ。


『私は必ず…黒影おじい様の理想を実現してみせる!』
雪泉の扇が空に掲げられた。


実力が伯仲する中、月閃の、そして半蔵のメンバーたちが集ってくる。互いのリーダーの身を案じたからだ。
自分たちの信じるもののため、仲間たちはそれぞれ自分の持つ秘伝忍法書を雪泉に、飛鳥に託す。
飛鳥も雪泉も限界以上の力を以って勝負をつけようとしていた。


氷の渦をかいくぐり、飛鳥の一撃が勝負を決めた。自分の、否、黒影の理想の終わりを認められず
命を賭して飛鳥に挑もうとする雪泉。もはやそれを止める術がないと誘った飛鳥もまた脇差を構える。
二人が脚を踏み出した瞬間、その間に割って入った者がいた。


『…もういいのだ、雪泉よ』
大きな背中だった。
『おじい様…』
病床の身を押してきた黒影だった。半蔵のはからいで飛び出してきたようだった。
駆け出す月閃のメンバーたち。黒影の腕の中で泣き出す雪泉。


『…黒影よ』
不意に、半蔵が言い出した。
『昔お前とした賭けは…ワシの負けじゃな』
黒影は『善のみ、光のみの世界は実在する』と半蔵に告げた。そして半蔵は『そんな世界はない。光も影も表裏一体。
どちらかのみの世界などありえん。賭けてもいい』と言っていたのである。


『…光だけの世界は確かにあった。今のお前の腕の中に、な』
半蔵の視線の先には、黒影の胸にすがりつく月閃メンバーたちの姿があった。
そこに焔たちも駆けつける。どうやら蛇女子学園との決着をつけ、勝つことができたようだった。

 

学炎祭は終わったが、飛鳥たちは当然校舎に火を放つ権利を放棄する。
ルールには『廃校に追い込むことが出来る』とあるものの、それをするかどうかは勝者が決めるものであるらしい。
飛鳥は更なる『刀と盾』の忍を目指すために邁進することを誓うのだった
(国立半蔵学院編 完)


42 :閃乱カグラ SHINOVI VERSUS 2016/07/10(日) 12:41:53.54 ID:1nZ0A6470
<焔紅蓮隊編>


蛇女子学園に在籍していた焔たち5人は、半蔵学院との激戦の結果敗れる。
しかし、その直後、倒れた未来、春花、日影、そして詠を取り込む形で巨大妖魔『怨楼血』が顕現してしまう。
飛鳥とともにそれを打ち破った焔は、忍同士の闘争を利用して怨楼血の出現をもくろんだ、蛇女子学園の出資者『道元』を
その刀で斬り捨ててしまう。


結果、焔は学園での『犯罪者』のような扱いとなり、抜忍となることを余儀なくされてしまう。
本来この罪は焔だけに課せられるものであったが、残りの4人も焔に従うかたちで抜忍になるのだった。


そして抜忍となった彼女たちは、薄暗い洞窟を住処としていた。


焔たちは追っ手や刺客と戦いつつ、バイトで生活費を稼ぐ日々を送っていた。
そんな中、彼女は現状について少しの迷いを抱いていた。
『抜忍となり、またそれについてきたものがいるからには、自分がここにいる理由や生き様を示さなければならない』、と。


忍としての訓練は絶やさず、しかし空腹に苛まれる日々だった(主に財布を握る詠が出費を最低限に絞るため)が
詠はどうやら焔の要求する肉料理などを出してくれる気配はないようだった。


持ち回りの洗濯当番の仕事をこなしていた未来は、春花や日影の下着類を自分に当てて楽しんでいたところを
春花に写真に撮られ、取り返すべく勝負を挑む。なんとかカメラの破壊に成功した未来であったが、
春花はいつ撮ったのか分からない、未来がお腹を出して寝ているところの写真などを取り出してみせるのだった。


その春花は、今度はハンバーガー店のアルバイトをクビになって帰ってきた。
理由は彼女がその色気をふんだんに使って仕事をしようとするからである。
(『うちはおさわりハンバーガーショップじゃない!』と怒られたり、
交通整理のバイトで事故を増やしたりしたため)


アジトに帰ってくると、雰囲気があわただしかった。どうやら半蔵学院が何者かに襲撃されたらしい。
浮き足立ちながら飛鳥の身を案じる焔を上手く丸め込め、全員で半蔵学院に駆けつける。
そこには傷ついた飛鳥がいた。同時に、飛鳥たちを襲った襲撃者の存在もそこにあった。
『我々は真の蛇女子選抜。抜忍の始末のために半蔵学院を遅い、お前たちをおびき寄せた』と首領格が語った。


『ねえねえ!まず私に戦わせて!気になる人がいるの!』
前に出たのはメンバーの一人、両奈である。そして指名されたのは春花。
惹かれあうように出会ったドSとドMの二人は見るも異様な戦いを繰り広げるのだった。
『また遊んでねぇ』『えぇ、たっぷりと遊んであげる』
再戦の約束?を交わした後に両奈は雅緋らとともにその場を去る。


『…おい、日影!』
呼び止められた日影が振り返ると、そこには蛇女子学園の新メンバーである忌夢がいた。
『なんや、わしになにか用か?』 『ボクのことを忘れたとは言わせないぞ!』
忌夢のほうは日影に因縁があるようだが、日影はとんと思い出せない。
忌夢のほうは挑戦状まで叩きつけていたそうだが、当時半蔵学園との戦いで忙しかったため気づかなかったのだとか。
そんな日影に、忌夢は過去に日影のせい?で起こった様々な事件のことを話す。ボクサーパンツ事件、タオルが油揚げになっていた事件、
水着上下反転事件等等。しかし日影はいずれも覚えがないという。
怒りが収まらない忌夢と日影は一戦を交えることになる。
やはり日影は強く、一筋縄ではいかないことを悟った忌夢は、恨み言と再戦要求を叩きつけて去っていった。


43 :閃乱カグラ SHINOVI VERSUS 2016/07/10(日) 12:43:12.91 ID:1nZ0A6470
未来はキーボードを指で叩いていた。内容はやや過激な小説…所謂ネット小説である。
未来の様子を気にした店員がしきりに声をかけてくるのを気にかけつつ、彼女は指を動かし続ける。
ここは家電量販店。自分が小説を書いていることをメンバーに知られたくないため、わざわざこんな場所で書いているのである。
タイトルは『忍の家のラプンツェル』。作者名は『仏麗(ふつれ。未来→FUTURE→ふつれ)』。


書き終わって投稿ボタンを押してすぐに『いいね』が押される。いつも同じ人が複数回押しているようである。
ハンドルネームは『cute_hikky(キュート・アンダーバー・ヒッキーと読む。この時点で誰なのか大体予想はつくはず)』。
ハイテンションでコメントを残してくれる愛読者だ。
コメントのやり取りをしていると、急遽リアルでそのファンと出会うことになってしまった。
現実とネット上でキャラクターが違うことを気にしてか、未来はわざわざ春花から香水を借りて使い、待ち合わせの場所に急ぐのだった。


『どうしよう、なんだか怖くなってきちゃったよ』
改めてファンと出会うことが不安になってきた未来の前に、蛇女子学園の紫が現れる。
『な、ななな、なんでアンタがこんなところにいるのよ!』
『私は人を待っている…貴女こそなんで…』
『あたしも人を…まさかあたしの後をつけてきたんじゃ…』
そこで紫が未来の匂いを嗅ぎ始め(香水のせいで)『くさい』と言い放つ。
激昂した未来と紫が戦闘になるが、紫は『私は人を待っていただけなのに』と言い残し去ってしまった。
未来もこんな状態ではファンの子に会えない、と去ってしまう。


商店街では詠が限られた資金の中で買い物をしていた。メインはもちろんもやしなのだが…。そこに両備が現れる。
『…なんか予想してた印象とは違うわね、あんた』
『どういう印象なんですか?』
『そうね…買い物上手の若奥さんとか』
『うふふ、なんだか照れちゃいます』
調子が狂わされる中一戦を交える二人。勝利したのは詠。
『…なんだかあんたの雰囲気、お姉ちゃんに似てる…気がする』
両備はそう言って詠の前から立ち去るのだった。


同じく商店街では、春花と両奈が出会っていた。まるで惹かれあうように出会うSとM。
両奈はさっそく『いっぱい虐めて痛くして』と言い出す。
『あら、両奈ちゃんは筋金入りの変態ちゃんねぇ』と春花もやる気満々で勝負になる。


勝負後も二人は相変わらずの調子だ。
『あら、まだ足りないの?この欲しがり屋さん』
『そうです!両奈ちゃんは欲しがり屋さんなんです!』
『何をやってるんだお前たちは!』
不毛なSとMたちをやっと焔が止めに入る。
『帰ってくるのが遅いと来てみれば…』
愚痴を言いつつ、焔は春花を連れ帰るのだった。


再び忌夢と対峙する日影。どうやら忌夢のほうはまだ怒りが冷めやらぬようである。
自分には覚えがないことだといいつつ、詫びのための品物を用意したと告げる日影。
しかし、『少ない収入から買ったんだから感謝しいや』と言いつつ差し出されたのはボクサーパンツだった。
当然怒り狂う忌夢と戦うことになり、これを破る日影。そしてさらに油揚げを取り出し、彼女をさらに怒らせるのだった。
(続く)


44 :閃乱カグラ SHINOVI VERSUS 2016/07/10(日) 12:44:12.87 ID:1nZ0A6470
ひとまず焔紅蓮隊の残りの話は明日になると思います


45 :閃乱カグラ SHINOVI VERSUS 2016/07/11(月) 04:31:15.12 ID:iboKm7Ua0
焔の後を尾行するものがいた。蛇女子学園の連中か、と思った彼女は人気のない場所へと追跡者をおびき寄せる。
『…旋風か』
焔の前に現れたのは、蛇女子学園の忍学生、旋風(つむじ)だった。


焔は以前は善忍の学校に通っていた。しかし自分によくしてくれていた先輩に騙され自分が忍であることを明かしてしまう。
騙されたことを知り、怒り狂った彼女はその先輩を再起不能にまで追い込んでしまう。
焔は家を勘当され、学校からも追い出された。その焔が選んだのは悪忍の道だったのである。


旋風は、焔を騙したその先輩の妹であった。
旋風は恨み言を述べつつ焔に斬りかかる。凄まじい斬撃ではあったが、それはあくまでも学生レベルの話だ。
もともと選抜メンバーであった焔は易々とそれを避け、『今のお前では私には到底敵わない。腕を磨いてかかってこい』と告げる。
『お前たちが抜けて、今の蛇女は変わってしまった…』
旋風の意味深な言葉に首を傾げる焔。
『今の選抜メンバーは道元に洗脳されており、傀儡と化している』
旋風の告白は焔にとっても他人事ではなかった。
道元は焔が斬った、蛇女子学院の出資者であった。金のためならば妖魔をも利用するという男であり、
過去に怨楼血が現れた原因を作ったのもこの男である。どうやら生きていたらしい。
『…道元は妖魔を人間の戦争に用いることで更なる利益を得るつもりだ』
『あの雅緋とかいうヤツも道元の道具に成り下がっているのか、旋風、雅緋のところに案内しろ!』
うなずく旋風。


雅緋の前に立ちふさがる焔。『探す手間が省けた』と話す雅緋に対し、焔は
『お前は道元の目的を知っているのか?』と問う。見た目や口調からは道元に洗脳されているようには見えなかったものの、
『道元』の名前を出されたとたん雅緋の態度が変わる。
(どうやら、洗脳によって道元に逆らえないようにされているのか)
そう考えた焔は、雅緋と一戦交え、この場は勝利を収める。しかし洗脳は解けそうもなかった。


貧民街。斑鳩は以前と同じく街の子供たちを前に一人劇場『KP仮面(黒髪パッツン仮面)』を上演していた。
この後は詠も仮面を被って(『パツキンもやしマスクとして)参加する予定だった。
しかし、そんな中貧民街の都市開発をもくろむ大狼財閥の人間がこの地を訪れる。
貧民街の住人たちが集まり、猛反対の声を上げる。そんな中、ボディーガードと思しき、お面を被った鎧の少女が前に歩み出る。
(このままでは街の人に被害が出る)
そう思った斑鳩を遮り、お面のボディーガードの前に躍り出る詠。大剣と大鉈が交錯し、二人の面が外れた。
二人は互いに目を疑い絶句した。そこにいたのはかつての幼馴染の姿だったのだ。
『貴女は…』 『…私も今は『忍』。『叢』と呼んでもらおう』
面をつけて気を取り直した叢がそう言った。彼女は貧民街からどういう経緯か、大狼財閥に迎え入れられていたのだ。
そこへパトカーのサイレンが鳴り響き、一堂は退散していく。


洞窟に戻った一同に、『半蔵学園が月閃女学館に襲われた』という報せがもたらされる。
『この前の件といい、一体飛鳥たちは何をやっているんだ!』
ツンデレ劇の後、仇討ちとばかりに月閃に戦いを挑む焔たち。
詠の相手はあの叢だった。
『貴女から、都市開発をやめるように言うことはできないのですか?』 『それは我にも無理だ。今の我は『忍』なのだ』
かつて幼馴染であった二人は武器を取る。
財閥の令嬢であり、もともとは貧民街で育っていた叢。忍として育ったとはいえその記憶がなくなったわけではない。
詠との激しい戦いの末に敗れた叢は、詠の想いを汲み取り、またかつての思い出の場所を守るために
大狼財閥に都市開発の停止を提案することを約束するのだった。
『また本当の名前で呼び合える日が来ればいいですね』


46 :閃乱カグラ SHINOVI VERSUS 2016/07/11(月) 04:32:11.88 ID:iboKm7Ua0
『私の相手は貴女ですか』
夜桜の相手を担当したのは日影だった。
『葛城はわしのもんや。他にやられてもろうては困る』
そう言った直後、日影は自身の言葉に疑問を投げかける。
『ん?でも葛城はわしのもんやけど、わしは葛城のもんじゃないな。色々もまれたりするのはいややしな。
ということは、葛城はわしのもんでもないんか』
いまいち話がかみ合わないのに苛立つ夜桜。
戦闘後、日影のことを『何を考えているのか分からない』と指摘する夜桜と、『それもよく言われるな』と納得し、
さらに『あんたのおかげで自分を見つめるきっかけが出来たわ、サンキューな』と礼まで言う日影であった。


未来の相手はギャルの四季。…が、無視されるのが大嫌いな未来の前で、四季は堂々と友人と電話していた。
電話の相手との会話の内容がまるで理解できない未来は『この人外国の人なの?』と勘ぐり、片言の英語?で会話を成立させようとして笑われる。
戦闘の末四季を破った未来だったが、『未来ちんマジKYだよ』といわれ、
(KYって何…?あのファンの子もあたしを見たら幻滅しちゃうのかな…)と不安になるのだった。


春花の相手は美野里。言動がいちいち幼い美野里に、春花は『雲雀とは違った可愛さがあるわね』と呟く。
『雲雀ちゃんとは戦っていないよ、遊んだだけだよ』
『じゃあ大人の遊びを教えてあげる』
一戦交えた後、『痛いだけだった』と文句を言う美野里に、春花は『ちょっと刺激が強かったかしら、でもそういうものなのよ』と告げる。
しかし美野里は不機嫌そうに『春花ちゃんは大人ぶってるだけだよ!』と愚痴を言いつつ去っていく。
『大人ぶってるだけ、か…考えてもみなかったな…』


『飛鳥を討つのは私だ!横取りされてたまるか!』
雪泉の前に立つ焔。彼女は焔を前にして『抜忍の生活はどうですか?暇ですか?』と尋ねる。
『暇なわけがない。生活のためにバイトの日々だ』
『忍がバイトですか…』
雪泉の言葉に、焔は『バカにしているのか?』と憤る。
『バカにしているのではありません。興味があるのです』
雪泉は自分の祖父もまた抜忍であったことを話す。それを知った焔は
『苦しくないわけがない。しかし抜忍になった以上、そしてそれに仲間を巻き込んだ以上は自分の道を示す必要がある』と話す。
焔の中に抜忍としての覚悟を見た雪泉は、彼女に戦いを挑む。


戦いの後、焔と雪泉はお互いの強さをたたえあう。
『…その強さの源は…』
雪泉の言葉に、焔は『仲間と、飛鳥の存在だ』と話す。それを聞いた雪泉は、『貴女の抜忍の道の行く末を見てみたい』と話すのだった。


街の中で飛鳥と斑鳩が共にいるのを見た焔と詠。
『この前の件といい、月閃に負けるとはどういうことだ!』
いきなり怒り出す焔に、飛鳥も応酬する。
『負けたのは前哨戦だよ、そのあとは勝ったよ!』
二人を諌め落ち着かせようとする詠と斑鳩。


話は変わってなぜか料理の話になり、斑鳩の料理の腕の話となる。
しかし彼女が作るとんでもない創作料理(味は良好)の話を聞いた詠は
『食べ物に対する冒涜ですわ!』と怒り出し、斑鳩も『わたくしの料理を馬鹿にするのですか!』と返し
今度は焔と飛鳥が二人を諌めることになる。しかし怒り覚めやらぬ二人はそのまま戦闘に突入するのだった。


戦闘後、飛鳥から『とりあえず美味しかったよ』と聞いた詠は斑鳩の料理に興味を示すのだった。


47 :閃乱カグラ SHINOVI VERSUS 2016/07/11(月) 04:33:15.46 ID:iboKm7Ua0
日影の後ろをついてくる者がいた。いや何者かは分かっている。焔に恨みをもち命を付けねらっているという、
忍学生の『旋風』だった。どうやら悪忍でありながら善忍である半蔵学院のものと仲が良い焔たちを良く思っていないようだ。
その性格のために焔たちからは一歩距離を置いている(ように見える)日影のことを『骨があるのはお前だけだ』と話すも、
『わしは感情がないから仲良くするやり方がわからんだけや』と言われ、『お前もか』と怒るのだった。


旋風が去った後、いつの間にか傍らにいたのは春花だった。彼女は自分の感情について不便さを抱く日影に
なにやら怪しげな薬を差し出し、日影はそれを飲んでしまうのだった。


『葛城!元気してたん!』
葛城の前に現れたのは、いやにテンションが高い日影だった。
『な、なんだなんだ、お前本当に日影か!?』
あまりのギャップに驚く葛城。
『何を言うとるん、いつもの日影ちゃんやでー』
『あぁ、こりゃ目を覚まさせないと駄目だな…』
仕方なく、葛城は脚で眼を覚まさせることにするのだった。


戦闘後、日影はいつもの調子を取り戻し、葛城に『春花に薬を飲まされた』と話す。
『ところでその薬、まだ持ってるのか?』
『んなもんどうする気や?』
『決まってるだろ!斑鳩に飲ませるんだよ、面白いことになりそうだぜ…!』
あきれた日影は、自分が責任を持って薬を処分することに決めたのだった。


未来を目にした柳生は『またお前か』というような顔をする。さっそく食って掛かる未来だったが、
『あんたはあたしのことをどう思ってるのよ!』と問いかける。
その堪えは『眼帯が被っていて迷惑だ』というものだった。
『オレには外せない理由があるからお前が外せ』
『その外せない理由ってなんなのよ!』
『オレに聞く前にお前から話すのが筋だろう』
そういわれた未来は、『あたしから話したって話してくれないんでしょ』と迫る。
結局『勝負して負けたほうが先に話す』ということになるのだった。


勝ったのは未来だった。仕方なく柳生は、『眼帯を外さないのは妹のことを忘れないためだ』と話す。
未来のほうは眼帯のことを『自分が見たくないものを見ないためだ』と真逆の理由だと話した。
『でも、見たくないものを見ないようにしていたら自分のことまで見えなくなった気がする』とも話す。
この前の件以来自分に自信が持てなくなっていたのだ。
『…失礼なヤツだな。このオレに勝ったのは自信にならないのか』
そんな未来を、柳生は自分なりのやりかたで励ます。
『周りのヤツなど気にするな。お前はお前だ』とも。
未来は素直に礼を言うが、柳生のほうは憎まれ口で返すのだった。


春花に生じた一つの気鬱。それは先日美野里に言われたことだった。
目の前に立つのは妹分の雲雀。
『私は大人ぶってるだけなのかしら』
そう問う春花に、雲雀は
『そんなことないよ、春花さんは尊敬できるお姉さんだよ』と話す。
結局戦って迷いを晴らすことになるのだが、戦闘後、雲雀は
『春花さんだって誰かに甘えたいときは甘えていいんだよ』と言った。


48 :閃乱カグラ SHINOVI VERSUS 2016/07/11(月) 04:38:23.41 ID:iboKm7Ua0
再び出会った飛鳥と焔。飛鳥は抜忍になった焔の身を案じる。
『正直辛くないといえば嘘になる』と焔は話す。飛鳥は飛鳥で、学生だからこその悩みを焔に話す。
そこに半蔵が高笑いとともに現れ、突然寿司を振る舞い始める。
騒ぎを聞きつけた半蔵の面々と、紅蓮隊の面々も集まってきた。
美味いものに飢えていた紅蓮隊メンバーは夢中になって寿司をほおばり始める。
そんな中、半蔵が焔を呼びつける。どうやら手伝ってほしい作業があるようだ。
半蔵に連れ出された焔は、『辛いじゃろう』と声をかけられる。半蔵は抜忍となった焔の苦しみを分かっていたのだ。
日々のアルバイトを探すだけの生活の先に何があるのだろうか。普通の忍に来るはずの依頼は抜忍にはこない。
だから忍の仕事をするならば悪忍が手を出す以上に汚い仕事をしなければならない。
その報酬はアルバイト代などよりは桁違いに高い。しかし、それは焔が目指す忍とは違う。忍の誇りを胸に蛇女を出た意思とは反する。


そう吐露する焔に、半蔵は『忍が存在する本当の理由』を話す。
現状存在する忍は、社会に暗躍して様々な任務をこなすことを主体としている。しかしそれはあくまでも建前にすぎない。
悪忍も善忍も、本当の目的は一つである。『妖魔』を滅することなのだ、と。
妖魔は忍同士の争いによって生まれる『膿』のようなものだと半蔵は語る。
焔ら忍同士が争う際、存在に気づかれないように、または一般人を巻き込まないように張る『忍結界』こそが
妖魔をおびき出すための仕組みの一つなのだという。
『善悪の忍が結界を使って争うのは、古の妖魔『心(しん)』をおびき寄せ、殲滅するためなのだ』
半蔵はそう告げる。
『そして、その古の妖魔『心』を倒すための最上級の忍の集団は『カグラ』と呼ばれている』
カグラとは善忍、悪忍関係なく、最上級の実力をもつ忍に与えられる称号なのだという。もちろん抜忍であっても例外ではない。
『焔。カグラを目指せ』


半蔵の言葉に吹っ切れた焔は、寿司パーティの会場に戻る。話の続きをしたがる飛鳥に、
『私はもう悩んでいないぞ。お前はいつまでも悩んでいればいいさ』と強がってみせる。
『じっちゃんに何か言われたんでしょ!』
『それなら勝負をするか。お前も戦えば私が半蔵に言われたことを理解できるんじゃないか』
戦いの末、お互いにある程度迷いを吹っ切った二人。
『これから色々なことに悩むこともあるだろうが、私たちはそれを受け入れていかなくてはならない』


そこに、何者かが矢文を放った。拾い上げると、旋風からの連絡だった。
『道元が動き出した』。それを見た焔は、飛鳥に『道元を倒すために蛇女に行く』と話すのだった。


決意を固めた焔の前に、恩師・鈴音が現れる。
『蛇女子学園に行くのか?』
『…はい。道元を止めるために』
『そうか。私も覚悟を決めた。私は蛇女子学園を辞めて忍に戻る。そのためにケリもつけてきた』


鈴音…凛の言った『ケリ』とは、かつての恩師である霧夜のことだった。
かつて実力が不足していた、卒業試験に落ちるはずだった自分に慈悲を与えて卒業させた恩師。その結果、初任務で重傷を負った自分。


半蔵学院の前で凛は立ち止まる。霧夜は屋上にいるようだ。そんな折、一人の忍学生…大柄の女に話しかけられる。
『…悪忍が何のようだ』
他の学生とは明らかに違う気を放つ女に、『戦うつもりはない』と話すが、女は拳を構える。
『うぬはただの忍にあらず…』
交錯する拳とクナイ。お互いの一撃を紙一重で回避するが、女はまだ戦闘態勢にあった。
『仕方がない、お前を倒して進むのみ』
凛はそう言って、得物の大手裏剣を取り出す。大柄な女は拳で向かってくる。

 

49 :閃乱カグラ SHINOVI VERSUS 2016/07/11(月) 04:39:57.18 ID:iboKm7Ua0
お互いの一撃が交錯し、互いに弾かれる。
『…馬鹿な、拳で止めるだと…』
凛の記憶には、そんなことが出来る人物はただ一人しかいなかった。現役学生時代の後輩…大道寺。
『…やはり生きていたか、凛さん』
大道寺も凛の正体を悟ったようだ。
『…霧夜に会いに来たのだな?』
凛はうなずく。
『ならば、決着はそのあとでつけよう』
大道寺の言葉を受け、凛は校舎の中へと走り出した。
屋上では霧夜の背中があった。凛は声をかけられなかった。自分を凛だと分かってくれるだろうか。
そして、過去を許してくれるだろうか。それがとても心配だった。


『凛…生きていたんだな』
声をかけるまでもなく、霧夜は凛の存在に気づいていた。
二人は、互いに過去のことを詫びた。卒業試験の合否に手心を加えたこと、無謀な初任務に挑んだこと…。


『焔、私もまたカグラを目指す』
凛は焔にそう告げる。
『これからの戦い、お前たちも雅緋たちも私の教え子だ。だからどちらにも肩入れはできない。
だが、生き残った方とともに私はカグラを目指すことになるだろう』
『…はい。私たちは…必ず、仲間とともにカグラになります』
焔は力強くそう言うのだった。


蛇女子学園では、雅緋がすでに待機していた。傍らには両備もいる。
『待っていたぞ、蛇女の誇りを貶めた抜忍ども』
雅緋に対し、焔は道元の悪意を告げる。
『道元は妖魔を戦争の道具とするつもりだ。そんな計画に賛同するのがお前の誇りなのか!』
しかし洗脳されているらしい雅緋は、それを否定する。
『ここは両備に任せてください』
前に立つ両備。
『頼むぞ。私は道元様をお守りする』
そう言い残して、雅緋は去っていった。
『焔さん、彼女は私に任せて、早く先へ』
言ったのは詠だった。その言葉にうなずき、道元の下へ走る焔たち4人。


『…どうして仲間のために自分を犠牲になんてしようとするのよ!』
詠がとった行動を、両備が詰る。
『どうせ、そうやってみんなを守ろうとして、いつの間にかいなくなっちゃうんでしょ!?』
叫ぶ両備。どうやら何か理由があるようだ。
『…貴女に負けられない理由があるように、私にも負けられない理由があるのです』


打ち倒された両備は、自分の想いを話し始める。詠は奇妙なほど、両備の姉に雰囲気が似ているのだという。
『両備たちが忍になることを応援したりしなければ、止めていればおねえちゃんは死ななかったのに…
おねえちゃんがいなくなって、寂しくて、悲しくて…」
そんな両備の本心に、詠は『しゃきっとしなさい』と諭す。
『今の貴女に出来ることは、お姉さんの想いを引き継ぐことです。
立派な忍になれば、お姉さんの心は貴女の中に行き続けます』
そう言った詠の目の前で、両備が苦しみだした。どうやら道元の術が解けかけているようだった。(続く)


50 :閃乱カグラ SHINOVI VERSUS 2016/07/11(月) 05:43:46.45 ID:iboKm7Ua0
雅緋と道元を目指してさらに進むと、待ち受けていたのは忌夢だった。
今までの因縁を考えると、今度は日影の出番のようである。焔たちは日影に忌夢を任せて先に進む。
『雅緋のために、道元様のためにお前をここで倒す!』
忌夢もやはり道元によって洗脳を施されているようだった。
『どうやらわしの戦う理由が一つ増えたで。『アホウ』を元に戻してやることや』
『『アホウ』だと?誰のことを言っているんだ?』『道元なんぞにいいようにされとるあんたや…行くで』


戦いの末、日影は忌夢を倒すことに成功する。
『…くそっ、お前は確かに強いな…』 『あんたも強かったで』
『…昔のお前は、冷たくて触れるだけで斬れそうな雰囲気を持っていた。
今のお前は…あの頃よりも腑抜けている。それなのに…あの頃よりずっと強い』
『…そうやな。それはわしに『仲間』っちゅうもんが出来たからかもしれへん』
日影はそう言った。直後、忌夢もまた頭痛を訴える。
『…これは道元の洗脳が溶けそうってことやろか?でも…完全には解けへんようや。道元を倒すしかなさそうやな』


再び見える未来と紫。焔に道元を任せて自分はこの障壁を打ち破らなければならない。
…のだが、紫はどうにも乗り気のように思えず、むしろ戦うのを嫌がっているように見えた。
『…帰りたい…いつもなら、今日は『忍の家のラプンツェル』の更新日なのに…』
そのタイトルに、思わず未来は耳を疑う。
『…あんた、ひょっとしてcute_hikky?』
未来の言葉に、紫は明らかな動揺を見せる。
『どど、どうしてそれを…!?』『それは、あたしが…』『…ま、まさか貴女はクラッカー…!?』
勘違いした紫は、その武器の切っ先を未来に向ける。
『…私の秘密を知るものは生かして帰さない!』


『…少しは落ち着いた?』
なんとか落ち着いた紫を、未来がなだめる。
『…お願いします、内緒にしていてください…あの作者さんが私のことを見たらきっと幻滅されます…』
目の前の紫は、匿名世界でのcute_hikkyとはまったくかけ離れた人物に思える。が、未来はこう語りかける。
『幻滅したりしないよ』『なんでそんなことがいえるんですか?』
『…だって、『仏麗(ふつれ)』はあたしだもの』
今度は紫が耳を疑う番だった。
『…だ、だってネットの書き込みとまったくイメージが…』『それはあんただって同じでしょ。『テンションアゲアゲ~』とか書いてたくせに』
あっ、と思う紫。
『…これからのあたしを…作品を応援してくれると嬉しい。愛読者になってくれてありがと』
未来は自分のファンに照れつつもそう礼を言い、焔たちの無事を祈る。


春花と両奈の周囲には危険な雰囲気が漂っていた。無論『別の意味で』危険な雰囲気である。
『待っていたよ!両奈ちゃんガマンしてずっと待ってたよ!』『あぁらおりこうさんねぇ、それなら今日はどうやってイジメてあげようかしら?』
焔が先に行ったのをいいことに、人目をはばかる必要もなく趣味に興じようとする二人。


『…はうぅ、春花ちゃん激しすぎぃ…』『あら?まだまだこれからよ?』
戦闘後、満足げな両奈に春花が言う。
『両奈ちゃんのこと誰も受け入れてくれなくて、春花ちゃんだけが分かってくれたの!』
『うふふ、それならまた満足いくまでイジメてあげるわよ』
…でも、と春花は一旦言葉を切る。
『貴女は確かにちょっと特殊な趣味をしているけど、でも受け入れてくれるのは私だけじゃないわ。世界は広いんだもの』
そう諭すようにいいつつ、『この子はもう大丈夫ね』と確信する春花だった(色々な意味で大丈夫ではないように思えるが)。


51 :閃乱カグラ SHINOVI VERSUS 2016/07/11(月) 05:45:56.57 ID:iboKm7Ua0
焔が最奥部までたどりつくと、そこに道元はいた。以前斬ったはずの道元が、以前の姿のまま存在していた。
『…久しぶりだな、焔くん』『道元…!』
怒りをあらわにする焔。
『貴様は自分が何をしようとしているのか分かっているのか!?』
口で言って分かる相手ではない。焔は道元に一太刀浴びせようとする。
しかし、斬っているのに手ごたえがない。
『これは…幻術か!?』『…そうとも。あの時お前が切った私も、私の幻を斬っていたに過ぎないのだ』
道元は確かにそこにいるのに、斬っても手ごたえがない。不適に笑う道元と焦る焔。


『覚悟!』
そのとき、道元の背後から襲い掛かる姿があった。
『旋風!』
忍学生の旋風。まだ学生の身でありながら、焔に負けず劣らず蛇女子学園のことを想っていた人物である。
しかし、幻術に守られた道元に傷をつけることは出来ず、逆に一撃を受けてしまう。
倒れた旋風に駆け寄る焔。旋風は焔に、『こんな形で出会っていなければ…』といい、それでも焔に出会ったことに感謝して息絶える。
『…無駄死にをしてしまったな』
そんな旋風のことを、道元は嘲笑する。
『無駄死にだと…!?』
焔の髪が紅に染まる。腰の六爪刀ではなく、背中の太刀に手が伸びる。そして、それを引き抜く。
『…貴様だけは許さん…秘伝忍法・紅!』
背中の一刀が凄まじい速さで繰り出される。しかし道元はそれをも嘲り笑う。
『無駄な努力を。私を斬ることは出来ん』
『…見えているお前を斬ることは不可能だろう。だから私はお前は斬らない!斬るのは…この部屋だ!』
『…な、何っ!?』
焔は部屋の中を縦横無尽に切り裂いた。空間、畳や壁、ありとあらゆるものを。道元は姿は見えないが、この中のどこかに必ずいる。ならば…!
『ぐはっ!』
道元の悲鳴が響いた。
『(…確かに十回以上の手ごたえがあった…!)』
目の前にいた道元の幻が消え去り、声も途絶えた。
『…雅緋、あとはお前だけだ…!』


『…道元を倒したのか』
屋上で雅緋は立っていた。まるで待ち受けていたかのように。
『…お前、道元に洗脳されていたのではないのか?』
『私は完全に洗脳されてはいなかった。他のメンバーは洗脳されていたようだがな』
道元は倒された。それならば、他のメンバーの洗脳も解けているはずだ。
『ならば、何故道元に力を貸すようなマネをしていた!?お前ならば道元に逆らうこともできただろう!?』
『私は…蛇女子学園を潰したくはなかった』
道元は蛇女子学園の出資者であり、有り余る金をこの学園につぎ込んできた。そして雅緋の父はこの学園の長である。
『道元に逆らえば…父は失脚し、この学園そのものがなくなる…』
雅緋が掲げる蛇女の誇りと、焔が掲げる抜忍の誇り、そして信念がぶつかるときが来た。


激戦を制したのは焔だった。膝を突く雅緋に、焔はこう言う。
『やはりお前は、道元に立ち向かうべきだった…忍の、そして蛇女の誇りを示すのならば尚更』
そこに、各陣営のメンバーたちが駆けつけ、戦いの終結を悟る。
『…雅緋。私は『カグラ』を目指す』
焔は雅緋にそう告げる。だからお前も強くなり、誇り高い蛇女を再建し、ともにカグラを目指せとも。
自分にも、そして目の前の雅緋にも信頼出来る、そして共に強くなろうとしてくれる仲間がいる。それは必ず実現できることであろう。


52 :閃乱カグラ SHINOVI VERSUS 2016/07/11(月) 05:46:46.46 ID:iboKm7Ua0
…森の中、焔たちは異様な気配を追っていた。血の匂いを漂わせるそれは、紛れもない『妖魔』だった。
斬撃と打撃、銃弾の嵐が妖魔を撃ち、やがて敵は倒れる。
『…これで一丁上がりか』
『1対5だったけどね』
一息つくメンバーたちだったが、周囲に更なる気配を感じ取る。それも1体や2体ではない。
『囲まれている…さっきのヤツはオトリか!?』
無数の妖魔が焔たちを取り囲んでいた。
背後から攻撃を受けないように背中合わせに陣形を組む一同。しかし敵の攻撃が激しく防戦一方だ。
そこに妖魔の攻撃が迫る。


瞬間、黒い炎に燃やされた妖魔が焔の目の前で崩れ落ちる。
『…こんなヤツ相手に遅れを取るとは、腕が鈍ったのではあるまいな』
…雅緋たち蛇女子学園の選抜メンバーだった。
『今ちょうど体が温まってきたところだ!』
強がりを言う焔。人数が増えたとはいえ敵は大勢だ。しかも、敵は新たな動きを見せようとしていた。


なんと巨大な岩山のような妖魔が現れたのである。かの怨楼血を思わせるかのような巨体だった。
『…あんなヤツまでいるの!?』
妖魔から炎が吐き出され、一同は吹き飛ばされる。
『これが妖魔の力なのか…』
恐らく、古の妖魔『心』とやらはこの妖魔などは足元に及ばないほどの強大な力を持っているのだろう。
『ここでやられるわけには…』
焔たちに向かい、巨大妖魔が更なる一撃を放とうとしていた。


焔たちの目の前で、打ち出された炎の弾が凍りついた。
『これは…!?雪泉か!』
瞬時に凍結させたのは月閃の雪泉だった。もちろん他のメンバーも後に続いている。
妖魔が怯むような声を上げた。見ると半蔵学院のメンバーたちがすでに巨大妖魔に攻撃を開始していた。
『飛鳥!』
『…ヤツらに手柄を持っていかれてたまるか!』
忍たちが善悪の壁を乗り越えて妖魔に向けて立ち、走り出していった。
(焔紅蓮隊編 完)


53 :ゲーム好き名無しさん 2016/07/11(月) 05:48:05.11 ID:iboKm7Ua0
閃乱カグラ SHINOVI VERSUSのメインストーリーは一応これで投稿完了です

 


63 :ゲーム好き名無しさん 2016/07/11(月) 20:22:17.49 ID:iboKm7Ua0
零式の人乙です
カグラSVですが個人ストーリー『百華繚乱記』もあったので、そっちも一応投稿しようと思います
本編の流れとはまったく関係ないストーリーで、全員が全員と面識があるのを前提としています


64 :閃乱カグラ SHINOVI VERSUS 2016/07/11(月) 20:24:14.74 ID:iboKm7Ua0
百華繚乱記(各キャラ最後の『』内はスタッフロール後に『完』の文字と同時にキャラが喋るボイス(うろ覚えあり))
<飛鳥>
半蔵が太巻きの新メニューを計画しているらしい。
意外性があり美味、という食材を求めて飛鳥は走る(このシナリオの第一声は飛鳥の『私、太くて大きいのがいい!』である)
葛城からチャーシュー、春花に変な薬を飲まされそうになるも出汁用昆布をもらい、
『雲雀のお菓子を食べた』という誤解をしたお詫びに柳生から一年干しスルメを頂き、
『最高の食材はもやしですわ!』と高らかに叫ぶ詠から無農薬もやし、そしてひたすら追い回してくる美野里から生クリームを譲りうけ、
ついに作り出された新メニューが半蔵および紅蓮隊のメンバーに振舞われる。
『やっぱり太巻きは大きくて具がぎっしりなのがいいね!』


<斑鳩>
クラス委員であり年長組である斑鳩は風紀の乱れを気にしていた(この人のスカートも大概短いが)。
そこで風紀の乱れを律するべく各所を周る。
深夜徘徊が趣味の四季を戒め、誰にでもいいからイジメてほしい両奈を公序良俗違反の名目で取り締まり、
言動が不埒卑猥な春花をとっちめ、家に引きこもる紫を引っ張り出すことに成功。
しかしそれを『やりすぎ』と注意した忌夢との戦闘に勝ったものの、戦闘中にほぼ全裸にされてしまい、
反対に『キミに風紀云々言われたくない』と指摘されてしまうのだった。
『風紀が…私の貞操が…ぁ…』


<葛城>
葛城は困っていた。半蔵のメンバーが、セクハラ行為に慣れてしまったのである。雲雀ですら反応が冷たい。
そこで葛城は新しい獲物を求めて各所を周ることにしたのだった。
巨乳しか見えていない葛城には未来は最後まで見えなかった。両備は途中から見えたようだが、見失ってしまった。
雅には『私は女だ!』と怒られた。両奈はセクハラすると喜ぶ人だった。
そこに春花が立ちふさがる。『真のセクハラ女王は私よ!』
『いくぞ!クロスハンドもみもみ!』『なんの!バックハンドもみもみ!』
こうして史上最低の戦い『セクハラクイーン決定戦』が始まった。
『セクハラ女王にアタイはなる!』


<柳生>
柳生は後悔していた。どうやら訓練の際に少し言い過ぎてしまったようだ。雲雀はどこかに走っていってしまった。
どうにか機嫌を直せないか、と考える。
まずは葛城に雲雀の行く先を訪ねる。途中で両備からウサちゃんキャンディーをもらい、
売り切れ直前だったウサちゃんおせんべいを買おうとしていた夜桜からなんとか奪い取り、美野里からケーキを受け取る。
しかし雲雀のもとにはすでに春花がいた。 壮絶なバトルの後、『喧嘩は駄目だよ、仲良くしてよ』と諭されるも、
仲良しを装う背後で脚の踏み合いをする柳生と春花だった
『春花…雲雀はお前には渡さん…!』


<雲雀>
『悪忍でも善忍でも友達は作れるはず』。考えてみれば雲雀には半蔵メンバー以外の友達が少ない気がしていた。
そんな雲雀は、他の学校に『純粋な意味での友達作り』が出来ないかを模索する。
途中オタク趣味の未来と意気投合し、せんべい好きな夜桜と何枚食べるかで張り合い、
キャンディー好きな両備とも友好的になることができた。
そんななか忍兎(雲雀の秘伝動物。扱いは飛鳥のガマと同じはずなのに常時出現したり自律移動可能)が失踪する。
どうやら紫が持っていたクマのぬいぐるみ『べべたん』と友達になりたかったようで、二人は(なぜか戦いの末)友達になる。
学院に戻ると柳生がおり、どこへ行っていたのか、というやり取りの後戦闘になる。
この後、半蔵学院のメンバーを集めての雲雀の誕生会が開かれるのだった。
『みんな、みんな友達だよ!』


65 :閃乱カグラ SHINOVI VERSUS 2016/07/11(月) 20:24:46.84 ID:iboKm7Ua0
<雪泉>
『正義』とは一体何なのだろうか?雪泉は悩んでいた。自分たちは善忍である。ならば正義の形を知らなければならない。
雪泉はそれがどんなものなのかを探るべく、知り合いに尋ねることにする。
詠は『お金』と一つの考え方を述べる。確かにお金で解決できることも多い。しかし雪泉は『お金が正義とはさすがに考えたくない』と呟く。
春花は『色気』、美野里は『おいしいもの』、葛城は『おっぱい』とセクハラをしつつ答える。体は熱くなったものの正義とはさすがに思えない。
そんな中、誤解から柳生と雲雀と戦うことになってしまうが、『可愛いのは正義だ!』という柳生の言葉に雪泉は突き動かされる。


忍部屋に帰った雪泉はさっそくフリルたっぷりの衣装を纏い、語尾もなんとなく変えてみたのだが
それを見た四季は、『みんな来て!雪泉ちんがおかしくなっちゃった!』と叫び声を上げるのだった。
『可愛いは、正義…プリ』


<叢>
叢と四季の実践訓練の途中、四季が叢の面を盗み取って逃げていってしまう。
恥ずかしくて仕方がない叢は、四季を追ってひた走る(このシナリオ中は叢が面を外して出撃する(セリフは変わらない))。
四季に面を見せてもらっていた夜桜は、手入れしていることを褒めていた。
日影は『今日は面をつけていないんやね』と珍しそうに言うが、叢のほうは恥ずかしくて仕方がない。
飛鳥は『お面がなくても十分可愛いよ!』と飛鳥は言うが、『我の顔なんて見たら目が腐る』と言うことを聞かない。
雪泉もまた『お面がなくても貴女は貴女じゃないですか』と話す。
やっと追いついた四季は戦いの末に面を返してくれたが、叢は面をちょっとだけ外して四季に礼を言うのだった。
『可愛いだなんて…』


<夜桜>
訓練中、雪泉が飛ばしてくる氷塊に完敗してしまった夜桜は、自分の武器の長短を理解するために様々な相手に挑戦する。
緒戦は忌夢。武器のメンテナンス中だから戦いは無理、と言った彼女だったが、そこらへんに落ちていた棒を使って応戦、
臨機応変な忌夢のスタイルを賞賛する。
明らかに不利に見えるスナイパーライフルを持つ両備を相手にする夜桜は、『冷静に対処することの大切さ』を理解する。
次は速さに優れる斑鳩の居合術。こちらは『どんな武器にも弱点がある』ことを学ぶ。
変幻自在な雅緋との激戦を経て焔と一戦を交え、夜桜は『最後まで諦めない』という最高の武器を手に入れる。
次は雪泉と対等以上の勝負をしたい。そう思った夜桜は、焔に訓練の続行を依頼するのだった。
『わしの拳は…砕けんのじゃ!』


<四季>
四季は悔しがっていた。自身が書いているブログの閲覧数が明らかに落ちていたのである。
こうなれば新しいネタを探さなければなるまい、と考え、四季は方々を巡る。
まずは雲雀から色々と流行ものなどを聞き出し、ついでに写真も撮る。
次は日影、無表情で感情がない、と自称する彼女は撮影に快く協力してくれた。
さらに両奈…だったのだが、内容が過激すぎて掲載に不安を感じ、案の定検閲に引っかかってしまった。
次の被写体は『イケメンで巨乳とか!』の雅緋だった。本人に気づかれないように撮影に成功する。


最後は未来だったが、彼女からは面白いものは撮れそうにない…と思った矢先、
(秘伝忍法で)股間からガトリング砲を出す彼女の技に驚愕するのだった。


夜中、ブログの閲覧数を確認していた四季。どうやら撮った中では未来の記事の閲覧数が多いようだ。
しかし次に彼女は驚愕することになる。なんと自身のブログに、四季の入浴写真が掲載されていたのである。
『こ、こ、これってもしかして…クラッキング!?…いやあぁ、見ないでぇーー!』
それは散々バカにされたあげく股間からガトリングの写真を撮られた未来の仕業だった。
『フルヌードなんて、マジでありえなーい!』


66 :閃乱カグラ SHINOVI VERSUS 2016/07/11(月) 20:25:28.28 ID:iboKm7Ua0
<美野里>
美野里はお腹がすいていた。背中のでっかいリュックサックを探すもあったはずのお菓子がない。
『美野里ちん、さっきお菓子食べてたじゃん』
四季に言われ、確かにそうだ、と気づく美野里。でもどうしてもお菓子が食べたい美野里は『魔法の言葉』を思い出す。
『とりっくおあとりーと!』
『な、なんでハロウィンなの?』
『これを言えばお菓子をくれるんだよ!』
美野里は勇んで忍部屋を飛び出していった。
半ば強奪に近い形で飛鳥、夜桜、両備からせんべいやらキャンディーをもらった後、
斑鳩にあまりおいしくなさそうな創作お菓子を食べさせられそうになったので逃げだし、
最後に出会った詠に渡されたのは『安くて美味しい』というもやしチョコレートだった。
それを食べてしまった美野里は未知の味に目覚めてしまい、もやしスイーツから抜け出せなくなってしまうのだった。
『もやし!お菓子!どーん!』


<雅緋>
雅緋は苛立っていた。というのも、蛇女子学園の忍学生たちが、自分の姿を見るたびに『雅緋様~!』とキャーキャー騒ぐからだった。
最近はトイレの中にまで待ち受けていたり、とストーカーじみた者まで現れる始末だった。
このままでは訓練や忍としての任務に差し障りが出るかもしれない。…そうだ、女らしくなればキャーキャー言うのをやめるだろう。
そう思った雅緋は、様々な人物に話を聞いてみることにした。
飛鳥は『雅緋ちゃんのこと…?うーん、強くてかっこよくて…』
叢には『少年漫画の主人公みたい!』と言われた上、主人公が捕まってあんなことやこんなことをされる漫画を見せられ、
斑鳩には『素敵な殿方』と言われた上倒錯的な視線を送られ、さらに四季にはズバリ『超イケメンじゃん!』と断言されてしまう。
悩む雅緋の前に現れた忌夢。彼女は『強くてかっこよくてイケメンで素敵な殿方でいいじゃないか!ボクはそんな雅緋が好きだ!』と言うが
雅緋は『私は女だああぁ!』と叫んで走り出すのだった。
そこに現れたのは葛城だった。意外に彼女なら助言をしてくれるかもしれない、と思い相談してみると
葛城は笑いながら『まずは服装から女の子してみようぜ』と、バーゲンで買ってきたばかりの服を差し出した。


早速に着替えてみると、そこに忌夢が駆けつけてきた。『忌夢!私はこれからこの路線で行くぞ!』
女の子らしい服装をした雅緋を直視した忌夢は鼻血を吹いて倒れるのだった。どうやらまだ悩みはつきないらしい。
『もうイケメンでいいよ!』


<紫>
もともと引きこもりで孤独を愛する紫には新しい悩みがあった。任務や訓練が終わってやっと一人になれる、というときに
姉の忌夢や、先輩の雅緋が部屋に上がりこんでくることである。ある日ストレスを我慢できなくなった彼女は
雅緋と忌夢の静止を聞かずに飛び出していってしまう。
街中で出会った日影、自分を追ってきた雅緋や忌夢を退けるが、彼女の中で自己否定は続いていく。
『私はいらない子なんだ…いなくならなきゃならないんだ』
…そんなとき、誰かが後ろから声をかけていた。


飛鳥は自己否定を繰り返す紫を優しく諭す。心が深く傷ついた紫は感情を爆発させるも、
激戦の後なのに笑っている飛鳥に対して『何故笑っていられるんですか?』と問う。
『紫ちゃんがここにいるからだよ』という返事。
『一人より二人、二人よりみんなで笑うほうが楽しい』。飛鳥はそう言った。太陽のような笑顔だ。
思えば、自分の蛇女子メンバーと行動を共にするようになってからよく笑うようになった気がする。
メンバーの存在が自分を変えたんだ、と紫は気づくのだった。
部屋に戻ると、雅緋と忌夢が残したメモがあった。『次からはノックをしてから部屋に入るようにする』と書かれていた。
安心した紫はベッドに体を投げて深い眠りにいざなわれるのだった。
『みんなでいるって…楽しいね…』


67 :閃乱カグラ SHINOVI VERSUS 2016/07/11(月) 21:31:36.92 ID:iboKm7Ua0
<忌夢>
忌夢の悩みは唯一つ。『どうしたら雅緋は振り向いてくれるのか』だった。それは自分に魅力がないからだ、と結論づける忌夢。
ならば魅力とはなんだろうか、と忌夢は女子力アップのために様々な人物を当たることにする。
最初は雪泉。日本舞踊を取り入れたその動きに、忌夢はしばし見ほれる。しかし自分でもやってみようとすると
『なんですかその滑稽な動きは』、と笑われてしまうのだった。
続いて葛城は、『そんなのアタイが揉めば女の魅力アップ間違いなし!』とセクハラしようとする。
『やめろ気持ち悪い!』と一蹴する忌夢。
次は見た目的に可愛い雲雀に『忌夢ちゃん、自分のおっぱい触って何してんの?』と見咎められる。
どこをどう勘違いしたのか『雲雀を倒せば可愛くなれる』と思った忌夢は雲雀を泣かせてしまうのだった。


…そして四季に『忌夢ちんは表情が硬いんだよ!』と言われ
ためしに変な顔をしてみたところを写真に撮られてしまったので、四季をとっちめて写真を削除するのだった。


次にやってきたのは柳生である。雲雀を泣かされて怒り狂う柳生に、忌夢は思い切って『魅力的な女とは何か』を尋ねてみる。
『知りたければオレを倒してみろ!』という柳生をなんとか退ける。
仕方なく柳生は忌夢に向かって秘術『イカした麗しの君』を使用する。
…どうやら忌夢の外見が変わったらしい。『これで雅緋に好かれる…のか?』と思い自分の姿を水面に映して見ると、
ピンクの髪、ツインテールにリボン、体操服にブルマ…つまり雲雀のコスプレ状態だった。
柳生に聞いたのを果てしなく後悔する忌夢だったが、折り悪くそこに雅緋が現れる。
雅緋は彼女に『…お姫様抱っこさせてくれ!』と迫るのだった。
『…雅緋!もうボクを好きにしてくれ!』


<両備>
…忍転身すると胸が大きくなる。紅蓮隊の未来ならば興味を示すことだろう。
しかし実際には、転身して戻るたびに現実を見せ付けられるという苦悩の連続なのだ
『…どうして両備の周りはみんな誰も彼もが爆乳だらけなのよ!』
両備は激しく苛立っていた。知り合いの誰も彼もが未来を除けば巨乳だらけなのだ。
『こうなったら八つ当たりしてやる!』
…両備の八つ当たり旅行が始まった。
出くわす爆乳の面々はいずれも『路地を通りにくい(日影)』、『小さければ見栄えがよく着物を着易い(雪泉)』、
『動きにくく拳を繰り出すのに邪魔(夜桜)』と自分には到底できない悩みを打ち明けられ、両備はとにかく八つ当たりを繰り返す。
(夜桜に至っては揺れないように胸を縛られてる)
そんな中出会った飛鳥は、(何故かは分からないが)『胸が大きくなる秘術』を知っていたらしく、両備はそれを倒して無理矢理会得する。
両奈との準備運動(戦闘)の後でそれを実行する両備。『乳乳転身!』
するとみるみるうちに胸が膨れ上がっていく。転身後の姿を超えてさらに、さらに大きく。
『りょ、両備ちゃん、これZカップはあるよ!』
両奈の叫び。両備は想像していたものとは違う効果に幻滅しつつ、立派な『見せられる大きさ』の自分を想像してやまないのだった。
『デカけりゃいいってもんじゃないのよ!』


<両奈>
人には理解されない趣味を持つ両奈。彼女には不満があった。いわずと知れた欲求不満なのだが、
ただ単にイジメられればいいというものでもない(らしい)。
自分と一緒に踊るように(?)イジめてくれる人を探すことにする。
両備は自分をいつもイジメてくれるが、さすがにいつも過ぎて物足りない。
雅緋は訓練以外のことには興味がない、葛城・焔はいい感じに痛めつけてくれるものの、両奈は『ダンス』という要素を諦めきれない。
最後に行き着いたのは、日本舞踊を特技とする雪泉のところだった。…しかし彼女は迫る両奈におびえて逃げていってしまう。
それを放置プレイと勘違いした両奈は理想のご主人様をとうとう見つけたのだった。
『お預けの後には…ゼッタイ、ご褒美…よねっ♪』


68 :閃乱カグラ SHINOVI VERSUS 2016/07/11(月) 21:33:41.11 ID:iboKm7Ua0
<焔>
アジトの洞窟に笑い声が響いていた。どうやら日影のクシャミが変だ、ということで笑っていたらしい。
そこでなぜかそれぞれの『もちネタ』という話になり、一同は焔に冷ややかな視線を送る。
彼女は自分の『持ちネタ』を得るために知り合いを当たることにするのだった。
まずは春花…だが危険すぎてNG。次に動物の真似が上手い叢に当たってみたものの自分には無理のようだ。
四季は『こういうのはどうだ?』と腹話術で帽子を喋らせてみせる。
しかし、『あの帽子が喋っていただけだったのか。そんなの私に出来るわけないじゃないか!』
(※腹話術だったのか帽子が喋れるのかは不明)
紫は姉忌夢がしでかした失敗の数々を嬉しそうに話すが、いたたまれなくなってしまいその場を後にせざるをえなかった。


たどりついたのは斑鳩の元。彼女は『聞いても無駄だろうな』と思ったものの斑鳩自身に促されて
『お前…ギャグとか無理だろう?』と尋ねる。
訊かれた斑鳩は自信満々に『ふとんがふっとんだ!』と叫び、凍りつく焔に『これは『布団』と『ふっとんだ』がかかっていて』…と説明し始めた。
『説明するな!ただでさえ寒いのに…』『まだありますよ!『隣の家に囲いができたって…』『やめろ!それ以上言わせん!』


『…どうしてあいつはあんなに自信満々なんだ…』
しかし、自信満々で思いついたことを言い放った斑鳩の姿勢はある意味見習うべきかもしれない。
アジトに帰った焔は意気揚々とメンバーを集め、おもむろに布団を被り六刀を布団の外に突き出した。
『ヤドカリ!』
…布団の中から焔は爆笑の嵐を期待していた。しかし外の空気は凍りつくのだった。
『ヤドカリより、ロブスターのほうが良かったか…』


<詠>
貧民街出身である詠には、世の中に溢れる無駄が許せなかった。
『贅沢は敵です!』そう断じた彼女は、無駄と贅沢を徹底的に排除するためにアジトを発つことを決意する。
まずは未来の贅沢を排除した詠の前に、バーゲンで服を買い漁る四季が現れる。
『その大量の服はいつ着るんですか?』『いつか着るかもしれないじゃん。着てない服もあるけど』
そう言われた詠は四季を強く戒めることにする。
次に対峙したのは叢。彼女は財閥の娘である。
『どんな食生活なのですか?』『まず朝は…』『そもそも三食食べるのが贅沢です!』
『栄養のバランスなどを考えないと体調に響く』と言う叢に、難癖なのかひがみなのか分からない文句をつける詠。
お腹が減ってきた詠の前に現れたのは、白く美しい肌と着物を持ち美しく舞う雪泉だった。
『あぁ…その白く細い美しい体と着物を見ていると…もやしを思い浮かべますわ』
よほどお腹が減っていたのか雪泉の姿から大好物のもやしを連想した詠は、その着物を剥ごうと襲い掛かるのだった。
空っぽのお腹を引きずってたどり着いたのは美野里の前。『パンがなければお菓子を食べればいいじゃない!』と言う彼女だったが
詠のほうは『お菓子も贅沢のうちです!』といわんばかりだった。
やぶれかぶれになった美野里は『お菓子攻撃!』とバッグからお菓子を投げつけるも、詠はそれをキャッチして口に放り込む。
『わーん、お菓子攻撃が通じないよー!』 『い、いえ、通じていますわ!ですからもっとお菓子を投げてくださいまし!』
よほど美味しかったのか『まんじゅう怖い理論』でお菓子を要求する詠。
『贅沢は敵じゃなかったの?』 『贅沢は敵ですけれどもお菓子はいいんです!』
詠は美野里から次々と投げられるお菓子を片っ端から腹に収めるのだった。
『パンがなければお菓子を食べればいいのですわ!』


69 :閃乱カグラ SHINOVI VERSUS 2016/07/11(月) 21:42:49.02 ID:iboKm7Ua0
<日影>
日影は感情がないことを自覚している。故に紅蓮隊のほかのメンバーの心の動きについて理解できないところがある。
今日は『トキメキ』について考えていた。自分には理解出来ないが、他の人間はどう考えているのだろうか。
まずは詠。…なのだが、彼女の答えは予想通りの『もやし』。『まぁ詠さんが『もやし』なのは想定内やね』。
途中大きな荷物を持ったまま転んだ叢と遭遇し、荷物の中身が漫画(というか薄い本)だった。中身は見せてもらえなかった。
焔は『そんなの決まっているだろう、戦いだ!』と日影に勝負を挑む。『…確かに悪いもんやないけどいつもどおりやな』。
美野里はお菓子だったのだが、彼女から一つもらって食べてみてもトキメキが理解できず、結果的に美野里が持っていたお菓子を全て食べてしまうのだった。
最後にたどりついたのはクマのぬいぐるみ相手に遊ぶ紫だった。彼女が言うには、『べべたん』は無二の友達でかけがえのないものらしい。
無論日影には理解できないものだったが、彼女は数々の戦いを経て結論を出す。
『そうか…人は好きなものに『トキメキ』を感じるんやな』
自分が何に対してトキメキを持つのか。そう考えた日影は買出しに出かけるのだった。
日影が作ったのは『もやし昆布鍋』だった。焔は『肉は入ってるんだろうな!?』と尋ねる。
日影は『底のほうにたくさん入っとるで』と答え、焔は『肉きたああ!』と叫ぶのだった。
一同が喜ぶその姿。日影はその日常を見るのが好きだったのだ。
『トキメキって…素敵やな』


<未来>
未来はレアアイテムをゲットして歓喜していた。
彼女は『戦国スーパーウォーズ(ダーヨとかフォーシューとか言ってるのでス○ーウ○ーズ的なものだと思われる)』の大ファンである。
いや、ファンというよりは『ガチオタ』だった。レアアイテムを求めるために整地巡礼と称して街へと繰り出す。
まず出会ったのは四季。しかし彼女は『レアで話題のもの』だから求めているらしい。怒った未来は彼女をとっちめる。
そして美野里。彼女はどうやら作品云々というよりは可愛いものが好きなだけのようで作品自体のファンとは違うらしい。
さらに雲雀。ここにきてようやく戦国スーパーウォーズを理解できる者が現れた、と思いきや『原作』の言葉を聞いたとたん口ごもる。
どうやらアニメを見てファンになったらしい。『ニワカは許せない』と未来は怒り出すのだった。
『べべたん』に言われて嫌々ながら会場に来たらしい紫は、人ごみの中でべべたんを落とし踏まれてしまい怒り出す。 それを諌める未来。
さらに出会ったのは叢だった。『…こいつはあたしと同じ、ガチオタだ…』互いに認め合い、警戒しあう二人。
しかしそのスキに美野里がレアアイテム(若かりしダーヨ師匠のフィギュア)をゲットしてしまうのだった。
憤る未来を、叢は『案ずるな…レアアイテムはまだ他にもある』。言われてみれば確かにそうだ。
それよりも今はガチオタ仲間に出会えたことを喜ばなければならない。
『…決着をつけるときが来たようだな』『…待て…』『何…?貴様、まさか…!?』『イエス。アイアムユアマザー』。ニヤリと笑う二人。
(やっぱりこの展開よね!)
二人のガチオタはその場で戦国スーパーウォーズごっこを始めるのだった。
『フォーシューとともにあらんことを…』


<春花>
春花の趣味の一つには薬品作りもある。今回作ったのは『いい子になる薬』だった。
彼女は知り合いに飲ませて実験してみることを思いつく。
『春花が作った』というだけで当然警戒している焔、葛城に飲ませることに成功し、次のターゲットは斑鳩。
『クラス委員を見込んで頼みがあるんだけど、この薬を飲んでもらえない?』
そういうとあっさりと斑鳩は飲んでしまう。…が、『どう?』という質問に『味は特にない』と答える斑鳩。ほくそ笑む春花。
次の忌夢も、『雅緋ちゃんからの差し入れ』といって差し出すと勇んで飲んでしまう。が、最終的に騙されたと気づいて襲ってくるのだった。
最後は両奈。彼女はもともと痛めつけられることが喜びなので、やっぱり喜んで飲んでしまう。
実験の末、少し飽きてきてしまった春花は5人の『いい子』を引き連れてアジトに戻るのだった。
すっかり従順になった5人を眺め『これからどう可愛がってあげようかしら』と思っていると
『がるるる…』突然焔と両奈が唸り声を上げた。そして他の3人も。
どうやらドMにする薬は、服用後の副作用でドSにしてしまうようだった。縛り上げられた春花。
いつもはドMの両奈も含め捕まえた5人のドSに囲まれるのだった…。
『たまには受け側もいいわね♪』


70 :閃乱カグラ SHINOVI VERSUS 2016/07/11(月) 21:44:43.22 ID:iboKm7Ua0
これで本当に投下終了です。容量ツメるのキツかった…orz
 

最終更新:2016年07月23日 21:15