ゼノギアス (Part2/2) ページ容量上限の都合で2分割されています。
ゼノギアス (Part1/2)からひきつづき、part5-536の人による詳細なまとめ(元となった書き込みはpart7-22~23・109~111・260~262・277~283、part9-481~484・489~492)


◆古の声がいざなう 海底遺跡へ

ユグドラシルがタムズに到着した頃には、既にウェルスは掃討され、救難活動が始まっていた。
艦長たちの無事を確認したバルトらは、カレルレン艦とアルカンシェルを追って発掘現場へ急行した。

その頃、ギアに乗ったグラーフに、ミァンからの通信が入っていた。
ミァン「彼が再び目覚めようとしているわ。彼の仲間は今はゼボイム。あそこに何があるか、貴方の方が良く
知っているでしょう? 彼は渡そうとはしない。けど、私たちにも必要なものなの。だから、お願い……」

発掘現場。小さな無人の孤島にある入り口から入り、エレベーターで下った先には、巨大な地下空洞があった。
空洞の地面を、高層ビル群とアスファルトが埋め尽くしている。その遺跡を遥か眼下に見下ろす渡り廊下に
来た時、エリィがトリップしたようにつぶやいた。
エリィ「空洞都市ゼボイム……。私達は、自らをこの広大な霊廟に葬った…」
我に返ったエリィと共に、バルトたちはソラリス兵を撃破しながら遺跡内部を進んだ。発達した文明を示す
ように、各所に超近代的な設備があった。どうやらこの施設は、その稼動時に放射能汚染を防ぐために閉鎖
されたようで、各所の隔壁が閉ざされていた。そのロックを解除しつつ進むと、最奥部に、パスワードで
ロックされたナノリアクター室に行き当たった。
その部屋を見たエリィの脳裏に、血まみれで通路に倒れふす自分とそれを見て泣いているフェイの姿が浮かんだ。
エリィ「あの子はあの時からずっと、一人ぼっちでここにいたのね……」
そうつぶやいた彼女は、ツカツカと制御室に向かい、扉のロックを解除した。
エリィ『新たなる魂の器よ。願わくば宿るべきあなたのその魂に安らぎあれ』
ロックが解除されるのと同時に、ナノリアクターが稼動し、リアクター内に緑の髪をした少女が生成された。
そこへ、ストーン司教が現れた。彼は、ナノマシンの群体である少女を「ヒトのクビキを外す存在」と呼び、
少女を連れ去ろうとした。
司教「これはヒトの救いとなるもの。これによって、選ばれた人間は救済されるのです」
ビリー「それは何か間違っています。信仰による救いの機会は等しく与えられるべきです」
司教「そもそも信仰とは選ばれた者だけが救われる事を期待するものなのです。貴方は全てのヒトを救えますか?
   カレルレン様がこのナノマシンを使えば、少なくとも選ばれたものは救われるのです」
ビリー「司教様、貴方はこの少女を使って何をしようとしているのですか? 僕は貴方が義しき者とは思えない。
    残念ですが、貴方のお心に沿うわけには参りません」
残念です、そう言って立ち去ろうとした司教を止めようとするエリィ。しかし、司教の護衛として付いていた
エレメンツのサイボーグ娘トロネと天然ボケウサギ娘のセラフィータに阻まれた。
ラムサスの頭越しの命令で乗り気でないと言いつつもサイコガンやら鉄板をもぶち破る頭突きやらで攻め立てる
二人を撃破し、エリィたちは司教の後を追った。

その頃、ユグドラシルではフェイが夢を見ていた。
ナノリアクター室にいる自分。彼は窓ごしに、エリィが銃殺されるのを何も出来ずに見ていた。
「その子を渡すわけには……いかないよね……」そう言って彼女は事切れた。
フェイが叫ぶと同時に周囲が暗転し、ニタリと笑った幼いフェイが彼の前に現れた。
「ククク……じゃあな……」
看護婦が病室に来た時、ベッドにフェイの姿は無かった。

◆深海にねむる少女 魂の在処

司教の後を追うエリィたちは、ゼボイムが見渡せるあの渡り廊下で追いついた。少女を取り返そうとした、
その時、突然真紅のギアが現れ、あの赤い長髪の男が降りてきた。彼も少女を取り返そうとしているようだった。
真紅のギアを見たバルトは、ユグドラの恨みもあって男に突っかかって行った。男はイドと名乗り、バルト
たちに襲い掛かった。イドは凄まじい程のエーテルを操り、リコですら全く歯が立たなかった。
あわやここで皆殺しかと思われたとき、ワイズマンがギアに乗って現れ、イドを掴んだ。その隙にエリィたちは
その場を離脱、司教を追ったが、既に時遅し。カレルレン艦は転移してしまった。

追撃のしようもなくユグドラシルに戻るエリィたち。その中で、シタンは司教の言った「クビキを外す」と
言う言葉が気に掛かっていた。カレルレンがナノマシンを使い、その昔リコやハマーのような亜人を作り出す
事となったような実験を再び始めたら……。彼はそう危惧していた。

ユグドラに戻った彼らは、ギアハンガーでフェイに会った。彼は気づいたらギアに乗っていたという。
いまだふらつく彼をエリィたちが心配していると、ユグドラにアルカンシェルが接近したとの報があった。
フェイを休ませて迎撃に出たビリーたちの前に、ウェルス化した司教の乗るアルカンシェルが迫る。
と、そこへグラーフのギアが現れ「我が拳(ry」と言って司教に力を与え、飛び去った。
新たな力を与えられたアルカンシェルは、強固なエーテル障壁を展開し、全くダメージを受けなかった。
攻めあぐむビリーを見て司教は嬉しそうに笑い、そして高笑いと共に話し始めた。
司教「良い事を教えてあげましょうビリー。私は4年前、ウェルスを使ってラケルを浄化して差し上げました。
   そしてもう一つ、貴方が今まで浄化してきたウェルスとは全てカレルレン様が術を施したただのヒト!
   貴方はヒトを屠っていたのです。フハハハハ! さあ、ザンゲなさい! ジェサイアの息子!!」
ジェシー「いいや、お前が悔いる事なんてひとつもないぜ、ビリー!」
と、そこへ、ジェシーが小型のギア、バントラインに乗って現れた。バントラインの開発者であるシタンは、
それが人間弾頭のキャノン砲である事を思い出し、ビリーを止めようとしたが通信がつながらなかった。
キャノン砲に変形しレンマーツォの肩に乗った小型ギアのコックピットで、ジェシーはビリーに語りかけた。
ジェシー「もう解ったろ、捏造された信仰なんてまやかしだ。本当の神や信仰は自分の中に見出すものなんだ。
     お前は倒したウェルスの顔を見た事があるか? ウェルス化するってのは凄まじく苦しいことなんだ。
     その苦しみから逃れるため人の血を求める。しかし、本当にその苦しみから解放される方法は消滅
     しかないんだ。お前に倒されたウェルスは、安らいだ顔をしていただろう? お前はウェルス化した
     人を救ってたんだ。お前の信仰心はまやかしじゃない。神はお前の中にいるんだよ!」
そう言うと、ジェシーは合図した。ビリーがトリガーを引き、ジェシーの乗った弾頭が放たれた。
その爆発によってアルカンシェルの障壁は消え、彼らはこれを撃破した。

落ち着きを取り戻したユグドラの甲板で、ビリーは妹プリメーラと共に、空を見上げた。
謝るシタンに手を振って、ビリーは空に向けて銃を三発撃った。
ビリー「親父を送るにはこれが一番です……」

   あ り が と う 親 父…
             そ し て さ よ う な ら

と、なる筈もなく、ジェシーは無事に帰ってきた。なんでも、バントラインは改良してあったそうな。
父親の帰還に喜んで抱きついたプリメーラは、か細い声で「パパ」と喋りましたとさ。メデタシメデタシ。


XENOGEARS 後半 シェバト編

目次(タワー~女王謁見 襲撃~出発 ゲート編 ソラリス編 Disk2編)

◆バベルタワー 天にとどく道

事態が一段落した後、フェイたちは、ジェシーが今まで何を目的に動いていたのかを聞く事になった。
ジェシーはソラリスにいた時、M<マラーク>計画について探りを入れていた。計画を進行させる為に地上人が
実験台に使われ、ウェルスになっていた事、計画の中心となるニコラと言う科学者が、真相を試作ギアに移し、
マリアと言う娘と共にソラリスを脱出した事を突き止め、その後地上に降りてその行方を追っていたのだと言う。
現在、その少女はシェバトにいるらしいのだが、連絡のつけ方すらわからないと、ジェシーは語った。
その時、『教会』本部で助けられ、ユグドラで治療を受けていたシェバト工作員が現れた。彼女も、虜囚と
なっていた為通信手段は無かったが、その昔シェバトがアクヴィの中心に立つバベルタワーの頂上にあった事
から、そのバベルタワーに行けば何か連絡手段があるかもしれないと言った。
ほかに手段もない彼らは、ダメでもともと、バベルタワーに向かう事にした。

アクヴィ群島の中心にそびえるバベルタワー。高さが5kmにも及ぶこの塔は、いつ建造されたのかすら定かに
なっていない。通常は『教会』が調査をするため入り口を封鎖しているのだが、先だっての本部壊滅により、
警備がなくなっていた。
フェイたちはギアに乗り、その塔へ入った。塔の内部は広大な吹き抜けになっており、フェイたちは壁から
壁へつながる足場を渡りながら上を目指した。しばらく上ると、壁に張り付くように止まっている輸送列車
のような物があった。その列車はギアでそのまま乗れるほど巨大で、現在もエネルギーが生きており、その
列車に乗ってフェイたちは一気に塔を駆け上った。

やがて外壁に出ると、列車前方の線路に向けて砲撃があった。ラムサス艦からの攻撃だった。
列車を離脱し、外壁に飛び出たバルコニーでラムサスを迎え撃ったフェイたちは、これを撃破した。
ラムサス艦がラムサスの撤退を援護すべく砲撃を開始した時、遥か上空からラムサス艦へ向けて光の矢が
降り注いだ。それがシェバトからの攻撃だと知り、ラムサス艦は回頭、急速離脱した。
思わぬ援護に戸惑いながらも、彼らは頂上へ向かう為、壁に巨大な鏡があるそのバルコニーを後にした。

再び塔内部に入った彼らは、コントロールルームのような場所を見つけた。通信設備は生きているようだが、
シェバトとの交信は出来なかった。その他に何かないかと調査をするも、結局外壁の鏡を操作する事ぐらい
しか解らず、彼らはその場を後にした。
さらに先に進んだ彼らは、石材で作られた家屋が並ぶ居住区のような場所に出た。しかし、奇妙な事に、
それらの家屋は塔の外壁を地面にして横に建てられていた。
その家屋を足場にさらに上っていくと、ついにバベルタワーの頂上に出た。しかし、そこには通信設備の様な
ものはなく、ただ空が広がっているだけだった。
辺りを見回していたフェイたちに突然声が掛かった。見ると、空からカラミティに似た大型ギアが降りてきた。
ギアの頭には少女が乗っており、少女はフェイたちに退去を命じて襲い掛かった。
フェイたちが少女のギアの攻撃力に翻弄されながら抗戦していると、空から別の声が聞こえ、少女は矛を収めた。
彼女はフェイたちを試していたのだ。
フェイたちは、彼女に案内されてシェバトに入った。

彼らがシェバトに入ったと言う情報は、すぐさまガゼルの法院の耳にも入った。
「ラムサスめ、シェバトとの接触を許すとは。あそこには"アニマの器"があるはずだ」
「我らの準備が整う前に同調されては厄介だ。我らの拠り代の型、合わなければ意味がない」
「シェバトごと葬るか? アニムスは他にもいる」
「シェバトのゲートはどうする?」
「なに、アハツェンの重力子砲で中和すればよい。再教育もすんだ。いけるよ」
「それは楽しみだ」

◆天空のシェバト 風の声を聴け

シェバトのドック。ギアから降りたフェイたちは、少女に案内される事になった。
少女はマリア・バルタザールと言った。アヴェの地下鍾乳洞のバルタザール爺さんは、彼女の祖父だという。
マリアに案内される一行は、途中彼女のギア、カラミティの後継機だと言うゼプツェンの格納庫に寄った。
ゼプツェンを見上げながら、マリアは父の事を語りだした。
マリア「このゼプツェンは、父さんが開発したものです。父は、私を盾に取られて、無理やり研究をさせられ
    ていたんです。でも、私には悲しい顔は決して見せなかった。ゼプツェンが守ってくれるよって。
    五年前のあの日、父さんは私を庇って一人取り残されて…。父さんの笑顔を取り戻さなきゃ……
。    ……父さんはいつかきっと助け出してみせる!」

その後、フェイたちは彼女の案内で王宮へ向かった。王宮の女王の間の前には、ワイズマンが待っていた。
彼に促され、フェイたちは女王ゼファーに謁見した。
女王は、一見すると少女のように見えるが、522歳になると言う。ある男に特殊な延命処置を施され、世界が
終わる日まで強制的に生きながらえさせられているのだと言う。これは償いなのです、女王はそういった。
さらに彼女は、ワイズマンにある男を監視させ、その傍ら、地上でシェバトの助けになってくれる者を探して
貰っていた事、500年前地上人の解放をかけてソラリスと戦い、抵抗を続けていた事を話し、フェイたちに
協力を頼んだ。
彼女は、フェイたちに考える時間を与え、宮殿で休ませる事にした。
女王「ことにエリィ。貴方は自分の家族や仲間と戦う事になるかも知れません。相当の覚悟が必要ですよ」
エリィ「……はい、承知してます」

仲間達とわかれ、王宮内を見て回っていたフェイは、シタンの妻ユイと娘ミドリに会った。もともと彼女は
シェバトの生まれであり、ラハン村壊滅の後、生き残った村人達は彼女の案内でシェバトに移ったのだという。
彼女と別れ、さらに王宮内を回っていたフェイは、バルコニーでたそがれるマリアを見つけた。
マリア「戦う理由は、自分で見つけ、自分のものにしなければいけない。お爺ちゃんはそう言ってました。
    このシェバトに来て三年。お爺ちゃんも女王様も、ひとりでソラリスに行ってはダメだって。でも、
    ゼプツェンなら、どんな相手にも負けないのに。こうしている間にも父さんは……」

◆侵入者! 格納庫で待つものは

翌朝。心を決めた彼らは、女王に謁見し、シェバトに協力すると伝えた。
女王が満足げに頷いた時、シェバトに衝撃があった。何者かがドックに侵入、ゲート・ジェネレーターの子機を
爆破したのだ。伝令の情報によると、侵入者はユグドラシル収容の為、ゲートを消した隙を突いて侵入、子機を
爆破し、ゼプツェンの格納庫に逃げたと言う。
フェイたちはマリアと共に格納庫へ向かった。格納庫で待っていたのは、ドミニアだった。
ゼプツェンの上に立つドミニアは、マリアを見ると、彼女の父ニコラが何の研究をしていたか語りだした。
ドミニア「ニコラは脳神経機械学の天才。うちの科学者たちはニコラに人と機械を一体化、つまり、生きた
    人の脳とギアとをダイレクトに接続させる生体兵器を開発させたのさ。ニコラはそれを完成させた。
    彼は地上人にとって地獄の門を開けちまったってわけさ。捕らえられた地上人はウェルスにされ、
    合格したものがギアの制御回路として生まれ変わる。その試作機がこのゼプツェンだ。そして、この
    ゼプツェンの神経回路には……」
彼女がそこまで言った時、どこからともなくジェシーが現れ、話を遮った。
彼に銃口を向けられたドミニアは、不敵な笑いを残して去った。
ドミニアの話に落ち込むマリア。だが、感傷に浸る間もなく、ソラリスの侵攻は続いていた。

◆シェバト襲撃! 父の遺産

ソラリスの軍勢は、シェバトのゲートの出力が落ちた隙を付き、ジェネレーターの四つの親機を狙っている。
女王の間に集まったフェイたちは、戦闘経験のないシェバトの兵に代わって迎撃に向かうことになった。
ソラリス軍の情報を整理していたシタンは、正体不明の大型ギアの存在に気が付いた。そのギアがスクリーンに
映し出されると、マリアが声を上げた。ゼプツェンの二号機にあたるアハツェンだった。設計図は父が燃やした

はず、と困惑する彼女は、そのアハツェンからニコラの声が流れた事でさらに動揺した。
ニコラ「ネズミどもが逃げ込んだらしいな。ちょうど良い。シェバトごと叩き潰してくれる!」
動揺するマリアを女王が一喝し、シタンは作戦を全員に伝えた。四つのジェネレーターを各個に防衛するのだ。
即座に迎撃に出たフェイたちは、獅子奮迅の活躍で侵攻部隊を退けた。
しかし、アハツェンから放たれた対ギア用サイコ・ジャマーを受け、フェイたちのギアは沈黙してしまう。

この事態に際し、女王の間に残っていたシタンは、マリアにゼプツェンで出撃するよう頼んだ。アハツェンの
兄弟機であるゼプツェンなら、ジャマーに対するシールが搭載されているはずだと考えたのだ。
しかし、父と戦う事はできないと、彼女はそれを拒んだ。
すると、なぜか付いてきていたチュチュが迎撃に出ると言う。制止も聞かず出て行くチュチュ。
後を追ってバルコニーに出たマリアは、チュチュが巨大化する現場を目撃してしまう。
巨大化したチュチュはアハツェン相手に善戦。しかし、アハツェンの主砲に打ちのめされてしまう。
それを呆然と見ているマリアの所にミドリが現れた。
ミドリ「呼んでる……、お父さん……」
マリア「えっ? ……! ゼプツェン!!」
彼女は走り出した。格納庫へ駆け込んだマリアは、ゼプツェンを発進させた。

アハツェンと対峙するマリア。その彼女にニコラが語りかける。
ニコラ「マリア、私と共に来い。愚かな者と滅びる事はない。これからはずっと一緒にいてあげるよ」
ニコラの呼びかけにひるむマリア。しかし、ゼプツェンがアハツェンを攻撃した。それを見たマリアは決断した。
マリア「アハツェン……あなたを倒します!」
超重量級のバトルを繰り広げるゼプツェンとアハツェン。やがて、再びニコラが語りかけた。
ニコラ「今から遠隔操作でゼプツェンのグラビトン砲の封印を外す。ニコラはもういない。ソラリスの洗脳を
   受ける前、アハツェンにはゼプツェンと共鳴して発動する良心回路を組み込んだ。このメッセージは
   そこからのものだ。戦闘中に私のデータは全てゼプツェンに転送した。体は失っても、心はマリア、
   お前と共にある。これからもずっとな……」
ゼプツェンのグラビトン砲が発動した。それを避けもせずに受けて、アハツェンは消滅した。

ソラリスの侵攻が落ち着いた頃、フェイたちは女王の間に集まっていた。
真の自由を得るため、ソラリスを倒すと心に決めた彼らに、女王はソラリスが三つのゲートによって隠されて
いる事を教え、そのゲートを取り除かなければソラリスにはいけないと言った。
ゲートの一つは『教会』本部の地下、ギアでも潜れない深さにあり、他の二つは場所が分からないと言う。
さらに女王は、アヴェ軍がニサンに侵攻したという情報を伝えた。目的はニサンに眠るファティマの至宝、
つまりロニ・ファティマの残したギア・バーラー。
それを聞いてバルトは憤慨し、すぐにニサンへ向かおうと提案、フェイたちもそれに同意した。

出発前、彼らはワイズマンの師であるガスパールに教えを受け、新たな力を身につけた。
ガスパールは、女王に会うと、私はあの愚行を繰り返さぬように監視に来たのです、そう語った。
その頃、ドックで異変が起こっていた。地下にあるギア・バーラーがエリィと同調して起動したのだ。
それを聞いた女王とガスパールは、やはり、と頷いた。それを受けて傍にいたワイズマンが言った。
ワイズマン「しかし、あの娘は乗ろうとはしない。無意識に気づいてるのです、わが身に内在する存在に」
女王「彼女も……ソフィアもそうだったのでしょうか……。……すみません」
ワイズマン「いえ、私は"彼"そのものではありませんから……」
こうしてフェイたちは、マリアを新たな戦力に加え、ニサンへ向かった。

ゲート編

◆砂漠の王 守れ、ニサンの微笑み

シェバトの技術によって飛行ユニットを取り付けられたユグドラシルは、飛行船ユグドラシルIII世となった。
そのユグドラシルで一路、ニサンに向かったフェイたちは、法王府の街中に駐留していたシャーカーンの兵を
一掃し、街を開放した。だが、街に住民の姿はなく、修道院にシスターが残っているのみだった。

そのシスターたちのまとめ役であるアグネスに、フェイたちはこれまでの事情を聞く事になった。
以前バルトたちが出発してから、町の住民の大半が、歴代のアヴェ国王と大教母が祭られている大霊廟に
避難したのだが、シャーカーンはその大霊廟にあるファティマの至宝を狙っているとのことだった。
アグネスは、彼が大霊廟の封印を、マルーの母である前大教母の亡骸を使って解こうとしていると伝えた。
バルトの話によると、ファティマの碧玉とはアヴェとニサンの王家の血筋の者の網膜の事であり、大霊廟の
入り口は網膜パターンを照合する事で開くという。シャーカーンは、遺体の網膜を使うつもりなのだ。
人質を取られてやむなく喋ってしまったと謝るアグネスをなだめ、バルトはすぐにも霊廟へ向かおうとした。
そこで、シグルドが提案をした。ニサン侵攻で手薄になったブレイダブリクを別部隊が攻め、奪還する事で、
シャーカーンの逃げ場を奪うと言うのだ。それをバルトは了承。作戦は即座に開始された。

バルトたちは修道院の北にあると言う霊廟へ、マルーを伴って向かった。
入り口から長い階段をくだり、大きな広間に出ると、そこには避難していた住民たちがいた。
バルトは彼らに、街は開放され王都も間もなく奪還されると伝え、街へと帰した。

住民らが立ち去った後、バルトたちは、広間の壁際に祭られた墓を調べたが、荒らされた形跡は無かった。
シャーカーンの手が伸びる前にと、彼らは広間中央のエレベーターからさらに地下に降りた。
エレベーターで降りた先は、まるで軍事要塞のように近代的だった。薄暗い廊下を進んでいくと、閉ざされた
扉の前にコンソールがある部屋に行き当たった。そのコンソールが、網膜パターンの読取装置だった。
片目が潰れているバルトに代わり、マルーが瞳を読み取らせた。開いた扉の先に進み、エレベーターでさらに
下層に下りた彼らは、また読取装置に行き当たった。
開錠された扉の先は広大な格納庫になっており、そこにギア・バーラー、E・アンドヴァリはあった。
ついに至宝を発見した彼らは、次にアンドヴァリを地上に出す方法を探した。すると、格納庫とは別の区画に、
ブリッヂらしき所を発見、早速コンソールを操作してみると、建物は大地を割って空へと浮かび上がった。
この要塞の望遠カメラは、はるか遠くバベルタワーまでスクリーンに鮮明に映し出した。気を良くしたバルトは、
アンドヴァリを出すため天井をあけようとしたが、何を間違ったかビーム砲を撃ってしまう。
フェイたちの冷たい視線をかわすように碧玉要塞とこの要塞を名付け、バルトは改めて天井をあけた。

すると、それを待っていたかのように、天井からシャーカーンが従者と共にギアで侵入してきた。
シャーカーンは、バルトたちがこの要塞の封印を解くのを待っていたのだ。
バルトは歯噛みし、侵入してきた兵を蹴散らしながら格納庫に向かった。彼らは格納庫前の通路でシャーカーンと
対峙したが、兵に囲まれ、身動きが出来なくなってしまう。その中で、兵の一瞬の隙を付いてマルーが包囲を
脱出、格納庫へと向かった。
シャーカーンがマルーを追って行った時、シグルドとシタンが現れた。王都奪還を他の者に任せ、加勢に来たのだ。
彼らの力を借りて兵を一蹴し、格納庫へ向かったバルトたちだったが、扉がロックされてしまい、片目のバルト
では扉を開ける事が出来ない。焦るバルトをいなし、シグルドが自分の片目を読み込ませ、ロックを解除した。
その事に疑問を持つ間もなく、格納庫に向かったバルトは、アンドヴァリに乗って応戦するマルーを見た。
銃弾が飛び交う中、アンドヴァリに乗り込んだ彼は、傷ついたマルーと操縦を交代、敵機を撃破した。
彼の戦いぶりに劣勢を感じたシャーカーンは、あっさりとその場を離脱した。

マルーの手当ての為にシャーカーン追撃を諦め、バルトは気を失った彼女をギアから下ろした。
彼女に応急処置を施しながら、シタンは、このギア・バーラーが、搭乗者の精神波と同調して動くのでは
ないかと推測した。マルーがこの機を動かせたのも、バルトの力になろうと言う、彼女の必死な思いがあった
こその事だったのだ。

◆第一のゲート マルーの祈り

アンドヴァリを要塞から出した後、彼らは法王府の議事堂に集まっていた。
王都の部隊は既に王城へ入ったとの事だった。王都からの情報では、ニサンの西の大洞窟にゲートがあり、
そこにシャーカーンが向かったと言う。バルトたちはすぐさまその洞窟へ急行した。

洞窟の奥には大きな扉があり、それを開いてさらに進むと、巨大な空洞の中に造られたゲート発生装置があった。
その前でシャーカーンが待っていた。バルトたちが臨戦態勢を取ったとき、どこからともなくグラーフが現れ、
「我が(ry」と言ってシャーカーンに力を与えて去っていった。
新たな力を得、さらにゲートのエネルギーをも吸収したシャーカーンの攻撃は激烈を極めたが、バルトには
アンドヴァリがあった。アヴェの危機を救うと言う伝説のギア・バーラーによって、シャーカーンは討たれた。

アヴェ国民の歓呼の中、バルトは王城のバルコニーに立った。彼は集まった国民にアヴェの奪還を宣言。
さらに、亡き先王の遺言状に従い、王制を廃しアヴェ全土を共和国家とすることを宣言した。

その夜。バルトは、メイソン卿から昔話を聞きだした。先王はバルトの母親と知り合う以前、別の女性と恋仲に
あったが、その女性は、ある日突然行方知れずになり、噂ではその後子供を生んだと言う。
その話を聞いたあと、バルトはシグルドに会いに行った。彼の母親は、自分が短命であるのを知り、死に別れる
ことを恐れて当時の恋人の下を去ったのだと言う。シグルドが生まれた事は、父親には知らされなかった。
バルト「親父の遺言には続きがあったんだ。お前が得た者は兄と分かち合いなさい。お前と兄の得たものは、
   全ての民と分かち合いなさい……ってさ。それだけ言っておきたかったんだ。じゃ、おやすみ」

◆第二のゲート バベルの輝きは

翌日、王城の会議室にフェイたちが集まっていた。議題は、第二のゲートについて。
『教会』の地下にあるゲートをどうやって破壊するかが話し合われていた。その結果、以下の作戦が立てられた。
碧玉要塞の強力なビーム砲。それを、同じ文明が造ったものと思われるバベルタワーの鏡で反射させ、『教会』の
地下に撃ち込む。一見荒唐無稽に思えるが、他に良案もなく、彼らはこの作戦を実行することになった。

その頃、ソラリスではラムサスとミァンがガゼルの法院の前に立たされていた。
ラムサスはガゼルから、フェイたちとシェバトの接触を許した事を厳しく叱責されていた。
「塵め。ラムズたちはゲートに向かうはずだ。今度こそ、その"本来の力"見せてもらいたいものだ」
ガゼルの法院が消えると、ラムサスは艦に戻ろうとした。しかし、先の戦闘の傷が癒えておらず、動ける状態
ではない。見かねて、エレメンツの四人が出撃を願い出た。敬愛するラムサスの名誉の為に。

バベルタワーにフェイ、エリィ、シタンの三人が来ていた。彼らはここで、碧玉要塞から放たれたビームを
反射させる鏡を操作するのだ。一方、他のメンバーは、碧玉要塞で準備を開始していた。
その彼らに、エレメンツが襲い掛かった。碧玉要塞には、専用ギア、スカイギーン、グランガオンに乗った
トロネとセラフィータ。バベルタワーにはブレードガッシュ、マリンバッシャーに乗ったドミニアとケルビナ。
フェイたちはエレメンツを迎撃しつつ、作戦を実行、第一射は外したものの、二射目は命中させた。
ゲートが破壊された事を知ったエレメンツは撤退。フェイたちは見事作戦を完遂した。

◆暗き海の底 第三のゲート

ガゼルの法院が、カレルレンと協議をしている。
     「ゲートの残りは一つ。このエテメンアンキの市民に動揺が広がっておる」
カレルレン「衆愚など天帝の言葉で何とでもなる。天帝の肉体も限界に来ているが、ダミーを使えばよい。
      それよりも、メモリーキューブから面白い情報が得られた。あのラムズたちの中に"母"がいる」
     「我らの"母"が他にもいると言うのか。なぜ今までそれに気づかなかった」
カレルレン「"母"の仮面<ペルソナ>は一定の年齢に達せねば現れん。そしてそれは"対存在"の可能性が高い」
     「"対存在"……。あのニサンの女のか……」
カレルレン「確認の為に、ゼボイムから回収した"エメラダ"を使う。"母"が言うには、あのナノマシン群体は、
      ゼボイム時代の"接触者"と"対存在"が創ったらしい」
     「"母"の記憶か……」
カレルレン「うむ。何らかの反応が得られるはずだ。何も無くても、あれの調査は終わってる。もう必要ない」

三つのゲートは、ソラリスを中心に正三角形の頂点にそれぞれ配置されている。その情報と、エリィたち
ソラリス組の情報を総合して考えた結果、三つ目のゲートはイグニスの南の深海にある事がわかった。
海中と言えば、タムズ。という事で、フェイたちはタムズの艦長の協力を得て、第三のゲートへ向かった。

ゲート発生機の前には、二機のギアが待っていた。エメラダ専用ギア、クレスケンスと、カレルレンの従者、
人機融合を果たしたケンレンだった。
フェイたちに襲い掛かるクレスケンス。ケンレンはその成り行きを見守っていた。
やがて、エメラダが苦しみ始めた。インプリンティングの発露。ケンレンはそう確認し、その場を去った。
ケンレン「その娘は進呈します。ご自由にお使い下さい。なにせあなたの"娘"ですから」

ユグドラシルに戻るとエメラダは、フェイを「キム」と呼んでまとわり付いた。父親だと思っているらしい。
エメラダ「キム! ホントにいたんだ! ずっと夢の中の人かと思ってた!聞いてキム! あたし
    ずっと昔の夢を見てたんだ。キムが今より大人で、あたしはなにか透明な筒の中にいて…
    キムはふわふわした白いお菓子にローソクを立てて……。なにやってるのか解らなかったけど、
    あたしがここから出るのを楽しみにしてるって解った。でも、いつの間にか誰もいなくなって、
    体もなくなって、長い間一人きりで……もういなくならないでね、フェイのキム!」

その頃、ユグドラシルにシェバトから、ソラリス発見の報が入っていた。ユグドラシルは一路シェバトに向かった。

ソラリス編

目次(潜入~研究所へ カレルレン研究所 ソラリス脱出~Disk1終了)

◆天上の楽園 ソラリス潜入!

ソラリスのゲートは、本土にある発生機によって完全には消えていなかった。しかしながら、その効力は
かなり弱まっており、ゼプツェンのグラビトン砲でわずかにこじ開ける事ができるとの事だった。
その一瞬にフェイ、シタン、エリィの先発隊が侵入、他のメンバーは別ルートから侵入する事になった。

一度解散し、みなが準備を整える中、シタンは妻ユイから、シタン自らが封印した剣を受け取った。
これからの戦いは、負ける事が許されない戦いなのだ。そう自分に律し、シタンは妻と別れた。

その後、フェイたちはゼプツェンに乗ってソラリスに向かった。なぜかハマーも一緒に。
フェイたち三人が最初に降り立ったのは、地上から上がってきた物資を集配する所のようだった。
とりあえず情報収集をする事になり、輸送用のコンテナを調べていたフェイだったが、突然そのコンテナが
動き出し、どこかへ運ばれてしまった。
着いた先は居住区のような所だった。第3級市民層。通称働き蜂と呼ばれる地上人たちが住んでいる区域だ。
ここに住んでいるものは、アレンジと呼ばれる洗脳を受け、昔の記憶もなくして奴隷のように働いていた。
後を追ってきたエリィと合流したフェイは、とりあえずこの区画を出る事にした。シタンとはまだはぐれた
ままだったが、彼はこの街に詳しい為いずれ合流できるだろうとの事だった。

第3級市民層と第2級市民層を繋ぐ唯一の通路、監視塔。二人はそのセキュリティをエリィのIDを使って抜けた。
そこでフェイは、ソラリス市民の生活を見ることになる。隅々まで清掃の行き届いた道。その道をホバーカー
が走っている。市民は高度に発達した科学技術により病に悩まされる事もなく、何不自由なく暮らしていた。
戦に乱れる地上と比べると、まさしく天上の楽園といった趣である。
ホログラフで彩られた煌びやかな街を歩いていた二人は、アラボト広場で軍の観艦式が行われると知った。
ゲートの消失による動揺を抑えるために、何らかの情報が提示される。そう考えた二人は広場に向かった。

空中戦艦が艦隊飛行を披露するなか、天帝が壇上に現れ、市民に語りかけた。
天帝「地上ゲートの消失は、前もって計画されていた事である。"福音の劫"に向け、我々は神の眠る地、
  "マハノン"への扉を開いたのだ。愚かなる獣ラムズに我らの力を知らしめようぞ」
天帝の演説を魅入られたように聞いていたエリィは、フェイに呼ばれて我に返った。
壇上では、天帝の次に、カレルレンが演説を始めた。
カレルレンを見て、フェイはデジャヴを覚えた。そして、彼の古い記憶が揺り起こされる。

500年前のニサンの大聖堂。そこでフェイ、いやラカンはカレルレンに会っていた。
絵の具を取りに帰るというラカンに、カレルレンは護衛を買って出たのだ。当時、既にソラリスとの戦争が
始まっていた。道中、ラカンはカレルレンの変貌を語っていた。冷酷非情な軍人であったカレルレンは、
ソフィアと出会う事で学問に目覚め、人としての心を取り戻したのだった。彼は、メルキオールと言う師の
下について、分子工学を研究していた。ある日、彼は研究が結実したとラカンに嬉しそうに語ったのだった。

この記憶は、明確にフェイが思い起こしたものではない。カレルレンの姿を目にした事により、無意識下で
呼び起こされ、それがフェイにはデジャヴのように感じられたのだった。
そのカレルレンの演説は続いていた。彼はエテメンアンキに侵入した地上人を捕らえたと言った。彼の傍に、
別ルートで潜入していたバルトたちがホログラフで表示された。
カレルレン「古のガゼルを蘇らせる為に、この者たちを明後日、ソイレントシステムにて処分する」

◆逃避行 なつかしの我が家

カレルレンの言葉を聴き、すぐにも助けに行こうとするフェイと、それを抑えようとするエリィはやがて
口論になり、警備兵に見咎められてしまう。即座に逃げ出した二人は、セキュリティに追われ、下水道に
逃げ込んだ。下水道を抜けた先は第1級市民層だった。出口から歩くと、程なくしてエリィの家に辿り着いた。

家に入ると、母のメディーナが驚いた顔で出迎えた。エリィは行方不明と知らされていたのだ。
一通り言葉を交わした後、エリィたちは彼女の自室へ移動し、一息ついた。シャワーを浴び、落ち着いた所で
フェイが彼女の母親の話題を振ると、エリィの顔が曇った。彼女には地上人の乳母がいた。自分の髪の色と
外見がソラリス人のそれと違う事から、エリィは地上人の乳母が実の母親ではないかと思っていたのだ。

重くなった空気を振り払うように、彼女はバルトたちを救い出す手立てを考えようと提案した。
彼女は、自分の父の自室にある端末からソイレントシステムの情報が得られるかも知れないと考えた。
父親エーリッヒの部屋に移動した二人は、ネットワーク端末にエリィの名前を逆から入力したパスワード、
「MYYAHELE」でログイン。検索の結果、第3級市民層のダストシュートからソイレントに入れる事を突き止めた。

その時、エーリッヒとメディーナが部屋に入ってきた。自室にいるフェイを見たエーリッヒは、部屋の電話で
軍警に出動を要請し、フェイに銃を向けた。
エリィ「やめて! フェイは捕らえられた仲間を助けたいだけなの!」
エーリッヒ「エリィ、反逆者がどうなるか知っているだろう? 私はお前の身を案じて……」
エリィ「嘘! お父様は自分の立場が危うくなるのが嫌なだけでしょう!? 私のユーゲント入りを反対したの
   だって、地上人との間に生まれた私を皆に見せたくなかっただけじゃない!」
エーリッヒ「お前はまだそんな事を……よく母さんの前でそんな……!」
フェイ「やめてくれ! 俺のせいで親子喧嘩なんて…。俺がここから去ればいいだけだ。エリィ、お母さんの
   前であんな事言うもんじゃないよ。あの表情は決して他人の物なんかじゃない、そうだろ?」
そう言うと、フェイは部屋から出ようとした。すると、エーリッヒは窓ガラスを銃で割った。
エーリッヒ「たとえ侵入者であっても、娘を守ってくれた事は確かだ。侵入者は逃げた。それで良いだろう」
その場を去ろうとするフェイにエリィは同行しようとしたが、エーリッヒに止められた。
フェイも彼女を抑え、「今度こそ軍を抜けろよ」そう言って立ち去った。

◆孤独な狼 闇の底をかける

エリィの家を出た後、フェイは第2級市民層の監視塔へ向かった。そこではシタンが待っていた。
彼はあの観艦式を映像で見て、フェイの行動を推測し先回りしていたのだ。
二人は、シタンのIDを使って監視塔を抜け、第3級市民層へ向かった。

その頃、エリィは家を抜け出そうとしていた。メディーナとエーリッヒはそんな娘に語りかけた。
メディーナ「貴方の思うようになさい。それと、貴方はまぎれもなく私の子よ」
エーリッヒ「私のIDカードを持って行け。…自分の選んだ道を歩く……それは、人の本来の姿なのだ……」
二人に別れを告げ、エリィが家を出ようとした時、帝室警備隊が彼らの家に現れた。
軍警よりも遥かに地位の高い警備隊が来た事で、エーリッヒはエリィがガゼルの被験体にされるのだと知った。
彼は3級市民への降格を覚悟で警備隊に反抗、エリィを逃がした。

◆疑惑 死のカレルレン研究所

フェイとシタンの二人は、ダストシュートにいた。扉が開けられず思案に暮れている二人に、エリィが合流した。
エリィは一通り事情を話すと、エーリッヒのIDカードを使って扉を開けた。

ダストシュートから出て少し行くと、レトルトパックや缶詰などが保管されている倉庫のような部屋に出た。
その先がソイレントシステムと呼ばれる施設になっているようだった。
それまで飲まず食わずだったフェイとエリィは、倉庫にあった缶詰の肉で簡単な食事を済ませ、先に進んだ。
そこは、先ほどの缶詰などを作っている工場のようだった。何かの動物がプレス機でミンチにされ、ベルト
コンベアに乗って流れていた。
エリィ「いやね……何の肉かしら」
フェイ「作ってる所は見たくないな……」
シタン「待ちなさい。貴方達は先ほどあの缶詰を食べました。それをよく認識して先に進んでください」
彼の言葉に不安を覚えながら、フェイとエリィは先へ進んだ。
そこで二人が見たものは、死んだウェルス、つまりは人が、コンベアで運ばれ、ミンチにされる光景だった。
ショックを受けたフェイの脳裏に幼い頃の記憶がフラッシュバックした。
どこかの研究室の寝台に寝かされた彼。ガラスの向こうでは彼の母が冷たい目で彼を見ていた。

口を押さえうずくまるエリィ、へたり込むフェイ。シタンが淡々と語った。
シタン「ソイレントシステム。ソラリスの生体実験場とその処理施設。そして刻印<リミッター>(註1)維持の
   為の食料、薬品の生産施設。アクヴィのウェルスもここで造られたのです。エリィ。ドミニアがなぜ
   貴方を憎むのか。その答えがここです。彼女の祖国エルルの人々は、その能力の特異性故、M計画…
   つまり、ウェルスの母体とされていた。エーリッヒ卿は以前この施設の総括官であり、ニコラと共に
   研究に携わっていました。もちろん、常に良心の呵責に悩まされていた。だから出来うる限り集めら
   れた地上人を3級市民として保護し、そして身を退いたのです」
ショックを受けるエリィとフェイを促し、シタンは先へ進んだ。

工場を抜けると、建物の雰囲気は研究所のそれへと変わった。奥へ進むにつれ、様々な施設を彼らは見る事に
なる。人をウェルスへと変える現場、ウェルスに変えられた人々が入れられている檻、巨大なウェルスの
サンプルの保管庫、メモリーキューブが集められた部屋。そしてある場所では、通常の3倍(!?)はあろうかと
言うギア・バーラーを発見した。
やがて彼らは、P4と表示された扉の前に来た。そのロックを難なく解除するシタン。
フェイは彼に、この施設について尋ねた。
シタン「元々ここは、原初の刻より生き続ける御方、天帝を頂点とするガゼルの法院の延命研究の施設だった。
   原初の刻。つまり一万年前、地上にヒトが生まれた。その最初のヒトが天帝と12人のガゼルなのです」
エリィ「そんな……一万年も生きる人間なんて……」
シタン「もちろん、それは天帝一人。彼は死ねない運命にあるのです。だがガゼルの運命は違った。500年前の
   地上との戦争で、彼らは肉体を失ってしまったのです。現在ソラリスを統治してるガゼルは、メモリー
   バンク上に存在するデータ。肉体も魂もない単なる数字の羅列に過ぎない。崩壊の日(註2)の後、肉体に
   固執する彼らは自らに相応しい肉体を創る為にソイレントシステムの一つをエテメンアンキに写した。
   その後、ここは民意統制用の薬品や生物兵器の研究にも使われるようになった。
   我々が何気なく使っていたメモリーキューブも、ガゼルの肉体復活の為に地上人のデータを収集する
   目的で設置されたものなのです。
フェイ「さっきの工場で分解されてたウェルスたちも……」
シタン「使用済みの出し殻の再利用といったところでしょう」
思いもよらない話に、フェイたちはショックを隠せなかった。

エリィ「ちょっと待って。おかしいわ。なぜ先生(シタン)がそんな事を知ってるんですか? そんな事、軍や
   政府の要人でも知らない事なのに。M計画の真相を当のマリアよりも詳しく知ってるなんて……。
   もっと早く気づくべきだった。先生……貴方は何者なんですか!?」
その時、突然辺りが暗闇に閉ざされた。

気がつくと、フェイは周囲をスクリーンに囲まれた部屋で、拘束具をつけられていた。
スクリーンに、研究室の寝台に寝かされたバルトたちが映された。正面のスクリーンには、ガゼルの法院を
背にしたシタンの姿が。
「この男はソラリス守護天使が一人、ヒュウガ・リクドウ。天帝の命を受け、お前を監視していた。そして
 お前に引き寄せられるであろう、我らが"アニムス"となりうる者を取捨選択、ここまで導いてきたのだ。
 "アニムス"は我らの復活に欠かせぬもの。この者たちは我らの肉体……拠り代。ただそれだけの存在……」
フェイ「本当なのか先生! こいつらの言ってることは!!」
シタン「この三年間、私は貴方の傍にいた。見極めねばならなかった、我々の仇となるかどうかを……」
フェイ「仇……?」
「お前は我らにとって危険な存在。もっとも、監視を命じたのは天帝だ。我々はお前の消去を目論んだが、
 悉く失敗した。それでも"アニムス"は手中に出来た。ヒュウガは良く働いてくれたよ」
フェイ「こいつらと組んで俺達を……。何が目的だ! お前達はこの世界を既に手中にしているはずだ!」
「我らが目的は神の復活。ヒトが地に満ちたとき、神とマハノンは目覚める」
フェイ「天空の楽園マハノン……。地に墜ちたと言う……?」
「我らの方舟……その中央ブロック"マハノン"。神の封印されし場所。そこは知恵の源。その知恵を使い、
 目覚めた神を復活させ、神と我らを大宇宙へと運ぶ"方舟"を建造するのだ」
「我らが大宇宙に君臨するための軍団、天使<マラーク>の創造。そのためのM計画……」
「我々ヒトは、はるか昔、他の天体からこの惑星へ来た異星の生命体なのだ。我らは新たな"アニムス"を得、
 神と一つとなりて再び星空へと還る。これは原初より運命られし事。我々の存在意義そのものなのだ」
「我らは神より大宇宙に君臨する権利を与えられた。福音の劫までに神の復活がなされぬ場合、我らは滅び
 なければならぬ。だが、"アニムス"を得、我らの復活は約束された。後は神の復活と……」
スクリーンにカレルレンの姿が映し出された。
カレルレン「この者の目覚めを待つだけ……」
彼の背後には、寝台に寝かされたエリィがいた。

カレルレンの私研究室。
目を覚ましたエリィに、カレルレンは語りかけた。
カレルレン「以前君が起した事件。原因はドライブによる力の暴走ではない。"君の中に眠るもう一人の君の
   一時的な目覚め"によって起こったことだ。……これが何か解るかね。ナノマシンの一つ、アセンブラ
   と言って、分子や原子を解体、再構築できる機械なのだ。ゼボイムで発見したあの娘を解析する事で、
   ここまで小さく精巧に作る事が出来た。従来のナノマシンでは、遺伝子の組み換えは行えても、二重
   螺旋の空隙部分…イントロンに隠された情報まではわからなかった。しかし、新しいナノマシンは、
   容易くそれを見つけてくれた。本来あるべきではない情報をね。まもなくその結果が出る」
彼のデスクのスクリーンに解析結果が表示された。
カレルレン「ふむ。確かに類似波形を描いている。そして……おお、ウロボロス環! やはりそうか、これで
   ミァン、そしてラカンの動き……全て説明が付く。エレハイム(エリィ)……君が"母"だったのだな」
エリィ「母……?」
カレルレン「これは君の遺伝子の、エクソン置換前の空隙……。本来は情報の存在し得ないイントロンを
   概念化したものだ。この環は、"ある特別な存在"にしか存在し得ない情報だ。ウロボロス…大母とも
   言われるこの概念の蛇が、自ら銜えたその尾を放せばどうなるか……君は興味がないか?」
エリィ「……」
カレルレン「エレハイム、君は美しい。"あの頃"と少しも変わっていない。"もう一人"のラカンと同様に」

註1・・・500年前の大戦後、地上人の反乱を恐れたガゼルが、カレルレンの分子工学技術を用い、遺伝子
    レベルで人々に組み込まれた精神と肉体の抑制装置。ソラリス人にも組み込まれている。
註2・・・500年前の大戦末期、突然現れたディアボロスと言う謎の第三勢力によって、地上、ソラリスの
    区別なく、世界の人口は98%が失われた。その出来事を後に人々がこう呼んだ。

◆脱出! 誰がために君は泣く

フェイの拘束されている部屋にシタンが入ってきた。シタンに怒りをぶつけるフェイ。だが、拘束具は彼の
神経の伝達を物理的に止めているため、彼は身動き一つ取れなかった。
シタンは、フェイを言葉で責め続けた。
シタン「青臭い理想論など、現実の前では何の力もありません。人はより大きな力に依存して生きている方が
   いいのです。自分は独立した個人だ、と言う幻想だけを持って生きられる。なんと楽な事じゃないですか。
   抵抗したところでむなしいだけです。辛いだけです。抵抗した結果が今のあなたの姿です。友人達を
   助ける事も出来ず、エリィさえも守れない。実に無力だ、貴方は。どうする事も出来ないんだ」
フェイ「やめろ……やめて……くれ……」
やがてフェイが静かになった。それを確認したシタンは、ため息混じりに言った。
シタン「これでゆっくり話が出来ますね……イド…」

カレルレンの私研究室。寝台に拘束されたエリィは、一人考え込んでいた。
そこへラムサスが入ってきた。彼は狂気に犯された目で、エリィにフェイの居場所を詰問した。
その答えが得られぬうちに、彼は目を爛々と光らせ「フェイめ…見ていろ…」そう言って部屋を出て行った。

フェイが拘束されていた部屋。拘束を解かれたフェイが目を覚ますと、シタンとバルトたちがいた。
シタンに殴りかかろうとするフェイを押しとどめ、バルトが事情を説明した。
バルトたちの体に刻まれたリミッター。それを外すため、シタンは現時点で唯一処置が可能なこの研究所に
彼らを連れてきたかったのだという。さらに、ソラリスが何をしているのか、何をしようとしているのかを、
フェイたちは知るべきと考えたのだ。それ以外にもう一つ目的があったのだが、それは後々という事になった。
ともかく、彼らは行動を開始した。フェイたちはエリィを救出に、シタンは最後のゲートの破壊に向かった。

フェイたちが首尾よくエリィを連れ出した頃、シタンはゲート・ジェネレーターでジェシーと合流した。
彼らが爆薬を仕掛け終わる頃、ラムサスが彼らの下に現れた。裏切り者、彼はそう言った。
シタン「裏切ったわけではない。私達は立つ場所が違うだけです。私はフェイ達といようと決めたのです」
ラムサス「貴様もか…! フェイフェイフェイ、どいつもこいつもフェイフェイ! 奴だけは俺のこの手で……。
   その奴の下に行こうとする貴様らは敵だ! "俺のもの"を奪う敵だっ! 敵だっ! 敵だっ!」
彼の異常な言動に呆れたジェシーは、シタンを促してその場を去った。爆薬がジェネレーターに火をつけた。
ラムサス「この裏切り者ぉぉぉぉぉっ!!」
火に巻かれながら、彼は絶叫した。

ソラリスを脱出するため、フェイたちは格納庫に向かっていた。ハマーが連れてきたメディーナも、一行に
同行している。エーリッヒは、一足先に脱出手段を確保するために格納庫に向かった。
合流ポイントになっている格納庫前の陸橋。そこで合流した彼らは、格納庫へ向かおうとした。
だが、エリィの悲鳴が彼らの足を止めた。ハマーがエリィを羽交い絞めにして銃を突きつけていた。
ハマー「エリィさんは戻ってもらうっす! カレルレンって人と約束したっすよ、エリィさんを連れて行けば
   "変えないで"くれるって……」
リコ「ハマー! てめえ!」
ハマー「俺っちだってホントはこんな事したくないっす。でも、俺っちは"普通"の人間なんっす! フェイの
   兄貴たちみたいに"特別"じゃないんす! こうするしかないんすよ!」
泣き顔でそうまくし立てるハマーに、メディーナが歩み寄った。
ハマー「動いちゃダメっす! 止まるっすよ!」
メディーナ「止まりません。わが子の危機ですもの。私はごく"普通"の母親ですから。"普通"だからこそ、
   守らなければならないものがあるんです。さ、エリィ、ゆっくりとこっちにいらっしゃい」
ハマー「ダメっす! 行っちゃあダメっす……行っちゃ……ダメっすよぉ……」
彼の銃が火を噴いた。メディーナがゆっくりと倒れていく。ハマーが悲鳴を上げて逃げ出した。
エリィは、物言わぬ母をかき抱いて泣いた。

その時、彼らの下にグラーフが現れた。その傍には、キスレブに現れた覆面の女がいた。
グラーフ「その女は置いていってもらうぞ」
そう言ってにじり寄ってくるグラーフ。しかし、そこへエーリッヒがギアに乗って現れた。
エリィたちの盾になろうとするエーリッヒ。だが、覆面の女のエーテルが、彼のギアに強大な圧力を掛けた。
エーリッヒ「エリィ、自分の信じた道を行け! お前はなんと言おうと、私とメディーナの間に生まれた子だ」
彼のギアが圧壊した。目の前で両親を殺された怒りで、エリィのエーテルが噴出する。
だが、その力も、覆面の女のエーテルに押し戻されてしまう。強大なエーテル波が、エリィたちを襲う。
その中で、フェイだけがエーテルを物ともせずにいた。しかし、彼はそれまでのフェイではなかった。
髪が見る間に赤く染まり、彼はあの赤い長髪の男、イドに変異した。

その頃、ユグドラシルでも異変が起こっていた。ヴェルトールが独りでに起動したのだ。突如動き出した
ヴェルトールは、その外装をパージ、変形させ、赤く染まって行った。それはまさしく、アヴェの砂漠で
ユグドラシルを沈めた、あの真紅のギアだった。真の姿を現したヴェルトールは、ユグドラシルの隔壁を
突き破って飛び出し、瞬く間にソラリスのイドの下へ到達した。

ソラリス首都、エテメンアンキが、たった一機のギアによって破壊され、墜とされる。
その光景を、シタンたちはユグドラシルから見ていた。爆発に巻き込まれまいと、全速離脱するユグドラに、
ヴェルトールが迫ってきた。バルトたちが混乱する中、エリィは一人、ヴィエルジェで迎撃に出た。
イド「フフ……お前か。殺されにきたのか?」
エリィ「それで貴方の気が済むならそうすればいい」
ヴェルトールの拳がヴィエルジェの腹部を貫いた。エリィはその手を握り締め、叫んだ。
エリィ「お願い! 元のフェイに戻って!」
イドとエリィ、二人のエーテルがぶつかり合い、凄まじい波動が放たれた。
イド「チッ……こいつ…… う…う……エ…リ…… クソッ……ヤツが目覚めた……」

天帝「アーネンエルベ……なせるというのか?」
シタン「もはや管理者は不要だと結論します」
天帝「接触者……仇とならぬと?」
シタン「陛下の仰るとおり、フェイがそうであるならば」
天帝「……ならば託そう……」

シェバト。女王の間に集まったエリィたちに、シタンが事情を説明していた。
シタン「"アーネンエルベ"……。この星に生まれた人々と共に新たな地平へと進む神の人。それは"接触者"の
   運命。天帝はフェイをそう呼んでいました。理由までは教えてもらえませんでしたが」
バルト「ヤツは一体何者なんだ?」
シタン「彼はフェイです。そしてイドでもある。エルルを破壊し、ユグドラシルを沈め、リコの部下を……。
   彼は多重人格なのです。私が彼の監視を始めて三年、イドの発露は見られませんでした。しかし、
   ラハンの事件をきっかけに、その後徐々に発露の回数と時間が多くなっていった。恐らく、グラーフの
   影響でしょう。ラハンに来る前、彼はグラーフと共に暗殺者として行動を共にしていました。
   私は、イドが正体を知るため、先だってフェイが拘束された時、イドと話をしました」

シタン「実に無力だ、貴方は。どうする事も出来ないんだ」
フェイが意識を失い、イドが現出する。イド「よく分かってるじゃないか。さすがはシタン……いや、先生と呼んでいたか」
シタン「会いたかったですよイド。ところで、フェイは今どうしています?」
イド「"お前達の知っているフェイ"は、俺が出ている間は寝ているよ。だから俺の事は何も知らない。ヤツは
  俺の支配下にあるからな。俺の記憶を見ることは出来ない。元々ヤツは存在しないフェイ。父親のカーン
  によって作り出された人格さ。三年前、カーンは、俺の人格を深層意識に封印した。その時にできたのが
  ヤツだ。臆病者の部屋の間借り人さ」
シタン「臆病者とは?」
イド「本来のフェイ。出来損ないさ。現実から逃げ出し、生きる事を拒絶した情けない奴。虫唾が走るぜ」
シタン「なぜ貴方の心は分かれてしまったんですか?」
イド「思い出話でもしろってのか? 勘違いするな。俺はお前に質問の機会など与えてない。俺がその気に
  なれば、こんな拘束なぞいつでもぶちやぶれるぞ」
シタン「しかし出来ないでしょう。貴方はフェイを完全には制御できていない。もしエネルギーを使えば
   精神的に疲労し、フェイにステージを奪われてしまう。違いますか?」
イド「……よく解ってるじゃないか。確かに俺は……むっ……」
シタン「どうしました?」
イド「貴様に無理やり出されたからヤツが目覚めた。本来なら俺は自分でステージに立てるんだ。だが、
  あの女、エリィのせいでそれが果たせない。あの女は……みんな同じだ……だから消してやる…」

シタン「現在のフェイの人格は、イドと言う基礎人格の上に3年前に創られた、下層の模擬人格。だから、
   彼にはそれ以前の記憶が無かったんです。さらに、現実の生活を3年しか経験していない彼は未発達で、
   そのため突発的な出来事に対処しきれなくなる」
ジェシー「フェイはいつかイドに飲み込まれちまうのか?」
シタン「どうでしょうか。イドが臆病者と呼ぶ、本来のフェイの人格がネックになると思います。イドは
   その人格を軽蔑しつつ、明らかに恐れていた。イドの表出はフェイではなく、臆病者によって抑制
   されているのではないかと。なぜ臆病者が表出しないのか原因はわかりませんが、これが目覚めれば、
   分離した人格が元に戻る可能性も出るのではと、私は確信したのです。どうすれば目覚めるのか、
   それは解りません。ですが、基本的にフェイの存在が虚ろになるような事がなければ、フェイはフェイで
   いられる訳です。平穏な場所で暮らせるのが一番ですが、状況がそれを許さないでしょうね……」

その後、シェバトではフェイの処遇を決める会議が開かれた。シェバトの議会は、フェイの力を恐れた。
彼の力が、500年前、ディアボロスを率いて世界を崩壊させたグラーフの力と酷似していたからだ。
決議は下された。カーボナイト凍結。人を生きたまま石にする、シェバトの極刑だった。

その夜、エリィは投獄されたフェイに会いに行った。
フェイ「俺はかつて世界を壊滅させたグラーフの再来だそうだ。グラーフも元はラカンと言う地上人だって」
エリィ「そんなのでまかせよ! ……逃げよう? グラーフや戦いがイドを呼ぶなら、静かな所へ……」
フェイ「ダメだ。戦場から離れたとしても、イドが出ない保証はない。それに……俺はエリィを殺そうと…」
エリィ「イドと戦った私が生きてるのは、多分、どこかでフェイの意識が働いて、すんでのところで外して
   くれたからだと思うの。……もし、あなたがイドに支配されて、世界中が敵になっても、私だけは、
   あなたの傍にいてあげる……。だって…だって…… "一人じゃ寂しいものね"」

二人が格納庫に向かうと、シタンたちが待っていた。彼らは、二人の脱出を助けに来たのだ。ヴィエルジェが
修理中の為、シェバトのギア・バーラーを拝借しようと言うフェイだったが、エリィは激しく拒んだ。結局、
二人はヴェルトールに相乗りする事になった。

朝陽を浴びて飛ぶヴェルトールに、ラムサスのギアが襲い掛かった。カレルレンにより与えられたギア・
バーラーだった。エリィの奪還。それがラムサスの目的のはずだった。しかし、バーラーの凄まじい力に
陶酔した彼は、エリィごとヴェルトールを撃墜してしまった。

ヴェルトールの墜ちた森。重傷を負ったエリィを抱えて歩くフェイを、グラーフが静かに見ていた。

Disk2編

目次(トーラ宅~アニマの器回収 天帝暗殺~メルカバー カーボナイト凍結~エンディング)

◆撃墜!! 大樹海に消えて

フェイは夢を見ていた。何人もの"接触者"の生涯。エリィも夢を見ていた。何人もの"エリィ"の生涯。
二人はその夢を見たことで、それぞれが何をすべきかを掴みかけた。

森の中にひっそりと佇む住居。そこは、バルタザール、ガスパールと並び、シェバト三賢者と称される老人、
トーラ・メルキオールの研究所だった。その研究所のナノリアクター内でフェイとエリィは目覚めた。
三週間前、血まみれで倒れていたフェイとエリィを発見したトーラは二人を連れ帰り、ナノマシンで治療した
のだと言う。旧知の間柄であるシタンから二人の事を聞いていた彼は、フェイたちが眠っていた間に、ナノ技術を
用いてイドの発現を抑制する腕輪を開発。バル爺の協力も得て、ヴェルトールにも同様の装置を取り付け、イドの
力だけを任意に解放できる「システム・イド」を完成させた。

目覚めた二人はトーラから、人々に刻まれたリミッターを解除する為のナノマシンを渡された。それを広域に散布
するため、彼らは古代の砲台に向かう事にした。
彼らが出発しようとすると、シェバトの使者が現れてフェイに助力を求めた。アヴェ・キスレブの和平調印式が
行われているシェバトに、ソラリスの機動要塞が接近していたのだ。
掌を返したシェバトの態度にトーラは怒りを露にしたが、フェイは人々を守るためにシェバトへ行く事に。
フェイたちが外へ出ると、シタンとエメラダがおり、事情を聞いた二人は、エリィと共に砲台に向かう事になった。

フェイの出発を見送った後、シタンはエリィに尋ねた。
シタン「いいんですか? フェイの為に戦場から離れ、静かに暮らそうとしてたのに」
エリィ「私、現実から逃げてるって気づいたんです。最初は、フェイなら私の気持ちほ理解してくれるかもって
   思ってた。本当に好きだったかどうか……。両親を亡くして自棄になってたのかもしれない……。
   だから、一度離れて自分の気持ちを確かめたいんです……」

フェイたちが出発した後、トーラの下にグラーフが現れた。
トーラ「やはり……あの二人をここまで運んだのはお前か。すぐに気づいたよ。あの頃のお前と彼女に
    瓜二つなのだからな……ラカン」

ガゼルの法院は、フェイが生きていることを知り、動揺していた。
カレルレン「ヤツには再びラムサスを差し向ける。依存はあるまい」
   「娘はどうする。鍵が鳴動を始めておる。神の復活が近づきつつあるのだ」
カレルレン「娘の回収はいつでもできる。今でなくともな……」

◆反撃開始!! 刻印を打ち破れ

シェバトに向かうフェイの前に、ギア・バーラーに乗ったラムサスが立ちふさがった。フェイはシステム・イドを
発動、これを撃破した。「お前さえいなければ」そういい残し、ラムサスは樹海に消えていった。

エリィたちは、ソラリス守護天使時代に搭乗していたギア・パーラー、E・フェンリルを駆るシタンの活躍もあり、
無地に砲台に到達した。射出され、大気中に散布されたナノマシンは増殖しながら世界中に広まっていった。

シェバトに着いたフェイはバルトたちと合流。機動要塞撃破の為に最終兵器を手にするため、キスレブへ。
キスレブ総統府の真の姿。それは、500年前にロニ・ファティマが建造した秘戦艦だった。過去の記録から
その事を突き止めた彼らは、数百年ぶりに総統府を起動。ユグドラシルを制御中枢として急襲形態へと変形し、
通常のギアの数十倍はあろうかと言う巨大ギアとなった総統府は、機動要塞をあっさりと撃破したのだった。

和平は成され、地上に平和が訪れた。沸き返る人々を祝福するかのように、エリィたちによって散布された
ナノマシンが、光りながら彼らの上に降り注いだ。
異変は突然始まった。人々がウェルス化し始めたのだ。それは刻印<リミッター>が外され、本来の能力が開花
したヒトの姿だった。「"普通"の人間がどうなるか」フェイは、ソラリスでのハマーの言葉を思い返していた。

「神の復活が近づいた為の自然発芽か。神の下僕となる者……鍵を使わずともこれほどいたとは」
「発芽しない者は神の肉体に定められし者か、あるいは神に仇なす者か……」
「要所のソイレントを再起動しよう。中途半端な変異。このままでは使い物にならん」

ミァン「あなたによって抑えられていた『鎖』が外れたようね」
カレルレン「問題ない。先の帝都壊滅の際、大気に拡散するようにナノマシンウィルスを仕掛けておいた。
   現在のヒトの異形化はその初期段階だ。ウィルスは、発芽した原体をコントロールできるものへと
   変化させている。鍵に頼らずに目覚める者は、神本来の肉体を乗っ取る為に必要なのだ」
ミァン「神との同化の際に放たれるトロイの木馬……でも、あの子たちの思惑とは違うわね」
カレルレン「当然だ。『神の方舟』は私のものだ。」
ミァン「私にとってはどちらでもいい事……。確実な方につくだけだから」

世界の至る所に存在するソイレントシステム。それは、ウェルス化した人々を分解、再構築し、生物兵器を
作る装置だった。それが"M計画"の真相。ウェルス化した人々はそこに集まっていた。耐え難い苦しみを
和らげ、短い命を長らえるため健常者の血肉を求める彼らは、ソイレントが苦痛から開放してくれると信じて。
いたのだ。フェイたちは、各地のソイレントを破壊する為、そこへ赴いた。
そこに集っていた人々に自らの血を与え、エリィは語った。
エリィ「癒しのために私の血肉が必要ならばいくらでもあげます。だから、人としての尊厳だけは捨てないで!」
やがて、ソイレントの人々はニサンに収容され、トーラのナノマシンによる治療を受ける事となった。
各地から集まり心の救いを得た人々は、献身的に介護するエリィを『聖母ソフィア』の再来と呼ぶようになった。

その状況を知ったガゼルは、人々の決起を恐れ、『ゲーティアの小鍵』を発動させようとした。しかし、
天帝カインはガゼルが抗えぬ力でそれを押し止めた。もはやヒトに主はいらぬ。カインはそう言った。

◆星よ知る、我らが魂の器 前編/後編

地上の混乱が沈静化した頃、フェイたちは、ガゼルに対抗しえる力、ギア・バーラーを手に入れる為、
その素体となるアニマの器を探していた。
ゼファー達からの情報を元に探索を続けた彼らは、太古文明の遺跡でついにそれを発見した。
そのアニマの器は、ビリーと同調。レンマーツォと同化してE・レンマーツォが誕生した。
目的を達し、帰還しようとした彼らを、エレメンツの四人が待ち受けていた。彼女らは、自らの専用ギアを
超獣合体させた巨大ギア、Gエレメンツで襲い掛かったが、フェイたちはこれを撃破した。
もう戦う理由はない。去っていくエレメンツに、エリィはそう、声をかけた。

ガゼルの法院は、カイン暗殺の策を練っていた。それには、カインと同じ力を持つラムサスが必要だった。
ミァンは、もはや前後不覚の狂人となったラムサスをさらに追い込むべく、彼をニサンへ向かわせた。
ラムサスはドミニアたちが止めるのも聞かず、ギア・パーラーで出撃した。

その頃、最後の『アニマの器』を探すフェイたちと離れ、エリィはニサンへと戻っていた。
襲撃。フェイを求めるラムサスの前に、エリィは立った。
エリィ「何が貴方をそこまでさせるの……?」
ラムサス「俺は天帝の能力を持つ者、即ち完全なヒトとして創られた。しかし、フェイが生まれた事で俺は
   廃棄され、塵溜めの中で生を受けた。俺は必死に今の地位まで這い上がった! だが、ヤツはまた
   俺の前に立ちふさがった! 俺から全てを奪ったヤツが! ヤツがいる限り俺は……。貴様も俺から
   奪うのか!? 俺がやっと手にしたぬくもりを奪うのか!」
エリィ「ラムサス、誰も貴方を攻撃しないわ。心を開いて。愛におびえないで……」
彼女の言葉に困惑したラムサスは、おびえたように飛び去った。

何も出来ずに帰還したラムサスは、ガゼルから見放された。そんな彼にカレルレンが語り掛けた。
カレルレン「お前は天帝のコピー。オリジナルが存在する故疎まれる。ならばオリジナルを消去すれば……」

『アニマの器』を探すフェイたちは、原初民の遺跡で最後の器を見つけた。リコと同調した器はシューティアと
同化。E・シューティアが誕生した。その帰り道で彼らを待ち受けていたのは、ギアと人機融合したハマー
だった。激しい攻撃を仕掛けるハマーにフェイたちはやむを得ず応戦。負けを悟ったハマーは、キスレブに
戻るようにとリコに最後の言葉を残し、自爆した。彼はリコが総統の息子だと知っていたのだ。
このことで、エリィは深く傷ついた。フェイは、これ以上彼女を戦場には立たせないと決意した。

◆天帝暗殺 マハノン浮上!!

カインに、カレルレンとラムサスが迫った。ガゼルの差し金か、と言う天帝の言葉にカレルレンは首を振った。
カレルレン「まさか。彼らの妄執に興味はない。私は私のやり方で人を導く。お前は邪魔なのだ」
ラムサスの剣が振られ、天帝カインは崩れた。

カインの死を受けて、ガゼルの法院はついに『ゲーティアの小鍵』を発動させた。
それにより、今まで変異していなかった者までもが変異を始め、彼らの叫び声に呼ばれるように、海底に
没していた神の眠る楽園マハノンが浮上した。
ガゼルは、変異したソラリス人を人機融合兵器に作り変えた大軍を、マハノンに差し向けた。
ガゼルがマハノンに眠る神の知恵を手に入れるのを阻止しようと、フェイたちは総力を結集した。

◆追放されし者 神の楽園に帰る

出撃前夜、フェイはエリィに、ユグドラに残るように強い口調で言った。
彼の気持ちを分かっていながら、その辛らつな言葉に、エリィは涙して走り去った。
自分の物言いを反省して追ってきたフェイの想いを受け取ったエリィは、彼の戻るべき場所として帰りを
待つ事を決意。二人はお互いに心を通わせ、愛を確かめ合った。

神の眠る楽園マハノン。それは、一万年前に墜落した航宙船エルドリッジの中央ブロックだった。
襲い掛かるソラリスの軍勢を蹴散らしながら奥へと進んだフェイたちは、腐りかけた巨大生命体を発見
、これを撃破した。その巨大生命体こそ、生体兵器デウスのなれの果てだった。
デウスを破壊し、さらに奥へ向かった彼らは、エルドリッジの巨大な中枢コンピュータがある広間に出た。
『ラジエルの樹』と呼ばれるそのコンピュータこそが、ガゼルが求める神の知恵の源だった。
彼らはそこから、先史時代について知った。星間戦争。その終結の為に作られた星間戦略統合兵器システム
『デウス』と、その端末兵器群。ガゼルが全宇宙の支配者として君臨するための情報がそこにはあった。
それらの情報を収集する彼らの前に、カレルレンとグラーフが現れた。フェイたちは、グラーフの操る
オリジナル・ヴェルトールに一蹴され、なす術もなく虜囚となった。

◆失われし約束の地

フェイたちを助けたくば『ゴルゴダの地』まで来い。カレルレンからのメッセージを受け取ったエリィは、
ランクたちの制止を振り切り、シェバトに残されていたギア・バーラーに乗って単身出撃した。
フェイと仲間達を助けたい。その想いだけでカレルレンの前に立った彼女は、カレルレンの部下達を一旦は
退けるも、力尽きて捕らえられた。

エリィを手中にしたカレルレンは、行動を開始した。ガゼルのメモリーを消去し始めたのだ。ガゼルに
よってしか発動できなかった『ゲーティアの小鍵』。その発動により、神の肉体となる事を定められた人々の
覚醒がなった今、彼にとってガゼルの存在価値はなく、また彼らの掲げる宇宙制覇にも興味はなかった。
彼が目指すのは、神との合一。そして、回帰だった。

◆君が呼ぶ 哀しみのメルカバー

エリィが連れ去られた後、助け出されたフェイたちは、八方手を尽くしてエリィの行方を探し回った。その結果、
エリィは、カレルレンがラジエルから得たデータを元に建造中の空中要塞メルカバーにいる事が分かった。
ラムサスの身をを案じるエレメンツも仲間に加え、メルカバーに潜入したフェイたちの前に、そのラムサスが
立ちはだかった。エレメンツの言葉も耳に入らぬラムサスは、フェイに対する憎しみの元を語り始めた。

彼は、天帝のコピーであり、人工の接触者として培養槽で生を受け、育った。しかし、研究に加わったフェイの
母カレンが、フェイを転生した接触者と知ったことにより、ラムサスは不要とされ、廃棄されたのだった。
そのため、彼は「フェイ」に対しての拭い難い憎しみと、失われた愛情への渇望を抱いた。
「フェイ」を滅するか自らの消滅か。彼はその存在の全てを懸けてフェイに挑み、そして敗北した。

ラムサスを退けたフェイらは、最奥部の大広間に出た。そこには巨大なデウスの繭があり、カレルレンと
ミァン、そしてデウスに供されるかのように十字架に架けられたエリィがいた。
突如、フェイたちのギア・バーラーに異変が起こった。アニマの器が分離し、デウスに吸収されたのだ。
アニムスと結合して覚醒し、デウスの部品となること。これこそ、アニマの器の真の意味だった。
動かなくなったギアから降りたフェイたちを押しのけ、呆然としたラムサスがミァンに詰め寄った。
自分のしてきた事の意味を問う彼に、ミァンは真実を告げた。ラムサスは天帝を殺すためだけに作られた。
しかし、人工生命である彼は、精神の制御が難しかった。そこで、彼の心に強烈な感情を植え付け、力を
一点に集中させようとした。それが、「フェイ」への憎しみだった。
全てが謀略だと知ったラムサスは逆上し、カレルレンとミァンを斬った。

茫然自失とするラムサスを押しのけ、フェイたちはエリィを十字架からおろした。だが、彼女は最早、彼らの
知っているエリィではなかった。彼女はミァンとなっていたのだ。
ミァンの因子。それは、全ての女性の中に存在し、原初の刻より代々覚醒するもの。前任のミァンが死ねば、
どこかの誰かが覚醒し、記憶と能力を受け継いでゆく。ラムサスの副官であったミァンが死んだことにより、
エリィの中のミァン因子が覚醒したのだ。それは、最後のミァンの覚醒。原初の刻に分かたれた、ミァンと
エレハイムの最終的な合一であった。

覚醒したエリィは、フェイたちに語り始めた。デウスの本来の目的、ギアやエーテルのエネルギー源である
事象変移機関ゾハルについて、エルドリッジの墜落、人類がいかにしてこの惑星で生まれたか、そして、
ミァンとエレハイムがなぜ存在するのか……。
話し終わると彼女は、呆然とするフェイたちに背を向け、ナノマシンによって蘇ったカレルレンと共に、
デウスの繭へと向かった。
メルカバーが起動する中、エリィを追えたのはフェイだけだった。シタンたちは、やむなく彼を残し脱出した。

◆はるかに遠き 夢の形見は…

メルカバー起動後、世界は蹂躙された。いずれ脅威となる文明の根絶。それがデウスの目的だった。
フェイはあの後、メルカバーのあった場所で仮死状態となっている所を発見された。彼はそのまま、彼の
中に眠る力を恐れるシェバトによってカーボナイト凍結に処せられた。
なぜそれほどフェイの力を恐れるのかと問うシタンに、女王は500年前の出来事を語り始めた。

500年前、地上の制圧をもくろむソラリスと、それに対抗するシェバトとの戦争があった。当時シェバトは、
人々の信望を集めていたソフィア(当時のエリィ)を疎ましく思っており、一方のガゼルも、思い通りに
ならないミァンを疎ましく思っていた。そこで二つの国は、互いにソフィアとミァンを差し出し、地上を
分割統治する取引をした。権力欲に溺れた末の決定だった。
その結果ソフィアと彼女を警護していたラカン、カレルレン、ゼファー、ロニ・ファティマらはソラリスの
軍勢に囲まれてしまった。ソフィアは仲間の退路を開くためにたった一人特攻をかけ、壮絶な最期を遂げた。

彼女を心から愛していたラカンとカレルレンの絶望は深かった。神など存在しないのだという事を悟った
カレルレンは、自ら神を創り出すと言って姿を消し、後にソラリスへ亡命した。
一方のラカンは、自らの無力さに絶望し、シェバトに捕えられていたミァンにそそのかされ、絶対的な力を
求めて、力の根源である『ゾハル』を探す旅に出た。そしてゾハルの力を得た彼は、肉体を失って残留思念と
なりながらも、デウスの端末である兵器群を率い、世界を破滅させた。
その残留思念こそが、グラーフだった。グラーフはその後、人の精神に宿る術を身につけ、接触者の運命を
持った自らの肉体の転生を待った。その肉体(つまりフェイ)と合一を果たすために。

シタンが女王から話を聞いている頃、牢獄に異変が起こっていた。凍結されたフェイが、イドの力により
呪縛を打ち破って脱走したのだ。
彼の向かったのは、太古の昔ゾハルが落着した場所。シタンたちはフェイを追ってそこへ向かった。

◆堕ちた星 めざめよと呼ぶ声あり

ゾハルの眠る地下空洞で彼らが見たのは、ゾハルの影響を受けて異形となった、イド化したヴェルトールだった。
襲い掛かってくるヴェルトールに、突如現れたワイズマンのギアが応戦した。
イドに指摘され、ワイズマンは自分がフェイの父親カーンである事を告白した。彼は、分裂してしまった
フェイの人格を一つに戻すため、影になり日向になりフェイを導いて来たのだと語った。
イドは呪いの言葉を吐いた。こうなったのは全てお前のせいだ、と。そして彼は語り始めた。

最初は幸せな家庭だった。しかし、ある日突然、母カレンがミァンとして覚醒した。それは単なる偶然で
あったかもしれない。フェイにとっては不幸な偶然。息子が接触者だと気づいたミァンは、少年を研究施設に
連れ込み、様々な実験をした。そのことを父に訴えても、仕事に忙しい父は取り合わなかった。
やがてフェイは、実験の苦痛に耐えるため、新たな人格イドを生み出して苦痛を肩代わりさせ、フェイ自身は
幸せだった頃の思い出に閉じこもった。
そして運命の日。家族の下にグラーフが現れた。それは、ミァンが呼んだものだった。彼女は、完全なる神の
復活の為、過去に分かたれた接触者の肉体と精神との合一を望んでいたのだ。
グラーフに触発されたフェイの力は暴走した。その力の奔流は制御できぬままカレンを貫いた。
フェイはその事をもイドに押し付け、イドは母殺しの十字架まで背負わなければならなくなったのだ。

しかし、それは真実ではなかった。イドが『臆病者』と呼ぶ第一の人格が、母の最後の愛情を独り占めして
いたがための、イドの思い違いだった。フェイに促され、『臆病者』はフェイと同化して全ての記憶を渡した。
最後の瞬間、力の奔流は母ではなく、フェイ自身に向かっていた。呆然とするフェイの前に、ミァンの呪縛から
開放されたカレンが飛び出し、身を挺してフェイを守った。

真実を知ったイドは、全てを受け入れ、記憶をフェイに託して同化した。それは、全ての接触者の記憶。
原初の時代、現人神と祀られた天帝に反旗を翻し、逃亡するエリィと最初の接触者アベル。アベルを身を挺して
守り、エリィは命を落とした。
ゼボイム時代。エメラダの研究をする接触者キムとその恋人のエリィ。エメラダを軍事利用しようととする
軍隊の侵入を身を挺して阻止し、エリィは命を落とした。
500年前のラカンとエリィ。仲間を助けるために特攻し、エリィは命を落とした。
それぞれの時代、それぞれのエリィが残した最期の言葉。それは『生きて……』。

気がつくと、フェイは暗い空間にいた。彼の前には光の姿を取った高次元存在が。
『存在』は、ついに統合を果たしたフェイに、全てを語り始めた。
『存在』の降臨、アベルによる定義づけとエリィの誕生、ゾハルからの開放を望んでいる事、ゾハルを破壊
できるのは接触者であるフェイにしか出来ない事、ゾハルが破壊されればエリィも開放される事など。
エリィを助け出す。その一念で、フェイはゾハルの破壊を決意する。
その決意を見届けた『存在』は、無限の力を持つギア、ゼノギアスを彼に託し、消えていった。

現実の世界に戻ったフェイに、カーンの肉体に宿っていたグラーフが襲い掛かった。
たとえデウスを滅ぼしたとしても、人が生き続ける限りミァンが生まれ、人は神の呪縛から逃れられない。
ならば、人も神も全てを滅ぼす以外に真の開放はない。グラーフはそう結論した。故に彼は、フェイと合一して
『存在』との完全なる接触を果たす為に、フェイの成長と人格の統一をカーンの中で待っていたのだ。
しかしフェイは、エリィは必ず呪縛から解き放たれると信じ、グラーフの考えを否定した。

互いの信念と未来を懸け、二人は決戦に臨んだ。
戦いの最中、突如二人の機体がゾハルに引き寄せられた。
ゾハルが最後の欠片である接触者との合一を求めたのだ。グラーフは自らゾハルへと飛び込んだ。
代を重ねた事で人がミァンの呪縛から開放されつつある事に、彼は気づいていた。彼はフェイに賭けたのだ。
擬似的な接触者としてゾハルと融合し、フェイがデウスを破壊するまでの時間を稼ごうとした彼は、「エリィを
救ってやってくれ」と言い残し、消えていった。

◆全ての始まりにして終わりなる者

シェバトに集まったフェイたちは、エリィ救出の為のメルカバー攻略の作戦を立て、実行した。
戦艦エクスカリバー。シェバトに残されていたこの先史文明の戦艦を特攻させ、彼らはメルカバーを撃墜した。
ところが、墜落したメルカバーから巨大な物体が姿を現した。それは、メルカバーを覆い尽くすほど巨大に
成長したデウスの最終形態だった。ナノマシンの力によって惑星と同化し始めたデウスから強力な衝撃波が
放たれ、一つの大陸が灰燼と帰した。デウスの端末兵器による破壊、殺戮、デウス自身の攻撃。人類は既に
絶滅寸前だった。

フェイたちに残された時間は少なかった。彼らは僅かに生き残った人々の、最後の砦となっている、墜落した
シェバトに戻り、態勢を立て直す事にした。
メルカバーから前後不覚のまま救い出された後、シタンの励ましと、エレメンツの娘達の思慕の念に胸打たれ、
ようやく自分を取り戻したラムサスも戦線に加わり、彼らは最後の戦場へと向かった。

巨大な構造体となったデウスに侵入したフェイたちは、襲い掛かる端末兵器を蹴散らしながら、迷宮と化した
内部を抜け、最奥部へと到達した。そこには、エネルギーの繭に包まれたデウス本体がいた。
最後の戦い。エリィが最後に乗っていたギア・パーラーが異形化したデウスは、無限にエネルギーを生み出す
ゾハルの力を使い、激しく攻め立てた。それに対抗しうるのは、同じゾハルの力を得たゼノギアスだけだった。
フェイは仲間達のサポート受け、ついにデウスを、そしてゾハルを打ち砕いた。

ゾハルの破壊。それによって、ゼノギアス以外のギアは機能を停止した。
そんな中、デウスの中心に巨大なエネルギーが観測された。それは、開放された波動存在が高次元へと
シフトする為に起こったものだった。そのエネルギーは凄まじく、反動で惑星が消滅しかねなかった。
フェイたちがなす術もなく見守るなか、デウスが上昇を始めた。フェイは気づいた。エリィがデウスを
安全圏まで移動させようとしているのだと。エリィはまたしても、自らを犠牲にしようとしていたのだ。
もうエリィを失いたくない。その一心で、フェイはデウスの後を追った。

デウスに突入したフェイは、精神世界とでも呼ぶべき場所に立っていた。静かに眠るエリィと、その前に立ち
はだかるカレルレン。
カレルレンは、宇宙の始まりについて語りだした。高次元から零れた波動の一滴。それがこの宇宙の始まりだと。
彼は、互いに傷つけあい、永遠に分かり合えない不完全な人と、その世界に絶望し、全ての始まりである高次元
への回帰を望んでいた。そこには神の愛が満ちていると。
フェイはそれを否定した。不完全だからこそ互いに補って生きていくのが人なのだと。それを一番よく分かって
いるエリィが、絶望に暮れたカレルレンの心を癒すために運命を共にしようとしている。それこそが、人として
生きる事の喜びになるのだと、彼は説得した。
彼の言葉を聞いていたカレルレンは、ウロボロスをフェイにけしかけた。それは、人が神の下から巣立つために、
人の力<愛>を試す最後の試練だった。フェイがそれに打ち勝つのを見届けて、カレルレンはエリィを開放した。

人を愛するが故のカレルレンの悲しみ、絶望。彼と同化したエリィにはそれが分かった。しかし、人としての
道を外れてしまった彼は、もはや戻る事は出来なかった。
「お前たちがうらやましいよ……」そう呟いて、彼は神と共に歩む道を選んだ。人には持ち得ない両翼の翼を広げて。
彼の後ろ姿を見送って、フェイとエリィは自分達の世界へ向かった。
デウスの次元シフトの余波が広がる中、二人の乗ったゼノギアスは、仲間たちの待つ地上に舞い降りていった。

Xenogears Episode5 END

おまけ

◆エメラダ成長イベント

最終決戦に臨む前、フェイたちは戦力アップを目的として各地の遺跡を調査していた。
そんな中彼らは、エメラダの遺跡から見えたゼボイム時代の首都を発見した。
書店やスーパーマーケット、テレビ局など様々な廃墟を見ていくうち、フェイはその時代の事を思い出した。

当時、人々は生殖能力に欠陥を持ち、出生率は極端に低下していた。そんな人類に見切りをつけた
ミァンは、国家元首を裏で操り、核戦争を引き起こした。戦争により、人類を強制的に淘汰し、強い
遺伝子を次代に残そうとしたのだ。

そんな時代に生きた当時の接触者キムは、狂った世の中に憤っていた。戦乱に明け暮れる国家、
低迷する経済、狂信的な国民。そして何より、子を残せないヒト。
恋人のエリィまでもが子を残せないと知った彼は、何とか新しい生命を生み出そうとした。
そうして生まれたのがエメラダだった。彼とエリィの肉体の構成パターンを参考に生み出されたエメラダを、
二人はわが子のように慈しみ、覚醒の時を心待ちにしていた。
だが、キムの願いが叶う前に人類は核戦争によって破滅し、エメラダの覚醒までには4000年の時を要した。

フェイの記憶に触発され、エメラダも全てを知り、受け入れた。
それにより、精神的肉体的に成長し、彼女は成体となって最後の戦いに臨んだ。

ここまでpart5の>>536の人によるまとめ






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