永遠のフィレーナ (Part1? > 2)

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298名無しさん@お腹いっぱい。sage2005/05/22(日)20:08:44 ID:crreefIS
SFC永遠のフィレーナ、投下します。
原作は昔アニメージュで連載された小説らしいけど未読です。
OVAにもなってるそうな。(´・ω・`)知らんがな

299名無しさん@お腹いっぱい。sage2005/05/22(日)20:09:45 ID:crreefIS
○用語説明
デビス帝国…強大な陸軍力で国々を潰して大陸を支配した。
フィロセラ…デビスに抵抗し、最後に滅ぼされた国。
ラリテニア…デビスに潰された国。
帝国人民…デビス民族。支配する側。
属国民…帝国に寝返った国の民。店とかやらされてる事が多い。
クレチア…帝国に潰された国の人々。奴隷同然で人権も剥奪されてる。住む場所も分けられてる。
バトルショー…帝国人民を楽しませるためのクレチア同士で殺しあうショー。引き分けは無い。
バトラー…バトルショーで闘うクレチア。男しかいない。
バトル作家…客を楽しませるため、バトルショーのシナリオを演出する人。

○人説明
フィレーナ…名前は全然隠れてないが、男として育てられたクレチア。
      父親似の顔と、バトラーは男だという先入観もあってか外見で女とバレる事はまず無い。
ゼナ…………16年前にドラに赤子のフィレーナと共に現れた老剣士。
      フィレーナを男と偽らせ、戦い方を教えた人物。
リラ…………闘い前のバトラーに与えられる女クレチア。名義上フィレーナの妻になり精神的に支える。
ネスト………バトル作家。フィレーナの闘いを見て、自分の生き方に疑問を抱く。
ミリカ………フィレーナがヌッ殺した男の奥さん。幼い息子がいる。
黒い悪魔……帝国の機密情報機関所属。バラバという役職名で何かいっぱいいる。
      決めセリフは「名もなく消えてもらおう」

300永遠のフィレーナsage2005/05/22(日) 20:12:25 ID:crreefIS
デビス帝国が大陸を支配してから6年が経った。

ドラの街・バトラー養成所
バトラー訓練士のゼナから特訓を受ける6歳のフィレーナ。
「じいちゃんと戦いたくないよ…」という少女に、本気でかかって来いというゼナ。
「女のお前に男のバトラーとして生きろというのは惨い話だ」
強くなることだけを考えろ、そう言うとゼナはフィレーナを鍛えるのだった。

10年後
日々、特訓を続ける16歳のバトラー訓練生、フィレーナ。
小さな身体を生かして攻撃しろ、と言われながらゼナとの訓練終了。
明日はフィレーナのデビュー戦。死ぬまで闘い続ける生活が始まる。
「ゼナじいさん…」と呼びかけるフィレーナに、ゼナは新しいナイフとシューズを渡した。
「フィレーナよ…、お前にはワシの全てを与えたつもりだ…。何故だと思う?
 …お前には大切な使命があるからだ。今に、全てを知るときがくる」

明日の試合に備えて自室で休んでいると統率官に呼び出される。
部屋には自分の他に、4人のバトラーが呼び出されていた。

統率官曰く「お前等、バトって死ぬだろうから今宵は楽しめ(要約)」
言い終わると同時に、部屋に5人の女たちが入ってきた。
4人のバトラーは、それぞれ好みの女を連れて行き、フィレーナと最後の娘が残される。
困るフィレーナ。娘を置いて部屋を去ってしまった。
「あっ!」
置いていかれた娘は、統率官の「ムチで打たれるぞ(要約)」
という言葉で我に返り、飛び上がって部屋を出て行った。
フィレーナを追って、娘が部屋を尋ねてくる。
「私の名は、リラ。私を抱いてください…」
沈黙のフィレーナ。
「私…、抱かれに来たんです…」
自分の役目が果たせなければ叱責を受けるのだと言う。

301永遠のフィレーナsage2005/05/22(日) 20:13:57 ID:crreefIS
「悪いけどボクには…」
断り続けるフィレーナに、リラは自分にはそんなに魅力がないのかと問う。
「いや…、その…、明日のバトルショーのことで頭がいっぱいなんだ…だから…」
まさか女なので無理ッスとも言えないフィレーナにリラは苛立ちを隠せない。
「もう!あなた男でしょ?こんな美人に言い寄られてそれでも断るつもり?」
「…美人?」
「美人じゃないっての?あったまきた。私だって選べるなら
 こんな小さいバトラーなんか選ばないわよ」
「そうつっかかるなよ!美人じゃないとは言ってない、君は十分可愛いよ…」
可愛いと言われ一瞬止まったものの、やっぱり美人じゃないって事だと壁に追い詰める。
フィレーナは部屋から帰す事を諦めると、明りを消してリラを伴いベッドに入った。

沈黙。

「キャッ!」というリラの声と共に明りがついた。
どうもフィレーナの胸に触ったらしく、あっさりと女と言う事がバレる。
クレチアに女のバトラーはいない。
「統率官が気づいたら、あなた殺されちゃうわ!」
「ボッ…ボクは…男だ…!」
自分は生まれた時から男として育てられてきた。
何故偽らなければならないのかは自分にも分からないが、秘密して欲しいと頼むフィレーナ。
「…、あなたもリラと同じ、悲しいクレチアなのね…」
女とバレたら殺される。バトラーとして生きても死ぬまで戦い続ける。
リラはフィレーナを思って言った、希望も何もないと。

男に抱かれるために育てられたリラと、男として育てられたフィレーナ。
悲しいクレチア二人。
フィレーナは、今日この部屋でリラを抱いた事にし、リラは秘密を守る事にした。
そしてリラは雰囲気を明るくするように
「明日の試合は絶対に負けないでっ。約束よ?」と言いフィレーナの側で寝顔を見つめた。

302永遠のフィレーナsage2005/05/22(日) 20:15:33 ID:crreefIS
翌日、迎えに来た統率官に起こされる。
逃亡防止の為、養成所から闘技場に入るまで統率官と兵士が同行する。
姿の見えないリラを気にするフィレーナに、統率官は試合で生き残ればわかると言った。

夕べ顔を会わせた4人のバトラーと合流し、帝国人民で賑わう試合会場に出る。
「闘いに命を捧げる勇気ある者たちに デビスの神の御加護を…」
神への祈りを捧げた祭司が去り、いよいよフィレーナの初試合となった。

○第1回戦・ビッグエレファント(人というより人型の象)
倒す。勝利。しかし相応に傷ついたフィレーナも意識を失う。

気がつくと見知らぬ部屋のベッドの中。
身を起こし辺りを見回すと、心配したリラがかけよって来た。
フィレーナが眠っていた家は、試合に勝ったバトラーが与えられるもので
周囲にフィレーナの妻と思われたリラはここに連れてこられたのだ。
「あなたが生きているかぎり、リラは、あなたの奥さんよ…
 ちょっとヘンタイっぽいけど、まっ、気にしないで!」
リラはそういうと、この家でフィレーナの帰りを待つことにした。

次の試合までは街をうろついたり養成所でゼナじぃの特訓を受けたりしてみる。
帝国人民地区ではあからさまに「クレチア風情が!」と嫌がられる。
病院では、帝国の実験台にされたという老人が、自分を14歳だと言っている。
ちなみに主人公宅の南にある家には、対戦相手の一人フィラードの奥さんサラが住んでいる。

○第2回戦・バラバス(通り名・カマキリ)
素早い小柄のバトラーなので「ノミのフィレーナ」というありがたくない二つ名がつけられる。
倒す。勝利。
フィレーナも今度は倒れることもなく歩いて退場。
闘技場入り口まで戻ってくると、バトル作家のネストという男に声をかけられる。
バトルショーの脚本家でフィレーナの試合を気に入ったという。
「たいてい街の酒場にいる、気が向いたら尋ねて見てくれ」といい去っていった。
自宅に戻るとリラが喜んで出迎えてくれた。

303永遠のフィレーナsage2005/05/22(日) 20:16:44 ID:crreefIS
○第3回戦・ゴラス&フィラード
ノミから奇跡のフィレーナへと通り名がレベルアップしたところで
何故か今回の試合は2対1。
「こんなハンディ戦で闘いたくなかった…」というフィラード。
だが、自分も家族の為に死ねないと言い試合開始。
ゴラスは「勝ちゃぁいいんだよ」な人。
倒す。勝利。
フィラード「君の強さは本物だ…。サラ、幸せに…」

(サラの家に行った場合)
「夫が死んだのは、あんたのせいじゃないわ…。これはバトラーの運命なのよ」
ちなみに、バトラーの夫が死ぬと与えられた家からは追い出される。

自宅に戻ると、リラがボンヤリしてるので話しかける。
リラからの質問「もし、フィレーナに兄弟がいたとしたら、会いたい?」
頷くと「生まれてすぐに家族と離ればなれにされたクレチアでも会ってみたいものよね…」
リラは、次のバトル相手が、フィレーナの実の兄だという話を聞いたという。
「…ううん、きっとただの噂だと思うけど」

酒場のネストに会いに行き、噂について尋ねてみると
確かに次の対戦相手はフィレーナの兄だという。
だが、少し考えると、フォレーナを連れて酒場を出て物陰に入った。
ネスト曰く「嘘っぱちだから気にするな(要約)」
つまり実の兄弟同士で悲劇の殺し合いが観客にウケる、と読んだ演出らしい。
それだけ告げるとネストは酒場に戻っていった。

304永遠のフィレーナsage2005/05/22(日) 20:17:49 ID:crreefIS
○第4回戦・フィコス
奇跡→人気者のフィレーナになりつつ入場。
解説者の「自分の兄を倒せるか!」の言葉に続いて入場してきた対戦相手が話しかけてきた。
「久しぶりだな、フィレーナ…。俺がお前の兄、フィコスだ…。
 オレたちは兄弟なのに、殺しあわなきゃならぬ運命とはな」
そういうとフィコスは壇上に登る。フィレーナは無言。
試合中、兄として惑わすような発言をするが倒す。勝利。
フィレーナが倒れたフィコスの側に立つと、彼は言った。
自分はバトル演出用の道化のバトラーだと。
「妻と…子供の命を守るため…、お前の兄と…偽って…」
フィコスは息を引き取った。彼も悲しいクレチアだった。
兄殺しのナレーションと共に、退場しようとすると女と子供が乱入してくる。
女はフィコスの妻ミリカ。フィレーナに向かって叫ぶ。
「必ず仇をとってやる!フィス、この男の顔をしっかりと覚えとくんだよ…
 父さんを殺した、この男を!」
去り際一度振り返った子供をつれ、ミリカは去っていった。

一人俯くフィレーナ。
「ミリカさん…、こうするしかなかったんです。これが…バトラーの、宿命だから…」

その頃、闘技場入り口。
統率官とフィレーナの今の試合について話す兵士達。
「平気で兄を殺せるとは、全く見上げたクソ度胸だ…。
 しかし妻と子の前で夫を殺させるとは、バトル作家も面白いシナリオを書くものだな…」

自宅に戻るとリラが走って出迎える。
「ごめんなさい…あなたが負けた時のことを考えてたらなんか…悲しくなっちゃって…
 フィレーナ、そんな寂しそうな目をしないで。あなたは負けるワケないわ。そう信じてる…」

305永遠のフィレーナsage2005/05/22(日) 20:19:18 ID:crreefIS
酒場でネストに話しかけると、フィコスの事は気にするなと言われる。
「それより、次の試合が問題だ。バトル作家でも対戦相手を変える力まではない…」
今回だけは内容を明かせないという。酒のペースが早い。

養成所へ行くとゼナの姿はなく、部屋には別の教官がいた。
もう教官はゼナではないという。

○第5回戦・ゼナ
人気者→兄殺しのフィレーナが入場。対戦相手は師、ゼナ。
いつも通りに祭司が祈りを唱え、去る。
無言で歩き出すゼナ。
フィレーナは逆に入場口へ向かうが、兵士に抑えられ壇上まで引きづられていく。
「ゼ、ゼナ先生!いや、ゼナじいさん…!どうしてボクがじいさんと…」
生き抜くことだけを、考えろ。ゼナはそう言うと師弟対決は幕を開けた。
「宿命だと思え、自分を乗りこえ本気でかかってこい!」
ちなみに試合中ゼナの攻撃はすべて当たらない。

倒す。勝利。
必死でゼナを抱きおこすフィレーナ。
ゼナはフィレーナを褒めると、一つの首飾りを手渡した。
「情報…管理局に行け。この、首飾りに…
『フィロセラの希望』…には…お前の…秘密、が……」
泣くフィレーナ。
「王女よ… さ…ら…ば……」
最後にそう言い残すと、ゼナは息を引き取った。

会場に流れる解説者の声。
「フィレーナ強い!師ゼナも倒した!しかしここまで来ると恐ろしい気がします!
 フィレーナには人の心はないのか!?」
ゼナの死体から離れようとしないフィレーナを兵士が連れて行った。
闘技場入り口では、フィレーナの劇で客が増えたと喜ぶ統率官と兵士達がいた。

306永遠のフィレーナsage2005/05/22(日) 20:20:22 ID:crreefIS
ゼナの遺言に従おうと思ったフィレーナは、酒場でネストに調べ物をしたいと話す。
「ドナ情報管理局へ行くといい…。データ分析室もあるしな…」とネスト。
クレチアが入ることはできないので、ネストについてきてもらう事になった。
情報管理局で合流という話になる。

情報管理局入り口で早速守衛にとっつかまるフィレーナだが
後から入ってきたネストの口ぞえで強引に押し通る。
建物の奥に進み、データ分析室に到着。
「使い方はこいつが教えてくれる。俺は外にいるから」というネストに
フィレーナは何故自分に親切なのかと問う。
フィレーナが闘技場で闘う姿を見て、帝国に逆らいたかった自分に気がついたのだと言うネスト。
「男が男にホレちまったっていうか…。おい、誤解するなよ!
 その趣味はないからな、ハハッ」

ネストの退出後、データ分析マシンに向かうフィレーナ。
『コードSN098…。フィロセラの希望…セット。分析中…』
分析の結果、マシンは、フィロセラ製の映像記憶デバイスに残されていた情報を再生した。

マシンが映像を映し出す。ゼナの声が聞こえてきた。
「フィレーナ…これが海じゃ!お前の生まれたフィロセラの海じゃ…
 どうだ、美しいじゃろう。我らフィロセラの民は、この海の恵みによって豊かに暮らしてきた。
 だが、16年前のある日…フィロセラは帝国軍に襲撃された!
 その日から何もかもが変わった…」

307永遠のフィレーナsage2005/05/22(日) 20:21:11 ID:crreefIS
火が放たれる街や城。王宮の門前には争い傷ついた兵士達が倒れ
追い詰められた王と后、2名の側近、そして生まれて間もない王女がいた。
王と王妃はフィロセラと運命を共にするという。
ウト「王様!」
ゼナ「ならば、このゼナとウトも、フィロセラと共に…」
王はスッパリ却下すると、2人の側近に2つの"フィレーナ"を託した。
「さあ、王妃…」
「1つはこの"フィレーナの剣"…。
 海を守り、奇跡を起こすフィロセラの宝です…。これをウトに…
 そしてゼナには、愛する我が子"フィレーナ"を…。どうか、お前だけは健やかに…」
「ゼナ…ウト…、よろしく頼んだぞ!」
「ハッ、お任せください!我ら2人の命に代えても…」ゼナが言った。
2つの"フィレーナ"が無事である限り、必ずやフィロセラは蘇る。
その言葉を残し2人に別れを告げると、王と王妃は王宮の中に入り、門を固く閉ざした。
「王様っ!」

陸地から離れていく城。王女と剣を抱え脱出していた2人が見たものは
海中に沈んでいく青きフィロセラ王宮であった。
王座に座った王と王妃。
王妃は我が子に語りかけた。
「さようなら、フィレーナ…。私たちの愛するフィレーナ…。
 さようなら、フィロセラ……」

セピア化する映像。ゼナのナレーションが戻ってくる。
「王国の、ただ一人の王位継承者。それが、お前なのだ!
 フィロセラ王国の王女よ…、帝国の支配の中で死に絶えた海を
 再び蘇らすのじゃ!
 そして、豊かなるフィロセラ王国をもう一度お前の手で……」

308永遠のフィレーナsage2005/05/22(日) 20:21:59 ID:crreefIS
ゼナは、帝国の首都ボーへ向かい、刀鍛冶のウトを訪ねるように言った。
ウトが奇跡の剣"フィレーナ"を授けてくれるだろう、と。
最後にゼナは言った。
「…お前の正体は決して帝国に悟られぬようにな。
 フィロセラの王女であること…そして女であること…」

映像が途切れた途端、赤い光と警告音。
データ分析マシンが『コード"スクランブル"』を告げる。
再生されたデータの中に、帝国の最高機密に属する情報があったと告げる。
「利用者の人民コードを明らかにしてください」というマシンに慌てて近寄るフィレーナ
「お前、何やらかしたんだ!」ネストが室内に飛び込んでくる。
兵士に見つかると監獄行きなので逃げるに決定。
ガシガシ倒しつつ脱出する2人の前に入り口で揉めた守衛が登場。
「ネストさん、困りますね、これほどの死人をだしてもらっては…
 あなたが知った最高機密を話してもらいましょうか」
「最高機密だって!?」
ネストは外に出てたのでなんも知らないデス。 

直後、守衛達が一瞬で消滅。何が起こったのか分からない2人。
柱から現れる黒い人影。
「帝国の機密に触れたものは黒い悪魔に出会う…
 黒い悪魔に出あったものは死ぬ…」
ネストが動揺した。戦闘体勢をとるフィレーナに忠告する。
「フィレーナ、気をつけろ!こいつはただの兵士じゃない!」

瞬時にフィレーナの背後をとった黒い悪魔は「名もなく消えてもらおう!」と襲い掛かってきた。
倒す。勝利。そして脱出。
残された黒い悪魔はどこかに通信を入れる。
「こ、こちら…バラバ2…、逃げられた…
 バトラーのフィレーナと…バトル作家が…一緒だ…。
 あとを…た、の…む…」消滅。

309永遠のフィレーナsage2005/05/22(日) 20:22:47 ID:crreefIS
建物から出た2人。まずいことになった、というネスト。
黒い悪魔。噂で聞いたが、本当に見たのは初めてだという。
「"帝国機密情報兵団"。通称、"黒い悪魔"さ」
フィレーナが再生した情報が、軍を危険にさらす最高機密だったために
排除しようと駆けつけてきたのだった。
「一体何を調べたんだ?」という問いに答えられないフィレーナ。
ネストは無理に聞こうとはしなかった。
「ネスト、あなたを巻き込んでしまって…何と言って…」
詫びるフィレーナに、謝ることはないと返すネスト。
変な話だが、こうなる事を望んでいた気がする、と。

フィレーナは一度家に戻ろうとするがネストに止められる。
「でも、妻のリラが…」
「妻か…、よし、わかった。脱出法は俺が考える…」
手配されるのは時間の問題。フィレーナの家の前で落ち合う事を約束して
ネストとは別れ、クレチア地区へ向かう。

自宅の扉を開けると中からリラが叫んだ。
「入ってきちゃダメ!」
帝国兵かと思いきや、飛び出してきたのはフィコスの妻、ミリカ。

傷つけるわけにもいかずじりじりと後退するフィレーナにミリカは何かを投げつけた。
「うわっ!」
跪いた姿を見て、慌てて飛び出してきたリラが二人の間に入る。
「あなた、フィレーナに何を…!」
「アッハハハッ、毒薬さ…!これでもう目は使えないよ!」
「何て酷いことを…!」

310永遠のフィレーナsage2005/05/22(日) 20:24:11 ID:crreefIS
帝国の兵士が現れた。
「バトラーのフィレーナだな?
 守衛および兵士殺しの罪により、お前を逮捕する!」
兵士の言葉に驚くリラを押しのけて、ミリカが前に出る。
「兵士さん、ご命令どおりこいつの目をつぶしてやりました」
兵士の反応は冷たい。
邪魔するならお前も逮捕するという兵士に向かって、約束が違うと叫ぶミリカ。
「早く息子を返しておくれよ!」

元より、クレチアとの約束など守るつもりはない兵士に向かって
ミリカは悔し紛れに毒薬を投げつけた。
3人に近づいた兵士は、後方からレーザーのようなもので撃たれ倒れた。
背後から現れるネスト。
「このヘルガンの味はいかがかね?兵士さん」
「貴様、帝国人民のくせにクレチアの手助けをするつもりか…」
「もうオレは帝国人民をやめたんだ!」
ヘルガンをくらい、跡形もなく消滅する兵士。

「その声…、ネスト?」
ネストはフィレーナの目が見えない事に気がついた。
リラが毒薬の事を話し、ミリカを押す。
ミリカはミリカで、夫を殺され、息子を奪われた怒りが収まらない。
ネストは2人を一喝し、反逆者として指名手配をされるだろう事を手短に話すと脱出を提案した。

場所はかわって巨大なマシンが置かれているどこかの作戦本部。
先ほどまでのネストやフィレーナの会話がスピーカーから流れてくる。
椅子には、黒い悪魔と同じ格好をしたヤツが何人も座っている。

311永遠のフィレーナsage2005/05/22(日) 20:25:02 ID:crreefIS
黒い悪魔バラバ1
「ネストか…?フン、バラバ2が知らせてきた反逆者の人民とはこいつのことか
 バラバ2といい、上級兵士に化けたバラバ6といい、情けないヤツラだ」
黒い悪魔バラバ3
「馬鹿め、油断をするからだ!
 しかしどうやら、女クレチアに持たせた毒薬のビンが
 トランスミッター(盗聴器?)とは気づいてない」
バラバ1が、ネスト達の行き先を尋ねた。
「養成所に行く…、脱出に地下の下水道を使うつもりだ」
「なるほど、バトル作家なら養成所の下水道ぐらい知っていてもおかしくはないな…
 ならば先に手をうたせてもらおう」
バラバ1は、バラバ4&バラバ5に通信を入れた。

一方、フィレーナ自宅前。
息子を残していけるものかとゴネるミリカを説得するネスト。
そしてリラは、フィレーナを傷つけられご立腹である。
「こんなおバカに手を貸すことないわ、時間の無駄よ」
ネストは諦め、盲目のフィレーナを連れて去ろうとするとミリカはやはり着いて来た。

養成所の中は燃えていた。火事に慌てるリラ。
「たんなる火事じゃないぞ…、門番兵もバトラーもいない」
ネストがそういうと、開いた扉からバラバが2人登場。4と5らしい。
「みんな消えてもらった。さぁ名もなく消えてもらおう…
 もうすぐ地下にも火の手が回る。そうすれば下水道は使えまい」
笑う4。舌打ちしたネストは3人を先に行かせると後を追った。
4人が地下に滑り込むと同時に入り口が崩れ、4と5を通せんぼ。
考えた挙句、4&5は養成所を爆破する事にした。

312永遠のフィレーナsage2005/05/22(日) 20:26:17 ID:crreefIS
牢屋を通り、地下を走る4人。
毒薬のビンを落っことしたミリカが拾おうとするもネストに止められる。
フィレーナが異常な音に気がついた。
「爆破するつもりか、バカな…」
ネストはそういうと、奥の牢屋にあった隠し通路を開いて皆を通す。
下水道は、まだ火の手は回っていなかった。

ここでネストがフィレーナに「お前は俺たちの後からついて来い」というが
これはフィレーナが盲目状態の為。
実際に列の先頭にすると、一歩歩くごとに画面がブレてもの凄く進みづらい事になる。

モンスターをガシガシ倒しながら下水道を進む4人ははしごを登って外に出た。
どこかの街の隅のようだ。
辺りを見回し、ここはどこ?と尋ねるリラに
「デラシーナ…、浮き草の街さ……」と答えるミリカ。
一人別の方角を向くフィレーナに、目は痛むかと聞くネスト。痛みはもう消えたらしい。
「それにしてもお前…。目が見えないくせに、よく下水道のバケモノと闘えたな…」
「それが不思議なんだ。なんていうか、こう、気配がして、相手の動きが読めるんだよ」
ネストに、根っからのバトラーだな、と言われる。ついでに女とバレた模様。
目の見えないフィレーナを補佐している間にどうも感づかれたような。
二人の会話はリラによって中断され、目の治療の為、医者を探す事になった。

この街に医者なんているのかな、と考えるネストを不思議がるリラ。
デラシーナは仕事もせずに浮き草のように遊んでいる住民ばかりなので
そう呼ばれるようになった街。そんな場所に医者がいる訳ない、というミリカ。
「それより逃げるのが先だろうに。ホント、じれったいね!この世間知らずのおバカはっ!」
「おバカっ…!?あなたねぇ、もとはと言えば…」
またも間に入るネスト。ケンカしてる場合じゃない。
探すだけ探してみる事に決め、フィレーナの側に寄るリラとネスト。
「ネスト…、さっき君が言いかけたことだけど…」
「ああ、あれか…」
ネストは少し考えると、自分の勘違いだから気にするなと言った。

337永遠のフィレーナsage2005/05/24(火) 19:15:21 ID:m3uWlXK9
ヨッパライと自称芸術家たちばかりの町を歩き、医者の自宅を発見。
「あんたが医者のキル?」
医者でその名前はどうかと思うが置いといて、ネストが尋ねると答えはyes。
だが酔っていた。事情を説明するネスト。
「実はな、毒薬で目を…」
「フム…ヒック!わしの見事なダンスにちゃんと反応しているが…」
「目が見えないのは、ボクじゃなくて隣のフィレーナですよ!」
それを早く言わんかい、とヒックヒック言いながらフィレーナを診察するキル。

彼の診断によると「要手術。でも今は無理。5日後に来てチョーダイ(要約)」と出た。
準備が必要で(体から酒に抜いたり)特に薬草はバイセーラ(行商人)が来なければ
手に入らないのだと言う。それが5日後。
待ってる間に失明しては大変だと、ネストは手術に必要なデラの薬草を取りに行く事に。
「デラの薬草は川を下った浮き草の氷穴にある」
浮き草の氷穴。バケモノが潜む暗い氷の穴。

それを聞いたフィレーナが自分で行くと言い出した。
危険な上に、帝国の追っ手もかかってる。
これ迷惑はかけたくないと言ったトコロで、リラに怒られる。
「リラはあなたの奥さんよ…。迷惑だなんて…悲しいことは言わないで!」
ネストも同意。皆同じ運命だからと。
意外にもミリカも同意する。

船頭に船を借り、川を下って浮き草の氷穴へ。
薬草もどきのマンドラゴラと戦いながら薬草をゲットしてデラシーナへ戻る。    

キルの家に入ると、手術の準備はできていた。
隣のフィレーナを見つめたリラがキルに頼み込む。
「キルさん…お願いします」
キルは頷くと、フィレーナを案内するネストと共に手術室へ入っていった。
ネストが退出し、手術が始まる。

338永遠のフィレーナsage2005/05/24(火) 19:16:46 ID:m3uWlXK9
「聞こえるか?リラ」
扉に耳をつけ中の様子を伺うリラとネスト。後ろで見てるミリカ。
「うわっ!何だこりゃ!」キルの声に飛び上がるリラ。

手術室。
「シーッ!キルさんお静かに…。皆が驚きますよ」
あぁすまん…というキル。
「あり?すまんじゃないよ」
目の手術で胸を見るものなのかよく分からんが、女とバレた。

会話の詳しい内容までは聞こえない外の3人。
「エッチでもしてるんじゃ…」と言うネスト。
「真剣な顔して何言ってるの。フィレーナは男よ!」
とリラに睨まれ、そうか…そういうことになってたな…と焦る。
「まさかネストさん…フィレーナの事…」
そこまで言うと手術が終了し、キルが部屋から出てきた。

手術は成功した。目に包帯を巻いたフィレーナがキルに続いて出てくる。
皆のおかげだよ、と礼を言った。
「ところで、このムスメだが…」
「ム・ス・メ…?」キルを睨むリラ。
「いや、もとい、このフィレーナの事だが、完全に目が治るまでは包帯は絶対とらんように」
完治する前に光が入ると、本当に失明してしまうという。

一段落ついたところで、キルが皆に尋ねた。
「ところでどうやってこの街から脱出するつもりだね?」
一応指名手配&逃亡中なので驚くネスト。
「そのムスもとい、フィレーナに聞いたんだが都のボーへ向かうのだろう?」
慌てて、行くのは自分だけです!という包帯のフィレーナ。
「夫の貴方がボーに行くのなら、妻であるリラもついていくわ!」とリラ。
何を言っても引き下がらないだろうリラの勢いに、何やら羨ましがるキル。

339永遠のフィレーナsage2005/05/24(火) 19:17:51 ID:m3uWlXK9
キルは何かを思いつくと、奥の部屋から獣耳の仮面(猫っぽい)と衣装を持って戻ってきた。
「これはミメズの仮面だ…。ミメズに潜り込めば、黙っていてもボーに行ける筈」
どうやらその集団は検問もフリーパスらしい。
ミメズって?と尋ねるリラ。
「デビスの神に仕える為に入信した女たちのことでな…
 集団となって踊りながら神殿のあるボーを目指すんだ…」
ただし、キルが持っていた仮面は3つ。盗賊に襲われここで亡くなった女のものらしい。
ミメズの仮面は帝国が支給しているものなので購入もできない。1人分足りない。

ミリカが降りた。
「3人で使えばいい、そんな格好するのはゴメンだよ」
その言葉には、どこか思いやりがあった。しかしネストが却下する。
「いや、ミリカ…。お前もこれを使って逃げるんだ。
 ドクターキル、俺はこんな仮面なんていらない」
「ネスト、あんたは?」
そう尋ねたミリカに自力で脱出するというネスト。
「これでも軍人の家の生まれなんだぜ…。帝国人民の扱いはまかせろ」
頷くキル。元よりネストが女装する方に無理がある。
後はミメズの踊りを覚える為に、町に残ってる集団を探してマスターする事に。

今更だが不思議がるネスト。
「帝国人民であるあんたが、どうしてこんなに親切に…?」
キルは答えた。同じ穴のムジナ、帝国に逆らうバカ者って事だと。

フィレーナがキルに改めて礼をいった。
ネストは皆に挨拶すると、再会を約束して去っていった。
その後ろ姿を見ながら、いい男だというキル。
「何をボケッと見ておる。仮面をつけて行け」
踊りをマスターしなくてはならないので、ミメズの衣装に着替える3人。
赤青黄色の信号機3人組になり、餞別アイテムも貰ってレッツゴー。

街で発見したミメズを追って劇場に入ろうとすると、兵士に声をかけられた。
少々古いタイプの仮面を不審に思う兵士にあたふたと答えるリラ。

340永遠のフィレーナsage2005/05/24(火) 19:18:54 ID:m3uWlXK9
場所は変わって、再びバラバの作戦会議室(略してバラバ室)。
部屋には兵士と質問に答えるリラの声が流れている。
それを聞きながら話すバラバ達。
バラバ1
「聞こえるか?兵士に化けたバラバ7の会話だ…
 怪しいな、バラバ3、どう思う?」
バラバ3
「3人か、一人足りんな…。それに、たしかキルとか…」
バラバ9
「ドクターキルのことだ…。秘密実験に手を貸すのを拒んだためクビになったやつだ!
 だがバラバ7が今話してる者が仮にフィレーナの一味だとして…
 なぜ帝国人民のキルと結びつくかだ…?」
バラバ3
「もう少し調べてみよう…
 先ほど養成所の後から、バラバ4と5の死体が発見された…
 ヤツらの死体も出てくるかもしれん」
バラバ1
「情報管理局でのバラバ2と合わせてこれで3名の団員が死んだのだ…
 まだフィレーナの一味が生きている可能性があるうちは…
 疑わしきもの…、全てを消す…。人目につかぬ場所でな……」
バラバ9
「キルについては別に利用法がある。
 仮にヤツらの仲間だったとしても生かしておこう…」

1は、兵士に扮した7に、ミメズ3人をマークするように命を出した。

去っていく兵士を見ながら、胸をなで下ろすリラ。
先ほどのミメズを追って劇場地下のミメズ集会所へ降りていく。

341永遠のフィレーナsage2005/05/24(火) 19:20:04 ID:m3uWlXK9
すんごい踊り狂ってるミメズ集団発見。この踊りで都ボーまで行くらしい。
奥にいたミメズリーダーに踊りを教わる3人。
手本を見せ、自分の踊りを繰り返すように言うが、仮面の下は包帯のフィレーナには見えない。

「すみません。この人少し、覚えが悪くて…」
何とかごまかすリラ。もう一度お願いしますと言うとミリカと2人でフィレーナの手を握る。
「フィレーナ、行くわよ…。手を離さないで…せーの…」
何とか踊りはクリアーできた。ミメズリーダーが去り際言った。
「でももう少し離れた方がいい。
 手を繋いで踊るなんて、あまり見かけないからね」

出発場所の北検問所では、ミメズの踊りをチェックしてから通していた。
やはり手を繋いで踊る3人。
誘導と勘で踊るフィレーナの動きを変だという兵士に
「この人ったら、ちょっと男っぽくて…」とごまかすリラ。
「…そうそう!うちの妹ときたら、オホホッ!
 いつも姉さんが女らしく踊りなさいって言ってるでしょ。オホホホッ!」
ミリカの怪しいフォローで更に疑われるフィレーナ。
「調べさせてもらうぞ」
「キャッ!」
「うちの妹に何するんだい!」
「胸を触るなんて…、この変態兵士!」
「う、うるさい!これも仕事のうちなんだ。男が化けてる事もあるからな…」
セクハラ呼ばわりされた兵士は、半ばヤケになって検問所の中に通してくれた。
やはりネストじゃ無理だった。

検問所内にて。
フィレーナを男だと思っているミリカは、バレたら大事だったと焦る。
先ほどの『キャッ』を演技だと思って褒めた。
何となくリラの方をむくフィレーナ。

342永遠のフィレーナsage2005/05/24(火) 19:21:08 ID:m3uWlXK9
検問所の扉が開き、ミメズ集団が外へ出て行く。
前の集団を見ながら呆れるミリカ。いつまで踊り続けるのやら。
リラが答える。
「だから、ボーにつくまでよ。食事と寝る時を除いてはずっと踊り続けるのよ!」
「そりゃ大変だ」
「あら、無理しなくてもいいのよ?
 あなたは私たちと別に行けば…。この大わがままのおバカッ!」
口論に発展しかけたところでフィレーナがリラを止めた。
「さあ行こう!おいていかれちゃうぞ…!」
怪しい仮面の女集団は、踊りながら都ボーを目指す。

バラバ室。バラバ1が他のバラバの意見を聞いている。
(もう以下、番号で)
3「作戦Bで、ヤツらの野宿中を狙おうや(意訳)」
1「アホか、他のミメズに見つかるやん。作戦Aにしとき(意訳)」
結局多数決で作戦Aになりました。

野営に入ったミメズ集団に、リーダーの黒ネコが呼びかける。
「今夜はここで一夜を明かすから、適当に休んでおくれ!」
火を囲んで休息をとるミメズの輪から少し離れた場所に座り、フィレーナ達は眠りについた。

綺麗な音色で目を覚ましたリラは、川べりに座って笛を吹くミリカに話しかける。
ミリカは、息子のフィスが好きな子守唄だと言った。
「そうだったの…」
帝国に捕まったままの息子を心配するミリカを励ますリラ。
「ありがとう、優しいんだね、あんた…。」
「フィレーナも言っていたわ。ミリカさんは私たちの仲間だって」
昼間に喧嘩した事を、フィレーナに叱られたと笑って言うリラ。
「仲間か…、仲間って、いいもんだね……
 リラ…もう休んどくれ…。あたしも、寝るからさ」
「フィレーナの横に来なさいよ…。その方が、暖かいわよ…」
リラはフィレーナの側に戻り、ミリカにそう言うと眠りについた。

隣に来てフィレーナの顔を眺めるミリカ。
「あたしのせいで失明するかも知れないってのに一度も責めないんだね…
 ゴメンよ、フィレーナ……」

343永遠のフィレーナsage2005/05/24(火) 19:22:17 ID:m3uWlXK9
朝、ミメズリーダーこと黒ネコに声をかけられ用事を頼まれる3人。
道の先にある橋で、ミメズを襲う山賊が出るらしいので様子を見てきて欲しいという。
なぜそんな危険な事を自分たちが?とミリカ。
「見たところ、あんたたちはとても仲がよさそうだからね…
 ただ、それだけのことさ。こういう危険な仕事は、チームワークが大切なんだよ」
そういわれると断りにくい3人は引き受ける事に。

リーダーに教えられた道を歩いていくと深い谷に渡った橋についた。
山賊の目につかないよう、ミメズの衣装は脱いでいく。
草むらで着替えることになった。

「フィレーナ…、目の具合はどう?」着替えながらリラが訪ねる。
包帯をとるにはまだ早すぎる。フィレーナはそう言いながら考えた。
「でもその代わり、音のする方向がとてもよく分かるようになった…。
 今も、リラやミリカさんの動きが、手に取るように分かるよ」
「やだよ…フィレーナ。あたしらが着替えてるところイメージしてたのかい?
 あんた、そんな顔して案外エッチなんだね」←男と思ってる。
怒るリラ。
「何バカなこと言ってるのよ!それより早く着替えましょ…」
リラがフィレーナの着替えを手伝い、ミリカの方を振り向くと仮面と格闘している。
ミリカの仮面がなかなか脱げないので、先に2人で行く事になった。

ようやく変装をとき、2人を追いかけようとしたミリカは
不自然に後をつけるミメズリーダーを発見する。
「…あいつ、怪しいね…」

橋の上で周囲を見渡す2人。フィレーナは背中合わせに立っている。
リラが特に異常なしと判断していると、フィレーナが誰かの足音に気づいた。
「ミリカさん…?」
「いや、違う。近づいてくる…」

344永遠のフィレーナsage2005/05/24(火) 19:23:24 ID:m3uWlXK9
フィレーナが向いた方向をリラが見つめると、黒ネコが姿を表した。
「びっくりした…、黒ネコさんだったの…!」安堵するリラ。
「どうだい…、山賊の様子は?」
「ええ…、今のところは…」そう答えながら黒ネコの方に歩きだしたリラを厳しい声が制止する。
「動くな!お前らとの追いかけっこはここでゲームオーバーだ!」
黒ネコは仮面を脱ぎ捨て、バラバ7になった。

「黒い悪魔!フィレーナ、これは罠よ!」
バラバ7は不敵に笑う。その背後の岩に身を潜めて忍び寄るミリカ。
「俺たちを知っているとは、やはりフィレーナの一味だったか…
 この爆弾で橋もろとも消えてもらおう!うん…?」
1人足りない事に気がついたバラバ7は、死角から飛び出してきたミリカに
爆弾ごとガツガツ押され、あっさり谷底に落ちていった。
ケガの巧妙だね…と笑い、ミリカが2人の元へ行こうと橋に上がった瞬間。

地の底から響いてくる音と揺れ。

フィレーナが叫ぶ。「爆弾の音だ!」
谷底に落ちた爆弾が爆発し、橋が巻き込まれそうになる。
向こう側へ走る3人。ミリカがこける。
「ミリカさん!早く!」
リラが呼ぶと同時にミリカとの間に爆発で生じた火の玉が落ち、橋が崩れだす。
とっさにリラを抱えて走るフィレーナ。
橋は瞬く間に燃え、ミリカと共に落ちていった。

「…そ…ん…な…」谷底を見ながら崩れ落ちるリラと立ち尽くすフィレーナ。
呆然としながら、フィレーナを見たリラは、その頬を流れる涙に気づく。
「…フィレーナあなた、その目で何が起こったのか…、全て…」
「ミリカさん…、せっかく友達に……」
こんな別れになるなんてひどすぎると叫ぶリラは、足元に転がる笛を見つけた。
ミリカが転んだ時に投げ出されたようだ。
彼女の形見。「いつか必ず息子のフィスに手渡そう」
そういうフィレーナの言葉に、笛を拾い上げるとリラは頷いた。

404永遠のフィレーナsage2005/05/29(日) 23:04:12 ID:awscL8O6
生きるため、そして約束を守るため、2人は帝国の都ボーを目指した。
山を抜け、雪山の中にある洞窟を発見し、入ろうとすると男が飛び出してきた。
「何の目的でここにきた!」
じりじりと迫ってくる無骨な男に怯えてリラがフィレーナの後ろに隠れる。
登ってきた方向から、男達が走ってきた。
「ラリス!大変だ!ゴア橋が消えちまったんだ…!」
驚くラリスという男。
赤毛の青年が2人に目をとめると、ラリスは帝国のスパイかもしれんと言った。
他の男達がリラとフィレーナを包囲する。
その様子を見ながら、ラリスが赤毛に尋ねた。
「アベル…、どう思う?」
あの2人の事か?と返すアベルにラリスは、ゴア橋の事だと言った。
結局洞窟の中に入って話すことになり、2人も連行される。

静かになった雪山のふもとに、バラバが4名ほど追いかけてきていた。

洞窟に入って話すアベルとラリスに仲間の山賊たちが報告。
作戦本部のレーダービジョンに黒い悪魔らしき影が映ったという。
驚く山賊たち。アジトが帝国にバレたのか…?とアベル。
ラリスが部下に、注意するように命じると偵察に向かわせた。
アベルは、リラとフィレーナを捕らえていた部下をつれ、出口へ向かう。

山賊が確認した影はやはり黒い悪魔だった。

405永遠のフィレーナsage2005/05/29(日) 23:05:26 ID:awscL8O6
一方ラリス。帝国のスパイかどうか調べる、ついて来いと言う。
それに反応したフィレーナが、帝国の悪魔の事を話そうとするが相手にされない。
「嘘じゃない!」
「それじゃ何のために?」
自分を殺すためだというフィレーナ。

そこへ黒い悪魔こと、バラバ8が息を切らせ入ってきた。
「フィレーナ、ついに見つけたぞ!山賊にまぎれるとはいい思い付きだったが…
 まあまとめて消えてもらおう!」
ラリスも入れて戦闘開始。倒す。勝利。そして8は消滅。

バラバ室でレーダーを見ていた1は、8の生命シグナルの消滅を確認し憤怒した。
「脱走バトラー一人を消すために一度に4名も団員をおくってこのザマか!!」

一方、戻ってきたアベルたちもボロボロ。
「俺たちで2匹を消したが、ひきかえに16名の仲間の命が…」
「高い代償だったな…」

フィレーナが2人の前に出て詫びた。自分が黒い悪魔を呼び寄せてしまった。
ラリスは責めなかった。
一緒に闘って好感が沸いたのか、訳あり謎あり女つきのフィレーナを気に入った模様。
「へえ、ラリスが他人を褒めるなんて、珍しいこともあるもんだ」とアベル。

用心のためアベルは出入り口を完全封鎖、ラリスは別の洞窟の様子を見に行くことになった。
ラリス曰く「化け物とか出るけど奥にアジトがあるんで自分等で行ってくれ(要約)」
そこで落ち合うとしよう!そういうとラリスは部下を伴い出て行った。  
フィレーナ達はラリテニア洞窟をワシワシ進む。
暗号を解いて開いた扉の先は、洞窟の中にある村だった。

406永遠のフィレーナsage2005/05/29(日) 23:06:35 ID:awscL8O6
「ようこそ、わがリトルラリテニアへ」
舌を噛みそうな迎え文句をいいながらラリスが現れた。

改めて自己紹介をする3人。
ラリスは、山賊を名乗ってはいるが実際は反乱軍を率いているのだという。
この村と反乱軍を隠すために、山賊を隠れミノにしているのだ。
「ここでは薬草が特産品なんだ。畑に行けば、その目に効く薬草もきっと見つかるはずさ…」
ラリスは作戦本部に戻るが、長老の孫娘に伝えておいたからまず長老に会えという。

長老に会いに行くも、お昼寝中。
孫のマーゴットを探し出し、ようやく目覚めた長老に挨拶した。
長老がフィレーナの包帯に気づき、目を状態を調べる。
「ほほう…、この目にはキキリキの薬草がよく効くべ…」
と言いながら薬草畑への通行許可をくれた。
『許可は出すからユアセルフ』お言葉に甘える。

畑に到着したものの、その種類の多さにどれがキキリキの薬草がわからないリラ。
ここで待っていて、と言うと走って長老宅に戻っていった。

バラバ室。
さらに追加で送りこんだバラバ11情報によると、一面雪景色で逃走ルートが発見できないらしい。
3が1に尋ねた。山中に潜伏した可能性は?
「山中に潜伏だと…?」

リラの帰りをボンヤリと待つフィレーナに、ラリスが話しかけてきた。
どうかしたのかと尋ねるラリスに、薬草見分けがつかねッスと言うと
村の外の人間に見分けは難しいか、とキキリキの薬草を見つけてくれた。
自分もワンパクが過ぎたせいで何度この薬草世話になったかわからないというラリス。
薬草を手に、何故黒い悪魔に狙われるのかと尋ねてきた。

407永遠のフィレーナsage2005/05/29(日) 23:07:55 ID:awscL8O6
フィレーナが事情を話し終わると、ラリスは言った。
「ボーで刀鍛冶に会って、それからどうするのかは知らないが
 この村で一緒に生活するのも悪くないと思う」
無理にとは言わんが、と付け加える。
「なんて言ったらいいのかな…。洞窟で別れた時から何かお前見てると胸キュン(要約)」

戻ってくるリラ。ラリスに気がつく。
「あらっ、ラリスさん、どうかしたの?顔が赤いわよ…」
いやその今日は暑いな…といってごまかすラリス。
リラはラリスが手にしている薬草を見つけ、いいとこあるのねと褒めた。
薬草を押し付けそそくさと家に戻るラリス。リラは変だと思いながらも、フィレーナに向かう。
「さあフィレーナ…。目の手当てをするからこっち向いて?目は開けちゃダメよ」

リトルラリテニアの作戦会議室で部下たちと話をするアベル。
何やら切羽詰まった様子で、代役を探すように手配している。

手当てを終え、包帯を巻きなおしたリラ。
「どう…、気持ちいい?早く目が治ったらいいわね…
 そうだ…、長老さんにお礼を言わなきゃ!」

長老に礼を言った後で、ラリスへの伝言を頼まれて家を訪ねる。
本人は留守だったが、ラリスの母に教えてもらい教会の地下の反乱軍の作戦本部を訪れた。
作戦本部にはラリスがいた。村長に呼ばれてる旨を伝える。
本部内を見学していると、何やらラリスとアベルが話し中。

ラリス「密売の代役には自分が行く」
アベル「リーダーにもしもの事があったら困る、別のものに行かす」

黒い悪魔との戦いで、密売を担当していた仲間が死亡した為
代理でラリスがトロッコの洞窟にはいるらしい。
フィレーナとリラは、ラリスに同行する事にした。
長老に報告し、マーゴットから、薬草の入った袋と洞窟の鍵を受け取る。
鍵をつかって内部に入ると、ポイントを切り替えたりしながらガシガシ進んだ。

408永遠のフィレーナsage2005/05/29(日) 23:09:00 ID:awscL8O6
取引場所に到着。
ラリスは2人を死角になる位置に隠れさせると、取引相手を待った。
「変だな…、薬草の買人はまだきていないようだ…
 約束の時間に遅れたから帰っちまったのかな…」

一方、バラバ8の生命シグナルが消えたポイントに到着したものの
未だにフィレーナ達の行方が掴めないバラバ14と18。
14は岩の壁に近づき、念入りに調べる。
「…分かるか?洞窟の跡だ…。バラバ15はどこへ行った?」
18が答える。
「バラバ15は、この先を調べている。別の洞窟らしき穴を見つけたそうだ」

フィレーナ達が入ってきたのとは反対方向の通路から、買人が入ってきた。
「旦那、遅すぎですぜ…、待ちくたびれましたよ…」
ラリスを見て、いつもの売人と違うと疑う買人。
代役だ!というと、話を先に進める。
ラリスが薬草の入った袋を渡す。「確かめさせてもらいますよ」
袋をうけとった買人は、数歩歩くと脱兎の如く逃げ出した。
「おい!金はどうした!?」追いかけるラリス。
買人はイカダを使って洞窟内を流れる川を渡り逃げてしまった。
「クソッ、はめられた!」

ラリスの後を追ってきた、フィレーナとリラ。
「逃げられちゃったわね…」
「人の足元を見やがって…。密売だから仕方がない…」
俺がバカだった、とラリス。
「人を信用するなっていういい教訓だったな。作戦本部に帰ろう」

409永遠のフィレーナsage2005/05/29(日) 23:10:03 ID:awscL8O6
薬草をタダでゲットした買人は、不運な事に出口でバラバ15と鉢合わせ。
「死にたくなければ答えるんだ…」
15はフィレーナについて聞くが、買人が知るはずもない。
「そんな男は知りやせんよ…、あっしはここの村人と仕事を…」
「村!?ここに村があるのか!」
「はっ…、反乱軍の…村で…」
詰め寄る15。「反乱軍だと!!」
買人を壁に投げつけガンで始末すると、外のバラバ達に連絡する。
「バラバ18…聞こえるか。ヤツの逃げ場所が分かったぞ!
 それに大きなオマケもついた…」                       

村に戻ると、帝国軍がリトルラリテニアへ向かっているという噂が広がっており
皆が不安そうにしている。
作戦本部でアベルに、密売失敗しましたーと報告。
気にするなと言うアベルの言葉に甘え、隣室で休む3人。

早くにラリスに起こされたフィレーナとリラ。
事情を説明しようとしたところにアべルが飛び込んでくる。
「ラリス!帝国の軍隊だ…、今、レーダービジョンに…」
「…、……!」
会話を聞いて、フィレーナが訪ねた。
「どうしたんだ、ラリス!」
「出入り口を閉ざしたはずのラリテニア洞窟が発見されたんだ…。帝国のヤツらにな…」
アベルは、いち早く村の女子供を山の上に逃がしていた。
ラリスが頷く。子供たちが生きていれば、ラリテニア復興の火種は消えない。
アベルは、ラリスと挨拶をかわすと、部下を連れて部屋を出て行った。

410永遠のフィレーナsage2005/05/29(日) 23:10:53 ID:awscL8O6
フィレーナとリラに状況を説明するラリス。
「レーダービジョンによれば、この村に向かっている帝国軍隊は
 大隊1つと中隊3つ…」
多すぎる。村も人も全て潰す気だ、と舌打ちする。
フィレーナはまた自分を責める。
お前のせいじゃない、いずれ時間の問題だったんだ、とラリス。
リラが慌てた。フィレーナが自分の包帯を外そうとしている。
「ダメよ!包帯をとっちゃ!完全に治らないうちに光が入れば失明するって…、……」

包帯を外したフィレーナ。
「…ボクも闘う…!」
目を開くフィレーナをリラが見つめる。
フィレーナは瞬きをするとリラに言った。
「リラ…、よく見えるよ!」
フィレーナの瞳は回復していた。
初めて顔を見たラリスが、綺麗な目だ、男にしとくのもったいないと褒めた。

「殺すのも勿体無いな!」
先ほど出て行ったアベルが一人の部下を連れ戻ってきた。
「アベル…?」
その後ろから別の部下がヨロヨロと追ってくる。
「ラリスさん…!気をつけて…、そいつらは…」
アベルの部下が蹴り倒し、そして言った。
「お前たちの仲間と同じように、名もなく消えてもらおうか…」
アベルたちが変装を解き、バラバが2人現れた。
「黒い悪魔…!」フィレーナの声。

ラリスはフィレーナとリラを連れ、奥の扉へ入ると追ってこれないよう中から閉ざした。
階段をおり、トロッコのレールが敷かれている洞窟を進む。

411永遠のフィレーナsage2005/05/29(日) 23:11:52 ID:awscL8O6
途中でフィレーナの足が止まった。
「フィレーナ…、どうした?」ラリスの声にリラも振り返る。
「ラリス…、どこに行こうとしてるんだ…」
「どこって…、お前等を逃がすために…」
「ボクにも戦わせてくれ!」
戻ろうとするフィレーナをラリスが押しもどす。逃げろと言う。
「俺たちの村は俺たちで守る!」
「しかし…」
「お前はボーに行くんだろ!それに…、生きていてほしいんだ…
 何故だか分からないが、お前には生きていてほしいんだよ!」

押し合っているうちにフィレーナの胸に触ったラリスが驚きの声をあげる。
また胸でバレた。
「そうだったのか…」
後方で見守っていたリラがフィレーナの腕を取る。
「フィレーナ…、行きましょ!ラリスさんの好意を無駄にしないで…」
そこまで言うと、フィレーナの顔が赤い事に気づく。
ついでにラリスも見るとこちらも赤い。焦りながら足早に進んでいった。

二本のレールのある場所でラリスに追いつく。
トロッコに乗るよう指示するラリス。
足を向けたものの、フィレーナは振り返る。
「ラリス…、ボクは…」
ラリスはフィレーナの言葉を遮ると、背を向けた。

「ようやく分かったよ…
 お前を見るたびに俺の胸がどうにかなりそうだった訳がな…」

412永遠のフィレーナsage2005/05/29(日) 23:13:20 ID:awscL8O6
バラバの声が聞こえた。
「見つけたぞ!!」
「ヤツラが来た!早くトロッコを出すんだ」
ラリスの名を呼ぶフィレーナに、早く行けと叫ぶ。
フィレーナとリラをのせたトロッコはゆっくりと発車し、トンネルの中に吸い込まれていった。

追いついてきたバラバ14と15。
ラリスは二人の前に立ちふさがるが、壁に叩き付けられる。
バラバ達はもう一つのトロッコに乗り込み、フィレーナ達の後を追った。

並走するバラバとフィレーナ達のトロッコ。
途中2手に別れたり、また戻って並んだりしながら若干バラバトロッコの方が追い越しながら走る。
トンネルに入り、外に出ると、両方のレールは真ん中でぷっつりと途切れていた。
先に飛ぶバラバトロッコ。向こう側につくものの微妙に足りず
飛び移れなかったバラバ15もろとも谷底に落ちていく。
フィレーナ達の乗ったトロッコは問題なくレールの先に着地。
だが残った14が武田鉄也ばりにトロッコの前に飛び出し、根性で止めた。
「フィレーナ!ここまでだ!」
戦闘開始。ボコる。勝利。

息を切らせながらリラに安否を問うフィレーナ。
「えぇ…、何とか生きてるわ。…フィレーナ、何してるの?」
トロッコのレバーをいじくるフィレーナ。動かない。
「貸してっ!おりゃ!」
「うわっ!」

急速発進するトロッコ。
しばらく走ると、今度は先のないレールを行き過ぎて止まった。落ちた。

トロッコから投げ出され、気を失った二人を老人が発見する。
「あんれまあ…、こんなところで寝てるとクレチア狩りに襲われるべ」
意外とパワフルなじいちゃんは二人を引きずって帰宅した。

457永遠のフィレーナsage2005/06/03(金) 20:34:17 ID:i/hYkze7
目を覚ますと、見知らぬ家だった。隣のベッドでリラが寝言を言っている。
「元気になるまでゆっくり休んでいきんしゃい」
親切な老人夫婦に介抱してもらったらしい。
首都ボーへ行く方法を尋ねると海を渡る必要があるらしい。
ここより北の村モンシューレから帝国の船が出ていると教えてくれた。
じいちゃんはラリテニアン(ラリテニア人)で、帝国の世になってからは
ばあちゃんとひっそり暮らしているという。
目を覚ましたリラと共に、老人夫婦に礼を言ってモンシューレを目指す。

元軍事基地・モンシューレ。
乗船するには、航海管理所で許可証を貰わなくてはならないが
当然クレチアの2人に発行してくれるはずもない。
宿に泊まれるのも乗船客だけだというので、親切なクレチア女性の家に泊めてもらう。
翌日泊めてもらった礼を言うと、定期船に密航するヒントを教えてくれた。
村の井戸から繋がった通路を通って、船に近づけるのだという。
かなり深い井戸らしいので、ロープが必要らしい。
街中にそれらしいものはなかったので灯台へ探しに行ってみる。

灯台には帝国人民達が物見遊山に来ていたが、汚れた海を恐ろしいと怖がっている。

話したがりのおっさんから、色々な話を聞いた。
帝国が作った定期船や灯台は、海の民の技術を真似したものだったが
どれも成功しなかったと言う。
戦艦として作った船→海上で戦えずやむなく定期船に。
この灯台→光らない。だから夜間、船は海を進めない。
海の民の技術は特別なものらしい。

何故かおっさんの背後にあったエレベーターを使って地下室へ。

458永遠のフィレーナsage2005/06/03(金) 20:35:20 ID:i/hYkze7
リラが何かに足をとられ、悲鳴を上げてすっ転んだ。
「じっとして…」
リラの足に絡みついていたロープを痴話喧嘩しながらゲット。
街の深い井戸にかけ、降りていく。

通路を上り下りしながら進んでいくと、出口と思われる場所から男が一人出て行った。
フィレーナ達と同じ密航目的のクレチアだろうか。
海岸に出て辺りの様子を伺うと、ちょうど見回りの兵士たちが船に戻っていくところだった。
こっそりと船に近づいていく。急に警報音が鳴り響いた。
慌てて身を隠すと、先ほどの男が兵士に連行されて船室から出てくる。
「またクレチアの反逆者か!ゆっくり自白させてやるっ」
建物内に連れて行かれる男と兵士。
他の兵士たちも休憩やーと船から降りていった。

「何とか助けたいところだが、時間がない!リラ、早く乗りこもう!」
密航成功。

バラバ室。
通信機で会話をしているバラバ1。
ラリテニア反乱軍なぞ放っておいてフィレーナを探せと通信機に怒鳴った。

3「ヤツであると断定はできんが、モンシューレ村のクレチアの家に
  見知らぬ旅人が泊まっていたらしい…
 定期船に密航しようとした者から自白マシンで聞き出した情報だ…」
1「それは信用できる情報か…!?」
3「定期船ドックの軍隊長に変身しているバラバ19からの報告だ…」

459永遠のフィレーナsage2005/06/03(金) 20:36:03 ID:i/hYkze7
船はモンシューレから出航する。でも夜間なので海上で停止状態と思われる。

堂々と部屋で休むフィレーナとリラ。
リラが隣のベッドのフィレーナに話しかけた。
「フィレーナ…、起きてる?」
「ああ…、起きているよ…」
「波の音…、聞こえる…?」
「ああ…、聞こえるよ…」
「とっても静かな夜ね…」
再び名を呼ぶリラにフィレーナが答える。
「何だい…?」
「そっちに行ってもいい…?」

沈黙。

静かにベッドから起き上がるリラ。
「リラ、不安なのかい?心配はいらないよ…
 この船に乗っているって事が乗船許可が出ている証明なんだ…」
疑われる心配はないよ、というフィレーナ。
リラはわかってる、と答える。
「ただ、あなたの近くにいたいだけ…」
それだけ言うとリラは、フィレーナのベッドに潜り込んで眠った。

次の日、船は海岸に到着した。
陸地を北東に上って、鉱山の村にたどり着く。元の名前はエルシューレ村。
帝国の支配下に入って以来、鉱山の村と、兵器を作るトマの村の二つに分けられたそうな。

460永遠のフィレーナsage2005/06/03(金) 20:36:44 ID:i/hYkze7
ボーへ行きたい→トマの村通らにゃ→入り口に見張りいる→証明がないと通せないネー

…という事で鉱山の現場主任のレパードに
証明である「アルメイの星」を発行して貰おうとするが、断られる。
鉱山の労働者にしか発行できないらしい。
仕方なしに宿屋に戻ると、ラリスの仲間だという女性に話しかけられた。
リトルラリテニアから、フィレーナ達と同じく密航し
夫は鉱山で働きながら帝国の仕事をスパイ中だという。

鉱山で働く彼女の旦那ヌーノに会いに行き事情を話すと
アルメイの星を発行してもらえるよう、レパードに頼んでくれるとの事。

ヌーノの口利きで、2人は来月から鉱山で働くという話になっており
レパードから証明のアルメイの星をゲット。
宿舎の老人曰く『トマの村、兵器開発で毒ガス充満、これ危険(要約)』らしいので
道具屋で防護服を買っていく。門番兵にアルメイの星を見せてトマへ向かった。

村に到着。
毒ガス吸ってアヒャヒャな住人が走ったりしてる。
当初の計画では、この村を通ってボーへ向かう予定だったのだが
この村、出口がない。
トマの宿舎で暮らしている少女クシカが
「鉱山の村に住んでるおじいちゃんなら知ってるかも」と教えてくれた。
どうやら毒ガスについてアドバイスをくれた老人の事らしい。

鉱山の村に戻り宿舎の老人に会いに行く。
老人曰く「あの村出口なし、孫にヨロシク(要約)」

力になれんですまんの、とじいちゃんは謝った。
仕方ないのでトマに逆戻り。

461永遠のフィレーナsage2005/06/03(金) 20:37:47 ID:i/hYkze7
クシカに会いに行くと不在だった。
どうやら子供の遊び場になっている村の廃屋(元宿舎)に行ったらしい。
追いかけるフィレーナとリラ。そう、じいちゃんのヨロシクを伝える為に。

屋敷内。奥の扉に入ろうとすると村の子供が飛び出してきた。
続いてクシカも出てくる。2人を見て不思議そうな顔をした。
フィレーナが子供たちに尋ねる。
「こんなところで、一体何をしてるんだい…?」
「何って…、みんなでかくれんぼしているの…」
よく見ると、他にも何人か子供が顔を覗かせている。

リラは幽霊屋敷を不気味がるが、クシカにからかわれる。
「デタ━━━(゚∀゚)━━━!!」
地下の階段から上がってきた人影に子供達が叫んだ。

バラバ室。
フィレーナと医者にはまだ捕まらない。ラリテニア反乱軍ともゴタゴタしている。
バラバ1はご立腹である。
「秘密実験に参加させるために医者を生かしておこうと言ったのは
 バラバ9、確かお前だな!」
「まさかヤツが逃げるとは…」と言い訳する9。
キルは自分が逃亡する際に、実験用に捕らえていた子供も連れて行ったのだ。
フィレーナ達の足取りは、モンシューレ村から掴めなくなった。
一緒に逃亡したハズのバトル作家とクレチア女ミリカの行方も知れぬまま。

「医者とガキの足跡は、掴んでいる…
 バラバ16と17の報告によれば、発見するまでにそう時間は…」

「その報告ならすでに聞いている!
 俺が言っているのはもう失敗は許されんということだ!
 脱走した医者が関わった秘密実験もフィレーナが分析機から知った情報も
 我が帝国の最高機密なのだぞ…!」

ふと疑問に思った3が、フィレーナが知った最高機密について1に尋ねた。
1は答えた。ブレーン様しか知らんし、知る必要もないと。

462永遠のフィレーナsage2005/06/03(金) 20:38:47 ID:i/hYkze7
一方幽霊屋敷。
地下室からのっそり上がってきた人影を見て、クシカも悲鳴をあげた。
リラと子供たちはフィレーナの後ろに隠れる。
黒い人影が怒鳴った。
「誰がユーレイじゃ!ワシはまだ生きておるぞ!」
現れたのは、デラシーナで別れたドクターキルだった。

フィレーナを見て、目が治ったことを喜ぶキル。
「しばらく見ないうちに女っぽくなったのう」
そう褒めた後で、明らかについでにリラも可愛くなったと付け足す。
ジト目で見て、キルに詰め寄るリラ。
「…男のフィレーナのほうが、私よりも女らしいって言うの!?」
リラをなだめるフィレーナ。キルは事情を話す為に2人をつれ地下室へ降りていった。
好奇心旺盛なクシカがその後を追い、他の子供たちは帰っていく。
そして男が1人、屋敷に入ってきた。

地下でキルの経緯を聞く。
デラシーナで別れた後、帝国の秘密実験から逃げてきたのだと言う。
話の内容がよく分からないクシカ。
キルはクシカを見ると、思いついたように物陰に隠れている子供に声をかけた。
「ぼうず…出ておいで。大丈夫だ…悪い人たちじゃないよ…」
ゆっくり姿を見せる幼い男の子。
逃げてくる時に、一緒に連れてきたのだと言う。

「まったくワシになつかんでな。名前すら教えてくれんのだよ」
「だっておじちゃんの顔、こわいもん!」
クシカはそう言うと、男の子に優しく話しかけた。
その様子を見ながら、やはり子供には子供だと言うキル。
出てきた男の子の顔を見たフィレーナは驚いた。
「…フィス?フィスじゃないか!」
リラも気がついた。
男の子は、帝国に捕まっていたミリカの息子フィスだった。

463永遠のフィレーナsage2005/06/03(金) 20:39:24 ID:i/hYkze7
「お父ちゃんを返せ…」
フィスがフィレーナを叩く。
様子がおかしいと気づいたキルが声をかけるが、フィスは目の前の相手を睨んだままだ。
「お母ちゃんは…?お母ちゃんはどこ!?」

屋敷一階。
後から入ってきた男が、一階に火を放っていた。
どこかに通信を入れる。
「聞こえるか…?逃げられた場合に備えてそこで待機していてくれ…
 相手は2匹だけじゃなかった…。とんでもない大物を見つけたぞ!」

フィスはフィレーナに詰め寄る。
「嘘つきっ!」
「フィス…信じてくれ…。フィス!」
階段を駆け上がり1階へ走るフィス。後を追うクシカ。
苦い顔のフィレーナをキルが慰める。
ふと思いついたリラ。
「ところでキルさん…逃げてきたって言っていたけど、いったいどうやってこの村に?」
キルが説明しようとした時、クシカが駆け下りてきた。
「大変!火事よっ!!」
「火事?……ぼうずは?」
クシカは首を横に振る。火の手が地下にも迫りつつある。
「もう上の階は火の海だな…」キルがそう呟いた。

1階では、バラバがゲットしたフィスを引きずって屋敷を出るところだった。

464永遠のフィレーナsage2005/06/03(金) 20:40:06 ID:i/hYkze7
本棚の裏の隠し扉内に避難しながら、黒い悪魔と機密情報兵団について
キルに説明するフィレーナ。いぶかしむキル。
「仮にそうだとしても、何故この宿舎にまで火をつける…?」
「ただの火事に見せかけて、都合の悪い者を人知れずに消す…
 それが黒い悪魔の手口なんです」
今までのストーカーされた経験からそう答えるフィレーナ。
多くの危険を背負い込んで、何故ボー行きに拘るのか。
そう尋ねるキルにフィレーナは答えた。自分の宿命だと。

キルは決心を知ると、くれぐれも無理はせんようにと言った。
隠し部屋内にある梯子から、地下を通って外に出られそうだ。

フィレーナはキルとクシカに、火事がおさまるまでここにいるように言った。
「ボクたちはボーへ向かいます」
リラが自分たちが使っていた防護服を手渡す。
キルは2人を見た。
「フィレーナ…リラ…。わしは2人の事が…大好きだ!
 自分の子供のようにさえ思える。命を無駄にせんでくれよ!」
「ドクターもお元気でっ」
「また会えたら、かくれんぼしようね!」
クシカの言葉にリラが笑顔で頷く。

2人は地下を通り抜け、やがて出口を発見した。

465永遠のフィレーナsage2005/06/03(金) 20:41:16 ID:i/hYkze7
バラバ室。
通信機から連絡が入る。
「…間違いない、フィレーナも一緒だった!」

「バラバ16、でかしたぞ!
 地下道の出口には誰がいる?」
16
「バラバ17がいる…!」

「バラバ16、後の仕事はバラバ17に任せて
 お前はそのガキを早く実験室へ…」

外へ出ようとしたフィレーナとリラの前に待ち伏せていたバラバ17が現れた。
こんストーカー!とばかりにボコる。勝利。

「リラ、大丈夫か?」
「心配しないで…」
しかしバトラーのフィレーナはともかく、リラの疲労は激しく足取りは重い。

数歩先で立ち止まり、振り返るとフィレーナは言った。
「…ボーへ行く前に、泊まれるところを探そう…」
何かを察したリラが、フィレーナに詰め寄る。
「そんな事言って、1人でボーに行くつもりでしょ!」
「いや…そうじゃ……」
言い終わる前にフィレーナに抱きつく。
「リラは離れないわよ!だって、あなたの奥さんだもの…」
必死でしがみつくリラを離そうとするが、離れない。
困って「女同士なんだからさ…」と言ってみる。
「い・や・よ…!」

根負けした。
「分かったよ…!一緒にボーに行こう」
顔を輝かせ、フィレーナから離れるリラ。
「ホント?ホントね!」
喜ぶリラにため息をつくフィレーナだった。


49永遠のフィレーナsage2005/06/11(土) 15:00:21 ID:TzIYx1ZY
海岸に沿って南下していくと、浜辺にいる女性と黒い大きな犬に出会う。
リラが話しかけてみる。ここはエルシューレの内海岸らしい。

黒い犬がフィレーナに近寄り、匂いを嗅いでいる。
女性がフィレーナを見た。
「へえ、あんた…。男の姿をしているけど女なのかい」
「こ、この人は私の夫なのよ…!?」
リラがごまかそうとするも、狼犬の目(鼻)はごまかせないと笑われる。
「このギャッピーはね、オオカミの血を引く犬なのさ」
女性は、アマネラと名乗った。

草原に男たちが集まっている。クレチアを狩るハンターの集団だった。
1人が仲間達に呼びかけた。
「リーダーが全員集合しろってよ!
 やはりこの近くにクレチアどもが集まっているらしいぜ?」

海岸。
ボーに行きたい事を話したフィレーナ。
「無茶をするねぇ…」
アマネラは呆れながらも、困ったことがあったら
自分たちの遊牧民の集落に来るように言ってくれる。
リラは、アマネラの腹のふくらみに気がついた。
「アマネラさん…そのお腹…」
「もうすぐ産まれるんだよ」アマネラは笑顔を見せた。

クレチアはあらゆる人権を帝国に奪われている。出産も許可なしではNG。
「出産の許可かい…?そんなひどい決まりはまっぴらごめんだよ!
 クレチアだって人間なんだ。人を愛すれば、子供も欲しいさ」
彼女の集落はそういうクレチア達が集まって構成されたものだった。

「私の友人だといえば、集落の中に入れるように言っておくよ」
そう言い残しアマネラはギャッピーを連れ、去っていった。

50永遠のフィレーナsage2005/06/11(土) 15:01:29 ID:TzIYx1ZY
遊牧民アマクネ族の集落。
勇敢な男性はモンスターやハンターと戦って死んでいったため数が少なく
残った男達はちょっと情けない。女性の方が戦士な集落。

中に通してもらうと、アマネラが迎えてくれた。
身体を休めていけというのでお言葉に甘える。
彼女は、フィレーナ達が都に入る方法も考えてくれていたらしく
1人の知り合いの老人の名をあげる。
「詳しい話は、明日あたしのテントで」

次の日、アマネラのテントを訪ねると彼女の様子がおかしい。
リラがその枕元に駆け寄る。
入り口からアマネラの友人、エクレが入ってきた。
「心配することじゃないよ。病気なんかじゃないさ」
苦しい息の下でアマネラは笑う。
「この…アマネラさんをこんなに苦しませるなんて…きっと、タフな子だよ」
どうやら産気づいたようだ。

リラが、慌てるフィレーナを落ちつかせるために言った。
「大丈夫よ…。私、一度お産を手伝ったことあるの…
 苦しそうに見えるけど、皆こういうものなのよ」
エクレが励ます。リラも励ます。
フィレーナは別の方を向いていたが、アマネラに見ていってくれと頼まれる。
「クレチアだって、立派に…子供が産めるってことを…ね」
フィレーナはアマネラの傍らに座った。

51永遠のフィレーナsage2005/06/11(土) 15:02:28 ID:TzIYx1ZY
バラバ室
また逃げられてお怒りの1となだめる3。
「落ちつけバラバ1…。ヤツは何か目的があるに違いない!
 ただ逃げ回っているだけとは思えん」
1は頷くと、バラバ21の報告を聞いた。
21
「ゴア橋の近くで発見した死体は仲間の女クレチアに間違いない…
 秘密研究所からの報告によれば、トマで見つけたモルモットのガキは
 その死体の子供だったらしい…」
バトル作家と医者の行方は未だに不明。1はフィレーナを先に探し出すように命じる。

通信機に別のバラバから連絡が入った。
「バラバ25より報告…。デビス陸軍隊とラリテニア反乱軍が
 ただいま全面戦争に入った……。聞こえるか、どうぞ…」

集落に響く赤ん坊の泣き声。
「アマネラさん、女の子よ!元気な可愛い女の子よ…!」
リラが疲労困憊のアマネラに報告する。
母となったアマネラは、我が子を見て言った。
「この子が子供を産む頃には、クレチアでも帝国人民でもない
 ただの元気な子を産める世の中にしたいもんだね…」
リラは頷き、2人の言葉にフィレーナは考え込んだ。

「出産ってなんて素晴らしいのかしら…」
リラは生命の誕生に目を輝かせて感動している。
赤ん坊の声を聞き、テントに顔を覗かせたギャッピー共々
アマネラを休ませるため、エクレに追い出される。
テントを出ようとするフィレーナとリラに、アマネラが礼を言った。

52永遠のフィレーナsage2005/06/11(土) 15:03:23 ID:TzIYx1ZY
アマネラが休養中のため、しばらく集落をブラつく。
東のピルキット山を登っていくと、見張り役の女性が駆け下りてきた。
「大変だ!アマネラさんに知らせないと…!」
そのまま集落まで降りていく女性についてアマネラのテントへ。
赤ん坊を残して、寝床はもぬけのカラだった。
エクレが言うには、報告を受けたアマネラは様子を見に
山を登って行ったそうな。タフだ。

追いかけようとテントを出ると、ギャッピーが心配そうに鼻を鳴らしている。
「ギャッピー…アマネラさんはどこ?」
キュンキュン鳴くギャッピー。

フィレーナはリラに言った。
「アマネラさんは、クレチアハンターの噂を聞いて、あの身体で調べに出て行ったらしい」
別の意味で驚くリラ。
「あなた…ギャッピーと会話もできるの?」
「クォン…クォン…」
「わかったよ、ボクらだって心配さ…!」
フィレーナはギャッピーの視線の先を見た。
「あっちの山に向かったみたいだな…よし、行こう!」

ギャッピーを手に入れた!

オリゴット山に登ると、ギャッピーが中へ入って鼻を鳴らす。
アマネラの声が返ってきた。
「ギャッピーじゃないかっ!集落から出ちゃいけないとあれほど言ったのに…」

53永遠のフィレーナsage2005/06/11(土) 15:04:17 ID:TzIYx1ZY
出てきたアマネラは、フィレーナとリラを見てさらに驚く。
「アマネラさん、ここにはクレチアハンターが…」
「知っているよ、だけど助けは必要ない」
みんなを巻き込みたくないというアマネラ。

あんたらも集落へ戻り→出産直後で無茶言うなや→心配いらんて→いや手伝うって

そんな問答をしていると、洞窟内の様子を見に行ったギャッピーが戻ってきて低く唸る。
「来たか!!」
アマネラと赤ん坊を気遣うリラ。
「そんな体じゃ無理よ…私たちも一緒に闘うわ!
 それに…あなたにもしものことがあったらボーにも行けなくなっちゃうしね…」
「…ありがとう」
アマネラは静かに礼を言った。

山の中腹でアマネラが膝をついた。
「アマネラさん!やっぱり出産の疲れが…」
「なんのこれしき…、大丈夫さ…」
ギャッピーが前方に向かって低く唸った。男の集団が降りてくる。
リーダーがアマネラを見た。
「これはこれは…、アマクネ族の若き女族長さんか?」
アマネラはクレチアハンターを睨む。帝国の犬どもめ。
「まったく威勢のいい女だ。その強気をどこまで通せるかな?」

ボコる。勝利。
「ヤツら、リーダーを失って慌てふためくだろうさ。これで集落はしばらく安全だ…」
一緒に闘ってくれて、嬉しかったというアマネラ。
ギャッピーがフィレーナに何か言っている(犬語で)。
「フフッ…、ギャッピーも2人に感謝してるってさ!
 さあ、集落に帰ろう」


最終更新:2009年03月05日 18:59