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28 :マリカ~真実の世界~:2006/05/30(火)21:17:45ID:16HqAxCc
『裏切り者』(1/2)

数日後、ようやくまりかが落ち着くと
かなめはサッカー選手達が監禁されていた地下施設に乗り込む事を提案した。
あの施設には大型コンピューターが何台かあったため
もしかしたらファクトの本拠地の場所が分かるかもしれない。
かなめがあきらに地下施設のビジョンを送ると、四人は空間跳躍した。

無事地下施設に潜入すると、信長が施設内のコンピューターを調べる。
しかし、今までの作戦内容のデータしか入っていないようだ。
おまけにネットワーク化されていないため、他の端末に繋ぐ事も出来ない。
だが、どうやらこの施設にはデータルームが存在する事が分かった。
データルームのロックを解除しそこへ向かおうとする四人。
部屋を出るとそこには、大量の工作員と獣人と装甲姉妹・蘭
そしてもう一人、蘭とは色違いの装甲を纏った少女が待ち構えていた。
「中央公園以来だな…私は蘭の姉、装甲姉妹・燐!」
施設内を埋め尽くさんばかりの膨大な数の敵に、四人は空間跳躍で撤退する。
「ふん、数に圧倒されたか!
 サイキなどと言っても他愛がないものね、姉さん」
「蘭、追撃戦に移るわよ。
 あいつらがこの施設の所在を知っている以上
 いつ仕掛けてくるかわからないから」

空間跳躍した先は西馬込の駅前。
安堵したのも束の間、燐が地面に大穴を空け追撃してくる。
装甲姉妹一人ならばと迎え撃つ三人。
蘭よりは手強いものの、どうにか撃退してみせる。
「蘭…蘭、助けて!」
燐の叫びに応えるかのように、バーニアを吹かせた蘭が現れ、上空から機銃を掃射する。
まりか達はとっさにPKバリアで防ぐが信長が重傷を負ってしまった。
信長を手当てするため再び空間跳躍。
しかし跳躍先では、手当ての暇さえ与えず工作員と獣人が襲いかかってくる。
さらに跳躍…しかしまた襲われる。それを何度も繰り返す。
やがてあきらの精神が底を突き、信長も危険な様子になってきた。
覚悟を決めて工作員達と対峙する三人。
だがその時、銃声がすると工作員達が次々と倒れていく。

そこには白衣の女性が立っていた。
「私は敵じゃない…ついてきて!」
『岬久美子』と名乗ったその女性は、そう言うとまりか達に車に乗るよう指示。
テレパスで確かめる余裕は無かったが、どうやら本当に敵では無い様だ。
南千住の外れにある製薬工場に着くと、岬は信長を医務室に運び
その後3人をとある一室の扉の前まで案内した。
「茨博士。神崎まりか、金本あきら、東堂かなめの三名をお連れしました」
その言葉にまりかが反応する。茨博士と言えば確か…

29 :マリカ~真実の世界~:2006/05/30(火)21:20:07ID:16HqAxCc
『裏切り者』(2/2)

中にいたのは禿頭の老人だった。
「俺が茨だ」と名乗るとその身分を明かす。
元ファクトの科学者であり、今はファクトに抵抗する裏切り者だそうだ。
岬はそんな茨博士の助手を勤めているとの事。
三人は未だ全貌の掴めないファクトについて、博士から詳しい話を聞かせて貰う事にした。

博士の話によるとファクトは
『賢人同盟』と呼ばれる複数の外国資本が作り上げた裏組織であり
急激な経済成長を果たした日本が、諸外国に対して必要以上の影響力を持たないよう
政府や要人への脅迫、誘拐、暗殺を遂行するのが目的であったという。
しかし『あの男』が二代目の真実の人に納まって以来、組織の目的は変貌。
組織の構成員も、日本に個人的な恨みを持つ者ばかりになった。
「今のファクトは、あの小男のストレスを発散するための歪な集団でしかない」
茨博士は忌々しげに吐き捨てる。
人間を獣人化させる研究を指示された時、茨はファクトに見切りを付けたのだそうだ。

「俺には技術がある。
 しかしそれを使える体力も勇気もない…だが、君達にはそれができる!
 どうだ、俺と手を組まんか?」
そう言う茨に、かなめは接触テレパスを試みる。何故か手を握られた茨の顔は緩んでいる。
心を読むと、真実の人に対する強烈な恨みが伝わってきた。
…しかし、日本を守りたいという気持ちはあまりないようだ。
だが、あきらはその方が信用できると言う。

茨は岬に指示すると、リボンとバットとグローブを持ってこさせた。
手にとってみると、今までの物とは比べ物にならない能力伝導率に驚く三人。
強力な武器を手にし喜ぶ三人に、茨は神妙な顔で尋ねる。
「ところで君達…今、いくら持っておる?」
「お、お金取るの!?」
「当たり前だ! それを開発するのにも金がかかっとるんだ
 タダでくれてやるわけないだろ!」
止むを得ず、決して少なくはない額を払う三人。
かなめは、金を取る方が貸し借りがなくて安心できると二人をなだめる。
他にも防具や便利な総合薬も揃えてあり、三人は資金に余裕のあるだけ購入した。

昼間の疲労から、工場内の客室を借り休息を取る三人。
テレビを付けると、ファクトが起こした事件の報道が流れている。
それをしばらく見ていると、突然映像が切り替わり
マスクで顔を覆った男の映像が流れ始めた。
「日本国民の諸君! 私はファクション・オブ・トゥルー総帥、真実の人だ!
 このところ世間を騒がせているテロ事件、全ては我々の手によるものだ!
 我々ファクション・オブ・トゥルーの目的は、真実の追求!
 この日本という奇形的国家を、真実の楽園とすることだ!
 恐怖は適量であれば進化への栄養となる!
 君達が真実に目覚めるまで我々の活動は続くであろう!
 悩み、考え、そして行動せよ!その果てには必ず君の真実が見えるはずだ!」
どのチャンネルも同じ映像…電波ジャックだ。
「あれが…真実の人!」
「陰謀の時は終わったってことね…」
三人は、戦いの状況が新しいの展開へ向かっている事を認識していた。

30 :マリカ~真実の世界~:2006/05/30(火)21:21:43ID:16HqAxCc
『昭和のサイキ』(1/4)

フランソワーズが部屋に入ると、真実の人は水着姿だった。
「真実の人…その服装は?」
「うむ、宣言した通り、陰謀の時代は終わった!
 これからは行動の時代なのだ! しかしそうなると私も忙しくなる!
 そこでだな、最後の休暇を取ろうと思うのだよ。
 海! 生命発祥の我らがふるさと!
 私はその海に抱かれ、生命の真実を見極めるのだ!」
真実の人は、フランソワーズとオルガも同伴するよう命じる。
「真実の人…水着は私もですか?」
「あ、あるのか!?」
「はい」
「も、も、も、持ってこい!」

茨の武器を購入したまりか達は、再び西馬込の地下施設へと乗り込んだ。
装甲姉妹が二人掛かりで襲い掛かってくるが、
茨の武器によって向上した三人の戦闘力の前にとうとう膝を折る。
「う、うう…ねえさん…」
「ら、蘭…」
装甲がひしゃげ、もはや原型を留めていない姉妹は
互いの手を取り合うとやがて泡と化した。
三人はデータルームへと向かうが、重要なデータは全て消去されていた…

茨の工場に戻ると、信長が目を覚ましていた。
まりかは、岬に信長をここで預かって貰うように頼む。
「そうだよな、役に立たない上みんなの足まで引っ張って…
 僕は自分の両親の仇も討てないんだ…僕は!」
落ち込む信長、かなめはまりかの判断を支持するが、あきらは何故か不満に感じていた。

茨に呼ばれて部屋に向かうと、彼は自分がまりかの祖母の知り合いだと告げてきた。
茨によれば、まりかの祖母『三条セツ』は非常に強力なサイキで
二次大戦前に、外国から来た諜報員に家族を殺されたセツは
その際に超能力に目覚め、復讐の戦いを繰り広げていたらしい。
茨もそれに協力しており、ちょうど今のまりかと信長のような関係だったそうだ。
能力をもっと強力にしたいなら、一度セツの事を調べてみてはどうかと提案する茨。
オルガとの実力差を思い出し、三人はまりかの祖父が住む銚子へと跳ぶ。

銚子に跳んだ三人は早速まりかの祖父の家を尋ねるが、残念ながら留守だった。
止むを得ず、祖父が毎日のように通っていたという近所の温泉宿に行ってみる事に。

ちょうどその頃、まりかの祖父の家から少し離れた銚子の海岸。
そこで真実の人は浮き輪を付けて一人はしゃいでいた。
その姿を浜辺で見守るフランソワーズとオルガ。
ふとフランソワーズが、オルガに何故神崎まりかを殺さないのかを尋ねる。
オルガの所属はファクトではなく、そのスポンサーである賢人同盟。
フランソワーズは、まりかを生かしておく事を賢人同盟の意図と疑っているようだ。
オルガはそれを否定すると「次に会った時には倒す」と宣言する。
…と、その時、オルガがまりかの気配を察知。
これを真実の人に報告すると、「考えがある」とオルガのサイキの気配を追わせた。

31 :マリカ~真実の世界~:2006/05/30(火)21:22:48ID:16HqAxCc
『昭和のサイキ』(2/4)

温泉宿にも祖父はおらず、三人は時間潰しに温泉に入る事に。
混浴である事に難色を示すかなめを説得しつつ、湯の中に入る三人。
「ほう…先客はお嬢様方かね」
そこに一人の中年男性…真実の人が湯の中に入ってきた。
お互い言いようの無い感覚を覚えながらも、世間話を始める三人と真実の人。
しかし、会話は次第にファクトの話題へと移り変わっていく。
「日本の温泉はいいですなぁ…世界に誇れる数少ないものだ。
 外から見るとよく解るのですが、日本の自然は素晴らしい。
 控え目でいて力強く、そして美しい…
 …だが人間の心はいけない。すさんでいます。
 私は思うのですよ、日本はこのままどうなってしまうのか?」
「おかしなテロリストもおるからな、ほんま今の日本はわやくちゃや」
「おかしなテロリスト? むしろ、彼らは
 この国のことを真剣に憂いているのでは無いでしょうか?」
「だとしても、手段に問題がありすぎるわ。
 どんな理想をかかげても、あのやり方じゃ敵を作るだけよ」
「しかし、闘争の中からより良い価値観が生み出される…そうは思えませんか?」
「うちは…ファクトはおもろいと思うで。
 うちは汚い大人やポリが嫌いや。
 まりかやかなめにしても、そういう部分はあるやろ?
 そんな連中に牙を剥く…ファクトは正味の話おもろい思う。
 …せやけどな、連中のやり方はかなめが言うとる通り無差別や。
 うちはそこが好かん」
「なるほど…ですが誰かがそれをやらなければならない。
 でなければ、この国はいつか膨張の末、破裂する」
だんだんと熱を帯びていく男の主張に、三人は危険な物を感じ始める。
「百年も昔であればそれもよかった。
 植民地という名目の侵略が許される時代でしたから。
 しかし今は違う、発達した倫理感は国土の拡大を許さない。
 私の持論はね、国土の広さと国家の規模は比例するということなのですよ」
「でも、ソビエトの例があるわ」
「あれは、使える土地の実際が少なすぎますから。
 無論、中国のことも引き合いに出すのでしょうが
 どちらにしてもこの両国は、国土を利用するのに必要な国力が弱すぎるため、繁栄しないのです。
 しかしこの国は違う、こんな狭い国土だと言うのに経済は目ざましく発展し
 その影響力は世界に対し計り知れないものとなった。
 だがそこには常にいびつさが付きまといます。
 つまり、発展と人の心が合致しないのです。
 これは悪魔的な進歩と言えましょう」
男の表情が真剣そのものだったため、まりか達は言葉を失った。
「この国は、一度あの頃に戻るべきなのです…
 廃墟と屍が並ぶあの五十一年前に…」
主張を終えると、やがて平静を取り戻したかのような顔に戻る真実の人。
長々と説教してすまないと三人に謝罪し、浴場から去ろうとする。
「おじさん!」
その時、会話にほとんど参加しなかったまりかが真実の人を呼び止めた。
「難しい話は、私にはよくわかりませんけど…
 ファクト機関が正しいか、それに抵抗する人達が正しいか。
 …全ては戦いの結果次第だと思います」
まりか達は、本能的に今の男が真実の人である事を確信していた。

温泉を出た真実の人は、宿のロビーでフランソワーズと合流した。
「今、三人のサイキと風呂場で会ってきたよ」
「すぐに親衛隊の手配をしましょう」
「いやそれには及ばん。あいつらも休暇の最中の様だ…
 そこを襲っては、真実の追求などできるわけがない」

32 :マリカ~真実の世界~:2006/05/30(火)21:24:49ID:16HqAxCc
『昭和のサイキ』(3/4)

風呂を出たあと改めて祖父の家に向かうと、ようやく祖父が戻ってきていた。
まりかの祖父は気の良い人物で、孫娘のまりかはもちろん
初対面のあきらとかなめも快く迎えてくれた。
あきらとかなめは、家族に恵まれるまりかを少し羨む。
居間でくつろいでいると、ふと古ぼけた一本のクシが目に付いた。
祖父がトイレに行っている隙にクシを手に取ると、凄まじい力がまりかの身体に流れ込んでくる。
まりかは、このクシが祖母の使っていた武器である事を悟る。
「これではっきりしたわ…おばあちゃん、やっぱり超能力者だった」

夜になると、三人が役割分担して作った鍋料理を囲みながら
話し上手な祖父の昔話で大いに盛り上がった。
家庭的な団欒に、心からの安らぎを感じる三人。

深夜、布団に横になっていたまりかに、隣で寝ていたあきらが話し掛けてきた。
「まりか…明日にはここを出たほうがええ。
 じいさんに迷惑がかかるのもせやけど…ここは居心地が良すぎる。
 戦う気持ちが薄れてしまう」
「あきらさん…」
「まりかはええな、あないな身内がおって…」

翌日、今日帰る事を祖父に告げると
祖父は、祖母の遺品は屋根裏にあると教えてくれた。
まりか達が祖母の事を調べにここに来たのを、なんとなくだが察していたとの事だ。
早速屋根裏を調べる三人、しばらく探すと一通の手紙を見つける。
それは祖母がまりかの母へと宛てた物だった。
「こ、これは…!」
「何の手紙なの?」
「おばあちゃんが…母さんに能力の使い方を教えた手紙…
 意識の集中の仕方から始まって、念動力の応用まですごく丁寧に書いてあるわ…」
祖母のクシと手紙に書かれた内容により、まりかの能力は大きく引き出された。

33 :マリカ~真実の世界~:2006/05/30(火)21:26:34ID:16HqAxCc
『昭和のサイキ』(4/4)

祖父の家を出たまりかは、自分と同種の気配を強く感じた。
気配を辿ると、そこには悲しそうな瞳で剣を携えるオルガが待ち構えている。
「不本意だけど…
 あなた達をしとめなければならない私の気持ちを
 解ってほしいとは言わないけど…」
迷いを捨てきれないオルガ、しかしまりかの反応はそれとは対照的だった。
「私は…不本意なんかじゃないわ!
 私たちの友達を、罪もない人々の命をもて遊んだお前達を…!!」
茨の武器、祖母の遺品、そしてファクトへの強い怒りは
三人の能力をオルガと同等のレベルにまで引き上げていた。
次第に追い詰められるオルガは、自身の持つ最高の技「PKソード」を放とうとする。
しかしそれを一筋のレーザー光線が遮った。
「くそ…当たらなくっちゃ、しょうがないじゃないかよ!」
そこにいたのは巨大な大砲を抱えた信長だった。
その隙を突き、三人は力を集中させオルガに致命的なダメージを与える。
「わ、私は死ぬわけにはいかない…
 私の心と身体は、真実の人のもの…!」
オルガは残った力を振り絞り、自身を空間跳躍させた。

戦いが終わると、大砲を持った信長が駆け寄ってくる。
「僕も久美子さんに頼んで、あいつらと戦う武器を手に入れたんだ!
 頼む、僕も連れて行ってくれ! 父さんや母さんの仇を討ちたいんだ!
 でないと僕は、この戦いが終わってもいじけたままになっちまう…」
まりかとかなめは迷うが、あきらは信長の強い意志を感じ
迷う二人に信長の同行を認めるよう頼んだ。
(以降、戦闘中に信長の支援攻撃が入るようになります)

医務室に運ばれたオルガの傍らで
真実の人は温泉で三人のサイキを見逃した事を激しく後悔していた。
「神崎まりかの家族はどうなっておるのだ!?」
「はい、現在エジプト旅行の最中です。
 渡航規制が敷かれておりますので、まだ帰国は無理のようですが…」
「く! エジプトか…
 ええいフランソワーズ、刀を持て! エジプトへ飛ぶぞ!」
「し、しかし真実の人…」
「だまらっしゃい! 神崎まりかは私の一番大切なものを傷つけた!
 今度は私がそうする番だ! これであいこだ!」
荒れる真実の人、しかし目を覚ましたオルガがそれを止める。
ファクトにとって最も大事な時期である今、真実の人が本部を開けてはいけない…と。
「そうかそうか、よしわかったぞ!
 ならばお前の受けた苦しさ、そのまま黄色いブタ共全てに味あわせてやる!」
そう言うと真実の人は、フランソワーズに
『評論家洗脳作戦』、『ゾンビ家畜作戦』、『ブレイクプラスの日作戦』の
三作戦の同時発動を命じた。

34 :マリカ~真実の世界~:2006/05/30(火)21:28:02ID:16HqAxCc
『評論家洗脳作戦』(1/2)

真実の人の前には三人の少女がいた。
「真実の人、ついに我々に作戦の御指示ですか?」
「そうだ…ハーミオン、ロネット、ガリーナ。
 お前達はそれぞれ日本人に恨みを持つ者。
 その気持ちをいい形で作戦に反映させてくれ」
真実の人は、ハーミオンと呼ばれた上品そうな少女に『評論家洗脳作戦』の、
ロネットと呼ばれた気の強そうな少女に『ブレイクプラスの日作戦』の、
ガリーナと呼ばれた人形のような顔立ちの少女に『ゾンビ家畜作戦』の指揮をそれぞれ任せる。
そしてその中の一人、ハーミオンに近寄ると
「神崎まりかの祖母が、三条セツであることが判明した…」と耳打ちをした。

東京に戻ったまりか達は、インターネットでファクト関連の情報を集めた。
真実の人が公の場で宣戦布告した事によって、ネット上には膨大な量の情報が溢れかえっている。
さらに、ネット掲示板にはファクト関連の書き込みが増大しており
その中に、理論的に高い水準のファクト擁護の書き込みが目立つようになっていた。
その内容が、温泉で会った男の主張と非常に似通っているため、三人はファクトによる書き込みと推測。
そして、それに釣られるかのように、
一般ユーザーにもファクト寄りの意見が増えてきている事に危惧を抱いた。
「ファクトが日本を破滅に導くって言葉…どこか信用できなかったのよ。
 いくら凄い技術を持った秘密結社だって、国一個を本当に滅ぼすなんてことできっこない。
 …でも、今の日本を破滅させるって言うのが
 軍事的なものじゃなく、政治的な面での意味合いが強いのなら
 ファクトはかなりの成功を納めてるかもしれない」

インターネットに溢れているファクト関連の情報を検証した結果
信用できそうな情報は以下の四つだった。
1・テレビに出演している何人かの評論家の意見が急にファクト寄りになった。
2・ファクトは筑波の研究所に保管されているある薬品を狙っているらしい。
3・街から野良犬や烏が急に減った。また、そうした動物に襲われた人間がいるらしい。
4・謎の怪音波がある時間、ある地域に決って流される。また、それを聞いた人間は凶暴化する。

まりか達は、比較的情報の揃っている1の事件を当たって見る事にした。

35 :マリカ~真実の世界~:2006/05/30(火)21:29:14ID:16HqAxCc
『評論家洗脳作戦』(2/2)

テレビ局に行くと、四人は問題の評論家が出演している報道番組を監視した。
番組では一人の男がファクト擁護の主張を熱っぽく語っている。
他の出演者がそれを非難するも、すぐにその男に論破されてしまう。
一通りやり取りを聞くと、ファクト擁護派はその男一人で、他は否定派、一人が中立派のようだ。
「あいつね…」
「そうやな…つよしと同じ目や、あいつ、洗脳されとるで」
番組が終わった後、かなめは出演者の一人に握手を求めた。中立派だった男に。

テレパスの結果、やはり男は洗脳されていた。
消極的にファクトを肯定する事によって、現在の社会に不満を持つ評論家を
ファクト寄りの意見へと巧みに誘導していたようだ。
これ以上ファクトの自作自演に釣られる人間を増やさない為にも
男が洗脳された場所のビジョンを読み、空間跳躍する。

西麻布にあるファクトの秘密基地では、評論家洗脳作戦を指揮するハーミオンが
やがてやって来るであろう三人のサイキに対して恐れを抱いていた。
オルガをも退けたサイキ達に勝てるかどうか…
「なまじ理性などあるからこうなる…!」
意を決したかのように呟くと、ハーミオンは顔全体を覆うような大きさのヘッドギアを被る。
すると、上品そうであったハーミオンの顔つきが見る見る豹変していった。
「ふははは! 戦うぞ! 祖父の恨みが私に力を与える!それすなわち血の魔力なり!」

やがて現れたまりか達を、戦意を剥き出しにしたハーミオンが迎え撃った。
しかし、すでにオルガに並ぶ実力を持つ三人にはやはり歯が立たない。
「あなたに恨みはないけど、抵抗するんなら…!」
「…私はある! 私の祖父は大戦前、貴様の祖母に殺された!
 私の祖父はイギリスの諜報部員だった!
 しかしこの国で貴様の祖母に惨殺されてな…
 以来、私の家は貧困の底に喘いだ!」
一瞬手が止まるまりかにハーミオンが襲い掛かる、しかしそれでも戦局は覆らなかった。
やがてハーミオンは力尽き、倒れた拍子にヘッドギアが外れる。
「おじいちゃん…仇が討て無くってごめんね…」
ハーミオンは悲しそうに呟きながら泡になっていった。

36 :マリカ~真実の世界~:2006/05/30(火)21:30:32ID:16HqAxCc
『筑波の夜』

まりか達は筑波へと跳んでいた。
『2・ファクトは筑波の研究所に保管されているある薬品を狙っているらしい』
この情報の真偽を確認するためだ。
研究所に行くと、職員達から薬品に関する話が聞けた。
どうやらここで研究されている薬品は、遺伝子破損を治療するための物らしい。
まりか達は、ちょうど隣にあったホテルで研究所を見張る事にした。

「せやけど連中、なんで薬なんか狙うんやろ?」
ホテルの一室であきらが疑問を口にする。
その疑問に、信長が確信を持った口調で自分の推論を語った。
「あいつらにも作れない薬があるんじゃないのかな…
 言い辛いんだけど…加藤さんや、ラブフレストの話があるでしょ?
 生体改造に失敗して、ホルモンを欲しがっていた。
 つまり、連中の技術も完璧じゃない…
 遺伝子破損って聞いて、ピンときたんだ」
「敵は改造人間のための薬を狙っている?」
「あの研究所の薬を、そのまま使うかどうかまでは解らないけどね」

その夜、あきらと信長が見張りについた。
窓の外に注意を向けるあきらに、信長が話し掛ける。
「さっきはごめん…加藤さんの事を引き合いに出したりして」
「話の流れや、気にする事ない」
「そう言ってくれると助かるよ…」
「現実は受け止めとる…せやけど拘わってもおられへん」
「あきらさんは強いな…」
その時、窓の外に研究所へと向かう人影が現れた。
あきらは寝ている二人に声を掛けると、信長を連れて先に研究所へと向かう。

薬を抱え研究所から出てきた、ソロモンの最新型『ソロモン四世』の前に
駆けつけたあきらと信長が立ち塞がる。
最新型というだけあって、今までのソロモンとは比べ物にならない強さだったが
あきらと信長の連携によってやがて倒される。
「トゥ、真実の人…
 あなた様の薬を手に入れることができない我が無能、お許しを…」
そう言い残すと、ソロモン四世は薬ごと泡となった。
後から駆けつけた二人と合流すると、騒ぎに巻き込まれないようその場を後にする。

真実の人の薬。
その言葉が四人の頭から離れなかった。

37 :マリカ~真実の世界~:2006/05/30(火)21:32:02ID:16HqAxCc
『ゾンビ家畜作戦』(1/2)

岬に呼び出された四人は、三枚のメモを渡された。
そこには
・神崎さんのリボン素材…品川区シスター布地商
・金本さんのバット素材…筑波合金研究所
・東堂さんのグローブ素材…上野区成陽皮店
と、書かれている。
調査の結果、これらの素材が最高の能力伝導率を持っているのだという。
これらの素材を集めれば最強の武器を作れるのだそうだ。
三人はまず、かなめのグローブ素材を探しに向かった。
店先にはその素材が並べられおり、幸いなんの障害もなく手に入れられた。

店を出ると、まりかが路上でエサを漁る子犬を見つける。
子犬を抱き抱え、頭を撫でたりして可愛がる四人。
と、その時、後ろから人形のような外見をした少女、『ゾンビ家畜作戦』を担当するガリーナが現れた。
「動物はいいわ…悪意も善意もないから。
 でも、それを飼っている人間は良くないわ。
 自分の都合だけで動物と接する…その子も捨て犬かしら?」
ガリーナは子犬に向けてダーツを放つ。
ダーツは子犬の頭に刺さり、子犬はそのまま死んでしまう。
が、すぐに子犬は息を吹き返し、さきほどの愛らしい姿からはかけ離れた凶暴な姿になり襲い掛かってきた。
四人は止むを得ず子犬を倒す。
しかしガリーナが懐から取り出した笛を吹くと、周囲から無数の動物達が現れる。
「私はガリーナ…あなた達に動物の真実の姿を教えてあげるわ」
動物達の予想外の俊敏さに、四人は次第に追い詰められていく。
「この計画を知った時、私は不安だったわ。
 だけど今は違う、こんなにたくさんの野良がいたなんてね…
 いかにこの街の人間がわがままかってことよ!
 飼った動物の責任も取れない愚かな人間共!
 私が復讐の手伝いをしてあげるわ!」
倒した先からダーツで蘇生させ、それを笛で操るガリーナに
四人は空間跳躍で撤退せざるを得なかった…

「笛は音…音は空気の振動…」
空間跳躍する中、まりかはある考えが頭の中に浮かんでいた。

跳んだ先は品川。
ちょうどここにはまりかのリボンの素材があるという事で、その店に向かう。
しかし、その店には泥棒が入って素材が盗まれてしまっていた。
まりかは外に番犬が繋がれているのを見ると、かなめにテレパスを頼む。
「い、犬の心を読めって…?」
「うん…」
「…わかったわよ、やってみるわよ!
 泥棒の顔、覚えてるって言いたいんでしょ!?」
犬の即物的な思考にウンザリしながらも、かなめは犯人とそのアジトを調べ上げた。
四人はかなめの見たビジョンを頼りに、泥棒をはたらいた工作員を追い詰め布地を手に入れた。

38 :マリカ~真実の世界~:2006/05/30(火)21:33:23ID:16HqAxCc
『ゾンビ家畜作戦』(2/2)

ガリーナの事が気になりながらも、四人は残りの素材を求めて筑波へ向かう。
だが他の素材と違って、あきらのバットの素材は研究中の最新合金であったため
譲ってもらう事が出来なかった。
諦めきれないあきらは、深夜に忍び込んで手に入れようとする。

深夜、まりか達に見張りを頼み、研究所内に空間跳躍するあきら。
研究所の棚を探していると、伝導率の高い合金を発見した。
「いけない泥棒さんね…」
その時、室内から声がした。ガリーナだ。
「なんでお前が…」
「保身のためからかしら、最近は協力者も増えてきたのよ。
 それにファクトの構成員は民間人の中にもいる」
どうやらここの職員にファクト構成員がいたようだ。
ガリーナがゾンビ犬『リバイバードッグ』達を仕向ける。
あきらは迎え撃つが、やがて一匹のリバイバードッグに噛まれてしまう。
「リバイバードッグの唾液には
 人間の中枢神経を麻痺させる猛毒が含まれているの」
意識を失うあきら、そこにまりか達が駆けつけるがガリーナには逃げられてしまった。

真実の人の薬の件で泊まったホテルに再び部屋を取ると
意識を失ったままのあきらをベッドに寝かせた。
…しかし、しばらくすると階下から次々と人の悲鳴が上がる。
まりかとかなめは、信長にあきらを任せると部屋を飛び出した。

部屋を出ると、ホテル中で無数のゾンビ動物達が暴れていた。
ホテルの利用者達が次々と噛み殺されていく。
ゾンビ動物達を前に、まりかはかなめに一つの提案をした。
「かなめさん、あの犬やカラスは私が引き受けるわ。
 かなめさんは操っているあの子を」
「いいけど…何か策があるの?」
「うん、私の考えてることが当たっているなら
 かなり楽をして戦えると思うの」
そう言うと、まりかは動物達に向かって空気を振動させる超能力『PKウェイブ』を放った。
すると何故か次々と動物達が気絶していく…

動物達を気絶させながら進むと、ホテルの一階でガリーナを見つけた。
「あ、あれだけいたあの子達が…無傷だなんてそんな!」
「音波よ…何かの本で読んだことがあったの…
 犬や動物は、それぞれ人間が感知できない音波を聞き分けることができるって。
 私のPKは物質を動かす能力、そうした音波を作り出すことだって…!」
言うと、まりかは再びPKウェイブを繰り出す。
今度はゾンビ犬達は気絶せずにガリーナに襲い掛かった。
まりかは、PKウェイブでガリーナの笛と同じ周波数の振動を生み出したのだ。
ガリーナは反射的にゾンビ犬に反撃をしてしまう。
ガリーナの反撃に倒されていくゾンビ犬達。
「あ、あぁ…殺してしまった…私はなんということを…」
その隙をまりかとかなめは見逃さず、一気にケリを付ける。
「こ、こんなに呆気無く…」
ガリーナの身体は泡となって消えた。

あきらが目を覚ますと、部屋中に動物の死骸が散らばっていた。
傍には血まみれの信長が大砲を抱えてぐったりしている。
「…信長、どないしたんや」
「は、はは…今回は役に立てたみたいだね…
 正直言って、レーザー砲のバッテリーが切れたときは
 もう駄目かと思ったよ」
眠り続けるあきらを守るため、信長は一人で部屋に侵入するゾンビ動物達と戦い続けていたようだ。
あきらは、血まみれの信長を優しく抱き寄せた。

39 :マリカ~真実の世界~:2006/05/30(火)21:35:19ID:16HqAxCc
『ブレイクプラスの日作戦』(1/3)

三つの素材を茨博士の元に届けた後、四人は渋谷に来ていた。
『4・謎の怪音波がある時間、ある地域に決って流される。また、それを聞いた人間は凶暴化する』
この『ある地域』が渋谷である事がネット上の情報で判明したからだ。
怪音波の正体が、いつかのCD『真実の世界』である可能性を考え
茨博士から購入した『真実の世界』のα波を遮断するイヤホンを耳にはめ、渋谷を捜査する。
しかしいざ渋谷を歩き回ってみると、警官達が各所に設置されていたスピーカーの撤去作業をしていた。
どうやら今回は出る幕は無かったと思い、四人はその場を立ち去ろうとする。
しかしその時、スピーカーが設置されたライトバンが走ってきた。
「なんや? 選挙の演説かいな?」
「…しまった! その手があったわ!」
バンのスピーカーからは異様な音楽が流れ始める。『真実の世界』だ。
さらにバンからは、マスク姿の真実の人の立体映像が映し出される。
「国民諸君! 私が作曲した『真実の世界Vol.3』はどうかね!?
 より君達の本性が露呈される様に、改良を重ねた自信作だ!
 このメロディーに身も心も任せ、自己を解放するのだ!」
真実の世界を聴いた警官達や通行人が錯乱状態になり、あちこちで銃の乱射や殴り合いが始まった。
慌ててまりかのPKでバンを破壊するが、暴動はすでに広まりきってしまっている。
四人は仕方なく空間跳躍でその場を脱する。

新宿中央公園へと跳んだ四人は対策を練った。
あのライトバンが同時に複数の場所で現れるような事態になれば、東京全土で暴動が起こってしまう。
その前になんとかバンが発車している場所を突き止めねば…
もしかしたら手掛かりが残っているかもしれないと
僅かな望みを賭けて、四人は装甲姉妹が守っていた西馬込の地下施設を目指す。

「あはは、焦ってる焦ってる…
 だけど無駄だよ、あたしはハーミオン達と違って慎重なんだ。
 簡単に尻尾は掴めないよ」
隠しカメラを通して、幼い少女がまりか達の様子を見ていた。
その少女の後ろには醜悪な外見をした二人の小柄な男が控えている。
「ドグラ、マグラ、ブレイクプラスの日作戦の決行を明日にするよ。
 お前たちには明日の三時まであいつらの動きを封じて欲しいの。
 どこでもいいわ、適当な場所に釘づけにしておいて。
 ごほうびはいつもの倍にはずむから…絶対足止めするんだよ」
「倍! グヒョヒョヒョ!」
指示を受け、奇妙な笑いを上げる二人は足早に部屋を後にした

まりか達は地下施設にあった場所に行くが、そこはすでに警察に封鎖されていた。
手掛かりを失い途方にくれる四人。
「グヒョ、グヒョヒョ…」
その時、背後から二人の小柄な男…ドグラとマグラが現れた。
醜悪なその姿は明らかに普通の人間では有り得ない。ファクトだろう。
他に手掛かりもないと、この二人から暴動作戦について聞き出そうという事になった。
「暴動…? ド、ドグラ…」
「ブレイクプラスの日作戦の事を言ってるんだ…マ、マグラ…」
頭はあまり良くないようで、その二人はあっさりと暴動作戦に関わっている事を漏らしてしまう。
その様子にかなめは何かをひらめいたような顔をすると、二人に近寄りその肩に手を置く。
そして「渋谷、原宿、新宿、代々木…」と、突然東京沿線の駅名を羅列し始めた。
まりか達もドグラとマグラも突然の行動に呆然とするばかりだ。
だが、やがて「錦糸町」とかなめが言った所でドグラとマグラが大きく反応を示した。
「あなた達! 暴動作戦のアジトは錦糸町ね!?」
「グギョ!?」
「な、なぜそれを…!?」
ファクトの人間の記憶をそのまま読めば、起業家セミナー事件の時のように泡になってしまう。
そのためかなめは、駅名を羅列する事によって二人の思考反応を読んだのだ。
あきらに合図すると、さっそく錦糸町へと空間跳躍する。
取り残されたドグラとマグラは、何故アジトの場所がバレてしまったのか理解できないでいた。

40 :マリカ~真実の世界~:2006/05/30(火)21:37:05ID:16HqAxCc
『ブレイクプラスの日作戦』(2/3)

錦糸町でアジトを探し出した四人は内部に潜入した。
途中で見つけた部屋には、子供の物らしき人骨が大量に並べられており四人を絶句させる。
凄まじい光景にショックを抑えつつ地下駐車場へ行くと
そこには数十台のライトバンが発車準備をしていた。
「この作戦が成功したら、あんた達全員に真実の人から報奨金が出るよ!」
そう工作員達を鼓舞していたのは、まだ12~13歳と思われる少女。
ブレイクプラスの日作戦を任されたロネットだった。
まりか達はガレージのシャッターを破壊し乗り込む。
「悪いけど、報奨金はあきらめた方がいいわよ」
「か、神崎まりか!? なぜここが!?」
「部下をもっと良く選ぶことね」
「ドグラとマグラ…しくじったか!」
まりかは意識を集中させると全てのライトバンを破壊した。
「くっ、化け物め…!」
「洗脳音波で暴徒を作り出す…まったく恐ろしい作戦を思いつくものね!」
「日本人にそんなこと言わせないよ!」
工作員達を仕向けるロネット。しかしそれも時間稼ぎにすらならない。
「あとはあなた一人ね」
「うちらガキは相手にせん、とっとと去ねや!」
「バカにするなよ…あたしだって戦えるんだ!
 人殺しだって何度もやってきた!」
単身、迎え撃とうとするロネット。
だがそこに、西馬込に置き去りにしたはずの二人の小男が増援に現れた。
まりか達を見て舌舐めずりをするドグラとマグラ。
「グヒョヒョ…奇麗な足だなぁ…俺ぁ奇麗な物が大好きだぁ…」
「ブヒョヒョヒョヒョ…ロネット様ぁ…
 こいつ、俺たちのコレクションに加えてもいいかぁ?」
ロネット、ドグラ、マグラの三人が一斉に襲い掛かってくる。
しかし、それでもまりか達を倒す事は出来なかった。
「コレクションって言ったわね…」
怒りのこもった眼差しでドグラ・マグラを見据えるまりか。
先ほど見た、子供の物と思われる人骨が積み立てられた部屋の光景が脳裏に浮かぶ。
「あんた達は…真実なんて追究してない!!」
まりかは能力を放ち二人の小男を泡にした。

一方、二人同様戦闘能力を失っているロネットは泣きじゃくっていた。
「いたい…いたいよぉ…」
「あなたは自分のやったことを全然理解していない…
 音に惑わされて暴動の被害者になった人の中には…
 あなたと同じ歳の子供だって、いっぱいいたんだから!!」
そう叫ぶと、まりかはロネットもまた泡にした。

41 :マリカ~真実の世界~:2006/05/30(火)21:37:52ID:16HqAxCc
『ブレイクプラスの日作戦』(3/3)

すでに無人と化したアジトを捜索すると、コンピュータールームを発見した。
信長がパネルを操作すると、モニターに作戦内容についての文書が表示される。

『評論家を洗脳することにより、世論を操作する。
 これはファクトが目的を達成した後の
 倫理感を構築するためには必要不可欠な作戦である。
 実際のXデーの際には、不足する戦力を
 リバイバードッグ等のビーストで補充し作戦を円滑に進行させる。
 また、不定形タイプの獣人による犯行は相互不信を呼び、防衛活動を混乱させるであろう。
 そして、重要なのはブレイクプラスの日作戦の発動である。
 この暴動作戦による首都の混乱に乗じ、最終兵器であるコンドルが飛び立つ。
 コンドルに搭載されたソドムの柱は首都機能を完全に破壊し
 ここに我々組織の目的は完遂されるものとする。
 単純な破壊では無く、価値観、倫理感を構築した上での作戦は
 この国を武力制圧した後においても、円滑なる統治を導き出すであろう』

真実の人の薬の事件を除けば、この文書の内容は
ここ数日に防いだ事件のすべてと合致した。
しかし、『コンドル』が分からない。
内容から察するに爆撃機か何かのようだが…

…と、その時、茨博士から預かった連絡用の無線機が鳴る。
岬からの連絡で、集めた素材による武器の作成が終わったとの事だ。
『コンドル』の事を気掛かりとしながら、四人はアジトを後にした。
110 :マリカ~真実の世界~:2006/06/07(水)04:38:44ID:zJEBMLl5
『コンドルが飛ぶ日』(1/2)

「これがあなた達に渡せる最後の武器。
 値段も高いけど、効果もそれに比例しているわ」
茨の工場に戻ったまりか達は、集めた素材により作られた武器
『最後のリボン』『最後のバット』『最後のグローブ』を岬から受け取った。
ほぼ100%に近いその能力伝導率に、四人は戦いが終盤戦に来ている事を予感させる。

「Xデーに向けての準備作戦は
 全て神崎まりかの手により失敗に終わりました」
最悪の内容を表情一つ変えずに真実の人に報告するフランソワーズ。
その報告に、真実の人は頭を抱え苦悶する。
「も、もう終わりだ…
 洗脳も失敗! 補強戦力のビーストも失敗! 暴動も失敗!
 なんなのだ!? 私が一体何をしたと言うのだ!?」
悲観する真実の人に、フランソワーズは計画の練り直しか
このままコンドルで日本首都にソドムの柱を打ち込むかの二択を迫る。
真実の人はオルガを呼ぶように命じた…

やって来たオルガに真実の人は、工作員2000名を首都に空間跳躍するよう懇願した。
ソドムの柱を打ち込み、すかさず工作員2000名によって首都を制圧する作戦。
『サンダーボルト作戦』が真実の人の最後の賭けだった。
しかし2000名という膨大の数にオルガも躊躇する。
「このままでは私は人間以下であったあの生活に戻ってしまう!
 それだけは嫌だ! 頼む…頼むオルガ、私に力を貸してくれ…」
必死の懇願に、オルガも覚悟を決める。
オルガは、2000人分を空間跳躍させるには力を溜める必要があるため
四日間だけ時間を稼ぐよう真実の人に頼む。

オルガが自室に戻ると、賢人同盟から遠隔テレパスによる通信が届く。
『真実の人は本日をもって解任。
 ムハマドを三代目の真実の人に据えることが決定した』
突然の通達に驚くオルガ。
オルガは必死に懇願し、二週間の猶予を取り付ける。
もしそれを過ぎても成果が出せなければ自分が真実の人を殺す…と。

一方、茨の工場…
『コンドル』の正体は以外な所で判明した。
『巨大戦術重爆撃機コンドル』それは茨博士がファクトにいた頃に作った物だったのだ。
外部からの攻撃は一切無効、内部からの破壊も不可能という恐るべき兵器。
しかし内部から『分解』する事は可能だと茨は言う。
コンドルには七基のエンジンが搭載されており、その内六基を切り離せば墜落させられるのだそうだ。
まりか達は、茨にエンジンの切り離し方を教わる。

ファクション・オブ・トゥルー本拠地の地下にてコンドルは発進準備を整えていた。
作戦の指揮を取るのはムハマドという男。
賢人同盟が三代目真実の人と定めた男だった。
しかし親衛隊の長を勤める彼は、真実の人の側を離れる事に迷いを覚えていた。
そんなムハマドを安心させるように、真実の人が語りかける。
「実を言うとな、賢人同盟の動向も気になるのだ…
 ここいらで戦果を上げて置かなければ、仮に私が解任になった後、君達の立場も弱くなる。」
「真実の人…その様なことを」
「私は傲慢な男では無い、ここまでの失敗は謙虚に受け止めている。
 勇者ムハマドよ、これからの真実の徒は君の手腕にかかっているのだ」
「もったいないお言葉…このムハマド
 必ずやソドムの柱を首都に撃ち込んで見せましょうぞ!」
真実の人の言葉に奮い立つムハマド。
しかし、コンドルの自爆装置は真実の人のコントロール下にあった…

111 :マリカ~真実の世界~:2006/06/07(水)04:40:18ID:zJEBMLl5
『コンドルが飛ぶ日』(2/2)

「ここ、伊豆南端百三十キロの地点に
 突如巨大な飛行物体が出現しました!」
テレビの緊急報道番組ではコンドルの姿が映し出されていた。
しかしその姿は小さく、空間跳躍に必要なビジョンには満たない。
四人はまずテレビに映っていた伊豆最南端にある石廊崎へと空間跳躍する。
「あの灯台や! てっぺんに登るで!」
灯台を占領していた工作員や獣人達を倒しながら屋上を目指す。
屋上にあった有料望遠鏡でコンドルの明確な姿を確認。四人はコンドルに空間跳躍した。

コンドル内にはムハマド直下のアサシン達が待ち構えていた。
工作員や獣人とは比べ物にならない強さに苦戦を強いられながらも
一基、また一基とエンジンを切り離していく。
そして六基目のエンジンを前にムハマドが立ち塞がった。
「俺はムハマド、真実の徒幹部にして装甲アサシン首領!」
「大物の御登場ってわけね…」
「あと十五分でこの機は日本本土に到達する…勝負だ!」
サイキでは無いが、ムハマドの戦闘能力はこれまで戦った誰よりも強かった。
勇者の盾でまりかのPKを防ぎ、捕縛網で動きを絡め取ってくる。
しかし、10分にも渡る戦いの末、最後に立っていたのはまりか達であった。
「こ、これで…真実の徒も終わりだ…
 まさか…たった三人の少女にこうもしてやられるとは…
 真実が敗れるのか…正義は…どこに…」
無念そうな呟きを残し、ムハマドは泡となって消える。
残り時間は5分、すでに目視で日本本土が見える所まで来ていた。
四人は急いで六基目のエンジンを切り離すと、空間跳躍でコンドルから脱した。

コンドルはその目的を果たすこと無く、伊豆南端三十キロの地点で墜落、水没した。
搭載されていた「ソドムの柱」も猛威を震うことなく、実行隊長のムハマドも死んだ。
ファクトはその戦力の大半を失い、破滅への道を急速に進み始めていた…

112 :マリカ~真実の世界~:2006/06/07(水)04:41:57ID:zJEBMLl5
『その果てに見えた真実1』(1/2)

フランソワーズが部屋に入ると、真実の人はワープロを打っていた。
「そして我は真実を見つめ続け、遂には真実そのものとなった…
…うーむ、ここからが重要だ」
「真実の人」
「なんだね? いま私は自伝の執筆中なのだよ」
「はい、ですが報告があります。
 コンドルによる前哨戦は、我々の敗北に終わりました」
その報告に、真実の人は絶句した。
コンドルに仕掛けられた自爆装置により、これまでの作戦の失敗のフォローをするつもりだったが
もはやそれ以前の問題となってしまったのだ。
しかし真実の人はそれでも諦めず、まりか達さえ倒せば生き延びる道はあると言う。
フランソワーズは、もはや三人のサイキに対抗する手段は無いと言うが…
「…ある」
「真実の人…まさか」
「そうだ、もうこの手しか残っておらん。
 どのみち私は解任されるであろう…そうなれば惨めな生活か、
 死が待っているのみ…第六研究室を呼び出せ!
 …全ては私の詰めの甘さが原因なのだ。ケリは自分でつける!」

2000人分の空間跳躍の力を溜めるオルガに、真実の人はそれを中断させた。
そして、この本部に三人のサイキを呼び込み決戦を挑む事を告げる。
オルガは真実の人の身を案じるが、しかし真実の人は自分の身は自分で守ると言う。
「ま、まさか…」
「そう…私は究極日本人『アルティメットJ』となる!」
「だめよ真実の人! そうなったらあなたの身体は…!」
「遺伝子破損を防ぐワクチンを手に入れられなかった以上
 一年と生き延びられんだろう…しかしもう決めた事だ!
 それに必要な手術はもう受けた…」
その言葉に放心するオルガを、真実の人は強く抱きしめた。

代々木、まりかの自宅にかなめの父と執事の林が来ていた。
興信所に、娘と同行している少女の所在を突き止めさせたのだ。
かなめの父は、家に入るとまりかの両親に詰め寄る。
「つまりですな、お宅のお子さんが
 うちの娘をそそのかしたと言いたいんですよ!
 うちのかなめは我が東堂家の跡取り娘なんだ!
 自分で勝手にテログループなんぞ相手にする訳がない!」
最初は話の内容に驚くばかりだったまりかの父も
だんだん、かなめの父の一方的な物言いに憤慨していく。
いがみ合う父親達、だが次第に叩き先はもう一人の存在あきらに移っていく。

「わいの娘は…そないなことはせぇへんで。
 あきらは昔っから人を巻き込むんが嫌いやった…」
と、その時、突然労務者風の中年男が現れた。
赤ら顔のその男は、自分をあきらの父親と名乗った。
三人の父親が揃い、ますます言い争いは泥沼化していく。
だが、真っ向から超能力を否定する二人の父親に対して、
あきらの父親は目の前で空間跳躍をしてみせた。あきらの父親も超能力者だった。
目の前で起こった事態に、娘達がテログループと戦っているという言葉が現実味を増す。
まりかの父は取り乱し、かなめの父はひたすら責任を擦り付けようとした。
「…いいかげんにして下さい! 旦那様!」
醜態を晒し続けるかなめの父に、側に控えていた林が堪りかねたように口を開く。
「今はかなめお嬢様を信用するしかないのです!
 あなたも一代で東堂グループを興しになった方でしたら
 もっと胆力をお見せ下さい!!」
林の一喝により、その場にいた全員が平静さを取り戻す。
自分達の娘を信じる、今はそれしかないとここにいる全員が分かっていた。

113 :マリカ~真実の世界~:2006/06/07(水)04:43:01ID:zJEBMLl5
『その果てに見えた真実1』(2/2)

数日後、まりか達は茨の工場の部屋でテレビを見ていた。
テレビにはかなめの父親が声明を上げている。
藤堂グループの資本を上げ、政府のファクト対策機関に資金援助をするという内容であった。
そんな父を、かなめはいつものスタンドプレーを謗る。
「素直や無いな…ああやって声明出さんでも援助の方法はあるやろ?
 ファクトに命狙われる覚悟があっての発表や」
かなめ自身もそれに気づいていたが、しかし長年のわだかまりは解ける物ではなかった。
と、その時、かなめの心に遠隔テレパスが届く。オルガからの物だ。
『我々はここで待つ…
 神崎まりかと二人のサイキよ、決着を付けましょう。
 ここには真実の人もいるわ』
オルガの気性から嘘ではないと判断した四人は、決戦の準備を始めた。

準備を終えると、ファクトの本拠地に乗り込むのは明日とし
今日はそれぞれ自由行動とした。

あきらと信長は、渋谷にあるかつてのアジトへと来ていた。
「みんな…明日、仇がうてるねん…明日で全てが終いや…」
「ここが、あきらさんのこれまでだったんだよね…
 戦いはたぶん明日で終わる…あきらさんはこれからどうするんだ?」
「旅に出るのもええな…まりかやかなめは帰る家があるきに…
 でもうちには何もあらへん。一人ぼっちや」
「僕は…どうしよう。僕にも帰る家は無い…」
「自分で決めたらええ…うちはずっとそうしてきた。
 お前もそうしたらええんや…」

まりかは電話を借りに茨博士の部屋へと来ていた。
茨博士の見守る中、まりかは家に電話をかける。
電話に出た母は何も尋ねる事なく、ただまりかの言葉に頷いていた。
「明後日にはきっと家に帰れる…だから安心して。
 絶対に帰るから…約束する」
「…わかったわまりか。母さんは何も聞かない。
 まりかが大好きなシチューを作って待ってるから…」
母の言葉に涙声で返事をすると、やがて電話を受話器に置く。
「…今のはお母さんか?」
「ええ…」
「そうか…きっとセッちゃんや君のように美しい人なんだろうなぁ…」
「これが終わったら…これが終わったら私の家に招待します。
 母のシチューを食べに来て下さい」

かなめは、結局誰にも会う事はしなかった。

114 :マリカ~真実の世界~:2006/06/07(水)04:46:35ID:bnWKnfyt
『その果てに見えた真実2』(1/3)

翌日、四人は茨博士達に見送られて空間跳躍した。
跳躍した先は鹿妻新島、十五年前に海底火山の噴火による地殻変動で現れた小島。
五年前に外資系企業によりレジャーランドの建設予定がされたが
不況により中断、そのまま放置された場所だ。
外国資本を母体とするファクトにはうってつけの場所だった。

本拠地に乗り込むと、そこには
工作員、獣人、不定形タイプ、ビースト、装甲アサシン、親衛隊が無数にいた。
ファクトの総力が結集されているのだろう。
それらを退けながら四人は地下へと進む。

地下四階ではオルガが待ち構えていた。
だが、まりか達の能力はもはやオルガを上回る程に成長している。
銚子での戦い同様、オルガは次第に追い詰められていく。
「外国の人がどう思おうと、今までの私たちの生活を否定なんてさせない!
 この国の責任は、私達がとっていけばいいんだから!」
しかし、戦っていくうちにオルガの能力が上がっていく。
「内戦で孤児になった私は、十歳のとき賢人同盟に拾われ
 三年前にファクトの担当となった…
 五星会議の一人に選ばれても、子供だった私は
 ただ任務を遂行するだけの、人の心を持たない操り人形だった…
 でもあの人…真実の人と出会うことで、私は変わった!
 真実の人は、私に人として生きる価値を教えてくれた!…それをあなた達は!!」
オルガの能力が、まりか達を上回らんばかりに膨れ上がった。
だが、まりかの能力もそれに呼応するように肥大する。
「…なら私と一緒だ。私も自分の国が好き!
 決して誰にも壊させはしない!
 私とあなたは同じ…どっちが悪いとかじゃない!」
同調するかのように力を増大させ続ける二人。
だが決着を付けたのは、仲間の存在の有無だった。
オルガは力尽きその場に崩れ落ちる。
「わ、私には仲間はいなかった…私は…あなたと…」
それだけ言うとオルガは動かなくなる。
ファクトの構成員ではない為か、泡にはならなかった。

さらに先に進むと、真実の人の部屋らしき場所に出た。
だがそこには誰もおらず、まりか達は部屋を探索してみた。
すると棚に一冊の本があるのを見つける。
それは真実の人の日記だった。
『1976年3月7日…会社をクビになった。
 俺があまりにこだわり過ぎたせいだろうか…全ては自分に非がある』
『4月10日。面接を受けたが落ちた。
 面接官に、君は面接以前の問題である…と言われた。
 確かにそうかも知れない』
日記には、真実の人がスポンサーである賢人同盟に拾われるまでの過程が記されていた。
会社との折り合いの悪さ。
作家を志すが断念。
出版社を襲撃するが、警察に逮捕。
出所後、浮浪者になる。
日記の最初の方は、反省に満ちていた内容も
逮捕を境に社会への恨み言と変化していく様子が、まりかにもよく理解できた。
日記の最後のページには、真実の人の本名が記されていた。
「真崎実…真実の人は日本人だったんだ…」

115 :マリカ~真実の世界~:2006/06/07(水)04:48:46ID:bnWKnfyt
『その果てに見えた真実2』(2/3)

部屋の椅子の下に隠し扉を発見した四人は、その先でスーツ姿の男を見つけた。
スーツ姿の男は自分を『真実の人』名乗った。
「銚子の温泉宿で…あのとき仕掛けておけば、
 こんな事態にはならなかった…全ては俺のミスだ…
 ふふ…こんなに自分を責めたのは、何十年ぶりかな…」
信長がレーザー砲を構え前に出る。
「無防備だろうが僕達はあんたを許さないぞ!」
「少年…非日常とは楽しいだろう!?
 巻き込まれる事で、君はエキサイティングな非日常を送ることができた!」
「ふざけるな! 父さんと母さんを殺しておいて!
 こんな状況、楽しい訳無いだろう!?」
信長は真実の人に向けてレーザー砲を発射した。
レーザーは真実の人の腕を切断するが、真実の人は動じない。
「平凡な人生など、つまらないものだ…
 終わらない日常より限りある非日常…私はそれを選んだ。
 その最終的な結果が…これだ!」
切断された腕が再生されていき、それに伴い真実の人の姿が異様な変貌を遂げていく。
「私は日本人だ…私はこの国の日常というやつが許せんのだ!
 全て灰になってしまえばいい!
 サイキの能力には科学力で対抗する!
 これが私の真実の姿!究極日本人『アルティメットJ』だ!!」
四人は変貌を遂げた真実の人に向かって挑み掛かった。

究極日本人『アルティメットJ』を倒すと、元の姿に戻っていった。
元に戻った真実の人はなおも戦意を失わず、まりか達に拳銃を突き付ける。
あきらとかなめが止めを刺そうとするが、まりかはそれを止めた(選択肢で止めを刺せます)
「この人はもう戦えない…私にはもうこれ以上できない…」
その言葉を聞くと真実の人は意識を失った。オルガと同じく泡にはならなかった。

もはや力を使い尽くした四人は休息をとっていた。
特にあきらの消耗が激しく、四人分の空間跳躍もままならない。
だが、そこに工作員や親衛隊を引き連れたフランソワーズが現れる。
フランソワーズは、この基地にあるソドムの柱を起動させたと四人に告げた。
その言葉に絶句とする四人。あきらは自分の残り精神力を確認した。
『跳べて二人が限界か…』
あきらとかなめは互いに視線を交わす。
「まりか…」
「ええ、爆弾を取り除くのね!」
「いや…そんな余裕はあらへん。うちが最後の能力を使う。
 まりか、お前だけでも東京に戻るんや」
「え…?」
「金本さんの言葉に従いなさい、あなたには帰る家がある」
「かなめさん…」
「辛いこともあったけど…楽しかったわ」
かなめは笑顔を見せると、工作員達の群れに飛び込んでいった。
信長がそれに続こうとするが、あきらがそれを引き止める。
「お前も逃げるんや…うちの能力は二人分しか跳ばすことができへん。
 生きるんや…うちや、かなめの分まで…!」
あきらはまりかと信長を空間跳躍させると、バットを構えかなめの元に駆けつける。
「金本さん…あなたにしては良い判断だったわね」
「はん! 最期まで憎まれ口かいな!」

数分後、ソドムの柱は爆発した。
あきらとかなめは、無数の泡にまみれながらそれを感じていた。
何故かオルガと真実の人の姿は無かった…

116 :マリカ~真実の世界~:2006/06/07(水)04:49:42ID:bnWKnfyt
『その果てに見えた真実2』(3/3)

「お帰り…」
まりかの目の前には岬と茨がいた。
「今テレビでやっておった…
 鹿妻新島は水没したそうじゃな…よくやってくれた」
「…金本さんと東堂さんは?」
まりかは、岬のその質問に答えることができなかった。
岬と茨は、まりかの表情から全てを察した。

翌日。
茨に夕食に招待する事を改めて約束し、まりかは日常へと戻っていった。
信長は、旅に出るとまりかに告げた。
真実の人の言葉の全てが間違いではないと感じた信長は
外からそれを確認するのだと言う。
茨と岬は、賢人同盟が未だ健在なのを懸念し研究を続けていくらしい。

まりかの母はシチューを作っていた。
「永美…ボールが四つあるけど…」
「まりかが帰ってくるんです。
 私…わかるんです。電話があったからじゃない…
 まりかは今日、きっと帰ってきます」
その時、玄関からチャイムが鳴った。

117 :マリカ~真実の世界~:2006/06/07(水)04:51:27ID:bnWKnfyt
『戦いは続く』
(注:真実の人に止めを刺した場合はこのシーンはありません)

まりかが初めて事件に巻き込まれた工場跡。そこに拳銃を持った真実の人がいた。
何故ここにいるのかは、本人も分かってはいない。
「真崎実! 君は完全に包囲されている。おとなしく投降せよ!」
「真実の人が無様に捕まる訳が無かろう! そんな姿、私は認めんぞ!」
外からは警官の声と共に、自分を罵倒する付近住民の野次が飛んでくる。
「真実を解せん黄色いブタ共め…
 貴様らに私を罵倒する権利は無い!それができるのは…」
真実の人は、手に持った拳銃を自分のこめかみに押し当てる。
「…私と神崎まりかをおいて他にはおらん!」
そして引き金を引く…だが何者かがその手から拳銃奪っていた。
そこにいたのは見知らぬ少年だった。
「お、お前は…」
「私は真実の人。賢人同盟に選ばれた三代目の真実の人だ。
 真崎、お前の役目は終わった」
「だまらっしゃい! 真実の人は私だ!」
「いいや…今のお前はただの黄色いブタだ。
 陰謀も実行も私が引き継いでやる。安心して地獄に落ちるんだな」
少年が引き金を引いた。その銃弾は真実の人の頭を貫いた。

「戦いは終わらん…それが真実だ」

118 :マリカ~真実の世界~:2006/06/07(水)04:55:20ID:bnWKnfyt
長々と続けてきましたが、これで終わりです。
これの続編に当たる小説が原作者のサイトで連載されているので
興味ある人はURLがギャルゲー板の遠藤スレ(マリカの原作者)にあるんで調べてみて下さい。

それでは、散々容量食って申し訳ありませんでした。





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