英雄伝説IV 朱紅い雫
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371 英雄伝説IV~朱紅い雫~ sage 05/01/21 21:10:32ID:4GzSOG2S
プロローグ(0)

ガガーブと呼ばれる大断層により三分された大地。
その分かれた世界の1つ、神々の眠る地「エル・フィルディン」では
2つの勢力が争いを続けていた。

光の神バルドゥスを奉じる「バルドゥス教会」
闇の神オクトゥムを崇める「オクトゥムの使徒」

遥かな昔からの争いの果てに二神は眠りについていたが、
人は未だ巣立ちを迎えることなく神々という名の運命に囚われていた。

372 英雄伝説IV~朱紅い雫~ sage 05/01/21 21:13:32ID:4GzSOG2S
プロローグ(1)

<物語開始から8年前>
バルドゥス教会の聖地カテドラールにいる孤児たちの中に仲の良い1組の兄妹がいた。
「アヴィン(9歳)」と「アイメル(7歳)」
2人は最高導師エスペリウスのもとに引き取られて以来、平和な日々を送っていた。

そんなある日、聖地は謎の集団の襲撃を受けた。
集団のリーダーは、元バルドゥス教会神官のベリアス卿(4、50代?)。
卿の圧倒的な力の前にカテドラールは脆くも陥落した。

集団の狙いはアイメルであった。
エスペリウスの身を犠牲にした抵抗や、力の賢者ガウェイン(53歳)の加勢によって
からくもその場から脱出するものの、混乱のなか兄妹は離れ離れになってしまう。


373 英雄伝説IV~朱紅い雫~ sage 05/01/21 21:17:28ID:4GzSOG2S
プロローグ(2)

アヴィンはガウェインに連れられ、慈悲の賢者レミュラスのもとに預けられた。
アイメルは例の集団から逃げおおせたものの、その行方は誰も知らないという。
妹との離別のショックから立ち直れず当初は塞ぎこんでいたアヴィンだったが、
レミュラスの暖かさと、近くの村に住む少年マイル(10歳)との友情により
次第に明るさを取り戻していった。

穏やかで満ち足りた日々。しかし、兄の心の奥には常に消えることのない想いが・・・
そして8年の月日が流れた。

374 英雄伝説IV~朱紅い雫~ sage 05/01/21 21:19:25ID:4GzSOG2S
プロローグ(3)

アヴィン17歳の春
賢者レミュラスは自分の死期を悟り、枕元にアヴィンを呼び寄せた。
妹を探す決心をしていたアヴィンに慈悲の賢者は次のことを語った。

アイメルのある理由により闇の勢力に狙われていること。
彼女の安全のためにその行方は極秘とされ、レミュラスにも判らないこと。
そして、妹を探し守るためには力と知恵と優しさが必要であるといい、
そのために知恵の賢者ディナーケンを訪ねるよう助言をした。

最後にバルドゥスの頭と呼ばれる「神宝カベッサ」をアヴィンに託し、
ディナーケンに届けるよう依頼した後に、親代わりを8年間勤めた好々爺は
息を引き取った。


レミュラスの墓前で1人語りかけるアヴィン。
「じいさん・・・それじゃ、俺、行ってくるよ」

375 英雄伝説IV~朱紅い雫~ sage 05/01/21 21:21:46ID:4GzSOG2S
補足

世界観などについていくつか補足をします。面倒な人はスルー。

<神々について>
バルドゥスは世界の維持を原理としてうごくもの
オクトゥムは破壊と再生により世界を創りかえるもの
別に善と悪ではないという使い古された設定。

<2つの勢力について>
バルドゥス教会はドラクエの教会のようにエル・フィルディン全域で普及している。
一方、オクトゥムの使徒は一種の秘密結社。なので一般人にはほとんど知られてはいない。
基本的には使徒が教会などに対して、いろいろと陰謀をめぐらせているという図式。

<3つに分かれた世界について>
この話はガガーブ三部作(英雄伝説3~5)の時代的には最初のエピソード。
ストーリーは1作ずつ完結するが、登場人物やアイテムの一部が
後のエピソードに引き継がれていく。

というわけで、他の大陸に行くなんてことはないし、
ガガーブ誕生の謎も4では謎のままです(匂わせる箇所はあるけど)。
あくまでエル・フィルディン内部での話がメイン。

419 英雄伝説IV~朱紅い雫~ sage 05/01/24 20:30:37ID:yvtqTSLr
第一部:王都の冒険者(1)

8年間親友であり続けたマイルと共に妹さがしの旅を始めたアヴィン。
出発の際、マイルは父親から餞別に「護りの鈴」を受け取った。
何があっても仲間を大切にするように、と。

途中、エル・フィルディン王都に立ち寄った2人はこれからの旅をスムーズに進めるため自警団や便利屋として活躍する組織、冒険者ギルドで冒険者の認定を受けることにした。

認定試験をクリアし、晴れて冒険者となったアヴィンとマイル。
賢者ディナーケンの館を目指しながら、冒険者としての仕事も忘れてはいなかった。
旅の途上、とある村を占領した盗賊団の事件を、試験の際に知り合った同業者マーティーや、王国のお転婆王女ミューズと共に解決した。
盗賊団の首領は逃亡、彼らの目的が「生命の書」という魔道書であること以外は謎に包まれたままだった。

420 英雄伝説IV~朱紅い雫~ sage 05/01/24 20:33:29ID:yvtqTSLr
第一部:王都の冒険者(2)

ミューズたちと別れたアヴィン一行は、深い森の奥にあるディナーケンの住居に
たどり着いた。

カベッサを受け取った知恵の賢者は、妹アイメルの行方を尋ねるアヴィンに、
自分もそれを知らされていないことを告げた。
しかし、何故アイメルが狙われているのかは知っている、とも。

「彼女は「ドゥルガーの娘」と呼ばれる存在なのだ」

精霊神ドゥルガー。四精霊を統べ、生と死を司る冥府の番人。
「ドゥルガーの娘」は精霊神の代理として奇跡を起こすようさだめられた者である、
と説明したディナーケンは、これ以上のことは教えられないと言い放った。
過酷な運命の元にあるアイメルを闇の勢力から守るには、普通の人間に過ぎない
アヴィンでは無理だと結論づけたのだった。

421 英雄伝説IV~朱紅い雫~ sage 05/01/24 20:35:34ID:yvtqTSLr
第一部:王都の冒険者(3)

賢者の言葉に心構えの足りなさを自覚したアヴィン達は、一旦王都に引き返すことにした。
だがその帰り道、突如現れた黒髪の少女ルティス(16歳)とその部下の襲撃を受けた
彼らは、少女の魔法によってなすすべも無く気絶させられてしまった。

近くの村人に助けられたアヴィンとマイルは、あの奇妙な2人組の狙いが
神宝カベッサであると見当をつけ急ぎ賢者の館へ引き返すことに。

間一髪間に合ったマイル達。
魔法対策も万全の2人に少女はあえて実力行使を行わず、不満げな部下ともども退却。
彼女は自分たちのことを「オクトゥムの使徒」と名乗っていた。

全てを話す決心をつきかねているディナーケンにアヴィンははっきりと答えた。
幼い頃の妹が、育ての親のレミュラスが自分を信じてくれたように、
そして自分を助けてくれる友の信頼に応えるために、自分の可能性を信じてやりたいと。

422 英雄伝説IV~朱紅い雫~ sage 05/01/24 20:37:53ID:yvtqTSLr
第一部:王都の冒険者(4)

知恵の賢者ディナーケンは神話にまで遡って話はじめた。

相反しながら不可分の存在だったバルドゥスとオクトゥムの争い。
光は闇を封印したが、その結果バルドゥスも力尽き、その神体は6つに分かれ
ドゥルガーに預けられた。
こうして神々の時代は終わり、人間の時代が始まるかに見えたが・・・

人間は自立するほどの強さを持ち合わせておらず、2つの宗教をつくりそれにすがった。
それがバルドゥス教会とオクトゥムの使徒。

世界の破壊と再生を望む闇のオクトゥムと同じくその使徒たちもまた、
教会と王国によって統治された今の社会を破壊し、新しい秩序による理想郷を
築こうとしているという。
そして、おそらくはその目的のために永い間ドゥルガーの娘を探しているのだと。

423 英雄伝説IV~朱紅い雫~ sage 05/01/24 20:41:20ID:yvtqTSLr
第一部:王都の冒険者(5)

アイメルとの再会を望むことは、彼女を運命から、光と闇の争いから守ることでもある。

覚悟を決めたアヴィンに賢者は進むべき道を指し示した。
妹を捜し出せたら教会の聖都ヴァルクドに向かい、現最高導師クロワールを頼ること。
そして、隠し場所を知られてしまった神宝を守るため、聖都に届けてほしいと。


新たな決意を胸に2人は旅を再開した。
親友を巻き込んだことを後悔しているアヴィンにマイルは言った。

「アヴィンの背中は僕が守るよ」


424 英雄伝説IV~朱紅い雫~ sage 05/01/24 20:44:16ID:yvtqTSLr
第一部終了。思ったよりだいぶ長くなってしまいました
ストーリーを知ってる人は疑問に思ったでしょうが今回から登場するはずのシャノン
(マイルに一目ぼれする少女)は、キャラを短くまとめる自信がないのでカットします
出番は多いキャラなのですが・・・ご容赦を

ちなみに、年齢が付いているのをメインキャラ扱いにしています

470 英雄伝説IV~朱紅い雫~ sage 05/01/27 22:19:28ID:gCdFRyvR
第二部:遠い面影を求めて(1)

アイメルの手がかりを求めて旅を続けるアヴィン、マイルの2人組。
その途中で様々な事件、人物と巡り合った。

「迅雷」の二つ名を持つ剣豪であり冒険者、ダグラス。
森の一軒屋に住み、自然と動物を愛する少女アルチェム。
魔法大学の天才少年ラエルとその教師エレノア。
3年前に離れ離れになった姉を捜している工員見習いの少年ルカ。
そして、聖地カテドラールで兄妹の面倒を見ていた女神官オレシアとの偶然の再会。

オレシアは8年前の聖地陥落のさいアイメルと共に修道院に身を寄せて、
今は修道院長となっていた。
彼女から妹の消息を聞けて大喜びするアヴィンだったが・・・

修道院にアイメルの姿は無かった。
いつの頃からかドゥルガーの囁きを聞くようになったアイメルは、15歳の誕生日に
誰にも相談することなく1人で旅立ってしまったという。

気落ちするアヴィン。
しかし、兄がいつか迎えに来てくれるのがアイメルのたった一つの願いであった
ことを知り、気持ちを新たにした。

471 英雄伝説IV~朱紅い雫~ sage 05/01/27 22:21:14ID:gCdFRyvR
第二部:遠い面影を求めて(2)

修道院ではもう一つの出会いがあった。

赤毛に青のバンダナをつけた剣の達人、マドラム(36歳)
自らを「15年前の亡霊」と名乗った男は、ドミニクという女性の仇だとして
修道院に滞在していた大神官アバリスの命を狙う。
しかし、オレシアの登場により気分が削がれたと言って去っていった。

オレシアとマドラム、そしてドミニクは昔そろって教会に入信していた。
15年前に起きたある事件によりドミニクは命を落とし、マドラムは教会を
離れることになったという。

その悲劇に大神官が一枚噛んでいたらしいことや、
力の賢者ガウェイン(プロローグ(1)参照)に師事していたことなどを
オレシアは語った。

472 英雄伝説IV~朱紅い雫~ sage 05/01/27 22:23:21ID:gCdFRyvR
第二部:遠い面影を求めて(3)

今日も今日とて妹捜しの旅を続ける2人の冒険者は、鉄鋼の街ギアで少年ルカと再会した。

似た境遇のアヴィンとルカはお互いの近況を報告しあうが、そのなかで
アイメルに似た特徴を持った女の子が北方の寒村、コルナ村に向かったことを知る。
早速出立しようとした彼らの前にオクトゥムの使徒ルティス(第一部(3)参照)が
再び現れ、アヴィン達から神宝カベッサを奪い取ろうと罠を張った。
睡眠薬で2人を眠らせたルティスだったが、後一歩のところでマドラムの妨害に会う。

バルドゥス教会の手の者かと問いかける少女に、男は「光も闇も関係ない」と答えた。
どちらも人の運命を弄ぶ存在にすぎないと。
結社に入った理由を問う男に、少女は答えた。
大切な人たちを失ったとき、バルドゥスは手も差し伸べてくれなかったと。

カベッサを中心に対峙した2人は、工員見習いルカの登場により終わりを告げた。
黒髪の少女を呆然と見つめる少年。ルカが捜していた姉の姿がそこにあった。

とっさにその場を立ち去るマドラムとルティス。
目覚めた後、カベッサの無事を確認したアヴィン&マイルは、元気のないルカを置いて
コルナ村へ出発した。

473 英雄伝説IV~朱紅い雫~ sage 05/01/27 22:25:43ID:gCdFRyvR
第二部:遠い面影を求めて(4)

雪に埋もれた村、コルナ。この村の外には精霊神ドゥルガーを祭った神殿があるという。
1週間ほど前にアイメルらしき女性が神殿を参拝したという話を聞いたアヴィン達は
訪れた神殿の奥で、一冊の魔力を秘めた古文書を発見した。

先述したラエルとエレノアのおかげで、その本がドゥルガーによる生命の秘蹟、「生命の書」
だと判明したが、覆面の男に奪われてしまう。

覆面の男を追ってギアへ戻ってきた一行が見たものは、魔獣の群れに襲われて
炎に包まれた街や工場の姿だった。
覆面の男たちは生命の書を使って魔獣を召喚していたのだ。

474 英雄伝説IV~朱紅い雫~ sage 05/01/27 22:28:37ID:gCdFRyvR
第二部:遠い面影を求めて(5)

魔獣を退治しながら工場の奥へ向かうと、覆面集団のリーダーであるボルゲイドが
工場長を脅して、自分たちオクトゥムの使徒に協力させようとしていた。

工場長の答えは否。ボルゲイドは工場の目玉、高出力の溶鉱炉の破壊を命じた。
抵抗しようとしたルカは、逆に斬りつけられてしまう。
止めを刺そうとするボルゲイドの前にアヴィンとルティスが立ちふさがった。

弟をかばいながら、無関係の者にまで巻き込まないように懇願するルティスに
邪神官ボルゲイドは残酷に告げた。
ルティスのその甘さを断ち切るため、彼女の目の前で弟を殺すように
ベリアス卿(プロローグ(1)参照)から指示があったことを。
呆然と立ち尽くすルティス。


その後、マドラスの乱入により邪神官は退却した。
ルカの無事を確認した後、その場を立ち去ろうとするルティスにアヴィンは
オクトゥムの使徒となった理由を問いただす。
少女は直接その問いには答えず、不完全で醜い世界を浄化して人々が幸福に暮らせる
理想郷を創ることが使徒の目的だと語った。

そして、弟を救ってくれた例として、アイメルが港町バロアで確認されたとの
情報を教え、去っていった。

145 英雄伝説IV~朱紅い雫~ sage 05/02/08 21:35:31ID:TndDR9vW
第二部:遠い面影を求めて(6)

港町バロアで兄妹はついに再開を果たした。
互いの存在を確かめ合うようにしっかりと抱き合うアヴィンとアイメル。
アイメルはバロアの領主、コンロッド男爵の邸宅に身を寄せていた。

15歳の誕生日を迎える少し前から旅に出るよう心に語りかけてきた声に従って修道院を
出たアイメルは、その声に導かれて来た氷の神殿で精霊神ドゥルガーと邂逅したという。
ドゥルガーは彼女を娘と呼び、「胸の奥に眠る想いと情熱があなたを運命から解き放つ」
と言って、バルドゥスの胴「神宝クエルポ」をくれたのだ、と妹は兄に語った。

本当はアヴィンに会うつもりは無かった、自分の運命にお兄ちゃんを巻き込みたくない、
と思いの丈をうちあけるアイメル。そんな妹に兄は言った。
「守ってやるよ。お前をその運命ってやつから。きっと、それが俺の運命だと思うからさ」


途中、アイメルがさらわれる事件が発生。
コンロッドや同じくバロアで知り合った船乗りトーマスと、
彼が操るエル・フィルディン最速の船プラネトス号の活躍により無事解決した。

146 英雄伝説IV~朱紅い雫~ sage 05/02/08 21:37:42ID:TndDR9vW
第二部:遠い面影を求めて(7)

コンロッド男爵のはからいで王軍の獣車を用意してもらった一行は、聖都ヴァルクドへ
向かう街道の途上にあった。

旅の終着駅を目前にして、アヴィンはマイルに感謝の気持ちを伝えていた。
それに照れながらマイルは、この鈴のおかげかもしれない、と父にもらった「護りの鈴」
大切な人を守ってくれるという鈴、を鳴らしながら答えた。

和気藹々の獣車の前にルティスが飛び出してきた。
鉄鋼の街ギアでの一件から、オクトゥムの使徒としての自分に迷いを感じていたルティス。
彼女は警告した。この先に待ち伏せがいるので急いで引き返すようにと。
その直後、後ろから別の使徒が迫ってきた。
仕方なく聖都まで全速で駆け抜けようとしたアヴィン達だったが
獣車は破壊され、3人は外へ放り出されてしまう。

気を失った彼らの前に、オクトゥムの使徒のリーダー、8年前、聖地を陥落させ
兄妹を引き裂いた張本人であるベリアス卿が配下と共に姿を現した。

147 英雄伝説IV~朱紅い雫~ sage 05/02/08 21:39:50ID:TndDR9vW
第二部:遠い面影を求めて(8)

ドゥルガーの娘、アイメルを連れて行こうとするベリアス卿とその部下。
弟を殺すよう指示をしたのが卿に間違いないと知ったルティスは、
絶望した末、使徒たちに切りかかり、アヴィンをかばって倒れた。
目を覚まし、応戦していたアヴィンも、直後に魔法を受けて倒れてしまった。

ベリアス卿は気絶しているルティスに向かって言った。
お前の魂の輝きは知っている。今は迷うがいいだろう。いずれ自分の下に戻ってくる、と。

アイメルに近づく卿の前に立ち塞がったのは、マイルだった。
ルティス同様、優れた魂の輝きを感じさせる青年の登場に思わず感心するベリアス卿。

「父さんと・・・約束したんだ・・・大切な人たちを・・・命がけで守るって・・・
やっと会えた兄妹なんだ・・・あなたたちの・・・好きなようにはさせない・・・!」

傷ついた体でアイメルを守ろうとしたが、ベリアス卿の魔法の直撃を受けてしまう。
血だらけで倒れこむマイルを見て卿はつぶやいた。「あれではもう助からぬ」



異変を感じて聖都から駆けつけた賢者ガウェインと僧兵がみたものは、気絶している
アヴィンとルティス、そして血まみれの鈴だけだった(2つの神宝も無事)

168 英雄伝説IV~朱紅い雫~ sage 05/02/09 20:42:51ID:73AAy66p
第二部:遠い面影を求めて(9)

聖都ヴァルクド、大聖堂の一室で目を覚ましたアヴィンは、最高導師クロワールと
ガウェインから、事の顛末を聞かされた。
「形見」と差し出された護りの鈴を見て激昂するアヴィン。
亡骸はなかったが現場に残された出血量ではおそらく、とガウェイン言葉を濁した。

妹の誘拐と親友の死という現実を突きつけられたアヴィンに出来たことは
力なく崩れ落ちることのみだった。

ベッドに寝かされていたルティスと面会したアヴィン。
弟ルカのところにもいけず、ベリアス卿の下にも戻れず、生きてる理由なんてもうない、
と語るルティスをアヴィンは叱り付けた後、言った。
アイメルを取り戻し、マイルの復讐をやらなくてはならないと。


オクトゥムの使徒の本拠地に乗り込むことを決意したアヴィン。
そんな彼の前にガウェインの元弟子、マドラムが再び現れた。

アヴィンの妹がドゥルガーの娘であり、オクトゥムの使徒にさらわれたことを知った
マドラムは彼を大聖堂から連れ出し、本拠地の場所を教えた。
奪われた聖地カテドラール。
オクトゥムの使徒の本拠地は皮肉にも8年前兄妹が暮らしていた場所だった。

なんの目的で自分を連れ出したのかと尋ねるアヴィンに、マドラムは
同じドゥルガーの娘の娘に関わった者のよしみだ、と答えて去っていった。

169 英雄伝説IV~朱紅い雫~ sage 05/02/09 20:44:38ID:73AAy66p
第二部:遠い面影を求めて(10)

カテドラールは闇の結界に守られており、アヴィンは中に入ることが出来なかった。
しかも、邪神官ボルゲイドの襲撃を受けてしまう。
後をつけていたルティスが身を挺して彼をかばったおかげで一命を取り留めたアヴィンは
急ぎ駆けつけたガウェインによって、傷ついたルティスと共に聖都に引き戻された。

再び戻ってきた大聖堂で今後の指針を話し合うアヴィン、ガウェインとクロワール。
結界を破るため、全部で6つある神宝を集めてバルドゥスの力を借りることにした
アヴィン達は、その手がかりを得るため、不思議な光景が見えるという古代文明の遺跡、
真実の島に向かうことになった。

171 英雄伝説IV~朱紅い雫~ sage 05/02/09 20:45:59ID:73AAy66p
第二部:遠い面影を求めて(11)

真実の島近くの町まで来たアヴィンとガウェイン。そこに大聖堂で静養していたはずの
ルティスが姿を見せ、自らの過去を語り始めた。

5年前、魔獣に襲われて両親が亡くなった後、弟ルカと各地を放浪しながら
惨めな生活をしていた彼女は、次第に自分たちを救ってくれなかった光の神を
憎むようになっていった。
その頃にベリアス卿と出会い、不完全な世界を改革して哀しい思いをしなくてすむ
新たな世界を造る、という彼らの教えに心酔して、オクトゥムの使徒に身を投じた
のだという。すべては理想のために。
しかし結局、彼女は教えに踊らされた操り人形でしかなかった。

アヴィンをかばって死ぬつもりがそれも叶わなかったので、旅に出て正しい道を
見つけたい、と語り終えたルティスはアヴィンから思わぬ申し出を受けた。
「俺と一緒に来ないか?」
道に迷ったもの同士、助け合えるんじゃないか、と続けたアヴィンを見て、最初は
戸惑っていたルティスもついに承諾した。

172 英雄伝説IV~朱紅い雫~ sage 05/02/09 20:47:15ID:73AAy66p
第二部:遠い面影を求めて(12)

真実の島にある遺跡の内部では、ローブ姿の男がなにやら調べ物をしていた。
ミッシェル・ド・ラップ・ヘブン(28歳)と名乗った男の協力を得て映し出された
映像から、残り4つの神宝の在り処を突き止めることが出来た。
そして、神宝に囲まれて白銀の光に輝く一振りの剣の姿も。

気が付くとミッシェルの姿は無かった。
彼の、まるでエル・フィルディンの生まれではないかのような口ぶりを思い出して
訝る一行だったが、クロワールへの報告のため聖都に戻ることにした。


<真実の島についての補足>(面倒な人はスルー)
二神が眠りに付いた後に地上を支配していた「青の民」の遺跡。
かなり高度な魔法文明を築いていたが、この物語の937年前にある理由によって
大地は三分され、青の民は歴史から姿を消した。
彼らの遺跡はエル・フィルディンだけではなく、他の2つの大陸でもいくつか
発見されていて、ガガーブ三部作を通じて登場してくることになる。

217 英雄伝説IV~朱紅い雫~ sage 05/02/12 01:05:27ID:FeZE5gxG
第三部:絆の行方(1)

真実の島で見た映像から、残りの神宝は四精霊の祠に隠されていること、神宝の力を
宿す刀身が必要なことがわかった。
ガウェインは剣を作るため鉄鋼の街ギアに、アヴィンとルティスは神宝集めに出発した。

再び大陸中を巡ることになった2人。
徐々に明るさを取り戻していくルティスとアヴィンとの間には新たな絆が生まれた。

四精霊はオクトゥムの使徒と、彼らが持つ生命の書の力により敵となって襲い掛かって
きたが、かつての仲間や女剣士ルキアスの協力を得て4つ全てを集めることが出来た。

神の力を宿すにふさわしい、レアメタルソードも無事完成。
6つの神宝の光がひとつになり、バルドゥス教会の伝承から「神剣エリュシオン」
と名づけられた剣を手にしたアヴィン達は、全てに終止符を打つため、
アイメルのいる禁断の地、カテドラールへ向かった。

218 英雄伝説IV~朱紅い雫~ sage 05/02/12 01:07:24ID:FeZE5gxG
第三部のあらすじは上の通りなんですが、いくつか重要なエピソードがあるので
以下ではそちらの補完をしていきます。ついでに補足も書いておきます。


<精霊と神宝についての補足>(面倒な人はスルー)

精霊神ドゥルガー(始まりの精霊)  →  逞しき神の胴クエルポ
麗しき水のスコティア  →  俊敏なる神の右足デレピエ
優しき風のイドゥン  →  雄雄しき神の右腕デレブラ
豊穣たる地のネフティス  →  大地を耕し人を育みし神の左腕イスブラ
猛き炎のザール  →  音立てぬ神の左足イスピエ
そして教会に伝わる、無限なる叡智を秘めたる神の頭カベッサ

精霊は光と闇の相克では中立を保ち、大地を造ったとされる。
ドゥルガーは生命の母であり、死を司る神でもある。四精霊はドゥルガーの眷属。

光は闇を封じたが、元々表裏一体のためにバルドゥスの体も6つに砕けてしまう。
その際に、中立の立場だったドゥルガーに自らの体(神宝)を託した。

219 英雄伝説IV~朱紅い雫~ sage 05/02/12 01:08:58ID:FeZE5gxG
第三部:絆の行方(2)~ルティスとルカ、姉弟の再会~

鉄鋼の街ギアに着いたルティス達は、レアメタルソード作りを手伝うことになった。
アヴィンは工員として働いているルカに会うよう勧めるが、中途半端な今の自分では弟に
会えないと頑なに拒否されてしまう。

そこにオクトゥムの使徒が襲来してきた。ギアの動きを嗅ぎつけて妨害をしにきたようだ。
ルカが鉱山に閉じ込められたと聞かされて取り乱すもののアヴィンに諭され、
結果、無事に弟を救出することが出来た。

たったひとりの家族との3年越しの再会。
泣きじゃくる弟を抱きしめながら、ずっと会いたかった、とこれまでの想いを姉は
やっと口にすることができた。


残りの神宝を探すためギア出発したアヴィンの傍らには、ルティスがいた。
弟のそばにいてやらなくていいのか、尋ねるアヴィンに、彼女は次のように答えた。

自分にもまだ残っていた、大切なものを守るためにあなたの旅についていく。
「そう思う気持ちだけは、本当だと思えるから」

220 英雄伝説IV~朱紅い雫~ sage 05/02/12 01:10:51ID:FeZE5gxG
第三部:絆の行方(3)~銀髪の青年~

神宝を求める旅をしていくなかで、使徒たちを率いる銀髪の青年の情報が
度々耳に入ってきた。
相当の使い手らしいことまでしか分かっていなかったが、その正体は
意外な形で明らかになった。

銀髪の青年は、なんと死んだと思われていた親友のマイルだった。
遺体が見つからなかったことから一縷の望みを抱いていたアヴィンだったが、
2人の再会は喜びと感動、というわけにはいかなかった。

彼は外観(金髪→銀髪)だけではなく、内面も大きく変わってしまっていた。
アヴィンにオクトゥムの教えを説き、自分たちの側へ来ないかと誘うマイルに、
困惑を隠すことが出来なかった。


このマイルはマイルではない、と確信したアヴィン。
その後のやり取りから、ベリアス卿がマイルの体を操っていることが判明。
ルティスや同行していた仲間の救援によって、マイルは退却した。

計画の最終段階を迎えているためカテドラールから動けない卿の代理人、
それが今のマイルの姿だったが、アヴィンは彼が生きていたということを
嬉しく感じていた。
「アイメルもマイルも俺の大切な家族だ。2人とも絶対に助けてみせるさ」

221 英雄伝説IV~朱紅い雫~ sage 05/02/12 01:12:33ID:FeZE5gxG
第三部:絆の行方(4)~異国の大魔法使い~

幾多の困難の末に5つの神宝を集めたアヴィン、ルティス、ガウェインの一行は、
最後の1つを目指して南の孤島、カナピアに向かうことにした。
船乗りトーマスとプラネトス号(第二部(6)参照)の協力を得て海に乗り出しは
したのだが、周囲の地脈の乱れによる荒波のため、島に近づくことは出来なかった。

引き返す途中、真実の島で出会ったミッシェル(第二部(12)参照)と再会する。
相変わらずの奇妙な物言いや、聞きなれないアクセントなどを追求されて、ついに
彼は自らの素性を明かした。

ガガーブの彼方にある、もう一つの世界「ティラスイール」からやってきた、と。

ガガーブを踏破した最初の人間を目の前にして驚きを隠せない4人。
転位魔法で大陸間を飛び越えるという常人ならざる方法でエル・フィルディンに
やってきた彼の目的は、この地で邪悪な波動を感じ取ったから、とのことだった。
その正体を確かめるべく、真実の島の遺跡を調査していたところで
アヴィン達と出会ったのだという。

以来、エル・フィルディン各地をまわって、闇の使徒の動きや、アヴィン達の目的を
知った彼は、これは人間全ての問題だ、と言って、一行に協力を申し出た。

そのミッシェルの力添えもあって、カナピア上陸を無事成功させることができた。

223 英雄伝説IV~朱紅い雫~ sage 05/02/12 01:15:54ID:FeZE5gxG
次回も引き続き第三部の補完です
旧版とは、場面こそ同じですがだいぶ違った展開になってます


<ティラスイールについての補足>(面倒な人はスルー)

英雄伝説Ⅲ~白き魔女~ の舞台。

位置的にはエル・フィルディンの東方にある大陸で8つの国に分かれている。
白魔法や黒魔法、精霊魔法と魔法体系がしっかりあるエル・フィルディンとは違い、
ティラスイールではほとんどの人は魔法を知らなかった。
(なんでミッシェルだけ反則気味に強い魔法の使い手になったかは今ひとつ謎)
IVの時代から約25年後に、ミッシェルによってカンド、チャッペルという
2系統の魔法が広まった。

先人たちの想いを引き継ぐことになった一組の少年少女のお話は、この物語から
55年後になる。

258 英雄伝説IV~朱紅い雫~ sage 05/02/13 19:42:08ID:I9l4K/SE
第三部:絆の行方(5)~カナピア、15年前の悲劇(前編)~

ドゥルガーの娘。神の声を聞くことが出来る巫女。
彼女たちは血筋とは無関係に選ばれ、あらゆる時代に存在する。
アイメルが生まれる前、運命を背負っていたのはドミニクという女性だった。

南国の小さな島、カナピアで生まれ育ったドミニクにはマドラムという幼なじみの
男の子がいた。
2人は共にバルドゥス教会に入信し、ドミニクは修道女、マドラムは賢者ガウェインの
元で僧兵として修行を積んでいた。
いつまでも続くと思われた平穏な日々は、15年前、ドミニクが20歳のときに
ドゥルガーの声を聞いてしまったことで唐突に終わりを告げた。

その頃は、教会脱退したベリアス卿がオクトゥムの使徒内部で頭角を現し、彼らの
活動が活発化していた時期であった。
教会はドミニクの身の安全を守るため、しばらく彼女を生まれ故郷のカナピアに
隠れさせることを決め、護衛としてマドラムをつけることにした。

259 英雄伝説IV~朱紅い雫~ sage 05/02/13 19:43:39ID:I9l4K/SE
第三部:絆の行方(6)~カナピア、15年前の悲劇(後編)~

しかし、情報は敵に筒抜けだった。闇の使徒たちはカナピアを急襲。
多勢に無勢の2人は時間稼ぎをして教会の救援を待つことにしたが、
当時その地域一帯の教区長だったアバリス(第二部(2)参照)に救援要請を
無視されたことで孤立無援となってしまった。

ガウェインと僧兵たちが駆けつけたとき、マドラムはドミニクの亡骸を抱えて
うずくまっていた。
自分が狙われていることを自覚したドミニクが、マドラムを庇い、半ば自ら
死を選んだ後だった。


マドラムは姿をくらまし、以後、彼は血塗られた修羅の道を歩むことになった。
光と闇の争いに巻き込まれて命を落とした女性を想い続けながら。
15年前の自分と同じ運命を負った青年と出会うまでは。

彼は青年に問いかけた。なぜバルドゥスの力を求めるのか。
「人はこれ以上、神という運命に縛られるべきではない」
彼はその答えを、かつての悲劇の舞台であり、最後の神宝の在り処でもある島、
カナピアで受け取ることになる。

260 英雄伝説IV~朱紅い雫~ sage 05/02/13 19:46:00ID:I9l4K/SE
第三部:絆の行方(7)~赤毛の修羅(前編)~

カナピアに到着したアヴィン、ルティス、ミッシェルは、ガウェインの案内で
ドミニクのお墓参りをすることになった。
降りしきる雨の中、彼女が好きだった白百合の花を供えたガウェイン。
マドラムを修羅の道から日のあたる暖かい場所に導いてやってほしい、と祈りを捧げる
師匠の前に、元弟子が姿を現した。

赤毛の修羅はアヴィンに言った。答えを聞かせてもらおう。
アヴィンは答えた。光を信じているわけでも、闇を憎んでいるわけでもない。
「俺はただアイメルとマイルを助けるために神宝を集める旅をしている。
それが・・・俺とあいつらの絆だから!」

人と人との絆など神々という運命の前には弱くはかないものだ。
そう言いながらマドラムは剣を抜き、神宝を賭けての勝負を挑んだ。

ドゥルガーの娘に深く関わった者同士の決闘。
運命を越えてまで、絆を守る力があるか否か。
神宝に込められた仲間たちの想いが、アヴィンに勇気と力を与える。

しかし、勝負はマドラスの勝ちで終わった。
「あるいは、お前なら・・・俺の修羅を断ち切ってくれると思ったのだが」

ドミニクのような人を2度と出さないために、神という運命を断ち切ろうと
15年間を生きてきたマドラム。
手傷を負いながらも5つの神宝を奪った彼は、最後のひとつを手に入れ、
すべてを砕いて終わりにするために、精霊の祠へ向かった。

261 英雄伝説IV~朱紅い雫~ sage 05/02/13 19:48:20ID:I9l4K/SE
第三部:絆の行方(8)~赤毛の修羅(後編)~

祠の内部でマドラムは、精霊を邪気に染めようと企む邪神官ボルゲイドと対峙した。
戦いの最中、邪神官はマドラムに残酷な告白をした。
15年前、捕らえるはずだったドミニクを殺してしまったのは自分だ、と。

後を追って祠にたどり着いたアヴィン達は、マドラムが倒れているのを発見した。
怒りに我を忘れた彼は、その隙を突かれてしまったのだ。
マドラムは奪った神宝をアヴィンに返し、ボルゲイドを止めるよう頼みながら
意識を失った。

アヴィン達を前にして、ボルゲイドはベリアス卿の計画を明かした。
ドゥルガーの娘の力を使って冥府の門を開き、オクトゥムを目覚めさせること。
カテドラールの地下にて門は既に開き、闇の神は目覚めつつあるという。

オクトゥムの力が流れ込むことで強大な力を得たボルゲイドの攻撃に苦戦する一行。
そこに手負いのマドラムが登場した。
彼は最後の力を振り絞って邪神官にしがみつき、彼もろとも自爆して刺し違えた。

「アヴィンよ・・・まだまだ青いが・・・お前には見込みがある。
 俺の想いも・・・お前に託させてもらうぞ」

マドラムの死を悲しみながらも、彼の想いを無駄にしないために、アヴィン達は
精霊の待つ祭壇へと進んだ。

489 英雄伝説IV~朱紅い雫~ sage 05/02/24 20:50:25ID:te7biask
第四部:朱紅い雫(0)

~約20年前~
バルドゥス教会の神官であり、未来の最高導師として期待されていた若き日の
ベリアス卿は、真実の島である啓示を受けた。

今から何十年か後に、この世界を消し去るほどの災厄が起きる。
千年前、ある事故により大地が引き裂かれ、ガガーブが誕生したときのような、
いや、それ以上の大惨事が。

その日を境に彼は教会を脱退し、オクトゥムの使徒へと転身を遂げた。
闇の神の力を持って来るべき大災厄を防ぐ、その目的のためだけに。

オクトゥム復活に必要なものは全部で3つ。
鍵となるドゥルガーの娘、生命の書、そして神が封印された地、カテドラール。
20年の歳月の末に全てを揃えた今、彼の計画は最終段階を迎えつつあった。

490 英雄伝説IV~朱紅い雫~ sage 05/02/24 20:52:07ID:te7biask
第四部:朱紅い雫(1)

~バルドゥス教典の一節~
砕けしバルドゥスの欠片、鋼よりも硬く、羽根より軽き刀身に宿りて
大いなる闇をうちはらう一条の光明とならん
その名、神剣エリュシオンという
かの剣を手にする者、妙なる輝きをもって
永きにわたる光と闇の相克に終止符を打てり
人、大いなる巣立ちの季節を迎えん


神剣エリュシオンの力で結界を破り、カテドラールへ進入した
アヴィン、ルティス、ガウェイン、ミッシェルの4人。

地下にいるアイメルを目指す一行の前に、ベリアス卿が現れた。
ルティスはベリアス卿に言った。
あなたを尊敬し、感謝している。しかし、自分は進むべき道を見つけた。
汚くて不完全であっても大切な人々の住む、暖かい世界で生きたい、と。
彼女の覚悟を聞き、それを認めた卿は、さらに地下深く去っていった。

後を追いかけようとする4人に、操られたマイルが立ち塞がった。
彼を呪縛から解き放とうとするアヴィンは、何度も攻撃を受けながら
必死に近づいていく。そして・・・

アヴィンの覚悟と、護りの鈴の音色が親友を正気に導いた。

491 英雄伝説IV~朱紅い雫~ sage 05/02/24 20:53:55ID:te7biask
第四部:朱紅い雫(2)

自分を取り戻したマイルが先導役を買って、地下を降りていくアヴィン達。
途中、幾度と無く闇の使徒達の妨害を受けるが、かつての仲間たちや、
殿を引き受けたミッシェルの活躍で、ついに最下層へたどり着いた。

そこには、魔方陣の上に倒れているアイメルと儀式を行うベリアス卿の姿があった。
オクトゥム復活を目の前にし、真の目的を語るベリアス卿。
世界を襲う災厄の存在に一行は驚愕したが、だからといって
多大な犠牲を払うであろう闇の神の復活を、彼らは容認できなかった。

人は不完全な存在だ、と言い放つ卿に対して、人の強さを信じる、としたアヴィン達。
もはや言葉は無用。
理想のため、人の身すらも捨て襲い掛かるベリアス卿を、彼らは打ち倒した。

しかし、あと一歩、間に合わなかった。
破壊と再生の神オクトゥムは、アイメルを取り込むことで現世によみがえった。
妹を返してほしいと迫るアヴィンに神は告げた。
(世界を創り替える)闇の原理に則り、それ以外の目的で動くことはできない。
取り戻したいのであれば破壊するしかない。

光と闇の争いには興味がない。けど、アイメルが戻ってくるなら。
その想いを胸に、アヴィンは神剣を手に取り、神と戦う決意をした。

492 英雄伝説IV~朱紅い雫~ sage 05/02/24 20:55:38ID:te7biask
第四部:朱紅い雫(3)

「これが人の魂の輝きか・・・どうやら巣立ちの季節が訪れたようだ・・・」
激闘の末にオクトゥムは消滅。アイメルを取り戻して喜び合うアヴィン達。
そこに姿を現したのは瀕死のベリアス卿だった。

世界の命綱を切ってしまったと非難する卿に、可能性に賭けて他の道を探す
決心を述べるアヴィン。
「後悔だけはすまい・・・」そう語る卿はどこか羨ましそうにアヴィンを見ていた。

オクトゥムが消えたことで、その身を捧げていたベリアス卿の肉体は消滅した。
そして、闇の力でかりそめの命を与えられていたに過ぎないマイルの体も・・・
マイルは全てを知り、受け入れた上で最後の戦いに臨んでいた。

「それでも・・・僕はアヴィンの力になりたかった。それが僕の望みだったから」
これから君には幸せが待っている。そうアヴィンに言った後、彼の体は、消えた。

493 英雄伝説IV~朱紅い雫~ sage 05/02/24 20:57:52ID:te7biask
第四部:朱紅い雫(4)

残された護りの鈴の前で膝を突き、号泣するアヴィン。
そのとき、神剣エリュシオンが光を放ちながら宙に浮かびあがった。
バルドゥスの声が、意思が、神剣を通じてアヴィン達に聞こえてくる。

人の魂の輝き、想いの強さをアヴィン達の旅から知ったバルドゥス。
(世界を保ち続ける)光の原理に則り、それ以外の目的で動くことはできないが、
マイルを蘇らせて欲しいと願う一行へのせめてもの礼として、冥府門を開き、
彼を連れ戻す最後の機会を与えた。

失敗すれば命はないことを承知で飛び込んだアヴィン。
暗闇の中を落ち続けていくうちに、2人の絆のあかしを思い出した彼は、
護りの鈴の導きで、ついにマイルを見つけることができた。

「俺をだましていた罪は重いぞ。帰ったら、一発殴らせてもらうからな」
「君ってやつは・・・短気で・・・無茶で・・・強引で・・・」

2人の帰りを待ちわびる仲間たちの声を聞きながら、アヴィンとマイルは生還した。

494 英雄伝説IV~朱紅い雫~ sage 05/02/24 20:59:48ID:te7biask
第四部:朱紅い雫(5)

2人の無事を喜ぶ一行だったが、いつの間にかエリュシオンから神気が無くなっていた。
不思議に思う彼らの前に、アイメルを通じて精霊神ドゥルガーが出現した。

精霊神からバルドゥスとオクトゥムが旅立ったと聞いて、彼らは驚きを隠せなかった。
光と闇は表裏一体。もとは1つの存在であり、2つにわかれて争っていたのは
人が神を必要としていたからだ、と語るドゥルガー。
人は1人では生きていけず、かといって自分たちだけで連帯することもできない。
光と闇という、わかいやすい器があってはじめて集団となり生きていくことができた。
その代償として互いに争うことになろうとも。

光と闇が去り、自分も果てのない眠りにつくことになるが、
神々の時代が終わったいまこそ、人は自分の足で大地に立たなければならない。
そう言った後、ドゥルガーはこう続けた。

「朱紅い雫を輝かせるとき、人はもはや、無力な存在ではないのだから」


人の情熱と想い。胸の奥で輝く、朱紅い雫。
ひとつひとつは小さくても、響き合えば、運命を揺り動かすほど強く、大きくなる。

495 英雄伝説IV~朱紅い雫~ sage 05/02/24 21:01:02ID:te7biask
第四部:朱紅い雫(6)

聖都ヴァルクドに戻ってきた一行はこれからの方針を話し合った後、解散した。
ルティスも弟ルカのところへ帰るのだと思っていたアヴィンだったが・・・

「私の旅は、まだ終わっていないから」
出立の前の日、ルティスはアヴィンにこれからの予定を話した。
ベリアス卿の死を信じず、いまだ抵抗を続けている使徒たちを説得するために
旅を続けるという。
闇を抱えながら光を掴めた自分にしかできないことだと彼女は言った。

アヴィンは自分の気持ちを言葉に出そうとするが、ルティスに遮られてしまった。
その先を聞いてしまったら、私はきっとあなたに頼ってしまうから。

「だったら・・・待つとするさ」
やるべきことを終えたら自分のところに来て欲しい。続きの言葉はそのときに言う。

ルティスはアヴィンの手を握りしめて、あなたの所に必ず帰ってくる、と答えた。

496 英雄伝説IV~朱紅い雫~ sage 05/02/24 21:02:27ID:te7biask
エピローグ

アヴィンはミッシェルと別れる際に、エリュシオンを彼に託した。
この剣はエル・フィルディンには必要ない。
別の大地で、必要としている人間に渡して欲しい、という言葉とともに。



それから季節は巡り、しばらくの時が流れた。
教会によって発表された神々の時代の終わりと、人の時代の始まり。
その衝撃から人々は徐々に立ち直りつつあった、そのころ・・・

妹や親友と共に暮らしていたアヴィン。
薪割りの仕事を終えて戻る途中、背中から懐かしい声が聞こえてくる。


「おかえり、ルティス」「ただいま・・・アヴィン・・・!」

497 英雄伝説IV~朱紅い雫~ sage 05/02/24 21:04:26ID:te7biask
ラストシーン

長年の夢だった船でのガガーブ踏破に挑もうとする船乗りトーマスと、
ベリアス卿が見た災厄の正体を確かめるべく、第三の大陸に渡ろうと考えていた
ミッシェルは、互いに協力してガガーブの調査を行っていた。

プラネトス号の甲板上で、ガガーブ越えに必要な新型エンジンについて話し合っていた
2人の話題は、いつの間にか、アヴィンから託された神剣に移っていた。

古代語で「神々の楽園」を意味する神剣エリュシオン。
神々が消えた時代には似つかわしくない、ということで、
新しい時代にふさわしい新たな名前をつけることに。

考えた末にミッシェルは言った。「エスペランサー」というのはどうか。
トーマスに意味を尋ねられた彼は、こう答えた。


「『希望を拓くもの』という意味です」    ~完~

498 英雄伝説IV~朱紅い雫~ sage 05/02/24 21:07:45ID:te7biask
だいぶ遅れてしまいましたがこれで完結です

ラストの場面はある意味5のプロローグといった感じです
エスペランサーのその後は、3を引き受けた方が詳しく書いています





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