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543 マリカ~真実の世界~ sage 2006/05/20(土) 23:41:27ID:yGYoJZbB
それじゃマリカいきます。
書くの初めてなんで稚拙なのは許してね。

『獣人ソロモン』(1/2)

神崎まりかは代々木に住むごく普通の女子高生。
ある日の夕方、母親から夕飯のシチュー用の牛肉を買い忘れたとの事でお使いを頼まれた。
無事に買い物を済ますと、途中で親友の拝島恵子に呼び止められる。
ちょっとした立ち話に花を咲かせる二人。
恵子は今夜放送する超能力の番組が楽しみなんだとか。

母を待たせちゃいけないと、会話もそこそこに切り上げるまりか。
しかし自宅前に差し掛かった所で、脳を剥き出しにした奇妙な犬に牛肉の入った袋を奪われてしまう。
あわてて追いかけると、近所の工場跡でその犬と大怪我をした男を発見する。
怪我を案じるまりかに「どうせもたん」とつぶやくと
男は一枚のディスクと「増幅バルブ」と呼ばれる球状の物体を差し出し、「それを茨博士に届けてくれ」と頼んできた。
だがその時、背後から男と同じ格好をした二人組が現れ襲い掛かってくる。
会話を聞くとどうやら怪我をしてる男は、二人組がいる組織を裏切った工作員のようだ。
怪我をしている方の工作員は最期の力を振り絞って、二人組に向かって攻撃を仕掛ける。
「巻き込んですまん…しかし遅かれ早かれ日本人全員が関わり合いになるのだ!
 この国は…お前たち自身が守るんだ!」
その隙を付いてどうにか逃げ出すものの、その際に学生証を落としてしまう…

慌てて家に帰ってきたまりかを、母親は心配そうな顔で出迎えた。
先ほどの恐ろしい体験を母に相談しようかと思ったが、
居間で流れていたTVから先ほどの工場の爆破事故のニュースが流れ怯えてしまう。
夕食中、父親が「今年の夏休みに家族でエジプト旅行に行くぞ」と大げさに発表し
母と妹はその話題で盛り上がっていたが、まりかは上の空でほとんど耳に入らなかった
食事後、まりかは部屋に戻ると机の引き出しから祖母のお守りを取り出す。
いつもは持ち歩いている形見のお守りだが、今日はたまたま置き忘れてしまったのだ。
「おばあちゃんのお守り持ってなかったからあんな事に巻き込まれたんだ…」と悔やむまりか。
お守りを握り締め「おばあちゃん、まりかを守って下さい…」と祈る。


544 マリカ~真実の世界~ sage 2006/05/20(土) 23:43:09ID:yGYoJZbB
『獣人ソロモン』(2/2)

その時、玄関からチャイムが鳴り響く。
気になって玄関に行くと、ドアを開けた母の前に先ほどの二人組と
さらにもう一人、獣の頭をした異様な風体の大男が立っていた。
落とした学生証から住所を割り出されてしまったのだ。
「俺の名はソロモン! 人食いソロモン!!」
両手の機関銃を乱射する獣頭の男、ソロモン。
とっさに銃弾から母親を庇い、どうにか居間まで逃げ延びるまりか。
部屋の外から自分を探す三人の会話が聞こえてくる。
あの三人の狙いは自分。ならば自分がここから離れれば家族を巻き込まずに済むかもしれない…
まりかは意を決すると、家捜しをしている三人の目にわざと付くように外へと飛び出る。

「むちゃくちゃだよあいつら…早く警察に届けないと…」
全力で走り続けるまりか、ようやく代々木駅前の交番が視界に入る。しかし…
「俺はソロモン! 人食いソロモン!!」
先回りしたソロモンは機関銃で交番ごと警官を射殺してしまう。
瓦礫の中に警官の死体を見つけると、ソロモンはそれを貪り始める。
二人組は早く娘を追えと急かすが構わず食べ続ける。

ソロモンが警官を食っている隙に逃げ出すが、公園でとうとう追い詰められる。
怯えるまりかに、ソロモンは容赦なく機関銃を乱射。
しかしその時、手にした増幅バルブと祖母のお守り、そしてまりかの身体が輝きだす。
まりかは本能的に自分の中にが何かの力が目覚めた事を悟った。
「や、やれる…!」
襲い来る弾丸を無力化すると、その力…超能力をソロモン達に向けて放つ。
圧縮した空気をぶつける能力『PKミサイル』の威力は、二人組はおろかソロモンすらも一撃で倒してしまう。
ソロモンと二人組の片方は倒れ伏すと、何故か全身から泡を噴き出し消滅した。
残った二人組の片割れは「その力…オルガ様と同じサイキ…」と呟くと、やはり同じように泡となって消えた。

正当防衛とはいえ、人を殺めてしまった罪悪感に打ちひしがれながらも帰宅すると
家の周りには数台のパトカーが止まっており破壊された玄関を警官達が取り調べを行っていた。
蕪木という刑事風の男(内閣特務調査室の捜査員との事)に色々と質問されるが
ありのままを話す訳にもいかず
「交番に知らせようと思ったが交番も壊されていたので公園に逃げた後ここに戻ってきた」
と、出来るだけ当たり障りの無い答えをするしかなかった。

神崎まりかは、この日を境に非日常に足を踏み入れる事となった。


545 マリカ~真実の世界~ sage 2006/05/20(土) 23:44:50ID:yGYoJZbB
『暗殺者キラーゼロ』(1/2)

伊豆の南端、加妻新島に彼らの本拠地はあった。
その最も最深部にある部屋の中で、陽気そうな中年男…真実の人(トゥルーマンと読みます)が
金髪の白人女性…フランソワーズから報告を受けていた。
報告の内容は、裏切り者の工作員が持ち出したバルブとディスクの奪還。
フランソワは派遣した工作員二人とソロモンタイプ、三名とも生命反応が途絶えた事を報告。
さらにその件に目撃者の女子高生の存在が確認されている事を告げると
真実の人は報告を遮り、得意気な口調で三つの可能性を語り始める。
一つ、事故による死亡。一つ、裏切りによる自殺。
残りの一つはその女子高生が三人を倒すことの出来る存在。
いずれにせよ目撃者は消さなければならないと、真実の人は配下のキラーゼロを呼び暗殺に向かわせる。
「フランソワーズ君、キラーゼロを動かした以上この事態正式な計画とする。
 計画名は…そうだ『第一次神崎まりか暗殺作戦』とでもしておいてくれ」
「第…一次ですか?」
「ああそうだ。賢人同盟にもその名で議題としておいてくれ」


あれから数日が経った。
まりかに宿った超能力は本物で、今ではすっかり自分の意志で力を操れるようになっていた。
工場跡を覗いてみると再びあの二人組と同じ格好の男に襲われたが、難なく撃退できた。
とある日曜日、父がいないのを見計らって
男から預かったディスクを書斎のパソコンに読ませてみる。
だが残念ながらというか当然というか、認識されず中身を見る事は出来ない。
父の書斎に目をやると超能力関係の本が見付かり、その中から『サイキ』という言葉に付いて調べてみる。
ギリシア神話起源の言葉で超能力者を表すという事が分かった。
そこに母がやってきて、父が書類を忘れたので会社に届けて欲しいとお使いを頼んでくる。
それを快諾すると、まりかは足早に家を出た。
「やっぱり隠し事してるわね…」
原因こそ分からないものの、母はまりかの変化を察していた。

代々木駅から父の会社のある渋谷へと向かう途中
まりかは自分に向けられる殺気を感じる。
しかしその殺気はすぐに消え、気のせいだと思ってしまう。
だが、無事に父に書類を渡し会社ビルを出ようとする時、再び殺気を感じる。
間違いなくあの連中だ!
まりかはとっさに振り返ると、階段を昇りビルの屋上へと向かう。
「さぁ! ここなら誰も見てないわよ! 出てきたらどうなの!?」
威勢良く相手を挑発してみせる。だが内心は…
『出てきてくれないと困るのよ…見えない奴にはあの力、使えないし…』
なかなか現れない敵に少し弱気になっていると
屋上のドアから白いタキシードに片眼鏡をした明らかに場違いな風体の中年男が出てきた。
真実の人が仕向けた暗殺者、キラーゼロだ。
「わざわざ人気の無い場所を選ぶとは
 あなた、よほどの自信があるのですな…しかし所詮は素人!
 死になさい神崎まりか、それが真実の人の意志」
襲い掛かってくるキラーゼロに、まりかは先制のPKミサイルを放つ。しかし倒れない!
「う、うそ…」
「PKですか…やはりあなたはサイキ!
 我々組織としては極めて危険な存在!」
「組織って何なのよ!」
「それは秘密の結社…あなたの様な一般…いや、既に一般ではないか…」
さらにPKミサイルを撃ち込むが、効いてこそいるもののキラーゼロは倒れない。
先日の工作員とは違う何かを感じ、まりかは狼狽する。
「私を工作員レベルと思ったあなたの判断が貧弱!」
身の危険を感じたまりかは、一瞬の隙を付いてどうにか逃げ出した。


546 マリカ~真実の世界~ sage 2006/05/20(土) 23:46:36ID:yGYoJZbB
『暗殺者キラーゼロ』(2/2)

自分の部屋に戻ったまりかは、考えを整理していた。
『あいつ、この間の連中とは段取りがまるで違っていた…』
キラーゼロと戦って、自分が狙われている事を今さらながら実感する。
どうすれば以前の生活に戻れるのか…相手に諦めさせるのは多分無理、ならば…
まりかは覚悟を決めると、まずはあのキラーゼロを倒さなければならないと判断し作戦を練った。

深夜、まりかの寝室に忍び込む影があった。
「窓際の部屋…まるで殺して下さいと言っている様なもの」キラーゼロである。
キラーゼロは部屋の様子から、まりかが普段着を着たまま狸寝入りをしている事を察するも
これだけ接近すれば一瞬でカタが付くという自信から、布団にステッキを突き立てる。
しかしその瞬間、寝たフリをしていたまりかの超能力で吹き飛ばされる。
そして布団をどけると「知らせないと!」とゼロに聴こえるように言い、部屋から飛び出した。

向かった先は、男にバルブとディスクを託された工場。ここなら誰も来ない。
工場の奥まで来ると、少ししてキラーゼロも現れた。
「小娘、さっき『知らせないと』と言ったな…仲間はここか?」
まりかは答えない、そして戦闘が始まった。
相変わらずPKミサイルを撃ち込んでも倒れない。
だが、仲間の事を聞きだそうとしているのか攻撃をしてこない。
PKミサイルを使うにはそれなりの精神力を使う。こちらのガス欠を狙っているのだ。
キラーゼロはサイキとの戦い方を心得ているようだ。
だが、最終的にはゼロの耐久力よりもまりかの精神力が上回った。
あの時の工作員やソロモンと同じく、キラーゼロの身体から泡が噴き始める。
「し…死んじゃうの?
 もういやだよ…殺したり…」
また人を殺めてしまった事で罪悪感に苛まれるまりか。
しかしキラーゼロはその呟きを聞くと含み笑いを上げた。
「お前は誰も殺してはおらん…
 俺達ファクトの人間は、戦闘力を失った瞬間
 体内に埋め込まれた薬物が反応して命を絶たれ泡になる。
 殺すだと…? 自惚れるな!」
何故そこまでするのかと問うまりかに彼は「組織の秘密を守るためだ」と答える。
そしてその組織ファクトは「日本を破滅に導く徒」なのだと。
そこまで言った所でキラーゼロは完全に泡となって消えた。

「日本を破滅に導く徒」…これまでのまりかなら一笑に付す言葉であった。


548 マリカ~真実の世界~sage2006/05/20(土)23:49:09ID:yGYoJZbB
『CDブレイク作戦1』(1/2)

金本あきらは渋谷一帯の不良グループをまとめる女ボスである。
最近アジトに顔を見せない「つよし」に会いに、パブ「フルメタルカフェ」に来ていた。
カフェのマスターは、あきら達のチームにとっては馴染みであり理解者でもある。
だが、店の奥で延々何かのCDを聞き続けたままのつよしにはお手上げの様子で
あきらの顔を見ると「朝から来てその調子なんだよ」と言う。
「つよし…このヘタレがぁ!」
つよしの耳から強引にイヤホンを引っこ抜くあきら。
だが、突然つよしは「返せよぉ! 音が聴こえねぇよぉ…返せよぉ!」と暴れだす。
顔は土こけ、目は血走り、よだれを垂らしている。明らかに尋常ではない様子だ。
手刀を見舞い気絶させると、あきらはつよしが聞いていたCDを聞いてみる。
デタラメな演奏でとても聴けたものでは無い。
CDのレーベルを見るとそこには『真実の世界』と書かれていた。
そして作曲者は…「真実の人? けったいな名前やなぁ」


「おぉキラーゼロ! なんということだ!
 お前ほどの暗殺プロフェッショナルが返り打ちにあうとは!」
キラーゼロ死亡の知らせを聞いた真実の人は
傍目から見ても演技臭いオーバーすぎる悲しみ方をした。
数秒後、何事も無かったかのようなけろっとした顔でフランソワーズの方を振り向くと
まりかを組織の脅威と認め、第二次神崎まりか暗殺作戦のためにマーダーチーム・カオスの呼び寄せるよう命じる。
さらに自分が作曲したCDを聴かせ精神に変調をきたさせる
『CDブレイク作戦』の成果の報告を求めると
フランソワは売り上げは四千枚、その内効果が出ている者は20%と述べる。
「20%か…私の作曲力もまだまだというわけか
 よおし、であればセカンドアルバムの作成に取りかかろう!」


アジトに戻ったあきらは、仲間のマモルにつよしを引き取りにいくよう頼んだ。
またチームの仲間たちにCDについて聞いてみると
聴いた人間がおかしくなるCDのウワサが流れていることを知る。
つよしをおかしくさせた元凶が『真実の世界』なるCDのせいだと確信したあきらは
渋谷で一番大きなCDショップ「パワーレコード」に乗り込む。
『真実の世界』が陳列された棚を確認すると、手にしたバットで次々とCDを粉砕。
店内は大騒ぎになり当然警察がやってくる。
「ポリがきよったか…しゃーないな」
店長と警察に囲まれ大ピンチと思われたところで、あきらの姿がかき消えた。
金本あきらは空間跳躍…テレポーテーションを操る超能力者であった。


549 マリカ~真実の世界~ sage 2006/05/20(土) 23:51:00ID:yGYoJZbB
『CDブレイク作戦1』(2/2)

無事窮地を抜け出したあきら。
しかしそこに黒ずくめの男たちが現れる。ファクトの工作員である。
「何故CDを破壊した?」という問いにバットで答えるあきら。
今までの不良や警察相手のケンカとは明らかに違う殺気に
あきらは足元のガレキをテレポーテーションで相手の頭上に飛ばす必殺技「TPバスター」を見舞う。
男たちは「き、貴様…サイキだな!?」と言い残し泡になって消えた。
泡の中に男たちのIDカードが落ちているのを見つけると、あきらはそれをアジトに持ち帰った。

コンピューターに強い仲間、ケンにIDカードの解析をさせると
洗脳ブレイク波を含んだCDを安価で販売して日本人を凶暴化させる作戦
「CDブレイク作戦」の詳細を知ることが出来た。
CDの製造工場もカードから解析でき、錦糸町にあるという
あきらはテレポーテーションで錦糸町に向かった。

工場内部は、先ほど戦ったような工作員が大勢襲い掛かってくる。
それらを退けつつ奥まで来ると、巨大な時計を背負った異形の男が立ち塞がった。
「な、なんや…こいつらの親玉かいな!?」
「そう、私は時計男! 今日と明日を見つめる者!」
その言葉通り、あきらの攻撃を全て見切ってくる時計男。必殺のTPバスターすら効かない。
時計男はあきらに向けて時計爆弾を投げつけてくる。
このままでは勝てない事を悟ったあきらは空間跳躍で脱出する。
「予想通り逃げられたか…隠れ家に帰ったな。
 まぁそれならそれでいい…だが奴の明日は我が掌中にある」

アジトに逃げ帰ったあきらが見たのは、惨殺された仲間達の姿だった。
付きっぱなしのコンピューターを見るとメッセージが残されていた。時計男のものだ。
「今お前は私に敗れ、そしてこの光景を目の当たりにし
 心も体も打ちのめされていることだろう。
 我々ファクトの活動を妨害するものは、皆この様な運命を辿る。
 国家権力を頼ろうとも無駄だ、その様なことをすれば
 疑われ、逮捕されるのはお前自身なのだからな。ふふふはははは!!」
やがて外からパトカーのサイレン音が聴こえてくる。
「みんな…ごめん!」あきらは、涙を流しながら空間跳躍でその場を脱した。


550 マリカ~真実の世界~ sage 2006/05/20(土) 23:52:52ID:yGYoJZbB
『CDブレイク作戦2』(1/2)

真実の人の部屋に緑の髪の少女がいた。
まりかの存在に苛立ちを募らせる真実の人に
その少女…オルガは「安心して…神崎まりかは私が必ず仕留めるから…」と優しく諭す。
そんなオルガを真実の人はがばっと抱きしめた。
「オルガ! そなただけだ! 私の心を穏やかにするのは!」
威厳も何も投げ捨ててオルガにしがみつく真実の人。
「オルガぁ…怪我するなぁ…オルガぁ…」
『神崎まりか…私と同じサイキ』

キラーゼロを倒してから数日後。
まりかの学校は一学期の終業式を迎えていた。
以前父が行っていた通り、エジプト旅行の支度をする家族。
だが、まりかは有名大学受験のためと偽り一人で日本に残ることを家族に告げた。
もちろん、組織との戦いに家族を巻き込まないためである。
普段見せない娘の強い決意に押されるように納得する両親。
しかし母だけは何かに勘付いているらしく
「何かあったら銚子のおじいちゃんを訪ねなさい」と言った。
そして「色々と大変でしょうけど、頑張るのよ」と。
『…母さん、気付いてるの?』

家族を見送った後、まりかは家の中から武器になりそうな物を探した。
超能力は確かに強力だが、そのまま使うと精神消耗が激しすぎるのだ。
家捜しをしていると、かつて自分が使っていたリボンを見つける。
試しにこれに意識を集中してみると、硬質化し電撃を帯びたムチのようになった。
これならほとんど精神を消耗せずに戦える!(以降、通常攻撃が可能になります)
その時、まりかは自分の能力と同質の気配を感じた。「わたしと同じ…誰!?」
その気配を辿り居間に行くと、緑の髪の少女…オルガがソファに腰掛けていた。
「私はオルガ、あなたの命を奪いに来たサイキ」
家の中で戦うわけにいかず、例の工場へと移動しようと思ったが…ドアが開かない!
「言ったでしょう? 私はあなたと同じサイキ」
まりかは、オルガが自分よりも圧倒的に強力な力を持つサイキである事を、本能的に察知した。
だが、どうやらすぐに戦うつもりはないようで、
まりかに彼女らの組織ファクトについて語り始めた。
ファクションオブトゥルー…通称ファクトは真実を追求する徒。
真実の追求には矛盾に満ちたこの国をリセットすることが必要であるという。
真実から目を背け快楽のみを追求する政治家や官僚。その悪行を浄化できない衆愚。
オルガは「真実の追求に日本人は邪魔なのよ」と言い切った。
当然、まりかはそんな偏った思想に共感を覚えるはずもなく
「くだらない屁理屈なんて聞きたくもない!」
そう叫ぶと、ドアが駄目ならと窓から外に飛び出した。
「私と同じ資質を持っているというのに…やはり愚かな日本人ね」
オルガは寂しそうな表情でそう呟くと、まりかを追う。

例の工場まで来ると、まりかはオルガを待ち構えた。
「ここなら誰もこないわ!」
「そうね、私達サイキにとっては一番都合の良い場所」
「行くわよ!」
PKミサイルを放つが効かない。キラーゼロの時と違って効いているそぶりすらない。
先ほど見つけたリボンでの攻撃は効果があるようだが、しかし相手の力は圧倒的。
やがてオルガのPKボムによって吹き飛ばされてしまう。
オルガが手にした剣を振り上げ死を覚悟した瞬間、頭上の空間が割れる。
「ぐだぐだやかましいわ! 人が昼寝しとるとこを…」
現れたのは金本あきらであった、アジトを潰されて以来この工場跡を住処としていたのだ。
「き、貴様もサイキか…」
オルガのその言葉に、あきらは激しく反応する。「その言い方、ファクトやな!?」
二人のサイキを前に不利を感じたオルガは撤退していった。


551 マリカ~真実の世界~ sage 2006/05/20(土) 23:54:31ID:yGYoJZbB
『CDブレイク作戦2』(2/2)

オルガが去った後、二人は互いが似た境遇である事を感じ取り情報交換する。
そしてまりかは、あきらに時計男を倒す手伝いをさせてくれと頼む。
お互い命を狙われている現状を考え、行動を共にする事が望ましいと考えたのだ。

再び錦糸町のCD製造工場。
やはりこちらの行動を読んでくる時計男に苦戦するも
まりかのとっさの機転で編み出したPKミサイルとTPバスターの合体技
テレポートさせたガレキをまりかの念動力で軌道を変える「PKバスター」によって
なんとか倒すことが出来た。
すでに泡になりかかっている時計男を、あきらは許す事なくバットを打ち据え続ける。
あきらが平常心を取り戻すと、二人は超能力を使ってCD製造工場を完膚なきまでに破壊した。
あらかた破壊し終わった頃、どこからともなく声が聞こえてくる。
「二人のサイキよ! 私の名は真実の人!
 真実を追求し、真実そのものとなった男!
 私の名曲、その製造工場を破壊し
 あまつさえ可愛い部下を倒したお前達を私は許さない!
 真実の追求を妨げる者は、我々ファクションオブトゥルーが抹殺する!
 お前達は逃れることはできない!
 お前達は、いたずらに我々と関わった事実を悔やむであろう!」
真実の人の宣戦布告が終わると、周囲から火薬の臭いがたちこめ始める。
あきらは慌ててまりかを抱えて外へとテレポートした。


552 マリカ~真実の世界~ sage 2006/05/20(土) 23:56:28ID:yGYoJZbB
『マーダーチーム・カオス』(1/2)

「二人だ! たった二人の少女にどれだけの損害が出ておるのか!?
 五星のオルガも暗殺に失敗した! 時計男も倒された!
 どうする? 一体どうする!?」
勇ましく宣戦布告したものの、真実の人の心中は荒れていた。
そんな真実の人にフランソワーズは、相手は組織力を持っていないので妨害と言っても微々たるもの。
こちらが日本に与える損害の方が遥かに上回るとなだめる。
その言葉に機嫌を良くすると、真実の人は現在実行可能な作戦
『トライアングル誘拐作戦』と『起業家セミナー入れ食い作戦』の実行を指示する。
そして、呼び寄せたマーダーチームを二人のサイキ暗殺に向かわせた

ファクトと戦う決意を固めたものの、やはり二人では戦力的に心許ない。
他の超能力者を探そうと、とりあえずオカルト雑誌を購入してみる。
雑誌を見てみると、八巻信長という少年が鉄パイプを曲げたり空中浮遊をしている記事が載っていた。
怪しさを感じながらも他に手掛かりも無いという事で、彼が住む南千住に行き家の前で待ち構える。
超能力で攻撃を仕掛けて本物のサイキか見定める、それがあきらの考えた確認方法だった。
やがて信長が現れる。彼の前に立ち塞がるまりかとあきら。
その時、全身を重武装した男…真実の人が派遣したマーダーチーム・カオスのリーダー、ロナルドが現れる。
二人と信長に向けて機関銃を乱射するロナルド。
まりかはとっさにPKバリアを展開してあきらと信長をガードするが
流れ弾は道を歩く通行人たちに次々と命中し、道路がどんどん血まみれになっていく。
ここで戦うわけには行かないと、あきらはまりかと信長の手を掴んで空間跳躍する。

南千住の路地裏に空間移動した三人は
混乱している信長にこれまでのいきさつを説明した。そして助力を求める。
しかし彼は、自分には人を傷付けるような能力はないから足手まといだと拒絶。
鉄パイプを曲げられるなら十分戦えると突っ込む二人に、信長は逃げ出してしまう。
あきらが空間跳躍で信長を捕まえるが、そこに追跡してきたロナルド率いるマーダーチーム・カオスが現れる。
「神崎まりかと金本あきら…そいつは誰だ?」
「こいつは八巻信長! うちらと同じサイキ! 新しい仲間や!」
仲間扱いされて驚く信長をよそに、目の前に武装集団を迎え撃つまりかとあきら。
ロナルド以外の隊員は軽く退けたものの、ロナルドの放ったレーザーキャノンの一撃がまりかの足を貫通。
慌ててあきらは二人を抱えて再びテレポートする。

テレポートした先は渋谷の裏通り。
「自分、何やねん!
 うちらが戦っとってもガタガタ震えとるだけで…ほんま呆れるで!」
あきらは全く戦力にならない信長に怒りをぶつけていた。
そんなあきらに対して信長は白状する。
自分は能力なんか持ってない事。雑誌の記事は全部トリックによるインチキだという事。
すべてをぶちまけると再び信長は逃げ出してしまう。
追おうとするが、重症を負っているまりかの事もありフルメタルカフェに移動する。


553 マリカ~真実の世界~ sage 2006/05/20(土) 23:58:07ID:yGYoJZbB
『マーダーチーム・カオス』(2/2)

まりかの受けたダメージは予想以上に深刻だった。
命は取り留めたものの、戦うどころか一生歩けないかもしれない。
だが目を覚ましたまりかは、傷口に手を当てると意識を集中させ始めた。
「物を動かす力があるんなら、傷を治すこともできると思うの…」
超能力による治療…PKヒーリングによって見る見る傷は塞がっていく。
治療を終えたまりかは信長がいない事に気付く。
あきらは信長がインチキ超能力者であった事を説明し、放っとけと言う。
しかしロナルドに信長がサイキだと言ってしまった以上、彼も標的にされるのは必然。
渋るあきらだが、まりかの気迫に押されて南千住に向かう。

信長の家に行ったがすでに手遅れだった。
家はガレキと化し、野次馬の住民から八巻一家は惨殺されてしまった事を知る。
唯一生き残った信長は現在、南千住警察署に収容されているらしい。
自分達のせいだと落ち込むまりかに、あきらはそれよりも信長を警察署から連れ出さねばと言う。
自分達の事を喋られたら厄介だし、まだマーダーチーム・カオスは信長を狙っているはずと。
落ち込みながらもそれに納得するまりかは警察署に向かった。

「遺体の第一発見者が彼なんだろ?」
「はい。」
「十六歳のガキには、ちと酷だったろうな…」
「次長代行、どういたしますか?」
「待たせてもらうさ。目撃証言からしても俺達の管轄だろうしな」
南千住警察署には、かつてまりかに事情聴取した内閣特務調査室の蕪木がいた。
蕪木が調査している対象は『F資本』…ファクトであった。
精神錯乱状態にある信長は「あいつらが来るんだ! 僕も殺される!」と繰り返す。
警官が「あいつらとは誰だ」と尋ねると…
「マーダーチーム・カオスッ!!」
その答えは外から銃弾と共に聞こえてきた。
ロナルド達の機関銃によって警察署は戦場と化した。
警官の死体をかきわけながら信長の元へと向かうまりかとあきら。
今まさにロナルドに蜂の巣にされそうになっていた所を、まりかのPKバリアとあきらの空間跳躍で救う。
レーザーキャノンに気をつけながらロナルドを退けると
これ以上騒ぎが大きくなる前にと信長を連れて空間跳躍した。

瞬間移動した先は、かつてまりかがソロモンに襲われたあの公園。
戦いの直後で息を付く二人に、信長は警官の死体から奪っていた拳銃を突きつける。
「お前達が! お前達がこなければこんなことにならなかったんだ!!」
錯乱している信長に、まりかが説得にあたった(選択肢であきらでもいけます)
まりかならPKバリアがあるから鉄砲くらい大丈夫と言うあきらに、さっきの戦いでもう力は残ってないと返す。
「私を撃って気が済むのならそうしたらいいわ。
 だけど…あなたの御両親の仇を討てるのは…」
「君達だって言いたいのかい!?」
「そう…でも駄目だよね。私だってあなたと同じ目にあえば…
 私に比べれば、あきらさんや八巻くんのほうが、
 ずっと辛い目にあっているんだものね…」
銃口を前にしてもたじろがないまりかに、信長は拳銃を地面に投げ捨てる。
「くそ…撃てる訳ないだろ!? あんた何考えてんだよ!?」
うずくまり大声を上げて泣き出す信長の手をとると、まりかもまた泣き出した。


554 マリカ~真実の世界~ sage 2006/05/21(日) 00:01:30ID:yGYoJZbB
『トライアングル誘拐作戦』(1/2)

数日後、三人はフルメタルカフェに身を潜めていた。
信長は二人に超能力者の心当たりがあると言い出した。
その超能力者の名前は「藤堂かなめ」。信長の小学生の頃のクラスメートで
人の心が読めたり次の日のナイターの結果を言い当てたりしていたらしい。
自分みたいなインチキじゃない正真正銘の超能力者だと断言する信長。
信長の言葉を信じ、港区一ノ橋にある藤堂邸に向かう。

かなめの家はかなり広大な敷地で、どうやら相当の資産家らしい。
家の大きさに見とれていると、パトカーでやってきた蕪木が家に中に入っていった。
あきらが瞬間移動で家の中に忍び込むと、蕪木とかなめの父親の会話が聞ける。
娘のかなめが古武術の稽古の帰りに車ごと誘拐されてしまったのだという。
そしてその後、家に脅迫電話が掛かってきたと。
要求は藤堂家が所有する10億円相当のダイヤ『ナイルのしずく』。
蕪木はそのダイヤを用意させる事を指示すると、部屋の外で部下と話し始める。
「…こりゃ、同一犯の犯行だな」
同時に同じ手口の誘拐事件が他に二件起こっているらしい。
それぞれ10~15分おきの身代金の受け渡し時間と、受け渡し場所の距離関係から
蕪木はこの事件を単独犯ではなく組織犯と断定し部下たちに指示を出す。

まりか達の元に戻ったあきらは今の話を聞かせた。
「東堂さんを助けよう!」
「せやな、ここで恩売っといた方がトクやし」
三人は藤堂かなめの救出のために行動を開始する。

誘拐された現場に向かうと、かなめは大通りを走っているところを
トレーラーで車ごと誘拐されたいう話が聞ける。
大掛かりで大胆な犯行の手口から、ファクトの仕業を考える三人。
ファクトなら、もしかしたらこれは単独犯かも…

藤堂かなめは地下室に閉じ込められていた。
隣で共に閉じ込められているタキシード姿の老人は、林という藤堂家の執事だ。
かなめは何かを言おうとする林を遮ると、その手を取った。
「言っても仕方がないでしょ…
 あんな方法じゃどうしようもなかったわ。
 それより林、私を誘拐した連中は何者なのかしら?」
かなめのサイキ能力の一つ、接触テレパスで林の心を読んだのだ。
林もかなめの能力を心得ているようで、その行為に眉一つ動かさない。
「組織力はかなりしっかりしたものだと、この林は考えます」
「お父さまのライバル企業かもね」
「それはなんとも…」
「まぁいいわ…殺さないってことは利用価値があるということ。
 しばらく相手の出方を待ちましょう」
かなめは意識を集中させる…かなめのもう一つのサイキ能力
近い未来に起こる最も印象的な事柄をビジョン化させる未来予知である。
「見えるわ…二人の女の子が私を助けてくれる。
 この場所は…新宿中央公園ね」


555 マリカ~真実の世界~ sage 2006/05/21(日) 00:03:28ID:yGYoJZbB
『トライアングル誘拐作戦』(2/2)

翌日、まりか達は受け渡し場所の新宿駅南口構内で待ち構えていた。
引き渡し時間の数分前、蕪木達やかなめの父親が現れる。
その時、構内の天井が破られ、そこから全身に装甲を纏った少女が出現。
手に持ったずた袋を投げ出すと、ナイルのしずくを奪い去っていく。
「ナイルのしずくは頂いた。さらばだ黄色いブタ共!」
背部に装着されたバーニアを噴射し去っていく装甲の少女。
「まりか、新宿中央公園にきいや!」
あきらはそう言い残すと一人で空間跳躍する。
ずた袋の中から出てきたかなめは、父や刑事達に目もくれず駅から飛び出す。
『私の予知は必ず当たる…中央公園で何かが起こる!』

駅の上空を飛ぶ少女に、空間跳躍したあきらが絡みつく。
「金本あきらか!?」
「そや! ダイヤはいただくで!」
あきらは少女ごと新宿中央公園へと跳んだ。公園内で二人は対峙する。
「あたしは装甲姉妹、蘭!
 真実の追求を阻む者! あんたなんてここで死んじゃえ!」
バットで迎え撃つあきら、しかし全身装甲によってダメージが与えられない。
そこにまりかが現れPKで攻撃を仕掛ける。
まりかが新しく編み出した超能力、PKレーザーが蘭の装甲を貫く。
「データと違うよ…こいつレベルが上がってる!?」
不利を感じた蘭、その時やってきたかなめを見てチャンスとばかりに人質に取る。
能力を使えばこの娘の命はないと宣告する蘭。
躊躇するあきらだが、まりかは前に出る。
「やってみればいいわ…もともと私とその子、何の関係もないんだし
 今はあんた達を倒すことの方が先決だもの!」
まりかには、蘭がかなめを傷付けるよりも先に蘭を仕留める自信があった。
僅かでも隙を作れればその可能性はさらに上がる。まりかの思惑通り動揺する蘭。
「やりなさいよ! 人が死ぬのも見飽きたわ! だけど…」
言葉を続けようとしたその瞬間、蘭の身体は地面に叩き伏せられていた。
「鎧が邪魔で、折ることはできなかったけど…
 東堂かなめを甘くみないで欲しいわね」
蘭を投げ飛ばしたのは古武術を嗜むかなめであった。
三人に囲まれた蘭は「姉さん! 助けて!」と叫ぶ。
その言葉と同時に地面が揺れ出し大きな穴が開く、蘭はその穴に飛び込んだ。
やがてパトカーのサイレン音が聞こえてきたので、あきらはかなめも連れて空間跳躍する。
パトカーから降りて公園に現れる蕪木、林、かなめの父。
かなめの父は、娘のみを案じる事もなくナイルのしずくを必死に探し始める。
そんな様子に蕪木は呆れ、林はかなめの身を案じるのだった…

フルメタルカフェに移動した四人は
かなめにこれまでの経緯を説明し仲間になって欲しいと頼んだ。
「仲間…いいわよ?
 私の能力があいつらに知られた以上
 あなた達と行動を共にしたほうが安全ですものね」
あっさり仲間になってくれた事に驚きながらも
まりかは「東堂さん、よろしくね。」と握手の手を差し出す。
「こちらこそ。でもその前に…」
かなめは立ち上がると突然まりかの頬を叩いた。
「あなたがさっき私を見殺しにするって…
 …そうね、たぶん私でも同じ様な行動を取るでしょうね。
 でも…こうでもしないと気がおさまらないわ!」
まりかは頬を押さえながら素直に謝罪すると、かなめは満足気な笑顔をまりかに見せた。
どうやら今のでチャラという事らしい。


556 マリカ~真実の世界~ sage 2006/05/21(日) 00:05:13ID:yGYoJZbB
『企業家セミナー入れ食い作戦』(1/2)

「トライアングル誘拐作戦は失敗に終わったぁ!?」
荒れる真実の人に、フランソワーズはターゲットの藤堂かなめがサイキであった事は
予測不可の誤算であり仕方ないとなだめる。
「運が悪いと言うのか!? 運!? 運命!? そんなもの、私は認めんぞぉ!
 なにがサイキだ! 黄色い小ザルごときが何故私の計画をことごとく妨害できる!?」
さらに荒れる真実の人に、組織力で勝るファクトの優位性を説く。
どうにか平常心を取り戻した真実の人は残るもう一つの作戦
『起業家セミナー入れ食い作戦』に全力を傾けるよう指示を出す。
「こうなれば競争だ…きゃつらと我々の!」

フルメタルカフェでは、信長とマスターがニュースの話題で盛り上がっていた。
リストラされた一流企業の社員が、立て続けに強盗事件を起こしているというのだ。
気になったまりか達が新聞の記事を見てみると
「犯人のいずれもが"真実企業塾"で講義を受けており、
 逮捕後も『真実の資本主義を実行した』
『不当に資金を蓄える銀行に正義の鉄槌を振り降ろしたのだ』等と供述しており、
 警察では同塾の事件との関連性を捜査中であり
 近く大阪と東京の事務所を捜索する可能性も…」という事らしい。
真実企業塾…そのものズバリな名前にファクトの関連性を確信する三人。

その時、スーツを着た男が店内に押し入ってきた。
男は血走った目で「俺に金を与えろォォ!!」と叫び出す。
さらに「俺は強盗なんかじゃない! 真実の資本主義を実践する求道者だ!」と喚き出した。
噂をすればなんとやら。どうやら先ほど話していた強盗事件がここにも来たようだ。
あきらはイスを男の頭上に空間跳躍させて気絶させる。
しかし無力化させても泡にならない、この男はファクトの人間ではないようだ。
かなめが接触テレパスを試みるが失敗、マインドブロックが掛けられているという。
僅かに引き出せた思考情報から、この男が真実企業塾でセミナーを受けた事。
そしてそこで洗脳を受けた事が分かる。
まりか達は、新聞に載っていた真実企業塾の住所を調べると現地へと向かった。

塾のあるビルには警察が来ていて入り込めなかった。
そこであきらが空間跳躍で内部を偵察。しかし中はもぬけの殻だった…
何も無かったと言うあきらの手をかなめが取る。
「…この事務所じゃないわね。あの男から見えたビジョンとは違うわ」
いきなり心を読まれた事に気味悪がるあきら。
セミナーは別の場所にある。そう結論付けると
あきらはもう一回あの強盗の心を読めとかなめに言った。
「読んで…どうするの?」
「ウチに考えがあるさかいに。
 あんたは今の気色悪い能力を使うてくれたらええんや」
「気色悪い、ねえ…」
かなめはあきらに冷ややかな目を向けた。


557 マリカ~真実の世界~ sage 2006/05/21(日) 00:07:53ID:MUHH0O9M
『企業家セミナー入れ食い作戦』(2/2)

再びフルメタルカフェに戻ってきた三人。しかし強盗の姿が無い。
マスターに聞くと、少し目を放した隙に逃げられてしまったらしい。
次は西徳デパートを襲うと叫んでいたとのこと。
まりか達は急いでデパートに駆けつける。
「俺に金を与えろォォ!!」
また同じ台詞で店員を脅している男を発見。
あきらは店内のイスをTPバスターで男の頭上に落とした。
男を回収して撤収しようとしたその時。
「マーダーチーム・カオスッ!!」
ロナルド達カオスは、デパート店内を機関銃で血の海にしながら現れた。
周囲への被害をまったく考えないロナルドにまりかは怒りを覚えるも
「これが俺のやり方だ、非難は実力でしてもらおう」と返される。
言葉どおり、力でもってカオスを排除するまりか達。
かなめという三人目のサイキが加わった事で、以前ほど苦戦する事は無かった。
しかしこれ以上犠牲者を出す事を避け、あきらは隙を付いて男を回収し空間跳躍した。
「また取り逃がした…あいつら戦いに馴れてきているのかよ…!」

三度フルメタルカフェに戻ってきた三人。
かなめは男の手を取ると、今度は慎重にテレパスを開始する。
中年の外国人(と言っても今まで出会ったファクトは全員外人だが)が
言葉巧みに男を洗脳していくビジョンが、かなめの脳裏に映し出される。
持ち上げ、落とし、そしてまた持ち上げる。典型的な洗脳のやり口。
そして最後の止めに例のCDを聞かせる。
「原因と結果をすり替えて自分達の主張を擦り込む…
 最後は洗脳CDで仕上げか…どうりでブロックがきついわけだわ」
まりかは卑劣なやり口に怒りを覚えるも、今うかつに動けばまたカオスが現れ
周囲を巻き込む戦いをするであろう事から迷ってしまう。
そこで、あきらが先ほど閃いた案を切り出す。
かなめが見たビジョンをあきらに送り、そこに空間跳躍しようというのだ。
あきらの空間跳躍は、行った事のない場所でも明確なイメージさえあれば跳躍可能だと言う。
かなめはさっきのお返しとばかりに
「ヴィジョンを流すのにはあなたが言った
『気味の悪い能力』を使わなくっちゃいけないのよ?」と皮肉を言いながらも、セミナーの建物内のビジョンをあきらに伝える。
信長に男の見張りを任せると、三人はセミナー会場に出る事を祈って跳躍した。

転移先が少しズレたようで、どこかの廊下に投げ出された三人。
しかし建物中にいるファクト工作員達の姿を見てセミナー会場に出たと確信。
工作員達を倒しつつ建物内の部屋を一つずつ探し始める。
地下二階の部屋でサラリーマンを洗脳している外人男を発見。かなめがビジョンで見た男だ。
ロカは控えさせていたソロモンの改良型『ソロモン二世』に襲わせるが
カオスも難なく倒せる程の力をつけた三人に、改良型とはいえソロモン程度では相手にならない。
腰を抜かすロカに、かなめがその手を取る。
この戦いは早くケリを付けるべきと考えたかなめは
ロカの記憶からファクトの本拠地の場所を引き出そうとした。
「わ、私の心を読むつもりか!? やめろ! やめるんだ! やめてくれぇぇ!」
記憶を読むだけなのにオーバーに騒ぐロカ。しかしその途端にロカの身体は泡と化した。
どうやらファクトの構成員は、精神レベルでの機密管理が成されているようだ。

三人はこの戦いがまだまだ続くであろう事を予感した。


558 マリカ~真実の世界~ sage 2006/05/21(日) 00:09:46ID:MUHH0O9M
『不定形マニトット』(1/2)

フルメタルカフェに戻ると、そこは廃墟と化していた。
倒れていた信長に聞くと、カオスが強盗男を始末しにやってきたらしい。
信長はなんとか逃げ出せたが、マスターが怪我をして警察に運ばれてしまった。
信長を安全なところにかくまうため、三人は品川に跳躍する。
泊まる場所を探していると駅前の大きなホテルが目に付いた。
近くに行ってみるが新築されたばかりでまだオープンしていないようだ。
とその時、突然やってきた車に三人は危うく轢かれそうになる。
車に乗っていたのはこのホテルのオーナーで、かなめの手馴れた交渉によって
お詫びに無料でホテルに宿泊させてくれる事となった。

ホテルの部屋で信長を治療するまりか。
一段落付くと、各々ホテルの豪華さについて感想を言い合う。
しかし会話中、かなめがフルメタルカフェを貶す発言をしてしまい
あきらとの間が険悪なムードになる。
偵察といい部屋を出て行くあきら、かなめは言い過ぎたと反省するも
あきらを見ているとつい怒らせたくなってしまうと言う。
ホテル内を歩いていると、各階で出会う従業員から
まるで重要人物を扱うかのような丁寧な対応を受ける。
「この気分が当然や思うようになると、かなめの奴みたいになるんやな…用心用心」
そういう言いつつも、まんざらでもないあきらであった。

翌日、カフェで朝食を摂る四人。
食事のマナーで、またもあきらとかなめが険悪になる。
朝食後、部屋で今後の方針について語り合う。
自分達が命を狙われないようにするための道は三つ。
・ファクトの手の届かない様な場所に逃げる
・ファクトと交渉して手を引いてもらう
・ファクトのリーダー、真実の人を追い詰めて手が出せないようにする
信長が一つ目のアイデアはどうかと提案する。
当然全員に一蹴されるも、自分が何の戦力にもなってない事を考えると二つ目と三つ目には乗り気になれないという。
まりかがフォローしようとするも逆に墓穴を掘ってしまい
信長は部屋から飛び出してしまう。慌てて追いかけるまりか。
残されたあきらとかなめは、お互いバツの悪い思いを感じていた。

「信長くんが足手まといとは思わないけど…」
まりかは信長を探してホテル中を歩き回った。
信長は見付からなかったが、このホテルからある違和感を覚えた。
一つのフロアにつき一人の従業員としか出会わないのだ。
複数の従業員と同時に出くわさない。会うのは必ず一人。
不安を感じたまりかは、信長の身を案じ捜し求めた。

あきらは気分転換に、シャワーを浴びようとバスルームに入る。
何故か脱衣室にはブロンズ像が置いてあった。
調べようとしたあきらは、ブロンズ像の目が一瞬光ったような気がしたが
気のせいだと思いシャワーを浴び始める。
その時、バスルームのカーテンがあきらの首を絞める。
なんとか振り解くと、そこに異常を察知したかなめが入ってきた。
二人のサイキもこのホテルで何かが起こっている事を悟った。


559 マリカ~真実の世界~ sage 2006/05/21(日) 00:11:43ID:MUHH0O9M
『不定形マニトット』(2/2)

まりかは、信長を探して地下のボイラー室に来ていた。
そこでホテルのオーナーとムハマドと呼ばれる人物の会話を聞く。
カオスの派遣の必要はない、あのサイキどもは私が始末する。等の内容が聞こえてくる。
オーナーはファクトの一員だったのだ。あきら達に知らせようと部屋に戻ろうとするまりか。
しかしその道をスライムのような生き物が遮る。
あれから新たに編み出した超能力、PKファイヤーで撃退するまりか。
だが、僅かな隙を付かれて茨博士に渡せと言われたディスクを奪われてしまう。

二階で無事あきらとかなめと合流でき、オーナーがファクトである事を説明する。
しかし、また先ほどのスライムが襲い掛かってくる。
「俺は不定形マニトット!
 真実を追求した結果こんな姿になった…求道者だ!
 このホテルを使い、黄色いブタ共を恐怖のドン底に落としてやろうと思っていたのだが…
 …とんだ大物がかかったものだ!」
マニトットはどんな姿にでも変身できると言う。
このホテルの従業員が一人ずつしか現れなかったのも、すべてマニトットの変身だったからだ。
壁や床に同化されて苦戦するが、どうにか撃退する事に成功する。

三階に上がると「神崎さーん!」という声がしてきた。信長だ。
しかし湧き上がる違和感。信長はまりかの事を「まりかちゃん」と呼ぶはず。
かなめが接触テレパスを行おうとするとマニトットが正体を見せる。
三度戦闘、なんとか撃退するも三人の精神力はもはや底を突きかけていた。
あきらは一時撤退を提案する。
まりかは反対するが、かなめは信長を人質に使ってこない事からまだ捕まっていないと推測し、まりかも渋々それに従う。
二人を抱え空間跳躍する…が、跳んだ先はブロンズ像のあるバスルームだった。
もう一度空間跳躍を試みるあきら、しかし結果は同じだった。
ブロンズ像から声が響く。
「そのブロンズ像の発光が、貴様の頭にヴィジョンをインプリントさせた!
 テレポートをいくら使っても、このホテルから出ることは出来ん!」
その言葉を聞き、かなめはテレパス能力であきらのインプリントを取り払えるかも…と、考えた。
その時、部屋のドアが開き信長が入ってくる。
考えを一時中断し信長の手を取るかなめ。今度は本物のようだ。
空間跳躍が出来ないならと、一階に行き壁に穴を開けようとする四人。
しかし出口は大量の鉄骨で塞がれていた。
あきらが鉄骨を空間跳躍させようとした時、鉄骨が姿を変えた。鉄骨はマニトットの変身だった。
万事休すと思われたが、かなめが機転が形成逆転を招いた。
あきらのインプリントをどうにかしようと考えた時
逆にマニトットにインプリントを植え付ける事を思いついたのだ。
インプリントによって変身が出来なくなったマニトット、これで床や天井に同化されて逃げられる事はない。
変身も同化も出来ないマニトットは、もはやまりか達の敵ではなかった。
泡になるマニトット、しかしディスクも一緒に溶けてしまった…

その後、まりかは名を告げずに蕪木に電話をすると
このホテルがファクトの所有物である事をタレコミした。


560 マリカ~真実の世界~ sage 2006/05/21(日) 00:13:55ID:MUHH0O9M
『日照りサン作戦』(1/2)

「日本の夏は暑いのだよ、フランソワーズ君!」
世間話のような言葉を皮切りに今回の作戦を指示する真実の人。
今回の作戦は、失敗作の人工太陽『ホワイト』を使って
数十日に渡って日本を昼間だけの世界にする事。
真実の人曰く
「蒸し暑くて眠れん夜であれば、そのものを無くせば良い。
 つまり日本の夏から熱帯夜を無くすのだ!」
「ついでに日照りにもしてしまおう。
 そうすれば海外の安くて美味しい農産物を
 今以上輸入しなければならん」
という事らしい。
「眠れない夜も無くなり、うまいものまで食べられる…
 おぉ私にしては何と慈悲深い作戦!」

まりか達は新宿中央公園で新聞を読んでいた。
新聞にも少しずつファクトの事件記事が載るようになってきた。
もっとも、倒してきたファクト達は一人残らず泡になっているため
『ファクト』の名前は載っていないが。
これ以上騒ぎを大きくする前にやはり決着を付けたいと
まりかはかなめに未来予知を頼む。
かなめが予知をすると、巨大な浮遊物…ホワイトのビジョンが見えた。
そのビジョンをあきらの脳裏に送ると、四人はその
ビジョンの地点へと空間跳躍した。

跳躍した先は秋田県味方村。
おおよそファクトが潜んでいるとも思えないのどかな農村だった。
しかしかなめがビジョンで見た地点に行くと
例の巨大浮遊物こそ見付からなかったもののファクトの工作員が襲い掛かってくる。
ファクトの存在を確信した四人は、民宿を拠点に情報収集を始めた。

翌日、他の3人より早く目を覚ましたまりかは、自分と同じサイキの気配を感じる。
気配を辿ると緑の髪の少女…オルガが待ち構えていた。
「会いたかったわ、神崎まりか…」その言葉を合図に戦闘を開始する二人。
以前戦った時から飛躍的に向上したまりかのサイキ能力にオルガは驚くが
しかしそれでもまだオルガの方が上だった。
やがて倒れるまりか、だが何故かオルガはまりかに止めを刺さずに去っていく…


561 マリカ~真実の世界~ sage 2006/05/21(日) 00:15:37ID:MUHH0O9M
『日照りサン作戦』(2/2)

その時、上空に巨大な浮遊物…ホワイトが現れた。
起きてきた三人と合流したまりかは、ホワイトを追ってかなめが見た地点へ行く。
「マーダーチーム・カオスッ!!」
そこにロナルド達マーダーチームが現れ攻撃を仕掛けてくる。
カオス隊員の数は今までと比べ物にならなかったが
もはやまりか達の敵ではなくロナルドすらも軽く撃退するまりか達。
だが部下を全員失ったケジメと、ロナルドは四人に向かって自爆攻撃を仕掛けてくる。
しかし空間跳躍でそれを回避、ロナルドの身体は空しく爆散した…

一方、上空ではホワイトが自衛隊の攻撃を受けていた。
搭載兵器フレイムボマーで殲滅するも、一機の戦闘機が放ったミサイルが命中しホワイトは墜落する。
「さすがは失敗作…この程度の攻撃も持ちこたえられないのね…」自虐的に呟くオルガ。

空間跳躍でホワイト内部に入るまりか達。
工作員や獣人たちを倒しながらコントロールルームを目指す。
コントロールに辿り着くと、オルガが一人で待ち構えている。
オルガはまりか達に語りかける。
ホワイトが墜落した事で日照りサン作戦は失敗。
それによってこの作戦のもう一つの目的、失敗作の処分を遂行するため
ソドムの柱という半径30キロに及ぶ広範囲爆弾が起動されたと。
残り時間は20分、早く逃げろと言う。
だが、まりか達はそんなオルガの見下した態度に不快を覚え
15分でオルガを倒して5分で爆弾を防ぐと宣言。
『この子達の意識には、私たちに対する憎悪と戦意しかない…』
やむを得ず、まりか達を迎撃するオルガ。
だが、三対一でもまりか達がオルガを倒す事は叶わなかった。
オルガの放つ空間跳躍拳「TPナックル」によって、三人は次々どこかへと跳ばされる。
最後に残った信長に詰め寄るオルガ。
「私が怖いの…?」
「ま、まりかちゃん達をどこに消したんだ…!」
「私はあの子達を殺せない…」
「え…?」
「だって、殺してしまったら
 私はまた一人ぼっちになってしまうもの…」
そして信長も空間跳躍拳で跳ばされる。
「神崎まりか…どうすればあなたと友達になれるの…」
オルガは涙を浮かべながら、自分も空間跳躍しホワイトから脱出する。

数分後、ソドムの柱の爆発によって秋田県味方村は消滅した。




583 マリカ~真実の世界~ sage 2006/05/23(火) 23:45:39ID:IDOh6ECs
マリカの続きいきます。
短くしようと思ったけど駄目だったorz
スレ容量使い込んじゃってマジすいません。


584 マリカ~真実の世界~ sage 2006/05/24(水) 00:01:38ID:IDOh6ECs
『あきらの真実』(1/2)

あきらは渋谷のアジトへと跳ばされていた。
懐かしい風景に、一瞬今までの事は夢かと思うが
落ちていた新聞に載っていた味方村の惨劇の記事が現実に引き戻す。
歩いているとフルメタルカフェが新築開店しているのを発見。
マスターは大事なく無事に退院出来たらしい。
新宿中央公園に跳ばされていたという信長ともそこで再会できた。

あきらは、信長がインターネットで仕入れる情報を元にファクト狩りを始めた。
狩りを続けて数日目、二人は工作員に襲われていた一人の男を助ける。
「…源兄ぃ!?」
それは、あきらのチームの元リーダー加藤源一郎だった。

加藤をフルメタルカフェに連れて行くと、あきらは付きっきりで手厚い看病をした。
今までにない女らしい姿を見せるあきらに、信長は加藤とあきらの関係をマスターに尋ねる。
加藤は、三年前に渋谷に流れ着いたあきらを世話した恩人であり
中華料理店への就職を機にチームを脱退する際、あきらに「料理で身を立てたら迎えに行く」と約束したのだそうな。
その説明に信長は何故か落ち込む。

目を覚ました加藤と嬉しそうに語らうあきら。
だが仕事の事を振ると、ただ一言「クビになった」と言うだけだった。

インターネットで寝ずに情報を調べる信長。
その姿を見たあきらは、ちょっと優しくしてみる。
しかし信長に勘違いされて「僕は加藤さんの替わりじゃない」と言われてしまう。
思わず信長をぶん殴るあきら。
「こんのスカタン! たまに優しゅうしよう思うたら
 なーにが『僕は替わりなんかじゃない』…このクソボケ!
 殺したろか! ほんまに!」
いつも通りのあきらの調子に、信長は安心感と残念さの入り混じった乾いた笑いを返した。

毎日、甲斐甲斐しく加藤の世話をするあきら。
怪我で上手く歩けないという加藤に、あきらは肩を貸した。
「源兄ぃ…肥えたやろ?
 この間、担いだときも感じたんや…源兄ぃ、体重増えとる」
「そうかもな、なんせ修行しているときは、
 うまそうなのが回りいっぱいだろ? ついついつまんじまってさ」
「あっははは! せやからクビになるんや!」
久しぶりに加藤と笑い合った事で、あきらは幸せを感じていた。


585 マリカ~真実の世界~ sage 2006/05/24(水) 00:02:52ID:IDOh6ECs
『あきらの真実』(2/2)

加藤を看病しながらファクト狩りを続けるあきら。
その最中、この渋谷で連続猟奇殺人事件が起こっている事を耳にする。
現場に行って警察官たちの話を盗み聞きすると、被害者は全て若い女性で体液を吸われてミイラ化しているらしい。
証拠を残しすぎるきらいはあるが、ファクトの仕業と確信する二人。

フルメタルカフェに帰ると、加藤との会話中に連続猟奇殺人事件の話題になった。
「恐ろしい話だな…人間が干からびるだなんて。あきらも気をつけないとな」
「あはは! 心配せんでもええ、うちには能力があるさかいに」
信長は二人のその会話を不審そうに見ていた。

その夜、信長が加藤の言動は不自然だと言ってきた。
あきらが今どうしているか聞いてこない事。
あきらのチームの元リーダーなのに、今チームがどうしてるか聞いてこない事。
だが、あきらはそんな信長に激昂すると部屋から追い出してしまう。

翌日、加藤がここを出てくと告げてきた。
出て行く前に大事な話しがあると、チームのアジトへと連れて行く。
「ここならゆっくりと話せるな…」
「…なんでそう言えるんや」
「え?」
「ここは前からうちらのアジトやったやろ!?
 マモルも、つよしもいた…何で誰もおらへんのを不思議に思えへんのや!?
 …昨日もそうや! うちは被害者が干からびたなんて言ってへん!
 なんで源兄ぃがそないなこと知ってるんや!?」
涙声で加藤に詰め寄るあきら。
その時、加藤の身体が大きく膨れ上がる。
「俺は、俺は、こんな身体にされ…うぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
獣人とも呼べない不気味な化け物の姿がそこにあった。
「ホルモンをくれ! 不完全に改造された俺の肉体は
 女のホルモンがなければ二日ともたないんだ!
 このままじゃ身体が崩れて死んじまう!」
加藤の身体からホルモンを吸い取るための管が伸ばされる。
それを避けながら、あきらは能力を込めたバットを叩き込んだ。何度も何度も。
やがて戦闘力を奪われた加藤は、元の姿へと戻っていく。

「強くなったな…あきら」
瀕死の加藤は、あきらに事の顛末を語った。
元不良だという事から濡れ衣を着せられ、店をクビにされた事。
そこをファクトに付け込まれて不完全な改造をされてしまった事。
あきらを倒せば元の身体に戻してやると言われた事。
やがて泡化が始まると、あきらに謝罪しながら加藤は安らかな顔になっていく。
「だ、だけどな、俺は…
 俺は、俺を差別した連中を決して許さん…!」
しかし彼が最期に発したのは、日本社会へと向けられた怨嗟の言葉であった。

フルメタルカフェに戻ると、心配そうな顔の信長に「ケリは付いた」とだけ言い
明日から本格的にまりか達を探すと告げる。
信長が部屋から出て行くと、あきらは声を上げて泣き続けた。


586 マリカ~真実の世界~ sage 2006/05/24(水) 00:09:41ID:T5TUYB00
『トゥルーリーガー作戦』(1/2)

フランソワーズが部屋に入ると、真実の人は何故かサッカーユニフォームを着ていた。
「その服装はいかがなされたのですか?」
「これか? うむ、ついにトゥルーリーガー作戦発動の日が来たのだよ!」
有名サッカーチームを誘拐し洗脳する、それがトゥルーリーガー作戦の概要だった。
フランソワーズは実行開始の合図を求める。
「うむ、では作戦スタートだ!
 黄色いブタ共に真実のプロスポーツの姿を教えてやる! キックオーフ!!」

「事件のことは先生に話してある、これからは普通にやるんだぞ」
一ノ橋の実家に跳ばされたかなめに、父は娘の無事を喜ぶ事も無断外泊を咎める事もなく、ただそれだけを伝えた。
かなめはそんな父に苛立ちを覚えるも、逆らう事はしなかった。
オルガとの戦いが、かなめに恐れを抱かせていたのだ。
いつかのホテルの事件の最中、あきらに「戦う理由が希薄」と言われたのを思い出し、自嘲する。
「こんな家が嫌いだからって…もうあんな目にあうのはごめんよ」

ある日、父の代理として家がスポンサーをしているサッカーチームの観戦に行く事になった。
スタジアムに着くと、関係者に手を取られて貴賓席に案内される。
『東堂システムのお嬢様か…上手くやれば逆玉だな』
見た目の態度とは正反対の真意を読み取ったかなめは、その手を払う。

しかし時間になっても試合は始まらず、周囲の大人達は何か慌しい
執事の林が様子を探り報告しようとすると、かなめはそれを遮り手を取る。
『選手を乗せたバスが麻布トンネル内で行方不明になった』
読み取った情報から、かつて自分が誘拐されたシチュエーションとの酷似性を考えファクトの仕業と確信する。
しかしオルガとの戦いを思い出し、関与をためらう。

さらに数十分経つと、周囲の大人達はかなめに事実を隠すのも忘れ、不安を口々にするようになっていた。
うんざりしたかなめは帰ろうとするが、大人達はそれを必死に引きとめようとする。
その中の一人がかなめの手を掴んだ。
『ちょっと待ちきれねぇからって帰ることはないだろうが、このガキ!』
その手を振り解くと、林を連れて貴賓席を後にした。


587 マリカ~真実の世界~ sage 2006/05/24(水) 00:10:26ID:T5TUYB00
『トゥルーリーガー作戦』(2/2)

車に乗ったかなめは、麻布トンネルに向うよう指示する。
現場付近で林が情報収集すると、目撃者はゼロだが犯行時間にトンネル内で迷子になっていた赤ん坊がいる事を知る。
かなめは接触テレパスで赤ん坊の心を読み取った。
誘拐したのは装甲姉妹・蘭であり、西馬込の地下施設に監禁しているらしい。
西馬込に向かうよう林に指示するが、しかしそこにファクトの工作員達が襲ってくる。
「いい機会だわ林、見てらっしゃい…あれから私が何をしてきたのか」
主人を守ろうとする林を押しのけ、かなめは工作員に飛び掛った。
目を白黒させる林の目前で、工作員達が次々と泡と化していく。
「私はあの日以来、こいつらと戦っていたの。
 もうやめようかと思っていたけど…やっぱり駄目ね」

西馬込に向かい地下施設を発見すると、林にここで帰るように言い付けた。
「いろんなゴタゴタが片付いたら絶対に帰るわ…
 お父さまには林から言っておいて」
かなめの性格を熟知している林は止めようとはせず、ただ「くれぐれもお気をつけて…」とだけ言い、見送った。

地下施設内で工作員を倒しながら、選手達と監督を解放するかなめ。
全員解放し終えると装甲姉妹・蘭が襲い掛かってくる。
「今日はPK使いもテレポーターもいないんだな!」
「あんたなんか私一人で充分よ…!」
言葉どおり、蘭はもはやかなめの敵ではなかった。
止めを刺そうとするが、背部バーニアを全開にした蘭は天井を割って逃げてしまう。

「戦う原因が希薄って金本さんは言ったけど…
 息が苦しくなる父親に、つまらないことばかり考えている大人
 …戦っている方がまだマシよ」
戦いの中にしか自分の居場所はないと実感したかなめは、まりか達との合流を決意した。


588 マリカ~真実の世界~ sage 2006/05/24(水) 00:12:01ID:T5TUYB00
『まりかの戦い』(1/3)

まりかもまた代々木の自宅へと跳ばされていた。
留守番電話を調べてみると、エジプトからの家族のメッセージが何件も入っており
それによると来週には帰ってきてしまうようだ。
早く出て行かないと…と思って玄関を開けると、そこには蕪木がいた。

各事件にまりかの陰を見た蕪木は、事情の説明を求める。
止むを得ず、まりかは全ての経緯を話した…
あまりに突飛な内容に疑う蕪木の身体を、まりかは念動力で浮かせる事で納得させる。
まりかの話と力を信じた蕪木は、内閣特務調査室との協力体制を提案する。
だが、まりかはその案に首を横に振る。
自分達はかつての生活を取り戻すために戦っているのであって
ファクトを倒した後に、上が超能力に興味を持ちでもしたら意味が無いからだ。
しかし蕪木は必死に食い下がる。ならば個人的に俺に協力しろ、と。
蕪木は懐から数枚の写真を取り出す。すべて死体の写真だ。
まりかは眉をひそめその写真を見る。
「…さすがだな」
「嫌な話ですけど…見慣れましたから」
これらはここ数日内に起きた連続殺人事件であり
蕪木はこの犯人を『逮捕』ではなく『殺してくれ』と頼んできた。
写真の中の一枚は蕪木の妻と娘のものだった。

殺されたのは全て女性。死体は食われており骨しか残っていないが
十代の一部の被害者に限って、身体の一部が完全に損失しているらしい。
犯人を特定する証拠を揃えたら連絡すると言い、蕪木は家を後にしていった。

翌日、まりかは公園で新聞を読んでいた。
渋谷で起こった連続猟奇殺人事件の記事が載っている。
「公園で新聞を読むなんざ女子高生とは思えんな」
蕪木がやってきて、この事件は昨日説明した事件とは無関係だと言う。
こちらの事件は被害者はミイラ化していて、別の人物による犯行だろうとの事だ。
昨日の件の進み具合を聞くと、明日には連絡できるから家で待っていてくれと言われる。

帰り道、懐かしい声がまりかを呼び止めた。親友の拝島恵子だ。
恵子のエジプトおみやげ頂戴攻撃をかわしつつ、親友と談笑するまりか。
まるで事件に巻き込まれる以前の日常に戻ったかの錯覚を受ける。
この日常に帰るため、ファクトを倒す決意を新たにする。
別れ際、恵子は恥ずかしそうにまりかに向かって言う
「恵子ね、明日オーディション受けるんだ!」
近所に新しく出来た芸能プロダクションが、一般オーディションをやるらしい。
恵子はまりかに付き添いを頼むが、明日は蕪木の電話があるため断る。
恵子は結果が出たら一番最初にまりかに報告すると約束すると、手を振って去って行った。

翌日、蕪木の電話を受け公園に向かう。
蕪木が犯人だと言うのはクリス・バーンガニアという外国人。
詳しく聞くが、アリバイが無い事と第一通報者というだけでどうも明確な論拠が無い。
蕪木は、結局証拠は見つけられなかったと白状する。
しかし家族が旅行から帰ってくる前にまりかは去ってしまうため
もはやこの容疑者に掛けるしか無いと訴える。
その時、ファクト工作員と獣人が襲い掛かってきた。
軽く倒して見せるも、蕪木が負傷してしまった為PKヒーリングで治療する。
驚きながらもクリスについての説明を続ける蕪木。
クリスが現在何をしているのか尋ねると…
「芸能プロダクションの社長に就任したらしい」
「え…?」
「F資本の出資だろうが、今日はそのプロダクションの
 オーディションに出席しているらしい」
その説明に、まりかの血の気が冷めた。
「恵子が…恵子が危ない!」


589 マリカ~真実の世界~ sage 2006/05/24(水) 00:14:20ID:T5TUYB00
『まりかの戦い』(2/3)

蕪木の案内を受けてプロダクション事務所に行くと、中にはあちこちに少女の死体が転がっていた。
死体を一人一人確認していくが、恵子の姿はない。
最上階の社長室に乗り込むと、こちらに背を向けた男が何かを食べていた。
そして床には右手の無い少女の死体……恵子だった。
その光景に絶叫を上げるまりか。
「ごちそう様…誰だ? 人の食事の最中にうるさかったのは」
男は手に持った肉塊を平らげると、顔だけをこちらに向ける。
「クリス・バーンガニアだな!?」
「そう名乗ったこともあるが、俺はファクトの人食鬼ラブフレストだ」
蕪木がその男、ラブフレストに銃を突きつける。
「あんたのかみさんと娘は、おいしくいただかせてもらったよ。
 随分と追い詰めるのに苦労したがね…ひひひ。
 だが狩りの苦労は多いほど、食事もうまいと言うものだ」
「き、貴様ぁ…!」
「そんなに怒るなよ…安心しろ。
 かみさんの方はババァでどうしようも無かったが、娘の方はたいそう美しくてな。
 ひひひ、そう特に胸のあたりが最高だぞ。だからそこは食わなかった。
 俺は女のホルモンを摂取しないと死んでしまう身体なんだ。
 生体実験の失敗作って奴よ…だが俺はそんな自分を決して悲観しなかった。
 いやむしろ喜んでいる。なぜだと思う?
 そう、女はいい…特に十代の少女。それも日本人は、神がこの世に生み出した最高の造形傑作だ。
 だからな、食うだけじゃもったいない…」
そう言うと、ラブフレストは初めて身体をまりか達の方に向けた。
そこに現れたのは、腕、足、胸、胴、すべてが別々の少女のパーツでつぎはぎされた身体だった。
「ひひひ…素晴らしいだろう!?
 俺は気にいったパーツを集めて究極の少女になるんだ!
 ほら、胸なんかはお前の娘のものだ! ……おぉ!?」
まりかの顔を捉えたラブフレストが感嘆の声を上げた。
「素晴らしい…何という造形! 今までこれといったフェイスには出会えなかったが…」
まりかは、かつてない程の怒りを込めた眼差しでラブフレストを睨む。
「私は…今までこれほど、あんた達を殺してやろうと思ったことはなかったわ…!」
「何を言っている!? お前は友達がいのない奴だな!」
ラブフレストは右腕を突き出す。
「これは誰のパーツだと思う?
 そう! お前の友人、拝嶋恵子のものだ! 
 つまりおまえのフェイスが俺のものとなれば
 お前は友人と同化することができる! これが真実の友情だろう!?」
常軌を逸し続ける言動に、蕪木が躊躇う事なく引き金を引く。
しかしラブフレストはそれを素早く回避すると、隠し持っていたナイフで蕪木を刺してしまう。
続けざまに、まりかの首を締め上げる。
「ひひひ、友人の手によって息の根を止められる…
 悲しくて美しきかな、この友情よ!」
しかしまりかは顔色を変える事なく、ただラブフレストを睨んでいた。
「言いたいことはそれだけ…?」
「なに…?」
「それはもう恵子じゃない…
 …それはただの手! 恵子じゃない!!」
そう叫ぶと、まりかは能力のすべてを解き放った。
まりかの力の前に、ラブフレストはあっけなく泡となって消えた。

倒れた蕪木を治療しようとするまりか、しかし蕪木はそれを遮る。
「血が出すぎちまった…俺はもう助からん。
 それよりもここから早く逃げるんだ…じきに警察が来る」
泣きじゃくるまりかに、蕪木は苦しそうに一喝する。
「人が死ぬのは見慣れているんだろ…さっさとここから出ていくんだ!
 後は俺がどうにかしておく…さぁ行け!」
まりかはふらふらとその場から立ち上がると、部屋から駆け出した。


590 マリカ~真実の世界~ sage 2006/05/24(水) 00:15:29ID:T5TUYB00
『まりかの戦い」(3/3)

まりかの自宅前には、あきら、かなめ、信長が待っていた。
まりかは、あきらに倒れ掛かるとそのまま泣き崩れる。
「みんな…みんな死んじゃった…!
 私、誰も助けられられなかったのよ!
 恵子も、蕪木さんも、みんな死んじゃったよ!!」
涙の意味を理解したあきらは、まりかを強く抱きしめる。
「そうか…越えさせられてしもうたんやな…まりかも」








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