バテン・カイトス 終わらない翼と失われた海
 
・要約版:要約スレpart2-649, 661~663
・詳細版:Part22-461~462・488~489・534、Part25-187・302~307・328~339

649 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/21(金) 18:16:07 ID:XRzHqjzg0
バテン1お願いします

661 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/29(土) 22:58:36 ID:tJN+S/IM0
>>649
ちょっと長めになったけど

<設定用語とか>
・プレイヤー=主人公カラスに憑いた精霊。ゲーム開始時以前の記憶はない。
・マグナスはカードみたいなもの。
 この世界には物をマグナス化する、マグナスから物を実体化する技術がある。

662 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/29(土) 23:00:46 ID:tJN+S/IM0
<本筋の邪神関連の話>

千年前、戦いの末に邪神が5枚のマグナスに封印された。
戦いによって大地は穢れてしまったので
邪神の力で大地を浮かせ、魔術師と魔女の女王は協力して女王の体に海を封印した。
人々は5つの浮遊大陸+αを中心とした空の世界に住むようになった。

5大陸の1つを統べる帝国は邪神の力を悪用しようと企む。
主人公カラスは少女シェラと出会い、帝国の企みを阻止する旅に協力することになる。
2人は仲間を増やし、一部の国の協力を得ながら、5大陸に1枚ずつある邪神のマグナスを帝国と奪い合う。

最終的に邪神の力は「ミラ」の国の主の孫娘ミローディアと仲間を裏切ったカラスのものに。
2人は共謀して裏で糸を引いていて、精霊(プレイヤー)は計画に反対していたので記憶を消されていた。

カラスに捨てられた精霊(プレイヤー)はシェラに憑き、体制を立て直す。
途中でシェラが魔女の女王であること、邪神復活の予知夢を見て旅に出たことがわかる。

その後再びカラスとミローディアに会う。
カラスを説得して仲間に戻すが
仲間達の強い絆が接着剤の役割を果たしてバラバラだった邪神がくっついて復活する。

邪神に邪魔されつつも一行はいろいろパワーアップして最後の戦いへ。
ミローディアは一度死んで邪神の力で蘇っていたこと、邪神の力が彼女を操って邪神復活をさせていたことがわかる。
それを知ったミローディアは自暴自棄になり、邪神に取り込まれる。
ミローディアを取り込んで完全体となった邪神との戦いの末、カラスはミローディアを助け出す。
邪神を封じていた5枚のマグナス、カラスのいのちのマグナス(※後述)、精霊の力をあわせて邪神を倒す。

大地が浄化され、浮遊大陸は地上に戻ってくる。
シェラまで代々受け継がれていた海の封印も開放もされてハッピーエンド。

663 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/29(土) 23:04:24 ID:tJN+S/IM0
<補足のカラスの出生の話>

昔、帝国では本来不可能なはずのマグナスから命を作る研究が行われていた。
カラスはその研究の失敗作。その後に作られたフィーは成功作。
研究者は2人と接するうちに考えが変わり、2人を連れてミラへ逃げる。

数年後、帝国の追っ手が襲来して研究者は殺される。
カラスも死にそうになるが、フィーの命を貰うことで生き延びる。
復讐を誓うカラスはミローディアと出会い、邪神の力を得るためにミローディアに協力する約束をする。

この後本編につづく。

カラス自身は自分の出生を知らない。
いろいろパワーアップして~の辺りで研究者の旧友から知らされる。


461名前:バテン・カイトス~終わらない翼と失われた海~[sage]投稿日:2006/05/05(金)01:45:02ID:fsYoD+qX
用語
・精霊憑き

精霊と呼ばれる異世界の存在(プレイヤー)に憑依された人。
(主人公は精霊憑きの青年カラスで、プレイヤーはカラスに憑いた精霊という設定)
伝説では選ばれし者だけがなれるとされ、世界の命運を左右する存在とも言われる。

通常、精霊の言葉は精霊憑きにしか聞こえない。

・マグナス
物質の本質をカードに抽出したもの。
空のカードに物質の本質を抽出することをマグナス化と言う。
生き物はマグナス化できない。

・こころの翼
大陸が空に浮かんでいる世界で人々が手に入れた能力で、心の有り様を翼として具現化したもの。
大陸に住む人々には全てこころの翼が備わっているが、唯一帝国に住む人だけは機械化された生活に慣れてこころの翼を失っている。
主人公カラスにはこころの翼が生まれつき片方しかなく、もう片方は飛翔器と呼ばれる機械の翼で補っている。

 

ゲームを始めると、プレイヤーは精霊となってゲームの世界に降り立つ。
「あなた、気に入られたみたい」

少女の声が響く。

「えっと、名前は?」

主人公のカラスは少し照れたように精霊に聞く。
プレイヤーが自分の名前を告げる(入力する)と、

「変わった名前だな」と言われる。

そして暗転。

 

カラスはケバルライ村の医師ラリクシの家で目を覚ます。
月騙しの森で倒れていたところをミーマイというものに助けられ、ラリクシのところまで運ばれたらしい。
ラリクシの話によると、頭の打ち所が悪く一部が記憶喪失になっているかもしれないとのこと。
カラスの方は大丈夫だったが、精霊は目覚める前の記憶が無くなってしまったことが発覚。
しかしそのうち元に戻るだろうということでとりあえず保留に。
ミーマイに助けてもらったお礼を言いに行くと、ミーマイはグレイソーンという種類の動物だった。
村の様子を見て回ると、最近月騙しの森の様子がおかしいらしい。
旅の少女シェラが森に向かうのを見て自分も興味本位で月騙しの森へ行くことに。ミーマイもついていく。
月騙しの森へ行くと、先に向かっていたシェラがモンスターと闘い、苦戦している。
カラスがそれを助けて協力してモンスターを倒す。カラスに憑いていた精霊の存在に何故か気付くことが出来たシェラ。
カラスは不思議がるも、とりあえず月騙しの森を探索するという同じ目的でシェラが仲間に。
ミーマイはシェラになついて、シェラにくっついてく。
森の奥へ行くと、神秘的な泉が。すると突然シェラの持っていたペンダントが泉に反応し、泉の主が現れる。
襲い掛かってくる泉の主を倒すと「マルペルシュロが蘇る」という謎の言葉と共に黄金に輝くマグナスが手に入る。
カラスがシェラに今のことを問いただそうとするが、そのとき突然空に帝国の戦艦が現れて2人を取り囲みカラスは気絶させられる。
カラスが気付くと、帝国の将軍ジャコモが黄金のマグナスを奪ってシェラを攫っていったところだった。
ジャコモはカラスの祖父と弟を殺した仇で、カラスが探していた人物だった。
突然の登場に驚くも家族の仇を討つために帝国の戦艦の後を追うことにするカラス。
村に戻ると戦艦は古都フェルカドの方向に向かって行ったらしい。マルペルシュロについて聞くと、
マルペルシュロとは千年前に死んだ邪神で、カラス達の先の行動によって邪神が復活するかもしれないと言われる。
なかば村を追い出される形でカラスは古都フェルカドへと向かった。

 


462
名前:バテン・カイトス~終わらない翼と失われた海~投稿日:2006/05/05(金)12:42:20ID:fsYoD+qX
 
 
 
 
 
 
 
 
ジャコモを追って古都フェルカドまで来たカラスだが、戦艦が停泊している領主ロドルフォ
の館には帝国兵がうろついていて入ることができない。館へ潜入する方法を知っているパロ
ロ三世の手引きで館へ潜入する。
館で捕まっていたシェラを助けて話を聞くとシェラは帝国の皇帝ゲルドブレイムの元で働い
ていて、皇帝が黄金のマグナスを使って何か良からぬことを企てていることを知る。
シェラはその計画に必要らしいペンダントを盗んで逃げてきたのだ。
ペンダントは攫われたときに奪われたがそれは精巧につくられた偽物で、本物はシェラが
ちゃんと隠し持っていた。
戦艦の停泊している屋上へ向かうと、既に戦艦は飛び立った後だった。
こころの翼を広げて戦艦の甲板に降り立ち、ジャコモと戦う2人。しかしすんでのところで
ジャコモをとり逃し、屋上へ押し返されてしまう。2人はお尋ね者として追われ館から脱出
する。
シェラは皇帝の陰謀を阻止するためにカラスに力を貸して欲しいと頼むが、カラスは帝国に
刃向かうなんて死にに行くようなものだと一蹴する。しかし同じく帝国の将軍であるジャコモ
を追うカラスにとっては目的に大差は無いので、しばらくの間は同行することに。
街で既にお尋ね者として追われていた2人は、港から出ている定期船に乗り込み雲の国
ディアデムへと向かった。



雲の国ディアデムの漁村ナシラという村にたどり着いた2人は、ディアデムの王レイドカー
ンに会って、帝国と皇帝の陰謀を伝えようとする。
しかし村から雲の城エルナトに続く雲の道は河の氾濫で通れないようになっているらしい。
村を探索すると、帝国から左遷されて来た大使リュードと出会う。ディアデムと帝国アル
ファルドは昔から仲が悪く、今はギリギリの均衡状態を保っているそうだ。カラスとシェラ
は帝国から追われている身だが、村が好きで心優しいと評判のリュードは2人を帝国につき
出すような真似はしなかった。
村にいる占いお婆に話しかけると、千年前マルペルシュロが海を飲み干したという伝説を
聞くことができる。
よそ者を船に乗せたがらない村の雰囲気に2人が辟易していると、村の漁師ギバリと出会う。
彼は一緒に河の氾濫の原因を突き止めてくれれば、船に乗せて雲の城まで連れて行ってくれる
という。ギバリと共に河で氾濫の原因である雷魚を倒してギバリが仲間になり、3人で雲の
城エルナトの城下町シェリアクへと向かった。
シェリアクへ到着すると、街や城には帝国の兵士が溢れかえっていた。追っ手にしては早す
ぎると2人が訝っていると、どうやら帝国はディアデムが帝国に戦争を仕掛けようとしてい
ると言いがかりをつけて軍隊で王を牽制している模様。
帝国の目的が黄金のマグナスだと気付いた2人は、そのことをレイドカーン王に伝えるため
城へ侵入することを決意。帝国軍の乗り物をパクって雲の城エルナトに乗り込んだ。
城内は城を占拠しようとする帝国軍とそれを阻止しようとする国王軍の激しい戦闘の場に
なっていた。ギバリが国王軍とも仲が良く、それで国王軍を助けつつ城の内部へと進む。
城のバルコニーにつくと、下ではレイドカーン王と帝国の師団長がにらみ合いになっている
所だった。王が帝国へ来れば国民には手を出さないといった師団長の言葉を信じ歩み寄った
レイドカーン王を、帝国の兵士エイメの銃弾が貫く。
帝国の凶行に怒った2人と、ジャコモと同じく祖父と弟の仇であるエイメを見つけたカラスは
王の元へ飛び降り戦闘になるが、そのとき帝国の大使リュードが現れ祖国である帝国を裏切り
カラス達の側につく。帝国の兵器を退けた4人はレイドカーン王の回復を待って皇帝の野望を
王に告げた。帝国より先に黄金のマグナスを手に入れなければと言うシェラに、王が代々守っ
ていた風の祠という場所にそれらしいものがあるかもしれないと王が言う。
4人が風の祠に向かうと、シェラのペンダントが輝き風の主が現れる。
風の主を倒し、黄金のマグナスを手に入れたと思ったそのとき、リュードが上空で待機していた
エイメに黄金のマグナスを渡してしまう。その場に倒れたリュードを城へ運ぶと、どうやら
彼は帝国に魔法をかけられ操られていたらしい。自分の行動を深く悔いたリュードは帝国の
陰謀を阻止するためにシェラ達と共に行くことを決めて、仲間になる。
カラス達は次なる黄金のマグナスを求め、そして帝国の野望を止めるべくレイドカーン王に
親書を書いてもらいそれを虹の国アヌエヌエの導師コレルリに渡しに行くことにした。
 
 
 
 
488名前:バテン・カイトス~終わらない翼と失われた海~[sage]投稿日:2006/05/09(火)17:28:38ID:ayqBdioM

アヌエヌエについた一行はレイドカーンの親書を渡し、帝国の野望のことをアヌエヌエの導師
コレルリに伝えた。しかし永世中立国であるアヌエヌエが帝国アルファルドとの関係を悪化さ
せることは出来ない、第一黄金のマグナスというものの存在自体怪しいと断られてしまう。
コレルリに協力を断られ八方塞りになったカラス達の前に、旧魔法図書館という場所に魔女が
来ているという情報が入る。
いまや伝説となっている魔女の存在を疑いつつも、助けを仰げないかと一行は旧魔法図書館に
向かう。
しかし旧魔法図書館に着いた一行を待ち受けていたものは、帝国の追っ手であるフォロンの姿
だった。
帝国の機械による圧倒的な攻撃の前に苦戦するカラス達だったが、それを助けたのは同じく
帝国の白兵戦法を使う謎のハンター、サヴィナだった。
サヴィナに助けられた一行は滝の町オプでサヴィナが占いお婆の予言を聞き、カラス達を待って
いたことを告げられる。唐突なサヴィナの登場に戸惑いながらもとりあえずサヴィナを
受け入れるカラス達。
再び手立てのなくなった一行だったが、アヌエヌエに眠る黄金のマグナスを手に入れてコレルリに
見せれば、コレルリも協力してくれるかもしれないという話になり、一行はアヌエヌエの
マグナスを求めて天の樹と呼ばれる大樹へと向かう。
天の樹の中枢がシェラのペンダントと反応し、天の樹が主として襲い掛かってくる。それを倒した
一行だったが、リュードがサヴィナの戦い方が帝国の技であることに気付く。
帝国のスパイの疑いがサヴィナにかかる中、サヴィナは自分が狂狼部隊と呼ばれる帝国の兵隊だった
ことを話す。今ではもう帝国とは関わりがないという言葉をとりあえず信じて、サヴィナが
仲間に加わるのだった。
手に入った黄金のマグナスを持ってコレルリに会いに行くと、やっとカラス達の言葉を信じて
コレルリが協力してくれることに。
カラス達は次なるマグナスを求めて、幻の国ミラに向かった。
 
489名前:バテン・カイトス~終わらない翼と失われた海~[sage]投稿日:2006/05/09(火)18:15:09ID:ayqBdioM
 
 
 
 
異次元の間をさ迷う幻の国ミラに行くには、魂の道と呼ばれる道をを通らなければならない。
しかし魂の道を通る途中、帝国の戦艦ゴルドバの襲撃を受け、カラス達の乗っていた船が
異次元の穴に落ちてしまう。
「今まで異次元から帰ってきた者を知らない」というサヴィナの言葉に戸惑うカラス達だが
ミーマイが異次元を進む謎の船を発見する。
船にはミズチという謎の人物が乗っており、ミラまでの道を案内してくれると言う。一行は
とりあえずミズチの言葉を信じて、ミラまでの道案内をしてもらった。
異次元の穴から魂の道に戻ることが出来た一行は無事ミラに到着した。ミズチと別れたカラス
達は港から最寄の村パルナスに立ち寄る。ここでカラス達はミラを治める大公の娘、ミロー
ディアと出会う。
ミローディアが転びそうになるのを咄嗟にかばうカラス。ミローディアがお礼を言い去った後
カラス達は不思議庭園デトゥルネと呼ばれる場所で黄金に輝いたマグナスを見たという情報を
聞く。早速デトゥルネに向かうカラス達だったが、そこにあったものは黄金に輝くマグナスの
影、マグナスの力の残滓だけであった。
元々この場所に封印されていたマグナスを既に誰かが持ち去ったのだと悟った一行はとりあえず
パルナスに戻ることに。しかし戻った先では、ミローディア誘拐で大騒ぎになっていた。
見知らぬ旅人達がミローディアを攫ったのを見たという情報により、誘拐犯の疑いをかけられ
民家に囚われるカラス達。上手く民家から脱出すると、怪しい数人組がレヴェランスという
村に向かったと言う情報が聞ける。
一行はさっそくレヴェランスに向かった。


レヴェランスで占いお婆の館に向かうと、カラスが人とは違う、マグナスの力が感じられない
人間だと言われる。憤慨するカラスだが、とにかくミローディアを攫った誘拐犯を見つようと
いうことになる。ミローディアを攫った誘拐犯達が精霊の杜ネクトンに向かったという情報を
聞きつけ、一行はネクトンに向かうことに。
一行が誘拐犯を追ってたどり着いたネクトンとは、カラスが精霊を宿した場所だった。昔を
思い出してそれを語りかけるカラス。しかし精霊にはそのときの記憶が無い。
誘拐犯を追いネクトンの最奥に行くと、ジャコモ、フォロン、エイメの3人がミローディアを
取り囲み、黄金のマグナスについて情報を得ようとしているところだった。
3人を倒そうとしたそのとき次元の穴が開き異次元の怪物が登場し、3人には逃げられてしまう。
怪物を倒してミローディアを救出する一行。ミローディアが帰ったあと、帝国がまだミラのマグ
ナスを手にしていないと知りとりあえず安心する一行だったが、カラスがアヌエヌエで手に入れた
黄金のマグナスが荷物から無くなっている事に気付く。来た道を念入りに探しながら戻るが結局
見つからず、5人はお互いを疑うようになってしまった。
しかしここで騒いでもどうしようもないので、一行はミラの黄金のマグナスのありかを知るために
ミラを治める大公カルブレンの元に向かった。


唯一手に入れた黄金のマグナスを失い、なにがなんでもミラのマグナスを手に入れなければならなく
なった一行はカルブレン公に会いに行くために幻影街バランソワールに向かう。そこはカラスの故郷
でもあった。
ミローディアの命を救った恩人としてカルブレン公に歓迎を受けた5人は、そこで5人の友人だと
うそぶくミズチと再会する。
ミズチは自分のことをツチノコ、シェラの持つペンダントをチノタマと呼び自称正義の味方として
勝手に仲間に入る。
カルブレン公に黄金のマグナスの話をすると、カルブレン公はそれが「エンド・マグナス」と呼ばれる
物だということ、エンドマグナスとは遥か千年の昔に殺された神の遺骸をマグナス化して封じた物で、
いまもエンドマグナスの中には神の力が宿っているということを明かされる。
カルブレン公の先祖がデトゥルネからエンドマグナスを持ち出し屋敷の地下にそれを封じたとカルブレン
公が話し終えたそのとき、それを盗み聞きしていたジャコモ達に先を越され屋敷の地下へと向かわれて
しまう。
ジャコモ達の後を追い屋敷の地下へ向かうと、ジャコモ達は既にエンドマグナスを奪ってしまっていた。
大公の館に戻った6人は話し合った結果、敵の懐である帝国に侵入することを決めたのだった。
 
 
 
 
 
534名前:バテン・カイトス~終わらない翼と失われた海~[sage]投稿日:2006/05/18(木)21:23:13ID:s+yV0aIR



皇帝ゲルドブレイムのエンドマグナス解放を阻止するため、彼と親しいミローディアの船に乗せてもらい
帝国アルファルドの帝都ミンタカへとやってきたカラス達。そこでゲルドブレイムの同行を探るうち、
カラスの殺された祖父ゲオルグがミンタカの科学者だったことを知る。驚くカラス。
とりあえず帝都ミンタカに実家のあるリュードの家に行くことになったが、リュードの実の兄と姉に
仲間を引き渡すよう脅される。ゲルドブレイムの陰謀を阻止するため家族に銃を向けるリュード。
すると、乳母アルマードがリュードを守るために割って入り、兄の銃弾に撃たれてしまう。
アルマードはゲルドブレイムは街の上空にある戦艦ゴルドバにいることを教えて事切れる。リュードは
悲しむも、エンドマグナス解放を阻止するため、戦艦ゴルドバへ向かうことに。
帝国兵がリュードの家を襲撃してくるが、リュードの導きにより裏口から逃れ戦艦へと急いだ。


ミローディアの船に乗り戦艦ゴルドバへ潜入したカラス達だったが、そこには既にゲルドブレイムの姿は
無く、ジャコモ一党が待ち構えていてゲルドブレイムはもう最後のエンドマグナスの眠る火炎洞窟に
向かったと告げられる。
ジャコモ一党を倒したカラスは、ついに仇を討ったことに喜ぶが、そのジャコモの口からカラスの祖父
ゲオルグはジャコモの実の父親だと打ち明けられる。
実はカラスはみなしごで、ゲオルグも弟フィーも血の繋がりが無く、ゲオルグは帝国を去った後、
カラスとフィーという2人の子供を兄弟として育てたという。
ジャコモが祖父の実の息子という事実に衝撃を受けるカラスだったが、驚く間もなく、ジャコモの
起動させた戦艦ゴルドバの自爆装置のために戦艦からの脱出を余儀なくされる。
からくも脱出に間に合ったカラス達だったが、ジャコモ一党はゴルドバの爆発に巻き込まれていった。


最後のエンドマグナスを手に入れるため、火炎洞窟に向ったカラス達。火炎洞窟の扉が開かず四苦八苦
していると、昔帝国でゲオルグの元で働いていたという機械屋の老人と出会う。老人はゲオルグと
農村ケバルライで医師をしているラリクシという2人の技術者が、昔帝国でマグナスの研究をしていた
ことを語る。ゲオルグとその息子であるジャコモが死んだことを告げると、ラリクシによろしく伝えるよう
頼み、老人は火炎洞窟の扉を開いてくれたのだった。
カラス達は急いで火炎洞窟の奥に向かったが時既に遅く、最後の皇帝ゲルドブレイムが最後のエンド
マグナスを手に入れたところだった。
自分たちの紛失したエンドマグナスを持っていたゲルドブレイムに、やはり仲間の中に内通者がいる
のではと再び疑心暗鬼に陥る仲間達。それをよそに、ついに5つのエンドマグナスを解放した
ゲルドブレイム。しかしエンドマグナスに眠る邪神の力が暴走し、ゲルドブレイムは異形の化け物に
成り果ててしまう。
自身の異変に気付き暴走するゲルドブレイムを帝国の銃弾が貫く。驚いた一行が目撃したものは
帝国兵を引き連れたミローディアの姿だった。
ミローディアはゲルドブレイムにとどめを刺すと、自分がゲルドブレイムを裏で操り、邪神を復活
させるためにエンドマグナスを集めさせていたことを告げる。
そしてカラス達一行の方を向き直ったミローディアは、仲間達に向かってお芝居をやめて自分の側へ
来るようにと告げる。
一行がざわめく中ミローディアの方へ歩み寄ったのは、他でもないカラスだった。
驚く仲間達に、カラスは敵討ちのために力が必要だと語る。敵討ちのために精霊を宿し精霊の力を手に
入れたカラスは、さらに強い力を求めて邪神の力を手に入れようとミローディアと共謀してエンド
マグナスを集めていたのだと言う。
カラスを止めようと仲間と精霊が必死で説得するが、カラスはエンドマグナスに触れて邪神の力を手に
入れてしまう。
精霊に守られているカラスは邪神の力に触れてもゲルドブレイムの様に異形化しないと言うミロー
ディアの声の通りに、邪神の力により美しい白い両翼の生えたカラス。
カラスはもう精霊の力は必要ないと言い放つ。

「お前の物語は終わりだ!」

とカラスは精霊に言う。その言葉は精霊の憑依を解く呪文だった。
呆然とする仲間達、闇に堕ちたカラスの高笑いが響く中、画面はフェイドアウトして、やがて暗転した。


187 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/09/14(木) 04:41:37 ID:PhKskvTf0
バテンカイトス1のストーリーが途中になっているんだけど、
Part22の461さんがもし続きを書かないんだったら、書いてもいいだろうか。
べつにせかしたり横取りするつもりじゃないんで「や、これから書くよ」て言うんならスンマソだけど。


302 :バテン・カイトス~終わらない翼と失われた海~:2006/09/22(金) 03:46:35 ID:N2vkOo/d0
♯書くと言い出しておきながら今更、けっこう記憶がウロなことに気がつきました。
 セリフも大意のところがありますが、ご容赦ください。

地名補足

・空に浮かぶ五大陸(5つのエンドマグナスが封じられている)

【辺境サダルスウド】この物語の始まりにカラスが見つかった月騙しの森がある。
【帝国アルファルド】皇帝ゲルドブレイムが支配していた。機械化されている。住民は基本的にこころの翼を持たない。首都ミンタカはリュードの出身地。
【雲の国ディアデム】名君レイドカーンを戴く。漁村ナシラはギバリの出身地。
【虹の都アヌエヌエ】妖精導師コレルリが治める。どこからか流れてきたサヴィナが滝の村オプに住んでいた。
【幻影都市ミラ】カルブレン公が治める。幻影街バランソワールにカラス・フィーがゲオルグと共に暮らしていた。

・そのほかの国

【古の大地ドゥール】5大陸が浮かび上がったあとの大地に残っている。毒の泥雲で空の世界と隔離されている。ゲンマ村はミズチさまの故郷。
【氷の国ワズン】女王シェラが治める氷と雪の国。普段は外界との交流はない。

※スレPart22の461~さんが書いたストーリーから続いています。



303 :バテン・カイトス~終わらない翼と失われた海~:2006/09/22(金) 03:48:47 ID:N2vkOo/d0
シェラは帝国要塞の独房に閉じこめられていた。
その時、カラスから離れてしまっていた精霊の声が聞こえた。
シェラは精霊を自分に憑かせ、その力で扉を破り独房の外に出た。
しばらく要塞内を彷徨ううちに大きな音が。要塞の壁を破壊して救助部隊がきたのだ。

シェラはアヌエヌエで、宮殿に待機しているコレルリ、レイドカーン、カルブレンに状況を報告した。
コレルリの話では、各大陸に奇妙な現象が起きているらしい。
どうやら次元の裂け目ができたためで、そこに行けば捕らわれた仲間たちがいるはず。
シェラは各大陸で住民の話から情報を収集し、次元の裂け目に向かった。
そこで邪神に使える暗黒の騎士を倒すことにより、アルファルドでリュード、ディアデムでギバリ、
ミラでミズチさま、アヌエヌエでサヴィナを解放した。

揃った仲間たちでいったんコレルリの宮殿に戻る。
5大陸の中央に、嵐の城コル・ヒドラエが出現していた。
(たしかこのあたりで出てきたと思います、違っていたらスマソ)
太古の戦いの際に神の眷属もろとも異次元に封印されていたはずだったのが、
エンドマグナス解放と同時にこの世界に復活したのだ。
だが破ることのできない強力な障壁がコル・ヒドラエを取り巻いており、進入は無理だ。
「伝説の氷の女神の力でも借りられたら」「しかし女神の国ワズンとは国交もない」
それでもシェラは氷の国に行くと答えた。


雪の大陸ワズンに降り立つ一行。
結界を解きながら、宙に浮かぶ街が見える場所までやってきたが、
足下には宙が広がるばかりでとても向こうには渡れない。
ふいにシェラが手を高く掲げると光が輝きだし、見る間にきらきらした氷の橋が出現した。
みんなは驚きつつも、雪の街クルサに足を踏み入れる。
クルサには城があった。かまわず入り込むシェラ。
「お帰りなさい、女王様」住人たちの言葉にさらに驚く仲間たち。
シェラこそが城の主、氷の国の女王だったのだ。

ワズンは他の大陸とは没交渉で独自に生活を営む国だったが、
外界の異変を察知した女王シェラは見過ごしていられず、国を飛び出した。
シェラの相談係?教育係?の婆様の妹である3人の魔女たちをあらかじめ偵察役として外界に派遣してあった。
シェラはゲルドブレイムの城にメイドとして潜入しているうちに、
かつて邪神を封じた3アイテムのひとつ「大地の玉」の首飾りを見つけて盗み出し逃げた。
そうこうするうち月騙しの森でカラスと出会ったのだ。

シェラはワズンにある、これも邪神を封じたアイテムのひとつで
本当の姿を映し出すという「海の鏡」を手に入れようとする。
そのためには、女王だけが受けられる試練をくぐり抜けなければならない。
試練の間での、氷の女神による試練をクリアするシェラ。
氷の女神(シェラの母親)に、この先のつらい定めも覚悟はしていると答える。
婆様の嘘を信じて「海の鏡」でカラスの心を元に戻せると意気込み、白竜に乗ってワズン港を立つのだった。


304 :バテン・カイトス~終わらない翼と失われた海~:2006/09/22(金) 03:58:54 ID:N2vkOo/d0
再び帝国要塞に乗り込む仲間たち。
要塞には今は座るもの無き玉座があった。
また、ゲルドブレイムの私室だったと思われる、妙な調度の部屋もあった。
行く手を阻む帝国軍人のファドロ。
神の力に触れて奇怪な姿に変身した彼を倒し、
やがて待ち受けるミローディアとカラスの前に迫るシェラたち。
ついに純白の羽でガラの悪い表情になったカラスと戦うことになる。
邪神の力でパワーアップしたカラスは強力だった。
「海の鏡」でカラスを照らし元に戻そうとするシェラだが、苦しむばかりのカラス。
「婆様は嘘を?」うろたえるシェラ。
「いちど神の力に触れた者はもとには戻らない」嘲笑うミローディア。
しかしカラスを思うシェラの心からの説得により、闇に捕らわれていたカラスの心が揺らぎ出す。
カラスは力を振り絞って、自らの羽をむしり取る。
驚くミローディアだったがそれでも優勢は変わらず、
「お前たち5人がそろったことで、マルペルシュロの復活が果たされる」と告げる。
封印を解かれたエンドマグナス、その5つにバラされた神の体をつなげるための
「強い信頼で結ばれたシェラたち5人の結束力」が必要だったのだと。
シェラたち5人の体から光が立ち上り、立ちこめた闇の霧のようなものの中から邪神マルペルシュロが出現した。
その強さにはとても歯がたたない。
もうだめかと思われたとき、突如邪神に立ちはだかるミズチさま。
ミズチさまに呼び出されたかのようにいくつかの人影が現れ、魔術でマルペルシュロを攻撃した。
怯んだミローディアとマルペルシュロは一時退却していったが「海の鏡」は割れてしまった。


カラスは復讐に我を忘れ闇に落ちたことを悔いて、仲間たちにまた共に戦って欲しいと頼んだ。
当然のように受け入れる仲間たち。
精霊も、シェラから抜け出して再びカラスに憑いた。
マルペルシュロを撃退した謎の人影の正体は土の民(の魔力)だった。
実はミズチさまは、かつてマルペルシュロを封印した魔導師・土の民の子孫のひとりだったのだ。
決してはずすことのない奇妙な仮面も、大地を覆う毒の雲を防ぐプロテクターなのだった。
彼らは汚染された大地から、エンドマグナス化した神の体を封印した5大陸が浮上したあとも
そこに残って監視を続ける役を受け持っていた。
土の民の国ドゥールは毒の泥雲の下にあり、普通の方法では行き来ができないはずだが
大丈夫というミズチさまの言葉に従って、覚悟を決めて上空から飛び降りる一行だった。




305 :バテン・カイトス~終わらない翼と失われた海~:2006/09/22(金) 04:00:02 ID:N2vkOo/d0
泥海の迷宮に降り立ち、迷路を抜けてミズチさまの故郷ゲンマ村にたどり着く。
村長大カムリのもとには折しもアルゴラブ村の村長クラムリがやってきていた。
これまでのように神を封印した民の子孫として、ドゥールで監視を続けるべきという大カムリと
いつまでもそんなことをせずに空の上の世界に出るべきだというクラムリと、意見が対立していた。
アルゴラブ村には、暗い泥雲の下に隔離された質素な暮らしに不満を持つ者が多かった。
またも話し合いは物別れに終わり、クラムリは不機嫌に帰っていった。
やっと村長に面会できたカラスたち。
そこでミズチが女の子と知って驚くカラスとギバリ。他の3人は気が付いていたようだが。
今では魔力が弱まってしまった一族の中で、ミズチだけは先祖に匹敵する力をもっているらしい。
帝国要塞で仲間(の魔力)を呼び出せたのも彼女ならではのことだった。
そんな彼女も両親の前ではただの子供扱いだった。
昔ドゥールにあった「大地の玉」が空から来たカルブレンの先祖に盗み出され
それがゲルドブレイムの手に渡っていたといういきさつも聞くことができた。
また、村長の家にいる語り部のような人たちの話によると、
マルペルシュロが神として存在していた太古、
ほかにも多くの神々がいて、鯨もその神のひとりだったという。

村長の勧めで、死の庭園カペラの社にある、邪神を封じたときに使った「天の剣」を取りに行くカラスたち。
だが、たどり着いてみるとその場に剣は無かった。
クラムリが持ち出したのだ。
彼の後を追って石の塔ゾズマに向かう。
いくつものからくりを解き、塔を守る阿吽を倒し屋上に出る。
剣を渡してマルペルシュロの側に付かせて貰うと言うクラムリ。
ところがマルペルシュロと現れたミローディアは、
「虫けらが神と取り引きするなんて」とクラムリを攻撃した。
カラスたちは応戦するも、やがてミローディアは神に逆らった者たちを滅ぼすため村に向けて飛び去った。
アルゴラブ村に行ってみると、人々は倒れ、家は燃えていた。
駆けつけた大カムリやミズチさまの両親たちは、自分たちが戦うから、世界の希望であるカラスたちは早く逃げるように、と言う。
いったんは逃げ出したカラスたちだが、
「村の人たちを見殺しにして、それで世界を救おうというのか」とのカラスの言葉に皆同意して引き返す。
しかしマルペルシュロの力は強く、押されるカラスたち。
突然ミズチさまの仮面が割れ、その下からは少女の素顔が現れた。
あふれる魔力。「これぞ太古の魔導師の力だ」驚嘆する大カムロたち。
なんとかマルペルシュロを撃退するも、「天の剣」も折られてしまった。
痛手を受けた土の民はアヌエヌエに避難することになった。


306 :バテン・カイトス~終わらない翼と失われた海~:2006/09/22(金) 04:02:52 ID:N2vkOo/d0
そんな折り、ラリクシからカラスに手紙が届いていた。
カラスは彼に会いに、サダルスウドに行くことにした。
精霊とふたりでこっそり行くつもりだったが、仲間たちにバレてしまった。
ケバルライ村でカラスはラリクシから自分の出生の秘密を聞く。

昔、ゲオルグとラリクシはゲルドブレイムの命令で、マグナスから優れた命を作り出す研究をしていた。
ゲオルグはその母親が神の力に触れる経験をしてしまったせいか「ものと話をする」ことができ
マグナスから人間を作り出した。それがカラスとフィーだった。
しかし子供たち、とくにフィーと接するうちにゲオルグは変わっていった。
研究は失敗したと皇帝を偽り、そのうえ研究室の爆発事故での死亡を装い逃亡、
ミラで密かに普通の祖父と孫のように暮らしていた。
やがてそれが皇帝の知るところとなって怒りを買い、
ジャコモ、エイメ、フォロンが連れ戻しにやってきた。
燃えさかる炎の中、刺される子供たちを目にしたゲオルグは自ら火の中に入っていった。

自分がマグナスから作られた存在であることにショックを受けながらも、
ゲオルグが彼に残したものがあるとラリクシから聞かされて、空中山脈に向かうカラスたち。
そこで見つけた小屋に足を踏み入れる。
「爺ちゃんが俺に残したものって?」
「俺も知りたい」振り返ると、戦艦ゴルドバもろとも自爆したはずのジャコモ、エイメ、フォロンがいた。
ジャコモは精霊を封じる装置を壁に投げつけた。
それが起こす振動波がカラスにダメージを与える。
精霊の助けなしにどこまで戦えるのか。
やがてジャコモの圧倒的な力に打ちのめされるカラスたち。
カラスの肩から転がり落ちた飛翔機を踏みつぶすジャコモ。
「爺ちゃんの作った飛翔機を…!」
その時暖炉の上の胸像が光を放ち砕け、中から新たな飛翔機が。

カラスは思い出す。(以下回想)
ミラの家で、爺ちゃんとフィーと自分と、テーブルを囲んでいる。
「どうして俺には片羽しかないの?」と尋ねるカラス。
「両羽だからといって、偉いわけではない。羽なしの方が羽のあるものより進化した姿かも知れない」
というゲオルグの返事に納得がいかない。
「どうして片方だけなのか知りたいんだ」
だがフィーは無邪気に「ぼくは両羽が無いけど平気だよ」
ゲオルグは、カラスに羽の代わりになる飛翔機を作ってやると言う。
そしてまたいつか困ったときに助けになる、別の飛翔機も作ると。
フィーはいつかふたりで伝説の生き物である鯨を探し出そう、ぼくは鯨に聞きたいことがあるんだと言う。
それなのにジャコモたちに襲われたあと、致命傷を負いながら逃げ込んだ精霊の杜ネクトンで、
「カラス兄ちゃんとの約束を果たせなくなった」とつぶやいて息絶えた。
弟の名を叫ぶカラス。彼もまた力尽きたと思われたその時。
フィーの体が輝く渦と化し、そのままカラスに吸い込まれていく。
カラスはフィーのマグナスを、命のマグナスを吸収することによって新たな命を得たのだった。

新しい飛翔機を身につけ、カラスに再び心の翼が羽ばたいた。
再びジャコモたちに戦いを挑み、ついに倒す。
「エイメ、フォロン、大丈夫か」床に横たわり、いまわの際に仲間を呼ぶジャコモ。
「お前たちはカラスと共に戦え。カラス、ミローディアとマルペルシュロを倒せ」
言い残し、ジャコモの命は尽きた。シェラの祈りの言葉とともに、その体は光となり消え去った。
「ジャコモはああ言っても、さっきの今で友達にはなれない」
「あたしたちはカラスにとってはフィーと爺の仇だ、
あたしたちはゲルドブレイムに金で買われゲオルグの実験に使われた孤児だった、
ゲオルグが死んでせいせいしているよ」フォロンとエイメは去っていった。


307 :バテン・カイトス~終わらない翼と失われた海~:2006/09/22(金) 04:05:02 ID:N2vkOo/d0
アヌエヌエのコレルリの宮殿に戻ったカラスたち。
ワズン3魔女のひとりコトランから各大陸に関する情報を聞く。
ディアデムでは、ナシラの近くで伝説の河の主が目撃された。
アヌエヌエには、禁断の魔道書があるらしい。
ミラにつながる魂の道に、ゴルドバそっくりの幽霊戦艦が出て、しかもリュードを呼ぶ声が聞こえる。
アスファルドでは、アザー村の人たちが砂漠でモンスターに包囲されていて、今のところは狂狼部隊が守っている。
土の民の中に、ミズチさまの両親も含めドゥールに戻っていった者たちがいるようだ。

(続きます)

328 :バテン・カイトス~終わらない翼と失われた海~:2006/09/25(月) 01:35:41 ID:Kby8worz0
>>307からの続き

ディアデムの漁村ナシラに行ってみると、村はモンスターに襲われていた。
王の騎士団員たちに加勢し、モンスターを一掃する。騎士団員たちにも疲れの色が濃い。
「なあギバリ、どうしておまえは騎士団を抜けてしまったんだ? 今も腕は全然にぶっちゃいないようじゃないか」
騎士のひとりが問いかける。ギバリの父親は、レイドカーン王の剣の師匠だったのだ。
小さい頃から王と一緒に剣を習っていたギバリの腕はずばぬけていた。
「もう遠い昔の話だ。たいした理由なんか無い。それに俺は、人の上に立つような器じゃねえよ」答えるギバリ。
「なあ、本当になにもなかったのか?」騎士が立ち去った後尋ねるカラス。
「おまえはいくつだ?」「え、オレ? 19だけど?」
「そうか…。いいか、カラス。19の小僧に、これまでの自分の人生を語って聞かせるほど、
俺はまだ老いぼれちゃいねえ。今ここにいる俺と、これから俺が何をやろうとしてるか…、
それさえ分かってりゃそれで充分じゃねえか? ああ?」
「…ああ、そうだな。分かったよ、ギバリ」「上等だ。ま、いずれ話してやるよ、こいつが片づいたらな」
ところが村の老婆から、子供が熱を出し、熱冷ましに効果のあるペクサの海草を取るために、
幼なじみのアナとレブリスが危険な大天河に向かった事を聞いてギバリの顔色が変わる。

激しい流れの大天河の岸をたどっていくと、岩にもたれかかったレブリスを見つけた。
「大丈夫か? アナはどうした!?」先に進んだと聞いて、さらに追うギバリたち。
「アナ、無事だったか?」「ギバリ、来てくれたんだね!」しかし、河の流れを見て驚くギバリ。
後から駆けつけたレブリスも同様だった。
「こんなのは初めてだぜ」「ああ…天河があふれているのか?」
一面の水が全てを押し流すかのような急流、絶え間なく岸に砕け散る波しぶき。
これではペクサの海草が採れない。
「…釣る!」やにわに宣言するレブリス。ペクサを餌にしている魚を釣り上げて腹を捌けば、海草が手にはいる。
こうなると、ギバリとレブリスの間に、ナシラの男の意地が燃え上がった。ため息をつくアナ。
このふたりは昔からなにかとライバル意識が強くぶつかることも多かった。
特にアナがからむと、レブリスはすぐに熱くなるのだ。
波しぶきに洗われながら、丸太の釣り竿を垂れるふたり。
「のどかねえ…」「平和ねえ…」「静かねえ…」つぶやくアナ。後ろで見守るカラスたち。
頭上をのんきに鳴きながら鳥が横切っていく。

どのくらい時間が経ったかも分からないくらい待った頃、「来た」とレブリス。
得意そうに自慢するが、かなりの大物らしく引き上げられない。思わず力を貸すギバリ。
互いに憎まれ口を叩き合いながらも、息のあった引きでつり上げたのは巨大な怪魚。
その背中に刺さっているのは、伝説の漁師バルゴーラの櫂。まさにこれこそ伝説の河の主だった。
カラスたちが主を倒してみると、その口にペクサの海草が着いてた。
「ギバリ、おまえ、腕のたつ騎士だったっていうのは、本当だったんだな」とレブリス。
「…昔の話だ」「そうか…。だが、釣りの腕もなかなかのもんだぜ」「レブリス」
「もっとも、まだまだ俺の足下にも及ばねえがな!」「フ…いうじゃねえか、レブリス」
オヤジ臭さ全開で暑苦しい高笑いをするふたりを置いて、アナや仲間たちはとっとと村に帰ってしまった。

海草のおかげで子供の熱は下がった。
レブリスは、ギバリにバルゴーラの櫂を持って行くように言う。
「道具のハンデでもつけてやらなきゃな」「上等じゃねえか」「上等よ」
アナとレブリスに見送られ。一行はナシラを後にした。



329 :バテン・カイトス~終わらない翼と失われた海~:2006/09/25(月) 01:36:27 ID:Kby8worz0
アヌエヌエの禁断の魔道書を求めて、カラスたちは魔法学校の校長に会いに行った。
コレルリの命令でまさに解読中のその書物を見せてもらうと、いきなり強い光に包まれ、
いつの間にかいくつもの扉のある広間のような所に来ていた。
シェラは扉にあるのが、氷の国の古い紋章であることに気が付く。
この場所はワズンの王家に伝わる最強の魔法で守られていたのだ。
扉の封印をひとつ解くごとに、シェラの目には幼い頃の自分と母親の氷の女王の姿が浮かんでくるのだった。

女王は娘に、この国の女王としての試練のことを話して聞かせる。
女王となる者は、予言されている、世界を変えてしまう恐ろしい厄災を阻止するために
この国を出て外界を旅して回らなければならないことを。
自分の代で予言が成就すればシェラは普通の娘としての人生を送ることができるが
そうでなかった場合は、シェラの番だと言う。
我が一族は決してその運命から逃れることができない、と。
「はい、わたしもかあさまの娘、覚悟はできています」けなげに幼いシェラは答えた。
「氷の女王として海を守り、もし世界が生まれ変わるときが来たら、海を人に返しましょう」

シェラは仲間たちに、魔道書で釣っておびきよせられ、自分の決意が試されているのだと言う。
「決意って今更。ミローディアとマルペルシュロを止める決意なんかとっくに着いているだろう」
カラスに言われて黙り込むシェラ。それとはまた別の、彼女だけの決意があるのだ。

「事が成就した暁には、氷の女王はもうこの世にはいない。
私たちが世界に送ることのできる、最後の祈りであり祝福。
シェラ、あなたはあなたの道を行きなさい。ひとりぽっちでも決して後には退かず、
何も恐れずほほえみながら。海があなたと共にあるのだから。」
まだ幼かったシェラは真剣な表情でこの母親の言葉を聞いたのだ。

我に返ったシェラが進んだ先には、禁断の魔道書があった。
強い気を発しているその書物を解放すべくシェラが歩み寄ると、
突然あたりが暗転し、魔導師たちが現れた。
「よくぞ来た。そなたが最後の氷の女王か?」
「はい、おそらくは…」
「今が、その時なのか…?  よかろう、ならばゆくぞ」
その場に出現した奇怪なモンスターと戦い、これを倒すと、
「世を…頼んだぞ」姿無き魔導師たちの声が聞こえた。
「はい、あなた方の遺志と希望、たしかにわたしが受け取りました。最後の氷の女王として…」


330 :バテン・カイトス~終わらない翼と失われた海~:2006/09/25(月) 01:39:17 ID:Kby8worz0
ミラへ続く魂の道。その流れるオーロラのような空間の中、羽ばたく白竜に追いすがる巨大な黒い影。
それは、爆破された戦艦ゴルドバにそっくりな幽霊船だった。
乗り込んでみると中は真っ暗で、蒼白く光る亡霊たちが彷徨っていた。
近寄ると亡霊たちは恨みがましい言葉と共に襲いかかってきた。
「リュー…、ド…祖国を裏切り…自分だけ助かるなんて…」「お前の未来に光は無いと思え…」
「くらいよ…せまいよ…だれか…たすけて…」「どうして…わたしを…いじめるの…」
「アザー掃討作戦…お前は反対しただけで…結局、止めようとはしなかったな」「お前は何もしなかったんだ…」
「ち、ちがう…、僕は、ぼくは…」つらそうにつぶやくリュード。
「リュード…大丈夫か?」カラスが声を掛ける。
「え、ええ…大丈夫です。先を急ぎましょう」

船室のひとつに入ると、暗闇がリュードを包む。
「ようやく、反逆者のご帰還か…」かつての上官の姿が浮かび上がった。
「見るがいい、きさまの裏切りのせいで、帝国がどうなったか…。みんな闇に呑み込まれてしまった…」
「違う…!  僕のせいじゃない!!」
「すべてがそうでないにしても、おまえは母国の滅亡の一端を担ったのだ…。
その刻印は、一生おまえから消えることはない…。
この先会う誰もが、お前の上にその刻印を見る…」
「だ…、だまれ…!  だまれッ…、僕は国が滅ぶことなど望んでなんかいない!」
「おまえが何を望もうが、それはもう起きてしまったんだよ…」
「……!」言葉を失うリュード。
「おい、リュード、おまえ、さっきから何ひとりでブツブツ言ってるんだ?」
カラスの声に、上官の姿が消える。
「う…!?  みんなには聞こえないのか、あの声が!?」
どうやらあの声も姿も、リュードにだけしか見えず、聞こえていないのだ。
「なんかここには、おかしな気がいっぱいうずまいているね…」とミズチさま。

また別の部屋に入ると、こんどは兄のスキードが現れた。
「リュード、おまえのおかげで、由緒あるわが一族もおしまいだよ…」
「に…、兄さん!?」兄の隣に、姉のヴァレイも並んだ。
「さぞかし本望でしょうね…。こうして私達に意趣返しができて…」
「姉さん…」「おまえは、心の底では、私達を…、一族を憎んでいたのよ…」
「そんな…!  どうして、僕が姉さん達を…?」
「どうして、だと…?  しらばっくれるな、リュード…。私達は、おまえを憎んでいた…いや、蔑んでいた…
それはおまえも、気づいていたろう…?」とスキード。
「気づいていなかったとは、言わせないわよ…」とヴァレイ。
「私達は、おまえのことなんか、これっぽっちも好きじゃなかった…」
「なぜなら…おまえには、愛される資格などこれっぽっちもなかったから…」
「そんな…!?  僕は…、僕は、あなた達に愛されたかった…!  愛されようと努力したんだ!」
「フ…、いいわけはたくさんだよ、リュード…」「そう、おまえのしてくれたことが、すべてを物語っているわ…」
「違う…!  違うんだ!  僕は、ほんとに…!!」悲痛に叫ぶリュード。「ああ、どうして、こんなことに…!?」
兄と姉の姿が消える。
「おい、リュード!?  どうした!?  おい、しっかりしろ!」
カラスの呼びかけに、我に返るリュード。頭を抱えて床に跪く。


331 :バテン・カイトス~終わらない翼と失われた海~:2006/09/25(月) 01:41:55 ID:Kby8worz0
仲間達はそんなリュードの様子を気遣いつつも、出口を探そうとする。
そのとき、またしても幻影が。それは、帝国を脱出するときリュードをかばって命を落とした、乳母のアルマードだった。
「ああ…、まさか、そんな…!? やめてくれ…、頼むから、もうやめてくれ!」
「リュード…、どうして私のことを助けてくれなかったの…? どうして、見捨てて逃げたの…?」
アルマードは悲しげな顔で責める。
「いつだって私は、あなたのことをかばい、ずっとそばにいて見守っていてあげたのに…」
「こんな…、もうイヤだ!  耐えられない…!!」叫ぶリュード。
「あなたは、助けてはくれないのね…?  愛してはくれないのね…、あなたのことを愛する者でさえ…」
「ち、ちがう…! ちがうッ…!!」
おまえには誰からも愛される資格はない…誰かを愛する資格もない…そうだろう、リュード?
「ああ、そうだ…、そのとおりだ…僕にはだれからも愛される資格はない…誰かを愛する資格もないんだ…!」
国を裏切り、家族を捨て、愛してくれる者さえ見殺しにして…おまえはどうやってこれから先
生きて行くというんだ、リュード? 何を望んで、いきてゆくんだ?
「僕は…僕には、もうわからない…! どうしたら、いいんだ…? この先どうやって、生きて行けばいいんだ…!?」
「私と一緒に…私達と一緒に来なさい…そうすれば、楽になれるわ…幸福になれるわ…
さあ、くるのよ、私達と一諸に…それがあなたの問いに対する、唯一の答えよ」
アルマードが差し出す手に、手を差し伸べかけるリュード。

そのとき、はっきりと優しい落ち着いた声が聞こえた。
リュード、答えというのは、人から与えられるものではないわ。自分で見つけ出すものよ。
「……!? この声は…!?」
そして正しい答えを得るためには、まず正しい問い」を見つけなくてはいけないの。
そのためには、つねにくもりなき目で物事を見るようにしないと…。
「くもりなき目で、物事を見る…」
そして、よい問い手というものは…
「そして、よい問い手というものは、問いを発するときには、もうちゃんと自分の中で答えを見出しているもの…」
ふいにリュードは明るく広い草原で、草の中に腰を下ろしていた。傍らにはアルマードが立っている。
「答えは、人から与えられるものではない…。そして、正しい問いを見つけること…正しい問い…」
リュードからは迷いが消えていた。微笑んで、アルマードを見上げる。
「ねえ、アルマード…、あなたは、僕の…?」
アルマードは寂しげにリュードを見つめ返した…。

ふたたび幽霊船の暗闇の中。
「そう…、はじめから、答えはそこにあったんだ…。おまえとは、行かない」
きっぱりと、目の前の偽物のアルマードに言い放つリュード。
「くッ…!? きさま…!!」それは醜い化け物の正体を現した。
「ハッ…!? いったいどうなってるんだ!? なんだ、こいつは…!?」とカラス。
「こいつ…、人の痛みを食べてるね!?」とミズチさま。
「僕のなかにある罪の意識…、負の感情を食い物にしていたのか…!」悟るリュード。
「精神寄生体…!? コル・ヒドラエにくっついて、異界から迷い込んだんだわ」とシェラ。
「いくよ!」とサヴィナ。
モンスターと戦い、うち破ると、光の中に上官、兄、姉、そしてアルマードの姿が浮かび上がり、消えていった。
「ありがとう…」いまはもう穏やかな心でつぶやくリュードだった。
突如、戦艦が激しく揺れ始める。
「さあ、とっとと引き上げようぜ、こんなところ」
カラスたちが白竜に乗って脱出するや、幽霊船はどこへともなく沈んで行った。


332 :バテン・カイトス~終わらない翼と失われた海~:2006/09/25(月) 01:43:25 ID:Kby8worz0
 アルファルドの砂漠の村アザーからは、ショップ店員と機械屋以外の住民が姿を消していた。
村に続くニハル砂漠に入っていくと、砂の丘に入り口を開けた洞窟を狂狼部隊の兵士達が警備していた。
「死神だ! 死神が、帰ってきた!」
「サヴィナ!」そこにはかつての戦友のアズダーもいた。
「無事だったか…。間に合って、よかった」
「よく来てくれた! 助かったよ、サヴィナ。あの化け物どもの追跡をかわしながら、なんとかここまで逃げのびたんだが、
この先にグールどもの巣があってな、にっちもさっちもいかなくなっていたところだ。
おまえたちの加勢があれば、グールの巣を突破して、安全なところへ出られる」
「わかった。だが、どうして自分たちだけで逃げなかった? アザーの村の連中は、足手まといでしかあるまい。
かつて自分たちで襲撃した村の連中を、何故いまさら助ける?」
「さあ、どうしてだかな…? あの時は、任務だったからな。世界がこんなことになってしまって、
せめて自分たちで救える命だけはなんとかしてやりたい…、そんなところかもしれない。
自分自身、よくわからんよ。隊員のなかには、命惜しさにさっさと逃げ出した連中もいる。
まあ、それも仕方あるまい。おまえこそ、どうしてわざわざ戻ってきた?」
「……」「フッ…、変わったな、おまえ。先へ進むのは明日にして、まあ、きょうのところは休んでくれ」
「ああ、わかった」
一行がアズダーに案内されて洞窟の奥へ進みかけたとき、ひとりの少女が飛び出してきた。
「……!」サヴィナの表情が変わる。前にゲルドブレイムを追って火炎洞窟に入るためアザーを訪れたときに
「村から出てけ、人殺し!!」と彼女を罵った子供だったのだ。
少女は言葉にならない憤りを込めてサヴィナをにらみつけた。

暗くなった洞窟の外で、焚き火を囲んで座るカラスたち。
「フッ…、不思議なものだな…、私にとって今回のいざこざのはじまりであるアザー村の近くで、
村の連中と一緒にこうしているなんて…。それも、同じサイドに立つ者として…。
当時の私にこのことを話して聞かせても、到底信じられまい」
普段口数の少ないサヴィナが淡々と語るのを受けて、
「そいつは、俺たちみんな同じようなもんだよ。多かれ少なかれ、な。
先が見えねえから、人生はおもしろいんだ」とギバリ。
「そうかもしれんな。そもそも2年前…。アザー掃討作戦時に、私はミラで、ゲオルグ襲撃作戦に参加した。
しかし私には、ジャコモらがゲオルグの家に押し入るのを、外でじっと見てるしかできなかった。
敵には、依然とかわらず平気でたち向かえる。だがもう、非戦闘員に武器を向けることは私にはできなくなっていた…。
それを悟ったとき、それまでのすべてに背を向けて、私は脱走した…。
カラス…、あの夜、帝国の兵士としてあの場にいたというだけで、
私もまた間違いなくおまえの仇のうちのひとりだ…。
この一件のかたがついたら、遠慮はいらないいつでも討ちにこい」
「……」カラスは答えなかった。
「私は、子供の頃から戦うことだけを教え込まれ、育てられた。アズダーとはその頃からずっと一緒だった。
私のことを戦闘マシンと呼ぶ者もいたが、まさにそのとおりだった。
戦うこと以外は知らない。知らなかった…。だからあの夜、自分の一部が戦うことを拒否したとき、
どうしていいか、わからなかった…。なにもかも投げ捨てて、後先かまわず、ひたすら逃げ出すことしかできなかった…。
それから先は、以前アヌエヌエで話したとおりだ。
あちこちを転々とし、あのワズンの魔女のひとりと出会い、予言の言葉を得た。
私にはまだ、真の戦いが待っている、と…。だから、あそこで待っていた。
私の戦いが訪れるのを…。待つのは、苦手じゃない」
「サヴィナ、待っていたのは、戦いだけじゃあるまい? おまえは、自分の死を待ってたんかないか?
それまでずっと、自分の死に場所を探してたんだろ…?」とギバリ。
「フッ…。さあ…、どうかな…」サヴィナは滅多に見せない笑みを浮かべた。
「まあ、いいけどな。しかし今夜はいつになく饒舌だな?」
「ああ…、確かにな。おまえ達には話しておきたかった…。聞いておいてもらいたかったんだろう」
「……。そういう夜も、あるよね」シェラがぽつりと言う。
話し込む彼らをよそに、ミズチさまは横になってぐっすり眠っているようだった。

333 :バテン・カイトス~終わらない翼と失われた海~:2006/09/25(月) 01:45:07 ID:Kby8worz0
夜が明けて、まずアズダーの部隊が先発し、様子をみることになった。
「おまえたちは、ちょっと間をおいてから、安全を確認しながら後をついてきてくれ、サヴィナ。
村の人たちは、とりあえずここで待機だ。俺たちで脱出ルートを確認してから、呼びに戻る」
「了解だ。気をつけてな、アズダー」
「ああ、そう簡単にやられはしない。グールどもに、狂狼部隊の恐ろしさを思い知らせてやる」
洞窟で無邪気に駆け回るアザー村の子供たち。
だが話しかけると、アザー掃討のときに家族を殺された憎しみをカラスたちにぶつけてくる子もいた。
リュードが説明しようとしても、激しく拒まれてしまう。
大人たちもやはり帝国の仕打ちを恨みに思っており、狂狼部隊にも不信感を隠そうとはしなかった。
そんな殺伐とした空気の中、カラスたちもアズダーの後を追い出発した。

果てしない砂漠をどれくらい進んだか。
やがて砂の中に倒れているアズダーを発見した。
「く…、やられた…。気をつけろ、サヴィナ…」
地響きと共に、砂の中からとげとげの鉄球がついた武器を手にした巨大なグールが出現した。
戦闘がしばらく続き「もらった!!」サヴィナが決めようとしたとき、
「父さん!?」泣きそうな声が彼女の足を止めた。
「父さん…、どうして…!?」サヴィナを敵視していたあの少女だった。
奇怪な怪物の中に、男の姿が浮かび上がった。
「ちッ、まさか…!?」ためらうサヴィナを、容赦ないグールの打撃が襲う。
「作戦後、たしか死体はすべて火炎洞窟の底無し穴に投げ込まれたはず…。
そこで邪神のちからにふれて、異形化したか…!」
「サヴィナ!? なにやってるんだ!? 攻撃しろ!」カラスが叫ぶ。
グールが放った光がサヴィナを砂にたたきつけた。
グールは向きを変え、立ちつくす少女に歩み寄る。
「く…マズイ! 逃げろッ!!」
しかし子供は弱々しくうめくだけで、身動きできない。
グールが鉄球を大きく振り上げ、叩きおろした。
「あ…!?」間一髪で、アズダーが子供の前に立ちはだかり、グールの武器を受け止めた。
「アズダー!?」
「2年前は、すまないことをした…。許してくれ…。
しかし…、こいつはもう、きみの父さんではない…、わかるな…? こいつを眠らせてやろう…。いいな?」
アズダーの背後で、子供はこっくりした。
「よし…、えらいぞ」武器を押し返しながらアズダーは叫んだ。「サヴィナ…!」
サヴィナは頷き、グールに止めを刺した。

カラスたちと狂狼部隊は、村人たちを安全な場所に案内した。
「ありがとう、サヴィナ、おまえと友人たちのおかげだ」とアズダー。
「気にするな」
その時、助けられた子供がふたりに歩み寄った。
「あんな危ないところで、ひとりでついてきたりしちゃダメだぞ。ああ?」
「……」「どうした? なにか話でもあるのかい?」
少女がマグナスををサヴィナに差し出した。「…? これを、私に?」
「いくらやられても、手を出さなかった…。あの…、父さんの顔を盗んだ、あいつに…。ありがとう」
そう告げて駆け去る後ろ姿に「あ…、ありがとう!」口ごもりながら礼をいうサヴィナ。
「ほう、そいつはアザーでつくられた武器だな。なかなかの業物じゃないか。きっと、あの子の父親の…」
「……」思いをかみしめるようにサヴィナは立ちつくした。
そしてアズダーに別れを告げ、一行は砂漠を後にした。


334 :バテン・カイトス~終わらない翼と失われた海~:2006/09/25(月) 01:45:46 ID:Kby8worz0
ドゥールには、大カムリ、クラムリ、ミズチの両親、友達のキまでもがアヌエヌエから戻ってきていた。
彼らはミズチさまの力になろうと、太古の魔導師の輪を解放するため石の塔ゾズマに向かったという。

大カムリたちがゾズマの最下層で呪文を唱えると、炎にも似た輝きの中に古の魔導師の幻影が現れた。
「マルペルシュロを倒すために、あなたの星の輪を渡して欲しい」
「おまえたちはそれに値するのか?」衝撃が大カムリたちをなぎ倒した。
そこに飛び込んできたカラスたち。
「む、おまえは?」「ミズチさまはミズチさまね」ミズチは倒れたキに駆け寄る。
「どうしていつもみたく、ミズチさまがくるの、待たなかったね?」
「だって、ミズチは…もう一所懸命戦ってるじゃないか。
せめてミズチのために自分ができることをしたかったんだ」
「バカね…。そんなこと気にしなくていいよ、キ。ミズチさま、みんなの分までがんばるね」
「ううん、それじゃダメなんだよ」
ミズチは子供たちの中で、自分に「さま」をつけて呼ばせ、一番偉いんだと宣言し先頭に立った。
そうすることでモンスターたちの注意を引きつけ、おびえる子供たちをかばった。
でも、もうそうしなくてもいい。ぼくたちも戦うよ、誰もがみんなで精一杯やらなきゃ。
君はもうただのミズチでいいんだよ。
「うん、分かった。ちょっと休んでいて」
ミズチは幻影に対峙した。
「しからば、ゆくよ!! ミズチが、星の輪を受けとるね。ミズチにおまえがどこまでやれるか、見せてみるね!」
強まり広がった光の中から、古の魔導師が現れた。ミズチは単身立ち向かい、勝利する。
「受け取るがいい、星の輪を。お前になら使いこなせるだろう。幸運を祈る、我が末裔よ…」
ご先祖の幻影は消えていった。
「すごいや、ミズチ」喜ぶキに、「ううん、みんなのおかげね。でもやっぱり、ミズチさまはミズチさまね!」
「ミズチ!」調子に乗って両親にたしなめられるミズチさまだった。


335 :バテン・カイトス~終わらない翼と失われた海~:2006/09/25(月) 01:46:46 ID:Kby8worz0
いよいよコル・ヒドラエに乗り込むときが来た。
アヌエヌエのコレルリ達のもとへ向かう。
3魔女のひとりコーダーが、準備が整ったと告げる。
マルペルシュロ側がエンド・マグナスを解放するために使った五大陸の力を
コル・ヒドラエのシールドを破るために利用しようというのだ。
「むちゃな…!」と大カムロ。「各大陸は残されたちからでかろうじて空に浮いているような状態のはず…。
そのちからを吐き出してしまっては、大陸は…! 危険すぎます!」
「危険なのは、もとより承知のうえです」とレイドカーン。
「このままではいずれやられるのを待つばかり…。我々は、いちかばちかこの作戦にかけるしかないのです」とカルブレン。
「無論、となれば私のちからも必要だろう」そこに現れたのは、サダルスウドの領主ロドルフォだった。
「皆がちからを合わせる以上、わたしひとり逃げ隠れしているわけにもいかないしな」
本当のところはコトランたちに脅されて腰を上げたようだったが。
それでも皇帝亡き今アルファルドの助けは無しで、ほかの四大陸でやり遂げなくてはならない。

「しかし、わからないのですが…」とリュード。「ミローディアはどうにかしてマルペルシュロとこころを通わせているようすですね」
「ああ…、ゲルドブレイムを利用して五つのエンド・マグナスを解放させ、マルペルシュロの復活を手助けしてやったくらいだからな」とギバリ。
「最初は、おそらくミラのエンド・マグナスとのリンクだったんじゃないかしら」とシェラ。
「ええ、そう考えるのが妥当です。一方ジャコモの話だと、
ゲオルグ博士も火炎洞窟のエンド・マグナスの影響で特殊な能力を身につけていた、と…。
そして、カラスやフィーを生み出すまでは、まるで何かにとりつかれたように研究に没頭していたらしい…」
「…? それがどうかしたのか?」
「結局、ミローディアもゲオルグ博士も、どちらもマルペルシュロの意志によって動いていた、動かされていた…、
そんな気がするんですよ。当人がそのことに気づいていようと、いまいと…」
「ああ…。確かにそうだな」リュードの説に同意するギバリ。
「となると、なんだか妙じゃないですか? かたやエンド・マグナスを解放し、
世界をマルペルシュロの支配する暗黒の闇にしようとする、ミローディア側の意志…。
かたや、それを阻止して、マルペルシュロを倒す者を生み出そうとした、ゲオルグ博士の意志…。
同じマルペルシュロによって意図されたものなのに、どうして相反する二つの流れになるのでしょう?」
「むぅ…、言われてみりゃそうだな…。確かに、そいつはヘンだ」
「そもそも、ゲオルグ博士の研究は、生命のマグナスの創造です。
これは、いわば滅びであり、死のマグナスであるエンド・マグナスと。真っ向から対立するものです。
カラスがマルペルシュロと対決するのは、あらかじめ決められていたと言えるかもしれません。
そういった意味では、カラスはまさに、マルペルシュロにとっては
自身の死を予兆する、不吉な存在だったわけです」
「そういうものさ」サヴィナが言葉をはさんだ。
「え…?」
「…みんな、平気で矛盾したものを抱えて生きてる」後を続けるようにシェラが言った。
「他者に誠実でありたいという気持ち、何もかも投げ出してしまいたいような気持ち。
自由でありたい気持ち、絆を求める気持ち…。
大切な人を守ってあげたい気持ち、見捨ててしまいたい気持ち…。
生きたい気持ち、死にたい気持ち…。愛する気持ち、憎む気持ち…。
ミローディアとカラス…。あなたたちはそれぞれ、マルペルシュロのこの世界に対する呪いと祈りなのよ、きっと…」
「呪いと…、祈り…」カラスが繰り返す。
「ええ…、実際マルペルシュロが何を考え、何を望んだのか、わたしにはわからないけど…、でも、そんな気がする…」
「ミローディアとカラス…、ヤツらと俺たち…。どちらが勝かわからない、どっちが勝ってもいい…。
なんだかんだ言って、結局は神の気まぐれ…、ゲームってことなのか?  
そいつに俺たちみんな、有無を言わさずのせられたっていうわけか?」
「いいや、違う…、遊びなんかじゃない」カラスはギバリの言葉を否定した。
「こいつは、マルペルシュロ自身の全てをかけた、ただ一度きりの決断…、意志なんだ。
千年前に葬り去られた神々の、最後の戦いなんだ。ヤツは、本気だ…」

そのころ、コル・ヒドラエの最奥で何をか思うミローディアがいた。

336 :バテン・カイトス~終わらない翼と失われた海~:2006/09/25(月) 01:48:12 ID:Kby8worz0
翌日、決戦前にカラスは自分の中の精霊に感謝の意を伝え、覚悟を新たにした。
仲間たちと、白竜に乗って飛び立つ。
五大陸が揺れ動き、それぞれコル・ヒドラエに向かい接近していった。
アルファルド以外の四大陸の力が光の柱となって、コル・ヒドラエを直撃するも、シールドは破れない。
しかもこんな時にもモンスターたちが容赦なく迫ってきた。
四大陸の力が危うく弱まりかけたとき、
「いや、まだだよ!」アルファルドから輝く力が立ち上った。
驚くコレルリたち。それは、エイメとフォロンだった。それに、アズダーたちがふたりを援護している。
皆が再び力を振り絞り、五大陸の力をシールドにぶつける。
やがてさしもの堅固なシールドもその力に破れ、カラスたちはコル・ヒドラエへの進入に成功した。

城に踏み込むと、蒼白い炎をまとった五体の黒い影が威圧するように現れ、消えた。
トウ、キョウ、ドウ、シュ、ソ・クの兄弟神の幻影だった。
五つに分岐した通路をたどって、カラスたちはそれぞれの先の部屋にいた幻影たちを倒し、さらに進んだ。

「ようこそ、みなさん、神々の玉座へ! もうすぐ神々の晩餐のじかんよ」
にこやかにミローディアが出迎えた。五つの台座に先ほどの兄弟神の幻影たちが腰掛けている。
「ミローディア…。迎えにきた。一緒に帰ろう、オレたちと」
しかし彼女にその言葉が届くはずもなかった。マルペルシュロが襲いかかってきた。
激しい攻防にやがてマルペルシュロが膝をつく。「やったか?」
「マルペルシュロ! 神々のちからが人に破れるなんて…そんな…バカな!?」
うろたえるミローディアの背後から声がかかった。
「神々の遺骸をツギハギにして、無理矢理いのちをつくりあげてみたところで、
所詮それは不完全でいびつな容れ物…いにしえの神々のちからを完全によみがえらすことなど、
人にできるわけがなかったのですよ」後を追ってきたコレルリだった。
「もういい…。終わったのだよ、ミローディア…。こんなことは、もうやめにしよう」カルブレンが歩み寄った。
「お爺さま…? やはりお爺さまも、わかってはくださらないのね…。
見て!! もう、以前の病弱な私とはちがう! ミラ大公家の正当な後継者として、
エンド・マグナスを受け継ぎ、いにしえの神々の力を手に入れたのよ!!」
「ちがう、ミローディア、おまえが神のちからを手に入れたのではない。神々の方で、おまえを取り戻したのだよ…」
「……!? いったい、なんの話、お爺さま?」「おまえは、じつは…」
幼い頃から体の弱かったミローディアは、9年前に亡くなっていたのだ。両親とともに流行り病に倒れて。
惨い現実に耐えることのできなかったカルブレンは、エンド・マグナスのちからを借りて孫娘を蘇らせた。
死から蘇った、闇に属する生き物。このマルペルシュロと同じように。
カルブレンはミローディアに、ともにちからを合わせ、再びマルペルシュロをマグナスに戻し封印しようと言う。
だが、自分の方が操られていたと知ったミローディアはひとしきり高笑いをしたあげく祖父をなじる。
「どうしてよみがえらせたりしたの…!? どうして死んだままにしておいてくれなかったの…!?」
彼女の体はマルペルシュロに融け込むように呑み込まれた。光り輝くマルペルシュロ。
「虚ろだった容れ物が、たましいを手に入れてしまった…!」
さらに兄弟神の幻影を吸収し、マルペルシュロは完全な姿を取り戻し力に満ちあふれて立ち上がっていた。
激しい攻撃が一同を見舞ったが、突如遮るように強い輝きが。
その中に、皆をかばうように立ちはだかる姿が見えた。「フィー…」
気をとりなおしたカラスたちは姿を消したマルペルシュロを追い石段を上っていく。

337 :バテン・カイトス~終わらない翼と失われた海~:2006/09/25(月) 01:49:03 ID:Kby8worz0
城の屋上、待ちかまえていたかのように立ちはだかるマルペルシュロ。
フィーのくれたいのちのちからとマルペルシュロの滅びのちからと、今度こそ決着をつけなければならない。
死闘が繰り広げられ、カラスたちはなんとか邪神の勢いを殺いでいった。
カラスはミズチさまに魔導師の力でマルペルシュロを縛るように頼み、
「ちょっと、行ってくるよ。あとは、よろしく頼む」
ミローディア、今闇の中から引っ張り上げてやる、と叫んで邪神の体内に飛び込んだ。

精霊の杜ネクトン、フィーの名を呼ぶカラス、光の渦と化していくフィー。
ミラの大公の館、ベッドに横たわるミローディア「…だれ?」起きあがって部屋を出ていく。
ネクトン、一人っきりで目が覚めるカラス、憎しみに燃え復讐を誓うカラス。
そこへやって来た人影。「あなたは誰? 欲しいのね、ちからが…?」ミローディアだった。
「いいわ、私があなたにちからをあげる…」にっこり微笑む。
「私があなたを導いてあげる。そのかわり…、これからは、なんでも私の言うことを聞いてくれなくてはダメよ、いい?」
カラスは彼女に従い、精霊に憑かれた。
そのあと帰宅したミローディア「血が」。侍女は喜び、彼女がカルブレン家の正当な後継者になったと言った。
が、ミローディアにはどこかの闇のなかでつぶやく声が聞こえた。「ならば、継ぐべきものを継がせてやろう、しかと……」
エンド・マグナスの解放、邪神の復活、それからの数々の企み、偽り、死、悲しみの影に、彼女の暗躍があった。
そして今、どことも知れぬ場所にひとりぽっちで腰掛ける彼女に、名を呼びかける声が。カラスだった。
「ミローディア、聞こえるか、ミローディア。言ったろう、迎えに気立って…。さあ、帰ろう、一緒に…。みんなのところへ…!」
だが、彼女に声は届かない。「おまえひとりだけ、こんなところに残してはいけない! いい加減、目を覚ませ!」
カラスは精霊に力を貸してくれるよう頼み、再びふたりで彼女に呼びかけた。
「…にいさん?」ミローディアの目が覚めた。

コル・ヒドラエ。立ちつくすマルペルシュロを前に、カラスを待って見守る仲間たち。
もうこれまでかと思われたとき、邪神の体から、ミローディアを抱えたカラスが飛び出してきた。
カルブレンが孫娘の名を呼び、抱きしめる。「…ごめんなさい」
「よし、マルペルシュロを眠らせてやろう! いい加減あいつを、千年の呪縛から解き放ってやらないと…!」
「でも、神器はみな砕けてしまっている…。いったい、どうすれば…」とシェラ。
「私が…」とミローディア。昔の魔導師たちは精霊を宿し、そのちからで神器も鍛えた。
彼女のエンド・マグナスとカラスのいのちのマグナス、そして精霊の力をひとつにすれば…。
3人のちからで神器を修復し、ワズン3魔女も魔力を放ち、シェラは祈った。
「光なき地にひかりを。救い亡き者に救いを。ひとり夜の底を行く我らを、海よ、いざないたまえ…」
強く光を放っていたマルペルシュロの体は、細かな粒子となって消えていった。
「苦しかったでしょう…? 哀しかっただでしょう…? ゴメン…、ゴメンね…」
シェラは跪き、手を差し伸べた。「海へ、おかえり…」
城が揺らぎ始めた。白竜と帝国の船が迎えに来た。一同が脱出するやいなや、コル・ヒドラエは再び異界に引き込まれていった。


338 :バテン・カイトス~終わらない翼と失われた海~:2006/09/25(月) 01:50:16 ID:Kby8worz0
白竜から見下ろすと泥雲がすっかり消え失せて、ひろびろとした大地が続いていた。
五大陸が地上めがけて下降を始めた。地上に五体の兄弟神が姿を表し、
それぞれ大陸を受け止めるとそのまま岩と化していった。

アヌエヌエの首都コモ・マイはお祭り騒ぎの真っ最中。
カラスは、指導者たちから感謝とねぎらいの言葉を受けていた。
カラスは、自分を信じてくれたみんなのおかげだという。
コレルリ、レイドカーン、ロドルフォたちはこれからも協力しあうことを約する。
カルブレンを見つけてミローディアのことを聞くカラス。孫娘を気に掛けるカルブレン。
そのあとカラスはミズチさまに、いつまでその面をつけているのかと尋ねる。
そう言われて面をはずしたはいいが、落ち着かないミズチさま。これからはあちこち大冒険をするのだと言う。
シェラは元気がない。なんだか気になる。
リュードはひとり離れたところで、リーダー無き祖国のこれからを憂えていた。
今までと違い他の国と協力しあえるし、なんならおまえが指導者になれと元気づけてやる。
サヴィナは、今までできなかった、してこなかったことを始めるのも悪くない、と言う。
そばで聞いていた滝の村の少女が、だったらお料理なんてどうかなと勧める。

こっそりコモ・マイを抜け出すシェラを追うカラス。
「いつから気付いてた?」と言うシェラに、カラスは前から気がついていたと答える。
シェラが彼とミローディアの企みをを月騙しの森で偶然知ってしまったこと、
そこに寄ってきたグレイソーンのミーマイに、意識を失い倒れたカラスをケバルライ村に運ばせ、
自分は初めて村で彼に出会ったふりをして、それから行動を共にするようになったことに。
それに、シェラには精霊の声が聞こえていたのを、カラスは見抜いていた。そして実際、精霊を宿した。
精霊憑きになれるのは、選ばれし者。精霊(プレイヤー)に主人公と認められ、憑依したい(ゲームをプレイしたい)と思わせなければならない。
それには、主人公たる自覚、死をもってしても何かを成し遂げなければならないとか、そういう覚悟が必要なのだ。
そう、シェラは何かを覚悟している。
「きみはいったい何者なんだ?」
千年前に五大陸が神との戦い後に地表を離れたとき、氷の国もクジラのちからで空に上がった。
その時、魔導師が当時の氷の女王の体内に海を封じ、地上が浄化されるまで代々引き継いで守るよう定めた。
今、最後の氷の女王シェラの中に、その海があるのだ。
シェラは自分と同様どこか違ったカラスのいのちの輝きに惹かれ、守ってあげたいと思っていたという。
「カラス、あなたに解放してもらいたいの、私の中の海を」
「…海を開放したら、シェラ…、その時、きみは…?」黙り込むシェラ。「ダメだ…! できない…、オレには!!」
だが、海を開放できるのは、同じ精霊を宿した彼とシェラと、精霊の3人だけだ。
シェラに説得され、ついに承知するカラス。3人で、祈りの言葉を唱える。「ありがとう」

その時。「まだ、だ! まだ、おまえたちの好き勝手にはさせんぞ!! この世界は、私のものだからなぁ!!」
地面が揺れる。ワズン魔女たちが駆けつける。
「カラス、見ぃーつけたぁ!!」ゲルドブレイムの声だ。
「神がなんだぁ!? いにしえのちからがなんだぁ!? みんな…みーんなくっちまったら面白いだろうなあ」
亡霊のようないくつもの白い顔が宙に浮かぶ。「私はもう、この世界そのものだぁ! 宇宙そのものになるんだぞぉ!!」
魔女たちは術を使うまもなく、体が地面に呑み込まれていく。
大地から小山のようなゲルドブレイムの頭部が盛り上がって、カラスとシェラを攻撃する。
ふたりでこれを退けたが、シェラは倒れる。抱き起こすカラス、見守る魔女たちとミーマイ。
どこからともなく、グレイソーンたちも集まってきた。
2年前、シェラが国を飛び出す原因となった夢、それは世界の破滅ではなかった、
暗い森で誰かを抱え、泣き叫んでいたカラスの姿だった、守ってあげたかった、と告げて力尽きるシェラ。
抱きしめるカラスの腕の中から、シェラは白い輝きとなって消えた。

雨が降ってきた。雨は傷ついた大地にも、五大陸にも、やむことなく降り続けた。塩辛い雨だった。
人々の背中にこころの翼が開き、そして消えていった。雨は見る見る大地を満たし、海となった。
やがてその中に氷の国ワズンが降りてきた。
すると、世界中からグレイソーンたちが引き寄せられるように集まり、ミーマイもそのなかに加わり、
大きな生き物、クジラとなった。クジラは一声鳴くと、水しぶきを上げて跳ねた。


339 :バテン・カイトス~終わらない翼と失われた海~:2006/09/25(月) 01:51:05 ID:Kby8worz0
皆が精霊の杜ネクトンに集まった。精霊と初めてであった時のことを思い起こすカラス。
ここで、別れよう、と精霊に告げる。精霊はカラスの体から離れていった。
子供たちが駆け寄ってきて、カラスに海岸で拾ったというシェラのペンダントを手渡す。
シェラの声が聞こえるんだという。耳に当てると、波の音がした。
と、ペンダントから水しぶきがあふれ出し、その中にシェラが立っていた。
「ただいま…」驚く一同。シェラを抱きしめるカラス。
「約束したでしょう…、どこにも行かないって…」
ミーマイたちクジラが、バラバラになって消えようとしていた彼女をひとつにしてくれたのだ。
シェラは精霊(プレイヤー)に、感謝と別れを告げた。ギバリ、リュード、ミズチさま、サヴィナも。
そのほかのみんなもこちらに向かって手を振るのだった。

【エンドロール一枚絵】
レブリスとアナと、3人で釣りをするギバリ。
金槌?を片手に子供たちと話しているリュード。
子供たちを率いるミズチさま。
白いエプロンに、片手にフライパンのサヴィナ。
ふたり寄り添って笑顔のカラスとシェラ。

どこかの室内、棚に置かれている飛翔器に一枚の羽が舞い下りて、おわり。


・人名補足

【カラス】主人公。精霊憑き。生まれつき心の翼が片方しかない。実は人間ではなく、マグナスから作られた存在だった。
【シェラ】氷の国ワズンの女王。失われた海を体内に封じ込め守っていた。かぼちゃぱんつ。
【ギバリ】ディアデムの漁村ナシラの漁師。昔ディアデム騎士団に所属していたこともあり、剣の腕も飛び抜けている。
【リュード】アスファルド帝国の軍人だったが、砂漠の村アザー掃討に反対して閑職に追いやられた。
【サヴィナ】帝国「狂狼部隊」所属の死神と恐れられた戦士だった過去を持つ。
【ミズチさま】土の民。神を封印した古の魔導師の力を受け継いでいる。決して仮面をはずさない。
【ゲオルグ】皇帝ゲルドブレイムのもとでマグナスの研究をしていた科学者。マグナスから作ったカラスとフィーを育てた。ジャコモたちに襲われ死亡。
【フィー】カラスの弟。ジャコモたちに襲われ死亡。
【ラリクシ】ケバルライ村の医者。昔ゲオルグと共に研究をしていた。
【ジャコモ】帝国「暗黒部隊」の首領。ゲオルグの息子。力を追い求めている。
【エイメ】【フォロン】「暗黒部隊」幹部。ゲオルグの実験に使われた孤児だった。
【アルマード】リュードの乳母。彼を兄・姉とは違う優しい性格に育てた。実は生みの母だったらしい。
【アナ】【レブリス】ナシラに住むギバリの幼なじみ。
【コレルリ】永きに渡ってアヌエヌエを治めている妖精導師。永遠の17歳。
【レイドカーン】ディアデムを治める王。国民の信任を得ている。
【カルブレン】ミラを治める大公。ミローディアの祖父。
【ミローディア】いったん病死したがカルブレンがエンド・マグナスのちからで蘇らせたため、闇に落ちた。







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